JP2002001497A - 鋳造用ノズル - Google Patents

鋳造用ノズル

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JP2002001497A
JP2002001497A JP2001114686A JP2001114686A JP2002001497A JP 2002001497 A JP2002001497 A JP 2002001497A JP 2001114686 A JP2001114686 A JP 2001114686A JP 2001114686 A JP2001114686 A JP 2001114686A JP 2002001497 A JP2002001497 A JP 2002001497A
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nozzle
casting
refractory material
alumina
weight
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JP2001114686A
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English (en)
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Hiroshi Otsuka
大塚  博
Nobuhiro Hasebe
悦弘 長谷部
Koji Enomoto
浩二 榎本
Koji Kawarada
幸司 瓦田
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Coorstek KK
Original Assignee
Toshiba Ceramics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素含有量の高い鋼種またはカルシウムで処
理された鋼種等に対する耐食性があり、かつ、ノズル内
壁面への溶鋼および酸化物系介在物等の付着堆積を防止
することができ、耐スポーリング性にも優れた鋳造用ノ
ズルを提供する。 【解決手段】 溶鋼と接する部分の少なくとも一部が、
マグネシア、アルミナ、スピネル、ジルコニア、ムライ
ト、シリカのうちのいずれか1種または2種以上の主成
分を合量で50重量%以上、および、チッ化ホウ素を
0.3〜15重量%、ならびに、有機バインダーの結合
材を含有する耐火材からなることを特徴とする鋳造用ノ
ズルを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳造用ノズルに関
し、より詳細には、連続鋳造においてタンディッシュ内
の溶鋼を鋳型に導入する浸漬ノズル等の鋳造用ノズルで
あって、高耐食性を有し、また長時間使用してもノズル
内孔壁に地金、非金属介在物の付着、堆積が抑制される
耐火材からなる鋳造用ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造においては、取鍋とタンディッ
シュとの間で使用されるロングノズルやエアーシールパ
イプ、タンディッシュ内の溶鋼を鋳型に導入するための
浸漬ノズル等の鋳造用ノズルが使用されている。これら
の鋳造用ノズルは、その使用環境に応じて、溶鋼やスラ
グに対する耐スポーリング性、耐摩耗性、耐食性等の特
性が要求される。
【0003】従来、このような要求に対応するため、鋳
造用ノズルの耐火材には、アルミナ−黒鉛質またはアル
ミナ−シリカ−黒鉛質等が使用されてきた。しかしなが
ら、アルミナ−シリカ−黒鉛質の耐火材では、酸素含有
量の高い鋼種またはカルシウムで処理された鋼種等の鋳
造において、FeOおよびCaO等により、アルミナお
よびシリカが侵食され、長時間の使用には耐えられない
という問題があった。そのため、比較的耐食性の低いシ
リカを減量したアルミナ−黒鉛質等の耐火材が用いられ
ているが、黒鉛の耐酸化性および耐食性が低いため、こ
れでもなお十分な耐久性は得られていない。
【0004】また、アルミナ−黒鉛質またはアルミナ−
シリカ−黒鉛質の耐火材は、ノズル本体にシリカが含ま
れている場合、ノズルの使用中に、シリカに起因して発
生したSiOガスが溶鋼部まで拡散し、溶鋼中のAlの
酸化やスラグ等に起因する介在物が、鋳造用ノズル内壁
面に付着堆積し、ノズルが閉塞しやすいという問題があ
った。前記鋳造用ノズルに閉塞が生じると、溶鋼の流量
制御が不可能となり、連続鋳造の操業が困難となるばか
りでなく、操業中に鋳造用ノズル内壁面の付着堆積物が
剥離することにより、製鋼の品質が低下するという問題
があった。
【0005】このような鋳造用ノズルの閉塞を防止する
手段として、鋳造用ノズル内に不活性ガスを吹き込む方
法が提案されている。この方法によれば、ノズル内壁面
へのアルミナクラスター等の酸化物系介在物の付着堆積
を防止することができるが、吹き込んだガスにより、溶
鋼中に微細な気泡が取り込まれ、ピンホールの発生、介
在物の巻き込み等による製鋼の欠陥が生ずることがあ
る。この問題は、溶鋼中に微細な気泡が取り込まれるこ
とから生ずるため、解決が非常に困難である。
【0006】一方、上記以外の手段としては、鋳造用ノ
ズルの材質の観点から、特開昭56−139260号公
報に示されるように、チッ化ホウ素を5〜80%含有す
る耐火材からなる鋳造用ノズルが提案されている。その
他にも、最近では、特開平10−314905号公報に
開示されているように、アルミナの付着防止を図るた
め、カーボンを含有しない、または、カーボンを減量さ
せた耐火材からなる鋳造用ノズルが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
56−139260号公報において開示されているよう
なチッ化ホウ素を5〜80%含有する耐火材からなる鋳
造用ノズルにあっては、黒鉛の使用を前提としているた
め、上記したように、耐食性および閉塞防止に対する効
果が不十分であるという技術的課題があった。
【0008】また、特開平10−314905号公報に
開示されているようなカーボンを含有しない、または、
カーボンを減量させた耐火材からなる鋳造用ノズルにあ
っては、アルミナ等の酸化物系介在物のノズル内壁面へ
の付着防止効果は認められるものの、溶鋼自体の付着防
止効果は不十分であるという技術的課題があった。さら
に、該鋳造用ノズルは、カーボンを含有しない、また
は、含有量が少ないという特徴に基づき、熱膨張率が高
く、耐スポーリング性に劣るという課題も有していた。
【0009】さらにまた、上記材質の耐火材を緻密な溶
射膜として形成することも提案されているが、この手段
によっては、耐スポーリング性がさらに低下することと
なり、また、製造コストも多大となるという技術的課題
があった。
【0010】上記のように、ノズルの閉塞を防止する手
段として提案されている従来の材質に着目した技術にお
いては、種々の技術的課題が内在し、閉塞防止に対する
効果は十分なものではなかった。
【0011】本発明は、上記従来技術の課題を解決する
ためになされたものであり、酸素含有量の高い鋼種また
はカルシウムで処理された鋼種等に対する耐食性があ
り、かつ、ノズル内壁面への溶鋼および酸化物系介在物
等の付着堆積を防止することができ、耐スポーリング性
にも優れた鋳造用ノズルを提供することを目的とするも
のである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る鋳造用ノズ
ルは、溶鋼と接する部分の少なくとも一部が、マグネシ
ア、アルミナ、スピネル、ジルコニア、ムライト、シリ
カのうちのいずれか1種または2種以上の主成分を合量
で50重量%以上、および、チッ化ホウ素を0.3〜1
5重量%、ならびに、有機バインダーの結合材を含有す
る耐火材からなることを特徴としている。この耐火材
は、低膨張率、かつ、溶鋼に対する濡れ性が小さく、さ
らに、耐摩耗性および潤滑性に優れたチッ化ホウ素が用
いられているため、ノズルの閉塞を防止し、耐久性に優
れた鋳造用ノズルを提供することができる。
【0013】また、本発明に係る鋳造用ノズルは、前記
耐火材によって、厚さ2〜15mmの薄肉層が形成され
ていることを特徴としている。前記薄肉層は、ノズルの
閉塞防止効果および耐火材の構造的剥離の観点から、少
なくとも溶鋼と接する部分において、前記厚さに形成さ
れているのが好ましい。
【0014】さらに、前記鋳造用ノズルは、前記耐火材
からなる部分とノズル本体との間に、シリカを含有せ
ず、かつ、前記耐火材とノズル本体との間の熱膨張率を
有するアルミナ−黒鉛質材からなる中間層が形成されて
いることが好ましい。シリカを含有しない前記中間層が
形成されることにより、構造的に耐スポーリング性に優
れ、かつ、ノズル使用時の熱衝撃による前記耐火材の薄
肉層の剥離や、該薄肉層の膨張によるノズル本体の割れ
や亀裂の発生を防止することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明をより具体的に説明
する。本発明に係る鋳造用ノズルに用いられる耐火材
は、マグネシア、アルミナ、スピネル、ジルコニア、ム
ライト、シリカのうちのいずれか1種または2種以上の
主成分を合量で50重量%以上、および、チッ化ホウ素
を0.3〜15重量%、ならびに、有機バインダーの結
合材を含有するものであることを特徴とする。このよう
に、耐火材にチッ化ホウ素を含有させることにより、ひ
び割れ等の破損が生じにくく、かつ、溶鋼および酸化性
介在物等のノズル内壁面への付着堆積を防止することが
できる鋳造用ノズルを得ることができる。前記チッ化ホ
ウ素は、低膨張率であり、溶鋼に対する濡れ性が小さ
く、さらに、耐摩耗性および潤滑性に優れていることに
よるものである。
【0016】前記耐火材中のチッ化ホウ素の含有量が、
0.3重量%未満であると、耐火材の十分な潤滑性が得
られない。一方、耐火材中のチッ化ホウ素の含有量が、
15重量%を超えると、耐火材の焼結性が低下し、強度
の低下を招くと共に、コストも高くなる。
【0017】また、耐火材中には、マグネシア、アルミ
ナ、スピネル、ジルコニア、ムライト、シリカのうちの
いずれか1種または2種以上が主成分として含有され
る。前記マグネシア、スピネル、ジルコニアおよびムラ
イトは、熱膨張率が高く、ノズル使用中に、耐火材が、
ひび割れ等の破損を生じるおそれがある。しかし、これ
らの酸化物系材料は、高融点で、高硬度であり、アルミ
ナまたはシリカに比べて、FeOおよびCaOに対する
耐食性に優れている。したがって、これらの酸化物系材
料に、チッ化ホウ素および有機バインダーの結合材とを
所定量配合することにより、熱膨張率の低下を図ること
ができ、破損しにくく、かつ、耐食性に優れたノズルを
得ることができる。
【0018】また、前記マグネシア、アルミナ、スピネ
ル、ジルコニア、ムライト、シリカのうちのいずれか1
種または2種以上の主成分を合量で50重量%以上含有
されることが好ましい。前記マグネシア、アルミナ、ス
ピネル、ジルコニア、ムライト、シリカのいずれか1種
または2種以上を合わせた含有量が50重量%未満で
は、耐火材の十分な耐食性が得られないからである。な
お、前記マグネシアの消化防止等の目的で、シリカが含
有されることが好ましく、前記シリカの含有量は、マグ
ネシアよりも少量であることが好ましい。
【0019】本発明に係る鋳造用ノズルに用いられる耐
火材は、アルミナ−黒鉛質等の従来のノズルと異なり、
黒鉛を含有しない。そのため、使用中に黒鉛と耐火材中
の他の配合物との反応により、酸化性ガスが発生するこ
とはなく、溶鋼中のアルミニウムは酸化されず、アルミ
ナの生成を阻止することができる。したがって、高品質
の製鋼を得ることができる。
【0020】また、耐火材中には、有機バインダーの結
合材が含有される。このように、有機バインダーの結合
材が含有されるのは、耐火材の低膨張率化を図り、ノズ
ル使用中にひび割れ等の破損を生じることを防止するた
めである。なお、有機バインダーは、特に限定されるも
のではなく、フェノール樹脂等の通常用いられるもので
よい。
【0021】また、前記耐火材は、鋳造用ノズルの溶鋼
と接する部分において、厚さ2〜15mmの薄肉層とし
て形成することが好ましい。前記薄肉層の厚さが2mm
未満では、耐食性が十分でなく、またノズルの閉塞防止
効果も十分でない。一方、薄肉層の厚さが15mmを超
えると、耐火材が構造的剥離を生じる可能性がある。な
お、前記薄肉層は、溶鋼と接する部分のすべての部分に
形成する必要はなく、少なくともノズルの閉塞防止効果
を図るため、ノズル内壁部に形成されていれば良い。
【0022】さらに、本発明に係る鋳造用ノズルの構造
は、特に限定されるものではなく、鋳造用ノズルにおけ
る耐火材の構成例としては、図1または図2に示したよ
うなものを挙げることができる。すなわち、図1に示す
ように、鋳造用ノズルのノズル本体1は、鋳造用ノズル
に通常用いられるアルミナ−黒鉛質耐火材からなり、パ
ウダーライン部2は、ジルコニア−黒鉛質耐火材からな
る。そしてまた、鋳造用ノズルのノズルの内壁部3およ
びノズルの外壁部4、ノズル内孔壁5には、本発明に係
るチッ化ホウ素含有耐火材からなる薄肉層が形成されて
いる。なお、図2は、ノズルの内壁部3のみ本発明に係
るチッ化ホウ素含有耐火材の薄肉層が形成されている。
【0023】また、本発明に係る鋳造用ノズルは、例え
ば、図3に示すように、3層構造であることがより好ま
しい。すなわち、図3に示す鋳造用ノズルのノズル本体
1、パウダーライン部2、ノズルの内壁部3は、図2の
場合と同様の構成からなるが、ノズルの内壁部を形成す
る本発明に係るチッ化ホウ素含有耐火材からなる薄肉層
は、ノズル本体1に対して、中間層6を介して形成され
ている。
【0024】前記中間層6は、シリカを含有しないアル
ミナ−黒鉛質材により形成される。シリカを含有しない
アルミナ−黒鉛質材を用いることにより、耐スポーリン
グ性に優れ、かつ、安価に製造可能な中間層6を提供す
ることができる。
【0025】また、前記中間層6を構成するアルミナ−
黒鉛質材は、前記耐火材により形成される薄肉層とノズ
ル本体1との間の熱膨張率を有するものである。黒鉛を
含まない本発明に係るチッ化ホウ素含有耐火材は、一般
にアルミナ−黒鉛質耐火材からなるノズル本体1、およ
び、一般にジルコニア−黒鉛質耐火材からなるパウダー
ライン部2と比較して、熱膨張率は大きい。したがっ
て、前記中間層6は、ノズル使用時の熱衝撃による前記
耐火材の薄肉層の剥離や、該薄肉層の膨張によるノズル
本体1およびパウダーライン部2の割れや亀裂の発生を
防止する役割を果たす。また、前記中間層6は、ノズル
本体1がシリカを含有する材質からなる場合、該シリカ
の還元反応により発生したSiOガスが、前記耐火材の
薄肉層を介して溶鋼中に拡散し、溶鋼中のAlを酸化さ
せ、これに起因する介在物が、ノズルの内壁3面に付着
堆積することを防止することにも有効である。
【0026】なお、中間層は、1層に限定されるもので
はなく、ノズル本体の材質やノズルの構造等に応じて、
熱膨張率や化学組成を傾斜的に変化させ、多層状に形成
することもできる。同様に、中間層の厚さも特に限定さ
れない。
【0027】本発明に係る鋳造用ノズルの製造方法は、
特に限定されるものではないが、以下のような方法を例
示することできる。まず、耐火材の各原料をミキサー等
で混練する。得られた混練物を成形枠に充填し、CIP
成形、金型プレス等により成形を行う。得られた成形体
を乾燥後、非酸化性雰囲気中で焼成する。焼成後、必要
に応じ、加工することにより最終形状とし、目的とする
鋳造用ノズルが得られる。
【0028】また、本発明に係る鋳造用ノズルに用いら
れる耐火材は、チッ化ホウ素を含有するため、その原料
の混練物は潤滑性に優れており、カーボンを含有しない
耐火材と比較しても、成形時の作業性がより簡易であ
る。したがって、アルミナ−黒鉛質耐火材からなるノズ
ル本体の内壁部に、一体成形することも可能である。こ
れにより、構造的にも、耐スポーリング性の向上を図る
ことができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的
に説明するが、本発明は下記の実施例により制限される
ものではない。 [実施例1]アルミナ36重量%、黒鉛30重量%、有
機バインダー25重量%、炭化ケイ素9重量%からなる
ノズル本体に、表1の本発明サンプルNo.1〜4に示
した各配合組成の耐火材を、浸漬ノズルの内壁部に厚さ
5mmの薄肉層として設け、図2に示したような浸漬ノ
ズルを作製した。この浸漬ノズルを使用して、実炉で鋳
造試験を行った。鋼種は、Al含有量0.03重量%の
ものを使用した。連続鋳造機として、2ストランド型を
使用し、No.1ストランドに前記浸漬ノズルを装着
し、5ch(鋳造時間約170分)の鋳造試験を5回行
った。試験後、ノズルの直胴部において3箇所の断面で
の付着物厚さを測定し、平均値を求めた。その平均値の
5回の試験における平均値を、付着物厚さとして表1に
示した。
【0030】[比較例1]表1の比較サンプルNo.1
に示した配合組成、即ちアルミナ36重量%、黒鉛30
重量%、有機バインダー25重量%、炭化ケイ素9重量
%からなる浸漬ノズルを薄肉層を形成することなく、作
製し、これを連続鋳造機のNo.2ストランドに装着
し、鋳造試験を行った。実施例1と同様に測定した付着
物厚さを、表1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】表1に示したように、本発明サンプルN
o.1〜4については、付着物厚さは1mm以下で、比
較サンプルNo.1の1/10未満であり、堆積付着物
の低減効果が認められた。
【0033】[実施例2]アルミナ36重量%、黒鉛3
0重量%、有機バインダー25重量%、炭化ケイ素9重
量%からなるノズル本体に、表2の本発明サンプルN
o.1〜5に示した各配合組成の耐火材について、浸漬
ノズルの内壁部に厚さ5mmの薄肉層として設け、図2
に示したような浸漬ノズルを作製した。この浸漬ノズル
を使用して、実炉で鋳造試験を行った。鋼種は、高酸素
鋼(酸素濃度:200ppm)を使用した。連続鋳造機
として、2ストランド型を使用し、No.1ストランド
に前記浸漬ノズルを装着し、1ch(鋳造時間約60
分)の鋳造試験を3回行った。試験後、ノズルの直胴部
の断面における内壁部の最大溶損厚さ測定した。その値
を表2に示した。
【0034】[比較例2]表2の比較サンプルNo.1
〜5に示した各配合組成からなる浸漬ノズルを、薄肉層
を形成することなく、作製した。この浸漬ノズルを連続
鋳造機のNo.2ストランドに装着し、実施例2と同様
の条件で鋳造試験を行った。試験後、ノズルの直胴部の
断面における内壁部の最大溶損厚さ測定した。その値を
表2に示した。
【0035】
【表2】
【0036】表2に示したように、高酸素鋼の連続鋳造
において、浸漬ノズルの内壁面の最大溶損厚さは、実施
例サンプルNo.1〜5については0.6mm以下で、
比較例サンプルNo.1〜5の1/10未満であり、高
酸素鋼に対する耐食性が向上された。特に、黒鉛が5重
量%以上含有された比較例サンプルNo.1〜4は、最
大溶損厚さが、実施例サンプルの20倍以上であること
から、黒鉛を含有する耐火材の耐食性は低いことが確認
された。したがって、黒鉛を含有しない実施例サンプル
は、従来品である比較例サンプルに比べ、高酸素鋼に対
する耐食性が高いことが認められた。
【0037】[実施例3]アルミナ36重量%、黒鉛3
0重量%、有機バインダー25重量%、炭化ケイ素9重
量%からなるノズル本体に、表2の本発明サンプルN
o.1〜5に示した各配合組成の耐火材について、浸漬
ノズルの内壁部に厚さ5mmの薄肉層として設け、図2
に示したような浸漬ノズルを作製した。この浸漬ノズル
を使用して、実施例2と同様の条件で鋳造試験を行っ
た。試験後、ノズルの気孔率をJIS R 2205
「耐火れんがの見掛け気孔率、吸水率−比重の測定方
法」により測定した。また、JIS R 2213「耐
火れんがの曲げ強さの試験方法」により、曲げ強度を測
定した。この気孔率および曲げ強度を表3に示す。
【0038】[比較例3]アルミナ36重量%、黒鉛3
0重量%、有機バインダー25重量%、炭化ケイ素9重
量%からなるノズル本体に、表3の比較サンプルNo.
6および7に示した各配合組成の耐火材について、浸漬
ノズルの内壁部に厚さ5mmの薄肉層として設け、図2
に示したような浸漬ノズルを作製した。このノズルの気
孔率および曲げ強度を実施例3と同様に測定した。この
気孔率および曲げ強度を表3に示した。
【0039】
【表3】
【0040】表3に示したように、本発明サンプルN
o.5の気孔率は18.7%であるのに対して、チッ化
ホウ素が20重量%以上含有されている比較例サンプル
No.6および7はいずれも20%以上と高かった。こ
れに伴い、ノズルの曲げ強度が、比較サンプルNo.6
および7は、実施例サンプルNo.5の1/5未満と低
かった。したがって、チッ化ホウ素の含有量が増加する
ほど、気孔率が増加し、それに伴い、ノズルの曲げ強度
が低下し、15重量%を超えると十分なノズルの強度は
得られないことが認められた。
【0041】[実施例4]各構成部分が表4に示した配
合組成からなる浸漬ノズルにおいて、中間層の厚さを1
0mm、ノズル内壁部の耐火材の厚さを10mmとし
て、図3に示したような浸漬ノズルを作製した。この浸
漬ノズルを、高周波誘導炉にて予熱せずに1500°で
浸漬させた。
【0042】[参考例1]各構成部分が表4に示した配
合組成からなる浸漬ノズルにおいて、中間層を設けず
に、ノズル内壁部の耐火材の厚さを10mmとして、図
2に示したような浸漬ノズルを作製した。この浸漬ノズ
ルを、高周波誘導炉にて予熱せずに1500℃の炉内に
浸漬させた。
【0043】
【表4】
【0044】浸漬後のノズルを観察したところ、中間層
を形成した浸漬ノズル(実施例4)には亀裂の発生は認
められなかったのに対して、中間層を形成しなかった浸
漬ノズル(参考例1)には、微小の亀裂が多数発生して
いた。上記のように、中間層を設けることにより、ノズ
ルの耐スポーリング性が向上することが認められた。
【0045】[実施例5]実施例4において作製した浸
漬ノズルを使用して、実炉で鋳造試験を行った。鋼種
は、Al含有量0.03重量%のものを使用した。連続
鋳造機として、2ストランド型を使用し、No.1スト
ランドに前記浸漬ノズルを装着し、5ch(鋳造時間約
170分)の鋳造試験を5回行った。試験後、ノズルの
直胴部において3箇所の断面での付着物厚さを測定し、
平均値を求めた。その平均値の5回の試験における平均
値を、付着物厚さとした。その結果、付着物厚さは、
0.1mmであった。
【0046】[参考例2]参考例1において作製した浸
漬ノズルを連続鋳造機のNo.2ストランドに装着し、
実施例5と同様に鋳造試験を行った。試験後、実施例5
と同様に測定して付着物厚さを求めた。その結果、付着
物厚さは、2.0mmであった。
【0047】上記のように、中間層を形成した浸漬ノズ
ル(実施例4)の付着物厚さは、中間層を形成しなかっ
た浸漬ノズル(参考例1)の付着物厚さの1/30に低
減しており、中間層を設けることによるノズル本体から
溶鋼へのSiOガスの拡散防止効果が認められた。
【0048】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る鋳造用ノズ
ルを用いれば、酸素含有量の高い鋼種またはカルシウム
で処理された鋼種等に対する耐食性の向上を図ることが
できる。また、本発明に係る鋳造用ノズルを用いれば、
ノズルの構造的な耐スポーリング性が向上し、ノズル内
壁面への溶鋼および酸化物系介在物等の付着堆積が防止
され、ノズルの閉塞を防止することができるため、ノズ
ルの長時間連続使用が可能となる。したがって、本発明
に係る鋳造用ノズルを使用することにより、鋳造工程に
おけるノズルのメンテナンス等に要する労力および時間
を低減することができ、さらには、高酸素鋼等において
も高品質の製鋼を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルの
一例を示した断面図である。
【図2】図2は、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルの
他の一例を示した断面図である。
【図3】図3は、本発明に係る連続鋳造用浸漬ノズルの
他の一例を示した断面図である。
【符号の説明】
1 ノズル本体 2 パウダーライン部 3 内壁部 4 外壁部 5 ノズルの内孔壁 6 中間層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榎本 浩二 愛知県刈谷市小垣江町南藤1番地 東芝セ ラミックス株式会社刈谷製造所内 (72)発明者 瓦田 幸司 愛知県刈谷市小垣江町南藤1番地 東芝セ ラミックス株式会社刈谷製造所内 Fターム(参考) 4E014 DA03 DB03 4G030 AA07 AA17 AA36 AA37 AA47 AA50 AA60 BA23 BA30 BA33 CA07 GA14 HA04 HA12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶鋼と接する部分の少なくとも一部が、
    マグネシア、アルミナ、スピネル、ジルコニア、ムライ
    ト、シリカのうちのいずれか1種または2種以上の主成
    分を合量で50重量%以上、および、チッ化ホウ素を
    0.3〜15重量%、ならびに、有機バインダーの結合
    材を含有する耐火材からなることを特徴とする鋳造用ノ
    ズル。
  2. 【請求項2】 前記耐火材によって、厚さ2〜15mm
    の薄肉層が形成されていることを特徴とする請求項1に
    記載された鋳造用ノズル。
  3. 【請求項3】 前記耐火材からなる部分とノズル本体と
    の間に、シリカを含有せず、かつ、前記耐火材とノズル
    本体との間の熱膨張率を有するアルミナ−黒鉛質材から
    なる中間層が形成されていることを特徴とする請求項1
    または請求項2に記載の鋳造用ノズル。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010253546A (ja) * 2009-04-24 2010-11-11 Shinagawa Refractories Co Ltd 鋼の連続鋳造用浸漬ノズル
JP2017211362A (ja) * 2016-05-19 2017-11-30 Jfeスチール株式会社 金属スラブ清浄度の評価方法および金属スラブ清浄度の評価装置
CN114075080A (zh) * 2020-10-27 2022-02-22 上海劲远高温材料有限公司 一种炼钢浸入式水口用塑形超高温陶瓷密封垫及其制备方法

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