JP2002001725A - 繊維強化プラスチック用繊維巻物および繊維強化プラスチックならびにその製造方法 - Google Patents

繊維強化プラスチック用繊維巻物および繊維強化プラスチックならびにその製造方法

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JP2002001725A JP2000190146A JP2000190146A JP2002001725A JP 2002001725 A JP2002001725 A JP 2002001725A JP 2000190146 A JP2000190146 A JP 2000190146A JP 2000190146 A JP2000190146 A JP 2000190146A JP 2002001725 A JP2002001725 A JP 2002001725A
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JP2000190146A
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Hidehiro Takemoto
秀博 竹本
Hitoshi Kodama
斎 児玉
Takumi Ishimori
巧 石森
Yoshiharu Numata
喜春 沼田
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強化繊維の強度が十分に反映された繊維強化
プラスチックを生産性良く製造できる繊維強化プラスチ
ック用繊維巻物を提供する。 【解決手段】 繊維強化プラスチック用の強化繊維束1
1が、巻物状に形成されていて、この強化繊維束11
は、撚られた状態で巻回されている繊維強化プラスチッ
ク用繊維巻物10である。この繊維強化プラスチック用
繊維巻物10から強化繊維束11をプル方式で引き出す
際に、強化繊維束11に対してあらかじめ与えられた
「撚り」が解消されるような向きに強化繊維束11を引
き出すと、「撚り」を相殺でき、「撚り」が抑えられた
強化繊維束11を繊維強化プラスチックに使用でき、強
化繊維の強度が反映した機械特性に優れた繊維強化プラ
スチックが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化プラスチ
ックに用いられる強化繊維束が巻物状に形成された繊維
強化プラスチック用巻物に関し、詳しくは、強化繊維の
強度が十分に反映した繊維強化プラスチックを生産性良
く製造できるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】強化繊維を連続的に供給して繊維強化プ
ラスチックを成形する代表的な方法として、フィラメン
トワインディング法(以下、FW法という。)やプルト
ルージョン法(以下、PL法という。)が挙げられる。
FW法は、主として軽量高剛性のロール形状物や、圧縮
天然ガス等を入れる圧力タンクを成形する方法である。
一方PL法は、主に、一定の断面形状を有するロッド、
パイプ等を成形する方法である。通常、これらの方法で
繊維強化プラスチックを成形する場合には、強化繊維束
が巻物状に形成された繊維巻物から強化繊維束を連続的
に引き出し、成形機に供給する。繊維巻物から強化繊維
束を連続的に引き出す方法としては、図4(a)に示す
ように、繊維巻物30を、巻物の巻回軸方向が鉛直方向
になるように配置して、トウと呼ばれる強化繊維束31
を巻物の内側から引き出す、いわゆる縦取り方式(以
下、プル方式という。)がある。この場合、強化繊維束
31を外側から引き出してもよい。他の方法としては、
図4(b)に示すように、繊維巻物30をクリール32
と呼ばれる軸架に配置し、一定のバックテンションを与
えながら繊維巻物30を回転させて強化繊維束31を引
き出す方式(以下、クリール方式という。)がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】プル方式で強化繊維束
を引き出す場合には、1つの繊維巻物の強化繊維束の末
端と、別の繊維巻物の強化繊維束の末端とをつなげるこ
とによって、強化繊維束を連続的に引き出して成形機に
供給できるため、成形工程を連続的に、効率的に行うこ
とができ生産性に優れる。しかしながら、プル方式で
は、繊維巻物は通常その巻回軸が鉛直方向になるように
配置されていて、このように配置された繊維巻物から強
化繊維束を鉛直方向に引き出して成形機に供給するた
め、引き出しの際に強化繊維束が撚られてしまう。その
結果、「撚り」が与えられた状態の強化繊維束が成形機
に供給される。このようにして得られた繊維強化プラス
チックは、マトリックス樹脂中で強化繊維束が撚られた
状態で存在しているため、強化繊維束が本来有する強度
を十分に発現できず、強度が不十分な繊維強化プラスチ
ックになってしまうという問題があった。
【0004】一方、クリール方式で強化繊維束を引き出
す場合には、繊維巻物から強化繊維束を引き出す際に強
化繊維束が撚られることがないため、強化繊維の強度が
十分に反映した繊維強化プラスチックを製造できる。し
かしながら、1つの繊維巻物から強化繊維束の全長を引
き出し終わり、続いて、次の繊維巻物から強化繊維束を
引き出す場合には、成形工程を一旦停止する必要があ
り、生産性に劣るという問題があった。そのため、一般
には、強化繊維の持つ強度等の特性が十分に反映した優
れた性能を有する成形品を製造する場合にはクリール方
式で強化繊維束を引き出し、反対に、このような優れた
性能よりも生産性が優先される場合にはプル方式で強化
繊維を引き出して成形機に供給していた。
【0005】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、強化繊維の強度が十分に反映した繊維強化プラスチ
ックを生産性良く製造できる繊維強化プラスチック用繊
維巻物を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、プル方式
を種々検討した結果、優れた性能を有する繊維強化プラ
スチック成形品を生産性良く製造できる繊維強化プラス
チック用繊維巻物を発明するに至った。すなわち、本発
明の繊維強化プラスチック用繊維巻物は、繊維強化プラ
スチック用の強化繊維束が、巻物状に形成されている繊
維強化プラスチック用繊維巻物であり、強化繊維束は、
撚られた状態で巻回されていることを特徴とする。上記
強化繊維束は、撚り回数が、0.1〜2撚り/ターンで
あることが好ましい。
【0007】本発明の繊維強化プラスチックの製造方法
は、繊維強化プラスチック用の強化繊維束が撚られた状
態で巻回されて巻物状に形成された繊維強化プラスチッ
ク用繊維巻物から、強化繊維束を引き出して、成形機に
供給し、マトリックス樹脂とともに成形する繊維強化プ
ラスチックの製造方法であり、前記繊維強化プラスチッ
ク用繊維巻物の巻回軸の一方向から見た巻き方向と、繊
維強化プラスチック用繊維巻物の外側に位置する強化繊
維束の端部から内側に位置する強化繊維束の端部に向か
っての撚り方向とが同じ向きである場合に、この繊維強
化プラスチック用繊維巻物の内側に位置する強化繊維束
の端部を、前記の一方向に向かって引き出すか、また
は、この繊維強化プラスチック用繊維巻物の外側に位置
する強化繊維束の端部を、前記一方向の反対方向に向か
って引き出すことを特徴とする。または、本発明の繊維
強化プラスチックの製造方法は、繊維強化プラスチック
用の強化繊維束が撚られた状態で巻回されて巻物状に形
成された繊維強化プラスチック用繊維巻物から、強化繊
維束を引き出して、成形機に供給し、マトリックス樹脂
とともに成形する繊維強化プラスチックの製造方法であ
り、前記繊維強化プラスチック用繊維巻物の巻回軸の一
方向から見た巻き方向と、繊維強化プラスチック用繊維
巻物の外側に位置する強化繊維束の端部から内側に位置
する強化繊維束の端部に向かっての撚り方向とが反対向
きである場合に、この繊維強化プラスチック用繊維巻物
の外側に位置する強化繊維束の端部を、前記の一方向に
向かって引き出すか、または、この繊維強化プラスチッ
ク用繊維巻物の内側に位置する強化繊維束の端部を、前
記一方向の反対方向に向かって引き出すことを特徴とす
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の繊維強化プラスチック用繊維巻物10
(以下、繊維巻物という。)の斜視図であり、強化繊維
束11が巻物状に形成されたものである。ここで強化繊
維束11は、繊維強化プラスチックの強化材として使用
されるものであり、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、ア
ラミド繊維からなる繊維束等が挙げられる。これらの中
では、炭素繊維が、軽量で比強度および比弾性率に優
れ、さらに、耐熱性、耐薬品性にも優れているため、繊
維強化プラスチックの強化材として好ましく使用され
る。強化繊維束11は、通常1000〜80000本程
度のフィラメントが集束したトウの形態で使用され、全
長は1000〜12000m程度である。
【0009】この繊維巻物10においては強化繊維束1
1が撚られた状態で巻回されて、巻物状に形成されてい
る。すなわち、図1におけるA方向またはB方向に撚ら
れた状態になっている。繊維巻物10からプル方式で強
化繊維束11を引き出す場合には、繊維巻物10は、通
常、その巻回軸12が鉛直方向になるように配置され
る。そして、繊維巻物10の外側に位置する強化繊維束
11の端部、または、繊維巻物10の内側に位置する強
化繊維束11の端部が鉛直方向、すなわち上方または下
方に引き出され、成形機に供給される。このように、プ
ル方式においては、繊維巻物10の巻回軸方向と、強化
繊維束11を引き出す方向とが略平行であるため、強化
繊維束11は引き出される際に撚られてしまう。
【0010】しかし、図1に示した繊維巻物10のよう
に、あらかじめ強化繊維束11が撚られた状態、すなわ
ち「撚り」が与えられた状態で巻物状に形成されている
繊維巻物10から強化繊維束11をプル方式で引き出す
場合、この「撚り」とは反対方向に「撚り」が加わる向
きに強化繊維束11を引き出すと、あらかじめ与えられ
た「撚り」の少なくとも一部は解消される。例えば、あ
らかじめA方向に撚られている強化繊維束11の繊維巻
物10から、プル方式で強化繊維束11を鉛直方向に引
き出す場合に、B方向に「撚り」が加わるように強化繊
維束11を引き出すと、あらかじめ与えられたA方向の
「撚り」の少なくとも一部は解消される。したがって、
あらかじめ「撚り」が与えられている強化繊維束11か
ら形成された繊維巻物10からプル方式で引き出された
強化繊維束11は、「撚り」が与えられていない強化繊
維束11の繊維巻物10からプル方式で引き出したもの
にくらべて、「撚り」が少ない状態となる。「撚り」の
少ない強化繊維束11を成形機に供給すると、得られる
繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂中においても
強化繊維束11は「撚り」が少ない状態になっている。
そのため、強化繊維束11はマトリックス樹脂中におい
て本来有する強度を十分に発現でき、得られる繊維強化
プラスチックも、強化繊維の強度が反映した優れた性能
を有するものとなる。
【0011】このような繊維巻物10は、通常、強化繊
維束11を撚りながら、この強化繊維束11を巻き芯に
巻き付けることにより形成できる。この場合、強化繊維
束11に与える好ましい「撚り」の程度は、強化繊維束
11を巻き芯の周りに一周させる間に、この強化繊維束
11に対して0.1〜2撚りを与える範囲であることが
好ましい。さらに好ましくは1撚りである。ここで1撚
りとは、強化繊維束11をその周方向に360°ねじる
ことによって与えられる「撚り」の程度である。よっ
て、0.1〜2撚りとは、強化繊維束11をその周方向
に36〜720°ねじることによって与えられる「撚
り」の程度である。したがって、繊維巻物10を形成す
る場合、強化繊維束11を、巻き芯の周りに一周させる
間に、この強化繊維束11を周方向に36〜720°ね
じることが好ましい。また、ここでは、巻き芯の周りを
強化繊維束11が一周する間に強化繊維束11が1撚り
されている「撚り」の程度を、1ターンにつき1撚り、
すなわち、1撚り/ターンと表す。なお、ここで「撚
り」の程度は、10ターンの平均値である。
【0012】繊維巻物10を形成している強化繊維束1
1の「撚り」の程度が0.1〜2撚り/ターンである
と、最終的に成形機に供給される強化繊維束11の「撚
り」の程度がより抑制され好ましい。強化繊維束11に
与えられた「撚り」の程度が0.1撚り/ターン未満で
は、プル方式によって加えられる「撚り」の程度を十分
に解消できない場合がある。また、プル方式で繊維巻物
10から強化繊維束11を引き出す際に強化繊維束11
に加えられる「撚り」の程度が、通常1撚り/ターンで
あることから、あらかじめ与えられる「撚り」の程度が
2撚り/ターンを超えると、最終的に成形機に供給され
る強化繊維束11の「撚り」の程度が大きくなってしま
い、逆効果となる場合がある。
【0013】このような繊維巻物10を形成する場合に
使用する巻き芯は、通常、円管、円柱等であり、外径は
5〜30cm程度で、長さは100〜500cm程度で
ある。一方、この巻き芯に巻き付けられる強化繊維束1
1は、厚みが0.05〜1.0mm程度、全長が100
0〜12000m程度である。よって、通常、強化繊維
束11は巻き芯の周りを何層にも巻き付けられ、その結
果、強化繊維束11が巻き芯の周りを一周するために要
する強化繊維束11の長さは徐々に長くなる。すなわ
ち、巻き芯の周りを一周するために要する強化繊維束1
1の「1ターン」の長さは、強化繊維束11が何層も巻
き付けられるにしたがって長くなっていく。したがっ
て、繊維巻物10を形成する場合には、強化繊維束11
が巻き芯の周りを一周するために要する強化繊維束11
の長さが徐々に変化することをあらかじめ考慮して、
「撚り」を与えていくことが好ましい。
【0014】このような繊維巻物10からプル方式で強
化繊維束11を引き出して、成形機に供給する場合に
は、強化繊維束11を、この強化繊維束11にあらかじ
め与えられている「撚り」が、解消されるような方向に
向けて引き出すことが必要である。つまり、繊維巻物1
0から強化繊維束11を引き出す場合、図2(a)に示
すように、繊維巻物10の内側に位置する強化繊維束1
1の端部をC方向に引き出す場合と、繊維巻物10の外
側に位置する強化繊維束11の端部をD方向に引き出す
場合とでは、強化繊維束11に対して同じ向きに「撚
り」が加えられる。また、図2(b)に示すように、繊
維巻物10の内側に位置する強化繊維束11の端部をD
方向に引き出す場合と、繊維巻物10の外側に位置する
強化繊維束11の端部をC方向に引き出す場合とでは、
強化繊維束11に対して同じ向きに「撚り」が加えられ
る。しかしながら、強化繊維束11を図2(a)に示す
ように引き出す場合と、図2(b)に示すように引き出
す場合とでは、強化繊維束11に対して互いに反対向き
に「撚り」が加えられる。すなわち、強化繊維束11を
引き出す方向によっては、強化繊維束11の「撚り」が
抑制されず、反対に強められる場合がある。よって、あ
らかじめ与えられている「撚り」の向きに応じて、強化
繊維束11を引き出す向きを考慮する必要がある。さら
に次に説明するように、「撚り」の方向だけでなく、繊
維巻物10の巻きの方向も考慮して、強化繊維束11を
引き出す方向を決定する必要がある。
【0015】具体的には、図3(a)に示すように、繊
維巻物10が一方向から見た巻き方向が右回りであり、
かつ、強化繊維束11の撚りの方向が、繊維巻物10の
外側に位置する強化繊維束11の端部から、繊維巻物1
0の内側に位置する強化繊維束11の端部に向かって前
記巻き方向と同じ向き、すなわち右回りである場合に
は、この繊維巻物の内側に位置する強化繊維束11の端
部を、前記一方向、すなわち図3(a)における上方に
向かって引き出すか、または、この繊維巻物10の外側
に位置する強化繊維束11の端部を、前記一方向と反対
方向、すなわち図3(a)における下方に向かって引き
出すことによって、あらかじめ与えられている「撚り」
と、強化繊維束11を引き出す際に加えられる「撚り」
が相殺され、引き出された強化繊維束11は「撚り」の
程度が抑制されたものとなる。または、一方向から見た
巻き方向が左回りであり、かつ、強化繊維束11の撚り
の方向が、繊維巻物10の外側に位置する強化繊維束1
1の端部から、繊維巻物10の内側に位置する強化繊維
束11の端部に向かって前記の巻き方向と同じ向き、す
なわち左回りである場合にも、同様に、この繊維巻物1
0の内側に位置する強化繊維束11の端部を、前記一方
向に向かって引き出すか、または、この繊維巻物10の
外側に位置する強化繊維束11の端部を、前記一方向と
反対方向に向かって引き出すことによって、引き出され
た強化繊維束11は「撚り」の程度が抑制されたものと
なる。
【0016】一方、図3(b)に示すように、繊維巻物
10が、一方向から見た巻き方向が右回りであり、か
つ、強化繊維束11の撚りの方向が、繊維巻物10の外
側に位置する強化繊維束11の端部から、繊維巻物10
の内側に位置する強化繊維束11の端部に向かって前記
の巻き方向と反対向き、すなわち左回りである場合に
は、この繊維巻物10の外側に位置する強化繊維束11
の端部を、前記一方向、すなわち図3(b)における上
方に向かって引き出すか、または、この繊維巻物10の
内側に位置する強化繊維束11の端部を、前記一方向と
反対方向、すなわち図3(b)における下方に向かって
引き出すことによって、あらかじめ与えられている「撚
り」と、強化繊維束11を引き出す際に加えられる「撚
り」が相殺され、引き出された強化繊維束11は「撚
り」の程度が抑制されたものとなる。または、繊維巻物
10が、一方向から見た巻き方向が左回りであり、か
つ、強化繊維束11の撚りの方向が、繊維巻物10の外
側に位置する強化繊維束11の端部から、繊維巻物10
の内側に位置する強化繊維束11の端部に向かって前記
の巻き方向と反対向き、すなわち右回りである場合に
も、同様に、この繊維巻物10の外側に位置する強化繊
維束11の端部を、前記の一方向に向かって引き出す
か、または、この繊維巻物10の内側に位置する強化繊
維束11の端部を、前記の一方向と反対方向に向かって
引き出すことによって、最終的に成形機に供給される強
化繊維束11の「撚り」の程度をより抑制できる。
【0017】このように、繊維巻物10から強化繊維束
11を引き出す場合には、繊維巻物10の巻き方向と、
この繊維巻物10を形成している強化繊維束11の撚り
の方向に応じて、あらかじめ強化繊維束11に与えられ
ている「撚り」が解消される方向に、強化繊維束11を
引き出すことが必要である。繊維巻物10から強化繊維
束11を引き出した後、これを熱硬化性樹脂等のマトリ
ックス樹脂とともに成形機に供給し、繊維強化プラスチ
ックの成形品を得る。ここで成形法には特に制限はない
が、繊維巻物10から引き出された強化繊維束11は、
FW法、PL法での使用に適している。
【0018】このような繊維巻物10は、強化プラスチ
ック用の強化繊維束11が、巻物状に形成されている繊
維巻物10であり、強化繊維束11は、撚られた状態で
巻回されているので、この繊維巻物10から強化繊維束
11をプル方式で引き出す際に、強化繊維束11に対し
てあらかじめ与えられた「撚り」が解消されるような向
きに強化繊維束11を引き出すことによって、「撚り」
を相殺でき、最終的に得られる強化繊維束11の「撚
り」の程度を抑制することができる。このように「撚
り」が少なく抑えられた強化繊維束11を繊維強化プラ
スチックに使用すると、強化繊維が本来有する優れた強
度を十分に発現することができ、得られた繊維強化プラ
スチックも強化繊維の強度が反映した機械特性に優れた
ものとなる。また、このような繊維巻物10において
は、強化繊維束11の撚り回数を、0.1〜2撚り/タ
ーンとすることによって、プル方式で引き出された後成
形機に供給される強化繊維束11の「撚り」の程度をよ
り抑制できる。
【0019】さらに、このような繊維巻物10から強化
繊維束11をプル方式で引き出して成形機に供給する場
合にあらかじめ強化繊維束11に与えられている「撚
り」が解消される方向に強化繊維束11を引き出すと、
最終的に得られる繊維強化プラスチックの機械特性が優
れる。また、強化繊維束11をプル方式で引き出す場合
には、1つの繊維巻物10の強化繊維束11の端部と、
別の繊維巻物10の強化繊維束11の端部とをつなげる
ことによって、強化繊維束11を連続的に引き出して成
形機に供給できるため、成形を効率的に行うことができ
る。したがって、このような繊維巻物10からプル方式
で強化繊維束11を引き出すと、強化繊維の強度が十分
に反映した優れた繊維強化プラスチックを生産性よく製
造できる。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明
する。 [実施例1]パイロフィルTR50S−AL−24K
(三菱レイヨン製炭素繊維)のスプール(繊維巻物)か
ら強化繊維束をプル方式で引き出して、この強化繊維束
に1撚り/ターンの「撚り」をその周方向に対して時計
回りに与えながら、紙製の円管からなる巻き芯に巻き付
け、あらかじめ「撚り」が与えられた繊維巻物を得た。
次にこの繊維巻物から巻き芯を抜いた後、巻き芯の巻回
軸が鉛直方向になるように立てて床上に置き、この繊維
巻物の内側からプル方式で強化繊維束を引き出した。こ
の際、強化繊維束の周方向には反時計回りに1撚り/タ
ーンの「撚り」が加えられ、あらかじめ与えられていた
「撚り」が相殺された。そして、この強化繊維束に三菱
レイヨン製エポキシ樹脂#700Bを塗布し、直径φ5
00mmマンドレルがセットされたフィラメントワイン
ディング機に供給し、マンドレルに3.6mmピッチで
周方向のみに上記の強化繊維束を6トラバース巻き付け
て周巻き層を形成した。巻き付け後、これを硬化炉に入
れ150℃で3時間キュア後、マンドレルから脱型し、
内径φ500mm、長さ500mm、板厚約2mmの円
筒形状の炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRPと
いう。)を得た。これを旋盤で加工し、リングの幅25
mmの試験片を得て、リングバースト試験機にセット
し、油圧で10個バーストさせたところ、バースト圧力
は平均25.2MPaであった。
【0021】[比較例1]パイロフィルTR50S−A
L−24K(三菱レイヨン製炭素繊維)のスプールをフ
ィラメントワインデイング機のクリールスタンドにセッ
トし、クリール法で成形機に供給した以外は実施例1と
同様にして、CFRPを得て、ついで試験片を得た。こ
れを実施例1と同様にしてバースト圧力を測定したとこ
ろ、平均25.5MPaであった。
【0022】[比較例2]パイロフィルTR50S−A
L−24K(三菱レイヨン製炭素繊維)として、あらか
じめ「撚り」が与えられていない繊維巻物を使用した以
外は実施例1と同様にしてCFRPを得た。プル方式で
強化繊維を引き出し、成形機に供給したことによって、
強化繊維束の周方向に反時計回りに「撚り」が加えられ
た。これを実施例1と同様にして試験片を得て、同様に
してバースト圧力を測定したところ、平均18.9MP
aであった。
【0023】このように、実施例1で得られたCFRP
は、比較例1で得られたCFRPとほぼ同程度の強度を
有していた。一方、比較例2で得られたCFRPは、実
施例1のCFRPよりも強度が約25%低下した。よっ
て、あらかじめ強化繊維束に「撚り」を与えた繊維巻物
を使用すると、プル方式で強化繊維束を引き出した場合
にも、強度に優れた繊維強化プラスチック成形品を製造
できた。
【0024】[実施例2]実施例1と同様にして、あら
かじめ1撚り/ターンの「撚り」が与えられた繊維巻物
を得た。この繊維巻物から巻き芯を抜いた後、巻き芯の
内側よりプル方式で炭素繊維束を引き出し、5軸のフィ
ラメントワインディング機に供給した。この際、強化繊
維束の周方向に反時計回りに1撚り/ターンの「撚り」
が加えられ、あらかじめ与えられていた「撚り」が相殺
された。そして、ライナーにはポリエチレンを用い、樹
脂には三菱レイヨン製エポキシ樹脂#D2を用いて、硬
化させ、直径φ350mm、長さ900mmの中空の圧
力タンクを製作した。なお、硬化前の圧力タンクの周方
向と軸方向の層厚は略1:1であり、炭素繊維および樹
脂の巻き付け量は合計23kgであった。このタンクに
水圧を負荷して3個バースト試験したところ、バースト
圧力は平均105.7MPaであった。
【0025】[比較例3]あらかじめ「撚り」が与えら
れていない繊維巻物を使用した以外は、実施例2と同様
にして直径φ350mm、長さ900mmの中空の圧力
タンクを製作した。これを実施例2と同様にしてバース
ト圧力を測定したところ、平均77.1MPaであっ
た。
【0026】このように、実施例2で得られた圧力タン
クは、比較例3で得られた圧力タンクに比べて約40%
も強度が高かった。よって、あらかじめ強化繊維束に
「撚り」を与えた繊維巻物を使用すると、プル方式で強
化繊維束を引き出し、成形機に供給しても、強度に優れ
た繊維強化プラスチック成形品を製造できた。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明の繊維巻物に
よれば、強化繊維束をプル方式で引き出しても、「撚
り」の少ない強化繊維束を成形機に供給できるため、強
化繊維の強度が十分に発現する繊維強化プラスチックを
製造できる。したがって、強化繊維の強度が十分に反映
した繊維強化プラスチックを生産性良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 繊維強化プラスチック用繊維巻物の斜視図で
ある。
【図2】 繊維強化プラスチック用繊維巻物からプル方
式で強化繊維束を引き出す方法を説明する斜視図であ
る。
【図3】 繊維強化プラスチック用繊維巻物からプル方
式で強化繊維束を引き出す場合の、繊維強化プラスチッ
ク用繊維巻物の巻き方向および強化繊維束の撚り方向
と、引き出し方向との関係を説明する斜視図である。
【図4】 繊維強化プラスチック用繊維巻物から強化繊
維束を(a)プル方式で引き出す方法と、(b)クリー
ル方式で引き出す場合を説明する斜視図である。
【符号の説明】
10…繊維強化プラスチック用繊維巻物、11…強化繊
維束
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石森 巧 愛知県豊橋市牛川通四丁目1番地の2 三 菱レイヨン株式会社豊橋事業所内 (72)発明者 沼田 喜春 愛知県豊橋市牛川通四丁目1番地の2 三 菱レイヨン株式会社豊橋事業所内 Fターム(参考) 3F115 AA05 AA06 BA06 BA25 4F072 AB06 AB09 AB10 AB24 AD23 AG06 4F205 AA39 AD16 AG07 AH55 HA02 HA22 HA33 HA37 HA46 HB01 HC03 HF05 HL02 4L045 DC34 DC36

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維強化プラスチック用の強化繊維束
    が、巻物状に形成された繊維強化プラスチック用繊維巻
    物であり、 強化繊維束は、撚られた状態で巻回されていることを特
    徴とする繊維強化プラスチック用繊維巻物。
  2. 【請求項2】 強化繊維束の撚り回数が、0.1〜2撚
    り/ターンであることを特徴とする請求項1に記載の繊
    維強化プラスチック用繊維巻物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の繊維強化プラ
    スチック用繊維巻物から引き出された強化繊維束を用い
    た繊維強化プラスチック。
  4. 【請求項4】 繊維強化プラスチック用の強化繊維束が
    撚られた状態で巻回されて巻物状に形成された繊維強化
    プラスチック用繊維巻物から、強化繊維束を引き出し
    て、成形機に供給し、マトリックス樹脂とともに成形す
    る繊維強化プラスチックの製造方法であり、 前記繊維強化プラスチック用繊維巻物の巻回軸の一方向
    から見た巻き方向と、繊維強化プラスチック用繊維巻物
    の外側に位置する強化繊維束の端部から内側に位置する
    強化繊維束の端部に向かっての撚り方向とが同じ向きで
    ある場合に、 この繊維強化プラスチック用繊維巻物の内側に位置する
    強化繊維束の端部を、前記の一方向に向かって引き出す
    か、または、この繊維強化プラスチック用繊維巻物の外
    側に位置する強化繊維束の端部を、前記一方向の反対方
    向に向かって引き出すことを特徴とする繊維強化プラス
    チックの製造方法。
  5. 【請求項5】 繊維強化プラスチック用の強化繊維束が
    撚られた状態で巻回されて巻物状に形成された繊維強化
    プラスチック用繊維巻物から、強化繊維束を引き出し
    て、成形機に供給し、マトリックス樹脂とともに成形す
    る繊維強化プラスチックの製造方法であり、 前記繊維強化プラスチック用繊維巻物の巻回軸の一方向
    から見た巻き方向と、繊維強化プラスチック用繊維巻物
    の外側に位置する強化繊維束の端部から内側に位置する
    強化繊維束の端部に向かっての撚り方向とが反対向きで
    ある場合に、 この繊維強化プラスチック用繊維巻物の外側に位置する
    強化繊維束の端部を、前記の一方向に向かって引き出す
    か、または、この繊維強化プラスチック用繊維巻物の内
    側に位置する強化繊維束の端部を、前記一方向の反対方
    向に向かって引き出すことを特徴とする繊維強化プラス
    チックの製造方法。
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