JP2001517006A - 振動励振器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 振動部材のキャビティ内に位置するようになった振動励振器であって、環状部材にしっかりと固定されたコイルを有すると共に、外周面を有するモータコイル組立体（６）と、前記モータコイル組立体と同心に配置されこれに対して軸方向移動できるよう配置されると共に、対向するほぼディスク状の磁極片（４，５）を備えた磁石組立体（３−５）とを特徴とし、前記磁極片の一方の周縁部は前記モータコイル内でこれに近接して配置され、前記磁極片の他方（５）の周縁部は前記モータコイル組立体に近接して位置しこれを取り囲むように配置されたフランジ（８）が形成され、前記フランジは開口部（１１）を備え、該開口を介して前記モータコイル組立体の外周面を前記振動部材に直接固定するようになった振動励振器。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 （技術分野） 本発明は、振動励振器に関し、より詳細には、ただし限定されるものではない
が、音響出力を与えるために共振パネルに撓み波を励起する電気力学的な慣性振
動励振器に関する。このような装置は、本出願人による継続中の国際出願WO97/0
9859の主題である。

【０００２】 （発明の背景） 音響パネル放射体への埋め込みに適した平衡型振動励振器に関する、従来の一
つのデザインは、軟鋼などの透磁性材プレートを介して、対向する磁極が結合さ
れた一対の円板型磁石を利用している。その結果として、放射エレメントに結合
されるコイルに作用するプレートの周囲を包む強い放射界磁が発生する。この平
衡型励振器は、パネル放射体内に対称に埋め込み可能であり、カップリングはパ
ネルの両側が均等に結合されるよう配置できる。

【０００３】 また、音響パネルの一面または表皮に取り付けられるカップ型励振器を用いる
ことも知られており、これはパネルの両側から均等のまたはほぼ均等な音響出力
を確保するために、励振器のパネルへの良好な機械的結合を頼みにしている。

【０００４】 放射界磁式励振器は、特定の応用分野において２つの問題を生じる。強い音響
パワーが要求される場合には電気入力を大きくする必要がある。このことは、励
振器コイルの熱パワーに関する考慮と、過剰な熱を安全に発散するための手段を
提起する。

【０００５】 コイルとして、全体的にまたは局部的に熱伝導性表皮と結合される熱伝導性キ
ャリアを使用することで、幾らかの熱発散の利益を得ることができる。つまり、
パネル内の熱は外部に伝導され放熱される。

【０００６】 （発明の開示） 本発明によれば、振動部材のキャビティ内に少なくとも部分的に配置されるよ
うになっている振動トランスデューサが設けられ、環状部材にしっかりと固定さ
れたモータコイル組立体を含み、該モータコイル組立体は外周面を有し、磁石組
立体はモータコイル組立体と同心に配置されると共に、これに対して軸方向に移
動可能に配置され、磁石組立体は対向するほぼディスク状の磁極片を備え、磁極
片の一方の周縁部はモータコイル内でこれに隣接して配置され、磁極片の他方の
周縁部には、モータコイル組立体に隣接して位置すると共に、これを取り囲むよ
う配置されたフランジが形成され、該フランジは開口部を備えており、この開口
を介して、モータコイル組立体の外周面を振動部材に直接固定できる。つまり開
口は他方の磁極片フランジに「窓」を形成し、これを介してモータコイル組立体
が振動部材に固定される。開口部は切り落とし部またはスロットを備えたフラン
ジを成形して作ってもよい。励振器は慣性型装置であってもよい。振動部材はパ
ネル状であってもよい。

【０００７】 モータコイル組立体に対する磁石組立体の軸線方向の運動のために、該磁石組
立体を支持する弾性手段を設けてもよい。弾性サスペンションは振動部材に取り
付けられるようになっていてもよい。弾性サスペンションは他方の磁極片に取り
付けられてもよい。

【０００８】 他の態様として、本発明は前述の振動励振器を含むラウドスピーカである。 さらに他の態様として、本発明は前述の振動励振器と、該励振器が取り付けら
れた弾性パネル部材とを含む組立体である。 例えば、組立体の周波数応答性を制御するための、相対的な機械的インピーダ
ンスのマッチングを最適なものにするために、コイルのパネルへの結合に関して
種々の選択肢を与えるよう開口の数は２つまたはそれ以上の幾つでもよい。コイ
ルと規定された磁石ギャップとの間の良好な位置決めが維持できるよう、磁石組
立体である慣性質量体は、パネル、媒介キャリアまたはフレームにコンプライア
ント固定される。環状コルゲートサスペンションや小さなフォームラバーを含む
多数のサスペンション構造が可能である。

【０００９】 （発明の背景） 国際出願番号WO97/09859の図５ｂの励振器は、例えば接着剤によって、コイル
フォーマの外側に固定され、軸線方向の一端部が、例えばエポキシ接着剤によっ
て、放射パネルの表皮にしっかりと接着されているモータコイル組立体を形成す
るコイルを備えている。マグネットは一対の磁極で取り囲まれ、その一方はディ
スク状であり周縁部が各コイルフォーマの内側に近接配置され、他方の磁極はコ
イルを取り囲むよう構成された周縁フランジを有している。外側磁極片のフラン
ジ周縁に取り付けられた、例えばラバーである弾性サスペンションによって、磁
石組立体はパネル表面に取り付けられる。したがって、励振器は磁石組立体の質
量による慣性力効果によって撓み波がパネルに送られるように作動する。

【００１０】 国際出願番号WO97/09859の図５ｃは図５ｂに示される種類の励振器を示し、こ
れはパネル表面への簡単な取り付けを意図したものである。つまり、励振器は自
己接着外側層で形成された薄い基板上に、フォーマの軸線方向の端部と弾性サス
ペンションとによって取り付けられ、これによりトランスデューサを振動パネル
の所定位置に取り付けることができる。

【００１１】 （発明を実施するのに最良の形態） 本実施の形態において、図１から３の励振器１は、例えば接着剤によって、コ
イルフォーマ部材の外側に固定されたコイルを有するモータコイル組立体６を備
えている。磁石３は一対の磁極４，５で取り囲まれており、一方の磁極はディス
ク状でありその周縁部がコイル６の内側に近接した状態で配置されて、内側磁極
片４を形成しており、他方の磁極はカップ型でありコイル６を取り囲むよう構成
された周縁フランジ８を有しており、外側磁極片５を形成する。外側磁極片５の
フランジ８の周縁部に取り付けられた、例えばラバーなどの弾性サスペンション
９によって、磁石組立体３，４，５がパネル２に取り付けられている。したがっ
て、励振器は磁石組立体の質量による慣性力効果によって撓み波がパネルに送ら
れるように作動する。

【００１２】 励振器１は、少なくともある程度まで振動パネル２の略円形の開口１０に埋め
込まれており、これによりコイル６の外周面が直接パネル２に、例えばパネル厚
さで表される領域に亘って結合可能であり、両者の良好な機械的な接点を与える
ものである。このことを可能にするために、コイル６の外周面の部分が露出して
パネル２と直接結合できるよう、カップ型外側磁極片５のフランジ８には開口つ
まりスロット１１が形成されている。図示のように、カップ型外側磁極片５には
互いに反対側にある一対のスロットが形成されている。略円形の開口１０には、
パネル２の材料で形成された、対向して内側に延びるタブつまりフィンガー１２
が形成されており、これは磁極片５のスロット１１を通ってコイル６と結合して
おり、両者は互いに面接触で、例えば接着剤によって固定できる。図示のように
、パネル２はコア１４をサンドイッチする対向する表皮１３備え、一方の表皮は
開口１０の一端部を覆うよう延びており、使用時に励振器１は隠されるようにな
っている。

【００１３】 図４と５に示される振動励振器１の実施の形態はほぼ図１から３のものと同じ
であるが、重要な相違点はこの実施形態のパネル２が、例えばカーボン繊維補強
体であって比較的薄いことと、コイル６をコイルの周縁部回りの３箇所でタブ１
２によってパネル２に結合できるよう、外側磁極片５には３つの等間隔の開口つ
まりスロット１１が形成されていることである。また、パネルが薄いので磁石組
立体３，４，５の弾性サスペンション部材９は、パネル２の一面に取り付けられ
ている。

【００１４】 図６と７に示される振動励振器の実施の形態はほぼ図４と５のものと同じであ
るが、磁石組立体が、外側磁極片５，１５でサンドイッチされ、内側磁極片４で
分割された一対の磁石３，７を有する平衡装置である点で相違している。 図８の振動励振器１は、ほぼ図６と７のものと同じであるが、図６と７のもの
よりも厚いパネル２に使用されている。これを収容するために、磁石組立体３，
４，５，７，１５の弾性サスペンション部材９が外側磁極片５のフランジ８の端
面に取り付けられている。 図９の振動励振器１は、ほぼ図８のものと同じであるが、比較的厚いパネル２
に使用されており、励振器１とサスペンション部材９とは全てパネル２の開口１
０内に収容できる。

【００１５】 改良点（図示せず）として、熱を放射するための磁石カップの黒色塗装、およ
び／または、カップおよび／またはコイル組立体への補助ヒートシンクの取り付
けを含んでもよい。後者のために、コイル部分への有効なアクセスが、金属また
は無機物が充填された熱伝導部を熱的に結合するための区域を与える。機械的な
結合は、それにもかかわらずコイルが自由に動けるようにコンプライアントでな
ければならない。セラミックが充填された軟質重合体が適当であり、同時に良好
な熱伝導性を提供する。磁性流体の捕捉を与える適切な磁束分布のデザインによ
って、全体的な熱的結合を助けるためにフェロ流体のような熱伝導流体をギャッ
プ領域に使用してもよい。

【００１６】 （産業上の利用可能性） 高いパワー性能は、大きな音量、および／または広い帯域幅のような音響性能
要因の組合わせ、または高価な磁石材料の使用量の低減により、低減されたコス
トとを提供する。さらに考えられる利点は薄さであり、励振器を音響パネル内に
埋め込むことで人目を引くほど薄い全体組立体が可能になり、例えばラップトッ
プコンピュータ、携帯式装置および薄型の壁掛け式スピーカへの応用など、薄さ
が問題になる応用分野に容易に適合するものである。 したがって、本発明は共振パネル形式のラウドスピーカに使用できる有効な励
振器を提供するものである。

【図面の簡単な説明】

本発明は、実施例として添付図面に概略的に図示されている。

【図１】 共振音響放射体に取り付けられた振動トランスデューサの平面図である。

【図２】 図１のラインＡ−Ａでの断面図である。

【図３】 図１のラインＢ−Ｂでの断面図である。 図１から３には、剛性軽量共振放射パネル２に撓み波を送り、パネルに共振を
生じさせるようになっている慣性型振動励振器１が示されており、これは概ね本
出願人による継続中の国際出願番号WO97/09859の図５ｂ，５ｃに説明された種類
のものである。

【手続補正書】特許協力条約第３４条補正の翻訳文提出書

【提出日】平成１２年３月１日（２０００．３．１）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】特許請求の範囲

【補正方法】変更

【補正内容】

【特許請求の範囲】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ) ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ， ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，Ｄ Ｋ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ， ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，Ｌ Ｖ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ， ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，Ｕ Ｓ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＷ Ｆターム(参考） 5D012 BA01 BB02 CA02 CA09 5D016 AA01 FA00 GA03

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 振動部材のキャビティ内に位置するようになった振動励振器
   であって、環状部材にしっかりと固定されたコイルを有すると共に、外周面を有
   するモータコイル組立体と、前記モータコイル組立体と同心に配置されこれに対
   して軸方向移動できるよう配置されると共に、対向するほぼディスク状の磁極片
   を備える磁石組立体とを備え、前記磁極片の一方の周縁部は前記モータコイル内
   でこれに隣接して配置されており、前記磁極片の他方の周縁部には前記モータコ
   イル組立体に隣接して位置しこれを取り囲むように配置されたフランジが形成さ
   れており、前記フランジは開口部を備え、該開口を介して前記モータコイル組立
   体の外周面を前記振動部材に直接固定するようになったことを特徴とする振動励
   振器。
2. 【請求項２】 前記トランデューサは慣性型装置であることを特徴とする請
   求項１に記載の振動励振器。
3. 【請求項３】 前記振動部材上の前記磁石組立体を、前記モータコイル組立
   体に対して軸線方向に動くように支持する弾性手段を特徴とする請求項１または
   ２に記載の振動励振器。
4. 【請求項４】 前記弾性サスペンションは振動部材に固定されるようになっ
   ていることを特徴とする請求項３に記載の振動励振器。
5. 【請求項５】 前記弾性サスペンションは前記他方の磁極片に取り付けられ
   ていることを特徴とする請求項４に記載の振動励振器。
6. 【請求項６】 前記フランジの前記開口部は、前記フランジの囲りに等間隔
   に設けられている前記請求項の何れか１項に記載の振動励振器。
7. 【請求項７】 前記フランジの３つの等間隔開口部を特徴とする請求項６に
   記載の振動励振器。
8. 【請求項８】 前記請求項の何れか１項に記載の振動励振器と、該励振器が
   取り付けられるキャビティを有する共振パネル部材とを特徴とする組立体。
9. 【請求項９】 請求項６に記載された組立体を特徴とするラウドスピーカ。