【発明の詳細な説明】
IL−8受容体アンタゴニスト
発明の分野
本発明は、新規アルケンジアミノ置換化合物、医薬組成物、それらの製造方法
、ならびにIL−8、GROα、GROβ、GROγ、ENA−78、およびN
AP−2により媒介される疾病の治療におけるそれらの使用に関する。
発明の背景
好中球誘引/活性化蛋白−1(NAP−1)、単球由来好中球化学走性因子(
MDNCF)、好中球活性化因子(NAF)、およびT細胞リンパ球化学走性因
子のごとく、多くの異なった名称がインターロイキン−8(IL−8)に付けら
れている。インターロイキン−8は好中球、好塩基球、およびT細胞の一部に対
する化学誘引物質である。インターロイキン−8は、主としてTNF、IL−1
α、IL−1βまたはLPSに曝露されたマクロファージ、繊維芽細胞、内皮お
よび上皮細胞を包含する有核細胞により、ならびにLPSまたは化学走性因子(
例えばFMLP)に曝露された場合の好中球自身により産生される。M.Baggiol
ini et al,J.Clin.Invest.84,1945(1989);J.Schroder et al,J.Immuno
l.139,3474(1987)およびJ.Inlmunol.144,2223(1990);Strieter,et al,S
cience 243 1467(1989)およびJ.Biol.Chem.264,10621(1989);Cassatella et
al,J.Immunol.148,3216(1992)。
GROα、GROβ、GROγおよびNAP−2もケモカインαファミリーに
属する。IL−8と同様、これらのケモカインも異なった名称で呼ばれている。
例えば、GROα、β、γはそれぞれMGSAα、β、γと呼ばれている(メラ
ノーマ増殖刺激活性)。Richmond et al,J.Cell Physiology 129,375(1986
)およびChang et al,J.Imrnunol.148,451(1992)参照。CXCモチーフの直
前にELRモチーフを有するα−ファミリーのケモカインはすべて、IL−8
B受
容体に結合する。
IL−8、GROα、GROβ、GROγ、ENA−78およびNAP−2は
インビトロにおいて多くの機能を刺激する。それらはすべて、好中球に対する化
学走性を有することが示されているが、IL−8およびGROαはTリンパ球お
よび好塩基球化学走性活性が示されている。さらに、IL−8は、正常およびア
トピー性の個体由来の好塩基球からのヒスタミン放出を誘導することができ、さ
らに、GROαおよびIL−8は、ライソゾーム酵素の放出および好中球からの
レスピラトリーバーストを誘導できる。IL−8は、デノボ蛋白合成を伴わない
好中球上のMac−1(CD11b/CD18)表面発現を増加させることも示
されている。このことは、血管内皮細胞に対する好中球の付着増加に貢献しうる
。多くの知られた疾病が塊状の好中球浸潤により特徴づけられている。IL−8
、GROα、GROβ、GROγおよびNAP−2は好中球の蓄積および活性化
を促進するので、これらのケモカインは乾癖およびリューマチ性関節炎を包含す
る広範な急性および慢性の炎症性疾患に関与している。Baggiolini et al,FEBS
Lett.307,97(1992);Miller et al,Crit.Rev.Immunol.12,17(1992);Oppen
heim et al,Annu.Rev.Immunol.9,617(1991);Seitz et al.,J.Clin.Inv
est.87,463(1991);Miller et al.,Am.Rev.Respir.Dis.146,427(1992);D
onnely et al.,Lancet 341,643(1993)。さらに、ELRケモカイン(CXCモ
チーフの直前にアミノ酸ELRモチーフを含むケモカイン)もアンギオスタシス
に関与している。Strieter et al,Science 258,1798(1992)。
インビトロにおいて、IL−8、GROα、GROβ、GROγおよびNAP
−2は、7−トランスメンブラン、G−プロテイン結合ファミリーの受容体に結
合し活性化することにより、詳細にはIL−8受容体に結合することにより、最
も明白にはB−受容体に結合することにより、好中球の形態変化、化学走性、顆
粒放出、およびレスピラトリーバースト誘導する。Thomas et al.,J.Biol.Ch
em.266,14839(1991);およびHolmes et al.,Science 253,1278(1991)。この
受容体ファミリーのメンバーに対する非ペプチド小型分子アンタゴニストの開発
には先例がある。概説としてはProgress in Drug Research,Vol.40,pp.33-9
8,
Birkhauser Verlag,Basel 1993中R.Freidinger記載部分参照。それゆえ、IL
−8受容体は新規抗炎症剤の開発のための将来有望な標的を提示する。
2種の高親和性ヒトIL−8受容体(相同性77%)が特徴づけられている。
それらは、IL−8のみに高親和性をもつて結合するIL−8Rα、ならびにI
L−8だけでなくGROα、GROβ、GROγおよびNAP−2にも高親和性
をもって結合するIL−8Rβである。Holmesらの上記文献;Murphy et al.,S
cience 253,1280(1991);Leeetal.,J.Biol.Chem.267,16283(1992);LaRos
a et al.,J.Biol.Chem.267,25402(1992);およびGayle et al.,J.Biol.
Chem.268,7283(1993)参照。
この分野における治療、IL−8αまたはβ受容体に結合しうる化合物に対す
る必要性があり続けている。それゆえ、IL−8産生増加(好中球および一部の
T細胞の炎症部位への化学走性の原因となる)に関連した症状は、IL−8受容
体結合の阻害剤である化合物により恩恵を受けるであろう。発明の概要
本発明は、IL−8αまたはβ受容体に結合するケモカインにより媒介される
疾病の処置方法を提供し、該方法は、有効量の式(I)の化合物またはその医薬
上許容される塩を投与することを含む。詳細には、ケモカインはIL−8である
。
また本発明は、IL−8のその受容体への結合を阻害する必要のある哺乳動物
におけるIL−8のその受容体への結合を阻害する方法であって、有効量の式(
I)の化合物を該咄乳動物に投与することを含む。
本発明において有用なのは下記構造式(I):
[式中、Zはシアノ、ニトロ、CF3、C(O)NR15R16、S(O)2NR15R16
、またはS(O)2R17であり;
R18は水素、ハロゲン、シアノ、置換されていてもよいC1-4アルキル、ハロ
置換C1-4アルキル、C(O)NR15R16、置換されていてもよいアリール、置
換されていてもよいアリールC1-4アルキル、置換されていてもよいヘテロアリ
ール、置換されていてもよいヘテロアリールC1-4アルキル、置換されていても
よいヘテロサイクリック、または置換されていてもよいヘテロサイクリックC1- 4
アルキルであり;
Rはイオン化可能な水素を有する官能基であり、pKaは10またはそれ未満
であり;
R1は、水素;ハロゲン;ニトロ;シアノ;ハロ置換C1-10アルキル;C1-10
アルキル;C2-10アルケニル;C1-10アルコキシ;ハロ置換C1-10アルコキシ;
アジド;(CR8R8)qS(O)tR4;ヒドロキシ;ヒドロキシC1-4アルキル;
アリール;アリールC1-4アルキル;アリールオキシ;アリールC1-4アルキルオ
キシ;ヘテロアリール;ヘテロアリールアルキル;ヘテロサイクリック;ヘテロ
サイクリックC1-4アルキル;ヘテロアリールC1-4アルキルオキシ;アリールC2-10
アルケニル;ヘテロアリールC2-10アルケニル;ヘテロサイクリックC2-10
アルケニル;(CR8R8)qNR4R5;C2-10アルケニルC(O)NR4R5;(
CR8R8)qC(O)NR4R5;(CR8R8)qC(O)NR4R10;S(O)3H
;S(O)3R8;(CR8R8)qC(O)R11;C2-10アルケニルC(O)R11
;C2-10アルケニルC(O)OR11;(CR8R8)qC(O)OR12;(CR8R8
)qOC(O)R11;(CR8R8)qNR4C(O)R11;(CR8R8)qNHS
(O)2R19;(CR8R8)qS(O)2NR4R5から独立して選択されるか;あ
るいは2個のR1基は一緒になってO−(CH2)sO−または5ないし6員の飽
和もしくは不飽和環を形成してもよく;ここにアリール、ヘテロアリール、およ
びヘテロサイクリック含有部分は置換されていてもよく;
qは0、または1ないし10の値を有する整数であり;
tは0、または1もしくは2の値を有する整数であり;
sは1ないし3の値を有する整数であり;
vは0、または1ないし4の値を有する整数であり;
R4およびR5は独立して水素、置換されていてもよいC1-4アルキル、置換さ
れていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールC1-4アルキル、置換
されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアリールC1-4
アルキル、ヘテロサイクリック、ヘテロサイクリックC1-4アルキルであるか、
あるいはR4およびR5はそれらが結合する窒素と一緒になって、酸素、窒素また
はイオウから選択されるさらなる異種原子を含んでいてもよい5ないし7員環を
形成し;
Yは、水素;ハロゲン;ニトロ;シアノ;ハロ置換C1-10アルキル;C1-10ア
ルキル;C2-10アルケニル;C1-10アルコキシ;ハロ置換C1-10アルコキシ;ア
ジド;(CR8R8)qS(O)tR4;ヒドロキシ;ヒドロキシC1-4アルキル;ア
リール;アリールC1-4アルキル;アリールオキシ;アリールC1-4アルキルオキ
シ;ヘテロアリール;ヘテロアリールアルキル;ヘテロアリールC1-4アルキル
オキシ;ヘテロサイクリック;ヘテロサイクリックC1-4アルキル;アリールC2 -10
アルケニル;ヘテロアリールC2-10アルケニル;ヘテロサイクリックC2-10
アルケニル;(CR8R8)qNR4R5;C2-10アルケニルC(O)NR4R5;(
CR8R8)qC(O)NR4R5;(CR8R8)qC(O)NR4R10;S(O)3H
;S(O)3R8;(CR8R8)qC(O)R11;C2-10アルケニルC(O)R11
;C2-10アルケニルC(O)OR11;C(O)R11;(CR8R8)qC(O)O
R12;(CR8R8)qOC(O)R11;(CR8R8)qNR4C(O)R11;(C
R8R8)qNHS(O)2Rd;(CR8R8)qS(O)2NR4R5から独立して選
択されるか;あるいは2個のY基は一緒になってO−(CH2)sO−または5な
いし6員の飽和または不飽和環を形成してもよく;ここにアリール、ヘテロアリ
ール、およびヘテロサイクリック含有部分は置換されていてもよく;
nは1ないし3の値を有する整数であり;
mは1ないし3の値を有する整数であり;
R6およびR7は独立して水素またはC1-4アルキル基であるか、あるいはR6お
よびR7はそれらが結合する窒素と一緒になって、酸素、窒素またはイオウか
ら選択されるさらなる異種原子を含んでいてもよい5ないし7員環を形成し;
R8は水素またはC1-4アルキルから独立して選択され;
R10はC1-10アルキルC(O)2R8であり;
R11は水素、C1-4アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されてい
てもよいアリールC1-4アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換
されていてもよいヘテロアリールC1-4アルキル、置換されていてもよいヘテロ
サイクリック、または置換されていてもよいヘテロサイクリックC1-4アルキル
であり;
R12は水素、C1-10アルキル、置換されていてもよいアリールまたは置換され
ていてもよいアリールアルキルであり;
R13およびR14は独立して水素、置換されていてもよいC1-4アルキルである
か、あるいはR13およびR14の一方は置換されていてもよいアリールであっても
よく;
R15およびR16は独立して水素、置換されていてもよいC1-4ルキル、置換さ
れていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールC1-4アルキル、置換
されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアリールC1-4
アルキル、置換されていてもよいヘテロサイクリック、置換されていてもよいヘ
テロサイクリックC1-4アルキルであるか、あるいはR15およびR16はそれらが
結合する窒素と一緒になって、酸素、窒素またはイオウから選択されるさらなる
異種原子を含んでいてもよい5ないし7員環を形成してもよく;
R17はC1-4アルキル、OR11、置換されていてもよいアリール、置換されて
いてもよいアリールC1-4アルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置
換されていてもよいヘテロアリールC1-4アルキル、置換されていてもよいヘテ
ロサイクリック、または置換されていてもよいヘテロサイクリックC1-4アルキ
ルであり;
R19はC1-4アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテ
ロアリールC1-4アルキル、ヘテロサイクリック、またはヘテロサイクリックC1 -4
アルキルであり、ここにこれらすべての基は置換されていてもよく;
RdはNR6R7、アルキル、アリールC1-4アルキル、アリールC2-4アルケニ
ル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1-4アルキル、ヘテロアリールC2-4ア
ルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロサイクリックC1-4アルキルであり、こ
こにアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール
アルキル、ヘテロサイクリック、およびヘテロサイクリックアルキル環は置換さ
れていてもよく;
R20はW1、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいC5 -8
シクロアルキル、置換されていてもよいC1-10アルキル、置換されていてもよ
いC2-10アルケニル、または置換されていてもよいC2-10アルキニルであり;
W1は
Wは
E含有環は
ポイントを示し;
E'含有環は
スク*は環の結合ポイントを示す]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩である。発明の詳細な説明
式(I)の化合物は、IL−8αおよびβ受容体に結合するIL−8または他
のケモカインの阻害を必要とするヒト以外の哺乳動物の獣医学的処置に関しても
有用でありうる。動物において治療的または予防的に処置される、ケモカインに
より媒介される疾病は、本明細書の処置方法のセクションに記載の疾病を包含す
る。
適当には、Wは
適当には、E含有環はから選択されてもよい。
アステリスク(*)により結合ポイントが示されるE含有環は存在していても
よい。存在しない場合、環は図示されたように(R1)m基により置換されていて
もよいフェニル基である。E環はいずれかの環において(R1)m基により置換さ
れていてもよく、飽和または不飽和であってよく、本明細書においては不飽和環
においてのみ置換されているように示す。
式(I)の化合物において、適当には、Rは、10またはそれ未満、好ましく
は約3ないし9、より好ましくは約3ないし7のpKaを有するイオン化可能な
水素を提供する官能基である。かかる官能基はヒドロキシ、カルボン酸、チオー
ル、SR2、OR2、NH−C(O)Ra、C(O)NR6'R7'、式NHS(O)2
Rbで示される置換スルホンアミド、S(O)2NHRc、NHC(X2)NHRb
、またはテトラゾリルを包含するが、これらに限らない。
適当には、X2は酸素またはイオウであり、好ましくは酸素である。
好ましくは、官能基はスルホン酸以外のものであり、アリール、ヘテロアリー
ル、またはヘテロサイクリック部分環上に直接存在するかあるいはSR2もしく
はOR2におけるがごとくアリール、ヘテロアリール、またはヘテロサイクリッ
ク部分環上の置換基として存在する。より好ましくは、RはOH、SH、または
NHS(O)2Rbである。
適当には、R2は置換アリール、ヘテロアリール、またはヘテロイクリック環
であり、該環は10またはそれ未満のpKaを有するイオン化可能な水素を提供
する官能基を含む。
適当には、R6'およびR7'は水素、C1-4アルキル、アリール、アリールC1-4
アルキル、アリールC2-4アルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールC1-4ア
ルキル、ヘテロアリールC2-4アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロサイク
リックC1-4アルキル、ヘテロサイクリックC2-4アルケニル基であり、これらす
べては、ハロゲン;ニトロ;CF3のごときハロ置換C1-4アルキル;メチルのご
ときC1-4アルキル;メトキシのごときC1-4アルコキシ;NR9C(O)Ra;C
(O)NR6R7;S(O)3H;またはC(O)OC1-4アルキルにより独立して
1回ないし3回置換されていてもよいが、R6'およびR7'の一方が水素であるが
両方ともが水素でない。
適当には、R6およびR7は独立して水素またはC1-4アルキル基であるか、あ
るいはR6およびR7はそれらが結合する窒素と一緒になって酸素、窒素またはイ
オウから選択されるさらなる異種原子を含んでいてもよい5ないし7員環を形成
する。このヘテロ環は本明細書に定義のごとく置換されていてもよい。
適当には、Raはアリール、アリールC1-4アルキル、ヘテロアリール、ヘテロ
アリールC1-4アルキル、ヘテロサイクリック、またはヘテロサイクリックC1-4
アルキル基であり、それらすべてが1個ないし3個の基により独立して置換され
ていてもよく、該1個ないし3個の基はさらなるイオン化可能な基を含んでいて
もよく、該1個ないし3個の基はハロゲン、ニトロ、ハロ置換C1-4アルキル、
C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヒドロキシ、SH、C(O)NR6R7、NH
−C(O)Ra、NHS(O)2Rb、S(O)2NR6R7、C(O)OR8、また
はテトラゾリル環を包含するがこれらに限らない。
適当には、RbはNR6R7、アルキル、アリール、アリールC1-4アルキル、ア
リールC2-4アルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールC1-4アルキル、ヘテ
ロアリールC2-4アルケニル、ヘテロサイクリック、またはヘテロサイクリック
C1-4アルキル、またはヘテロサイクリックC2-4アルケニル基、またはカンファ
ーであり、それらすべてはハロゲン;ニトロ;CF3のごときハロ置換C1-4アル
キル;メチルのごときC1-4アルキル;メトキシのごときC1-4−アルコキシ;N
R9C(O)Ra;C(O)NR6R7;S(O)3H;またはC(O)OC1-4アル
キルにより独立して1回ないし3回置換されていてもよい。
適当には、R9は水素またはC1-4アルキルであり、好ましくは水素である。
好ましくは、Rbは置換されていてもよいフェニル、ベンジル、またはスチリ
ルである。Rbがヘテロアリールの場合、好ましくは、それは置換されていても
よいチアゾール、置換されていてもよいチエニル、または置換されていてもよい
キノリニル環である。好ましくは、Rb置換基がNR9C(O)Raである場合、
好ましくは、Raはメチルのごときアルキル基である。
適当には、Rcは水素、アルキル、アリール、アリールC1-4アルキル、アリー
ルC1-4アルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールC1-4アルキル、ヘテロア
リールC1-4アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロサイクリックC1-4アルキ
ル、またはヘテロサイクリックC1-4アルケニル基であり、それらすべてはハロ
ゲン、ニトロ、ハロ置換C1-4アルキル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、N
R9C(O)Ra、C(O)NR6R7、S(O)3H、またはC(O)OC1-4アル
キルにより独立して1回ないし3回置換されていてもよい。好ましくは、Rcは
置換されていてもよいフェニルである。
式(I)の化合物において、適当には、R1は、水素;ハロゲン;ニトロ;シ
アノ;CF3のごときハロ置換C1-10アルキル;メチル、エチル、イソプロピル
もしくはn−プロピルのごときC1-10アルキル;C2-10アルケニル;メトキシも
しくはエトキシのごときC1-10アルコキシ;トリフルオロメトキシのごときハロ
置換C1-10アルコキシ;アジド;(CR8R8)qS(O)tR4(tは0、1もし
くは2);ヒドロキシ;メタノールもしくはエタノールのごときヒドロキシC1- 4
アルキル;フェニルもしくはナフチルのごときアリール;ベンジルのごときア
リールC1-4アルキル;フェノキシのごときアリールオキシ;ベンジルオキシの
ごときアリールC1-4アルキルオキシ;ヘテロアリール;ヘテロアリールア
ルキル;ヘテロアリールC1-4アルキルオキシ;アリールC2-10アルケニル;ヘ
テロアリールC2-10アルケニル;ヘテロサイクリックC2-10アルケニル;(CR8
R8)qNR4R5;C2-10アルケニルC(O)NR4R5;(CR8R8)qC(O)
NR4R5;(CR8R8)qC(O)NR4R10;S(O)3H;S(O)3R8;(
CR8R8)qC(O)R11;C2-10アルケニルC(O)R11;C2-10アルケニル
C(O)OR11;C(O)R11;(CR8R8)qC(O)OR12;(CR8R8)q
OC(O)R11;(CR8R8)qNR4C(O)R11;(CR8R8)qNHS(O
)2R19;(CR8R8)qS(O)2NR4R5から独立して選択されるか;あるい
は2個のR1基は一緒になってO−(CH2)sO−または5ないし6員の飽和も
しくは不飽和環を形成してもよい。アリール;ヘテロアリール、およびヘテロサ
イクリック含有部分はすべて、後で定義するように置換されていてもよい。
適当には、sは1ないし3の値を有する整数である。
適当には、qは0、または1ないし10の値を有する整数である。
R1がジオキシブリッジを形成する場合、好ましくはsは1である。R1がさら
なる飽和もしくは不飽和環を形成する場合、好ましくは、それはナフチレン環シ
ステムを生じる6員環である。このナフチレン環は、他のR1基(上記定義のも
の)により独立して1回ないし3回置換されていてもよい。
適当には、R4およびR5は独立して水素、置換されていてもよいC1-4アルキ
ル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールC1-4アル
キル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテリアリ
ールC1-4アルキル、ヘテロサイクリック、またはヘテロサイクリックC1-4アル
キルであるか、あるいはR4およびR5はそれらが結合する窒素と一緒になってO
/N/Sから選択されるさらなる異種原子を含んでいてもよい5ないし7員環を
形成する。
適当には、R8は水素またはC1-4アルキルから独立して選択される。
適当には、R10はCH2C(O)2HもしくはCH2C(O)2CH3のごときC1 -10
アルキルC(O)2R8である。
適当には、R11は水素、C1-4アルキル、アリール、アリールC1-4アルキル、
ヘテロアリール、ヘテロアリールC1-4アルキル、ヘテロサイクリック、または
ヘテロサイクリックC1-4アルキルである。
適当には、R12は水素、C1-10アルキル、置換されていてもよいアリールまた
は置換されていてもよいアリールアルキルである。
R19はC1-4アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテ
ロアリールC1-4アルキル、ヘテロサイクリック、またはヘテロサイクリックC1 -4
アルキルであり、これらの基すべては置換されていてもよい。
好ましくは、R1はハロゲン、シアノ、ニトロ、CF3、C(O)NR4R5、ア
ルケニルC(O)NR4R5、C(O)R4R10、アルケニルC(O)OR12、ヘ
テロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、またはS
(O)NR4R5であり、好ましくはR4およびR5は両方とも水素であるか、ある
いは一方がフェニルである。R1についての好ましい環の置換位置はフェニル含
有環の4−位である。
RがOH、SHまたはNSO2Rbである場合、好ましくはR1は3−位または
4−位で置換されているか、あるいは3,4−位でジ置換されている。適当には
、置換基は電子吸引基である。そのうえ、好ましくは、RがOH、SHまたはN
SO2Rbである場合、R1はニトロ、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、
または
C(O)NR4R5基である。Rがカルボン酸の場合、好ましくはR1は水素であ
るか、あるいは好ましくはR1は4−位で置換されており、より好ましくはトリ
フルオロメチルまたはクロロにより置換されている。
式(I)の化合物において、適当には、R13およびR14は独立して水素、置換
されていてもよいC1-4アルキル(本明細書において定義するように直鎖状であ
っても分枝状であってもよい)であり、あるいはR13およびR14の一方は置換さ
れていてもよいアリールであり;vは0、または1ないし4の値を有する整数で
ある。
R13またはR14が置換されていてもよいアルキル基である場合、該アルキル基
はハロゲン;トリフルオロメチルのごときハロ置換C1-4アルキル;ヒドロキシ
;ヒドロキシC1-4アルキル、メトキシもしくはエトキシのごときC1-4アルコキ
シ;ハロ置換C1-10アルコキシ、S(O)tR4;アリール;NR4R5;NHC(
O)R4;C(O)NR4R5;またはC(O)OR8により独立して1回ないし3
回置換されていてもよい。
適当には、Yは、水素;ハロゲン;ニトロ;シアノ;ハロ置換C1-10アルキル
;C1-10アルキル;C2-10アルケニル;C1-10アルコキシ;ハロ置換C1-10アル
コキシ;アジド;(CR8R8)qS(O)tR4;ヒドロキシ;ヒドロキシC1-4ア
ルキル;アリール;アリールC1-4アルキル;アリールオキシ;アリールC1-4ア
ルキルオキシ;ヘテロアリール;ヘテロアリールアルキル;ヘテロアリールC1- 4
アルキルオキシ;ヘテロサイクリック;ヘテロサイクリックC1-4アルキル;ア
リールC2-10アルケニル;ヘテロアリールC2-10アルケニル;ヘテロサイクリッ
クC2-10アルケニル;(CR8R8)qNR4R5;C2-10アルケニルC(O)NR4
R5;(CR8R8)qC(O)NR4R5;(CR8R8)qC(O)NR4R10;S(
O)3H;S(O)3R8;(CR8R8)qC(O)R11;C2-10アルケニルC(O
)R11;C2-10アルケニルC(O)OR11;(CR8R8)qC(O)OR12;(
CR8R8)qOC(O)R11;(CR8R8)qNR4C(O)R11;(CR8R8)q
NHS(O)2Rd;(CR8R8)qS(O)2NR4R5から独立して選択されるか
、あるいは2個のY基は一緒になってO−(CH2)sO−または5ないし6員の
飽和もしくは不飽和環を形成してもよい。
Yがジオキシブリッジを形成する場合、好ましくはsは1である。Yがさらな
る飽和または不飽和環を形成する場合、好ましくは、それはナフチレン環システ
ムを生じる6員環である。これらの環は、他のY(上で定義したもの)により1
ないし3回置換されていてもよい。上記のアリール、ヘテロアリール、およびヘ
テロサイクリック含有部分はすべて、本明細書記載のごとく置換されていてもよ
い。
適当には、RdはNR6R7、アルキル、アリールC1-4アルキル、アリール
C2-4アルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1-4アルキル、ヘテロア
リールC2-4アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロサイクリックC1-4アルキ
ル、またはヘテロサイクリックC2-4アルケニル基であり、ここに上記のアルキ
ル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロサイクリック含有部分はすべて、
本明細書に定義のごとく置換されていてもよい。
好ましくは、Yはハロゲン、C1-4アルコキシ、置換されていてもよいアリー
ル、置換されていてもよいアリールオキシまたはアリールアルコキシ、メチレン
ジオキシ、NR4R5、チオC1-4アルキル、チオアリール、ハロ置換アルコキシ
、置換されていてもよいC1-4アルキル、またはヒドロキシアルキルである。よ
り好ましくは、Yはモノ−もしくはジ−置換ハロゲン、モノ−もしくはジ−置換
アルコキシ、メチレンジオキシ、アリール、またはアルキルであり;より好まし
くは、これらの基は2'−位または2'−,3'−位でモノ−もしくはジ−置換され
ている。
Yは環の5つの位置のいずれにおいても置換されていてもよいが、好ましくは
、RがOH、SH、またはNSO2Rbである場合、好ましくはYは2'−位もし
くは3'−位でモノ−置換されており、好ましくは4'−は未置換である。環がジ
置換ならば、RがOH、SH、またはNSO2Rbである場合には、好ましくは、
置換基はモノサイクリック環の2'もしくは3'位に存在する。R1およびYの両
方が水素であってもよいが、少なくとも1つの環が置換されており、好ましくは
両方の環が置換されているのが好ましい。
式(I)の化合物において、適当には、Zはシアノ、ニトロ、CF3、C(O
)NR15R16、S(O)2NR15R16、またはS(O)2R17である。
適当には、R15およびR16は独立して水素、置換されていてもよいC1-4アル
キル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールC1-4ア
ルキル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロア
リールC1-4アルキル、置換されていてもよいヘテロサイクリック、置換されて
いてもよいヘテロサイクリックC1-4アルキルであるか、あるいはR15およびR1 6
はそれらが結合する窒素と一緒になって、酸素、窒素、またはイオウから選
択されるさらなる異種原子を含んでいてもよい5ないし7員環を形成してもよい
。
適当には、R17はC1-4アルキル、OR11、置換されていてもよいアリール、
置換されていてもよいアリールC1-4アルキル、置換されていてもよいヘテロア
リール、置換されていてもよいヘテロアリールC1-4アルキル、置換されていて
もよいヘテロサイクリック、または置換されていてもよいヘテロサイクリックC1-4
アルキルである。
式(I)の化合物において、適当には、R18は水素、ハロゲン、シアノ、置換
されていてもよいC1-4アルキル、ハロ置換C1-4アルキル、C(O)NR15R16
、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリールC1-4アルキ
ル、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロアリー
ルC1-4アルキル、置換されていてもよいヘテロサイクリック、または置換され
ていてもよいヘテロサイクリックC1-4アルキルである。
アステリスク(*)により結合ポイントが示されるEおよびE'環は存在して
いてもよい。存在しない場合、環は図示したようにR1およびY基により置換さ
れたフェニル基である。EおよびE'環はいずれかの環においてそれぞれR1およ
びY基により置換されていてもよく、飽和または不飽和であってよく、本明細書
においては不飽和環においてのみ置換されているように示す。
式(I)の化合物において、R20はW1、置換されていてもよいヘテロアリー
ル、置換されていてもよいC5-8シクロアルキル、置換されていてもよいC1-10
アルキル、置換されていてもよいC2-10アルケニル、または置換されていてもよ
い置換C2-10アルキニルである。
R20が置換されていてもよいC5-8シクロアルキル環の場合、環は上記のごと
く(Y)nにより置換されていてもよい。
R20が置換されていてもよいC1-10アルキル、置換されていてもよいC2-10ア
ルケニル、または置換されていてもよいC2-10アルキニルである場合、これらの
基はハロゲン、ニトロ;シアノ;トリフルオロメチルのごときハロ置換C1-10ア
ルキル;C1-10アルコキシ;ハロ置換C1-10アルコキシ;S(O)tR4;ヒドロ
キシ;ヒドロキシC1-4アルキル;アリールオキシ;アリー
ルC1-4アルキルオキシ;ヘテロアリールオキシ;ヘテロアリールC1-4アルキル
オキシ;ヘテロサイクリック;ヘテロサイクリックC1-4アルキル;ヘテロサイ
クリック−オキシ;ヘテロサイクリックC1-4アルキルオキシ;NR4R5;C(
O)NR4R5;C(O)NR4R10;S(O)3H;S(O)3R8;C(O)R11
;C(O)OR12;OC(O)R11;NR4C(O)R11により独立して1回な
いし3回置換されていてもよい。
R20が置換されていてもよいC2-10アルケニル、または置換されていてもよい
C2-10アルキニルである場合、これらの基は、上記の他の基に加えて、アリール
、アリールC1-4アルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルで
置換されていてもよい。
適当には、W1は
適当には、E'含有環は
から選択されてもよい。
アステリスク(*)により結合ポイントが示されるE'含有環は存在していて
もよい。存在しない場合、環は図示したようにY基により置換されたフェニル基
である。E'環はいずれかの環において(Y)nにより置換されていてもよく、飽
和
または不飽和であってよく、本明細書においては不飽和環においてのみ置換され
ているように示す。
式(I)の化合物において、R20がヘテロアリール(HET)環である場合、
適当には、それはヘテロアリール環または環システムである。HET部分が多環
システムである場合、異種原子を含む環はウレア部分に直接結合している必要は
ない。この環システム中のすべての環は本明細書定義のごとく置換されていても
よい。好ましくは、HET部分はピリジルであり、2−、3−、または4−ピリ
ジルであってもよい。環が多環システム環である場合、好ましくは、それはベン
ゾイミダゾール、ジベンゾチオフェン、またはインドール環である。興味ある他
のヘテロサイクリック環はチオフェン、フラン、ピリミジン、ピロール、ピラゾ
ール、キノリン、イソキノリン、キナゾリニル、ピリジン、オキサゾール、チア
ゾール、チアジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、またはベンゾイミダゾ
ールを包含するが、これらに限らない。
式(I)の化合物において、HET環はYにより1回ないし3回独立して置換
されていてもよく(すなわち(Y(n))により置換されていてもよく)、ここに
nは1ないし3の値を有する整数である。適当には、Yは水素;ハロゲン;ニト
ロ;シアノ;ハロ置換C1-10アルキル;C1-10アルキル;C2-10アルケニル;C1-10
アルコキシ;ハロ置換C1-10アルコキシ;アジド;(CR8R8)qS(O)t
R4;ヒドロキシ;ヒドロキシC1-4アルキル;アリール;アリールC1-4アルキ
ル;アリールオキシ;アリールC1-4アルキルオキシ;ヘテロアリール;ヘテロ
アリールアルキル;ヘテロアリールC1-4アルキルオキシ;ヘテロサイクリック
;ヘテロサイクリックC1-4アルキル;アリールC2-10アルケニル;ヘテロアリ
ールC2-10アルケニル;ヘテロサイクリックC2-10アルケニル;(CR8R8)q
NR4R5;C2-10アルケニルC(O)NR4R5;(CR8R8)qC(O)NR4R5
;(CR8R8)qC(O)NR4R10;S(O)3H;S(O)3R8;(CR8R8
)qC(O)R11;C2-10アルケニルC(O)R11;C2-10アルケニルC(O)
OR11;C(O)R11;(CR8R8)qC(O)OR12;(CR8R8)qOC(O
)R11;
(CR8R8)qNR4C(O)R11;(CR8R8)qNHS(O)2Rd;(CR8R8
)qS(O)2NR4R5から独立して選択されるか;あるいは2個のY基は一緒
になってO−(CH2)sO−または5ないし6員の飽和もしくは不飽和環を形成
してもよい。これらのアリール、ヘテロアリール、およびヘテロサイクリック含
有部分は本明細書定義のごとく置換されていてもよい。
適当には、RdはNR6R7、アルキル、アリールC1-4アルキル、アリールC2- 4
アルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1-4アルキル、ヘテロアリー
ルC2-4アルケニル、ヘテロサイクリック、ヘテロサイクリックC1-4アルキルで
あり、ここにアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロサイクリック
含有部分は本明細書定義のごとく置換されていてもよい。
好ましくは、R20は置換されていてもよいフェニル、アリル、C1-10アルキル
、エトキシカルボニルエチル、ジメチルアセタール、2−メトキシイソプロピル
、または2−メトキシエチルである。
適当な医薬上許容される塩は当業者によく知られており、塩酸、臭化水素酸、
硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸
、クエン酸、乳酸、蓚酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、安息香酸、サリチ
ル酸、フェニル酢酸およびマンデリン酸のごとき無機酸および有機酸の塩基性塩
を包含する。さらに、例えば置換基がカルボキシ基を含む場合には医薬上許容さ
れるカチオンを用いて式(I)の化合物の医薬上許容される塩を得てもよい。適
当な医薬上許容されるカチオンは当業者によく知られており、アルカリ金属、ア
リカリ土類金属、アンモニウムおよび4級アンモニウムカチオンを包含する。
本明細書の以下の用語は次のようなものをいう:
・「ハロ」−すべてのハロゲン、すなわち、クロロ、フルオロ、ブロモおよびヨ
ード。
・「C1-10アルキル」または「アルキル」−鎖長を限定しないかぎり、ともに1
ないし10個の炭素原子の直鎖基および分枝基であり、メチル、エチル、n−プ
ロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、t
ert−ブチル、n−ペンチル等を包含するが、これらに限らない。
・本明細書の用語「シクロアルキル」とは、好ましくは3ないし8個の炭素の環
状基を意味し、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を包含する
が、これらに限らない。
・本明細書の用語「アルケニル」とは、すべての場合において、鎖長を限定し
ないかぎり、ともに2ないし10個の炭素原子の直鎖基および分枝基を意味し、
エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1
−ブテニル、2−ブテニル等を包含するが、これらに限らない。
・「アリール」−フェニルおよびナフチル。
・「ヘテロアリール」(それ自体あるいは「ヘテロアリールオキシ」または「ヘ
テロアリールアルキル」のごとき組み合わせにおいて)−5〜10員の芳香族環
システムであって、その中の1個またはそれ以上の環がN、OまたはSからなる
群より選択される1個またはそれ以上の異種原子を含むものであり、例えば、ピ
ロール、ピラゾール、フラン、チオフェン、キノリン、イソキノリン、キナゾリ
ニル、ピリジン、ピリミジン、オキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、ト
リアゾール、イミダゾール、またはベンゾイミダゾールが挙げられるが、これら
に限らない。
・「ヘテロサイクリック」(それ自体あるいは「ヘテロサイクリックアルキル」
のごとき組み合わせにおいて)−飽和または部分的に不飽和の4〜10員環シス
テムであり、その中で1個またはそれ以上の環がN、O、またはSからなる群よ
り選択される1個またはそれ以上の異種原子を含むものであり、例えばピロリジ
ン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロピラン、またはイミダ
ゾリジンが挙げられるが、これらに限らない。
・本明細書の用語「アリールアルキル」または「ヘテロアリールアルキル」また
は「ヘテロサイクリックアルキル」とは、特記しないかぎり、アリール、ヘテロ
アリールまたはヘテロサイクリック部分に結合した、上で定義したC1-10アルキ
ルを意味する。
・「スルフィニル」−対応スルフィドのオキシドS(O)であり、用語「チオ」
はスルフィドをいい、用語「スルホニル」は完全に酸化されたS(O)2基をい
う。
・本明細書の用語「2個のR1基は(2個のY基は)一緒になって5または6員
の飽和もしくは不飽和環を形成してもよい」とは、ナフチレン環システムの形成
またはC6シクロアルケニル(すなわちシクロヘキセン)もしくはC5シクロアル
ケニル部分(シクロペンテン)のごとき5または6員の部分的に飽和または不飽
和の環に結合したフェニル部分の形成を意味する。
本明細書の用語「置換されていてもよい」とは、特記しないかぎり、フッ素、
塩素、臭素またはヨウ素のごときハロゲン;ヒドロキシ;ヒドロキシ置換C1-10
アルキル;メトキシまたはエトキシのごときC1-10アルコキシ;メチルチオ、メ
チルスルフィニルまたはメチルスルホニルのごときS(O)m'C1-10アルキル(
m'は0、1または2);NR4R5基におけるがごときアミノ、モノおよびジ−
置換アミノ;NHC(O)R4;C(O)NR4R5;C(O)OH;S(O)2N
R4R5;NHS(O)2R21;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、また
はt−ブチルのごときC1-10アルキル;CF3のごときハロ置換C1-10アルキル
;フェニルのごとき置換されていてもよいアリール;ベンジルまたはフェネチル
のごとき置換されていてもよいアリールアルキル;置換されていてもよいヘテロ
サイクリック;置換されていてもよいヘテロサイクリックアルキル;置換されて
いてもよいヘテロアリール;または置換されていてもよいヘテロアリールアルキ
ルのごとき基を意味し、ここにこれらのアリール、ヘテロアリール、またはヘテ
ロサイクリック部分はハロゲン;ヒドロキシ;ヒドロキシ置換アルキル;C1-10
アルコキシ;S(O)m'C1-10アルキル;NR4R5基におけるがごときアミノ、
モノおよびジ−置換アミノ;C1-10アルキル、またはCF3のごときハロ置換C1 -10
アルキルにより1回ないし3回独立して置換されていてもよい。
適当には、R21はC1-4アルキル、アリール、アリールC1-4アルキル、ヘテロ
アリール、ヘテロアリールC1-4アルキル、ヘテロサイクリック、またはヘテロ
サイクリックC1-4アルキルである。
本発明化合物は立体異性体、位置異性体、またはジアステレオマーとして存在
してもよいことが認識される。これらの化合物は1個またはそれ以上の不斉炭素
原子を含んでいてもよく、ラセミ体および光学的に活性な形態で存在してもよい
。これらの化合物のすべては本発明の範囲内に含まれる。
製造方法
下のスキームに示した合成手順のいくつかを適用することによって式(I)の
化合物を得てもよい。これらのスキームに示した合成は、種々の異なるR、R1
、およびアリール基を有する式(I)の化合物の製造に適用できる。スキーム中
に説明した反応に適合するように適当に保護された存在してもよい置換基を用い
て反応を行う。そのような場合、後で脱保護を行い、ついで、一般的に開示され
た性質の化合物を得る。ウレア核ができたら、官能基相互変換のための標準的方
法を適用することにより、これらの式を有するさらなる化合物を製造することが
できる。式(I)の化合物についてのみスキームを示すが、これは説明だけを目
的としたものである。
調製方法
下のスキームに示した合成手順のいくつかを適用することによって式(I)の
化合物を得てもよい。これらのスキームに示した合成は、種々の異なるR、R1
、およびアリール等の基を有する式(I)の化合物の製造に適用できる。スキー
ム中に説明した反応に適合するように適当に保護された存在してもよい置換基を
用いて反応を行う。そのような場合、後で脱保護を行い、ついで、一般的に開示
された性質の化合物を得る。ウレア核ができたら、官能基相互変換のための標準
的方法を適用することにより、これらの式を有するさらなる化合物を製造するこ
とができる。
チオイミデート(2,スキーム1)から標記化合物を合成することができる。
スキーム中に用いたR'は式(I)の化合物について定義したR18である。同様
に、R''は、式(I)の化合物において定義した(R13R14)v−R20リンケー
ジである。Zは式(I)の化合物において定義したものと同じである。
スキーム1 電子吸引置換メチレン化合物1をLDA、アルキルリチウムまたはカリウムt
−ブトキシドのごとき強塩基と縮合させることによりチオイミデートを合成する
ことができる。ついで、生じたアニオンを市販チオイソシアネート(チオイソシ
アネートが市販されていない場合、重炭酸ナトリウムのごとき塩基の存在下で所
望アミンをチオホスゲンと反応させることにより合成できる)と反応させること
ができる。ついで、得られたチオアニオンを、ヨウ化メチルのようなハロゲン化
アルキルを用いてアルキル化して2を得る。
別法として、EDCのようなカップリング試薬の存在下で市販の酸3をアミン
と反応させることにより2を合成することもできる(スキーム2)。
スキーム2
ついで、アミドをLawessonの試薬と反応させることにより対応チオアミドを合
成することができる。最後に、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)または
ナトリウムヘキサメチルジシラザンのような塩基を用いる脱プロトン化、ついで
、ヨウ化メチルを用いるアルキル化を行って2を得ることによりチオイミデート
を合成することができる。
ついで、チオイミデートをオルト官能化アニリンと反応させて標記化合物5を
得ることができる。酸化水銀または酢酸銀のようなイオウに対して高親和性を有
する金属塩を添加することにより、あるいはジメチルオキシランでイオウを酸化
してより良好な脱離基を生成することにより、反応を加速することができる。
スキーム3
別法として、チオウレアまたはウレアをアニオンZCH−R'(ZCH2R'を
LDAのごとき塩基と反応させて得る)と反応させることにより標記化合物(5
,スキーム4)を合成することもできる。1996年6月27日出願の米国仮出
願USSN60/020655(代理人処理番号P50467P)、および19
96年8月21日出願のUSSN08/701299(代理人処理番号P503
24−2)(これらの開示を参照により本明細書に記載されているものとみなす
)に記載のごとくチオウレアまたはウレアを合成する。
スキーム4
別法として、保護された2−ヒドロキシアニリンを用いて標記化合物を合成す
ることもできる(1996年6月27日出願の米国仮出願USSN60/020
655(代理人処理番号P50467P)に記載の合成を参照)。ついで、チオ
ホスゲンを用いてこの化合物をチオイソシアネートに変換し、ついで、RNH2
と反応させる。ついで、メタンスルホニルクロライドおよびトリエチルアミンの
ごとき塩基を用いてこの化合物を対応カルボジイミドに変換することができる。
スキーム5 ついで、トリエチルアミンまたは水素化ナトリウムのごとき塩基の存在下でカ
ルボジイミド8,スキーム5をZCH2R'と反応させて9を得ることができる。
ついで、この化合物を、THFのごとき極性溶媒中、Pd(PPh3)4、水素化
ホウ素ナトリウムおよびモルホリンのごとき標準的条件により脱保護して所望1
,1ジアミノエチレン10を得ることができる。
実施例において、すべての温度はセ氏(℃)である。特記しないかぎり、高速
原子衝撃を用いるVG Zab質量スペクトル計により質量スペクトル分析を行
った。1H NMR(以下、「NMR」という)スペクトルを、250MHzまた
は400MHzにおいて、それぞれBruker AM250またはAM400スペクトル計を用
いて記録した。多重度は:s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレッ
ト、q=カルテット、m=マルチプレットであり、brは広がったシグナルを示
す。Sat.は飽和溶液、equiv.は主反応物質に対する試薬のモル当量の割
合を示す。
Merckシリカゲル60(230〜400メッシュ)を用いてフラッシュクロマ
トグラフィーを行った。
合成例
本発明を下記実施例を参照して説明するが、実施例は単なる説明であって本発
明の範囲を何ら限定するものではない。すべての温度はセ氏であり、すべての使
用溶媒は使用できる最高純度のものであり、特記しないかぎり、すべての反応を
無水条件下、かつアルゴン雰囲気下で行う。
実施例1 1−ニトロ−2−[2−ヒドロキシ−4−シアノフェニルアミノ]−2−[2− ブロモフェニルアミノ]エチレンの調製
a)2−ニトロ−6−シアノフェノールの調製
2−シアノフェノール(4.72g,40mmol)を塩化メチレン(80ml
)に溶解し、ついで、硝酸ナトリウム(3.76g,44mmol)を添加した。
ついで、硫酸(40ml/3M)の添加を行い、ついで、触媒量の亜硝酸ナトリ
ウムを添加した。混合物を撹拌した。24時間後、反応混合物を塩化メチレンで
希釈し、水で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥させ、ついで、濾過した。溶
媒を蒸発させ、得られた個体をシリカゲルクロマトグラフィー(4%MeOH/
CH2Cl2)に供して所望生成物(2.8g,42%)を得た。
b)3−アリルオキシ−4−ニトロベンゾニトリルの調製
DMF(20ml)中の3−ヒドロキシ−4−ニトロベンゾニトリル(5g,
30.5mmol)の溶液に、炭酸セシウム(15g,45.7mmol)および
臭化アリル(3.15ml,35.6mmol)を添加した。反応混合物を室温で
18時間撹拌し、ついで、酢酸エチルおよび水間に分配させた。一緒にした有機
相を乾燥させ、濃縮して所望生成物(5.85g,94%)を得た。EI−MS
m/z205(M+)。
c)2−アリルオキシ−4−シアノアニリンの調製
エタノール(30ml)中の3−アリルオキシ−4−ニトロベンゾニトリル(
5.85g,28.68mmol)の溶液に、塩化すず(II)(32g,143.
4mmol)を添加した。反応混合物を還流させながら4時間撹拌し、ついで、
室温まで冷却した。NaHCO3(水溶液)を添加してpH=7とした。ついで
、反応混合物を酢酸エチルで3回抽出した。一緒にした有機層をMgSO4で乾
燥させ、濾過し、減圧濃縮して所望生成物(4.5g,90%)を得た。EI−M
Sm/z 175(M+)。
d)2−アリルオキシ−4−シアノフェニルチオイソシアネートの調製
CHCl3(150ml)中の2−アリルオキシ−4−シアノアニリン(1.5
g,8.62mmol)の溶液に、73mlの水中の5.1gの重炭酸ナトリウムを
添加し、ついで、チオホスゲン(0.79ml,10.45mmol)を添加した
。反応混合物を室温で16時間撹拌した。ついで、酢酸エチルおよび水間に分配
させた。一緒にした有機相をMgSO4で乾燥させ、濃縮して所望生成物)(1.
6g,86%)を得た。EI−MS m/z 217(M+)。
e)N−(2−アリルオキシ−4−シアノフェニル)]−N'−[2−ブロモフ
ェニル]チオウレアの調製
DMF(3.0ml)中の2−ブロモアニリン(796mg,4.63mmol
)の溶液に、2−アリルオキシ4−シアノフェニルチオイソシアネート(1.0
g,4.63mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。得ら
れた液体をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に供して所
望生成物(1.5g,84%)を得た。EI−MS m/z 388(M+)。
f)N−(2−アリルオキシ−4−シアノフェニル)−N'−(2−ブロモフェ
ニル)カルボンジイミドの調製
CH2Cl2(15ml)中のチオウレア(700mg,1.8mmol)の溶液
に、0℃において塩化メタンスルホニル(0.29ml,3.6mmol)および
ト
リエチルアミン(0.75ml,5.4mmol)を添加した。反応混合物を室温
で30分撹拌した。反応混合物を酢酸エチルおよび水間に分配させた。一緒にし
た有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られた液体をシリカゲ
ルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に供して所望生成物(500m
g,78%)を得た。EI−MSm/z 355(M+)。
g)1−ニトロ−2−[2−アリルオキシ−4−シアノフェニルアミノ]−2−
[2−ブロモフェニルアミノ]エチレンの調製
乾DMF(2.4ml)中のニトロメタン(138mg,2.26mmol)の
溶液を、アルゴン雰囲気下においてDMF(1.2ml)中の水素化ナトリウム
(50mg,1.24mmol)の懸濁液に滴下した。室温で30分撹拌後、DM
F(2.2ml)中のカルボジイミド(400mg,1.13mmol)の溶液を
添加した。反応混合物を100℃で1時間撹拌した。ついで、酢酸エチルおよび
水間に分配した。一緒にした有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した
。得られた液体を、トリエチルアミンで前処理したシリカゲルによるクロマトグ
ラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)に供して所望生成物を得た(270mg,5
8%)。EI−MSm/z 414(M+)。
h)1−ニトロ−2−[2−ヒドロキシ−4−シアノフェニルアミノ]−2−[
2−ブロモフェニルアミノ]エチレンの調製
モルホリン(1ml)中の1−ニトロ−2−[2−アリルオキシ−4−シアノ
フェニルアミノ]−2−[2−ブロモフェニルアミノ]エチレン(66mg,0
.16mmol)の溶液に、Pd(PPh3)4(7.4mg、0.0064mmo
l)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。ついで、酢酸エチルおよ
び塩化アンモニウム(aq)間に分配させた。一緒にした有機相をMgSO4で
乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られた液体をシリカゲルクロマトグラフィー(
酢酸エチル/ヘキサン)に供して所望生成物(40mg,67%)を得た。EI
−MSm/z 374(M+)。
処置方法
式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を、ヒトまたは他の哺乳動物
の細胞、例えば単球および/またはマクロファージ(これらに限らない)による
過剰または調節されないIL−8サイトカイン、またはIL−8αまたはβ受容
体(タイプIまたはタイプII受容体ともいう)に結合する他のケモカインの産
生により悪化または引き起こされる、ヒトまたは他の噛乳動物における疾病状態
の予防的または治療的処置のための医薬の製造において使用することができる。
したがって、本発明は、IL−8αまたはβ受容体に結合するケモカインによ
り媒介される疾病の処置方法を提供し、該方法は有効量の式(I)の化合物また
はその医薬上許容される塩を投与することを含む。詳細には、ケモカインはIL
−8、GROα、GROβ、GROγ、ENA−78、またはNAP−2である
。
式(I)の化合物を、ケモカイン機能、詳細にはIL−8、GROα、GRO
β、GROγ、ENA−78、またはNAP−2の機能を阻害するに十分な量投
与して、それらが生物学的に下方調節されて正常な生理学的レベル、またはいく
つかの場合には正常以下のレベルとなるようにして、疾病状態を改善する。例え
ば、本発明においては、IL−8、GROα、GROβ、GROγ、ENA−7
8、またはNAP−2の異常なレベルは以下のものを構成する:
(i)1mlあたり1ピコグラムに等しいかまたはそれ以上の遊離IL−8のレ
ベル;(ii)正常レベル以上の細胞IL−8、GROα、GROβ、GROγ
、ENA−78、またはNAP−2レベル;または(iii)それぞれIL−8
、GROα、GROβ、GROγ、ENA−78、またはNAP−2が産生され
る細胞または組織における基底レベル以上のIL−8、GROα、GROβ、G
ROγ、ENA−78、またはNAP−2の存在。
過剰または調節されないIL−8産生が悪化および/または発症に関与してい
る多くの疾病状態がある。ケモカインにより媒介される疾病は、乾癖、アトピー
性皮膚炎、関節炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸困難症候群、炎症性腸疾
患、クローン病、潰瘍性大腸炎、卒中、敗血性ショック、エンドトキシンショッ
ク、グラム陰性敗血症、トキシンショック症候群、心臓および腎臓の再潅流傷害
、糸球体腎炎、血栓症、対宿主移植片反応、アルツハイマー病、異型移植片拒絶
反応、マラリア、再狭窄、血管形成,または望ましくない造血幹細胞放出を包含
する。
これらの疾病は主として、塊状の好中球浸潤、T細胞浸潤、または新たな血管
の成長により特等づけられ、増大したIL−8、GROα、GROβ、GROγ
またはNAP−2の産生に関連しており、これらの産生増大は好中球の炎症部位
中への化学走性または内皮細胞の方向性のある増殖の原因である。他の炎症性サ
イトカイン(IL−1、TNF、およびIL−6)とは対照的に、IL−8、G
ROα、GROβ、GROγまたはNAP−2は、好中球化学走性、エラスター
ゼ放出を包含する酵素放出ならびにスーパーオキサイド産生および活性化の促進
というユニークな特性(これらに限らない)を有する。IL−8タイプIまたは
タイプII受容体を介して作動するα−ケモカイン、特にGROα、GROβ、
GROγまたはNAP−2は、内皮細胞の方向性のある増殖を促進することによ
り腫瘍の新たな血管形成を促進しうる。それゆえ、IL−8により誘導される化
学走性または活性化の阻害は好中球浸潤を直接減少させることとなるであろう。
最近の証拠はHIV感染の治療におけるケモカインの役割をも示唆している。
Littleman et al.,Nature 381,pp661(1996)およびKoup et al.,Nature 381,
pp 667(1996)。
また本発明は、式(I)のケモカイン受容体アンタゴニスト化合物による、急
性硬化における治療ならびにCNS傷害の可能性のある個体における予防手段を
提供する。
ここで定義するCNS傷害は、例えば外科手術による解放性または貫通性の頭
部外傷、または例えば頭部領域に対する傷害による閉鎖性頭部外傷を包含する。
また虚血性卒中、特に頭部での虚血性卒中もこの定義に含まれる。
虚血性卒中は、特定の頭部領域への不十分な血液供給により起こる、通常には
栓子、血栓、または血管の局所的なアテローム性閉鎖の結果としての、狭い範囲
の神経学的疾患として定義される。この場合の炎症性サイトカインの役割が明か
となってきたので、本発明はこれらの傷害の潜在的処置のための手段を提供する
。
これらの急性傷害に対して比較的小規模な処置を行うことができる。
TNF−αは、内皮白血球付着分子の発現を包含する前炎症性作用を有するサ
イトカインである。白血球は虚血性脳傷害部位中に浸潤するので、TNFを阻害
し、あるいはそのレベルを低下させる化合物が虚血性脳傷害の処置に有用である
。Liu et al.,Stoke,Vol.25.,No.7,pp 1481-1488(1994)(その開示を参
照により本明細書に記載されているものとみなす)。
閉鎖性頭部傷害および5−LO/CO混合剤での治療のモデルはShohami et a
l.,J.of Vaisc & Clinical Physiology and Pharmacology,Vol.3,No.2,p
p.99-107(1992)(その開示を参照により本明細書に記載されているものとみな
す)において議論されている。浮腫形成を抑制する処置は、それらの処置動物に
おける機能を改善することが見いだされた。
式(I)の化合物を、IL−8αまたはβ受容体へのIL−8結合を阻害する
に十分な量投与し、かかる阻害は、例えば好中球化学走性および活性化の抑制に
よって明かとなる。式(I)の化合物がIL−8結合の阻害剤であるという知見
は、本明細書記載のインビトロ受容体結合アッセイにおける式(I)の化合物の
効果に基づく。式(I)の化合物は、いくつかの場合、組み換えタイプIおよび
タイプII IL−8受容体の両方を阻害することが示されている。好ましくは
、化合物は1種の受容体のみに対する阻害剤であり、より好ましくはタイプII
に対する阻害剤である。
本明細書の用語「IL−8により媒介される疾病または疾病状態」は、IL−
8、GROα、GROβ、GROγ、ENA−78、またはNAP−2自体の産
生により、あるいはIL−8、GROα、GROβ、GROγ、ENA−78、
またはNAP−2が引き起こす別のモノカイン(IL−1、IL−6またはTN
Fが挙げられるが、これらに限らない)の放出により、IL−8、GROα、G
ROβ、GROγ、ENA−78、またはNAP−2が役割を果たしているすべ
ての疾病状態をいう。例えば、IL−1が主要成分であり、IL−8に応答して
IL−1産生または作用が増大し、あるいはIL−1が分泌される疾病状態は、
それゆえ、IL−8により媒介される疾病状態とみなされる。
本明細書の用語「ケモカインにより媒介される疾病または疾病状態」は、IL
−8αまたはβ受容体に結合するケモカイン(IL−8、GROα、GROβ、
GROγ、ENA−78、またはNAP−2が挙げられるがこれらに限らない)
が役割を果たしているすべての疾病状態をいう。この用語は、IL−8自体の産
生により、あるいはIL−8が引き起こす別のモノカイン(IL−1、IL−6
またはTNFが挙げられるが、これらに限らない)の放出により、IL−8が役
割を果たしている疾病状態を包含するであろう。例えば、IL−1が主要成分で
あり、IL−8に応答してIL−1産生または作用が増大し、あるいはIL−1
が分泌される疾病状態は、それゆえ、IL−8により媒介される疾病状態とみな
される。
本明細書の用語「サイトカイン」は、細胞機能に影響し、免疫、炎症または造
血応答における細胞間相互作用を転調させる分子である分泌ポリペプチドをいう
。サイトカインは、いずれの細胞がそれらを産生するのかに関係なく、モノカイ
ンおよびリンホカインを包含する(これらに限らない)。例えば、一般的にはモ
ノカインは、マクロファージおよび/または単球のごとき単核細胞により産生さ
れ分泌されるといわれている。しかしながら、他の多くの細胞もモノカインを産
生し、それらの細胞としては、例えば天然キラー細胞、繊維芽細胞、好塩基球、
好中球、内皮細胞、脳の星状細胞、骨髄基質細胞、表皮ケラチン細胞およびBリ
ンパ球がある。一般的には、リンホカインはリンパ球により産生されるといわれ
ている。サイトカインの例は、インターロイキン−1(IL−1)、インターロ
イキン−6(IL−6)、インターロイキン−8(IL−8)、腫瘍壊死因子−
α(TNF−α)および腫瘍壊死因子−β(TNF−β)を包含するが、これら
に限らない。
本明細書の用語「ケモカイン」は、上記「サイトカイン」同様、細胞機能に影
響し、免疫、炎症または造血応答における細胞間相互作用を転調させる分子であ
る分泌ポリペプチドをいう。ケモカインは主として細胞膜を通して分泌され、特
定の白血球、好中球、単球、マクロファージ、T細胞、B細胞、内皮細胞および
平滑筋細胞の化学走性および活性化を引き起こす。ケモカインの例は、IL−8
、
GROα、GROβ、GROγ、ENA−78、NAP−2、IP−10、MI
P−1α、MIP−β、PF4、およびMCP1、2および3を包含するが、こ
れらに限らない。
式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩を治療に使用するためには、
通常的には、標準的な製薬慣習に従って医薬組成物中に処方する。それゆえ、本
発明は、有効かつ無毒の量の式(I)の化合物および医薬上許容される担体また
は希釈剤を含む医薬組成物もに関する。
式(I)の化合物、その医薬上許容される塩およびそれらを含有する医薬組成
物を、便利には、薬剤投与に慣用的に用いられる経路、例えば経口、局所、非経
口的に、または吸入により投与してもよい。慣用的手順に従って式(I)の化合
物を標準的な医薬担体と混合するにとにより製造される慣用的な剤形として式(
I)の化合物を投与してもよい。式(I)の化合物を、既知の第2の治療活性化
合物と組み合わせて投与してもよい。これらの手順は、成分の混合、顆粒化およ
び打錠または溶解を適宜行って所望調合物を得ることを包含する。医薬上許容さ
れる担体または希釈剤の形態および特性は、混合される有効成分の量、投与経路
、および他のよく知られた要因により決定されることが理解されるであろう。担
体は、処方の他の成分に適合し、その受容者に害を及ぼさないという点で「許容
される」ものでなくてはならない。
使用する医薬担体は、例えば、固体または液体であってよい。固体担体の典型
例はラクトース、白陶土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、ア
ラビアガム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸等である。液体担体の典
型例は、糖蜜、ピーナッツ油、オリーブ油、水等である。同様に、担体または希
釈剤は、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートまたはそ
れらとロウとの混合物のごとき、当該分野においてよく知られた時間遅延物質を
含んでいてもよい。
種々の剤形を使用できる。よって、固体担体を用いる場合、調合物を錠剤化し
、あるいは粉末またはペレットにして硬ゼラチンカプセルに入れ、あるいはトロ
ーチまたは甘味入り錠剤の形態とすることができる。固体担体の量は広範である
が、
好ましくは約25mgないし約1gであろう。液体担体を用いる場合、調合物は
シロップ、エマルジョン、軟ゼラチンカプセル、アンプルのような滅菌注射可能
液体または非水性懸濁液の形態であろう。
式(I)の化合物を局所的に、すなわち、非全身的に投与してもよい。これに
は、式(I)の化合物の外部から上皮への投与、または口腔内(ほほ粘膜)への
投与、ならびにかかる化合物の耳、目および鼻への滴下等があり、それらによっ
ては化合物は有意には血流に入らない。対照的に、全身投与には経口、静脈、腹
腔内および筋肉内投与等がある。
局所投与に適した処方は、皮膚から炎症部位への浸透に適した液体または半液
体調合物(例えば、リニメント、ローション、クリーム、軟膏またはパスタ)、
ならびに目、耳または鼻への投与に適した滴剤を包含する。活性成分は、局所投
与には、処方の0.001重量%ないし10重量%、例えば1重量%ないし2重
量%を占めてもよい。しかしながら、活性成分は、処方の10重量%、好ましく
は5重量%未満、より好ましくは0.1重量%ないし1重量%を占めるであろう
。
本発明ローションは皮膚または目への適用に適したものを包含する。目のロー
ションは、殺細菌剤を含有していてもよい滅菌水性溶液を含み、滴剤の製造と同
様の方法により製造してもよい。皮膚に適用するためのローションまたはリニメ
ントは、皮膚の乾燥を促進し、皮膚を冷却する作用剤、例えばアルコールまたは
アセトン、および/または保湿剤、例えばグリセロールまたはヒマシ油もしくは
落花生油のごとき油脂を含んでいてもよい。
本発明クリーム、軟膏またはパスタは、外部適用のための活性成分の半固体処
方である。細分または粉末化した活性成分をそのまま、あるいは水性または非水
性液体中の溶液または懸濁液として、適当な機械類を利用して、グリース性また
は非グリース性の基材と混合することにより、それらを製造してもよい。基材は
、プロピレングリコールまたはマクロゲルのごときアルコールと混合された硬、
軟または流体パラフィン、グリセロール、蜜ロウ、金属セッケンのごとき炭化水
素;漿剤;アーモンド、トウモロコシ、落花生、ヒマまたはオリーブ油のごとき
天然起源の油脂;綿実油またはその誘導体またはステアリン酸もしくはオレイン
酸の
ごとき脂肪酸を含んでいてもよい。ソルビタンエステルまたはそのポリオキシエ
チレン誘導体のごときアニオン性、カチオン性または非イオン性界面活性剤のご
とき適当な界面活性剤を処方に含有させてもよい。天然ガム、セルロース誘導体
または珪酸含有シリカのごとき懸濁化剤ならびにラノリンのごとき他の成分が含
まれていてもよい。
本発明滴剤は、滅菌した水性または油性の溶液または懸濁液を含み、殺細菌剤
および/または殺真菌剤および/または他の適当な保存料、および好ましくは界
面活性剤を含有する適当な水溶液に活性成分を溶解することことにより製造して
もよい。ついで、得られた溶液を濾過により清澄化させ、適当な容器に移し、つ
いで、密封し、オートクレーブまたは98〜100℃に半時間維持することによ
り滅菌してもよい。別法として、溶液を濾過により滅菌し、ついで、無菌的方法
により容器に移してもよい。滴剤に含有させるのに適した殺細菌剤および殺真菌
剤の例は、硝酸フェニル水銀または酢酸フェニル水銀(0.002%)、塩化ベ
ンザルコニウム(0.01%)および酢酸クロロヘキシジン(0.01%)である
。油性溶液を製造に適した溶媒は、グリセロール、希アルコールおよびプロピレ
ングリコールを包含する。
式(I)の化合物を非経口的に、すなわち、静脈内、筋肉内、皮下、鼻腔内、
直腸内、膣内または腹腔内投与してもよい。皮下および筋肉内形態の非経口投与
が一般的に好ましい。かかる投与に適した剤形を慣用的方法により製造してもよ
い。式(I)の化合物を吸入により、すなわち、鼻腔内および経口吸入投与によ
り投与してもよい。かかる投与に適した剤形、例えばエアロゾル処方または計量
吸入器を慣用的方法により製造してもよい。
式(I)の化合物に関する本明細書に開示したすべての使用方法について、1
日の経口投与規則は、好ましくは体重kgあたり約0.01ないし約80mgで
あろう。1日の非経口投与規則は、好ましくは体重kgあたり約0.001ない
し約80mgであろう。1日の局所投与規則は、好ましくは0.1mgないし1
50mgを、1日1ないし4回、好ましくは2または3回投与されよう。1日の
吸入投与規則は、好ましくは体重kgあたり約0.01mgないし約1mgであろ
う。
また、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩の最適な用量および投与
間隔は治療すべき症状の性質および程度、投与形態、経路および部位、ならびに
治療すべき個々の患者に応じて決定され、かかる最適値は慣用的方法により決定
できることが、当業者に理解されよう。さらに、最適治療コース、すなわち、一
定日数の間、1日に投与される式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩
の用量や投与回数を、当業者は慣用的な治療決定試験のコースを用いて確認でき
ることも、当業者に理解されよう。
本発明を下記の生物学的実施例を参照して説明するが、それらは単なる説明で
あり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。生物学的実施例
本発明化合物の、IL−8およびGRO−αケモカイン阻害効果を下記インビ
トロアッセイにより調べた:
受容体結合アッセイ:
比活性2000Ci/mmolの[125I]IL−8(ヒト組み換え型)はAmersha
m Corp.,Arlington Heights,ILから得られる。Gro−αはNEN-New England
Nuclearから得られる。他のすべての化学試薬は分析グレードのものである。既
に説明されているようにして(Holmes,et al.,Science,1991,253,1278)、
高レベルの組み換えヒトIL−8タイプαおよびβ受容体を、別個にチャイニー
ズハムスター卵巣細胞において発現させた。ホモジナイズバッファーを10mM
Tris−HCl、1mM MgSO4,0.5mM EDTA(エチレン−ジアミ
ンテトラー酢酸),1mM MPMSF(フッ化α−トルエンスルホニル),0.5
mg/Lロイペプチン,pH7.5に変更したこと以外は、すでに説明されている
プロトコールに準じて(Haour,et al.,J Biol Chem.,249 pp 2194-2205(1974
))チャイニーズハムスター卵巣膜をホモジナイズした。ウシ血清アルブミンを
標準物質として使用するPierce Co.のマイクロアッセイキットを用いて膜蛋白濃
度を決定する。すべてのアッセイを96−ウェルマイクロプレートフォーマット
で行
う。各反応混合物は、1.2mM MgSO4,0.1mM EDTA,25mM Na
Clおよび0.03% CHAPSを含有する20mM Bis−Trisプロパ
ンおよび0.4mM Tris−HClバッファー中に125I IL−8(0.25
nM)または125I Gro−αおよび0.5μg/mlのIL−8Rαまたは1.
0μl/mlのIL−8Rβ膜を含む。さらに、DMSO中に前以て溶解してお
いた薬剤または試験化合物を最終濃度0.01nMないし100μMとなるよう
に添加する。室温で1時間後、Tomtec 96−ウェルハーベスターを用いてプレ
ート内容物をガラス線維フィルターマット上に集め、1%ポリエチレンイミン/
0.5%BSAでブロックし、25mM NaCl,10mM Tris−HCl,
1mM MgSO4,0.5mM EDTA,0.03% CHAPS,pH7.4で3
回洗浄する。ついで、フィルターを乾燥させ、Betaplate液体シンチレーション
カウンターでカウントする。本明細書において組み換えIL−8Rα、またはタ
イプI受容体を非許容受容体(non-permissive receptor)と称し、組み換えI
L−8Rβ、またはタイプII受容体を許容受容体(permissive receptor)と
称す。
実施例1の典型的な式(I)の化合物は、IL−8受容体阻害に関する許容モ
デル(permissive models)において、50μg/mlまたはそれ未満のIC50
を示した。化学走性のアッセイ:
これらの化合物のインビトロ阻害特性を、Current Protocols in Immunology
,vol I,Suppl 1,Unit 6.12.3.(参照によりその開示がすべて本明細書に記載
されているものとみなす)に記載された好中球化学走性アッセイにおいて調べる
。Current Protocols in Immunology,vol I,Suppl 1,Unit 7.23.1(参照によ
りその開示がすべて本明細書に記載されているものとみなす)に記載されたよう
にして好中球をヒト血液から単離する。化学誘引物質IL−8、GRO−α、G
RO−β、GRO−γおよびNAP−2を、0.1ないし100nMの濃度とし
て48マルチウェルチャンバー(Neuro Probe,Cabin John,MD)の下のチャン
バー中に入れる。
2つのチャンバーを5ミクロンのポリカーボネートフィルターで分離する。本発
明化合物を試験する場合、細胞を上のチャンバーに添加する直前にそれらを細胞
と混合する(0.001nM〜1000nM)。5% CO2の加湿インキュベー
ター中37℃で約45分ないし90分インキュベーションして反応を進行させる
。インキュベーション時間終了時に、ポリカーボネート膜を取り、上サイドを洗
浄し、ついで、Diff Quick染色プロトコール(Baxter Products,McGaw Park,I
L,USA)を用いて膜を染色する。ケモカイン方向へ化学走性により移動した細胞
を顕微鏡を用いて視覚的に計数する。一般的には、各試料につき4つの視野を計
数し、これらの数を平均して移動細胞の平均数を得る。各試料を3系で試験し、
各化合物似つき少なくとも4回繰り返し試験する。特定の細胞(陽性対照細胞)
には化合物を添加せず、これらの細胞は、細胞の最大の化学走性応答を示すもの
である。陰性対照(刺激を受けない)が所望の場合、ケモカインを下のチャンバ
ーに入れない。陽性対照と陰性対照との間の相異が細胞の化学走性活性を示す。エラスターゼ放出アッセイ:
本発明化合物を、ヒト好中球からのエラスターゼ放出を妨害する能力について
試験する。Current Protocols in Immunology,vol I,Suppl 1,Unit 7.23.1に
記載のようにして好中球をヒト血液から単離する。リンゲル溶液(NaCl 1
18,KCl 4.56,NaHCO3 25,KH2PO4 1.03,グルコース11.
1,HEPES 5mM,pH7.4)中PMNs 0.88x106個の細胞懸濁液
を96ウェルプレートの各ウェルに50μl入れる。このプレートに試験化合物
(0.001〜1000nM)を50μl、サイトカラシンBを50μl(20
μg/ml)およびリンゲルバッファーを50μl添加する。これらの細胞を5
分間暖め(37℃、5%CO2、95%RH)、ついで、IL−8、GRO−α
、GRO−β、GRO−γまたはNAP−2を最終濃度0.01〜1000nM
として添加する。45分間放置して反応を進行させ、ついで、96ウェルプレー
トを遠心分離(800xg 5分)し、ついで、100μlの上清を取る。上清
を第2の96ウェルプレートに入れ、リン酸塩緩衝化セイラインに溶
解した人工エラスターゼ基質(MeOSuc−Ala−Ala−Pro−Val
−AMC,Nova Biochem,La Jolla,CA)を最終濃度6μg/mlとして添加す
る。即座に、プレートを蛍光96ウェルプレートリーダー(Cytoflour 2350,Mil
lipore,Bedford,MA)中に置き、Nakajima et al.,J.Biol.Chem.,254,402
7(1979)の方法に従って3分間隔でデータを集める。PMNsからのエラスタ
ーゼ放出量を、MeOSuc−Ala−Ala−Pro−Val−AMCの分解
速度を測定することにより計算する。外傷性脳傷害におけるTNF−αアッセイ
このアッセイは、ラットにおける実験的な側頭部流体軽打外傷性傷害(TBI)
後の特定の脳部位における腫瘍壊死因子mRNAの発現を調べるためのものであ
る。成体Sprague-Dawleyラット(n=42)をペントバルビタールナトリウム(
60mg/kg,腹腔内注射)で麻酔し、中程度の強度の側頭部流体軽打外傷性
傷害(2.4atm)を左の側頭壁側皮質の中心上に与えた(n=18)。また「偽」
処理(麻酔し、外傷を与えずに外科的処理を行う,n=18)も行った。傷害か
ら1、6および24時間後に動物を断頭により殺し、脳を取り、左の(傷害を受
けた)壁側皮質(LC)、反対側の右の皮質における対応部位(RC)、傷害を
受けた壁側皮質に隣接する皮質(LA)、右の皮質の対応隣接部位(RA)、左
の海馬(LH)および右の海馬(RH)を用意する。全RNAを単離し、ノーザ
ンブロットハイブリダイゼーションを行い、TNF−α陽性対照RNA(マクロ
ファージ=100%)と比較定量する。傷害後1時間で、傷害を受けた半球のL
H(陽性対照の104±17%、偽処理と比較してp<0.05)、LC(10
5±21%、p<0.05)およびLA(69±8%、p<0.01)においてT
NF−α mRNAの著しい増加が観察される。傷害から6時間後のLH(46±
8%、p<0.05)、LC(30±3%、p<0.01)およびLA(32±3
%、p<0.01)においても増加したTNF−α mRNA発現が観察されるが
、傷害から24時間後までには解消する。反対側の半球において、外傷から1時
間後にRH(46±2%、p<0.01)、RC(4±3%)およびRA(22
±8%)
においてTNF−α mRNA発現が増加し、外傷から6時間後においてRH(
28±11%)、RC(7±5%)およびRA(26±6%、p<0.05)で
あり、外傷から24時間後においては増加が観察されない。偽処理(傷害を与え
ずに外科的処理)または無処理動物においては、いずれの時間においても、いず
れの半球においても、6つの脳部位のいずれにおいても、TNF−α mRNA
発現の一貫した変化は観察されない。これらの結果は、側矢状流体軽打による脳
傷害後に、側頭でのTNF−α mRNA発現が傷害を受けなかった半球の部位
を含む特定の脳部位において変化することを示す。TNF−αは神経増殖因子(
NGF)を誘導し、活性化星状細胞からの他のサイトカインの放出を刺激するの
で、TNF−αの遺伝子発現におけるこの外傷後の変化は、CNS外傷に対する
急性ならびに再生的な応答において重要な役割を果たす。IL−β mRNAに関するCNS傷害モデル
このアッセイは、ラットにおける実験的な側頭部流体軽打外傷性傷害(TBI)
後の特定の脳部位におけるインターロイキン−1β(IL−1β)mRNAの局
所的発現の特徴を調べるものである。成体Sprague-Dawleyラット(n=42)を
ペントバルビタールナトリウム(60mg/kg,腹腔内注射)で麻酔し、中程
度の強度の側頭部流体軽打外傷性傷害(2.4atm)を左の側頭壁側皮質の中
心上に与えた(n=18)。また「偽」処理(麻酔し、外傷を与えずに外科的処
理を行う)も行った。傷害から1、6および24時間後に動物を断頭により殺し
、脳を取り、左の(傷害を受けた)壁側皮質(LC)、反対側の右の皮質におけ
る対応部位(RC)、傷害を受けた壁側皮質に隣接する皮質(LA)、右の皮質
の対応隣接部位(RA)、左の海馬(LH)および右の海馬(RH)を用意する
。全RNAを単離し、ノーザンブロットハイブリダイゼーションを行い、脳組織
IL−1β mRNAの量を、同じゲルに負荷したIL−1β陽性マクロファー
ジRNAの放射活性に対するパーセントとして示す。脳傷害から1時間後、傷害
を受けた半球のLC(陽性対照の20.0±0.7%、n=6、偽処理と比較して
p<0.05)、LH(24.5±0.9%、p<0.05)およびLA(21.5
±3.1%、p<0.05)において著しく有意なIL−1β mRNAの発現増
加が観察され、LC(4.0±0.4%、n=6、p<0.05)およびLH(5.
0±1.3%、p<0.05)においては傷害から6時間後まで上昇したままであ
る。偽処理または無処理動物においては、個々の脳部位のいずれにおいてもIL
−1β mRNA発現は観察されない。これらの結果は、TBI後、脳の特定部
位において、IL−1β mRNAの一時的発現が局所的に刺激されることを示
す。IL−1βのごときサイトカインのこれらの局所的変化は、外傷後において
役割を果たす。
特許および特許出願に限らず、本明細書で引用したすべての刊行物を、参照に
より、それぞれがそっくり本明細書に記載されているものとみなす。
上記説明は、本発明の好ましい具体例を含めて本発明を十分に開示する。本明
細書の特別に開示された具体例に対する修飾および改良は下記の請求の範囲内で
ある。さらなる苦労をしなくても、上記説明を用いて当業者は本発明を最大限に
利用できると確信する。それゆえ、本明細書の実施例は本発明の単なる説明であ
り、本発明の範囲を何ら限定しないものと解すべきである。排他的権利または特
権が主張されている本発明の具体例を次のように定義する。
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61P 1/04 A61P 1/04
7/02 7/02
9/00 9/00
11/00 11/00
11/06 11/06
13/12 13/12
17/00 17/00
17/06 17/06
25/28 25/28
31/00 31/00
37/06 37/06
43/00 111 43/00 111
(31)優先権主張番号 60/023,801
(32)優先日 平成8年8月6日(1996.8.6)
(33)優先権主張国 米国(US)
(31)優先権主張番号 60/023,803
(32)優先日 平成8年8月6日(1996.8.6)
(33)優先権主張国 米国(US)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),JP,US
(72)発明者 グリーソン,ジョン・ジェラルド
アメリカ合衆国19335ペンシルベニア州ダ
ウニングトン、ヘロン・ヒル・ドライブ8
番