JP2001506631A - 前駆細胞を保存するための組成物及び方法 - Google Patents

前駆細胞を保存するための組成物及び方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、造血前駆細胞等の前駆細胞を効果的に保存するタンパク質材料に関する。本発明タンパク質は、AQSLSFSFTKFD(配列番号1)を含むアミノ酸配列を有する分子量約12−20kDのタンパク質であるか又はVVAVEFD(配列番号3)を含むアミノ酸配列を有する分子量約15−20kDのタンパク質である。当該タンパク質の異種二量体および多量体も開示される。インビトロ、エクスビボ、及びインビボで前駆細胞を保存するために本発明のタンパク質を用いる方法も開示される。よって本発明は、ガン治療のための骨髄切除療法等を含むが、これは特定のタンパク質によってミエロイドの再構築を容易にするものである。本発明は他の治療用途にも用いることができ、例えば前駆細胞をエクスビボで増殖させて移植における変化を増大させたり、前駆細胞の輸送及び貯蔵条件を改善したり、生命を脅かす各種血液疾患の治療及び治癒に向けた遺伝子治療を容易ならしめることができる。

Description

【発明の詳細な説明】 前駆細胞を保存するための組成物及び方法 発明の背景 本発明は前駆細胞に関連して用いる薬剤及び方法に関する。より詳細には、前 駆細胞を維持し得るタンパク質及び前駆細胞を維持(malntaining) 及び保存(preserving)するための該タンパク質の使用方法に関する 。 骨髄は毎日数十億個の完全に分化した機能性血液細胞を産生し、血流中に放出 している。これらの細胞は少数の蓄えられた静止前駆細胞(最も原始的な幹細胞 とその他のより分化しているが未成熟な前駆細胞とを含む)の造血と呼ばれるプ ロセスによって産生される(Zipori 1992)。最も原始的な幹細胞は すべての血液系統の細胞を含む1013個以上の細胞を産生する能力を有する(T urhanら 1989)。このような多数の細胞の産生は成熟細胞をバランス 良く産生するに至る逐次分化段階と広汎な増殖の結果である。前駆細胞は次第に 多数の細胞系統を産生する能力を失い、やがて一又は二系統の細胞系統を作るよ うになる。 液性調節因子と細胞間相互作用は、厳密に制御されたプロセスと相まって未成 熟な前駆細胞の分化方向を規定しているが、このプロセスは十分に解明されてい ない。いくつかの体内の液性因子が培養系及び動物実験系において単離され、そ の特徴が明らかにされている(Ogawa(1993)及び該文献中の引用文献 等を参照)。コロニー刺激因子等の調節因子(IL3、GM−CSF、G−CS F、M−CSF等)は複数細胞系統(IL3及びGM−CSF)又は単一細胞系 統(G−CSF及びM−CSF)のいずれかの細胞を産生する能力を有する前駆 細胞の増殖及び分化を誘起するのみでなく、それら各々の前駆細胞の生存能力を 保持する。インターロイキン−1(IL1)、kit ligand(KL)及 びトロンボポエチン(Borgeら 1996)は、多能性前駆細胞の生存能力 を増加させ、それに加えて他の機能も有する。既知のサイトカインは単独でも複 数種の組み合わせでも、ストローマ細胞の支持なしには数日間を超え て液体培養中の原始前駆細胞の生存能力を維持できない。 原始幹細胞の調節機構は、未成熟で複数系統に分化する前駆細胞の調節機構と は異なると見られる。幹細胞は大部分が静止期にあり、増殖や分化を誘起する調 節因子に即座には反応を示さない。これらの細胞の体内での維持は細胞間相互作 用と液性調節因子によって仲介されている。インビトロにおける静止幹細胞の維 持は、接着支持細胞層上においてIL3、IL6、KL及びLIF等の液性調節 因子を併用した細胞培養によって達成されてきた(Youngら 1996)。 近年、この複合培養系にFLを加えると静止幹細胞の維持期間が数週間から三ヶ 月に延長されることが発見された(Shahら 1996)。ストローマ細胞培 養の樹立を臨床に応用することは容易ではない。 レクチン類は抗体又は酵素以外の炭水化物結合タンパク質と定義でき(Bar onedes 1988)、植物、原核生物及び真核生物中に広く存在している 。各々のレクチンは特定の炭水化物部分を認識し、相補的分子の立体化学的適合 性に基づいてその炭水化物と非共有結合を形成する(疎水ポケット等)。炭水化 物は細胞表面に広く存在しており(糖タンパク類、糖脂質類及び多糖類の形をと る)、細胞認識を含む細胞間連絡を提供していると考えられる。異常なグリコシ ル化パターンは、タンパク質のコンホメーション、安定性又はプロテアーゼ抵抗 性の変化を引き起こすことにより病気と関係している(Dwek 1995)。 Gowdaら(1994)は、フジマメ(Dolichos lab lab )からのマンノース−グルコース特異的レクチンの単離について記述している。 このレクチンの精製及び配列決定から、このタンパク質が二つの異なったサブユ ニットを含むことが示唆されるといわれる。Gowdaらの文献は、このレクチ ンと他のレクチン類との進化論的な関係について述べているが、当該植物源にお ける糖結合以外の機能についてはレクチンによるものとはしていない。 ある種の植物レクチン類が持つ細胞凝集特性については、100年以上前から 知られている。Tリンパ球(フィトヘマグルチニン(PHA)及びコンカナバリ ンA(ConA))及びBリンパ球(アメリカヤマゴボウ マイトジェン(PW M))の強力な特異的な活性化物質として、ある種のレクチンは免疫学実 験において重要なツールとして30年以上用いられてきた(Sharonら19 89)。いくつかのレクチンは15年以上前から造血前駆細胞の単離に用いられ ている(Gabius 1994a)。ヨーロッパでは多くのガン患者に対し、 ガン治療の一候補療法としてヤドリギレクチン(Viscum album)の 静脈投与が行われてきたが、大きな合併症はなかった(Gablus 1994 b)。これら植物レクチンが哺乳動物細胞に新しい手段によって作用するのか、 単に哺乳動物の機能上のホモローグを真似ているのみであるかはいまだに分かっ ていない。いずれのレクチンもまだヒト用治療剤としては開発が成功していない 。 以上のような考察から、造血プロセスの調節機構は完全に理解されていないこ とは明らかである。コロニー刺激因子やインターロイキン等の同定された液性調 節因子のほとんどは、培養された前駆細胞の増殖及び分化を誘起し、また血流中 におけるそれらの濃度は造血ストレス時(出血、感染等)に増加する。例えば、 米国特許第4,808,611号は造血幹細胞の増殖及び分化を誘起するIL1 及びコロニー刺激因子の利用方法について記述している。IL1、IL6、KL 、FL及びTpo等いくつかの液性調節因子は増殖及び分化に直接影響を及ぼさ ず幹細胞の生存能力を高めると見られる。しかし、いずれの既知の液性調節因子 も、単独であれ複数種の組み合わせであれ、インビトロにおいてストローマ細胞 なしに幹細胞数を維持又は増加させると報告されていない。その結果、ガンや遺 伝的血液病に対する多くの潜在的な治療方法はいまだに実現していない。 したがって、本発明の一目的は造血前駆細胞の数を保護、維持及び増加する因 子並びに方法を提供し、造血プロセスを調節する方法における前述の制約を克服 することである。本発明の別の目的はガン及び放置すると造血システムに害を及 ぼすことがあるその他の病気の治療を補助するものとして、生体内の造血プロセ スの完全性を保護する手段を提供することである。 発明の概要 本発明によってこれらの目的及びその他の目的が達成され得ることが明らかと なったが、本発明は前駆細胞を保存するタンパク質及び該タンパク質を用い る方法を提供するものである。該タンパク質はAQSLSFSFTKFD(配列 番号1)を含むアミノ酸配列及び約12−20kDの分子量を有するか、又はV VAVEFD(配列番号3)を含むアミノ酸配列及び約15−20kDの分子量 を有する。前駆細胞を保存する方法は、前駆細胞を前駆細胞の保存に十分な量の タンパク質と接触させることを含むが、該タンパク質はAQSLSFSFTKF D(配列番号1)を含むアミノ酸配列を有する分子量約12−20kDのタンパ ク質又はVVAVEFD(配列番号3)を含むアミノ酸配列を有する分子量約1 5−20kDのタンパク質である。 一態様において本発明は造血治療を必要とする哺乳動物への処置方法を包含す る。この方法は、 a)造血前駆細胞を含む組織サンプルを該哺乳動物から摘出し、 b)該前駆細胞を、該前駆細胞を保存し培養細胞を前駆細胞に富ませるためのタ ンパク質の存在下で培養し、ここで該タンパク質はAQSLSFSFTKFD( 配列番号1)を含むアミノ酸配列を有する分子量約12−20kDのタンパク質 又はVVAVEFD(配列番号3)を含むアミノ酸配列を有する分子量約15− 20kDのタンパク質であって、 c)該哺乳動物を骨髄切除(myeloablation)に十分効果的な条件 下に置き、そして d)骨髄切除に続いて培養細胞を該哺乳動物に投与し、該哺乳動物の造血システ ムを再構築する、ことを特徴とする。 別の態様においては、本発明は前駆細胞を富化する方法を包含する。該方法は 前駆細胞を保持する量のタンパク質中における前駆細胞の培養を含み、ここにお いて該タンパク質は該前駆細胞を特異的に保存し、また培養は前駆細胞を保存し つつ分化細胞の数を減らす条件下で行われるが、ここで当該タンパク質はAQS LSFSFTKFD(配列番号1)を含むアミノ酸配列を有する分子量約12− 20kDのタンパク質又はVVAVEFD(配列番号3)を含むアミノ酸配列を 有する分子量約15−20kDのタンパク質である。 別の態様においては、本発明は哺乳動物において造血能力を高める方法を包含 する。この場合、該方法は、 a)造血前駆細胞を含む組織サンプルを、前駆細胞を保存しかつ培養細胞を前駆 細胞で富ませるのに十分な量のタンパク質を含んだ成長培地中で培養し、ここで 当該タンパク質はAQSLSFSFTKFD(配列番号1)を含むアミノ酸配列 を有する分子量約12−20kDのタンパク質、又はVVAVEFD(配列番号 3)を含むアミノ酸配列を有する分子量約15−20kDのタンパク質であり、 そして b)血液細胞成分を産生するための前駆細胞を与えるために前駆細胞に富んだ培 養細胞を該哺乳動物に注入する、ことを特徴とする。 別の態様においては、本発明は体細胞に外来DNA配列をトランスフェクトす る方法をさらに包含するが、この方法はAQSLSFSFTKFD(配列番号1 )を含むアミノ酸配列を有する分子量約12−20kDのタンパク質又はVVA VEFD(配列番号3)を含むアミノ酸配列を有する分子量約15−20kDの タンパク質により選択的に保存された前駆細胞へのトランスフェクションを含む 改良を特徴とする。 別の態様においては、本発明は細胞成長培地及び前駆細胞を保存するタンパク 質を含む、生体外で前駆細胞の生存能力を維持するための組成物を包含するが、 ここにおいて該タンパク質はAQSLSFSFTKFD(配列番号1)を含むア ミノ酸配列を有する分子量約12−20kDのタンパク質又はVVAVEFD( 配列番号3)を含むアミノ酸配列を有する分子量約15−20kDのタンパク質 である。 更に別の態様においては、本発明は哺乳動物中において前駆細胞を保存する方 法を包含する。該方法は、 a)該哺乳動物に前駆細胞を特異的に保存するタンパク質を、該哺乳動物の前駆 細胞が実質的に未増殖の状態で保存されるのに十分な量投与し、ここで当該タン パク質はAQSLSFSFTKFD(配列番号1)を含むアミノ酸配列を有する 分子量約12−20kDのタンパク質又はVVAVEFD(配列番号3)を含む アミノ酸配列を有する分子量約15−20kDのタンパク質であって、 b)哺乳動物を、増殖骨髄細胞が除去され非増殖前駆細胞が残存するのに十分効 果的な程度に骨髄切除状態に曝露し、そして c)曝露に続き保存された前駆細胞の増殖又は分化を再樹立すること、特徴とす る。 本発明のこれらの利点及びその他の利点の理解を助けるため、ここに詳細な説 明及び実施例を記述する。詳細な説明及び実施例は本発明をよりよく理解するた めのもので、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。 図面の簡単な説明 本発明の好ましい各種態様を例示及び解説のため選択して記述するが、これは 本発明の範囲をいかなる点でも制限することを意図するものではない。本発明の いくつかの側面の好ましい態様は添付した図面によって示される。ここにおいて 、 図1はフジマメから得られたピラーチンタンパク質のアルファ及びベータサブ ユニットの構造を示すタンパク質の電気泳動分離を示す。 図2AはIL1存在下でのFLK2−トランスフェクト3T3細胞における本 発明のタンパク質の効果を示すグラフであり、図2BはIL1非存在下でのFL K2−導入3T3細胞における本発明のタンパク質の効果を示すグラフであり、 図2CはIL1存在下での非導入3T3細胞における本発明のタンパク質の効果 を示すグラフであり、図2DはIL1非存在下での非導入3T3細胞における本 発明のタンパク質の効果を示すグラフである。 図3は赤インゲンマメ及びフジマメから得られた本発明のタンパク質を対照培 地と比較した一連のヒストグラムであり、本発明のタンパク質はmIL1、mI L3、及びmKLを含むサイトカイン混合物の有無に係わらず、液体培養におい てマウスCD34+細胞を特異的に保存することを示す。 図4は赤インゲンマメ及びフジマメから得られた本発明のタンパク質を対照培 地と比較した一連のヒストグラムであり、本発明のタンパク質はmIL1、mI L3、及びmKLを含むサイトカイン混合物の有無に係わらず、メチルセルロー スコロニーにおいてマウス前駆細胞を特異的に保存することを示す。 図5は6つの異なる細胞表面マーカーのフローサイトメトリー試験の結果を示 す一連のヒストグラムであり、本発明のタンパク質が特異的にマウス原始前駆細 胞を保存することを示す。 図6Aは本発明のタンパク質を対照培地と比較した一組のヒストグラムであり 、本発明のタンパク質がCD34+ヒト臍帯血細胞を液体培養において6日間特 異的に維持することを示し、図6Bは補足的な一組のヒストグラムであり、本発 明のタンパク質がCD34+ヒト臍帯血細胞を液体培養において17日間特異的 に保存することを示す。 図7は本発明のタンパク質を対照と比較した2つのヒストグラムの組であり、 ピラーチンタンパク質が単体でもIL1−a又はFLと組み合わされた場合でも 、メチルセルロースコロニーアッセイにおいてヒト前駆細胞の数を保存又は増加 させることを示す。 図8A〜8Cは一組のヒストグラムであり、FLではなく、本発明のタンパク 質が液体培養中の原始造血前駆細胞を15及び21日後において保存しているこ とを示す。 図9A及び9Bは一組のヒストグラムであり、本発明のタンパク質が用量反応 的に造血前駆細胞を維持することを示す。 図10は本発明のタンパク質を対照培地と比較した一対のヒストグラムであり 、ピラーチンタンパク質がIL−3によって誘起される分化を妨げることにより 前駆細胞を維持することを示す。 好ましい態様の詳細な説明 本発明は前駆細胞を維持するタンパク質、並びに前駆細胞の維持及び保持する ための該タンパク質の使用方法に関するものである。「タンパク質」とは、ペプ チド結合で連結したアミノ酸残基の配列を含む単離されたあらゆる天然又は合成 のオリゴ又はポリペプチドを意味する。 ここにおいて「前駆細胞」とは、分化及び増殖によって、完全に分化し機能を 有した子孫を産生する能力を有するあらゆる体細胞を示す。前駆細胞はあらゆる 組織又は器官系から得た前駆細胞を包含し、該器官系は血液、神経、筋肉、皮膚 、消化管、骨、腎臓、肝臓、膵臓、胸腺等を含むがこれらに限定されるものでは ない。前駆細胞は「分化した細胞」とは区別されるが、「分化した細胞」とは増 殖すなわち自己複製の能力を持つことも持たないこともあるが、通常の生理条件 下 ではそれ以上異なる細胞種へと分化することはできない細胞と定義される。加え て、前駆細胞はさらにガン細胞、特に白血病細胞のような異常細胞とも区別され るが、ガン細胞は増殖(自己複製)はするが、未熟で未分化に見えるものの通常 それ以上分化しない。 前駆細胞は最も分化が進み完全に成熟した細胞に先立つ分化及び増殖の系統の すべての細胞を包含する。したがって、例えば前駆細胞は一種類の細胞にしか分 化できずそれ自身は完全に成熟しておらずまた完全に分化していない成熟個体の 皮膚前駆細胞を含む。成熟し機能を有する血液細胞の製造は、「単能性前駆細胞 」、すなわち一種類の血液細胞しか産生できない前駆細胞の増殖及び分化による 。赤血球の製造においては、「CFU−E」(赤芽球コロニー形成細胞)と呼ば れる前駆細胞が2〜32個の子孫細胞を産生し得る。 他の様々な造血前駆細胞も明らかにされてきた。例えば、造血前駆細胞は8つ までの異なる造血細胞細胞系統を産生する分化及び増殖の連続するサイクルが可 能な細胞を包含している。造血領域の最も原始的又は未分化な段階では、造血前 駆細胞は造血「幹細胞」を包含する。これらのまれな細胞は、骨髄中の細胞10 ,000〜100,000個当たり1個であり、各々1013を超えるあらゆる系 統の成熟血液細胞を産生する能力を有し、動物の生涯に渡って血液細胞を製造し 続ける役割を果たす。幹細胞は骨髄中に存在しほとんどが静止状態にあり、自己 再生と呼ばれるプロセスにより相同な娘細胞を形成することができる。したがっ て、このような非活動的な前駆細胞は「分化全能性」がある、すなわちすべての 種類の成熟血液細胞の産生に必要かつ十分であると表現できる。すべての血液細 胞系統を産生する能力は保持するが自己再生できない前駆細胞は、「多能性(p luripotent)」があると表現される。いくつかの血液系統を製造でき るがすべての血液系統を製造できない細胞であると共に自己再生できない前駆細 胞は、「多能性(multipotent)」と表現される。 本発明のタンパク質は、単能性分化細胞、多能性(pluripotent) 分化細胞及び/又は分化全能性(totipotent)細胞を含むこれらのい ずれの前駆細胞を保存する上でも有用である。該タンパク質は造血前駆細胞の保 存において特に効果があることが示されたが、しかしながら、該タンパク質は前 述した他の組織細胞の前駆細胞の保存に用いることもできる。造血プロセスの制 御における特性から、本明細書では該タンパク質を「ピラーチン」又は「ピラー チンタンパク質」とも称する。しかしながら、該タンパク質は非造血組織中の前 駆細胞の保存及び維持にも有効であると認識されるべきである。 ピラーチンタンパク質はヒト、マウス、ラット等哺乳類の造血前駆細胞の保存 に特に有効である。ヒトにおいては、原始的な成熟造血前駆細胞はCD34で示 される細胞表面抗原の発現により細胞のあるクラスに属することが同定される。 これらの細胞はCD34+細胞とも呼ばれる。マウスにおいては、細胞表面抗原 の発現を反映して、造血前駆細胞はSca+Lin-細胞とも呼ばれる。他の哺乳 類の種も、造血前駆細胞の同定において同様の発現特性を示す。造血前駆細胞は またFLK2/FLT3レセプターの発現によっても同定される。 CD34抗原及び/又はFLK2レセプターを発現するヒト造血前駆細胞は本 明細書では「原始前駆細胞」と称する。これに対し、CD34抗原又はFLK2 レセプターのどちらかを発現しない造血細胞を「成熟前駆細胞」と称する。 通常、ピラーチンタンパク質は、CD34抗原又はFLK2レセプターを発現 する前駆細胞を保存するのに効果的である。前駆細胞は、細胞表面にCD34抗 原又はFLK2レセプターを発現する細胞を含むことができる。好ましい場合に おいては、このタンパク質は、前駆細胞上のFLK2レセプターに対して著しい 結合親和性を有し、このタンパク質のFLK2レセプターとの結合は、前駆細胞 の分化の阻止を仲介する。 ピラーチンタンパク質は、「前駆細胞」の保存を仲介する。これは、ペプチド が前駆細胞の分化を阻止するか、あるいは、これらを分化させることなく増殖を 誘起することを意味する。特に、分化のプロセスを阻止することにより、ペプチ ドは細胞の分化速度を著しく低下させ、また前駆細胞を細胞サイクルの静止状態 又はG0状態に維持することにより、実際にこれらのプロセスを完全に停止させ る場合もあることが理解される。しかし、このタンパク質は、細胞を大量に殺す ことなくこれを行う。この意味では、ピラーチンは、細胞のプロセス(例えば、 DNA複製、タンパク質合成)を阻止又はこれに干渉するものであり、そのため 著しい細胞死亡率を誘起する因子からは明確に区別される。 本発明のピラーチンタンパク質は、自然資源から得られる。即ちマメに由来す る。マメは、マメ科植物の実又は種(例えば、エンドウ豆又はインゲン豆)であ る。マメ科植物は、双子葉類の草本、低木、及び根に(窒素固定細菌の)節を実 らせる木が属する科(マメ科(Leguminosae))の植物である。より 具体的には、ピラーチンタンパク質は、インゲンマメ(Phaseoleae) 属に属するマメから得られる。特に、このタンパク質は、フジマメ(Dolic hos lab lab)、赤インゲンマメ(Phaseolus vulga ris)等のインゲンマメ、又はササゲマメ(Vigna senensis) から得られる。こうした自然資源から得られる自然な形態においては、このタン パク質はマンノース/グルコース特異的マメレクチンであるように見える。 一実施態様においては、ピラーチンタンパク質は、β(ベータ)鎖と称される ペプチド鎖を含む。このペプチド鎖は、配列AQSLSFSFTKFD(配列番 号:1)を含む。好ましくは、このβペプチドは、配列AQSLSFSFTKF DLD(配列番号:2)を含む。このβペプチドは、12〜20kDの範囲内の 分子量、通常は13kDの分子量を有する。 別の実施態様においては、ピラーチンタンパク質は、α(アルファ)鎖と称さ れるペプチド鎖を含む。このペプチド鎖は、配列VVAVEFD(配列番号:3 )を含む。好ましくは、このαペプチドは配列TDSYVVAVEFD(配列番 号:4)を含む。このαペプチドは、15〜20kDの範囲内の分子量、通常は 16kDの分子量を有する。 更に別の実施態様においては、このタンパク質は、配列VVAVEDFD(配 列番号:5)又はTDSYVVAVEDFD(配列番号:6)を有するペプチド 鎖を含む。この態様のペプチド鎖は、本明細書の別の部分で説明するものに匹敵 する性質及び機能を有する。 別の実施態様においては、このタンパク質は、単量体、2量体、及び多量体の タンパク質を含むことができる。これらのタンパク質においては、それぞれ1本 、2本、又は2本を越えるペプチド鎖が、天然物として又は合成によって、単一 のタンパク性物質のサブユニットとして同時に出現する。こうした2量体及び多 量 体のサブユニットは同一でもよいし、また異なってもよい。本発明による非常に 好ましい2量体は、1つのアルファペプチド及び1つのベータペプチドを含むヘ テロダイマー(αβ)である。 ピラーチンヘテロダイマー(αβ)は、好ましくは非共有結合の相互作用によ り凝集して、約60kDの質量を有する4量体(αβ)2を形成する。この4量 体は、このタンパク質の最も共通な自然発生的形態に見えるが、ヘテロダイマー のコンカテマー、即ち(αβ)n(nは2を越える正の整数)等の他の多量体が、 質量が約25〜30kD増えて、SDS−PAGE分析により観察される場合が ある。従って、本発明はこれら全ての形状を包含する。α2β2として成熟した形 態においては、ピラーチンタンパク質は以下の条件で生物活性を回復する:pH 2〜10;複数の冷凍−解凍サイクル;60℃で10分間;その後4℃で数ヶ月 間。 ピラーチンタンパク質の分子的特徴から、このタンパク質が、既知の植物レク チン、特にマメ類に由来するレクチンに関係することが示唆されている。例えば 、αペプチドのN−末端部位は、植物レクチンのコンセンサス配列、即ち、配列 番号3の残基5〜12を含む。また、ピラーチンタンパク質は、多くのレクチン に共通する構造である4量体として発生することもある。 ピラーチンタンパク質の他の特性は、注目すべきものであり、かつ予期し得な いものである。例えば、本発明のタンパク質は、赤インゲンマメから以下に述ベ るようにして得られた。赤インゲンマメは、もう1つのレクチン(即ち、植物凝 集素)を非常に多く生成することで知られている。ある植物がこうした2つの明 らかに異なるレクチンを発現することは、予期し得ないことである。上記の植物 凝集素等の一定の植物タンパク質が、生理学的な効果を哺乳動物にもたらすこと は知られている。それにも拘らず、1つの分類学的領域から得られた不確定な機 能を有するンパク質が、他の分類学的領域における前駆細胞の特異的調節因子と しても作用することは予期し得ない。このような現象は全く予期し得ないばかり か説明不可能でもある。加えて、一定の真核タンパク質が発達の制御(例えば、 造血系統のためのTan−1)においてある役割を果たすことが確認されている 一方、植物レクチンについてはこれに相当する役割が未だに明確にされていない 。 本発明による結果として、多数の効用が技術的に実現可能となる。本発明の方 法は、前駆細胞を、インビトロ、エクスビボ、又はインビボにおいて、ピラーチ ンタンパク質と接触させることを含んでもよい。例えば、ピラーチンタンパク質 は、とりわけ、正常な又は悪性(例えば、白血病)の骨髄から単離された造血前 駆細胞の維持を可能にするという効用がある。従って、このタンパク質は、例え ば、骨髄、臍帯血、胎盤血、又は末梢血から得られる細胞源に由来する単核細胞 の培養において使用される。あるいは、ピラーチンタンパク質は、コロニー刺激 因子(CSFs)(例えば、IL3、GM−CSF、G−CSF、M−CSF) 、インターロイキン(例えば、IL1〜IL15)、及びKL等の成長因子と関 連して、インビトロで使用される。これにより、原始的な高度に富化された前駆 細胞を残しながら、成熟した前駆細胞の増殖及び末端分化が選択的に誘起される 。米国特許第5472867号及び同第5186931号には、前駆細胞数を拡 大するため、癌化学療法及び骨髄移植の観点から、それぞれ各種CSF及びイン ターロイキン(IL)を用いる方法が記載されている。本発明の好ましい場合に おいては、その方法が、前駆細胞の分化を誘起することなくその数を選択的に増 大させるのに十分な量のFLK2リガンドに、前駆細胞を接触させることを更に 含む。 また、ピラーチンタンパク質は、インビトロ培養において前駆細胞の生存率を 高める。例えば、細胞の増殖に対し選択的に毒性を示す細胞毒性製剤、例えば細 胞サイクルを経る細胞(「サイクル細胞」)を殺すような細胞毒性製剤を使用し ながら、培養において前駆細胞を実質的な静止状態に維持するためのタンパク質 を使用することを含むインビトロ選択のプロセスを使用できる。適切な細胞毒性 製剤の例としては、アドリアマイシン、シクロホスファミド、タキソール又はそ の他のタキサン、シスプラチン、又は5−フルオロウラシル等が挙げられる。こ の方法は、静止状態の前駆細胞を保存するのに有用である。この方法は、前駆細 胞の維持及び適切な造血再構築のために通常必要と考えられる細胞であるストロ ーマ細胞が、実質的に前駆細胞にない場合であっても有効である。ピラーチンは 、幹細胞を単独に又は他の因子と共に機能的に選択する能力を向上させる。この ような機能選択方法としては、KL及びIL3を5−FUと組み合わせて使用し て 選択を行うベラルディ(Berardi)らが報告した方法(1995年)が挙 げられる。 エクスビボ・パージ(purge)・プロトコルは、活発なサイクル細胞の除 去を目標にして、新生細胞を選択的に除去するために用いることができる。サイ クル細胞が殺される一方で、本発明のタンパク質は、前駆細胞を静止状態に保つ ことにより、正常な前駆細胞を保存する。前駆細胞から悪性のサイクル細胞が排 除(purge)されてしまえば前駆細胞を患者にもどすことができ、正常な増 殖及び分化を回復することが可能となる。特に有用なシナリオの1つにおいては 、前駆細胞が、白血病の骨髄から正常な前駆細胞を機能的に選択できるようにな る。こうした機能的選択及び原始幹細胞の精製もまた、同種異系の移植操作を可 能にするために使用できる。 また、ピラーチンタンパク質は、液体培養において細胞を維持することによる 遺伝子治療にて使用される造血前駆細胞のインビトロ操作をも可能にする。例え ば、培養において造血前駆細胞を2週間を越えて保存すると、このタンパク質は 、未複製細胞に侵入するウイルス性ベクター(例えばアデノ関連ウイルスのよう なベクター)による標的侵入効率を向上させることを可能とし、トランスフェク ションの効率を決定するために得られた細胞数の評価のための期間を延長する。 従って、他の態様において、この方法は、外因性のDNA配列を体細胞にトラン スフェクトする方法と関連させて使用できる。つまり、この方法は、ピラーチン タンパク質により選択的に保存される前駆細胞をトランスフェクトすることを含 むことができる。 また、本発明は、癌治療等の照射を利用した治療に関連する効用をも有する。 具体的には、ピラーチンタンパク質は前駆細胞を静止状態に保つので、ピラーチ ンタンパク質を哺乳類の対象物にインビトロで投与することにより、静止状態の 細胞に相対的に影響を与えないようにしながら、新生細胞を除去するために高め られたレベルで全身照射を行うことが可能となる。このタンパク質は、より大き な又は補助的な効果を得るために、IL−1等の他の細胞保護物質と関連させて 使用できる。 従って、この方法は、造血治療が必要な哺乳類の対象物を治療することを含む 。 例えば、造血前駆細胞を含む組織サンプルを、その対象物から得ることができる 。この組織サンプルは、サイクル細胞が増殖、分化、及び死滅することが許容さ れる一方で、前駆細胞を保存するためピラーチンタンパク質の存在下で、エクス ビボにて培養できる。培養された細胞は、原始前駆細胞が高度に富化される。そ の間、哺乳動物を、例えば骨髄照射、全身照射、又は化学的誘起による骨髄切除 等の骨髄切除(myeloablation)を実行するのに十分な状態に置く ことができる。最後に、前駆細胞が富化された培養細胞は、哺乳動物の造血系を 再構築するために、骨髄切除(myeloblation)に続き哺乳動物に投 与することができる。本明細書では自家操作(autologous proc edure)として説明してはいるが、当業者であれば、ある個体から他の個体 への前駆細胞富化培養細胞の移植に、この方法を容易に適用できることを認識す るであろう。 また、ピラーチンタンパク質は、哺乳動物における造血能力、即ち、哺乳動物 の機能的な成熟した血液成分を生成する能力を向上させる。例えば、造血前駆細 胞を含む組織サンプルは、その前駆細胞を保存し、かつ前駆細胞において富化さ れた培養細胞を得るのに十分な量のピラーチンタンパク質を含む成長培地にて培 養できる。そして、富化された培養細胞は、哺乳動物の血液細胞構成成分を生成 するための前駆細胞を提供するために、哺乳動物に輸血される。この方法は更に 、輸血に先だって哺乳動物の造血組織を切除することをも含む。加えて、この方 法では、末梢血、臍帯血、胎盤血、又は骨髄を含む組織サンプルも使用できる。 この組織サンプルは、その哺乳動物に対し自己由来であることが好ましい。この 組織サンプルは、少なくとも実質的にストローマ細胞がないものとすることがで きる。 本発明は更に、エクスビボ又はインビトロでの前駆細胞の生存能力を維持する ための組成を含む。この組成は、本明細書において説明される前駆細胞を保存す るのに十分な量のピラーチンタンパク質を有する、培養における哺乳動物の細胞 を成長させ且つ維持するのに適した培地を含む。この方法で前駆細胞を保存する ためには、実際にはあらゆる細胞又は組織の培地を改変して使用できる。また、 前駆細胞の培養を促進するため、血液バッグ、マイクロタイタープレート、組織 培養フラスコ等の容易に使用できるレセプタクル(培地その他の活性成分の有無 に拘らず)をピラーチンタンパク質と共に提供することもできる。 また、本発明は、哺乳動物において前駆細胞をインビボで保存するための方法 をも含む。このアプローチにおいて、この方法は、実質的に非増殖状態にある哺 乳動物の前駆細胞を保存するのに十分な量のピラーチンタンパク質を、哺乳動物 に投与することを含む。そして、哺乳動物は、非増殖状態の前駆細胞を温存する が骨髄細胞を増殖させる切除を実行するのに十分な骨髄切除条件(myeloa blasive conditions)に晒される。切除処置に続き、保存さ れた前駆細胞の増殖又は分化が、通常は、前駆細胞の生存能力を向上させるのに 十分な量のサイトカインを哺乳動物に投与することにより再開される。生存能力 向上のための好ましいサイトカインの例としては、IL1、IL3、IL6、I L11、KL、又はこれらを組み合わせたものが挙げられる。より好ましくは、 この再開操作は、増殖刺激可能量のFLK2リガンドを哺乳動物に投与すること を含む。この方法によれば、ピラーチンタンパク質は、照射及び/又は化学療法 の致死量適用の後に貯蔵しておいた骨髄の再注入が行われる、自家骨髄移植法を 強化するために用いることができる。 ピラーチンタンパク質の有効量は、静脈注射等の非経口的経路などによる簡易 なアプローチにより、好ましくは、経腸的経路により、哺乳動物に投与できる。 経口投与の経路が有用であることが予想される。なぜなら、レクチンは通常、口 腔内/腸内における分解に対し抵抗力があり、このアプローチにより有効なバイ オアベイラビリティを示すからである。当業者であれば、様々な投与方法の効用 及び限界を認識し、これに従って投与量(薬量学)を調整できる。 また、他の治療的有用性も、本発明によって可能になるものとして、当業者に 提示される。このような他の治療的有用性は、移植(engraftation )の可能性を高めるためにエクスビボで前駆細胞数を増大させること、前駆細胞 の移送及び貯蔵の条件を改善すること、及び鎌状赤血球貧血症やサラセミア等の 生命を脅かす血液病学的疾患を広い範囲にわたって処置及び治療する遺伝子療法 を可能にするため根本的な障壁を除去することを含む。 本発明のタンパク質は、前駆細胞の同定又は局所化のための具体的なプローブ として使用することもできる。このタンパク質は原始的な前駆細胞と特異的に結 合するので、蛍光マーカー等の検知可能な部分(moiety)に結合するタン パク質を含む組成を使用して、前駆細胞を明確に標識化し且つ同定することがで きる。従って、前駆細胞を組織内で組織学的局所化することができると同様、細 胞選別(ソーティング)によって前駆細胞を単離することもできる。当業者であ れば、実行すべき課題に沿って利用されるマーカー部のタイプを選択できる。な ぜなら、タンパク質を標識化する多くの方法が、当技術分野において知られてい るからである。 以下の実施例は、本発明の更なる理解の一助として提供するものである。使用 される特定の材料及び条件は、本発明をより具体的に示す意図によるものであり 、本発明の妥当な請求の範囲を制限するものではない。 実施例1 インゲンマメ及びフジマメからのピラーチンタンパク質の単離 市販品(ストークス・シード社製、ニューヨーク州バッファロー、あるいはW ・アトリー・バーピー社製、ペンシルバニア州ワーミニスター)のインゲンマメ 250gをコーヒーミルで粉砕した。(この方法は、本発明の活性物質を含むフ ジマメ又は他の豆類から材料を分離する際にも用いられる。)得られた豆の粉を 1リットルのアルカリレクチン結合緩衝液(LBB;例 50mMトリス/HC l、pH7.0、金属カチオン含有:MgCl2、CaCl2各1mM)に添加し 、4℃で一晩攪拌し続けながらインキュベートした。粉体は、10,000×g 、20分間の遠心分離によってペレット化し、上清を取得した。 上記タンパク質はマンノースと特異的に結合するため、このタンパク質を一工 程で精製することが可能になる。マンノース−アガロースのアフィニティークロ マトグラフィーを妨害する汚染物質を除去するため、上記豆の上清を60%(0 .6mg/mL)の硫酸アンモニウム溶液による硫安沈殿に付した。沈殿物を再 び懸濁させ、4℃で一晩LBBを用いて透析を行い、アフィニティークロマトグ ラフィーの出発原料を得た。透析した硫酸アンモニウム画分を、Sepharo se4B(シグマケミカル社製、ミズーリ州セントルイス)と共 有結合したマンノースと共に4℃でロッカー上にて一晩インキュベートした。そ の後、得られたゲルをLBBにで十分洗浄し、重力沈降法によりペレット化した 。レクチン類は、250mMのメチルアルファ−D−メチルピラノシド(シグマ ケミカル社製、ミズーリ州セントルイス)を溶解したLBBを用いて、ロッカー 上にて4℃で2日間溶離させ、密度沈降法によりペレット化し、レクチン含有上 清を吸引した。ピラーチンタンパク質を含む上清は、一晩LBBを用いて透析を 行って糖分を除去し、得られた透析物を滅菌濾過し、−20℃にて保存した。 フジマメから単離し、マンノース−アガロースにより精製した精製ピラーチン タンパク質のSDS−PAGE分析結果を図1に示す。ピラーチンサンプル及び 分子量マーカー(インテグレーティド・セパレーション・システムズ製、マサチ ューセッツ州ナットウィック)は10〜27%濃度勾配のポリアクリルアミドゲ ル(インテグレーティド・セパレーション・システムズ製、マサチューセッツ州 ナットウィック)上で還元状態下で分析し、クマシー・ブリリアントブルー染色 (シグマ・ケミカル社製、ミズーリ州セントルイス)により可視化した。分子量 をゲルの左側に示す。アルファ及びベータサブユニットをそれぞれ各ゲルの右側 に示したが、各数字はサブユニットのアイソフォームを示す。フジマメでは、ピ ラーチンのアルファサブユニットの4種類のアイソフォーム及びベータサブユニ ットの1種類のアイソフォームが検出された。 実施例2 FLK2レセプタ−3T3アッセイはピラーチンタンパク質の生物活性を特異的 に定量する ピラーチンタンパク質は哺乳類のFLK2チロシンキナーゼレセプターと相互 作用する。ヒトFmsレセプター(Lemischkaら、未公表)の細胞内部 分と組み合わせたマウスFLK2レセプターの細胞外部分からなるキメラレセプ ター、又は完全長ヒトレセプター(Smallら、1994年)のいずれか一方 をトランスフェクトしたNIH3T3繊維芽細胞を用いた特異的かつ定量的バイ オアッセイによって、精製時におけるレクチンの生物活性を評価することができ る。レクチンのサンプルを、96穴プレートの列を横断して倍々希釈しつつ滴下 すると、1000倍を超える倍率においてFLK23T3の生物活性がみとめら れた。FLK2トランスフェクト細胞を殺さないよう、このバイオアッセイには 、マウスもしくはヒトのFLK2/FLT3リガンド(FL)(Lymanら、 1993年;Hannumら、1994年)又はピラーチンタンパク質が必要で ある。 特に、3T3細胞をストック培養プレートから取り出す際には、組織培養プレ ート(ベクトン・ディッキンソン・ラボウェア製、ニュージャージー州リンカー ンパーク)で培養された細胞をハンクス緩衝生理食塩水(HBSS;ギブコ・ラ ボラトリーズ製、ニューヨーク州グランドアイランド)にて2回洗浄し、更に非 酵素系の細胞解離緩衝液(ギブコ製)を室温で15分間に亘って添加した後、メ ジウム中で細胞を洗浄する。96穴プレート中でウェル1個につき最終的に30 00個の細胞で満たされるよう、FLK23T3細胞を培養するが、その培養は 10%のAIMV(ギブコ製)と90%のダルベッコ改変イーグル培地(DME M;ギブコ製)を含む血清規定(serum-defined)培地100マイクロリットル中 で行う。このアッセイ条件下では、細胞を死から守るリガンドを外から加えない と、細胞は37℃及び5%CO2の加湿インキュベータ中で2〜4日後に死ぬ。 96穴プレート各々にはポジティブコントロールとして子ウシ血清が含まれてお り、これは全ての3T3細胞を刺激する。培地だけのものがネガティブコントロ ールである。完全長Fmsトランスフェクト3T3細胞(生物反応についてはT esslerらによって示されている。1994年)はレセプタートランスフェ クト制御標的細胞として作用し、3T3親細胞はトランスフェクトしていない制 御細胞として作用する。細胞の増殖および生存はXTT(ダイアグノスティック ・ケミカル社製、カナダ、シャーロットタウン、プリンスエドワードアイランド )、即ち活性呼吸細胞(モスマン、1983年)によって切断されたテトラホル マザン塩の添加によって定量化し、Vmax動的プレートリーダー(モレキュラ ー・デバイス社製、カリフォルニア州マウンテンビュー)を用いて分光光学的に 定量化し、比活性(ユニット/mL)又は特異活性(ユニット/mg)として記 録した。生物活性の1ユニットは、最大値の半値の細胞の刺激が検出された時点 での希釈度の逆数として定義される。図2A〜2Dは、赤インゲンマメから単離 したピラーチンが、IL1に依存して特異的にFLK23T3細胞を刺 激することを示す。ピラーチンの生物活性は、FLK2/Fms3T3細胞上( 図2A及び2B参照)及びトランスフェクトしていない3T3親細胞上(図2C 及び図2D参照)にて、10ng/mLのヒト組換えインターロイキン1−アル ファ(IL1−アルファ)(バイオソース・インターナショナル製、カリフォル ニア州カマリロ)の非存在下(図2A及び2C参照)及び存在下(図2B及び2 D参照)で、1000倍のレンジに亘って試験し、XTTによって定量した。ピ ラーチンタンパク質は、IL1の存在下でのみFLK2/Fms3T3細胞の増 殖を刺激し、IL1の存在、非存在に関係無く、トランスフェクトしていない3 T3細胞の増殖を刺激することは無かった。 次の実施例3〜10は、本発明のタンパク質がインビトロで前駆細胞を保存す ることを示す。赤インゲンマメ及びフジマメから単離したピラーチンは、マウス 胎児の肝臓細胞及びヒト臍帯血細胞由来の前駆細胞を、液体培養において特異的 に保存する。 実施例3 ピラーチンタンパク質はインビトロでヒト及びマウスの造血前駆細胞を保存する 。 造血前駆細胞は単核細胞に対して、約1:10,000〜約1:100,000 の率で存在し、ヒトの骨髄、臍帯血、及びある条件下では末梢血に存在する。イ ンビトロ培養で前駆細胞を富化するためには、血液又は骨髄のサンプル全体から 密度分離法によって単核細胞を分離しなければならない。特に、50mLのコニ カルチューブ(ベクトン・ディッキンソン製、ニュージャージー州フランクリン レイクス)中で、Ficoll−Paque Plus(ファーマシア・バイオ テック製、ニュージャージー州ピスカタウェイ)上に丁寧にサンプル層を作り、 取扱説明書に従って、サンプルの処理を行う。 単核細胞調製物から幹細胞を100倍を超えて富化するために、抗体標識磁気 ビーズ法を用いる。2種類の市販の方法(DYNABEADS;ダイナル社製, ニューヨーク州レイクサクセス及びMINIMACSマルチパラメーター選別; ミルテナイ・バイオテック製、カリフォルニア州オーバーン)はCD34+細胞 のポジティブ選択によるものである。また、別の方法(STEMSEP CD3 4+/CD38-;ステム・セル・テクノロジーズ社製、ブリティッシュ コロンビア州バンクーバー)では、ネガティブ選択(グリコホリンA、CD14 、CD3、CD16、CD2、CD66b、CD56、CD36、CD24、C D45RA、CD19、CD38)によって幹細胞を分離し、その結果表面表現 型のCD34+、CD36-、CD38-、CD45RA-を伴う細胞が得られる。 37℃に保たれ、5%のCO2で満たされたインキュベータ中で、血清規定培 地(AIMV−V;ギブコ製、ニューヨーク州グランドアイランド、BIT95 00;ステム・セル・テクノロジーズ製、ブリティッシュコロンビア州バンクー バー、又はX−VIVO10;バイオ・ウィッタッカー製、メリーランド州ウォ ーカーズビル)を含む液体培養で、単核細胞集団においてもまたCD34+富化 細胞内においても、ピラーチンタンパク質は単離した前駆細胞を2〜4週間保存 するのに使用される。得られた細胞集団はフローサイトメトリーによって特徴づ けされ、前駆細胞の機能状態を数値化し評価するために造血コロニーアッセイを 行う。 ヒト造血幹細胞は、CD34++CD38-Thy+という細胞表面抗原表現型を 示すが、成熟血液細胞系列(CD3、CD19等)に対して抗原を示さない(P eltzerら、1996年)。具体的には細胞を取扱説明書に従って蛍光標識 抗体(例 コールター社製、フロリダ州ヒアリー)と共にインキュベートし、フ ローサイトメトリー(例 Epics Elite;クールター社製)によって マーカー発現を評価する。 造血コロニーアッセイによって、細胞集団における前駆細胞の頻度や原始状態 が間接的に評価される。また、細胞を、成長因子を含んだ半固体のメチルセルロ ース(ステム・セル・テクノロジーズ製、ブリティッシュコロンビア州バンクー バー)上で培養し、細胞増殖及び分化に関し最適な刺激を与える。 実施例4 ピラーチンは培養においてマウス胎児肝臓CD34+細胞を保存する。 図3は、赤インゲンマメから精製したピラーチン(ピラーチンRK)及びフジ マメから精製したピラーチン(ピラーチンH)が、単独でも、また濃度を段階的 に上げたサイトカインカクテル(mIL1、mIL3、mKL)と一緒でも、1 0%子ウシ血清含有DMEMを含む液体培地で6日間、マウス胎児肝臓CD 34+細胞を保存することを示す。15日後、培養物を採取し、細胞を再びメチ ルセルロースコロニーアッセイに付し、機能性前駆細胞の頻度を評価した。図中 、NTは未試験を示す。単核細胞の培養はピラーチンの存在下又は非存在下で、 外因性サイトカインを用いずに、または、5ng/mL又は50ng/mLの初 期作用性(early−acting)組換マウスサイトカインカクテル(mI L1、mIL3、mKL)(バイオソース・インターナショナル製、カリフォル ニア州カマリロ)を用いて行った。残った生存可能細胞のフローサイトメトリー 分析によって、ピラーチンを含む培養ウェル中のCD34+細胞の比率は、初期 作用性サイトカインカクテル用量に依存的に高くなることがわかるが、対照の培 地ではこのような傾向は見られなかった。 実施例5 ピラーチンは培養においてマウス造血前駆細胞を保存する 上記ピラーチンタンパク質は、単独で又はIL1もしくはFLのいずれか一方 と組み合わせて、培養中に機能性造血前駆細胞を少なくとも2週間保存する。具 体的には、図4は、10%子ウシ血清含有DMEMを含んだ液体培養培地中で1 5日間培養した、マウス造血前駆細胞に対する精製ピラーチンの保存効果を示す 。機能性前駆細胞の評価は液体培養から採取した細胞によって行い、取扱説明書 に従って再びメチルセルロースコロニーアッセイ(ステム・セル・テクノロジー ズ製、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー)に付した。個々の前駆細胞か ら派生したコロニーの数を2週間後に数え、その結果を最初に植え付けた細胞1 00,000個当たりのコロニー数の頻度として標準化した。各ピラーチンサン プルは、外因性サイトカインカクテルの非存在下で前駆細胞を保存し(各グルー プの左バーに示す)、サイトカインカクテル含有ピラーチンサンプルについては 、それぞれ違いが見られた。 実施例6 ピラーチンタンパク質と共に培養した細胞上の細胞表面マーカーのフローサイト メトリー分析 50ng/mLのサイトカインカクテル(図4参照)を含む培養物のメチルセ ルロースコロニーアッセイで発生した細胞の種類を、フローサイトメトリーによ って決定した。この結果を図5に示す。Sca+細胞はピラーチン含有培養でか なり増加したが、他の細胞表面マーカーは特に影響を受けなかった。このSca 抗原は、マウス幹細胞及びT細胞を含む他の成熟細胞上に発現される。この実験 において、T細胞(CD3)は増加しなかった。図5には、50ng/mLの初 期作用性組換マウスサイトカイン(mIL1、mIL3、mKL)(バイオソー ス・インターナショナル製、カリフォルニア州カマリロ)中、ピラーチンサンプ ルの存在下及び非存在下で、コロニーアッセイに先立って培養した細胞(図4中 それぞれ右端のバー)から採取した細胞の細胞表面表現型のフローサイトメトリ ー分析結果を示す。ピラーチンRKは対照培地と比較して14.5のSca−1 細胞を産生した。Sca−1、又はLy6は原始マウス前駆細胞に関係した抗原 であり、T細胞等を含む成熟血液細胞にも関係している(Spangrudeら 、1991年)。T細胞(CD3)、樹枝状細胞(CD11b)、Fc−ガンマ レセプター(例 顆粒球及び単球)を発現する細胞、CD38、又はトランスフ ェリンレセプター(CD71)(カリフォルニア州、ファーミゲン社より入手し た抗体)の個数については違いが見られなかった。 実施例7 ピラーチンタンパク質は培養中ヒトCD34+細胞を保存する ピラーチンはヒト原始前駆細胞も保存する。図6A及び6Bは、ピラーチンが 単独で、又は初期作用性ヒトサイトカイン(rhIL1−アルファ、rhIL3 、rhFL、rhKL)と組み合わせてCD34+ヒト臍帯血細胞を特異的に2 週間まで保存することを示す。フジマメから単離した精製ピラーチン(ピラーチ ンH)は、血清規定培地(BIT9500、ステム・セル・テクノロジーズ製、 ブリティッシュコロンビア州バンクーバー)を含む液体培養中17日間(図6A 参照)及び6日間(図6B参照)に亘って、CD34抗原を発現するヒト臍帯血 細胞を特異的に保存する。ピラーチンは、外因性サイトカイン類の添加の有無に かかわらず、効果的にCD34+細胞を保存する。 実施例8 ピラーチンタンパク質は液体培養中ヒト前駆細胞を保存する ピラーチンは単独で、又はIL1もしくはFLのいずれか一方と組み合わせて 、 機能性前駆細胞を液体培養中少なくとも2週間保存する。図7には、この実験で ピラーチンとFLを組み合わせて用いることによって、選択されたアッセイ条件 下で液体培養中前駆細胞個数が実際に増加することが示されている。機能性前駆 細胞から派生したコロニーの数は、IL1又はFLの有無にかかわらず対照培地 (図の右側)の場合に比べてピラーチンの存在下(図の左側)で数倍に増加する 。 液体培養中ピラーチンによって保存される造血前駆細胞の性質は経時的に変化 する。臍帯血単核細胞(mnc)を、4mL当たり細胞800,000個の濃度 で、ピラーチン、FL、ピラーチン+FLおよび対照培地の場合について、X− VIVO10を用いて6日間、15日間、21日間培養した。機能性前駆細胞の 評価は、細胞をメチルセルロースコロニーアッセイの再プレーティングに付し、 更に16日後にコロニー数を数えることによって行った。4種類のコロニーが記 録された。「ブラスト」は、非常に原始的な幹細胞を示しうる未分化細胞からな る、小さく分散したコロニーをいう。「ミックス」は、多系列に分化し得る前駆 細胞によって形成された分化したミエロイド及びエリスロイド細胞からなるコロ ニーをいう。「ミエロイド」は、分化したミエロイド細胞だけからなるコロニー をいう。「エリスロイド」は、「BFU−E」(バースト−フォーミングユニッ トエリスロイド)と呼ばれる原始的前駆細胞によって形成された、分化した赤芽 球又は正常赤芽球だけからなるコロニーをいう。 コロニーは、全ての液体培養ウェル中で培養6日後に形成した(図8A参照) 。図8A中の実線は、コロニー数が多すぎて正確に数えられなかったことを示し ており、この実験では、800,000mnc当たりコロニー数が1,500を 超えていた。 培養15日後、ピラーチンは、ミエロイド又はエリスロイド系列の比較的成熟 した前駆細胞を保存したが、FLは保存しなかった(図8B参照)。「ブラスト 」状細胞及びミエロイド委任(committed)前駆細胞が、液体培養で21日間保存 された臍帯血単核細胞からコロニーアッセイプレートに現れた(図8C参照)。 15日間及び21日間の培養後、前駆細胞の度数がかなり高いことは、前駆細胞 の保存だけでなく原始前駆細胞の増加(自己再生)を示している。 実施例9 ピラーチンは培養中、用量依存的に前駆細胞を保存する ピラーチンは用量依存的に作用し、ヒト臍帯血前駆細胞を保存する。図9A及 び9Bには、実施例8に記載した方法を用いて、2人のドナーから採取した臍帯 血単核サンプルを培養した結果が示されている(図9A及び9Bは各ドナーに対 応する)。このケースでは、培養は100倍を超えるピラーチンの濃度範囲で1 2日間に亘って続けられた。2人のドナー間で反応は異なっていた(コロニー種 の組成及び前駆細胞の度数の両方において)が、20,000units/mg におけるDLLの特異的活性は、各ドナーについてほぼ同じであった。尚、図中 のTMTCはコロニー数が多すぎてカウントできなったことを意味する。 実施例10 ピラーチンは培養中、成熟血液細胞への分化を防ぐことによって前駆細胞を保存 する。 図10は、ピラーチン(この場合、フジマメから得たピラーチン)が、液体培 養6日後、IL3により誘起されるFc−ガンマレセプター発現細胞の産生を防 ぐことを示す。IL3含有培養には約80%のCD32+細胞が含まれていたが 、ピラーチン含有培養に含まれているCD32+は10%未満であった。マウス のFcガンマ11及びFCガンマIIIレセプターを発現する細胞には、胎児胸 腺細胞類のほか、ナチュラルキラー細胞類、単球類、マクロファージ類、顆粒球 類、マスト細胞類等が挙げられる(Unkeless、1979年)。 上記各実施例で提供したデータより、ピラーチンは、単独で又は他のサイトカ イン類と組み合わせて原始造血前駆細胞を保存し、また、液体培養中でIL3に よって誘起される分化を防ぐ。実際、このピラーチンタンパク質は、前駆細胞保 存においてFLよりも効果的であり、更にはFLにストローマ細胞を補った場合 と比較しても効果的である。このペプチドとストローマ細胞とが一緒に培養され るかどうかテストするためのデータはまだ得られていないが、本出願人らはこの ペプチド保存効果の向上も維持されるであろうと考えている。兎に角、本発明の タンパク質は、細胞培養での原始造血前駆細胞の保存において効果的であること は明白であり、このことは、前駆細胞の外移植、生体外での前駆細胞の培養及び 保存、及び保存された前駆細胞の再移植(又は移植)を含む臨床において、この タンパク質が有用であることを示唆している。 このように、現在考えられる本発明の最適な実施態様を上に述べたが、当業者 は本発明の主旨を逸脱せずに他の更なる実施態様が可能であることを理解するで あろう。このような更なる修正及び変更は添付のクレームの真の範囲内に含まれ ることが意図されている。 引用文献 以下の文献は、本明細書に記載されたものであるが、これらに開示された全内 容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。 Baronedes,SH、「レクチンの二機能性特性:再評価されたレクチン 」、Trends Biochem.Sci.13:480−482(1988 )。 Berardi,ACら、「ヒト造血幹細胞の機能による単離及びキャラクタリ 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───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 7/06 A61P 7/06 // A61K 38/00 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR, LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD ,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR, TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZW

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.AQSLSFSFTKFD(配列番号1)を含むアミノ酸配列及び約12− 20kDの分子量を有するか、又はVVAVEFD(配列番号3)を含むアミノ 酸配列及び約15−20kDの分子量を有する、前駆細胞を保存するタンパク質 。 2.該タンパク質が、VVAVEFD(配列番号3)を含むアミノ酸配列を有す る分子量約15−20kDのアルファポリペプチド、及びAQSLSFSFTK FD(配列番号1)を含むアミノ酸配列を有する分子量約12−2OkDのベー タポリペプチドを含むヘテロダイマーを含むタンパク質である請求項1記載のタ ンパク質。 3.TDSYVVAVEFD(配列番号4)を含むアミノ酸配列を有する請求項 1記載のタンパク質。 4.AQSLSFSFTKFDLD(配列番号2)を含むアミノ酸配列を有する 請求項1記載のタンパク質。 5.2つ以上のヘテロダイマーである請求項2記載のタンパク質。 6.2つの同一なヘテロダイマーを含む四量体である請求項5記載のタンパク質 。 7.マンノース/グルコース特異的豆レクチンである請求項1記載のタンパク質 。 8.Phaseoleae族の豆から得られたものである請求項7記載のタンパ ク質。 9.インゲンマメ、フジマメ又はササゲから得られたものである請求項8記載の タンパク質。 10.前駆細胞が少なくとも単能性前駆細胞である請求項1記載のタンパク質。 11.前駆細胞が多能性(pluripotent)前駆細胞である請求項1記 載のタンパク質。 12.前駆細胞が分化全能性(totipotent)前駆細胞である請求項1 記載のタンパク質。 13.前駆細胞が造血前駆細胞である請求項1記載のタンパク質。 14.前駆細胞が神経、筋肉、皮膚、消化管、骨、腎臓、肝臓、膵臓又は胸腺前 駆細胞である請求項1記載のタンパク質。 質。 16.前駆細胞がflk2レセプターを発現するものである請求項11記載のタ ンパク質。 17.前駆細胞が表面にflk2レセプターを発現するように変化させた細胞で ある請求項16記載のタンパク質。 18.タンパク質が細胞表面のflk2レセプターと顕著な結合親和性を持ち、 タンパク質とflk2レセプターとの結合が前駆細胞の分化の阻害を仲介するタ ンパク質である請求項16記載のタンパク質。 19.前駆細胞を前駆細胞の保存に十分な量のタンパク質と接触させることを特 徴とする前駆細胞を保存する方法であって、該タンパク質がAQSLSFSFT KFD(配列番号1)を含むアミノ酸配列を有する分子量約12−20kDのタ ンパク質又はVVAVEFD(配列番号3)を含むアミノ酸配列を有する分子量 約15−20kDのタンパク質である方法。 20.タンパク質がAQSLSFSFTKFDLD(配列番号2)を含むアミノ 酸配列を有するタンパク質である請求項19記載の方法。 21.タンパク質がTDSYVVAVEFD(配列番号4)を含むアミノ酸配列 を有するタンパク質である請求項19記載の方法。 22.タンパク質がPhaseoleae族の豆から得られたタンパク質である 請求項19記載の方法。 23.タンパク質がインゲンマメ、フジマメ又はササゲから得られたタンパク質 である請求項22記載の方法。 24.前駆細胞が造血前駆細胞である請求項19記載の方法。 25.前駆細胞がCD34抗原及び/又はflk2レセプターを発現するヒト細 胞である請求項24記載の方法。 26.前駆細胞かSca抗原を発現するが成熟血液細胞系統を発現しないマウス 細胞である請求項24記載の方法。 27.前駆細胞とタンパク質とをインビトロ、生体外又は生体内で接触させる請 求項19記載の方法。 28.前駆細胞と分化を誘起せずに前駆細胞の数を選択的に増加するのに十分な 量のflk2リガンドとを接触させることを更に含む請求項19記載の方法。 29.造血治療を必要とする哺乳動物の処置方法であって、 a)造血前駆細胞を含む組織サンプルを哺乳動物から摘出し、 b)前駆細胞を、培養細胞を前駆細胞に富化させるために、前駆細胞を保存する タンパク質の存在下で培養し、ここでタンパク質がAQSLSFSFTKFD( 配列番号1)を含むアミノ酸配列を有する分子量約12−20kDのタンパク質 又はVVAVEFD(配列番号3)を含むアミノ酸配列を有する分子量約15− 20kDのタンパク質であって、 c)哺乳動物を骨髄切除(myeloablation)に十分効果的な条件下 に置き、そして d)骨髄切除に続いて培養細胞を哺乳動物に投与し、哺乳動物の造血システムを 再構築する、ことを特徴とする方法。 30.骨髄切除(myeloablation)条件が骨髄照射、全身照射又は 化学的に誘発された骨髄を切除するものである請求項29記載の方法。 31.前駆細胞を保持する量のタンパク質中における前駆細胞の培養を含む前駆 細胞を富化する方法であって、該タンパク質がVVAVEFD(配列番号3)を 含むアミノ酸配列を有する分子量約15−20kDのタンパク質またはAQSL SFSFTKFD(配列番号1)を含むアミノ酸配列を有する分子量約12−2 0kDのタンパク質であり、ここでタンパク質が前駆細胞を特異的に保存し、ま た培養は前駆細胞を保存しつつ分化細胞の数を減らす条件下で行うことを特徴と する方法。 32.前駆細胞が原始前駆細胞である請求項31記載の方法。 33.前駆細胞が成熟前駆細胞である請求項31記載の方法。 34.前駆細胞が少なくとも実質的にストローマ細胞を含まない請求項31記載 の方法。 35.培養条件が増殖細胞への選択的毒性を示す細胞毒剤を含む培地での培養で ある請求項31記載の方法。 36.細胞毒剤がアドリアマイシン、シクロホスファミド、タキソールその他の タキサン、シスプラチン又は5−フルオロウラシルである請求項35記載の方法 。 37.哺乳動物において造血能力を高める方法であって、 a)造血前駆細胞を含む組織サンプルを、前駆細胞を保存しかつ培養細胞を前駆 細胞で富ませるのに十分な量のタンパク質を含んだ成長培地中で培養し、ここで 当該タンパク質はAQSLSFSFTKFD(配列番号1)を含むアミノ酸配列 を有する分子量約12−20kDのタンパク質、又はVVAVEFD(配列番号 3)を含むアミノ酸配列を有する分子量約15−20kDのタンパク質であり、 そして b)血液細胞成分を産生するための前駆細胞を与えるために前駆細胞に富んだ培 養細胞を哺乳動物に注入する、ことを特徴とする方法。 38.組織サンプルが末梢血、臍帯血、胎盤血又は骨髄である請求項37記載の 方法。 39.組織サンプルが哺乳動物への自己移植である請求項38記載の方法。 40.組織サンプルが少なくとも実質的にストローマ細胞を含まないものである 請求項37記載の方法。 41.注入に先立つ哺乳動物の造血組織の切除を更に含む請求項37記載の方法 。 42.タンパク質により選択的に保存された前駆細胞へのトランスフェクション を含む体細胞に外来DNA配列をトランスフェクトする方法であって、該タンパ ク質がAQSLSFSFTKFD(配列番号1)を含むアミノ酸配列を有する分 子量約12−20kDのタンパク質又はVVAVEFD(配列番号3)を含むア ミノ酸配列を有する分子量約15−20kDであることを特徴とする方法。 43.生体外で前駆細胞の生存能力を維持するための組成物であって、細胞成長 培地及び前駆細胞を保存するタンパク質を含み、タンパク質がAQSLSFSF TKFD(配列番号1)を含むアミノ酸配列を有する分子量約12−20kDの タンパク質又はVVAVEFD(配列番号3)を含むアミノ酸配列を有する分子 量約15−20kDのタンパク質であることを特徴とする組成物。 44.哺乳動物中において前駆細胞を保存する方法であって、 a)哺乳動物に前駆細胞を特異的に保存するタンパク質を、哺乳動物の前駆細胞 が実質的に未増殖の状態で保存されるのに十分な量投与し、ここで当該タンパク が実質的に未増殖の状態で保存されるのに十分な量投与し、ここで当該タンパク 質はAQSLSFSFTKFD(配列番号1)を含むアミノ酸配列を有する分子 量約12−20kDのタンパク質又はVVAVEFD(配列番号3)を含むアミ ノ酸配列を有する分子量約15−20kDのタンパク質であって、 b)哺乳動物を、増殖骨髄細胞が除去され非増殖前駆細胞が残存するのに十分効 果的な程度に骨髄切除状態に曝露し、そして c)曝露に続き保存された前駆細胞の増殖又は分化を再樹立することを特徴とす る方法。 45.再樹立が前駆細胞の生存能力を高めるのに十分な量のサイトカインを前記 哺乳動物へ投与することを含む請求項44記載の方法。 46.前記生存能力を高めるサイトカインがIL−1、IL−3、IL−6、I L−11、KL又はそれらの組み合わせである請求項45記載の方法。 47.前記再樹立が増殖を刺激する量のflk2リガンドを前記哺乳動物に投与 することである請求項44記載の方法。
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