【発明の詳細な説明】
空調機のコンプレッサ取付装置
技術分野
本発明は、空調機に関し、特に、支持構造体に空調機のコンプレッサを取り付
けるための方法に関する。
背景技術
室内型空調機及びスプリット/システム型空調機などの空調機において、支持
面にコンプレッサを取り付けることは周知である。このような面は、一般に、室
外セクションもしくは凝縮器セクションと呼ばれる空調機の領域における水平面
である。
ほとんどの種類のコンプレッサでは、ある程度の騒音及び振動が発生してしま
うので、コンプレッサを支持構造体から絶縁する取付構造体が提供されることが
望ましいとされる。このような取付構造体は、空調機ユニットの取り扱いが悪い
ことによって生じる力に対して構造的に反動し得る必要があり、このような力に
はユニットの落下や運搬時の誤った取り扱いによって加わるおそれがある横方向
の力、鉛直力、捩れが含まれる。
このような力に対処する周知の方法は、コンプレッサに取り付けた取付プレー
トを用いてコンプレッサを取り付けることである。この取付プレートは、取付構
造体に設けられた取付スタッドに収容されるゴムグロメットによって絶縁される
。このような空調機には、
種々のタイプのコンプレッサが用いられ、例えば、ロータリコンプレッサや往復
動型コンプレッサを、同じ空調機ユニットで間題なく使用することができる。こ
のようなコンプレッサは、寸法が異なるので、異なる寸法のコンプレッサに対応
する取付プレートや関連する取付構造体が必要となる。
従って、通常の運転時及び運搬時にコンプレッサを充分に支持するとともに、
1つ以上の寸法のコンプレッサ用の取付構造体を容易に収容することができるよ
うに設けられた取付構造体を、空調機のベースパンに設けることが望まれる。
発明の開示
本発明では、空調機のベースパンにコンプレッサを取り付けるための装置が提
供されており、この装置は、2つの異なるタイプのコンプレッサのうちの一方を
使用することができるように設けられている。これらのコンプレッサは、ベース
パンの実質的に同じ領域に取り付けられるように設けられる。取付装置は、取付
領域においてベースパンに取り付けられたコンプレッサ取付部の第1の組を含む
。コンプレッサ取付部の第2の組も、取付領域の共通セクションの少なくとも一
部を含む領域でベースパンに取り付けられる。第1の取付プレートが、第1のコ
ンプレッサに取り付けられており、このプレートは、コンプレッサ取付部の第1
の組に取り付けられるように設けられている。第1の取付プレートは、コンプレ
ッサ取付部の第2の組のいずれの取付部をも覆わない下側壁を有する。第2の取
付プレートが、2つのコンプレッサのうちの第2のコンプレッサ
に取り付けられており、コンプレッサ取付部の第2の組に取り付けられるように
設けられている。第2の取付プレートは、取付部の第1の組のうちの少なくとも
1つの取付部を覆う下側壁を有する。第2の取付プレートは、第2のコンプレッ
サがベースに取り付けられたときに、その下側壁がコンプレッサ取付部の第1の
組の上記少なくとも1つの取付部との間に所定の間隙を有するような形状となっ
ている。
図面の簡単な説明
本発明は、以下の添付の図面を参照することで、当業者に更に理解されるとと
もにその目的や利点が明らかとなる。
図1は、本発明の特徴を備えた室内型空調機の斜視図である。
図2は、図1に示したタイプの室内型空調機の上部カバー及び前部グリルを取
り外した上面図である。
図3は、内部部材をほとんど取り外した図1に示したタイプの空調機の平面図
である。
図4は、一つのタイプのコンプレッサが取り付けられているのを示した図3と
同様の平面図である。
図5は、他のタイプのコンプレッサが取り付けられているのを示した図3と同
様の平面図である。
図6は、図4の6−6線に沿った断面図である。
図7は、図5の7−7線に沿った断面図である。
発明を実施するための最良の形態
まず、図1を参照すると、空調機10は、全体として室内セクション12と室
外セクション14とを含む。空調ユニット10は、下側ハウジングセクション1
6、上側ハウジングセクション18、及び室内グリルセクション19を含む実質
的に長方形のハウジングを有する。下側ハウジングセクション16は、金属製の
支持パン20に取り付けられており、空調機全体は、室内グリルセクション19
が室内に面するように、冷却が望まれる部屋の外壁に設けられた長方形の開口部
もしくは窓枠に配置することができるように従来通り設けられる。
ハウジングセクション12,14及びグリル19は、プラスチック成形材料で
形成されることが望ましい。図2〜図7で最もよく示しているように、空調ユニ
ット10全体は、下側ハウジング14と一体に成形されるとともに下側ハウジン
グ14の底部を形成するプラスチックベースパン22上に支持される。室内セク
ション12と室外セクション14とを区分する垂直方向に延在する隔壁23が、
このベースパン22から上向きに延在するとともに下側ハウジング16の側壁と
一体となるように形成される。図2は、上側ハウジング18と室内グリル19を
取り除いたユニット10を示している。従来通り、ユニットは、室内の冷媒から
空気への熱交換器即ち蒸発器コイル24と蒸発器ファン26とを含む。空調機に
よって調和される空間からの空気は、蒸発器ファン26の動作によって室内グリ
ルセクション19に形成された入口ルーバ28を通して引き込まれ、空気冷却が
行われる蒸発器コイル24を通るように導かれる。続いて、冷却空気は、グリル
19の一部である室内調和空気吐出ア
センブリ30を通して冷却される空間に戻るように導かれる。
引き続き図2を参照すると、このユニットは、室外の冷媒から空気への熱交換
器即ち蒸発器コイル24、凝縮器ファン34、及びコンプレッサ36を含む。作
動時には、ハウジングセクション14,16の上部及び側面に設けられた複数の
ルーバ空気吸込口38を通して周囲空気がハウジングの室外部分に流入する。吸
込口38に流入する空気は、次に、室外ファン34を通るように引き込まれ、ハ
ウジングの背面に設けられた吐出口40から排出される前に蒸発器コイル32を
通るように導かれる。図2で最もよく示されているように、蒸発器ファン26と
凝縮器ファン34とは、共通の駆動モータ42の単一のドラフトシャフトの反対
側の端部によってそれぞれ駆動され、駆動モータ24は、ハウジングの室外セク
ション14に取り付けられている。
図2に示したコンプレッサ36は、このような用途で一般に用いられる往復動
型コンプレッサであり、このコンプレッサは、ベースパン及び振動絶縁構造体を
介してプラスチックベースパン22に直接成形されたコンプレッサ支持構造体に
取り付けられている。以下で詳細に示すように、本発明のコンプレッサ取付構造
体は、ベースパンに成形された共通するいくつかの取付構造体及びコンプレッサ
安定構造体を利用して、実質的に寸法が小さいロータリ型コンプレッサとともに
、往復動型コンプレッサを取り付けることができるように設計される。
次に図3を参照すると、5つのコンプレッサ取付スタッドが示されており、各
スタッドは、プラスチック金属ベースパン22に構造
的に成形されている。各スタッド及び関連する支持構造体は、それぞれ異なる。
まず、図4及び図6を参照して、ロータリコンプレッサ36Rの取付を説明す
る。コンプレッサ36Rには、実質的に三角形状の取付プレート44が取り付け
られる。取付プレート44は、ベースパン22へ容易に取り付けることができる
ように、3つの各角部にそれぞれ開口部45を有する。三つの取付スタッド46
,48,50は、取付プレート44の各開口部45とそれぞれ軸方向で一致する
ように、互いに離間した位置でベースパン22と一体に成形される。各スタッド
46,48,50は、ベースにスタッドが成形されている箇所を補強する垂直方
向に延在する一段高い部分51に囲まれている。
各スタッド46,48,50は、図示されるように取付ねじを受けるように設
けられた軸方向に延びる開口部52をそれぞれ有する。次に、個々のスタッドを
見てみると、スタッド46は、スタッドを同軸状に囲む円形の一段高い壁54を
含み、この壁54も直接ベースパンに成形されている。スタッド48,50には
、それぞれ垂直方向に延在する弓形形状突出部56が設けられている。弓形突出
部56は、他の2つのスタッドから見てスタッドの後方に離間された位置に設け
られる。壁54及び垂直方向に延在する突出部56の高さは、スタッドよりも低
い。
コンプレッサ36R及び取付プレート44の取付は、図6に示すように、まず
、コンプレッサプレート44に設けられた3つの開口部45にそれぞれ弾性絶縁
ブッシング58を組み合わせることによ
って行われる。コンプレッサが上に取り付けられた取付プレートは、続いて、各
ブッシング58に設けられた軸方向に一致した開口部60を通って延びる一体に
形成された3つのスタッド46,48,50上に設置される。弾性ブッシングの
直径は、スタッドを収容した時に各ブッシングの外周が円形壁54もしくはブッ
シングと組み合わさったスタッドに対応する弓形突出部56の壁の内側面とぴっ
たりと接触する大きさとなっている。
続いて、単一の“フェンダ”ワッシャ62が、その中央開口部が各スタッドの
軸方向開口部52と一致した状態で各ブッシング上に配置される。次に、単純な
金属薄板ねじ64が、スタッドの開口部52内に直接螺入され、ねじの螺入時に
開口部内に設けられたねじ山のストリッピングを避けるように所定のトルクで締
め付けられる。
引き続き図4及び図6を参照すると、ロータリコンプレッサ36R用の取付プ
レート44は、コンプレッサの下側部分を収容するために設けられた、中央に位
置し、かつ下向きに延在する円形形状の延長部66を有する。図6に示すように
、中央を押し下けた部分66の底部は、コンプレッサが取り付けられるベースパ
ン22に近接して配置される。
上述したように、ベース44及び弾性ブッシングを介してコンプレッサを取り
付けることで、作動時及び運搬時に、ブッシングからスタッド及び関連する壁構
造体54,56を通してコンプレッサに伝達される水平方向及び垂直方向の力に
対して反作用が生じる。また、特に、空調機が粗雑な取扱いを受けるおそれがあ
る運搬時にお
いて、ベースの下側部分の底部が直接ベースパンと接触することによって、コン
プレッサがその垂直軸から傾いてしまって取付構造体に応力及び損傷を与えると
いうおそれがなくなる。
続いて、図3,図5,及び図7を参照して、ベースパン22への往復動型コン
プレッサ36の取付を詳細に説明する。コンプレッサ36は、一方の端部に2つ
の開口部72含むとともに狭まった端部セクション74に第3の取付開口部72
を含む実質的に長方形のセクション70を備えたコンプレッサ取付プレート68
を有する。図7で最もよく示されるように、コンプレッサ取付スタッドに係合す
るように設けられたコンプレッサ取付プレートの各セクションは、ベースパンよ
りも一段高く、ロータリコンプレッサ用の取付プレート44と実質的に同じ高さ
に設けられている。一方、プレート76のコンプレッサ支持部は、取付構造体と
係合するプレート部分よりも実質的に高くなっている。これにより、コンプレッ
サ取付プレート68の中央部76は、ベースパン22からある程度の距離離間さ
れている。
コンプレッサ取付プレート68をベースパン22に取り付けるには、上述した
取付スタッド46及び2つの追加スタッド78,80が使用される。各スタッド
78,80は、他の取付スタッドに関して上記で説明したのと同様の垂直方向に
延在する一段高い部分51によって囲まれている。スタッド78には、スタッド
48,50に関して説明したのと同様の垂直方向に延在する一対の弓形突出部8
2が設けられている。スタッド80は、関連する弓形支持構造体を有していない
。
コンプレッサ36の取付は、ロータリコンプレッサに関して上記で説明したの
と同様の方法で、弾性絶縁ブッシング58,フェンダワッシャ62、及び金属製
取付ねじ64を用いて行われる。従って、往復動型コンプレッサは、図5及び図
7で示したように、取付プレート68の一段高い部分76がベースパン22及び
コンプレッサ取付スタッド48,50を覆うように取り付けられる。また、5つ
の垂直方向に延在する実質的にX形状の構成要素84も、ベースパン22と一体
に形成される。これらの要素は、コンプレッサ取付プレート68の周辺部に配置
されるとともにプレートが、各要素84の上部からロータリコンプレッサのベー
スパン22のコンプレッサ取付プレート44とベースパン22との距離に実質的
に等しい距離だけ離間されるように、コンプレッサ取付プレートの下に位置する
高さまで延在する。
更に、コンプレッサ取付スタッド48,50は、コンプレッサ取付スタッド4
6よりも高さが低い。図7で最もよく示しているように、これらのスタッドの高
さは、垂直の各構造支持体84と同じ高さである。これにより、往復動型コンプ
レッサは、ベースパン22よりも実質的に高い位置に取り付けられているが、取
付プレートの一段高い部分76と構成要素84の上部及びスタッド48,50の
上部との間隙は、ロータリコンプレッサ用の取付プレート44とベースパン22
との間隙と同じとなる。
従って、コンプレッサ取付プレート68及び弾性ブッシングを介して往復動型
コンプレッサを取り付けることで、作動時及び運搬時に、ブッシングからスタッ
ド及び関連する壁構造体54,82を通
して往復動型コンプレッサに伝達される水平方向及び垂直方向の力に対して反作
用が生じる。また、特に、空調機が粗雑な取扱いを受けるおそれがある運搬時に
おいて、コンプレッサ取付プレート68の底部と、各構成要素84の上部及び使
用されていない取付スタッド48,50の上部との接触によって、コンプレッサ
がその垂直軸から傾いてしまうことで取付構造体に応力及び損傷を与えるおそれ
がなくなる。
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N,YU,ZW
【要約の続き】
るように設けられている。第2の取付プレート(68)
は、取付部の第1の組のうちの少なくとも1つを覆う下
側壁を有する。第2の取付プレート(68)は、第2の
コンプレッサをベースに取り付けた時に、下側壁がコン
プレッサ取付部の第1の組の少なくとも1つの取付部と
の間に所定の間隙を有するような形状となっている。