【発明の詳細な説明】
熱シール可能な接着剤
本発明は、軟質コア材料と硬質シェル材料とを有するラテックス粒子を含んで
なる水性重合体分散液、およびそれらの製造、および密封性塗料への使用に関す
る。
熱シール可能な、もしくは熱密封性のラッカーまたは接着剤として知られる、
密封性塗料用の重合体分散液は、例えば様々な基材のラベル貼り、シーム密封、
面同士の張り合わせに、および食物や調理食品用の袋やカップの密封に、ならび
に陳列包装に、好適な重合体を含んでなる。Roempp Chemie Lexikon[第3巻、
1755〜1756頁、Thieme Verlag(1990)]は、熱密封性接着剤を、分散接
着剤、接着性ラッカーまたはホットメルト接着剤の形態で、ある区域に塗布し、
結合前に乾燥させ、次いで強い圧力をかけ、同時に短時間の熱作用(例えば高周
波界中で、またはホットプレス中で)によって、その相手の物体と結合させる接
着剤、として定義している。
一連の熱密封工程における様々な操作は、一部相反する必要条件を生み出して
いる。熱密封性ラッカーの重要な基準は、一方では、被覆した基材を積み重ねる
か、または巻き取ることが多いので、保存条件下(50℃までの)で十分な耐ブ
ロッキング性を有することである。他方、プラスチック基材、特に例えばPVC
、の熱安定性は限られているので、密封温度はあまり高くすべきではない。同様
に密封した後の高いシーム強度も要求される。これらの特性に加えて、もう一つ
の重要な基準は、各種の基材、例えば金属やプラスチック、に対する湿潤接着性
である。
EP−A−0574803は、良好な耐ブロッキング性および熱密封性を有す
る熱密封性ラッカーとして、ガラス転移温度が少なくとも5℃異なった2種類の
共重合体を基剤とする水性分散液の使用を開示している。開示されている分散液
は、両共重合体の全質量に対して12〜20重量%の、高い酸含有量を有する。
公知の様に、親水性の強い塗料は、良好な湿潤接着性を有していない。
EP−A 0376096には、高い耐ブロッキング性を有する塗料が、硬質
コア材料および軟質シェル材料を有するラテックス粒子を含んでなる水性重合体
分散液を基剤として得られることが開示されている。これらの重合体分散液を熱
密封性接着剤塗料として使用することが記載されているが、性能に関連する特性
、例えば密封温度、密封した後のシーム強度および湿潤接着性、に関する情報は
無い。
DE−A 4439459は、アミノ、ウレイドまたはN−複素環基を有する
、いわゆる接着性モノマーを配合しているために、熱密封性接着剤塗料の製造に
好適である重合体分散液を開示している。
そこで、本発明の目的は、安価なモノマーを使用し、高い耐ブロッキング性お
よび良好な熱密封性のみならず、様々な基材に対する良好な湿潤接着性をも有す
る水性重合体分散液を提供することである。
本発明によれば、この目的は、アミノ、ウレイドおよびN−複素環基を含まず
、軟質コア材料と硬質シェル材料とを有するラテックス粒子を含んでなり、コア
材料のガラス転移温度が20℃未満であり、シェル材料のガラス転移温度が30
℃を超えており、シェル材料を製造するためのコモノマーとしてN−メチロール
(メタ)アクリルアミドおよび/またはそれらのアルキルエーテルを使用する、
重合体分散液を形成させることにより、達成される。
本発明は、ガラス転移温度が20℃未満である単独重合体または共重合体を含
んでなるコアと、ガラス転移温度が30℃を超える共重合体を含んでなるシェル
とを有してなるラテックス粒子を含んでなる熱シール可能な接着剤であって、シ
ェル共重合体が、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルア
ミドおよびそれらの(C1〜C4)アルキルエーテルからなる群から選択されたモ
ノマー単位を含んでなり、ラテックス粒子が、アミノ、ウレイドおよびN−複素
環基を有するモノマーを含まないものである、熱シール可能な接着剤を提供する
。
本特許出願に記載するコア/シェル構造は、明示するラテックス粒子の形態に
関係なく、2つの時間的に連続した工程におけるフリーラジカル水性エマルショ
ン重合により製造され、コアが第一工程で、シェルが第二工程で製造される、す
べての共重合体を含むものとする。
ラテックス粒子自体は、いずれもラテックス粒子の全質量基準で好ましくは5
〜95重量%、特に5〜60重量%のコアの単独重合体または共重合体と、好ま
しくは95〜5重量%、特に95〜40重量%のシェルの共重合体とからなる。
コアおよびシェルの単独重合体または共重合体は、α,β−モノエチレン性不
飽和のフリーラジカル重合可能なモノマー、好ましくは3〜6個の炭素原子を有
するα,β−モノエチレン性不飽和のモノおよびジカルボン酸、例えばアクリル
酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸、と、
好ましくは1〜12、特に1〜8個の炭素原子を有する脂肪族アルコールのエス
テル、好ましくは2〜18個の炭素原子を有する脂肪族モノカルボン酸のビニル
エステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、ラウリン
酸ビニルおよびステアリン酸ビニル、Versatic(商品名)酸(α−分岐(C9〜
C11)モノカルボン酸)のビニルエステル(VeoVa(商品名)9、10および11、Sh
ell B.V.)、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸のニトリル、例えばアク
リロニトリルおよびメタクリロニトリル、およびビニル芳香族化合物、例えばス
チレン、α−メチルスチレンおよびクロロスチレン、を使用して構築するのが特
に好適である。
水溶性の高いモノマー、特に3〜6個の炭素原子を有するα,β−モノエチレ
ン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコ
ン酸、マレイン酸およびフマル酸、およびビニルスルホン酸、アクリルアミドプ
ロパンスルホン酸およびそれらの水溶性塩、が最大でも変性量でコアおよびシェ
ル材料中に存在する。通常、これらのモノマーは、コアおよびシェル材料の総量
に対して10重量%未満、好ましくは0.1〜5重量%、を占める。
分子中に2個以上の共重合し得る炭素二重結合を有する架橋性コモノマー、例
えば(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸アリル、アクリル酸ジオー
ル、例えばジアクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸1,3−ブタンジオ
ール、ジアクリル酸1,4−ブタンジオール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジ
オール、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、およびフマル酸、マレイン酸お
よびイタコン酸のジアリルエステル、も少量で、通常はコアおよびシェル材料の
総量に対して0〜5.0重量%で、使用できる。
他の好適なコモノマーは、エポキシ官能性化合物、例えばメタクリル酸グリシ
ジル、および2価アルコールとα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸のヒド
ロキシ官能性モノエステル、例えば(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシプロピルおよび(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル
、である。
シェル材料中に存在するコモノマーは、N−メチロール(メタ)アクリルアミ
ドおよび/またはそれらの(C1〜C4)アルキルエーテル、例えばN−メチロー
ルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−(イソブトキシメチ
ル)アクリルアミドおよびN−(イソブトキシメチル)メタクリルアミド、であ
り、シェル材料の総量に対して好ましくは0.01〜10.0重量%、特に0.
01〜7.0重量%の量である。
コアおよびシェル材料は、下記のモノマー、すなわちメタクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸
、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、N−メチ
ロールアクリルアミドおよびN−(イソブトキシメチル)アクリルアミド、から
選択された2種類以上のモノマー単位から構築するのが好ましい。無論、N−メ
チロールアクリルアミドおよびN−(イソブトキシメチル)アクリルアミドは、
シェル材料の構築にのみ使用するのが好ましい。
本発明では、コアおよび/またはシェル材料にそれぞれ予め決められたガラス
転移温度を与えるモノマー混合物を使用する。予め決められたガラス転移温度を
得るための各モノマー組成物は、Foxの等式(T.G.Fox,Bull.Am.Phys.Soc.
(Ser.II)1,123(1956)を使用することにより、かなり正確に計算すること
ができる。
本発明の重合体分散液の固体含有量は、一般的に30〜60重量%、好ましく
は40〜55重量%である。
本発明は、第一工程でエチレン性不飽和モノマーをフリーラジカル開始により
重合させてガラス転移温度が20℃未満の重合体相を形成させ、次いで第二工程
でエチレン性不飽和モノマーをフリーラジカル開始により重合させてガラス転移
温度が30℃を超える重合体相を形成させることによる熱シール可能な接着剤の
製造方法であって、アミノ、ウレイドまたはN−複素環基を有する不飽和モノマ
ーをいずれの重合工程でも使用せず、N−メチロールアクリルアミド、N−メチ
ロールメタクリルアミドおよびそれらの(C1〜C4)アルキルエーテルからなる
群から選択された不飽和モノマーを第二重合工程で使用する、熱シール可能な接
着剤の製造方法も提供する。
重合体分散液は、分散剤およびフリーラジカル重合開始剤の存在下で水性エマ
ルション重合方法により製造する。第一工程のモノマーまたはモノマー混合物は
、水性モノマーエマルションの形態で重合容器の中に一度に、または少しずつ配
量
するか、または無水形態で、または水性エマルション形態で、全体を第一重合工
程の間に配量することができる。第一工程の後、第二工程のモノマーまたはモノ
マー混合物を、第一工程に関してすでに説明した方法によって共重合させること
ができる。本発明により第二工程で共重合させるN−メチロール(メタ)アクリ
ルアミドおよび/またはそれらの(C1〜C4)アルキルエーテルは、重合容器中
のモノマーおよび/またはモノマー混合物中に導入することができ、および/ま
たは対応するモノマーエマルションの中に混合することができ、あるいはモノマ
ーおよび/またはモノマー混合物および/または対応するモノマーエマルション
とは別に、それらと平行して配量することができる。どちらの重合工程でも、温
度20〜95℃、特に50〜85℃で操作するのが好ましい。
どちらの工程でも、重合は、フリーラジカルエマルション重合を開始すること
ができる通常のフリーラジカル開始剤により開始する。これらの開始剤は、アル
カリ金属またはアンモニウムのペルオキソ二硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリ
ル、4,4−アゾビスシアノ吉草酸またはそのアルカリ金属塩、過ピバル酸t−
ブチル、過エチルヘキサン酸t−ブチル、または他のレドックス系の様な開始剤
でよい。レドックス系の場合、過酸化水素の様な過酸化物型開始剤と共に、t−
ブチルヒドロペルオキシドまたは上記の過エステル、還元剤、例えばピロ亜硫酸
ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウムまたはヒドロキシ
メタンスルフィン酸またはアスコルビン酸のナトリウム塩、を単独で、または重
金属塩、例えばFe(II)硫酸塩、との組合せで使用することができる。
好適な分散剤は、フリーラジカル水性エマルション重合の実施で一般的に使用
されている保護コロイドおよび乳化剤である。好適な乳化剤は、陰イオン系、陽
イオン系および非イオン系であり、陰イオン系および非イオン系が特に好ましい
。
陰イオン系乳化剤は、アルキル、アリールまたはアルキルアリールスルホネー
ト、サルフェート、ホスフェートまたはホスホネートのアルカリ金属またはアン
モニウム塩、または他の陰イオン系末端基を有する化合物でよく、これらの乳化
剤の炭化水素基と陰イオン基の間にオリゴまたはポリエチレンオキシド単位が位
置していてもよい。典型的な例は、ラウリル硫酸ナトリウム、ウンデシルグリコ
ールエーテル硫酸ナトリウム、オクチルフェノールグリコールエーテル硫酸ナト
リウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルジグリコール硫酸ナ
トリウム、トリ−t−ブチルフェノールペンタ−またはオクタグリコール硫酸ア
ンモニウムおよび工業用混合物、例えばDowfax(商品名)2A1(The Dow Chemical
Company)、として使用されることが多いモノ−およびジアルキル化ジフェニル
オキシドジスルホン酸のアルカリ金属塩である。
好適であることが分かっている非イオン系乳化剤の例は、アルキルポリグリコ
ールエーテル、例えばラウリル、オレイルまたはステアリルアルコールまたはコ
コナッツ脂肪アルコールの様な混合物のエトキシル化生成物、アルキルフェノー
ルポリグリコールエーテル、例えばオクチル−またはノニルフェノール、ジイソ
プロピルフェノール、トリイソプロピルフェノールまたはジ−またはトリ−t−
ブチルフェノールのエトキシル化生成物、またはポリプロピレンオキシドのエト
キシル化生成物である。
重合体被膜の耐水性に悪影響を及ぼさない様に、分散液は、重合体の含有量に
対して、一般的に使用されているイオン系乳化剤の量である3重量%まで、好ま
しくは2重量%まで、および/または非イオン系乳化剤の量である6重量%まで
、好ましくは4重量%まで、を大幅に超えない様にすべきである。
好適な保護コロイドは、天然物質、例えばアラビアゴム、デンプン、アルギン
酸塩、または変性した天然物質、例えばメチル−、エチル−、ヒドロキシアルキ
ル−またはカルボキシメチルセルロース、または合成物質、例えばポリビニルア
ルコール、ポリビニルピロリドン、またはその様な物質の混合物を含むことがで
きる。変性セルロース誘導体および合成保護コロイドを使用するのが好ましい。
しかし、当業者には公知の様に、上記のモノマー系を使用する場合、これらの保
護コロイドは限られた程度にしか使用できない。使用可能な量は、低いことが多
く、例えば0.001〜2重量%である。相容性および加える様式を場合に応じ
て試験しなければならない。
本発明は、特に金属およびプラスチック上の密封性塗料における熱シール可能
な接着剤の使用も提供する。例
下記の例における部数および百分率は、他に指示がない限り、重量で表示する
。本発明の水性重合体分散液PD1およびPD2、および比較用分散液CD1、C D2およびCD3の製造 重合体分散液PD1:
水280g、ラウリル硫酸ナトリウム4.0gおよび30gのモノマーエマル
ション1を反応容器に入れ、攪拌しながら30分間かけて80℃に加熱した。8
0℃に達してから、ペルオキソ二硫酸アンモニウム0.8gを水5.0gに溶解
させた液を加えた。さらに15分後、モノマーエマルション1の残量、およびそ
れと平行して、開始剤溶液1を、80℃±2℃で2時間かけて連続的に配量した
。供給流1の終了後、温度を80℃±2℃にさらに30分間保持した。次いで、
モノマーエマルション2の配量を開始した。これと平行して、開始剤溶液2およ
びコモノマー溶液を配量した。3種類の供給流の配量時間は2時間であった。次
いで、重合混合物を80℃±2℃でさらに1時間攪拌してから、室温に冷却した
。分散液を12.5%濃度のアンモニア水溶液でpH6.5±0.5に調節した
。モノマーエマルション1および2は、それぞれのモノマー混合物を強く攪拌(
高速攪拌機)しながら対応する水と乳化剤の溶液に加えることにより製造した。
モノマーエマルション1:
メタクリル酸メチル 121.7g
アクリル酸2−エチルヘキシル 261.1g
水 255.0g
ラウリル硫酸ナトリウム 2.2g
モノマーエマルション2:
スチレン 115.7g
アクリル酸2−エチルヘキシル 73.1g
メタクリル酸メチル 124.4g
メタクリル酸 25.0g
水 175.0g
ラウリル硫酸ナトリウム 2.0g
コモノマー溶液:
水 120.0g
N−メチロールアクリルアミド(48%濃度) 55.0g
開始剤溶液1:
ペルオキソ二硫酸アンモニウム 1.2g
水 100.0g
開始剤溶液2:
ペルオキソ二硫酸アンモニウム 0.9g
水 100.0g重合体分散液PD2:
分散液PD2は、分散液PD1に関する支持に従って合成した。PD2に対す
る出発物質の変更点を以下にして記載する。
モノマーエマルション1:
メタクリル酸メチル 70.8g
アクリル酸2−エチルヘキシル 135.2g
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 12.8g
水 255.0g
ラウリル硫酸ナトリウム 1.4g
モノマーエマルション2:
スチレン 100.0g
アクリル酸2−エチルヘキシル 85.2g
メタクリル酸メチル 302.1g
メタクリル酸 30.2g
水 175.0g
ラウリル硫酸ナトリウム 3.0g
コモノマー溶液:
水 120.0g
N−メチロールアクリルアミド(48%濃度) 65.0g
開始剤溶液1:
ペルオキソ二硫酸アンモニウム 0.8g
水 100.0g
開始剤溶液2:
ペルオキソ二硫酸アンモニウム 1.35g
水 100.0g比較用分散液CD1:
比較用分散液CD1(第二重合工程で、N−メチロール(メタ)アクリルアミド
および/またはそれらの(C1〜C4)アルキルエーテルを使用しない):
分散液CD1は、分散液PD1に関する支持に従って合成したが、工程2でコ
モノマー溶液を配量しなかった。比較用分散液CD2:
N−メチロールアクリルアミドの代わりにエチレン尿素−メタクリル酸エチルを
使用。
水428.6g、ラウリル硫酸ナトリウム4.0gおよび30gのモノマーエ
マルション1を反応容器に入れ、攪拌しながら30分間かけて80℃に加熱した
。80℃に達してから、ペルオキソ二硫酸アンモニウム0.8gを水5.0gに
溶解させた液を加えた。さらに15分後、モノマーエマルション1の残量、およ
びそれと平行して、開始剤溶液1を、80℃±2℃で2時間かけて連続的に配量
した。供給流1の終了後、温度を80℃±2℃にさらに30分間保持した。次い
で、モノマーエマルション2の配量を開始した。これと平行して、開始剤溶液2
を配量した。両方の供給流の配量時間は2時間であった。次いで、重合混合物を
80℃±2℃でさらに1時間攪拌してから、室温に冷却した。分散液を12.5
%濃度のアンモニア水溶液でpH6.5±0.5に調節した。
モノマーエマルション1および2は、それぞれのモノマー混合物を乳化剤の溶
液に強く攪拌(高速攪拌機)しながら対応する水と加えることにより製造した。
モノマーエマルション1:
メタクリル酸メチル 121.7g
アクリル酸2−エチルヘキシル 261.1g
水 255.0g
ラウリル硫酸ナトリウム 2.2g
モノマーエマルション2:
スチレン 115.7g
アクリル酸2−エチルヘキシル 73.1g
メタクリル酸メチル 124.4g
エチレン尿素−メタクリル酸エチル 26.4g
メタクリル酸 25.0g
水 175.0g
ラウリル硫酸ナトリウム 2.0g
開始剤溶液1:
ペルオキソ二硫酸アンモニウム 1.2g
水 100.0g
開始剤溶液2:
ペルオキソ二硫酸アンモニウム 0.9g
水 100.0g比較用分散液CD3:
N−メチロールアクリルアミドの代わりにエチレン尿素−メタクリル酸エチルを
使用。
水433.8g、ラウリル硫酸ナトリウム4.0gおよび30gのモノマーエ
マルション1を反応容器に入れ、攪拌しながら30分間かけて80℃に加熱した
。80℃に達してから、ペルオキソ二硫酸アンモニウム0.8gを水5.0gに
溶解させた液を加えた。さらに15分後、モノマーエマルション1の残量、およ
びそれと平行して、開始剤溶液1を、80℃±2℃で2時間かけて連続的に配量
した。供給流1の終了後、温度を80℃±2℃にさらに30分間保持した。次い
で、モノマーエマルション2の配量を開始した。これと平行して、開始剤溶液2
を配量した。両方の供給流の配量時間は2時間であった。次いで、重合混合物を
80℃±2℃でさらに1時間攪拌してから、室温に冷却した。分散液を12.5
%濃度
のアンモニア水溶液でpH6.5±0.5に調節した。
モノマーエマルション1および2は、それぞれのモノマー混合物を強く攪拌(
高速攪拌機)しながら対応する水と乳化剤の溶液に加えることにより製造した。
モノマーエマルション1:
メタクリル酸メチル 70.8g
アクリル酸2−エチルヘキシル 135.2g
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 12.8g
水 255.0g
ラウリル硫酸ナトリウム 1.4g
モノマーエマルション2:
スチレン 100.0g
アクリル酸2−エチルヘキシル 85.2g
メタクリル酸メチル 302.1g
エチレン尿素−メタクリル酸エチル 31.2g
メタクリル酸 25.0g
水 175.0g
ラウリル硫酸ナトリウム 3.0g
開始剤溶液1:
ペルオキソ二硫酸アンモニウム 0.8g
水 100.0g
開始剤溶液2:
ペルオキソ二硫酸アンモニウム 1.35g
水 100.0g湿潤接着性の試験:
ドクターブレードを使用し、試験分散液の50μm湿潤被膜を40μmアルミ
ニウムホイル(家庭用ホイルグレード)の曇った側に塗布した。次いで、直ちに
湿潤被膜を対流加熱炉中、200℃で1分間乾燥させた。室温に冷却した後、被
覆したアルミニウムホイルを30分間水中保存した。水浴から取り出した後、ホ
イルの被覆側を柔らかい吸収性の紙で注意深く乾燥させた。その直後に、透明な
感圧接着テープ(Scotch Magic Tape 810、19mm幅、製品番号11257、製造
業者3M)2細片を被覆を横切って張り付け、堅く押し付けた。次いで、2枚の
接着テープを熱密封被覆から手で、一方はゆっくりと、他方は急速に剥離した。
湿潤接着性の品質の尺度として、アルミニウムホイル上の被覆の剥離区域を測定
することにより、接着剤の破壊挙動を評価した。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成11年2月27日(1999.2.27)
【補正内容】
EP−A−0574803は、良好な耐ブロッキング性および熱密封性を有す
る熱密封性ラッカーとして、ガラス転移温度が少なくとも5℃異なった2種類の
共重合体を基剤とする水性分散液の使用を開示している。開示されている分散液
は、両共重合体の全質量に対して12〜20重量%の、高い酸含有量を有する。
公知の様に、親水性の強い塗料は、良好な湿潤接着性を有していない。
EP−A−0522791は、分散可能なコア−シェル重合体の製造方法を開
示している。コア−シェル重合体は、シェル中にアルカリに可溶な重合体、およ
びコア中に水に不溶な重合体を有し、コアおよびシェル重合体が多官能性物質に
より化学的に内部結合されている。
EP−A 0376096には、高い耐ブロッキング性を有する塗料が、硬質
コア材料および軟質シェル材料を有するラテックス粒子を含んでなる水性重合体
分散液を基剤として得られることが開示されている。これらの重合体分散液を熱
密封性接着剤塗料として使用することが記載されているが、性能に関連する特性
、例えば密封温度、密封した後のシーム強度および湿潤接着性、に関する情報は
無い。
DE−A 4439459は、アミノ、ウレイドまたはN−複素環基を有する
、いわゆる接着性モノマーを配合しているために、熱密封性接着剤塗料の製造に
好適である重合体分散液を開示している。
そこで、本発明の目的は、安価なモノマーを使用し、高い耐ブロッキング性お
よび良好な熱密封性のみならず、様々な基材に対する良好な湿潤接着性をも有す
る水性重合体分散液を提供することである。
請求の範囲
1. ガラス転移温度が20℃未満である単独重合体または共重合体を含んでな
るコアと、ガラス転移温度が30℃を超える共重合体を含んでなるシェルとを
有してなるラテックス粒子を含んでなる熱シール可能な接着剤であって、α,
β−モノエチレン性不飽和のフリーラジカル重合性モノマーが、コアおよびシ
ェルの単独重合体および/または共重合体を構築するためのモノマーとして使
用され、シェルの共重合体が、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロー
ルメタクリルアミドおよびそれらの(C1〜C4)アルキルエーテルからなる群
から選択されたモノマー単位を含んでなり、ラテックス粒子が、アミノ、ウレ
イドまたはN−複素環基を有するモノマー単位を含まないものであり、水溶性
を増加したモノマーおよびそれらの水溶性塩の画分がコアおよびシェル材料の
総量の10重量%未満であり、単独重合体および/または共重合体がフリーラ
ジカル水性エマルション重合により製造されることを特徴とする、熱シール可
能な接着剤。
2. ラテックス粒子が、いずれもラテックス粒子の全質量体基準で、5〜60
重量%のコアの単独重合体または共重合体、および95〜40重量%のシェル
の共重合体からなる、請求項1に記載の熱シール可能な接着剤。
3. コアおよびシェルが、α,β−エチレン性不飽和(C3〜C6)のモノおよ
びジカルボン酸と脂肪族(C1〜C12)アルコールとのエステル、α,β−エ
チレン性不飽和(C3〜C6)のモノおよびジカルボン酸のニトリル、脂肪族(
C2〜C18)モノカルボン酸のビニルエーテル、およびビニル芳香族化合物か
らなる群から選択されたモノマー単位を含んでなる、請求項1に記載の熱シー
ル可能な接着剤。
4. シェルの共重合体が、シェルの総質量に対して0.01〜10重量%の、
N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドおよびそれ
らの(C1〜C4)アルキルエーテルからなる群から選択されたモノマー単位を
含んでなる、請求項1に記載の熱シール可能な接着剤。
5. ラテックス粒子のコアおよびシェル材料が、メタクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸2
−エチルヘキシル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸
、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、N−メ
チロールアクリルアミドおよびN−(イソブトキシメチル)アクリルアミドか
ら選択された2種類以上のモノマー 単位から構築される、請求項1に記載の
熱シール可能な接着剤。
6. 請求項1に記載の熱シール可能な接着剤の密封性塗料における、使用。
7. 金属およびプラスチック上の塗料における、請求項6に記載の使用。