JP2001524431A - 液体を取り出すための装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 液体を取り出すための装置であって、液体の入れられる容器（１）及び容器容積の減少のための運動可能な部材（２）を備える形式のものにおいて、粒子発生のおそれなしに、ひいては液体を汚すことなしに、液体を単位時間当たりの極めて一定な体積で取り出すために、運動可能な部材（２）がベロー（５）を介して容器（１）の内壁に液密に結合されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、液体を取り出すための装置であって、液体を受容する容器及び容器
容積を減少させるための運動可能な部材が設けられている形式のものに関する。

【０００２】 前記形式の装置は例えば、ドイツ連邦共和国特許出願公開第４２１９１６１Ａ
号公報から、ポンプと関連して公知であり、この場合、容器若しくは中空室がシ
リンダ(Zylinder)の形で形成されており、容器若しくは中空室内をピストンが容
器容積を変えるために運動させられる。この場合、ピストンはシールを用いてシ
リンダ壁に対して密閉されている。シールとシリンダ壁との間の摩擦力が摩耗及
び粒子を生ぜしめ、粒子が取り出すべき液体を汚染してしまうことになる。従っ
てこのような装置は、例えば化学製品に関連した高純度な液体の取り出し、若し
くは例えばチップ製造分野で極めてきれいな処理媒体を必要とする処理若しくは
クリーニングの際に使用されるその他の液体の取り出しには適していない。

【０００３】 米国特許第３３１８２５７号明細書、国際公開９６／１０５３４Ａ１号公報及
び米国特許第４８８６１８９号明細書により公知のポンプ装置においては、液体
容器の密閉及び容器容積の変化のためにダイヤフラムを用いてあり、ダイヤフラ
ムの位置が機械式のもの若しくは液力式のものであってよい駆動手段によって変
化させられる。このような装置では、液体の一様な脈動のない取り出しは不可能
であり、それというのは容器容積の脈動のない一様な変化が不可能であるからで
ある。従ってこのような装置では、所定の時間にわたる単位時間当たりの一定な
体積の一様な取り出しが不可能である。

【０００４】 フランス国特許出願第１３８２４３９号明細書により公知の装置においては、
ひだ付きベロー(Faltenbalg)が、液体の入れられる容器を形成している。このよ
うな装置においては欠点として、ひだ付きベロー容積若しくは容器容積の変化に
際して、ひだ付きベロー内に発生する圧力は、ひだ付きベロー（蛇腹）の大きさ
の変化する受圧面に作用することになり、従って、行程運動が一様である場合で
も容積変化、ひいては吐出すべき流体の取り出し量が行程範囲全体にわたって一
様にかつ一定に維持され得ない。

【０００５】 本発明の課題は、液体を取り出すための装置を改善して、該装置が簡単な構造
であり、運転中の粒子発生、ひいては取り出すべき流体の汚染が避けられ、流体
の取り出しが取り出しの時間にわたって単位時間当たりの一定な体積で可能であ
るようにすることである。

【０００６】 前記課題を解決するために本発明の構成では、液体を取り出すための装置が、
液体の入れられる容器及び容器容積の縮小のための運動可能な部材を有しており
、運動可能な部材が容器内を接触することなしに運動可能であり、かつ容器の内
壁に液密に結合されており、運動可能な部材と容器の内壁との間の結合部がひだ
付きベローであり、ひだ付きベローの、容器と逆の側に設けられた内室がケーシ
ングと一緒に外側に対して閉じられた室を形成しており、該室が駆動装置として
のスピンドルを収容しており、該スピンドルがひだ付きベローの内室内で、運動
可能な部材に結合されている。

【０００７】 本発明に基づく前記構成により、取り出すべき液体の入れられる容器の内室が
、外部に対してかつ、運動可能な部材に対しても、該部材の、容器容積の縮小若
しくは液体の取り出し圧力の形成のための運動の妨げなしに、確実に閉じられて
いる。従来の取り出し装置、例えばポンプに比べて本発明に基づく装置において
は著しい利点として、運動可能な部材と容器の内面との間のシールが不要である
。従って、運動可能な部材と容器壁との間に摩擦力が生じることはなく、その結
果、容器内から取り出すべき液体を汚してしまうような粒子が形成されてしまう
こともない。さらに、取り出そうとする液体に作用させるべき圧力が実際に極め
て一様であり、変化する摩擦力が生じないからである。従って、液体の極めて一
様なかつ脈動のない取り出しが行われる。

【０００８】 本発明に基づく装置はダイヤフラムポンプに対しても著しい利点を有しており
、それというのは、ひだ付きベローを運動可能な部材と容器の内壁との間の結合
部として用いることによって、容器容積に無関係に、即ちポンプ過程の開始若し
くは終了に無関係に、常に単位時間当たりの一定な体積の圧送（吐出）が可能で
あり、それというのは容器容積はダイヤフラムポンプとは逆にポンプ過程全体に
わたって、運動可能な部材の運動量若しくは該部材の駆動量に対する一次関数的
な関係にあるからである。

【０００９】 運動可能な部材はひだ付きベロー（以下、単にベローと呼ぶ）内で駆動装置に
結合されている。ベローが容器の内部を外部に対して完全に密閉しているので、
取り出すべき液体に対して駆動装置を保護するための手段が不要である。運動可
能な部材と容器内壁との間にシール部材を備えた従来の装置においては、シール
部材に沿って生じる液体流過が、シール部材の損傷の生じていない場合でも確実
には避けられ得ない。これによって生じる問題、特に腐食性の液体の場合に極め
て不都合な流出が、本発明に基づく装置によって確実に避けられる。従って駆動
装置が簡単に構成でき、かつ安価な構成部材で製造できる。

【００１０】 駆動装置が運動可能なロッド、有利にはサーボ軸若しくはスピンドルを有して
おり、この場合、ロッド、サーボ軸若しくはスピンドルは著しく簡単に形成でき
、しかも行程範囲にわたって極めて一様な直線運動(lineare Bewegung)を極めて
一定な速度で可能にし、その結果、液体の単位時間当たりの取り出しが極めて一
定な体積で行われる。この場合、ロッド、サーボ軸若しくはスピンドルはモータ
ーを用いて駆動、運動若しくは回転される。

【００１１】 有利には、駆動装置全体が１つのケーシングによって取り囲まれており、該ケ
ーシングが有利には容器の外壁に取り付けられており、この場合、ケーシングと
ベローの内室とが外部に対して閉じられた１つの室を形成している。このような
構造は構成的に簡単であるだけでなく、製造並びに整備も簡単であり、かつ外側
空間に向かって、例えば化学的なプラント、特に半導体チップの製造及び処理の
ためのプラントにおけるような腐食作用のある環境に対する確実な保護を成して
いる。駆動装置を外部の影響に対してさらに良好に保護するために、駆動装置の
ケーシング及びベローによって形成された室が、中性の不活性ガスで満たされて
おり、該ガスはさらに付加的に圧力をかけられて、該室内への腐食性の蒸気の侵
入を確実に阻止するようになっていてよい。

【００１２】 本発明の別の実施態様では、ケーシング及びベローによって形成された室に少
なくとも１つのセンサが配置されており、該センサによって、例えばベローが、
若しくはベローと運動可能な部材若しくは容器壁との間の結合部が液密でなくな
って、取り出すべき液体が容器から該室内に達しているか否かが検出される。こ
の場合、センサをベローの近くに配置すると有利である。さらに、別のセンサを
選択的に若しくは付加的に該室に配置することも可能であり、該センサによって
、外部からガスが該室内に侵入しているか否かが検出される。

【００１３】 有利には、ベローを形成する材料が、液体によって腐食されない物質から成っ
ている。

【００１４】 ここに記載の装置は特に搬送流(Traegerstrom)内に液体を導入するために適し
ている。この場合、搬送流内への液体の極めて一様な導入が特に重要である。

【００１５】 本発明に基づく装置は半導体サブストレート処理装置と協働して有利に用いら
れる。このことは、高純度な液体を用いなければならず、例えば従来の装置の運
動可能な部材と容器壁との間のシールの運動によって摩耗に基づき生じる汚れを
避けなければならないからである。このような利点は、取り出し時間にわたって
単位時間当たりの一定な液体量と関連して所望されている。

【００１６】 本発明に基づく装置を半導体チップ製造時の半導体サブストレートの処理と関
連して用いる際には、取り出すべき液体は有利にはフッ化水素であり、フッ化水
素が蒸留水から成る流れの中に供給され、次いで両方が半導体サブストレートの
洗浄及びクリーニング(Spuelen und Reinigen)のために処理タンク内に導入され
る。この場合、ポリテトラフルオルエチレン(PTFE)がベローのための材料として
特に適している。

【００１７】 次に本発明を唯一の図面に示す有利な実施例に基づき詳細に説明する。

【００１８】 図面は、取り出すべき液体、例えばフッ化水素のための容器１を示している。
図示の実施例では、容器は円筒状である。運動可能な部材（エレメント）２、図
示の実施例では円筒状の容器１の内径よりも小さい直径のプレートが、結合片３
を介して駆動装置４に結合されている。

【００１９】 運動可能な部材２の外周にベロー５を配置してあり、ベローが一方で運動可能
な部材２に、かつ他方で容器１の端壁６の内面に液密に結合されている。本発明
の特に有利な実施例では、運動可能な部材２とベロー５とが互いに一体的に構成
されている。この場合、運動可能な部材２及びベロー５は例えば完全なPTFE・ワ
ークピースから製造されており、この場合、ベローがベロー領域に外側及び内側
から互いに位置をずらして交互に切り込み若しくはノッチ(Kerbe)を施して、こ れに基づきベロー機能を生ぜしめることによって形成されている。

【００２０】 容器１の、運動可能な部材２と逆の側の端壁１１に、出口開口７が出口弁８を
伴って、かつ入口開口９が入口弁１０を伴って設けられている。円筒壁に安全接
続部、過負荷防止接続部、安全弁若しくは過負荷防止弁１２並びに、排気接続部
若しくは排気弁１３が設けられている。

【００２１】 端壁６（該端壁を介して運動可能な部材２の駆動が行われる）に、外側からケ
ーシング１５をフランジ結合してあり、該ケーシングが駆動装置４全体を取り囲
んでいる。ケーシング１５は、運動可能な部材２及びベロー５によって形成され
た内室と一緒に共通の室を形成しており、該室が外側に対して密閉されている。
該室は入口弁１６を介して制御可能に外部に接続されている。

【００２２】 駆動装置がモーター１７、遊星歯車装置１８並びにベルト伝動装置１９を有し
ており、ベルト伝動装置が本来のスピンドル２０を駆動するようになっており、
スピンドルが結合片３を介して運動可能な部材２に結合されている。

【００２３】 ベロー５及び運動可能な部材２によって形成された室内に、流体センサ若しく
はガスセンサ２１を配置してあり、流体センサ若しくはガスセンサ２１がベロー
５内での漏れの発生に際して取り出すべき流体の流出を検出するようになってい
る。

【００２４】 本発明に基づく装置は次のように作動する： 運動可能な部材２がスピンドル２０を用いてベロー５を折り重ねつつ右側から
左側へ運動させられる（この場合、図面を横長に見るものとする）と、入口弁１
０及び入口開口９を介して、取り出すべき液体が容器１内に吸い込まれる。容器
１内に入っている液体を取り出すために、スピンドル２０が逆方向に運動させら
れ、その結果、運動可能な部材２が矢印２２で示す行程に際してベロー５を広げ
伸ばしつつ液体を出口開口７及び今や開いた出口弁８から押し出す。この場合、
運動可能な部材２はスピンドル２０を用いて長い時間(Zeitraum)にわたって極め
て一様な速度で運動させられ、その結果、単位時間当たりの流出体積が、取り出
し時間にわたって極めて一様でかつ一定に保たれる。部材２の往復運動中に摩擦
力は生ぜず、従って粒子の発生も生ぜず、それというのは運動可能な部材２が容
器１の内面と接触していないからである。容器１の内室の、外部に対する密閉が
、ベロー５を用いて行われており、該ベローが部材２の直線運動を粒子の発生な
しに可能にしている。

【００２５】 本発明を前述のように有利な１つの実施例に基づき説明してあるものの、本発
明の多数の構成及び変更が当業者にとって本発明の思想を逸脱することなしに可
能である。例えば、取り出し装置が図示の実施例と異なって実施されてよい。容
器１が横断面正方形であってよく、かつ取り出すべき液体のための入口開口及び
出口開口が容器１の外周（円筒壁）に配置されてもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に基づく装置の縦断面図。

【符号の説明】

１ 容器、 ２ 部材、 ３ 結合片、 ４ 駆動装置、 ５ ベロ
ー、 ６ 端壁、 ７ 出口開口、 ８ 出口弁、 ９ 入口開口、
１０ 入口弁、 １１ 端壁、 １５ ケーシング、 １６ 入口弁、
１７ モーター、 １８ 遊星歯車装置、 １９ ベルト伝動装置、
２０ スピンドル、 ２１ 流体センサ若しくはガスセンサ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3E014 KA06 KC02 PA01 PB08 PC18 PC20 PD30 PF06 3E083 AA19 AE00 3H077 AA01 BB03 CC03 CC07 DD02 EE05 EE12 FF07 FF08 FF58

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液体を取り出すための装置であって、液体を受容する容器（
   １）及び容器容積を減少させるための運動可能な部材（２）から成っており、こ
   の場合、運動可能な部材（２）が容器（１）内を接触することなしに運動可能で
   あり、かつ容器（１）の内壁に液密に結合されており、運動可能な部材（２）と
   容器（１）の内壁との間の結合部がひだ付きベロー（５）であり、ひだ付きベロ
   ーの、容器（１）と逆の側に設けられた内室がケーシング（１５）と一緒に外側
   に対して閉じられた室を形成しており、該室が駆動装置としてのスピンドルを収
   容しており、該スピンドルがひだ付きベロー（５）の内室内で運動可能な部材（
   ２）に結合されていることを特徴とする、液体を取り出すための装置。
2. 【請求項２】 モーター（１７）がスピンドルの駆動のために設けられてい
   る請求項１記載の装置。
3. 【請求項３】 モーターが閉じられた室内に配置されている請求項２記載の
   装置。
4. 【請求項４】 閉じられた室がガスによって満たされている請求項１から３
   のいずれか１項記載の装置。
5. 【請求項５】 ガスが圧力で負荷されている請求項４記載の装置。
6. 【請求項６】 ひだ付きベローの内室内に漏れセンサ（２１）が配置されて
   いる請求項１から５のいずれか１項記載の装置。
7. 【請求項７】 ひだ付きベロー（５）が、取り出すべき液体によって侵され
   ない材料から成っている請求項１から６のいずれか１項記載の装置。
8. 【請求項８】 当該装置が、取り出すべき液体を搬送流内に導入するために
   用いられている請求項１から７のいずれか１項記載の装置。
9. 【請求項９】 当該装置が半導体サブストレートの処理のための装置と関連
   して用いられている請求項１から８のいずれか１項記載の装置。
10. 【請求項１０】 取り出すべき液体がフッ化水素酸（HF）である請求項１か
    ら９のいずれか１項記載の装置。
11. 【請求項１１】 ひだ付きベロー（５）がポリテトラフルオルエチレンであ
    る請求項１から１０のいずれか１項記載の装置。