JP2001516766A - 免疫反応の細胞内発現抗体仲介制御 - Google Patents

免疫反応の細胞内発現抗体仲介制御

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、例えば、細胞上の個別または複数クラスの免疫調節レセプター分子(IRM)を選択的に標的化することによって、免疫系の調節を変化させる方法に関し、この方法は、細胞に細胞内で発現するIRMに対する抗体(すなわち細胞内発現抗体)を形質導入する工程を包含する。好適な実施態様では、この細胞内発現抗体はIRM、例えばMHC−I分子に対する単鎖抗体を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、細胞中の免疫応答を、その細胞を細胞内発現抗体(intrabo
dy)で標的化することによって操作することに関する。
【0002】 (発明の背景) 抗原提示細胞は、ウイルス感染または腫瘍の存在に関して免疫系に組織をモニ
ターさせる。このプロセスにおいて、サイトゾル中のタンパク質がプロテオソー
ム(proteosome)によって、あるいは他のタンパク質分解酵素によっ
て加水分解され、そしてオリゴペプチド産物のうちのあるものは、抗原プロセシ
ングに関連するトランスポーター(transporter associat
ed with antigen processing(TAP))によって
小胞体中(ER)に移動し、そして新たに組み立てられた免疫調節レセプター分
子(IMR)に結合した後、原形質膜に輸送される。サイトゾルおよびER中に
常在するタンパク質のほとんど全てが抗原提示細胞(APC)によって合成され
るので、この経路は免疫系にペプチドのサンプリングを提供する。ほとんどの場
合、これらのペプチドは自己のタンパク質由来であり、そして自己寛容のため免
疫系から無視される。しかし、細胞が外来ペプチド(ウイルスまたは変異遺伝子
産物)を提示する場合、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)が加害細胞を殺す(R
ock,K.L.,Immunology Today 17:131−137
(1996)。
【0003】 免疫調節レセプター分子(IRM)は、分解されたタンパク質の断片を免疫系
に提示することによって免疫応答を制御し、そして引き金を引く機能を果たす。
これは厳密に調節されたシステムであり、代表的には身体を所望されない外来の
問題、例えばウイルス感染および外来細胞の侵入から保護する助けとなる。IR
Mの一例は主要組織適合複合体(MHC)分子である。MHC分子は2つのクラ
ス、すなわちクラスIおよびクラスII分子を含む。古典的な主要組織適合性複
合体(MHC)クラスI経路はほとんど全ての細胞において作動可能である。機
能性のクラスI分子が細胞表面で見いだされ、そしてきっちりと折り畳まれたク
ラスI鎖糖タンパク質とB2−ミクログロブリンとの複合体および細胞内タンパ ク質の分解ターンオーバー由来の短いペプチドを含む。MHC分子は多様な細胞
型で見いだされ、そして多数の細胞型におけるエンドサイトーシスによって効率
よく細胞内移行される。クラスI分子が、CTLを活性化させる寄生生物、細菌
もしくはウイルスまた腫瘍起源の外来ペプチドを含む場合、あるいはクラスIの
細胞表面レベルがNK細胞がもはや妨げられない点まで下がった場合のいずれか
の場合に、細胞の遭難シグナルが発せられる[Parham,P.,TIBS
21:427−433(1996)]。T細胞に見つけられた抗原は、宿主細胞
の表面上でT細胞に対して提示されるより前に、宿主細胞の内部で分解される。
ウイルスタンパク質の断片は、細胞の表面上またはおそらくは細胞内部のMHC
分子と連合することによって、感染細胞の表面上に巻き上げられる。例えば、A
lbertsら、Molecular Biology of The Cel
l,第2版(1986)、1043頁参照。
【0004】 クラスI MHC経路は、ペプチドを小胞体(ER)と細胞の表面の原形質膜
との間で連続的に行き来させる。MHCペプチド複合体はT細胞レセプター複合
体に結合し得、これが次にT細胞を活性化させる。
【0005】 IRMの他の例は、免疫応答に関与する多数のリガンドおよびレセプター、例
えば、種々のインターロイキンのようなサイトカイン、およびB7−1およびB
7−2のような同時刺激分子を含む。これらの分子は細胞性免疫反応の刺激およ
び/または増強を助ける。例えば、B7−1およびB7−2は細胞レセプターC
D28およびCTLA−4と相互作用して、各々その活性を開始させ、そして活
性を停止させる。
【0006】 他のレセプター、例えばCD40、CD20およびCD43はT細胞およびB
細胞の活性化に関与する。このやり方で、IRMは感染因子および腫瘍の免疫監
視において非常に重要な役割を果たす。この厳密な調節が所望されない影響を生
じさせる場合がある。これは外来物を身体に添加することが望まれる場合、例え
ば、臓器移植の場合、またはベクターが治療的に付加される場合に観察され得る
。例えば、移植反応(例えば組織拒絶)はMHCクラスI分子によって調節され
る。移植反応は、移植された組織のレシピエントによる拒絶、ならびに移植片に
よるレシピエント組織の拒絶の両方を含む。後者のプロセスは、免疫不全の処置
として骨髄移植を受けた患者で起こり得る。すなわち、これは移植片対宿主反応
である。両方のタイプの拒絶とも、組織適合性抗原と呼ばれる外来細胞表面抗原
に対して起こる。その最も一般的なのは、主要組織適合性複合体(MHC)に対
する遺伝子によってコードされる抗原である。従って、IRM(例えば、MHC
−1のようなMHC分子)、あるいはその経路またはときにはその標的をも選択
的に標的化して、それらを抑制またはダウンレギュレートし得ることは、移植反
応を予防または最小化するために有用である。しかし、他の細胞がその機能する
能力を維持することもまた重要である。それゆえ、その選択方法は、目的のIR
Mをできる限り特異的に標的化し、そして細胞中の他の分子(例えば、レセプタ
ー)を標的化しないべきである。
【0007】 所望の免疫反応を得るための抗原を発現するために、ベクターを用いて所望の
DNAセグメントを送達する場合がある。あいにく、ときどきベクター自身が免
疫反応を生じさせ、これが抗原によって引き起こされる免疫反応をマスクする。
ベクターに対する反応を選択的に阻害するが、抗原に対する所望の応答を阻害し
ないことが望まれる。
【0008】 IRMはまた、自己抗原に対する寛容が破壊された場合の自己免疫反応に関与
し、種々の疾患を導く。これらの疾患では、T細胞および/またはB細胞が自己
の組織抗原に対して作用する。ここでもMHC分子(特にMHC−1分子)はこ
れらの反応で活発な役割を有する。それゆえ、IRMをダウンレギュレートし得
ることは、特定の自己免疫疾患の処置のために有用である。
【0009】 最後に、これらの分子の調節を助けて、形質導入細胞上の特定のIRMの表面
発現を減少または防止して、これらの細胞のインビボでの生存の期間を増大させ
得ることも、遺伝子治療のために有用であり得る。このような細胞はCTLおよ
びNK細胞の免疫応答を回避する。これらの細胞はまたワクチンまたは他の治療
分子のインビボでの担体として用いられ得る。
【0010】 従って、系を所望のやり方(例えばIRMの表面発現のダウンレギュレートま
たは阻害)で調節するために、目的のIRM、その経路、または標的を選択的に
標的化する方法が所望される。
【0011】 (発明の要旨) 本発明は、例えば、細胞上の個別または複数クラスの免疫調節レセプター分子
(IRM)を選択的に標的化することによって、免疫系の調節を変化させる方法
に関し、この方法は、細胞に細胞内で発現するIRMに対する抗体(または細胞
内発現抗体)を形質導入する工程を包含する。好適な方法では、多数のIRM、
例えばMHC−1分子の上に存在するエピトープを標的化し得る。他の例では、
MHCクラスI分子、MHCクラスII分子、CD28またはCD40、T細胞
レセプター、LMP2分子、LMP7分子およびCD1分子を標的化する。
【0012】 本発明はまた、IRM自体の代わりに抗原プロセシング経路における成分を選
択的に標的化する方法に関する。例えば、これらの成分の1つでもブロックする
ことによって、抗原提示の結果起こる免疫応答が調節され得る。例えば、MHC
クラスI経路を調節するために、細胞内発現抗体を用いて、MHC−1α鎖、β
2−ミクログロブリン、TAP.1分子、TAP.2分子、カルネキシン、カル
レティキュリンおよびタパシン(tapasin)を含む経路中の標的成分を標
的化し得る。他の経路、例えば、MHCクラスII経路、CD1経路の成分もま
た、類似の方法で特異的細胞内発現抗体によって選択的に標的化される。
【0013】 本発明はまた、細胞上での抗原提示を選択的に防止する方法に関し、この方法
は、所望されない免疫応答を誘発する抗原またはその特異的部分を細胞内発現抗
体で標的化する工程を包含する。
【0014】 この細胞内発現抗体は、抗体全体、重鎖、Fab’フラグメント、単鎖抗体お
よび二本鎖抗体(diabody)を含む。本発明の1つの好適な方法では、細
胞内発現抗体は単鎖抗体(sFv)を含む。標的がレセプターである場合、その
抗体はリーダー配列およびERまたはゴルジの適切な残留シグナル、例えばKD
ELを含む。好ましくは、リーダー配列および小胞体(ER)、例えばKDEL
配列またはゴルジ装置残留シグナルを含むヒトMHC−1に対する単鎖抗体(s
FvMHC−1)を細胞に形質導入する。このような方法は細胞の表面上でのM
HC−1分子の発現を妨げる。MHC−1分子のダウンレギュレーションは、組
織拒絶、自己免疫疾患および骨髄移植のような特定の免疫応答を制御するために
有用である。他の実施態様では、この標的は細胞の中の他の場所に存在し、そし
て機能性リーダー配列は存在しない。
【0015】 (発明の詳細な説明) 本発明者らは、免疫調節レセプター分子(「IRM」)、その経路、またはこ
のような分子と相互作用する化合物を選択的に標的化する方法を発見した。この
方法はこれらの分子の細胞表面上での発現を制御することによって免疫系を選択
亭に調節するために用いられ得る。より詳細には、この方法は抗体による所望の
標的への細胞内結合の使用を伴う。この細胞内抗体結合の方法は、PCT/US
93/06735(1992年1月17日出願)および米国特許出願08/35
0,215号(1994年12月6日出願)に記載されており、これら本明細書
中に参考として援用される。細胞内で発現される抗体を細胞内発現抗体とよぶ。
抗体全体、重鎖、Fab’フラグメント、単鎖抗体および二本鎖抗体(diab
ody)を用い得る。好ましくは、細胞内発現抗体は単鎖抗体、二本鎖抗体、ま
たはFab’である。より好ましくは、これは単鎖抗体である。例えば、免疫調
節レセプター分子(例えばMHCクラスI分子)に対する単鎖抗体(細胞内発現
抗体)を用いることで、これらのIRMの表面発現がダウンレギュレートまたは
阻害される。
【0016】 「細胞内免疫」または「細胞内阻害」というコンセプトは、病原性細菌、ウイ
ルスおよび寄生生物の機能を妨げる重要な戦略として、ここ10年の間に現れた
。細胞内免疫は、アンチセンスRNA、リボザイム、優性ネガティブ変異体およ
び細胞内抗体(細胞内発現抗体)のような分子モジュレーターを細胞内での機能
性遺伝子発現を阻害するために利用する。以前の研究は、細胞内発現抗体(例え
ばsFvおよびFab)が細胞の異なるコンパートメント(核、ER、細胞質、
ゴルジ、原形質膜、ミトコンドリアを含む)での発現を標的化する効力を示して
おり、ここで細胞内発現抗体は特異的経路で抗原または分子を妨げるように作用
する。[Marasco,W.A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci
.、USA90:7889−7893(1993);Chen,S.Y.ら、H
uman Gene Therapy 5:595−601(1994);Ch
en,S.Y.ら、Proc Natl Acad Sci,USA 91:5
932−5936(1994);Mhashikar,A.M.ら、Embo
J 14:1542−1551(1995);Marasco,W.A.ら、G
ene Therapy 4:11−15(1997);Richardson
,J.H.ら、Proc Natl Acad Sci,USA 92:313
7−3141(1995);Duan,L.ら、Human Gene The
rapy 5:1315−1324(1994)]。抗体は特異的な細胞コンパ
ートメント、例えば、ER、核、原形質膜の内表面、細胞質およびミトコンドリ
アに対して局在化し得る。(例えば、Marascoら、1993;Mhash
ikarら、1995;Bioccaら、1995参照)。
【0017】 本発明は細胞内発現抗体を用いて、生来の免疫調節を変化させ(例えば、免疫
調節分子の原形質膜への輸送を阻害する)、それにより免疫応答を減少または防
止させる。あるいは、本発明は細胞内発現抗体を用いて、プロセスされたペプチ
ドのような抗原がレセプタータンパク質と相互作用する前にそれを細胞内で標的
化する。本発明の方法は、組織拒絶、自己免疫性疾患などの防止に有用である。
【0018】 本発明の方法は、標的抗原、例えば、目的の特定のIRMの表面発現を選択的
にブロックすることを可能とする。例えば、異なるタンパク質鎖に基づいて異な
るハプロタイプのMHCクラスI分子が存在することが知られている。本発明者
らは、特定のMHCクラスI分子を選択的に標的化するか、あるいは複数のクラ
スI分子を標的化するように、細胞内発現抗体を設計し得ることを見いだした。
これは細胞内発現抗体が結合するエピトープの選択によって達成される。例えば
、その抗体を生じさせる保存エピトープを用いて、複数の分子が単一の細胞内発
現抗体でノックアウトされる。逆に、特定の分子に対してユニークなエピトープ
を用いると、選択的結合がもたらされる。このタイプの抗体は標準的手段によっ
て、個別の目的に応じて容易に生成され得る。例えば、これらの分子およびペプ
チドの大部分の構造は、これらの分子の保存領域およびユニークな領域と同様に
、知られている。従って、これらの領域のいずれかを標的化することによって、
MHC分子の最終的な発現が細胞表面上で防止される。これは、組織拒絶、自己
免疫疾患または骨髄移植のような特定免疫応答に関与することが知られている特
異的なクラスI分子に対して、とくに有用である。
【0019】 本発明の方法はまた、伝統的には免疫関連疾患とは言われていなかった他の疾
患の処置のためにIRMを標的化するのにも有用である。例えば、近年、HLA
−2レセプターがアルツハイマー病の初期発症に関連していることが示されてい
る。それゆえ、これらの分子を抗炎症剤で標的化して、アルツハイマー病のリス
クのある人々の処置がなされている。しかし、このような薬剤では健康の問題が
生じ得るが、本発明の方法では生じない。
【0020】 本発明の方法を用いてまた、他の分子(例えば、HLA−2分子またはCD2
8分子)を特異的に標的化し、そしてその発現を妨げ得るが、他の表面分子は影
響を受けないままにしておくことができる。
【0021】 本発明の他の好適な方法では、細胞内発現抗体を用いてIRMの複数の遺伝子
座がノックアウトされる。すなわち、上で簡単に述べたように、細胞内発現抗体
を用いて、タンパク質のファミリー中の1つより多くの単一IRMを静止させる
ことができる。例えば、MHCクラスI分子には多数のハプロタイプが存在する
とはいえ、HLA−A、HLA−BおよびHLA−Cのα3ドメインは保存され
る。このようなドメインはときどき単形性であるといわれる。単形性領域を標的
化することによって、種々の分子が標的化される。本発明の細胞内発現抗体は、
HLA−A、HLA−BおよびHLA−Cに共通のこのアルファ鎖上のエピトー
プに対して向けられるように設計され得る。そのようにすることによって、複数
のMHC分子の発現を有効にブロックし得る。あるいは、ユニークな多型エピト
ープを標的化することによって、特異的なMHC分子のみがブロックされる。選
択は個々の目標に依存する。
【0022】 上で簡単に論じたように、IRMが関与する経路には多数の成分が関与する。
細胞中のIRMが関与する経路中の任意の成分(例えば抗原の提示)が、その細
胞の免疫応答を調節するために、本発明の方法によって標的化される。例えば、
MHC−I経路はエレガントな経路であり、これには多数の分子が関与して、ペ
プチドがMHC−I分子と会合すること、そして次にこのMHC−I−ペプチド
複合体が細胞の表面に提示されることを保証する。抗原提示の最初の段階では、
MHC−I分子に結合するペプチドが、プロテアソームによって仲介されるサイ
トゾルタンパク質の開裂によって生じる。これらのペプチドは、抗原プロセシン
グに関連するトランスポーター(TAP)によってER中に転移する。TAPは
トランスポーターのATP結合カセットファミリーのメンバーであり、2つの相
同なMHCをコードするサブユニット、TAP.1およびTAP.2から構成さ
れる。MHCクラスI−ペプチド複合体のアセンブリはER中でMHCクラスI
−β2−ミクログロブリンダイマーの形成によって開始され、そして分子カルネ
キシンおよびカルレチキュリンを含む。例えば、Ortmann,B.ら、Sc
ience,第277巻、1306−1309(1997年8月29日)参照。
このペプチドがMHC−Iに結合する前に、カルレチキュリンが会合したクラス
I分子がTAPに結合する。この相互作用はタパシンと呼ばれる分子で仲介され
る(同上)。TAPが対立遺伝子特異的クラスI結合ペプチドを転移させた後、
クラスI分子はTAP複合体から解離する(同上)。このペプチドが結合した新
たにアセンブルしたMHC−I分子は次にエキソサイトーシス経路によって原形
質膜に輸送される。ペプチドはこのようにして、適切なT細胞レセプター(TC
R)を有するCD8+細胞傷害性Tリンパ球(CTL)に提示される。例えば、
Rock,K.L.、Immunology Today、第17巻第3号、1
31−137(1996年3月);Rammensee,Hら、Immunog
netics、第41巻、178−228(1995)参照。
【0023】 MHC経路のこれらの任意の成分、例えば、MHCのα鎖、β2ミクログロブ
リン分子、カルネキシンおよびカルレチキュリン、TAP(TAP.1およびT
AP.2を含む)、およびタパシン、プロテアソーム中でペプチドを分解する酵
素でさえ、あるいは特定のペプチドでさえ、本明細書で記載するように、注目す
る特定の細胞の免疫応答を調節するために細胞内発現抗体で標的化され得る。調
製された細胞内発現抗体はいずれも、成分が局在する特定のコンパートメントに
対して標的化されなければならない。例えば、MHC合成のER成分を標的化す
るために、細胞内発現抗体はERに向けられなければならず、そしてさらに後述
するように、適切なリーダー配列を含まなければならない。
【0024】 例えば、TAPはペプチドをER中に効率的に輸送するために必要である。T
APはヘテロダイマーであり、ここで各サブユニットはATP結合ドメインを有
する。これらのサブユニットが両方ともペプチド輸送のために必要である。AT
P加水分解もまたペプチドがER中に転移するために必要である。例えば、Hi
ll,A.およびPloegh,H.,Proc.Natl.Acad.Sci
.,第92巻、341−343頁(1995年1月)参照。従って、TAPサブ
ユニットの一方または両方に対する細胞内発現抗体はTAP分子のアセンブルを
妨げ、抗原ペプチドがER中へと輸送されることを有効にブロックする。これは
抗原とMHC分子との会合を妨げ、最終的には抗原が細胞表面上で提示されるの
を妨げる。あるいは、細胞内発現抗体はアセンブルしたTAP分子上の抗原結合
部位を標的化するように設計され得る。さらに他の実施態様では、細胞内発現抗
体を用いてTAP ATP結合部位を標的化して、ペプチドがER中に転移する
ことを妨げ得る。
【0025】 他の実施態様では、MHC分子自体のアセンブルを、MHCアセンブルライン
における成分を特異的に標的化することによって妨げ得る。この場合、新たに合
成されたMHCクラスI重鎖、β2−ミクログロブリン、カルネキシン、および
カルレチキュリンの間の相互作用が、これらの成分のうちのいずれか1つまたは
混合物を標的化することによって阻害され得る。例えば、カルネキシンに対する
細胞内発現抗体が本発明の教示に基づいて調製され得、そしてこれはカルネキシ
ンとMHCサブユニットとの相互作用を妨げるためにER特異的配列を含む。
【0026】 同様に、MHC分子のTAPへの結合を妨げるために、タパシンとの相互作用
が、この分子をタパシン特異的細胞内発現抗体で標的化することによって妨げ得
る。この分子は最近、配列決定された。Ortmann,B.ら、Scienc
e,第277巻、1306−1309(1997年8月29日)。
【0027】 上記のように、抗原提示経路の最初の段階は、タンパク質のような分子のサイ
トゾル分解を伴う。分解は代表的にはタンパク質がポリペプチドユビキチンの複
数の分子に共有結合することを伴う。このプロセスは、そのタンパク質を26S
プロテアソームによる加水分解のためにマークする。例えば、Goldberg
,A.L.、Science,第268巻、522−523(1995年4月2
8日)参照。MHC−1経路に関与するプロテアソームの2つのサブユニット(
LMP2およびLMP7)はMHC遺伝子座でコードされる。例えば、Rock
,K.L.ら、Cell,第78巻、761−771(1994年9月9日)参
照(その中に引用されている文献参照)。
【0028】 本発明の方法は、抗原提示のこの第1段階の成分を標的化するために用いられ
得る。例えば、プロテアソームとの相互作用を妨げるために、ユビキチンに対す
る細胞内発現抗体を用いて抗原性タンパク質のユビキチンへの結合を妨げ得る。
同様に、細胞内発現抗体を用いて、プロテアソームの2つのサブユニットLMP
2およびLMP7の一方または両方を標的化して、プロテアソームのアセンブリ
を妨げ得る。これらは、本発明の方法を用いて、細胞タンパク質分解からのペプ
チド産生を妨げるため、次いで、MHC−1分子のアセンブルをブロックするた
めに利用され得る多数の標的のうちのいくつかの例である。(例えば、Rock
,K.L.(前出)参照) 同様に、異なるタイプの分子(例えば、異なるMHCクラスI分子)に対する
本発明の細胞内発現抗体をカクテルに混合して、細胞上の複数の遺伝子座を選択
的に標的化し得る。この「カクテル」アプローチ(すなわち抗体の混合物)を用
いて、注目されるタンパク質を、それがレセプタータンパク質、ウイルスタンパ
ク質、または他の抗原であっても、静止し得る。抗体のカクテルの使用は種々の
タンパク質を一度で標的化することを可能にする。これはある範囲のレセプター
をノックアウトするのに有用であり、あるいは、抗体を回避し得る機能性の標的
タンパク質を産生する変異体が進化するのをより困難にするために有用である。
例えば、MHC−1分子の種々のハプロタイプの非保存領域に対する抗体のカク
テルを用いて、複数の遺伝子座をノックアウトし得る。このような「カクテル」
は一緒に投与され得、あるいは同時トランスフェクションによって投与され得る
。同じ細胞内領域で約3つを超えないタンパク質が標的化されることが好ましく
、好ましくは2つを超えないタンパク質が標的化され、例えば、小胞体において
CD28およびHLA1Aが標的化される。他の細胞内標的が異なる細胞領域中
にある限りは(すなわち、核に対して小胞体)、それもまた抗体産生に悪影響を
与えずに標的化され得る。
【0029】 他の好適なカクテルは、同じ標的であるが、細胞内の種々の位置に存在する標
的に対する抗体のカクテルである。これは異なる局在化配列を用いて行われ得る
。それゆえ、ある標的がその抗体に1つの位置で結合せず、そして例えば、さら
にプロセスされる場合、これは次の位置で標的化され得る。例えば、標的MHC
−Iレセプターと共に局在化配列を用いて、系のタンパク質または成分をそのプ
ロセシング経路の多数のポイントで標的化し得る。例えば、β−ミクログロブリ
ンを標的化する1つの抗体と、MHC−Iレセプターのα鎖を標的化する第2の
抗体とを用いる。
【0030】 目的の他のIRMはCD1タンパク質を包含し、これはある点でMHC分子に
関連する。CD1分子はMHC分子のように多形性ではない。しかし、そのα1
およびα2ドメインでMHCとわずかに相同である。CD1分子は胸腺中、異な
る組織中の抗原提示樹状細胞上、およびサイトカインで活性化された単球上で発
現される。Sieling,P.A.ら、Science,第269巻、227
−230(1995年7月14日)。CD1分子は異なるアイソタイプ(CD1
a、b、c、d、およびe)を含み、これは数種の哺乳類種において保存される
。Bendelec,A.,Science,第269巻、185−186頁(
1995年7月14日)。アイソタイプCD1bはペプチドよりもむしろ、リポ
グリカンのような脂質をT細胞に提示することが見いだされている。Bende
lec,A.(前出);Sieling,P.A.ら,Science,第26
9巻、227−230(1995年7月14日);Beckman.E.M.ら
、Nature.第372巻、691−694(1994年12月15日)。M
HCをコードする抗原プロセシング分子(例えばTAP)は、脂質の提示には必
要ではない。それゆえ、関与する他の分子がCD1輸送(traffickin
g)および脂質抗原プロセシングのために用いられる。Bendelec,A.
(前出)。ペプチド結合モチーフが、ランダムペプチドディスプレイライブラリ
を可溶性の空の(empty)マウスCD1(mCD1)でスクリーニングする
ことによって見いだされている。Castano,A.R.ら、Science
,第269巻、223−226(1995年7月14日)。CD1dはマウスお
よびラットで発現される唯一のアイソタイプであり、ペプチドに特異的に結合す
るはずである。Bendelec,A.(前出)。
【0031】 本発明の1つの実施態様では、細胞内発現抗体は、CD1分子が細胞表面で発
現するのを妨げるために、CD1分子を標的化する。MHC−1分子に関して上
で論じたように、IRMは多数の異なるやり方で標的化され得る。例えば、アイ
ソタイプの保存領域を標的化して、CD1分子の全範囲をノックアウトし得る。
あるいは、特定のアイソタイプのユニークな領域を標的化して、1つの特定のア
イソタイプをノックアウトし得る。
【0032】 他の例では、CD1抗原提示経路が調節され得る。抗原提示を妨げるために、
例えばCD1分子のアセンブリ、抗原のCD1分子への結合、またはCD1抗原
複合体の細胞表面への輸送を妨げることによって、この経路の成分に対する細胞
内発現抗体を標的化し得る。
【0033】 さらに他の実施態様では、MHCクラスII分子およびそのAP経路、ならび
にその合成経路が本発明の方法を用いて標的化され得る。MHCクラスII分子
は抗原性ペプチドを細胞のエンドソーム/リソソーム成分中で獲得する。Tey
ton,L.ら、The New Biologist、第4巻、第5号、44
1−447(1992)。MHCクラスII分子は2つの同一ではない糖タンパ
ク質、αおよびβ鎖で構成される。第2の膜糖タンパク質である不変鎖(Ii)
はER中でαおよびβ鎖と複合して、結合ペプチドの非存在下でMHC−IIを
安定化する。Iiはまた、MHCIIをエンドサイトーシス経路へと導く。Gh
osh,P.ら、Nature、第378巻、457−462頁(1995年1
1月);Tulp,A.ら、Nature,第369巻、120−126(19
94年5月)。これはエンドソーム中で、抗原性ペプチドがMHC−II分子上
にロードされる前に、タンパク質加水分解によって除去される。(残基81−1
04内の)20−24残基Iiフラグメントの重なったセットはCLIP(クラ
スII関連不変鎖ペプチド)と呼ばれる。このCLIPセグメントはIiおよび
MHC−II分子の機能化に重要な役割を有する。例えば、CLIPはインビボ
でのαβアセンブリに必要であることが研究で示されている(同上)。CLIP
はMHC−II分子からペプチドローディングの前に除去されなければならない
。これはエンドソーム/リソソームコンパートメント中で起こると考えられてい
る。次に不変鎖が分解される。Ghosh,P.(前出)。
【0034】 他の目的のIRMはMHCクラスII分子、CD28分子およびCD40分子
CD−1分子を包含する。MHCクラスII分子はMHCクラスII分子に関与
し、免疫応答に関与する細胞上に主として位置し、そしてヘルパーT細胞で認識
され、これは免疫応答に関与する細胞、例えばB細胞および抗原提示細胞(AP
C)と相互作用する。ヘルパーT細胞の活性化が他のリンパ球の抗原に対する応
答を刺激するために必要とされる。活性化は、T細胞がAPC上のMHCクラス
II分子に結合した抗原を認識したときに起こる。本発明の方法は、MHCクラ
スII分子の仲介およびヘルパーT細胞の活性化の調節に有用である。CD28
およびB7レセプターは同時刺激分子であり、これは至適なT細胞活性化のため
の同時刺激シグナルの引き金を引く。CD40は、B細胞における多数の効果を
活性化するレセプターである。これらのレセプターに対する細胞内発現抗体を本
発明の方法に従って生成および使用して、これらのレセプターの表面発現を特異
的に標的化および制御し得る。
【0035】 MHC−II経路の成分は、本明細書に記載のように細胞内発現抗体を用いて
標的化され得る。例えば、α鎖またはβ鎖に対して特異的なERに対する細胞内
発現抗体は、MHC−II分子の組立を妨げる。他の実施態様では、細胞内発現
抗体はCLIPが通常結合するαβ複合体に結合するように、すなわちCLIP
と相同に設計され得る。このような細胞内発現抗体は抗原性ペプチドのMHC−
II分子への結合を妨げるはずである。
【0036】 本発明のさらに他の実施態様では、本発明の細胞内発現抗体を用いて特定の組
織または身体の部分における免疫応答をノックアウトして、それを細胞移植また
は組織移植のために調製し得る。このような実施態様では、構成ベクターを用い
て目的の領域、例えば、関節、胸膜腔または中枢神経系における標的細胞に形質
導入する。細胞内発現抗体を細胞に導入し、そして宿主細胞における目的のIR
Mの発現を妨げ、その間、ベクターは細胞内発現抗体を産生し続ける。移植が行
われた後、宿主細胞は移植組織を拒絶しない。特定の時間の後、ベクターはもは
や細胞内発現抗体を産生せず、そして宿主細胞はゆっくりとIRMを発現し始め
るが、順応が生じ、その結果、細胞はその正常な機能を回復させ、そして移植さ
れた細胞または組織を順応させる。あるいは、移植のための器官または組織は、
エクスビボで目的の細胞内発現抗体で灌流され得る。例えば、細胞を所望のベク
ターで予め調製するために、移植の前に腎臓が灌流される。同様に、β島細胞を
目的の細胞内発現抗体で形質導入し得、そしてこれを膵臓に注入し得る。
【0037】 多くの場合、抗原がIRM(例えばMHC−1分子)と結合する前に、抗原自
体をノックアウトして、細胞表面上での提示を妨げることが所望される。このよ
うな場合、抗原がペプチドであれ、またはその分解産物であれ、この抗原に対す
る細胞内発現抗体を用いて、抗原のIRMに対する結合を選択的に妨げ得る。細
胞内発現抗体は、適切なリーダー配列を用いることによって、異なる細胞コンパ
ートメントを標的化して、抗原提示経路に沿った種々の時点で抗原を妨害し得る
。例えば、SIINFEKLは卵白アルブミンの既知の細胞分解産物である。卵
白アルブミンをサイトゾル中に導入すると、そのタンパク質加水分解プロセスお
よびMHC−1分子上での提示が導かれることが知られている。Mooreら、
Cell,第54巻、777−785(1988);Rockら、Cell、第
78巻、761−771(1994)。アルブミンのような抗原は、プロテオソ
ームによる分解の前にサイトゾル中で標的化され得る。分解の後、分解産物(例
えばSIINFEKL)を、TAPとの結合の前に、またはER中で、MHC−
1分子との結合の前に標的化し得る。細胞内発現抗体の抗原への結合は、細胞表
面上での抗原の提示を妨げる。
【0038】 同様に、上述のように、ベクターは、抗原を発現するために、所望のDNAセ
グメントを特定の細胞に送達するのに有用である。この抗原は次に所望の免疫応
答を引き起こす。しかし、いくつかの例では、ベクター自体が免疫反応を発生さ
せ、これが所望の免疫反応をマスクする。このような反応では、ベクターは分解
され、そしてウイルスペプチドがMHC−1分子を介して感染細胞の表面上でT
細胞に提示される。これはウイルスペプチド/抗原に対する免疫反応を引き起こ
し、これは所望の反応を妨害する。本発明の他の実施態様では、細胞内発現抗体
を用いて、細胞内で妨害するウイルスペプチドと相互作用させ、これらのペプチ
ドが細胞の表面に輸送されることをブロックする。すなわち、細胞内発現抗体は
これらのペプチドとMHC−1分子との相互作用を阻害し、これらの抗原が細胞
表面で提示されることを妨げ、そして所望されない免疫応答を妨げる。
【0039】 細胞に形質導入するための広範囲なアプローチが用いられ得、これにはウイル
スベクター、「裸の」DNA、アジュバントで補助されたDNA、遺伝子銃、カ
テーテルなどが含まれる。例えば、目的の抗原上のIRMに対する細胞内発現抗
体を細胞に形質導入するために、レトロウイルスベクターもまた用いられ得る。
例えば、本発明者らはsFvhMHC−1をマウスMaloneyレトロウイル
スLNベクター中にクローニングした[Miller,A.D.、Immuno
logy、第158巻(1994)]。このレトロウイルス構築物を用いて、細
胞を目的のIRMに対する細胞内発現抗体で感染させ得る。本発明を実施するの
に有用な他のベクター系はアデノウイルスおよびHIV−1に基づくベクター、
例えば、偽型HIV−1を包含する。これらのベクターのsFvMHC−1構築
物は、ヒトの造血および非造血細胞系の形質導入を可能にする。
【0040】 IRM、例えばMHC−1分子、またはその経路が細胞中でダウンレギュレー
トまたは阻害される細胞はまた、ワクチンおよび他の治療分子のキャリアとして
有用である。なぜなら、これらの細胞の表面上に免疫調節分子が欠けていること
により、これらの細胞のインビボでの生存率が延長され得るからである。
【0041】 本発明において使用される、目的のIRMまたは抗原に対する抗体は、当該分
野で公知の方法によって得られ得る。例えば、単鎖抗体はPCT/US93/0
6735(1992年1月17日出願)および米国特許出願第08/350,2
15号(1994年12月6日出願)の教示に従って調製され、これらは本明細
書中に参考として援用される。1つの実施態様では、抗体は、標的細胞のERの
内腔に指向され、かつその中に残留するように構築される。このような構築物は
、細胞内発現抗体がER残留シグナル(例えばKDEL)を含むように、公知の
方法によって容易に達成される。MHC−1分子に対するER発現細胞内発現抗
体のATCC HB94ハイブリドーマ細胞(融合名BB7.7、抗HLA−A
、B、C)を用いた構築について示した例を以下に示す。この教示および公知の
技術に基づいて、他のIRMに対する細胞内発現抗体(例えばsFv)が当業者
によって容易に得られ得る。
【0042】 標的分子は、動物および植物を含む多様な宿主中に存在し得る。好ましくは、
宿主は動物であり、そしてより好ましくは、その種は、家禽、ブタ、蓄牛、雌ウ
シ、ヒツジなどのような産業的な重要性を有するものである。最も好ましくは、
種はヒトである。
【0043】 上述のように、本発明の1つの好適な実施態様では、細胞内発現抗体は目的の
IRMまたは抗原に対する単鎖抗体(sFv)である。抗体フラグメントの三次
元構造のX腺結晶学による決定により、可変ドメインが各々折り畳まれて、密に
パッキングされたβシートの9つの鎖から構成される特徴的な構造になることが
理解されている。この構造は、VHおよびVLドメインの配列のバリエーションに
もかかわらず維持される[Depreval,C.ら、J.Mol.Biol.
102:657(1976);Padlan,E.A.、Q.Rev.Biop
hys.10:35(1977)]。抗体一次配列データの分析により、2つの
クラスの可変領域配列、すなわち超可変配列およびフレームワーク配列の存在が
確立された[Kabat,E.A.ら、Sequences of Prote
in of Immunological Interests、第4版、米国
保険社会福祉省(1987)]。フレームワーク配列は、VHおよびVLドメイン
のβシートの正確な折り畳み、ならびにドメインを一緒にさせる鎖間相互作用を
担う。各可変ドメインは、ループ様である3つの超可変配列を含む。可変領域の
6つの超可変配列(3つがVH由来であり、そして3つがVL由来である)は、抗
原結合部位を形成し、そして相補性決定領域(CDR)とよばれる。
【0044】 目的のVHおよびVL鎖の両方に対する可変領域遺伝子をクローニングすること
によって、これらのタンパク質を細菌中で発現し、そしてその機能を迅速に試験
することが可能となる。1つの方法はハイブリドーマmRNAまたは脾臓mRN
Aをこのような遺伝子のPCR増幅のテンプレートとして用いることによる[H
useら、Science 246;1276(1989)]。例えば、細胞内
発現抗体はマウスモノクローナルハイブリドーマ由来であり得る[Richar
dson J.H.ら、Proc Natl Acad Sci USA 第9
2巻:3137−3141(1995);Biocca S.ら、Bioche
m and Biophys Res Comm、197:422−427(1
993)Mhashilkar,A.M.ら、EMBO J.14:1542−
1551(1995)]。これらのハイブリドーマは、細胞内発現抗体の構築の
ための詳しく特徴づけられた試薬の信頼性のある供給源を提供し、そしてそのエ
ピトープの反応性および親和性が先に特徴づけられている場合、特に有用である
。細胞内発現抗体構築物のための他の供給源は、ヒトモノクローナル抗体産生細
胞株の使用を包含する。[Marasco,W.A.ら、Proc Natl
Acad Sci USA,90:7889−7893;Chen,S.Y.ら
、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91:5932−5936
(1994)]。他の例は、抗体ファージディスプレイ技術を使用して標的分子
上の異なるエピトープに対する新たな細胞内発現抗体を構築することを包含する
。[Burton,D.R.ら、Proc Natl Acad Sci US
A 88:10134−10137(1991);Hoogenboom H.
R.ら、Immunol Rev 130:41−68(1992);Wint
er G.ら、Annu Rev Immunol 12:433−455(1
994);Marks,J.D.ら、J.Biol Chem 267:160
07−16010(1992);Nissim,A.ら、EMBO J 13:
692−698(1994);Vaughan T.J.ら、Nature B
io 14:309−314(1996);Marks C.ら、New En
g J Med 335:730−733(1996)]。例えば、非常に大き
な天然ヒトsFvライブラリーが作製されており、そして作製され得、大きな供
給源または過剰な標的分子に対する再配列された抗体遺伝子を提供し得る。より
小さなライブラリーが、自己免疫[Portolano S.ら、J Immu
nol 151:2839−2851(1993);Barbas S.M.ら
、Proc Natl Acad Sci USA 92:2529−2533
(1995)]または感染性疾患[Barbas C.F.ら、Proc Na
tl Acad Sci USA 89:9339−9343(1992);Z
ebedee S.L.ら、、Proc Natl Acad Sci USA
89:3175−3179(1992)]の個体から、疾患特異的抗体を単離
するために構築され得る。
【0045】 細胞内発現抗体の他の供給源としては、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を対応す
るマウス遺伝子座の代わりに含むトランスジェニックマウス、ならびにヒト抗原
特異的抗体を分泌する安定なハイブリドーマが挙げられる。[Lonberg,
N.ら、Nature 368:856−859(l994);Green,L
.L.ら、Nat Genet 7:l3−21(l994)]。このようなト
ランスジェニック動物は、従来のハイブリドーマ技術、またはファージディスプ
レイ技術との組み合わせのいずれかによって、ヒト抗体遺伝子の他の供給源を提
供する。抗原結合部位の親和性および微細な特異性を操作するためのインビトロ
手順が報告されており、これらの手順としては、レパートリークローニング[C
lackson,T.ら、Nature 352:624−628(1991)
;Marks,J.D.ら、JMol Biol 222:581−597(1
991);Griffiths,A.D.ら、EMBO J 12:725−7
34(l993)]、インビトロ親和性成熟[Marks,J.D.ら、Bio
tech 10:779−783(1992);Gram H.ら,Proc
Natl Acad Sci USA 89:3576−3580(l992)
]、半合成ライブラリー[Hoogenboom,H.R.(前出);Barb
as,C.F.(前出):Akamatsu,Y.ら、J Immunol 1
51:4631−4659(l993)]およびガイドされた選択[Jespe
rs,L.S.ら,Bio Tech 12:899−903(1994)]が
挙げられる。これらの組換えDNAに基づくストラテジーのための開始物質は、
マウス脾臓由来のRNA[Clackson,T.(前出)]およびヒト末梢血
リンパ球[Portolano,S.ら(前出);Barbas,C.F.ら(
前出);Marcks,J.D.ら(前出);Birbas,C.F.ら、Pr
oc Natl Acad Sci USA 88:7978−7982(19
91)]およびHIV−1感染ドナー由来のリンパ系器官および骨髄[Burt
on.D.R.ら(前出):Barbas,C.F.ら、Proc Natl
Acad Sci USA 89:9339−9343(1992)]を含む。
【0046】 従って、目的の抗原に対する十分な結合親和性を有することを保証するために
、抗体を容易にスクリーニングし得る。結合親和性(Kd)は少なくとも約10- 7 l/Mであるべきであり、より好ましくは少なくとも約10-8l/Mである。
【0047】 本発明で有用なsFv配列は、ときとして細胞内で遭遇する還元条件下でさえ
も適切に折り畳まれる。sFvは代表的には配列VH−リンカー−VLもしくはV L −リンカー−VHを有する一本鎖ペプチド、またはリンカーなしの二本鎖抗体(
diabody)を含む。リンカーが用いられる場合、これは重鎖および軽鎖が
互いにその適切なコンホメーションの配向で結合できるように選択される。例え
ば、Huston,J.Sら、Methods in Enzym.203:4
6−121(1991)を参照のこと。これは本明細書中に参考として援用され
る。それゆえ、リンカーは、その融合点から可変ドメインまでの間の3.5nm
の距離を天然のFvコンホメーションを歪めることなくつなぐことが可能である
べきである。リンカーを構築するアミノ酸残基は、この距離をつなぎ得るような
ものでなければならず、かつ5アミノ酸またはそれ以上であるべきである。選択
されるアミノ酸はまた、リンカーが親水性であるように選択される必要があり、
そのため、リンカーは抗体中に埋没しない。好ましくは、このリンカーは、少な
くとも約10残基の長さであるべきである。さらになお好ましくは、これは約1
5残基であるべきである。リンカーは短すぎるべきではないが、その一方で長す
ぎるべきでもない。なぜなら長すぎることによって、結合部位での立体的妨害が
起こり得るからである。それゆえ、これは、好ましくは25残基以下である。リ
ンカー(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)3(配列番号1)が好適な リンカーであり、これは十分な可撓性を提供するので、多くの抗体に広く適用可
能である。他のリンカーとしては、
【0048】
【化1】 が挙げられる。あるいは、(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)3(配 列番号1)リンカーのような15マーを採用して(任意の配列が用いられ得るが
)、リンカー中のアミノ酸を変異誘発によってランダム化し得る。次に異なるリ
ンカーを有する抗体がファージディスプレイベクターによって引き出し得、そし
て生成された最も親和性の高い単鎖抗体についてスクリーニングし得る。
【0049】 二本鎖抗体(diabody)は二量体の抗体フラグメントであり、これは二
重に特異的な(bispecific)分子である。これらは2つのsFv分子
の交差対形成(cross−pairing)によって形成され、この2つのs
Fv分子は各々、短縮化リンカーまたはリンカーなしのいずれかで軽鎖可変ドメ
イン(VL)と接続した重鎖可変ドメイン(VH)からなる。短縮化リンカー/リ
ンカーなしによって、同じ鎖上にあるドメインが互いに対形成することが妨げら
れる。2つの鎖は二量体化するかわりに、二価のフラグメントを形成する。二重
特異的フラグメントは、2つの異なる鎖VHA−VLBおよびVHB−VLAを同じ
細胞中で同時発現することによって形成され得る。二本鎖抗体は単特異的(mo
nospecific)または二重特異的のいずれかであり得る。McGuin
ness,B.T.ら、Nature Biotechnology、第14巻
、1149−1154(1996年9月);Hollinger,P.ら、Cu
rrent Opinions in Biotechnol.、第4巻、44
6−449(1993)。二本鎖抗体に関するファージディスプレイライブラリ
ーが記載されており、そしてこれを用いて数千の異なる二重特異的分子を生成し
得、そして最も高い結合親和性、エピトープ認識、および対形成を有する二本鎖
抗体が選択され得る。McGuinness,B.T.(前出)。
【0050】 標的がERまたはゴルジ装置中にない場合、遺伝子は可変鎖に対する機能性リ
ーダー配列をコードしない。なぜなら、抗体はリーダー配列をコードしないこと
が好ましいからである。抗体のこのような結合部分をコードするヌクレオチドは
、好ましくは抗体の分泌配列(すなわち、抗体が細胞から分泌されることを引き
起こす配列)をコードしない。このような配列は定常領域に含まれ得る。好まし
くは、抗体の定常領域全体をコードするヌクレオチドもまた用いない。より好ま
しくは、遺伝子は定常領域の6未満のアミノ酸をコードする。しかし、ERまた
はゴルジに位置する標的を標的化する場合、リーダー配列によって、これらのコ
ンパートメントに導かれる抗体が得られる。好ましくは、ERまたはゴルジ残留
配列もまた存在する。この後者の配列は好ましくはカルボキシ部分に付加される
【0051】 上述のように、免疫系を用いて、標的タンパク質のような特定の分子に結合す
る抗体が標準的な免疫学的方法によって産生され得る。例えば、タンパク質また
はその免疫原性フラグメントまたはペプチドを用いて、このようなタンパク質ま
たはフラグメントに基づいて化学的合成される。これらの配列のいずれもが、所
望であればキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)と結合体を形成し得、
そしてこれを用いて、マウス、ウサギ、ラット、およびハムスターのような動物
中で抗体が惹起される。その後、動物を屠殺し、その脾臓を得る。モノクローナ
ル抗体が、ハイブリドーマ細胞を形成するための標準の融合技術を用いて産生さ
れる。Kohler,G.ら、Nature 256:495(1975)参照
。これは代表的には、抗体産生細胞(すなわち脾臓)をミエローマ細胞のような
不死化細胞株と融合させて、ハイブリッド細胞を作製することを包含する。
【0052】 抗体を調製する別の方法は、例えば、脾臓細胞(例えばマウス脾臓細胞の培養
物)を用い、抗原を注入し、そして次にこの抗原に対して産生された抗体をスク
リーニングするなどのような、インビトロ免疫化技術によるものである。この方
法によって、0.1マイクログラムもの少ない抗原でも用い得るが、約1マイク
ログラム/ミリリットルが好ましい。インビトロ免疫化のために、脾臓細胞、例
えばマウス脾臓細胞を収穫し、そして所望の量、例えば1×107細胞/ミリリ ットルで、培地中および所望の抗原とともに、代表的には約1マイクログラム/
ミリリットルの濃度でインキュベートする。その後、数種のアジュバントのうち
の1つをフィルター免疫プラークアッセイの結果に基づいて細胞培養に加える。
これらのアジュバントとしては、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イ
ソグルタミン(Boss、Methods in Enzymology 12
1:27−33(1986)、Salmonella typhimurium
マイトジェン[Technical Bulletin, Ribi Immu
noChem.Res.Inc.,Hamilton,Montana]または
T−細胞条件が挙げられ、これらは従来技術[参照、Borrebaeck,C
.A.K、Mol.Immunol.21:841−845(1984);Bo
rrebaeck,C.A.K.、J.Immunol.136:3710−3
715(1986)]によって生成され得るか、または、例えば、Hannah
Biologics,Inc.またはRibi ImmunoChem.Re
search Inc.から市販されている。脾臓細胞を抗原と共に4日間イン
キュベートし、次いで、採取する。
【0053】 次いで、インビトロで免疫されたマウス脾臓細胞の単一細胞懸濁液を、例えば
、マイクロフィルタープレート中の抗原−ニトロセルロース膜(例えば、Mil
lipore Corpから入手されるもの)上でインキュベートする。産生さ
れた抗体を抗体のための標識、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ標
識二次抗体(例えば、ウサギ抗マウスIgA、IgG、およびIgM)を用いて
検出する。分泌された抗体のアイソタイプの決定において、ビオチン化ウサギ抗
マウス重鎖特異的抗体(例えば、Zymed Lab.,Inc.製)を用い得
、次にホースラディッシュペルオキシダーゼ−アビジン試薬(例えばVecto
r Lab.から入手されるもの)を用い得る。
【0054】 酵素反応の不溶性産物は膜上で青いプラークとして可視化される。これらのプ
ラークを、例えば、25倍の倍率を用いて計数する。種々の抗体を容易に吸着す
るマイクロフィルタープレートのニトロセルロース膜および洗浄工程のために用
いられる濾過ユニットは、プラークアッセイを容易にするので好ましい。
【0055】 次に、抗体を標準的技術によってスクリーニングして、目的の抗体を見いだす
。目的の抗体を含む培養物を増殖および誘導し、そして上清をフィルター(例え
ば、0.45マイクロメートルフィルター)、次いで、カラム(例えば抗原アフ
ィニティーカラムまたは抗タグペプチドカラム)に通す。結合親和性を、ミニゲ
ル濾過技術を用いて試験する。例えば、Niedel,J.Biol.Chem
.256:9295(1981)を参照のこと。例えば、抗ウサギIgGをカッ
プリングした磁気ビーズを用いて、遊離125I標識抗原をウサギ抗タグペプチド 抗体に結合した125I標識抗原から分離するために、二次アッセイ(例えば、ラ ジオイムノアッセイ)もまた用い得る。好適な代替法では、「オン」速度および
「オフ」速度が、例えば、バイオセンサーに基づく分析系、例えばPharma
cia Biosensor AB製の「BIAcore」を用いて測定され得
る[Nature 361:186−187(1993)を参照のこと]。
【0056】 後者の技術はインビボ免疫に好ましい。なぜなら、インビボ方法は、代表的に
は、マウス1匹につき、1回の注射につき、約50マイクログラムの抗原が必要
とされ、そしてインビボ法のためには、通常、2回の追加免疫が一次免疫の後に
行われるからである。
【0057】 あるいは、既知の抗体を用いてタンパク質を標的化し得る。その後、抗体の少
なくとも抗原結合部分に対する遺伝子を以下に記載のように合成する。上記で簡
単に述べたように、いくつかの好適な実施態様では、これは細胞内局在化配列(
例えば、小胞体、核、核小体など)のための配列もまたコードする。ERの正常
な抗体分泌系、例えば小胞体−ゴルジ装置での発現が所望される場合、リーダー
配列が用いられるべきである。このような抗体を特定の場所に保持するために、
KDEL配列(ER残留シグナル)のような局在化配列が用いられ得る。いくつ
かの実施態様では、抗体遺伝子はまた、好ましくは機能性分泌配列をコードしな
い。
【0058】 抗体遺伝子は本開示に基づいて公知の技術を用いて調製され得る。
【0059】 これらの抗体のいずれかを用いて、VHおよびVL遺伝子を構築し得る。例えば
、VHおよびVLライブラリーを上記のインビトロ免疫技術もしくは従来のインビ
ボ免疫によって免疫されたマウス脾臓細胞から、および既に生成された、または
市販のハイブリドーマ細胞株から作製し得る。市販のVHおよびVLライブラリー
もまた用い得る。1つの方法は、脾臓細胞を用いてmRNAを得て、これを用い
てcDNAを合成することを包含する。二重鎖cDNAは、PCRを使用して、
可変領域を縮重N末端V領域プライマーおよびJ領域プライマーを用いて、また
はVHファミリー特異的プライマー(例えばマウス−12、ヒト7)を用いて増 幅することによって作製され得る。
【0060】 例えば、所望の抗体(たとえばMHC−1分子に対する抗体)のVHおよびVL ドメインの遺伝子をクローニングおよび配列決定し得る。第1鎖cDNAは、例
えば、全RNAからオリゴdTプライミングおよびMoloneyマウス白血病
ウイルス逆転写酵素を用いて、公知の手順に従って合成され得る。次いで、この
第1鎖cDNAを用いてPCR反応を行う。代表的なPCR条件、例えば、例え
ばVentポリメラーゼを用いる25から30サイクルを用いて免疫グロブリン
遺伝子のcDNAを増幅し得る。DNA配列分析を次に行う[Sangerら、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:5463−5467(
1977)]。
【0061】 重鎖プライマー対および軽鎖プライマー対の両方がこの方法論によって生成さ
れ得る。好ましくは、都合のよい制限部位をプライマーに挿入して、クローニン
グをより容易にさせる。
【0062】 用いられるストラテジーの例として、正方向VHプライマーおよび逆方向JH
ライマーから構成される重鎖プライマー対(各々クローニングのための都合のよ
い制限部位を含む)が調製され得る。例えば、免疫グロブリンに基づくKaba
tデータベース[Kabatら、前出]またはVbaseデータベース(I.T
omlinson(MRCによって公開);またTomlinson,I.M.
ら、EMBO J.,14:4628−4638(1995)もまた参照のこと
)を用いて、7つの異なるヒトVHファミリー中に見いだされるアミノ酸および コドン分布を分析し得る。これによって、35塩基対のユニバーサル5’VHプ ライマーが設計される。TTTGCGGCCGCTCAGGTGCA(G/A)
CTGCTCGAGTC(T/C)GG(配列番号9)のようなプライマーを用
い得、これは2つの異なるヌクレオチドについて2つの位置で縮重し、そしてF
R1配列の5’末端にアニールする。5’Not I部位のような制限部位(左
側下線)を、増幅したDNAのクローニングのために導入し得、そしてこれはV H 遺伝子に対する最初のコドンの5’に位置する。同様に、内部XhoI部位の ような第2の制限部位もまた導入し得る(右側下線)。
【0063】 同様に、66塩基対JH領域ヌクレオチドを、重鎖可変遺伝子の3’末端での 逆プライミングのために設計し得る。例えば、AGATCCGCCGCCACC
GCTCCCACCACCTCCGGAGCCACCGCCACCTGAGGT GACC GTGACC(A/G)(G/T)GGT(配列番号10)。このプ
ライマーはさらに45ヌクレオチド配列を含み、これはリンカー、例えば(Gl
y−Gly−Gly−Gly−Ser)3(配列番号1)相互交換リンカーをコ ードする。このプライマーは、6つのヒトJH領域ミニ遺伝子のヌクレオチド配 列に基づいて、2つのヌクレオチドに伴って2つの縮重位置を各位置で含む。制
限部位が用いられ得、例えば、BspEI部位(左側下線)を、重複正方向Vka ppa プライマーとの付着末端ライゲーションのために相互交換リンカー中に導入 する。内部BsTEll部位(右側下線)もまた、さらなるリンカー交換手順の
ために導入される。
【0064】 45ヌクレオチド相互交換リンカーを用いる同様のストラテジーが、69ヌク
レオチドヒトVkappaプライマーの設計に取り入れられる。ヒトVkappa遺伝子の
4つのファミリーが存在する。FR1配列の5’末端にアニールする5’Vkapp a プライマー:GGTGGCGGTGGCTCCGGAGGTGGTGGGAG CGGTGGCGGCGGATCTGAGCTC(G/C)(T/A)G(A/
C)TGACCCAGTCTCCA(配列番号11)は3位で縮重している(各
々、2ヌクレオチド)。相互交換リンカー部分は、BspEI部位を逆方向JH プライマーでの付着末端クローニングのために含み得、他の制限部位もまた用い
られ得る。内部SacI部位(右側下線)をもまた、さらなるリンカー交換手順
を可能にするために導入され得る。
【0065】 逆方向47ヌクレオチドCkappaプライマー(Kabat位置109−113 ):GGGTCTAGACTCGAGGATCCTTATTAACGCGTTG
GTGCAGCCACAGT(配列番号12)は、カッパ鎖の定常領域(Kab
at位置109−113)に対して相補性であるように設計される。このプライ
マーはカッパ定常領域の5’最末端にアニールする。プライマーは、2つの終止
コドンの前に内部MluI部位(右側下線)を含む。加えて、複数の制限部位、
例えばBam HI XhoI/XbaI(左側下線)がタンデム終止コドンの
後に導入される。同様の逆方向ヌクレオチドC−カッパプライマー、例えば59
ヌクレオチドプライマーもまた設計され得、これは特定の細胞内部位についての
シグナル、例えばカルボキシ末端小胞体残留シグナルである、Ser−Glu−
Lys−Asp−Glu−Leu(配列番号13)(SEKDEL)を含む。G
GGTCTAGACTCGAGGATCCTTATTACAGCTCGTCCT
TTTCGCTTGGTGCAGCCACAGT(配列番号14)。同様の複数
の制限部位(Bam HI XhoI/XbaI)をタンデム終止コドンの後に
導入し得る。
【0066】 一次ヌクレオチド配列を、重鎖およびカッパ鎖遺伝子の両方について決定し、
そして生殖系遺伝子を決定した後、次にPCRプライマーをVH71−4生殖系 遺伝子のリーダー配列に基づいて設計し得る。例えば、VH71−4リーダープ ライマー:TTTACCATGGAACATCTGTGGTTC(配列番号15
)は、5’NcoI部位(下線)を含む。このリーダープライマー(P−L)を
第2のJHプライマーと組み合わせて、PCR増幅実験のために用いる。35塩 基対JH領域オリゴヌクレオチドは、重鎖可変遺伝子、TTAGCGCGCTG AGGTGACCGTGACC(A/G)(G/T)GGT(配列番号16)の
3’末端での逆プライミングのための同じ配列を含むように設計される。このプ
ライマーは、2つのヌクレオチドに伴って2つの縮重位置を各位置で含む。J領
域の最後のアミノ酸を決定するコドンに対して3’であり、かつ直ぐ隣接するB
ssHII部位(左側下線)は、VH遺伝子の3’末端での都合のよいクローニ ングを可能にする。内部BstEII部位(右側下線)も導入される。この配列
を用いてVL配列を増幅する。次いで、P−L(リーダープライマー)およびP リンカー(逆方向プライマー)およびP−K(V2プライマー)およびP−CK プライマー(逆方向CKプライマー)で増幅されたフラグメントを、pRc/C
MV(Invitrogen)のような発現ベクター中にクローニングし、そし
て得られた組換え体は、CMVプロモーターのようなプロモーターの制御下で、
シグナルペプチドVH内部鎖リンカーおよびVL配列を含む。当業者は、選択した
細胞系、例えば哺乳類細胞、好ましくはヒト細胞で遺伝子を発現する他のプロモ
ーターを容易に選択し得る。
【0067】 抗MHC−1 sFvを調製するために、VHについてはプライマー配列A( 配列番号49)およびB(配列番号50)を、そしてVLについてはC(配列番 号51)およびD(配列番号52)を用い得る(これらは表3に示される)。こ
の抗体に好ましい鎖間リンカーは、(gly−gly−gly−gly−ser
3であり、そしてペプチド合成機により容易に調製され得るか、または切り出 され、そしてPCRにより、この配列を含むプラスミド(plasmic)から
増幅され得る。sFvは、種々のフラグメント(VH、VL、および鎖間リンカー
)から、重複伸長[Horton,R.M.ら、Gene 77:61−68(
1989)]、続いて配列番号49および配列番号52のプライマーを用いる増
幅によりアセンブルされ得る。完全な配列は、Sanger[Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 74:5463−5467(1977)]のダ
イデオキシチェーンターミネーション法により確認され得る。
【0068】 従って、本明細書中で用いられる、抗体に対する遺伝子は、重鎖および軽鎖の
領域の遺伝子を包含し得る。さらに、遺伝子は、その発現を生じる単数または複
数のプロモーターに作動可能に連結される。哺乳動物細胞中での発現を可能にす
るプロモーターは、周知であり、そしてサイトメガロウイルス(CMV)の中間
初期プロモーター、ウイルスLTR(例えば、ラウス肉腫ウイルスのLTR、H
IV−LTR、HTLV−1 LTR)、シミアンウイルス40(SV40)初
期プロモーター、E.coli lac UV5プロモーター、および単純ヘル
ペスtkウイルスプロモーターを含む。このDNA配列は、「抗体カセット」と
して記載される。
【0069】 しかし、より大きな程度の細胞内特異性が所望される例が存在する。例えば、
上記のように、MHC−1分子を標的化する場合、ERに対する抗体を指向する
ことが望ましい。従って、好ましくは、このような例において局所化配列を用い
る。この抗体は、細胞内送達され得、そしてそこで発現されて標的タンパク質に
結合し得る。
【0070】 局所化配列は、ルーティング(routing)シグナル、ソーティングシグ
ナル、残留またはサルベージシグナル、および膜トポロジー停止トランスファー
シグナルに分けられている[Pugsley,A.P.,Protein Ta
rgeting,Academic Press,Inc.(1989)]。例
えば、抗体を特定の位置に導くために、特定の局所化配列を用い得る。例えば、
シグナル(例えば、小胞体について、Lys Asp Glu Leu(配列番
号17)[Munroら、Cell 48:899−907(1987)]、A
sp Asp Glu Leu(配列番号18)、Asp Glu Glu L
eu(配列番号19)、Gln Glu Asp Leu(配列番号20)、お
よびArg Asp Glu Leu(配列番号21)[Hangejorde
nら、J.Biol.Chem.266:6015(1991)];核について
、Pro Lys Lys Lys Arg Lys Val(配列番号22)
[Lanfordら、Cell 46:575(1986)]、Pro Gln
Lys Lys Ile Lys Ser(配列番号23)[Stanton
,L.W.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:177
2(1986);Gln Pro Lys Lys Pro(配列番号24)[
Harlowら、Mol.Cell Biol.5:1605 1985]、A
rg Lys Lys Arg(配列番号58);ならびに核小体領域について
Arg Lys Lys Arg Arg Gln Arg Arg Arg
Ala His Gln(配列番号25)[Seomiら、J.Virolog
y 64:1803(1990)]、Arg Gln Ala Arg Arg
Asn Arg Arg Arg Arg Trp Arg Glu Arg
Gln Arg(配列番号26)[Kubotaら、Biochem.and
Biophy,Res.Comm.162:963(1989)]、Met
Pro Leu Thr Arg Arg Arg Pro Ala Ala
Ser Gln Ala Leu Ala Pro Pro Thr Pro(
配列番号27)[Siomiら、Cell 55:197(1988)];エン
ドソームコンパートメントについてMet Asp Asp Gln Arg
Leu Ile Ser Asn Asn Glu Gln Leu Pro(
配列番号28)[Bakkeら、Cell 63:707−716(1990)
])。標的化リポソームについてはLetourneurら、Cell 69:
1183(1992)を参照のこと。ミリストイル化(myristolati
on)配列は、抗体を原形質膜に導くために用いられ得る。さらに、下記の表2
に示されるように、ミリストイル化配列は、抗体を異なる細胞内位置(例えば、
核領域)に導くために用いられ得る。局所化配列はまた、抗体を細胞内小器官(
例えば、ミトコンドリアおよびゴルジ装置)に導くために用いられ得る。配列M
et Leu Phe Asn Leu Arg Xaa Xaa Leu A
sn Asn Ala Ala Phe Arg His Gly His A
sn Phe Met Val Arg Asn Phe Arg Cys G
ly Gln Pro Leu Xaa(配列番号29)を用いて抗体をミトコ
ンドリアマトリックスに導き得る(Pugsley、前出)。ゴルジ装置へのタ
ンパク質の局在化についてはTangら、J.Bio.Chem.207:10
122を参照のこと。
【0071】
【表2】 1読者を補助するために、標準的な1文字アミノ酸コードを表において用い、3 文字コードを用いるアミノ酸を配列表に示す。 2略号は、PM、原形質膜;G、ゴルジ;N、核;C、細胞骨格;s、細胞質(
可溶性);M、膜である。
【0072】 抗体カセットは、任意の公知の手段によって細胞に送達される。1つの好まし
い送達系は、Marascoによる1994年2月22日出願の米国特許出願第
08/199,070号(これは、本明細書中に参考として援用される)に記載
される。これは、標的部分および結合部分を含む融合タンパク質の使用を開示す
る。標的部分は、ベクターを細胞に運び、一方結合部分は抗体カセットを保有す
る。他の方法としては、例えば、Miller,A.D.,Nature 35
7:455−460(1992);Anderson,W.F.,Scienc
e 256:808−813(1992);Wuら,J.of Biol.Ch
em.263:14621−14624(1988)が挙げられる。例えば、こ
れらの抗体遺伝子(例えば、sFv遺伝子)を含むカセットは、多数の技術によ
って特定の細胞に標的化され得る。下記の議論において、本発明者らは、好まし
くはヒトT細胞に導入される、MHC−1抗体をコードするsFv遺伝子を議論
する。他の送達方法としては、例えば、トランスフェクションを促進する溶液中
のベクターを送達するマイクロカテーテル(microcatheter)、遺
伝子銃、裸のDNA、隣接補助DNA、リポソーム、ポックスウイルス、ヘルペ
スウイルス、アデノウイルス、レトロウイルスなどの使用が挙げられる。
【0073】 理論的には、分泌経路内には、細胞内発現抗体(intrabody)が配置
されてトラフィッキングタンパク質に結合し、そしてその最終的な行き先からト
ラフィッキングタンパク質を迂回させる多数の点が存在する。ERは、好ましい
位置である。なぜなら、ERは、生合成の初期にタンパク質を捕獲し、そしてE
R内の分解系による免疫複合体の迅速な処理の可能性を生むことを可能にするか
らである[Klausner,R.D.およびSitia,R.,Cell 6
2:611−614(1990)]。可溶性タンパク質のER残留に必要とされ
るペプチドシグナルは、充分に特徴付けされており、そしてカルボキシ末端テト
ラペプチドLys−Asp−Glu−Leu(KDEL)[Munroe,S.
およびPehham,H.B.、Cell 48:899−907(1987)
]が好ましい配列である。ER残留系の効率は、部分的に、KDELタグ化タン
パク質がシスゴルジネットワークに逸脱した場合、その際にKDELタグ化タン
パク質をERに戻す回収機構の存在による[Rothman,J.E.およびO
rci,L.,Nature 355:409−415(1992)]。ERは
また、免疫グロブリン分子の正しい折畳みを補助する分子シャペロン(例えば、
BiPおよびGRP94)の存在個所であるので、抗体アセンブリーの天然の部
位である[Melnick,J.ら,Nature 370:373−375(
1994)]。ERはまた、ERに存在するタンパク質がしばしば、延長された
半減期示すという利点を与える。
【0074】 レセプターまたはペプチドを発現する全ての細胞でそのレセプターまたはペプ
チドをノックアウトすることは、全ての例で所望されるわけではない。従って、
このような場合には、好ましくは、殺傷したい細胞(例えば、白血病細胞)にお
いて優先的にオンにする誘導性プロモーターを用いる。例えば、所望の細胞にお
いて選択的にオンにする照射により誘導されるプロモーターを用い得る。特定の
細胞の標的化を最大にする別のストラテジーは、標的化部分が、例えば、標的細
胞に関連する第2のタンパク質を標的とする送達系を用いることである。
【0075】 細胞内発現抗体は、細胞内で目的の分子と結合して複合体を形成する。適切な
標的化シグナル(例えば、KDELのような小胞体残留シグナル)の使用により
、細胞内発現抗体をさらに調整し得る。例えば、MHC−1についての抗体を、
(1)標的化シグナルなしで(sFvMHC)、および(2)小胞体残留シグナ
ル(KDEL)ありで(sFvMHCKDEL)、調製し得る。次いで、これら
のsFvをコードする遺伝子は、哺乳動物細胞内に挿入され得る。
【0076】 両方の細胞内発現抗体は、細胞の内側で発現される。しかし、sFv MHC
−1 KDEL細胞内発現抗体はER内に保持され、一方、sFv MHC細胞
内発現抗体は細胞を通って移動しつづける。結果として、2つの細胞内発現抗体
は、異なる細胞内部位に結合して複合体を形成する。例えば、ER細胞内発現抗
体(sFvMHCKDEL)は、ER内のレセプター鎖に結合してこれを保持す
る。
【0077】 いくつかの場合に、レセプターの全体としてのノックアウトが所望される場合
、選択マーカーに連結したIRES、および抗体に作動可能に連結された強力な
プロモーターの使用が好ましい。MHC−1のような特定のレセプターについて
は、全体的なノックアウトがNK反応を開始し得る。従って、好ましくは、この
ような細胞を、その所望でない免疫反応を開始する能力は欠損しているが、NK
反応を回避するためにNK反応を開始しないMHC−1アナログでトランスフェ
クトする。例えば、このようなアナログの1つは、その細胞質ドメインを欠くM
HC−1分子である。従って、NK細胞が認識するMHC−1の細胞外部分は存
在するが、免疫反応のシグナルを送りそして免疫反応を開始する細胞内部分は存
在しない。この目的を達成し得る他のアナログは、当業者により容易に調製され
得る。
【0078】 上記の方法論を用いて、特定のタンパク質(例えば、所望でない免疫応答を生
じる、IRMまたは抗原)の発現により引き起こされる病気を罹患している哺乳
動物(好ましくはヒト)を処置し得る。例えば、所望でない抗原に特異的に結合
する抗体を用いて、このような抗原を標的化し得る。細胞内発現を可能にする条
件下で、抗体を発現し得る有効量の遺伝子を、所望でない標的抗原の発現に感受
性の細胞に送達する。他の例では、この方法は、予防的処置として用いられて、
例えば、タンパク質のプロセシングおよびレセプターの発現を防ぐことによって
、このような細胞が、所望でない抗原により有害な影響を受けるのを防ぐかまた
はそれを困難にし得る。多数の標的が存在する場合、1つの好ましい標的は、小
胞体によりプロセシングされるタンパク質である。任意の抗体遺伝子の細胞内送
達は、上記のような遺伝子治療技術のような手順を用いて達成され得る。抗体は
、上記のように任意の抗体であり得る。本発明者らは、本明細書中で、組織移植
用に調製するため、または自己免疫疾患を処置するために、哺乳動物(例えば、
ヒト)の免疫応答(例えば、T細胞)を変えるために、抗体遺伝子をT細胞に送
達するこの系の使用を議論する。しかし、本開示に基づいて、例えば、レセプタ
ー異常を有する個体に、または特定の抗原に対する免疫応答を予防するために、
このようなアプローチを他の系に容易に適応させ得ることを理解されるべきであ
る。さらに、この系を用いて、レセプター発現を一過的に予防し得、それにより
所望でないT細胞媒介反応(例えば、同種移植片拒絶)をブロックし得る。
【0079】 レセプター(例えば、MHC−1レセプター)が長期の生存の間、活性である
特定の細胞については、細胞内発現抗体のみを異常細胞に選択的に投与するため
の手段が必要である。上記のように多数の手段(マイクロカテーテル、誘導性プ
ロモーター、および細胞内発現抗体の選択的投与を可能にする結合体)が存在す
る。例えば、マイクロカテーテルを用いて、抗体カセットを含む溶液を細胞に送
達し得る。あるいは、抗体の発現は、誘導性プロモーターにより制御され得る。
このようなプロモーターは、標的、または照射のような外部供給源の効果により
活性化され得る。このような細胞では、抗体の混合物を含む悪性「カクテル」を
用いて多数のレセプターを標的化し得る。別の場合には、選択により、細胞内発
現抗体を「オフ」にするか、または生存のためにもはやレセプターを必要としな
い、細胞の樹立を導き得る。これらの細胞については、1回でのタンパク質の使
用が所望される。なぜなら、これは、抗体を回避し得るタンパク質を生成するよ
うに変異体が進化することをより困難にするからである。このような「カクテル
」は、一緒にまたは同時トランスフェクションにより投与され得る。同じ細胞内
領域内の約3以下の、好ましくは約2以下の、タンパク質が標的化されることが
好ましい。別の細胞内標的が異なる細胞内領域(すなわち、核対小胞体)に存在
する限り、これはまた、抗体産生に有害な影響を与えずに標的化され得る。これ
は、異なる局在化配列を用いて行われ得る。いくつかの標的が1つの位置で抗体
に結合せず、そして例えば、さらにプロセシングされる場合、これは、次の位置
で標的化され得る。あるいは、分子の異なるエピトープを標的化する複数の抗体
を用い得る。
【0080】 最終的に、抗体結合体は、異常な細胞を標的化するために用いられ得る。例え
ば、RNA分子またはDNA分子を細胞に運搬するのにレセプター媒介エンドサ
イトーシスを用いる、細胞特異的遺伝子移入機構を用いて遺伝子が送達され得る
。例えば、異常な細胞上のレセプターに対する抗体を用いる。
【0081】 細胞を標的化するために用いられる抗体を結合部分に、スクシンイミジル−3
−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)のような試薬を用いる改
変後にジスルフィド結合を介する連結によりカップリングして、抗体結合部分を
形成し得る。抗体結合部分複合体は、融合タンパク質を、抗体カセットを保有す
る部分、すなわち、プロモーターに作動可能に連結された抗体を含むDNA配列
(例えば、プラスミドまたはベクター)と混合することにより産生される。別の
ベクターは、ポリリジン(polyysine)を結合部分として用いる。
【0082】 上記のように、抗体との連結は、SPDPを用いて達成され得る。第1のジチ
オピリジン基が、両方の抗体に、または例えばポリリジンにSPDPによって導
入され、次いで、例えば、ポリリジン中の基が還元されて遊離のスルフヒドリル
化合物を与え得、これは上記のように改変された抗体と混合された際に反応して
所望のジスルフィド結合結合体を与える。これらの結合体は、カチオン交換クロ
マトグラフィーを用いるような従来技術により精製され得る。例えば、Phar
macia Mono Sカラム、HR 10/10。次いで、これらの結合体
は、抗体カセットと、結合を可能にする条件下で混合される。例えば、25℃で
1時間インキュベートし、次いで0.15M生理食塩水に対して、所望の分子量
限界を有する膜を介して24時間透析する。このような膜は、例えば、Spec
trum Medical Industries,Los Angeles,
Californiaから入手可能であり得る。
【0083】 好ましくは、本発明のベクターは、発現させるために内部リボソーム侵入部位
(IRES)配列を用いる。1995年10月16日に出願された出願第60/
005,359号に開示されるように、IRESの使用は、所望の遺伝子、例え
ば、sFvの「強制発現」を可能にする。別の実施態様では、軽鎖および重鎖の
、例えばFabでの化学量論的発現をさせるIRESを用い得る。この強制発現
は、所望のタンパク質を発現する細胞が、表現型的に見られないという、広範囲
の遺伝子産物について生じ得る「サイレンシング」の問題を回避する。別の実施
態様は、IRES配列を用いることを含み、目的のIRMに対する単鎖細胞内発
現抗体を選択マーカーと連結し得る。選択マーカーは、当該分野で周知である(
例えば、栄養素、抗生物質などのような刺激に対する細胞の感受性を変化させる
タンパク質を発現する遺伝子)。これらの遺伝子の例としては、neo pur
o、tk、多剤耐性(MDR)などが挙げられる。
【0084】 このIRES連結の得られる産物は、融合タンパク質ではなく、そしてこれら
はその正常な生物学的機能を示す。従って、これらのベクターの使用は、所望の
タンパク質の強制発現を可能にする。
【0085】 IRES配列は、DNAの転写に作用するプロモーターの作用とは対照的に、
RNAの翻訳効率の改善に作用する。多数の異なるIRES配列が公知であり、
脳心筋炎ウイルス(EMCV)[Ghattas,I.R.ら,Mol.Cel
l.Biol.11:5848−5859(1991)];BiPタンパク質[
MacejakおよびSarnow,Nature 353:91(1991)
];DrosophiliaのAntennapedia遺伝子(エキソンdお
よびe)[Ohら,Genes & Development,6:1643−
1653(1992)]由来の配列;ならびにポリオウイルス中の配列[Pel
letierおよびSonenberg,Nature 334:320−32
5(1988);MountfordおよびSmith,TIG 11,179
−184(1985)もまた参照のこと]を含む。
【0086】 IRES配列は、代表的には、遺伝子の5’非コード領域に見出される。文献
中のものに加えて、これらは経験的に、発現をもたらす遺伝的配列を探し、次い
でこの配列がDNAに影響を与える(すなわち、プロモーターまたはエンハンサ
ーとして作用する)か、またはRNAのみに影響を与える(IRES配列として
作用する)かを決定することにより見出され得る。
【0087】 これらのIRES配列を、人工構築物(例えば、Marascoらに対する1
994年2月22日出願の米国特許出願第08/199,070号;PCT第P
CT/US95/02140において)からDNAおよびRNAベクターの範囲
にわたる広範なベクターにおいて用い得る。DNAベクターとしては、ヘルペス
ウイルスベクター、ポックスウイルスベクターなどが挙げられる。RNAベクタ
ーが好ましい。なおさらに好ましくは、レトロウイルスベクター(例えば、モロ
ニーマウス白血病ウイルスベクター(MMLV)またはレンチウイルスベクター
(例えば、HIV、SIV)など)を用いる。これらのベクターは、時々、欠損
ベクターと呼ばれ、そして本明細書中で用いられるように、この用語は、このベ
クターが、感染能力を保持するが、生産性の野生型疾患の確立をもたらさないよ
うに改変されていることを意味する。
【0088】 IRMに対するsFvを含む強制発現ベクターは、インビトロからインビボの
範囲の種々の異なる系において用いられ得る。例えば、エキソビボでの研究が、
組織(例えば、角膜または骨髄)について、または培養され得る細胞について実
施され得る。従って、本系は、移植のために骨髄細胞を形質転換して、このよう
な細胞に対して特に有用である。本系はまた、上記のように、組織移植拒絶を防
止するため、または自己免疫疾患を処置するためなどにインビボで用いられ得る
【0089】 発現ベクターは、当該分野で周知の任意の広範囲の技術(電気泳動、リン酸カ
ルシウム沈殿、カテーテル、リポソームなどを含む)によって細胞を形質転換す
るために用いられ得る。
【0090】 標的細胞を処置するために、これらのベクターは、インビトロで細胞に導入さ
れ、形質導入された細胞は哺乳動物宿主に注射され得るか、またはベクターは、
例えば、T細胞またはB細胞に結合し、次いで取り込まれる場合は、ヒトのよう
な哺乳動物宿主に注射され得る。インビボでの遺伝子発現の効率を増加させるた
めに、抗体カセットは、エピソーム哺乳動物発現ベクターの一部であり得る。例
えば、哺乳動物細胞における染色体外複製のためにヒトパポバウイルス(Pap
pova virus)(BK)の複製起点およびBKラージT抗原を含むベク
ター、高コピー数のエピソーム複製を可能にするエプスタイン−バー(EB)ウ
イルスの複製起点および核抗原(EBNA−1)を含むベクター。他の哺乳動物
発現ベクター(例えば、ヘルペスウイルス発現ベクターまたはポックスウイルス
発現ベクター)もまた用いられ得る。このようなベクターは、Invitrog
en Corp.を含む広範囲の多数の供給源から利用可能である。抗体カセッ
トは、標準的な技術により、例えば、制限エンドヌクレアーゼを用いて発現ベク
ターに挿入され、そしてこれをこのような哺乳動物発現ベクター中の特定の部位
に挿入する。これらの発現ベクターは、抗体−ポリリジン結合体と混合され得、
そして抗体カセット複合体を含む、得られる抗体−ポリリジン発現ベクターは、
本明細書中に含まれる開示に基づいて容易に作製され得る。
【0091】 十分な量のこれらのベクターを注射して、約0.05μg/ml〜20μg/
mlの抗体結合体の範囲の血清濃度を得る。より好ましくは、約0.1μg/m
l〜10μg/mlである。さらにより好ましくは、約0.5μg/ml〜10
μg/mlである。
【0092】 これらのベクターは、任意の種々の手段(例えば、非経口注射(筋肉内(I.
M.)、腹腔内(I.P.)、静脈内(I.V.)、頭蓋内(I.C.)もしく
は皮下(S.C.))、経口または他の公知の投与経路)により投与され得る。
代表的には非経口注射が好ましい。
【0093】 この物質は、任意の便利な手段により投与され得る。例えば、物質は、スクロ
ース、ラクトース、または澱粉のような不活性キャリアと混合され得る。物質は
、錠剤、カプセル剤、および丸剤の形態であり得る。物質は、リポソームまたは
他のカプセル化手段の形態であり得る。物質はまた、エアロゾルの一部であり得
る。非経口投与のためには、物質は、代表的には、滅菌された水性または非水性
の溶液、懸濁液、またはエマルジョン中で薬学的に受容可能な非経口キャリア(
例えば、生理食塩水)とともに注射される。
【0094】 上記の任意の形態のこれらの物質を含むキットもまた包含される。好ましくは
、キットは、上記の教示に従うこれらの細胞内発現抗体の使用説明書を含む。
【0095】 本発明の1方法では、本発明者らは、MHC−1分子に対する、ER指向性お
よびKDEL含有sFv細胞内発現抗体を生成した。8k sFvは、ハイブリ
ドーマにおいて実際に発現される分子である。この場合、重鎖は、乱雑であり、
そして抗MHC−15kフラグメントもまた用いられ得る(図2aおよび2bを
参照のこと)。しかし、抗MHC−1−8kが好ましく、そしてこれは細胞中で
実際に発現される。
【0096】 これらの構築物は、原核生物および真核生物発現ベクター(それぞれ、pHE
NおよびpRc/CMVおよびpCMV4)においてクローニングされた。ヒト
CD4+ Tリンパ球細胞を、pRc/CMVまたはpCMV4ベクター中のs
FvhMHC−1でトランスフェクトした。MHC−1分子の細胞表面発現は、
免疫蛍光染色およびフローサイトメトリーにより分析された。この結果は、sF
vが発現されること(図3)、ならびにMHC−1分子のαおよびβ2ミクログ ロブリン鎖がsFvMHC−1分子とともに同時免疫沈降可能であることを示す
。従って、細胞内発現抗体は、発現され、そしてその標的に細胞内で結合し得た
。本発明者らはまた、ER内でsFvhMHC−1を構成的に発現するCD4+
細胞が、MHC−1細胞表面発現を効果的に阻害することを見出した。
【0097】 本発明は、以下の実施例によりさらに例示される。実施例は本発明の理解を助
けるために提供され、本発明の限定としては解釈されない。
【0098】 (実施例) (小胞体(ER)で発現されるsFvhMHC−1の構築) ヒトMHC−1に対するER指向性およびKDEL含有単鎖細胞内発現抗体を
、ATCC HB94ハイブリドーマ細胞(融合物名BB7.7、抗HLA−A
、B、C)を用いて作製した。この抗体は、HLA−A、B、C、およびβ2ミ クログロブリンのコンビナトリアル決定基と反応する。HB94細胞を用いて、
mRNAおよびcDNAを単離した。
【0099】 正方向マウスVHプライマー5’−cc−ctc−tag−aca−tat−
gtg−aat−tcc−acc−atg−gcc−cag−gtc(配列番号
53)、および逆方向JHプライマー5’−tg(a/c)−gga−gac−
ggt−gac−c(a/g)(a/t)−ggt−ccc−t(配列番号54
)を用いて、Vkフラグメントを増幅した。VHおよびVkフラグメントを、重
複伸長PCR[Clackson,T.ら,Nature 352:624−6
28(1991)]を用いて(Gly4Ser13鎖間リンカーを介して連結し た。
【0100】 本発明者らは、2つの特異的Vκ鎖を単離し、従って本発明者らは、抗MHC
−1−5kおよび抗MHC−1−8k sFvとして標識された、2つのシリー
ズのsFvを有していた。これらは、類似する重鎖および異なるκ鎖を有する2
つの異なる抗MHC−sFvを示す。両方とも、ER保持に特異的なC末端SE
KDEL配列を有していた。これらのヌクレオチド配列およびアミノ酸一次配列
を、図2a(sFvhMHC−1−5k)および図2b(sFvhMHC−1−
8k)に示す。
【0101】 構築物を、Mhashilkar,A.M.ら、Embo J 14:154
2−1551(1995)に記載の方法に従って原核生物性発現ベクター(pH
EN)および真核生物発現ベクター(pRc/CMVおよびpCMV4)中にク
ローニングした。
【0102】 pHEN構築物を用いて、sFvタンパク質をE.coliの細胞周辺腔から
単離し、そしてpRc/CMVおよびpCMV4構築物を用いてインビトロ転写
および翻訳を分析し、そして一過性のsFvhMHC−1発現細胞および安定な
sFvhMHC−1発現細胞を生成した。
【0103】 (細胞培養) ヒトCD4+ Tリンパ球細胞株、SupT1およびJurkatを、10% ウシ胎児血清、グルタミン(2mM)、ペニシリン−ストレプトマイシン(10
0μg/mL)を補充したRPMI−1640培地中で、37℃および5% C
2にて培養した。上皮細胞株COS−1細胞を、10%ウシ胎児血清および抗 生物質を有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で増殖させた。
【0104】 (哺乳動物細胞におけるsFvhMHC−1の細胞内発現) 種々のsFvhMHC−1の一過性および構成性発現を検出し、そして免疫沈
降およびFACS分析により分析した。用いた方法は以下の通りであった: (免疫沈降) 107細胞(一過性トランスフェクションまたは安定発現細胞のいずれか)を 100mmペトリプレート中においた。一過性トランスフェクションについては
、細胞(COS−1)を、トランスフェクションの24時間前に上記の密度でプ
レーティングした。トランスフェクションのDEAE−デキストラン方法を用い
た[Fujitaら,Cell 46:401−407(1986)]。手短に
は、10μgのスーパーコイルプラスミドDNA(pRc/CMVまたはpCM
V4ベクター中のsFvhMHC−1)を、1.8mLのPBSで希釈し、そし
て100μLのDEAE−デキストラン(水で作製した10mg/mLストック
)をこの混合物に添加した。接着細胞を、トランスフェクション前にPBSで2
回洗浄した。
【0105】 DNA−DEAE−デキストラン混合物を、細胞上に重層し、そしてプレート
を37℃にて30分間インキュベートした。細胞を、クロロアクイン(chlo
roaquine)(最終濃度80μM)と5mLの無血清DMEM培地中で反
応させ、そして37℃にてさらに2.5時間インキュベートした。培地を吸引し
、そして5% DMSOを有する5mLの新鮮な無血清DMEMによって置換し
た。さらに2.5分間のインキュベーション後、培地を捨て、そして細胞をPB
Sで2回洗浄し、そして7mLの新鮮な10%ウシ胎児血清DMEM培地を添加
し、そして細胞を代謝標識で処理するかまたは増殖する安定な細胞についてネオ
マイシン選択に曝露するまでインキュベートした(トランスフェクションの48
〜60時間後)。
【0106】 免疫沈降について、一過性にトランスフェクトされた細胞株または安定な細胞
株を、システインを含まないPRMI培地に(2時間)曝露し、次いで100〜
150μCiの35S−システインで代謝性標識した。細胞をPBSで3回洗浄し
、そしてRIPA+溶解産物緩衝液で溶解させた。細胞溶解産物からの可溶性タ ンパク質を、ウサギ抗マウスIgG(分子全体、Sigma)タグ化プロテイン
Aセファロースビーズを用いて免疫沈降させた。タンパク質を、12.5% S
DS−PAGEで分離し、そしてオートラジオグラフィーにより可視化した[L
aemmli,U.K.,Nature 227:680−685(1970)
]。
【0107】 非接着Tリンパ球細胞株(Sup T1およびJurkat)の(一過性およ
び安定の両方の)トランスフェクションをまた、DEAE−デキストラン/エレ
クトロポレーション法を用いて行った。手短には、細胞を、PBSで3回洗浄し
、そして0.8mLの無血清RPMI培地中に懸濁し、この中に10μgのプラ
スミドDNAおよび12.5μLのDEAE−デキストラン(10mg/mL)
を添加した。DNA−DEAE−デキストラン細胞混合物を、37℃にて30分
間インキュベートした。次いで、細胞を、無血清RPMIで2回洗浄し、次いで
RPMI中10%ウシ胎児血清に48〜60時間プレートした。
【0108】 エレクトロポレーションのために、本発明者らは、同量の細胞を用い、そして
10μgのプラスミドDNA(スーパーコイル/線状化)を250ボルト、96
0マイクロファラデーの静電容量で18〜24秒間の設定でパルスする、BIO
RADのGene Pulserを用いた。
【0109】 次いで、形質転換細胞を、RPMI増殖培地中に入れ、そしてトランスフェク
ションの48〜60時間後に細胞をタンパク質発現について特徴付けたかまたは
ネオマイシン選択に曝露した。異なる安定細胞株の増殖のための液体培地中のネ
オマイシン濃度は、以下の通りであった:COS−1細胞、500μg/mL;
Sup T1細胞、400μg/mL、およびJurkat細胞、800μg/
mL。
【0110】 (FACS分析) 免疫蛍光染色を用いて、sFvhMHC−1形質導入/非形質導入細胞におけ
るMHC−1分子の細胞表面発現を分析した。細胞を、PBS(1%ウシ胎児血
清を有する)で3回洗浄し、そしてHB94ハイブリドーマ細胞上清(1:50
希釈)とともに4℃にて2時間インキュベートし、その後、細胞をPBSで3回
洗浄し、次いでFITC結合体化ウサギ抗マウスIgG(1:500希釈、Si
gma)とともに4℃にて2時間インキュベートした。次いで、細胞をPBSで
3回洗浄し、そして4%ホルムアルデヒドを有する0.4mLのPBS中に再懸
濁した。
【0111】 次いで、細胞を、Core−Facility of Dana Farbe
r Cancer Instituteのフローサイトメトリーにより分析した
【0112】 (小胞体(ER)により発現されるsFvhMHC−1) sFvHMHC−1−5kおよび8k構築物の両方は、インビトロ転写および
翻訳方法により観察されるオープンリーディングフレームを有していた(データ
は示さず)。
【0113】 一過的にトランスフェクトしたCOS−1細胞を、先に記載した通りの免疫沈
降プロトコルを用いてsFv発現について分析した。
【0114】 図3は、sFvMHC−1s(レーン2〜5)のSDS−PAGEプロフィー
ルを例示し、そしてCOS−1細胞中のsFvMHC−1の一過性発現を示す。
一過性トランスフェクトされた、および代謝的に放射性標識された細胞の放射性
免疫沈降を、抗マウスIgG(分子全体、Sigma)結合プロテインA−セフ
ァロースを用いて実施した。サンプルを、12.5% SDS−PAGE変性ゲ
ルに泳動した。レーン1は、pRc/CMVベクターコントロールであり、レー
ン2および3はpRc/CMV−sFvMHC−1−5kの2つの異なるプラス
ミド調製物を用いるサンプルを含み、レーン4および5はpRc/CMV−sF
vMHC−1−8kの2つの異なるプラスミド調製物を用いるサンプルを含む。
レーン2〜5では、さらなるバンド(’50および20kD)もまた同時免疫沈
降した。
【0115】 sFvを示す特徴的な30kDバンドが観察される。また、sFvMHc−1
分子で特異的に引き出される(同時免疫沈降可能な)MHC−1分子のαおよび
2ミクログロブリン鎖であり得る50kDおよび23kDのタンパク質に対応 する2つの特定のバンドが見られる。
【0116】 図4は、ネオマイシン選択下でのJurkatクローンにおけるsFvhMH
C−1の安定な細胞発現を示す。ネオマイシンで選択された、sFvMHC−1
発現Jurkat細胞の安定なサブクローンを、細胞内発現抗体発現について分
析した。レーン1は、pRc/CMVベクタークローンを含む。レーン2および
3は、sFvhMHC−1−5k安定サブクローンを含む。レーン4および5は
、sFvhMHC−1−8k安定サブクローンを含む。結果は、30kDのsF
vバンドを示す。
【0117】 (sFvhMHC−1安定細胞における細胞表面MHC−1発現のダウンレギ
ュレーション) 図5および6は、pRc/CMVまたはpCMV4コントロールの下でsFv
5kまたはsFv8kのいずれかを用いる、異なるレベルのMHC−1ダウンレ
ギュレーションを示す、安定なsFvhMHC−1発現Jurkatサブクロー
ンを示す。
【0118】 図5は、Jurkat安定サブクローンのFACS分析を示す。sFvMHC
−1または空のベクターを発現するJurkat細胞を、最初にHB94ハイブ
リドーマ上清とともにインキュベートし、次いでFITC標識抗マウスIgG(
Sigma)とともにインキュベートした。これらの細胞を、MHC−1細胞表
面発現についてモニタリングした。第1欄は、pRc/CMVベクター単独また
はsFvhMHC−1−5kサブクローンを示す。第2欄は、pRc/CMVベ
クター単独またはsFvhMHC−1−8kサブクローンを示す。第3欄は、p
CMV4ベクター単独またはsFvhMHC−1−5kサブクローンを示す。第
4欄は、pCMV4ベクター単独またはsFvMHC−1−8kサブクローンを
示す。これらの結果は、MHC−1レセプター発現がsFvMHC−1−8k細
胞内発現抗体により阻害されることを示す。図5は、異なるサブクローンにおい
て観察される表現型ノックアウトの易変性を示す。例えば、サブクローンpRC
/CMV/5k6、CMV4/5k4、およびCMV4/8k2においてはほぼ
完全なノックアウトが存在する。
【0119】 図6は、選択されたJurkat安定サブクローンのFACS分析を示す。図
6は、pRc/CMVコントロールの下のクローン5kおよびCMV4コントロ
ールの下のクローン8kが、それぞれMHC−1発現を示さないかまたは最少量
のMHC−1発現を示すことを示す。
【0120】 図7は、1つのpRc/CMV空ベクターおよび2つのsFvhMHC−1サ
ブクローンのFACS分析を示す。ベクター単独で形質転換したサブクローンお
よび2つのsFvhMHC−1で形質転換したクローンについて、MHC−1、
MHC−2、B2ミクログロブリン、CD2、CD3、CD4、およびCD8の
細胞表面発現レベルを分析した。図7は、ベクターコントロールを有する平行な
2つのクローンのパネルを示し、これは、他の異なる表面マーカーがそれらに存
在することを実証し、これらにはMHC−1(分子全体)、B2ミクログロブリ
ン、MHC−2、CD2、CD3、CD4、およびCD8が含まれる。これらの
結果は、ベクターコントロールに比較したMHC−1分子のダウンレギュレーシ
ョンを示し、一方、他の表面レセプターは、ベクターコントロールと比較して影
響されないままである。MHC−1分子とは独立した非古典的経路におそらく起
因して、β2ミクログロブリンが表面に通りぬけるようである。
【0121】 これらの研究は、sFvhMHC−1をER中で構成的に発現するCD4+ Jurkat細胞が、MHC−1細胞表面発現を効果的に阻害したこと、および
これらのsFvを用いて本発明者らがMHC−1α鎖およびB2ミクログロブリ
ンを同時免疫沈降し得たことを実証する。
【0122】 (レトロウイルス感染) 本発明者らは、マウスモロニー(Maloney)レトロウイルスLNベクタ
ー[Miller,A.D.,immunology 158巻(1994)]
中にsFvhMHC−1をクローニングした。
【0123】 レトロウイルス構築物を、エコトロピック細胞株oCRE中に形質導入する。
48時間後、上清を用いて、パッケージング細胞株PA317に感染させる。プ
ロデューサー細胞株を、G418およびHAT選択後に確立する。最初のスクリ
ーニングを行って組換えウイルスからのsFv発現を確実にする。G418耐性
細胞の上清を用いて、不死化Tリンパ球および刺激PBLに感染させる。形質導
入細胞株におけるタンパク質発現を、免疫蛍光、免疫沈降、およびELISAに
より調べる。ベクターコントロール(sFvなし)および無関係なsFv(sF
vtac)を形質導入した細胞株を、平行に用い、そして分析する。
【0124】 本明細書中で言及された全ての参考文献は、参考として援用される。
【0125】 本発明は、本発明の好ましい実施態様を特に参照して詳細に記載されてきた。
しかし、本発明の精神および教示の範囲内の改変および改善は本開示を考慮すれ
ば当業者によって行われ得ることが認識される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aおよび1BはMHC−1表面発現の模式図を示し、図1AはMHC−1
細胞表面発現の通常の経路を示し、そして図1BはERで発現されるsFvhM
HC−1の存在下での細胞表面発現を示す。
【図2】 図2Aおよび2Bは特定の単鎖抗体の配列を示す。図2AはsFvhMHC−
1−5kの一次ヌクレオチド配列(配列番号55)およびアミノ酸配列(配列番
号56)を示し、そして図2BはsFvhMHC−1−8k(B)の一次ヌクレ
オチド配列(配列番号57)およびアミノ酸配列(配列番号55)を示す。
【図3】 図3は、COS−1細胞中でのsFvhMHC−1の一過性発現を示す。
【図4】 図4は、Jurkat細胞中でのsFvhMHC−1の安定発現を示す。
【図5】 図5は、Jurkat安定サブクローンのFACS分析を示す。
【図6】 図6は、選択されたJurkat安定サブクローンのFACS分析を示す。
【図7】 図7は、1つのpRC/CMV空ベクターおよび2つのsFvhMHC−1サ
ブクローンのFACS分析を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12N 5/00 B 15/09 ZNA 15/00 ZNAA (72)発明者 マシカル, アブナー アメリカ合衆国 テキサス 77096, ヒ ューストン, メイヤー フォレスト ド ライブ 9701, アパートメント 2206 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 AA20 BA41 BA80 CA04 CA10 CA20 DA02 DA03 DA06 EA02 EA04 GA03 4B065 AA26X AA90X AA91X AA93X AA93Y AA94X AB01 AB05 AC14 AC15 AC16 BA02 BA03 BA08 BA25 BB01 BC03 BC07 BD50 CA25 CA44 CA46 4C084 AA13 MA65 NA14 ZB022 4C085 AA13 AA14 BB11 EE01 GG02 GG04 GG06 4H045 AA11 AA20 AA30 BA10 BA41 CA40 DA76 EA20 EA50 FA72 FA74

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所望されない免疫関連反応を阻害する方法であって、以下の
    工程:該所望されない免疫関連反応に関与し得る細胞に抗体をコードする遺伝子
    を形質導入する工程であって、該抗体は発現したときに該細胞中で該所望されな
    い免疫関連反応に関与する標的分子および/またはリガンドを標的化する、工程
    、該抗体を発現させる工程、ならびに該抗体を該標的レセプターおよび/または
    リガンドに結合させる工程を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 前記標的レセプターが、MHCクラスI分子、MHCクラス
    II分子、CD28分子、CD40分子、CD20分子およびCD43分子から
    なる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記標的レセプターが、MHCクラスI分子、MHCクラス
    II分子、CD28分子、CD40分子、CD1分子、CD20分子、T細胞レ
    セプターおよびCD43分子に関与する経路の成分からなる群から選択される、
    請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記抗体が単鎖抗体を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記単鎖抗体がMHC−1分子に結合する、請求項4に記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 細胞を形質導入するための主要組織適合複合体(MHC)の
    成分に結合する抗体の使用であって、ここで該抗体は該成分に該細胞中で結合し
    て、所望されない免疫関連反応を阻害する、使用。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の抗体であって、ここで該抗体が、MHCの
    X鎖、β2ミクログロブリン、カルネキシン、抗原プロセシングに関連するトラ
    ンスポーター(TAP)およびタパシンから選択されるMHC成分の群のうちの
    1つと結合する、抗体。
  8. 【請求項8】 標的分子に結合する抗体をコードする遺伝子によって形質導
    入された細胞であって、ここで該標的分子が主要組織適合複合体(MHC)の成
    分であり、該抗体が発現されると、該発現された抗体が、該標的分子と該細胞中
    で結合し、そして該細胞が所望されない免疫関連反応の一部となるのを阻害する
    、細胞。
  9. 【請求項9】 前記抗体が、MHCのX鎖、β2ミクログロブリン、カルネ
    キシン、抗原プロセシングに関連するトランスポーター(TAP)およびタパシ
    ンからなる選択されるMHC成分の群のうちの1つと結合する、請求項8に記載
    の細胞。
  10. 【請求項10】 前記抗体がTAPと結合する、請求項9に記載の細胞。
  11. 【請求項11】 前記抗体が単鎖抗体である、請求項9に記載の細胞。
  12. 【請求項12】 主要組織適合複合体(MHC)の成分に結合する抗体をコ
    ードする遺伝子を含むベクターであって、該抗体が細胞中に残留するように適合
    されているベクターと、これを所望されない免疫関連反応の阻害に使用するため
    の指示書とを含む、キット。
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