JP2001514190A - 細胞傷害性t細胞免疫を引き出すペプチド - Google Patents

細胞傷害性t細胞免疫を引き出すペプチド

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Abstract

(57)【要約】 抗癌治療のための癌ワクチンおよび組成物中に用いるための細胞傷害性T細胞性免疫を引き出す癌遺伝子タンパク質生成物の合成ペプチド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の概要) 本発明は、細胞傷害性T細胞免疫を引き出すp21 ras癌遺伝子タンパク 質生成物に対応する合成ペプチド、および前記ペプチドを包含する抗癌治療のた
めの癌ワクチンおよび組成物、ならびに活性化ras遺伝子から生じる癌の治療
または予防のための方法に関する。
【0002】 本発明は、特異的細胞傷害性T細胞からの免疫応答の活性化および強化による
身体それ自体の免疫系を用いることを基礎にした、抗癌治療または予防のさらな
る開発を示す。
【0003】 (背景技術) 癌の開始に関する遺伝子的背景は、癌原遺伝子および癌遺伝子である。癌原遺
伝子は、癌遺伝子になる能力を有する細胞の正常遺伝子である。癌遺伝子はすべ
て、タンパク質をコードし、そしてタンパク質を介して機能する。癌遺伝子は、
事実、点突然変異または転座(トランスロケーション)により癌原遺伝子から生
じ、それにより突然変異を保有する細胞の形質転換状態を生じる。癌は、いくつ
かの突然変異事象を包含する多段階工程および癌遺伝子により発症する。
【0004】 その最も簡単な形態では、癌原遺伝子における単一塩基置換はその結果生じる
遺伝子生成物を1個のアミノ酸のみが異なるようにし得る。細胞内「自己」タン
パク質は、正常ペプチドと単一アミノ酸が異なるペプチドからなる腫瘍拒絶抗原
を生じ得ることが示されている。腫瘍細胞の表面での主要組織適合抗原(MHC
)分子の関係でこれらのペプチドを認識するT細胞は、腫瘍細胞を殺害し、した
がって宿主から腫瘍を拒絶し得る。
【0005】 その元の配座での抗原を典型的に認識するB細胞により産生される抗体に対比
して、T細胞は、抗原がMHC分子と結合し、それにより提示される場合のみ、
抗原を認識する。通常、この結合は、MHC分子の溝にペプチドが適合するよう
に、タンパク質のタンパク質分解性断片化を包含する適切な抗原プロセッシング
後にのみ起こる。それによりT細胞は、細胞内タンパク質由来のペプチドを認識
することもできるようになる。したがって、T細胞は、理論的には、腫瘍細胞の
表面のMHC分子の関係で腫瘍細胞中のどこから得られる異所性ペプチドでも認
識し、そして実質的に異所性癌遺伝子を保有する腫瘍細胞を排除するよう活性化
され得る。
【0006】 M. Barinaga, Science, 257, 880-881, 1992は、MHCがペプチドをどのよう
に結合するかについての短い論評を提供する。本発明に関する技術的背景のより
包括的な説明は、D. Male et al., Advanced Immunology, 1987, J. B. Lippinc
ott Company, Philadelphiaに見出し得る(これらの記載内容はすべて、参照と して本明細書中に組み込まれる)。
【0007】 ヒトのMHC分子は、普通はHLA(ヒト白血球抗原)分子と呼ばれる。それ
らは、ヒト第6染色体上のHLA領域によりコードされる。
【0008】 HLA分子は、染色体のどの領域がそれらをコードし、それらが相互に作用し
、それにより主として活性化するT細胞亜集団によって、2つの別個の種類のよ
うに見える。HLAクラスI分子はHLA A、BおよびC亜遺伝子座によりコ ードされ、それらは主にCD8+細胞傷害性T細胞を活性化する。HLAクラス
II分子はDPR、DPおよびDQ亜遺伝子座によりコードされ、主にCD4+
T細胞を活性化する。
【0009】 普通はすべての個体が、通常では3つの亜群A、BおよびCの各々からの2つ
の対立遺伝子で、計6つの異なるHLAクラスI分子を有する。しかしながら、
いくつかの場合には、異なるHLAクラスI分子の数は、同一HLA対立遺伝子
の2回の出現のために低減される。
【0010】 遺伝子生成物はすべて、高多型性である。したがって、異なる個体は、他の個
体とは異なる別個のHLA分子を発現する。これが、移植においてHLA適合臓
器ドナーを見つけることの難しさの根本原理である。免疫生物学におけるHLA
分子の遺伝的変異の意義は、免疫応答遺伝子としてのそれらの役割に反映される
。それらのペプチド結合能力によって、あるHLA分子の存否が特定のペプチド
エピトープに応答する個体の能力を支配する。結果として、HLA分子は疾病に
対する耐性または感受性を確定する。 T細胞は、種々のメカニズムにより癌の発症および増殖を抑制し得る。HLA
クラスI制限化CD8+およびHLAクラスII制限化CD4+の両方の細胞傷
害性T細胞は、適切な腫瘍抗原を提示する腫瘍細胞を直接殺害する。普通は、C
D4+ヘルパーT細胞は細胞傷害性CD8+T細胞応答に必要とされるが、しか
し適切なペプチド抗原が提示されると、細胞傷害性CD8+T細胞は直接活性化
されて、より迅速な、より強力かつより有効な応答を生じ得る。
【0011】 HLAクラスII分子により提示されるペプチドは種々の長さ(12〜25ア
ミノ酸)を有する一方、HLAクラスI分子により提示される該ペプチドは普通
は、HLA結合溝に適合するためにきっかり9個のアミノ酸残基でなければなら
ない。より長いペプチドは、HLA溝で提示される前に、APCまたは標的細胞
、例えば癌細胞により内部でプロセッシングされ得ない場合には非結合を生じる
。9個のアミノ酸というこの必要条件からの非常に限定された数だけの偏差が報
告されており、それらの場合、提示ペプチドの長さは8または10アミノ酸残基
長のいずれかであった。
【0012】 結合に必要なペプチド長のこの差に関する説明は、HLAクラスIおよびII
分子のペプチド結合溝の性質の中に見出される。HLAクラスIのペプチド結合
溝は両端で閉じられているが、一方HLAクラスIIのペプチド結合溝は両端で
開放されており、したがって突き出るより長いペプチドの結合を可能にする。
【0013】 HLAクラスIおよびII結合の両方に関する要件は、ペプチドは結合モチー
フを含有せねばならないということであり、これは普通は、異なるHLA群およ
び亜群(対立遺伝子)に関して異なる。結合モチーフは、HLA結合溝のポケッ
トとの狭い適合が成し遂げられるよう、ペプチドのいくつかの位置の特定のアミ
ノ酸に対する要件を特徴とする。さらに、結合に対する立体障害を引き起こすた
めに、ペプチドのその他の位置のいくつかの特定のアミノ酸を回避する必要があ
る。この結果は、ペプチド長制限と合わせて解釈すると、HLAクラスI分子の
ある型とのペプチド結合が別の型とも結合することは全くありそうもないという
ことである。したがって、例えばともにクラスIの種類に属するHLA−A1お
よびHLA−A2分子に関するペプチド結合モチーフがHLA−A1およびHL
A−B1分子に関するモチーフと同じく異なるということは非常に当を得ている
【0014】 抗腫瘍CD8+細胞傷害性T細胞を生成するためのワクチンまたは抗癌剤とし
て癌遺伝子由来ペプチドを用いるためには、したがって、問題の癌遺伝子抗原を
検査し、そして種々の型のHLAクラスI分子と結合し得る個々のペプチドを同
定することが必要である。個体の有効なワクチン接種は、APC上の少なくとも
1つのHLAクラスI対立遺伝子がワクチンペプチドと結合し得る場合にのみ成
し遂げられる。
【0015】 したがって、これは、両末端でペプチドを延長でき、これが異なる型のHLA
クラスII分子に関するエピトープを含有するより長いペプチドの設計を可能に
させるHLAクラスII分子に関する状況とは明らかに異なる。
【0016】 形質転換ras遺伝子は、ヒト癌で最も高頻度に同定される癌遺伝子である。一
般的な癌、例えば膵臓、卵巣、結腸直腸、肺および胆道癌の多くは、このような
癌を有する患者の高パーセンテージで、ras遺伝子の突然変異に起因する、と
いうことが確定されている。このような癌遺伝子にコードされるタンパク質はほ
ぼすべてが位置12または13または61に突然変異を保有する一方、配列中の
残りのアミノ酸はp21ras癌原遺伝子タンパク質に見出されるものに対応す
る。
【0017】 結果的に、合成rasペプチドは、活性化ras癌遺伝子から生じる癌に苦し
む患者の癌細胞に対する免疫系(T細胞)の細胞枝を誘発するための機能を有す
る抗癌治療薬またはワクチンとして用いられ得る。
【0018】 本発明の説明および特許請求の範囲では、アミノ酸は、当業界で既知のその3
文字または1文字略語で表される。
【0019】 (従来技術) Scott I. Abrams et al, Eur. J. Immunol. 1996, 26:435-443は、細胞傷害性
T細胞応答(CD8+)を引き起こした位置12でのGlyに代わるValの置
換を有するp21rasタンパク質の4〜12断片を用いたマウスの免疫感作の
結果を発表した。これらのデータは、位置12にVal置換を有する突然変異体
p21rasがネズミMHCクラスI分子との特異的結合を示すペプチド配列を
含有することを実証する。
【0020】 マウス系統が免疫感作され得るという知見は、以下の理由のために本発明に当
てはまらない: 異なるH−2MHC型を有する系統が同一タンパク質からの異なる組のペプチ
ドを認識し[S.S.Zamvil et al., J.Exp.Med., Vol. 168, (1988), 1181-1186
]、したがって、ある系統のマウスにおける免疫応答を引き出すペプチドは別の
密接に関連したマウス系統からのT細胞を刺激しない、ということはマウスにお
ける一般的観察である。さらに実験モデルでは、マウス、ラットおよびヒトから
のT細胞は、同一タンパク質の異なる非重複エピトープを認識することが知られ
ている。これに対する説明は、それらの抗原プロセッシング機構およびそれらの
MHC分子のペプチド結合能力における種間の差にあると考えられる。
【0021】 PCT/NO92/00032号から、p21rasタンパク質の位置1〜2
5に亘る合成ペプチドおよび位置12、13または61に突然変異を有する断片
は、ワクチン接種または癌療法計画におけるこのようなペプチドの投与を介して
前記突然変異化p21ras癌遺伝子タンパク質を保有する癌細胞に対するCD
4+T細胞免疫を引き出すために用い得る、ということが分かっている。
【0022】 従来技術はCD4+T細胞免疫を生じるp21rasタンパク質断片を同定し
たが、しかし従来の研究で、ヒトにおける腫瘍特異的細胞傷害性CD8+T細胞
免疫を生じる正確な抗原または抗原部位を限定したものはない。
【0023】 (発明が解決しようとする課題) したがって、CD4+T細胞免疫が成し遂げられ、p21ras癌遺伝子に由
来する腫瘍の罹患患者の癌治療が目下究明されているが、腫瘍細胞を殺害し得る
細胞、即ち細胞傷害性T細胞は、十分な強度で目的を達することは困難であった
。さらに、細胞傷害性T細胞活性化は、一次CD4+T細胞活性化により間接的
に達成される場合、むしろ遅い。これは、余命短い手術不能患者にとっては特に
重大な問題である。
【0024】 したがって、突然変異化p21rasタンパク質に由来するペプチドを基礎に
した抗癌治療または予防の活性を改良するために、迅速かつ信頼できる方法で突
然変異化ras癌遺伝子を保有する腫瘍に対する強力な細胞傷害性T細胞応答を
確立する抗癌治療薬またはワクチン接種薬が必要である。
【0025】 (発明の定義) 活性化ras癌遺伝子を保有する腫瘍に対する細胞傷害性CD8+T細胞の直
接活性化により前記の課題を解決する一群の合成ペプチドが、本発明により個々
に見出された。これらのペプチドは8〜10アミノ酸長を有し、このような腫瘍
に罹患したヒト患者におけるHLAクラスI分子により提示されるような天然プ
ロセッシング化エピトープと同一であることが示された。
【0026】 したがって、本発明のペプチドは、それらが: a)8〜10個のアミノ酸を含有し、p21 ras癌原遺伝子タンパク質の 位置12および/または13、または61を包含し、そして位置12または13
または61にアミノ酸置換を有する一方、残りのアミノ酸は前記タンパク質の同
一位置に見出されるものに対応し、ならびに b)ペプチドが位置12および13を包含する場合に、それらがともにGly
ではなく、および 位置13のアミノ酸がGlyである場合には、位置12のアミノ酸はGly以
外の任意のアミノ酸であり得るか、または ペプチドが位置61を包含する場合にはこの位置のアミノ酸はGln以外の任
意のアミノ酸であり得るし、ならびに c)特異的細胞傷害性T細胞(CD8+)応答を誘導する ことを特徴とする。
【0027】 本発明の最も好ましいペプチドは、9個のアミノ酸からなるペプチドである。
【0028】 本発明のペプチドにより、以下の利点が達成される: より強力な抗癌療法およびワクチン接種を企画し得る、 細胞傷害性CD8+T細胞の直接活性化が、腫瘍細胞を殺害するのに必要なキ
ラー細胞のより迅速な確立をもたらす、 腫瘍性細胞により提示される特異的遺伝的変化に向けられるより直接的な療法
および予防が可能である。
【0029】 本発明の一態様によれば、本発明のペプチドを包含する製剤組成物が調製され
る。製剤組成物は、位置12、13または61における突然変異を伴うras癌
遺伝子を保有する癌に苦しむヒト患者を治療するために用い得る。
【0030】 本明細書中および特許請求の範囲で用いられる場合、製剤組成物という用語は
、癌患者の治療に使用可能な組成物だけでなく、予防と関連して有用な組成物、
砂ワクチン組成物をも包含すべきである。
【0031】 したがって、本発明の別の実施形態では、製剤組成物は、位置12、13また
は61における突然変異を有するras癌遺伝子から生じる癌に対する耐性を得
るためにヒトにワクチン接種するのに用い得る。
【0032】 本発明の第三の態様は、活性化ras癌遺伝子から生じる癌の治療または予防
において細胞傷害性T細胞応答を引き出すための製剤を調製するための前記ペプ
チドの使用である。
【0033】 本発明のさらなる態様は、癌に苦しむヒト患者の治療方法であって、細胞傷害
性(CD8+)T細胞応答を引き出すのに有効な量で少なくとも1つの本発明の
ペプチドを投与することを包含する方法である。
【0034】 本発明のさらに別の態様は、活性化ras癌遺伝子から生じる癌に対する耐性
を得るためのヒトへのワクチン接種方法であって、細胞傷害性T細胞応答を引き
出すのに有効な量で少なくとも1つの本発明のペプチドを投与することを包含す
る方法である。
【0035】 本発明の別の態様では、本発明のペプチドは製剤組成物で、またはペプチドの
混合物として前記治療または予防のための方法で投与される。混合物は、以下の
: (a)ある位置、即ち位置12または位置13または位置61に異なる突然変
異を有するペプチドの混合物、あるいは (b)同一突然変異を有するが、しかし異なるHLA対立遺伝子に適合するの
に適したペプチドの混合物、あるいは (c)両混合物(a)および(b)の混合物、あるいは (d)いくつかの混合物(a)の混合物、あるいは (e)いくつかの混合物(b)の混合物、あるいは (f)いくつかの混合物(a)およびいくつかの混合物(b)の混合物 であり得る。
【0036】 あるいは、混合物中のペプチドは、互いに共有結合してより大きいポリペプチ
ドまたは環状ポリペプチドさえ形成し得る。
【0037】 前記混合物において位置12、13または61での選択されたアミノ酸は、特
定の癌に最も一般的に見出される突然変異である。このような単数または複数の
混合物は、その場合、前記癌に苦しむ患者の治療に、または前記癌に関して危険
群に属するヒトの予防に適している。
【0038】 いかなる特定の危険群にも属さないが、しかし依然として突然変異化ras癌
遺伝子を保有する癌から病気になる危険がある人の予防的治療では、概要(f)
に記載されたような混合物の投与は有用であると考えられる。
【0039】 このように、前記の異なる態様に本発明を適応することができる。
【0040】 本発明のペプチドを用いてin vivo、ex vivoまたはin vit roでT細胞免疫を誘導することにより、突然変異化ras癌遺伝子を保有する
癌に対する癌療法またはワクチンを作り出すことが本発明の一目的である。
【0041】 本発明の別の目的は、少なくとも1つの本発明のペプチドを投与することを包
含する、このような治療または予防が必要な場合にヒト個体に特に適応される抗
癌治療または予防法を企画することである。投与は、必要とされる細胞傷害性T
細胞免疫を確立および/または保持するのに適するよう、1回または数回行われ
得る。
【0042】 前記PCT/NO92/00032出願に開示されたような抗癌ワクチンまた
はペプチド薬の力は、本発明のペプチドが含まれた場合には増強され得る、とも
予想される。これは、特異的CD8+T細胞(細胞傷害性T細胞)および特異的
CD4+T細胞応答がともに同時に誘発される場合、それは等しくより強力なT
細胞免疫をもたらすという仮定に基づいている。したがって、本発明の別の実施
形態では、本発明のペプチドはPCT/NO92/00032に開示されたペプ
チドと、同時にまたは任意の順序で、一緒に投与される。
【0043】 (実施形態) 本発明の最も好ましいペプチドは、突然変異化ras癌遺伝子から生じるヒト
癌で最も一般的に見出されるアミノ酸置換を保有するものである。p21ras
タンパク質の位置12において、最も一般的に見出される突然変異はAsp、V
al、Arg、Cys、AlaおよびSerである。位置13では、最も一般的
に見出される突然変異はAspおよびValである。位置61では、最も一般的
に見出される突然変異はArg、His、LysおよびLeuである。
【0044】 本発明の好ましいペプチドの一群は、以下のペプチドであって、この場合、X 1 はp21rasタンパク質における位置12を表し、Gly以外の任意のアミ ノ酸であり得る:
【0045】
【化4】
【0046】 前記群の最も好ましいペプチドは、X1がAsp、Val、Arg、Ala、 CysまたはSerであるものである。
【0047】 本発明のペプチドのさらなる群は以下のペプチドであって、この場合、X1は p21rasタンパク質の位置12を表し、Gly以外の任意のアミノ酸であり
得る:
【0048】
【化5】
【0049】 前記群の最も好ましいペプチドは、X1がAsp、Val、Arg、Ala、 CysまたはSerであるものである。
【0050】 本発明のペプチドのさらなる群は以下のペプチドであって、この場合、X1は p21rasタンパク質の位置12を表し、Gly以外の任意のアミノ酸であり
得る:
【0051】
【化6】
【0052】 前記群の最も好ましいペプチドは、X1がAsp、Val、Arg、Ala、 CysまたはSerであるものである。
【0053】 本発明の特に好ましいペプチドの第二の群は以下のペプチドであって、この場
合、X2はp21rasタンパク質の位置13を表し、Gly以外の任意のアミ ノ酸であり得る:
【0054】
【化7】
【0055】 前記群の最も好ましいペプチドは、X2がAspまたはValであるものであ る。
【0056】 本発明のペプチドのさらなる群は以下のペプチドであって、この場合、X2は p21rasタンパク質の位置13を表し、Gly以外の任意のアミノ酸であり
得る:
【0057】
【化8】
【0058】 前記群の最も好ましいペプチドは、X2がAspまたはValであるものであ る。
【0059】 本発明のペプチドのさらなる群は以下のペプチドであって、この場合、X2は p21rasタンパク質の位置13を表し、Gly以外の任意のアミノ酸であり
得る:
【0060】
【化9】
【0061】 前記群の最も好ましいペプチドは、X2がAspまたはValであるものであ る。
【0062】 本発明の好ましいペプチドの第三の群は以下のペプチドであって、この場合、
3はp21rasタンパク質の位置61を表し、Gln以外の任意のアミノ酸 であり得る:
【0063】
【化10】
【0064】 前記群の最も好ましいペプチドは、X3がArg、Lys、HisまたはLe uであるものである。
【0065】 本発明のペプチドのさらなる群は以下のペプチドであって、この場合、X3は p21rasタンパク質の位置61を表し、Gln以外の任意のアミノ酸であり
得る:
【0066】
【化11】
【0067】 前記群の最も好ましいペプチドは、X3がArg、Lys、HisまたはLe uであるものである。
【0068】 本発明のペプチドのさらなる群は以下のペプチドであって、この場合、X3は p21rasタンパク質の位置61を表し、Gln以外の任意のアミノ酸であり
得る:
【0069】
【化12】
【0070】 前記群の最も好ましいペプチドは、X3がArg、Lys、HisまたはLe uであるものである。
【0071】 前記ペプチドの一覧から明らかなように、本発明のペプチドは、突然変異が癌
遺伝子タンパク質に見出される位置の各々の周囲で対称的または非対称的であり
得る。
【0072】 ペプチドは、当業界で知られているような免疫応答を強化するために、サイト
カインおよび/または増殖因子のような化合物、即ちインターロイキン−2(I
L−2)、インターロイキン−12(IL−12)、顆粒球マクロファージコロ
ニー刺激因子(GM−CSF)等と一緒に、同時にまたは別々に、投与され得る
【0073】 本発明のペプチドは、単独で、またはその他の物質と組合せて、例えば、当業
界で知られているように、高親和性細胞傷害性T細胞を誘導し得るリポペプチド
接合体の形態で(K. Deres, Nature, Vol. 342, (nov. 1989))、ワクチンま たは治療的組成物中に用い得る。
【0074】 本発明のペプチドは、合成ペプチドまたは組換え体断片ベースのワクチン中に
含入するために有用であり得る。
【0075】 本発明のペプチドは、細胞傷害性CD8+T細胞免疫を安全に引き出し得るワ
クチンに用いるのに特に適している: (1)ペプチドは合成的に生成され、したがって、形質転換癌遺伝子、あるい
は有害作用を生じ得るその他の部位または物質を含まず、 (2)ペプチドは単独で用いられて細胞傷害性T細胞免疫を誘導し得るし、そ
して (3)ペプチドは細胞傷害性T細胞応答に関して標的化され得て、その他の望
ましくない応答の副作用を伴わない。
【0076】 本発明のペプチドは、単独で、または当業界で既知の通常の製薬上許容可能な
添加剤、アジュバント、希釈剤、安定剤、担体等と一緒に、製剤組成物中に含ま
れ得る。
【0077】 本発明のペプチドは、1mg〜1gの範囲の量で、ワクチン接種される平均的
ヒト患者または個体に投与され得る。各投与に関して1mg〜10mgの範囲の
より少ない用量を用いるのはさらに好ましい。
【0078】 当業者は、本発明のペプチドの使用についてのその他の考え得る様式を見出す
であろうし、これらは本発明の特許請求の範囲に包含されるものとする。本発明
の癌療法は、患者が苦しめられている癌の種類に関与する癌遺伝子の遺伝子生成
物に対して特異的細胞傷害性T細胞株またはクローンを生じさせることを主目標
として、in vivo、ex vivoまたはin vitroで投与され得る 。
【0079】 本発明のペプチドは、当業界で既知の従来の方法により産生され得るし、これ
は以下の合成の説明で明らかにされる。
【0080】 本発明は、特許請求の範囲にさらに詳細に説明される。
【0081】 生物実験 癌ワクチンおよび有効であるべき特異的T細胞免疫を基礎にした特異的癌療法
のための方法のためには、以下の3つの条件が満たされねばならない: 1.用いられるペプチドは、癌細胞上または専門的抗原提示細胞上にHLAク
ラスI分子により提示されるようなプロセッシング化p21ras癌遺伝子タン
パク質断片に対応せねばならず 2.用いられるペプチドは免疫原形態でHLAクラスI分子に結合されねばな
らず、および 3.HLAクラスI/ペプチド複合体を認識しそれに応答し得る細胞傷害性T
細胞(CD8+)がヒトの循環中に存在しなければならない。
【0082】 これらの条件はすべて、本発明のペプチドに関して満たされねばならない、と
いうことが確立されている。本発明のペプチドは、in vitroで特異的細 胞傷害性T細胞免疫応答を起こす。ペプチドを結合し得るHLAクラスI分子が
確定された。本発明の合成ペプチドはプロセッシング化癌遺伝子タンパク質断片
に対応する、ということが確立されている。これは、位置12に突然変異を有す
る合成p21rasペプチド断片を用いて例示される。rasペプチドワクチン
接種によりin vivoで誘発される細胞傷害性T細胞の特異性は、本発明の ペプチドを用いて確定された。これは、癌患者のT細胞がin vivoで同一 ペプチド断片により活性化されたことを明らかに示す。
【0083】 合成 連続流動固相ペプチド合成(9050 PepSynthesizer, MilliGenまたはNovasyn C
rystal peptide synthesiser, Novabiochem)を用いて、ペプチドを合成した。 適切な側鎖保護を有するN−a−Fmoc−アミノ酸(Ser(tBu)、Th
r(tBu)、Tyr(tBu)、Lys(Boc)、His(Trt)、Ar
g(Pmc)、Cys(Trt)、Asp(O−tBu)、Glu(O−tBu
))を用いた。カップリング前にTBTUによりFmoc−アミノ酸を活性化し
た。各カップリング後にFmocの選択的除去のために、DMF中の20%ピペ
リジンを用いた。95%TFA(水溶液)により、樹脂からの分離および側鎖保
護の最終的除去を実施した。逆相(C18)HPLC(Shimadzu LC8A)により ペプチドを精製し、分析した。エレクトロスプレー質量分光分析法(Finnigan m
at SSQ710)を用いて、ペプチドの同一性を確証した。
【0084】 本方法により合成されたペプチドは、配列ID一覧に列挙されている。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】
【0090】
【表6】
【0091】
【表7】
【0092】
【表8】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 12Val突然変異体rasペプチドワクチン接種後の膵臓癌患者からの末梢
血から得られたCD8+細胞傷害性T細胞クローン(CTL69−30)が、1
2Val突然変異化p21rasを発現する異なる腫瘍細胞株を認識し、殺害し
得ることを示す。細胞傷害性T細胞クローンは、12Val突然変異体rasペ
プチドワクチン接種後の膵臓癌患者からの末梢血単核細胞(PBMC)中に存在
するT細胞芽細胞のクローニング後に得られた。ペプチドワクチン接種プロトコ
ールには、大量のペプチド負荷自系専門抗原提示細胞(APC)の数回の注入が
含まれた。Terasakiプレート上に5芽細胞/ウエルで応答T細胞芽細胞
をプレート化することにより、T細胞のクローニングを実施した。各ウエルは2
x104の自系放射線照射(30Gy)PBMCをフィーダー細胞として含有し 、細胞を、総容量20mL中の25mMでの12Valペプチドおよび5U/m
lの組換え体インターロイキン−2(rIL−2)(Amersham, Aylesbury, UK )を用いて増殖させた。9日後、ウエル当たり1mg/mlのフィトヘマアグル
チニン(PHA、Wellcome, Dartford, UK)、5U/mlのrIL−2および同
種放射線照射(30Gy)PBMC(2x105)をフィーダー細胞として含有 する平底96ウエルプレート(Costar, Cambridge, MA)上にT細胞クローンを 移した。増殖中のクローンを、PHA/rIL−2および1x106の同種放射 線照射PBMCをフィーダー細胞として含有する24ウエルプレート中でさらに
広げ、4〜7日後にペプチド特異性に関してスクリーニングした。T細胞クロー
ン69−30を、さらなる特性化のために選択した。それは、細胞表面表現型C
D3、CD8およびTcR abを発現することが判明した。異なるエフェクタ ー対標的比で試験した場合、CTL69−30は自系腫瘍細胞標的の溶解を示す
ことが判明したが、このことは、それが腫瘍由来抗原、例えば突然変異体ras
に対して向けられることを示す。 認識される抗原が突然変異体rasに関連することを立証し、そして細胞傷害
性T細胞クローンに対して推定上の突然変異体rasペプチドを提示するHLA
クラスI分子を同定するために、患者のものと共通の1つ又はそれ以上のHLA
クラスI分子を保有する異なる12Val p21 ras発現腫瘍細胞系を、細
胞傷害性検定における標的細胞として用いた。標的細胞を3H−チミジン(9. 25x104Bq/mL)で一晩標識し、1回洗浄して、96ウエルプレート中 に5000細胞/ウエルをプレート化した。T細胞を異なるエフェクター対標的
比で付加し、プレートを37℃で4時間インキュベートした後、収穫して、液体
シンチレーション計数器(Packard Topcount)で計数した。データは、異なるエ
フェクター/標的比での4時間検定における3H−チミジン標識化標的細胞の特 異的溶解パーセントを示す。値は、3回培養の平均±SDとして表される。T細
胞クローン69−30は、膀胱癌細胞株T24(12Val+、HLA−Al+
B35+)および黒色腫細胞株FMEX(12Val+、HLA−A2+、B35+ )の溶解を実証したが、しかし結腸癌細胞株SW 480(12Val+、HLA
−A2+、B8+)の溶解は示さなかった。自系EBV−B細胞(12Val-、 HLA−Al+、A2+、B8+、B35+)および対照として用いた天然キラー標
的K562は溶解されなかった。これらの結果は、T細胞クローン69−30が
HLA−B35の関係において内生的プロセッシング化12Valエピトープを
認識することを示唆する。
【図2】 遮断実験によりT細胞クローン69−30のHLAクラスI制限をさらに実証
する。結果は、自系膵臓癌細胞(CPE)に及ぼすT細胞クローン69−30の
細胞傷害性作用は膵臓HLAクラスImAb(W6/32)により遮断され得る
が、しかしHLAクラスIIDR、DQおよびDP抗原に対して向けられるモノ
クローナル抗体の存在下では変わらないままであったことを示す。異なる12V
al発現腫瘍細胞株を用いて得られた結果と合わせて考えると、これらのデータ
はHLAクラスI制限を実証し、そしてHLA−B35がT細胞クローン69−
30の制限分子であることを示す。CPE−標的の特異的溶解は、HLAクラス
I(W6/32)およびクラスII(B8/11、SPV−L3およびB7/2
1)抗原に対して向けられるモノクローナル抗体を包含する実験により実証され
たように、HLAクラスI制限された。最終濃度10mg/mlでHLAクラス
IおよびクラスII分子に対して向けられるモノクローナル抗体を用いて、自系
腫瘍細胞株に対する細胞傷害性T細胞クローン活性を評価した。検定は96ウエ
ルプレート中で3回おこなって、標的細胞を37℃で30分間予備インキュベー
トした後、T細胞を付加した。10/1のエフェクター/標的比を用いて得られ
た結果を示す。データは、4時間検定における3H−チミジン標識化CPE標的 および種々のmAbに対する特異的溶解パーセントを示し、活性は3回培養の平
均±SDとして表される。
【図3】 ペプチドパルス実験におけるT細胞クローン69−30の見事な特異性を示す
。T細胞クローン69−30に実際に認識されている突然変異体rasペプチド
を同定するために、九量体ペプチド:即ち、位置12でのVal置換を含有する
p21rasの位置4〜20に亘るペプチド10−18のパネルを試験した。こ
れらの実験では、ペプチド15だけがT細胞クローン69−30活性を刺激する
ことができた。3H−チミジン標識化弱酸溶離自系EBV−B細胞を96ウエル プレート中で2500細胞/ウエルでプレート化して、37℃で5%CO2イン キュベーター中でb2−ミクログロブリン(2.5mg/mL)とともに1mM
の濃度でペプチドを用いてパルス処理した後、T細胞を付加した。検定は96ウ
エルプレート中で3回実施し、5対1のエフェクター対標的比で4時間インキュ
ベートした。適切な突然変異対ペプチドに関する細胞傷害性T細胞クローン認識
の特異性は、正常ras配列を発現するペプチドを用いて観察される溶解の非存
在により例証された。対照は単独で培養されたT細胞クローンを含み、ペプチド
の非存在下でAPCを有し、あるいは無関係な黒色腫関連ペプチドMART−1
/Melan−Aを有した。データは、3回培養の平均として示される。
【図4】 ペプチド15に対するT細胞クローン69−30の感受性を示す。データは、
抗ras細胞傷害性T細胞活性がいくつかの対数単位の範囲に亘って検出可能で
あり、1x10-6Mのペプチド濃度で最大溶解が、そして1x10-9Mのペプチ
ド濃度で半最大応答が認められたことを示す。これは、標的細胞としてペプチド
感作EBV−B細胞を用いた用量−応答実験で検査された。図3に記載したよう
に標的細胞をペプチド15でパルス処理したが、但しペプチドは、T細胞の付加
前に、異なる濃度で付加された。対照は標的細胞単独、および無関係な黒色腫関
連ペプチドMelan−A/Mart−1でパルス処理した標的細胞を含んだ。
データは3回培養の平均±SDとして表される。
【図5】 ペプチドパルス実験におけるT細胞クローン42−33の見事な特異性を示す
。T細胞クローン42−33もワクチン接種患者から得られた。九量体ペプチド
:ペプチド10−18のパネルのうち、ペプチド18だけがT細胞クローン42
−33を刺激することができた。実験では、TAP欠損T2細胞株を抗原提示細
胞として用いた。この細胞株は、少量のHLA−A2抗原のみを発現するが、し
かし細胞表面でのHLAクラスI抗原のレベル増大は、b2−ミクログロブリン
の付加により誘発され得る。3H−標識化標的細胞を、37℃で1時間、b2− ミクログロブリン(2.5mg/mL)とともに1mMの濃度で異なる試験ペプ
チドおよび対照ペプチドを用いてインキュベートした。ペプチドパルス処理後、
標的細胞を大規模に洗浄して、計数し、96ウエル中に2500細胞/ウエルで
プレート化した後、T細胞を付加した。プレートを5%CO2中で37℃で4時 間インキュベート後に、収穫した。対照は単独で培養されたT細胞クローンを含
み、またはペプチドの非存在下で標的細胞を有した。検定は20対1のエフェク
ター対標的比で96ウエルプレート中で3回実施した。
【図6】 ペプチド(配列認識番号)23および24でパルス処理された自系EBV細胞
を認識し、殺害する12−Cys−p21 ras特異的CD8+CTL EG2
.4の特異性を示す。CTLは、突然変異体rasペプチドワクチン接種後の膵
臓癌患者からのPBMC中に存在するT細胞芽細胞のクローニング後に得られた
。ペプチドワクチン接種プロトコールは、顆粒球−マクロファージコロニー刺激
因子(GM−CSF)と組合せた突然変異体rasペプチドの混合物の6回皮内
注入で構成された。T細胞のクローニングは以下のように実施した:51Cr+ 標識化標的細胞を96ウエルプレート(Costar)中でプレート化して、合成ペプ
チドおよびb2−ミクログロブリンとともに1時間インキュベートした。次に、
細胞を洗浄した後、T細胞を付加した。プレートを5%CO2中で37℃で4時 間インキュベート後、収穫した。ペプチド23および24はTLC−EG2.4
を刺激できたが、一方その他の九量体は刺激できなかった。検定は25対1のエ
フェクター対標的比で、3回実施した。
【図7】 12−Cys p21ras特異的CD8+CTL EG2.8の特異性を示す
。このCTLは、ペプチド(配列認識番号)23および24でパルス処理された
自系EBV細胞を認識し、殺害する。CTLの生成は、前記と同様に実施した。
【図8】 外生的ペプチドに対するTLC EG2.4の感受性を示す。これは、51C r+標識化ペプチド感作EBV−B細胞を標的細胞として用いた用量−応答実験 で検査した。標的細胞を、図6に記載したように別々にペプチド23および24
でパルス処理したが、但しペプチドは、T細胞の付加前に、異なる濃度で付加さ
れた。抗rasCTL活性は、ペプチド23に関するいくつかの対数範囲に亘っ
て検出可能であって、1x10-5Mのペプチド濃度で最大溶解が、そして1x1
-7Mのペプチド濃度で半最大応答が認められたが、一方ペプチド24は匹敵す
るペプチド濃度ではCTLを刺激し得なかった。検定は10対1のエフェクター
対標的比で、3回実施した。データは、3回培養の平均として表される。
【図9】 外生的ペプチドに対するTLC EG2.8の感受性を示す。これは、図8に 示したようにして、検査した。抗rasCTL活性はペプチド23に関してはい
くつかの対数はにに亘って実証可能であったが、しかしペプチド24に関しては
匹敵するペプチド濃度では検出可能でなかった。検定は10対1のエフェクター
対標的比で、3回培養で実施した。データは、図8で表されたのと同様に示され
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW (71)出願人 0240 OSLO,NORWAY (72)発明者 エリクセン、ヨン・アムンド ノルウェー国、3900 ポルスグルン、ブヨ ルントヴェドガータン 37 Fターム(参考) 4C084 AA02 AA03 AA07 BA01 BA17 DC50 ZB092 ZB262 4H045 AA10 AA30 BA15 EA28

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)8〜10個のアミノ酸を含有し、p21 ras癌原遺 伝子(プロトオンコジーン)タンパク質の位置12および/または13、または
    61を包含し、位置12または13または61にアミノ酸置換を有する一方、残
    りのアミノ酸は前記タンパク質の同一位置に見出されるものに対応し、ならびに
    b)ペプチドが位置12および13を包含する場合に、それらがともにGly
    ではなく、そして 位置13のアミノ酸がGlyである場合には、位置12のアミノ酸はGly以
    外の任意のアミノ酸であり得るか、または ペプチドが位置61を包含する場合にはこの位置のアミノ酸はGln以外の任
    意のアミノ酸であり得、ならびに c)特異的細胞傷害性T細胞(CD8+)応答を誘導する ことを特徴とするペプチド。
  2. 【請求項2】 前記ペプチドは9個のアミノ酸からなることを特徴とする請
    求項1記載のペプチド。
  3. 【請求項3】 前記ペプチドは以下の群から選択されることを特徴とする請
    求項2記載のペプチド: 【化1】 (ここで、X1はGly以外の任意のアミノ酸であり得るが、しかしX1はAsp
    、Val、Arg、Ala、CysまたはSerが最も好ましい)。
  4. 【請求項4】 前記ペプチドは以下の群から選択されることを特徴とする請
    求項2記載のペプチド: 【化2】 (ここで、X2はGly以外の任意のアミノ酸であり得るが、しかしX2はAsp
    またはValが最も好ましい)。
  5. 【請求項5】 前記ペプチドは以下の群から選択されることを特徴とする請
    求項2記載のペプチド: 【化3】 (ここで、X3はGly以外の任意のアミノ酸であり得るが、しかしX3はArg
    、Lys、HisまたはLeuが最も好ましい)。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項記載のペプチドを少なくとも1
    つ包含する製剤組成物および製薬上許容可能な担体または希釈剤。
  7. 【請求項7】 前記ペプチドは活性化ras癌遺伝子に関連した癌に苦しむ
    ヒト患者の治療のための請求項6記載の製剤組成物。
  8. 【請求項8】 以下の:膵臓癌、結腸−直腸癌、肺癌、悪性黒色腫、卵巣癌
    および胆道癌のいずれかに苦しむ患者の治療のための請求項7記載の製剤組成物
  9. 【請求項9】 活性化ras癌遺伝子に関連した癌に対する耐性を得るため
    のヒトの予防的治療のための請求項6記載の製剤組成物。
  10. 【請求項10】 膵臓癌、結腸−直腸癌、肺癌、悪性黒色腫、卵巣癌および
    胆道癌に対する耐性を得るためのヒトの予防的治療のための請求項9記載の製剤
    組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1〜5記載の少なくとも1つのペプチドとPCT/
    NO92/00032号の少なくとも1つのペプチドとの組合せを包含する製剤
    組成物。
  12. 【請求項12】 請求項1〜5記載のペプチドの混合物を包含する製剤組成
    物。
  13. 【請求項13】 活性化ras癌遺伝子に関連した癌の治療または予防にお
    ける特異的細胞傷害性(CD8+)T細胞応答を引き出すための製剤組成物の調
    製のための請求項1〜5のいずれか1項記載のペプチドの使用。
  14. 【請求項14】 請求項1〜5記載のペプチドを用いたin vivo、e x vivoまたはin vitroでの刺激により特異的細胞傷害性(CD8+
    )T細胞応答を引き出すことによるp21ras癌遺伝子に関連した癌に苦しむ
    患者の治療方法。
  15. 【請求項15】請求項1〜5記載のペプチドを用いたin vivo、ex
    vivoまたはin vitroでの刺激により特異的細胞傷害性(CD8+) T細胞応答を引き出すことによるp21ras癌遺伝子に関連した癌に対する耐
    性を得るためのヒトのワクチン接種方法。
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