JP2001514856A - 植物における遺伝子の選択的発現 - Google Patents

植物における遺伝子の選択的発現

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JP2001514856A JP2000508815A JP2000508815A JP2001514856A JP 2001514856 A JP2001514856 A JP 2001514856A JP 2000508815 A JP2000508815 A JP 2000508815A JP 2000508815 A JP2000508815 A JP 2000508815A JP 2001514856 A JP2001514856 A JP 2001514856A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は商業的に価値があるがホスト細胞の発達に有害な合成物を産出する生合成方法に関する。本発明に拠り生成された形質転換植物はプロモータ(2)、阻止配列(a)および構造遺伝子(6)から成る新規な制御された発現系からなり、阻止配列(a)は一対の定方向反復した部位特異的組換え配列(4)によって側面配置されている。阻止配列(a)は部位特異的リコンビナーゼ遺伝子(12)によってコード化された部位特異的リコンビナーゼ活性で阻止配列(a)が除去されるまで構造遺伝子(6)の発現を阻止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 《政府の権利》 本発明は米国政府の米国農務省基金第91−37301−6375号による後
援のもとで行われた。米国政府は本発明に若干の権利を有する。
【0002】 《発明の技術分野》 本発明は商業的に所望の植物材料を生物触媒的に生産する方法に関する。より
詳細に述べるならば、本発明は、種子増殖中はサイレントであって、種子産生の
最後の世代に活性化される遺伝子を含む植物を遺伝子工学的に作り出す方法に関
する。
【0003】 《発明の背景及び発明の概要》 組換えDNA技術を用いて所望の表現型特性およびタンパク質産物を発現する
トランスジェニック植物が生成される。しかし植物の種子における脂肪酸、アミ
ノ酸等の特別な化学物質、特別なプラスッチック様化合物、特殊なペプチドホル
モン類等の産生は、種子の生育性および発芽の喪失を起こすことがよくある。こ
のことは商業的に重要な植物産物を生産する生合成戦略の発達に重大な障害とな
る。なぜならば種子の増殖は大規模商業生産に必須だからである。本発明は種子
の増殖中はサイレントであるが、ひとたび十分な数のトランスジェニック植物が
生成した場合には活性化され、コードされた遺伝子産物を発現するという所望遺
伝子を有する遺伝子工学的植物の生産に向けられる。
【0004】 遺伝子産物の十分な発現のためにはその他のDNA調節因子も必要であるとは
いえ、遺伝子の発現は概してそれ自体のプロモーターによって方向づけられる。
プロモーター配列因子はTATAボックス・コンセンサス配列(TATAAT)
を含む。これは普通は転写開始部位の上流20ないし30塩基対(bp)である
。大抵の場合、TATAボックスは正確な転写開始のために必要である。
【0005】 プロモーターは構造性、または誘導性である。構造性プロモーターは或る細胞
の一生を通じて遺伝子の転写を一定速度にコントロールし、一方誘導性プロモー
ターの活性は変動し、特異的インデューサーの存在(または欠如)によって決ま
る。誘導性プロモーターの調節因子は転写開始部位のTATAボックスよりさら
に上流にあるのが普通である。理想的には、実験的目的では誘導性プロモーター
は下記の各特性を有していなければならない:インデューサーが欠如しており発
現の基礎レベルが低い〜存在しない;インデューサーが存在し、発現レベルが高
い;およびこれら以外では細胞の生理学を変えない誘導スキーム。全てのプロモ
ーターの基礎的転写活性は"エンハンサー"配列の存在によって増加し得る。その
メカニズムは不明確であるとはいえ、明らかにされた若干のエンハンサー調節配
列は、その配列がプロモーターの近傍にある場合にはプロモーターの転写速度を
高めることが熟練せる当業者には知られている。
【0006】 トランスフォームド細胞の作成には、DNAをホスト細胞内に物理的に置くこ
とが必要である。現在の形質転換法はDNAを細胞に挿入する種々の技術を利用
している。形質転換の一つの形では、DNAをミクロピペットを用いて細胞内に
直接微量注入する。或いは、高速衝撃を用いて小さいDNA結合粒子を細胞内に
噴射する。その他の形では、細胞をポリエチレングリコールの存在によって透過
性にし、それによってDNAを拡散によって細胞内に侵入させる。また、原形質
をDNAを含む他の実体と融合させることによってDNAを挿入することもでき
る。これらの実体としては、ミニ細胞、細胞、リソソームまたはその他の融合可
能の脂質−表面体がある。エレクトロポレーションもDNAを細胞に挿入するた
めの容認できる方法である。この方法では、生体膜を可逆的に透過性にする高電
圧パルスを細胞に与え、外因性DNA配列を侵入させることができる。
【0007】 これらの"直接的"形質転換法に加えて、Agrobacterium tum
afaciensまたはAgrobacterium rhizogenesを
用いる細菌感染によって形質転換することができる。これらの細菌種は或るプラ
スミドを含み(それぞれTiまたはRiと呼ばれる)、このプラスミドがAgr
obacterium(癌腫菌)による感染後に植物細胞に伝達される。このプ
ラスミドの一部―転移DNA(T−DNA)と命名される―はその後植物細胞の
ゲノムDNAに組込まれる。この系は文献に広く記載されており、異種遺伝子お
よびその他のDNA配列を植物細胞に導入できるように改良されている。
【0008】 もしも挿入DNA配列の一部に選択マーカー(または可視マーカー)が含まれ
ているならば、トランスフォームド細胞(ホスト細胞DNAに挿入されたDNA
を含む細胞)を非トランスフォームド細胞から選別することができる。選択マー
カー類には抗生物質耐性または殺草剤耐性を与える遺伝子類がある。これらの遺
伝子を含む細胞は非トランスフォームド細胞を殺す濃度の抗生物質または殺草剤
の存在下でも生存することができる。選択マーカーの例としては、殺草剤Bas
taに耐性を有するbar遺伝子、カナマイシン耐性を与えるnptII遺伝子
およびヒグロマイシン耐性を与えるhpt遺伝子がある。可視マーカー遺伝子は
ホスト細胞を目で確認できる産物を発現し、これによって可視マーカー遺伝子で
形質転換した細胞を確認することができる。
【0009】 ひとたびトランスフォームド植物細胞が作られると、細胞培養技術によって全
植物が得られる。個々の培養細胞は分裂してカルス組織と呼ばれる未分化の細胞
塊を生ずる。カルス組織が生成すると、熟練せる当業者には公知の技術によって
そのカルスから苗条や根を誘導することができ、生成した小植物を植えることが
できる。或いはカルス組織において体胚形成を誘導できる。これらの体胚は天然
胚として発芽し、植物を形成する。
【0010】 本発明により、植物細胞発育に有害な影響を有する商業上価値のある産物の発
現をコントロールし、植物に対するマイナスの影響を最小にする一方、産物の生
産を最大にすることができる。所望遺伝子産物のコントロールされた発現は、上
記遺伝子の規定配列を誘導性プロモーターに操作可能に結合することによって実
現する。例えば、化学的に誘導される遺伝子プロモーターを所望遺伝子に結合さ
せ、植物細胞をプロモーター/遺伝子構成物で形質転換し、トランスジェニック
植物を生成することができる。上記トランスジェニック植物に、その所望生育段
階中に、適した化学物質を噴霧し、遺伝子の発現を誘導することができる。
【0011】 環境的にコントロールされた誘導性プロモーターの使用を基礎とする戦略は、
幾つかの欠点を有する:1)可能性のあるプロモーター(例えば加熱ショックプ
ロモーター、銅誘導性プロモーター)の数が限られる、2)天然環境における多
数の植物の処理に関係する諸問題。さらに多くの誘導可能遺伝子は"リーキー( leaky)"となりがちである、すなわちそのプロモーターは上記インデュー サーが存在しない場合でも低レベルの遺伝子産物を発現する。本発明は選択的遺
伝子発現を誘導する外的処理の必要性を排除し、植物中に商業的に貴重な産物を
生産し、しかもその産物が植物発育に悪影響を与えないというコスト的に安い方
法を提供する。
【0012】 本発明は部位特異的リコンビナーゼ系(FLP/FRT、Cre/Lox、等
)を利用して植物における組換え遺伝子産物の発現をコントロールする。特に、
所望遺伝子を含むトランスジェニック植物は生成するが、その遺伝子の発現は" 阻止配列(blocking sequence)"によって阻止される。一実 施態様により、上記阻止配列はその遺伝子の発現を阻止する1個以上の停止コド
ンを含む。上記部位特異的リコンビナーゼ系を利用して阻止配列を切除し、それ
によって上記遺伝子のコントロールされた発現を可能にする。
【0013】 次のような多数の異なる部位特異的リコンビナーゼ系を用いることができる:
バクテリオファージP1のCre/lox系、酵母のFLP/FRT系、Muフ
ァージのGinリコンビナーゼ、大腸菌(E.coli)のPinリコンビナー
ゼ、およびpSR1プラスミドのR/RS系等。ただしこれらに制限するもので
はない。二つの好ましい部位特異的リコンビナーゼ系はバクテリオファージP1
のCre/loxおよび酵母のFLP/FRT系である。これらの系ではリコン
ビナーゼ(CreまたはFLP)はそのそれぞれの部位特異的組換え配列(それ
ぞれloxまたはFRT)と特異的に相互作用し、介在配列を逆転させ、または
切除する。これら二つの各系のための配列は相対的に短い(loxでは34bp
、FRTでは47bp)。現在、酵母のFLP/FRTが好適部位特異的リコン
ビナーゼ系である。なぜならばそれは通常、真核生物(酵母)において機能し、
よく特徴づけられているからである。出願人は、FLP/FRT系が真核生物起
源であるため、真核細胞においては前核生物部位特異的リコンビナーゼ系に比べ
て、FLP/FRT系がより効率的に機能し得ると信ずる根拠を有する。
【0014】 部位特異的組換え配列の方向によって、介在配列は部位特異的リコンビナーゼ
の存在下で切除されるか逆転するかする。部位特異的組換え配列が互いに逆向き
構造を有する場合(すなわち逆方向反復)、そのゲノムにおいてあらゆる介在配
列が他の配列に対して逆向きである。しかし、もしも部位特異的組換え配列が互
いに同じ方向であるならば(すなわち直列反復)、上記部位特異的リコンビナー
ゼとの相互作用であらゆる介在配列は欠失する。
【0015】 FLP/FRTリコンビナーゼ系は植物細胞において効率的に機能することが
証明されている。トウモロコシおよび米の両方のプロトプラストのFLP/FR
T系の挙動に関する実験は、FRT部位構造および存在するFLPタンパク質量
が切除活性(excision activity)に影響することを示した。
概して短い不完全なFRT部位は、完全な全長を有するFRT部位よりも多い切
除産物の蓄積をもたらす。部位特異的組換え系はトウモロコシのプロトプラスト
における分子内および分子間反応両方を触媒することができ、この系をDNA切
除並びに組込み(integration)反応に使用できることを示した。上
記組換え反応は可逆的であり、この可逆性が各方向における反応効率を低下させ
得る。部位特異的組換え配列の構造を変えることはこの状況を改善する一方法で
ある。部位特異的組換え配列を、組換え反応の産物がもはや逆反応の基質として
認識されず、それによって切除事象を安定化するように、突然変異させることが
できる。
【0016】 この系を操作するもう一つの方法は、単一分子反応(切除)が二分子(組込み
)反応よりエントロピー的に有利であることに基づく。リコンビナーゼ酵素の発
現を制限することによって、組込み型組換え(熱力学的に最も好ましくない事象
)の効率は低下し得る。トウモロコシのプロトプラストにおける実験は、より高
濃度のFLPタンパク質が切除反応の効率を高めることを示している。
【0017】 部位特異的リコンビナーゼ系を使用して遺伝子産物の発現をコントロールする
ことによって、環境的に容認される方法で有用な植物産物の経済的量を商業生産
することができる。本発明は、一部には、プロモーターを関心とする遺伝子から
分離しているDNA配列を、リコンビナーゼ系により切除できることを基礎とし
ている。切除事象によってプロモーターは遺伝子に操作可能に結合し、それによ
って遺伝子の発現が可能になる。このようにして遺伝子は幾世代もの間サイレン
ト状態に維持され、その後所望時にはいつでも、いかなる植物数でも、関心とす
る"阻止(ブロック)された"遺伝子を含む植物を部位特異的リコンビナーゼ(F
LP、Cre等)を発現する植物と交雑させることによって、DNAの阻止フラ
グメントを切除し、活性化することができる。
【0018】 一実施態様によると、開示された方法は植物において、正常な植物または種子
生育に有害な濃度の天然産物(例えば脂肪酸または動物ペプチドホルモン)をコ
ードする一種類以上の遺伝子を発現させることができる。或いは、本発明の方法
は或る植物に、低濃度でも正常な植物または種子生育に有害である異種産物(例
えばプラスチック分子)をコードする一種類以上の遺伝子を発現させる。最後に
、本発明は、或る植物に、正常な植物代謝または生長を変化させ、その変化が正
常な植物または種子に有害である(例えば胚形成、種子発芽を阻止する)という
ような一種類以上の遺伝子を発現させ、親系とは異なる方法によってハイブリッ
ド植物を繁殖させることができる(例えばアポミクシス対生殖的、およびその逆
)。
【0019】 《好適実施態様の詳細な説明》定義 プロモーターは、構造遺伝子の転写を方向づけるDNA配列である。一般的に
はプロモーターは構造遺伝子の転写開始部位に近い、遺伝子の5'領域に位置す る。プロモーターが誘導性プロモーターである場合、転写速度は誘導剤に応答し
て増加する。これに対して、プロモーターが構造性プロモーターである場合は、
転写速度は誘導剤によって調節されない。
【0020】 エンハンサーとは、転写開始部位に対するエンハンサーの方向に関係なく、転
写効率を増加させ得るDNA調節因子である。
【0021】 サイレンサーとは、転写開始部位に対するエンハンサーの方向に関係なく、転
写効率を減少させ得るDNA調節因子である。
【0022】 用語"発現"とは遺伝子産物の生合成に関するものである。例えば、構造遺伝子
の場合、発現は構造遺伝子のメッセンジャーRNAへの転写、およびメッセンジ
ャーRNAの一種類以上のポリペプチドへの翻訳を含む。
【0023】 発現ベクターとは挿入遺伝子をホスト細胞に発現するために必要な調節因子を
含むDNA分子である。一般的には、遺伝子発現は、構造性または誘導性プロモ
ーター類、組織特異的調節因子、およびエンハンサー因子等を含む若干の調節因
子のコントロール下に置かれる。このような遺伝子は調節因子に"操作可能に連 結する"と言われる。発現ベクターはこの発現ベクターを含む細胞を選択できる 真核生物および/または細菌性選択マーカーを含むのが普通である。
【0024】 外因性DNA配列とは、外的ソースからホスト細胞に挿入されたDNA配列を
言う。トランスジェニック植物とは、外因性DNA配列を含む植物細胞を1個以
上有する植物である。用語"安定的に形質転換された"とは、外因性DNA配列を
子孫に伝達することができるトランスフォームド細胞または植物を言う。一般に
は安定的に形質転換されたホストは、そのゲノムに組込まれた外因性DNA配列
を有する。
【0025】 可視マーカーとは、本発明では、ホスト細胞またはホスト生体に表現型の特徴
を作り出す産物をコードする遺伝子を含むと定義される。
【0026】 選択マーカーとは、本発明では、或る細胞に挿入された後に選択できる核酸配
列または遺伝子産物を含むと定義される。
【0027】 ポリリンカーは、互いに非常に近くに多数のエンドヌクレアーゼ制限酵素認識
配列を含むDNA配列である。
【0028】 阻止配列または阻止領域とは、或る遺伝子に結合した際にその遺伝子の発現を
阻止するヌクレオチド配列を言う。
【0029】 関心とするDNA配列とは、植物細胞に挿入したいDNA配列を言う。普通は
、関心とするDNA配列はタンパク質産物をコードする。
【0030】 メインテナー植物系とは、関心とする遺伝子を含むDNA構成物で形質転換さ
れた植物細胞から再生したトランスジェニック植物およびその子孫である。その
際前記関心とする遺伝子は、部位特異的リコンビナーゼ活性がその細胞に導入さ
れて始めて発現する。
【0031】 インデューサー植物系とは、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子を含むDNA構
成物で形質転換された植物細胞から再生するトランスジェニック植物、およびそ
れらの子孫である。
【0032】 用語"F1"は最初のトランスジェニック植物の繁殖後に生成した種子または植
物を言う。より詳細に述べれば、メインテナーおよびインデューサー植物系の交
雑受精から直接生産された種子または植物に関するものである。用語"F2"はF
1植物から直接生産された植物または種子を言う。
【0033】 本発明は、種子増殖中はサイレントであるが、ひとたび十分な数のトランスジ
ェニック植物が作られると、活性化されてそのコードされた遺伝子産物を発現す
ることができる所望遺伝子を有する遺伝子工学的植物の生産に向けられている。
好ましい実施態様において、その遺伝子は最初のトランスジェニック植物の成長
および繁殖中は不活性のままである。好しくは、その最初のトランスジェニック
植物(そして生成したその子孫)は自家受精して、挿入されたサイレント遺伝子
に関して同型接合である多数の植物を生成する。ひとたび十分な数の植物が作ら
れたならば、繁殖した植物とリコンビナーゼ活性を発現する植物との交雑によっ
て、または繁殖植物にリコンビナーゼ活性の発現を誘導することによって、所望
遺伝子がF1トランスジェニック植物の組織に発現する。その後F1種子または
F1植物を収穫し、標準的方法を用いて遺伝子産物をその植物組織から抽出する
【0034】 一実施態様によると、第一トランスジェニック植物(メインテナー系)は関心
とするDNA配列を含むDNA構成物で形質転換された植物細胞から再生し、そ
の際前記関心とするDNA配列は、部位特異的リコンビナーゼ活性が細胞に導入
されて始めて発現する。一実施態様において前記DNA構成物はプロモーター、
阻止配列、および構造遺伝子を含んでなり、前記阻止配列には一対の部位特異的
組換え配列がフランク(flank:側面配置する)している。構造遺伝子は上
記阻止配列が除去された後に始めてプロモーターに操作可能に結合する。
【0035】 図1Aに示す一実施態様において、阻止配列(a)にフランクする部位特異的
組換え配列(4)は互いに直列反復配列として方向づけられる。この実施態様に
おいて、それぞれの特異的リコンビナーゼとの相互作用は、2つの反復配列の間
に位置するDNA配列(すなわち阻止配列)の欠失を起こし、それによってプロ
モーター(2)は関心とするDNA配列(6)に操作可能に結合する。
【0036】 或いは、プロモーター(2)と関心とするDNA配列との間に位置する配列に
フランクする部位特異的組換え配列(4)は図1Bに示すように互いに逆方向反
復配列として方向づけられる。この実施態様では関心とするDNA配列(6)お
よびプロモーター(2)は最初は互いに操作可能に結合せず、セグメント"b"に
含まれるDNA配列は発現しない。しかし適切な特異的リコンビナーゼ活性が導
入されると、2つの反復配列の間にあるDNA配列が逆方向になり、こうしてプ
ロモーター(2)を関心とするDNA配列(6)に操作可能に結合させる。例え
ばメインテナー系(図1BのDNA構成物を有する)とインデューサー系(図1
DのDNA構成物を有する)との交雑によって生成したハイブリッド中のリコン
ビナーゼ活性はセグメント"b"を逆方向にし、それによってプロモーター(2)
と関心とするDNA配列(6)とを操作可能に結合させ、関心とするDNA配列
(6)を発現させる。
【0037】 或いは、部位特異的組換え配列(4)の逆方向反復の間に位置するDNA配列
は、関心とする遺伝子/DNA配列のコーディング配列の逆方向領域を、プロモ
ーター領域と共に、またはプロモーター領域なしで、含むことができる。例えば
、逆方向反復配列は上記遺伝子の分離したイントロンに位置し、その介在エクソ
ンはその他の遺伝子エクソンに対して逆転しているかも知れない。
【0038】 本発明の阻止配列は、上記遺伝子の転写または翻訳を阻止するDNA配列を含
む。好ましい一実施態様において上記阻止配列は、プロモーターを所望遺伝子の
コーディング配列から物理的に分離するDNA介在配列を含む。一実施態様にお
いて、上記介在配列は、対応するメッセンジャーRNAの翻訳を阻止する停止コ
ドンを1つ以上含む。或いは、上記阻止配列は、上記遺伝子の転写を抑制する" サイレンサー"因子であってもよい。これらの実施態様によると、上記阻止配列 には1対の直列反復−部位特異的組換え配列がフランクし、部位特異的リコンビ
ナーゼ活性の導入が上記阻止配列を切除し、上記遺伝子を発現させるようにする
【0039】 当業者に公知の標準的繁殖または形質転換技術を用いて、リコンビナーゼ活性
を植物細胞に導入し、阻止配列を切除または逆転させ、それによって上記プロモ
ーターを上記遺伝子に操作可能に結合させる。部位特異的組換え標的配列は阻止
配列の末端に結合しなければならないとはいえ、上記部位特異的リコンビナーゼ
をコードする遺伝子はどこに位置してもよい。例えば、上記リコンビナーゼ遺伝
子は既にその植物のDNAに存在していてもよいし(誘導性プロモーターのコン
トロール下で)、または直接細胞に挿入されるかまたは交雑受粉を介して挿入さ
れるDNAフラグメントによって後から供給してもよい。好ましい実施態様にお
いては、第二のトランスジェニック植物(インデューサー植物系)を用いて、交
雑受精によってリコンビナーゼ活性をメインテナー植物系に導入する。インデュ
ーサー植物系は、構造性プロモーターのコントロール下で部位特異的リコンビナ
ーゼ遺伝子を含む多機能DNA配列を含む。上記インデューサー植物の多機能D
NA配列はその他に選択マーカー遺伝子または可視マーカー遺伝子を含むことが
できる。インデューサー植物系とメインテナー植物系との交雑は、所望タンパク
質産物を発現するF1子孫を作り出す。
【0040】 本発明の好ましい一実施態様において、親系A、好ましくは高度な純系または
変種の細胞を、プロモーター(2)、阻止配列(a)、および関心とするDNA
配列(6)を含む第一の多機能DNA配列で形質転換する。図1Aを参照された
い。阻止配列(a)には一対の直列反復−部位特異的組換え配列(4)がフラン
クする。関心とするDNA配列(6)は、リコンビナーゼ活性が細胞内に導入さ
れ、阻止配列(a)が除去されると発現する。阻止配列(a)が除去されるとプ
ロモーター(2)が関心とするDNA配列(6)に操作可能に結合し、遺伝子の
発現を誘発する。好ましい実施態様において、多機能DNA配列はさらに可視マ
ーカー遺伝子または選択マーカー遺伝子を含み、一実施態様では(図1C参照)
、阻止配列がさらに、可視マーカー遺伝子または選択マーカー遺伝子(8)をコ
ードするDNA配列を含む。また別の実施態様では、選択マーカー遺伝子(8)
は阻止配列領域(a)の外側に位置する。またはそれは分離したプラスミド上に
位置してもよく、多機能DNA配列と共に同時形質転換される。
【0041】 トランスフォームド細胞を選択マーカー遺伝子を使用して(または可視マーカ
ーの使用によって)選択し、完全無傷の第一多機能DNA配列の存在をDNA分
析によって証明できることが確認される。受精能力のある植物が上記トランスフ
ォームド植物細胞から再生し、再生植物の子孫(本発明においてはA(T)系と
命名される)を維持し、繁殖させる。
【0042】 A(T)およびその後の世代において、自家受粉したりまたは非インデューサ
ー植物系と交雑した場合、介在DNA配列(阻止配列"a"、図1Aを参照)が関
心とするDNA配列の発現を阻止する。植物A(T)は、A(T)がインデュー
サー系"B(T)"と交雑する時まで、正常な植物および種子生育を示す。
【0043】 親系Bの細胞を部位特異的リコンビナーゼをコードする遺伝子を含む多機能D
NA配列(12)で形質転換し(図1D参照)、インデューサー系B(T)を生
成する。例えば親系Bは高度な純系でもよいし、メインテナー系Aと交雑した際
に雑種強勢を示す変種であってもよい。トランスフォームド細胞を選択マーカー
遺伝子の使用によって(または可視マーカーの使用によって)選択し、さらにD
NA分析によって、完全無傷第一多機能DNA配列の存在が証明できることが確
認される。受精能力のある植物をトランスフォームド植物細胞から再生し、再生
した植物の子孫(本発明ではB(T)系と命名される)を維持し、増殖させる。 もう一つの実施態様において、メインテナー系A(T)を雌とし、雄として
のインデューサー系B(T)と交雑し、A(T)×B(T)のF1種子を植え、
成熟するまで生長させる。本発明の好ましい実施態様において、A(T)を機械
的手段によって、または熟練せる当業者には公知の植物雄性不稔系を用いて雄性
不稔化し、F1種子を生成した。
【0044】 一実施態様により、メインテナー系A(T)を、細胞質遺伝子−雄性不稔系を
用いて雄性不稔化する。この実施態様において、雄性不稔A(T)系は細胞質雄
性不稔系に少なくとも6回戻し交雑を行い、それによって雄性不稔変種、A(T
)cmsを作成する。雄性稔性A(T)系を雄として用いてA(T)cms系を
維持する。好ましい一実施態様において、A(T)cmsをB(T)と交雑し、
ハイブリッド植物を作成する。この場合B(T)は受精回復遺伝子(不稔細胞質
中にこれが存在すると雄性稔性は回復する)を含む。
【0045】 もう一つの実施態様において、メインテナー系A(T)をトランスジェニック
ハイブリッド生産系によって雄性不稔化する。この実施態様において、図1Gに
示す阻止配列(a)は、構造的に発現する殺草剤耐性遺伝子などの選択マーカー
遺伝子(8)および葯(anther)特異的プロモーターに操作可能に結合す
る自殺遺伝子(16)(自殺遺伝子産物の発現は花粉粒の発育を阻止する)をコ
ードするDNA配列を含む。別の方法として、可視マーカー遺伝子を選択マーカ
ー遺伝子の代わりに用いることができる。この雄性不稔系を含む親系A(T)の
再生植物[A(T)tms植物]をトランスフォームドまたは非トランスフォー
ムドA植物によって同胞受粉(sib−pollinated)させる。この交
配から生ずる子孫の半分は雄性稔性で、殺草剤感受性であり、半分は雄性不稔で
、殺草剤耐性である。このような交配からの子孫を殺草剤で処理し、雄性稔性植
物を破壊する。
【0046】 耐性、雄性不稔植物を再びA植物によって同胞受粉する。このプロセスを反復
してA(T)tms系を維持し、その系統を商業的用途に必要な量だけ生産する
。A(T)tms×A植物をハイブリッド種子生産地で殺草剤で処理し、B(T
)植物によって受精する。B(T)からのリコンビナーゼ遺伝子はA(T)tm
s×B(T)植物の交雑受精から生成した接合子およびA(T)tms×B(T
)F1植物の生育中の全ての細胞においては活性である。上記リコンビナーゼは
選択マーカー遺伝子(8)および自殺遺伝子(16)を含む阻止配列(a)を切
除し、それによって雄性稔性を回復し、プロモーター(2)は関心とするDNA
(6)と操作可能に結合する。図1Gを参照されたい。こうして関心とするDN
A配列(6)はプロモーター(2)のコントロール下で、生育中のF1粒に発現
する。生育中のF1植物における関心とするDNA配列の発現は上記遺伝子プロ
モーターの選択性に依存する。もしも上記プロモーターが構造性プロモーターで
あるならば、関心とするDNA配列はF1粒(接合子)に発現する。もしもプロ
モーターが組織特異的または生育調節プロモーターであるならば、発現はさらに
調節されるかも知れない。例えば、もしプロモーターが種子特異的プロモーター
であるならば、遺伝子産物はF2種子が作り出されるまで発現しない。
【0047】 そのため所望遺伝子産物の発現はメインテナー系では無期限に遅れることがあ
り、例えばメインテナー系とインデューサー系との交雑受精によって、リコンビ
ナーゼ活性が植物に導入されるまで、発現は誘発されない。一実施態様において
は、交雑受精した親系(AおよびB)は同一であり、F1植物(メインテナー系
A(T)とインデューサー系B(T)―すなわちメインテナー系およびインデュ
ーサー系を作成するために必要なDNA構成物で形質転換された親系AとB―を
交雑させることによって生成された)に発現する関心とする遺伝子を用いて、ハ
イブリッド種子の商業的生産のための雌親を生成する。例えば、一実施態様にお
いて、F1植物(A(T)×B(T))は雄性不稔であり、植物系Cと交雑させ
る。その際親系Cは高度な純系であるか、または親系Aと交雑した際に雑種強勢
を示す変種であり、また親系Cは生成したハイブリド植物に稔性を回復すること
ができる。
【0048】 一実施態様において、インデューサー植物は、構造性プロモーターに操作可能
に結合する部位特異的リコンビナーゼ遺伝子をコードするDNA構成物(12)
を含む(図1D参照)。インデューサー植物の上記DNA構成物は可視または選
択マーカー遺伝子も含むことができる。メインテナー植物は関心とするDNA配
列、阻止配列および誘導性または組織特異的プロモーターを含んでなるDNA配
列を含む。ここで上記阻止配列には一対の部位特異的リコンビナーゼ配列がフラ
ンクし、上記阻止配列はプロモーターと関心とするDNA配列との間に位置する
(図1A参照)。インデューサー植物のDNA構成物は可視または選択マーカー
遺伝子も含むことができる。一実施態様において、可視または選択マーカー遺伝
子は上記の一対の部位特異的リコンビナーゼ配列の間に位置する。インデューサ
ーおよびメインテナー系の交雑受精で、上記リコンビナーゼ遺伝子はA(T)×
B(T)F1植物の接合子に発現し、阻止配列は除去される。阻止配列が除去さ
れると、関心とするDNA配列が上記誘導性または組織特異的プロモーターに操
作可能に結合し、インデューサーとの接触で、または組織特異的方法で、遺伝子
産物がF1植物に発現する。
【0049】 好ましい一実施態様において、インデューサー植物系は図1DのDNA構成物
を含み、メインテナー植物系は図1Aまたは1CのDNA構成物を含む。この場
合関心とするDNA配列(6)を発現するために用いるプロモーター(2)は、
その関連遺伝子産物を植物の種子にのみ発現する種子特異的プロモーターである
。例えば、本発明による一つの種子特異的プロモーターは、その操作可能結合遺
伝子を種子の内胚乳にのみ発現するプロモーターである。この実施態様によると
、インデューサー系とメインテナー系との交雑受精後、阻止配列は除去されるが
、関心とするDNA配列は生育中のF1粒にのみ発現する。こうして関心とする
DNA配列(6)は種子産生の最後の世代にのみ、すなわち商業的種子生産段階
中にのみ活性化され、メインテナーおよびインデューサー植物系の繁殖中には活
性化されない。これらの種子をその後標準的収穫法および器具を用いて収穫し、
所望産物をこれら種子から抽出する。この実施態様において、F1種子、すなわ
ちメインテナーおよびインデューサー植物系の交雑直後に生成した種子、は所望
遺伝子を活性型で含む。トランスジェニック植物の多くは繁殖段階中に作り出さ
れるから、種子生育性および発芽のロスは問題の化合物の生産にはほとんど影響
ない。
【0050】 或いは、関心とする遺伝子のプロモーターは、その関連遺伝子産物を植物の葉
にのみ発現する葉特異的プロモーターでもよい(例えば上記遺伝子は穀類または
草の葉片のみに発現する)。この実施態様においては、産物を、F1植物の刈り
取った草等、F1植物の葉から収穫することができる。
【0051】 或いは、インデューサー植物系のリコンビナーゼ遺伝子を組織特異的プロモー
ターまたは誘導性プロモーターに操作可能に結合することができる。この実施態
様において、リコンビナーゼ遺伝子はインデューサーと接触した後のF1子孫に
のみ発現するか、または或る組織にのみ発現する。上記リコンビナーゼ遺伝子を
発現する細胞のみが、インデューサー系とメインテナー系(ここでメインテナー
系は図1Aまたは1CのDNA構成物を含む)との交雑の子孫において、関心と
する遺伝子の発現を活性化する。例えばリコンビナーゼ遺伝子のプロモーターは
種子特異的プロモーターでもよく、したがってこのリコンビナーゼ遺伝子はF1
植物の生育中の種子のみに発現する。リコンビナーゼ活性はメインテナーおよび
インデューサー植物系の交雑の子孫のF1粒に限定され、所望遺伝子産物はF1
粒のみに発現する。F1粒を収穫し、関心とするDNA配列の発現から生成する
産物の抽出、分離、精製の処理、およびその他の処理を行う。
【0052】 分子生物学および植物繁殖の熟練せる当業者は本発明を実施するためのその他
の手段を理解できよう。例えば所望遺伝子をコードする多機能DNA配列にさら
に、ホスト植物の内因性配列に相同性(homology)を与えるDNA配列
を供給することができる。特に、多機能DNA配列は、ホスト植物DNAへの挿
入を標的とする配列にフランクする2つの相同DNA配列(10)を含むことが
できる(図1E参照)。相同DNA領域は、上記フランクド配列を、相同組換え
事象を介して植物細胞のDNAに挿入することを促進し、上記配列の、植物細胞
DNAのあらかじめ決められた特異的標的への挿入を可能にする。一実施態様に
おいて、可視または選択マーカー遺伝子は上記一対の部位特異的リコンビナーゼ
配列の間に位置する。さらに図1Hに示す別の実施態様において、第一の可視ま
たは選択マーカー遺伝子(18)は上記一対の部位特異的リコンビナーゼ配列の
間に位置し、第二の可視または選択マーカー遺伝子(20)は、部位特異的リコ
ンビナーゼ配列(4)がフランクしている領域の外側、かつ相同DNA配列(1
0)がフランクしている領域の内側に位置する。第一および第二の可視または選
択マーカー遺伝子が互いに異なり、そのため図1Hの構成物を含む最初のトラン
スフォームド植物B(T)を確認でき、その後に、阻止配列は除去されたがDN
A構成物の残りの因子は保持している生成ハイブリッド植物A(T)×B(T)
を確認できるのが好ましい。一実施態様において、第一の可視または選択マーカ
ー遺伝子(18)は可視マーカー遺伝子であり、第二の可視または選択マーカー
遺伝子(20)は殺草剤耐性遺伝子等の選択マーカー遺伝子である。
【0053】 本発明のトランスジェニック植物を生産するために用いる多機能DNA配列は
選択マーカー遺伝子(8)またはポリリンカー領域(14)をコードする配列を
含むことができる。図1F参照。ポリリンカーは多数の異なるエンドヌクレアー
ゼ制限部位を近隣に含む短いDNAである。ポリリンカーの存在が好都合である
のは、それが種々の発現カセットの挿入および除去を容易にし、特定のDNAフ
ラグメントを含む構成物の作成プロセスを簡単にすることができるからである。
本発明により、図1A、1B、1E、1Gまたは1Hの構成物の遺伝因子を含む
DNA構成物を作成することができ、その際関心とするDNA配列(6)は図1
Fに示されるポリリンカー領域を含む。
【0054】 上記の形質転換構成物は、より大きい構成物の部分であってもよい。上記のよ
り大きい構成物の追加的配列は、細菌ホストにおいて全DNA分子を複製できる
DNA配列および細菌性選択マーカー(例えばアンピシリンまたはテトラサイク
リン耐性をコードする遺伝子)をコードするDNA配列を含む。このより大きい
構成物、理想的にはプラスミド、を用いて細菌細胞を形質転換することができる
。これらのトランスフォームド細菌細胞をその後培養して多量のプラスミドDN
Aを生産することができる。その後上記特異的形質転換構成物を熟練せる当業者
に公知の方法を用いて分離することができる。
【0055】 図1Aに示すような一実施態様において、真核細胞の形質転換に用いるための
多機能DNA配列はプロモーター(2)、有害だが商業的には貴重な産物をコー
ドする関心とするDNA配列(6)および阻止配列(a)を含み、この阻止配列
には2つの直列反復−部位特異的組換え配列(4)がフランクしている。一実施
態様において、阻止配列は選択マーカー(8)をコードする遺伝子を含む。図1
Cを参照されたい。多機能DNA配列には各末端にヌクレオチド配列がフランク
しており、これらのヌクレオチド配列は形質転換すべき真核細胞に存在するヌク
レオチド配列に相同性を与え、多機能DNA配列のホスト細胞DNAのあらかじ
め決められた座への挿入を標的とする(図1E参照)。
【0056】 本発明のまた別の実施態様において、真核細胞の形質転換に用いる多機能DN
A配列はプロモーター(2)、ポリリンカー領域(14)および阻止配列(a)
を含み、上記阻止配列には2つの直列反復−部位特異的組換え配列(4)がフラ
ンクしている(図1F参照)。好ましい実施態様において、阻止配列はプロモー
ターとポリリンカー領域の間に置かれる。ポリリンカー領域は関心とするDNA
配列の多機能DNA配列への挿入を容易にする。関心とするDNA配列の挿入後
、そのDNA構成物を用いて植物細胞を形質転換し、種々のメインテナー植物系
を生成する。
【0057】 例1 イネおよびトウモロコシでのプラスミドFRT部位間FLP仲介部位特異
的組換え 試料および方法FLP発現ベクタの合成 プラスミド構造体: adhI−S遺伝子を含むトウモロコシゲノムDNAの
6.8kbBamHI−XhoI断片をpBR322のBamHI−SacI部
位に挿入してpBx26を得た。制御ベクタpAeiGUSをgusAコード配
列とnos polyA部位を含むSmaI−EcoRI断片でpBX26(殆
どのadhIコード配列を含む)のPvuII断片を置換して構築した。したが
って、この構造体はgusAコード配列にインフレーム融合したadhI遺伝子
の第1エキソンとイントロンAを持つadhIゲノムクローンからの1.5kb
BamHI−PvuII断片を含むが、gusAコード配列は依然としてそれ自
体の出発コドンを完全な状態で保有する。プラスミドpAHC27はカリフォル
ニア大学バークレー校のピーター博士(Dr. Peter)から供給され、プ
ラスミドpNEOβGALとpOG44はStratagene, LaJol
la, CAから購入した。pUbiGUSはpAHC27のXbaI断片をp
35SGUSのHindIII−BamHI制限部位に連結させることによって
トウモロコシユビキチン遺伝子の5’制御因子をgusAコード配列の前端に連
結させて構築した。pAeiFLPを構築するために、pAeiGUSとpOG
44を共にBglIIおよびSacIで消化した。pOG44からのFLPコー
ド配列を保持する1.5kb断片を溶離したpAeiGUSの4.4kb断片中
に定方向連結させてgusAコード配列を置換した。1.5kbのSacI− ind IIIFLP断片をpOG44から単離してpUbiFLPを得、pGE
M−7Z(−)(Promega, Madison, WI)のそれぞれの部
位にサブクローニングした。得られたプラスミドをSacIおよびSmaIで切
断し、次に1.5kbFLP断片をSacI−SmaI消化pUbiGUSで定
方向連結させてgusA断片をFLP遺伝子で置換した。
【0058】FRTを含むベクタの合成 二つのプライマー (5’−GTGATCAGAAGTTCCTATTCCGAAGTTCCTAT
TCTCTAGAAA−3’(SEQ IDNO:1)と(5’−CTGATC
AGAAGTTCCTATACTTTCTAGA−3’(SEQ IDNO:2
)とをアニール(それぞれ4nmol)し、T4 DNAポリメラーゼ5単位と
0.1ml中のdNTPそれぞれ60nmolとで3時間、11℃でインキュベ
ートして完全な48bpのFRT組換え部位を形成した。プライマー−拡張断片
はそれぞれの末端にBclI制限部位を包含していた。次にT4 DNAキナー
ゼ20単位と1xキナーゼバッファー30μl中のATP16nmolとでイン
キュベートして燐酸基を端末ヌクレオチドに付加した。得られた二重鎖DNA断
片を平滑末端連結し、BclI制限酵素で切断した。次に生成物をpUbiGU
SのBglII部位に定方向連結してpUFRTGを生成した。FRT部位(3
7bp)の最小バージョンを含むpUFRTmGベクタを構築するために、プラ
イマー拡張生成物をpUbiGUSのBglII部位に平滑末端連結した(T4
DNAポリメラーゼを用いてpUbiGUSのBglII部位を埋めた)。最
小FRT配列は二重鎖プラスミドDNAを配列決定して確認された。pU2FR
TGとpU2FRTmGはpNEOBGALの1.3kbXbaI断片をpUF
RTGおよびpUFRTmGにそれぞれ連結して構築した。分子間組換えのため
の検定プラスミドpUbiFRTはpU2FRTmGのEcoRI制限および得
られるプラスミドDNA断片の再結合によって構築された。分子間組換えのため
のその他の基質、pFRTGUSはEcoRIとBamHIとによるpU2FR
TmGの消化、gusAコード配列とFRT部位とを含む断片の単離、得られる
断片をpGEM−7(−)f(Promega, Madison, WI)の
それぞれの部位へ連結することで得られた。
【0059】DNAの分子解析 Perkin−Elmer Cetus DNA熱サイクラーでポリメラーゼ
連鎖反応(PCR)を行なった。試薬とプロトコルをPerkin−Elmer
Cetus GeneAmp PCR Kit(Perkin−Elmer
Cetus, Norwalk, CT)が概説するように用いて増幅を行なっ
た。プライマーの配列はユビキチン遺伝子の第1エキソンにつき5’−CCCC
AACCTCGTG−3’(SEQ ID NO:3)、gusAコード配列の
5’末端につき5’−GGGGTTTCTACAGGACG−3’(SEQ I
D NO:4)であった。PCR反応は鋳型DNA5μl、プライマー溶液5μ
l(それぞれ50nmol)、10xPCRバッファーII(22)5μl、d
NTP混合物2.0μl(それぞれのヌクレオチドにつき最終濃度200μM)
、最終容積50μl中のTaqポリメラーゼ0.25μl(2.5単位/100
μl)を含有した。変性、アニーリング、拡張ステップはそれぞれ94℃で1分
間、45℃で1分、72℃で2分行なった。拡張ステップを各サイクルにつき1
5秒増やした。1.0%アガロースゲル電気泳動を用いて増幅生成物それぞれの
5マイクロリットルを解析した。
【0060】 Hybond−N膜(Amersham, Arlington Heigh
ts, IL)への毛管転移を用いてPCR増幅DNAを含むアガロースゲルの
サザンブロットを行なった。UV照射を用いてDNAを膜に固定し、プレハイブ
リッド形成溶液(5xSSPE、5xDenhardt溶液、0.5%SDS)
中65℃で4時間インキュベートした。製作者(Amersham, Arli
ngton Heights, IL)の指導書にしたがってMultipri
mer DNA標識システムを用いて放射性プローブ(pUbiGUSから単離
したα32P−標識SmaI−BglII断片)を調製した。プローブは完全な
ユビキチンイントロンと第1エキソンの一部を含有した。ブロットを一晩プレハ
イブリッド形成溶液中65℃でハイブリッドし、引き続き標準操作にしたがって
処理した。
【0061】 Sequenase Version 2.0(United States Biochemical Cleveland, OH)を用いる修正ジデオ
キシ法でFRT部位のヌクレオチド配列を決定した。CsCl純化pUFRTG
およびpU2FRTmGプラスミドDNAを鋳型DNAとして用いた。使用した
プライマーはPCRに用いたプライマーと同じであり、ユビキチン遺伝子第1エ
キソンの5’末端にアニールした。
【0062】 形質転換の手順 トウモロコシ(Zea mays L.)の細胞懸濁培養をA188xBMS
タイプIIカラスから開始して維持した〔カモ(Kamo)ら、1987, lanta172, 245−251〕。プロトプラスト単離の7日前に懸
濁培養の2ml細胞充填容積(PCV)を37mlのMS培地〔ムラシゲ(Mu
rashige)ら、1962, Physiol Plant15, 4
73−497〕に移し、3.5mg/lの2,4−Dを補足した。
【0063】 懸濁細胞の約5ml PCVをマニトール0.2M、チアミン0.5mg/l
、2,4−D 2mg/l、CaCl・2H2O 80mM、セルラーゼ2%
、ペクチナーゼ0.25%、ペクトリアーゼY−23 0.1%を含むMS培地
20ml中、pH6.0で3時間消化した。48μmナイロンメッシュスクリー
ンを通してプロトプラストを濾過し、50xgで15分遠心してペレットとした
。プロトプラスト培地(9%フィコール400を含み、形質転換培地(TM)4
mlを被せたPCM)8ml中にペレットを懸濁させた。形質転換培地はMES
バッファー100mM、pH5.5、0.2Mマニトールおよび80mMのCa
Cl・HOで構成した。75xgで10分間遠心分離した後にプロトプラス
トのバンドを間期から収集し、TMで濃度を1.0x10プロトプラスト/m
lに調整した。
【0064】 プラスミドDNAの20〜25μl(1.0mg/ml)に続きプロトプラス
ト0.5mlと50%PEG(ポリエチレングリコール、MW=8000;ファ
ルコン液に溶解)をピペットで採り12mlのファルコンポリスチレンチューブ
の中でプロトプラスト形質転換を行なった。プロトプラストを室温で20分イン
キュベートした。インキュベートの後、PCMに2mlの固化した0.8%低融
点アガロースを含む12ウェルマイクロ培養皿にプロトプラスト溶液330μl
を移した。次にプレートをパラフィルム(Parafilm)で包み、25℃で
約24時間暗所インキュベートした。
【0065】 GUS活性およびタンパク質の決定 24時間のインキュベーションに後に、プロトプラストを収集して0.1%ト
リトンX−100を含むGUS抽出バッファー300μlに再懸濁させた。16
,000xgで5分遠心分離した後に、96ウェルプレート内37℃で25μl
のプロトプラスト抽出物をGUS抽出バッファー中のMUG(4−メチル・ウン
ベリフェリルβ−D−グルクロン酸塩)150μlでインキュベートした。種々
異なる時間で125μlのGUS停止バッファー(0.2M CaCO)を添
加して反応を停止させた。メチルウンベリフェロン標準で校正したPerkin
Elmer蛍光スペクトルメータLS50Bで蛍光(励起362λ、発光45
5λ)を測定した。時間点から生じたラインの勾配からGUS活性を計算し、ブ
ラッドフォードの方法(Bradford, 1976, Anal. Bio chem72, 248−254)で決定したタンパク質含量に規格化した
【0066】 結果 この研究に用いたFLP/FRT部位特異的組換え系は二つの因子、FLP酵
素に関するプラスミドDNAコード化およびFRT組換え部位を含む検定プラス
ミドから構成される。
【0067】 標的FRTヌクレオチド配列はそれぞれが13bpの三つの再生されたDNA
配列、定方向配向の二つの反復と他の二つに対し逆方向の一つの反復とから成る
。さらに、FRT組換え部位の配向を決定する反復と組換え事象を開始する配列
対合部位の役割をする反復の間に8bpのスペーサ領域が存在する。FLPリコ
ンビナーゼは三つの反復全てに結合し、二つのFRT部位のスペーサ領域内でD
NA配列をアニールし、スペーサ境界で部位を切断し、DNA鎖を交換する。組
換え部位の配向に依存して、FRTの間のDNA断片は逆方向になるか切除され
る。さらに、FLPリコンビナーゼは離れたDNA分子に位置した標的FRT部
位で作用する。これらの分子間組換えは微生物およびマウスのゲノムにおける外
来DNAのFRT部位への組込に繋がる。
【0068】 図2および3は植物プロトプラストにおける酵母FLP/FRT系の活性研究
に用いたFLP発現ベクタの線図と方策を示す。より詳細には、図2はFLPタ
ンパク質で触媒されたDNA切除反応を検定するための組換え系の構成要素を示
す。FLP酵素はpAeiFLPまたはpUbiFLPのいずれかによって産生
される。図3は始原adhIクローン(SEQ ID NO:5)のスプライシ
ング部位の配列およびクローン化FLPコード配列とadhI(SEQ ID
NO:6)またはユビキチントウモロコシ(SEQ ID NO:7)プロモー
タとの間の結合部位の配列を示す。太線はpUbiFLPベクタにおけるFLP
タンパク質合成のadhI遺伝子のオープンリーディングフレームまたは翻訳開
始コドンを示す。トウモロコシユビキチン遺伝子の第1エキソンはadhI第1
エキソンと対照的に翻訳されないことに留意されたい。
【0069】 図4AはFRT部位含有ベクタの構造を示す。単点完全部位(SEQ ID
NO:8)または部分的FRT部位(SEQ ID NO:9)をユビキチン第
1エキソンのBglII部位に連結した。星印はFLP結合部位を示す。矢印は
13bp逆方向反復を示す。ベクタpUFRTmGは一つの13bp反復と短い
11bp逆方向反復だけを含有した。このFRT部位は5個の追加FLPタンパ
ク質結合部位を欠失していた。FRTベクタのXbaI部位にpNEOβGAL
XbaI断片を挿入して第2のFRT部位を付与してGUS発現の不活性化を
導いた。
【0070】 FLPベクタから発現したFLPリコンビナーゼはFRT標的部内で検定プラ
スミドDNAを組換えてGUM酵素の発現を回復するはずである。FLP遺伝子
の発現はpAeiFLPのトウモロコシadhIプロモータおよびpUbiFL
Pのトウモロコシユビキチンによって推進された(図3)。両構造体共にそれぞ
れの遺伝子の第1エキソンとイントロンを含んでいた。pAeiFLPの構造体
では、第1イントロンはBglII部位でpOG44からの合成イントロンの8
1bpに融合した第1adhIイントロンの290bpを含んでいた。両プロモ
ータはトウモロコシプロトプラストの過渡GUS発現アッセイで決定されたよう
に極めて効果的であることが証明されたが、ユビキチンプロモータがより優れて
いた。
【0071】 FLT配列の挿入にpUbiGUSユビキチンプロモータの第1エキソンの gl II部位を選び、引き続きその他の適切な挿入部位を初期スクリーニングし
た。二つの異なるFRT部位、一つはFRTmと呼ぶ最小37bpFRT、他の
一つはFRTと呼ぶ完全な48bpFRT部位をBglII部位に連結した(図
4A)。FRTm部位は5個の付加的FRPタンパク質結合部位を含む第3の反
復を欠失するが、類似なFRTの欠失(一つの反復とFLPタンパク質結合部位
の欠損)は野生型FRT部位と同じように効果的であることがインビトロで判明
した。興味あることに、pUbiGUSにFRTm部位を挿入するとGUS酵素
の発現が増加する結果になった。FRT部位全長を挿入するとGUS発現は減少
した。
【0072】 pNEOβGALのXbaI断片をpUFRTGの単点XbaI部位に挿入し
て検定プラスミドの分子間組換えのための第2のFRT部位を創作した。pNE
OβGAL断片の挿入が補足配列を付与して付加的FRT部位とユビキチンプロ
モータをgusAコード配列から分離する1.31kbのスペーサDNAを形成
した(図4B)。その結果、pU2FRTGで形質転換されたトウモロコシプロ
トプラストにおけるGUS活性は顕著に減少した。pNEOβGALの連結され
XbaI断片の逆方向配位もGUS発現を不活性化するが、機能性FRT部位
を形成することはない。図4Bに示したpU2FRTmGrevとpU2FRT
Grevベクタを用いて、FLPタンパク質によるGUS発現の活性化を得るた
めには完全な機能性FRT部位が必用であることが実証された。
【0073】 PAeiFLPとpU2FRTmGで共形質転換したトウモロコシプロトプラ
ストにおける過渡GUS活性はpU2FRTmGだけで形質転換したプロトプラ
ストにおける活性よりも高かった。復元したGUS発現は制御pUFRTmGで
のプロトプラスト形質転換の後に観察された発現のほぼ10%であった。pAe
iFLPで形質転換したトウモロコシプロトプラストのGUS発現はバックグラ
ンドGUS活性と同じであった。このように、FLP/FRT組換え系はトウモ
ロコシプロトプラストで機能すると思われた。このことは増加量のpAeiFL
P DNAで共形質転換したトウモロコシプロトプラストにおけるGUS活性の
増加によってさらに実証された。これはGUS発現が存在するFLP酵素量に依
存するだけでなく、FLPタンパク質の量が組換えプロセスにおける限定因子で
あるかもしれないことを示す。検定プラスミドと共にpUbiFLPをトウモロ
コシプラスミドに導入すると、pU2FRTmGとpU2FRTGの両方のGU
S活性はそれぞれの制御処理の81%および45%に回復した。両FRTを含む
ベクタとpUbiFLPとの存在下におけるGUSの再活性化はFLPタンパク
質が1.31kb断片の切除を触媒することを示した。FRTを1.31kb断
片の逆方向連結(pU2FRTmGrevおよびpU2FRTGrevで変異さ
せると、GUS活性は回復しなかった。この事実はこれらのFRT部位がFLP
タンパク質によって認識されないことを示唆する。
【0074】 FRT部位での分子間組換えを観察するために、ユビキチンプロモータまたは
gusAコード配列をpUFRTmGから除去してpUbiFRTおよびpFR
TGUSをそれぞれ生成した。二つの異なるFRT部位を二つの離れたDNA分
子上(pUbiFRTおよびpFRTGUS)でプロトプラストに導入すると、
GUS活性はpFRTGUS単独で形質転換したプロトプラストにおけるバック
グランド活性の約4倍に増加した。この活性は正の制御(pUFRTmGで形質
転換したプロトプラスト)の15%であった。このpFRTGUS形質転換プロ
トプラストにおける比較的高いGUSのバックグランド発現(6±1単位)は第
1イントロンの全部とユビキチン第1エキソンの一部がこのベクタに存在する結
果であると思われる。
【0075】 FLP/FRT組換え系をイネプロトプラストで検定した。DNAのリコンビ
ナーゼ仲介切除はイネにおいてトウモロコシプロトプラストにおけるのと同じよ
うに効果的であることが証明された。同じ応答パターンが異なる含FRTプラス
ミド構造体につき観察された。イネプロトプラストのpUbiFLPとpU2F
RTmGまたはpUbiFLPとpU2FRTGのいずれかとの共形質転換は制
御GUS活性の75%および31%の回復を与えた。不活性FRT部位を含むベ
クタは制御GUS活性の1〜2%の回復を示しただけであった。
【0076】 共形質転換トウモロコシプロトプラストから単離した全DNAのPCR解析は
組換えプラスミドDNA分子が存在することを示した。この解析に用いた二つの
プライマーはユビキチン転写開始とgusAコード配列の5’末端との間の領域
を増幅した。この領域の長さはpU2FRTmGとpU2FRTGにおいて2.
49kbであった。組換え反応の結果として1.31kb断片が除去された後に
、増幅された領域は1.18kbに減少し、pUFRTG DNAの増幅生成物
に等しい筈である。pU2FRTmGとpUbiFLPで共形質転換したトウモ
ロコシプロトプラストから単離した全DNAを鋳型として用いて、PCR反応生
成物中に1.28kb断片を同定した。この断片の素性はユビキチン遺伝子の第
1イントロンに特異的なプローブを用いるはハイブリッド形成を介して確認され
た。
【0077】 考察 ここに示した結果は酵母のFLPリコンビナーゼがトウモロコシおよびイネ両
細胞におけるFRT部位の間で部位特異的組換えを促進することを示す。この結
論は次の根拠に基づくものである。組換え検定ベクタからのGUS酵素の過渡的
発現は機能性FLP発現ベクタで共形質転換したプロトプラストにおいて増加し
、この増加の大きさはFLP遺伝子を含む共形質転換プラスミドDNAの量に依
存していた。さらに、強いプロモータをFLPタンパク質の発現の推進に用いた
場合に、共形質転換プロトプラストにおけるGUSタンパク質の発現が高かった
。GUS発現の増加は検定ベクタのFRT部位が変異すると消滅した。最後に、
部位特異的組換え反応の生成物が共形質転換プロトプラスト中に同定された。
【0078】 例2 切除組換え 二つのFRT部位の間に位置する独特なBamHI制限部位を持つ1.3kb
DNA断片を含むpU2FRTGUS DNA構造体を一連の切除組換え実験に
用いた。BamHI制限部位は付加的DNA配列の挿入に関し二つのFRT間の
距離を増加することを可能にする。過渡GUS発現アッセイを用いて二つのFR
T部位間の距離を基準にした切除反応の効率を評価する。
【0079】 二つの異なる方法、すなわち再形質転換とリコンビナーゼ遺伝子の制御された
切除を用いて組み込まれた外部遺伝子の切除におけるFLPリコンビナーゼの効
率を評価することができる。
【0080】 再形質転換 最初の方法では、neo遺伝子をgusA遺伝子のプロモータ領域に挿入(p
UFRTNeoFRTGus)することで不活性化したgusA遺伝子を含むD
NA構造体でトウモロコシプロトプラストを形質転換した。neo遺伝子は二つ
の定方向反復部位の間に位置して発現した(図5)。
【0081】 カナマイシンを含む倍地上で形質転換プロトプラストを選択するとneo+g
us−表現型の形質転換カラスが得られる。これらのカラス(calli)は新
しい懸濁培養を確立ための初期物質として働く。この懸濁培養から単離し、pU
biFLP DNA構造体で再形質転換したプロトプラストはneo遺伝子を切
除してgus−表現型を生成し、過渡アッセイで検出することができる。これら
の比較的簡単な実験で植物細胞におけるFLPタンパク質で触媒された切除反応
の存在に関する情報が得られる。
【0082】 FLP遺伝子の制御された発現 第二のアプローチでは、FLP遺伝子の発現を制御して再形質転換ステップが
FLPリコンビナーゼ活性の制御に優先して除去されるように切除を実現する。
トウモロコシプロトプラストを大豆熱ショック誘導プロモータの制御下でpUF
RTNeoFRTGusプラスミドDNAおよびFLP遺伝子を含むプラスミド
構造体で再形質転換する。トウモロコシプロトプラストと細胞における大豆Gm
hsp17.5−E遺伝子プロモータの活性に関する研究で、このプロモータが
熱ショック処理への応答性能に優れていることが示された。バックグランド活性
は24℃で低くかったが、42℃で0.5〜1時間の熱ショックの後に数倍の活
性増加が観察された。この熱ショックプロモータの制御下でFLP遺伝子を含む
DNA構造体(pHSFLP)を生成し、過渡アッセイで部位特異的組換えを検
定した(表1)。
【0083】
【表1】 表1:
【0084】 室温で残存するFLP活性が高すぎる可能性がまだ残っていて、これが結局熱
ショック処理前の切除反応に繋がる。低温での形質転換プロトプラストおよび細
胞の成長など形質転換操作の変更を必要に応じて行なう。
【0085】 カナマイシンを含む倍地上で安定な形質転換カラスが選択されると、熱ショッ
ク処理がFLP遺伝子を活性化してneo遺伝子の切除とgusA遺伝子の活性
化を導く。三種類の異なる表原型neo+gus−,neo+gus+,neo
−gus+が生じる。組み込まれたプラスミド分子の複写数の関連におけるこれ
ら表現型の相対的頻度が切除反応の効率の推定を与える。
【0086】 例3 次の遺伝子配列1.及び2.、即ち、 1.CaMV35Sプロモータ,FRT,neo−耐性遺伝子,FRT,gus
A;第1多機能性DNA配列、及び、 2.CaMV35Sプロモータ, neo−耐性遺伝子, CaMV35Sプロ
モータFLP;第2多機能性DNA配列、 を持つ二重ベクタを含むアグロバクテリア菌ツメファシエンス(Agrobac
terium tumefaciens)でシロイヌナズナ・タリアナ(Ara
bidopsis thaliana)植物を形質転換した。
【0087】 構造体1または2を含むアグロバクテリア菌で植物を形質転換した。カナマイ
シン上で種子を成長させ想定される形質転換細胞を選択した。植物を自己受粉さ
せ種子を再度カナマイシン上で成長させて想定形質転換細胞を選択した。このサ
イクルをT3世代まで繰り返してカナマイシン耐性分離に基づきホモ接合性ライ
ンを得た。サザンブロットで植物が形質転換されていることを確認した。構造体
1のホモ接合性植物は、阻止neo−耐性遺伝子(停止コドンを持つ)とgus
A遺伝子が自身のプロモータを持っていないために、gusA遺伝子を発現しな
かった。構造体2のホモ接合性植物はgusAを発現しなかった。これはその遺
伝子を含有しないからである。構造体1のホモ接合性植物の花序から花粉を取り
除き、構造体2のホモ接合体植物の花序からの花粉で受粉させて植物を他家受精
させた。後代の96植物をGUSに関し解析したところすべてがGUSを発現(
両親はGUS活性につき陰性)し、阻止neo−耐性遺伝子のFLP触媒化切除
がCaMV35SプロモータをgusA遺伝子の近位に位置決めしてgusA遺
伝子を発現させることが確認された。したがって、gusAはFLPリコンビナ
ーゼによる阻止DNA断片の切除で活性化されるT4世代までサイレント遺伝子
であった。
【0088】 例4 イネ(Oryza sativa)植物を成熟種子から得たカラスのアグロバ
クテリア菌ツメファシエンス仲介処理を用いて形質転換した。形質転換植物は次
の遺伝子配列を含有した。
【0089】 1.CaMV35Sプロモータ,LOX,ハイグロマイシン−耐性遺伝子,LO
X,プロモータ欠失gusA 2.CaMV35Sプロモータ,LOX, bar遺伝子, LOX,プロモー
タ欠失gusA 3.CaMV35S,Cre,ユビキチンプロモータ,bar遺伝子 4.CaMV35S,Cre,ユビキチンプロモータ, ハイグロマイシン−耐
性遺伝子 配列1〜4の一つにつき半接合性でGUS活性を発現しなかったT0植物を構
造体1または2を含む雌性と構造体3または4を含む雄性、或いはその逆の組合
せで交雑させた。後代種子を採って種を蒔いた。後代を抗生物質ハイグロマイシ
ンまたは除草剤Bastaの存在下でスクリーニングし、GUS活性の存在につ
き後代を分析した。両親がlox部位を含む構造体またはCre遺伝子を含む構
造体につき半接合体であったために、後代植物に存在するこれら構造体の期待頻
度は、単遺伝子として存在し発現していれば、四つに一つすなわち25%であっ
た。換言すれば、後代の25%だけが阻止DNA(ハイグロマイシン耐性遺伝子
をコード化する)を切除するリコンビナーゼの可能性を有し、これがCaMV3
5SプロモータをしてgusAの発現を推進させる。表2は分析した75植物中
19(25.3%)がGUSを発現したことを示す。サザンブロット解析でGU
S発現後代植物におけるLOX部位間の阻止DNA片の除去が確認された。
【0090】
【表2】 表2: 後代におけるGUS活性に基づき阻止DNAのCre誘導切除を試験す
るために交雑させたイネ植物(Taipei 309)および得られたgusA
転写/翻訳
【0091】 次の遺伝子配列を含む二重ベクタを持つ未成熟胚のアグロバクテリア菌ツメフ
ァシエンス仲介処理でイネ植物を形質転換した。
【0092】 5.ユビキチンプロモータ,FRT,ネオマイシンホスホトランスファーゼ−耐
性遺伝子,FRTm,プロモータ欠失gusA,ユビキチンプロモータ,ハイグ
ロマイシン−耐性遺伝子, 6.ユビキチンプロモータ,FRT,ネオマイシンホスホトランスファーゼ−耐
性遺伝子,FRTm,プロモータ欠失gusA,ユビキチンプロモータ,bar
遺伝子, 7.ユビキチンプロモータ,FLP,CaMV35Sプロモータ,ハイグロマイ
シン−耐性遺伝子, 8.ユビキチンプロモータ,FLP,CaMV35Sプロモータ,bar遺伝子
配列5〜8の一つにつき半接合性でGUS活性を発現しなかったT0植物を構
造体5または6を含む雌性と構造体7または8を含む雄性、或いはその逆の組合
せで交雑させた。後代種子を採って種を蒔いた。後代を抗生物質ハイグロマイシ
ンまたは除草剤Bastaの存在下でスクリーニングし、GUS活性の存在につ
き後代を分析した。両親がFRT部位を含む構造体またはFLP遺伝子を含む構
造体につき半接合性であったために、後代植物に存在するこれら構造体の期待頻
度は、単遺伝子として存在し発現していれば、四つに一つすなわち25%であっ
た。換言すれば、後代の25%だけが阻止DNA(ネオマイシンホスホトランス
フェラーゼ−耐性遺伝子をコード化する)を切除するリコンビナーゼの可能性を
有し、これがユビキチンプロモータをしてgusAの発現を推進させる。ハイグ
ロマイシンまたはPPTのいずれかに関する予備スクリーニングまたは選択の後
に、後代の50%はGUS活性を示すはずであり、表3は分析した31植物中1
9がGUSを発現したことを示す。サザンブロット解析でGUS発現後代植物に
おけるFRT部位間の阻止DNA片の除去が確認された。
【0093】 表3:阻止DNAのFLP仲介切除を試験するためにFLP包含植物で交雑さ
せたFRT部位を含むイネ植物(Taipei 309)および後代植物におけ
る得られたGUS活性を示す。Hyb:ハイグロマイシン、PPT:除草剤BA
STA活性成分。FLPおよびFRT包含植物は半接合体、したがって後代の2
5%だけがこれらの形質転換構造体を持つ機会を持つと思われる。GUS発現は
ハイグロマイシンまたはPPT選択後の後代の50%に発生するはずである。試
料サイズが不十分なため統計的解析は行なわなかった。
【0094】
【表3】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(A〜H)は、本発明によるDNA構成物の略図である。
【図2】 図2は、植物プロトプラストにおける酵母FLP/FRT系の活性
の研究に用いられるFLP発現ベクターの図である。
【図3】 図3は、植物プロトプラストにおける酵母FLP/FRT系の活性
の研究に用いられるFLP発現ベクターの図である。
【図4】 図4(A及びB)は、FRT部位含有ベクターの構造を説明する図
である。
【図5】 図5は切除組換えを試験するベクターの図である。
【手続補正書】
【提出日】平成12年3月14日(2000.3.14)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項16
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項17
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項18
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項19
【補正方法】変更
【補正内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ホッジズ,トーマス,ケー. アメリカ合衆国・インディアナ州 47906・ウェスト ラファイエット・ウェ スト 75 エヌ. 6038 (72)発明者 リズニック,レスゼック,エー. アメリカ合衆国・アイオワ州 50131・ジ ョンストン・シックスティセカンド アヴ ェニュー エヌ.ダブリュウ. 5960 Fターム(参考) 2B030 AA02 AB03 AD08 CA06 CA07 CA17 CA19 CD03 CD06 CD09 CD12 CD13 CG01 4B024 AA08 DA01 EA04 FA02 GA11 GA17 HA01 4B065 AA89X AA89Y AB01 BA02 CA27 CA53

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロモータ、阻止配列および構造遺伝子からなる植物発現ベ
    クタであって、前記阻止配列が一対の定方向反復したFRT組換え配列で側面配
    置されていて、前記構造遺伝子が前記阻止配列の除去後においてのみ前記プロモ
    ータに操作的に連結できるようになる、プロモータ、阻止配列および構造遺伝子
    からなる植物発現ベクタ。
  2. 【請求項2】 前記構造遺伝子が正常な細胞機能を破壊する生成物をコード
    化する請求項1記載の発現ベクタ。
  3. 【請求項3】 真核選択性マーカーをコード化する遺伝子をさらに有する請
    求項1記載の発現ベクタ。
  4. 【請求項4】 前記真核選択性マーカー遺伝子が前記の一対の定方向反復し
    た部位特異的組換え配列によって側面配置されている請求項3記載の発現ベクタ
  5. 【請求項5】 プロモータ、阻止配列およびポリリンカー領域からなる植物
    発現ベクタであって、前記阻止配列が一対の定方向反復した部位特異的組換え配
    列で側面配置されていて、かつ前記プロモータと前記ポリリンカー領域の間に位
    置している、プロモータ、阻止配列およびポリリンカー領域からなる植物発現ベ
    クタ。
  6. 【請求項6】 真核選択性マーカーをコード化する遺伝子をさらに有する請
    求項5記載の発現ベクタ。
  7. 【請求項7】 微生物ホストでの前記発現ベクタの複製を可能とする核酸配
    列と微生物選択性マーカーをコード化する遺伝子をさらに有する請求項5記載の
    発現ベクタ。
  8. 【請求項8】 植物実体またはその後代であって、本質的に植物細胞、種子
    または請求項1記載のDNA配列を植物細胞にインビトロ導入することによって
    生成された植物から成る、植物実体またはその後代。
  9. 【請求項9】 商業的に価値のある合成物を産出する生合成方法であって、 プロモータ、阻止配列および構造遺伝子から成るDNA構造体を植物細胞に導
    入することで稔性形質転換植物を生成し、前記阻止配列が一対の定方向反復した
    部位特異的組換え配列で側面配置されていて、前記構造遺伝子が前記阻止配列の
    除去後においてのみ前記プロモータに操作的に連結できるようになる段階と、 前記の形質転換植物を他家受精させて、前記の生物学的に有害な合成物をコー
    ド化する遺伝子につきホモ接合性の形質転換植物を生成する段階と、 前記ホモ接合性形質転換植物を、前記の部位特異的組換え配列を認識する部位
    特異的リコンビナーゼをコード化する遺伝子から成るDNA配列を有する植物と
    交雑させる段階と、から成る商業的に価値のある合成物を生成する生合成方法。
  10. 【請求項10】 商業的に価値のある合成物を産出する生合成方法であって
    、 プロモータ、阻止配列および構造遺伝子から成り前記阻止配列が一対の定方向反
    復した部位特異的組換え配列で側面配置されているDNA構造体を有する維持系
    統植物ラインを、前記の部位特異的組換え配列を認識する部位特異的リコンビナ
    ーゼをコード化する遺伝子から成り構造遺伝子がF1後代植物で前記阻止配列の
    除去後においてのみプロモータに操作的に連結できるようになるDNA配列を有
    する誘導植物ラインと他家受粉させる段階と、から成る商業的に価値のある合成
    物を生成する生合成方法。
  11. 【請求項11】 前記構造遺伝子のプロモータが種子特異的プロモータであ
    る請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記構造遺伝子のプロモータが葉特異的プロモータである
    請求項10記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記阻止配列が一対の定方向反復したFRT組換え配列に
    よって側面配置されていて、前記リコンビナーゼ遺伝子が前記FLPリコンビナ
    ーゼをコードする請求項10記載の方法。
  14. 【請求項14】 商業的に価値のある合成物を生成する生合成方法であって
    、 プロモータ、阻止配列および構造遺伝子から成り前記阻止配列が一対の定方向
    反復した部位特異的組換え配列によって側面配置されていて、前記構造遺伝子が
    前記阻止配列の除去後においてのみプロモータに操作的に連結できるようになる
    多機能性DNA配列を植物細胞に導入することによって維持系統植物ラインを生
    成する段階と、 前記維持系統植物ラインまたは前記維持系統植物ラインの後代を、誘導植物ラ
    インと交雑させる段階であって、前記誘導植物ラインが前記の部位特異的組換え
    配列を認識する部位特異的リコンビナーゼをコード化する遺伝子から成るDNA
    配列を有する段階と、から成る商業的に価値のある合成物を産出する生合成方法
  15. 【請求項15】 商業的に価値のある合成物を産出する生合成方法であり、 雄性不稔性維持植物ラインを誘導植物ラインと他家受粉させる段階からなり、 前記雄性不稔性維持植物ラインがプロモータ、阻止配列および構造遺伝子から
    成るDNA配列を有し、前記阻止配列が一対の定方向反復した部位特異的組換え
    配列によって側面配置されていて、かつ前記阻止配列が種子特異的プロモータの
    操作的に連結した自殺遺伝子から成り、 前記誘導植物ラインが、前記の部位特異的組換え配列を認識する部位特異的リ
    コンビナーゼをコード化する遺伝子から成るDNA配列を有し、前記構造遺伝子
    が前記雄性稔性F1後代植物で前記阻止配列を除去された後においてのみプロモ
    ータに操作的に連結される、商業的に価値のある合成物を産出する生合成方法。
  16. 【請求項16】 前記構造遺伝子のプロモータが種子特異的プロモータであ
    る請求項16記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記構造遺伝子のプロモータが葉特異的プロモータである
    請求項16記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記阻止配列が一対の定方向反復したFRT組換え配列に
    よって側面配置されていて、かつ前記リコンビナーゼ遺伝子がFLPリコンビナ
    ーゼをコード化する請求項16記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記阻止配列がさらに選択性マーカー遺伝子を含む請求項
    16記載の方法。
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