JP2001526391A - 狭窄化された毛管チャネルを有する分析試験エレメント - Google Patents

狭窄化された毛管チャネルを有する分析試験エレメント

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、液体中のアナライトを測定するための分析試験エレメントに関する。この分析試験エレメントには、検出エレメントと、毛管液体輸送を可能にするチャネルとが含まれ、毛管液体輸送を可能にするチャネルの一端にはサンプル添加口が設けられている。また、毛管液体輸送を可能にするチャネルは、サンプル添加口から少なくとも検出エレメントの開始位置まで毛管輸送の方向に連続的に狭窄化されている。このほか、本発明はまた、液体中のアナライトを測定するための該分析試験エレメントの使用および該分析試験エレメントを利用して液体サンプル中のアナライトを測定するための方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、液体中のアナライトを測定するための分析試験エレメントに関する
。この分析試験エレメントには、検出エレメントと、毛管液体輸送を可能にする
チャネルとが含まれ、毛管液体輸送を可能にするチャネルの一端にはサンプル添
加口が設けられている。本発明はまた、液体中のアナライトを測定するための該
分析試験エレメントの使用および該分析試験エレメントを利用して液体サンプル
中のアナライトを測定するための方法に関する。
【0002】 いわゆるキャリヤー結合試験は、多くの場合、体液中、特に血液中の成分の定
性分析または定量分析を行うために利用される。これらの試験では、試薬は、サ
ンプルに接触させる固体キャリヤーの所定の層中に含まれている。標的アナライ
トが存在すると、液体サンプルと試薬とが反応して検出可能なシグナル、特に、
視覚的にまたは装置を利用して(通常、反射測光法により)評価することのでき
る色の変化が得られる。
【0003】 試験エレメントまたは試験キャリヤーは、プラスチック材料から作製された細
長い支持層と、試験領域として支持層に接合された検出層とを本質的に含む試験
ストリップの形態をとることが多い。しかしながら、小さな正方形または矩形の
プレートの形状をもつ試験キャリヤーも知られている。
【0004】 視覚的にまたは反射測光法により評価される臨床診断用の試験エレメントは、
サンプル添加ゾーンと検出ゾーンを垂直軸方向に積み重ねた形態で作製されるこ
とが多い。このような形態の構成体には問題がある。サンプルの充填された試験
ストリップを、測定のために反射測光器などの装置に挿入しなければならない場
合、感染の恐れのあるサンプル物質が装置の一部分に触れて装置が汚染される可
能性がある。そのうえ、特に、慣れない人が試験ストリップを使用する場合、例
えば、自分で血糖調節を行うために糖尿病患者が使用する場合、規定容量の供給
を行うことは可能ではあるが、それには常に困難が伴う。更に、従来の試験エレ
メントでは、信頼のできる測定を行うために、その構造上、比較的大量のサンプ
ルが必要となることが多い。サンプルの必要量が増大すると、血液検査の必要な
患者が受ける痛みも増大する。従って、一般的な目標としては、サンプル物質の
必要量が極力抑えられた試験ストリップを提供することが挙げられる。
【0005】 自動充填式測定チャネルを備えたキャリヤーとフィルター層および試薬物質層
を有するラミネート構成体とを含んでなる生体液分析用器具が、DE-A 31 51 291
により周知となっている。この試験キャリヤーでは、サンプル液は毛管力によっ
て測定チャネル中に輸送され、更に、重ねられたラミネート中に浸透する。この
ラミネート中では、分析器具を加熱した後、標的アナライトに対する検出反応が
起こる。欠点は、測定結果を得るために、サンプルの入っている分析器具を加熱
しなければならないことである。このため、分析器具の使用は、本質的に実験室
に限られる。
【0006】 DE-A 195 23 049には、互いに隣接して配置されたサンプル添加ゾーンと検出 ゾーンとを含む多層分析エレメントが記載されている。この多層分析エレメント
には、本質的に、全域にわたって液体が移動できるように接触した状態にあるフ
リースと多孔性膜とのサンドイッチ構成体が含まれる。膜およびサンプル添加ゾ
ーンは、この領域で液体の吸収も輸送も行われないように処理されている。DE-A
195 23 049に記載の多層分析エレメントは、サンプル液とサンプル添加ゾーン との接触を可能にする手段である毛管ギャップを含む試験ストリップ中で使用す
ることができる。
【0007】 本発明の目的は、従来技術の欠点をなくすことであった。特に、自動的に所定
容量を採取することができ、しかもサンプル容量を最小限に抑えつつ検出ゾーン
とサンプル添加部位との空間的な分離を可能にする取扱の容易な試験エレメント
を提供することを意図した。このほか、サンプル添加部位から検出ゾーンまでの
サンプル輸送は、サンプルの分析に要する時間が制限されない程度に迅速でなけ
ればならない。更に、試験エレメントの構成を単純化して、費用がかからずかつ
簡単に試験エレメントを製造できるようにしなければならない。
【0008】 この目的は、特許請求の範囲で特徴付けられた本発明の内容によって達成され
る。
【0009】 発明の内容は、液体中のアナライトを測定するための分析試験エレメントであ
って、この分析試験エレメントには、検出エレメントと、毛管液体輸送を可能に
するチャネルとが含まれ、毛管液体輸送を可能にするチャネルの一端にはサンプ
ル添加口が設けられている。この分析試験エレメントは、毛管液体輸送を可能に
するチャネルがサンプル添加口から少なくとも検出エレメントの開始位置まで毛
管輸送の方向に連続的に狭窄化されていることを特徴とする。
【0010】 毛管活性チャネルの狭窄化は、毛管チャネル中に位置するサンプル容積を、サ
ンプル液のカラムを分離させることなく検出エレメントによって確実に吸収でき
るようにする役割を果たす。チャネルの狭窄化に伴うリスクとしては、サンプル
液がチャネルの内部から検出エレメントに移動するときに液体カラムが中断され
て毛管活性チャネル中の液体の一部分だけが検出エレメントに到達し、これによ
り検出ゾーンへの供給不足を起こすことが挙げられる。このリスクは、本発明に
従って狭窄化することにより回避される。毛管液体輸送を可能にするチャネルの
狭窄化は、好ましくは、毛管現象を引き起こすチャネルのサイズに関連付けられ
る。矩形の断面を有する毛管の場合、この狭窄化は、通常、チャネルの高さが対
象となる。この場合、チャネルの高さは、チャネル中の液体の輸送方向と直交す
る方向のサイズであり、更に、本質的には、観察または測定のために露出してい
る検出エレメントの平面に垂直である。高さとは対照的に、チャネルの幅は、本
質的には、検出エレメントの該平面に平行である。検出エレメントの方向にチャ
ネルを連続的に狭窄化すると、毛管現象も連続的に増大する。ここでサンプル液
がチャネルから検出エレメント中に進入した場合、チャネル中の毛管現象が検出
エレメント側ほど大きいため、サンプル液は、毛管現象の小さい領域から検出エ
レメント側に移動する。このようにして、検出エレメントの完全な充填が達成さ
れる。これに伴って、理想的な場合、チャネルは完全に空になる。従って、検出
エレメントに必要な量よりも多くのサンプルをチャネル中に取り込む必要はない
【0011】 好ましい実施形態では、毛管液体輸送を可能にするチャネルの狭窄化は、サン
プル添加口から検出エレメントまで直線的である。しかしながら、わずかに湾曲
した変化形態のような他の形態の狭窄化を考えることもできる。言い換えれば、
このことは、サンプル添加口における毛管活性チャネルの断面が、検出エレメン
トの下に位置するチャネルの反対側の末端における断面よりも大きいことを意味
する。
【0012】 毛管液体輸送を可能にするチャネルは、その毛管現象を引き起こすチャネルの
サイズを急激に広くすることによってサンプル添加口の反対側の末端で終わるよ
うにすることが、特に好ましい。また、このような急激な広がりは、高さ段差(h
eight step)と呼ぶこともできる。
【0013】 好ましくは、毛管液体輸送を可能にするチャネルは、サンプル添加口から、せ
いぜい、サンプル添加口に面した検出エレメントの検出ゾーンの境界まで、毛管
輸送の方向に延在する。
【0014】 特に好ましい実施形態では、毛管チャネルが取り込むことのできる最大のサン
プル容量が、検出エレメントによって吸収することができかつ信頼できる分析を
行うのに必要であるサンプルの量とほぼ対応するように、毛管チャネルのサイズ
を検出エレメントに適合させる。理想的な場合には、両方の容量は同じ大きさで
あり、サンプルはチャネルから検出エレメント中に完全に移動する。これにより
、過剰のサンプルが検出エレメントに到達するのを防止することができるととも
に、検出反応に利用しうるサンプル量が少なすぎるということもなくなる。検出
反応およびそれによって得られるシグナルには容量依存性があるため、供給量が
多すぎたり少なすぎたりして特定のシステム限界から外れると、測定結果に誤差
が現れる。こうした問題は、本発明に係る方法によって回避される。従って、毛
管チャネルは、検出エレメントへの過剰なまたは過少な供給を回避することによ
り不確かな測定結果や更には誤った測定結果を生じないようにするという目的で
、試験エレメントを介して所定容量を供給するという役割を担う。
【0015】 チャネルが本質的に矩形の断面を有する好ましい場合、1つのサイズ、例えば 、チャネルの高さは、毛管活性の物理的限界によって予め設定されるので、毛管
チャネルの容量は、2つの他のサイズ、例えば、長さおよび幅を適切に選択する ことによって調節することが可能である。毛管の高さは、例えば、血液のときに
は、10〜500μm、好ましくは20〜300μmである。なぜなら、これ以外の高さでは
毛管活性は観測されないからである。狭窄化されたチャネルの場合、これは、サ
ンプル添加側の高さおよび検出エレメントに面している反対側の高さに適用され
る。所望の容積にもよるが、この場合、幅は、数mm、好ましくは1〜10mm、長さ は、数cm、好ましくは0.5〜5cmに設定することができる。
【0016】 本発明に係る分析試験エレメントの好ましい実施形態では、毛管液体輸送を可
能にするチャネルの内面を形成する少なくとも1つの表面、好ましくは2つの表面
、特に好ましくは2つの対向した表面を親水化する。この場合、親水性表面とは 、水を引きつける表面を指す。水性のサンプルは、血液も含めて、このような表
面上を良好な状態で拡がる。特に、このような表面は、その上に置かれた水滴の
界面におけるリム角すなわち接触角が鋭角になることが特徴である。これとは対
照的に、疎水性表面、すなわち撥水性表面では、水滴と表面との界面におけるリ
ム角は鈍角になる。
【0017】 試験液の表面張力および検査される表面の表面張力の結果として得られるリム
角は、表面の親水性の尺度として好適である。例えば、水の表面張力は72mN/mで
ある。観測表面の表面張力の値がこの値よりもかなり小さい場合、すなわち、こ
の値より小さくその差が20mN/mを超える場合、湿潤は悪くなり、得られるリム角
は鈍角になる。このような表面は疎水性表面と呼ばれる。表面張力が水の値に近
づくと、湿潤は良好になり、リム角は鋭角になる。これに対して、表面張力が水
の値と同じかまたはそれよりも大きい場合、液滴は流動し、その液は全体に拡が
る。この場合、もはやリム角を測定することはできない。水滴のリム角が鋭角に
なる表面または水滴が全体に拡がる表面は、親水性表面と呼ばれる。
【0018】 毛管が液体を吸込む能力は、液体に対するチャネル表面の湿潤性に依存する。
このことは、水性サンプルの場合、表面張力がほぼ72mN/mであるかまたはこの値
を超える材料から毛管を作製しなければならないことを意味する。
【0019】 水性サンプルを迅速に吸込む毛管を作製するのに十分な親水性を有する材料と
しては、例えば、ガラス、金属、またはセラミックスが挙げられる。しかしなが
ら、ガラスやセラミックスの場合には破損の危険性があること、種々の金属の場
合には時が経つにつれて表面の性質が変化することなど、いくつかの重大な欠点
があるため、これらの材料は試験キャリヤー中で使用するのに適していない。従
って、通常はプラスチックフォイルや成型品を用いて試験エレメントを製造する
。一般的には、使用されるプラスチックの表面張力が45mN/mを超えることはほと
んどない。ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリアミド(PA)のように相対的な
意味で最も親水性の高いプラスチックを用いた場合でさえも、毛管の作製は可能
ではあるが、非常にゆっくりとした吸引が行われる毛管が作製できるにすぎない
。ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、またはポリエチレン(PE)などのよう
な疎水性のプラスチックから作製された毛管では、本質的に、水性サンプルの吸
引は行われない。従って、毛管活性チャネルを有する試験エレメント用の構成材
料として使用されるプラスチックに親水性を付与すること、すなわち、プラスチ
ックを親水化することが必要である。
【0020】 先に述べたように、本発明に係る分析試験エレメントの好ましい実施形態では
、毛管液体輸送を可能にするチャネルの内面を形成する少なくとも1つの表面、 好ましくは2つの表面、特に好ましくは2つの対向した表面を親水化する。2つ以 上の表面を親水化する場合、これらの表面の親水化処理は、同じ方法で行うこと
もできるし異なる方法で行うこともできる。毛管活性チャネル(特に、キャリヤ
ー)を形成する材料が例えば非極性プラスチックを含有するためにそれ自体では
疎水性であるかまたはごくわずかに親水性である場合には、特に、親水化処理が
必要である。ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)、またはポリ塩化ビニル(PVC)などのような非極性のプラスチックは、検
査対象の液体を吸収しないため、従って、検出層によってサンプル体積が効果的
に利用できるため、キャリヤー材料として有用である。毛管チャネルの表面を親
水化すると、極性(好ましくは、水性)のサンプル液は、毛管チャネル中に容易
に進入できるようになり、更に、毛管チャネルを通って検出エレメントへ、また
は検出の行われる検出エレメントの部位へ迅速に移動できるようになる。
【0021】 理想的には、毛管チャネルの表面の親水化は、それ自体はサンプル液を吸引で
きないかまたは無視しうる程度の吸引ができるにすぎない親水性材料をチャネル
の製造に使用することによって達成される。これが実施不可能である場合、サン
プル物質に対して不活性である安定な親水性層で適切なコーティングを施すこと
によって、例えば、光反応性の親水性ポリマーをプラスチック表面上に共有結合
させるか、湿潤剤を含む層を添加するか、またはゾル‐ゲル法を利用してナノ複
合体で表面を被覆することによって、疎水性の表面またはごくわずかに親水性の
表面を親水化させることができる。更に、表面に対して熱的、物理的、または化
学的処理を施すことにより親水性を増大させることも可能である。
【0022】 親水化は、酸化されたアルミニウムの薄層を使用することにより、特に良好に
達成される。こうした層は、試験エレメントの所望の構成要素に直接形成される
か(例えば、金属アルミニウムで加工品を真空メッキし、続いて、金属を酸化さ
せる)、または試験キャリヤーを作製するための金属フォイルもしくは金属被覆
プラスチックを用いて設けられる(これらに対しても所望の親水性を得るために
酸化処理が必要である)。この場合、金属層の厚さは1〜500nmが適切である。後
続処理で金属層を酸化させて酸化体を生成させるが、その際、電気化学的アノー
ド酸化に加えて、特に、水蒸気の存在下での酸化または水中における煮沸による
酸化は、きわめて好適な方法であることが判明した。こうして形成される酸化体
層は0.1〜500nm、好ましくは(方法にもよるが)10〜100nmである。原理的には 、金属層および酸化体層の厚さをこれより厚くすることも実際上可能であるが、
付加的な有利な効果が得られるわけではない。
【0023】 好ましい実施形態では、本発明に係る分析試験エレメントの検出エレメントに
は、サンプル中の標的アナライトの検出反応に必要なすべての試薬および場合に
より補助物質が含まれる。しかしながら、試薬または補助物質の一部分だけが含
まれるようにすることも可能である。そのような試薬および補助剤は、分析試験
エレメントや診断試験キャリヤーの技術に精通している専門家には周知である。
酵素を用いて検出されるアナライトの場合、検出エレメントは、例えば、酵素、
酵素の基質、指示薬、緩衝塩、不活性充填剤などを含有することができる。
【0024】 本発明に係る試験エレメントの検出エレメントは、好ましくはいくつかの層を
含み、場合により、好ましくはサンプルに接触しない検出エレメント側に不活性
キャリヤーを含有することができる。検出反応により観察可能な色変化を生じる
特に好ましい場合(この場合、色の変化、色の生成、または色の消失のいずれか
であると考えられる)、キャリヤーを介して検出反応の視覚的または光学的な観
測が可能になるように適切な手段を講じなければならない。この目的ために、検
出エレメントのキャリヤー材料は、それ自体が透明なもの、例えば、ポリカーボ
ネートフォイルのような透明プラスチックフォイルであってもよいし、検出側に
透明な窪みを有するものであってもよい。色変化を起こす検出反応に加えて、電
気化学センサーなどの既知の試験エレメントを用いて実現可能な他の検出原理も
また、当業者には周知である。
【0025】 検査対象の液体をそれに含まれる成分と共に取り込むことのできる材料を検出
エレメントに使用することが必要である。これらの材料は、いわゆる吸収材であ
り、具体的には、フリース、布、編布、または層材料として使用できる多孔性プ
ラスチック材料が挙げられる。好適な材料は、測定対象アナライトの検出に必要
な試薬を担持することのできるものでなければならない。
【0026】 検出エレメント用の好ましい材料は、フリース、紙、または膜のような多孔性
プラスチック材料である。ポリアミド、ポリビニリデンジフルオリド、ポリエー
テルスルホン、またはポリスルホンの膜は、多孔性膜材料として特に好ましい。
検出対象アナライトを測定するための試薬は、通常、含浸によって上記の材料中
に取り込まれる。
【0027】 特に好ましい検出エレメントは、互いに隣接して配置されたサンプル添加ゾー
ンと検出ゾーンとを含む多層のスタック様材料サンドイッチ構成体である。この
場合、検出ゾーンには、測定対象アナライトと一緒になってまたはそれから誘導
される物質と一緒になって検出可能なシグナルを形成する試薬が含まれる。サン
プル添加ゾーンおよび検出ゾーンは、平面液体移動を可能にすべく直接的または
間接的に接触した状態で、フリースと多孔性膜とのスタック様サンドイッチ構成
体上に配置される。膜は、フリースの場合よりもかなりゆっくりと液体が水平方
向に輸送されるように、すなわち、液体が所定の領域にわたって拡がるように選
択される。多層分析エレメントの検出ゾーンまで延在するサンプル添加ゾーンの
領域では、液体の吸収も輸送も行われないように膜を処理する。こうすると、サ
ンプルは、第1に、サンプル添加ゾーンからフリース中に完全に含浸することが
でき、含浸後はじめて膜中に浸透することができる。このような検出エレメント
は、DE-A 195 23 049により周知となっている。そこに記載の検出エレメントは 、本発明に係る試験エレメントに特に好適に使用される。もちろん、検出エレメ
ントの検出ゾーンは、サンプル液由来の異なる標的アナライトの検出に好適ない
くつかの個別のゾーンを含有することもできる。
【0028】 DE-A 195 23 049に記載の検出エレメントは、検出反応液から妨害サンプル成 分を除去し、それにより、例えば血球のような微粒子サンプル成分に対してフィ
ルターとして機能する構成要素を具備する。例えば、血液サンプルを分析する場
合、赤色血液小体(赤血球)中に存在する赤色血液色素ヘモグロビンは、視覚的ま
たは光学的検出方法に悪影響を及ぼす可能性がある。実際の検出反応を行う前に
これらの妨害成分を全血などのサンプルから分離できると都合がよい。こうした
分離は、サンプルを試験エレメントに添加する前にサンプル調製を行うことによ
って、例えば、全血を遠心し、次に血清や血漿を単離することによって、実施可
能である。好適な構成を用いて試験エレメント自体がこの分離ステップを行えば
、専門知識のない人に対してより便利にかつより単純になる。当業者には、赤血
球を確実に除外することのできる試験ストリップ技術からこうした手段が分かる
。具体的には、EP-B-0 045 476中の実施例から分かるように、半透膜またはガラ
ス繊維フリースを、赤血球を分離するために用いることが挙げられる。
【0029】 本発明に係る試験エレメントには、既に述べた利点に加えての長所がある。サ
ンプル添加部位とシグナル検出部位が空間的に分離していることと、サンプル容
量投与(sample volume dosing)を組み合わせることにより、サンプル材料を衛
生的に取り扱うことができる。特に、反射測光器などを利用して光学的に検出を
行う場合、機器の汚染は大幅に低減する。なぜなら、例えば、機器から突出した
試験エレメントにサンプルを添加することができるうえに、サンプルは毛管チャ
ネル中に完全に吸引され、更なる手段を講じることなく、機器内に位置する試験
エレメントの検出ゾーンに自動的に輸送されるからである。更に、試験エレメン
ト中の毛管活性ゾーンによってサンプル材料が完全に吸引されるため、試験エレ
メントの外側に過剰のサンプルが残存することが防止され、その結果、こうした
性質が衛生にも寄与する。
【0030】 更に、本発明に係る試験エレメントは、特に好ましい実施形態において、従来
の試験エレメントよりも、サンプル材料の必要量がかなり少ない。後者の場合に
はしばしば12μlを超えるサンプル液が必要となるが、本発明に係る試験エレメ ントの場合にはサンプルの必要最小容量は、10μlよりもかなり少なくでき、好 ましくは5μl未満、特に好ましくは3〜4μlまで減らすことができる。このこと は、測定部位に対してサンプル流を正確に最適化すること、および検出エレメン
トの断面を先細りさせてサンプル容量をチャネルから検出エレメントにほぼ定量
的に移すことによって達成されるものである。特に、サンプルが血液の場合、こ
れによって、被験者に対するサンプル採取を単純化し、特に、痛みを軽減させる
ことができる。
【0031】 発明の更なる内容は、液体中のアナライトを測定するために本発明に係る分析
試験エレメントを使用することである。
【0032】 加えて、本発明は、本発明に係る分析試験エレメントを利用して、液体サンプ
ル中、特に、血液、血漿、血清、尿、唾液、汗などの体液中のアナライトを測定
するための方法に関する。このプロセスでは、最初に、液体サンプルを、サンプ
ル添加口で試験エレメントに接触させる。サンプル液は、チャネルが完全に満た
されるまで、毛管液体輸送を可能にするチャネル中へ毛管力によって輸送される
。このプロセスでは、サンプルは、チャネルに面した検出エレメントの表面を濡
らし、この中に浸透する。場合により、サンプルと検出エレメントに含まれる試
薬との間でアナライトに特異的な検出反応が起こる。この検出反応は、視覚的に
または装置を用いて光学的に好ましくは反射測光法により観測可能であり、これ
によって、測定対象のアナライトが存在するか、場合によりその量について、結
論を導くことができる。
【0033】 図1および2ならびに以下の実施例により、本発明を更に詳細に説明する。
【0034】 フリース(1)と3種のアナライトを並列検出するための膜(2)とを含んでなる多 層検出エレメント(9)が、図1に示されている。サンプル添加ゾーン(3)は、膜(2)
の液体不浸透性領域(5)によって規定される領域上に延在する。従って、いずれ の場合においても、サンプル添加ゾーン(3)中でフリースに添加された液体は、 液体不浸透性領域(5)によって膜(2)中への浸透が防止される。フリース(1)から 膜(2)への液体の移動は、検出ゾーン(4)の範囲内でのみ可能である。材料を適切
に選択すれば、サンプル添加ゾーン(3)中のフリース(1)に添加された液体は、急
速にフリース(1)内に拡散し、そこからフリース領域中を拡散方向と交差する方 向に膜(2)の検出ゾーン(4)内まで移動し、そこで試薬を含有するゾーン(6、7、8
)に進入することができる。それぞれのアナライトが存在する場合にはこれらの ゾーン中にシグナルが生成し、生成したシグナルを視覚的にまたは機器を利用し
て膜側から観測することができる。
【0035】 図2は、本発明に係る試験エレメントの特に好ましい実施形態を略図で示して いる。試験エレメントには、射出成形により作製された基部(11)と、同様に射出
成形され、検出エレメント(9)が一体化されたカバー(10)から構成される。射出 成形された部品(10および11)は、クリップ留め、溶接、または接着剤を用いて一
体化することができる。毛管チャネル(14)の形状およびサイズは、構成要素であ
る基部(11)、カバー(10)、および検出エレメント(9)によって決まる。特に、基 部(11)は、連続的な狭窄化を決定し、それとともに高さ段差(15)が毛管活性チャ
ネル(14)の長さを決定する。このほか、狭窄化は、カバー(10)によりまたは両方
により決定することもできる。
【0036】 通気口(13)は、毛管チャネル(14)のサンプル添加口(12)の反対側に位置し、毛
管チャネル(14)がサンプル液で満たされたとき空気を逃がす。
【0037】 毛管ゾーン(14)は、サンプル添加口(12)からせいぜい多層検出エレメント(9) の検出ゾーンの開始位置まで延在する。サンプル添加口(12)および高さ段差(15)
は、毛管輸送の方向に毛管活性領域(3)を制限する。
【0038】 記載の試験エレメントを使用する場合、試験エレメントのサンプル添加口(12)
を、例えば、指先にある血液滴に接触させる。このプロセスでは、血液滴は毛管
チャネル(14)と接触する。後者の毛管チャネルは、サンプル添加口(12)から高さ
段差(15)まで満たされるまで、サンプルでそれ自体を満たす。その後、試験キャ
リヤーを患者の指から離す。こうすることにより、毛管チャネル(14)中に存在す
るサンプルだけが検出エレメント(9)で利用可能となる。従って、過剰の供給が 防止される。実施例1 本発明に係る分析試験エレメントの製造 結果として狭窄化された毛管チャネルを生じるように窪みの導入された基部(1
1)および検出エレメント用の窪みを含有するカバー(10)を、射出成形法を利用し
てポリメチルメタクリレート(PMMA)から作製する。続いて、射出成形された部品
の表面のうち、サンプル液と接触するこれらの表面に、真空めっき装置内で層の
厚さが約30nmのアルミニウム層を真空めっきする。次に、高温の水蒸気で処理す
ることにより、アルミニウム層を酸化させる。
【0039】 窪みと嵌合するサイズの検出エレメント(9)をDE-A 195 23 049に従って作製し
、めっきされたカバー(10)中の適正な位置に配置した。続いて、検出エレメント
(9)を含有するカバー(10)と基部(11)とを、接着剤で一体化する。実施例2 実施例1で得られる試験エレメントを用いた血中グルコース濃度の測定 実施例1で得られる試験エレメントのサンプル添加側に1滴のサンプル液を配置
する。試験エレメントの毛管は、2秒以内に自動的にサンプルで満たされる。サ ンプル中にグルコースが存在する場合、数秒後、検出フィルムの中に着色が観測
される。約30〜35秒後、反応の終点に達する。生じた着色は、サンプルのグルコ
ース濃度と関係付けられ、視覚的にまたは反射測光法により評価することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、多層検出エレメントの特に好ましい実施形態の縦断面図を示している 。
【図2】 図2は、本発明に係る試験エレメントの特に好ましい実施形態の縦断面図を示 している。
【符号の説明】
1 キャリヤー、 2 膜、 3 サンプル添加口、 4 検出ゾーン、 5
液体不浸透性領域、 6 試薬を含有するゾーン1、 7 試薬を含有するゾー ン2、 8 試薬を含有するゾーン3、 9 多層検出エレメント、 10 カバ
ー、 11 基部、 12 サンプル添加口、 13 通気口、 14 毛管活
性領域、 15 高さ段差

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検出エレメント(9)と、毛管液体輸送を可能にするチャネ ル(14)とを含み、毛管液体輸送を可能にする該チャネル(14)の一端にはサンプル
    添加口(12)が設けられており、毛管液体輸送を可能にする該チャネル(14)が該サ
    ンプル添加口(12)から少なくとも該検出エレメント(9)の開始位置まで毛管輸送 の方向に連続的に狭窄化されている、液体中のアナライトを測定するための分析
    試験エレメント。
  2. 【請求項2】 毛管液体輸送を可能にする前記チャネルが直線的に狭窄化さ
    れている、請求項1に記載の分析試験エレメント。
  3. 【請求項3】 毛管液体輸送を可能にする前記チャネルの狭窄化が、その毛
    管現象を引き起こす前記チャネルのサイズに関連付けられている、請求項1また
    は2に記載の分析試験エレメント。
  4. 【請求項4】 毛管液体輸送を可能にする前記チャネルが、その毛管現象を
    引き起こす前記チャネルのサイズを急激に広くすることによって前記サンプル添
    加口の反対側の末端で終わっている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分析
    試験エレメント。
  5. 【請求項5】 毛管液体輸送を可能にする前記チャネルの内面を形成する少
    なくとも1つの表面が親水化されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の 分析試験エレメント。
  6. 【請求項6】 前記親水化が、親水性材料を使用することによって、または
    ごくわずかに親水性である材料を親水性層で被覆することによって、達成されて
    いる、請求項5に記載の分析試験エレメント。
  7. 【請求項7】 酸化されたアルミニウム層が親水化のために使用されている
    、請求項6に記載の分析試験エレメント。
  8. 【請求項8】 前記検出エレメント(9)が、互いに隣接して配置されたサン プル添加ゾーン(3)と検出ゾーン(4)とを有する多層検出エレメント(9)であり、 該サンプル添加ゾーン(3)だけを、毛管液体輸送を可能にする前記チャネル(14) と接触した状態にし、これにより液体移動が可能になるように前記検出エレメン
    ト(9)が試験エレメント中に配置されている、請求項1〜7のいずれか1項に記 載の分析試験エレメント。
  9. 【請求項9】 前記多層検出エレメントが、1つまたはいくつかの層中に、サンプル中の標的 アナライトの検出反応に必要なすべての試薬および場合により補助物質を含む、
    請求項8に記載の分析試験エレメント。
  10. 【請求項10】 前記多層検出エレメントが、粒状のサンプル成分に対して
    フィルターとして作用する手段を含む、請求項8または9に記載の分析試験エレ
    メント。
  11. 【請求項11】 前記多層検出エレメントに対して、フリースと、該フリー
    スに直接的または間接的に接触した状態にありかつ該フリースよりもかなりゆっ
    くりと水平方向に液体を輸送する多孔性膜とが、平面液体移動が可能になように
    スタック様(stack-like)サンドイッチ構成体中に配置されている、請求項8〜1
    0のいずれか1項に記載の分析試験エレメント。
  12. 【請求項12】 前記サンプル添加ゾーン中の前記膜が、液体を吸収しない
    ように処理されている、請求項11に記載の分析試験エレメント。
  13. 【請求項13】 液体中のアナライトを測定するための、請求項1〜12の
    いずれか1項に記載の分析試験エレメントの使用。
  14. 【請求項14】 前記液体サンプルを、前記サンプル添加口で前記試験エレ
    メントに接触させ、毛管液体輸送を可能にする前記チャネル中へ毛管力によって
    輸送するプロセスにおいて、前記サンプルが、前記サンプル添加ゾーンの領域で
    前記チャネルに面した前記検出エレメントの表面を濡らしてその中に浸透し、場
    合により、前記検出エレメントに含まれる試薬との間でアナライトに特異的な検
    出反応を起こし、この検出反応が、視覚的にまたは装置を用いて光学的に、好ま
    しくは反射測光法により観測可能であり、これによって、測定対象の前記アナラ
    イトの存在および場合によりその量についての結論を導くことができる、請求項
    1〜12のいずれか1項に記載の分析試験エレメントを利用して液体サンプル中
    のアナライトを測定するための方法。
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