JP2002003930A - 薄板用鋼板の溶製方法 - Google Patents

薄板用鋼板の溶製方法

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JP2002003930A
JP2002003930A JP2000189875A JP2000189875A JP2002003930A JP 2002003930 A JP2002003930 A JP 2002003930A JP 2000189875 A JP2000189875 A JP 2000189875A JP 2000189875 A JP2000189875 A JP 2000189875A JP 2002003930 A JP2002003930 A JP 2002003930A
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Katsuhiro Sasai
勝浩 笹井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、アルミナ介在物を生成させること
がないように、Tiを主とした脱酸を行うことにより、
確実に表面疵を防止できる薄鋼板用素材の低炭素溶鋼を
溶製する方法を提示することを課題とする。 【解決手段】 炭素濃度を0.01質量%以下、Si濃
度を0.02質量%以下、Mn濃度を0.2質量%以下
にした溶鋼に0.005質量%以上のTiを添加して脱
酸し、その後Mgを添加した溶鋼を鋳造することを特徴
とする低炭素薄鋼板の溶製方法。Mgの添加量は、Ti
脱酸後に残留した少量の溶存酸素とTiO n 系介在物を
還元分解するに必要な量以上であって、且つMgが耐火
物やモールドパウダーと反応して溶鋼を汚染させない量
以下であり、溶鋼中のMg濃度の適正範囲は0.000
1〜0.01質量%程度である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工性、成形性に
優れた低炭素薄鋼板の溶製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】転炉や真空処理容器で精錬された溶鋼中
には、多量の溶存酸素が含まれており、この過剰酸素は
酸素との親和力が強い強脱酸元素であるAlにより脱酸
されるのが一般的である。しかし、Alは脱酸によりア
ルミナ系介在物を生成し、これが凝集合体して粗大なア
ルミナクラスターとなる。このアルミナクラスターは鋼
板製造時に表面疵発生の原因となり、薄鋼板の品質を大
きく劣化させる。特に、炭素濃度が低く、精錬後の溶存
酸素濃度が高い薄鋼板用素材である低炭素溶鋼では、ア
ルミナクラスターの量が非常に多く、表面疵の発生率が
極めて高く、アルミナ系介在物の低減対策は大きな課題
となっている。
【0003】これに対して、従来は特開平5−1042
19号公報の介在物吸着用フラックスを溶鋼表面に添加
してアルミナ系介在物を除去する方法、或いは特開昭6
3−149057号公報の注入流を利用してCaOフラ
ックスを溶鋼中に添加し、これによりアルミナ系介在物
を吸着除去する方法が提案、実施されてきた。一方、ア
ルミナ系介在物を除去するのではなく、生成させない方
法として、特開平5−302112号公報にあるように
溶鋼をMgで脱酸し、Alでは殆ど脱酸しない薄鋼板用
溶鋼の溶製方法も開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たアルミナ系介在物を除去する方法では、低炭素溶鋼中
に多量に生成したアルミナ系介在物を表面疵が発生しな
い程度まで低減することは非常に難しい。また、アルミ
ナ系介在物を全く生成しないMg脱酸では、Mgの蒸気
圧が高く、溶鋼への歩留まりが非常に低いため、低炭素
鋼のように溶存酸素濃度が高い溶鋼をMgだけで脱酸す
るには多量のMgを必要とし、製造コストを考えると実
用的なプロセスとは言えない。
【0005】これらの問題を鑑み、本発明はアルミナ系
介在物を生成させることがないように、Tiを主とした
脱酸を行うことにより、確実に表面疵を防止できる薄鋼
板用素材の低炭素溶鋼を溶製する方法を提示することを
課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は下記(1)〜(6)を要旨とする。 (1)炭素濃度0.01質量%以下まで脱炭した後、該
溶鋼にTiを添加して脱酸し、その後Mgを添加した溶
鋼を鋳造することを特徴とする低炭素薄鋼板の溶製方
法。
【0007】(2)真空脱ガス処理により炭素濃度0.
01質量%以下まで脱炭した後、該溶鋼にTiを添加し
て脱酸し、その後Mgを添加した溶鋼を鋳造することを
特徴とする低炭素薄鋼板の溶製方法。 (3)炭素濃度を0.01質量%以下、Si濃度を0.
02質量%以下、Mn濃度を0.2質量%以下にした溶
鋼に0.005質量%以上のTiを添加して脱酸し、そ
の後Mgを添加した溶鋼を鋳造することを特徴とする低
炭素薄鋼板の溶製方法。
【0008】(4)真空脱ガス処理により炭素濃度を
0.01質量%以下、Si濃度を0.02質量%以下、
Mn濃度を0.2質量%以下にした溶鋼に0.005質
量%以上のTiを添加して脱酸し、その後Mgを添加し
た溶鋼を鋳造することを特徴とする低炭素薄鋼板の溶製
方法。 (5)炭素濃度を0.01質量%以下、Si濃度を0.
02質量%以下、Mn濃度を0.2質量%以下にした溶
鋼に0.005質量%以上のTiを添加して脱酸し、そ
の後Mgを0.0001〜0.01質量%添加した溶鋼
を鋳造することを特徴とする低炭素薄鋼板の溶製方法。
【0009】(6)真空脱ガス処理により炭素濃度を
0.01質量%以下、Si濃度を0.02質量%以下、
Mn濃度を0.2質量%以下にした溶鋼に0.005質
量%以上のTiを添加して脱酸し、その後Mgを0.0
001〜0.01質量%添加した溶鋼を鋳造することを
特徴とする低炭素薄鋼板の溶製方法。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の溶製法では、転炉や電気炉等の製鋼炉で精錬
し、その後真空脱ガス処理してMn濃度を0.2質量%
以下、Si濃度を0.2質量%以下、炭素濃度を0.0
1質量%以下とした溶鋼に、Tiを0.005質量%以
上添加して脱酸を行った上で、Mgを添加する。この溶
製法の基本思想は、Mnの低い溶鋼にTiを添加して、
固相のTiOn 系介在物を生成させ、これをMgで還元
分解することにより微細なMgO系介在物を溶鋼中に分
散させることにある。
【0011】溶鋼中の溶存酸素濃度が高く、Mn濃度と
Si濃度が低い状態で添加されたTiは溶鋼中の溶存酸
素と反応し、TiOn 系介在物を生成する。TiOn
介在物は溶鋼中で固相であり、凝集合体し難いため、比
較的微細な介在物となる。このTiOn 系介在物はさら
に添加されたMgにより還元分解され、より微細なMg
O系介在物を生成する。溶鋼は事前にTiで脱酸されて
いるため、残存している少量の溶存酸素とTiOn 系介
在物を還元分解するに必要なMg量を添加すれば良い。
このため、真空脱ガス処理後の溶存酸素濃度が非常に高
い溶鋼をMgだけで単独脱酸する溶製方法に比べてMg
添加量を大幅に低減できる。MgO系介在物は非常に凝
集合体し難い性質を有しているため、上記溶製方法で一
度微細なMgO系介在物を生成させれば、取鍋内、タン
ディッシュ内及び鋳型内でも介在物は粗大化することな
く、溶鋼中に微細に分散する。その結果、鋼板製造時
に、介在物は表面疵発生の原因とならず、薄鋼板の品質
は大きく向上する。
【0012】自動車用外板向けの加工が厳しい極低炭素
鋼板等では、加工性を付加するためにCをできるだけ低
くする必要があり、C濃度は0.01質量%以下、好ま
しくは0.005質量%以下にするのが良い。溶鋼中の
Mn濃度とSi濃度が各々0.2質量%と0.02質量
%を超えると、Ti添加によりTiOn −MnO−Si
2 −FeOm 系の液相介在物が生成し、凝集合体が促
進されるため、粗大な液相介在物となる。このような粗
大な液相介在物では、表層部だけがMgにより還元され
MgO系介在物に置き換わるが、反応はそれ以上進ま
ず、介在物は微細に分解されないため、粗大なMgO−
MnO−FeO−TiOn 系の介在物となる。よって、
Ti添加前のMn濃度とSi濃度は各々0.2質量%と
0.02質量%以下にする必要がある。
【0013】Ti濃度は0.005質量%以上にするこ
とが好ましく、Ti濃度が0.005質量%未満になる
と、Mn濃度やSi濃度が低くてもTiOn −FeOm
系の液相介在物となるため、やはり凝集合体が促進され
粗大な液相介在物となってします。添加するTiはスポ
ンジ状Tiのように高純度Tiに限られたものではな
く、Fe−Tiのような合金として添加しても上記効果
は損なわれない。
【0014】Mgの添加量は、Ti脱酸後に残留した少
量の溶存酸素とTiOn 系介在物を還元分解するに必要
な量以上であって、且つMgが耐火物やモールドパウダ
ーと反応して溶鋼を汚染させない量以下である。実験的
検討では、溶鋼中のMg濃度で0.0001〜0.01
質量%程度が適正範囲である。取鍋内でMgを添加する
場合、Ti添加から1分以上置き、確実にTiOn 系介
在物が生成してからMgを添加し、TiOn 系介在物を
還元分解する方が、微細化効果は高い。また、Mgの添
加は、必ずしも取鍋内で添加する必要はなく、Ti脱酸
後から鋳型内に流入するまでの間で添加すれば良く、例
えばタンディッシュ内で添加することも可能である。さ
らに、Mg添加は純Mgで行うことも可能であるが、M
gの蒸気圧が非常に高いので、Ni−Mg等のMg合金
として添加しても良い。
【0015】溶鋼中にAlは添加しないのが好ましい
が、必要な場合には0.01質量%以下で添加しても、
本発明の効果は損なわれない。このAl濃度であれば、
Mg添加によりアルミナ系介在物も還元され、微細な介
在物に改質されるためである。
【0016】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明
について説明する。 実施例 転炉での精錬と環流式真空脱ガス装置での処理により炭
素濃度を0.003質量%、Si濃度を0.018質量
%以下、Mn濃度が0.15質量%とした取鍋内溶鋼を
Tiで脱酸し、Ti濃度0.01質量%とした。Ti添
加から1分後に、取鍋内溶鋼中にMgをワイヤー添加法
で添加し、Mg濃度0.002%の溶鋼を溶製した。こ
の溶鋼を連続鋳造法で厚み250mm、幅1800mm
のスラブに鋳造した。鋳造した鋳片は8500mm長さ
に切断し、1コイル単位とした。このようにして得られ
たスラブは、常法により熱間圧延、冷間圧延し、最終的
には0.7mm厚みで幅1800mmコイルの冷延鋼板
とした。鋳片品質については、冷間圧延後の検査ライン
で目視観察を行い、1コイル当たりに発生する表面欠陥
の発生個数を評価した。その結果、表面欠陥は発生しな
かった。
【0017】比較例 転炉での精錬と環流式真空脱ガス装置での処理により炭
素濃度を0.003質量%、Si濃度を0.025質量
%以下、Mn濃度が0.15質量%とした取鍋内溶鋼を
Alで脱酸し、Al濃度0.03質量%とした。さら
に、Tiを添加し、Ti濃度0.01質量%の溶鋼を溶
製した。この溶鋼を連続鋳造法で厚み250mm、幅1
800mmのスラブに鋳造した。鋳造した鋳片は850
0mm長さに切断し、1コイル単位とした。このように
して得られたスラブは、常法により熱間圧延、冷間圧延
し、最終的には0.7mm厚みで幅1800mmコイル
の冷延鋼板とした。鋳片品質については、冷間圧延後の
検査ラインで目視観察を行い、1コイル当たりに発生す
る表面欠陥の発生個数を評価した。その結果、スラブ平
均で5個/コイルの表面欠陥が発生した。
【0018】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明による
と、アルミナ系介在物を生成することなく、溶鋼中の介
在物を微細化することができるため、確実に表面疵を防
止できる加工性、成形性に優れた薄鋼板用の低炭素溶鋼
を溶製することが可能となる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素濃度0.01質量%以下まで脱炭し
    た後、該溶鋼にTiを添加して脱酸し、その後Mgを添
    加した溶鋼を鋳造することを特徴とする低炭素薄鋼板の
    溶製方法。
  2. 【請求項2】 真空脱ガス処理により炭素濃度0.01
    質量%以下まで脱炭した後、該溶鋼にTiを添加して脱
    酸し、その後Mgを添加した溶鋼を鋳造することを特徴
    とする低炭素薄鋼板の溶製方法。
  3. 【請求項3】 炭素濃度を0.01質量%以下、Si濃
    度を0.02質量%以下、Mn濃度を0.2質量%以下
    にした溶鋼に0.005質量%以上のTiを添加して脱
    酸し、その後Mgを添加した溶鋼を鋳造することを特徴
    とする低炭素薄鋼板の溶製方法。
  4. 【請求項4】 真空脱ガス処理により炭素濃度を0.0
    1質量%以下、Si濃度を0.02質量%以下、Mn濃
    度を0.2質量%以下にした溶鋼に0.005質量%以
    上のTiを添加して脱酸し、その後Mgを添加した溶鋼
    を鋳造することを特徴とする低炭素薄鋼板の溶製方法。
  5. 【請求項5】 炭素濃度を0.01質量%以下、Si濃
    度を0.02質量%以下、Mn濃度を0.2質量%以下
    にした溶鋼に0.005質量%以上のTiを添加して脱
    酸し、その後Mgを0.0001〜0.01質量%添加
    した溶鋼を鋳造することを特徴とする低炭素薄鋼板の溶
    製方法。
  6. 【請求項6】 真空脱ガス処理により炭素濃度を0.0
    1質量%以下、Si濃度を0.02質量%以下、Mn濃
    度を0.2質量%以下にした溶鋼に0.005質量%以
    上のTiを添加して脱酸し、その後Mgを0.0001
    〜0.01質量%添加した溶鋼を鋳造することを特徴と
    する低炭素薄鋼板の溶製方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002088412A (ja) * 2000-09-18 2002-03-27 Nippon Steel Corp 薄板用鋼板の溶製方法とそれを用いて鋳造した鋳片
JP2003049218A (ja) * 2001-08-07 2003-02-21 Nippon Steel Corp 薄板用鋼板の溶製方法とそれを用いて鋳造した鋳片

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002088412A (ja) * 2000-09-18 2002-03-27 Nippon Steel Corp 薄板用鋼板の溶製方法とそれを用いて鋳造した鋳片
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