JP2001514524A - マルチフレイバーストレプトアビジン - Google Patents

マルチフレイバーストレプトアビジン

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JP2001514524A JP53983098A JP53983098A JP2001514524A JP 2001514524 A JP2001514524 A JP 2001514524A JP 53983098 A JP53983098 A JP 53983098A JP 53983098 A JP53983098 A JP 53983098A JP 2001514524 A JP2001514524 A JP 2001514524A
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レズニク,ガブリエル,オー.
サノ,タケシ
ヴァジダ,サンダー
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カンター,チャールズ
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トラスティーズ オブ ボストン ユニバーシティー
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    • C07K14/36Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria from Actinomyces; from Streptomyces (G)

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Abstract

(57)【要約】 変化した親和性を有するストレプトアビジン変異体を生産するための化合物及び方法を記載する。特に、ビオチンに対するよりもビオチン置換体への親和性が高いアミノ酸置換を創出するための、天然のストレプトアビジン遺伝子の配列の改変を記載する。

Description

【発明の詳細な説明】 マルチフレイバーストレプトアビジン この特許出願は、第35米国成文法(35 U.S.C.)第111(b)条に基づく1997年3月 14日出願の米国仮出願番号第60/040,771号に対する優先権を主張する。この発明 は、米国エネルギー省グラント番号第DE-FG02-93ER61656号による政府支援によ ってなされた。アメリカ合衆国政府は、この発明に一定の権利を有する。 発明の技術分野 本発明は、化合物及び方法、そして特にビオチン置換体に対する親和性を有す る修飾されたストレプトアビジンに関する。 発明の背景 食物及び治療薬の生産などの多様な目的のために生きた生物又はそれらの構成 要素を修飾するために、早くから人類によって生物科学が採用されてきた。しか しながら、ほんの最近50年の間に、遺伝子レベルでの発展があり、生命システム の必須構成要素のより高い理解が得られた。このことが、DNA及びRNAの形での核 酸が、タンパク質の性質を特徴付けるアミノ酸配列を決定する遺伝的情報を蓄え 、分配するという理解に導いた。タンパク質は、生物の構造に寄与し、その機能 に対する要求された仕事の殆どを実行し、そしてタンパク質が合成される機構の 一部(例えば、シャペロン)をも形成する。糖類の線状及び分岐状ポリマーであ る多糖類は、構造的要素を提供し、エネルギーを蓄え、そしてペプチド又はタン パク質と組み合わされると、細胞認識において重要な役割を果たす。脂肪酸、リ ン脂質及びコレステロールなどの分子を含む脂質は、エネルギー源として働き、 細胞の機能を組織化し、区画化する膜構造の最も重要な構成成分である。 しかしながら、タンパク質は、最も多くの機能的多様性を有する生物学的巨大 分子である。タンパク質は、生細胞中で起きるほとんどの反応を触媒するか、又 は酵素的反応の阻害剤として働く。それらは、酸素、電子及びエネルギーを、細 胞内の特定の部位に輸送する。他のタンパク質は、外来物質に対する認識及び結 合によって生きている生物を保護する。また、コラーゲン、結合組織小繊維の主 成分及び骨などの構造的機能を有しているか、又は筋肉運動に関与するアクチン 又はミオシンなどの機能的役割、を有しているタンパク質もある。 ほとんどのタンパク質の生物学的機能は、リガンド、ホルモン、補酵素又は他 の生物学的化合物などの他の分子との相互作用から誘導される。この作用の結果 として、タンパク質及び他の分子の両者において重要な構造的変化が起こり得る 。これらのコンホメーション変化は、多くの場合、活性にとって必須であるが、 それほど重要ではない場合もある。例えば、ホルモン−受容体結合においては、 構造的変化は、情報伝達にとって重要である。その結果、タンパク質とリガンド との間で可能な活性の及び非活性の相互作用の解明は、もう一つの分子によるタ ンパク質認識を支配する分子機構の正確な理解のために必須である。 最も注目すべき非活性のタンパク質−リガンド相互作用の1つは、ストレプト アビジンと呼ばれる、放線菌ストレプトミセス・アビジニ(Streptomyces avidi nii)[Chaiet及びWolf,「ストレプトミセテスによって生産されるビオチン−結 合タンパク質である、ストレプトアビジンの特性(The Properties of Streptav idin,a biotin-binding protein produced by Streptomycetes)」、Arch.Bio chem.Biophys.106:1-5(1964)]及び小さな有機分子ビオチンから生じる60-KDa 四量体タンパク質を含む。ストレプトアビジンによるビオチンの結合は、水溶液 中での非共有相互作用(Ka〜1015 M-1)について観察される自由エネルギーにお ける最も大きな減少の1つによって達成される[Green,「アビジン(avidin)」 ,Adv.Protein Chem.29:85-133(1975)]。 ストレプトアビジン−ビオチン複合体の高い会合定数、それは多くの抗原−抗 体相互作用よりも4〜6オーダーも大きく、生物科学において多くの有用な用途を 有する。微生物学[Suzukiら、「HIV逆転写酵素の検出によって説明される、逆 転写酵素に対する化学発光酵素−結合イムノアッセイ(Chemiluminescent enzym e-linked immunoassay for reverse transcriptase,illustrated by detection of HIV reverse transcriptase)」、Anal.Biochem.210:277-28(1993)]、生 化学[Katz,「ファージ・ディスプレイによって発見されたペプチド性 リードのタンパク質標的への結合:HPQ配列を含むストレプトアビジン−結合線 状及び環状ペプチド・リガンドの結晶構造(Binding to protein targets of pe ptidic leads discovered by phage display:crystal structures of streptavi din-bound linear and cyclic peptide ligand containing the HPQ sequence) 」,Biochem.34:15421-15429(1995)]及びバイオテクノロジー[Bayer及びWilc hek,「分子生物学におけるツールとしてのアビジン−ビオチン複合体の使用(Th e use of the avidin-biotin complex as a tool in molecular biology)」,M ethods Biochem.Anal.26:1-45(1980);Fuccillo,「微生物学におけるアビジン −ビオチン法の応用(Application of the Avidin-Biotin Technique in Microb iology)」,Biotechniques 3:494-501(1985);Buckland,「ストレプトアビジン −ビオチンからの強い信号(Strong signals from streptavidin-biotin)」,N ature 320:557-558(1986)]だけでなく、医科学、例えば、抗原の局在(localiz ation)及び分離のため[Zaar,「ウシ腎及び肝のペルオキシゾーム中のD−アス パルテート・オキシダーゼの光学及び電子顕微鏡的局在:免疫細胞化学的検討( Light and electron microscopic localization of D-aspartate oxi dase in p eroxizomes of bovine kidney and liver:an immunocytochemicalstudy)」,J .Histochem.and Cytochem.44:1013-1019(1996)]、免疫治療[Bodeyら,「原 発及び転移ヒト黒色腫における免疫表現的に変化した細胞サブポピュレイション (subpopulations)。新生物の進行の診断、検出及び免疫治療に向けられた受容 体のためのモノクローナル抗体(Immunophenotypically varied cell subpopula tions in primary and metastatic human melanomas.Monoclonal antibodies f or diagnosis,detection of neoplastic progression and receptor directed immunotherapy)」,Antican.Res.16:517-531(1996)]、イムノアッセイ発展[ Heuerら,「感受性ペプチド系(peptide-based)イムノアッセイの発展:Jun及び Fos癌タンパク質の検出への応用(Development of a sensitive peptide-based immunoassay:application to detection of the Jug and Fos oncoproteins)」 、Biochem.35:9069-9075(1996)]、ハイブリダイゼーション研究[Nilssonら, 「バイオセンサー技術を用いたDNA操作のリアルタイム・モニタリング(Real-ti me monitoring of DNA manipulations using biosensor technology)」,Anal.Biochem.224:400-408(1995)]、腫瘍 局在[Puyら、「ヒト側頭部皮質評価(characterization)におけるアンドロゲ ン受容体の免疫細胞化学的検出及び凍結及びパラフィン包埋された組織中でのポ リクローナル・アンドロゲン受容体の応用(Immunocytechemical detection of androgen receptor in human temporal cortex characterization and applicat ion of polyclonal androgen receptor antibodies in frozen and paraffin-em bedded tissues)」,J.Steroid Biochem.and Mol.Biol.55:197-209(1995) ;Sungら、「ビオチン化されたモノクローナル抗体によって予め標的化された転 移性腫瘍におけるストレプトアビジン分布:理論的お世b実験的薬動力学(Stre ptavidin distribution in metastatic tumors pretargeted with a biotinylat ed monoclonal antibody:theoretical and experimental pharmacokinetics)」 ,Cancer Res.54:2166-2175(1994)]及び癌化した細胞への放射性ヌクレオチド の引き渡し[van Osdolら、「2段階イメージングの配分された(distributed) 薬動力学モデル及び処理プロトコール:ストレプトアビジン−コンジュゲートモ ノクローナル抗体及び放射標識されたビオチンへの応用(A distributed pharma cokinetic model of two-step imaging and treatment protocols:application to streptavidin-conjugated monoclonal antibodies and radiolabeled biotin )」,J.Nucl.Med.34:1552-1564(1993);Kalofonosら、「111In標識されたビ オチン及びストレプトアビジン−コンジュゲート抗体による患者の腫瘍のイメー ジング(Imaging of tumor in patients with Indium-111-labeled biotin and streptavidin conjugated antibodies:preliminary communication)」,J.Nuc l.Med.31:1791-1796(1990);Pimmら、「ビオチン化された抗腫瘍モノクローナ ル抗体による予め標的化されたイムノシンチグラフィーのための131I及び111In 標識アビジン及びストレプトアビジン(Iodine-131 and indium-111 labeled av idin and streptavidin for pretargeted immunoscintigraphy with biotinylat ed anti-tumor monoclonal antibody)」,Nucl.Med.Commun.9:931-941(1988 )]における広く適用可能なツールを考案するのに、ストレプトアビジン−ビオチ ン系は利用されてきた。 発明の概要 本発明は、化合物及び方法、そして特に、ビオチン置換体に対する親和性を有 する修飾されたストレプトアビジンに関する。本発明の化合物及び方法は、内生 的なビオチンのレベルが、標準のビオチン−アビジン・アプローチの使用を予め 含む系に存在する場合に特に有用である。さらに、それは、ストレプトアビジン −ビオチン系が、タンパク質とリガンドの間に存在する接触が、他方のリガンド に対する高い特異性を発現させる(develop)ためのタンパク質を一般的に設計 するための出発点として役立つことができるか否かを試験するためのモデルとし て使用することを意図している(contemplated)。アミノ酸置換体は、元のリガ ンドに対する親和性を低下させ、置換分子に対する非常に高い親和性を得るよう にデザインされる。ストレプトアビジンのビオチン−結合部位を再デザインする ためのガイドとなる考慮すべきことは、ビオチンとの水素結合を形成する残基に おける最少のアミノ酸置換によってビオチン−結合を顕著に低下させ、他のビオ チン様分子に対するこの接触(contacts)を失わないようにすることである。こ れを試験するために、(他の置換体も利用可能であるけれども、ビオチン誘導体 でない化合物を含むので)ビオチン誘導体である2−イミノビオチン及びジアミ ノビオチンを、ビオチン置換体として選択した。 1つの実施態様においては、本発明は、ビオチンに対してよりもビオチン置換 体に対してより高い親和性を有するストレプトアビジン変異体をコードする核酸 配列を意図している。実例となるストレプトアビジン変異体は、ビオチンに対し てよりも2−イミノビオチンに対してより高い親和性を有する。特定の実施態様 においては、配列は、159個のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの16 〜133番目のアミノ酸からなるストレプトアビジン変異体をコードし、ここで該 配列は、その変異体が1以上のアミノ酸置換を含むような、1以上のコドン置換 体を含む。多様な置換(置換の組合せを含む)が可能であるが、1つの実施態様 においては、159個のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの23位のAsnに 対するコドンが、Alaに対するコドンに置換され;別の実施態様においては、159 個のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの27位のSerに対するコドンが 、Gluに対するコドンと置換されており;さらに別の実施態様においては、 159個のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの27位のSerに対するコドン が、Aspに対するコドンと置換されている。 好ましい実施態様においては、本発明は、159個のアミノ酸からなる天然のス トレプトアビジンの16〜133番目のアミノ酸からなるストレプトアビジン変異体 をコードする核酸配列を意図しており、ここで、該配列は、その変異体が1以上 のアミノ酸置換を含むように、1以上のコドン置換を含み、ビオチンに対してよ りもビオチン置換体に対してより高い親和性を有する。 本発明はまた、得られるタンパク質及びそのタンパク質の使用をも意図してい る。1つの実施態様においては、本発明は、ビオチンに対してよりもビオチン置 換体に対してより高い親和性を有するストレプトアビジン変異体を意図している 。特定の実施態様においては、変異体は159個のアミノ酸からなる天然のストレ プトアビジンの16〜133番目のアミノ酸からなり、ここで、該変異体は、(これ らに限定される訳ではないが、i)159個のアミノ酸からなる天然のストレプトア ビジンの23位のAsnがAlaによって置換されている;ii)159個のアミノ酸からな る天然のストレプトアビジンの27位のSerがGluによって置換されている;及びii i)159個のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの27位のSerがAspによっ て置換されている置換体を含む)1以上のアミノ酸置換を含む。 特定の実施態様においては、本発明は、159個のアミノ酸からなる天然のスト レプトアビジンの16〜133番目のアミノ酸からなるストレプトアビジン変異体を 意図し、該変異体は、1以上のアミノ酸置換を含み、ビオチンに対するよりも2 −イミノビオチンに対して高い親和性を有する。 この戦略は、複数鎖タンパク質の場合などのファージ−ディスプレイ法が採用 できない場合に、新薬及び診断試薬の発見の為に、又は1つの分子の使用がある プロジェクトには非常に適合するが、他にはそうではない場合の適用において、 公知の受容体を使用せずに分子に対する受容体を発達させるのに有用なように意 図される。二つのストレプトアビジン構築物のデザイン、構築及び分析は、以下 で考察する。 発明の説明 A.ストレプトアビジン−ビオチン複合体 ビオチンは、全ての生きた細胞中に存在する小さな有機分子である。その化学 名は、シス−ヘキサヒドロ−2−オキソ−1H−チエノ[3,4]イミダゾール− 4−ペンタン酸(cis-hexahydro-2-oxo-1H-thieno[3,4]imidazole-4-pentanoic acid)である。ビオチンは、ビタミンHとしても知られており、分子量244.31及 び分子組成C10H16N2O3S(図1)を有する[Savageら、「アビジン−ビオチン技 術の構成要素(Components of Avidin-Biotin Technology)」,Avidin-Biotin Chemistry:A Handbook,Pierce Chemical Co.(1992)中]。 ビオチンは、基質中への二酸化炭素の導入を触媒するカルボキシル化酵素に対 する補酵素として機能する[Wood及びBarden,「ビオチン酵素(Biotin Enzymes )」、Annu.Rev.Biochem.46:385-413(1977)]。これらのカルボキシラーゼの 例としては、ピルビン酸カルボキシラーゼ、トランス−カルボキシラーゼ、アセ チル−CoAカルボキシラーゼ及びb−メチルクロトニル−CoAカルボキシラーゼが 挙げられる。 この化合物は、ストレプトミセテスの培養濾液から単離されたタンパク質であ る[Chaiet及びWolf、「ストレプトマイセテスによって生産されるビオチン結合 タンパク質であるストレプトアビジンの特性(The Properties of Streptavidin ,a biotin-binding protein produced by Streptomycetes)」,Arch.Biochem .Biophys.106:1-5(1964)]。初期の研究は、この生物分子が、抗生物質MSD-23 5を作り上げるのに寄与する物質の1つであることを示した。さらに、この抗生物 質に関する研究は[Taussig及びWolf,「ストレプトアビジン、微生物によって製 造されるアビジン様特性を有する物質(Streptavidin,A substance with avidi n-like properties produced by microorganisms)」,Biochem.Biophys.Res .Commun.14:205-209(1964)]、その活性がビオチンによって阻害され、このタ ンパク質がビオチンに結合することを示唆していることを明らかにした。この生 物分子は、土壌細菌ストレプトミセス・アビジニ(Streptmyces avidinii)から 単離され、そしてそのリガンド結合親和性においてニワトリ卵白アビジンに顕著 な類似性を有するので、ストレプトアビジンと名付けられた。アビジン及びスト レプトアビジンは、ほぼ同じ大きさであり[Chaiet及びWolf,「ス トレプトミセテスによって産生されるビオチン結合タンパク質であるストレプト アビジンの特性(The Properties of Streptavidin,a biotin-binding protein produced by Streptmycetes)」,Arch.Biochem.Biophys.106:1-5(1964);G reen,「アビジン(Avidin)」,Adv.Protein Chem.29:85-133(1975)]、四量 体であり、そしてアミノ酸配列において33%の同一性を有する[Argarafiaら、 「ストレプトアビジン遺伝子の分子クローニング及びヌクレオチド配列(Molecu lar cloning and nucleotide sequence of the streptavidin gene)」,Nucl. 付け評価及び結晶化(Characterization and crystallization of core strepta vidin)」,J.Biol.Chem.262:13933-13937(1987)]。 四量体のストレプトアビジンは、同じ遺伝子によってコードされるそのサブユ ニット[Green,「アビジン(Avidin)」,Adv.Protein Chem.29:85-133(1975) ]のそれぞれによって約60kDaの分子量[Tausig及びWolf、「ストレプトアビジ ン、微生物によって生産されるアビジン様特性を有する物質(Streptavidin.A substance with avidin-like properties produced by microorganisms)」,Bi ochem.Biophys.Res.Commun.14:205-209(1964)]を有する。ストレプトアビ ジン・サブユニットの各々は、最初と最後のb−シーツが隣接し、互いに水素結 合されるように、8本鎖で、連続的に結合した、逆平行b−シートとして編成さ れている[Hendricksonら、「シンクロトロン放射の多波長変則回析によって決 定されたコア・ストレプトアビジンの結晶構造(Crystal structure of core st reptavidin determined from multiwavelength anomalous diffraction of sync hrotron radiation)」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:2190-2194(1989);We berら、「ストレプトアビジンへの高親和性ビオチン結合の構造的起源(Structu ral origins of high-affinity biotin binding to streptavidin)」,Science 243:85-88(1989)]。ペアのストレプトアビジンバレルのペアは、水素結合によ って結合して対称な二量体を形成し、この二量体は、該二量体を形成するサブユ ニット間の広範囲にわたるファン・デル・ワールス相互作用、水素結合及び静電 力を許す相補的な表面の存在によって非常に安定である。天然に存在するストレ プトアビジン四量体は、一対の該二量体を、それらの回転対称軸一致によ って、相互合わせ(interdigitating)することによって形成され、二量体−二 量体の(弱い)中間面を横切るファン・デル・ワールスカ及び静電力によって安 定化される[Weberら、「ストレプトアビジンへのビオチン結合の高い親和性の 構造的起源(Structural origins of high-affinity biotin bonding to strept avidin)」,Science 243:85-88(1989)]。 天然のコア・ストレプトアビジンの各サブユニットは、15kDaの分子量を有す るが;サブユニットが分泌後分解を受けると、約14kDaの分子量を有するサブユ ニットが生じる[Bayerら、「ストレプトアビジンの分泌後修飾(Postsecretory modification of streptavidin)」,Biochem.J.259:369-376(1989)]。スト レプトアビジンは、必ずしも完全ではないが、159残基の遺伝子産物の両端にお いて蛋白分解され、125-127残基コアを形成する[Argarafiaら、「ストレプトア ビジン遺伝子の分子クロ−ニング及びヌクレオチド配列(Molecular cloning an d nucleotide sequence of the streptavidin gene)」,Nucl.Acid.Res.14: 871-882(1986);Hendricksonら、「シンクロトロン放射の多波長変則回析によっ て決定されたコア・ストレプトアビジンの結晶構造(Crystal structure of cor e streptavidin determined from multiwavelengt hanomalous diffraction of synchrotron radiation)」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:2190-2194(1989) ;Sanoら、「組換えコア・ストレプトアビジン。最少サイズ化されたコア・スト レプトアビジンは、高められた構造的安定性及びビオチン化された巨大分子への より高い接近可能性を有する。(Recombinant core streptavidins.A minimum- sized core streptavidin has enhanced structural stability and higher acc essibility to biotinylated macromolecules)」,J.Biol.Chem.270:28204- 28209(1989)]。下記で用いたストレプトアビジン遺伝子は、たった118個のアミ ノ酸からなるコア・ストレプトアビジンをコードし、159個のアミノ酸からなる 天然のストレプトアビジン遺伝子の16〜133番目のアミノ酸を含む[Sano及びCan tor,「大腸菌中でのクローン化されたストレプトアビジン遺伝子の発現(Expres sion of a cloned streptavidin gene in Escherichia coli)」,Proc.Natl. Acad.Sci.USA 87:142-146(1990)]。このように、研究は、種々な長さのタン パク分解されたストレプトアビジンの代わりにストレプトアビ ジン分子の単一種によって行われていた。しかしながら、本発明は、天然の遺伝 子の(そして対応するタンパク質)より長い及び短い部分を、親和性を変化させ る所望の置換とともに使用することを意図している。さらに、親和性を変化させ ない置換が、(下記に記載する)親和性を変化させる置換に加えてなされ得る。 B.ストレプトアビジンのビオチン−結合部位 ストレプトアビジンのビオチン結合部位におけるビオチンとアミノ酸との間の 相互作用は、二量体−二量体界面を横切る、隣接するサブユニット由来の120番 目のTrpを除く1方サブユニットのみの残基によって生じる[Chilkotiら、「高親 和性のストレプトアビジン−ビオチン複合体の部位特異的変異誘発研究:79、10 8及び120番目のトリプトファン残基の寄与(Site-directed mutagenesis studie s of the high-affinity streptavidin-biotin complex:Contribusions of tryp tophan residues 79,108,and 120)」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:1754 -1758(1995);Sano及びCantor,「120番目のトリプトファンとビオチンとによっ てなされる相互サブユニット接触は、強いビオチン結合及びビオチン誘導された より強いストレプトアビジンのサブユニット会合の両方にとって必須である(Int ersubunit contacts made by tryptophan 120 with biotin are essential for both strong biotin binding and biotin-induced tighter subunit associatio n of streptavidin)」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:3180-3184(1995)] 。ビオチンは、単にカルボキシル酸素及びウレイド環窒素を外側に突き出すこと によって、バレル内に深く埋まる。多数の水素結合及びファン・デル・ワールス 相互作用が、ストレプトアビジン結合部位に並ぶ芳香族及び極性アミノ酸へのビ オチンの結合に関与する。これらは、カルボキシル基への3つの水素結合、及び ビオチンのウレイド窒素、カルボキシル基及びチオファン(thiophan)硫黄に対 する5つのさらなる水素結合を含む。さらに、4つのトリプトファンがそれぞれビ オチン分子と接触する[Hendricksonら、「シンクロトロン放射の多波長変則回 析によって決定されたコア・ストレプトアビジンの結晶構造(Crystal structur e of core streptavidin determined from multiwavelength anomalous diffrac tion of synchrotron radiation)」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 8 6:2190-2194(1989);Weberら、「ストレプトアビジンへの高親和性ビオチン結合 の構造的起源(Structural origins of high-affinity biotin binding to stre ptavidin)」,Science 243:85-88(1989)]。 C.素材及び方法 1.発現ベクターの構築 発現ベクターは、バクテリオファージM13mp18誘導体である、mpSA-29を用いて 構築し、それは、出発物質として16〜133番目のアミノ酸からなるコア・ストレ プトアビジンをコードする。突然変異は、オリゴヌクレオチド指令in vitro突然 変異誘発システム(Amersham社製)を用いることによりストレプトアビジンをコ ードする配列中に導入した[Sayersら、「ホスホロチオエートに基づくオリゴヌ クレオチド指令突然変異誘発における5'-3'エキソヌクレアーゼ(5'-3'exonucle ases in phosphorothioate-based oligonucleotide-directed mutagenesis)」 ,Nucl.Acids.Res.16:791-802(1988)]。 2組の突然変異は、それぞれ2つのコドン置換を含み、ストレプトアビジン遺伝 子上に離れて形成され、ビオチン結合を厳密に弱め、2−イミノビオチン又はジ アミノビオチンに対してより強い親和性を達成した:Asn-23(AAC)がAla(GCT )に及びSer-27(TCG)がAsp(GAC)に置換;Asn-23(AAC)がAla(GCT)に及び Ser-27(TCG)がGlu(GAA)に置換。所望の突然変異を含むコード配列を、f10プ ロモーターの制御下にプラスミドpET-3aのNde I部位にクローニングした[Studi erら、「クローニングした遺伝子の発現指令へのT7 RNAポリメラーゼの使用(Us e of T7 RNA polymerase to direct expression of cloned genes)」,Methods Enzymol.185:60-89(1990);Studier及びMoffatt、「クローニングした遺伝子 の選択的高濃度発現指令へのバクテリオファージT7 RNAポリメラーゼの使用(Us e of bacteriophage T7 RNA polymerase to direct selective high-level expr ession of cloned genes)」,J.Mol.Biol.189:113-130(1986)]。得られた 発現ベクターpTSA-A23D27は、ストレプトアビジン変異体Stv-A23D27をコードし 、Asn-23がAlaによって置換されており、Ser-27がAspによって置換されている。 第2の発現ベクターpTSA-A23E27は、ストレ プトアビジン変異体Stv-A23E27をコードし、Asn-23はAlaによって置換されてお り、Ser-27はGluによって置換されている。 2.ストレプトアビジン変異体の発現及び精製 ストレプトアビジン変異体Stv-A23D27及びStv-A23E27の発現は、発現ベクター を含むE.coli株BL21(DE3)(pLysE)[Studierら、「クローニングされた遺伝子の 発現指令へのT7 RNAポリメラーゼの使用(Use of T7 RNA polymerase to direct expression of cloned genes)」,Methods Enzymol.185:60-89(1990)]を使 用することにより、前記のように行った[Sano及びCantor,「大腸菌中でのクロ ーニングされたストレプトアビジン遺伝子の発現(Expression of a cloned str eptavidin gene in Escherichia coli)」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:14 2-146(1990)]。Stv-A23E27は、タンパク質収量を増加するための再生工程の間 、10mMの尿素の添加を必要とした。Stv-A23D27、及びStv-A23E27の再生された画 分を、ジアミノビオチン−アガロース(Sigma社製)カラムに別々にアプライし た。Stv-A23D27及びStv-A23E27を、0.02% Tween、0.02%アジ化ナトリウム、0. 5M塩化ナトリウム、0.2M酢酸アンモニウム(pH 6.0)の存在下に固定化されたリ ガンドに結合させた。溶出の前に、0.02% Tween、10mM尿素、0.5M塩化ナトリウ ム、0.2M酢酸アンモニウム(pH 6.0)で、結合していないタンパク質を除去する ためにカラムを洗浄した。Stv-A23D27結合タンパク質を、0.02%Tween、10mM尿 素、50mM炭酸ナトリウム(pH 10.0)で溶出した。Stv-A23E27の溶出は、10mM尿 素、0.02% Tween、50mM CHES(pH 9.0)で行った。精製後、Stv-A23D27及びStv -A23E27を、水に対して別々に透析し、4℃で保存した。 3.2−イミノビオチン−14C−グリシン及び2−イミノビオチン−3H−グリシ ンの調製 ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解したNHS−イミノビオチンを、50mMホウ酸 ナトリウム(pH 8.0)に溶解した14C−グリシン(98mCi/mmol及び104mCi/mmol; Amersham社製)又は3H−グリシン(18.6Ci/mmol;Amersha m社製)のいずれかと50:1のモル比で混ぜ合わせた。DMFの最終濃度は、10%であ った。反応混合物を1時間インキュベートした。放射標識されたイミノビオチン を、未反応のグリシン、NHS-イミノビオチン及びイミノビオチンから逆相カラム (RPC HR5/5;Pharmacia社製;Piscataway)を用いたFPLCによって精製した。結 合バッファーは、100mMリン酸カリウム(pH 2.5)であった。結合バッファーの2 0ベッド容量でカラムを洗浄することによって、イミノビオチン−グリシン生成 物を得た。放射標識された物質を含む画分(2×2.1ml)を、結合バッファーと しての水による逆相カラム中に再ロードした。放射標識されたイミノビオチン− グリシン物質を凍結乾燥し、150mM塩化ナトリウム、50mM Hepes(pH 7.5)中に 再懸濁した。 4.2−イミノビオチン−14C−グリシンの調製 0.5塩化ナトリウム及び0.2M炭酸水素ナトリウム(pH 8.3)中に溶解されたシ スタミンを、100のNHS基に対するアミンの見積もられた割合で、NHS−セファロ ース(1ml Hi-Trapカラム、10mmol/ml;Pharmacia社製)と反応させた。反応混 合物を、室温(約23℃)で30分インキュベートした後、カラムに充填した。遊離 のシスタミンを、0.5M塩化ナトリウム、0.2M炭酸水素ナトリウム(pH 8.3)で、 カラムをよく洗浄することによって除去した。セファロース−シスタミン分子を 、次いで50mMホウ酸ナトリウム(pH 8.0)7.5ml中に再懸濁し、この容量の1/10 をNHS-イミノビオチン(DMF中25.3mg/ml;Pierce社製又はSigma社製)19mgと混 ぜ合わせて、NHS-イミノビオチンを、セファロース−シスタミン上のシスタミン の利用可能なアミノ基と架橋させた。反応混合物を、室温で1時間インキュベー トした後、カラムに充填した。0.5塩化ナトリウム、1M尿素、50mMホウ酸ナトリ ウム(pH 8.0)で、カラムをよく洗浄することによって、遊離のイミノビオチン を除去した。カラムを、0.5M Tris-塩酸(pH 8.2)で平衡化させた後、見積もら れた固定化されたシスタミンに対して10モル過剰のジチオスレイトールと共に、 室温で1時間インキュベートし、シスタミン中に存在するジスルフィド結合を開 裂させた。放出された2−イミノビオチン−シスタミン分子を、14C−ヨウ化ア セトアミド(Dupont社製)によって、見積も られた1:1の割合で室温で3時間でカルボキシメチル化した。カルボキシメチル化 反応を、2−メルカプトエタノールの添加によって終了させた。標識されたイミ ノビオチン分子を、ストレプトアビジン−アガロース(Sigma社製)を使用して 精製した[Hofmannら、「イミノビオチン・アフィニティー・カラム及びストレ プトアビジンの回収への応用(Imminobiotin affinity columns and their appl ications to retrieval of streptavidin)」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77 :4666-4668(1990)]。同じプロトコールを用いて、イミノビオチン−シスタミン −アセトアミド分子を非標識化ヨウ化アセトアミドを用いて調製した。 5.会合定数の測定 Stv-A23D27とビオチンとの間、及びStv-A23E27とビオチンとの間の会合定数を 、Stv-A23D27及びStv-A23E27を別々に、種々の量のビオチン(Sigma社製)と共 に、それぞれ23.8mM及び5.96mMの最終濃度でインキュベートすることによって測 定した。ビオチンに対するストレプトアビジンのモル比は、1〜10まで変化した 。およそ用いたビオチンの0.3%が、D−[8,9−3H]ビオチン(47Ci/mmol;A mersham社製)であった。 Stv-A23D27と2−イミノビオチン−14C−グリシンとの間、及びStv-A23E27と 2−イミノビオチン−14C−グリシンとの間の会合定数を、Stv-A23D27及びStv-A 23E27を別々に1.38mMの同じ最終濃度で、種々の量の2−イミノビオチン−14C− グリシンと共にインキュベートすることによって測定した。ストレプトアビジン の2−イミノビオチン−グリシンに対するモル比は、両方のストレプトアビジン に対して1〜10まで変化した。 Stv-A23D27と2−イミノビオチンとの間、及びStv-A23E27と2−イミノビオチ ンとの間の親和定数を、2−イミノビオチン−14C−グリシンとの競合によって 見積もった。Stv-A23D27及びStv-A23E27を、1.38mMの同じ最終濃度で、利用可能 な結合部位に対して7:1のモル過剰の2−イミノビオチン−14C−グリシンと 共に、別々にインキュベートした。ストレプトアビジンに対する2−イミノビオ チンモル比は、両方の構成に対して1〜12の範囲に及ぶ。 Stv-A23D27とジアミノビオチンとの間、及びStv-A23E27とジアミノビオチ ンとの間の親和定数を、2−イミノビオチン−14C−グリシンとの競合によって 見積もった。Stv-A23D27及びStv-A23E27を、2.3mMという同じ最終濃度で、利用 可能な結合部位に対して7:1のモル過剰の2−イミノビオチン−14C−グリシ ンと共に、別々にインキュベートした。Stv-A23D27に対するジアミノビオチンの モル比は、1〜50の範囲に及んだのに対し、Stv-A23E27に対するジアミノビオチ ンのモル比は、1〜200の範囲に及んだ。 全ての混合物を25℃で平衡に達するまで18〜24時間インキュベートした。全て の反応を、150mM NaCl、50mM Hepes(pH 7.5)の200ml中で行った。放射標識さ れたリガンドの総濃度を、9.5mlの総反応物量を回収し、液体シンチレーション カウンターによって存在する放射能の量を測定することによって測定した。Ultr afree-MC遠心分離フィルターユニット(分子量カットオフ、10kDa;Millipore社 製)を用いて濾過することによって、遊離のリガンドをストレプトアビジン−リ ガンド複合体から分離し、液体シンチレーション・カウンターによって定量した (9.5ml)。平衡条件の崩壊を最小限にするため、残っている190.5mlのうちの約 14mlを、濾過装置に通過させた。 6.他の方法 タンパク質濃度を、吸光係数3.55を用いて、280でのそれらの吸収を測定する ことによって定量した。15%ポリアクリルアミド・ゲルを用いて、SDS-PAGE分析 [Smbrookら、Molecular Cloning中:A Laboratory Manual、第2版、Cold Sprin g Harbor Laboratory Press発行,Plainview,NY(1989)]を行った。タンパク質 を、クーマシーブリリアントブルーによって染色するか、又は銀染色(BioRad社 製)によって染色した。リガンド−結合能力を、PD-10カラム(Pharmacia社製) を用いるか、又はイミノビオチン−14C−グリシン又はD−[カルボニル−14C] ビオチン[Wei、「アビジンのアッセイ(Assay of Avidin)」,Methods Enzymo l.18A:424-427(1970)]によるUltrafree-MC遠心分離濾過ユニット(分子量カッ トオフ、10kDa;millipore社製)を用いることによって、ゲル濾過クロマトグラ フィーによって測定した[Laemmli,「バクテリオファージT4の頭部の組立の間の 構造的タンパク質の開裂(Cleavage of structural pro teins during the assembly of the head of bacteriophage T4)」,Nature 22 7:680-685(1970)]。 D.ストレプトアビジンのビオチン結合部位のリデザイン:ビオチンに対するよ りも他の小さな分子に対するより高い親和性を有するストレプトアビジン類似体 ストレプトアビジンは、前記したような、これらの2つの分子の間の接触の非 常に大きなネットワークのために、非常に高い親和性をもってビオチンと結合す る。そのようなネットワークは、ビオチン結合に関与する多数の残基を利用する ことによってもう1つの分子の受容体としてストレプトアビジンのビオチン結合 部位を適合させることが可能か否かを探求するのに非常に興味深い出発点を与え る。 ストレプトアビジンのビオチン結合部位を、ビオチンに対してよりもビオチン 誘導体である2−イミノビオチンに対してより高い親和性に発展させるためにリ デザインした。この化合物は、ビオチンに類似したその構造、及びビオチンと、 ビオチン結合部位において修飾が導入された後のストレプトアビジンとの間の同 様の関係のいくらかを保持する可能性のために選択された(しかしながら、ビオ チンに対する類似性のない置換体が意図されている)。このビオチン誘導体は、 ビオチンのウレイド基がグアニジノ基によって置換されていることを除いて、ビ オチンと同一の構造を有する。2つのストレプトアビジン構築物は、それぞれ2つ のアミノ酸置換を有するが、Ser-27のAspへの又はGluへの、さらにAsn-23のAla による置換という部位特異的突然変異誘発によってデザインされた。これらのス トレプトアビジン構築物は、ビオチン及び2−イミノビオチン上のこれらの修飾 の効果を参照し、ビオチン誘導体に対する特異性を有するストレプトアビジンの ビオチン結合部位を提供することが可能か否かを学ぶことによって特徴づけられ る。これらの突然変異体を、下記の理論的熟考に基づいてデザインした。 1.組換えストレプトアビジンの理論的デザイン ビオチンよりも高い会合定数を有するビオチン誘導体に結合しうるストレプト アビジン構築物の好結果のデザイン及び構築は、ストレプトアビジンの公表され ている結晶学的構造[Hendricksonら、「シンクロトロン放射の多波長変則回析 によって決定されたコア・ストレプトアビジンの結晶構造(Crystal structure of core streptavidin determined from multiwavelengh anomalous diffractio n of synchrotron radiation)」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:2190-2194( 1989);Weberら、「ストレプトアビジンへの高親和性ビオチン結合の構造的起源 (Structural origins of high-affinity biotin binding to streptavidin)」 ,Science 243:85-88(1989)]に基づくコンピューター・シミュレーション・デ ータと実験研究を組み合わせることによって;ストレプトアビジンと称するアビ ジンに類似したタンパク質と、ビオチン様分子との間のデータの存在によって; そしてストレプトアビジン−ビオチンシステムに関して行われた、分子動力学/ 自由エネルギー摂動アプローチ[Miyamoto及びKollman,「分子動力学/自由エネ ルギー摂動アプローチを用いたビオチン及びその類似体と、ストレプトアビジン との相互作用の絶対的及び相対的結合エネルギー計算(Absolute and Relative binding free energy calculations of the interaction of biotin and its an alogs with streptavidin using molecular dynamicsl/free energy perturbati on approaches)」,Proteins:Structure,Function,and Genetics 16:226-245 (1993)]からのデータによって得られた。 コンピューターによるアプローチは、ストレプトアビジン構築物のデザインの ための分子動力学/自由エネルギー摂動シミュレーションを含んでいた。ストレ プトアビジン−ビオチン複合体に関して最初の計算を行い、方法諭を試験し、こ のシステムに関する従前の実験データと一致させるように、シミュレーションで 用いるパラメーターを改善した[Green、「アビジン(Avidin)」,Adv.Protei n Chem.29:85-133(1975)]。2kcal/molの誤差の範囲内にストレプトアビジン− ビオチン複合体形成の自由エネルギーを予測するために、ストレプトアビジン− 水、ビオチン−水並びに(ストレプトアビジン−ビオチン)−水相互作用を説明 するためにデソルベーション効果(dessolvation effects)の導入が必要であっ た。これらのシミュレーション由来の情報は、組換えストレプトアビジンをデザ インするための手掛かりを与え、所望の目的を達成するためのいくつかの構築物 の形成を可能にした。これらのストレプトアビジンを得るために用いられた コンピューターアプローチは、タンパク質−リガンド相互作用を研究するための コンピューターシミュレーションにおいて用いられる本方法に沿って下記に考察 する。 2.タンパク質デザインのためのコンピューター戦略及びタンパク質−リガンド 相互作用の研究 タンパク質デザインに対するコンピューターアプローチは、結合部位の構造に 関する情報を利用しないアプローチ及びこの情報を利用してリガンド結合を分析 する、構造に基づくアプローチの2つの一般的なカテゴリーに分けられる。第1 のアプローチでは、研究者は、タンパク質の結合部位への良好な単一又は複数の マッチングを見出すために、リガンドを含む大きなデータベースを利用する。こ のアプローチでは、研究されたタンパク質の結合部位の特性についての従来の知 識が無い。この手順では、最良の可能なリガンドを得ることはできないかもしれ ないけれども、構造−活性技術を用いてさらに改良され得る最初の候補を与える 。定量的な構造−活性相関(QSAR)技術を含む、この第2のアプローチは、合理 的なドラッグデザインへの最良のアプローチを与える。伝統的なQSAR法は、未だ 決定されていないタンパク質機能を、原子の型及びタンパク質結合部位中に存在 する帯電及び疎水性などの全分子特性とを関連づけようと試みる[Jackson、「 コンピューター補助によるドラッグ・デザインに関するアップデート(Update o n computer-aided drug design)」,Curr.Opin.Biotech.6:646-651(1995)] 。 2−イミノビオチンの構造及び特性が、ストレプトアビジンのビオチン結合部 位を合理的にデザインするために使用されるので、ビオチンに対するよりも2− イミノビオチンに対してより高い会合定数を有するストレプトアビジン構築物を 得るために用いられる方法は、QSAR技術に分類される。いくらか類似したアプロ ーチは、この部位と相互作用する一連のリガンドの三次元形態及び表面特性から 結合部位の特性を推定するために発展してきたコンピューター・プログラムCOMP ASSによって用いられるものである[Jainら、「COMPASS:分子表面特性からの生 物学的活性の予測。ステロイド基準に関する性能比較(COMPASS: predicting biological activities from molecular surface properties .Performance comparisons on a steroid benchmark)」,J.Med.Chem.37:2 315-2327(1994);Jainら、「COMPASS:ドラッグ・デザインのための形態を基礎 とする機械学習ツール(COMPASS:a shape-based machine learning tool for dr ug design)」,J.Comput.Aided.Mol.Des.8:635-652(1994)]。PROLIGANDと 呼ばれるもう一つのプログラム[Waszkowyczら、「プロリガンド:de novo分子 デザインへのアプローチ。2.分子フィールド分析及びファーマコアからの新規 分子のデザイン(PROLIGAND:an approach to de novo molecular design.2.D esign of novel molecules from molecular field analysis models and pharma chores)」J.Med.Chem.37:3994-4002(1994)]は、リガンド及び帯電した疎水 性部位に関する結合部位、並びに水素結合供与体又は受容体のいずれかとしてリ ガンド基を特徴づけ;さらに、この全ての情報によって、プログラムは、ある部 位での高い親和性を達成するために要求された特性を有する新たなリガンドを構 築するための断片のライブラリーをサーチすることもできる。 ビオチンよりもストレプトアビジンに対してより高い親和性を有するビオチン 誘導体を見出すためのアプローチは、リガンドを選択すること、そして目的を達 成するためにストレプトアビジン残基を修飾することによってなされた。異なる アプローチは、ビオチン結合に関与する接触の破壊、次いで、ビオチンよりも高 い親和性を有するビオチン結合部位に結合するリガンドをデザインするための親 和性フィンガープリンティングの技術[Kauvarら、「親和性フィンガープリンテ ィングによるタンパク質へのリガンド結合の予測(Predicting ligand binding to proteins by affinity fingerprinting)」,Chem.Biol.2:107-118(1995) ]を含み得る。親和性フィンガープリンティングは、ほとんどのリガンドがより 多くの又はより少ない程度で、多数のタンパク質に結合するという観察に基づく 方法である。従って、この方法は、タンパク質の結合部位のフィンガープリント を定義し、そしてそのようなリガンドを作る性質の発見のために、多数のリガン ドが使用できることを示唆する。 ストレプトアビジン−リガンド複合体の相互作用エネルギーを、ドッキングア ルゴリズムを用いて計算した。このアルゴリズムは、それらの構造情報のみに与 えられたリガンド−受容体複合体の構造及び結合自由エネルギーを予測しようと する[Jones及びWillett、「小分子リガンドの活性部位へのドッキング(Dockin g small-molecule ligands into active sites)」,Curr.Opin.Biotech.6:6 52-656(1995)]。リガンド−タンパク質ドッキングの完全なモデルは、リガンド 及びタンパク質両者の柔軟性、リガンドの変動し得るポジショニング及びタンパ ク質−水−リガンドの全相互作用を要求する。残念ながら、タンパク質−リガン ド相互作用の詳細な処理は、コンピューターの制限のために実行できない。問題 の複雑さを減らすために、タンパク質及びリガンド両者の固定を考慮した、簡易 化されたモデルが試みられてきた。一般に、理論的予測と実験結果との間の比較 は、出発タンパク質及びリガンドのコンホメーションがそれらの活性コンホメー ション(標的タンパク質及びそのリガンドの結合コンホメーション)とそれほど 離れていないのでなければ、正確なドッキング結果が得られ得ないことを示す。 活性コンホメーションは、結晶中又は溶液中と必ずしも同じではないので、精巧 な実験なしに、柔軟なリガンド分子の活性コンホメーションを決定することは非 常に困難である。 リジッドボディードッキング法(rigid-body docking method)における明か な制限は、より限定的でないアプローチの情報へと導いてきた[Mizutaniら、「 タンパク質とリガンドの安定したドッキングモデルのための合理的な自動検索方 法(Rational automatic search method for stable docking models of protei n and ligand)」,J.Mol.Biol.243:310-326(1994);Deslarlaisら、「分子 形態による巨大分子受容体への柔軟なリガンドのドッキング(Docking flexible ligands to macromolecular receptors by molecular shape)」,J.Med.Che m.29:2149-2153(1986)]。リガンドのタンパク質へのドッキングは、タンパク 質及びリガンド両者のコンホメーションの柔軟性をいくらか可能にするアルゴリ ズムを要求する。この方法は、タンパク質がドッキング手順の早い段階の間柔軟 性がないと想定しなければならないが、その後、側鎖及びリガンドの柔軟性が、 良好に合致し、達成される最少のエネルギーが最少の地球エネルギーであること を保証する。そのような要求を伴うタンパク質−リガンドコンホメーショ ンを得るために、いくつかのドッキング・モデルが相互作用的に探索され、分子 機構計算によってエネルギーが最小化されており、それらのうち最もエネルギー の低いモデルは、地球最少エネルギー構造であると考えられる。コンピューター ・シミュレーションは、この方法の後に続いた。ストレプトアビジンの側鎖は柔 軟であるが、しかしタンパク質骨格は、計算による作業を最小化するために硬さ を残していた。 エネルギー最小化のためのサーチにおいて、及び多くの可能なコンホメーショ ンから特定のコンホメーションを選択するのに用いられる基準において用いられ る異なるアプローチもある。Kuntzのアルゴリズム[Kuntzら、「巨大分子−リガ ンド相互作用に対する幾何学的アプローチ(A geometric approach to macromol ecule-ligand interactions)」,J.Mol.Biol.161:269-288(1982)]において は、リガンド及び巨大分子両者の表面は、球のセットによって表され、最も最小 化された構造は、最良の表面総補正を有するものである。多くの得られた方針決 定は、球の間の静電気的効果を含む、ほぼファン・デル・ワールスエネルギー機 能によって評価される(scored)。この評価機能は、タンパク質−リガンド複合 体形勢の間に起きるデソルベーションを考慮しない。 Millerによるシステム[Millerら、「FLOG:三次元構造が既知の受容体に相補 的な'擬似的な柔軟性を有する'リガンドを選択するためのシステム(FLOG:a sys tem to select’quasi-flexible’ligands complementary to a receptor of kn own tree-dimensional structure)」,J.Comput.Aided.Mol.Des.8:153-17 4(1994)]は、柔軟な各リガンドのコンホメーション空間が25までの異なった低 エネルギーコンホメーション−それはリガンドの可能なコンホメーション空間の 殆どをカバーする−によって表されるデータベースを検索するために、Kuntzの アルゴリズムの修飾版を用い、そして類似の評価手順を用いる。Kuntzのアルゴ リズムのもう一つの修飾版は、リガンド構造を幾つかの硬い断片に分割し、別々 にドッキングし、後で異なるコンホメーションで全体のリガンド中へと再結合す ることによってリガンドの柔軟性を導入する。 Bacon及びMoult[Bacon及びMoult、「分子表面パターンの最小方形合致による ドツキング(Docking by least-squares fitting of molecular surface pat terns)」,J.Mol.Biol.225:849-858(1992)]は、分子表面を互いに合致させ 、リガンドをタンパク質分子の活性部位中にドッキングさせる問題への新たな解 決方法を提供する。この手順は、表面上の点のパターンを構成し[Fischerら、 「分子ドッキングプロセスの幾何学に基づく一式(A geometry-based suite of molecular docking process)」,J.Mol.Biol.248:495-477(1995)]、最小方 形最良合致アルゴリズムを用いて、それらを互いの上に重ねる。これが表面を接 触させ、それらの位置的な相補性の直接測定法を提供する。リガンド表面に関す るサーチは、その最良の相補性及び最少の立体障害を有する小さな画分が静電気 的相互作用エネルギーに対する量が求められる、多数のドッキングを生ずる。 Smellieのアルゴリズム[Smellieら、「部位特異的距離による迅速な薬物−受 容体マッピング:新規な薬理学的手掛かりを予測する新規な方法(Fast drug-re ceptor mapping by site-directed distances:a novel method of predicting n ew pharmacological leads)」,J.Chem.Inform.Comp.Sci.31:386-392(199 1)]は、両分子中の原子の間に形成される水素結合のみを考慮して、タンパク質 と柔軟なリガンドとの間の結合様式を決定する。ドッキング・アルゴリズムが、 タンパク質の窪みに埋まったリガンド分子を要求するため、この方法は、実際の ドッキング・モデルをプロデュースせず、むしろ2つの分子の間の可能な結合様 式をプロデュースする。 別のドッキング方法は、2つの型の反応物に、互いに密接な近さ(close proxi mity)で始まる運動を与えるBrownian動力学を利用する。このアルゴリズムは、 タンパク質活性部位(active site region)が、ある球の中心から球状表面への 線の10?以内にある表面領域によってか、又はタンパク質の球状表面から窪み( recessed)、活性部位の経路(channel)を定義する円錐(cone)内にある活性 部位を考慮することによって定義されている場合に、リガンドとタンパク質の両 者を球によって表す[Allisonら、「拡散制御された反応の拡張されたBrownian 動力学(Extended Brownian dynamics of diffusion controlled reaction s) 」,J.Chem.Phys.83:2894-2899(1985)]。 タンパク質とリガンドとの間の低エネルギーコンホメーションを得るために上 記の操作の多くは、モンテカルロ(Montecarlo)[Guidaら、「モンテカルロ /エネルギー最少化技術を用いたサーモリシン活性部位における阻害剤の利用し うるコンホメーション空間の調査(Probing the conformational space availab le to inhibitors in the thermolysin active site using montecarlo/energy minimization techniques)」,J.Comp.Chem.13:214-228(1992)]又は分子動 力学(Molecular Dynamics)[Banciら、「カルボキシペプチダーゼA及びその 阻害剤付加物の幾つかの活性キャビティーの分子動力学的評価(Molecular dyna mics characterization of the activecavity of carboxypeptidase A and some of its inhibitors adducts)」,Proteins:Structure,Function,and Genet ics 13:288-305(1992)]シミュレーションを利用する。第1の操作では、原子運 動は、ランダムに選択され、得られる変化は、以下のBoltzmann確率分布ととも に受け入れられる:もしexp(-DE/kt)が0と1との間のランダムな数値より大きい ならば、新たなコンホメーションは受け入れられる:そうでなければ、変化は拒 絶され、新たなランダムコンホメーションが選択される。分子動力学シミュレー ションでは、分子は、ファン・デル・ワールス及び性で汽笛エネルギー、並びに バネ様のエネルギー式によって共に表現される、それらのねじれの柔軟性及び弾 力性を考慮した、回転及び弾性の結合エネルギーを捕らえる(account for)力 領域に対応して動く。 柔軟な分子のタンパク質結合部位への移動のための別の計算的方法は、一般的な アルゴリズムを利用する。このアプローチでは、幾つかの初期配置(configurat ions)が、選択、繁殖及び突然変異のプロセスを通して発展する[Judsonら、「 柔軟な分子をドッキングする方法に基づく一般的アルゴリズム(A genetic algo rithm based method for docking flexible molecules)」,J.Molec.Struc. 308:191-206(1993)]。選択の目的のため、多くの初期配置がニッチ(niches) と呼ばれるより小さな群に細分される。配置の各集団は、結合距離などのその変 動しうる、灰色コードされた2つの表現(gray-coded binary representation) 中に保管されている、ねじれ角の全てを有する。新たな生成(generations)に 導く低エネルギー配置は、各ニッチ内の最低エネルギーを有する配置を促進する こと、小片(bits)のランダム突然変異の結果から得られるそれらのうちから低 エネルギー配置をせんたくすること、及び低いエネルギーを有する配置間 で情報を交換することの、3つの操作を用いて得る。この選択工程は、各ニッチ の最高の合致配置のうちでエネルギーが収斂するまで繰り返される。これらの配 置は、リガンドとタンパク質結合部位との間の最高の合致を表す。 ストレプトアビジンのビオチン結合部位のリデザインは、ストレプトアビジン の部分的な柔軟性及びリガンドの完全な柔軟性を許容するドッキング・アルゴリ ズムを利用した。下記の記述は、ビオチン結合部位をビオチン誘導体に適合させ るために用いられた戦略をより明瞭に説明する。 3.ストレプトアビジンのビオチン結合部位の計算によるリデザイン ストレプトアビジンのビオチン結合部位及びその小分子ビオチンに対する親和 性に関する膨大な情報を用いて、柔軟なリガンドを考慮する場合に重要となり、 巨大分子を扱う場合には通常除外される、デソルベーション効果を包含させるこ とにより、その部位の完全かつ注意深いコンピュータによるリデザインを行った 。この情報のうち、ストレプトアビジン−ビオチン複合体の既知の三次元結晶学 的構造[Hendricksonら、シンクロトロン放射の多波長変則回析によって決定さ れたコア・ストレプトアビジンの結晶構造(Crystal structure of core strept avidin determined from multiwavelength anomalous diffraction of synchrot ron radiation)」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:2190-2194(1989);Weber ら、「ストレプトアビジンへの高親和性ビオチン結合の構造的起源(Structural origins of high-affinity biotin binding to streptavidin)」,Science 24 3:85-88(1989)]は、存在する分子動力学/自由エネルギー動揺アプローチ[Miy amoto及びKollman、「分子動力学/自由エネルギー動揺アプローチを用いたビオ チン及びその類似体と、ストレプトアビジンとの相互作用の絶対的及び相対的結 合エネルギー計算(Absolute and Relative binding free energy calculations of the interaction of biotin and its analogs with streptavidin using mo lecular dynamics/free energy perturbation approaches)」,Proteins:Struc ture,Function,and Genetics 16:226-245(1993);Vajdaら、「受容体−リガン ド結合自由エネルギーに関するコンフォメーショナル柔軟性及び溶媒和の効果( Effect of conformational flexibility and solvation on receptor-ligand bi n ding free energies)」,Biochem.33:13977-13988(1994)]と共に、特に有用 であった。ビオチン結合を弱め、同時にビオチン類似体に対するストレプトアビ ジンの親和性を強めるために必要なアミノ酸置換を、遺伝子操作によるこれらの ストレプトアビジンの実際の構築に先立って、下記に詳述する理論を用いて分析 した。 そのようなストレプトアビジンの探索により、ループが結合の時にコンフォメ ーションを変化させることが、ストレプトアビジンの結晶学的分析において観察 されたにも拘わらず、ストレプトアビジン骨格が硬さを残していることが認めら れた[Hendricksonら、「シンクロトロン放射の多波長変則回析によって決定さ れたコア・ストレプトアビジンの結晶構造(Crystal structure of core strept a・vidin determined from multiwavelength anomalous diffraction of synchro tron radiation)」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:2190-2194(1989);Weber ら、「ストレプトアビジンへの高親和性ビオチン結合の構造的起源(Structural origins of high-affinity biotin binding to streptavidin)」,Science 24 3:85-88(1989)]。このことは、シミュレーションを通して計算的努力を最小化 するものと認められた。このような単純化は、硬い及び柔軟な骨格モデルの間の 無視し得るエネルギー差を示す、エネルギー動揺計算の結果には影響しない。し かしながら、タンパク質側鎖及び考慮されるリガンドは、柔軟であることを許容 された。液体環境における生物分子の挙動を再現するために、水和(water solv ation)効果を、シミュレーションに含めた。 ストレプトアビジン遺伝子上のアミノ酸置換体を選択するために用いられた基 準を、下記に記載する。下付文字s、l及びwは、それぞれストレプトアビジン、 リガンド及び水を示し(label)、上付文字f及びbは、複合体形成前後(すなわ ち、遊離状態(free state)及び結合状態(bound state))の量を示す。遊離状 態のエネルギーは、によって与えられる。ここで、最後の2つの項(terms)は、それぞれストレプ トアビジン及びリガンドと、水との別々の相互作用を表す。結合状態のエネルギ ーは、 によって与えられる。 結合時のエネルギー変化は、EQ2及びEQ1の間の差を計算することによって得ら れる。 ここで、最後の項DEwは、水の自己エネルギーにおける変化を表す。EQ3中の各 項は、それぞれの項が静電エネルギー及びファン・デル・ワールスエネルギーを 表す(accounting for)と共に、複合体中の全原子のエネルギーの和である。EQ 3中の最初の2つの項は、ストレプトアビジンとビオチンの両者の、複合体形成 時のコンフォメーショナルエネルギー変化が非常に小さいので無視できる。計算 的作業を減らすもう一つの単純化は、タンパク質−リガンド及びタンパク質−溶 媒のインターフェースは、DEs-l、DEl-w及びDEs-wのファン・デル・ワールス要 素における変化が非常に小さくなる程度によく包み込まれており(well packed )、これらの項に対する静電気力のみを考慮すればよいという事実である[Adam son,表面の物理化学(Physical Chemistry of Surfaces),Wiley社発行,NY(1 976);Novotnyら、「抗原−抗体複合体McPC603、D1.3及びHyHEL-5における結合 エネルギーの帰属に関して(On the attribution of binding energy in antige n-antibody complexes McPC603,D1.3,and HyHEL-5)」,Biochem.28:4735-47 49(1989)]。Gibbs自由エネルギー(EQ4)を計算するためには、エントロピーの 寄与、すなわちT(Sb-Sf)(ここで、Tは温度であり、Sはエントロピーであり、 下付文字はビオチンを有する及び有さないストレプトアビジンを示す)を計算す ることが必要である。 エントロピーに寄与する項は、、回転及び遷移(translational)エントロピ ー変化であるDStr;ストレプトアビジン複合体の形成時に埋められる(becomebu ried)側鎖のコンフォメーショナルエントロピー変化であるDSsc;及び疎水性エ ントロピー変化であるDShである。従って、EQ4は、 となる。 静電エネルギーは、17Åより大きいか又は等しい距離に対して静電気相互作用 を切るスイッチ機能によって制御されるCoulombicポテンシャルによって与えら れる。誘電率は、78に等しい水の誘電率と、約2をとるよく埋まったタンパク質 原子の誘電率との間の線形近似値(linear approximation)である、距離依存誘 電体4rによって置き換えられる。 エントロピーへの遷移/回転寄与は、不変因子として、複合体から独立した良 好な近似値になる[Erickson、「タンパク質−タンパク質会合における共同作用 。アクチン繊維の構造及び安定性(Co-operativity in protein-protein associ ation.The structure and stability of the actin filament)」,J.Mol.Bi ol.206:465-474(1989)]。興味があるのは、ストレプトアビジン−ビオチン類似 体複合体とストレプトアビジン−ビオチンとの間の自由エネルギーの差における 変化、すなわち、 であるから、全てのシミュレーション中において、この近似値は何ら重大な影響 を有さない。 一方、コンフォメーション及び疎水性の両者は相互作用する分子の化学特性に 依存するので、それらのエントロピーに対する寄与を決定するために、注意深い 計算を行った。疎水性自由エネルギーに対する寄与は、疎水性溶媒から親水性溶 媒(オクタノールから水)への分子の受け渡し(transferring)の自由エネルギ ーーを計算する手順[Eisenberg及びMcLachlan、「タンパク質折り畳み及び結合 における溶媒和エネルギー(Solvation energy in protein folding and bindin g)」,Nature 319:199-203(1986)]に基づく。これは、20のアミノ酸の側鎖タ イプのそれぞれに対して荷電された原子(N-又はO-)、荷電されていない極性原 子(N/O又はS)及び非極性原子(C)という5つのタイプのそれぞれに対す る溶媒−暴露(solvent-exposed)表面領域を計算することによってなされる。 そして、疎水性エネルギーにおける変化は、 に従って、容易に計算できる。 コンフォメーショナルエントロピーにおける変化は、複合体形成の結果として 埋まる(水に暴露されない)タンパク質及びリガンドの側鎖をモニターすること によって得られた。エントロピー変化は、DS=a DSmax(ここで、aは、複合体形 成時に埋まる側鎖の画分を表す)に従って、水との接触を失う側鎖の量を測る( scaling)ことによって得られた。その溶媒−接近可能な領域の60%以上が複合 体形成の結果として埋まる場合、アミノ酸の全ての側鎖のコンフォメーショナル エントロピーが失われたことが認められた。Smaxは、EQ8の関係とpij値、すなわ ちコンフォメーショナル状態iにある側鎖型jの可能性を用い、既知のX線構造を 有するタンパク質中の露出した側鎖の分布において観察されたデータに従って評 価した[Pickett及びSternberg、「タンパク質折り畳みにおける側鎖コンフォメ ーショナルエントロピーの経験的なスケール(Empirical scale of side-chain conformational entropy in protein folding)」,J.Mol.Biol.231:825-839( 1993)]。 E.結果及び考察 1.Stv-A23D27 及びStv-A23E27のデザイン ストレプトアビジンとビオチンとの間に存在する多数の水素結合及びたくさん のファン・デル・ワールス相互作用[Hendricksonら、「シンクロトロン放射の 多波長変則回析によって決定されたコア・ストレプトアビジンの結晶構造(Crys tal structure of core streptavidin determined from multiwavelength anoma lous diffraction of synchrotron radiation)」,Proc.Natl.Acad.Sci.US A 86:2190-2194(1989);Weberら、「ストレプトアビジンへの高親和性ビオチン 結合の構造的起源(Structural origins of high-affinity biotin binding to streptavidin)」,Science 243:85-88(1989)]は、ビオチン結合に関与する多 数の残基を利用して、他の分子に対する受容体として、ストレプトアビジンのビ オチン結合部位を適合させることが可能か否かを調査するための魅力的な出発点 を与える。これは、ビオチンに対するその特異性をビオチン誘導体2−イミノビ オチンに対するそれにシフトさせるために、ストレプトアビジン中にアミノ酸置 換を導入することによって達成される。 この問題の新たな側面は、ストレプトアビジンのビオチン結合部位における修 飾は、ビオチンに対する親和性を低下させる一方で、ビオチン誘導体に対する高 い親和性を与えなければならないということである。デザインは、強い結合を失 わないために、ストレプトアビジンとビオチンとの間に存在する接触及び形の相 補性の大部分を保持しうる分子に制限された。この考慮は、デザインを単純化し 、所望の生成物に導く強力なガイドラインを提供した。 最初に、我々はストレプトアビジン結合部位中のアミノ酸の1つを置換して、 そのアミノ酸とビオチンとの間の立体障害を作り、ビオチン結合を阻害すること を考えたが、そのような修飾は、得られるタンパク質の三次元構造に大きな変化 をもたらしやすく、リデザインされたストレプトアビジンのビオチン結合部位に 対する非常に高い親和性を有する小さな分子を探索する事を非常に難しくするの で、この考えは、直ぐに捨てられた。その代わりに、ストレプトアビジンに顕著 に類似するタンパク質アビジンと多種のビオチン誘導体との間の公表されている データの分析[Green、「アビジン(Avidin)」,Adv.Protein Chem.29:85-1 33(1975);Green、「アビジンによるビオチン及び幾つかの類似体の結合の熱動 力学(Thermodynamics of the binding of biotin and some analogs by avidin )」,Biochem.J.101:774-780(1966)]により、ストレプトアビジンのビオチ ン結合部位への結合可能性に関するビオチン構造の段階的な修飾の効果の詳細な 図面(picture)が提供された。これらの結果は、ビオチンのウレイド酸素と相 互作用する残基上のアミノ酸置換が、ストレプトアビジンとビオチンとの間の高 い親和性を低下させることを示している。ストレプトアビジン−ビオチン複合体 の三次元構造から、Asn-23、Ser-27及びTyr-43の側鎖がウレイド酸素と水素結合 を形成することが明らかである[Hendricksonら、「シンクロトロン放射の多波長 変則回析によって決定されたコア・ストレプトアビジンの結晶構造(Crystal st ructure of core streptavidin determined from multiwavelength anomalous d iffraction of synchrotron radiation)」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:21 90-2194(1989);Weberら、「ストレプトアビジンへの高親和性ビオチン結合の構 造的起源(Structural origins of high-affinity biotin binding to streptav idin)」,Science243:85-88(1989)]。 以前に得られた部分的原子荷電データを用いて、ストレプトアビジン−ビオチ ン複合体に関して行われた分子の動力学/自由エネルギー動揺アプローチ[Miya moto及びKollman、「分子動力学/自由エネルギー動揺アプローチを用いたビオ チン及びその類似体と、ストレプトアビジンとの相互作用の絶対的及び相対的結 合エネルギー計算(Absolute and Relativebinding free energy calculations of the interaction of biotin and its analogs with streptavidin using mol ecular dynamics/free energy perturbation approaches)」,Proteins:Struct ure,Function,and Genetics 16:226-245(1993)]も、ウレイド酸素との3つの 水素結合を不安定化する突然変異が、ビオチン結合能力を弱めることを示唆して いる。ウレイド酸素上の見積もられた理論的部分的原子電荷は、-0.65 e[Miyam oto及びKollman、「分子動力学/自由エネルギー動揺アプローチを用いたビオチ ン及びその類似体と、ストレプトアビジンとの相互作用の絶対的及び相対的結合 エネルギー計算(Absolute and Relative binding free energy calculations o f the interaction of biotin and its analogs with streptavidin using molecular dynamics/free energy perturbation approaches)」,Proteins:Str ucture,Function,and Genetics 16:226-245(1993)]であり、ビオチンのカル ボニル基がpH不感受性であるので、ストレプトアビジンのビオチン結合部位中へ のAsp又はGlu(pKCOOHがそれぞれ1.88及び2.19)などの塩基性アミノ酸の導入[ Lehningerら、生化学の原理(Principles of Biochemistry)中,pp.113,第2 版、Worth Publishers,Inc.出版NY(1996)]は、これらのアミノ酸のカルボキシ ル基とビオチンのウレイド酸素との間の十分な静電気的反発作用を引き起こし、 ストレプトアビジンとビオチンとの間の親和性を低下させる。これは、残基Ser- 27をAsp又はGluのいずれかと置換した2つのストレプトアビジン構築物のデザイ ンへとつながった。Ser-27は、ビオチンのウレイド基に対するその近接のため、 Asn-23及びTyr-43よりも好ましい。このような突然変異の導入は、ビオチンを置 き換える良好な置換体が、2−イミノビオチン及びジアミノビオチンなどの、ビ オチンのウレイド基の位置にプラスに荷電された基を含むビオチン誘導体である ことを示唆した。これらの分子は、ビオチンに類似した構造を有しており、残基 27のカルボキシル基と都合良く(favorably)相互作用できる。さらに、コンピ ューター・シミュレーションは、Asn-23をAlaによって置換して、ビオチンとAsn -23との間の可能な水素結合を消失させる必要があることを示した。このように 、このことは、それぞれSer-27のAspへの置換及びAsn-23のAlaへの置換、並びに Ser-27のGluへの置換及びAsn-23のAlaへの置換を有するストレプトアビジン構築 物Stv-A23D27及びStv-A23E27の構築につながった。 2.ストレプトアビジン変異体の発現及び精製 Stv-A23D27及びStv-A23E27を、T7発現系を用いて大腸菌中で効率的に発現させ た。両構築物を、ジアミノビオチン・アフィニティー・クロマトグラフィーを含 む単純な操作によって均質に(homogeneity)精製した。Stv-A23D27が、〜900mg /培養物100mlの収量で、安定な四量体分子を形成するのと異なり、Stv-A23E27は 約5倍低い再生能力を有する。 我々は、Stv-A23D27の再生効率を、塩濃度を増加させること及びpH条件を変化 させる(pH4〜6)ことによって、改善することを試みた。10mM尿素を再生 工程において添加すると、再生された溶解画分中に存在する四量体の量を測定す ることによるSDS-PAGEによって判定したところ、収量は徐々に100〜200mg/培養 物100mlに増加した。Stv-A23E27は、再生工程における2−イミノビオチンの添 加によって、上記のようにSDS-PAGEによって判定したところ、2倍以上の収量と なったが;このタンパク質は、ジアミノビオチン−アガロースを用いて回収でき なかった。これは恐らく、構築物と2−イミノビオチンとの間の強い結合のため であろう。Stv-A23E27の再生工程におけるジアミノビオチンの存在もタンパク質 収量を改善したが;2−イミノビオチン−アガロース(Sigma社製)によるジア ミノビオチン−ストレプトアビジン構築物の精製によっては、SDS-PAGEによって 判定した場合に、検出しうる量の固定化されたタンパク質は得られなかった。 Stv-A23D27及びStv-A23E27の精製操作は、別々の容器で、各タンパク質約3mg を、2−イミノビオチン−アガロース及びジアミノビオチン−アガロースと共に 、pH2〜11の範囲でインキュベートすることによって開発した。ジアミノビオチ ン−アガロースは、SDS-PAGEによって判定したところ、それぞれpH4〜9及び5〜 8の範囲で、Stv-A23D27及びStv-A23E27に結合した。化合物2−イミノビオチン −アガロースは、それぞれpH7〜11及び5〜11の範囲で、Stv-A23D27及びStv-A23E 27に結合した。次に、溶出条件を決定した。ジアミノビオチン−アガロースに結 合したタンパク質を、pH2〜5の範囲及びpH8〜11の範囲の溶液中でインキュベー トして、タンパク質遊離を促した;2−イミノビオチン−アガロースに結合した タンパク質を、pH1.5〜4の範囲の溶液中でインキュベートした。ジアミノビオチ ン−アガロースによるアフィニティー・クロマトグラフィーにより、均質に精製 されたストレプトアビジンが得られた。2−イミノビオチン−アガロースからの 溶出は、変性条件下でのみ達成できた。 3.放射標識されたジアミノビオチン及び放射標識された2−イミノビオチンの 調製 2−イミノビオチン又はジアミノビオチンなどのビオチン誘導体の放射標識は 、競合アッセイによる新たにデザインされたストレプトアビジンとこれらの誘導 体 との間の会合定数を測定するために、これらのビオチン誘導体内の少なくとも1 つと放射標識された分子との共有結合を必要とした。カルボジイミドを用いて共 有的にそのカルボキシル末端を放射標識された分子の単一のアミノ基にコンジュ ゲートさせることによるジアミノビオチンの放射標識を目的とした実験はうまく いかなかった。これらの試みは、ジアミノビオチンの第1級アミンを可逆的にブ ロックする無水シトラコン酸の使用にも拘わらず、ジアミノビオチン分子のカル ボキシル基と他のジアミノビオチン分子のアミノ基との副反応のために失敗した 。 一方、多様な化合物によるNHS−イミノビオチンを放射標識する幾つかの試 みは、コンジュゲートされていない放射標識された分子の量を測定することによ って判定したところ、全ての場合に95%超の効率で、特異的かつ効率的であった 。高いコンジュゲーション効率にも拘わらず、単一種生成物を得るために、修飾 されていない、非標識化2−イミノビオチンから放射標識された2−イミノビオ チンを分離する精製操作を考案する必要があった。我々は、2−イミノビオチン のカルボキシル末端の修飾によって、2−イミノビオチンとストレプトアビジン との間の会合定数とは異なるストレプトアビジンに対する会合定数を有する生成 物が得られると考えた。 非標識化アミノ酸(メチオニン、バリン、アラニン、イソロイシン、ロイシン 、シスチン及びグリシン)を、それらの第1級アミンによってNHS-2-イミノビオ チンと結合し、どのアミノ酸が薄層クロマトグラフィー(TLC)によって未反応 物質からよりよく分離させるかを試験した。グリシンがこれらの分子のうちで最 も有望だったので、我々は、イミノビオチンと放射標識されたグリシンとの間の コンジュゲートを作製し、未反応物質からのその精製を試みた。NHS-イミノビオ チンは、5%ニトロプルシッド・ナトリウム2ml、10%水酸化ナトリウム1ml、3% 過酸化水素5ml及び水(65)15mlを含む溶液を用いて検出した。この溶液は、そ の2−イミノビオチンとの化学反応による紫のスポットを与えた。未反応のグリ シンは、第1級アミンと反応し、橙色のスポットを生じるニンヒドリン(Sigma 社製)で検出した。しかしながら、上記のニトロプルシッド溶液によるイミノビ オチン−グリシンの検出は、未反応のNHS-イミノビオチンの検出程の効率ではな かった。 NHS-イミノビオチンの最初の放射標識は、14C−グリシン(98mCi/mmol;Amers ham社製)をグリシンに対してNHS-2−イミノビオチンを50:1のモル比で用いて 達成した。我々は、クロロホルム:メタノール:酢酸の9:1:1の容量比の溶出液 による、シリカゲル60 F254プレート(EM Separations Technologies社製)上で のTLCを用いて最初の精製を試みた。この溶液は、未反応グリシンからの2−イ ミノビオチン−グリシンの効率的な分離を可能にした。しかしながら、未反応2 −イミノビオチンからの2−イミノビオチン−グリシンの分離は、NHS-イミノビ オチンを溶解するのに必要な有機溶媒ジメチルスルホキシド(DMSO)の使用のた めに、小規模であり、困難であった。DMSOは、シリカ・プレート上に載せられた 物質を拡散させ、反応物から生成物を区別することをより困難にした。分解能を 改善するために、DMSO及びNHS-イミノビオチンの濃度を低下させ、2−イミノビ オチン−グリシンを小さな部位に集中させるようにした。この方法では、未反応 2−イミノビオチンの混入を最少化することはできたが、代わりに、精製された 2−イミノビオチン−グリシンの量は顕著に減少した。 我々は、塩酸[1−3H]エタン−1−オール−2−アミン(29Ci/mmol;Amersham 社製)を用い、エタノールアミンに対するNHS-2−イミノビオチンの50:1のモル 比で、放射標識された2−イミノビオチン分子を得ることをも試みた。2−イミ ノビオチンから2−イミノビオチン−エタノールアミンを分離するのに使用した 溶液は、sec−ブタノール:酢酸:水の40:20:20の容量比であった。放射標識さ れた分子の検出は、容易に達成されたが;2−イミノビオチン−エタノールアミ ンには、未反応の2−イミノビオチンが混入しており;そして放射標識された複 合体は、我々の用途には有用でなかった。 TLCによる未反応2−イミノビオチンからの放射標識された2−イミノビオチ ンの精製を目的とするすべての操作はうまくいかなかった。従って、別の精製操 作を、放射標識された分子への未反応2−イミノビオチンのコンジュゲートの前 に、未反応2−イミノビオチンの大モル過剰(large molar excess)を最小化す るために開発した。これは、ジスルフィド含有物質であるシスタミンを、そのア ミンの1つによってNHS-活性化セファロースに、及びNHS-2−イミノビオチンを シスタミンの残っている利用可能なアミンに固定化することによって達成さ れた。この方法では、非固定化NHS-2−イミノビオチン分子を除去し、開裂し得 るシスタミン・リンカーによって、セファロース・マトリックスに結合した2− イミノビオチンを残した。シスタミン−2−イミノビオチン分子を、還元剤によ って遊離させ、シスタミンのスルフヒドリル基によって14C−ヨウ化アセトアミ ドに結合させた。 この2−イミノビオチン固定化操作は、単一種分子を得るため、及びストレプ トアビジンのビオチン結合部位に対する2−イミノビオチンと2−イミノビオチ ン−シスタミン−アセトアミドとの間の競合に由来する複雑さを回避する必要が あった。2−イミノビオチン−シスタミン−アセトアミドは、その修飾されてい ないカルボキシル基のために、Asn-49及びSer-88と水素結合を形成することはで きないが、2−イミノビオチンは、水素結合を形成できるので、2−イミノビオ チン−シスタミン−アセトアミドは、2−イミノビオチンよりもストレプトアビ ジンに対して低い会合定数を有すると期待されたが、2−イミノビオチンの2− イミノビオチン−シスタミン−ヨウ化アセトアミドへの混入のために、会合定数 の測定においてエラーが生じた。 14C−ヨウ化アセトアミドによる2−イミノビオチン−シスタミンの標識効率 は、14C−ビオチンによって測定された既知の量のストレプトアビジンに結合し ている放射標識された2−イミノビオチンの量を測定することによって見積もら れたように、70〜80%の間であった。このことは、恐らく、シスタミンのスルフ ヒドリル基による2−イミノビオチン−シスタミン二量体の形成のために、必ず しも全ての修飾された2−イミノビオチン−シスタミン分子が放射標識されるわ けではないことを示した。単一種分子を得るために、ジスルフィドを減少させる ためのDTTを添加し、次いで非標識ヨウ化アセトアミドを添加した。未反応のヨ ウ化アセトアミドを、ストレプトアビジン・カラムによって2−イミノビオチン −シスタミン−アセトアミド分子を精製することによって除去した。 最終生成物の純度を試験するために、修飾された2−イミノビオチン分子を、 天然のコア・ストレプトアビジンに対して1.5、2及び3のモル比でインキュベー トした。過剰の2−イミノビオチン−シスタミン−アセトアミドとは関係なく、 同量の放射標識された物質が結合されて残っていることが観察された。このこと は、精製された混合物が、放射標識された、及び放射標識されていないイミノビ オチン−シスタミン−アセトアミド分子の単一種からなっているか、又は精製さ れた2−イミノビオチン−シスタミン−アセトアミド溶液中の修飾されていない 2−イミノビオチンの濃度が低すぎて検出できないことを示していた。 この操作に加えて、我々は、ストレプトアビジンとビオチン誘導体との間の会 合定数を測定するのに用いる14C−又は3H−標識2−イミノビオチン物質を得る ことのできるFPLC系上での逆相クロマトグラフィーを用いるもう一つのプロトコ ールを開発した。さらに、いくつかのアミノ酸(トリプトファン、チロシン、ロ イシン、イソロイシン、メチオニン、アスパラギン酸、セリン及びグリシン)を 、それらのアミノ基をNHS-イミノビオチンとコンジュゲートするのに用いた。実 験結果は、2−イミノビオチン及びトリプトファンから、2−イミノビオチン− トリプトファンが良好に分離されたことを示した。しかしながら、この複合体は 、精製操作の間に用いられる酸性条件下で分解し、さらに、会合定数を測定する ために用いられる濾過膜に非特異的に結合した。 一方、イミノビオチン−グリシンは酸性条件下で安定であり、濾過膜と相互作 用せず、逆相カラムによって精製できた。精製操作において生成物を溶出するの に、極性有機溶媒は必要なかった。リン酸バッファーによるカラムの洗浄によっ てDMFを除去すると直ぐに、2−イミノビオチン−グリシンが容易に溶出し、次 いで2−イミノビオチン及び未反応のNHS-イミノビオチンが溶出したことが観察 された。精製された2−イミノビオチン−グリシン複合体の品質を、14C−ビオ チン及び2−イミノビオチン−14C−グリシンへの、同一量のストレプトアビジ ンの結合能力を別々に測定することによって決定した。2−イミノビオチン−14 C−グリシンを有するサンプルは、14C−ビオチンで測定された量よりも1%〜2% 低い量で得られた。この実験を類似の結果を有する2−イミノビオチン−14C− グリシンの2倍量で繰り返した。これは、2−イミノビオチン−14C−グリシン の純度は少なくとも98%であるという結論を導いた。この生産物の放射化学的純 度は、天然のコア・ストレプトアビジンの10倍モル過剰量の存在下に、2−イミ ノビオチン−14C−グリシンをインキュベートすることによって得られた。遊離 の標識の量は、1.1%〜0.7%の間であった。 4.会合定数 ビオチンに対して非常に低い親和性を有するストレプトアビジン構築物は、ス トレプトアビジンのビオチン結合部位内の2つのアミノ酸置換を導入することに よって得た。Stv-A23D27とビオチンとの間の会合定数及びStv-A23E27とビオチン との間の会合定数を、それぞれ(1.4 0.2)×104 M-1、及び(1.4 0.2)×105 M -1で測定した。Gluのより長い側鎖がビオチンのウレイド酸素との静電気的反発 作用だけでなく、ビオチンに立体的な障害を引き起こすので、残基27にGluを含 むStv-A23E27は、同じ残基にAspを有するStv-A23D27よりも低いビオチンに対す る会合定数を有すると期待された。Stv-A23E27のビオチンに対するより高い会合 定数は、主に、Asp-27及びGlu-27の側鎖とAsp-128の側鎖との間の静電気的反発 作用の差によるものと考えられる。これらの仮定に基づいて、この結果は、恐ら く、ビオチンがStv-A23D27に対するよりも強くStv-A23E27に結合し、Asp-27とAs p-128との間の反発作用よりも高い、Glu-27とAsp-128との間の反発作用を最小化 することを示唆している。 Stv-A23D27と2−イミノビオチン−14C−グリシンとの間、及びStv-A23E27と 2−イミノビオチン−14C−グリシンとの間の会合定数は、それぞれ(3.2 0.2 )×105 M-1及び(3.1 0.2)×105 M-1で見積もった。これらの測定は、修飾さ れていない2−イミノビオチン及びジアミノビオチンと、2−イミノビオチン−14 C−グリシンの補助による競合アッセイによるこれらのストレプトアビジンと の間の会合定数を決定するのに有用であった。Stv-A23D27と2−イミノビオチン との間の会合定数は、Stv-A23D27と2−イミノビオチン−14C−グリシンとの間 の会合定数より約3倍高い、(1.0±0.1)×106M-1で測定した。しかしながら、S tv-A23E27は、Stv-A23E27と2−イミノビオチン−14C−グリシンとの間の会合定 数より約2.5倍小さい、(1.2±0.2)×105M-1の会合定数を有していた。さらに 、これらの結果の分析は、これらのストレプトアビジン構築物中に第2の結合部 位が存在することを示している。Stv-A23D27と2−イミノビオチン−14C−グリ シンとの間、及びStv-A23E27と2−イミノビオチン−14C−グリシンとの間の、 この新たな部位での会合定数は、それぞれ(5.1±1.9)×104M-1 及び(6.0±1.2)×104M-1である。 ジアミノビオチンは、2−14C−イミノビオチン−グリシンよりも低い親和性 で両ストレプトアビジン構築物と結合した。Stv-A23D27とジアミノビオチンとの 間の会合定数は、(2.7±0.3)×104M-1で測定した。2−イミノビオチン−14C −グリシンとジアミノビオチンとの間の顕著な親和性の差のために、Stv-A23E27 とジアミノビオチンとの間の会合定数を正確に測定することは困難であった。集 められたデータから、我々はこの会合定数の上限が5×103M-1であると見積もる 。 Stv-A23E27とジアミノビオチンとの間の会合定数が非常に低いにも拘わらず、 我々は、ジアミノビオチン−アガロースを用いたアフィニティー・クロマトグラ フィーによって均質なStv-A23E27に精製することができた。この結果は、ストレ プトアビジン中に4つの利用可能なビオチン結合部位が存在し、いくつかの固定 化されたジアミノビオチン分子が単一のストレプトアビジン四量体に同時に結合 できると考えれば、説明することができる。 上述のように、ビオチンのウレイド酸素と相互作用する残基中の2つのアミノ 置換の導入は、ストレプトアビジンとビオチンとの間の強い結合を不安定化する のに充分であることは明かである。ストレプトアビジンのビオチン結合部位に導 入された、Asn-23に対するAla置換及びSer-27に対するAsp及びGluの追加の置換 は、pH7.5で、少なくとも10のオーダーの大きさの親和性の低下につながる、ビ オチン結合における劇的な効果を有していた。 Stv-A23D27は、ビオチンに対する非常に弱い親和性を有しており、そしてイミ ノビオチンに対してほぼ100倍高い親和性を有する。一方、Stv-A23E27は、ビオ チン及び2−イミノビオチンと、類似の親和性で結合する。しかしながら、Stv- A23E27は、修飾されていないイミノビオチンよりも3倍高い親和性で2−イミノ ビオチン−グリシンに結合する。これは、2−イミノビオチンに共有結合されて いる(covalently to 2-iminobiotin)グリシンが、ストレプトアビジンのアミ ノ酸と相互作用するという興味深い結果である。 上記の記載は、ストレプトアビジンのビオチン結合部位を適合させて、ビオチ ン誘導体である2−イミノビオチンが、ビオチンよりも高い会合定数でこの結合 部位に結合できることを実証する。これらのストレプトアビジン構築物は、スト レプトアビジン−ビオチン複合体を用いる実験において有用である。これらの構 築物のビオチン結合能は失われるので、これらのストレプトアビジン構築物は、 天然のストレプトアビジンが、標識されたビオチンの添加後に、信号を発生する ことなく結合する、非特異的結合部位をブロックするのに使用できる。Stv-A23D 27及び2−イミノビオチンは、ビオチンの存在がストレプトアビジン−ビオチン 系の利用を妨げる実験に用いることもできる。最後に、これらのタンパク質が、 pHに依存するジアミノビオチンに対する親和性を有し、それらの精製が穏やかな 条件を必要とするので、Stv-A23D27又はStv-A23E27のいずれかは、ジアミノビオ チン化された分子の精製に利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 サノ,タケシ アメリカ合衆国 02144 マサチューセッ ツ州,ボストン,ロングフェロー プレー ス ナンバー27151番地 (72)発明者 ヴァジダ,サンダー アメリカ合衆国 02050 マサチューセッ ツ州,メドフィールド,ヒルクレスト ロ ード 8 (72)発明者 スミス,カッサンドラ アメリカ合衆国 02115 マサチューセッ ツ州,ボストン,ベイ ステート ロード ナンバー6 11番地 (72)発明者 カンター,チャールズ アメリカ合衆国 02115 マサチューセッ ツ州,ボストン,ベイ ステート ロード ナンバー6 11番地

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ビオチンに対するよりもビオチン置換体に対してより高い親和性を有するス トレプトアビジン変異体をコードする核酸配列。 2.前記ストレプトアビジン変異体がビオチンに対するよりも2−イミノビオチ ンに対してより高い親和性を有する、請求項1に記載の核酸配列。 3.前記配列が、159固のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの16〜133 番目のアミノ酸からなるストレプトアビジン変異体をコードし、該変異体が1以 上のアミノ酸置換を含むように、該配列が1以上のコドン置換を含む、請求項1 に記載の核酸配列。 4.前記159個のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの23位のAsnに対す るコドンが、Alaに対するコドンによって置換されている、請求項3に記載の核酸 配列。 5.前記159個のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの27位のSerに対す るコドンがGluに対するコドンによって置換されている、請求項4に記載の核酸配 列。 6.前記159個のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの27位のSerに対す るコドンがAspに対するコドンによって置換されている、請求項4に記載の核酸配 列。 7.ストレプトアビジン変異体が1以上のアミノ酸置換を含み、且つビオチンに 対するよりもビオチン置換体に対してより高い親和性を有するように、該配列が 1以上のコドン置換を含む、159個のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジン の16〜133番目のアミノ酸からなるストレプトアビジン変異体をコードする核 酸配列。 8.前記ストレプトアビジン変異体がビオチンに対するよりも2−イミノビオチ ンに対してより高い親和性を有する、請求項7に記載の核酸配列。 9.前記159個のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの23位のAsnに対す るコドンがAlaに対するコドンによって置換されている、請求項8に記載の核酸配 列。 10.前記159個のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの27位のSerに対す るコドンがGluに対するコドンによって置換されている、請求項9に記載の核酸配 列。 11.前記159個のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの27位のSerに対す るコドンがAspに対するコドンによって置換されている、請求項9に記載の核酸配 列。 12.ビオチンに対するよりもビオチン置換体に対してより高い親和性を有するス トレプトアビジン変異体。 13.前記変異体がビオチンに対するよりも2−イミノビオチンに対してより高い 親和性を有する、請求項12に記載のストレプトアビジン変異体。 14.前記変異体が1以上のアミノ酸置換を含む、159個のアミノ酸からなる天然の ストレプトアビジンの16〜133番目のアミノ酸からなる、請求項13に記載のスト レプトアビジン変異体。 15.前記159個のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの23位のAsnがAla によって置換されている、請求項14に記載のストレプトアビジン変異体。 16.前記159個のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの27位のSerがGlu によって置換されている、請求項15に記載のストレプトアビジン変異体。 17.前記159個のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの27位のSerがAsp によって置換されている、請求項15に記載のストレプトアビジン変異体。 18.ストレプトアビジン変異体が1以上のアミノ酸置換を含み、且つビオチンに 対するよりも2−イミノビオチンに対してより高い親和性を有する、159個のア ミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの16〜133番目のアミノ酸からなるス トレプトアビジン変異体。 19.前記159個のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの23位のAsnがAla によって置換されている、請求項18に記載のストレプトアビジン変異体。 20.前記159個のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの27位のSerがGlu によって置換されている、請求項19に記載のストレプトアビジン変異体。 21.前記159個のアミノ酸からなる天然のストレプトアビジンの27位のSerがAsp によって置換されている、請求項19に記載のストレプトアビジン変異体。
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