JP2001515924A - 新規な生体模倣ヒドロゲル材料 - Google Patents

新規な生体模倣ヒドロゲル材料

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Abstract

(57)【要約】 新規な生体模倣ヒドロゲル材料およびそれらを調製する方法である。約1重量%〜約99重量%の濃度で存在するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリレート、メタクリレート、ビニルおよびそれらの誘導体からなる群から選択される親水性または疎水性共重合材料と共重合される、アクリルアミド官能基化炭水化物、スルホキシド、スルフィドまたはスルホンを包含するヒドロゲルおよびそれらを調製するための方法である。ソフトコンタクトレンズおよび医用インプラントの作製のための新規なヒドロゲルの使用方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) 本発明は、新規な生体模倣ヒドロゲル材料およびそれらを調製する方法に関す
る。特に、本発明は、親水性または疎水性共重合材料と共重合した、アクリルア
ミド−官能化炭水化物、スルホキシド、スルフィドまたはスルホンを含む、ヒド
ロゲル(例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリレート、メタクリ
レートまたはビニル、あるいはそれらの誘導体(例えば、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート))、およびそれらを調製する方法に関する。本発明はまた、ソ
フトコンタクトレンズおよび生物医学用インプラントの作製に対する新しいヒド
ロゲルの使用に関する。さらに、本発明は、新規アクリルアミド−官能化炭水化
物、スルホキシド、スルフィドおよびスルホンに関する。
【0002】 (背景および関連した開示) ヒドロゲルポリマーは、生物医学用材料産業において、血管および組織環境の
両方におけるインプラント材料としての広範な使用が見いだされてきている。こ
れらは、種々の形態に容易に作製され、それらの構成要素に依存するある範囲の
特性を示し得る。それらを規定する特性は、水を吸収および保持する能力であり
、この特性は、バルクの材料における親水性基の存在によって支配される。
【0003】 種々の機能を供給する生物医学用ヒドロゲルは、天然にあることが知られてい
る。例えば、骨成長のプロセス間、コラーゲン繊維は、無機物核形成が生じる際
、ヒドロゲルを形成する。細胞表面の炭水化物層は、細胞表面を保護し水和する
ヒドロゲル様マトリクスを形成する。この天然の精巧な構造は、複雑な生物学的
プロセスにおいて種々の機能を果たす。
【0004】 比較すると、生物医学的適用のための作製されたヒドロゲルポリマーは、ほと
んど機能性を有さない。
【0005】 「グリコポリマー」(Bioconj.Chem.、3:256(1992)
として知られているペンダント糖部分を有するポリマーは、生物学的に重要な炭
水化物分子の多価提示のための骨格として、近年大変興味を引いている。これら
のグリコポリマーは、ウイルス宿主細胞付着および白血球内皮細胞癒着の強力な
インヒビターとして使用されている(FEBS、272:209(1990);
Can.J.Microbiol.、37:233(1991);J.Am.C
hem.Soc.、119:3161(1997)。グリコポリマーはまた、標
的化薬剤および遺伝子送達のためのビヒクルとして(J.Hepatology
、21:806(1994)、および細胞癒着のための人工基質として(J.C
ell Biol.、115:485(1991)調査されている。生体適合性
インプラント材料としてのグリコポリマーの適合性は、比較的調査されておらず
、例えば、Microbiol.Chem.Phys.、195:3597(1
994)に記載される少数の例に限定されている。
【0006】 生体適合性インプラント材料として使用されるポリマーについて、それらの特
性、特に表面組成物は、非常に重要なものである。試みは、バルク系へおよびそ
れらの表面上に生体適合性成分を導入することを含む。例えば、J.Collo
id Interface Sci.、149:84(1992)に記載される
研究は、バルク中でペンダントグルコース単位を有するコポリマーまたは共有結
合した中性多糖類を有する表面が、血小板癒着およびタンパク質吸着の減少を実
証することを示す。
【0007】 従って、本発明の主要な目的は、新規な生体模倣、生体適合性ヒドロゲル材料
を提供することであり、これらは、高親水性、湿潤性および生物医学用インプラ
ントとして使用するのに適した低タンパク質吸着を有する改変された表面のもの
である。
【0008】 本明細書中に記載されそして参照される、すべての特許、特許出願および刊行
物は、本明細書において参考として援用される。
【0009】 (要旨) 本発明の1つの局面は、親水性または疎水性共重合材料のアクリルアミド官能
化炭水化物モノマーとの共重合により調製されたヒドロゲル材料である。
【0010】 本発明の別の局面は、炭水化物モノマーがN−メチル−N−β−ラムノシルア
クリルアミド、N−[3−(2−N−エチルプロペンアミド)チオプロピル]−
β−N−キシロシルアセトアミド、N−アクリロイル−N−メチル−D−グルカ
ミン、N−アクリロイル−D−グルカミンおよびN−アクリロイル−N−(4−
(3,6,9−トリオキサ)デシロキシベンジル)−D−グルカミンからなる群
から選択される、ヒドロゲル材料である。
【0011】 本発明のなお別の局面は、N−メチル−N−β−ラムノシルアクリルアミド、
N−[3−(2−N−エチルプロペンアミド)チオプロピル]−β−N−キシロ
シルアセトアミド、N−アクリロイル−N−メチル−D−グルカミン、N−アク
リロイル−D−グルカミンおよびN−アクリロイル−N−(4−(3,6,9−
トリオキサ)デシロキシベンジル)−D−グルカミンからなる群から選択される
アクリルアミド官能化炭水化物である。
【0012】 本発明のなお別の局面は、アクリルアミド官能化炭水化物モノマーを含むヒド
ロゲルの合成方法である。
【0013】 本発明のさらに別の局面は、共重合材料のスルホキシド、スルフィドまたはス
ルホンとの共重合により調製されるヒドロゲル材料である。
【0014】 本発明のなおさらに別の局面は、ヒドロゲルを含むスルホキシド、スルフィド
またはスルホンの調製方法である。
【0015】 本発明のなおさらに別の局面は、改良されたソフトコンタクトレンズおよび他
の生物医学用インプラントの保護ために有用な炭水化物、スルホキシド、スルフ
ィドまたはスルホンを含むヒドロゲルアクリルアミドである。
【0016】 本発明のなおさらに別の局面は、アクリルアミド官能化スルホキシド、スルフ
ィドまたはスルホンである。
【0017】 (定義) 本明細書中で使用されるものとして: 「ヒドロゲル」は、炭水化物、スルホキシド、スルフィドまたはスルホンモノ
マーと共重合するHEMAを含むコポリマーを意味する。
【0018】 [HEMA]は、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを意味する。
【0019】 「EGDMA」は、エチレングリコールジメチルアクリレートを意味する。
【0020】 「官能化」は、アクリルアミドでの誘導体化を意味する。
【0021】 「糖モノマー」または「炭水化物モノマー」は、アクリルアミドで官能化した
炭水化物を意味する。
【0022】 「コポリマー」は、炭水化物モノマーあるいはHEMAと共重合したアクリル
アミドで官能化したスルホキシド、スルフィドまたはスルホンを意味する。
【0023】 「ATF」は、人工涙流体を意味する。
【0024】 (発明の詳細な説明) 本発明は、ペンダント炭水化物、スルホキシド、スルフィドまたはスルホン基
を有する生体模倣ヒドロゲルポリマーの新規なクラスを開示する。このヒドロゲ
ルは、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリレート、メタクリレート、シ
ロキサンおよびビニルまたはそれらの誘導体形態の2−ヒドロキシエチルアクリ
レート(HEMA)、N−ビニル−ピロリドン(NVP)、メチルメタクリレー
ト(MMA)、メタクリル酸(AcM)、1,2−ジヒドロキシ−プロピルメタ
クリレート(DPMA)、グリセロールメタクリレート(GMA)またはN,N
−ジメチルアクリルアミド(DMA)からなる群から選択される親水性または疎
水性マトリクス共重合材料と、アクリルアミド官能化炭水化物モノマーあるいは
アクリルアミド官能化スルホキシド、スルフィドまたはスルホンとの共重合によ
り調製される。新規なヒドロゲルは、改良された生体適合性、低い免疫原性、な
らびに増加した平衡含水率、水保持力、表面親水性および減少したタンパク質吸
着および結合活性を有する。新規なヒドロゲルは、一般に生物医学用インプラン
ト用途におけるおよび特に市販のソフトコンタクトレンズ用途における使用に適
切である。
【0025】 さらに本発明は、アクリルアミド官能化炭水化物、スルホキシド、スルフィド
およびスルホンを開示する。
【0026】 (I.炭水化物ヒドロゲル) 本発明の炭水化物ヒドロゲルは、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリ
レート、メタクリレート、シロキサンおよびビニルまたはそれらの誘導体形態(
例えば、N−ビニル−ピロリドン(NVP)、メチルメタクリレート(MMA)
、メタクリル酸(AcM)、1,2−ジヒドロキシ−プロピルメタクリレート(
DPMA)、グリセロールメタクリレート(GMA)またはN,N−ジメチルア
クリルアミド(DMA))、シロキサンまたはグリセロールメタクリレートから
なる群から選択される親水性または疎水性マトリクス共重合材料と、好ましくは
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と、共重合したアクリルアミド−
官能化炭水化物モノマーを含むポリマーである。HEMAはその容易な取り扱い
のために、代表的な共重合材料として選択された。しかしながら、すべての他の
上記に列挙した材料は、HEMAと従来的に交換可能であり、そして新規なヒド
ロゲルにおいてそれらは、実質的にHEMAと同様の様式で機能する。
【0027】 生理学的環境において、新規ヒドロゲルのHEMA部分は、物理的強度、相対
的な化学的不活性を有し、それに対して、新規なヒドロゲルの炭水化物部分は、
好ましい水和特性、低免疫原性および哺乳動物細胞の表面において存在する偏在
性を有する。ヒドロゲルを含有する炭水化物およびHEMAは、上記の特性のす
べてを合わせている。
【0028】 新規なヒドロゲルポリマーの高親水性、湿潤性および平衡含水率は、高酸素透
過性および種々の他の生物学的に重要な機能性をもたらし、非常に所望される生
体適合性材料になり得るこれらのヒドロゲルの性能を与える。
【0029】 (A.アクリルアミド官能化炭水化物) (1.化合物の同定) 本発明の新規なヒドロゲルの炭水化物部分は、官能化された炭水化物(特に、
重合可能なアクリルアミド基で官能化された炭水化物)を含む。
【0030】 本発明のアクリルアミド官能化炭水化物モノマーは、チャート1に示される炭
水化物モノマーによって代表され、ここでモノマー1は、N−メチル−N−β−
ラムノシルアクリルアミド(1)であり;モノマー2は、N−[3−(2−N’
−エチルプロペンアミド)チオプロピル]−β−N−キシロシルアセトアミド(
2)であり;モノマー3は、N−アクリロイル−D−グルカミン(3);モノマ
ー4は、N−アクリロイル−N−メチル−D−グルカミンであり;およびモノマ
ー5は、N−アクリロイル−N−(4(3,6,9−トリオキサ)デシロキシベ
ンジル)−D−グルカミン(5)である。
【0031】
【化1】
【0032】 他の化合物、例えば、アクリルアミドもしくはアクリレートエステルで同様に
官能化した他の炭水化物またはこれらの化合物に同じかもしくは同様の官能性を
与える任意の他の試剤は、上に列挙したモノマーを置換するために使用され得る
【0033】 本発明の範囲内にある重合性炭水化物アクリルアミド化合物は、以下の一般式
を有し、
【0034】
【化2】
【0035】 ここで、R1はアルキル、シクロアルキルまたはアリールであり、そしてR2
水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールである。
【0036】 この化合物には、任意の単糖類またはオリゴ糖が挙げられ、ここで、還元性末
端ピラノースまたはフラノース単位は、グリコサミンを介してアクリルアミド基
に結合される。
【0037】 (2.誘導体化グリコサミンの合成) 誘導体化炭水化物の合成は、Angew.Chem.Int.Ed.Engl
.、30:1611(1991)に従って単純な一級アルキルアミンを用いた遊
離還元糖のインキュベーションによって生成されるグリコサミンの仲介に基づい
ている。このアプローチは、これらの還元末端における糖の誘導体化を可能にす
る。アクリルアミド−官能化した炭水化物の調製のための一般的反応は、スキー
ム1に示され、
【0038】
【化3】
【0039】 ここで、R1およびR2は水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールである
【0040】 この糖類は、最初にR1基を含むアミンで処理される。この工程は、当該分野 で公知である。第二工程において、R2が水素である場合、アミンはアクリレー ト基でアシル化され、R2がメチルである場合、アミンはメタクリレート基で処 理され、そしてR2がアルキル、シクロアルキルまたはアリールである場合、こ のアミンは、他のアクリレート誘導体で処理される。
【0041】 アクリルアミド官能化炭水化物モノマー1および2の調製のために、二つの方
法が首尾良く利用された。これらの方法は、スキーム2および3に例示される。
1工程合成法は、モノマー3および4の合成のために使用された。モノマー5は
、トリエチレングリコール基を用いた官能化によって調製された。
【0042】 (i.L−ラムノースアクリルアミド法) 第一方法(実施例2に記載した、L−ランノース−アクリルアミド、すなわち
モノマー1の合成によって例示した)は、全くβ−配置のみをとるラムノシルア
ミン、すなわち化合物6を形成するための、遊離糖のメチルアミンでの処理を含
む。この方法の詳細な手順は、実施例3に記載される。モノマー1はスキーム2
に従って調製される。
【0043】
【化4】
【0044】 L−ラムノースアクリルアミド反応は単純であり、事前の精製なしで進行し、
そして穏やかな塩基性条件下でグリコサミン中間体とアクリロイルクロリドとを
反応させて所望のアクリルアミド誘導体を得る工程を含む。
【0045】 (ii.チオエーテルをベースにしたリンカー法) 第二方法は、Mater.Res.Soc.Symp.Proc.、394:
187(1995)に記載した手順を改変して利用する。この方法は、炭水化物
部分と、キシロース誘導体、すなわち化合物2によってこの例に表された重合性
アクリルアミド基との間の短いチオエステルをベースにしたリンカーの挿入を含
む。詳細な方法は、実施例5に記載される。この反応をスキーム3に示す。
【0046】
【化5】
【0047】 スキーム3に見られるように、遊離D−キシロースは一晩そのままの状態のア
リルアミンで処理され、中間体のキシロシルアリルアミン誘導体を得る。この誘
導体(これは水の存在下で容易に加水分解する)を、ピリジン(pyr)中で、
無水酢酸(Ac2O)を用いてアセチル化し、安定なアセチル化生成物、すなわ ち化合物7を得、次いで、脱−O−アセチル化して安定なグリコシルアミド化合
物8を得る。2−アミノエタンチオールのアルケンへの逆Markovniko
vフリーラジカル付加は、水性緩衝液中でのUV光への曝露によって達成され、
化合物9を提供する。化合物9のアミノ基の選択的アクリロイル化は、穏やかな
塩基性条件下でアクリロイルクロリドとの反応によって達成され、所望の重合性
標的モノマー2を与える。
【0048】 アクリルアミド基の糖への特異的結合のためのこれらの方法の両方ともは、あ
る範囲の単糖類および高次の多糖類に容易に適応され、これらは、天然資源(例
えば、血漿または組織に見いだされる糖タンパク質)から合成されかつ誘導した
ものであるか、または植物、昆虫もしくは動物などに由来するオリゴ糖であるか
のいずれかである。
【0049】 本発明ヒドロゲルの調製に適切な全ての単糖類および多糖類は、本発明の範囲
内に含まれる。
【0050】 (iii.一工程法) 鎖状アルジトール基を処理する、重合性誘導体モノマー3および4は、それぞ
れ、市販のD−グルカミン化合物10およびN−メチル−D−グルカミン化合物
11から1工程で合成され、モノマー3および4を得た。この方法は、スキーム
4に示される。
【0051】
【化6】
【0052】 (iv.トリエチレングリコールを用いた官能化) 重合性グルカミン誘導体、すなわちモノマー5を、スキーム5に従ってトリエ
チレングリコール基を用いて官能化した。
【0053】
【化7】
【0054】 モノマー5は、スキーム5に表されるように調製した。トリエチレングリコー
ルモノメチルエーテルを、対応するトシレート化合物12に転化し、次いで、塩
基性条件下で4−ヒドロキシベンズアルデヒドと反応し、付加体13を得た。ア
ルデヒド化合物13と1−アミノ−1−デオキシ−D−ソルビトール化合物10
との還元的アミノ化は、化合物14を与え、これを、アクリロイルクロリドでア
シル化して、重合性誘導体モノマー5を得た。
【0055】 (3.炭水化物のHEMAとの共重合) ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(HEMA)ヒドロゲル(これ
を、生物医学用途のための多くの有利な特性を与えられる)は、炭水化物アクリ
ルアミドモノマーを含むヒドロゲルの調製のための代表的な系として使用した。
本発明の新規のヒドロゲルにおいて、HEMAは、代表的であり、そしてアクリ
ルアミド、メタクリルアミド、アクリレート、メタクリレート、シロキサンおよ
びビニルまたはそれらの誘導体化形態(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート(HEMA)、N−ビニル−ピロリドン(NVP)、メチルメタクリレート
(MMA)、メタクリル酸(AcM)、1,2−ジヒドロキシ−プロピルメタク
リレート(DPMA)、グリセロールメタクリレート(GMA)またはN,N−
ジメチルアクリルアミド(DMA))からなる群から選択されるマトリックス共
重合物質あるいは任意の他のマトリックス共重合物質で置換され得る。
【0056】 新規のヒドロゲルは、必要に応じて、約0.1〜約2%、好ましくは約1%の
量の架橋剤の存在下で、上で列挙したようなHEMAまたは他の物質と、約1〜
約99wt%、好ましくは約5〜約40wt%、最も好ましくは、約10〜20
wt%の濃度で存在する、炭水化物部分との、好ましくはモノマー1〜5のよう
な上記のそれらの炭水化物との共重合によって調製された。
【0057】 HEMAと炭水化物モノマーとの共重合は、架橋剤、好ましくは、約0.01
〜2%、好ましくは約1%で存在するエチレングリコールジメタクリレート(E
GDMA)の存在下で、約1〜約99wt%、好ましくは約60〜90wt%、
最も好ましくは、約75〜80wt%の濃度のHEMAを、約1wt%〜約99
wt%、好ましくは約5〜約40wt%、最も好ましくは約20〜40wt%の
濃度の炭水化物モノマーと反応することによって達成された。この反応は、溶媒
の非存在下で進行し得るか、または水および/または水性もしくは有機溶媒(例
えば、エチレン、グリコールまたはDMSO)の存在下で行われる。開始剤(例
えば、約400mg/mLの過硫酸アンモニウム((NH4228)、約15
0mg/mLの二過硫酸ナトリウム(Na225))または重合反応の任意の 他の開始剤が添加され得る。この反応は、室温にてまたは穏やかな加熱と共に進
行し、そして代表的には一晩より長い時間を必要としない。
【0058】 重合の前に、溶液は医用インプラントのために必要とされる型に注入され得る
か、または二つのガラスプレート間に注入され得、この二つのガラスプレート間
の空間に対応する厚さのヒドロゲルフィルムを形成する。コポリマーの調製の詳
細な説明は、実施例11にある。
【0059】 さらに、他の化合物(両方の不活性であるかまたは特定の生物学的に重要な特
性を確証するおよび/あるいはヒドロゲルの特性および官能性を変化するもの)
は、炭水化物モノマーおよびHEMAに添加され得る。これらは、生理活性タン
パク質、ペプチド、脂質、アミノ酸、もしくはエチレングリコール、不活性化合
物または他の機能性物質(例えば、抗菌薬、医薬品、カラーレンズのための染料
など)であり得る。
【0060】 本発明の利点の1つは、炭水化物対HEMAの比を変化させることによって、
異なる炭水化物を選択することによって、または他の成分を添加することによっ
て、このヒドロゲル材料は、特定の使用において所望される特性を獲得するため
に特に設計され得る。
【0061】 新規のヒドロゲルの改良された特性を証明および確証するために、炭水化物含
有量が、ポリマーの親水性、水含有量、タンパク質結合などに与える影響が決定
された。この目的のために、0wt%、5wt%、10wt%、20wt%、3
0wt%、40wt%、50wt%、80wt%および100wt%までの重量
の種々の割合の炭水化物を有するコポリマーがそれぞれ調製された。これらの反
応において、DMSOを溶媒として使用し、そして、アゾイソブチリルニトリル
(AIBN)をラジカル開始剤として使用した。不活性窒素雰囲気下で反応が進
行した。
【0062】 ソフトコンタクトレンズに特に適切であるヒドロゲルの調製の場合、水溶液の
存在下で、HEMAおよび炭水化物モノマーが同時に重合され、そしてエチレン
グリコールジメタクリレート(EGDMA)を用いて架橋された。ソフトコンタ
クトレンズヒドロゲルの場合、炭水化物モノマー濃度は、機械的強度を維持する
が適切な親水性および湿潤性を確保するために、好ましくは、40wt%未満、
そしてより好ましくは20wt%未満であった。炭水化物モノマーの含有量がイ
ンプラントの種類およびその予想される機能に依存してより高くなり得ることを
除いては、医用インプラントに適切なヒドロゲルを、同様に調製した。
【0063】 HEMA−炭水化物ヒドロゲルポリマーは、赤外分光法(FAIR)によって
特徴付けられた。p(HEMA)およびHEMAと10%または20%のいずれ
かの炭水化物モノマー1とのコポリマーのFAIRスペクトルは、ヒドロゲルの
全てに共通するエステルカルボニル(C=O)伸縮バンドを表す1728cm-1 にピークを示した。10%または20%のモノマー1を含むヒドロゲルは、炭水
化物アクリルアミドに特有のアミドカルボニル(N−C=O)基の存在に対応す
る1630cm-1に付加的なピークを示した。さらに、ピークの強度はまた、炭
水化物アクリルアミドの相対的割合と相関した。
【0064】 この方法によって調製されたヒドロゲルは、平衡水含有量(EWC)測定、示
差走査熱量(DSC)測定、およびX線光電子分光(XPS)測定を使用して、
それらの水含有量について、さらに試験された。
【0065】 (4.炭水化物ヒドロゲルの特性) 機械的強度、軟性、柔軟性、親水性、湿潤性およびタンパク質の低い結合およ
び吸着は、ソフトコンタクトレンズを含む生物医学的インプラントとしての使用
に適切なヒドロゲルのための主要な必要条件である。これらの特性を獲得するた
めに、ヒドロゲルの表面特性が主に重要である。ヒドロゲルの表面特性は、生理
的環境内でのそれらの相互作用を決定するために重大である。
【0066】 接触角測定、XPS、静的二次イオン質量分析(SHIMS)を含む幾つかの
技術およびDSCによって測定されたコポリマーの熱的挙動は、本発明の新規ヒ
ドロゲルの表面の特徴付けのために使用された。
【0067】 (i.平衡水含有量測定) 平衡水含有量(EWC)は、ヒドロゲルの最も基本的な特性である。多くのヒ
ドロゲルの特性(例えば、酸素透過性、湿潤性および生物学的適合性)は、ゲル
内の水の量によって主に制御される。
【0068】 以前に、高いEWCを有するヒドロゲルを開発する試みがなされた。しかし、
従来のヒドロゲルのほとんどは、タンパク質、細菌およびリポタンパク質性異物
を結合および吸着する傾向にあり、非常に所望されない事象がソフトコンタクト
レンズの曇りおよび眼感染を引き起こす。この問題は、タンパク質の非常に低い
結合および吸着を有するヒドロゲルを設計することによってのみ、除去され得る
【0069】 新規のヒドロゲルのEWCは、脱イオン水中にHEMA−炭水化物ヒドロゲル
を浸漬して、それらの含水を観察することによって決定された。この詳細な手順
は、実施例13に記載される。
【0070】 モノマー1、2、3、4または5を含む本願のHEMA−炭水化物コポリマー
のEWCは、図1に見られる。図1に示されるように、EWCは、ヒドロゲル中
に存在する炭水化物モノマーの含有量(wt%)の増加と共に次第に増加した。
ヒドロゲルマトリックス中における炭水化物の存在は、割合依存様式でコポリマ
ーのEWCを増加させた。最大数の極性ヒドロキシル基を有する炭水化物(モノ
マー3および4)は、EWCに最も顕著な影響を及ぼし、その値を40%(炭水
化物は全く存在しない)から70%(20重量%の炭水化物が存在する)まで増
加させた。モノマー1および2、すなわち3つのヒドロキシル基のみを含む化合
物は、同様の傾向を示す一方で、モノマー3および4程度に水含有量を上昇させ
る潜在性はなかった。HEMAコポリマー内において、5つのヒドロキシル基お
よびPEG基を含むモノマー5の水保持挙動はモノマー1と同様であった。
【0071】 図1は、モノマー1〜5の濃度(0〜25wt%)の関数として含水したコポ
リマーの水含有量を示す。
【0072】 図1に見られるように、炭水化物を全く含まないp(HEMA)のEWCは、
約40%であった。糖モノマー1〜5の任意の1つがHEMAに添加された場合
、水含有量は即座に増加し始めた。モノマー1、2および5の10wt%濃度に
おいて、EWCは約45%に達し、一方で、モノマー3および4の場合、同じ1
0wt%濃度において、EWCは、約55%まで増加した。モノマーの濃度が、
10wt%より上に増加すると、水含有量は、より急速に増加した。20wt%
濃度におけるモノマー1および5の場合、EWCは、それぞれ約60および63
%まで増加した。モノマー2は、20wt%にて、約55%のEWCを有した。
モノマー3および4は、20wt%濃度のHEMAに添加された場合、65%よ
り上に水含有量を増加させるのに非常に効果的であった。20wt%の炭水化物
モノマー3がHEMAコポリマーに添加された場合、EWCは70%に達した。
ヒドロゲルを含む全ての炭水化物は、p(HEMA)に比べより高い水含有量を
示した。
【0073】 この研究の結果は、ヒドロゲル系への糖類基の導入がヒドロゲルの水含有量を
著しく向上することを示す。次いで、より高い水含有量は、ヒドロゲル材料の酸
素透過性および湿潤性を増加させ、これらの新規ヒドロゲルを医用インプラント
およびソフトコンタクトレンズの作製に特に適切なものとする。
【0074】 (ii.水保持力の測定) ヒドロゲルの高い水含有量に加えて、ヒドロゲルが、ヒドロゲル中に水を保持
し得ることは重要であり、そして必須である。水がHEMA−炭水化物ヒドロゲ
ル内で結合される力は、示差走査熱量測定(DSC)を使用して、加熱する間に
水が放出される際の温度を測定することによって定量され得る。
【0075】 この技術は、含水したヒドロゲルからの水の損失を温度の関数として、そして
ブロードなDSCピークを与える不可逆転移としての加熱の一定速度を決定する
。極大ピークに対応する温度は、所定のポリマーの水保持力の定性的指標として
受け取られる。より高い極大ピーク温度は、より多い水保持を反映する。DSC
測定の結果は、図2に示される。
【0076】 図2は、モノマー1〜5の異なる濃度を含むHEMAヒドロゲルコポリマーに
ついてのDSCピーク−極大温度を示す。
【0077】 図2に見られるように、ヒドロゲル内の炭水化物部分の存在は、HEMA−炭
水化物ヒドロゲルの水保持力を増加させ、そしてその増加の大きさは、炭水化物
の割合に依存する。例えば、モノマー4は、20wt%において、100℃を越
える極大ピークの温度に達した。
【0078】 モノマー2、3および5はまた、全て20wt%において、100℃に比べわ
ずかに低い極大ピーク温度を有する良好な水保持力を示す。モノマー3および4
は、10wt%濃度においてでさえも、良好な水保持能力を示す。化合物5およ
び1を除く全ては、10wt%濃度において、より高い極大ピーク温度を示し、
従ってp(HEMA)に比べより良好な水保持力を有する。
【0079】 (iii.接触角測定) 高親水性および高表面湿潤性の両方を有する材料が、生物医学的なインプラン
ト用途の基礎となる。なぜならば、これらは、水性流体への曝露時に、より構造
転位する傾向が少ないからである。ヒドロゲルの高親水性および湿潤性は、血液
および生組織と調和するために必須である。というのは、これらは、ヒドロゲル
へのまたはヒドロゲル上への生物学的材料(例えば、タンパク質、リポタンパク
質、細菌など)の付着、結合、および吸着を決定し、これに影響を与えるからで
ある。この観点から、タンパク質の低吸着がこのヒドロゲルの生物学的適合性の
非常に重要な局面である。
【0080】 固体材料の表面の親水性または湿潤性は、既知の極性の液体を使用して、接触
角測定によって、容易に推定され得る。固体表面上の既知の極性の液体の接触角
は、表面浸潤性の定量的な指標を供給する。接触角測定の詳細な手順は、実施例
14に記載する。
【0081】 本発明のヒドロゲルの接触角測定を新規なヒドロゲルのフィルム表面上で行っ
た。モノマー1〜5を含有する新規なヒドロゲルコポリマーの接触角を測定する
ために、異なる極性を有する溶媒、つまりメチレンジヨージド(これは疎水性で
ある)およびグリセロール(これは親水性である)を使用した。これら2つの選
択した溶媒は、顕著な浸透または膨潤なしに、親水性材料上で安定な液滴を形成
する。
【0082】 接触角測定の結果は、図3および4に見られ、これはモノマー含量(wt%)
とモノマー1および3の接触角との間の相関を示す。化合物3は、5個のヒドロ
キシル基を含有する開いた鎖状糖類の誘導体であり、従って、すべての調製した
モノマーのうちで、最も親水性であると考えられる。モノマー1は、3個のヒド
ロキシル基を含有するラムノースの誘導体であり、従って、より親水性が少ない
と考えられる。モノマー1および3を、0wt%から100wt%までの濃度で
HEMAに組み込み、コポリマーフィルム表面上に配置したメチレンジヨージド
およびグリセロールの接触角を測定した。図3は、HEMA−モノマー3の重量
あたりの割合の増加の接触角に対する影響を示し、図4は、HEMA−モノマー
1の重量あたりの割合の増加の接触角に対する影響を示す。
【0083】 図3および4に見られるように、モノマーの割合の増加とともに、両方のヒド
ロゲルについて、メチレンジヨージドの接触角は増加し、グリセロールの接触角
も次第に増加した。メチレンジヨージドの接触角の観察された増加は、HEMA
への炭水化物の組み込み量を次第に増加するに従って、これら両方のコポリマー
の親水性は次第に増加する。同様に、グリセロールの接触角は、ヒドロゲル内の
モノマー含量の増加とともに減少し、これは、炭水化物モノマーの含量の増加と
ともにコポリマーの疎水性が減少したことを示す。予想されたように、より親水
性のモノマー3はコポリマーの親水性に対してより大きな影響を有し、これは、
メチレンジヨージドとの最も大きな接触角およびグリセロールとの最も小さな接
触角を示す。モノマー1は、ずっと親水性が少なく、コポリマー親水性に対する
影響はより少なく、より小さな接触角を有する(図4に見られる)。
【0084】 (iv.X線光電子分光法) X線光電子分光法(XPS)は、ポリマー試料の表面における元素組成および
化学結合等の情報を提供する。XPSは、ヒドロゲル(乾燥および含水状態の両
方における)の表面特徴付けおよび分析に広範に適用されてきた。XPS測定ス
ペクトルは、コポリマーの表面に存在する元素の定性的情報を提供する。
【0085】 脱水状態のHEMA−炭水化物1〜5の表面組成を決定するために利用される
XPS分析は、ポリマー表面の炭水化物部分の存在の指標として、XPSスペク
トルにおいて、窒素および/またはイオウの存在を検出した。結果は、図5に見
られる。
【0086】 図5は、HEMA−炭水化物ヒドロゲルの典型的測定スペクトルを示す。具体
的には、図5は、HEMA−モノマー1(10wt%)のXPS測定スペクトル
を示し;他のモノマーも同様の結果を示した。予想されたように、C、Oおよび
Nは、モノマー1〜5を含有するすべてのヒドロゲルコポリマーから検出された
。さらに、Sは、モノマー2を含有するHEMAヒドロゲルにおいて記録された
。炭水化物部分を含まないp(HEMA)のコントロール試料は、窒素またはイ
オウのいずれも含有しなかった。
【0087】 コポリマー調製に使用されたすべてのモノマーのC、O、NおよびSの原子濃
度を計算した。糖モノマー1、2および5については、炭素/酸素の比は、HE
MAについてよりも高かった;糖モノマー3および4については、炭素/酸素の
比は、HEMAについてよりも低かった。表1は、モノマー1および3を含有す
るHEMA−ヒドロゲルの化学元素組成の詳細な多重スペクトルを要約した。表
1に見られるように、C、OおよびNの理論原子濃度に関係なく、両方のヒドロ
ゲルのXPSスペクトルは、炭素のずっとより高い濃度ならびに酸素および窒素
のより低い濃度を示した。
【0088】
【表1】
【0089】 表2は、HEMA−炭水化物ヒドロゲルのXPS元素組成を示す。表2におい
て、10wt%または20wt%のモノマー1〜5を含有するHEMA−炭水化
物ヒドロゲルのC、O、NおよびSの得られたXPS組成を、その理論原子濃度
と比較する。この目的のために、元素の理論原子濃度を、コポリマーのバルク構
造に基づいて計算した。すべての測定したヒドロゲルにおいて検出された、窒素
および/またはイオウの実際の原子濃度は、予測された理論データよりも高かっ
た。例えば、20wt%のモノマー2を含有するヒドロゲルにおいて、N%およ
びS%は、化学量論的に計算されたバルク組成よりもほぼ2倍高かった。
【0090】
【表2】
【0091】 表2の上半分は、理論的原子濃度(wt%)を示し;表2の下半分は、得られた
濃度(wt%)を示す。
【0092】 これらの研究の結果を図6に示す。この図6は、HEMA−モノマー2(20
wt%)のXPS元素組成の、理論計算データと実際に観察されたデータとを比
較する。図6Aは、イオウおよび窒素の理論値および実際の値を示し;図6Bは
、酸素および炭素の理論値および実際の値を示す。
【0093】 XPSにより決定される元素組成および角依存XPSデータはともに、HEM
A−炭水化物コポリマーにおいて、炭水化物部分がそのポリマーの表面に局在化
していることを確かにする。このデータは、疎水性非極性原子(例えば、炭素−
炭素ポリマー鎖)がサンプルの表面に局在化し、親水性基(大部分は、ヒドロキ
シル基およびスペーサー)はポリマーのバルクの方を向いていることを示す。
【0094】 (v.HEMA−炭水化物ヒドロゲルの親水性) ヒドロゲルに存在する水は、溶存酸素および小分子の輸送媒体として、またヒ
ドロゲル合成材料と体液との間の橋渡しとして、作用する。従って、ヒドロゲル
材料の水結合特性は、生物環境内におけるその機能にとって重大である。
【0095】 例えば、眼は、大気から直接に酸素を必要とし、一般に眼の表面に配置される
コンタクトレンズは、この酸素供給を損なう。ソフトコンタクトレンズが使用さ
れる場合、ヒドロゲルマトリクスの水に溶解した酸素のみが、角膜に提供される
。従って、ヒドロゲル材料の酸素透過性は、直接的に、平衡水含有量に関連し、
EWCがより高いほど、酸素透過性はより良好になる。
【0096】 コンタクトレンズまたは生物医学的インプラント用途のために改良ヒドロゲル
材料を設計する場合、水含量の向上および表面上へのタンパク質吸着の低下は、
成功する設計のための2つの非常の重要な特徴である。新規ヒドロゲル材料は、
極性官能基の数を増加させることによってより親水性になされ得、より高い程度
の含水および平衡水含有量の増加が得られ、また逆に、このような基の数を低下
させることにより、より少ない含水およびEWCの低下が得られる。
【0097】 架橋剤としての2wt%エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)
存在下での、HEMAおよび炭水化物−アクリルアミドモノマー1〜5のバルク
共重合は、向上した平衡水含有量値を有する親水性ヒドロゲルを提供した。モノ
マー1〜5の構造的特徴に基づいて、ゲルの親水性は、極性成分(つまり、アミ
ド官能基または複数のヒドロキシル基を含有する炭水化物モノマー)の量を増加
させるにつれて直線的に増加する。結果は図7に見られる。
【0098】 図7に見られるように、モノマー1および2(最も少ない数のヒドロキシル基
を有する)は、10wt%存在した場合、水含量の中程度の増加を提供する。そ
れに対して、モノマー3〜5は、HEMAヒドロゲルの水含量を、10wt%に
おける約55%まで、20wt%組み込みレベルで存在する場合65%を超える
まで増加させる。20wt%濃度において、モノマー5−HEMAヒドロゲルは
、水含量を、モノマー3または4HEMAヒドロゲルについて観察されるレベル
にまで増加する。
【0099】 本発明の新規ヒドロゲルを用いた研究および得られるデータは、本発明のヒド
ロゲルが、コンタクトレンズおよび生物医学的インプラントの製造にこれまで使
用されているp(HEMA)に比較して、増加した平衡水含有量、増加したバル
ク水保持、増加した親水性、湿潤性、および増加したタンパク質結合活性を有す
ることを示す。
【0100】 生物医学的インプラント(ソフトコンタクトレンズを含む)用のヒドロゲルは
、モノマー構造特性、ヒドロゲル物理特性、およびタンパク質吸着挙動を相関さ
せることによって調製される。次いで、これらの特性およびその相関は、その意
図される生物医学的用途に(例えば、骨または軟骨インプラント、胸部インプラ
ント、化粧品用途などのために)、特に適切な炭水化物ベースのヒドロゲルを設
計する際に使用される。
【0101】 (B.生物学的試験および特性) 炭水化物部分と共重合したHEMAを含有するヒドロゲルは、その生物学的適
合性に重要な種々の生物学的活性官能基を有する。これらの特性のうちの2つは
、低い固有タンパク質結合およびタンパク質吸着である。ヒドロゲル表面上への
タンパク質吸着は、親水性、疎水性、および電荷密度を含む表面の化学的性質等
の様々な要因に依存し、また曝露したタンパク質のサイズおよび化学組成に依存
している。
【0102】 異なる生物学的媒体は幾分異なる種類のタンパク質から構成されるので、特定
のインプラント適用に設計された材料は、インビボで最も遭遇しやすいタンパク
質を使用して試験されなければならず、そして試験した。結果として、試験を、
ソフトコンタクトレンズ用の材料としてのその安定性について試験したヒドロゲ
ルにおいて行った。
【0103】 (1.コンタクトレンズヒドロゲル) ソフトコンタクトレンズの点で、ヒドロゲル材料の水含量をその引張り強さが
損なわれない点まで増加させることは、眼の快適さを増加し、そして酸素の角膜
への輸送および上皮層への輸送を向上する。
【0104】 現在市販のヒドロゲルベースのコンタクトレンズは、米国食品医薬品局(FD
A)により4つの群に分類されている。第1群:低水含量非イオン性;第2群:
高水含量非イオン性;第3群:低水含量イオン性;第4群:高水含量イオン性。
インビボおよびインビトロ両方での研究が、第4群ヒドロゲルレンズにおけるタ
ンパク質リゾチームの高沈着を示し、このタンパク質は、その小さなサイズによ
り、ヒドロゲルマトリクス内に吸収されると考えられる(Biomateria
ls,16:685(1995))。
【0105】 現在入手可能なソフトコンタクトレンズのうちの多くは、タンパク質とコンタ
クトレンズのヒドロゲルとの間の所望でない相互作用を有する。インビボおよび
インビトロの両方の研究が、第4群ヒドロゲルレンズにおけるタンパク質リゾチ
ームの高沈着を示し、このタンパク質は、その小さなサイズにより、ヒドロゲル
マトリクス内に吸収されると考えられている(Biomaterials,16
:685(1995))。これは、これらのレンズの弱い耐性を導き、その長時
間装用の安全性についての問題を引き起こす。
【0106】 本発明の生物学的適合性ヒドロゲル材料は、長時間装用ソフトコンタクトレン
ズ用途のために特に設計された。この目的のために、新規ヒドロゲルシステムは
、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)に基づき、異なる濃度で存
在する5つの構造的に異なる炭水化物アクリルアミドモノマーを構築し、ヒト涙
液およびコンタクトレンズ沈着物に一般に見出されるタンパク質と脂質との混合
物を含有する人工涙液(ATF)を使用して、インビトロタンパク質および脂質
吸着について試験した。涙のタンパク質およびコンタクトレンズ沈着物の両方の
主成分は、リゾチーム、アルブミン、ムチン、ラクトフェリン、IgAおよびI
gGである。
【0107】 本願の(current)ヒドロゲルの炭水化物構成要素は、p(HEMA)
ヒドロゲルの平衡水含有量を、20wt%の組み込みレベルで、70wt%程度
の高さまで増加させることが見出された。しかし、メタクリル酸またはN−ビニ
ルピロリジンのような従来の水を増加する添加剤とは違って、炭水化物モノマー
は、インビトロタンパク質吸着に悪影響を与えなかった。実際、2つのモノマー
(HEMAに化合物3および4を組み込んだ)を用いて、人工涙液(ATF)か
らのタンパク質の吸着は、純粋なp(HEMA)ヒドロゲルについて観察された
ものの約50wt%まで減少した。
【0108】 その増加した親水性、浸潤性、および低いタンパク質結合および付着のため、
本発明の新規ヒドロゲルは、生物医学的インプラント用の、とりわけソフトコン
タクトレンズ用の材料として特に有用である。
【0109】 (2.インビトロタンパク質吸着および結合) インビトロタンパク質吸着の研究のために、実施例17に記載されるプロトコ
ルを用いたATF溶液を使用した。この調製物は、涙およびレンズ沈着物に見出
される3つの主要なタンパク質(つまり、リゾチーム、アルブミン、およびムチ
ン)を総タンパク質濃度3.2mg/mLで、ならびにすべての推奨された脂質
成分を含有した。
【0110】 p(HEMA)および10wt%または20wt%の各炭水化物モノマーを含
有するHEMA−炭水化物から調製したヒドロゲル(1×1cm2サイズの小片 )を、37℃で様々な時間、ATF中でインキュベートした。吸着したタンパク
質を、Macromol.Chem.Phys.,195:1953(1994
)に記載されるBCAアッセイを使用して定量した。
【0111】 この研究の結果を、図8A〜Eに示す。各図において、ポリ(HEMA)のタ
ンパク質吸着挙動を、モノマー1〜5を含有する炭水化物−HEMAヒドロゲル
のタンパク質吸着挙動とともにプロットする。
【0112】 図8A〜8Eに見られるように、本研究におけるすべてのヒドロゲルについて
、タンパク質吸着の大部分は、最初の4時間以内で発生し、より長い時間のAT
F中でのヒドロゲルのさらなるインキュベートは、その吸着を顕著に増加しなか
った。いくつかの場合において、24時間および72時間のインキュベーション
期間において、吸着タンパク質の明白な減少が存在した。
【0113】 図8A〜Eにおける結果は、タンパク質吸着に対する、HEMA−炭水化物お
よびp(HEMA)ヒドロゲルの効果を示す。最も重要のことには、図8A〜F
に見られる結果は、HEMAヒドロゲルへの炭水化物モノマー化合物1〜5の組
み込みが、平衡水含有量を増加する一方で、タンパク質結合における逆の大きな
増加を導かないことを示す。実際、HEMAにおける化合物3および4の量の増
加により、ATFからのタンパク質吸着は、p(HEMA)について観察される
レベルの50%より低いレベルまで現に減少する(図8Cおよび8Dに見られる
)。図8A、8B、および8Eに見られるように、モノマー1、2または5を含
有するHEMA−炭水化物は、その濃度に依存するタンパク質吸着挙動を示し、
そしてこの挙動はp(HEMA)と類似であるかまたは多くの場合においてp(
HEMA)のものよりも低い。
【0114】 図8A〜Eに示される炭水化物−HEMAヒドロゲルのインビトロタンパク質
吸着挙動は、BCAタンパク質分析技術による、またヒドロゲル表面から界面活
性剤溶液へ抽出されたタンパク質のUV吸収スペクトルを測定することによる、
実験の複数のセットにおいて再現性であることが確認された。図8Fは、p(H
EMA)および20wt%のモノマー3または4を含有するHEMA−炭水化物
から抽出されたタンパク質の光学密度を示し、これは、図8Cおよび8Dにおい
て観察された傾向に近い一致を示している。
【0115】 炭水化物−HEMAヒドロゲルのタンパク質吸着における観察された差異の原
因となる要因(例えば、水含量、表面の官能性、および浸潤性)は、タンパク質
沈着に対する材料の耐性を決定する際に重大である。試験したヒドロゲルのうち
、最も低いタンパク質吸着は、最も高い平衡水含有量(およそ66〜68wt%
)を有するヒドロゲルに対して、すなわち、20wt%の化合物3および4を含
有するHEMA−炭水化物に対して観察された(図7、8Cおよび8D)。同様
に、より低い水含量を有する10wt%のモノマー1および2を含有するHEM
A−炭水化物ヒドロゲルは、p(HEMA)ヒドロゲルのものよりわずかに高い
か、またはそれと等しいタンパク質吸着を示した。対照的に、20wt%でのH
EMA−炭水化物モノマー5ヒドロゲルは、モノマー3および4含有ヒドロゲル
の水含量に匹敵する水含量を示し、これはモノマー1および2のタンパク質吸着
レベルと類似のタンパク質吸着レベルを有する。これは、非イオン性HEMA−
炭水化物ヒドロゲルへのタンパク質の吸着が平衡水含有量(バルク特性)の単な
る関数ではないが、表面浸潤性ならびにタンパク質およびポリマーの官能基間の
親水性−疎水性相互作用を含む、多様な要因に依存することを示す。
【0116】 本研究において観察されるヒドロゲルのタンパク質吸着は、ATFから個々の
ヒドロゲル表面への異なるタンパク質の差別的結合親和性を反映する。炭水化物
−HEMAヒドロゲルへの異なるタンパク質の吸着プロフィールをより詳細に研
究するために、20wt%のモノマー3、4または5を含有するHEMA−ヒド
ロゲルへの個々のタンパク質の沈着を測定した。
【0117】 p(HEMA)およびHEMA−炭水化物ヒドロゲル3、4、および5(20
wt%)のタンパク質吸着挙動を、単一タンパク質溶液(リゾチーム、アルブミ
ンまたはムチンのいずれかを含む)において研究した。この結果を図9に示す。
【0118】 図9に見られるように、アルブミンの溶液(3.2mg/mL)中で24時間
インキュベートした場合、4つすべての試験したヒドロゲルは、無視し得るタン
パク質吸着を示した。対照的に、リゾチーム溶液(3.2mg/mL)中でイン
キュベートした場合、これらのヒドロゲルへのタンパク質吸着は、3つのタンパ
ク質の混合物において観察されるものとほとんど同一であることが見出された(
図9および8C〜Eを比較することによってわかる)。
【0119】 図9の結果は、炭水化物−HEMAヒドロゲル表面の性質への見識を与える。
20wt%のモノマー3、4または5を含有するHEMA−炭水化物のヒドロゲ
ルへのアルブミンの非常に低い吸着は、これらのヒドロゲルのポリマー表面が幾
分極性かまたは親水性であることを示す。図9に見られる結果は、20wt%の
炭水化物モノマー化合物3または4のHEMAへの組み込みが、リゾチーム吸着
を50wt%より多く減少することをさらに示す。このようなリゾチーム吸着に
おける減少は、ソフトコンタクトレンズ用途用の材料の有意な改良である。なぜ
なら、このタンパク質は、ヒト涙およびレンズ沈着物の両方において高濃度で見
出され、ソフトコンタクトレンズへの細菌付着の危険を増加することが示されて
いるからである。
【0120】 本願の(current)炭水化物−ヒドロゲルは、高水含有非イオン性(第
2群)のクラスの材料に属する。結果的に、20wt%のモノマー3および4を
含有する新規HEMAヒドロゲルのインビトロタンパク質吸着挙動を、市販の高
水含量イオン性(FDA第4群)および高水含量非イオン性(FDA第2群)の
ソフトコンタクトレンズ材料と比較した。比較研究に使用した市販のコンタクト
レンズを表3に列挙する。
【0121】 この研究の結果を図10に示す。市販のレンズの場合、レンズ材料の種類に基
づいたタンパク質吸着において予測されるかまたは公知の傾向を列挙した。図1
0Aに見られるように、第4群のACUVUEおよびFOCUSレンズは、高レ
ベルのタンパク質吸着を示し;PERMAFLEX、LUNNELLE、PRO
CLEAR、RYTHMIC、SB 60+およびSATUREYES(FDA
第2群)のレンズは、イオン性レンズよりもかなり低いレベルのタンパク質吸着
を有し、20wt%のモノマー3および4を含有するHEMA−炭水化物ヒドロ
ゲルは、すべての試験レンズのうち最も低い吸着レベルを有した。
【0122】
【表3】
【0123】a FDA第4群:高水含量/イオン性 FDA第2群:高水含量/非イオン性 MMA=メチルメタクリレート−N−ビニルピロリドン GMA=グリセロールメタクリレート リゾチームのような小さなタンパク質はヒドロゲルマトリクスに浸透し得るの
で、コンタクトレンズまたはヒドロゲル材料の(表面積よりもむしろ)質量に対
するタンパク質吸着レベルを測定した。結果を図10Bに示す。
【0124】 図10Bは、質量について規格化したヒドロゲル小片およびコンタクトレンズ
に結合したタンパク質量を示す。第4群および第2群のコンタクトレンズ間の傾
向は、多かれ少なかれ同じままであるが、20wt%のモノマー3および4を含
有するHEMAヒドロゲルに対する相対タンパク質吸着は有意により低い。
【0125】 タンパク質吸着挙動と相関し得るソフトコンタクトレンズヒドロゲルの物理特
性を同定する目的で、これらのヒドロゲルの水結合特性をDSCによって、表面
極性を接触角測定によって、および表面化学組成をXPSによって、前述した方
法を使用して、研究した。さらに、遊離水の量をDSCにより測定した。
【0126】 (3.示差走査熱量測定による「遊離」水の定量化) ヒドロゲルマトリクス中の水は、熱力学的に異なる状態で存在することが公知
である。水素結合およびファンデルワールス相互作用を介してポリマーネットワ
ークと強く関連している水は、「結合水または不凍性水」と呼ばれる。ずっとよ
り高い移動性およびポリマー環境と弱い相互作用を有する水は、「遊離水または
凍結水」と呼ばれる。
【0127】 p(HEMA)および20wt%のモノマー3、4または5を含有するHEM
Aヒドロゲルから得られる示差走査熱量測定の加熱曲線を、図11に示す。DS
Cは、炭水化物−HEMAヒドロゲルの場合、ポリマーマトリクス中の遊離水の
量は、水の全量とともに、顕著に増加することを定性的に示す(図8に見られる
)。
【0128】 図11は、HEMA−炭水化物ヒドロゲルの場合、遊離水領域において溶けて
いる水を示す曲線下面積は、不凍水領域についてのものよりもずっと高い。しか
し、p(HEMA)の場合、重なっている溶解曲線の大部分は、不凍水領域にあ
る。新規ヒドロゲルは、室温を超えて加熱する場合、水蒸発転移(water
evaporation transition)についてのそのより高いピー
ク極大温度に基づいて、p(HEMA)よりもしっかりと水を保持すると思われ
る。図11に見られるように、モノマー3、4または5のHEMAヒドロゲルへ
の組み込みは、ほぼ同程度まで、遊離水の量を増加する。従って、20wt%の
モノマー3、4または5を含有するHEMAヒドロゲルのタンパク質吸着挙動に
おける差異は、ポリマーマトリクス中の遊離水の量によらない。
【0129】 ソフトコンタクトレンズの製造に使用される本発明のHEMA−炭水化物ヒド
ロゲルは、治療的使用のための薬学的に活性な化合物または化粧品的使用のため
の添加剤(例えば、染料)をさらに含有し得る。
【0130】 (II.ポリスルホキシドヒドロゲル) 新規ヒドロゲルの第2の群は、以下からなる群から選択されるマトリクス共重
合材料と共重合される、スルホキシド、スルフィドまたはスルホン−アクリレー
ト部分を包含するヒドロゲルである:アクリルアミド、メタクリルアミド、アク
リレート、メタクリレート、シロキサンおよびビニル、またはその誘導体形態:
2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEMA)、N−ビニル−ピロリドン(N
VP)、メチルメタクリレート(MMA)、メタクリル酸(AcM)、1,2−
ジヒドロキシ−プロピルメタクリレート(DPMA)、グリセロールメタクリレ
ート(GMA)またはN,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)。上記のよう
に、HEMAを、代表的な試験共重合材料として選択した。
【0131】 スルホキシドヒドロゲルは、(3−メチルスルホキシ)プロピルアセテート、
化合物23およびそのホモログ、化合物24と、HEMAとの共重合によるか、
またはスルフィドもしくはスルホンとHEMAとの共重合により調製される、架
橋HEMA−スルホキシド(23)、HEMA−スルフィド(18)およびHE
MA−スルホン(26)ヒドロゲルである。これらのヒドロゲルは高親水性であ
り、90wt%までの平衡水含有量を示す。
【0132】 その改良された特性により、スルホキシド、スルフィドまたはスルホンベース
のヒドロゲルは、生物医学的インプラント(例えば、骨、関節インプラント、軟
骨代替品、またはタンパク質耐性ソフトコンタクトレンズ)に使用される材料の
製造に適している。
【0133】 (A.スルホキシド含有ヒドロゲル) 高い極性が存在するが、この種類のヒドロゲルの非イオン性スルホキシド官能
性のために、重合可能なスルホキシドモノマーから生成されるヒドロゲルの親水
性は、向上されることが見出された。
【0134】 (1.化合物同定) チャート2に見られる2つのスルホキシド−アクリレートモノマー23および
24を合成し、様々な量の2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と
のいくつかのその架橋ヒドロゲルを調製した。
【0135】 これらのモノマーはチャート2に見られる。
【0136】
【化8】
【0137】 (2.スルホキシドの合成) スルホキシドモノマー23および24の合成を、スキーム6およびスキーム7
に示す。
【0138】
【化9】
【0139】 スキーム6は、スルホキシドモノマー23の調製を示す。スキーム65に見ら
れるように、トリエチルアミン存在下での市販の3−メチルチオプロパノール(
17)とアクリロイルクロリドとの反応により、チオアクリレート18を得、こ
れを続いて、1当量のm−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)を用いて、
対応するスルホキシドモノマー23に酸化した。
【0140】
【化10】
【0141】 1個のアクリレート部分あたり2個のスルホキシド基を有するモノマー24の
合成を、3−メチルチオプロパノール(17)をトシル化してアクリロイルクロ
リドを用いてエステル化することにより中間体4,8−ジチアノナノールを調製
し、続いて、m−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)を用いた20の酸化
により、モノマー24を得ることによって、スキーム6に見られるように達成し
た。化合物23および24の調製は、実施例18〜21に記載する。
【0142】 モノマー23(無色粘性液体)および24(白色低融点固体)は、HEMAへ
の非常に良好な溶解性を示す。プレポリマー混合物を、HEMA中における様々
な重量比のモノマー23および24と、架橋剤(例えば、1〜2wt%のエチレ
ングリコールジメタクリレート)、溶媒(好ましくは、エチレングリコール/水
またはジメチルスルホキシド)、および開始剤とを合わせることによって調製す
る。次いで、この混合物をスペーサーによって分離された2つのガラス板間に配
置して、生成物ヒドロゲルシートの厚さを制御する。重合を、アンモニウムパー
スルフェートを用いて熱的に、またはベンゾインメチルエーテルおよび365n
m波長の光の適用を用いて光化学的に、開始する。このようにして得られたヒド
ロゲルシートを含水し、脱イオン水中で数日間洗浄して抽出可能なモノマー、オ
リゴマーおよび溶媒を除去する。
【0143】 次いで、このシートを1×1cm2の小片に切り分け、脱イオン水下で保存し 、そしてその物理的および生物学的特性について試験する。
【0144】 (3.スルホキシドの物理特性) (i.スルホキシド−HEMAヒドロゲルのEWC) ヒドロゲルの基本的性質は、その架橋ポリマーマトリクス中に水を保持するそ
の能力である。1〜2wt%架橋レベルの純粋なHEMAヒドロゲルは、典型的
には、上記のように、室温では約40wt%の平衡水含有量を示す。HEMAヒ
ドロゲルへの親水性スルホキシド官能基の組み込みは、水含量の有意な向上を生
じた。結果は図12に見られる。
【0145】 図12は、ヒドロゲルの平衡水含有量に対する、ヒドロゲル中のスルホキシド
モノマー(単数または複数)23および25濃度の影響を示す。HEMA中のモ
ノマー23の濃度を0から100wt%まで増加させた場合、得られるヒドロゲ
ルの水含量は、40wt%から約90wt%まで上昇する。同様の挙動がまた、
モノマー24についても注目される。
【0146】 (ii.スルホキシド−HEMAヒドロゲルにおける水分保持) スルホキシド含有ヒドロゲル系の水分保持能力は示差走査熱分析(DSC)に
よって測定した。DSCはポリマーマトリックスからの水の蒸発を測定し、そし
てDSCサーモグラムにおける広域ピークとしてこの不可逆的な転移を記録する
。ピーク極大温度(PMT)をこのヒドロゲル系の水分保持能力の定性測定とし
て採用した(ここで、より高いPMTはポリマーマトリックスにおけるより強い
水分保持を示す)。種々の混合スルホキシド−HEMAヒドロゲルのDSCピー
ク極大温度は図13に示す。
【0147】 図13は、親水性スルホキシド官能基を含有する混合ヒドロゲルが、純粋なH
EMAヒドロゲルよりも非常に高い極大ピーク温度を示し、それゆえ、より親水
性であることを示す。
【0148】 (4.スルホキシドの生物学的特性) (A.スルホキシド−HEMAヒドロゲルおよびインビトロタンパク質吸着研
究) 新規のスルホキシドベースのヒドロゲル系の開発は、平衡水含有量を増強する
スルホキシド部分の親水性性質およびタンパク質をはじく(repelling
)能力に基づいた。
【0149】 HEMA−炭水化物の炭水化物誘導ヒドロゲル系のインビトロタンパク質吸着
挙動−についての上記の研究は、人口涙液(これはヒト涙において一般に見出さ
れるタンパク質および脂質の混合物を利用する)を使用する。同一の実験条件が
、スルホキシド含有ヒドロゲルの生物学的特性の決定のために使用された。
【0150】 上記のように、この試験は、生理学的pH(7.24)および温度(37℃)
でのATF中でのヒドロゲル片の所定の時間の間のインキュベーション、および
ポリマー表面上に吸着されたタンパク質の量の決定を、包含する。BCAアッセ
イを、タンパク質の定量のために使用した。この研究の結果は、図14に示す。
【0151】 図14は、インビトロタンパク質吸着研究からの結果を示し、これは、ヒドロ
スルホキシド濃度が10〜40重量%で維持された場合に、混合型ヒドロゲルに
ついての表面結合型タンパク質の量はp(HEMA)ヒドロゲルのそれよりも低
いかまたはそれとほぼ同一であることを見出した。より高いスルホキシド濃度(
70および100重量%)がヒドロゲル中に存在する場合、HEMAスルホキシ
ドヒドロゲル表面上に吸着されたタンパク質の量は、純粋なHEMAヒドロゲル
のそれの約2倍である。
【0152】 タンパク質をはじく能力を損なうことなく平衡水含有量が約70%まで増強さ
れたこの系は、スルホキシド誘導型HEMAヒドロゲル(これは40重量%まで
のスルホキシドを含有する)である。結果は図15において見出され、ここで、
スルホキシド濃度は平衡水含有量および表面結合型タンパク質の量に対してプロ
ットされている。
【0153】 図15に示すように、スルホキシド23の濃度が10重量%と40重量%との
間である場合、この水分含量は約70重量%まで増加し、そしてタンパク質吸着
はp(HEMA)の吸着よりもかなり低くなる。しかし、約60重量%を超える
スルホキシドの存在は、速やかにタンパク質吸着を増加する。
【0154】 化合物23および24の、HEMAとの共重合は、類似またはかなり低いレベ
ルのインビトロタンパク質吸着を維持しつつ、p(HEMA)ヒドロゲルよりか
なり高い水の取り込みを有するヒドロゲルを生成する。スルホキシドベースのヒ
ドロゲルは、特に生物医学的インプラント適用での使用に、および特にソフトコ
ンタクトレンズ適用に見込みのある新規の物質を構成する。
【0155】 (B.スルフィドおよびスルホン誘導化混合型ヒドロゲル) 上記の結果は、HEMAベースヒドロゲル中のスルホキシド官能基の取り込み
の、ヒドロゲルの特性の改善に対する影響(例えば、水分含量、減少したタンパ
ク質吸着など)を示す。結果として、これらの知見に基づき、イオウベース新規
アクリレートモノマーにおけるイオウの酸化状態の効果は、他のイオウ化合物の
ヒドロゲルへの取り込みが類似の特性を有し得るかどうかを決定するために研究
された。この研究はチャート3中に見出されるモノマー18および26、ならび
にHEMAと共重合される場合にそれらがどの特性をヒドロゲルに対して付与す
るかということに関する。
【0156】 (1.化合物の同定) 2つのアクリレートモノマー(スルフィドアクリレート(18)およびスルホ
ンアクリレート(26))が合成され、そしてHEMAと共重合される。このア
クリレートモノマー18および26はチャート3に見出される。
【0157】
【化11】
【0158】 化合物18はスルフィドであり、そして化合物26はスルホンである。これら
のモノマーは、それぞれ、対応するスルホキシド(モノマー23)に関して、よ
り酸化されていないか、または、より酸化されている。その極性および親水性は
、スルホキシド23>スルホン26>スルフィド18の順番で減少した。
【0159】 (2.スルフィドおよびスルホンヒドロゲルの合成) 18および26の合成はスキーム7に見出される。この合成は、市販の3−メ
チルチオプロパノール17のアクロイルクロリドでのスルフィド18へのエステ
ル化の1工程を包含する。モノマー18の2当量のm−クロロペルオキシ安息香
酸での二重酸化によって、モノマー26(スキーム8)の形成が生じる。
【0160】 (スキーム8)
【0161】
【化12】
【0162】 (B.スルフィド−およびスルホン−HEMAヒドロゲルの親水性ならびにイ
ンビトロでの吸着) 次いで、スルフィド18およびスルホン26のアクリレートを、23および2
4のヒドロゲルについて上に概説される手順に従って、上に同定したHEMAま
たは他の親水性もしくは疎水性共重合材料と共重合させた。ヒドロゲル18およ
び26の平衡水含有量を測定し、そしてそれらのスルホキシドアナログ23の対
応するヒドロゲルの平衡水含有量と比較した。結果を図17Aに示す。
【0163】 スルフィドおよびスルホン−HEMAヒドロゲルの平衡水含有量は、スルホキ
シドヒドロゲルと比較してかなり低い。事実、この混合型ヒドロゲルは、ヒドロ
ゲル中のモノマー18または26の量が増加するにつれて、純粋なHEMAヒド
ロゲル自体よりも疎水性となる。この傾向はモノマー23、18および26のそ
れぞれの極性に基づく。
【0164】 (C.スルホキシド−、スルフィド−、またはスルホン−HEMAソフトコン
タクトレンズのインビトロタンパク質吸着) スルホキシド−、スルフィド−、またはスルホン−HEMAヒドロゲルの改善
された特性は、これらの材料を用いるソフトコンタクトレンズの製造をもたらし
た。スルホキシド含有ヒドロゲルは、良好な引張強度および高い平衡水含有量(
約65〜80重量%)を有するコンタクトレンズをもたらした。スルホキシド由
来のコンタクトレンズのインビトロタンパク質吸着挙動が測定され、そして種々
の市販のソフトレンズと比較されてきた。この目的のために、式F1、F2、お
よびF3と表示された3つの異なる材料を調製し、そして、高水含量−イオン性
(FDA 第4群)および高水含量−非イオン性(FDA 第2群)に属する市
販のレンズと比較した。この研究の結果を、図16に示す。
【0165】 図16において、第4群のACUVUE(登録商標)、およびFOCUS(登
録商標)イオン性レンズは、高レベルのタンパク質吸着を示した。PERMAF
LEX(登録商標)、LUNNELLE(登録商標)、PROCLEAR(登録
商標)、RYTHMIC(登録商標)、SB 60+(登録商標)、およびSA
TUREYES(登録商標)(FDA第2群)は、イオン性レンズよりもかなり
低いレベルのタンパク質吸着を有した。最も低いレベルの吸着は、HEMAコン
タクトレンズの3つの処方物(F−1、F−2、およびF−3)で観察され、こ
れらは、27重量%のスルホキシド23と、73重量%の、HEMA(71〜7
2.9重量%)と、架橋剤(0.1〜2重量%)と、ヒドロゲルの物理的特性を
改善するがタンパク質結合に影響を与えない添加剤(ごく少量)との組合せを含
む。スルホキシド−HEMAヒドロゲルにおける毒物学試験は、新規ヒドロゲル
に毒性がないことを明らかにした。
【0166】 スルフィドおよびスルホン含有ヒドロゲルのインビトロタンパク質吸着をスル
ホキシドヒドロゲルのそれと比較した研究において、スルフィド−およびスルホ
ン−HEMAヒドロゲルの両方について、タンパク質吸着は、スルホキシド誘導
体と比較してより低いことが示された。この結果は、図17Bに示され、これは
、これらのヒドロゲルの平衡水含有量と、それに対するこれらのタンパク質吸着
を示している。
【0167】 これらのより低いタンパク質吸着の代わりに、HEMA含有モノマー18およ
び26の混合ヒドロゲルは、おそらく、それらの非常に低い親水性に起因して、
ソフトコンタクトレンズ用途の炭水化物またはスルホキシド含有ヒドロゲルと同
様には有用ではない。しかし、それらの他の特性に基づいて、これらは、それら
の低いタンパク質結合特性と同じように高い水含量が重要でない/または望まれ
ていない他の生体医用インプラント材料として、経皮パッチ、送達ビヒクル、関
節、骨インプラントなどとして、使用され得る。これは、スルホン−HEMAヒ
ドロゲルについて特に真実である。
【0168】 (有用性) 本発明のヒドロゲルは、多様なデバイス(例えば、薬物送達ビヒクル、人工筋
肉、コラーゲン置換インプラント、コンタクトレンズなど)における生体適合性
合成材料としての広範囲にわたる用途のために適切である。生体医用インプラン
ト材料のための最も重要な特性および要件の1つは、それらの生体適合性(すな
わち、材料界面において生物学的組織に有害な影響がないこと)である。生体適
合性は、表面の生体接着性(bioadhesion)により密接に支配され、
そしてタンパク質の吸着は、材料の表面が生物学的流体(血液、血漿、および涙
流体など)と接触する際に材料の表面上で起こる、最初に観察可能な事象のうち
の1つである。ヒドロゲル表面上での最初のタンパク質吸着の度合は、第2の事
象(細胞および微生物のヒドロゲルへの付着など)の誘発をもたらす。細胞また
は微生物の付着は、生体医用インプラントの適切な機能を損ない得る。
【0169】 本発明のヒドロゲルから作製されるコンタクトレンズは、眼に快適な所望の特
性(例えば、柔軟性および可撓性)を有し、そして最も重要なことには、酸素に
対する透過性を有する。これらの特性は、ヒドロゲルマトリックスの水和の度合
いに依存する。コンタクトレンズは、その表面上に、周囲の涙流体に由来する好
ましくないタンパク質および脂質の堆積を受けやすいので、高い親水性および低
いタンパク質吸着性は、ソフトコンタクトレンズへの適用に適切なヒドロゲル材
料の最も必要とされる2つの特性である。
【0170】 以前に用いられたポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)[p(HEM
A)]ヒドロゲルは、コンタクトレンズ作製のための、炭水化物とのそれらの組
合せのために、最適な選択である。なぜなら、それらの固有の低いタンパク質結
合性および優れた物理的特性(光学的透明性および高い引張強度を含む)のため
である。不運なことに、これらは単独では比較的低い水取り込みおよび酸素透過
性を有し、これらの2つの特徴は、より良好な性能のために改善されなければな
らない。本発明に従う、炭水化物基、スルホキシド基、スルフィド基、またはス
ルホン基の配合は、ポリ(HEMA)ヒドロゲルの平衡水含有量を増加させ、ヒ
ドロゲルをタンパク質吸着に対してより耐性にし、高度に親水性のヒドロゲルを
生じる。
【0171】 HEMAベースのヒドロゲルの増加した水含量、親水性、および低いタンパク
質吸着は、特にソフトコンタクトレンズ材料に有用な本発明の重要な特性である
。なぜなら、より高い平衡水含有量は、角膜へのより良好な酸素供給をもたらす
からである。
【0172】 一方、より高いスルホキシド濃度を含むヒドロゲル(これは非常に高い水含量
(約70重量%)を有する)は、非常に低い引張強度を有し、それ故にコンタク
トレンズ製造に使用されるには特に適切ではない。しかし、このような極度に吸
収剤様のヒドロゲル材料は、人工関節インプラント、眼内レンズなどの他の生体
医用用途のために有用である。
【0173】 (実施例1) (一般的手順、方法および材料) 他に述べない限り、ヒドロゲルの調製および試験のために用いられた全ての試
薬は、市販の供給者(Aldrich)から得られ、そしてこれらはさらなる精
製をすることなく使用された。試薬等級の溶媒は、FisherまたはEM S
ciences companiesから得た。
【0174】 2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を、使用の前に、減圧下で
の蒸留により精製した。
【0175】 実験操作において用いられた脱イオン水は、Millipore Milli
−Q UF Plus水精製システムを用いて限外濾過した。
【0176】 1Hおよび13C NMRを、Varian XL−200分光計上で、200 MHz(プロトンについて)および50MHz(カーボンについて)でそれぞれ
記録した。
【0177】 プロトンスペクトルは、適切な残留溶媒の共鳴(DMSO−d6についてβ=
2.50ppm、または不明瞭な場合は内部Si(CH33)を参照した。
【0178】 カーボンスペクトルは、適切な溶媒の共鳴(DMSO−d6のセンターライン
についてβ=39.50ppm)を参照した。
【0179】 リゾチーム(95重量%、鶏卵白由来)、アルブミン(96重量%、ウシ)お
よびムチン(III型、ブタの胃由来)は、全て、Sigmaから購入した。
【0180】 リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)溶液は、脱イオン水中に溶解させたPBS
錠剤(Sigma)から作製した。
【0181】 BCAタンパク質アッセイキット(22325番)は、Pierce(Roc
kford,IL)から購入した。
【0182】 種々の商標の市販のソフトコンタクトレンズは、Sunsoft Corpo
ration(Albuquerque,NM,USA)およびEssilor Corporation(Paris,France)から贈与された。化学
組成の詳細を、表3に示す。
【0183】 吸収スペクトルを、Shimadzu UV−1601分光光度計上で記録し
た。
【0184】 空気中の乾燥ヒドロゲル上または水中に沈めた水和したヒドロゲル上のジヨー
ドメタン(99重量%、Aldrich、3μl小滴)の静的接触角を、ゴニオ
メーター(モデル100−00115番、Rame−Hart,Inc.,Mo
untain Lakes, NJ)を用いて測定した。
【0185】 (実施例2) (N−メチル−N−β−ラムノシル(rhamnosyl)アクリルアミド(
1)) メチルアミン塩酸塩(3.8g、56.3mmol)を、新たに調製されたN
aOMe溶液(メタノール中)(100mL、1.0M)にゆっくりと添加し、
そして沈殿を、重力濾過(gravity filtration)により除去
した。次いで、L−ラムノース一水和物(5.1g、28.0mmol)を添加
し、そしてこの溶液を室温にて一晩撹拌した。反応混合物をエバポレートして乾
燥させ、明るい黄色の固体の中間体化合物6を得、これをさらなる精製をするこ
となく、次の工程で用いた。この固体中間体に、500mLのメタノール、30
mLのトリエチルアミン、そして塩化アクリロイルのTHF溶液(80mL、2
5重量%体積/体積)をゆっくりと添加した。この溶液を周囲温度にて維持した
。反応混合物を4時間にわたって室温にて撹拌し、真空中で濃縮し、そして10
0mLのトリエチルアミンで希釈した。沈殿固体を、減圧濾過により除去し、そ
して濾液を濃縮し、そしてシリカゲルクロマトグラフィー(6:1酢酸エチル/
メタノールで溶出)により精製して、3.1g(49重量%)のモノマー1を得
た。
【0186】 モノマー1は、室温にて、第3級アミンの周りの回転異性体の混合物として存
在した。
【0187】 NMRスペクトルは、合体点(coalescence point)を越え
る温度にて記録されて、ピークの帰属を単純化した。
【0188】
【数1】
【0189】 (実施例3) (2,3,4,5−テトラ−O−アセチル−N−アリル−β−N−キシロシル
アセトアミド(7)) 化合物7(これは、モノマー2の調製のための中間体である)の調製のために
、D−キシロース(4.0g、26.7mmol)を、室温にて、24時間、ア
リルアミン中で撹拌した。溶液を真空中でエバポレートして、そして残渣を無水
酢酸/ピリジン(1:1;vol/vol)で一晩処理した。溶液をエバポレー
トして乾燥させ、生成化合物7(9.3g(98重量%))を、わずかに着色し
た固体として得た。
【0190】
【数2】
【0191】 (実施例4) (N−[アリル−]−β−N−キシロシルアセトアミド(8)) モノマー2の合成のための第2の中間体の調製のために、化合物7(9.3g
、26mmol)をメタノール中に溶解させ、そしてpH9に到達するまで、ナ
トリウムメトキシドのメタノール中水溶液で処理した。溶液を室温にて4時間撹
拌した。Dowex樹脂(H+形態)を用いて溶液を中和し、脱アセチル化生成
物8を得、そしてこの溶液を濾過し、そして真空中で濃縮した。化合物8を、油
性の残渣として、定量的収率で得た。
【0192】
【数3】
【0193】 (実施例5) (N−[3−(2−N’−エチルプロペンアミド)チオプロピル]−β−N−
キシロシルアセトアミド(2)) システアミン(2−アミノエタンチオール塩酸塩)(3.2g、28.2mm
ol)および脱アセチル化化合物8を、15mLの脱酸素水中に溶解させた。こ
の溶液を、窒素でパージし、そして出発物質が完全に消失するまで、窒素雰囲気
下で5時間にわたって、紫外光(254nm)を照射した。この溶液をエバポレ
ートして乾燥させ、次いで生成化合物9を、さらに精製することなく使用した。
【0194】 アミン9(26.0mmol、化合物6のモル数に基づく)をメタノール中に
溶解させ、そして塩化アクリロイル(10mL、123mmol)(THF中、
18重量%;vol/vol)を0℃にてゆっくりと滴下してアクリロイル化す
ることにより、モノマー2を調製した。pHを、2M KOHを用いて、8〜9
の間に維持した。溶液をカチオン交換樹脂(DOWEX樹脂H+形態)を用いて
中和し、粗生成物2を得た。4:1酢酸エチル/メタノールを用いるシリカゲル
カラムクロマトグラフィーによる精製により、5.8g(62重量%)の純粋な
モノマー2を、吸湿性固体として得た。室温にて、化合物2は、第3級アミンの
周りの回転異性体混合物として存在した。
【0195】 NMRスペクトルを、合体点(coalescence point)を越え
る室温にて記録し、ピークの帰属を単純化した。
【0196】
【数4】
【0197】 (実施例6) (N−アクリロイル−D−グルカミン(3)) N−アクリロイル−D−グルカミン(3):1−アミノ−1−デオキシ−D−
ソルビトール(D−グルカミン)10(5.0g、28mmol)を、CH3O H(120mL)およびH2O(15mL)の混合物中に溶解させ、そして氷浴 中で冷却した。KOH水溶液(2M)を定期的に添加することによって反応混合
物のpHを8と9との間に維持しながら、塩化アクリロイル(THF中2.35
Mの溶液を30mL、71mmol)を、上記溶液に滴下した。氷上でさらなる
1時間の後、揮発物を減圧下でエバポレートし、そして残渣を、5〜15%のC
2Cl2(MeOH中)の勾配を有するシリカゲルクロマトグラフィーに供し、
化合物3(3.6g(56%))を、白色固体として得た(融点122〜123
℃)。
【0198】
【数5】
【0199】 (実施例7) (N−アクリロイル−N−メチル−D−グルカミン(4)) モノマー4の調製のために、N−メチル−D−グルカミン(5.0g、25.
5mmol)を、メタノール(120mL)と水(15mL)との混合物中に溶
解させ、そして氷浴上で0〜5℃に冷却した。KOH水溶液(2M)を定期的に
添加することによって反応混合物のpHを8と9との間に維持しながら、塩化ア
クリロイル(THF中2.35M、30mL、70.5mmol)を、上記溶液
に滴下した。混合物を、さらに1時間0〜5℃で撹拌し、揮発物を減圧下でエバ
ポレートし、そして残渣を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5〜15
%のCH2Cl2(MeOH中))に供し、白色固体化合物4(4.35g(69
重量%))を得た。
【0200】
【数6】
【0201】 (実施例8) (3,6,9−トリオキサデカン−1−トシレート(12)) p−トルエンスルホニルクロリド(26.0g、136mmol)を、分割し
て、激しく撹拌している3,6,9−トリオキサデカン−1−オール、乾燥ピリ
ジン(15.3g、194mmol)および乾燥CHCl3(120mL)の冷 却混合物(0℃)に添加した。反応混合物を0℃で2.5時間撹拌した後、H2 O(100mL)を添加し、そして生成物をエーテル(150mL)で抽出した
。有機層を、150mLの2N HCl、H2O、飽和NaHCO3水溶液、およ
びH2Oで順次に洗浄し、次いでNa2SO4で乾燥させた。溶液を濃縮し、そし て生成物を、10%酢酸エチル(ヘキサン中)、続いて100%エーテルを用い
るシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、純粋な化合物12(25g、
86%)を、無色のオイルとして得た。
【0202】
【数7】
【0203】 (実施例9) (4−(3,6,9−トリオキサ)デシルオキシベンズアルデヒド(13)) 4−ヒドロキシベンズアルデヒド(2.68g、20.0mmol)、3,6
,9−トリオキサデカン−1−トシレート12(5.0g、15.7mmol)
および無水K2CO3(10.35g、75.0mmol)の混合物(2−ブタノ
ン(50mL)中)を、還流下で、激しく撹拌しながら、5時間にわたって加熱
した。反応混合物を室温まで冷却し、濾過し、そして固体を50mLのアセトン
で洗浄した。合わせた濾液をエバポレートし、そして残渣をカラムクロマトグラ
フィー(シリカゲル、50:50重量%ヘキサン/エーテル、エーテル、および
20:50重量%エーテル/アセトン)に供して、無色のオイル状化合物13を
得た(3.1g、76重量%)。
【0204】
【数8】
【0205】 (実施例10) (N−アクリロイル−N−[4(3,6,9−トリオキサ)デシルオキシベン
ジル]−D−グルカミン(5)) モノマー5の調製のために、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.6
g、12.26mmol)を、4(3,6,9−トリオキサ)デシルオキシベン
ズアルデヒド13(2.0g、7.69mmol)、DMF(80mL)中に溶
解させたD−グルカミン(1.45g、8.0mmol)、および酢酸(0.8
mL)の撹拌溶液に、室温にて、一度に添加した。曇った反応混合物は、室温で
4時間撹拌した後、透明になった。乾燥エーテル(300mL)の添加により、
生成物であるN−(4−(3,6,9−トリオキサ)デシルオキシベンジル)−
D−グルカミン(14)を形成して、明るい黄色の吸湿性固体(14)を沈殿さ
せ、これを濾過し、より多くのエーテル(50mL)で洗浄し、吸引乾燥させ、
そしてさらなる精製なしにアクリロイル化に用いた。上記固体14を、メタノー
ル(40mL)中に溶解させ、そして氷浴中で0〜5℃に冷却した。
【0206】 KOH水溶液(2M)を定期的に添加することによって反応混合物のpHを8
と9との間に維持しながら、塩化アクリロイル(THF中2.35M、7.0m
L、16.45mmol)を、化合物14に滴下した。反応物を、0〜5℃で、
さらに1時間撹拌し、そして室温まで加温した。揮発の後に得られた残渣を、減
圧下でエバポレートし、そしてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、5〜1
2%のCH2Cl2(MeOH中))に供し、無色のゴム状化合物5(1.5g(
アルデヒド由来で40.1重量%))を得た。
【0207】
【数9】
【0208】 (実施例11) (コポリマーヒドロゲルの調製) HEMAおよび炭水化物モノマー(それぞれ4g)の当量重量を、0.1mL
のエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、1mLの脱イオン水、
および1.5mLのエチレンと合わせた。この混合物に、(NH4228(4
00mg/ml)の溶液とNa222(150mg/mL)の溶液(両方とも 0.5体積/重量%の量で)とを添加した。この混合物をガラス板上に注ぎ、薄
い1〜2mmのフィルムを形成し、次いで別のガラス板で覆った。均一な厚さの
フィルムを得るために、1〜2mmの厚さのガラス片を縁に沿って挿入してこの
ガラス板を分離し、そしてフィルムの厚さを規定した。重合反応を、室温にて一
晩進行させた。
【0209】 (実施例12) (コポリマーフィルムの調製) 代表的には、HEMAおよび炭水化物モノマーを、AIBN(モノマーに対し
て1.0重量%)と共に、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解させて、
10重量%溶液を形成した。混合物に、N2を20分間パージし、次いで65℃ にて、N2下にて、6時間にわたって加熱した。ポリマーを、アセトンをゆっく り添加することにより、溶液から沈殿させた。沈殿したポリマーを、再びDMS
Oに溶解させ、そしてガラス板上にキャストした。40℃で真空中にてDMSO
溶液をエバポレートすることにより、コポリマーのフィルムを得た。
【0210】 (実施例13) (平衡水含有量(EWC)測定) 平衡水含有量の測定を、以下のように行った。
【0211】 重合後、均一な(flat)HEMA−炭水化物コポリマーヒドロゲルを、脱
イオン水中、2時間、室温で浸漬し、そして抽出した。抽出流体を捨て、新鮮な
水を1日ごと1日につき2回加え、未反応のモノマーおよび溶解性オリゴマーの
除去を確実にした。十分に含水した(hydrated)サンプルを秤量し、そ
してWh(含水)として表した。得られた軟ヒドロゲルを水から取り出し、そし
てデシケータ中、五酸化リンで、真空、室温にて、少なくとも2日間乾燥した。
脱水したサンプルを再び秤量し、そしてWd(乾燥サンプル)として表した。
【0212】 ヒドロゲルによって吸着された水含有量の量を、乾燥ポリマーの重量(Wd)
および対応する含水したポリマーの重量(Wh)から、以下の式に従って決定し
た: EWC(%)=[(Wh−Wd)/Wh]×100 ここで、EWCは、平衡水含有量であり;Whは、含水したサンプルであり;そ
してWdは、乾燥サンプルである。
【0213】 (実施例14) (接触角測定) コポリマーヒドロゲルの接触角を、ジヨードメタンおよびグリセロール方法を
用いて測定した。Macromol.Chem.Phys.,195:1953
(1994)。
【0214】 ジヨードメタンおよびグリセロールの液滴が、コポリマーヒドロゲルフィルム
上に堆積したが、これは、DMSO溶液のキャスティングから測定された。典型
的なコポリマーフィルムについて、3μLのジヨードメタンまたはグリセロール
をポリマー表面上に滴下し、そして静的接触角を、この液滴の堆積後5分以内に
測定した。各サンプルについて、全6つの接触角読み取りを液滴の両側から収集
し、そしてその値を平均した(±2°)。
【0215】 (実施例15) (示差走査熱量測定器(DSC)測定) このコポリマーサンプルの示差走査熱量測定をPerkin−Elmer D
SC−7で行った。p(HEMA)およびHEMA−炭水化物ポリマーヒドロゲ
ルの十分に含水したサンプルを1cm×1cmの小片に切断し、そして25℃と
150℃との間で1分あたり5℃の加熱速度で窒素雰囲気下で加熱に供し、そし
てDSCを行った。スペクトルをすべての調査したHEMA−炭水化物またはH
EMA−スルホキシドヒドロゲルについて記録した。
【0216】 (実施例16) (X線光電子分光法(XPS)) HEMA−炭水化物コポリマーサンプルをXPS分析の前に脱水した。このサ
ンプルを、デシケータ中、五酸化リンで、少なくとも2日間、室温、真空下で乾
燥した。XPS測定を、モノクロメータを備えたPerkin−Elmer 5
500スペクトロメータで行った。このスペクトルを、10-8〜10-9Torr
の範囲で真空下、MgKα X線(1253.6eV)で記録した。
【0217】 測定を、このサンプル表面の平面に関して、45度のテイクオフ角(take
−off angle)を用いて記録した。このサンプルのC、O、Nおよび/
またはSの元素組成は、3つの詳細な走査スペクトルから平均したものであった
。結合エネルギースケールの負荷(charge)補正を炭素スペクトル中の−
CH2−ピークを285.0eVに設定することによって行った。
【0218】 (実施例17) (タンパク質吸着研究) HEMA−炭水化物またはHEMA−スルホキシドヒドロゲルのタンパク質吸
着をコンタクトレンズに関して使用された公知の材料のタンパク質吸着と比較し
た。
【0219】 人工的な涙液体(ATF)を以下の手順に従って調製した。脂質混合物A(0
.408g)(これは、0.4gのトリオレフィン、0.3gのn−プロピルオ
レエート、0.5gのリナリルアセテート(linalyl acetate)
および0.08gのジカプロインから作製される)を、0.012gのコレステ
ロールおよび0.18gのコレステロールリノレートの混合物に加え、そしてボ
ルテックスミキサーを用いて徹底的に混合し、脂質混合物Bを得た。
【0220】 この混合物の一部(0.016g)を、0.001gのウンデシル酸、0.4
gのリゾチーム、0.2gのムチン、および0.04gのアルブミンと合わせ、
そしてこの固体混合物を、激しい振盪下で、200mLの19:1 PBS/H
anks平衡塩類溶液に溶解した。4℃で一晩貯蔵した後、得られたタンパク質
/脂質溶液(ATF)を1N NaOH溶液でpH7.4に調節した。ATFの
全タンパク質濃度はPierce BCAタンパク質アッセイ(Macromo
lecules,26:4825(1993))を用いて測定すると3.2mg
/mLであった。
【0221】 個々のタンパク質溶液を、0.32gのタンパク質を19:1 PBS/Ha
nks平衡塩類溶液に溶解することによって作製し、最終タンパク質濃度を3.
2mg/mLとした。このタンパク質溶液を4℃で貯蔵し、そしてそれらの調製
の3週間以内で使用した。
【0222】 1×1cm2の面積および約1mm厚を有する合成ヒドロゲル小片、ならびに 市販のコンタクトレンズを、穏やかに振盪する36℃で維持された水浴上で、A
TF中または個々のタンパク質溶液中(ヒドロゲル小片またはコンタクトレンズ
あたり2mL)に、種々の時間で浸し、インキュベートした。インキュベート後
、このヒドロゲルまたはコンタクトレンズをこのタンパク質溶液から取り出し、
すばやく蒸留水の穏やかな流れですすぎ、そして室温で、PBS溶液10mL中
で約10分間で2回振盪した。
【0223】 コントロールと試験材料との両方について洗浄したヒドロゲル小片を、BCA
タンパク質アッセイ試薬を用いて吸着されたタンパク質の存在についてアッセイ
した。いくつかの場合において、吸着されたタンパク質を1重量%のナトリウム
ドデシルスルフェート(SDS)溶液(レンズまたはヒドロゲル小片あたり2.
0mL)中に抽出し、そしてこの抽出物の280nmでの光学密度を相対吸着レ
ベルの測定値としてとった。結果を、HEMA−炭水化物について図10に、そ
してHEMA−スルホキシドについて図16に示す。
【0224】 (実施例18) (3−メチルチオ−1−プロピルアクリレートの合成) 氷浴(0〜5℃)中で冷却された乾燥CH2Cl2(110mL)中の3−メチ
ルチオ−1−プロパノール(17)(12.5g、117.7mmol)および
トリエチルアミン(17.8g、177.0mmol)の混合物に、乾燥CH2 Cl2(30mL)中の塩化アクリロイル(21.3g、235.0mmol) の溶液を、2.5時間かけて攪拌しながら1滴ずつ添加した。この反応混合物を
室温まで加温し、次いでより多くのCH2Cl2(225mL)で希釈し、そして
水(250mL)中に注いだ。CH2Cl2層を飽和NaHCO3水溶液(2×1 75mL)および水(2.225mL)で洗浄した。乾燥した(Na2SO4)有
機層のエバポレーションによって黄色のオイルを得た。カラムクロマトグラフィ
ー(シリカゲル、ヘキサン、10重量%エーテル/ヘキサン)による精製によっ
て、透明なオイル化合物18(11.4g、60重量%)(すなわち、3−メチ
ルチオ−1−プロピルアクリレート)を得た。
【0225】
【数10】
【0226】 (実施例19) (メチル3−(アクリロイルオキシ)プロピルスルホキシド) CH2Cl2(80mL)中の3−メチルチオ−1−プロピルアクリレート(1
8)(5.95g、37.1mmol)の氷冷溶液に、m−クロロペルオキシ安
息香酸(76.5重量%、8.37g、37.1mmol)を、1.5時間かけ
て部分ずつ添加した。反応の進行をTLCによってモニターした。反応が完了し
た際に、溶媒を減圧下でエバポレートした。得られた粘性の白色固体を水(2×
100mL)で洗浄し、そしてろ過した。水の洗液を減圧下でエバポレートし、
粗生成物を黄色オイルとして得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(
シリカゲル、エーテル、20重量%アセトン/エーテル、70重量%アセトン/
エーテル)によって精製し、無色のオイル化合物23(すなわち、メチル3−(
アクリロイルオキシ)プロピルスルホキシド)(4.3g、66重量%)を得た
【0227】
【数11】
【0228】 (実施例20) (メチル3−(アクリロイルオキシ)プロピルスルホキシドの大スケール合成
) ジクロロメタン(300mL)中の3−メチルチオ−1−プロパノール(17
)(25.0g、235.5mmol)、トリエチルアミン(50.0mL、3
6.3g、359.4mmol)の混合物を、氷浴中で冷却し、そしてジクロロ
メタン(75mL)中の塩化アクリロイル(40.0mL、44.6g、495
.1mmol)の溶液を、攪拌しながら3.5時間かけて1滴ずつ添加し、その
間、温度を5℃未満に厳密に維持した。この反応混合物を200mLのジクロロ
メタンで希釈し、そして500mLの水に注いだ。有機層を、水(500mL)
、飽和ナトリウムジカーボネート水溶液(2×500mL)、および水(500
mL)で連続的に洗浄した。粗3−メチルチオ−1−プロピルアクリレート18
を含有するジクロロメタン層(約500mL)を、続く酸化工程に直接用いた。
【0229】 上記ジクロロメタン層を氷浴中で冷却し、そしてm−クロロペルオキシ安息香
(76.5重量%平均活性、48.0g、278.2mmol)を75分かけて
部分ずつ添加し、その間、温度を5℃未満に厳密に維持した。反応の進行をTL
Cによってモニターし、そして75分後の反応混合物中に存在する残りのスルフ
ィド−アクリレートの量に依存して、より多くのm−クロロペルオキシ安息香酸
(2〜5g)を加えた。0℃で2時間の全反応時間の後、溶媒を減圧下でエバポ
レートし、得られた固体を脱イオン水(3×200mL)で抽出し、そしてろ過
した。濾液を陰イオン交換樹脂(約25g、OH型)で1時間攪拌し、ろ過した
。濾液を、減圧下、30℃未満でエバポレートし、粗製化合物23を暗色の褐色
がかった黄色オイルとして得た(約35g)。粗生成物をカラムクロマトグラフ
ィー(シリカゲル、溶媒:ヘキサン/エーテル、アセトン;45:45:10%
)によって精製し、2段階で、無色オイルを得た(30.1g、72.5重量%
)。あるいは、この生成物を真空蒸留によって精製した。
【0230】
【数12】
【0231】 (実施例21) (メチル3−(アクリロイルオキシ)プロピルスルホン(26)の合成) 実施例19に記載された、スルホキシド化合物23の調製について使用された
のと同じ手順を、1当量でなく2当量のm−クロロペルオキシ安息香酸を使用し
たことを除いては、化合物26の調製に使用した。
【0232】 3−メチルチオ−1−プロピルアクリレート(18)(8.11g、50.5
mmol)、およびm−クロロペルオキシ安息香酸(9.34g、101.1m
mol)を、実施例19に記載されたように反応させた。この粗生成物をカラム
クロマトグラフィー(シリカゲル、50重量%エーテル/ヘキサン、エーテル)
によって精製し、透明なオイルの化合物26(6.7g、70重量%)(すなわ
ち、メチル3−(アクリロイルオキシ)プロピルスルホン)を得た。
【0233】
【数13】
【0234】 (実施例22) (3−メチルチオ−1−プロパノールトシレートの合成) 氷浴中で冷却された3−メチルチオ−1−プロパノール(17)(5.0g、
47.1mmol)、ピリジン(7.43g、94.0mmol)およびCHC
3(47mL)の混合物に、トシルクロリド(13.47g、70.6mmo l)を攪拌しながら部分ずつ加えた。この混合物を、1時間後、室温に加温し、
そしてさらに15時間攪拌を続けた。この混合物をCH2Cl2(200mL)で
希釈し、水(2×100mL)で洗浄し、そして有機相を乾燥させた(Na2S O4)。溶媒をエバポレートし、そして得られた黄色のオイルをカラムクロマト グラフィー(シリカゲル、15重量%エーテル/ヘキサン、50重量%エーテル
/ヘキサン)によって精製し、無色のオイル(10.5g、86重量%)(すな
わち、3−メチルチオ−1−プロパノールトシレート)を得た。
【0235】
【数14】
【0236】 (実施例23) (4,8−ジチアノナノールの合成) 乾燥THF(300mL)中の3−メチルチオ−1−プロパノールトシレート
(14.14g、54.3mmol)、および3−メルカプト−1−プロパノー
ル(5.0g、54.3mmol)の混合物に、カリウムtert−ブトキシド
(8.51g、80.0mmol)を一部ずつ窒素の雰囲気(blanket)
下で加え、そして得られた混合物を室温で24時間攪拌した。水(10mL)を
この反応混合物に滴下し、過剰なカリウムtert−ブトキシドをクエンチし、
そして溶媒を減圧下でエバポレートした。得られた固体をエーテル(3×100
mL)で洗浄し、そして濾過した。エーテル層を水(3×100mL)で洗浄し
、そして乾燥した(Na2SO4)。溶媒のエバポレーションによって8.7gの
明るい黄色のオイルを得た。この生成物をさらに精製することなくアクリロイル
化に使用した。
【0237】
【数15】
【0238】 (実施例24) (4,8−ジチアノニルアクリレートの合成) 実施例18に記載される調製に類似の手順に従った。化合物4,8−ジチアノ
ナノール(8.65g、48.0mmol)、トリエチルアミン(7.3g、7
2.0mmol)、およびアクリロイルクロリド(8.7g、96.1mmol
)を反応させ、4,8−ジチアノニルアクリレートを黄色のオイルとして得(8
.3g)、そしてさらに精製することなく使用した。
【0239】
【数16】
【0240】 (実施例25) (3−(アクリロイルオキシ)プロピルスルフィド(25)の合成) 実施例19に記載された調製の手順に類似の手順を化合物25の調製のために
使用した。
【0241】 化合物4,8−ジチアノニルアクリレート(4.86g、20.7mmol)
、およびmCPBA(9.34g、41.4mmol)を、実施例18に記載さ
れるように反応させた。粗生成物を透明なオイルとして得た。このオイルをカラ
ムクロマトグラフィー(シリカゲル、20重量%アセトン/エーテル、50重量
%アセトン/エーテル、アセトン)によって精製し、無色のオイル(これは、冷
蔵庫に置くと凝固した)を得(3.4g、5からの3工程を経て27重量%)、
化合物25であるメチル3−(アクリロイルオキシ)プロピルスルフィドを得た
【0242】
【数17】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、炭水化物モノマー1(−黒三角−)、2(−白三角−)、3(−白四
角−)、4(−白丸−)、および5(−黒丸−)の割合の関数として水和したH
EMA−炭水化物ヒドロゲルの平衡含水率(重量%)を示す。
【図2】 図2は、10重量%または20重量%の炭水化物モノマー1、2、3、4また
は5を含有する水和したHEMA−炭水化物ヒドロゲルコポリマーの示差走査熱
量測定(DSC)極大ピーク温度を示す。
【図3】 図3は、モノマー1を含むHEMAコポリマーフィルムの表面上のグリセロー
ル(−白四角−)およびメチレンジヨーダイド(−白丸−)の接触角に及ぼす炭
水化物モノマー1の含量の影響を示す。
【図4】 図4は、モノマー3を含むHEMAコポリマーフィルムの表面上のグリセロー
ル(−白四角−)およびメチレンジヨーダイド(−白丸−)の接触角に及ぼす炭
水化物モノマー3の含量の影響を示す。
【図5】 図5は、10重量%のモノマー1を含むHEMA−炭水化物ヒドロゲルのX線
電子分光法(XPS)調査スペクトルを示す。
【図6】 図6は、XPS分析による20重量%のモノマー2含むHEMA−炭水化物コ
ポリマーの、窒素、イオウ、炭素および酸素元素組成を示す。計算値は、実験観
測値と比較する。
【図7】 図7は、炭水化物モノマー1〜5の重量%量の関数としてHEMA−炭水化物
ヒドロゲルの平衡含水率(EWC)を示す。
【図8】 図8は、36℃で人工涙流体(ATF)中でインキュベートした時間(時間)
の関数としてHEMAおよびモノマー1(図8A)、2(図8B)、3(図8C
)、4(図8D)、および5(図8E)を含むHEMA−炭水化物ヒドロゲルに
吸着したタンパク質の量(マイクログラム/cm2)を示す。
【図9】 図9は、36℃で24時間インキュベートした後の20重量%のモノマー3、
4、または5を含有するHEMA−炭水化物ヒドロゲルへのアルブミンおよびリ
ゾチームの吸着(マイクログラム/cm2)を例示する。
【図10】 図10は、種々の市販のコンタクトレンズおよび20重量%のモノマー3およ
び4を含むヒドロゲルへのタンパク質吸着を示す。図10A(マイクログラム/
cm2);図10B(材料のマイクログラム/ミリグラム)。
【図11】 図11は、20重量%のモノマー3、4、または5を含有する水和したHEM
A−炭水化物ヒドロゲルのDSC加熱曲線(水の融解吸熱)を示す。
【図12】 図12は、HEMA−スルフィドヒドロゲル中の平衡含水率(重量%)に及ぼ
すスルホキシド濃度(重量%)の影響を例示する。
【図13】 図13は、HEMA−スルホキシドヒドロゲルのDSC極大ピーク温度(℃)
に及ぼすスルホキシド濃度(重量%)の影響を示す。
【図14】 図14は、36℃で24時間人工涙流体中でインキュベートの前後のHEMA
−スルホキシドヒドロゲルに吸着されたタンパク質の量に及ぼすスルホキシド濃
度(重量%)の影響を示す。
【図15】 図15は、36℃でATF中でインキュベート24時間後の平衡含水率(重量
%)および吸着したタンパク質の量に及ぼすスルホキシド濃度(重量%)の影響
を示す。
【図16】 図16は、36℃で人工涙流体中で24時間インキュベーションの間、種々の
市販のコンタクトレンズのヒドロゲルおよび3つの異なるHEMA−スルホキシ
ド処方物(F−1、F−2およびF−3)から作製されたレンズへのタンパク質
吸着(マイクログラム/cm2)を示す。
【図17】 図17は、対応するヒドロゲルの平衡含水率に及ぼすHEMA−スルフィド、
HEMA−スルホキシドまたはHEMA−スルホン中のスルフィド、スルホキシ
ドまたはスルホンの濃度(重量%)の影響(図17A)または36℃で24時間
人工涙流体中でインキュベーション後の対応するヒドロゲル上のインビトロでの
タンパク質吸着に及ぼすHEMA−スルフィド、HEMA−スルホキシドまたは
HEMA−スルホンスルホン中のスルフィド、スルホキシドまたはスルホンの濃
度(重量%)の影響(図17B)を示す。ヒドロゲルの平衡含水率(EWC、重
量%)を、各バーの下側に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02C 7/04 G02C 7/04 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 ムッカマラ, ラビンドラナス アメリカ合衆国 テキサス 77058, ヒ ューストン, ベイ エリア ブールバー ド 2000 (72)発明者 チェン, クイン アメリカ合衆国 カリフォルニア 94706, アルバニー, ケインズ アベニュー 1031, アパートメント エイ. (72)発明者 フー, ホピン アメリカ合衆国 ニューメキシコ 87103, アルバカーキー, エヌ. イー. ナ ンバーケイ203, ルイジアナ 7100 (72)発明者 ボード, ドミニク フランス国 クレテイル エフ−94000, ブールバード ジャン−バプテスト オ ードリー, 81 Fターム(参考) 2H006 BB01 BB03 BB08 4C097 AA24 SA10 4F070 AA03 AA28 AA32 AA36 AA38 AA58 AA60 AA77 AB03 AB05 AB13 AE03 AE08 CB03 CB14 4J002 BG011 BG061 BG071 BG131 BJ001 DE026 GP01

Claims (44)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 約1重量%〜約99重量%の濃度で存在する炭水化物を包含
    する生体適合性ヒドロゲルであって、該炭水化物は、約1重量%〜約99重量%
    の濃度で存在するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリレート、メタクリ
    レート、シロキサン、ビニルおよびそれらの誘導体からなる群から選択される親
    水性または疎水性共重合材料と共重合される、生体適合性ヒドロゲル。
  2. 【請求項2】 前記共重合材料が、N−ビニル−ピロリドン、ヒドロキシエ
    チルメタクリレート、メチルメタクリレート、メタクリル酸、グリセロールメタ
    クリレート、1,2−ジヒドロキシプロピルメタクリレートまたはN,Nジメチ
    ルアクリルアミドの誘導体である、請求項1に記載のヒドロゲル。
  3. 【請求項3】 前記炭水化物が、N−メチル−N−β−ラムノシルアクリル
    アミド;N−[3−(2−N’−エチルプロペンアミド)チオプロピル]−β−
    N−キシロシルアセトアミド;N−アクリロイル−D−グルカミン;N−アクリ
    ロイル−N−メチル−D−グルカミン;およびN−アクリロイル−N−(4(3
    ,6,9−トリオキサ)デシロキシベンジル)−D−グルカミンの化合物からな
    る群から選択される、請求項2に記載のヒドロゲル。
  4. 【請求項4】 前記炭水化物が、約5重量%〜約40重量%の濃度で存在し
    、そして前記共重合材料が、約60重量%〜約95重量%の濃度で存在する2−
    ヒドロキシエチルメタクリレートである、請求項3に記載のヒドロゲル。
  5. 【請求項5】 前記炭水化物が、N−メチル−N−β−ラムノシルアクリル
    アミドである、請求項4に記載のヒドロゲル。
  6. 【請求項6】 前記炭水化物が、N−[3−(2−N’−エチルプロペンア
    ミド)チオプロピル]−β−N−キシロシルアセトアミドである、請求項4に記
    載のヒドロゲル。
  7. 【請求項7】 前記炭水化物が、N−アクリロイル−D−グルカミンである
    、請求項4に記載のヒドロゲル。
  8. 【請求項8】 前記炭水化物が、N−アクリロイル−N−メチル−D−グル
    カミンである、請求項4に記載のヒドロゲル。
  9. 【請求項9】 前記炭水化物が、N−アクリロイル−N−(4(3,6,9
    −トリオキサ)デシロキシベンジル)−D−グルカミンである、請求項4に記載
    のヒドロゲル。
  10. 【請求項10】 アクリルアミド官能性(官能基化)スルホキシド、スルフ
    ィドまたはスルホンモノマーを包含する生体適合性ヒドロゲルポリマーであって
    、該モノマーは、約1重量%〜約99重量%の濃度で存在するアクリルアミド、
    メタクリルアミド、アクリレート、メタクリレート、シロキサン、ビニルおよび
    それらの誘導体からなる群から選択される親水性または疎水性マトリックス共重
    合材料と共重合される、ヒドロゲルポリマー。
  11. 【請求項11】 前記共重合材料が、N−ビニル−ピロリドン、ヒドロキシ
    エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、メタクリル酸、グリセロールメ
    タクリレート、1,2−ジヒドロキシプロピルメタクリレートまたはN,N,ジ
    メチルアクリルアミドの誘導体である、請求項10に記載のヒドロゲル。
  12. 【請求項12】 前記共重合材料が、約1重量%〜約99重量%の濃度で存
    在するアクリルアミド官能性(官能基化)スルホキシドモノマーと共重合したヒ
    ドロキシエチルメタクリレートである、請求項11に記載のヒドロゲル。
  13. 【請求項13】 前記官能性(官能基化)スルホキシドモノマーが約5重量
    %〜約40重量%の濃度で存在する、請求項12に記載のヒドロゲル。
  14. 【請求項14】 前記共重合材料が、約1重量%〜約99重量%の濃度で存
    在するアクリルアミド官能性(官能基化)スルフィドモノマーと共重合したヒド
    ロキシエチルメタクリレートである、請求項11に記載のヒドロゲル。
  15. 【請求項15】 前記官能性(官能基化)スルフィドモノマーが約5重量%
    〜約40重量%の濃度で存在する、請求項14に記載のヒドロゲル。
  16. 【請求項16】 前記共重合材料が、約1重量%〜約99重量%の濃度で存
    在するアクリルアミド官能性(官能基化)スルホンモノマーと共重合したヒドロ
    キシエチルメタクリレートである、請求項11に記載のヒドロゲル。
  17. 【請求項17】 前記官能性(官能基化)スルホンモノマーが約5重量%〜
    約40重量%の濃度で存在する、請求項16に記載のヒドロゲル。
  18. 【請求項18】 約5重量%〜約40重量%の濃度で存在する炭水化物を包
    含するヒドロゲルから作製されたソフトコンタクトレンズであって、該炭水化物
    は、約60重量%〜約95重量%の濃度で存在するアクリルアミド、メタクリル
    アミド、アクリレート、メタクリレート、シロキサン、ビニルおよびそれらの誘
    導体からなる群から選択される親水性または疎水性共重合材料と共重合される、
    ソフトコンタクトレンズ。
  19. 【請求項19】 前記共重合材料が、N−ビニル−ピロリドン、ヒドロキシ
    エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、メタクリル酸、グリセロールメ
    タクリレート、1,2−ジヒドロキシプロピルメタクリレートまたはN,N,ジ
    メチルアクリルアミドの誘導体である、請求項18に記載のレンズ。
  20. 【請求項20】 前記炭水化物が、N−メチル−N−β−ラムノシルアクリ
    ルアミド;N−[3−(2−N’−エチルプロペンアミド)チオプロピル]−β
    −N−キシロシルアセトアミド;N−アクリロイル−D−グルカミン;N−アク
    リロイル−N−メチル−D−グルカミン;およびN−アクリロイル−N−(4(
    3,6,9−トリオキサ)デシロキシベンジル)−D−グルカミンの化合物から
    なる群から選択される、請求項19に記載のレンズ。
  21. 【請求項21】 前記炭水化物が約10重量%〜約20重量%の濃度で存在
    する、請求項20に記載のレンズ。
  22. 【請求項22】 前記炭水化物が、N−メチル−N−β−ラムノシルアクリ
    ルアミドである、請求項21に記載のレンズ。
  23. 【請求項23】 前記炭水化物が、N−[3−(2−N’−エチルプロペン
    アミド)チオプロピル]−β−N−キシロシルアセトアミドである、請求項21
    に記載のレンズ。
  24. 【請求項24】 前記炭水化物が、N−アクリロイル−D−グルカミンであ
    る、請求項21に記載のレンズ。
  25. 【請求項25】 前記炭水化物が、N−アクリロイル−N−メチル−D−グ
    ルカミンである、請求項21に記載のヒドロゲル。
  26. 【請求項26】 前記炭水化物が、N−アクリロイル−N−(4(3,6,
    9−トリオキサ)デシロキシベンジル)−D−グルカミンである、請求項21に
    記載のレンズ。
  27. 【請求項27】 約1重量%〜約99重量%の濃度で存在するアクリルアミ
    ド、メタクリルアミド、アクリレート、メタクリレート、シロキサン、ビニルお
    よびそれらの誘導体からなる群から選択される親水性または疎水性共重合材料と
    共重合される、スルホキシド、スルフィドまたはスルホンを含むヒドロゲルから
    作製される、ソフトコンタクトレンズ。
  28. 【請求項28】 前記共重合材料が、N−ビニル−ピロリドン、ヒドロキシ
    エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、メタクリル酸、グリセロールメ
    タクリレート、1,2−ジヒドロキシプロピルメタクリレートまたはN,N,ジ
    メチルアクリルアミドの誘導体である、請求項27に記載のレンズ。
  29. 【請求項29】 前記ヒドロゲルが約10重量%〜約40重量%のスルホキ
    シドを包含する、請求項27に記載のレンズ。
  30. 【請求項30】 医用インプラントまたはコンタクトレンズの作製のための
    生体適合性ヒドロゲルインプラント材料であって、該材料は、約5重量%〜約5
    0重量%のアクリルアミド官能性(官能基化)スルホキシド、スルフィドまたは
    スルホンモノマーを包含し、該モノマーは、約1重量%〜約99重量%の濃度で
    存在するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリレート、メタクリレート、
    シロキサン、ビニルおよびそれらの誘導体からなる群から選択される親水性また
    は疎水性共重合材料と共重合される、材料。
  31. 【請求項31】 前記共重合材料が、N−ビニル−ピロリドン、ヒドロキシ
    エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、メタクリル酸、グリセロールメ
    タクリレート、1,2−ジヒドロキシプロピルメタクリレートまたはN,N,ジ
    メチルアクリルアミドの誘導体である、請求項30に記載の材料。
  32. 【請求項32】 生体適合性ヒドロゲルを調製するための方法であって、以
    下: (a)炭水化物、スルホキシド、スルホンまたはスルフィドモノマーを調製する
    工程;および (b)該炭水化物、スルホキシド、スルホンまたはスルフィドを、水およびエチ
    レングリコールジメタクリレートの存在下、約1重量%〜約99重量%の濃度で
    存在するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリレート、メタクリレート、
    シロキサン、ビニルおよびそれらの誘導体からなる群から選択される親水性また
    は疎水性共重合材料と共重合する工程、 のステップからなる、方法。
  33. 【請求項33】 ステップ(b)で、架橋剤およびインヒビターがさらに添
    加される、請求項32に記載の方法。
  34. 【請求項34】 前記共重合材料が、N−ビニル−ピロリドン、ヒドロキシ
    エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、メタクリル酸、グリセロールメ
    タクリレート、1,2−ジヒドロキシプロピルメタクリレートまたはN,N,ジ
    メチルアクリルアミドである、請求項33に記載の方法。
  35. 【請求項35】 N−メチル−N−β−ラムノシルアクリルアミド;N−[
    3−(2−N’−エチルプロペンアミド)チオプロピル]−β−N−キシロシル
    アセトアミド;N−アクリロイル−D−グルカミン;N−アクリロイル−N−メ
    チル−D−グルカミン;およびN−アクリロイル−N−(4(3,6,9−トリ
    オキサ)デシロキシベンジル)−D−グルカミンからなる群から選択される、ア
    クリルアミド−官能基化炭水化物。
  36. 【請求項36】 すなわち、N−メチル−N−β−ラムノシルアクリルアミ
    ドである、請求項35に記載の炭水化物。
  37. 【請求項37】 すなわち、N−[3−(2−N’−エチルプロペンアミド
    )チオプロピル]−β−N−キシロシルアセトアミドである、請求項35に記載
    の炭水化物。
  38. 【請求項38】 すなわち、N−アクリロイル−D−グルカミン;N−アク
    リロイル−N−メチル−D−グルカミンである、請求項35に記載の炭水化物。
  39. 【請求項39】 すなわち、N−アクリロイル−N−メチル−D−グルカミ
    ンである、請求項35に記載の炭水化物。
  40. 【請求項40】 すなわち、N−アクリロイル−N−(4(3,6,9−ト
    リオキサ)デシロキシベンジル)−D−グルカミンである、請求項29に記載の
    炭水化物。
  41. 【請求項41】 メチル−3−(アクリロイルオキシ)プロピルスルホキシ
    ド、メチル−3−(アクリロイルオキシ)プロピルスルホン、およびメチル−3
    −(アクリロイルオキシ)プロピルスルフィドからなる群から選択される、アク
    リルアミド−官能基化化合物。
  42. 【請求項42】 すなわち、メチル−3−(アクリロイルオキシ)プロピル
    スルホキシドである、請求項41に記載の化合物。
  43. 【請求項43】 すなわち、メチル−3−(アクリロイルオキシ)プロピル
    スルホンである、請求項41に記載の化合物。
  44. 【請求項44】 すなわち、メチル−3−(アクリロイルオキシ)プロピル
    スルフィドである、請求項42に記載の化合物。
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