JP2001517693A - 生物学的活性成分を含有する多層板状合着小胞(mlcv) - Google Patents

生物学的活性成分を含有する多層板状合着小胞(mlcv)

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Abstract

(57)【要約】 生物学的活性成分の増分を含む多層板状合着小胞(MLCVs)を生産するための方法を開示する。本方法には、多層板状小胞を形成するために融解温度が最も高い脂質の相転移温度より上の温度で水性緩衝液において少なくとも一つの粉末化された脂質を水和する工程と、小単層板状小胞(SUVs)あるいは大単層板状小胞(LUVs)あるいはそれらの混合物を生産するために多層板状小胞のサイズを約20〜400 nmに縮小する工程と、有機溶媒、凍結融解工程あるいは脱水工程を使用せずに生物学的活性成分を含むMLCVsを形成するのに十分な条件下で水性溶液において生物学的活性成分と共にSUVs、LUVsあるいはそれらの混合物を温置する工程が含まれる。本方法により生産されたMLCVsには、有機溶媒、凍結融解工程あるいは脱水工程により生産される先行技術のリポソームよりも生物学的活性成分の増分が含まれており、また、生物学的活性成分から実質的に遊離している小胞がより少ない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の背景 本出願は、1997年10月1日に出願された米国仮特許出願第60/060,606号の一部継 続出願であり、その記載の内容は、全体として本明細書の記載の一部とする。
【0002】 本発明は、有機溶媒あるいは小胞の脱水を使用し、複数の凍結融解サイクルを含
む工程を経ずに、小単層板状小胞 (SUVs) と大単層板状小胞(LUVs) を使用して 生物学的活性成分を高度に組み込んだものを含有する多層板状合着小胞(MLCVs )を生産する方法に関する。
【0003】 本発明はまた、本方法により生産されるMLCVsに関する。 これらのMLCVs は、先
行技術である多層板状小胞 (MLVs)に比較すると、ヒト血清アルブミン (HSA)を 使用せずに、表面および全体に生物学的活性成分をさらに高度に含有するという
利得のある特性を所持している。
【0004】 リポソームは、身体にこれらの成分をデリバリーするのを容易にする生物学的活
性成分のキャリアとして有用であることが知られている。リポソームは、細胞の
中に生物学的活性成分を導入するための潜在的な薬剤デリバリーシステムとして
評価されてきた(これについては、PoznanskyとJuliano, Pharmacol. Rev. 36, 277-336 (1984); B. E. Ryman ら, Biochemistry, 16, 49 (1980) の中のEssays のページを参照のこと)。いくつかの投与経路、例えば、静脈内、皮下、腹腔内
、経口デリバリーがリポソーム投与のために使用されてきた(これについてはGr egoriadisとAllison 編『生物学的システムにおけるリポソーム(Liposomes in Biological System)』、John Wiley & Sons刊, New York (1980)の pp.153-178 を参照のこと)。 リポソームデリバリーの重要な利点は、生物活性成分の遊離 形態と比較して、治療指数の向上と毒性の減少という結果を生じる組織分布と結
合特性における変化にある。例えば、腎毒性の減少はアンホテリシンBあるいは シクロスポリンAを含むリポソームの使用に関連していた(これについてはG. Lo pez-Berestein, Ann. Int. Med., 105, 130 (1985) およびHsiehら、Transplant ation Proceedings, Vol. XVII, 1397-1400 (1985) を参照のこと)。また、心 毒性と腎毒性が減少するのは、それらの薬剤の遊離形態に比較して、ドキソルビ
シンとシスプラチンをそれぞれ含有するリポソームに関連性がある(これについ
ては、Rahmanら、Cancer Res. 42, 1817 (1982); Forssenら、Cancer Res. 43, 546 (1983)を参照のこと)。
【0005】 適当な条件下では、リン脂質分散は水の存在下に自然発生的に形を変え、閉じら
れた膜システムの中に入っていくことができることが知られている。電子顕微鏡
では、これらの閉じられた構造が、多数の同心円二層あるいはリン脂質分子から
成る層板から形成され、それらがリポソームとして公知のものであることが分か
る。モデル膜システムとしてのリポソームの有用性は、乾燥したリン脂質が分子
転位に関する規定の配列を受け入れると、層板間隙の中に親水性溶液が無制限に
入っていく機会が生まれるという事実から生じる。同様に、疎水性溶質のキレー
ト化合物形成が疎水性二重層内で起こる。その結果、その溶質とリン脂質集合の
間に起こる相互作用のタイプにより、サイトカインあるいは他の生物学的活性成
分のさまざまな量を含有することができるデリバリーシステムとなる。
【0006】 リポソームの作成法に関しては数多くの方法が提案されてきた。生物学的活性成
分を含有する先行技術のリポソーム、MLVsを作成する古典的な方法では、有機溶
媒の中で脂質を混合し、その溶液からその溶媒を除去し、残基を残し、その残基
を生物学的活性成分を含む緩衝液の中に懸濁し、生物学的活性成分を含むMLVsが
形成されるまでその懸濁液を攪拌し、均一化し、またその結果生じたMLVsを分離
する(これについてはKorn, E.編、『膜生物学における諸方法(Methods in Mem brane Biology)』, Banghamら執筆部分、pp 1-68, Plenum Press刊, N.Y. (197 4) を参照のこと)。
【0007】 もっとも広く使用されている技術の一つは、乾燥させた脂質フィルムの水性水和
作用を必要とする薄フィルム法として知られているものである(これについては
Banghamらの文献を参照のこと)。手短に言うと、有機溶媒を加えた溶液の中で は、所望される組成の脂質は、円形底フラスコの壁面に薄いフィルムの形態で乾
燥される。生物学的活性成分はこの段階でそのフィルムの中に含めることができ
る。その乾燥フィルムは、適当な水相を加えることにより、またゆっくりそのフ
ラスコを渦巻き状に回すことによって、水和される。親水性の生物学的活性成分
を加えることにより、生物学的活性成分を含む水性溶液が水和作用の用途で使用
される。MLVsはこの手順により形成される。
【0008】 MLVsは医学的適用において生産され、使用されるが、MLVsの製造における主要な
問題はその脂質を分解するための有機溶媒の使用法である。さらに、多くの生物
学的活性成分は有機溶媒には不和合であり、またこれらの作成物から有機溶媒を
除去することは難しくまた手間がかかる。さらに付け加えると、生物学的活性成
分を高度にトラップすることによりMLVsを形成するには、その溶液を繰り返し凍
結融解サイクルにさらさなければならない。大規模な凍結融解はとくに滅菌状態
下では、実行するのが難しい。さらに、滅菌状態下でMLVsを生産するには、脂質
を溶液中に置く前にその脂質を滅菌することが必要である。この滅菌プロセスは
脂質の分解という結果を生じ、副産物を形成するという結果になる可能性もある
【0009】 本発明のプロセスは、先行技術の方法の制限は一つも受けておらず、また先行技
術を上回る利点をいくつか有する、MLCVsを生産する方法を提供する。本発明の
プロセスは、溶質のトラップを改善することを可能にしている。これらの溶質は
、本発明のリポソーム、MLCVsによりトラップすることができる、HSA、マンニト
ール、あるいはグリセロールなどの生物学的活性成分あるいは何らかの成分であ
りうる。本発明において有用な付加的な生物学的活性成分の実施例は、対象にデ
リバリーするためのリポソームの中に組み込むことができる医薬品ペプチド、タ
ンパク質、抗原および薬剤、あるいは何らかの生物学的活性成分である。
【0010】 本プロセスは、有機溶媒を使用せずにMLCVsの生産し、一方では、フィルター滅 菌による防腐プロセスにおいてその脂質を滅菌するための手段を供給するという
結果を生じる。本発明のプロセスは、簡単な製造体制を維持しながら、大規模な
生産操業だけではなく小規模の生産操業にも容易に使用することができる。さら
に、本発明のMLCVsは、多数の層板に加えて部分的に合着した小胞のさまざまな 程度のものを有している点で構造的にユニークである。さらに本方法は、先行技
術の方法を使用して得られたものよりも変動性が少なく生物学的活性成分のサイ
ズ、分布が一貫性を有している。
【0011】 本発明の方法により作成されたMLCVsには、トラップを強化した結果として、大 量の生物学的活性成分が含まれている。本MLCVsは、先行技術のMLVsよりも大量 の表面生物学的活性成分を有し、生物学的活性成分の大幅な回収率を示す。その
ため、本方法では、先行技術と比較して生物学的活性成分の回収率と組込み率を
有するという結果になる。本発明に関しては、回収率という用語は、投入量に対
する産出量のパーセントとして定義されている。すなわち、製品の中に存在する
生物学的活性成分の量と、処理中に消失した残りを加えた不反応の開始物質との
比である。本発明の中で使用されている組込み率という用語は、リポソームの中
にトラップされていて、もはや遊離していない産出量のパーセントとして定義さ
れる。
【0012】 本発明のプロセスは、生産されるMLCVsは内部の内容の漏洩を伴う二重層の破裂 と再密封の結果として生産されるので、合着プロセスと言われる。このプロセス
は、漏洩なしあるいは最小の漏洩による内部内容の混合に付随して小胞の結合が
起こる小胞融合とは異なる(これについてはPoste, G. とNicolson, G.L. 編『 膜融合(Membrane Fusion)』の中のGingell, D. とGinsberg, L. の執筆部分、
pp.791-833, Elsevier/North-Holland Biomedical Press刊, NY(1978).; Sowers , A.E.編『細胞融合(Cell Fusion)』の中のSzoka, F.の執筆部分、pp. 209-24 0, Plenum Press刊, NY(1987).; Nir, S., Wilschut, J.とBentz, J., Biochim. Biophys. Acta 688: 275-278(1982); Poste, G と Nicolson, G.L.編『膜融合 (Membrane Fusion)』、Elsevier/North-Holland Biomedical Press刊, NY(197 8)を参照のこと)。
【0013】 さらに、本発明のMLCVsは約1000〜5000 nmのサイズ(平均直径)を有する。しか
し、本発明のMLCVsの平均サイズは少なくとも約100 nmないしはそれ以上という 程度の小さいサイズである。例えば、少なくとも約200 nmないしはそれ以上であ
る。相転移温度以下でSUVsの融合を使用する先行技術の方法では、100 nm未満の
平均直径を有する単層板状小胞を生じるという結果になる。100 nm以上の平均直
径を有するリポソームは、さらに小さいリポソームよりも肺、肝臓、脾臓、リン
パ節に多く蓄積される。100 nm以上の平均直径を有するこれらのリポソームは、
予防ならびに治療的処方のために標的臓器に対してよく使用される(これについ
てはJackson (1981), Drug Med. Disp. 9:535-540.を参照のこと)。
【0014】発明の要約 本発明の本方法は、多層板状小胞(MLVs)を形成するために融解温度が最も高
い脂質の相転移温度よりも高い温度で水性緩衝液において少なくとも一つの粉末
化した脂質を水和し、小単層板状小胞(SUVs)あるいは大単層板状小胞(LUVs)
あるいはそれらを混合したものを生産するためにMLVsのサイズを約20〜400 nmま
でに小さくし、また上記の少なくとも一つの生物学的活性成分を含むMLCVsを形 成するのに十分な条件下で水性溶液の中の少なくとも一つの生物学的活性成分と
ともにSUVs、LUVsあるいはその混合物を温置することにより、一つの生物学的活
性成分を含む多層板状合着小胞(MLCVs)を生産することに関する。本発明の方 法は、有機溶媒、凍結融解工程あるいは脱水工程を使用せずに行われる。本方法
のサイズ縮小工程は、一つないしはそれ以上の音波処理、均一化あるいは押出に
よりもたらされる高度なせん断力にMLVsをさらすことから成る。本方法にはさら
に、SUVs、LUVsあるいはその混合物を生物学的活性成分(単数/複数)と混合す る前に、SUVs、LUVsあるいはその混合物を滅菌ろ過することが含まれる。
【0015】 本発明の本方法は、生物学的活性成分の増分を含有するMLCVsの生産を開示す る。これらMLCVsは少なくとも100 nmあるいはそれ以上の平均直径、好適には100 0〜5000 nmの範囲にある平均直径を有し、また凍結融解、有機溶媒あるいは脱水
を含む工程を使用せずに生産される。
【0016】 本発明の本方法には、融解温度が最も高い脂質の相転移温度よりも高い温度で
、被包した混合容器の温度において粉末化した脂質(単数/複数)を適当な緩衝 液を加えて水和する工程が含まれる。その後、小胞のサイズがミクロンの範囲か
ら約20〜400 nmの範囲に縮小される。これらの小胞は、小単層板状小胞(SUVs)
あるいは大単層板状小胞(LUV)あるいはそれらの混合物であり、また音波処理 、均一化あるいは押出などの高度なせん断力を利用する公知の標準的な方法によ
り生産される。本発明においてとくに有用なホモジナイザーは、Gaulin Rannie 社あるいはMicrofluidics社により製造された高圧力ホモジナイザーなどである 。後者の工程はまた、脂質混合の相転移温度よりも高い温度で実施される。その
結果生じるSUVsおよび/またはLUVsはその後、融解温度が最も高い脂質の相転移 温度よりも高い温度にこれまた維持されている混合容器の中に滅菌ろ過される。
生物学的活性成分(単数/複数)および何らかの必要とされる賦形剤が滅菌フィ ルターを通して加えられ、融解温度が最も高い脂質の相転移温度に温度を下げな
がら混合される、あるいは温度を、好適には前転移と主転移温度範囲の間に維持
される。温置はまた、前転移より下、サブ転移より下、あるいは脂質系の主転移
温度より上で行われることがある。その後、その混合物は数分から数日までの期
間温置される。この期間の間、SUVsおよび/またはLUVsは、一般的には約100 nm あるいはそれ以上の平均直径を有する大きな小胞、MLCVsを形成するために合着 される。
【0017】発明の詳細な説明 本発明は、生物学的活性成分の増分を含有するMLCVsを生産する新規な方法に 関する。本発明の本方法は凍結融解、有機溶媒あるいは脱水を含む工程を使用す
ることなくMLCVsを生産する。
【0018】 本方法の第一の工程には、粉末化した脂質の直接的な水和あるいは被包混合容
器の温度で適当な緩衝液を加えた脂質の混合が含まれる。適当な緩衝液の例とし
ては、pH 2〜12の間、好適には5〜9の間にあるリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、 アセテート、あるいはクエン酸である。水和は好適には、融解温度が最も高い脂
質の相転移温度よりも上で行われ、また水和懸濁はよく混合して行う。次の工程
にはサイズの縮小が含まれており、好適にはSUVsおよび/またはLUVsから成る約2 0〜70 nmにするが、いかなる場合であっても、約400 nmより下であり、好適には
約200 nmよりも下である。このサイズ縮小は、浴槽あるいはプローブ音波破砕を
含めた音波破砕、均一化あるいは押出などの標準的な手段を使用して行われる。
サイズ縮小は採用した最高融解温度の脂質の相転移温度より上で行われる。脂質
の混合物が使用される場合には、最高融解脂質の相転移温度が使用されることに
なるであろう。結果として生じるSUVsおよび/またはLUVsはその後、滅菌フィル ター(0.22ミクロンフィルター)でろ過され、混合装置と、融解温度が最も高い
脂質の相転移温度より上の温度を維持する用途の温度ジャケットを備えた滅菌反
応容器の中に入れられる。これらLUVsは十分に変形可能であり、滅菌フィルター
を通して大きなサイズのものを圧搾できる。この容器には、何らかの他の必要と
される賦形剤を加えて、HSA、マンニトール、グリセロールなどの一つあるいは それ以上の医薬品が滅菌フィルターを通して付加される。この混合物は継続して
、融解温度が最も高い脂質の相転移温度、あるいは好適にはその前転移と主転移
温度の間の温度に下げながら、混合される。温置温度は前転移温度より下、サブ
転移温度より下、あるいは主転移温度より上であることがある。この混合物はそ
の後、延長期間の間温置されるが、数分から数時間温置することが可能で、任意
の継続的な、あるいは間欠的な混合を行っておそらく数日間温置することが可能
である。この間に、大きな小胞を形成するためのSUVsおよび/またはLUVsの合着 が行われ、MLCVsは典型的には1000と5000 nmの間であるが、MLCVsは平均直径で 約100 nm程度に小さくすることができ、またトラップした医薬品を加えた多層板
状のものにする。本発明のMLCVsは、多数の層板に加えて部分的に合着した小胞 のさまざまな程度のものを有している点で、構造的にユニークである。
【0019】 好適な脂質は、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC);ジパルミトイ
ルホスファジルコリン(DPPC);ジステアロイルホスファジルコリン(DSPC)な
どの飽和レシチン、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジパ
ルミトイルホスファジルグリセロール(DPPG)、ジステアロイルホスファジルグ
リセロール(DSPG)などの飽和ホスファジルグリセロール、飽和ホスファチジン
酸、飽和ホスファチジルエタノールアミンあるいは上記脂質の混合物である。卵
ホスファチジルコリン(EPC)およびジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC )などの不飽和脂質もまた用いられることがある。
【0020】 温置温度は前転移温度より下、あるいは主転移温度より上でもありうるが、前
転移温度あるいは使用されている融解温度が最も高い脂質の主転移温度で行われ
ることがある。温置はまた、前転移と主転移温度の間といった温度範囲を循環す
ることによって行うこともできる。
【0021】 純粋飽和ホスファチジルコリンの融合はその脂質の相転移温度よりも下で、と
くに前転移温度より下で起こるであろうことが先の文献では示唆されている(こ
れについてはSchmidt, C.F., Lichtenberg, D., Thompson, T.E., Biochemistry 20:4792−4797(1981); Larrabee, A.L. Biochemistry 18: 3321−3326(1979 ); Schullery, S.E., Schmidt, C.F., Felper, Tillack, T.W., Thompson, T.E . Biochemistry 19: 3919−3923(1980); Petersen, N.O. とChan 51 S.I., Bio chim.Biophys.Acta 509:111−128(1978);Wong, M., Anthony, F.H, Tillack, T.W., Thompson, T.E. Biochemistry 21:4126−4132(1982); McConnell, D.S. とSchullery, S.E., Biochim. Biophys. Acta 818:13−22(1985); Gaber, B.P. とSheridan, J.P., Biochim. Biophys. Acta 685: 87−93(1982)を参照のこ と)。融合は典型的には、70〜95 nmの単層板状小胞に対して行われる。融合製 品はまた溶質をトラップすることができる(これについてはMcConnellらの文献 を参照のこと)。相転移における融合は、前転移温度より下で得られた融合に近
似している、一つのケースで観察された(これについてはGaberとSheridan(198 2)の文献を参照のこと)。トラップは確立されていなかったし、融合の速動性 は非常に遅く、起こるのに数週間かかった。
【0022】 本発明において使用される脂質は、好適には、飽和状態のものであるべきであ
り、またホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジル
酸、ホスファチジルエタノールアミン、あるいはホスファチジルセリンなどのい
ずれかの頭部を有する。さらに、頭部と鎖の長さの両方に関しても、脂質の混合
物は使用することができる。コレステロールあるいは脂肪酸などのリポソームを
単独では形成しない脂質との混合もこのプロセスでは採用可能である。脂質濃度
は、1 mg/mLから400 mg/mLまでの間にあるべきであり、好適には大部分の適用例
では100 mg/mLと250 mg/mLの間にあるべきものとする。飽和レシチンは、本方法
における用途としては好適な脂質である。
【0023】 本発明において有用な生物学的活性成分は、リポソームの中にトラップするこ
とができるいずれかの公知の生物学的活性成分でありうるし、そのリポソームか
らの拡散の割合は受容者の身体におけるリポソームの劣化の割合よりも有意に大
きくはない。生物学的活性成分は小胞合着を促進する特性を有していることがあ
る。これらの物質はそれら二重層構造を不安定にすることにより、直接SUVsおよ
び/またはLUVsに作用するであろう。実施例1に図示されているような濁度の簡単
な測定で、小胞合着を促進するこの特性を有する物質の容易な同定が可能である
。生物学的活性成分は、タンパク質、ペプチド、抗原、抗生物質、ホルモン、免
疫学的活性化因子、サイトカイン、リンホカイン、ポリヌクレオチド、その他の
薬剤から選択することができる。こうした成分の特異的な実施例は、IL−2、イ ンターフェロン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インス リン、成長ホルモン、上皮成長因子、カルシトニン、ゲンタマイシン、細菌、寄
生虫、ウイルス、あるいはリケッチア、腫瘍抗原、アレルゲン、毒物あるいは毒
液から得られる抗原である。
【0024】 IL−2は、組換えT−細胞成長因子(ヒトIL−2、組換え;T3267)として、ある
いは培養ラット脾臓細胞(TO892)から得られる製剤として市販されており、Sig ma Chemical Co.(ミズーリ州セントルイス市)から入手可能である。組換えIL −2はまた、Genzyme(マサチューセッツ州ボストン市)あるいはR & D Systems (ミネソタ州ミネアポリス市)から入手することができる。同業者に公知で入手
可能な他のリンホカインはまた、本発明においても使用できる。これらのものに
は、インターロイキン−4(IL−4)、インターロイキン−6(IL−6)、インター
フェロン α、インターフェロン γが含まれる。これらのリンホカインは、単 独で、順番に、あるいはリポソームにおけるコ−イントラップメント(例えば、
IL−2およびIL−6)などのように組み合わせて使用することができる。
【0025】 本発明によるMLCVsは、先行技術のプロセスにより作成されたMLVsから区別す るいくつかの特徴によって特徴付けられる。とくに顕著な一つの特徴は、MLCVs にみられる生物学的活性成分の高度に均一な分布である。多くの先行技術のMLV 製剤では、リポソームの高い比率、しばしば約50%は実質的には生物学的活性成
分からは遊離している。対照的に、凍結割断法による電子顕微鏡写真でみられる
場合には、本発明のMLCVsは正常では、実質的には生物学的活性成分からは遊離 している小胞のパーセンテージが低く、一般的には脂肪分がないことによっても
分かるように、生物学的活性成分からは実質的に遊離している小胞が30%未満、
好適には20%未満、しばしば10%未満、5%未満であることもあり、あるいは2%
未満でさえあることもある。この特性は、先行技術のMLVsに比べて、本発明のML CVsによる生物学的活性成分を順番にさらに高度に全体的にトラップすることを 可能にする。実施例12に図示されているさらなる特徴は、本発明によるMLCVsは 、先行技術のMLVsよりも小胞表面における生物学的活性物質のより高い比率を有
していることである。さらに、本発明のMLCVsは、他の方法によって作成されたM LVsに比べてその生物学的活性を維持するためにトラップされた生物学的活性成 分の比率を高くすることを可能にする。
【0026】 本発明のMLCVsは、有機溶媒、凍結融解工程あるいは脱水工程を使用して先行 技術の方法により生産されるリポソームよりも、10〜100%の範囲で、より多量 な生物学的活性成分を含有している。MLCVsは好適には、先行技術のリポソーム よりも生物学的活性成分に関して少なくとも10%以上多い分量を含有しており、
好適には、少なくとも20%以上多い分量の生物学的活性成分、さらに好適には少
なくとも30%以上分量の多い生物学的活性成分、さらに好適には少なくとも40%
以上分量の多い生物学的活性成分、さらに好適には少なくとも50%以上分量が多
い生物学的活性成分、さらに好適には少なくとも80%以上分量が多い生物学的活
性成分、さらに好適には少なくとも100%以上分量の多い生物学的活性成分、そ れ以上にさらに100%以上分量が多い生物学的活性成分を含む。
【0027】 本発明によるMLCVsの多くの製剤は、先行技術の方法により作成されたMLVsで はみられないユニークな特徴である層板の内部に部分的に合着したSUVsおよび/ またはLUVsを含有している。これは図2B、5、8Bでみることができる。
【0028】 本発明はさらに、以下の詳細な実施例を参照して説明される。これらの実施例
は、本発明を制限することが意図されているわけではなく、本発明の特異的な面
を図示することを意図している。
【0029】実施例 実施例1: IL−2を誘導したSUV合着における温度の効果を判定するため、ジミリストイル
ホスファチジルコリン(DMPC)200mgが、37°CでpH 7、0.9%生理食塩水、1mMリ
ン酸緩衝液1mLの中でMLCVsを生産する渦巻き回転により水和された。この混合物
はその後、透明になるまで浴槽音波破砕装置の中で音波破砕された。サブミクロ
ン粒子選別機であるPSS NICOPMPにより結果的に生じたSUVsの小胞のサイズは20 と50 nmの間であった。リポソームは、例えば、0.22ミクロンフィルターを使用 して滅菌フィルターによりろ過された。そのろ過されたリポソームに対して、IL −2の0.68 mgが17mgのHSAを加える場合と加えない場合で付加された。時間内の 濁度における増加が観察され、約20時間で最大値に達した。濁度におけるこの増
加は凝集、合着あるいは融合の反映である。図1AはHSAを加えない場合の結果を 示し、また図1Bはリポソーム製剤にHSAを加える場合の結果を示す。合着は検査 したすべての温度で起こり、DMPCの前転移と主転移温度の間の19oCで最大効果を
生じた。
【0030】実施例2: 凍結割断法による電子顕微鏡写真が合着の速動性を追及し、融合製品(MLCV)
の特徴を掴むために用いられた。浴槽音波破砕により得られたDMPC SUVsは均一 であり、また直径で約25nmであることがみられる(図2A)。200mg/mLのDMPC SUV sは19oCでIL−2(最終質量比250/1)と混合させ、19oCで温置された。異なった 時点で、一部が凍結割断の用途で準備した薄い銅プランシェットの間で急速に凍
結された。30分でレプリカのほとんどが対照SUVsのようにみえたが、図2Bでみら
れるように、領域ではMLCVsへSUVが合着を開始したことが明らかになった。完全
に合着したSUVsはこの温度でDMPC小胞で典型的にみられる特徴的なPβ'(波紋)
相を伴う二重層シートを生じる。6時間までに(図2C)大きなMLCVsが形成された
。大量のSUVsがまだ存在し、合着が不完全であることを示していることに注意。
24時間までに大きなMLCVsがいくつかの背景となるSUVsとともに存在している( 図2D)。これらのMLCVsには、トラップされたIL−2を含む先行技術DMPC MLVsの 特徴であるが、個々の層の表面組織に脂肪分が含まれている。しかし、多くの小
胞が脂肪分を欠き、またIL−2を含有していないようにみえるMLVsとは対照的に 、MLCVsでは脂肪分の出現は全体的に均一であった。最終的なサイズは2370nm平 均直径を有する大きなものであった(図3)。このサイズはAccusizer 770−粒子
選別システム(PPS)を使用して得られた。
【0031】実施例3: 実施例1のMLCVsは、Clin. Pharmacokinet. 27(1)19−31(1994)で説明さ
れているとおりに、細胞毒性T−リンパ球系(CTLL)測定法を使用してIL−2の存
在に対して分析が行われた。活性は2.17×106 IU/mL、組込み率は95%以上で、 回収率は89%であった。
【0032】実施例4: 漏洩実験が、最小限の漏洩しか伴わずに内側内容の混合がある小胞融合を、内側
内容の漏洩が起こる小胞合着から区別するために行われた。DMPC SUVsが10mM 8 −アミノナフタレン−1,3,6−三スルホン酸(ANTS)および32mM p−キシレン−b is−臭化ピリジニウム(DPX)の存在下に形成された。これらの濃度では、DPXは
ANTSの蛍光を消光する。SUVsは透析により洗浄され、異なった温度でIL−2(質 量比250/1のDMPC/IL−2)の存在下に温置された。図4にみられるように、水溶性
ANTSとDPXの漏洩は、MLCVsを形成するというプロセスの間に起こるが、そのプロ
セスは一義的に合着であって融合ではないということを示した。測定は354 nmに
おける励起と370〜600 nmにおける発光に設定されたQM−1蛍光分光計(Photo Te chnology International、ニュージャージー州サウスブランスウィック市)上で
行われた。
【0033】実施例5: MLCVsは、25/1のDMPC/IL−2質量比でIL−2とともにDMPC SUVを温置することによ
り形成された。温置は2日間19oCで行われた。図5にみられるように、MLCVsには 完全には合着しなかった層板の内部にSUVsが含まれる。これは、本発明のMLCVs が多数の層板に加えて部分的に合着した小胞のさまざまな程度のものを有してい
るという点で構造的にユニークであると先に述べたことを説明している。
【0034】実施例6: 合着の割合におけるDMPC濃度の効果が図6に示すように、200mg/mLから2mg/mL の範囲で観察された。DMPC/IL−2の質量比は300/1で一定に保たれた。全標本は 測定前に2mg/mLに希釈された。成分の濃度が減少するにつれて、合着の割合と程
度が次第に減少することに注意。濁度により測定される合着は約24時間でプラト
ーに達した。この実施例では、MLCV処理のために用いることができる脂質濃度の
範囲が示されている。
【0035】実施例7: 50/1〜2000/1(質量比)の範囲に対する合着の割合におけるDMPC/IL−2の効果
が図7に示されている。39,000gで30分間遠心分離を行った後の上清の中の脂質の
分量によって測定される合着度はDMPC/IL−2比の増加に伴い急速に下降した。こ
れは、最適合着範囲が50/1と450/1の間にあるDMPC/IL−2質量比であることを規 定している。
【0036】実施例8: 合着プロセスのサイズの制限を試験するため、DMPCのLUVsが押出装置(Lipex 社製,カナダ、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー市)ポリカーボネート フィルター(Nuclepore, Corning社製)を通して押出することにより作成された
。用いられたフィルターはそれぞれ89 nmと130 nmの LUVsを生じる0.1と0.2ミク
ロンのフィルターであった。 図8Aは130 nmの小胞の電子顕微鏡写真を示してい
る。19oCで温置して24時間後、MLCVsもまた存在していたが、多くのLUVsが残っ た(図8B)。これらの数字は、MLCVの構造内で不完全に、あるいは部分的に合着
したLUVsの存在を明らかにしている。同様の結果が89 nmの LUVsで得られた。
【0037】実施例9: 本実験は、IL−2とHSAの存在下でDMPC SUVの合着が一定比率増加していること
を示している。750mLバッチを作成するのに3リットル容器が使用された。SUVsは
Microfluidicsホモジナイザーを使用してMLVsから作成された。混合物はDMPCの 前転移と主転移温度の間で一夜温置された。結果的に生じたリポソームは2600nm 平均直径を有する大きなもので、活性は1.08×106 IU/mL(回収率68%)で、98% の組込み率であった。この製品はIL−2活性に関しては9ヶ月以上にわたって安定
していた。
【0038】実施例10: DMPC以外の脂質の使用もまた、MLCV合着プロセスにおいても採用された。とく
に、鎖の長さ、鎖不飽和度、また電荷が調べられた。%合着度は全脂質から39,00 0gで30分間遠心分離後の上清中に残った脂質を差し引いたものである。表1には 、DMPC程効率的ではなかったが、MLCV合着法によりIL−2をトラップする他の脂 質の能力が示されている。光学顕微鏡はDPPCとDMPC/DMPG製品の両方に対する大 きなリポソームを明らかにし、またEPC製品に関しては大きなリポソームの凝集 が明らかにされた。凍結割断法による電子顕微鏡写真を用いたEPC SUVs製品の精
密検査では、多くの融合しないSUVsの直径でミクロン(1000 nm)未満のいくつ かの小さなMLCVsが明らかにされた。これらのMLCVsには、このプロセスにより形
成されたDMPC、MLCVsに関して観察されたように、不規則な二重層間隙を示す脂 肪分が含まれている。このように、この効果は飽和脂質に限定されているわけで
はない。
【0039】
【表1】
【0040】実施例11: 腫瘍抗原などのIL−2以外の医薬品をトラップする本方法の使用法が示される 。DMPC SUVsは、IL−2およびリンパ腫患者から分離されたIgGかあるいはIgMかの
いずれかの存在下に一夜温置された。当初の脂質濃度は40mg/mLと185mg/mLの間 でさまざまであった。標本は19℃で一夜温置され、その後測定まで凍結して貯蔵
された。以下の表2に示された結果は、抗原とIL−2の良好な組込み率を示してい
る。そのデータから、異なったタンパク質をMLCVsの中にトラップすることが可 能であり、またこのタンパク質は合着プロセスを干渉するものではないことが説
明されている。貯蔵のために凍結された標本から凍結の前と後で実質的に同じ結
果を生じたことも特記するに値することである。
【0041】
【表2】
【0042】実施例12: MLCVsは、19℃、24時間温置を用いた実施例1におけるように、HSAを加える場 合と加えない場合で作成された。IL−2を含むMLCVsはこれ以降はMVL法として引 用されるAndersonとSorenson(1994)の方法によりHSAを加える場合と加えない 場合で作成された。初代抗体である家兎抗−ヒトIL−2(Endogen社製)が6μg/m Lで洗浄されたMLCVsあるいはMLVsに加えられ、またその後非結合抗体を除去する
ために0.2%スキムミルクの中で洗浄され、それに対してヤギ抗−家兎IgG−ビオ チン(Southern Biotechnology社製)が加えられた。引き続いて4℃で30分間温
置し、MLCVsとMLVsが再びスキムミルクの中で洗浄された。最後に、ストレプト アビジン−ユーロピウム(Eu)(1/1000希釈)(Wallac社製)が加えられ、続い
て4℃で5分温置され、また0.2%スキムミルクで洗浄された。促進溶液(Wallac社
製)が加えられ、結合Euが時間分割蛍光分光計により判定された(Wallac 1234 Delfia Research Fluorometer, メリーランド州ゲティスバーグ市)。
【0043】 図9にみられるように、さらに大きな表面の標識化がMLCVsに関しては、とくに
HSAが加えられない場合に得られた。MLV法によりリポソーム表面に結合する抗体
が高い値である場合は、処理の間HSAが必要となる。この結果からまた、プロ セス依存性であるMVLsに比較して、MLCVsに対する異種表面IL−2の配向を示すこ
とができた。CTLLにより測定されたIL−2活性はMLCVsに対して90%以上の活性回 収率を示したが、一方、MLVsは約50%の活性回収率であった。このように、本発 明のMLCVプロセスはMLV方法により生産されるリポソームに比べて、HSAを必要と
しない、より高度な表面IL−2と全IL−2内容を有するリポソームを生産する。
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【図面の簡単な説明】
図1Aと図1Bは、インターロイキン−2(IL−2)を加えて、HASを加えない場合 か加える場合のジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)SUVsの合着におけ
る温度の効果に関するグラフ図である。4C、19C、40Cという呼称は、それぞれ4o C、19oC、40oCで標本を実験していることを示す。 図2A−Dは、0時間(図2A)、0.5時間(図2B)、6時間(図2C)、24時間(図2D )の時点でのIL−2を加えたDMPC SUVsの凍結割断法による電子顕微鏡写真である
。参照用の横棒は250 nmに相当する。 図3は、IL−2を含むDMPCリポソームに適用された、本発明の本方法により生産
された合着製品のサイズ分布のグラフ図である。分析はPSS 770 Accusizerシス テムを使用して行われた。 図4は、4oC(菱形印)、19oC(丸印)、室温(20-24oC)(四角印)、40oC( 三角印)で時間の経過に沿って、IL-2の存在下にトラップした蛍光消光染料(AN TS)のDMPC SUVsからの漏洩に関するグラフ図である。 図5は、IL-2(質量比25/1)を加えたDMPC SUVsを温置することにより形成され
たMLCVの凍結割断法による電子顕微鏡写真である。参照用の横棒は250nmに相当 する。 図6は、200 mg/mLから2 mg/mLまでのさまざまな脂質濃度に対するDMPC SUV合着 の割合に関するグラフ図である。 図7は、50/1〜2000/1(w/w−質量比)の範囲に対するDMPC SUV合着の割合に関す
るさまざまなDMPC/IL−2比率の効果を示すグラフ図である。 図8Aと8Bは、IL−2を加えて19oCで24時間温置の前と後に130 nmのDMPC LUVsの凍
結割断法による電子顕微鏡写真である。参照用の横棒は250 nmに相当する。 図9は、Anderson, P.M.とSorensen, M.A.(1994), Clin. Pharmacokinet. 27(
1):19−31に説明されているプロセスにより形成された、HSAを加える場合か加 えない場合のIL-2を含有するMLCVsおよびMLVsでみられる表面結合IL−2における
差異に関するグラフ図である。棒グラフ上のT字型の横棒と線は、単一作成をベ ースにした結果を表すHSAを加えずに処理されたMLCV製剤は別にして、独自に処 理された3つのリポソーム作成試験をベースにした結果の平均および標準偏差を 示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,HU,ID,IL ,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC, LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,M K,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO ,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ, TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,Y U,ZW (72)発明者 ゲヴァントマッカー,ステラ アメリカ合衆国ニュージャージー州08536, プレインズボロ,フェザント・ホロウ・ド ライヴ 1604 (72)発明者 ポペスク,ミルセア・シー アメリカ合衆国ニュージャージー州08536, プレインズボロ,パークウェイ・アヴェニ ュー 5 Fターム(参考) 4C076 AA19 CC29 DD63 4C084 AA02 BA44 DA14 MA02 NA14 4C085 AA02 AA33 BB01 CC22 EE03 4C086 AA01 AA02 EA16 MA02 MA03 MA05 NA14

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生物学的活性成分を含有する多層板状合着小胞(MLCVs
    )を生産するための方法であって、前記方法は、 多層板状小胞(MLVs)を形成するために融解温度が最も高い脂質の相転移
    温度より上の温度で水性緩衝液において少なくとも一つの粉末化された脂質を水
    和する工程と、 小単層板状小胞(SUVs)あるいは大単層板状小胞(LUVs)あるいはそ
    れらの混合物を生産するために約20〜40nmにMLVsのサイズを縮小する
    工程と、 前記少なくとも一つの生物学的活性成分を含むMLCVsを形成するのに十分
    な条件下で水性溶液において少なくとも一つの生物学的活性成分とともにSUV
    s、LUVsあるいはそれらの混合物を温置する工程とを含み、 有機溶媒、凍結融解工程、あるいは脱水工程を使用することなく行われる前記
    方法。
  2. 【請求項2】 前記縮小工程がMLVsを高度なせん断力にさらすことを含
    む請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記高度なせん断力が音波破砕、均一化、あるいは押出のう
    ちの一以上のものにより付与される請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記方法がさらに、一の生物学的活性成分あるいは複数の生
    物学的活性成分とSUVs、LUVsあるいはそれらの混合物と混合する前にS
    UVs、LUVsあるいはそれらを組み合わせたものを滅菌ろ過する工程を含む
    請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記生物学的活性成分が合着特性を有するタンパク質あるい
    はペプチドである請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記生物学的活性成分がサイトカインである請求項5に記載
    の方法。
  7. 【請求項7】 前記サイトカインがインターロイキン−2(IL−2)であ
    る請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 少なくとも2つの生物学的活性成分の混合物が前記MLCV
    sの中に組み込まれる請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 生物学的活性成分の前記混合物の各成分が免疫グロブリン、
    腫瘍抗原、サイトカイン、ポリヌクレオチドから成るグループから選択される請
    求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の方法により生産される、少なくとも一つ
    の生物学的活性成分を含む多層板状合着小胞(MLCVs)。
  11. 【請求項11】 前記MLCVsが少なくとも約100 nmの平均直径を
    有する請求項10に記載のMLCVs。
  12. 【請求項12】 前記MLCVsが約1000〜5000 nmの平均直径
    を有する請求項10に記載のMLCVs。
  13. 【請求項13】 前記MLCVsが有機溶媒、凍結融解工程あるいは脱水工
    程を使用する方法により生産されるリポソームよりも約10〜100%の間でよ
    り多量の生物学的活性成分を含む請求項10に記載のMLCVs。
  14. 【請求項14】 前記MLCVsが有機溶媒、凍結融解工程あるいは脱水工
    程を使用する方法により生産されるリポソームよりも少なくとも20%よりも多
    量の生物学的活性成分を含む請求項10に記載のMLCVs。
  15. 【請求項15】 前記MLCVsが有機溶媒、凍結融解工程あるいは脱水工
    程を使用する方法により生産されるリポソームよりも少なくとも50%よりも多
    量の生物学的活性成分を含む請求項10に記載のMLCVs。
  16. 【請求項16】 前記MLCVsが有機溶媒、凍結融解工程あるいは脱水工
    程を使用する方法により生産されるリポソームよりも少なくとも100%よりも
    多量の生物学的活性成分を含む請求項10に記載のMLCVs。
  17. 【請求項17】 脂質と少なくとも一つの生物学的活性成分から成るMLC
    Vsであって、小胞の30%未満が実質的に生物学的活性成分から遊離している
    前記MLCVs。
  18. 【請求項18】 小胞の20%未満が生物学的活性成分から実質的に遊離し
    ている請求項17に記載のMLCVs。
  19. 【請求項19】 小胞の10%未満が生物学的活性成分から実質的に遊離し
    ている請求項17に記載のMLCVs。
  20. 【請求項20】 小胞の5%未満が生物学的活性成分から実質的に遊離して
    いる請求項17に記載のMLCVs。
  21. 【請求項21】 小胞の2%未満が生物学的活性成分から実質的に遊離して
    いる請求項17に記載のMLCVs。
  22. 【請求項22】 脂質と少なくとも一つの生物学的活性成分から成るMLC
    Vsであって、少なくとも小胞の一部分が層板の内部に部分的に合着したSUV
    sおよび/またはLUVsを含む前記MLCVs。
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