JP2001524081A - 生きた生物学的物質の保存用組成物およびその使用方法 - Google Patents

生きた生物学的物質の保存用組成物およびその使用方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、生物学的活性の損失を最小としながら、器官、組織、細胞を長期間にわたり保存可能とする、生きた生物学的物質保存用の溶液と方法を提供する。本発明の溶液は、保存すべき生物学的物質と実質的に等張であり、かつ、リン酸二水素塩、重炭酸塩、硝酸塩、重硫酸塩およびヨウ化物を実質的に含まない。多くの生きた生物学的物質の保存のために、本発明の溶液は、好ましくは、硫酸カルシウムおよび塩化カルシウムからなる群から選択されるカルシウム塩を含有する。一つの好ましい実施態様において、本発明の溶液はラフィノース、酸化トリメチルアミン、クエン酸ナトリウムおよび塩化カルシウムを含む。別の好ましい実施態様において、本発明の溶液は酸化トリメチルアミン、クエン酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを含む。

Description

【発明の詳細な説明】 生きた生物学的物質の保存用組成物およびその使用方法発明の技術分野 本発明は生きた生物学的物質の保存分野に関し、特に哺乳類、海洋生物および 植物からの生きた器官、組織および細胞の保存用の組成物とその方法に関する。発明の背景 生物学的物質の保存方法は、器官、組織および細胞等の生きた物質が採取され 、使用前のある期間インビトロで保存される、多くの臨床的および獣医学的用途 に用いられる。そのような用途の例として、器官の保存および移植、同原および 異質遺伝学的な骨髄移植、全血移植、血小板移植、胚の転移、人工授精、インビ トロ受精、皮膚移植および診断目的の組織生検物の保存が挙げられる。保存技術 は、病院、工業界、大学および他の研究実験室での実験利用のための細胞系の保 存にも重要である。 細胞性の生物学的物質の保存に現在用いられている方法として、塩溶液系の培 地への浸漬、凍結温度よりも僅かに高い温度での保存、約−80℃の温度での保 存;および液体窒素中、約−196℃の温度での保存が挙げられる。これらすべ ての技術の目標は、通常の生物学的構造と機能の損失を最小としながら、生きた 生物学的物質を長期間にわたって保存することである。 0℃未満の温度での心臓、腎臓等の器官の保存は、多くの細胞の損失をしばし ばもたらし、該器官の生存能力がそれに対応して減少 する。したがって、そのような複雑な生物学的物質は典型的には、凍結温度より も高い温度、典型的には4℃程度で塩溶液系の水性培地で保存される。塩溶液系 培地は、典型的には、細胞外環境に似せるように、ナトリウム、カリウム、カル シウム、マグネシウム、塩化物、リン酸塩および重炭酸塩等の低濃度の多様な無 機イオンを加えることにより改良された等張塩溶液(0.154Mの塩化ナトリ ウム)からなる。グルコース、ラクトース、アミノ酸およびビタミン等の少量の 化合物がしばしば代謝物質として加えられる。生物学的物質の保存に用いられる すべての塩溶液系培地は高い電導度を有する。生物学的物質の保存に現在用いら れている培地の例として、リン酸塩緩衝塩溶液(PBS)、M−2(マウス用ヘ ペス(Hepes)緩衝培養培地)、リンガー液およびクレブス重炭酸塩緩衝培 地が挙げられる。 塩溶液系培地に保存された生物学的物質の生存能力は時間とともに徐々に減少 する。生存能力の損失は、毒性のある排出物の蓄積、並びに継続する代謝活性に より引き起こされる代謝物および他の支持化合物の損失によるものと考えられる 。従来の塩溶液系培地を用いると、生きた組織は比較的短い期間しかうまく保存 することができない。その上限期間まで保存した器官の微細構造を調べると、心 筋のミトコンドリア等の分解が見られ、いったん置き換わった器官の能力が相当 に損なわれる。例えば、ヒトの心臓は、ドナーからの摘出後、冷イオン性溶液に わずかに約5時間しか保存することができず、そのため、摘出した心臓を輸送で きる距離が著しく制限される。 生物学的物質を保存するために凍結技術を用いる場合、凍結中の 氷結晶の形成により細胞に対して引き起こされる損傷の量を制限するために、高 濃度(約10容量%)の凍結保護剤、例えばグリセロール、ジメチルスルホキシ ド(DMSO)、グリコール類またはプロパンジオールが凍結前の物質にしばしば 導入される。凍結保護剤の選択および濃度、凍結保護剤の添加の時間の経過およ び凍結保護剤か導入される温度は、すべて保存手順の成功に重要な役割を果たす 。さらに、細胞の損失を減少させるために、凍結の速度と時間経過、解凍の速度 と時間経過および室温もしくは体温までの加温等の変数、並びに組織物中での凍 結保護剤溶液の生理学的塩溶液への置換を注意深く調節することが臨界的に重要 である。凍結技術で必要とされる多数の処理工程は細胞の損失を高める。生物学 的物質の保存に現在用いられている凍結技術は、技術的に損傷を与えるものであ ると同時に時間がかかるものである。凍結によって生物学的物質を保存する他の 欠点として、細胞の生存能力の減少、再注入の際に患者に対する凍結保護剤の潜 在的な毒性効果、および処理と保存の高い費用が挙げられる。 例として、通常、凍結保護剤としてDMSOの添加を含む凍結保存が、例えば 高用量の化学療法または放射線療法後の、移植法での使用に集めた骨髄を保存す るために現在用いられている。同原移植体において、骨髄は数週間から数ヶ月に わたる長い期間保存しなければならない。しかし、この技術は、斡細胞回収率で 50%以下という低いレベルまでの顕著な減少をもたらす。この技術のさらに別 の欠点は、多様な成熟細胞に対する顕著な損傷が起こりえることであり、それに より凍結前にこれらの細胞をさらに除く処理を必要とすることである。最後に、 DMS〇の使用は、保存骨髄の再注入の 際に、患者に対して中程度から激しい程度までの毒性をもたらす。 よって、当分野において、生きた生物学的物質の保存のための改良された方法 に対する必要性が依然として存在する。要約 本発明は、生物学的活性の損失を最小としながら、長期間にわたって器官、組 織、細胞などの物質の保存を可能とする、生きた生物学的物質の保存用の組成物 と方法を提供する。 一つの態様において、本発明は、少なくとも約335の分子量および少なくと も約0.3Mの水中での溶解度を有し、正味の電荷を持たない第一の中性溶質、 並びに約200未満の分子量を有する第二の中性溶質を含んでなり、該第二の中 性溶質は親水性部分および疎水性部分を両方ともさらに有するものである、生き た生物学的物質の生存能力(生育性)を保存する溶液を提供する。 本発明の保存溶液は1種類以上のイオンを含有してもよい。カルシウム塩、好 ましくはCaSO4またはCaCl2が、ほとんどの生物学的物質の保存のための 溶液中、約2mM未満の濃度で用いられる。さらに別のイオンを、アニオンまた はカチオンのホフマイスター系列でのそれらの特性位置にしたがって選択してよ い。具体的には、タンパク質を安定化するホフマイスター系列の両末端からのイ オンを本発明の保存溶液に含有させてよい。適当なイオンおよび選択の基準は後 で詳細に説明する。 好ましい一実施態様において、第一の中性溶質は、好ましくはラフィノース、 トレハロース、スクロース、ラクトースおよびそれらの類似体からなる群から選 択される二糖または三糖のいずれかである。該類似体は天然または合成のいずれ であってもよい。第二の中 性溶質は、好ましくは酸化トリメチルアミン(TMAO)、ベタイン、タウリン、 サルコシン、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、ガラクトース 、ソルビトール、マンニトール、イノシトールおよびそれらの類似体からなる群 から選択される。最も好ましくは、第一の中性溶質はラフィノースおよびトレハ ロースからなる群から選択され、第二の中性溶質は酸化トリメチルアミン(TM AO)およびベタインからなる群から選択される。一実施態様において、本発明 の方法で用いられる保存溶液は、硫酸ナトリウムおよびカルシウムをも含んでな り、該カルシウムは好ましくは硫酸カルシウムまたは塩化カルシウムとして約1 .5mMを超えるか、または約2.0mM未満の濃度で存在する。好ましくは、 該塩化カルシウムは約1.5mM〜約2.0mMの濃度、最も好ましくは約1. 75mMで存在する。 生物学的物質の保存のために好ましい溶液は保存すべき具体的な生物学的物質 に依存するが、一つの態様では、ラフィノースおよびTMAO、またはトレハロ ースおよびTMAOのいずれかを含有する溶液が多くの生物学的物質の保存に特 に有効であることがわかった。一実施態様において、本発明の溶液はラフィノー スとTMAOを約2.0:1未満または約1.1:1を超えるモル比で含有する 。好ましくは、この点での保存溶液はラフィノースとTMAOを約1.1:1〜 約2.0:1、より好ましくは約1.4:1〜約1.8:1、最も好ましくは約 1.6:1のモル比で含有する。好ましくは、本発明の溶液は約60%〜約80 %のラフィノースとTMAO、約40%〜約20%の硫酸ナトリウム、および約 1.5mM〜約2.0mMの硫俊カルシウムを含有し、該ラフィノースとTMA Oは約 1.6:1の比率で存在する。最も好ましくは、該溶液は約70%のラフィノー スとTMAO、約30%の硫酸ナトリウム、および約1.75mMの硫酸カルシ ウムを含有し、該ラフィノースとTMAOは約1.6:1の比率で存在する。 別の実施態様において、本発明の保存溶液は上記のように第一の中性溶質と第 二の中性溶質、好ましくはラフィノースとTMAOを、等浸透量のクエン酸ナト リウムおよび塩化カルシウムと組み合わせて含有し、該塩化カルシウムは好まし くは約1.5mMを超えるか、または2.0mM未満の濃度、より好ましくは約 1.5mM〜約2.0mM、最も好ましくは約1.75mMで存在する。好まし くは、該溶液は約10%を超え、及び約30%未満のクエン酸ナトリウム、より 好ましくは約10%〜約30%クエン酸ナトリウムを含有する。 別の態様において、本発明は、TMAO、塩化ナトリウムおよび塩化カルシウ ムを含む、生きた生物学的物質の生存能力を保存する溶液を提供する。一実施態 様において、該保存溶液は、好ましくは約60%を超えるか、または約80%未 満のTMAO、約20%を超えるか、または約40%未満の塩化ナトリウム、約 1.5mMを超えるか、または約2.0mM未満の塩化カルシウムを含有する。 より好ましくは、該溶液は、約60%〜約80%のTMAO、約40%〜約20 %の塩化ナトリウム、約1.5mM〜約2.0mMの塩化カルシウムを含有する 。最も好ましくは、該保存溶液は、約30%の塩化ナトリウム、約70%のTM AO、約1.75mMの塩化カルシウムを含有する。 さらなる態様において、本発明は、酸化トリメチルアミン、クエン酸ナトリウ ムおよび塩化ナトリウムを含む、生きた生物学的物質 の保存用溶液を提供し、該TMAOは、好ましくは約150mMを超えるか、ま たは220mM未満の濃度、より好ましくは約150mM〜約220mM、最も 好ましくは約184mMの濃度で存在し;該クエン酸ナトリウムは、好ましくは 約1.5mMよりも高いか、または約2.5mM未満の濃度、より好ましくは約 1.5mM〜約2.5mM、最も好ましくは約1.96mMの濃度で存在し;お よび該塩化ナトリウムは、好ましくは約35mMを超えるか、または約55mM 未満の濃度、より好ましくは約35mM〜約55mM、最も好ましくは約45. 8mMの濃度で存在する。 さらに別の態様において、白血病の治療方法が提供され、該方法は、患者から 骨髄を除去し、白血病細胞の骨髄を除くために、該骨髄を本発明の保存組成物も しくは溶液と少なくとも約3日間、約0℃未満の温度、より好ましくは約−4℃ 〜約−80℃、最も好ましくは約−80℃の温度で接触させ、そして、除かれた 該骨髄を患者に戻すことを含む。 以下詳細に説明するように、本発明の溶液および方法を用いて、細胞、組織お よび器官等の生物学的物質の生存能力を、従来の保存方法で通常可能であるより も長い期間にわたって保持できることが分かり、それによって器官移植および骨 髄移植等の用途に用いられる、生物学的物質の改良された促存時間と輸送時間を 提供する。 本発明の保存方法は、生物学的物質の保存に典型的に用いられる多くの方法よ りも複雑ではないので、コストを低減し、保存法の使用の簡便性と利用性を高め る。さらに、本発明の組成物は毒性が低いので、移植器官等の生物学的物質が患 者に戻されるときに悪い副作用をほとんどもたらさない。 本発明の上記特徴と付加的な特徴およびそれらを達成する方法は明らかとなり 、添付の図面と合わせて読めば、下記のさらに詳細な説明を参照することによっ て本発明は最もよく理解されるであろう。図面の簡単な説明 図1A、BおよびCは、1.75mMのCaSO4とともに、スクロースおよ び多様なクラスII溶質の水溶液中、4℃の1、2および3日間の保存後のマウ ス胚の生存をそれぞれ示す。 図2A、BおよびCは、1.75mMのCaSO4とともに、ラクトースおよ び多様なクラスII溶質の水溶液中、4℃での1、2および3日間の保存後のマ ウス胚の生存をそれぞれ示す。 図3A、BおよびCは、1.75mMのCaSO4とともに、トレハロースお よび多様なクラスII溶質の水溶液中、4℃での1、2および3日間の保存後の マウス胚の生存をそれぞれ示す。 図4A、BおよびCは、1.75mMのCaSO4とともに、ラフィノースお よび多様なクラスII溶質の水溶液中、4℃での1、2および3日間の保存後の マウス胚の生存をそれぞれ示す。 図5A、BおよびCは、1.75mMのCaSO4を有し、TMAOに対する ラフィノースの異なるモル比を有する水溶液中、4℃での1、2および3日間の 保存後のマウス胚の生存をそれぞれ示す。 図6は、ラフィノース/TMAO中、4℃、2〜3日間の保存後のマウス胚生 存のCa2+依存性を示す。 図7A、BおよびCは、1.75mMのCaSO4を有するラフィノース/T MAOおよびNa2SO4の混合物中、1、2および3日間、4℃での保存後のマ ウス胚の生存をそれぞれ示す。図7Dは、異なる浸透度の溶液70/30中、1 、2、3および4日の保存後 のマウス胚の生存の平均およびSEMを示す。 図8A、BおよびCは、PBS中、室温で10、20または30分間の5、1 0または15mMの酪酸ナトリウムによる前処理後、溶液70/30中、4℃の 1、2および3日間の保存後に後期胚盤胞段階に到達したマウス胚の比率をそれ ぞれ示す。図8D、EおよびFは、PBS中、室温で10、20または30分間 の5、10または15mMの酪酸ナトリウムによる前処理後、溶液70/30中 、4℃の1、2および3日間の保存後に生存したマウス胚の比率をそれぞれ示す 。 図9は、PBS中、70mM酪酸での前処理を行ったか、行わずに、PBS、 ラフィノース/TMAO(1.6:1の比)、または溶液70/30中の4℃で の保存後のマウス胚の生存をそれぞれ示す。 図10A、B、CおよびDは、PBS中の25mM酪酸ナトリウムでの5、1 0または15分間の前処理後、溶液70/30中、1、2、3および4日間の保 存後のマウス胚の生存をそれぞれ示す。 図11は、血漿または無Ca2+溶液70/30のいずれかで4℃での保存後の 血小板の生存を示す。 図12A、BおよびCは、ハンクス緩衝塩溶液、ラフィノース/TMAO、ト レハロース/ベタインまたは溶液70/30のいずれかでの保存後の患者1から の骨髄中の、CD45−およびCD34−陽性細胞の数とコロニー形成単位をそ れぞれ示す。 図13A、BおよびCは、1.75mMのCaSO4を有するラフィノース/ TMAO中またはM−2中のいずれかで4℃での保存後の患者2からの骨髄中の 、コロニー形成単位、CD34−とCD45−陽性細胞率をそれぞれ示す。 図14Aは、4℃または−80℃のPBSまたは溶液70/30で保存された マウス骨髄細胞の回収率を示す。図14Bは、溶液70/30中、8日間、−8 0℃で保存された解凍マウス骨髄細胞の注入の8日後に致死照射されたマウスの 脾臓に見られた細胞コロニーの数を示す。 図15は、新鮮なマウス骨髄細胞、溶液70/30中で−80℃にて4日間保 存したマウス骨髄細胞、PBS中で−80℃にて4日間保存したマウス骨髄細胞 、または細胞を有さない0.1mlの溶液70/30のいずれかの注入の9日後 に致死照射されたマウスの脾臓に見られた細胞コロニーの数を示す。 図16は、新鮮なマウス骨髄細胞、溶液70/30中で−80℃にて7日間保 存したマウス骨髄細胞、PBS中で−80℃にて7日間保存したマウス骨髄細胞 、または細胞を有さない0.1mlの溶液70/30のいずれかの注入の10日 後に致死照射されたマウスの脾臓に見られた細胞コロニーの数を示す。 図17は、新鮮なマウス骨髄細胞、溶液70/30中で−80℃にて10日間 保存したマウス骨髄細胞、PBS中で−80℃にて10日間保存したマウス骨髄 細胞、または細胞を有さない0.1mlの溶液70/30のいずれかの注入の1 0日後に致死照射されたマウスの脾臓に見られた細胞コロニーの数を示す。 図18は、溶液70/30中、−80℃での4日間の保存後、マウス骨髄細胞 、白血病SP2/0細胞、およびマウス骨髄細胞とSP2/0細胞との混合物に よるトリチウム化チミジンの取込みを示す。 図19は、溶液70/30中の4℃での4時間の保存後のラット 心臓の圧力変換器の記録を示す。 図20は、塩溶液または本発明の保存溶液中で48時間までの4℃での保存後 に、トリチウム化チミジンの取込みにより評価されたジャーカット(Jurka t)細胞(急性T細胞白血病)の増殖を示す。 図21は、塩溶液または本発明の保存溶液中で48時間までの4℃での保存後 に、トリチウム化チミジンの取込みにより評価されたK562慢性骨髄性白血病 細胞の増殖を示す。 図22は、PBSまたは本発明の多様な保存溶液中で4℃での保存後のマウス 骨芽細胞のコンフルエンスまでの増殖を示す。 図23は、PBSまたは溶液70/30中での保存後のマウス角質細胞系T7 Tの回収率を示す。 図24は、PBSまたは溶液70/30中での保存後のマウス3T3線維芽細 胞の回収率を示す。 図25A、B、CおよびDは、PBS、溶液70/30、またはラフィノース 、TMAO、クエン酸ナトリウムおよび塩化カルシウムの混合物いずれかで1、 2、3または4日間、4℃での保存後のマウス胚の生存をそれぞれ示す。 図26A、B、C、DおよびEは、塩化カルシウムをプラスしたNaClとT MAOの混合物範囲で1、2、3、4または5日間、4℃での保存後のマウス胚 の生存をそれぞれ示す。 図27は、PBS中、または塩化カルシウムをプラスした30%NaCl/7 0%TMAO(溶液70/30Bと称する)のいずれかでの4℃での保存後のマ ウス胚の生存を示す。 図28は、新しく切除したラット心臓に関する圧力変換器の記録 (上の記録)および溶液70/30B中、4℃での保存後のラット心臓の記録( 下の記録)を示す。 図29AおよびBは、チューブ中での調製と、ジクロロジメチルシランで被覆 されたガラスチューブ中の溶液70/30C2中、4℃での保存後の血小板の計 数およびそれらのトロンビン凝集率をそれぞれ示す。 図30AおよびBは、バック中での調製、およびジクロジメチルシランで被覆 された単一のガラスビン中、溶液70/30C2での4℃の保存後の、血小板の 回収率およびそれらのトロンビン凝集率をそれぞれ示す。 図31AおよびBは、バック中での調製および溶液70/30C2を含有する 同バックでの4℃の保存後、血小板の回収率およびそれらのトロンビン凝集率を それぞれ示す。 図32は、栄養ブイヨン中、4℃で生育する二種類の微生物が溶液70/30 C2中、4℃での血小板の保存中に生育できなかったことを示す。 図33AおよびBは、血漿または溶液70/30C2のいずれかで保存された 血小板のトロンビン凝集率をそれぞれ示し、該両溶液は、被覆チューブまたはバ ック中に分量を変えたDMSO濃度を含有する。血小板は−140℃で迅速に凍 結し、水浴中37℃で迅速に解凍した。 図34AとBは、溶液70/30B中で凍結したジャーカット細胞による、生 存能力度(%)および凍結前の取込み率としてのトリチウム化チミジンの取込み をそれぞれ示す。細胞は−140℃で迅速に凍結し、水浴中37℃で迅速に解凍 した。ハロタンを細胞の遠 心および溶液70/30Bへの取込み前に示された濃度で加えた。細胞はPBS 中での同様の処理では生存しなかった。 図35は、PBS、溶液70/30B、または1.75mMのCaCl2を含 有するTMAO(0.29OsM)中のいずれかで−140℃で迅速に凍結し、 37℃で迅速に解凍したジャーカット細胞による、凍結前の取込み率としてのト リチウム化チミジンの取込みを示す。ベンジルアルコールは、遠心の損傷から細 胞を保護する試みにおいて遠心および凍結溶液中の取り込み前の懸濁液に加えた 。詳細な説明 本発明の溶液と方法は、哺乳動物、植物および海洋生物の細胞、細胞系、組織 および器官等の生きた生物学的物質の保存に用いることができる。生きた生物学 的物質が保存されているとき、その生存能力は長期間にわたってインビトロで保 持されるので、該物質は保存物から出された際にその正常な生物学的活性を取り 戻す。よって、保存中、生物学的物質は休眠の可逆的状態に維持されており、代 謝活性は通常よりも実質的に低い。例えば、心臓は保存中では鼓動を停止するの が観察される。本発明により保存できる哺乳動物の生物学的物質の例として、心 臓、腎臓、肺および肝臓等の器官;造血幹細胞、骨髄、胚、血小板、骨芽細胞、 精子、顆粒細胞、赤血球、樹枝状細胞、卵母細胞等の細胞および組織;および組 織培養で確立された多様な動物細胞系が挙げられるが、これらに限定されない。 ヒトの生物学的物質の保存に加えて、本発明の溶液と方法は獣医学利用および植 物と海洋生物の組織の保存に用いてもよい。 本発明の保存溶液はすぐに使用できる形にあるか、または例えば粉末または錠 剤等の使用前に水で再構成される固体などの濃縮され た形で提供されてもよい。本発明の溶液は使用者による希釈のために濃縮された 液体形で提供されてもよい。従来の保存溶液と同じように、本発明の溶液は無菌 である。 本発明の溶液は保存すべき生物学的物質と実質的に等張である。等張溶液中の 細胞は実質的に収縮も膨張もしない。好ましくは、本発明の保存溶液は保存すべ き生物学的物質と実質的に等しい浸透度を有する。しかし、これは本発明のすべ ての溶液の要件ではない。なぜならば、溶液の浸透度を上げるが、半透性膜を自 由に通過でき、細胞膜の両面で等しく浸透圧を上げる一種類以上の成分を一部の 溶液は含有してもよいからである。 以下、詳細に説明するように、約280mOsM〜約320mOsMの浸透度 が哺乳動物の生物学的物質の保存用溶液に適することが分かった。海洋生物の生 物学的物質の保存には約900mOsM〜約1000mOsMの浸透度、植物の 生物学的物質の保存には約70mOsM〜約80mOsMの浸透度がそれぞれ適 する。 本発明の溶液はオキシアニオン、例えばリン酸二水素塩、重炭酸塩、硝酸塩、 亜硝酸塩、重硫酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、臭素酸塩、過マンガン酸塩、ヨウ 素酸塩、過ヨウ素酸塩、トリクロロ酢酸塩、ブロモ酢酸塩および亜リン酸二水素 塩を約10-5M未満の濃度で含有してよい。しかし、保存溶液中の一価のオキシ アニオンの存在は保存中に代謝活性のレベルを高めうることが観察された。例え ば、HSO4を含有する保存溶液では、ラットの心臓が遅くかつ弱く打つことが 観察されたが、一画のオキシアニオンを含まない保存溶液では、鼓動はまったく 観察されなかった。ほとんどの用途において、本発明の保存溶液は好ましくは保 存中の代謝活性のレベルを 可逆的に抑制し、好ましくは一価オキシアニオンを実質的に含まない。同様に、 ヨウ化物イオンの存在は保存溶液の有効性を減少させることがわかったので、本 発明溶液は好ましくはヨウ化物を実質的に含まない。ここで用いられる「実質的 に含まない」という用語は、イオンの濃度が、保存すべき物質の代謝活性を保存 中上げるために必要とされるよりも低いことを意味する。 一つの態様において、本発明の溶液は、少なくとも約335の分子量と少なく とも約0.3Mの水中での溶解度を有する第一の中性溶質(以下、クラスI溶質 と称する)、および約200未満の分子量を有する第二の中性溶質(以下、クラ スII溶質と称する)を含んでなり、該第二の中性溶質は親水性部分と疎水性部 分の両方をさらに有する。通常、クラスI溶質は通常大きすぎて細胞膜を通過す ることができず、主に本発明溶液の浸透度を高めるために働く。好ましくは、ク ラスI溶質は二糖類または三糖類である。そのような溶質の例としては、ラフィ ノース、トレハロース、スクロース、ラクトースおよびそれらの合成または天然 の類似体が挙げられ、ラフィノースとトレハロースが好ましいクラスI溶質であ る。 クラスII溶質は通常は細胞膜を受動的に通過しないが、浸透的障害に応じて 細胞によって能動的に取り込まれうる。それらは細胞内浸透分解物として多くの 細胞により用いられる。そのような溶質の例として、TMAO、ベタイン、タウ リン、サルコシン、グルコース、マンノース、フルクトース、リホース、ガラク トース、ソルビトール、マンニトールおよびイノシトールならびにそれらの合成 または天然の類似体が挙げられ、TMAOとベタインが好ましいクラスII溶質 である。TMAOは多くの生物学的物質のために最も 好ましいクラスII溶質である。好ましくは、本発明の溶液は、(a)ラフィノ ースとTMAOを、好ましくは約1.1:1を超えるか、または約2.0:1未 満のモル比で、より好ましくは約1.4:1〜約1.8:1のモル比で、最も好 ましくは約1.6:1のモル比で含有するか;(b)トレハロースとTMAOを 、好ましくは約1.1:1を超えるか、または約1.4:1未満のモル比で、よ り好ましくは約1.1:1〜約1.4:1のモル比で、最も好ましくは約1.3 :1のモル比で含有するか;(c)ラフィノースとベタインを、好ましくは約1 .7:1未満か、または約1.3:1を超えるモル比で、より好ましくは約1. 3:1〜約1.7:1のモル比で、最も好ましくは約1.4:1〜約1.6:1 のモル比で含有するか;または(d)トレハロースとベタインを、好ましくは約 1.7:1未満か、または約1.3:1を超えるモル比で、より好ましくは約1 .3:1〜約1.7:1のモル比で、最も好ましくは約1.4:1〜約1.6: 1のモル比で含有する。 本発明の溶液はさらに一種類以上のイオンを含有してよいが、上記のように、 一価のオキシアニオンおよびヨウ化物を実質的に含まない。CaSO4やCaC l2等のカルシウム塩は多くの用途において保存溶液中で約2mM未満の濃度で 用いられる。他のイオン種はアニオンおよび/またはカチオンのホフマイスター 系列でそれらの特性位置にしたがって選択してよい。アニオンおよびカチオンの ホフマイスター系列はタンパク質および膜の安定化を減少させる順序で分類付け られる(ホフマイスター(Hofmeister、F.)、『塩の効果の理解につ いて。第二レポート。塩の析出効果の際の規則とそれらの生理学的挙動に対する 関係について。』Naunyn− Schmiedebergs Archiv fuer Experimenta lle Pathologic und Pharmakologic .(ライプ チヒ)14:247−260,1988;コリンズ(Collins、K.D. )およびワシャバウ(Washabaugh、M.W.)、『ホフマイスター効果 と界面での水の挙動。』Quartery.Rev.Biophys. 18: 323−422,1985)。アニオンの分類順序は次の通りである:クエン酸 塩>酢酸塩>リン酸水素塩>硫酸塩>水酸基>フッ化物>塩化物>臭化物>ヨウ 化物>リン酸二水素塩>重炭酸塩>重硫酸塩>硝酸塩。カチオンの分類順序は次 の通りである:テトラメチルアンモニウム>アンモニウム>セシウム>ルビジウ ム>カリウム>ナトリウム>リチウム>カルシウム>マグネシウム。 一価オキシアニオンおよびヨウ化物を除くイオンは、それらの分類順序を考慮 することなく、約2mM未満の濃度で本発明の保存溶液に含有してよい。約2m Mを超えるイオン濃度では、下記の選択基準が適用される: (i)塩化物の左側の各アニオンは中性塩中でナトリウムまたはナトリウムの右 側のカチオンと組み合わされる; (ii)塩化物の右側のアニオンは除外される;および (iii)ナトリウムの右側のカチオンは塩化物とのみ組み合わせることができ る。 よって、臭化物は、一般的には約2mMを超える濃度では、重炭酸のカリウムま たはアンモニウム塩と同じく本発明の溶液から除外される。マグネシウムは約2 mM未満の濃度では好ましいカチオンである。 以下詳細に説明するように、血小板は例外として、生物学的物質の効果的な保 存時間はカルシウムを該保存組成物に加えることにより延びることが分かった。 これは、細胞膜に見られるリン脂質二層を安定化させ、細胞間付着を安定化させ るカルシウムの能力によるものであろう。好ましくは、カルシウムは硫酸カルシ ウムまたは塩化カルシウムとして存在し、約1.5mMを超えるか、または約2 .0mM未満の濃度、より好ましくは約1.5mM〜約2.0mMの濃度、最も 好ましくは約1.75mMで存在する。硫酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウ ムのいずれかの添加も多くの生物学的物質の効果的な保存時間を延長させる。 下記成分からなる溶液は多くの生物学的物質を保存するのに特に効果的である ことがわかった:約60%〜約80容量%、好ましくは約70%のラフィノース とTMAOの溶液;約40%〜約20容量%、好ましくは約30%の硫酸ナトリ ウムの溶液;および約1.75mMの硫酸カルシウム、ここで該ラフィノースと TMAOは約1.6:1の比率で存在し、ラフィノースとTMAOとの該溶液お よび硫酸ナトリウムの該溶液の両方が保存すべき物質と等張である。本発明のこ の実施態様における溶質の濃度は好ましくは以下の通りである:TMAO、約7 0〜75mM、最も好ましくは約72mM;ラフィノース、約120〜130m M、最も好ましくは約126mM;硫酸ナトリウム、約35〜45mM、最も好 ましくは約39mM;および硫酸カルシウム、約1.5〜2.0mM、最も好ま しくは約1.75mM。 本発明の保存溶液は、各溶液が所望の浸透度を有する各成分の各溶液を最初に 作ることによって、都合よく調製することができる。 次に、各溶液を所望の比率で混合して本発明の溶液を提供する。例えば、哺乳動 物の生物学的物質の保存用の好ましい実施態様の本発明溶液(溶液70/30と 称する)を調製するために、下記濃度を有するTMAO、ラフィノース、硫酸ナ トリウムおよび塩化カルシウムの各溶液を最初に調製する: TMAO二水和物 29.7g/l ラフィノース 147.1g/l 無水硫酸ナトリウム 18.6g/l 塩化カルシウム二和物 17.1g/l これらの各溶液は290mOsMの浸透度を有する。次に、これらの溶液を下記 の量で混合して下記の最終濃度を得た: 体積(ml) 最終濃度(g/l) 最終濃度(mM) TMAO 134.5 7.88 71 ラフィノース 215.5 62.5 124 硫酸ナトリウム 150 5.5 38.7 塩化カルシウム 7 0.24 1.6 これにより、ラフィノース:TMAO:硫酸ナトリウムの1:0.62:0.7 0の比率が得られる。非哺乳類の生物学的物質との使用の場合、該溶液は海洋性 物質については約900mOsM〜約1000mOsMの浸透度、植物物質につ いては約70mOsM〜約80mOsMの浸透度で作ってよく、同じ比率で混合 してよい。 ラフィノース、TMAO、クエン酸ナトリウムおよび塩化カルシウムを含む組 成物もまた、生物学的物質の保存にかなり効果的であることがわかった。一実施 態様において、そのような溶液は、保存すべき物質に等浸透度の量で、ラフィノ ースおよびTMAOを約1. 1:1を超えるか、または約2.0:1未満、好ましくは約1.1:1〜約2. 0:1、より好ましくは約1.4:1〜約1.8:1、最も好ましくは約1.6 :1のモル比で;また、保存すべき物質に対して等浸透量のクエン酸ナトリウム ;および約1.5mMを超えるか、または約2.0mM未満、好ましくは約1. 5mM〜約2.0mMの塩化カルシウムを含有する。好ましくは、該塩化カルシ ウムは約1.75mMの濃度で存在し、該クエン酸ナトリウムは、保存すべき物 質に対して等浸透度の溶液の好ましくは約10%を超えるか、または30容量% 未満、より好ましくは約10%〜約30%の量で存在する。好ましくは、クエン 酸ナトリウムは約5mMを超えるか、または約20mM未満、より好ましくは約 10mM〜約20mMの濃度で存在する。 一実施態様において、そのような溶液はTMAO、ラフィノース、クエン酸ナ トリウムおよび塩化カルシウムの各保存(ストック)溶液から作られ、各溶液が 保存すべき物質に対して等浸透度を有する。例えば、0.290sMの浸透度の 哺乳動物組織に対して、各保存溶液は以下のものを含有する: TMAO二水和物 29.7g/l ラフィノース 147.1g/l クエン酸ナトリウム二水和物 29.0g/l 塩化カルシウム二水和物 17.1g/l 使用されるこれらの溶液の体積および溶質の最終濃度は下記の通りである: 体積(ml) 最終濃度(g/l) 最終濃度(mM) TMAO 173〜134.6 10.2〜7.9 91.9〜71.7 ラフィノース 276〜215 80.1〜63.3 159〜125 クエン酸ナトリウム 50〜150 2.9〜8.7 9.9〜17 塩化カルシウム 7 .25 1.7 別の態様において、本発明の組成物は、クラスII溶質を、塩化ナトリウムと カルシウム塩、好ましくは塩化カルシウムと組合せて含んでなる。好ましくは、 そのような組成物は、約1.5mMを超えるか、または約2.0mM未満、より 好ましくは約1.5mM〜約2.0mM、最も好ましくは約1.75mMの濃度 の塩化カルシウムとともに、保存すべき物質に対して等浸透の塩化ナトリウムと TMAOを含む。好ましくは、該溶液は、保存すべき物質と同じ浸透度を有する 溶液の約60容量%を超えるか、または約80容量%未満、より好ましくは約6 0%〜約80%、最も好ましくは約70%の量でTMAOを含有する。該塩化ナ トリウムは、保存すべき物質と同じ浸透度を有する溶液の、約40容量%未満か 、または約5容量%を超える量、より好ましくは約40%〜約20%の量、最も 好ましくは約30%の量で好ましく存在する。該塩化ナトリウムは好ましくは約 30mM〜約65mMの濃度で、より好ましくは約40mM〜約50mMの濃度 で、最も好ましくは約46.8mMの濃度で存在する。したがって、本発明の組 成物中の塩化ナトリウムの濃度は、典型的には145mMの塩化ナトリウムを含 有する従来の塩溶液系培地よりも顕著に低い。 0.29OsMの浸透度の哺乳動物組織の保存のために、例えば、該溶液は下 記のものを含有する各保存溶液から調製してもよい: TMAO二水和物 29.7g/l 塩化ナトリウム 9.08g/l 塩化カルシウム二水和物 17.1g/l 使用されるこれらの溶液の体積および溶質の最終濃度は下記の通りである: 体積(ml) 最終濃度(g/l) 最終濃度(mM) TMAO 300〜400 7.8〜23.8 161〜214 塩化ナトリウム 200〜100 3.6〜1.82 62〜31 塩化カルシウム 7 .25 1.7 さらに別の態様において、本発明は、酸化トリメチルアミン、クエン酸ナトリ ウムおよび塩化ナトリウムを含んでなる、生きた生物学的物質の保存用溶液を提 供し、該TMAOは、好ましくは約150mMを超えるか、または220mM未 満の濃度、より好ましくは約150mM〜約220mM、最も好ましくは約18 4mMの濃度で存在し;該クエン酸ナトリウムは、好ましくは約1.5mMを超 えるか、または約2.5mM未満の濃度、より好ましくは約1.5mM〜約2. 5mM、最も好ましくは約1.96mMの濃度で存在し;および該塩化ナトリウ ムは、好ましくは約35mMを超えるか、または約55mM未満の濃度、より好 ましくは約35mM〜約55mM、最も好ましくは約45.8mMの濃度で存在 する。以下に詳細に説明するように、この溶液が血小板の保存に特に効果的であ ることがわかった。 本発明の組成物中に包含させてよい他の成分として、微生物抑制のために抗生 物質、および胚等の生物学的物質が表面に結合するのを抑制するためのウシ血清 アルブミン等のタンパク質を挙げることができる。心臓の保存等のある種の用途 のために、保存溶液は使用前に酸素で飽和させてよい。本発明保存組成物への緩 衝液の添加は 通常は必要でないことがわかった。実際、上記のように、多くの従来の緩衝液に 見られる一価オキシアニオンの添加は本保存組成物の有効性を低下させる。した がって、好ましい実施態様において本発明の組成物は緩衝性がない。 生物学的物質の保存に典型的に用いられる多くの組成物とは異なり、本発明の 組成物は従来(常用)の凍結保護剤を必要とせず、実際、5%を超える濃度の従 来の凍結保護剤は、それらのよくある毒性の副作用のために、存在しないことが 好ましい。ここで用いられる「従来の凍結保護剤」という用語は二種類の化合物 をいう。最初のものとしては、水溶性が高く細胞膜を受動的に通過拡散する、D MSO、グリセロール、エタノール、メタノールおよびプロパン−ジオールが挙 げられる。これらの化合物は従来の塩水培地に高濃度で使用され、凍結すべき細 胞中の内部で同様に高い濃度に達する。これらは水の凝固点を低下させることに よって作用すると考えられる。第二の種類の凍結保護剤は細胞膜を通過できない 水溶性高分子からなる。この種類の凍結保護剤の例としては、ポリエチレングリ コール(分子量8,000または20,000)、ヒト血清アルブミン、ポリビニ ルピロリドン(分子量30,000)、デキストラン(分子量10,000〜50 ,000)、フィコール(Ficoll、分子量70,000)およびヒドロキ シエチルデンプンが挙げられる。そうした化合物はおそらく結晶氷よりも不定形 氷を誘導することによって凍結による損傷からの保護をしていよう。 理論によって縛られることを欲しないが、本発明者らは、本発明の保存溶液は 、イオンチャンネルが開くのを妨ぐことにより、細胞膜を経て運ばれる外部の刺 激シグナルから細胞を孤立させて、それ により細胞を休眠状態に保つものと考えている。 保存すべき生物学的物質は標準的な技術により集め、本発明の水性保存溶液に 、接触させ、好ましくは浸す。生物学的物質は、所望により、浸す前に保存溶液 ですすいでよい。生物学的物質は、約−196℃の低温度を含み、凍結以下の温 度で保存してもよいが、便利には約4℃の温度で保存してもよい。保存後、保存 溶液を該物質から除去して標準的な塩溶液系培地に置き換えるか、または保存物 質をその保存溶液中に直接に用いてもよい。生物学的物質を凍結温度以下の温度 で保存する場合、効果的な濃度の凍結保護剤を、当業者によく知られた技術を用 いて保存溶液に加えることができるが、上記のように、約5%を超える濃度での 従来の凍結保護剤はないことが通常好ましい。よって、本発明の溶液は生きた生 物学的物質の長期、短期のいずれの保存に用いてよい。 以下詳細に説明するように、生物学的物質は、該物質を本発明の保存溶液に室 温で浸し、次に該物質を−196℃の液体窒素に入れるか、または−140℃の フリーザーに置くこと等により該物質を凍結以下の温度にすばやく置くことによ り効果的に保存することができることが見い出された。保存後、該物質を、例え ば37℃の水浴で解凍することにより室温に迅速に戻す。この方法は従来の低温 保存法で用いられる調節された遅い凍結および再加温に対する必要性をなくして 、費用および時間な要件の減少をもたらす。 下記の例2で詳細に説明するように、胚等の一部の生物学的物質の保存時間は クラスII媒質または酪酸ナトリウムのいずれかによる前処理により延長できよ う。 本明細書で温度(℃)を示すとき用いられる「約」との言葉は、 言及された温度から20°までの変動を意図する。本明細書で分子量をいうとき に用いられる「約」との言葉は、言及された分子量から10%までの変動を意図 する。溶質の溶解度または溶液のモル量をいうときに用いられる「約」との言葉 は、言及されたモル量から5%までの変動を意図する。比をいうときに用いられ る「約」との言葉は、該比のいずれかの側で0.2までの変動を意図する。溶液 組成百分率をいうときに用いられる「約」との言葉は、言及された百分率から1 0%までの変動を意図する。溶液の浸透度をいうときに用いられる「約」との言 葉は、言及された浸透度から10%までの変動を意図する。 下記の例は説明のために示されるものであって、限定するためのものではない 。 例1 マウス胚の保存における本発明の溶液の効能を以下の通り調べた。胚は速く分 裂する細胞からなるので、成長を阻止するのが難しく、よって保存溶液の感受性 試験を提供する。また、胚は、保存中の生存がその後の培養中においてその孵化 能力により1〜5日後に評価できる利点を有する。 生存可能なマウス胚を、PBS中で、またはラフィノース、トレハロース、ス クロースもしくはラクトース(クラスI溶質)の何れかと、酸化トリメチルアミ ン(TMAO)、ベタイン、タウリン、サルコシン、グルコース、マンノース、フ ルクトース、リボース、ガラクトース、ソルビトール、マンニトール、イノシト ールおよびタウリンからなる群から選択される溶質(クラスII溶質)との1. 6:1のクラスI溶質:クラスII溶質の比の水溶液中で、1、2 または3日間の期間で4℃にて保存した。各クラスI/クラスII溶液は硫酸カ ルシウムも1.75mMの濃度で含有した。該溶液は0.1〜1%のウシ血清ア ルブミン(BSA)および25mg/Lの硫酸カナマイシンも含有した。すべて の試薬はシグマケミカル社(ミズリー州、セントルイス)から入手した。胚の生 存はダルベッコの改良イーグル培地(ニューヨーク、グラントアイランドのライ フテクノロジーからのDMEM)中でのその後の培養により評価し、保存後に存 在する生きた胚の数および37℃の培養の48時間後に孵化した胚の数の両方で 表わした。スクロース、ラクトース、トレハロースおよびラフィノースの溶液に 関するこれらの実験の結果を、HB+LBが孵化または後期胚盤胞段階に到達し た胚の比率を表わしている図1〜4にそれぞれ示す。具体的には、図1A、Bお よびCは、1.75mMのCaSO4とともに、スクロースおよび多様なクラス II溶質の水溶液中、4℃での1、2および3日間のそれぞれの保存後のマウス 胚の生存を示し;図2A、BおよびCは、1.75mMのCaSO4とともに、 ラクトースおよび多様なクラスII溶質の水溶液中、4℃での1、2および3日 間のそれぞれの保存後のマウス胚の生存を示し;図3A、BおよびCは、1.7 5mMのCaSO4とともに、トレハロースおよび多様なクラスII溶質の水溶 液中、4℃での1、2および3日間のそれぞれの保存後のマウス胚の生存を示し ;および図4A、BおよびCは、1.75mMのCaSO4とともに、ラフィノ ースおよび多様なクラスII溶質の水溶液中、4℃での1、2および3日間のそ れぞれの保存後のマウス胚の生存を示す。 顕著な比率の胚が溶質のほとんどの組合せ中の1日間の保存後に 孵化したが、次の3日間後では、高い比率の孵化がラフィノース、トレハロース またはスクロースのTMAOとの組合せを用いてのみ得られた。ラフィノースが 最も良いクラスI溶質であり、TMAOが最も良いクラスII溶質であることが わかり、トレハロースとベタインがそれぞれそれに次ぐ良いクラスI溶質とクラ スII溶質であることがわかった。マウス胚の保存に関してクラスI/クラスI I溶液の最適な全浸透度は0.30OsMであることがわかった。 次に、クラスIとクラスII溶質の三種類の最良の組合せを再試験して、クラ スII溶質に対するクラスI溶質の最適モル比を決定した。1.75mMのCa SO4を用いたラフィノースとTMAOに関するこの研究の結果を図5A〜Cに 示し、ここで図5Aは1日間の保存後の生存を示し、図5Bは2日間の保存後の 生存を示し、図5Cは3日間の保存後の生存を示す。試験されたこれらの3種類 の溶液のうち、1.6:1モル比のラフィノース:TMAOが最大の胚生存率と なった。二番目に高い生存率は1.3:1モル比のトレハロース:TMAOを用 いて得られた。三番目に高い生存率は1.4:1モル比のラフィノース:ベタイ ンを用いて得られた。 1.6:1のモル比のラフィノース:TMAOと多様な濃度のCa2+を含有す る溶液中、2〜3日間、4℃での保存後に孵化化する胚の比率を図6に示す。C a2+は胚の保存に必要なことがわかり、非線形の濃度依存性があった。次に、1 .75mMのCaSO4濃度をすべての溶液中で、ほとんどの生物学的物質とと もに用いた。一つの例外は、Ca2+を含有しない溶液中で最もよく生存すること がわかった単離血小板であった。 次に、1.75mMのCaSO4を有するラフィノース/TMA Oの1.6:1溶液を、1.75mMのCaSO4を有する0.30OSMのN a2SO4の溶液と異なる比で混合した。1、2および3日間、4℃でのこれらの 溶液中での保存後、培養基中で孵化するマウス胚の比率を図7(i)A、Bおよ びCにそれぞれ示す。孵化した胚の最大比が、70%ラフィノース/TMAO( 1.6:1)、30%のNa2SO4および1.75mMのCaSO4(以下、溶液 70/30と称する)を用いて得られた。図7(ii)は、多様な浸透度の溶液 70/30中で、4℃での1、2、3および4日間の保存後の胚の生存を示す。 最適浸透度は300mOsMに近いようであるが、臨界的な重要性はないようで ある。溶液70/30を続いて多くの用途に用いて、骨髄幹細胞、心臓、赤血球 および骨芽細胞等の多くの生物学的物質に効果的な保存溶液であることが証明さ れた。Ca2+を含まない溶液70/30は血小板の保存に好ましい溶液であるこ とがわかった。 その後の研究で、マウスの胚は、ラフィノースおよびTMAOが1.6:1の 範囲で存在する、クエン酸ナトリウムおよびラフィノース/TMAOの等浸透溶 液の混合物の範囲で4℃で保存された。図25A〜Dは、BPSまたは溶液70 /30のいずれかでの保存後に孵化化されたものと比較して、1、2、3または 4日間の該溶液中での保存後の培養で孵化した胚の比率を示す。これらの結果は 、クエン酸ナトリウム、ラフィノースおよびTMAOを含む溶液がPBSまたは 溶液70/30よりも胚の長期保存に対してさらに効果的でありうることを示し ている。 図26A〜Eは、塩化カルシウムをプラスしたNaClとTMAOの混合物の 範囲で1、2、3、4または5日間、4℃での保存後、 37℃での3日間の培養後に孵化したマウス胚の比率を示す。約20〜約40% のNaClを含有する溶液は胚の生存能力を保存するのにかなり効果的であるこ とがわかった。図27は、1.75mMの塩化カルシウムをプラスした30% NaCl/70% TMAO(溶液70/30Bと称する)中、6日間までの4 ℃でのマウス胚の保存の結果をPBS中での保存と比較する。これらの結果は、 マウス胚の生存能力を保存するのに溶液70/30BはPBSよりもさらに効果 的であることを示している。 例2 下記のように、マウス胚の保存における生存は、クラスII溶質または酪酸ナ トリウムのいずれかによる前処理により大きく増強されることがわかった。 マウス胚を、溶液70/30中、5日間以内の4℃での保存に先立って、酪酸 ナトリウムまたはクラスII溶媒のいずれかとともに、室温、30℃または4℃ でインキュベートした。酪酸ナトリウム濃度(5〜70mM)と室温での前処理 時間(5〜30分間)との多くの異なる組合せにより顕著に向上した保存期間が 得られた。PBS中の塩化ナトリウムの代わりに酪酸ナトリウムを同じ濃度で置 き換えた。図8A、BおよびCは、10、20または30分間の5、10または 15mMの濃度の酪酸ナトリウムによる前処理後の保存で1、2および3日間後 に孵化したマウス胚の比率を示す。図8D、EおよびFは、10、20または3 0分間の5、10または15mMの濃度の酪酸ナトリウムによる前処理後の保存 で1、2および3日後に生存したマウス胚の比率を示す。酪酸ナトリウムによる 前処理は、溶液70/30中の3日間の保存後、80%までの胚が孵化 することを可能とした。高濃度の酪酸ナトリウムによる前処理後、溶液70/3 0中の5日間の保存後、未処理の2%に比べて70%までの胚が孵化した(図9 を参照)。前処理なしでPBSで保存された胚は3日を超えて生存することはな かった。酪酸塩なしのPBSによる胚への前処理によって、胚は顕著に損失した 。図10A、B、CおよびDは、室温での5、10または15分間の25mM酪 酸ナトリウムによる前処理後、溶液70/30中、4℃での4日間までの保存後 のマウス胚の生存を示す。 例3 全血保存における溶液70/30の効能を以下の通りに調べた。 全血を、血漿、Ca2+を含有する溶液70/30、またはCa2+を含有しない 溶液70/30で1:1の容量で希釈し、4℃で28日間まで保存した。クエン 酸系の抗凝固溶液の存在下、血小板は18日でそれらの最初の数の約30%まで 減少した。EDTAを抗凝固剤として用いたとき、血小板の数は、Ca2+を含有 しない溶液70/30では通常の範囲(すなわち約60%生存に近い)にあった が、Ca2+を含有する溶液70/30または血漿中では通常の範囲になかった。 同じ試験において、白血球はクエン酸系凝固剤中で血小板よりも良好に生存す ることはほとんどなかった。Ca2+を含有しない溶液70/30、血漿の保存に 比べて、血液をEDTAを含有するバッグ中に集めて、Ca2+を含有する溶液7 0/30により1:1の容量で希釈したときに18日後の最大生存率が得られた 。これは白血球の保存に必要なCa2+を置き換え、クエン酸の有害な効果を回避 した。例4 この例では、凍結以上の温度での単離血小板の保存における本発明の保存溶液 の効能を示す。 血液をEDTA中に集め、標準的な遠心技術を用いて血小板を単離した。血小 板に富む最終的なペレットを、血漿、またはCa2+を含まない溶液70/30の いずれかの50mlに希釈した。図11は80%の血小板が4℃での28日間の 保存後に生存したことを示す。保存後の生存率は血漿中よりも有意に高く、血小 板が典型的に21℃に保持された5日間よりもかなり良好であった。無Ca2+の 溶液70/30の4℃での保存とともに、血液をEDTA中へ集めることおよび クエン酸塩を避けることの利点は非常に明らかである。 血小板は便利にはクエン酸抗凝固剤中に集められた血液から単離する。そのよ うな方法にしたがって調製される血小板を効果的に保存するために、45.8m MのNaCl、184mMのTMAOおよび1.96mMのクエン酸ナトリウム を0.29OsMの全浸透度で含有する保存溶液を調製した(以下、溶液70/ 30c2と称する)。4℃での血小板の保存のこの溶液の有効性は、血小板数を 計測し、トロンビンによる刺激に対する応答でそれらの凝集を測定することによ り評価した。 予備実験は、プラスチックまたは無被覆ガラスでの保存に比べてジクロロジメ チルシランで被覆されたガラスチューブ中での保存が血小板を安定化することを 示した。最初の実験において、血小板をチューブの中で最初に処理し、次にジク ロロジメチルシランで被覆されたガラスチューブ中、4℃での溶液70/30c 2にて保存した。図29AとBに示されているように、血小板は高いレベルのト ロンビン凝集を受けながら14日間生存することがわかった。第二の実験におい て、血小板はプラスチックバッグ中で処理され、溶液70/30c2中で4℃で の保存のために単一のジクロロジメチルシラン被覆ガラスビンに移した。図30 AおよびBに示されているように、血小板の計数とトロンビンの凝集レベルは1 8日間高く保たれた。図31AとBは長期間にわたる4℃バッグでの溶液70/ 30c2中の血小板保存の結果を示す。血小板の数は26日後高く保たれたが、 トロンビン活性化にはあまりよく応答せず、プラスチック表面は好ましくないこ とを示唆した。 例5 この例では、ヒト骨髄の保存の本発明の溶液の効能を示す。 骨髄を二人の異なる患者からヘパリン中に集めて、本発明の溶液または標準的 な塩溶液(ハンクス緩衝塩溶液(HBSS)か塩溶液系マウス培養培地(M−2)) で容量で1:1に希釈した。骨髄を4℃で、28日までの範囲の期間保存し、こ の時点で白血球細胞の計測と生存能力、コロニー形成単位の数、およびCD34 とCD45細胞の群を測定した。 図12A、BおよびCは、患者1から集め、HBSS、ラフィノース/TMA O、トレハロース/ベタインまたは溶液70/30のいずれかで28日間まで保 存した、骨髄からのCD−45陽性およびCD−34陽性細胞の数およびコロニ ー形成単位をそれぞれ示す。図13A、BおよびCは、患者2から集めて、N− 2中、または1.75mMのCaSO4を有するラフィノース/TMAO中のい ずれかで4℃で保存された、骨髄からのコロニー形成単位、CD45陽性細胞と CD34陽性細胞の数をそれぞれ示す。該ラフィノース/ TMAO溶液は1.6:1のモル比を有し、該トレハロース/ベタイン溶液は1 .4:1のモル比を有した。溶液70/30は骨髄幹細胞の保存に特に効果的で あり、コロニー形成単位の数、CD45およびCD34陽性細胞の数はコントロ ール溶液のいずれよりもかなり高く、時間とともに相対的な向上が高まった。図 13A、BおよびCは、コロニー形成単位の数、CD34陽性細胞およびCD4 5陽性細胞の数は、塩溶液培地M−2での保存に比較して、溶液70/30での 保存後に顕著に高かったことを示す。骨髄を2〜3週間の期間凍結せずに保存す る能力は骨髄移植において特に有利である。なぜなら、それは凍結保存において DMSOの使用に関連する毒素を避け、再注入前の全身照射等の治療方法の時間 を可能とするからである。 例6 マウスの骨髄細胞の保存に関する本発明溶液の効能を次の通りに調べた。 マウスの骨髄を溶液70/30中、またはPBS中に直接に集めた。得られた 溶液を4℃または−80℃で保存した。図14Aは、溶液70/30で4℃で保 存されたマウスの骨髄が14日間後に28%の回収率を示したが、PBSで14 日間4℃で保存された骨髄細胞は生存しなかったことを示す。−80℃での溶液 70/30で凍結された骨髄は8日および14日後に20%の回収率を示したが 、−80℃でPBS中で2、6、8および14日間凍結された骨髄細胞は生存し なかった。 図14Bは、溶液70/30中で−80℃で8日間凍結され、解凍され、次に 致死照射(1000R)された有性生殖マウスに注入 されたマウス骨髄が、注入の8日後に分析されたときに脾臓コロニーを発達させ たことを示す。50,000個の骨髄細胞が注入されたマウスは16個のコロニ ーを発達させ、10,000個の細胞が注入されたマウスは4個のコロニーを発 達させ、2,000個の骨髄細胞が注入された一匹のマウスは2個のコロニーを 発達させた。 図15、16および17は、致死照射されたマウスへの注入の9〜10日後に 脾臓コロニーを形成する能力により決定された、造血幹細胞の生存に対する溶液 70/30またはリン酸塩緩衝塩溶液(PBS)中でマウス骨髄を−80℃で4 〜10日間凍結する効果を示す。骨髄は、ドナーの6〜8週齢のBALB/cマ ウスの大腿骨から15mlの滅菌ポリプロピレン遠心チューブ中の、溶液70/ 30中か、リン酸塩緩衝塩溶液(PBS)中に直接に集められた。これらのチュ ーブは−80℃のフリーザーに置かれた。4日後(図15)、7日後(図16)お よび10日後(図17)、溶液70/30またはPBS中に骨髄を含有するチュー ブをフリーザーから出して、室温で解凍した。生存可能な細胞数を測定した。 凍結および解凍された骨髄において造血幹細胞の活性を測定するために、宿主 BALB/cマウス(6〜10週齢)に致死量の放射線を照射し、各グループが 4匹のマウスからなる4グループに分けた。さらに、新しい骨髄を健康なドナー BALB/cマウスから溶液70/30に集めた。該4グループの照射受容マウ スに0.1mlの以下のものを静脈内に注入した。 グループ1:溶液70/30に直接集められた新鮮な骨髄細胞; グループ2:溶液70/30に集められ、−80℃で凍結し た同一数の骨髄細胞; グループ3:PBSに集められ、−80℃で凍結した同一数の骨髄細胞; グループ4:骨髄細胞を欠く溶液70/30。 注入された骨髄細胞の数を各図に示した。これらのデーターは、マウスの造血幹 細胞が−80℃で10日間までの期間にわたって溶液70/30中の凍結に耐え て、インビボで脾臓のコロニー形成性を保持することを示す。 以下のマウスおよびヒト造血腫瘍細胞系を溶液70/30に再懸濁し、−80 ℃で2〜10日間の期間にわたって凍結した:P3(マウスプラスマサイトーマ) ;SP2/0(マウスプラスマサイトーマ);EL4(マウスT細胞リンパ腫);ジ ャーカット(ヒトT細胞リンパ腫);HL60(ヒト単球腫瘍);およびK562( ヒト初期造血腫瘍)。室温での解凍、およびトライパン・ブルーの取込みによる かまたはウシ胎児血清を補った哺乳動物組織培養培地で37℃で生育する能力に よる生存可能な細胞の分析で、細胞は−80℃での凍結では生存できないことが 観察された。 白血病細胞のマウス骨髄を取り除く本発明溶液の能力は以下の通り示された。 BALB/cマウスからの新しい骨髄細胞は溶液70/30中に1mlあたり1 07個の細胞濃度で集められた。SP2/0細胞も溶液70/30中に1mlあ たり107個の細胞濃度で調製された。下記の3グループの細胞を−80℃での 凍結のために調製した: グループ1:溶液70/30中の骨髄細胞; グループ2:溶液70/30中の等量の骨髄とSP2/0細 胞の混合物;及び グループ3:溶液70/30中のSP2/0細胞のみ。4日後に、細胞を 室温で解凍し、遠心により集め、5%ウシ胎児血清、20ng/mgのマウス顆 粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)および20ng/mlの インターロイキン−3(IL−3)を含有する哺乳動物組織培養培地に再懸濁し た。細胞を37℃で、10%CO2の空気が供給されたインキユベーターでイン キュベートした。4日後、細胞を1mlあたり1μC放射性チミジンとともに2 4時間インキュベートし、取込みを測定し、1分あたりの計数として表わした。 図18に示されているように、骨髄細胞単独は溶液70/30中、−80℃での 保存で生き延びたが、SP2/0細胞はこれらの条件下の保存で生き延びなかっ た。骨髄細胞とSP2/0細胞の混合物では、骨髄細胞のみが生き延びた。 例7 心臓の保存に関する本発明溶液の効能を下記の通り測定した。 ラットの心臓を外科的に摘出し、溶液70/30またはラフィノース/TMA O(モル比1.6:1)を4℃で大動脈に灌流させて、この間に心拍数は1分あ たり約300拍から1分あたり約180拍まで低下した。次に、心臓を同じ溶液 中で4〜24時間保存し、この間に心臓は鼓動を停止した。続いて、心臓をカニ ューレに再設置し、最初は室温で20分間で37℃まで上がるクレブス溶液で再 灌流した。灌流溶液の重力のみによる送り込みを用いる4時間保存後の心臓の回 復は良好で、心拍数と現れた圧力の両方が正常の範囲にあった(心拍数は170 拍/分、圧力98mm水銀:図19を参照)。ポンプを灌流に用いた場合、変動 性のある結果が得られた。一般的 に、心臓がポンプから受ける圧力は損傷を与えることがわかり、その損傷はしば しば回復不能であった。 4時間を超える時間の保存は、冷溶液70/30またはラフィノース/TMA Oによる灌流と4℃での保存前にクレブス溶液中の25mMタウリンで心臓を1 0分間、38℃で前処理することにより達成された。最初の灌流および再灌流で 重力による送り込みによってのみ、24時間保存された心臓は正常な範囲の心拍 数と正常なレベルの約半分の圧力を回復した。その後の実験は、外因性タウリン の流出を妨げるために約0.2mMのタウリンを保存溶液に加えることによりタ ウリンによる前処理を行わないことができることを示した。 さらなる研究において、ラットの心臓を切除して30%の290mOsM N aCl、70%の290mOsM TMAOおよび1.75mM CaCl2(溶 液70/30B)の4℃の溶液に直接に入れ、切り揃え、次に大動脈にカニュー レを入れて血液が置き換わるまで、酸素を供給した溶液70/30Bを4℃で灌 流した。心臓を迅速に4℃の20mlの酸素供給溶液70/30B中に置き、2 5mlの空気で加圧した。これらのすべての工程は無菌条件下で行った。4℃で 17〜20時間の保存後、大動脈において心臓にカニューレを再度入れ、100 mlの水の圧力による重力での送り込みを用いてクレブス溶液を37℃で灌流し た。大動脈がすぐに目で見えるように打ち始めた。心室はそれよりも遅く鼓動を 開始し、約30分間かけて経時的に鼓動が強くなり、その時点で圧力変換器を挿 入し、心拍と心室圧をグラスレコーダーで記録した。この操作に供された心臓は 少なくとも2時間にわたって打ち続けた。図28は新し く切除された心臓に関する記録(上の記録)および17時間、4℃て溶液70/ 30Bで保存された心臓の記録(下の記録)を示す。4つの心臓は正常な範囲内 、または正常な範囲の近くで同様な記録を与えた。より速い鼓動を有し、強い心 室圧を有するように思われた5番目の心臓は、圧力誘導用カテーテルの挿入によ り損傷を受けたので、その記録を得ることはできなかった。 本発明の保存溶液を用いて得られた結果は、心臓が、生物学的機能の許容され ない悪化のためにわずかに5時間以下しか保存できない、冷塩溶液系培地中で心 臓を保存する従来技術の方法に比べて、より適したものである。悪化のない24 時間の心臓の保存により、世界的な移植のためのその輸送時間が可能となるであ ろう。 例8 ヒトのリンパ球白血病ジャーカットおよびK562慢性骨髄性白血病細胞系を 含む多様な腫瘍細胞系の4℃での保存に関する本発明溶液の効能を、上記の例5 および6でヒト骨髄の保存について調べられた溶液を用いて調べた。図20およ び21は、塩溶液または本発明溶液中で4℃での保存後に、トリチウム化チミジ ンの取込みによって評価されたジャーカットとK562細胞の増殖をそれぞれ示 す。骨髄始原細胞とは対照的に、腫瘍細胞系は完全な細胞死の前、本発明溶液中 、わずかに2日間生き残っただけであった。よって、本発明の保存溶液中、4℃ で、3日間を超える期間の骨髄の保存は、骨髄の生存能力を維持しなから白血病 細胞の骨髄を取り除くだろう。 例9 本発明溶液の骨芽細胞の保存における効能が次の通り示された。 マウス骨芽細胞を切除し、D−MEM培養培地中、38℃でコン フルエンス近くまで成長させた。次に、該細胞を、Ca2+もMg2+も含有しない リン酸塩緩衝塩溶液中でトリプシンを用いて分散させ、D−MEMに再接種した 。さらに培養した後、培地を吸引により除去し、PBS、ベタイン、ガラクトー ス、ソルビトール、マンノース、トレハロース、ラフィノース、ラフィノース/ TMAO(1.6:1の比)、ラフィノース/ベタイン(1.6:1の比)、トレハ ロース/TMAO(1.6:1の比)およびトレハロース/ベタイン(1.6: 1の比)のいずれか一つの溶液と置き換えた。4℃での異なる時間間隔での保存 後、保存溶液をアスピレーターで除去してD−MEMと置換した。骨芽細胞がそ の後コンフルエンスまで成長したものを成功した保存とした。図22に示されて いるように、骨芽細胞はPBS中におけるよりも本発明の溶液中の保存でさらに かなり長い期間生き延びた。骨芽細胞は胚よりも浸透度での変動に対してより耐 性があることがわかった。 例10 マウスT7Tケラチノサイト腫瘍細胞の保存における本発明の溶液の効能を次 の通り調べた。培養培地を、5%血清を補ったD−MEMで生育するT7Tの付 着培養物から吸引により除去し、4℃での保存前にPBSまたは溶液70/30 と置換した。4、7、12および14日後に、これらの溶液を除去し、付着細胞 をトリプシン化処理により除去して、回収率を調べた。図23は、生存可能なT 7T細胞はPBS中で生き延びなかったが、生存可能なT7T細胞は溶液70/ 30中で14日間以内の保存後に回収されたことを示す。 例11 マウス3T3線維芽細胞の保存における本発明の溶液の効能が次の通り示され た。 5%血清を補ったD−MEMで成長する3T3細胞の付着培養物から培地を吸 引で除去し、4℃での保存前にPBSまたは溶液70/30で置き換えた。1、 7および14日後に、これらの溶液を除去し、付着細胞をトリプシン化処理によ り除去して、回収率を測定した。図24に示されているように、生存可能な3T 3細胞はPBS中で生き延びなかったが、生存可能な3T3細胞は溶液70/3 0中で14日間以内の保存後に回収された。 例12 この例は凍結以下の温度での血小板の保存における本発明溶液の有効性を示す 。 生きた細胞は、典型的には、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の高濃度( 約10容量%)の凍結保護剤を含有する溶液中でゆっくりと凍結する。プログラ ミングされたフリーザーは、すべての水が凍結したと思われるまで温度を調節さ れた速度で低下させて、その時点で細胞は液体窒素に浸される。解凍も比較的ゆ っくりと行われる。これは、DMSOが細胞に対して有毒であるという深刻な欠 点を有する冗長で費用のかかる方法である。 対照的に、本発明の溶液に置かれた細胞は液体窒素に浸されるか、または−1 40℃のフリーザーに置かれ、温度をできるだけ速く低下させた。それらを37 ℃の水浴中でできるだけ速く解凍した。図33AおよびBは血小板を用いたこの 方法の成功を示す。血小板は血漿中に懸濁させるか、または凍結用バッグまたは 被覆されたガラスチューブのいずれかに入れられた溶液70/30c2中に懸濁 さ せた。DMSOを濃度を変えて、該溶液に加えた。チューブおよびバッグを−1 40℃に6日間置いた。次に、それらを迅速に解凍し、血小板の数とトロンビン 凝集について評価した。チューブおよびバッグに関する結果は連続した曲線上に あるので、表面効果は凍結において無視できることがわかった。最もよい結果が DMSOを添加しなかった溶液70/30c2で得られた。これにより平均でほ ぼ100%のトロンビン凝集と50%の血小板回収率が得られた。添加されたD MSOはほとんど違いをもたらさなかった。この迅速な凍結および解凍技術によ り、血漿さえも、DMSOなしにほぼ50%の凝集を与えた;これは添加された DMSOによりほぼ100%まで増加した。このトロンビン凝集のレベルを達成 するために加えられたDMSO濃度は通常用いられる濃度のわずかに約1/5だ けであった。凍結のこの方法は多くの利点を有する:それは毒性のある化合物を 用いず、高価な装置を必要とせず、かつ、以下に示されるように、凍結からの回 復の困難な細胞においてもうまく利用可能である。 理論によって縛られることを欲しないが、細胞は、温度が低下するにしたがっ て通常の水とは異なる挙動をする分離された高密度が低密度の水の集団を通常含 有することから、上記技術が効果的であると本出願人は考える。高密度水は非常 に低い凍結点(−80℃未満)を有し、遅い凍結および解凍プロセス中、液体の ままであり続け高い反応性を保ち続ける。したがって、それは細胞にとって非常 に損傷性を有し、細胞はほとんど死滅する。低密度水も凍結しないが、低密度で 不活性の液体から低密度で不活性のガラス状固体に移行する。氷は形成されない 。細胞が液体窒素に浸されるとき、該細 胞は高密度水がまだ液体で反応性がある温度範囲を非常に速く通過するので、細 胞損傷が起るには時間が十分でない。再び、迅速な解凍により、細胞はこの危険 な温度範囲を迅速に通過する。成功する凍結と解凍に対する他の要件は、イオン チャンネルが閉じ続けていとである。これは塩溶液系の溶液よりも本発明の保存 溶液を用いることにより達成される。 例13 この例では、凍結以下の温度でのジャーカット細胞の保存における本発明の溶 液と方法の有効性を示す。 ジャーカット細胞は凍結するのが困難であると知られているヒト腫瘍細胞系で ある。ジャーカット細胞は典型的には10%DMSOと90%ウシ胎児血清中で 凍結させる。その時でさえ、回収率はしばしば低い。DMSOを有さない血漿中 で凍結すると、すべてのジャーカット細胞は死滅する。同様に、溶液70/30 B中でゆっくりと凍結すると、該細胞はすべて死滅する。図34AおよびBは、 溶液70/30B中、−140℃で急速に凍結させ、水浴中37℃で急速に解凍 させたジャーカット細胞のトリチウム化チミジンの取込み率として測定された、 生存可能な細胞の回収率と細胞増殖をそれぞれ示す。細胞を遠心による損傷から 保護する試みで、遠心により細胞を成長培地から分離する前にハロタンを多様な 濃度で加えた。しかし、この保護は必要ではないことがわかった:ハロタンがな くとも生存可能な細胞の回収率はほぼ100%であり、これらのうちチミジン取 込みは凍結前のほぼ75%であった。 図35は、ベンジルアルコールの添加によってジャーカット細胞を遠心による 損傷から保護した実験の結果を示す。該細胞は、1. 75mMのCaCl2を含有する酸化トリメチルアミン(0.29MOsM)、溶 液70/30またはPBSのいずれか中で−140℃で急速に凍結させ、37℃ で急速に解凍させた。細胞が遠心前に低い代謝状態にあったこの実験において、 添加された該アルコールは低濃度で有益な効果を有するように思えた。 これらの結果は、本発明の保存溶液と組み合わされた急速凍結解凍法の利用が 、凍結温度より低い温度での生きた生物学的物質の保存に非常に効果的であるこ とを明らかに示す。 例14 この例は、本発明の溶液中では微生物の生育がないことを示す。 生きた生物学的物質の効果的な保存のためには、保存溶液中で微生物が生育し ないことが好ましい。溶液70/30c2中の血小板懸濁液に、栄養ブイヨン中 、4℃で生育することが知られている2種類の微生物(イエルシニア・エンテロ コリチカ(Yersinia enterocolitica)とリステリア・ モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes))を接種し た。次に、血小板と微生物を4℃で3週間保存した。図32に示されるように、 2種類の微生物のいずれも持続的な成長を示さなかった。 本発明を特定の実施態様を用いて説明してきたが、変更および改良は、添付の 請求の範囲の範囲によってのみ限定されるものである本発明の範囲から離れるこ となく実施できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR, NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL ,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU ,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL ,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK, SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,V N,YU,ZW (72)発明者 ワトソン、ジェームズ ディー ニュージーランド オークランド リデル ロード 769

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.生きた生物学的物質の保存用溶液であって、 (a)ラフィノース; (b)酸化トリメチルアミン;および (c)クエン酸ナトリウム を含んでなり、 保存すべき物質と等張であり、かつ、ヨウ化物、リン酸二水素塩、重炭酸塩、硝 酸塩および重硫酸塩を実質的に含まない溶液。 2.該ラフィノースと酸化トリメチルアミンが約1.1:1〜約2.0:1のモ ル比で存在する請求項1に記載の溶液。 3.該クエン酸ナトリウムが約5mM〜約20mMの濃度で存在する請求項1に 記載の溶液。 4.さらにカルシウムイオンを含有する請求項1に記載の溶液。 5.該カルシウムイオンが、硫酸カルシウムおよび塩化カルシウムからなる群か ら選択される化合物からのものである請求項4に記載の溶液。 6.保存すべき生物学的物質が哺乳動物物質であり、該溶液が約280mOsM 〜約320mOsMの浸透度を有する請求項1に記載の溶液。 7.保存すべき生物学的物質が値物物質であり、該溶液が約70mOsM〜約8 0mOsMの浸透度を有する請求項1に記載の溶液。 8.保存すべき生物学的物質が海洋物質であり、該溶液が約900mOsM〜約 1000mOsMの浸透度を有する請求項1に記載の溶液。 9.生きた生物学的物質の保存用溶液であって、酸化トリメチルアミノおよび塩 化ナトリウムを含んでなり、保存すべき物質と等張であり、かつ、ヨウ化物、リ ン酸二水素塩、重炭酸塩、硝酸塩および重硫酸塩を実質的に含まない溶液。 10.さらに、カルシウムイオンを含む請求項9に記載の溶液。 11.該カルシウムイオンが、硫酸カルシウムおよび塩化カルシウムからなる群 から選択される化合物からのものである請求項10に記載の溶液。 12.該酸化トリメチルアミンが、保存すべき物質と等張である酸化トリメチル アミン溶液の約60%〜約80容量%の量で存在し、該塩化ナトリウムが、保存 すべき物質と等張である塩化ナトリウム溶液の約40%〜約20容量%の量で存 在する請求項9に記載の溶液。 13.保存すべき生物学的物質が哺乳動物物質であり、該溶液が約280mOs M〜約320mOsMの浸透度を有する請求項9に記載の溶液。 14.保存すべき生物学的物質が植物物質であり、該溶液が約70mOsM〜約 80mOsMの浸透度を有する請求項9に記載の溶液。 15.保存すべき該溶液が海洋物質であり、該溶液が約900mOsM〜約10 00mOsMの浸透度を有する請求項9に記載の溶液。 16.生きた生物学的物質の保存用溶液であって、酸化トリメチルアミン、クエ ン酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを含んでなり、保存すべき物質と等張であ り、かつ、ヨウ化物、リン酸二水素塩、重炭酸塩、硝酸塩および重流酸塩を実質 的に含まない溶液。 17.該酸化トリメチルアミンが約150mM〜約220mMの濃 度で存在し、該クエン酸ナトリウムが約1.5mM〜約2.5mMの濃度で存在 し、該塩化ナトリウムが約35mM〜約55mMの濃度で存在する請求項16に 記載の溶液。 18.保存すべき生きた生物学的物質が哺乳動物物質であり、該溶液が約280 mOsM〜約320mOsMの浸透度を有する請求項16に記載の溶液。 19.保存すべき生きた生物学的物質が植物物質であり、該溶液が約70mOs M〜約80mOsMの浸透度を有する請求項16に記載の溶液。 20.保存すべき生きた生物学的物質が海洋物質であり、該溶液が約900mO sM〜約1000mOsMの浸透度を有する請求項16に記載の溶液。 21.水性液体の添加により、請求項1、9および16のいずれか一項に記載の 溶液を形成する濃縮された液体溶液。 22.水性液体の添加により、請求項1、9および16のいずれか一項に記載の 溶液を形成する固体の集合体。 23.生物学的物質の生存能力を保存する方法であって、該物質を請求項1、9 および16のいずれか一項に記載の溶液と接触させる工程を含んでなる方法。 24.生きた生物学的物質の生存能力を保存する方法であって、 (a)該生物学的物質を請求項1、9および16のいずれか一項に記載の溶液と 接触させ;そして (b)該生物学的物質を約4℃未満の温度で保持する 各工程を含んでなる方法。 25.生きた哺乳動物の生物学的物質の生存能力を保存する方法で あって、 (a)該生物学的物質を請求項6、13および18のいずれか一項に記載の溶液 と接触させ;そして (b)該生物学的物質を約4℃未満の温度に保持する 各工程を含んでなる方法。 26.生きた哺乳動物の生物学的物質が、器官、組織および細胞からなる群から 選択される請求項25に記載の方法。 27.生きた哺乳動物の生物学的物質が、心臓、腎臓、肺、肝臓、幹細胞、骨髄 、胚、全血、血小板、顆粒細胞、赤血球、樹枝状細胞、卵母細胞、骨芽細胞およ び皮膚細胞からなる群から選択される請求項25に記載の方法。 28.該生物学的物質が約0℃未満の温度で保持される請求項25に記載の方法 。 29.生きた植物の生物学的物質の生存能力を保存する方法であって、 (a)該生物学的物質を請求項7、14および19のいずれか一項に記載の溶液 と接触させ;そして (b)該生物学的物質を約4℃未満の温度に保持する 各工程を含んでなる方法。 30.該生物学的物質が約0℃未満の温度で保持される請求項29に記載の方法 。 31.生きた海洋性の生物学的物質の生存能力を保存する方法であって、 (a)該生物学的物質を請求項8、15および20のいずれか一項に記載の溶液 と接触させ;そして (b)該生物学的物質を約4℃未満の温度に保持する 各工程を含んでなる方法。 32.該生物学的物質が約0℃未満の温度に保持される請求項31に記載の方法 。 33.生物学的物質の生存能力を保存する方法であって、 (a)該生物学的物質を請求項1、9および16のいずれか一項に記載の溶液と 接触させ;そして (b)該生物学的物質と溶液の温度を約−80℃以下の温度まで低下させ、それ により該生物学的物質と溶液を凍結する 各工程を含んでなる方法。 34.該生物学的物質の温度を約−140℃以下の温度まで低下させる請求項3 3に記載の方法。 35.凍結された生物学的物質と溶液を迅速に解凍することをさらに含んでなる 請求項33に記載の方法。 36.該溶液が従来の凍結保護剤を実質的に含まない請求項33に記載の方法。 37.従来の凍結保護剤の非存在下において凍結温度で生物学的物質の生存能力 を保存する方法であって、 (a)該生物学的物質を請求項1、9および16のいずれか一項に記載の溶液と 接触させ;そして (b)該生物学的物質と溶液の温度を迅速に約−80℃以下の温度まで低下させ 、それにより該生物学的物質と溶液を凍結する 各工程を含んでなる方法。 38.生物学的物質の温度を約−140℃以下の温度まで低下させる請求項37 に記載の方法。 39.凍結された生物学的物質と溶液を迅速に解凍することをさらに含む請求項 37に記載の方法。
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