JP2001511815A - 新生物の処置における腫瘍抑制遺伝子治療および化学治療の組合せ - Google Patents

新生物の処置における腫瘍抑制遺伝子治療および化学治療の組合せ

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Abstract

(57)【要約】 1つの実施態様において、本発明は、哺乳動物の癌細胞または過剰増殖性細胞を処置するための方法を提供する。この方法は、その細胞を腫瘍抑制タンパク質または腫瘍抑制核酸と接触させる工程、およびその細胞を少なくとも1つの付加的抗癌剤とも接触させる工程を包含する。本発明はまた、腫瘍抑制タンパク質または腫瘍抑制核酸、および少なくとも1つの付加的抗癌剤を含有する薬理学的組成物、ならびに、哺乳動物の癌細胞または過剰増殖性細胞の処置のためのキットを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 新生物の処置における腫瘍抑制遺伝子治療および化学治療の組合せ 発明の分野 本発明は、腫瘍または転移性疾患のような過剰増殖性疾患に罹患した被験体の 処置の新規な方法を記載する。特に、本発明は、腫瘍抑制遺伝子または腫瘍抑制 遺伝子産物および付加的抗癌剤の組合せた使用を含む、細胞(より詳細には、新 生物細胞)の過剰増殖を阻害する方法を提供する。 発明の背景 染色体の異常性は、しばしば遺伝子障害、変性疾患、および癌と関連する。特 に、染色体全体または染色体セグメントのコピーの欠失または増加、およびゲノ ムの特異的領域のより高いレベルの増幅は、癌において共通の出来事である。例 えば、Smith(1991)Breast Cancer Res.Treat.,18:補遺1:5-14;van de Viler (1991)Became.Beefiest.Acta.1072:33-50,Sato(1990)Cancer.Res.,50 :7184-7189を参照のこと。実際、プロト癌遺伝子を含むDNA配列の増幅および腫 瘍抑制遺伝子を含むDNA配列の欠失は、各々、腫瘍形成の頻繁な特徴である。Dut rillaux(1990)Cancer Genet.Cytogenet.49:203-217。 p53遺伝子の変異は、ヒトの癌において最も一般的な遺伝子変化である(Barte k(1991)Oncogene 6:1699-1703、Hollstein(1991)Science,253:49-53)。さ らに、内因性野生型p53タンパク質を欠如する哺乳動物癌細胞における野生型p53 の導入により、これらの細胞の新生物的表現型が抑制される(例えば、米国特許 第5,532,220号を参照のこと)。 3)として市販されているパクリタキセルは、臨床試験における、薬物抵抗性腫 瘍(卵巣癌および乳癌を含む)に対するその効力のために、関心を生じさせてい る(Hawkins(1992)Oncology,6:17-23、Horwitz(1992)Trends Pharmacol.S ci.13:134-146、Rowinsky(1990)J.Natl.Canc.Inst.82:1247-1259)。 パクリタキセルと腫瘍抑制遺伝子治療との相互作用における最近の研究は、減少 したレベルの腫瘍サプレッサー(すなわち、p53)が、G2/M期の停止、微小核形 成、およびp53非依存性パクリタキセル誘導性アポトーシスの増加と相関したこ とを示す。対照的に、完全なp53を有する生存細胞は、有糸分裂を通じて進行し 、そして続くG1期で一時的に蓄積し、同時にp53およびp21cipl,waflタンパク質 レベルは増加する(Wahl(1996)Nature Med.2:72-79)。同様に、Hawkins(19 96)Canc.Res.56:892-898は、p53の不活化が、特定の抗有糸分裂剤(パクリタ キセルを含む)に対する感受性を増強することを示した。この著者らは、p53がD NA修復における役割を果たし得、それによって、細胞が、薬物の存在下にあろう と、S期を通じてさらに容易に進行することを可能にすることを示唆した。従っ て、これらの研究は、腫瘍抑制遺伝子治療および抗有糸分裂剤による薬物治療( 特に、パクリタキセル治療)が、くい違って作用することを示唆する。 発明の要旨 本発明は、過剰増殖性哺乳動物細胞を処置する方法を提供する。本発明は、部 分的に、腫瘍サプレッサー(例えば、p53)遺伝子治療との組合せでの付加的抗 癌剤が、新生物細胞または腫瘍抑制活性を欠失する他の細胞の増殖を阻害する増 強された効果を提供するという、驚くべき発見を前提とする。 従って、1つの実施態様において、本発明は、細胞を、腫瘍抑制タンパク質ま たは腫瘍抑制核酸、および少なくとも1つの付加的抗癌剤と接触させることによ って、癌細胞または過剰増殖性細胞を処置する方法を提供する。幾つかの実施態 様において、本方法は、腫瘍抑制タンパク質または核酸、および付加的抗癌剤と 、少なくとも1つの化学治療剤との同時投与を含む。例えば、腫瘍抑制核酸(例 えば、p53をコードする核酸)は、付加的抗癌剤(例えば、パクリタキセル)お よびDNA損傷剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、ナベルビン(navelbin e)(タルテート(tartate)ビノレルビン))とともに投与され得る。 癌細胞または過剰増殖性細胞は、しばしば新生物細胞である。細胞が腫瘍に存 在する場合、本方法は腫瘍成長を阻害し、それによって癌を処置する方法を提供 する。このような癌には、卵巣癌、膵臓癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肝癌、 メラノーマ、網膜芽肺、乳癌、結腸直腸癌、白血病、リンパ腫、脳腫瘍、子宮頚 癌、肉腫、前立腺癌、膀胱癌、細網内皮組織の腫瘍、ウイルムス腫瘍、星状細胞 腫、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、卵巣癌、骨肉腫、腎臓癌、または頭頸部癌 が含まれるが、これらに限定されない。 好ましい付加的抗癌剤は、パクリタキセルまたはパクリタキセル誘導体であり 、一方、好ましい腫瘍抑制核酸は、p53タンパク質およびそのアナログ、ならび に網膜芽腫(RB)タンパク質から成る群から選択される腫瘍抑制タンパク質をコ ードする核酸である。特に好ましい腫瘍抑制核酸は、野生型p53タンパク質をコ ードし、そして特に好ましい網膜芽腫タンパク質は、p110RBまたはp56RBである 。 腫瘍抑制核酸は、好ましくはベクターによって標的細胞に送達される。このよ うなベクターのウイルスは、標的細胞中での腫瘍抑制核酸の発現を可能にするよ うに、組換えDNA技術によって改変されている。これらのベクターは、非ウイル ス(例えば、プラスミド)またはウイルス(例えば、アデノウイルス、アデノ随 伴ウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス)の起源 のベクターに由来し得る。本発明の好ましい実施において、ベクターは、組換え 的に改変されたアデノウイルスベクターである。非ウイルスベクターは、好まし くは、細胞膜を通してDNAの侵入を容易にするために、薬剤と複合体化される。 このような非ウイルスベクター複合体の例は、DNAおよび脂質ベース送達システ ムの凝縮を容易にするポリカチオン性薬剤を用いる処方物を含む。脂質ベース送 達システムの例は、核酸のリポソームに基づく送達を含む。 特に適切なアデノウイルスベクター(例えば、野生型p53タンパク質をコード する核酸の送達のために)は、タンパク質IX DNAの部分的または全体的な欠失を 含む。1つの実施態様において、タンパク質IX遺伝子配列の欠失は、5'ウイルス 末端からの約3500bp〜5'ウイルス末端からの約4000bpに及ぶ。ベクターは、アデ ノウイルス初期領域3および/またはアデノウイルス初期領域4における非必須 DNA配列の欠失を含み、そして1つの実施態様において、欠失は、DNA配列E1aお よび/またはE1bである。ヒトp53 cDNAの送達に特に好ましい組換えアデノウイ ルスベクターは、アデノウイルス2型主要後期プロモーターまたはヒトCMVプロ モーター、およびアデノウイルス2型3部構成(tripartite)リーダーcDNAを含 む。このような好ましいアデノウイルスベクターの1つはACN53である。 好ましいパクリタキセルまたはパクリタキセル誘導体は、パクリタキセルおよ も好ましい。別の好ましい付加的抗癌剤は、エポチロン(Epothilone)である。1 つの好ましい実施態様において、腫瘍サプレッサーはA/C/N/53であり、そして付 加的抗癌剤は、パクリタキセルである。 腫瘍抑制タンパク質または腫瘍抑制核酸は、薬理学的に受容可能な賦形剤に分 散され得る。同様に、付加的抗癌剤(例えば、パクリタキセルまたはパクリタキ セル誘導体)は、薬理学的に受容可能な賦形剤に分散され得る。腫瘍抑制タンパ ク質または腫瘍抑制核酸および上記パクリタキセルまたはパクリタキセル誘導体 は、共に、単一の組成物(1つまたは複数の賦形剤を含む)に分散され得る。 腫瘍サプレッサー(タンパク質または核酸)および/または付加的抗癌剤は動 脈内、静脈内(例えば、注射)、腹腔内、および/または腫瘍内で、一緒にまた は連続的に投与され得る。好ましい投与部位は、肝動脈内、腹腔内、または頭部 の細胞(例えば、神経細胞)を処置することをが所望である場合は、頚動脈系の 動脈への投与を含む。 腫瘍抑制タンパク質または核酸は、単回用量または複数の処置(例えば、各々 少なくとも6時間の間隔を開ける)、より好ましくは約24時間間隔で少なくとも 3回の処置で投与され得る。 別の好ましい実施態様において、腫瘍抑制タンパク質または腫瘍抑制核酸は、 (付加の抗ガン剤とともに、またはなしで)約1×109〜約1×1014、または約 1×109〜約7.5×1015、好ましくは約1×1011〜約7.5×1013の範囲のアデノウ イルス粒子の全用量で、以下:単回用量における全用量、5日にわたって日毎投 与される全用量、15日にわたって日毎投与される全用量、および30日にわたって 日毎投与される全用量からなる群から選択される処置レジメで、投与される。用 量はまた、連続的に1〜30日の間投与され得る。パクリタキセルまたはパクリタ キセル誘導体は、1時間、3時間、6時間、または24時間にわたって75〜350mg/ m2の範囲の全用量で、単回用量で、第1日目および第2日目の各々の日に日毎投 与される全用量で、第1日目、第2日目、および第3日目の各々の日に日毎投与 され る全用量で投与され、15日間の日毎投薬量で、30日間の日毎投薬量で、15日間の 日毎の連続注入で、30日間の日毎の連続注入での投与からなる群から選択される 処置レジメで投与される。好ましい用量は、24時間、100〜250mg/m2である。あ るいは、パクリタキセルまたは誘導体は、毎週60mg/m2で投与され得る。この投 与方法は、2サイクル以上(より好ましくは3サイクル)繰り返され、そしてこ の2以上のサイクルは、3週間または4週間の間隔を開けられ得る。 いくつかの好ましい実施態様において、7.5×109〜約7.5×1015、好ましくは 約1×1012〜約7.5×1013の範囲のアデノウイルス粒子の日毎用量は、30日間ま で(例えば、2日、または2〜5日から14日、または30日のレジメであり、同じ 用量が各々の日に投与される)各日投与され得る。複数のレジメは、21〜28日の 繰り返しサイクルで繰り返され得る。好ましい投与経路は、動脈内(例えば、肝 動脈内)、腫瘍内、および腹腔内を含む。 腫瘍抑制核酸(例えば、p53)が、付加の抗ガン剤(例えば、パクリタキセル )およびDNA損傷剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、またはナベルビ ン)と共にアデノウイルスベクターにおいて投与される場合、アデノウイルスベ クターは、5〜14日間、約7.5×1012〜約7.5×1013のアデノウイルス粒子/日で 、投与される。アデノウイルスベクターおよびパクリタキセルは、カルボプラチ ンとともに投与される場合、用量は代表的には、7.5×1013アデノウイルス粒子 /日である。例えば、約7.5×1012アデノウイルス粒子の日毎用量が、肺への投 与のために使用され得る。 本発明はまた、哺乳動物癌または過剰増殖性細胞の処置のためのキットを提供 する。キットには、本明細書中に記載される腫瘍抑制タンパク質または腫瘍抑制 核酸(より好ましくは、野生型p53タンパク質または核酸(例えば、ウイルスベ クターまたは非ウイルスベクター)、または網膜芽腫(RB)タンパク質または網 膜芽腫核酸);および本明細書中に記載される付加的抗癌剤(例えば、パクリタ キセルまたはパクリタキセル誘導体)、および/または必要に応じて本明細書中 に記載の任意の他の化学治療剤が含まれる。キットは、必要に応じて、癌または 過剰増殖性細胞の成長または増殖を阻害する、腫瘍抑制タンパク質または腫瘍抑 制核酸、および付加的抗癌剤(および必要に応じて他の化学治療剤)をさらに含 む。1つの特に好ましいキットは、A/C/N/53およびパクリタキセルを含む。 別の実施態様において、本発明は、腫瘍抑制タンパク質または腫瘍抑制核酸お よび付加の抗ガン剤を含む薬理学的組成物を提供する。種々の実施態様において 、薬理学的組成物は、必要に応じて、本明細書中に記載の任意の他の化学治療化 合物を含む。1つの特に好ましい組成物は、p53核酸(例えば、A/C/N/53)およ びパクリタキセルを含む。腫瘍抑制核酸または腫瘍抑制タンパク質および化学治 療剤(例えば、パクリタキセル)は、種々の賦形剤であり得、または本明細書中 に記載のように単一の賦形剤中に含まれ得る。複数の賦形剤が存在する場合、賦 形剤は混合され得るか、または別々に(例えば、マイクロカプセル中で)保持さ れ得る。 なお別の実施態様において、本発明は、哺乳動物癌細胞または過剰増殖性細胞 を含む組成物を提供し、ここで、上記細胞は外因性腫瘍抑制核酸または腫瘍抑制 タンパク質を含む。細胞は、パクリタキセルまたはパクリタキセル誘導体のよう な、付加の抗ガン剤をさらに含み得る。外因性腫瘍抑制核酸または腫瘍抑制タン パク質は、本明細書中に記載の任意の1つ以上の腫瘍抑制核酸および/または腫 瘍抑制タンパク質であり得る。同様に、細胞は、本明細書中に記載の任意の1つ 以上の過剰増殖性および/または癌細胞であり得る。 なお別の実施態様において、本発明は、転移性細胞の処置方法を提供する。本 方法は、細胞を腫瘍抑制核酸または腫瘍抑制ポリペプチドと接触させる工程を包 含する。適切な腫瘍抑制核酸または腫瘍抑制ポリペプチドは、本明細書中に開示 される任意の腫瘍抑制核酸および/または腫瘍抑制ポリペプチドを含む。本方法 は、細胞を本明細書中に開示される任意の付加の抗ガン剤と接触させる工程をさ らに包含し得る。特に好ましい実施態様において、本方法は、腫瘍抑制核酸およ び/または腫瘍抑制ポリペプチドの外科的創傷への局部投与を含む。 別の実施態様において、本発明は、特に好ましい投与レジメを提供する。従っ て、1つの実施態様において、本発明は、哺乳動物細胞の処置方法を提供し、本 方法は、細胞に全用量の腫瘍抑制タンパク質または腫瘍抑制核酸を投与する工程 を包含し、ここで上記全用量は、上記腫瘍抑制タンパク質または腫瘍抑制核酸の 複数の漸増用量で投与される。好ましい複数投与は、各々少なくとも約6時間の 間隔を開ける。1つの好ましい投与は、約24時間の間隔での少なくとも3開の処 置である。 別の実施態様において、本発明は、哺乳動物細胞の処置方法を提供する。本方 法は、細胞に、腫瘍抑制タンパク質または腫瘍抑制核酸の全用量を投与する工程 を包含し、ここで全用量は、腫瘍抑制タンパク質または腫瘍抑制核酸の複数の投 与の漸増用量で投与される。投与は、少なくとも約6時間の間隔であり得る。本 方法は、少なくとも3つの漸増用量を少なくとも含むものを含み得、そして用量 は日毎投与され得る。1つの実施態様において、本方法は、約24時間間隔の少な くとも3開の処置を含み得る。別の実施態様において、本方法は、腫瘍投与を含 み得、腫瘍抑制核酸は、約1×109〜約7.5×1015、または約1×1011〜約7.5×1 013の範囲のアデノウイルス粒子の全用量で、アデノウイルス粒子は以下:単回 用量における全用量、5日にわたって日毎投与される全用量、15日にわたって日 毎投与される全用量、および30日にわたって日毎投与される全用量からなる群か ら選択される処置レジメで投与される。本方法は、パクリタキセルまたはパクリ タキセル誘導体を、単回用量、(第1日目および第2日目に日毎投与される用量 で、第1日目、第2日目、および第3日目における日毎投与される用量で、15日 間の日毎投薬量で、30日間の日毎投薬量で、15日間の日毎の連続注入で、30日間 の日毎連続注入での投与からなる群から選択される処置レジメにおいて、24時間 にわたって約75mg/m2〜約350gm/m2の範囲の全用量で投与する工程をさらに含み 得る。これらの処置レジメは、2以上のサイクル繰り返され得、そしてこの2以 上のサイクルは、3または4週間の間隔を開けられ得る。このように、処置され る細胞は、卵巣癌、中皮腫、膵臓癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肝癌、メラノ ーマ、網膜芽腫、乳癌、結腸直腸癌、白血病、リンパ腫、脳腫瘍、子宮頚癌、肉 腫、前立腺癌、膀胱癌、細網内皮組織の腫瘍、ウイルムス腫瘍、星状細胞腫、神 経膠芽細胞腫、神経芽細胞腫、骨肉腫、腎臓癌、および頭頸部癌からなる群から 選択される癌を含む新生物細胞を含む。処置は、好ましくは、腫瘍の体積の測定 によってアッセイされるように、腫瘍の成長または増殖の阻害を生じる。 本発明はまた、腫瘍抑制タンパク質または腫瘍抑制核酸および少なくとも1つ の付加の抗ガン剤を含む、薬理学的組成物を提供する。付加の抗ガン剤は、パク リタキセルまたはパクリタキセル誘導体であり得る。腫瘍抑制タンパク質または 腫瘍抑制核酸は、野生型p53タンパク質をコードする核酸、網膜芽腫(RB)タン パク質をコードする核酸、野生型p53タンパク質、および網膜芽腫(RB)タンパ ク質からなる群から選択され得る。 網膜芽肺タンパク質は、p110RBまたはp56RBであり得る。核酸は、組換えアデ ノウイルスベクターに含まれ得る。核酸は、タンパク質IX DNAの部分的または全 体的な欠失を含み、そしてp53タンパク質をコードする核酸を含む、組換えアデ ノウイルスベクターに含まれ得る。1つの実施態様において、タンパク質IX遺伝 子配列の欠失は、5'ウイルス末端からの約3500bpから5'ウイルス末端からの約40 00bpに及び得る。DNAの欠失は、E1aおよびE1bと称される配列を含み得る。組換 えアデノウイルスベクターは、アデノウイルス2型主要後期プロモーターまたは ヒトCMVプロモーター、アデノウイルス2型3部構成リーダーcDNA、およびヒトp 53cDNAをさらに含み得る。好ましい実施態様において、ベクターは、A/C/N/53で ある。組成物は、パクリタキセル、またはパクリタキセル誘導体、またはパクリ タキセルアナログであり得る。 本発明は、哺乳動物癌細胞または過剰増殖性細胞を含む組成物をさらに提供し 、ここで、上記細胞は、外因性腫瘍抑制核酸または腫瘍抑制タンパク質および付 加の抗ガン剤を含む。腫瘍抑制核酸は、野生型p53タンパク質および網膜芽腫(R B)タンパク質からなる群から選択される腫瘍抑制タンパク質をコードする核酸 であり得る。網膜芽腫タンパク質は、p110RBまたはp56RBであり得る。細胞は哺 乳動物に存在し得る。細胞は新生物細胞であり得、そして新生物細胞は、卵巣癌 、膵臓癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肝癌、メラノーマ、網膜芽腫、乳癌、結 腸直腸癌、白血病、リンパ腫、脳腫瘍、子宮頚癌、肉腫、前立腺癌、膀胱癌、細 網内皮組織の腫瘍、ウイルムス腫瘍、星状細胞肺、神経膠芽細胞腫、神経芽細胞 腫、骨肉腫、腎臓癌、および頭頸部癌からなる群から選択される癌を含み得る。 本発明は、転移性細胞を処置する方法を提供する。この方法は、上記細胞を、 腫瘍抑制核酸または腫瘍抑制ポリペプチドおよび付加の抗ガン剤と接触させる工 程を包含する。接触工程は、腫瘍抑制核酸の外科的創傷への局部投与を含み得る 。本方法は、化学治療剤の同時投与をさらに含み得、そして化学治療剤はシスプ ラ チン、カルボプラチン、またはナベルビンであり得る。 定義 用語「付加的(adjunctive)抗癌剤」は、以下の活性のうちの少なくとも1つを 有する薬剤をいう:微小管形成または作用を調節する能力、ポリプレニルタンパ ク質トランスフェラーゼ活性を阻害する能力、新脈管形成を阻害する能力、また は内分泌活性を阻害する能力。本発明において有用な付加的抗癌剤は、以下によ り詳細に記載される。本明細書中において使用される、本発明の付加的抗癌剤は 、DNA損傷活性を有する化合物を含まない。 「腫瘍抑制遺伝子」は、機能損失変異が発癌性である核酸である。従って、以 下を除いて健常な細胞における腫瘍抑制遺伝子の正常な発現の非存在、変異、ま たは破壊は、新生物状態に達する細胞の可能性を増大させるか、または新生物状 態に達する細胞を生じる。逆に、機能的な腫瘍抑制遺伝子またはタンパク質が細 胞中に存在する場合、その存在は、宿主細胞の腫瘍形成性、その悪性腫瘍、また はその過剰増殖性表現型を抑制する。本定義内の腫瘍抑制核酸の例は、p110RB、 p56RB、p53、ならびに本明細書中および同時係属出願USSN 08/328,673(1994年1 0月25日出願)において記載される他の腫瘍サプレッサーを含むが、これらに限 定されない。腫瘍抑制核酸は、腫瘍抑制遺伝子、またはそれに由来する核酸(例 えば、それぞれの腫瘍抑制ポリペプチドの活性フラグメントをコードする、cDNA 、cRNA、mRNA、およびその部分配列)、ならびにこれらの配列を含むベクターを 含む。 「腫瘍抑制ポリペプチドまたはタンパク質」は、細胞に存在する場合、細胞の 腫瘍形成性、その悪性腫瘍、またはその過剰増殖性表現型を減少するポリペプチ ドをいう。 用語「ウイルス粒子」は、インタクトなビリオンをいう。感染性アデノウイル スのウイルス粒子の濃度は、代表的には例えば、Huyghe(1995)Human Gene The r.6:1403-1416によって記載されるような、DNAの分光光度計検出によって決定 される。 用語「新生物」または「新生物性」は、その細胞型についての正常な成長の限 界を超える速度での細胞成長および/または細胞分裂を記載することが意図され る。 用語「腫瘍形成性の」または「腫瘍形成性」は、腫瘍を形成する能力、または 腫瘍形成を引き起こし得る能力を有することを意味することが意図される。 句「細胞を処置する」は、疾患細胞の1つ以上の疾患特徴の阻害または寛解を いう。新生物である癌細胞(例えば、内因性野生型腫瘍抑制タンパク質を欠く、 哺乳動物癌細胞)に関して使用される場合、句「細胞を処理すること」は、新生 物表現型の緩和または除去をいう。代表的には、そのような処理は、処理(例え ば、付加的抗癌剤および/または腫瘍抑制核酸もしくはポリペプチド)を除けば 同じ条件下である同じ細胞と比較した場合、細胞の阻害(成長(growth)および/ または増殖(proliferation)の減少または休止)を生じる。そのような阻害は、 細胞死(例えば、アポトーシス)を含み得る。腫瘍に関して使用される場合、こ れらの用語は腫瘍塊の成長または増殖の阻害をいう(例えば、体積測定の場合) 。そのような阻害は、腫瘍塊を含む細胞の成長速度および/または増殖速度およ び/または細胞死における減少を介して媒介され得る。成長の阻害または増殖の 阻害は、細胞の表現型における改変(例えば、健常な細胞の形態学的特徴の回復 、接触阻害の回復、侵襲性表現型の損失、足場非依存性増殖(anchorage indepen dent growth)の阻害など)によって達成され得る。この開示の目的のために、疾 患細胞は、1つ以上の病理学的形質を有する。疾患細胞におけるこれらの形質は 、とりわけ、1つ以上の腫瘍抑制タンパク質の欠損した発現を含み得る。欠損し た発現は、1つ以上の機能的な腫瘍抑制タンパク質の完全な損失、または1つ以 上の機能的な腫瘍抑制タンパク質の発現レベルにおける減少によって特徴付けら れ得る。このような細胞は、しばしば、新生物性および/または腫瘍形成性であ る。 用語「全身投与」は、本発明の組換えアデノウイルスベクター、または本明細 書中に記載される付加の抗癌化合物もしくは化学治療化合物のような組成物また は薬物の、循環系への組成物または薬物の導入を生じる様式での投与をいう。用 語「領域投与(regional administration)」は、特定の解剖学的空間(例えば、 腹腔内、クモ膜下、硬膜下)または特定の器官などへの、組成物または薬物の投 与をいう。例えば、領域投与は、肝臓への領域投与のための、肝臓の動脈への、 組成物または薬物の投与を含む。用語「局所投与(local administration)」は、 限定または限局された解剖学的空間への組成物または薬物の投与(例えば、腫瘍 塊への腫瘍内注射、皮下注射、筋肉内注射など)をいう。当業者は、局所投与ま たは領域投与もまた、循環系への組成物または薬物の侵入を生じ得ることを理解 する。 本明細書中において、用語「減少した腫瘍形成性」を使用して、過剰増殖性( 例えば、新生物性)細胞の、より増殖性ではない状態への転換をいう。腫瘍細胞 の場合において、「減少した腫瘍形成性」は、腫瘍細胞へ転換する能力が減少ま たは除去される、より腫瘍形成性ではないか、もしくは非腫瘍形成性になった腫 瘍細胞、または非腫瘍細胞を意味することが意図される。腫瘍形成性の減少した 細胞は、インビボにおいて腫瘍を形成しないか、またはインビボでの腫瘍増殖の 出現前に数週間から数カ月まで延長した遅滞期を有するかのいずれかである。腫 瘍形成性の減少した細胞はまた、同じ生理学的環境(例えば、組織、生物の年齢 、生物の性別、月経周期における時期など)において成長する十分に不活化また は非機能的な腫瘍抑制遺伝子を有する細胞の同じ型と比較して、より緩慢に成長 する3次元腫瘍塊を生じ得る。 本明細書中において使用する、遺伝子またはポリペプチドの「活性フラグメン ト」は、腫瘍抑制活性を有するタンパク質をコードする能力を保持する、遺伝子 またはそれに由来する核酸(例えば、cDNA)のより小さな部分(部分配列)を含 む。同様に、ポリペプチドの活性フラグメントは、腫瘍抑制タンパク質を有する ポリペプチドの部分配列をいう。活性フラグメントの1つの例は、例えば、同時 係属のUSSN 08/328,673(1994年10月25日出願)に記載されるようなp56RBである 。 用語「悪性腫瘍」は、転移する能力を有する腫瘍形成性細胞を記載することが 意図される。 本明細書中で使用する「核酸」は、DNAまたはRNAであり得る。核酸はまた、ポ リメラーゼによる正確な読み過ごしを可能にし、そしてその核酸によってコード されるポリペプチドの発現を改変しない、改変されたヌクレオチドを含み得る。 句「ヌクレオチド配列」は、個々の単鎖または二重鎖のいずれかとして、セン スおよびアンチセンス鎖の両方を含む。 句「DNA配列」は、ヌクレオチド塩基のアデノシン、チミジン、シトシン、お よびグアノシンから構成される、一本鎖または二本鎖のDNA分子をいう。 句「〜をコードする核酸配列」は、特定のタンパク質またはペプチドの発現を 指向する核酸をいう。核酸配列は、RNAに転写されるDNA鎖配列、およびタンパク 質に翻訳されるRNA配列の両方を含む。核酸配列は、全長核酸配列、ならびに全 長配列に由来する非全長配列の両方を含む。配列は、特定の宿主細胞におけるコ ドン優先(preference)を提供するように導入され得る、天然の配列の縮重コドン を含むことがさらに理解される。 句「発現カセット」は、このような配列と適合性の宿主における構造遺伝子の 発現をもたらし得るヌクレオチド配列をいう。そのようなカセットは、少なくと もプロモーター、および必要に応じて転写終結シグナルを含む。発現に影響を及 ぼすのに必要か、またはそれに有用なさらなる因子はまた、本明細書中に記載の ように使用され得る。 本明細書中で使用する用語「作動可能に連結された」は、プロモーターがDNA 配列の転写を媒介するような、DNA配列から上流のプロモーターの連結をいう。 「単離された」または「実質的に純粋な」は、腫瘍抑制タンパク質もしくはポ リペプチドまたはそのフラグメントをコードする核酸配列をいう場合、腫瘍抑制 タンパク質もしくはポリペプチドまたはそのフラグメントとは異なるタンパク質 またはペプチドをコードしない単離された核酸をいう。 用語「組換え体」は、天然または内因性供給源から単離され、そして天然に存 在する隣接ヌクレオチドを欠失または天然に存在しない隣接ヌクレオチドを提供 するように化学的または酵素学的に改変されたDNAをいう。隣接ヌクレオチドは 、ヌクレオチドの所望の配列または部分配列から上流または下流のいずれかであ るヌクレオチドである。 「ベクター」は、細胞を感染、トランスフェクト、一過性または永久に形質導 入し得る核酸を含む。ベクターは、裸の核酸、またはタンパク質もしくは脂質と 複合体化された核酸であり得ることが理解される。ベクターは、必要に応じて、 ウイルス性もしくは細菌性の核酸および/またはタンパク質、ならびに/あるい はメンブレン(例えば、細胞膜、ウイルス脂質エンベロープなど)を含む。ベク ターはしばしば、目的の核酸をプロモーターの制御下に置く発現カセットを含む ことが認識される。ベクターは、DNAのフラグメントが付着され、そして複製さ れるようになり得るレプリコン(例えば、プラスミド、バクテリオファージ)を 含むが、これらに限定されない。従って、ベクターは、RNA、自律的自己複製環 状DNA(プラスミド)を含むがこれらに限定されず、そして発現プラスミドおよ び非発現プラスミドの両方を含む。組換え微生物または細胞培養が、「発現ベク ター」を宿す(host)として規定される場合、これは、染色体外環状DNAおよび宿 主染色体に組み込まれているDNAの両方を含む。ベクターが宿主細胞によって維 持されている場合、ベクターは、有糸分裂の間に自律的構造として細胞によって 安定に複製され得るか、または宿主ゲノム内に組み込まれる。 用語有効量は、細胞成長および/または細胞増殖を制御する際に、ポジティブ な効果を達成する、ベクター量または薬物量を意味することが意図される。 本明細書中で使用される略語「C.I.U.」は、「細胞感染単位(cellular infect ious units)」を表す。C.I.U.は、ウイルス性ヘキソンタンパク質ポジティブ細 胞(例えば、293細胞)を48時間の感染時間後に測定することによって計算され る(Huyghe(1995)Human Gene Ther.6:1403-1416)。 本明細書中で使用される略語「m.o.i.」は、「感染多重性(multiplicity of infection)」をいい、そして細胞あたりのC.I.U.である。 い安定化微小管束へのチューブリン部分の重合化を増強することによって、真核 生物細胞の複製を阻害する。 用語「細胞を接触させる」は、薬物および/または核酸と接触することをいう 場合、薬物および/または核酸が細胞中にインターナリゼーションされるような 様式で接触することをいうように、本明細書中で使用される。この文脈において 、細胞を核酸と接触させることは、細胞を核酸でトランスフェクトすることと等 価である。薬物が親油性であるか、または核酸が脂質(例えば、カチオン性脂質 )と複合体化される場合、単に接触させることは、細胞への輸送(能動的、受動 的、および/または拡散性(diffusive))を生じる。あるいは、薬物および/ま たは 核酸は、それ自体であり得るか、またはキャリア組成物との組み合わせであり得 、細胞へ能動輸送され得る。従って、例えば、核酸が感染性ベクター(例えば、 アデノウイルス)中に存在する場合、ベクターは、細胞への核酸の取り込みを媒 介し得る。核酸は、細胞外レセプターと特異的に相互作用する薬剤と複合体化さ れ、細胞への核酸の送達を促進し得る(例えば、米国特許第5,166,320号および 同第5,635,383号において記載されるようなリガンド/ポリカチオン/DNA複合体 を含む)。さらに、ウイルス性送達は、細胞標的化部分を取り込むように、ウイ ルスゲノムのknobまたは線維ドメインを組換え改変することによって増強され得 る。 本明細書中で「A/C/N/53」、「A/M/N/53」、p110RB、p56RBとして命名される 構築物は、同時係属出願USSN 08/328,673(1994年10月25日出願)、国際出願WO 95/11984において、そのように命名される構築物をいう。 「保存的置換」は、タンパク質を記載する場合、タンパク質活性を実質的に改 変しないタンパク質のアミノ酸組成における変化をいう。従って、特定のアミノ 酸配列の「保存的に改変された改変体」は、重要なアミノ酸の置換が活性を実質 的に改変しないように、タンパク質活性について重要ではないそれらのアミノ酸 のアミノ酸置換、または類似の特性(例えば、酸性、塩基性、正または負の荷電 、極性または非極性など)を有する他のアミノ酸でのアミノ酸の置換をいう。機 能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換表は、当該分野において周知である 。例えば、以下の6つの群は、それぞれ、互いに保存的な置換であるアミノ酸を 含む: 1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T); 2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E); 3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q); 4)アルギニン(R)、リジン(K); 5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V ):および 6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。 Creighton(1984)Proteins W.H.Freeman and Companyもまた参照のこと。さらに 、コードされる配列におけるアミノ酸の単一のアミノ酸または低い割合を改変、 付加、または欠失させる個々の置換、欠失、または付加はまた、「保存的に改変 された改変体」である。 図面の簡単な説明 -OV-3卵巣腫瘍細胞のインビトロ阻害を示す。 図2は、図1において示される実験についてのイソボログラム(isobologra 図3a、3b、および3cは、ヌードマウスにおけるヒト乳癌異種移植片に対するp5 3 Adの効力を示す。マウスに、1匹のマウスあたり総用量2.2×109C.I.U.アデノ ウイルスを、0〜4日目および7〜11日目の10回の注射に分割して投与した。マ ウスを、p53 Ad、β-gal Ad、またはビヒクル単独で処置した。図3aは、MDA-MB- 231腫瘍に関する結果を示す。図3bは、MDA-MB-468(-468)腫瘍に関する結果を示 し、そして図3cは、MDA-MB-435(-435)腫瘍に関する結果を示す。 図4aおよび4bは、MDA-MB-231(-231)腫瘍(図4a)およびMDA-MB-468腫瘍(図4b) についての、p53 Ad(A/C/N/53)用量応答曲線を提供する。マウスに、1×107〜1 ×109C.I.U.p53 Ad(A/C/N/53)を、0〜4日目および7〜11日目の10用量に分割 して腫瘍周囲に投与した。平均%阻害を、14、15、18、21、24、28、30、32、お よび35日目(MDA-MB-468腫瘍のみ、35日目について)に、各p53 Ad用量での腫瘍 体積と、緩衝液処理腫瘍とを比較することによって計算した。-231腫瘍は0日目 に平均して22.5±1.2mm3であり、-468腫瘍は0日目に平均して33.1±1.8mm3であ った。 図5は、単回ボーラスまたは分割した用量で投与された場合の治療剤の効力の 比較を提供する。腫瘍(MDA-MB-231)を、1週間〜3週間で、1週あたり2.2×108 C.I.U.の総量で投与した。 図6は、大きく十分に確立した腫瘍に対する、低用量p53 Adの複数周期の効力 を示す。総量1.32×109C.I.U.のp53 Adを、MDA-MB-468異種移植片に6週間にわ たって投与した。(P=コントロール腫瘍増殖率における定常値;E=投与の 終わり)。 図7a、7b、および7cは、単回ボーラス注射(図7a)または3回注射(図7b)もしく は5回注射(図7c)に分割して、1×109C.I.U.p53 Ad(A/C/N/53)を投与される、 ヌードマウスにおけるMDA-MB-468腫瘍のインビボ阻害を示す。 図8は、低用量デキサメタゾンの、scidマウスにおけるNK細胞によって媒介さ れる腫瘍増殖の阻害を抑制する能力を示す。MDA-MB-231腫瘍に、14〜18日目およ び21〜25日目に投与される10回注射へ分割された、総量2×109C.I.U.のβ-gal Ad(1.1×1011ウイルス粒子)を投与した。皮下デキサメタゾン(またはプラセ ボ)ペレットは、1日あたり83.3μgのステロイドを放出した。 図9.正常細胞および腫瘍細胞における、p53とシスプラチンとの組み合わせ 治療の比較。 詳細な説明 本発明は、細胞の成長および/または増殖、より詳細には癌細胞の成長および 増殖を阻害する新しい方法を提供する。1つの実施態様において、本方法は、腫 瘍抑制核酸、または腫瘍抑制タンパク質、および付加的抗癌剤と、細胞とを接触 させる工程を包含する。代表的には、使用される腫瘍抑制タンパク質または核酸 は、欠失している腫瘍抑制タンパク質と同じ種である。従って、細胞が内因性p5 3活性を欠く場合、p53タンパク質またはp53核酸を使用する。 以前の研究において記載される結果(例えば、Wahlら、(1996)Nature Med. ,2(1):72-79、およびHawkinsら、(1996)Canc.Res.56:892-898を参照のこと )と対照的に、内因性野生型腫瘍抑制タンパク質(すなわち、多くの新生物性細 胞)を欠くか、または欠失している哺乳動物細胞の、付加的抗癌剤(例えば、パ えば、p53)の両方での処置は、化学的処置または腫瘍抑制構築物単独で観察され た阻害より、細胞の増殖および/または成長の大きな阻害を生じることは、本発 明の驚くべき発見であった。さらに、付加抗癌剤での前処置が、腫瘍抑制核酸の 抗増殖性効果を劇的に増大させることは、本発明の発見であった。特定の理論に よって縛られることなしに、付加抗癌剤がこの増強された効果に貢献し得る可能 な手段は、以下であると考えられている:種々のウイルス遺伝子治療ベクター( 例えば、アデノウイルスベクター)のトランスフェクション効率を増大させるこ と;または腫瘍抑制遺伝子の発現レベルを増大させること;または細胞内ウイル ス輸送を補助する微小管を安定化させること;または種々の細胞内機構(例えば 、シグナル伝達経路、アポトーシス経路、細胞周期(cycling)経路)の相互作用 を介して増強された効果を提供すること。 従って、1つの実施態様において、本発明は、細胞の内因性野生型腫瘍抑制タ ンパク質を欠くか、または欠失する疾患哺乳動物細胞を、付加的抗癌剤ならびに 腫瘍抑制核酸および/または腫瘍抑制ポリペプチドと接触させることによって阻 害する方法を提供する。細胞が腫瘍内に存在する場合、本方法は、腫瘍増殖を阻 害し、それによって癌を処置する方法を提供する。特に好ましい腫瘍抑制核酸ま たはポリペプチドは、p53、RB、h-NUC(例えば、Chen(1995)Cell Growth Diffe r.6:199-210を参照のこと)またはそれらの活性フラグメント(例えば、p110RB 、p56RB)を含むが、特に好ましい付加的抗癌剤(化合物)は、パクリタキセル 誘導体(例えば、アナログ)のようなパクリタキセル様活性を有するパクリタキ セルおよび化合物を含む。 腫瘍抑制核酸および/またはポリペプチドと細胞を接触させることが、転移性 細胞を阻害し得ることもまた、本発明の発見であった。このような阻害は、転移 性細胞の形成、増殖、移動、または再産生の阻害の形態をとり得る。1つの実施 態様において、阻害は、一次腫瘍から遠くでの新生物の出現における阻害(例え ば、減少および/または除去)によって特徴付けられ得る。従って、本発明は、 転移性疾患の進行を処置(緩和または排除)するための方法を提供する。本発明 は、転移性細胞を、腫瘍抑制核酸および/またはポリペプチドと接触させる工程 を包含する。特に好ましい実施態様において、本発明は、外科的創傷部位におけ る細胞(例えば、腫瘍塊の除去またはデバルキング(debulking)後)を、腫瘍 抑制核酸および/または腫瘍抑制ポリペプチドと、付加的抗癌剤と組み合わせて 接触させる工程を包含し得る。細胞はさらに、本明細書中に記載のような付加抗 癌剤と接触され得る。 さらに別の実施態様において、本発明は、腫瘍抑制遺伝子および遺伝子産物を 利用する有利な処置レジメを提供する。一部には、これらの処置レジメは、腫瘍 核酸および/またはポリペプチドが、単回ボーラスにおいてではなく複数回の投 与で送達される場合、細胞または腫瘍成長を阻害することにおいてより有効であ るという驚くべき発見に基づく。 腫瘍サプレッサーおよび付加的抗癌剤が投与される順番は、本発明に重要では ない。従って、組成物は、同時または連続的に投与され得る。例えば、1つの実 施態様において、少なくともlつの付加抗癌剤(単独または化学治療剤と組み合 わせて)での細胞の前処置は、引き続いて投与される腫瘍抑制核酸および/また はポリペプチドの効力を増大させる。1つの実施態様において、化学治療剤は、 付加的抗癌剤ならびに腫瘍抑制核酸および/またはポリペプチドの前に投与され る。別の実施態様において、付加的抗癌剤(単独または化学治療剤と組み合わせ て)は、腫瘍抑制核酸および/またはポリペプチドと同時に投与される。さらな る実施態様において、腫瘍抑制核酸および/またはポリペプチドは、腫瘍抑制核 酸および/またはポリペプチドのアーム後に投与される。 組成物を投与する工程および本発明の方法の抗腫瘍効果はまた、抗腫瘍非特異 的効果、いわゆる「傍観者(bystander)効果」を含む(例えば、Zhang(1996)Can cer Metastasis Rev.15:385-401およびOkada(1996)Gene Ther.3:957-96を参 照のこと)。さらに、免疫系もまた、免疫系の体液性アーム(arm)または細胞性ア ームを選択的に強調する(または減弱する)ように、すなわち、B細胞および/ またはT細胞(例えば、細胞傷害性リンパ球(CTL)または腫瘍浸潤性リンパ球(TIL ))応答を調節するように操作され得る。例えば、TIL(表現型的には、ヘルパー T細胞、CD3+、およびCD4+)における増加は、p53発現アデノウイルスのヒトへ の投与の際に観察される。詳細には、TILにおける増加は、以下に詳細に記載さ れるように、転移性肝癌の処置のための、p53発現アデノウイルスの肝動脈内投 与の際に観察される。 本発明の方法は、単一の付加的抗癌剤の使用、または単一の化学治療剤の使用 にすら制限されないことが認識される。従って、本発明は、細胞または腫瘍を、 本明細書中に記載の腫瘍抑制核酸および1つ以上の付加的抗癌剤と接触させるこ とによって、内因性腫瘍抑制タンパク質を欠く疾患哺乳動物細胞またはそのよう な細胞を含む腫瘍を阻害する方法を提供する。 I.付加的抗癌剤 A)微小管に影響する薬剤 先に説明したように、1つの実施態様において、本発明は、細胞を、微小管に 影響する薬剤(例えば、パクリタキセル、パクリタキセル誘導体、またはパクリ タキセル様化合物)のような腫瘍抑制タンパク質または腫瘍抑制核酸および付加 的抗癌剤と接触させることによって、内因性腫瘍抑制タンパク質を欠く疾患細胞 を阻害する方法を提供する。本明細書中で使用する微小管に影響する薬剤は、微 小管形成および/または作用に影響を及ぼすことによって、細胞性有糸分裂を阻 害する(すなわち、抗有糸分裂効果を有する)化合物である。そのような薬剤は 、例えば、微小管形成を中断させる微小管を安定化する薬剤であり得る。 本発明において有用な微小管に影響する薬剤は、当業者に周知であり、そして アロコルヒチン(NSC 406042)、Halichondrin B(NSC 609395)、コルヒチン(NSC 7 57)、コルヒチン誘導体(例えば、NSC 33410)、ドラスタチン10(NSC 376128)、メ イタンシン(NSC 153858)、リゾキシン(NSC 332598)、パクリタキセル コルヒチン(NSC 361792)、トリチルシステイン(NSC 83265)、硫酸ビンブラスチ ン(NSC 49842)、硫酸ビンクリスチン(NSC 67574)、エポチロンA、エポチロン 、およびディスコダーモリド(discodermolide)(Service,(1996)Science,274 :2009を参照のこと)エストラムスチン、ノコダゾール、MAP4などを含むが、これ らに限定されない。そのような薬剤の例はまた、科学文献および特許文献に記載 される(例えば、Bulinski(1997)J.Cell Sci.110:3055-3064;Panda(1997) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:10560-10564;Muhlradt(1997)Cancer Res.57 :3344-3346;Nicolaou(1997)Nature 387:268-272;Vasquez(1997)Mol.Biol. Cell 8:973-985;Panda(1996)J.Biol.Chem.271:29807-29812を参照のこと) 。 特に好ましい薬剤は、パクリタキセル様活性を有する化合物である。これらは 、パクリタキセルならびにパクリタキセル誘導体(パクリタキセル様化合物)お よ び類似体を含むが、これらに限定されない。パクリタキセルおよびその誘導体は 、市販されている。さらに、パクリタキセルならびにパクリタキセル誘導体およ び類似体を作製する方法は、当該分野において周知である(例えば、米国特許第 5,569,729号;同第5,565,478号;同第5,530,020号;同第5,527,924号;同第5,50 8,447号;同第5,489,589号;同第5,488,116号;同第5,484,809号;同第5,478,85 4号;同第5,478,736号;同第5,475,120号;同第5,468,769号;同第5,461,169号 ;同第5,440,057号;同第5,422,364号;同第5,411,984号;同第5,405,972号;お よび同第5,296,506号を参照のこと)。 さらなる微小管に影響する薬剤は、当該分野で公知の多くのこのようなアッセ イの1つ(例えば、パクリタキセルアナログのチューブリン重合(tublin-polym erizimg)活性を測定する、細胞の有糸分裂をブロックするこれらの化合物の潜 在性を測定する細胞アッセイと組み合わせた半自動化アッセイ)を用いて評価さ れ得る(Lopes(1997)Cancer Chemother.Pharmacol.41:37-47を参照のこと)。 一般的に、試験化合物の活性は、細胞を化合物と接触させることにより、そし て細胞周期が(特に、有糸分裂の事象の阻害を介して)破壊されるか否かを決定 することにより決定される。このような阻害は、分裂装置の破壊(例えば、通常 の紡錘体形成の破壊)により媒介され得る。有糸分裂が中断された細胞は変化し た形態(例えば、微小管の緊密化、染色体数の増加など)により特徴付けられ得 る。 好ましい実施態様において、可能なチューブリン重合活性を有する化合物がイ ンビトロスクリーニングされる。好ましい実施態様において、化合物は、培養し たWR21細胞(69-2 wap-ras系マウス由来)に対して、増殖阻害および/または細 胞形態の変化、特に微小管の緊密化についてスクリーニングされる。次いで、ポ ジティブな試験化合物のインビボスクリーニングは、WR21腫瘍細胞を保有するヌ ードマウスを用いて行われ得る。このスクリーニング方法についての詳細なプロ トコルは、Porter(1995)Lab.Anim.Sci.,45(2):145-150により記載されている 。 所望の活性について化合物をスクリーニングする他の方法は、当業者に周知で ある。代表的には、このようなアッセイは、微小管の組立および/または分解の 阻害についてのアッセイを包含する。微小管の組立についてのアッセイは、例え ば、Gaskinら、(1974)J.Molec.Biol.,89:737-758により記載されている。米 国特許第5569,720号はまた、パクリタキセル様活性を有する化合物についてのイ ンビトロアッセイおよびインビボアッセイをを提供する。 B)ポリプレニルタンパク質トランスフェラーゼインヒビター さらに別の実施態様において、本発明は、腫瘍抑制核酸および/または腫瘍抑 制ペプチドならびにポリプレニルタンパク質トランスフェラーゼインヒビターの 複合使用を提供する。特に好ましいポリプレニルタンパク質トランスフェラーゼ インヒビターは、ファルネシルタンパク質(farnesyl-protein)トランスフェラ ーゼ(FTP)インヒビター、ゲラニルゲラニルタンパク質(geranylgeranyl-prot ein)トランスフェラーゼインヒビターおよび他のモノテルペンタンパク質トラ ンスフェラーゼを含むがこれらには限られない。ポリプレニルタンパク質トラン スフェラーゼインヒビターである化合物の例は、科学文献および特許印刷物にお いて周知であり、例えば、Zhang(1997)J.Biol.Chem.272:10232-10239;Njorog e(1997)J.Med.Chem.40:4290-4301;Mallams(1997)Bioorg.Med.Chem.5:93-99 を参照のこと。 ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼインヒビターである例示的な化合 物は、以下に与えられる: 「FTP39」と命名されたFTPインヒビターは、1996年12月19日に出願された国 際特許出願WO 97/23478に記載される。ここで、FTP39は、化合物「39.0」と命名 される。WO 97/23478の95頁を参照のこと。 化合物 FPT39: 以下に記載のように、FTP39が、前立腺腫瘍細胞および乳腺腫瘍細胞に対して 、本発明のp53発現アデノウイルスを用いる組み合わせの治療において使用され る場合、この組み合わせは、どちらかの因子を単独で使用するよりも腫瘍細胞殺 傷においてより効果的である。 オリゴペプチド(ほとんどはテトラペプチドであるがペンタペプチド(構造式 、Cys-Xaa1-Xaa2-Xaa3)も含まれる):EPA461,489;EPA 520,823;EPA 528,486;お よびWO 95/11917) ペプチド模倣化合物、特にCys-Xaa-Xaa-Xaa模倣物:EPA 535,730、EPA 535,73 1、EPA 618,221;WO 94/09766;WO 94/10138;WO 94/07966;米国特許第5,326,773号 、米国特許第5,340,828号;米国特許第5,420,245号、WO 95/20396,米国特許第5, 439,918号;およびWO 95/20396。 ファルネシル化ペプチド模倣化合物、特にファルネシル化されたCys-Xaa-Xaa- Xaa模倣物:GB-A2.276,618。 他のペプチド模倣化合物は:米国特許第5,352,705号、WO 94/00419;WO 95/004 97;WO 95/09000;WO 95/09001;WO 91/12612;WO 95/25086;EPA 675,112およびFR-A 2,718,149。 縮合環三環系ベンゾシクロヘプタピリジン:WO 95/10514;WO 95/10515;WO 95/1 0516;WO 96/30363;WO 96/30018;WO96/30017;WO 96/30362;WO 96/31111;WO 96/31 478;WO 96/31477;WO 9631505;国際特許出願第PCT/US96/19603号、WO 97/23478; 米国特許出願第08/728104号、米国特許出願第08/712,989号、米国特許出願第08/ 713,326号、米国特許出願第08/713,908号、米国特許出願第08/713,705号、米国 特許出願第08/713,703号、米国特許出願第08/710,225号、米国特許出願第08/711 ,925号、米国特許出願第08/712,924号、米国特許出願第08/713,323号;および米 国特許出願第08/713,297号。 ファルネシル誘導体:EPA 534,546;WO 94/19357;WO 95/08546,EPA 537,007;お よびWO 95/13509。 天然生成物および誘導体:WO 94/18157;米国特許出願第5,430,055;GB-A 2,261 ,373、GB-A 2,261,374、GB-A 2,261,375;米国特許出願第5,420,334号、米国特許 出願第5,436,263号。 他の化合物:WO 94/26723;WO 95/08542;米国特許出願第5,420,157号;WO 95/21 815;およびWO 96/31501。 C)抗脈管形成化合物 本発明の腫瘍抑制タンパク質または腫瘍抑制核酸はまた、抗脈管形成化合物と の結合により投与される。好ましい抗脈管形成組成物は、血管の形成および増殖 を阻害し、より好ましくは血管の腫瘍への形成および/または増殖を阻害する。 適切な抗脈管形成組成物は、Galardin(GM6001,Glycomed,Inc.,Alameda,CA) 内皮応答インヒビター(例えば、インターフェロンα、TNP-470および血管内皮 成長因子のインヒビター)、細胞マトリックスの分解を促進する因子(例えば、 ビタキシン(ヒトLM-609抗体、Ixsys Co.,San Diego,CA;Metastat,CollaGenex, Newtown,PA:およびMarimastat BB2156,British Biotech)および血管成長に直接 的に作用する因子(例えば、グループAの連鎖球菌抗原の外毒素由来であり、そ して激しい宿主炎症性応答を誘導する新血管に結合するCM-101;およびサリドマ イド)を含むがこれらには限られない。 ステロイドの数種はまた、抗脈管形成活性を発揮することが注目されている。 特にいくつかの報告は、メドロキシプロゲステロンアセテート(medroxyprogest erone acetate)(MPA)(合成プロゲステロン)がウサギ角膜アッセイにおいて 新血管新生を強力に阻害することを示した(Oikawa(1988)Cancer Lett.43:85 )。5-FUのプロドラッグである5'-デオキシ-5-フルオロウリジン(5'DFUR)が、 抗脈管形成化合物として特徴付けられ得るのは、5'DFURがPD-ECGF/TPのチミジン ホスホリラーゼ活性により5-FUに変換されるからである。5'DFURは、高い抗脈管 形成能力を有するPD-ECGF/TPポジティブ腫瘍細胞について選択的に活性であり得 る。最近の臨床研究は、5'DFURが、PD-ECGF/TPポジティブ腫瘍に有効であると考 えられることを示した。5'DFURの抗腫瘍効果の激的な増加が、トランスフェクト されていない野生型細胞と比較してPD-FCGF/TPトランスフェクト細胞に現れるこ とが示された(Haraguchl(1993)Cancer Res.53:5680-5682)。さらに、結合さ れた5'DFUR+MPA化合物はまた、有効な抗脈管形成剤である(Yayoi(1994)Int J O ncol.5:27-32)。5'DFUR+MPAの組み合わせは異なるスペクトルを有する2つの抗 脈管形成インヒビター、内皮成長因子のインヒビターおよびプロテアーゼインヒ ビターの組み合わせとして分類され得る。さらに、DMBA誘導性ラット乳癌を用い たインビボ実験において、5'DFURは、AGM-1470との組み合わせ効果を示した(Ya mamoto(1995)Oncol Reports 2:793-796)。 本発明の使用のための抗脈管形成化合物の別の群には、新脈管形成を促進する ヘパリン結合成長因子の機能を妨げ得る多糖(例えば、多硫酸ペントサン(pent osan polysulfate))が挙げられる。 新脈管形成の他の調節剤には、血小板因子IV、およびAGM1470が挙げられる。 さらに他の調節剤には、天然原料のコラゲナーゼインヒビター由来であるビタミ ンD3-アナログ、フミガリン(fumigallin)、ヘルビマイシン(herbimycin)A およびイソフラボンが挙げられる。 D)内分泌治療 すでに確立され、そして代表的な細胞分裂抑制処置である内分泌治療は、ホル モン依存性細胞を静止状態にし得、そしてインビボにおいて腫瘍細胞数を減少さ せ得、そしてホルモン依存性の腫瘍を有する患者において腫瘍成長を阻害し得る 。このような治療には、過剰増殖細胞の処置において腫瘍サプレッサーの効果を 増大させると期待される。従って、別の実施態様において、本発明は、例えば、 腫瘍抑制核酸および/または腫瘍抑制ポリペプチドならびに抗エストロゲン、抗 アンドロゲンあるいは抗プロゲステロンの併用使用を提供する。当業者に周知の 内分泌治療には、タモキシフェン、トレミフェン(例えば、米国特許第4,696,94 9号参照のこと)、フルタミド(flutamide)、メガーゼ(megase)、およびルプ ロン(lupron)(例えば、WO 91/00732、WO 93/10741、WO 96/26201、およびGau thierら、J.Med.Chem.40:2117-2122(1997)をまた参照のこと)が挙げられる が、これらに限定されない。 E)付加的抗癌剤の送達:薬学的組成物 組成物 薬学的組成物 本発明の方法に用いられる付加的抗癌剤は、代表的には薬学的に受容可能なキ ャリア(賦形剤)と組み合わされ、薬学的組成物を形成する。本発明の薬学的組 成物は、腫瘍抑制遺伝子または腫瘍抑制ポリペプチド(例えば、p53またはRB) を有するかまたは有さない1つ以上の付加的抗癌剤を含み得る。 薬学的に受容可能なキャリアは、例えば、組成物を安定化するため、あるいは 因子および/または薬学的組成物の吸収を増加または減少させるために作用する 生理学的に受容可能な化合物を含み得る。生理学的に受容可能な化合物には、例 えば、グルコース、スクロース、またはデキストランのような炭水化物、アスコ ルビン酸またはグルタチオンのような抗酸化剤、キレート剤、低分子量タンパク 質、付加的抗癌剤のクリアランスもしくは加水分解を減少させる組成物または賦 形剤を含むか、または他の安定化剤および/または緩衝剤を含み得る。洗浄剤は また、組成物を安定化するために使用されるか、または薬学的組成物の吸収を増 加させるかもしくは減少させるために使用される(以下の例示的界面活性剤を参 照のこと)。 他の生理学的に受容可能な化合物には、湿潤剤、乳化剤、分散剤または微生物 の成長または活動を阻止するのに特に有用な保存剤が挙げられる。種々の保存剤 は、周知であり、例えばフェノールおよびアスコルビン酸を含む。当業者は、生 理学的に受容可能な化合物を含む薬学的に受容可能なキャリアの選択が、例えば 、付加的抗癌剤の投与経路、および特に付加的抗癌剤の特定の生理-化学的な特 徴に依存することを理解する。 投与のための組成物は、一般に、薬学的に受容可能なキャリア、好ましくは水 溶性付加的抗癌剤のための水性キャリアに溶解された付加的抗癌剤の溶液を含む 。種々のキャリアが使用され得、これは、例えば緩衝化生理食塩水などである。 これらの溶液は、無菌であり、そして一般的に望ましくない物質を含まない。こ れらの組成物は、従来の周知の滅菌技術により滅菌される。組成物は、pH調整剤 および緩衝化剤のように生理学的な状態に近づけるために必要とされる薬学的に 受容可能な補助的物質、毒性調節剤など(例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリ ウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなど)を含み得る。これ らの処方物中の付加的抗癌剤の濃度は、大きく変化し得、そして主に、選択され た特定の投与様式および患者の必要性に従って液量、粘度、体重などに基づいて 選択される。 送達経路 本発明の方法において使用される付加的抗癌剤は有用であり、そして当該分野 で公知の任意の手段(例えば全身的、領域的にまたは局所的に;静脈内、腫瘍内 、静脈内(IV)、非経口、胸腔内、局部的、経口的に、あるいは皮下、気管内( 例えば、エアロゾルによる)のような局所投与、または経粘膜(transmucosal) (例えば、口腔、膀胱、膣、子宮、直腸、鼻粘膜)、腫瘍内(例えば、経皮的適 用または局所注射))により単独、または薬学的組成物(p53のような腫瘍サプ レッッサーを有するか、または有さない)として送達され得る。特に好ましい投 与態様には、特に、例えば特定の器官(例えば、脳、肝臓、脾臓、肺)に集中さ せるために「領域的な効果」を有することが所望される場合、動脈内注射が含ま れる。例えば、肝臓内動脈注射は、抗腫瘍の領域的な効果が肝臓において所望さ れる場合に好まれ;または頚動脈内注射は、組成物を脳(例えば、脳腫瘍の処置 のために)、頚動脈または動脈系の頚動脈(例えば、後頭部の動脈(occipital a rtery)、耳介動脈(auricularar tery)、側頭部の動脈(temporal artery)、 大脳動脈(cerebral artery)、顎動脈(maxillary artery)など)への送達が 所望される場合に好まれる。 パクリタキセルおよび特定のパクリタキセル誘導体は、水溶液中にわずかにの み溶解する。好ましい実施態様において、これらの組成物は、腫瘍部位へ直接送 達されるか(例えば、注射、路通(canalization)、または外科手順中の直接的 な適用により)または受容可能な賦形剤中で可溶化される。パクリタキセルおよ びパクリタキセル誘導体を投与する方法は、当業者に周知である(例えば、米国 特許第5,583,153号、同第5,565,478号、同第5,469,804号、同第45,484,809号を 参照のこと)。他のパクリタキセル誘導体は、水溶性アナログおよび/またはプ ロドラッグであり(米国特許第5,411,984号および同第5,422,364号を参照のこと )、そして上記のような任意の種々の方法により、都合よく投与される。 本発明の薬学的組成物は、局部的な投与に(例えば、初期腫瘍、腫瘍性細胞、 転移性細胞、およびそれらの前駆体を処置するための外科的創傷において)特に 有用である。別の実施態様において組成物は、静脈内投与または身体の窩洞もし くは器官の管腔への投与のような非経口投与に有用である。 処置レジメ 薬学的組成物は、投与方法に依存する種々の単位投薬量形態で投与され得る。 例えば、経口投与に適した単位投薬量形態には、粉末、錠剤、丸剤、カプセル剤 、およびトローチ剤が挙げられる。経口的に投与される場合、付加的抗癌化合物 (例えば、パクリタキセルおよび記載の関連化合物)は消化から保護されなけれ ばならないことが認識される。これは、代表的には、付加的抗癌剤と酸加水分解 および酵素加水分解に対する抵抗性を付与する組成物との複合体形成すること、 またはリポソームのような適切な抵抗性キャリアで付加的抗癌剤をパッケージン グすることのいずれかにより達成される。消化から化合物を保護する手段は、当 該分野に周知である(例えば、治療剤の経口的な送達のための脂質組成物を記載 している米国特許第5,391,377号を参照のこと)。 代表的な化学療法剤についての投薬量は、当業者に周知である。さらに、この ような投薬量は、代表的には本質的に助言的なものであり、そして特定の治療状 況、患者の許容度などに依存して調整され得る。従って、例えば、代表的な薬学 組成物(例えばパクリタキセル)の、静脈内投与(IV)ついての投薬量は、1〜 24時間(代表的には、1、3または6時間、より好ましくは3時間)にわたり約 135mg/m2投与され、そしてより好ましくは、3週間毎に3〜6サイクル繰り返さ れる。過敏反応の頻度および重度を減少させるために、患者はまた、約20mgのデ キサメタゾン(デカドロン(Decadron)、および他)を経口的に、約12時間および 6 0〜60分間受ける。かなり高い投薬量(例えば、1日あたり約350mg/m2までの範 囲)が、特に薬物が隔離された部位へ投与される場合、および血流へ投与されな い(例えば、身体の窩洞または器官の管腔への投与)場合に使用され得る。実質 的により高い投薬量が、例えば、局部的な投与のように選択された任意の経路に より可能である。非経口的に投与可能な組成物を調製するための実際の方法は、 当業者に周知または明らかであり、そして以下のような刊行物により詳細に記載 されている。RemlngtonのPharmaceutical Science,15版、Mack Publishing Comp any,Easton,Pennsylvania(1980)および米国特許出願第5,583,153号、同第5,565, 478号、同第5,496,804号および同第5,484,809号。代表的な投薬量は、例えば、 腹腔内投与について、1週間に20〜150mg/m2、または3週間毎に約250mg/m2であ る。 付加的抗癌剤を含む組成物は、治療処置のために投与され得る。治療適用にお いて、組成物は1つ以上の細胞型の過剰増殖により特徴づけられる疾患を病む患 者に対して、その疾患および/またはその合併症を治癒または少なくとも部分的 に静止させるのに十分な量で投与される。これを達成するのに適切な量は「治療 的な有効な投薬量」として規定される。この使用に有効な量は、疾患の重度およ び一般的な患者の健康状態に依存して投与され得る。 組成物の単一の投与かまたは複数の投与かは、患者により必要とされそして許 容される投薬量およびに回数に依存する。いずれにしても、組成物は、本発明の 付加的抗癌剤が患者を効果的に処置するのに十分な量を提供するべきである。 II. 腫瘍抑制遺伝子および遺伝子産物 A)好ましい公知の腫瘍サプレッサー 上記に説明したように、1つの実施態様において、本発明は細胞を腫瘍抑制核 酸および付加的抗癌剤(例えば、パクリタキセル、パクリタキセルの誘導体また はパクリタキセル様の化合物)と接触させることにより、細胞の成長および/ま たは増殖を阻害する方法を提供する。 腫瘍抑制遺伝子は、当業者に周知であり、そしてこれにはRB、p53、APC、FHIT (例えば、Siprashvill(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:13771-13776を参照 のこと)、BRCA1およびBRCA2、VHL、WT、DCC、FAP、NF、MEN、E-cadherin、nm23 、MMACIおよびPTCが挙げられるが、これらには限られない。RB遺伝子または網膜 芽腫の遺伝子は原型腫瘍サプレッサーであり、そして(例えば、Bockstein(199 0)Science 247:712-715,Benedict(1980)Cancer Invest.,8:535-540、Riley(199 0)Ann.Rev.Cell Biol.10-1-29,およびWienberg(1992)Science 254:1138-1146) に詳細に特徴付けられている。おそらく最も特徴付けられている腫瘍サプレッサ ーはp53であり、これは多くの新生組織腫(neoblastoma)ならびにリー-フラウ メニ(Li-Fraumeni)症候群を有する家系における多様な腫瘍の発生に対する遺 伝的性質に関係する(例えば、Wills(1994)Hum.Gene Therap.5:1079-1088、米国 特許出願5,532,220、WO 95/289048、およびHarris(1996)J.Nat.Canc.Inst.88(2 0):1442(遺伝子治療におけるp53のクローニング発現および使用を記載)を参照 のこと)。他の腫瘍サプレッサーには、ウィルムス腫瘍の特徴があるWT(すなわ ち、11p13ではWT1)遺伝子が挙げられる(Callら、(1990)Cell,60:60:509-520,G esseler(1990)Nature 343:774-778、およびRoseら、(1990)Cell,60,495-508を参 照のこと)。Fragile Histidine Triadについて、FHITと呼ばれる腫瘍抑制遺伝 子は、特に転座、切断しやすいことで公知の染色体3(3p21ではまた、3p14.2と して報告)上の領域に見出され、そしてギャップは食道癌、胃癌および大腸癌を 導くと考えられている(例えば、Ohtaら、(1996)Cell,84:587-597,Genbank登録 番号U469227を参照のこと)。腫瘍抑制遺伝子DCC(18q21)およびFAPは大腸癌に 関連する(例えば、Hedrickら、(1994)Genes Dev.,8(10):1174-1183,DCCについ てのGenbank登録番号X76132、およびFAPについてのWienberg(1992)Science,254: 138-1146を参照のこと)。NF腫瘍サプレッサー(17q11ではNF1そして22q12ではN F2)は、神経性腫瘍に関連する(例えば、NF1についての神経線維腫症は、例え ば、Caivthonら、(1990)Cell,62:193-201、Viskochilら、(1990)Cell,62:187-19 2、Wallanceら、(1990)Science,249:181-186、およびXugら、(1990)Cell,62:599 -608;ならびにNF2についての骨膜腫(manugioma)およびシュエワン腫(schwano ma)を参照のこと)MEN腫瘍サプレッサーは、多発性内分泌腺腫症候群(multipl e endocrine neoplasia syndorome)の腫瘍に関連する(Wienberg Science,254: 1138-1146、およびMarshall(1991)Cell,64:313-326を参照のこと)。VHL腫瘍サ プレッサーはフォン・ヒッペル-リンダウ(von Hippel-Landau)症候群に関連する (Latif(1993)Science 260:1317-1320、GenBank登録番号L15409を参照のこと) 。広く発表されたBRCA1遺伝子およびBRCA遺伝子は乳癌に関連する(例えば、Skn olnick(1994)Science,266:66-71,BRCA1についてのGenBank登録番号U14680、お よびTeng(1996)Nature Genet.13:241-244、GenBank登録番号U43746を参照のこと )。さらにE-cadherinは浸潤表現型の前立腺癌に関連する(Umbas(1992)Cancer Res.52:5104-5109、Bussemakes(1992)CancerRes.52:2916-2999,GenBank登録番 号272397を参照のこと)。NM23遺伝子は腫瘍転移に関連する(Dooley(1994)Hum .Genet.,93(1):63-66、GenBank登録番号X75598を参照のこと)。他の腫瘍サプ レッサーには、膵臓癌に関連するDPC4(18q21で同定)、大腸癌に関連するhLM1( 3p)およびhMSH2(2p)、ならびに黒色腫、膵臓癌および食道癌に関連するCDKN2(p1 6)および(9p)が挙げられる。最後に、ヒトPCT遺伝子(キイロショウジョウバ エのパッチ(ptc)遺伝子のホモログ)は、母斑様基底細胞癌症候群(nevoi d basal cell carcinoma syndrome)(NBCSS)および体細胞性基底細胞癌に関連 する(例えば、Hannら、(1996)Cell,85:841-851を参照のこと)。腫瘍サプレ ッサーについてのこの列挙は、網羅的でなく、そして制限を意図するものでもな く、単に広範な種々の公知の腫瘍サプレッサーを例示するために意味される。 B)以前には未知の腫瘍サプレッサーの同定およびスクリーニング 腫瘍抑制遺伝子についての同定方法またはアッセイ方法は、当業者に公知であ る。代表的には、過剰増殖性細胞は過剰増殖状態に関連する(相関する)遺伝子 の喪失または変異についてスクリーニングされる。腫瘍抑制遺伝子(TSG)とし て定量するための遺伝子についての最もストリンジェントな試験は、腫瘍または 腫瘍由来の細胞の発癌性表現型を抑制する遺伝子の能力である。腫瘍抑制核酸は 、好ましくは、適切な発現ベクターにおいてクローニングされたcDNAとして腫瘍 細胞に導入されるか、または候補体腫瘍抑制遺伝子を保有する個々の染色体はマ イクロセルトランスファー(microcell transfer)技術により腫瘍細胞へ導入さ れる。あるいは、腫瘍抑制遺伝子産物(例えば、腫瘍抑制ポリペプチド)は、細 胞に導入され、そして細胞の増殖速度が(例えば、細胞計測または腫瘍体積の測 定などにより)測定される。増殖の完全または部分的な阻害(例えば、増殖速度 の低下)、接触阻害、浸潤表現型の喪失、細胞分化、およびアポトーシスは全て 、発癌表現型の抑制の指標(腫瘍状態に対する感受性の減少)である。 変化されたまたは過小発現された核酸を同定するための腫瘍スクリーニング方 法は当業者に周知である。このような方法には、サブトラクティブなハイブリダ イゼーション(例えば、Hamson(1992)Nucleic Acid Res.20:2899を参照のこと) 、比較(comparative)ゲノムハイブリダイゼーション((CGH)例えば、WO 93/18 186、Kallioiemi(1992)Science,258:818を参照のこと)および核酸プローブの高 密度アレイを用いる発現モニタリング(例えば、Lockhart(1996)Nature Biotech nology,14(13):1675-1680を参照のこと)が挙げられるが、これらには限れられ ない。 C)p53および他の腫瘍サプレッサーの調製 上記に示したように、本発明は、細胞(例えば、インビトロ、生理学的溶液( 例えば血液)、組織器官中)または生物を、腫瘍抑制核酸または腫瘍抑制遺伝 子産物(例えば、ポリペプチド)と接触させることに関する。腫瘍抑制核酸また は腫瘍抑制ポリペプチドは、任意の公知腫瘍サプレッサー(上記のRB、p53、h-N UC(Chen(1995)前出)、APC、FHIT、BRCA1、BRCA2、VHL、WT、DCC、FAP、NF、ME N、E-cadherin、nm23、MMACIおよびPTCを含むが、これらには限定されない)の 核酸またはポリペプチドであり得る。好ましい実施態様において、腫瘍サプレッ サーは、RB核酸もしくはRBポリペプチドまたはp53核酸またはp53ポリペプチドま たはそれらの活性フラグメントである。 最も好ましい実施態様において、p53抑制核酸またはRB腫瘍抑制核酸は、標的 (例えば、腫瘍)細胞に位置された場合に、腫瘍抑制遺伝子または腫瘍抑制cDNA を発現するプロモーターの制御下で発現カセット中に存在する。発現カセットお よび/または腫瘍抑制遺伝子をコードするベクターを構築する方法は、以下に記 載されるように当業者に周知である。 1.腫瘍抑制核酸の調製 本発明の腫瘍抑制タンパク質またはタンパク質部分配列をコードするDNAは、 任意の適切な方法、例えば、適切な配列のクローニングおよび制限または直接的 な化学的合成(上記に示される配列情報の存在を用いる)ホスホトリエステル法 (Narang(1979)Meth.Enzymol.68:90-99)により;ホスホジエステル法(Brown ら、Meth.Enzymol.68:109-151(1979));ジエチルホスホルアミダイト法(Beauc ageら、Tetra.Lett.,22:1859-1862(1981));ならびに固体支持(solid support )法(米国特許第4,458,066)により調製され得る。 化学的合成は、1本鎖オリゴヌクレオチドを生成する。これは、相補的な配列 を用いたハイブリダイゼーションにより、または鋳型として1本鎖を用いるDNA ポリメラーゼを用いたポリメリゼーション(重合)により2本鎖DNAに変換され 得る。当業者は、DNAの化学的合成は約100塩基の配列に制限されるが、より長い 配列が、より短い配列の連結により得ることが可能であることを認識する。 あるいは、部分配列は、クローン化され得、そして適切な制限酵素を使用して 切断される適切な部分配列であり得る。次いで、フラグメントは、所望のDNA配 列を産生するために連結され得る。 1つの好ましい実施態様において、本発明の腫瘍抑制核酸は、ポリメラーゼ連 鎖反応(PCR)のようなDNA増幅方法を使用してクローン化され得る。従って、例え ば、核酸配列または部分配列は、1つの制限部位(例えば、NdeI)を含むセンス プライマーおよび別の制限部位(例えば、HindIII)を含むアンチセンスプライ マーを使用して、PCR増幅される。これは、所望の腫瘍抑制配列または部分配列 をコードし、そして末端制限部位を有する核酸を生ずる。次いで、この核酸は第 2分子をコードする核酸を含みそして適切な対応する制限部位を有するベクター 中に、容易に連結され得る。適切なPCRプライマーは、任意の特定の公知の腫瘍 抑制遺伝子、cDNA、またはタンパク質についての公表された配列情報をを使用し て当業者によって決定され得る。適切な制限部位はまた、部位特異的変異誘発に よって、腫瘍抑制タンパク質またはタンパク質部分配列をコードする核酸に付加 され得る。腫瘍抑制配列または部分配列を含むプラスミドは、適切な制限エンド ヌクレアーゼで切断され、次いで標準的な方法に従って第2分子をコードするベ クター中に連結される。 上記に示されるように、多くの腫瘍抑制遺伝子の核酸配列は公知である。従っ て、例えばp53の核酸配列は、Lambら(1986)Mol.Cell Biol.61379-1385,Genbank 登録番号:M13111)に見い出される。同様に、RBの核酸配列は、Leeら(1987)Natur e,329:642-645(GenBank登録番号:M28419により記載される。他のサプレッサー抑 制の核酸配列は、上記の第II(a)の章に示されるように利用可能である。利用可 能な配列情報を使用して、当業者は、本発明における実施に適切なベクター中に 、腫瘍抑制遺伝子をクローニングし得る。 p53およびRB腫瘍サプレッサーは、本発明の方法における使用のために特に好 ましい。それぞれの腫瘍抑制タンパク質の発現、または遺伝子治療適用のために 適切なベクター中へp53およびRBをクローニングする方法は、当該分野で周知で ある。従って、例えばp53のクローニングおよびp53の使用は、Wills(1994)、前 出、;米国特許第5,532,220号、1994年10月25日に出願された係属出願USSN 08/3 28,673、およびWO95/11984によって詳細に記載されている。代表的な発現カセッ トは、プロモーター、より好ましくは強力なプロモーター(例えば、Ad2主要後 期(Ad2 MLP)プロモーター、またはヒトサイトメガロウイルス最初期遺伝子プロ モーター(CMV)へ作動可能に連結される腫瘍抑制cDNAとともに構築される。 特に好ましい実施態様において、プロモーターは、3部構成(tripartite)リーダ ーcDNAに続けられ、そして腫瘍抑制cDNAはポリアデニル化部位(例えば、E1bポ リアデニル化部位)へと続く(例えば、係属出願USSN 08/328,673,WO95/11984 およびWills(1994)前出を参照のこと)。種々の組織特異的プロモーターもまた 適切であることが理解される。従って、例えばチロシナーゼプロモーターは、メ ラノーマに対する発現を標的するために使用され得る(例えば、Siders(1996)C ancer Res.56:5638-5646を参照のこと)。特に好ましい実施態様において、腫瘍 抑制cDNAは、以下に記載されるように、遺伝子治療に適切なベクター中で発現さ れ得る。 2.腫瘍抑制タンパク質の調製 a)新規化学合成 腫瘍抑制ポリペプチドの公知の配列を使用して、腫瘍抑制タンパク質またはそ の部分配列は、標準的な化学ペプチド合成技術を使用して合成され得る。所望の 部分配列が比較的短い場合(例えば、特定の抗原性決定因子が所望される場合) 、分子は単一の連続ポリペプチドとして合成され得る。大きな分子が所望される 場合、部分配列は(1つ以上のユニットにおいて)別々に合成され得、次いで1 つの分子のアミノ末端の他の分子のカルボキシル末端との縮合によって融合され 、それによってペプチド結合が形成される。 配列のC末端アミノ酸が不溶性支持体に接続し、続いて配列中に残るアミノ酸 を連続的に付加する固層合成は、本発明のポリペプチドの化学合成のための好ま しい方法である。固相合成のための技術は、BarayおよびMerrifield,Solid-Pha se Peptide Synthesis;The Peptides 3-284頁:Analysis,Synthesis,Biology. 第2巻:Special Methods in Pepptide Synthesis,Parta.,Merrifieldら、J. Am.Chem.Soc.,85:2149-2156(1963),およびStewartら、Solid Phase Peptide Synthesis、第2編Pierce Chem.Co.,Rockford,III.(1984)によって記載され ている。 b)組換え発現 好ましい実施態様において、腫瘍抑制タンパク質またはその部分配列は、組換 えDNA方法論を使用して合成される。一般に、これは、融合タンパク質をコード するDNA配列を作製する工程、特定のプロモーターの制御下での発現カセットにD NAを設置する工程、宿主中のタンパク質を発現する工程、発現したタンパク質を 単離し、そして必要ならば、タンパク質を再生する工程を含む。 腫瘍抑制核酸を特定のベクター中ヘクローニングする方法は上記される。腫瘍 抑制タンパク質またはタンパク質部分配列をコードする核酸配列は、次いでE.c oli、他の細菌宿主、酵母および種々の高等真核生物細胞(例えば、COS、CHO、 ΠeLa細胞株およびメラノーマ細胞株)を含む種々の宿主細胞中で発現され得る 。腫瘍抑制タンパク質は、代表的には真核生物中で見出されるので、真核生物宿 主が好まれる。組換えタンパク質遺伝子は、各々の宿主のための適切な発現制御 配列に作動可能に連結される。E.coliについては、これは、T7、trp、または λプロモーターのようなプロモーター、リボソーム結合部位そして好ましくは転 写終結シグナルを含む。真核細胞については、制御配列は、プロモーターおよび 好ましくはイムノグロブリン遺伝子、SV40、サイトメガロウイルスなどに由来す るエンハサーならびにポリアデニル化配列を含み、そしてスプライスドナーおよ びアクセプタードナー配列を含み得る。 本発明のプラスミドは、E.coliについては塩化カルシウム形質転換、および哺 乳動物細胞についてはリン酸カルシウム処置またはエレクトロポレーションのよ うな周知の方法によって選択された宿主細胞中へ形質導入され得る。プラスミド によって形質転換された細胞は、プラスミドについて含まれる遺伝子(例えば、 amp、gpt、neoおよびhyg遺伝子)によって与えられる抗体に対する抵抗性によっ て選択され得る。 1度発現されると、組換え腫瘍抑制タンパク質は、硫酸アンモニウム沈澱、ア フィニティカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む、当該 分野の標準的手順に従って精製され得る(一般的には、R.Scopes,Protein Pur ification,Springer-Verlag,N.Y.(1982),Deutcher,Methods in Enzymology 、182巻:Guide to Protein Purlfication.,Academic Press,Inc.N.Y.(1990 )を参照のこと)。少なくとも約90〜95%の同質性の実質的に純粋な組成物が好 ましく、そして98〜99%以上の同質性が最も好ましい。1度精製されると、部分 的にまたは所望されるような同質性まで、次いでポリペプチドが使用され得る( 例 えば、抗体産生のための免疫源として)。 当業者は、化学合成、生物学的発現または精製の後に、腫瘍抑制タンパク質が 、構成ポリペプチドの天然のコンフィメーションとは実質的に異なるコンフォメ ーションを有し得ることを理解する。この場合、ポリペプチドを変性および還元 すること、次いでポリペプチドを好ましいコンフォメーションへの再フォールデ ィングさせることが必要であり得る。タンパク質を還元し、および変性し、なら びに再フォールディングを誘導する方法は、当業者に周知である(Debinaki(199 3)J.Biol.Chem.268:14065-14070;Kreitman(1993)Bioconjug.Chem.4:581 -585;およびBuchner(1992)Anal.Biochem.265:263-270を参照のこと)。例え ば、Debinski(1993)(前出)は、グアニジン-DTE中での封入体タンパク質の変性 および還元を記載している。次いでこのタンパク質は、酸化グルタチオンおよび L−アルギニンを含むレドックス緩衝液中で再フォールディングされる。 当業者は、本明細書中に記載される多くの保存的変種の核酸およびポリペプチ ド配列が、機能的に同一な産物を産生することを理解する。例えば、遺伝子コー ドの縮重に起因して、「サイレントな置換」(すなわち、コードされるポリペプ チド中に改変を生じない核酸配列の置換)は、アミノ酸をコードする全ての核酸 配列の暗示される特徴である。同様に、アミノ酸配列における1つまたは数個の アミノ酸における「保存アミノ酸置換」は、高度な類似特性を有する異なるアミ ノ酸と置換(定義の章(前出)を参照のこと)され、また開示されるアミノ酸配列 と、またはアミノ酸をコードする開示される核酸配列と高度に類似性であるよう に容易に同定される。このような保存的置換多様性の各々の明確に記載された配 列は、本発明の特徴である。 当業者は、改変が、それらの生物学的活性を漸減することなく腫瘍抑制タンパ ク質を作製し得ることを認識する。いくつかの改変は、融合タンパク質への標的 分子のクローニング、発現または組込みを促進するように実施され得る。このよ うな改変は当業者に周知であり、そして例えば、開始部位、または都合良く設置 された制限部位または終結コドンまたは精製配列を産生するためのいずれかの末 端に置かれる付加アミノ酸(例えば、ポリHis)を提供するためのアミノ末端に 付加されたメチオニンを含む。 核酸およびポリペプチドのための改変は、所望される特徴付けのために適切な アッセイにおいて日常的なスクリーニング技術によって評価され得る。例えば、 ポリペプチドの免疫学的な特徴における変化は、適切な免疫学的アッセイによっ て検出され得る。他の特性の改変(例えば、標的核酸との核酸ハイブリダイゼー ション、タンパク質の酸化還元または熱安定性、疎水性、タンパク質分解のため の感受性、または会合のための傾向)は全て標準的な技術に従ってアッセイされ る。 D)標的細胞への腫瘍サプレッサーの送達 本発明の方法において使用された腫瘍サプレッサーは、タンパク質としてまた は核酸としてのいずれかで細胞中に導入され得る。腫瘍サプレッサーがタンパク 質として提供される場合、腫瘍抑制遺伝子発現産物(例えば、腫瘍抑制活性を有 するp53およびRBペプチドまたはそのフラグメント)はタンパク質送達のための 標準的方法を使用して標的細胞中へ導入される(以下の議論を参照のこと)。あ るいは、腫瘍サプレッサーが腫瘍抑制核酸(例えば、遺伝子、cDNA、mRNAなど) である場合、核酸は細胞へ核酸を送達する従来の方法を使用して細胞内へ導入さ れる。これらの方法は代表的には、以下に記載するようなインビボまたはエキソ ビボ遺伝子治療の送達方法を含む。p53またはRBを送達する特に好ましい方法は 、脂質またはリポソーム送達および/またはレトロウイルスまたはアデノウイル スベクターの使用を含む。 1.インビボ遺伝子治療 より好ましい実施態様において、腫瘍抑制核酸(例えば、腫瘍抑制タンパク質 をコードするcDNA)は、遺伝子治療ベクター(インビトロおよび/またはインビ ボにおいて細胞(例えば、ヒトまたは他の哺乳動物細胞)をトランスフェクトす るためにコンピテントである)中へクローン化される。 インビボ、エキソビボ、およびインビトロで細胞へ核酸を導入するためのいく つかのアプローチが使用されている。これらは、脂質またはリポソームベースの 遺伝子送達(WO 96/18372;WO 93/24640;Mannino(1988)BioTechniques 6(7):682 -691;Rose,米国特許第5,279,833号;WO 91/06309;およびFelgner(1987)Proc. Natl.Acad.Sci.USA 84;7413-7414)およびレトロウイルスゲノムの一 部としてである治療用ポリヌクレオチド配列を保有する複製欠損レトロウイルス ベクター(例えば、Miller(1990)Mol.Cell.Biol.10:4239(1990);Kolberg(19 92)J.NIH Res.4:43およびCornetta(1991)Hum.Gene Ther.2:215を参照の こと)を含む。 遺伝子治療手順の総説については、例えば、Zhang(1986)Cancer Metastasis Rev.15:385-401;Anderson,Science(1992)256:808-813;Nabel(1993)TIBTE CH 11:211-217;Mitani(1993)TIBTECH 11:162-166;Mulligan(1993)Science, 926-932;Dillion(1993)TIBTECH 11:167-175;Miller(1992)Nature 357:455-4 60;Van Brunt(1988)Biotechnology 6(10):1149-1154;Vigne(1995)Restorati ve Neurology and Neuroscience 8:35-36;Kremer(1995)British Medical Bull etin 51(1)31-44;Haddada(1995)、Current Topics inM delberg Germany;およびYu(1994)Gene Therapy,1:13-26を参照のこと。 本発明の実施において有用なベクターは、代表的にはウイルスゲノム由来であ る。使用され得るベクターは組換え的に改変されたエンベロープ化または非エン ベロープ化DNAおよびRNAウイルスを含み、好ましくは、バキュロウイルス科、パ ルボウイルス科、ピコルノウイルス科、ヘルペスウイルス科、ポックスウイルス 科、アデノウイルス科またはピコルナウイルス科から選択される。各々の親ベク ター特性の利点を利用するキメラベクターはまた、使用され得る(例えば、Feng (1997)Nature Biotechonology 15:866-870を参照のこと)。このようなウイル スゲノムは、腫瘍抑制遺伝子を含むように組換えDNA技術によって改変され得、 そして複製欠損、条件付き複製、または複製コンピテントであるように操作され 得る。本発明の好ましい実施において、ベクターは複製欠損または条件付き複製 である。好ましいベクターは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスおよびレト ロウイルスゲノム由来である。本発明の最も好ましい実施において、ベクターは ヒトアデノウイルスゲノム由来である複製非コンピテントベクターである。 条件付き複製ウイルスベクターは、不都合な広範な感染を回避するが特定の細 胞型中の選択的発現を達成するために使用される。条件付き複製ベクターの例は 、Bischoffら、(1996)Science 274:373-376;Pennisi,E.(1996)Science 27 4: 342-343;Russell,S.J.(1994)Eur.J.of Cancer 30A(8):1165-1171中に記 載されている。さらに、ウイルスゲノムは、特定の条件下でのみ導入遺伝子の複 製または発現を達成する誘導プロモーターを含むように改変され得る。誘導プロ モーターの例は、科学文献(例えば、YoshidaおよびHamada(1997)Biochem.Bl ophys.Res.Comm.230:426-430;Iidaら、(1996)J.Virol.70(9):6054-6059;H wangら、(1997)J.Virol 71(9):7128-7131;Leeら、(1997)Mol.Cell.Biol .17(9):5097-5105;およびDreherら、(1997)J.Biol.Chem 272(46);29364-29 371を参照のこと)において公知である。導入遺伝子はまた、特定の細胞型にお いてのみ導入遺伝子の発現を可能にする組織特異的プロモーター領域の制御下で あり得る。 広く使用されるレトロウイルスベクターは、マウス白血病ウイルス(MuLv)、テ ナガザル白血病ウイルス(GaLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒト免疫不全 ウイルス(HIV)およびその組み合わせを含む。例えば、Buchscher(1992)J.Vir ol.66(5)2731-2739;Johann(1992)J.Virol.66(5):1635-1640(1992);Sommerf elt(1990)Virol.176:58-59;Wilson(1989)J.Virol.63:2374-2378;Miller (1991)J.Virol.65:2220-2224;Wong-Staalら、PCT/US94/05700、およびRosen burgおよびFauci(1993)Fundamental Immunology,第3版Paul編、Raven Press ,Ltd.,New Yorkおよびそれらの参考文献、ならびにYu(1994)前出を参照のこ と。ベクターは、必要に応じてこのベクターに対応するレトロウイルスによって 感染されない細胞に対するベクターの宿主領域を拡張するように偽型にされる。 水泡性口内炎ウイルスエンベロープ糖タンパク質(VSV-G)は、造血管細胞を感染 し得るVSV-G偽型HIVベクターを構築するために使用されている(Naldiniら、(1 996)Science 272:263,およびAkkina(1996)J.Virol 70:2581)。 アデノ随伴ウイルス(AAV)に基づくベクターはまた、標的核酸で細胞を形質導 入するために使用される(例えば、インビトロにおける核酸およびペプチドの産 生において、ならびにインビボおよびエキソビボにおける遺伝子治療手順におい て)。AAVベクターの概要に関しては、Okada(1996)Gene Ther.3:957-964;Wes t(1987)Virology 160:38-47;Carter(1989)米国特許第4,797,368号;Carterら 、WO 93/24641(1993);Kotin(1994)Human Gene Therapy 5:793-801; Muzyczka(1994)J.Clin.Invst.94:1351を参照のこと。組換えAAVベクターの 構築は、Lebkowski、米国特許第5,173,414号;Tratschin(1985)Mol.Cell.Bio l.5(11):3251-3260;Tratschin(1984)Mol.Cell.Biol.4:2072-2081;Hermona t(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6466-6470;McLaughlin(1988)およ びSamulski(1989)J.Virol.,63:03822-3828を含む多数の刊行物に記載される 。rAAVによって形質転換され得る細胞株は、Lebkowski(1988)Mol.Cell.Biol .,8:3988-3996中に記載される細胞株を含む。他の適切なウイルスベクターはヘ ルペスウイルスおよびワクシニアウイルスを含む。 特に好ましい実施態様において、腫瘍抑制遺伝子は遺伝子治療のために適切な アデノウイルスベクター中で発現される。インビボにおけるアデノウイルスベク ターの使用、および遺伝子治療のためのアデノウイルスベクターの使用は、特許 および科学文献中に詳細に記載される。例えば、Hermens(1997)J.Neurosci.M ethods.,Jan.,71(1):85-98;Zeiger(1996)Surgery 120:921-925;Channon(1 996)Cardiovasc Res.32:962-972;Huang(1996)Gene Ther.3:980-987;Zepeda (1996)Gene Ther.3 973-979;Yang(1996)Hum.Mol.Genet.5:1703-1712;Ca ruso(1996)Proc.Natl Acad.Sci.USA 93:11302-11306;Rothmann(1996)Gen e Ther.3:919-926;Haecker(1996)Hum.Gene Ther.7:1907-1914を参照のこと 。アデノウイルスベクターの使用はWO 96/25507中に詳細に記載されている。特 に好ましいアデノウイルスベクターは、Wills(1994)前出、同時係続のUSSN 08 /328,673、およびWO 95/11984によって記載される。 特に好ましいアデノウイルスベクターは、いくつかのまたは全てのタンパク質 IX遺伝子の欠失を含む。1つの実施態様において、アデノウイルスベクターはE1 aおよび/またはE1b配列の欠失を含む。最も好ましい実施態様において、アデノ ウイルス構築物は、A/C/N/53またはA/M/N/53のようなp53をコードする構築物で ある(例えば、USSN 08/328,673、およびWO 95/11984を参照のこと)。 また、ヒトアデノウイルス2型または5型由来のベクターは好ましい。このよ うなベクターは、好ましくはE1aおよび/またはE1bコード領域中の改変または欠 失による複製欠損である。特定の発現の特徴づけを達成するための、または反復 投与またはより低い免疫応答を許容するためのウイルスゲノムへの他の改変が好 まれる。E4コード領域の完全なまたは部分的欠失を有し、必要に応じてE4 ORF6 およびORF6/7を保持している組換えアデノウイルスベクターがより好ましい。E3 コード配列は欠失され得るが、好ましくは保持される。特に、E3のプロモーター オペレーター領域が治療ベクターのためのより好ましい免疫学的プロフィールを 達成するためにE3の発現を増加するように改変されることが好ましい。E4 ORF6 およびORF6/7を保持するが、サイトメガロウイルスプロモーター領域制御下でp5 3をコードするDNA配列を含むヒトアデノウイルス5型ベクター、およびCMVプロ モーターの制御下でE3を有し、E4コード領域の欠失を有する3部構成リーダー配 列が最も好ましい。本明細書中に例示されるように本発明の最も好ましい実施に おいて、ベクターはACN53である。 特に好ましい実施態様において、腫瘍抑制遺伝子はp53またはRBである。上記 で説明されように、p53のクローニングおよび使用は、Wiills(1994)前出;199 4年10月25日に出願された同時係属出願USSN 08/328,673およびWO95/11984によっ て詳細に記載される。 2.エキソビボ遺伝子治療 1つの実施態様において、本発明の方法は、被験体(例えば、ラット、マウス 、ウシ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、ラマ(largomorph)、またはヒトを含む哺乳動 物であるがこれらに限定されない)中の過剰増殖性(例えば、新生物性)細胞を 阻止するために使用される。病理的過剰増殖性細胞は、グレーヴズ病、乾癬、良 性前立腺肥大、リー-フラウメニ症候群、乳癌、肉肺、膀胱癌、結腸癌、肺がん 、種々の白血病およびリンパ腫、ならびに他の新生物を含むが、これらに限定さ れない疾患状態に特徴的である。 本発明の方法のエキソビボ適用は、特に、病理学的過剰増殖性細胞の適切なサ ンプルを枯渇するための手段を提供する。従って、例えば、骨髄再構成の間の造 血前駆体を夾雑している過剰増殖性細胞は本発明の方法のエキソビボ適用によっ て排除され得る。代表的なこのような方法は被験体生物からサンプルを得ること を含む。サンプルは代表的には、表現型正常細胞および病原性(過剰増殖性)細 胞の両方を含む異種細胞調製物である。サンプルは本発明の方法に従って、腫瘍 抑制核酸またはタンパク質および付加抗癌剤と接触される。腫瘍抑制遺伝子は送 達され得る(例えば、レトロウイルスベクターまたはアデノウイルスベクターの ようなウイルスベクター)。処置は病原性細胞の増殖を減少させ、それによって 高い比率の病原性細胞(被験体生物へ再導入され得る)に対する正常細胞を含む サンプルを提供する。 診断、研究のための、または遺伝子治療(例えば、宿主生物への形質転換細胞 の再注入を介して)のためのエキソビボ細胞形質転換は、当業者に周知である。 好ましい実施態様において、細胞は被験体生物から単離され、本発明の腫瘍抑制 遺伝子またはcDNAでトランスフェクトされ、そして被験体生物(例えば、患者) 中へ再注入される。エキソビボ形質転換のために適切な種々の細胞型は当業者に 周知である。特に好ましい細胞は、前駆体細胞または幹細胞である(例えば、Fr eshney(1994)Culture of Animal Cells,a Manual of Basic Technique第3版W illey−Liss,New York、および患者由来細胞をどのように単離するかそして培 養するかの議論のための本明細書中で引用された参考文献を参照のこと)。形質 転換細胞は当業者に周知の方法によって培養される。Kuchler(1997)Biochemic al Methods in Cell Culture and Virology,Kuchler,R.J.,Dowden、Hutchins onおよびRoss,Inc.,ならびにAtlas(1993)CRC Handbook and Microbiological M edia(Parks編)CRC press,Boca Raton,FIもまた参照のこと。哺乳動物細胞系は しばしば、細胞の単層の形態であるが、哺乳動物細胞懸濁物もまた使用される。 あるいは、細胞は、細胞バンク(cell bank)(例えば、血液バンク)中に保存さ れる細胞に由来し得る。哺乳動物細胞株の例示的な例はHEC-1-B細胞株、VERO細 胞およびHela細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、W138、BHK、Cos- 7またはMDCK細胞株を含む(例えば、Freshney、前出を参照のこと)。 1つの特定の好ましい実施態様において、幹細胞は、細胞形質転換および遺伝 子治療のためにエキソビボ手順で使用される。幹細胞を使用することの利点は、 それらがインビトロにおける他の細胞型へ分化され得ることであるか、またはそ れらを骨髄中へ移植する哺乳動物(例えば、細胞のドナー)へ導入され得ること である。GM-CSF、IFN-γおよびTNF-αのようなサイトカインを使用して、臨床的 に有意な免疫細胞型へインビトロにて幹細胞(例えば、CD34+)を分化させるた めの方法は、公知である(例えば、Inaba(1992)J.Exp.Med.176:1693−170 2:Szabolcs(1995)154:5851-5861を参照のこと)。 幹細胞を用いてではなく、T細胞またはB細胞はまたエキソビボ手順においてい くつかの実施態様において使用される。いくつかの技術がTおよびB細胞を単離す るために公知である。表面マーカーの発現はこのような細胞の同定および精製を 容易にする。細胞の同定および単離の方法は、FACS、特定の細胞型と結合する固 定された抗体とのフラスコ中でのインキュベーション、および磁気ビーズとのパ ニングを含む。 幹細胞は、公知の方法を使用して、形質導入および分化のために単離される。 例えば、マウスにおいて、骨髄細胞はマウスを屠殺することによって、および1 組のハサミで足骨を切断することによって、単離される。幹細胞は、好まれない 細胞(例えば、CD4+およびCD8+(T細胞)、CD45+(panB細胞)、GR-1(顆粒球) 、およびIad(分化した抗原提示細胞)、に結合する抗体で骨髄細胞をパニング することによって骨髄細胞から単離される。このプロトコルの例については、In aba(1992)前出を参照のこと。 ヒトにおいて、腸骨頂(crest)からの骨髄吸引は、例えば、手術室において 一般的な麻酔の下で行われる。骨髄吸引は、約1,000mlの量であり、そして後部 腸骨および頂から回収される。回収された細胞の総数は、約2×108/kg未満であ りる場合、後部頂に加えて胸骨および前方腸骨頂を用いる第2の吸引が行われる 。操作の間、照射されたパックされた赤血球が投与されて、吸引によって採取さ れる髄の量と置換される。ヒト造血前駆体および幹細胞は、CD34表面膜抗原の存 在によって特徴づけられる。この抗原は、例えば、CD34を結合するアフィニティ ーカラムにおける精製に使用される。骨髄が採取された後、単核細胞は、他の成 分から、フィコール勾配遠心分離によって分離される。このことは、細胞分離器 (例えば、Baxter Fenwal CS3000+またはTerumo machine)を用いて半自動化法 によって行われ得る。軽密度細胞(ほとんど単核細胞から構成される)が回収さ れ、そしてこの細胞は、プラスチックフラスコ中で、約37℃にて約1.5時間イン キュベートされる。接着細胞(単球、マクロファージ、およびB細胞)は、廃棄 される。次いで、非接着細胞が回収され、そしてモノクローナル抗CD34抗体(例 えば、マウス抗体9C5)とともに、4℃にて30分間、緩やかに攪拌しながらイン キュベートされる。抗CD34抗体についての最終濃度は、好ましくは約10μg/mlで ある。2回の洗浄の後、ヒツジ抗マウスIgG(Fc)抗体でコートされた常磁性ミク ロスフェア(例えば、Baxter Immunotherapy Group,Santa Ana,Californiaか ら供給されるDyna Beads)が、細胞懸濁液に、約2細胞/ビーズの比で添加され る。約4℃にて約30分間のさらなるインキュベーション期間の後、常磁性ビーズ を含むロゼット形成細胞は、磁石で回収される。200U/mlの最終濃度のキモパパ イン(Baxster Immunotherapy Group,Santa Ana,California)が添加されて、 CD34+細胞からビーズが放出され得る。 あるいは、そして好ましくは、CD34に結合するかまたはCD34に結合する抗体に 結合するアフィニティーカラム単離手順が使用され得る(例えば、Ho(1995)St em Cells 13(supp1.3):100-105およびBrenner(1993)Jounal of Hematotherapy 2:7-17を参照のこと)。 別の実施態様において、造血幹細胞は、胎児性臍帯血から単離され得る。Yu( 1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92:699-703は、レトロウイルスベクターを 用いて、ヒト胎児性請帯血由来CD34+細胞を形質導入する好ましい方法を記載す る。 3.腫瘍サプレッサー発現核酸の投与:ベクターおよび発現カセット 投与の経路 本発明の治療用腫瘍サプレッサー発現核酸を含む発現カセットおよびベクター (例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、リポソームなど)は、インビボで 細胞の形質導入のための器官に直接投与され得る。投与は、血液または組織細胞 との最終的な接触に分子を導入するために、例えば、全身的、局部的、または局 所的に、上記に詳細に記載されるように、付加的抗癌剤の投与のために通常用い られる任意の経路による。「パッケージされた」核酸(プロモーターを有する最 小の腫瘍サプレッサーコード配列で)は、任意の適切な様式で、好ましくは、薬 学的に受容可能なキャリア(これもまた、上記に記載される)とともに投与され る。このようなパッケージされた核酸を投与する適切な方法が利用可能であり、 そして当該分野で周知である。そして、1つより多い経路が、特定の組成物を投 与するために使用され得るが、特定の経路は、しばしば、別の経路より迅速かつ 有効な反応を提供し得る。 例えば、腫瘍抑制遺伝子を発現するように操作された組換えアデノウイルスベ クターの投与は、アデノウイルスベクターに対する免疫応答、特に抗体応答を誘 発し得る。何人かの患者は、以前から存在する抗アデノウイルス反応性抗体を有 し得る。従って、何らかの状況において、腫瘍サプレッサー発現アデノウイルス ベクターの全身的とは異なる局部的または局所的投与が、至適かつ最も有効であ る。例えば、以下に議論されるように、腹腔に限定される卵巣癌は、1つの臨床 シナリオであり、ここで、局部的p53遺伝子治療(すなわち、腹腔内(IP)投与 )は、好ましい治療プランとして考慮されるべきである。組換えアデノウイルス のIP投与もまた、腹腔裏層の感染、およびアデノウイルスベクターの全身循環へ の吸収を生じる(局部的投与の他の手段もまた、アデノウイルスベクターの全身 循環への導入を生じ得る)。この効果の程度は、IP投与されたウイルス粒子の濃 度および/または総量に依存し得る。全身性効果が所望される場合、連続する何 日かにわたって、より高い濃度が好適であり得る。 本発明の腫瘍サプレッサー発現アデノウイルスベクターの局所投与はまた、い くつかの状況に置いて、例えば、患者が以前から存在する抗アデノウイルス反応 性抗体を有する場合に好ましい。このような「局所投与」は、例えば、腫瘍内注 射(内部の場合)または粘膜適用(外部の場合)によるものであり得る。あるい は、「局所投与」効果は、例えば、リポソームまたはアデノウイルス自身におい て腫瘍特異的抗原認識性試薬を(抗体として)用いて、アデノウイルスベクター を腫瘍に標的化することによって影響され得る。 処方物 薬学的に受容可能なキャリアは、投与される特定の組成物によって、ならびに 組成物を投与するのに使用される特定の方法によって、部分的に決定される。従 って、本発明の薬学的組成物の広範な種々の適切な処方物が存在する。 腫瘍サプレッサー発現核酸を含む薬学的組成物の経口投与に適切な処方物は、 (a)液体溶液(例えば、水、生理食塩水、またはPEG 400のような希釈剤に懸濁 されたパッケージされた核酸の有効な量);(b)カプセル、袋(sachset)、ま たは錠剤(各々、予め決定された量の活性成分を、液体、固体、顆粒、またはゼ ラチンとして含む);(c)適切な液体中の懸濁物;ならびに(d)適切なエマルジョ ンからなり得る。錠剤形態としては、ラクトース、スクロース、マンニトール、 ソルビトール、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ポテトスターチ、トラガカ ント、微結晶性セルロース、アラビアゴム、ゼラチン、コロイド性二酸化ケイ素 、クロスカルメロース(croscalmellose)ナトリウム、滑石、ステアリン酸マグネ シウム、ステアリン酸、ならびに他の賦形剤、着色剤、充填剤、結合剤、希釈剤 、緩衝化剤、湿潤剤、保存料、矯味・矯臭剤、染料、崩壊剤、および薬学的に適 合性のキャリアの1つ以上を含み得る。トローチ形態は、活性成分を、矯味・矯 臭剤(通常は、スクロースおよびアラビアゴム、またはトラガカント)ならびに 香錠中に含み得、ここで上記の剤は、上記の活性成分を、不活性ベース(例えば 、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアラビアゴムエマルジョ ン、ゲル等(活性成分に加えて当該分野で公知のキャリアを含む))中に含む。 パッケージされた核酸(単独または他の適切な成分との組合せ)は、吸入を介 して投与されるようにエアロゾル処方物すなわち、霧状にされ得る)に作製され る。エアロゾル処方物(は、加圧を受け入れ可能な噴霧剤(例えば、ジクロロジ フルオロメタン、プロパン、窒素など)に置かれ得る。 直腸投与に適切な処方物としては、例えば、座薬が挙げられ、これは、座薬ベ ースとともにパッケージされた核酸からなる。適切な座薬ベースとしては、天然 もしくは合成トリグリセリドまたは炭化水素パラフィンが挙げられる。さらに、 例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、および炭化水素パラフ ィンを含むベースとともにパッケージされた核酸の組合せからなるゼラチン直腸 カプセルを使用することも可能である。 非経口投与(例えば、関節内(関節において)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔 内、および皮下経路による)に適切な処方物としては、水性および非水性の等張 性滅菌注射溶液(抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および処方物を意図されるレシピ エントの血液と等張性にさせる溶質を含み得る)ならびに懸濁剤、可溶化剤、濃 化剤、安定化剤、および保存料を含み得る水性および非水性滅菌懸濁物が挙げら れる。本発明の実施において、組成物は、例えば、静脈内注入、経口的、局所的 、 腹腔内、膀胱内、またはくも膜下腔内によって投与され得る。非経口投与および 静脈内投与は、投与の好ましい方法である。パッケージされた核酸の処方物は、 単位用量または複数回用量の密封された容器(例えば、アンプルおよびバイアル )で提示され得る。 注射溶液および懸濁物のような本発明の処方物は、滅菌粉末、顆粒剤、および 以前に記載された種類の錠剤から調製され得る。処方物の正確な組成、処方物中 の試薬および核酸の濃度、そのpH、緩衝液、および他のパラメーターは、投与( 例えば、全身的、局部的、または局所的投与かどうか)の態様および部位、なら びに、特定の薬学的組成物の保存、取り扱い、運搬、および有効期間に関する必 要性に依存して変化する。処方物の特定の必要性に依存するこれらのパラメータ ーの至適化は、日常的な方法によって行われ得る;そして、公知の注射用処方物 のための任意の成分およびパラメーターが使用され得る。適切な処方物の一例は 、例えば、1ml当たり約7.5×1011から7.5×1010粒子の濃度の本発明の組換え野 生型p53発現アデノウイルスベクター(rAd5/p53)、0.42mg/mlのリン酸ナトリウ ム一水和物、2.48mg/mlの二塩基性リン酸ナトリウム無水物、5.8mg/mlのリン酸 ナトリウム一水和物での塩化ナトリウム、20.0mg/mlのスクロース、0.40mg/mlの 塩化マグネシウム六水和物であり、代表的には1.0ml投薬量で保存される。 エクスビボ治療の状況において上記のようにパッケージされた核酸によって形 質導入された細胞もまた、上記のように静脈内または非経口投与され得る。 患者に投与される用量は、本発明の状況において、経時的に患者に有利な治療 応答をもたらすのに十分であるべきである。この用量は、使用される特定のベク ターの効力および患者の状態、ならびに処置される患者の体重または表面積によ って決定される。この用量のサイズはまた、特定のベクターの投与、または特定 の患者に形質導入された細胞型に付随する任意の有害な副作用の存在、性質、お よび程度によって決定される。 処置において投与されるべきベクターの有効量の決定において、医師は、ベク ターの循環血漿レベル、ベクター毒性、疾患の進行、および抗ベクター抗体の産 生を評価する。核酸についての代表的な用量は、投与の経路および遺伝子送達系 に非常に依存する。送達方法に依存して、投薬量は約1μgから100mg以上の範囲 で容易に変動する。一般的には、ベクターからの裸の核酸の用量当量は、代表的 な70キログラムの患者について約1μgから100μgであり、そしてウイルス粒子 を含むベクターの用量は、治療用核酸の等しい量を得るために計算される。 投与のために、本発明の形質導入された細胞は、患者の質量および全体の健康 状態に適用されるように、ベクターのLD50、形質導入された細胞型、および種々 の濃度でのベクターまたは細胞型の副作用によって決定された割合で投与され得 る。投与は、以下に記載のように、単回および分割用量を介して達成され得る。 好ましい実施態様において、注入の前に、血液試料が得られ、そして分析のた めに保存される。パルス酸素測定による生命徴候および酸素飽和は念入りにモニ ターされる。血液試料は、好ましくは、注入後5分と1時間で得られ、そして続 く分析のために保存される。エキソビボ治療において、白血球搬出法(Ieukophe resis)、形質導入、および再注入は、2から3ヶ月毎に反復され得る。最初の 処置の後、注入は、臨床医の裁量で、外来ベースで実施され得る。再注入が外来 として与えられる場合、その参加者は、治療後少なくとも4時間、および好まし くは8時間モニターされる。 上記のように、アデノウイルス構築物は、全身的(例えば、静脈内的)、領域 的(例えば、腹腔内的)、または局所的(例えば、腫瘍内もしくは腫瘍周囲また は嚢胞内注射(例えば、膀胱癌を処置するため))に投与され得る。特に好まし い投与の態様としては、動脈内注射、より好ましくは肝動脈内注射(例えば、肝 腫瘍の処置のため)、または脳腫瘍への組成物の送達が所望される場合、頸動脈 もしくは頸動脈系の動脈(例えば、後頭部動脈、耳介動脈、側頭動脈、大脳動脈 、顎動脈など)への注射が挙げられる。肺癌の処置のための送達は、例えば、気 管支鏡の使用によって達成され得る。代表的には、このような投与は、上記のよ うな水性の薬学的に受容可能な緩衝液においてである。しかし、1つの特に好ま しい実施態様において、アデノウイルス構築物または腫瘍サプレッサー発現カセ ットは、脂質処方物において投与される。この脂質処方物は、より好ましくは、 脂質と複合体化された脂質/核酸複合体(例えば、DebsおよびZhu(1993)WO 93 /24640;Mannino(1998)(前出);Rose,米国特許第5,279,833号;Brigham(19 91)WO 91/06309;ならびにFelgner(1987)(前出)に記載される)であるか、 あるいはリポソーム、より好ましくは、特定の腫瘍マーカーに指向される免疫リ ポソームにカプセル化されたものである。このような脂質処方物はまた、局部的 、全身的に投与され得るか、またはエアロゾルを介して送達され得ることも理解 される。 4.腫瘍サプレッサー送達を増強すること。 腫瘍サプレッサー送達は、1つ以上の「送達増強剤」の使用によって増強され 得る。「送達増強剤」とは、治療用遺伝子の送達(例えば、癌組織または器官へ の腫瘍抑制遺伝子の送達)を増強する任意の試薬をいう。このような増強された 送達は、種々の機構によって達成され得る。1つのこのような機構は、器官また は組織(例えば、膀胱)の上皮表面上の保護性グリコサミノグリカン層の破壊を 含み得る。このような送達増強剤の例は、洗浄剤、アルコール、グリコール、界 面活性剤、胆汁酸塩、ヘパリンアンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼインヒビ ター、高張塩溶液、および酢酸塩である。アルコールとしては、例えば、エタノ ール、N-プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、アセチルアルコ ールのような脂肪族アルコールが挙げられる。グリコールとしては、グリセリン 、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、および他の低分子量グリコ ール(例えば、グリセロールおよびチオグリセロール)が挙げられる。酢酸、グ ルコノール(gluconol)酢酸塩、および酢酸ナトリウムのような酢酸塩は、送達 増強剤のさらなる例である。1MNaClのような高張塩溶液もまた、送達増強剤の 例である。界面活性剤の例は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)およびリゾレシ チン、ポリソルベート80、ノニルフェノキシポリオキシエチレン、リゾホスファ チジルコリン、ポリエチレングリコール400、ポリソルベート80、ポリオキシエ チレンエーテル、ポリグリコールエーテル界面活性剤、ならびにDMSOである。タ ウロコール酸塩、タウロデオキシコール酸ナトリウム、デオキシコール酸塩、ケ ノデオキシコール酸塩、グリココール酸、グリコケノデオキシコール酸、および 他の硝酸銀のような収斂剤が使用され得る。四級アミン(例えば、硫酸プロラミ ン)のようなヘパリンアンタゴニストもまた使用され得る。サリチル酸ナトリウ ム、サリチル酸、および非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)(インドメタシン、 ナプロキセン、ジクロフェナクのような)のようなシクロオキシゲナーゼインヒ ビターが使用され得る。 洗浄剤としては、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、および非イオン性 洗浄剤が挙げられる。例示的な洗浄剤としては、タウロコレート、デオキシコレ ート、タウロデオキシコレート、セチルピリジニウム、塩化ベナルコニウム(be チルアンモニオール]-1-プロパンスルフォネート水和物、Aldrich)、Big CHAP( USSN08/889,355(1997年7月8日出願);および国際出願WO 97/25072(1997 らに限定されない。 1つの実施態様において、送達増強剤は、組換えアデノウイルスベクター送達 系が処方される緩衝液中に含まれる。送達増強剤は、組換えウイルスの前、また はウイルスと組み合わせて投与され得る。いくつかの実施態様において、送達増 強剤は、患者への投与の直前に送達増強剤処方物とウイルス調製物を混合するこ とによって、ウイルスとともに提供される。他の実施態様において、送達増強剤 およびウイルスは、投与のために、医療提供者に、単一バイアルにおいて提供さ れる。 送達増強剤をさらに含む緩衝液中に処方された組換えアデノウイルスベクター 送達系に含まれる腫瘍抑制遺伝子を含む薬学的組成物の場合において、この薬学 的組成物は、好ましくは、約5分〜3時間、好ましくは約10分〜120分、および 最も好ましくは約15分〜90分の範囲の時間にわたって投与される。別の実施態様 において、送達増強剤は、腫瘍抑制遺伝子を含む組換えアデノウイルスベクター 送達系の投与の前に投与され得る。送達増強剤の先行投与は、約30秒〜1時間、 好ましくは、約1分〜10分、および最も好ましくは約1分〜5分の範囲で、腫瘍 抑制遺伝子を含むアデノウイルスベクター送達系の投与の前であり得る。 送達増強剤の濃度は、当業者に公知の多くの要因(例えば、使用される特定の 送達増強剤、緩衝液、pH、標的組織または器官、および投与の態様)に依存する 。送達増強剤の濃度は、1%〜50%(v/v)、好ましくは10%〜40%(v/v)、お よ び最も好ましくは15%〜30%(v/v)の範囲である。好ましくは、患者に投与さ れる最終処方物中の洗浄剤濃度は、約0.5〜2×臨界ミセル濃度(CMC)である。 Big CHAPの好ましい濃度は、約2〜20mM、より好ましくは約3.5〜7mMである。 送達増強剤を含む緩衝液は、任意の薬学的緩衝液(例えば、リン酸緩衝化生理 食塩水またはリン酸ナトリウム/硫酸ナトリウム、Tris緩衝液、グリシン緩衝液 、滅菌水、およびGoodら(1966)Biochemistry5:467に記載されるもののような 当業者に公知の他の緩衝液)であり得る。アデノウイルスベクター送達系に含ま れる腫瘍抑制遺伝子を含む薬学的組成物中の緩衝液のpHは、6.4〜8.4、好ましく は7〜7.5、および最も好ましくは7.2〜7.4の範囲であり得る。 組換えアデノウイルスの投与のための好ましい処方物は、約109〜1011PN/mlウ ン酸緩衝化生理食塩水中)+約2〜3%スクロース(w/v)、および約1〜3mMM gCl2(約pH6.4〜8.4)である。送達増強剤の使用は、同時係属出願U.S.S.N.08/ 779,627(1997年1月7日出願)に詳細に記載される。 市販のBig-CHAP調製物を含む核酸処方物のための改良された遺伝子移入を容易 するために、Big CHAPの濃度は、その市販の供給源に依存して変動する。Big CH APがCALBIOCHEMから供給される場合、2〜10ミリモルの範囲の濃度であることが 好ましい。より好ましくは、4〜8ミリモルであり、最も好ましくは、約7ミリ モルである。 Big CHAPがSigmaから供給される場合、15〜35ミリモルの範囲のBig CHAPの濃 度が好ましい。より好ましくは、20〜30ミリモルである。最も好ましくは、約25 ミリモルである。 本発明のさらなる実施態様において、式Iを有する送達増強剤が提供される: ここで、nは2〜8の整数であり、X1はコール酸基またはデオキシコール酸基で あり、そしてX2およびX3はコール酸基、デオキシコール酸基、およびサッカライ ド基からなる群から各々独立して選択される。X2およびX3の少なくとも1つは、 サッカライド基である。サッカライド基は、ペントースモノサッカライド基、ヘ キソースモノサッカライド基、ペントース-ペントースジサッカライド基、ヘキ ソース-ヘキソースジサッカライド基、ペントース-ヘキソースジサッカライド基 、およびヘキソース-ペントースジサッカライド基からなる群から選択され得る 。1つの好ましい実施態様において、本発明の化合物は、式IIを有する: ここで、X1およびX2はコール酸基およびデオキシコール酸基からなる群から選択 され、そしてX3はサッカライド基である。 これらの化合物は、本発明の処方物中、好ましくは約0.002〜2mg/ml、より好 ましくは約0.02〜2mg/ml、最も好ましくは約0.2〜2mg/mlの範囲で使用される。 最も好ましくは約2mg/mlである。 リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)は、これらの化合物のための好ましい可溶化 剤である。しかし、当業者は、特定のさらなる賦形剤および添加剤が、種々の薬 学的処方物についてのこれらの薬剤の溶解度特性を達成するために所望され得る ことも理解する。例えば、周知の可溶化剤(例えば、洗浄剤、脂肪酸エステル、 界面活性剤)の添加は、適切な濃度で添加されて、使用される種々の溶媒のおけ る化合物の可溶化を容易にする。溶媒がPBSである場合、好ましい可溶化剤は、 約0.15%の濃度のTween 80である。 5.腫瘍抑制タンパク質の投与 腫瘍抑制タンパク質(ポリペプチド)は、注射によって腫瘍部位に直接送達さ れ得るか、または上記ように全身性に投与され得る。好ましい実施態様において 、腫瘍抑制タンパク質は、薬学的に受容可能なキャリア(賦形剤)と組み合わさ れて、上記の薬理的組成物を形成する。腫瘍抑制ポリペプチドは、治療的に有効 な用量で投与される。従って、組成物は、疾患および/またはその合併症を治癒 または少なくとも部分的に停止するのに充分な量で投与される。この使用のため に 有効な量は、疾患の重篤度、および患者の健康の一般的な状態に依存する。 腫瘍抑制ポリペプチドは、経口的に投与される場合、消化から保護されなけれ ばならないことが認識される。このことは、代表的には、ポリペプチドを、酸加 水分解および酵素的加水分解への耐性を付与する組成物と複合体化することによ って、または上記のリポソームのような適切な耐性キャリア中にポリペプチドを パッケージすることによってのいずれかで達成される。経口送達のためにポリペ プチドを保護する手段は、当該分野で周知である(例えば、治療剤の経口送達の ための脂質組成物を記載する米国特許第5,391,377号を参照のこと)。 III.組み合わせ薬剤 腫瘍サプレッサーおよび付加的抗癌剤は、腫瘍抑制核酸またはポリペプチドが 付加的抗癌剤の前に投与されるか(腫瘍サプレッサー前処理)、または付加的抗 癌剤が腫瘍抑制核酸および/またはポリペプチドの前に投与される(癌薬物前処 理)かのいずれかで個々に投与され得る。もちろん、腫瘍抑制核酸および/また はポリペプチドならびに付加的抗癌剤は、同時に投与され得る。 一つの実施態様において、腫瘍抑制核酸および/またはポリペプチドならびに 付加的抗癌剤は、単一の薬理学的組成物として投与される。この実施態様におい て、腫瘍抑制核酸および/またはポリペプチドならびに付加的抗癌剤は、単一の 均一な送達ビヒクル中に懸濁され得るか、または可溶化され得る。あるいは、腫 瘍抑制核酸および/またはポリペプチドならびに付加的抗癌剤は、異なる送達ビ ヒクル中にそれぞれ懸濁され得るか、または可溶化され得、これは、次いで投与 時にまたは継続してのいずれかで単一の賦形剤中に懸濁される(分散される)。 従って、例えば付加的抗癌剤は極性溶媒(例えば、エタノール中のパクリタキセ ル)中で可溶化され得、そして腫瘍抑制核酸は脂質と複合体化され得、これらは 次いで懸濁液中で共に保存されるか、あるいは投与時に組み合される。種々の適 切な送達ビヒクル、賦形剤などは、上で記述する。 IV.処置レジメ:組み合わせ治療および個別の治療 A)腫瘍サプレッサー処置レジメ 腫瘍抑制核酸またはポリペプチド、より特には腫瘍抑制核酸が、単回用量でよ りも多回用量で投与された場合に、腫瘍成長を阻害することにおいて、より強い 効力を示すことが、本発明の発見であった。従って本発明は、腫瘍抑制核酸また はポリペプチドの多回投与を含む、腫瘍抑制遺伝子またはポリペプチドのための 処置レジメを提供する。 腫瘍抑制タンパク質または腫瘍抑制核酸は、総用量が約1×109〜約1×1014、 約1×109〜約7.5×1015、好ましくは約1×1011〜約7.5×1013アデノウイルス粒 子の範囲で、以下からなる群から選択される処置レジメにおいて(付加的抗癌剤 と共にまたは無しで)投与され得る:総用量単回投与で、5日間にわたって分割 または5日間日毎投与される総用量、15日間にわたって分割または15日間日 毎投与される総用量、および30日間にわたって分割または30日間日毎投与さ れる総用量。この投与方法は、2回以上のサイクル(より好ましくは3回のサイ クル)反復され得、そして2回以上のサイクルは3または4週間間隔をあけられ 得る。処置は単回投薬サイクルからなり得るか、または投薬サイクルは、約2か ら約12サイクル、より好ましくは約2から約6サイクルの範囲であり得る。 特に好ましい処置レジメは、5日間にわたって分割され、そして5日間毎日毎 与される総用量、15日間にわたって分割され、そして15日間日毎投与される 総用量、ならびに30日間にわたって分割され、そして30日間日毎投与される 総用量を含む。 いくつかの好ましい実施態様において、7.5×109〜約7.5×1015、好ましくは 約1×1012〜約7.5×1013アデノウイルス粒子の範囲の日用量が、毎日30日まで の間投与され得る(例えば、2日間、2〜5日間、7日間、14日間または30 日間のレジメで、各日に同用量が投与される)。多回レジメは、21日〜28日 の循環サイクルにおいて反復され得る。 いくつかの実施態様において、異なる投与経路により、使用する好ましい投薬 範囲が異なる。例えば、肝動脈内送達では、好ましい範囲は典型的には5〜14 日間、1日あたり7.5×109と約1×1015との間、より好ましくは約1×1011〜約7. 5×1013の間のアデノウイルス粒子である。これらのレジメはさらに付加的抗癌 剤、FUDRまたは5'-デオキシ-5-フルオロウリジン(5'-DFUR)または塩酸イリノ テカ ン(irinotecan)(CPT-11;7-エチル-10-[4-(1−ピペリジノ)-1−ピペリジノ]カ ルボニルオキシカンプトテシン)の投与を含み得る。腫瘍内送達では、好ましい 範囲は、代表的には1日あたり7.5×109と約1×1013との間、より好ましくは約1 ×1011〜約7.5×1012の間のアデノウイルス粒子である。腹腔内送達では、好ま しい範囲は、代表的には5〜10日間、1日あたり7.5×109と約1×1015との間、 より好ましくは約1×1011〜約7.5×1013の間のアデノウイルス粒子である。 B)組み合わせ治療処置レジメ 腫瘍サプレッサーが付加的抗癌剤と組み合わせて使用される場合、腫瘍抑制核 酸は、上記の総用量で投与される。組み合わせにおいて、付加的抗癌剤は、使用 される薬剤に依存した総用量で投与される。例えば、パクリタキセルまたはパク リタキセル誘導体は、単回用量、1日目および2日目に日毎投与される用量、1 日目、2日目および3日目に日毎投与される用量、15日間の日投薬量、30日 間の日投薬量、15日間日毎の連続注入、30日間日毎の連続注入での投与から なる群から選択される処置レジメにおいて、1時間、3時間、6時間または24 時間にわたって、75〜350mg/m2の範囲の総用量で投与される。好ましい用量は、 24時間で100〜250mg/m2である。 腫瘍抑制核酸での処置に先立つ付加的抗癌剤(例えば、パクリタキセル)での 前処置は、腫瘍サプレッサーの効力を高める。従って、一つの特に好ましい実施 態様において、細胞、組織または生物は、腫瘍抑制核酸に先立ち付加的抗癌剤で 処置される。付加的抗癌剤処理は、好ましくは、腫瘍抑制核酸処理の約24時間前 までに行うが、この時間は長くてもまたは短くても容認できる。 前処理は、付加的抗癌剤がパクリタキセル様化合物、より好ましくはパクリタ である場合に特に効力がある。特に好ましい腫瘍サプレッサーはRBおよびp53で あり、p53、特にアデノウイルスベクター(例えば、A/C/N/53)中のp53が最も好 ましい。 V.転移の処置および予防 実施例2および3に例示したように、腫瘍抑制(例えば、p53)遺伝子置換治 療は、インビトロでヒト腫瘍細胞、免疫無防備状態の宿主におけるヒト腫瘍異種 移植、およびヒト肺腫瘍(インビボ)に対して効力を有することが証明された。 患者における原発性腫瘍の外科的な減量(debulking)は、しばしば、外科医に よって見逃された、腫瘍細胞の微視的な「巣」に起因して、原発部位における腫 瘍の再成長およびその部位からの腫瘍転移を生じる。あるいは、全ての腫瘍が原 発部位から除去されることを確実にするために、患者は、原発腫瘍部位を取り囲 む大量の正常組織を除去する、美観を損ねるような手術に供せられ得る。 別の実施態様においては、本発明は、転移(転移細胞)の成長および/または 増殖を阻害する方法を提供する。この方法は一般的に、腫瘍サプレッサーの全身 または局部投与のいずれか、より好ましくはp53またはRBの局部投与を含む。 A)全身処置 実施例2および3で説明したように、腫瘍サプレッサーベクター(例えば、A/ C/N/53)の全身処置(例えば、静脈内注射)は、インビボで転移の進行を阻害し た。従って、一つの実施態様において、本発明は、上記のように、生物への腫瘍 抑制核酸および/または腫瘍抑制ポリペプチドを投与することにより、転移疾患 の進行を阻害する方法を提供する。腫瘍サプレッサーは、好ましくは腫瘍抑制核 酸であり、より好ましくはp53腫瘍抑制核酸であり、そして最も好ましくはアデ ノウイルスベクター(例えば、A/C/N/53)中のp53核酸である。別の好ましい実 施態様において、腫瘍抑制核酸は、リポソーム中にカプセル化されるか、または 脂質と複合体化されて提供される(例えば、DebsおよびZhu(1993)WO 93/24640 ;ManninoおよびGould-Fogerite(1988)BioTechniques 6(7):682-691;Rose米国 特許第5,279,833号;Brigham(1991)WO 91/06309;およびFelgnerら(1987)Proc. Natl.Acad.Sci.USA 84:7413-7414を参照のこと)。 B)局部処置 別の実施態様において、腫瘍抑制タンパク質または腫瘍抑制核酸の局部適用は 、手術との組み合わせで好ましい。この実施態様において、腫瘍サプレッサーは 、好ましくは感染ベクターの形態で、腫瘍除去後、創傷腔の表面に沿って適用さ れる。感染粒子は、p53を創傷部位の任意の残存腫瘍細胞中へ運び、それらのア ポトーシス(プログラムされた細胞死)を誘導する。この処置は患者の長期生存 に 影響を与え、そして/または手術の間に除去される必要がある、腫瘍部位を取り 囲む正常組織の量を減少させる。 腫瘍サプレッサーは、好ましくは、当業者により局部適用に適することが公知 の多くの処方の一つで配合される。従って、例えば、ヒトp53腫瘍抑制遺伝子の 感染調製物(例えば、A/C/N/53)は、創傷腔の表面に沿って広げるために適した 、適切なビヒクル中(例えば、石油ゼリーまたは他のクリームまたは軟膏)に懸 濁される。あるいは、腫瘍サプレッサーは、創傷腔内にスプレーとして適用する ために、エアロゾルビヒクル中で調製され得る。他の実施態様において、腫瘍サ プレッサーは、分解可能な(再吸収可能な)物質(例えば、再吸収可能なスポン ジ)中で調製され得る。これは、創傷腔中にパッケージングされ得、腫瘍抑制タ ンパク質またはベクターを、時間依存的な様式で放出する。 特定の規定された局部領域、例えば、角膜、胃腸管、腫瘍切除部位への組換え アデノウイルスベクターの適用のための好ましい実施態様は、より長いインキュ ベーション時間を支持し、そしてウイルス感染を容易にするための固体キャリア ーを使用する。キャリアーは、組換えアデノウイルス溶液に浸したガーゼまたは 軟膏であり得る。ウイルスは、改善されたトランスジーン効果を達成するために 、ガーゼ支持体を介して角膜に適用され得る。水気が抜けた(drained)ガーゼ は、また、再発を避けるために切除した腫瘍領域に予防的に適用され得る。軟膏 はまた、腫瘍抑制遺伝子治療のために、局部的に胃腸管の領域にまたは膵臓の領 域に局部的に適用され得る。 を含む。例示的な方法において、無菌ガーゼパッド(5×5cm)または涙流試験ス トリップをアデノウイルスベクター溶液(例えば、1×109PN/ml)に、完全に湿 るまで浸し得る。パッドまたはストリップを標的組織の上部に重ね、そして37℃ で30分間インキュベートする。当業者は、水を吸い上げ得るか、または水と混合 可能である、他の織物、ゼラチンまたは軟膏が含まれ得ることを認識する。さら に、上記のように、遺伝子移入を増強し得る他の賦形剤が添加され得る。 VI.他の化学治療剤との組み合わせ処置 A)多数の化学療法的組み合わせと組み合わせて投与される腫瘍サプレッサー 本発明の方法は、腫瘍サプレッサーと、単一の付加的抗癌剤との組み合わせに 限定されないことが理解される。本方法は典型的には細胞を腫瘍サプレッサー( 例えば、p53)およびパクリタキセルのような付加的抗癌剤と接触させることを 含むが、本発明の方法はまた、腫瘍抑制遺伝子またはポリペプチド、および2つ 、3つまたは多数の付加的抗癌剤および必要に応じて他の化学治療薬との組み合 わせを細胞と接触させることを伴う。さらに、当業者は、化学治療剤がまた、付 加的抗癌剤の非存在下で、腫瘍抑制タンパク質または遺伝子と共に使用され得る ことを認識する。 多数の化学治療薬が科学文献および特許文献中で周知である;本発明の方法に おいて使用され得る例示的な薬物は、以下を含むがこれに限定されない:DNA損 傷剤(DNAアルキル化剤を含む)(例えばシスプラチン、カルボプラチン(例え ば、Duffull(1997)Clin Pharmacokinet.33:161-183;Droz(1996)Ann Oncol .7:997-1003を参照のこと)、ナベルビン(navelbine)(ビノレルビン)、Asa ley、AZQ、BCNU、ブスルファン、カルボキシフタラトプラチナム(carboxyphtha latoplatinum)、CBDCA、CCNU、CHIP、クロラムブシル、クロロゾトシン、シス −プラチナム、クロメゾン(clomesone)、シアノモルホリノ−ドキソルビシン 、シクロジゾン(cyclodisone)、シトキサン(cytoxan)、ジアンヒドロガラク ティトール、フルオロドパン(fluorodopan)、ヘプスルファム(hepsulfam)、 ヒカントン、メルファラン、メチルCCNU、マイトマイシンC、ミトゾラミド(mit ozolamide)、ナイトロジェンマスタード、PCNU、ピペラジンアルキレーター、 ピペラジンジオン、ピポブロマン、ポルフィロマイシン、スピロヒダントインマ スタード、テロキシロン、テトラプラチン、チオテパ、トリエチレンメラミン、 ウラシルナイトロジェンマスタード、Yoshi-864);トポイソメラーゼIインヒビ ター(例えば、トポテカンハイドロクロリド(topotecan hydrochloride)、イ リノテカンハイドロクロリド(irinotecan hydrochloride)(CPT-11)、カンプ トテシン、カンプトテシンNa塩、アミノカンプトテシン、CPT-11および他のカン プトテシン誘導体);トポイソメラーゼIIインヒビター(ドキソルビシン(リポ ソームにカプセル化されたドキソルビシンを含む、米国特許第5,013,556号およ び同第5,213,804号を参照のこと)、アモナフィド、m-AMSA、アントラピラゾー ル(anthrapyrazole)誘導体、ピラゾロアクリジン(pyrazoloacridine)、ビサ ントレンHCL、ダウノルビシン、デオキシドキソルビシン、ミトキサントロン、 メノガリル、N,N-ジベンジルダウノマイシン、オキサントラゾール(oxanthrazo le)、ルビダゾン、VM-26、およびVP-16);RNA/DNA代謝拮抗剤(例えば、L-ア ラニノシン、5-アザシチジン、5-フルオロウラシル、アシビシン、アミノプテリ ン、アミノプテリン誘導体、アンチフォル(antifol)、Baker可溶性アンチフォ ル、ジクロルアリール ローソン(dichlorallyl lawsone)、ブレキナル、フト ラフール(プロドラッグ)、5,6-ジヒドロ-5-アザシチジン、メトトレキセート 、メトトレキセ−ト誘導体、N-(ホスホノアセチル)-L-アスパラギン酸(PALA) 、ピラゾフリン(pyrazofurin)、およびトリメトレキセート(trimetrexate) );および、DNA代謝拮抗剤(例えば、3-HP、2-デオキシ-5-フルオロウリジン、 5-HP、α-TGDR、アフィジコリン グリシネート(aphidicolin glycinate)、ara -C、5-アザ-2'−デオキシシチジン、β-TGDR、シクロシチジン、グアナゾール( guanazole)、ヒドロキシウレア、イノシン、グリコジアルデヒド、マクベシン (macbecin)II、ピラゾロイミダゾール、チオグアニン、およびチオプリン)。 腫瘍抑制核酸および/またはポリペプチドはまた、ビンクリスチン、テモゾロミ ド(例えば、米国特許第5,260,291号を参照のこと)、およびトレミフェン(例 えば、トレミフェンの情報については、米国特許第4,696,949号を参照のこと) のような化学治療剤と組み合わせても投与され得る。 関連した動物モデルにおける前臨床研究は、以下の腫瘍:SSC-9頭頸部腫瘍細 胞、SSC-15頭頸部腫瘍細胞、SSC-25頭頸部腫瘍細胞、SK-OV-3卵巣腫瘍細胞、DU- 145前立腺腫瘍細胞、MDA-MB-468乳ガン細胞およびMDA-MB-231乳ガン細胞を処置 して、シスプラチン、カルボプラチン、ナベルビン、ドキソルビシン、5-フルオ ロウラシル、メトトレキセートまたはエトポシドと組み合わせたp53アデノウイ ルスが、化学療法単独よりも細胞増殖をより効果的に阻害したことを示した。別 の実施態様において、p53遺伝子(例えば、アデノウイルスベクター中で発現さ せる)、付加的抗癌剤(例えば、パクリタキセル)およびDNA損傷剤(例えば、 シスプラチン)の3つの薬物の組み合わせを使用して、抗腫瘍効力の増強が見ら れた。p53、パクリタキセル、およびシスプラチンの組み合わせは、卵巣腫瘍モ デルにおいて効果的であることが示された。これらのデータは、臨床試験におけ るp53遺伝子治療と化学療法との組み合わせを支持する。 これらの他の化学治療薬は、付加的抗癌剤の存在または非存在下において、腫 瘍抑制核酸および/またはポリペプチドと組み合わせて用いられ得る。本発明は また、上記の腫瘍サプレッサーのいずれかと組み合わせた、あるいは付加的抗癌 剤と組み合わせた上記の腫瘍サプレッサーと組み合わせた、放射線治療使用を意 図する。 本発明の方法に従って、これらの化学療法剤のいずれもが、個別に、腫瘍抑制 核酸またはポリペプチドと組み合わせて、使用され得ることがまた、理解される 。 腫瘍抑制核酸(例えば、p53)が、付加的抗癌剤(例えば、パクリタキセル) およびDNA損傷剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチンまたはナベルビン) と共にアデノウイルスベクター中で投与される場合、アデノウイルスベクターは 、典型的には5〜14日間、1日あたり約7.5×1012〜約7.5×1013アデノウイルス 粒子で投与される。例えば、カルボプラチンと組み合わせた、約7.5×1013アデ ノウイルス粒子の日用量が使用され得る。一つの実施態様においては、約7.5×1 012アデノウイルス粒子の日用量が、肺への投与に使用され得る。別の実施態様 においては、p53はトポテカン(topotecan)と共に投与される。 典型的には、DNA損傷剤は、推奨される用量で投与される(例えば、Physician 's Desk Reference,第51版,Medical Economics,Montvale,NJ 1997を参照の こと)。例えば、カルボプラチンはAUC(曲線の下の面積)が約6〜7.5mg/ml/分 を達成するように投与される。 プロテアーゼインヒビター なお別の実施態様において、本発明は、腫瘍抑制核酸および/またはポリペプ チドおよびプロテアーゼインヒビターの組み合わせ使用を提供する。特に好まし いプロテアーゼインヒビターは、コラゲナーゼインヒビター、マトリックスメタ ロプロテイナーゼ(MMP)インヒビター(例えば、Chambers(1997)J.Natl.Ca ncer Inst.89:1260-1270を参照のこと)を含むがこれに限定されない。好まし い実施態様において、方法は、同時にまたは連続的に、効果的な量のプロテアー ゼインヒビターおよび効果的な量の腫瘍抑制ポリペプチドおよび/または核酸を 投与することを含む。プロテアーゼインヒビターである化合物の例は、科学文献 または特許文献において周知である。 免疫調節剤 本発明の腫瘍抑制タンパク質および核酸は、免疫調節剤と組み合わせて使用さ れ得、そこで免疫調節剤は、過剰増殖性細胞または癌細胞に対する免疫応答(例 えば、腫瘍特異抗原に対する免疫応答)をアップレギュレートするか、または、 腫瘍抑制タンパク質、腫瘍抑制核酸、腫瘍抑制ベクター(例えば、抗アデノウイ ルス反応)および/または組み合わされた化学療法剤に対する免疫応答をダウン レギュレートするかのいずれかを行う。 従って例えば、本発明は、効果的な量の腫瘍抑制核酸および/または腫瘍抑制 ポリペプチドを効果的な量の免疫調節剤と共に組み合わせた、連続的または同時 の投与を提供する。免疫調節剤は、IL-2、IL-4、IL-10(米国特許第5,231,012号 ;Lalani(1997)Ann.Allergy Asthma Immunol.79:469-483;Geissler(1996 )Curr.Opin.Hematol.3:203-208)、IL−12(例えば、Branson(1996)Human Gene Ther.1:1995-2002を参照のこと)、およびγ-インターフェロンのような サイトカインを含むがこれに限定されない。 免疫抑制剤として機能する免疫調節剤は、治療剤(例えば、腫瘍抑制タンパク 質もしくは核酸、または付加的抗癌剤など)に対して標的付けられた免疫応答を 緩和するために利用され得る。免疫抑制剤は当業者に周知である。適切な免疫抑 制剤は、シクロホスファミド、デキサメタゾン、シクロスポリン、FK506(タク ロリマス(tacrolimus))(Lochmuller(1996)Gene Therapy 3:706-716)、IL -10などを含むがこれに限定されない。免疫応答を調節する細胞表面レセプター に対する抗体もまた、使用され得る。例えば、B細胞、T細胞、NK細胞、マクロフ ァージおよび腫瘍細胞上の細胞レセプターへのリガンド結合をブロックする抗体 が、この目的のために使用され得る。このストラテジーの例としては、例えば、 Yang(1996)Gene Therapy 3:412-420;Lei(1996)Human Gene Therapy 7:2273 -2279;Yang(1996)Science 275:1862-1867を参照のこと。 VII.治療キット 別の実施態様において、本発明は治療キットを提供する。キットは、腫瘍抑制 核酸またはポリペプチド、あるいはその薬学的組成物を含むがこれに限定されな い。キットは、付加的抗癌剤またはその薬学的組成物、あるいはその薬学的組成 物を含み得る。個別の投与のために、または投与前の組み合わせのために、種々 の組成物が別々の容器中に提供され得る。あるいは種々の組成物は単一の容器中 に提供され得る。キットはまた、本発明の方法の実施のために種々のデバイス、 緩衝液、アッセイ試薬などを含み得る。さらにキットは、本発明の種々の方法( 例えば、腫瘍の処置、転移の予防および/または処置、など)におけるキットの 使用を教示する教育用の資料を含み得る。 キットは必要に応じて1つ以上の免疫調節剤(例えば、免疫抑制剤)を含み得 る。特に好ましい免疫調節剤は、本明細書に記載したいずれかの免疫調節剤を含 む。 VIII.異種腫瘍抑制核酸またはポリペプチド、および他の薬剤を含む細胞 本発明はさらに、異種腫瘍抑制核酸および/または腫瘍抑制ポリペプチドを含 む、トランスフェクトされた、または別に処置された原核または真核宿主細胞、 例えば、動物細胞(例えば、哺乳動物細胞)を提供する。細胞は、必要に応じて 付加的抗癌剤、例えばパクリタキセルまたは他の微小管に影響する薬剤をさらに 含む。 適切な原核細胞は、E.coli細胞のような細菌細胞を含むがこれに限定されな い。適切な動物細胞は、好ましくは哺乳動物細胞、より好ましくはヒト細胞を含 む。宿主細胞は、任意の哺乳動物細胞、より好ましくは任意の新生物細胞または 腫瘍細胞、例えば、本明細書中に記載される任意の細胞を含むがこれに限定され ない。 本明細書中に記載されるトランスフェクトされた宿主細胞は、診断または治療 のための組成物として有用である。薬学的に使用された場合、これらは、エキソ ビボの遺伝子治療のために、上記の種々の薬学的に受容可能なキャリアーと組み 合わせられ得る。細胞は、上記で詳細に記載した効果的な量で、治療的にまたは 予防的に投与され得る。診断的な文脈においては、細胞は、教示または他の参照 目的のために使用され得、そしてこのようにトランスフェクトされ、そして/ま たは処置された細胞の同定のための適切なモデルを提供する。 IX.p53 アデノウイルス遺伝子治療の前臨床的および臨床的効力 アデノウイルスを介するp53遺伝子治療は、現在、いくつかの国において第I/ II相臨床試験を受けている。これらの臨床試験で用いられる薬学的組成物は、本 明細書中で述べるように、サイトメガロウイルスプロモーターの制御下で、ヒト 腫瘍抑制遺伝子を発現する、複製欠損型5型アデノウイルスベクター(「rAd5/p 53」)からなる、本発明の例示的野生型p53発現アデノウイルス(rAd/p53)を含 有した(Wills(1994)前出を参考のこと)。 領域投与 腹腔に限定されている卵巣癌は、領域遺伝子治療、すなわち腹腔内投与が好ま しい処置計画と考えられるべきである、一つの臨床的なシナリオである。 実施例 以下の実施例は例示のために提供されるが、本願発明を制限するものではない 。 実施例1 本発明は、新生物の処置において、腫瘍抑制ポリペプチドを発現する核酸およ と組み合わせた、本発明のp53発現アデノウイルスが、新生物を処置する能力、 およびこの組み合わせ治療が、腫瘍細胞を死滅させる点で、いずれの薬剤単独よ りも効果的であったことを詳述する。 インビトロにおける組み合わせ治療 細胞を3つの処置レジメの内の1つに供した:処置1において、p53アデノウ 処置2において、細胞をp53アデノウイルス構築物で前処理し、次いで後にタキ に24時間以内に、または同時に投与され得る。 培養培地中の約1.5×104細胞(0.4μg/mlコルチゾールおよび10%FBSならびに 1%可決アミノ酸含有DMEM+Ham's F12培地の1:1混合物中の頭頸部細胞株SCC-9 、SCC-15、およびSCC-25、ならびに10%FBSを添加したEagle's必須培地中の前立 腺DU-145および卵巣SK-OV-3)を、96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェ ル p53アデノウイルス、または適切なビヒクル/緩衝液を各ウェルに添加した。パク リタキセルは水溶性ではないので、薬物を投与前にエチルアルコールに溶解した 。次いで、細胞を37℃、5%CO2にて一晩培養した。リン酸緩衝液(20mM NaH2PO4 、pH 8.0、130mM NaCl、2mM MgCl2、2%スクロース)中のp53アデノウイルスを投 与した。 次いで、細胞死をMosmann(1983)J.Immunol.Meth.,65:55-63の方法に従って 定量した。簡潔には、約25μlの5mg/ml MTT生体染色染料[3-(4,5ジメチルチア ゾール-2イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド]を各ウェルに添加し、 そして37℃、5%CO2にて3-4時間インキュベートした。次いで、100μlの10% S DS界面活性剤を各ウェルに添加し、37℃、5%CO2にて一晩インキュベートした 。次いで、各ウェルのシグナルをMolecular devices microtiter plater eader( Thermo-Max)を用いて、定量した。特定の細胞株を使用し、そして得られた結果 を表1に列挙する。 一般的に、p53アデノウイルスは、それが最初に添加された場合よりもタキソ ールの後またはそれと同時に添加される場合により効果的であった。これらの結 イソボログラム分析は相乗効果を確立する。 SK-OV-3(p53ヌル)卵巣腫瘍細胞を、表2に示すようにタキソールおよびp53/ア デノウイルス(A/C/N/53)の併用により処置した。用量は、上記のように実施した 。細胞死を上記のMTTアッセイを用いて3日目に定量した。さらに、p53Ad単独( 表2に列挙した用量を使用)についての用量応答曲線を作製し(薬剤に細胞を2 日間曝露後)、そしてタキソール単独についての用量応答曲線を、上記に列挙し た用量を用いて実施した(薬物に細胞を3日間曝露)。 図1は、処置の機能として(緩衝液コントロールと比較した)細胞増殖の阻害 を示す。一般的に、タキソールまたはp53のいずれかの容量が増加するにつれて 、いずれかの薬物単独より大きな効果を有するp53およびタキソールの併用での 細胞増殖速度は低下した。 図2は、Berenbaum(1989)Pharmacol.Rev.93-141に概説されたようなIsobole 法を用いたこれらのデータのイソボログラム分析を示す。タキソールとp53(A/C/ N/53)との間の相乗作用は、細胞をp53(A/C/N/53)処置前にタキソールで24時間あ らかじめ処置した場合に認められた。図2において、直線(ED30についてのイソ ボール)は、2つの薬剤を用いる処置が、付加的である場合に予測される細胞増 殖に対する効果を示す。事実、認められた効果は、イソボール直線の左下に入り 、これは、各薬物の推定濃度より低い濃度が必要であったこと、そして2つの薬 物の間の相乗的な相互作用が生じたことを示す。 実施例2 転移に対するp53アデノウイルス媒介遺伝子治療 本発明は、転移処置の腫瘍抑制ポリペプチドを発現する核酸の投与を提供する 。以下の実施例は、身体の種々の組織に感染して、そして転移を処置するための 、本発明のp53発現アデノウイルスの能力を詳細に述べる。 雌複合免疫不全(scid)マウス(V(D)J組換えにおける欠損に起因するT細胞お よびB細胞の両方が欠失するSCID変異が同型接合型であるマウス)に、5×106 のMDA-MB-231乳腺癌細胞をそれらの乳腺脂肪パッド(fat pad)中に注射した。原 発性腫瘍が良好に確立され、肺に転移する時間が経過した後、原発性腫瘍を外科 的に取り除いた(11日目)。マウスを、23、30、37、44日目(1qW)に静脈内A/C /N/53またはコントロール緩衝液でコントロール緩衝液または4×108C.I.U./注 射でのA/C/N/53(アデノウイルス中のp53)を用いて処置した。49日目に、肺を採 取し、固定し、そして染色して検鏡した。 結果を下記の表3に示す。 このA/C/N/53処置によって、A/C/N/53をもったマウスの転移数は減少した。 第2の実験において、scidマウスまたはscid-beigeマウスの乳腺脂肪パッド中 の231腫瘍には、A/C/N/53を用いて腫瘍周囲注射を与えた。10回の注射で与えた 総用量2〜4×109C.I.U.によって、肺転移したマウスの数が、scidマウスで80 %およびscid-beigeマウスで60%減少した。マウスあたりの転移の数もまた、い ずれの肺腫瘍を有するマウスにおいても全く劇的に減少した。上記に記載される ように、A/C/N/53での静脈内投与はまた、scidマウスの肺転移に対して効力を示 した。これらのデータは、A/C/N/53を用いた癌遺伝子治療が原発性腫瘍の負荷を 低減することに加えて転移疾患の重篤度に影響しうることを示す。 別の実験において、雌scidマウスに、乳腺脂肪パッド中に5×106MDA-MB-231 哺乳動物腫瘍細胞/マウスで0日目に注射した。原発性(乳腺)腫瘍を、18日目 に外科的に取り除いた。マウスを、21,24、32、39、36日目に緩衝液、β-gal-A D、またはp53Ad(A/C/N/53)の静脈内注射で処置した。1回の注射あたりのウイル ス用量は、4×108C.I.U.(A/C/N/53)(PN/C.I.U.=23.3)および9.3×109粒子β-ga l Ad(PN/C.I.U.=55.6;1.7×108C.I.U.)であった。 51日目に肺および肝臓を採取し、ホルマリンで固定した。組織切片を肺腫瘍お よび肝腫瘍について評価した。2つの緩衝液および2つのβ-gal Adマウス由来 の主要な器官を凍結切片にするため、およびβガラクトシダーゼ酵素活性の分析 のために急速凍結した。 *転移数は、評価された数未満である。複数腫瘍は、これらの肺でともに増殖 した。 緩衝液群およびβ-gal Ad群での1つの肺あたりの転移数には、有意な差は認 められなかった(p=0.268、表4を参照のこと)。 p53 Ad処置では、緩衝液群またはβ-gal Ad群のいずれかと比較した場合、1 つの肺あたりの転移数は、有意に減少した(それぞれ、p<0.001およびp<0.002 )。転移数の減少に加えて、p53 Ad群においては、肺転移のサイズにも劇的な減 少が見られた。コントロール群においては、大部分の肺からの組織切片は、新生 物組織が50%以上を占めた。そして個々の腫瘍として、もはや肺の大きな面積に わたって認識できなかった。対照的に、大部分のp53 Ad群における肺転移は小さ く、そして個々の腫瘍として容易に識別可能であった。 アデノウイルス組織分布 肝臓組織は、最も多数の感染細胞(約50%)を有し、そしてβガラクトシダー ゼ活性が強かった。肺は、組織全体にわたって均等に分布した感染細胞の分散パ ッチを有した。小腸および胃は、器官周辺の外側平滑筋壁中の細胞の周期的感染 を有していた。管腔に沿って分散した微絨毛にもβガラクトシダーゼ活性が存在 した。子宮周辺の外側平滑筋壁は、小腸で認められるものと同様な、細胞の周期 的感染を有していた。卵巣中の大部分の間質細胞も感染した。脾臓は、器官の平 滑筋成分中に分散したβガラクトシダーゼ活性を有していた。黄紋心筋の主要な バルク(bulk)内部には感染細胞はほとんど存在しなかった(<1%)。乳腺脂肪パ ッドにも下層の黄紋筋にも原発性腫瘍には感染細胞はほとんど存在しなかった。 腎臓には感染細胞は存在しなかった。 肝臓病理 剖検時に、全ての肝臓は肉眼では、正常であった。いずれの肝臓にも明らかな 壊死は存在しなかった。しかし、アデノウイルスで処置したマウスは、有糸分裂 中の細胞数の上昇、細胞封入体、ならびに肝細胞のサイズおよび形状における変 化を含む、肝細胞異常を有していた(緩衝液群には存在しなかった)。 実施例3 ヒト乳癌異種移植片に対するp53アデノウイルス媒介遺伝子治療 本発明は、腫瘍抑制ポリペプチドを発現する核酸の投与によって種々の癌の処 置を提供する。以下の実施例は、ヒト乳癌を処置するための、本発明のp53発現 アデニウイルスの能力を詳述する。 ヌルまたは変異体p53を用いた腫瘍中への野生型p53の導入は、腫瘍増殖を制御 するための新規な戦略を提供する。Casey((1991)Oncogene 6:1791-1797)は、 プラスミドDNAベクターを介して、インビトロで乳癌細胞中に野生型p53を導入し た。プラスミドトランスフェクション後に生じたMDA-MB-468(p53mut)およびT47D (p53mut)のコロニー数は、野生型p53によって50%減少した。また、得られたコ ロニーのいずれも、野生型p53トランスフェクト体を発現しなかった。対照的に 、MCF-7(p53wt)のコロニー数は影響されなかった。Negrini((1994)Cancer Res. 54:1818-1824)は、MDA-MB-231細胞を用いた類似の研究を行った。コロニー形成 は、野生型p53を含むプラスミドでのトランスフェクションによって50%減少し 、そして得られたコロニーのいずれも野生型p53を発現しなかった。逆説的にい えば、この研究において類似の結果が、MCF-7細胞でも認められた。 この実施例で記載される研究において、複製欠損、組換え、E1領域欠失、p53 アデノウイルス(p53Ad;(A/C/N/53)Wills(1994)前出)の効力を、変異体p53を発 現する3つのヒト乳癌細胞株、すなわちMDA-MB-231、MDA-MB-468、およびMDA-MB -435に対して試験した。MDA-MB-231細胞は、p53遺伝子のコドン280でのArgか らLysへの変異を保有する(Bartek(1990)Oncogene 5:893-899)。MDA-MB-468細胞 は、コドン273(Id.)でArgからHisへの変異を保有する。MDA-MB-435細胞は、p53 遺伝子のコドン266でGlyからGluへの変異を保有する(Lesoon-Wood(1995)Hum.Ge ne Ther.6:395-405)。 以前の研究では、インビトロでp53 Adを感染させた後のヒト乳房、卵巣、肺、 結腸直腸、肝臓、脳、および膀胱由来の腫瘍細胞で、高レベルの野生型p53発現 が示された(Wills(1994)前出、Harrisら(1996)Cancer Gene Therapy 3:121-130) 。アデノウイルス媒介p53発現は、最終的に、p53ヌルまたは変異体p53腫瘍細胞 での細胞形態の変化およびアポトーシスの誘導を生じる。10m.o.i.(感染多重度 )でのp53 Adによる468乳癌細胞の感染は、感染後72時間までにDNA合成のほぼ100 %の阻害を引き起こした。さらに、インビトロでのp53 Adでの感染は、MDA-MB-4 68およびMDA-MB-231細胞の増殖を、それぞれ、3±2m.o.i.および12±10m.o.i. のED50値で阻害した。他の3つのp53変異体乳癌腫株の増殖はまた、低濃度のp53 Adで阻害された。ED50値は、SK-BR-3細胞については16±4m.o.i.であり、T-47 D細胞については3±3m.o.i.であり、そしてBT-549細胞については2±2m.o.i .であった。p53の代わりに、E.coli βガラクトシダーゼ(β-gal)を発現する 等価な組換えアデノウイルスの30m.o.i.でのMDA-MB-468およびMDA-MB-231細胞の 感染は、>67%のβ-galポジティブMDA-MB-468細胞、および34〜66%のβ-galポ ジティブMDA-MB-231を生じた。改変されたp53を備えた腫瘍細胞の大パネルにお いて、β-galポジティブ細胞の割合を、p53抗増殖効果と相関させることにより 、Harrisら(前出)は、p53が誘導した阻害の程度とアデノウイルス形質導入の 程度との間の強力な正の相関を示した。対照的に、通常のレベルの野生型p53を 発現する細胞株は、アデノウイルス形質導入率とは独立して、p53形質導入によ って最小限にしか影響されなかった。 野生型p53を含む2つのヒト乳腺細胞株であるMCF7およびHBL-100細胞の増殖は 、インビトロで99m.o.i.より大きいかまたは等しいp53 Ad濃度によって比較的影 響されなかった。言い換えれば、MCF-7およびHBL-100細胞の成長阻害は、-231お よび-468細胞のED50値より、それぞれ、少なくとも8倍および33倍高いp53 Ad濃 度を必要とした。類似の組換えp53 Adを用いて、Katayose((1995)Clin.Cancer R es.1:889-897)は、p53タンパク質発現の増加、細胞増殖の減少、およびインビ トロで形質導入された-231細胞のアポトーシス細胞死の増加を実証した。この研 究は、これらの-468および-231細胞を用いたインビトロ結果を、インビボでの乳 癌異種移植片に拡大した。アデノウイルス媒介p53遺伝子治療の効力は、インビ トロでアデノウイルス形質導入に抵抗性である、別の乳癌細胞株(MDA-MB-435)で 評価される。 材料および方法 細胞株およびインビトロでのアデノウイルス感染 ヒト乳癌細胞株であるMDA-MB-231、MDA-MB-468、およびMDA-MB-435細胞を、AT CC(Rockville、Maryland、USA)から得た。-231細胞を、10%ウシ胎児血清(FCS; Hyclone、Logan、Utha)含有DMEM(Life Technologies,Grand Island,NY)中で37 ℃、5%CO2にて培養した。-468細胞を、10% FCS含有ライボビッツL-15培地(Ll fe Technologies)中で37℃にて培養した。-435細胞を、15%FCSおよび10μg/ml ウシインスリン(Sigma Chem.Co.,St.Louis,Missouri)含有ライボビッツL-15 培地中で37℃にて培養した。 ヒト野生型p53発現およびE.coli βガラクトシダーゼ(β-gal)発現組換えア デノウイルス(rAd)の構築および伝播は、トランスジーン発現がヒトサイトメガ ロウイルスプロモーターによって指向される場合は、以前に記載されている(Wil ls(1994)前出)。リン酸緩衝液(20mM NaH2PO4,PH8.0,130mM NaCl,2mM MgCl2,2 %スクロース)中のアデノウイルスを投与した。C.I.U.は、細胞感染単位として 定義される。感染性ウイルス粒子の濃度を、48時間の感染期間後の、ウイルスヘ キソンタンパク質ポジティブ293細胞を測定することにより決定した(Huyghe(199 5)前出)。 p53 Adを用いたインビトロ感染研究については、細胞を12ウェル組織培養ディ ツシュ(Becton Dickinson,Lincoln Park,New Jersey,USA)中、1〜5×104細 胞/ウェルの濃度でプレートした。細胞を0、10、または50m.o.i.(感染多重度= C.I.U./細胞)のp53 Adで形質導入し、そして以前記載されたように(Wills(1994) 前出)72時間培養した。β-gal Adを用いたインビトロ感染研究については、細胞 を、1×105細胞/ウェルの密度でプレートした。細胞を0、10、50、または10 0m.0.1.のβ-gal Adで形質導入した。48時間後、細胞を0.2%グルタルアルデヒ ド(Sigma Chemical Co.)で固定し、次いでPBS(Life Technologies)で3回洗浄し た。次いで、細胞を1mlのX-Gal溶液[N,N-ジメチルホルムアミド(10%終濃度)中 、1.3mM MgCl2、15mM NaCl、44mM Hepes緩衝液、pH7.4、3mMフェリシアン化カリ ウム、および1mg/ml X-Gal]中でアッセイした。X-Galは、Boehringer MannheimC orp.,Indianapolis,Indianaから購入した。他の全ての化学薬品は、Sigmaから 購入した。 形質導入細胞の割合を決定するために、5顕微鏡視野を各培養ウェルから計数 し、そしてβガラクトシダーゼを発現している平均割合を各m.o.i.で3ウェルに ついて算出した。 インビボでのアデノウイルス処置 雌無胸腺ヌードマウスを、Charles Liver Laboratories(Wilmington,Massach usetts,USA)から購入した。全てのマウスをVAFバリア施設で維持し、そして全 ての動物についての手順を、N.I.H.Guide for the Care and Use of Laborator y Animalsに記載された規則に従って実施した。腫瘍細胞を、皮下または乳腺脂 肪パッド中に注入した。 細胞接種物は、以下のとおりである:5×106の-231細胞/マウス、1×107のM DA-MB-468細胞/マウス、または1×107のMDA-MB-435細胞/マウス。腫瘍を、処置 開始前の33日間にわたって増殖させる1つの-468実験を除いて、腫瘍を、投薬を 開始する前に10〜11日にわたってインビボで増殖させた。腫瘍体積は、その産物 を3次元の測定物として算出した。各日数での異なる処置群についての腫瘍体積 を、Statview IIソフトウェア(Abacus Concepts,Berkeley,California)を用い たスチューデントt検定により比較した。0〜4日および7〜11日で投与した群 についての平均阻害割合は、14日目からこの研究の終わりまでの有意値(p<0.05 )を用いて算出した。 p53の特異的な効果は、p53 Adにより引き起こされる増殖阻害から、β-gal Ad によって引き起こされる平均腫瘍増殖阻害を減じることにより、アデノウイルス ベクター効果とは区別した。全てのウイルス注射は、腫瘍周囲/腫瘍内であった 。一般的に、2日間の「休止期間」によって分けた、2回の5日間にわたる腫瘍 治 療コース(すなわち、5回の注射)を各マウスに与えた。いくつかの場合には、 この投薬レジメは2週間を超えて延長されたか、および/またはバッファービヒ クルを、何回かの注射についてはウイルスと置換した。腫瘍増殖曲線を、平均腫 瘍体積±s.e.m.で示す。 組織学およびアポタグ(apoptag)免疫組織化学 組織サンプルを10%緩衝化ホルマリンで固定し、そしてMiles VIP Tissue Pro cessor中で一晩処理し、次いでパラフィンに包埋した。5ミクロン組織切片をLe itzミクロトームで切り出した。このスライドを、日常的なHarrisのヘマトキシ リンおよびエオシン染色(Lunaら(1968)、Manual of Histologic Staining Metho ds of the Armed Forces Institute of Pathology、New York:McGraw Hill Book Co.)で染色した。 アポタグインサイチュアポトーシス検出キットをOncor(Gaithersburg,Maryla nd,USA)から購入した。サンプルをキット使用法によりアッセイした。簡潔には 、脱パラフィン化し、再水和した組織切片を、Oncor Protein Digesting Enzyme で処理し、TdTとともにインキュベートし、そしてアビジン-ペルオキシダーゼキ ット(ウサギIgG−Sigma Chem.CO.EXTRA-3)およびDAB(Vector Lab.SK4100 )を用いて発色させた。スライドをメチルグリーンで対比染色した。 βガラクトシダーゼアッセイ 腫瘍をTBS(Triangle Biomedical Sciences,Durham,North Carolina,USA)に 包埋し、そして2-メチルブタン/ドライアイス浴中で急速凍結した。凍結組織切 片(8μm厚)を、0.5%グルタルアルデヒド中、4℃で5分間固定し、次いで、上 記のようにβ-gal発現についてアッセイした。 インテグリンFACS分析 細胞を0.02%EDTAで処理することにより懸濁し、ペレット化し、次いでPBSで 2回洗浄した。次いで、細胞を1×106細胞/mlの濃度で再懸濁し、そして1次抗 体(終濃度1:250/ml)と4℃で1時間インキュベートした。細胞懸濁液をPBSで 2回洗浄し、過剰な1次抗体を除去した。次いで、細胞をFITC結合ウサギ抗マウ ス附属抗体(adjunctive antibody)(終濃度1:250/ml,Zymed)で4℃で1時間イ ンキュベートした。細胞を予めPBSで洗浄し、直ちに分析した。蛍光をFACS Va ntageフローサイトメトリー(Becton Dickinson,Moutain View,California,USA )で測定した。側面の散乱および前方の散乱を同時に測定し、そして全てのデー タをFACS研究ソフトウェア(Becton Dickinson)を備えたHewlett Packardコンピ ューターで集めた。インテグリンレセプターを検出するために用いた1次抗体を 、以下の供給元から得た:抗αv(12084-018,Gibco BRL);抗β3(550036、Becto n Dickenson);抗αvβ3(MAP1976,Chemicon);抗β1(550034,Becton Dickenso n);および抗αvβ5(MAB 1961,Chemicon)。 結果 インビトロでのアデノウイルス形質導入効果およびp53増殖阻害 -231および-468細胞は、両方とも10m.o.i.でインビトロで高度に形質導入され た。対照的に、-435細胞は、100m.o.i.でさえもほとんど形質導入されなかった 。-231細胞については、細胞の8%(10m.o.i.)、46%(50m.o.i.)、および62%(1 00m.o.i.)が、β-gal Adによって形質導入された。-468細胞については、細胞の 78%(10m.o.i.)、84%(50m.o.i.)、および97%(100m.o.i.)が、β-gal Adによっ て形質導入された。435細胞については、細胞の0.5%(10m.o.i.)、1%(50m.o.i .)、および1.3%(100m.o.i.)が、β-gal Adによって形質導入された。 50m.o.i.のp53 Adを用いた感染は、231および468細胞培養にてほぼ完全な細胞 死を生じた。対照的に、p53 Adでは、435細胞の増殖についての検出可能な効果 がなかった。 ヒト乳癌異種移植片に対するp53 Ad効果 アデノウイルス媒介p53遺伝子治療は、-231および-468異種移植片に対しては 非常に効果的である(図3aおよび3b)。231の実験では、β-gal Ad群の1匹のマ ウスおよびp53 Ad群の3匹のマウスは、研究の終わりには腫瘍が認められなかっ た。そして全ての腫瘍はp53 Adの処置の間に退化した。-231腫瘍増殖の阻害は、 平均86%であった(p≦0.01)。p53に起因する増殖阻害の成分は、平均37%であっ たが、その一方、アデノウイルス特異的阻害は平均49%(p≦0.01)であった。-46 8腫瘍増殖の阻害は、平均74%であった(p≦0.001)。p53 Ad群の1匹のマウスは 、研究の終わりには腫瘍が認められず、そして全ての腫瘍は、p53 Adの処置の間 に退化した。p53に起因する増殖阻害の成分は、平均45%であった(p≦0.001)が 、 その一方、アデノウイルス特異的阻害は平均28%(p≦0.05)であった。いずれの 実験でも副作用は認められなかった。-231および-468腫瘍増殖阻害についてのED50 値は、それぞれ、3×108C.I.U.(細胞感染単位)および2×108C.I.U.であった (図4)。-435腫瘍は、p53 Ad処置に対してほぼ完全に耐性であった(図3c)。アデ ノウイルスで処置した435腫瘍群での増殖阻害は、顕著ではなかった。 図5は、-231腫瘍に対する2つのp53 Ad投与レジメの効力の比較を示す。全て のマウスに、1週間当たり5回の腫瘍周囲注射を与えた。治療剤(p53 Ad)で処 置した全てのマウスは、1週間当たり全体で2.2×109C.I.U./マウスを受容した 。1つのグループは、週全体のアデノウイルス用量を含む単回ボーラス注射を受 容した。その週の他の4回の注射は、緩衝液ビヒクルからなった(1×群)。他 方の処置群は、同じAd用量を1週間当たり5回の注射に分割して受容した(5× 群)。この投与レジメは、第1週および第3週の間に行った(0〜4日目、14〜 18日目)。増殖阻害は、5×群では平均して73%であった(p<0.01)が、1× 群では平均して44%のみであった(研究の最初の3週間ではp<0.05、21日目以 降では有意ではない)。p53遺伝子治療の第一のサイクルは、第二のサイクルよ りも有効であった。第一の治療サイクル後、1×群内の4匹のマウス、5×群内 の5匹のマウス、およびビヒクルコントロール群内の1匹のマウスは無腫瘍であ った。5×群内の1匹のマウスは、21日目までに非常に小さな腫瘍を再発した。 さらなる「治癒」は、第二の治療サイクル後には観察されなかった。 図6は、10倍低いアデノウイルス用量で処置した、図3bに示した468腫瘍よ り当初4倍大きな468腫瘍を用いる実験を示す。1週間当たり2.2×108C.I.U.p5 3 Ad/マウスの総用量を投与した。1つの群は、1週間当たり、1回のウイルス の単回ボーラス注射、その後4回の緩衝液注射を受容した(1×群)。他の処置 群は、同じウイルス用量を1週間当たり5回の注射に分割して受容した(5×群 )。これらの投与スケジュールを6週間与えた。6週間にわたって投与した総ウ イルス用量は、図3で使用した用量の約半分であった。この投与レジメは、p53 Adで処置したマウスの腫瘍体積に細胞増殖抑制効果を生じた(p≦0.05)。本研 究において初期に与えた処置は、後期の週に与えたよりも有効であるようであっ た。5×群内の1匹のマウスは21日目まで無腫瘍であった。しかし、全てのマ ウスにおける腫瘍増殖阻害を比較したとき、1×投与レジメ(60%)は、5×レ ジメ(55%)より、わずかに(しかし有意ではない)より有効であった。投与終 了1週間後まで、5×群における腫瘍増殖速度は増大し始めた。研究の開始1ヶ 月後は、ビヒクルコントロール腫瘍が壊死し始め、そして増殖は停滞した。 繰り返しアデノウイルス曝露後のインビボ感染性 図5および6に示す研究の終了時に、いくつかの腫瘍にβ-gal Adを注射した 。これらの腫瘍を24時間後に採取し、凍結組織切片をβ−ガラクトシダーゼ発現 についてアッセイした。p53 Adで2または6週間処置した腫瘍はなおβ-gal Ad により形質導入された。一方、形質導入は、1週間当たり5回p53 Adで6週間処 置した-468腫瘍で最も低かった。5×群において注射された3つの-468腫瘍のう ち1つのみに由来する切片が、β-ガラクトシダーゼを発現する細胞を有した。 p53 Adによるインビボでのアボトーシスの誘導 ヌードマウスにおけるMDA-MB-231およびMDA-MB-468乳癌異種移植片に、1〜5× 108C.I.U.のp53Adまたは緩衝液を採取48〜72時間前に注射した。p53 Adによるア ポトーシスの誘導を、組織切片におけるアポタグ免疫組織化学を用いてアッセイ した。p53 Adを注射した腫瘍は、腫瘍内注射した腫瘍の針の跡に沿って、および 腫瘍周囲注射した腫瘍の外側の縁の周囲に広範なアポトーシスの領域を有した。 対照的に、緩衝液を注射した腫瘍は、予期されたとおりに、ほんの少数のまき散 らされたアポトーシス細胞を有した。 MDA-MB-231およびMD-MB-435細胞におけるインテグリン発現の比較 インテグリン発現のFACS分析をMDA-MB-231およびMDA-MB-435細胞において実施 し、MDA-MB-435細胞の低いAd形質導入が、Ad2型、3型、および4型の内部移行 に必要とされるαVインテグリンの欠乏に起因するか否かを決定した(Wickhamら 、(1993)Cell,73:309-319;Wickhamら、(1994)J.Cell Biol.,127:257-26 4;およびMathiasら、(1994)J.Virol.68:6811-6814)。両細胞型とも、ほぼ 同レベルでαV、αVβ3、αVβ5、およびβ1インテグリン部分を発現した。イン テグリンαVβ3およびβ3発現は、MDA-MB-231細胞よりもMDA-MB-435細胞におい てより高かった。 考察:2.2×109C.I.U.p53 Adの総用量を10回注射で投与したとき、腫瘍増殖阻 害はMDA-MB-468腫瘍について74%であり、そしてMDA-MB-231腫瘍について86%で あったが、しかしMDA-MB-435腫瘍については有意ではなかった。MDA-MB-468腫瘍 においては総応答の61%がp53特異的であったが、一方、MDA-MB-231腫瘍におい ては総応答の43%がp53特異的であった。β-gal AdがMDA-MB-231、MDA-MB-468、 およびMDA-MB-435細胞にインビトロで形質導入する能力は、一般的に、インビボ 結果の予測となった。同じウイルス濃度で、-468細胞は、MDA-MB-231細胞よりも わずかに高い形質導入率を有し、一方、MDA-MB-435細胞はアデノウイルス形質導 入に耐性であった。インビトロでのMDA-MB-435結果は、インビボにおける非常に 乏しい応答と相関した。 MDA-MB-435腫瘍を有するヌードマウスのp53-リポソームベクターでの全身処置 は、腫瘍増殖阻害、そしていくつかの場合では、退縮を引き起こすことが示され ている(Lesoon-Woodら、(1995)Hum.Gene Ther.,6:395-405)。p53-リポソ ーム処置はまた、肺転移の数を減少させた。これらの結果は、本研究におけるp5 3 Ad処置に対するMDA-MB-435腫瘍応答の欠如が、p53がMDA-MB-435腫瘍の増殖お よび転移を阻害できないことに起因しなかったことを示す。むしろ、これらの結 果は、p53 Ad処置に対するそれらの未応答を引き起こしたのは、MDA-MB-435腫瘍 の低いアデノウイルス形質導入効率であったことを示唆する。 αVインテグリンは、2型、3型、および4型のアデノウイルスの効率的な内 部移行に必要とされる細胞エレメントとして包含される(Wickham(1993)上述 ;Wickham(1994)上述;およびMathias(1994)上述)。αvインテグリンは、 5型Adについて同じ役割を行うようである。Wickhamら(1994)上述は、αVβ5 でトランスフェクトされた細胞において、αV発現を欠く細胞またはαVβ3でト ランスフェクトされた細胞に比較して5〜10倍高い組換え5型アデノウイルスの 内部移行を観察した。本明細書中で使用したp53 Adの産生のために使用されるヒ ト胚腎-293細胞は、αVβ1を発現するが、αVβ3インテグリンを発現しない(Bo dary(1990)J.Biol.Chem.265:5938-5941)。従って、αV、β1、β3、およ びα5インテグリンサブユニットの-435細胞発現を測定することが賢明であるよ うである。MDA-MB-231細胞およびMDA-MB-435細胞はともに、インテグリンファミ リー分子をおよそ等価なレベルで発現した。従って、MDA-MB-435細胞のAd形質 導入の欠如は、α5インテグリン発現の欠乏に起因しない。現在のところ、標的 細胞へのAd結合が必要とされる細胞レセプターの正体に関する文献は存在しない 。MDA-MB-435細胞においてこのレセプターが欠乏しているか、またはウイルス結 合、内部移行、または遺伝子発現に必要とされるある他の成分が欠損している可 能性がある。 複数の治療サイクルにわたるp53 Adの継続した効力を、MDA-MB-231およびMDA- MB-468腫瘍モデルにおいて試験した。効力は継続した投与によって減少したよう であるが、しかし、この効果は、より詳細に試験される必要がある。一般的な説 では、アデノウイルス感染は、十分に機能的な免疫系を有する宿主において細胞 傷害性T細胞により媒介される急速な炎症および細胞溶解性応答を生じるとみな される(Wilson(1995)Nature Med.4:887-889により概説される)。このT細 胞応答は、宿主細胞において産生され、そして細胞表面でMHC部分とともに提示 されるアデノウイルス抗原により刺激される。アデノウイルスにより形質導入さ れた細胞に特異的な中和抗体は、後に免疫応答において産生され、そして最初の 接種後にアデノウイルスの宿主細胞への再感染能力の減少を担うと考えられてい る。これらの研究において使用した無胸腺ヌードマウスは、外来抗原に対する不 完全なT細胞免疫応答を有するが、しかしB細胞媒介抗体応答を生成し得る(Bo ven(1991)The Nude Mouse in Oncology Research.Boston:CRC Press)。中和 抗アデノウイルス抗体の産生は、本研究における経時的なp53アデノウイルス(p 53 Ad)治療の効率減少を説明し得た。ヌードマウスにおける損なわれた免疫機 能および腫瘍異種移植片の内部への乏しい血液供給は、6週の投与後でさえもp5 3 Adが部分的に有効であることおよび繰り返しp53 Ad注射後でさえもβ-gal Ad に少数の腫瘍細胞が感染し得ることを説明し得た。 乳癌に加えて、多数の他の癌が、野生型p53を発現する組換えアデノウイルス で処置されている。これらの報告は、子宮頸癌(Hamada(1996)Cancer Res.56 :3047-3054)、前立腺癌(Eastham(1995)Cancer Res.55:5151-5155)、頭頸 部癌(Clayman(1995)Cancer Res.55:1-6)、肺癌(Wills(1994)上述)、卵 巣癌(13)、神経膠芽腫(27、28)、および結腸直腸癌(13、29)のモデルを含 む。まとめると、これらのデータは、アデノウイルス媒介p53遺伝子治療の効 果を評価する、続行中の臨床調査を支持する。本結果は、変異体p53を発現する 乳癌異種移植片においてインビボでの癌性細胞増殖を削減する、野生型p53の能 力を示す。本研究はまた、標的細胞が適切なウイルス「レセプター」を発現する ときアデノウイルスがp53についての効率的な送達ビヒクルであるようであるこ とを確認する。 実施例4 腫瘍阻害における処置レジメのさらなる調査 本発明は、種々の投与レジメを用いる、腫瘍抑制ポリペプチドを発現する核酸 の投与による種々の癌の処置を提供する。以下の実施例は、本発明のp53発現ア デノウイルスの投与の分割投与の効力の増大を詳述する。 単回投薬レジメの効果を、一定期間にわたって投与した分割用量に比較して調 べるために、MDA-MB-468およびMDA-MB-231腫瘍を注射したscidマウスを、マウス 当たり総用量1×109I.U.のp53 Ad(A/C/N/53)を、単回ボーラス注射として投 与するか、あるいは1週間にわたって1日に一度、3または5回の注射に分割し て投与する(図7中で矢印で示す)かで処置した。 MDA-MB-468腫瘍で得られた結果は、MDA-MB-231腫瘍で得られた結果と同様であ った。これを図7a、7b、および7cに示す。一般には、分割投与は、腫瘍増 殖を、単回ボーラス注射よりも良好に阻害した。5回注射投薬レジメには、3回 注射投薬レジメよりも有意な向上があった。 実施例5 デキサメタゾンは、NK細胞媒介抗アデノウイルス免疫応答と関連した 腫瘍増殖の阻害を沈黙させる アデノウイルスベクターの繰り返し投与は、抗アデノウイルス免疫応答を誘導 し得ることが実証されている。低用量デキサメタゾン(Dex)の免疫抑制特性が 抗アデノウイルス免疫応答(例えば、NK細胞応答)を阻害し得るか否かを調べる ために、scidマウスにおけるMDA-MB-231腫瘍を、デキサメタゾンの非存在下およ び存在下で、本発明の組換えウイルスで処置した。 約5×106MDA-MB-231細胞/マウスを、0日目に雌scidマウスの乳腺脂肪パッ ドに注射した。11日目に、デキサメタゾンまたはプラシボペレットを皮下移植し た。5mgペレットを、83.3μgデキサメタゾン/日を60日間継続して放出するよ うに設計した(Innovative Research of America、Sarasota、FL)。全てのマウ スは、14〜18日目および21〜25日目に1日に1度与えた、全体で10回の腫瘍周囲 注射を受容した(1回の注射当たり0.1ml)。総ウイルス用量は、2×109C.I.U. /マウス(p53 AD(A/C/N/53またはβ-ガラクトシダーゼAd)であった。処置は 、表5に列挙するとおりであった。 低投薬量デキサメタゾン処置は、scidマウスにおけるMDA-MB-231腫瘍の増殖率 において有意な効果を有さなかった(p>0.05)。デキサメタゾンの有害な副作 用は観察されなかった。β−ガラクトシダーゼアデノウイルスでの腫瘍の処置に より、プラシボコントロール腫瘍では腫瘍増殖の有意な阻害が引き起こされた( p≦0.001、21〜30日目)が、デキサメタゾン処置腫瘍では引き起こされなかっ た(p>0.05、図8を参照のこと)。プラシボおよびβ-gal Adで処置した腫瘍 は、プラシボおよびデキサメタゾンで処置した腫瘍よりも増殖が緩慢であった( p≦0.01、23〜30日目)。 プラシボコントロール腫瘍では、腫瘍増殖の有意なp53特異的阻害は存在しな かった(p>0.05)。対照的に、デキサメタゾンおよびp53 Adで処置した腫瘍は 、デキサメタゾンおよびβ-gal Adで処置した腫瘍(p≦0.02、21〜30日目)ま たはプラシボおよびp53 Adで処置した腫瘍(p≦0.04、21〜30日目)よりも増殖 が有意に緩慢であった。 従って、低用量デキサメタゾン処置は、有害な副作用を伴わずに、scidマウス における抗アデノウイルス免疫応答(例えば、NK細胞応答)に関連した腫瘍増殖 の阻害を沈黙させた。このデータはまた、低用量デキサメタゾン処置が、組換え アデノウイルスにおけるCMVプロモーターにより駆動される導入遺伝子(例えば 、p53)発現を刺激し得ることを示唆する。逆に、デキサメタゾンは、アデノウ イルス形質導入効率を増大させ得、それにより腫瘍細胞死を増大させ得る。 次に、MDA-MB-231乳癌モデルを用いて、マウスにおいてp53を有するまたは有 さないAdの抗腫瘍効力を評価した。これらは、外来抗原に対する免疫応答を惹起 させる能力が異なる。非機能的T細胞を有するヌードマウス、非機能的なT細胞 およびB細胞を有するが、高められたNK細胞を有するscidマウス、および非機能 的なT細胞、B細胞およびNK細胞を有するscid-ベージュマウスを研究した。 MDA-MB-231異種移植片に対するrAd5/p53(上述)の効力を研究するために:ヌ ードマウスに、マウス1匹当たり総用量2.2×109C.I.U.のAdを、0〜4日目およ び7〜11日目に10回の注射に分割して与えた。SCIDマウスに総ウイルス用量=4 ×109C.I.U.を、0〜4日目および7〜11日目に与えた10用量に分割して与えた 。SCID-ベージュマウスに総ウイルス用量=1.6×109C.I.U.を、0〜4日目およ び7〜11日目に与えた10用量に分割して与えた。全てのマウスを、p53 Ad、β-g al Ad、またはビヒクル単独で処置した。 ヌードマウス(非機能的T細胞)またはscidマウス(非機能的T細胞およびB 細胞;高められたNK細胞)において、コントロールAdベクター(p53インサート なし)での腫瘍周囲投与は、腫瘍増殖のいくらかの阻害を引き起こした。p53を 発現するAd(rAd5/p53)は、抗腫瘍効力をコントロールAdに比較して大いに増強 した。対照的に、scid-ベージュマウス(非機能的T細胞、B細胞、およびNK細 胞)においては、抗腫瘍効力は全て、腫瘍増殖阻害に対するAdベクター成分のな いp53発現に起因した。これらのデータは、Ad媒介腫瘍増殖阻害におけるNK細胞 についての以前には認識されていない役割を示す。データはまた、免疫系の抑制 が、いくつかのベクター特異的な、NK細胞媒介性の副作用を排除し得ることを示 唆する。 実施例6 p53アデノウイルスと化学治療との組み合わせ処置 本発明は、新生物の処置における腫瘍抑制ポリペプチドを発現する核酸および 化学治療剤の組み合わせ投与を提供する。以下の実施例は、種々の抗癌薬、シス プラチン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル(5-FU)、メトトレキセート、 およびエトポシドと組み合わせた本発明のp53発現アデノウイルスの、新生物を 処置する能力、およびこの組み合わせ治療が、いずれかの薬剤単独よりも腫瘍細 胞の殺傷により有効であった、すなわち、相乗的であったことを詳述する。 インピトロで化学治療薬と共に投与されたp53 p53と組み合わせたシスプラチン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル(5 -FU)、メトトレキセート、およびエトポシド 本発明の腫瘍抑制ベクター(A/C/N/53)と組み合わせた臨床的に関連した抗癌 薬であるシスプラチン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル(5-FU)、メトト レキセート、およびエトポシドの効果を、インビトロで調べた。SCC-9頭頸部扁 平上皮細胞癌、SCC-15頭頸部扁平上皮細胞癌、SCC-25頭頸部扁平上皮細胞癌、お よびDU-145前立腺癌細胞を、3つの処理レジメの1つに供した:処理1では、細 胞を、p53アデノウイルス構築物A/C/N/53に曝露する24時間前に抗癌化学治療剤 で前処理した。処理2では、細胞を、p53アデノウイルス構築物で前処理し、次 いで後に抗癌化学治療剤と接触させた。処理3では、細胞を、抗癌化学治療剤お よびp53アデノウイルスの両方と同時に接触させた。 全細胞株をATCC(Rockville、MD)から得た。SCC-9、SCC-15、およびSCC-25頭 頸部腫瘍細胞(p53null)を、10%ウシ胎児血清(FCS;Hyclone,Logan.Utah) 、0.4μg/mlヒドロコルチゾン(Sigma Chem.Co.,St.Louis.MO)、および1 %非必須アミノ酸(GIBCO)を有するDMEMおよびHam's F-12(GIBCO/Life Technol ogies,Grand Island,NY)の1:1混合物で、37℃、5%CO2下で培養した。SK-OV -3ヒト卵巣腫瘍細胞(p53null)およびDU-145ヒト前立腺腫瘍細胞(p53null)を 、イーグルMEM+10%FCSで、37℃、5%CO2下で培養した。MDA-MB-231ヒト乳腫 瘍細胞(p53mut)を、10%ウシ胎児血清(Hyclone)を有するDMEM(GE3C0)で、 37℃、5%CO2下で培養した。MDA-MB-468ヒト乳腫瘍細胞(p53mut)を、10%FCS を含むL eibovitz's L-15培地(GEBCO)で、37℃、CO2なしで培養した。 MDA-MB-231乳腫瘍細胞は、p53遺伝子のコドン280でArgからLysへの変異を有し 、変異体p53を発現する(Bartek(1990)上述)。DU-145前立腺腫瘍細胞は、異 なる染色体上に2つのp53変異、すなわち、コドン223におけるProからLeuへの変 異およびコドン274におけるValからPheへの変異を有し(Isaacs(1991)Cancer Res.51:4716-4720)、変異体p53を発現する。SK-OV-3卵巣腫瘍細胞は、p53-ヌル である(Yaginuma(1992)Cancer Res.52:4196-4199)。SCC-9細胞は、コドン2 74と285との間に欠失を有し、これがフレームシフト変異を生じる;SCC-9核では 検出可能な免疫反応性p53タンパク質は存在しない(Jung(1992)Cancer Res.5 2:6390-6393;Caamano(1993)Am J.Pathol.142:1131-1139;Min(1994)Eur .J.Cancer 30B.338-345)。SCC-15細胞は、コドン224とコドン225との間に5 塩基対の挿入を有する;それらは、低レベルのp53 mRNAを生じるが、検出可能な p53タンパク質を生じない(Min(1994)上述)。SCC-25細胞は、第17染色体でヘ テロ接合性の欠損(LOH)、および残りの対立遺伝子でコドン209の2塩基対欠失 を有する;SCC-25細胞では検出可能なp53 mRNAは存在せず、核においても免疫反 応性p53タンパク質は観察されない(Caamano(1993)上述)。培養培地中約1.5×1 04細胞(実施例1に記載)を、96ウェルマイクロタイタープレート上の各ウェル に添加し、37℃、5%CO2下で約4時間培養した。 ヒト野生型p53およびE.coliガラクトシダーゼ(β-gal)アデノウイルス(Ad )の構築および増殖は、以前に記載されている(Wills(1994)上述)。感染性 ウイルス粒子の濃度を、ウイルス性ヘキソンタンパク質ポジティブ293細胞の濃 度を48時間感染期間後に測定することにより決定した(Huyghe(1995)上述) 。C.I.U.は、細胞感染単位として定義される。p53発現アデノウイルスを、リン 酸緩衝液(20mM NaH2PO4、pH8.0、130mM NaCl、2mM MgCl2、2%スクロース)中 で投与した。薬物、p53アデノウイルス、または適切なビヒクル/緩衝液を各ウ ェルに添加した。p53 Adを用いるインビトロ研究のために、細胞を1.5×104細胞 /ウェルの密度で96ウェルプレート上にプレートし、37℃、5%CO2下で4時間 培養した。薬物、p53 Ad、または適切なビヒクルを各ウェルに添加し、細胞培養 を一晩続けた。次いで、薬物、p53 Ad、または適切なビヒクルを各ウェルに添加 した。細胞培養をさらに2日間続けた。 次いで、細胞死を、Mosmann(1983)J.Immunol.Meth.,65:55-63により記載 のようなMTTアッセイに従って定量した。簡単に述べると、約25μlの5mg/ml MT T生体染色剤[3-(4,5-ジメチルチアゾル-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウ ムブロミド]を各ウェルに添加し、37℃、5%CO2下で3〜4時間インキュベー トさせた。次いで、100μlの10%SDS界面活性剤を各ウェルに添加し、37℃、5 %CO2下で一晩インキュベートさせた。次いで、各ウェル中のシグナルをMolecul ar devicesマイクロタイタープレートリーダーを用いて定量した。 シスプラチン(結果の要約については表6を参照のこと)、ドキソルビシン( 結果の要約については表7を参照のこと)、5-FU、メトトレキセート、およびエ トポシドを用いる全ての場合において、組み合わせ治療は、いずれかの薬剤単独 よりも腫瘍細胞の殺傷においてより有効であった。メトトレキセートおよびp53 Adの組み合わせを1つの細胞株において試験した。SCC-15細胞を0.7μMメトトレ キセートで、5m.o.i.p53 Adの24時間前に処理したとき、2つの薬物の組み合わ せ抗増殖効果はp53 Ad単独よりもほんの5%高いのみであったが、この差異は統 計学的に有意であった(p≦0.003)。5または10m.o.i.p53 Adの24時間前の2. 6μMエトポシドでのDU-145細胞の前処理は、いずれかの薬物単独よりもより大き な組み合わせ効力を生じた(p≦0.0001)。SCC-15細胞を0.3μMエトポシドで、 5m.o.i.p53 Adの24時間前に処理したとき、2つの薬物の組み合わせ抗増殖効 果はp53 Ad単独よりもほんの5%高いのみであったが、この差異もまた統計学的 に有意であった(p≦0.003)。腫瘍抑制遺伝子治療および抗新生物剤の組み合 わせは、拮抗作用を示さなかった。 第二の実験では、正常細胞(MRC-9細胞)の処理の効力を腫瘍細胞と比較した (図9)。この実験では、増殖を、MTTアッセイよりむしろ3H-チミジン取り込み としてアッセイした。正常細胞(2倍体線維芽細胞MRC-9細胞)は、組み合わせ 処理で、より目立った効果を示さなかった。予期されたように、腫瘍サプレッサ 一単独の効果は、正常細胞では無視できる程度のものであり、そして腫瘍細胞で は非常に有意であった。対照的に、抗癌化学治療剤単独(例えば、シスプラチン 、ドキソルビシン、5-FU、メトトレキセート、およびエトポシド)は、ガン細胞 よ りも正常細胞においてより有効であった(図9を参照のこと)。 ヒト肝臓癌に対するドキソルビシンおよびp53の効果 以下の実施例は、ドキソルビシンと組合せた本発明のp53発現アデノウイルス の、新生物を処置する能力について詳述し、そして併用治療がいずれかの薬剤単 独よりも腫瘍細胞を死滅させることにおいてより効果的であったこと、すなわち 相乗的であったことを詳述する。結果は、本発明のp53発現ベクター(ACN53)と ドキソルビシンとの間の相乗相互作用を実証する。 ドキソルビシン(アドリアマイシン)およびp53(ACN53、ヒト野生型p53トラ ンスジーンを発現する組換えアデノウイルス構築物)を、以下の細胞株に投与し た:変異型p53を有するヒト肝臓癌細胞株HLE(Hsu(1993)Carcinogenesis 14:9 87-992;Farshid(1992)J.Med.Virol.38:235-239;Dor(1975)Gann.66:385-39 2);変異型p53(ibid)を有するヒト肝臓癌細胞株HLF;p53を有さないヒト肝臓 癌細胞株Hep 3B(Hasegawa(1995)In Vitro Cell Dev Biol Anim.31:55-61); 野生型p53を有する肝臓癌Hep G2(ibid);および野生型p53を有するヒト肝臓腺 癌SK-HEP-1(Lee(1995)FEBS Lett.368:348-352)。細胞生存率は、生細胞プロー ブcalcien AM(Molecular Probes)を用いて測定した(例えば、Poole(1993)J .Cell.Sci.106:685-691を参照のこと)。基質であるcalcien AMは細胞エステラ ーゼによって切断され、蛍光産物を生成する。 細胞を96ウェルプレートにプレーティングし(5×103細胞/ウェル)、一晩 の間接着させ、ドキソルビシン処理についての用量応答曲線がACN53の各用量で 作成されるように0日目にACN53の希釈物およびドキソルビシンの希釈物で3連 で処理した。3日目に培地を吸引して、PBS中のcalcien AMを細胞に添加した。 各ウェルの蛍光強度を、蛍光プレートリーダーを用いて決定した。細胞を含まな いウエル由来の蛍光の値を減算し、そしてデータを未処理コントロールウェルと 比較して、生存率(%)(蛍光強度)として表した。ED50値を用いてイソボログ ラムプロットを作成し、ACN53とドキソルビシンとの間の相互作用を評価した。 各細胞株についてのイソボログラム分析は、本発明のp53発現ベクター(ACN53 )とドキソルビシンとの相乗相互作用を示した;この相乗効果は細胞株のp53の 状態に非依存的であった。しかし、ドキソルビシン非存在下におけるACN53につ いてのED50は、野生型p53細胞株においての方がp53改変株においてより高い。 別の類似の実験において、HLE細胞を96ウェルプレートにプレーティングし (5×103細胞/ウェル);一晩の間接着させ;そして、ドキソルビシン処理に ついての用量応答曲線がACN53の各用量で作成されるように、ACN53の希釈物およ びドキソルビシンの希釈物で3連で処理する。3つの群を用いてACN53とドキソ ルビシンとの間の相互作用における投与順序に対する効果を試験した。 最初の処理の後、細胞を3日間インキュベートした。培地を吸引して、PBS中 のcalcien AMを細胞に添加した。各ウエルの蛍光強度を、蛍光プレートリーダー を用いて決定した。細胞を含まないウェル由来の蛍光の値を減算して、そしてデ ータを未処理コントロールウェルと比較して、生存率(%)(蛍光強度)として 表した。ED50の値を用いてイソボログラムプロットを作成し、ACN53とドキソル ビシンとの間の相互作用を評価した。各投与レジメについてのイソボログラム分 析は、類似の相互作用を示し、このことは処理の投与順序に非依存的であるHLE 細胞におけるACN53とドキソルビシンとの間の相乗効果と一致した。 インビボでの化学治療薬を伴うp53 本発明の腫瘍抑制ベクター(A/C/N/53)と組み合わせての、臨床的に関連のあ る抗癌薬物であるシスプラチン、ドキソルビシン、および5-フルオロウラシル( 5-FU)の効果をインビボでさらに調査した。 C.B.17/ICR-scidマウスをTaconic Farm(Germantown、NY)またはCharles Riv er Laboratories(Wilmington、MA)から購入した。胸腺欠損nu/nuマウスをChar les River Laboratoriesから購入した。全てのマウスをVAF-障壁(barrier)施 設において維持し、そして全ての動物の手順をN.I.H.Guide for the Care and U se of Laboratory Animalsに記載の規則に従って行った。各々の日においての異 なる処置群についての腫瘍体積をStatviewllソフトウエア(Abacus Concepts、B erkeley、CA)を用いてスチューデントのT検定によって比較した。腫瘍増殖曲 線を構築して、平均腫瘍体積±s.e.m.を示した。通常1群あたり10匹のマウスが 存在する。SK-OV-3 卵巣腫瘍モデル: 樹立された腹腔内SK-OV-3腫瘍をビヒクル、p53Ad、シスプラチンまたは両方の 薬剤の腹腔内用量で処置した。2週間の期間にわたって、マウスにp53Adを6回 注射した。総ウイルス用量は1.5×109C.I.U.であった(3.1×1010ウイルス粒子 )。 シスプラチン効力:0日目に、雌性scidマウスに5×106SK-OV-3卵巣腫瘍細胞 をI.P.で注射した。6、8、10、13、15、および17日目に、マウスにI.P.で投与 した(p53 Adは17日目のみ)。マウスに総用量0.2mlを投与した(0.1mlシスプラ チンビヒクルまたはシスプラチンおよび0.1ml Ad緩衝液もしくはp53 Ad)。p53 Ad用量は2.5×108C.I.U./マウス/日であった(5.2×109ウイルス粒子)。シスプ ラチン用量は2mg/kg/日であった。20日目に腫瘍を回収して、そして重量を測定 した。 1つの処置群におけるマウスには最初の5回のp53 Ad用量と同時にシスプラチ ンの5回用量を投与した。腹腔内p53 Adのこの用量によって、20日目までにマウ ス腫瘍負荷はほんの17%減少した(p≦0.01)。しかし、シスプラチンと組み合 わせた場合、p53 Adは、シスプラチン単独と比較して腫瘍負荷の38%の減少を起 こした(p≦0.0008)。薬物ビヒクルで、またはp53 Ad単独で処置したマウスは 血性(bloody)腹水症、および横隔膜筋に侵襲性腫瘍塊を有した。これらの症状 はシスプラチン単独で処置したマウス、またはp53 Adとともに、シスプラチンで 処置したマウスには存在しなかった。 シスプラチン/パクリタキセル効力:0日目に、雌性scidマウスに2.5×106SK -OV-3卵巣腫瘍細胞をI.P.で注射した。7、9、11、16、および18日目に、マウ スにI.P.で投与した。マウスに総容量0.3mlを投与した(0.1mlシスプラチンビヒ クルまたはシスプラチンおよび0.1mlパクリタキセルビヒクルまたはパクリタキ セルおよび0.1ml Ad緩衝液またはp53 Ad)。p53 Ad用量は2.5×108C.I.U./マウ ス/日である(5.2×109ウイルス粒子)。シスプラチン用量は0.5mg/kg/日であっ た。パクリタキセル用量は1mg/kg/日であった。30日目に腫瘍を回収して、そし て重量を測定した。1群あたりn=7=10マウス。 この第2の研究において、SK-OV-3卵巣腫瘍を腹腔内用量のビヒクル、p53 Ad 、シスプラチンおよびパクリタキセル、または3つすべての薬物で同時に処置し た。 3つ全ての薬物の組合せは、シスプラチンおよびパクリタキセルの組合せよりも 34%多く腫瘍負荷を減少させた。このことは3つの薬物の組合せの増強された効 力を示す(p≦0.0006)。DU-145 前立腺腫瘍モデル: シスプラチン効力: 腹腔内DU-145腫瘍を、ビヒクル、p53 Ad、シスプラチンまたは両方の薬物で腹 腔内用量で処置した。0日目に、雄性scidマウスに2.5×106DU-145細胞をI.P.で 注射した。7、9、11、14、および16日目に、マウスにI.P.で投与した。マウス に総用量0.2mlを投与した(0.lmlシスプラチンビヒクルまたはシスプラチンおよ び0.1ml Ad緩衝液またはp53 Ad)。p53 Ad用量は8.3×108C.I.U./マウス/日であ った(2.9×1010PN)。シスプラチン用量は1mg/kg/日であった。22日目に腫瘍を 回収して、そして重量を測定した。p53 Adとシスプラチンとの組合せは、いずれ かの薬剤単独の場合と比較して、抗腫瘍効力を非常に増強した(p≦0.0004)。MDA-MB-468 乳腺腫瘍モデル: シスプラチン効力: 樹立したMDA-MB-468腫瘍を、ビヒクル、p53 Ad、シスプラチンまたは両方の薬 物で処置した。0日目の投与開始の11日前に、雌性scidマウスに、乳腺脂肪パッ ド中に1×107のMDA-MB-468細胞を注射した。腹腔内シスプラチン用量は1mg/kg /日であった。0〜4日目に、8.3×108CIU/マウス/日の腫瘍内p53 Ad用量(2.9 ×1010ウイルス粒子)を同時に投与した。シスプラチンと組み合わせた場合、p5 3 Adは効力を増強させた(8〜31日目、p≦0.0004)。 ドキソルビシン効力: 第2の実験において、MDA-MB-468腫瘍をビヒクル、p53 Ad、ドキソルビシンま たは両方の薬物で処置した。0日目の投与の開始の12日前に、雌性ヌードマウス に、1×107のMDA-MB-468細胞を皮下に注射した。0、2、7および9日目の腹 腔内ドキソルビシン用量は、4mg/kg/日であった。0〜4日目、および7〜11日 目の腫瘍内p53 Ad用量は、5×108CIU/マウス/日であった(1.03×1010ウイルス 粒子)。ドキソルビシンと組み合わせて投与した場合、p53 Adはより強い効力 を有した(14〜24日目、p≦0.05)。SCC-15 頭頸部腫瘍モデル: 5-フルオロウラシル効力: 皮下SCC-15腫瘍をビヒクル、p53 Ad、5-フルオロウラシル(5-FU)または両方 の薬物で処置した。0日目の投与開始の7日前に、scidマウスに5×106のSCC-1 5細胞を皮下に注射した。0、7およ14日目に(3週間の間、週1回)I.P.で与 えられた40%ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストラン(Cerestar Inc.、Ham mond、IN)中の、腹腔内5-フルオロウラシル用量は50mg/kg/日であった。0、1 、7、8、14および15日目(3週間の期間にわたって6回腫瘍内注射)のp53 Ad 用量は、2×108CIU/マウス/日であった(4×109ウイルス粒子)。50mg/kgの5- FU用量が投与された。p53 Adおよび5-FUの組合せは、いずれかの薬物を単独で使 用した場合よりも強い抗腫瘍活性を生じた(p≦0.04)。 FPTインヒビターを伴うp53 A/C/N/53と名付けられた腫瘍抑制ベクターと組み合わせたファルネシルタンパ ク質トランスフェラーゼインヒビターの効果は、インビトロにおいて調査された 。以下の実施例は、1996年12月19日に出願された国際出願W097/23478に記載され るように(ここでFPT39は化合物「39.0」と名付けられている。WO97/23478の95 頁を参照のこと)、「FPT39」と名付けたFPTインヒビターと組み合わせた本発明 のp53発現アデノウイルスの新生物を処置する能力、ならびに前立腺腫瘍細胞お よび乳腺腫瘍細胞に対する併用治療に対してはいずれの薬剤単独よりも腫瘍細胞 の殺傷についてより効果的であることについて詳述する。 SK-OV-3卵巣腫瘍に対するrAd5/p53およびFPT39の抗増殖効力方法 :SK-OV-3ヒト卵巣腫瘍細胞(p53null)を、10%ウシ胎仔血清を添加したE agle'sMEM中で1ウェルあたり250細胞の密度で、96ウェルプレートにアリコート した。次いで細胞を37℃および5%CO2で4時間インキュベートした。FPT39また は薬物ビヒクルを各ウェルに添加して、そして細胞培養を3日間の間続けた。3 日後、いくつかのウェル中の非処理細胞を、添加するべきrAd5/p53の量を計算す るために計数した。次いで、rAd5/p53または薬物ビヒクルを各ウェルに添加し、 そして細胞培養をさらに3日間継続した。細胞増殖はMTTアッセイを用いて測定 した。簡単にいうと、25μlの5mg/ml MTT生体染料である[3-(4,5ジメチルチア ゾール-2-イル)-2、5-ジフェニルテトラゾリウムブロマイド]を各ウェルに添加 して、そして3〜4時間の間、37℃および5%CO2でインキュベートさせる。次 いで、100μlの10%SDS界面活性剤を各ウェルに添加し、そして一晩インキュベ ーションを継続した。各ウェルの蛍光を、Molecular Devicesマイクロタイター プレートリーダーを使用してクエンチした。細胞増殖データを、O'Connellおよ びWolfinger(1997)J.Comp.Graph.Stat.6:224-241のThin Plate Spline統計学 的方法論を用いて分析した。結果 :rAd5/p53およびFPT39は、細胞増殖を阻害するさらなる効力を有する。本 実験では、相乗作用(p>0.05)および拮抗作用(p>0.05)のいずれも示され なかった。 DU-145前立腺腫瘍細胞に対するrAd5/p53およびFPT39(FPTインヒビター)の抗 増殖および相乗効力方法 :DU-145ヒト前立腺腫瘍細胞(P53mut)を、FPT39または薬物ビヒクルおよ びrAd5/p53で処理し、そしてその後、SK-OV-3ヒト卵巣腫瘍細胞について上記の ように細胞培養物を分析した。実験は2回繰り返した。結果 :実験1:rAd5/p53およびFPT39は、細胞増殖を阻害するさらなる効力を有 した。本実験では、相乗作用(p>0.05)および拮抗作用(p>0.05)のいずれ も示されなかった。 実験2:rAd5/p53およびFPT39は、相乗効力(p=0.0192)を有した。こ れらの結果はrAd5/p53およびFPT39が相互作用し得、そして前立腺腫瘍細胞増殖 に対して相乗効力を有することを示す。 MDA-MB-231乳腺腫瘍細胞に対するrAd5/p53およびFPT39(FPTインヒビター)の 抗増殖および相乗効力方法 :MDA-MB-231ヒト乳癌細胞(P53mut)を、FPT39または薬物ビヒクルおよびr Ad5/p53で処理し、そしてその後、SK-OV-3ヒト卵巣腫瘍細胞について上記のよう に細胞培養物を分析した。実験は2回繰り返した。結果 :実験1:rAd5/p53およびFPT39は、さらなる効力を有した。本実験では、 相乗作用(p>0.05)のどちらも示されなかった。 実験2:rAd5/p53およびFPT39は、応答表面のほとんどに対してさらな る効力を示した。しかし、相乗作用は70以上のisobole(すなわち、殺傷された 細胞は30%未満、p=0.0001)において顕著であった。これらの結果は、rAd5/p 53およびFPT39が相互作用し得、そしてヒト乳癌細胞増殖に対して相乗効力を有 することを示す。 実施例7 p53を保有するアデノウイルスベクターで処置した 転移性肝癌を有する患者での免疫応答プロフィール 本発明は、新生物の処理における、p53を発現する核酸および他の化学治療剤 のインビボ組合せ投与を提供する。以下の実施例は、本発明のp53発現アデノウ イルスが、ヒト肝癌内で見出される腫瘍殺傷リンパ球のレベルを増加させる能力 について詳述する。 本研究の目的は、p53変異を有する結腸由来の転移性肝癌における腫瘍浸潤リ ンパ球(TIL)の遺伝子型および表現型を特徴づけることであった(TILの議論に ついては、例えば、Wang(1997)Mol.Med.3:716-731;Marrogi(1997)Int.J.Ca ncer 74:492-501を参照のこと)。16患者全ては用量段階的増大様式(109〜1011 粒子)において、野生型p53遺伝子を保有するアデノウイルスベクターを有する 肝動脈疎通(Canalization)を介して、処理した。各患者由来の4つの生体組織 検査全てを、アデノウイルスベクター投与後3〜7日目に得た。免疫組織化学的 分析を、正常肝臓および腫瘍−宿主組織界面部位から得た凍結組織で行った。コ ンピューター補助画像分析を行って以下のモノクローナル抗体に対する免疫反応 性を定量した:CD3、CD4、CD8、CD25、CD28、CD56、HLA-DR、IFN-γ、TNF-αお よびIL-2。TIL(CD3+およびCD4+)集団における増加(7.5×1010粒子で最大を有 する)を観察した。より高用量では、CD3+およびCD4+集団における減少を観察し た。逆の相関関係をCD8+細胞について観察した。より高用量(2.5×1011)では 、CD3+、CD4+およびCD8+集団においての増加を、正常細胞と比較して腫瘍細胞に おいて観察した。これらの結果は、高用量のアデノウイルス粒子の送達が、CD4+ およびCD8+集団からなる増加したTILを生じることを示す。 本明細書中に記載される実施例および実施態様は単に例示の目的のためであっ て、そしてこれらを考慮した種々の修飾または変更が当業者に示唆され、そして 本出願の精神および範囲ならびに添付の請求の範囲の範囲内に含まれることが理 解される。本明細書中に引用された全ての刊行物、特許、および特許出願が、全 ての目的のために本明細書中に参考として援用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 A61P 35/00 A61P 35/00 A61K 37/02 (31)優先権主張番号 08/801,755 (32)優先日 平成9年2月18日(1997.2.18) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 08/801,765 (32)優先日 平成9年2月18日(1997.2.18) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/038,065 (32)優先日 平成9年2月18日(1997.2.18) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/047,834 (32)優先日 平成9年5月28日(1997.5.28) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU,ID ,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V N,YU,ZW (72)発明者 ホロウィッツ,ジョー アン アメリカ合衆国 ニュージャージー 07033―0539,ケニルワース,ギャロッピ ング ヒル ロード 2015,ケイ―15―3 ―3315 (72)発明者 マネバル,ダニエル シー. アメリカ合衆国 カリフォルニア 92130, サン ディエゴ,カバロ ストリート 12578 (72)発明者 デマーズ,ジー.ウィリアム アメリカ合衆国 カリフォルニア 92130, サン ディエゴ,カーメル クリーク ロ ード ナンバー177 12976 (72)発明者 ライバク,メアリー エレン アメリカ合衆国 ニュージャージー 07059,ワレン,チェスターフィールド ドライブ 5 (72)発明者 レズニック,ジーン アメリカ合衆国 ニューヨーク 10583, スカーズデイル,セコー ロード 53

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.哺乳動物の癌または過剰増殖性細胞を処置するための方法であって、該癌細 胞または該過剰増殖性細胞由来の細胞を腫瘍抑制核酸と接触させる工程、および 該細胞を微小管に影響する薬剤またはポリプレニルタンパク質トランスフェラー ゼインヒビターとも接触させる工程、を包含し、 ここで、該腫瘍抑制核酸が、野生型p53タンパク質または網膜芽腫(RB)タンパ ク質を含む腫瘍抑制タンパク質をコードする核酸である、方法。 3.前記ポリプレニルタンパク質トランスフェラーゼインヒビターが、ファルネ シルタンパク質トランスフェラーゼ(FPT)インヒビターまたはゲラニルゲラニル タンパク質トランスフェラーゼインヒビターである、請求項1に記載の方法。 4.前記ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ(FPT)インヒビターが、FPT 39、ファルネシル化ペプチド模倣化合物、縮合環三環系ベンゾシクロヘプタピリ ジン、またはファルネシル誘導体である、請求項1に記載の方法。 5.前記方法が、前記細胞を化学治療剤と接触させる工程をさらに包含する、請 求項1に記載の方法。 6.前記核酸が、裸のDNAプラスミド、リポソーム内のプラスミド、脂質と複合 体化されたプラスミド、ウイルスベクター、AAVベクター、および組換えアデノ ウイルスベクターからなる群より選択されるベクターによって送達される、請求 項1に記載の方法。 7.前記ベクターがA/C/N/53である、請求項6に記載の方法。 8.請求項1に記載の方法であって、 前記腫瘍抑制タンパク質または腫瘍抑制核酸が、約1×109アデノウイルス粒 子から約7.5×1015アデノウイルス粒子までの範囲の総用量で、単回投与で総用 量、5日にわたって分割されかつ日毎投与される総用量、15日にわたって分割 されかつ日毎投与される総用量、および、30日にわたって分割されかつ日毎投 与される総用量からなる群より選択される処置レジメで投与され;そして 前記パクリタキセルまたはパクリタキセル誘導体が、24時間にわたって、約75 mg/m2から約350mg/m2までの範囲の総用量で、単回用量、1日目および2日目に 日毎に投与される用量、1日目、2日目、および3日目に日毎に投与される用量 、15日間の日投薬量、30日間の日投薬量、15日間の日毎の連続注入、30 日間の日毎の連続注入での投与からなる群より選択される処置レジメで投与され る、方法。 9.腫瘍抑制核酸、および微小管に影響する薬剤またはポリプレニルタンパク質 トランスフェラーゼインヒビターを含有する、薬理学的組成物であって、 該腫瘍抑制核酸が、野生型p53タンパク質または網膜芽腫(RB)タンパク質を含 む腫瘍抑制タンパク質をコードする核酸である、薬理学的組成物。 前記ポリプレニルタンパク質トランスフェラーゼインヒビターが、ファルネシ ルタンパク質トランスフェラーゼ(FPT)インヒビターまたはゲラニルゲラニルタ ンパク質トランスフェラーゼインヒビターである、請求項9に記載の薬理学的組 成物。
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