【発明の詳細な説明】
ケラチノサイト増殖因子-2の使用
発明の分野
本発明は、ケラチノサイト増殖因子-2(KGF-2)タンパク質産物の、種々の上
皮細胞の増殖、成長、および分化を刺激するための使用に関する。
発明の背景
組織生成(generation)および再生の複雑なプロセスは、時々、軟組織増殖因
子といわれる、多数のタンパク質因子により媒介される。これらの分子は、一般
に1つの細胞型により放出され、そして他の細胞型の増殖に影響を与えるように
作用する(Rubinら(1989),Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA,86:802-806)。そ
の細胞自体がこのような増殖因子に応答する能力を有する細胞から放出されるい
くつかの増殖因子もまた存在する。いくつかの軟組織増殖因子は特定の細胞型に
より分泌され、そして多細胞生物の発生において、応答性細胞の増殖、分化、お
よび/または成熟に影響を与える(Finchら(1989),Science.245:752-755)
。生物の発生におけるそれらの役割に加えて、いくつかの軟組織増殖因子は、健
康の維持およびさらなる成熟系の維持において重要である。例えば、哺乳動物に
おいて、迅速な細胞代謝回転が起こる多くの系が存在する。このような系には、
皮膚および胃腸管が含まれ、両方とも上皮細胞を含む。線維芽細胞増殖因子(FG
F)のタンパク質ファミリーが、この群の軟組織増殖因子に含まれる。
線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーは、少なくとも14のメンバー、つまり
、FGF-1〜FGF-10および相同な因子FHF-1〜FHF-4からなることが現在知られてお
り、これらは:塩基性線維芽細胞増殖因子、bFGF(Abrahamら(1986)、EMBO J.
,5:2523-2528);酸性線維芽細胞増殖因子、aFGF(Jayeら(1986),Science,2
33:541-545);int-2遺伝子産物、int-2(Dickson & Peters(1987),Nature,
326:833);hst/kFGF(Delli-Boviら(1987),Cell,50:729-737およびYoshida
ら(1987),Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:7305-7309);FGF-5(Zhanら(1
98
8),Mol.Cell.Biol.,8:3487-3495);FGF-6(Maricsら(1989),Oncogene
,4:335-340);ケラチノサイト増殖因子、KGF(Finchら(1989),Science,24
:752-755);ヒスアクトフィリン(Habazzettlら(1992),Nature,359:855-85
8);FGF-9(Miyamotoら(1993),Mol.Cell Biol.,13(7):4251-4259);なら
びに線維芽細胞増殖因子-10(ケラチノサイト増殖因子-2、KGF-2(PCT特許出願W
0 96/25422、この開示は本明細書中に参考として援用される)としても知られ、
一次構造間で関連性を共有する。より最近では、4つの相同な因子(すなわち「
FHF」)は、ランダムなcDNA配列の組合せ、配列データーベースの存在の検索、
および相同性に基づくポリメラーゼ連鎖反応により、ヒト網膜から同定された(
Smallwoodら(1996),Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93:9850-9857)。FHF-1、
FHF-2、FHF-3、およびFHF-4が、それぞれFGF-11、FGF-12、FGF-13、およびFGF-1
4と称されるべきであることが、Nomenclature Committeeの推奨によって提唱さ
れている(Coulierら(1997),Journal of Molecular Evolution,44:43-56、
この開示は本明細書中に参考として援用される)。
WO 96/25422は、細菌発現系(例えば、E.coli.)および真核生物発現系(例
えば、バキュロウイルスおよびCOS細胞)において、全長KGF-2(シグナル配列、
配列番号2の残基Cys37〜Ser208を伴う)および成熟KGF-2(シグナル配列、配列
番号2の残基Cys37〜Ser208を除く)のクローニング、発現、および精製を記載
する。この参考文献は、KGF-2ga,細胞増殖、および新しい血管増殖もしくは血管
形成の増殖、脱毛の防止、皮膚創傷の治癒、ならびに筋細胞、神経組織、前立腺
細胞、および肺細胞の分化を刺激するのに有用あり得ることをさらに教示する。
KGF-2はFGFファミリーのメンバーであるが、このファミリーメンバーの間での
身体的効果およびインビボでの効果は同じではない。例えば、aFGF、bFGF、およ
びKGFは、種々の方法でヘパリンに応答することが周知であった。aFGFの分裂促
進活性は、ヘパリンの存在下で実質的に増加するが、ヘパリンの存在下でのbFGF
の分裂促進活性は、ヘパリンがbFGFに堅固に結合するという事実にもかかわらず
、最小限増加したのみである。対照的に、BALB/MK細胞によるチミジンの取り込
みは、ヘパリンが培養培地中でKFとともに含まれる場合、阻害される(Ronら(1
993),J.Biol.Chem.,268:2984-2988)。さらに、aFGFおよびbFGFは同じレセ
プ
ターに結合することが知られているが、KGFはまた、NIH/3T3線維芽細胞上のaFGF
およびbFGFレセプターとは異なるNIH/3T3線維芽細胞(これは、KGFを相互作用し
ない)上のレセプターを有する(Bottaroら(1990),J.Bloi.Chem.,265,12
767-12770)。さらに、KGF-2は線維芽細胞についても上皮細胞についても分裂促
進性でない点で、aFGFおよびbFGFとは異なる(Rubinら(1989),Proc.Natol.
Acad.Sci.USA,86:802-806)。
実際、KGF-2の発現プロフィールは、FGFファミリーの他のメンバーの発現プロ
フィールと非常に異なる(Yamasakiら(1996),J.Biol Chem.,271:15918-159
21)。KGF-2は、解明されていない生物学的活性とともに特有の生理学的役割を
有するようである(Emotoら(1997),J.Biol.Chem.,272(37):23191-23194)
。
それゆえ、増殖因子としてのKGF-2に関して、多くのこと(これは、KGF-2が標
的化され得る、さらなる型の生物および組織における上皮細胞およびこのような
細胞でのKGF-2のインビボの効果を含む)が理解されないままである。
発明の要旨
本発明は、下記のように、目、耳、歯肉、膵臓(外分泌および内分泌)、胸腺
、甲状腺、膀胱、肝臓、および/または胃腸管の上皮細胞(口腔、腺胃(glandu
lar stomach)、および小腸、結腸における細胞、ならびに腸管粘膜内の他の細
胞を含む)の刺激(細胞保護作用、増殖、および/または分化を含む)を誘導す
るための、KGF-2タンパク質産物のインビボでの使用に関する。
図面の簡単な説明
本発明の多数の局面および利点が、図面の参照に基づいて明らかになる。ここ
で:
図1は、全長の組換えヒトKGF-2をコードするcDNA配列(配列番号1)を示す
。また、全長の組換えヒトKGF-2のアミノ酸配列(配列番号2)が示される。最
初の36アミノ酸残基(Met1〜Thr36)は、全長KGF-2の推定リーダーを示し、そし
て配列番号2の残基Cys37〜Ser208は、成熟KGF-2を示す。全長および成熟形態は
、集合的に「KGF-2」と呼ばれる。
図2は、His rFGF10をコードするcDNA配列(配列番号3)を示す。また、His
rFGF10のアミノ酸配列(配列番号4)を示す。
図3は、hFGF10をコードするcDNA配列(配列番号5)を示す。また、hFGF10の
アミノ酸配列(配列番号6)を示す。
発明の詳細な説明
本発明に従って、KGF-2タンパク質産物は、下記により完全に記載されるよう
に、目、耳、歯肉、膵臓(外分泌および内分泌)、胸腺、甲状腺、膀胱、肝臓、
および/または胃腸管の上皮細胞(口腔、腺胃、および小腸、結腸における細胞
、ならびに腸管粘膜内の他の細胞を含む)の刺激(細胞保護作用、増殖、および
/または分化を含む)を誘導するために、インビボで使用され得る。
従って、本発明は、これらの特定の細胞型において、特に、障害の発症を低減
、遅延、および/またはブロックするための、KGF-2の予防的ならびに治療的な
使用により特徴づけられたKGF-2タンパク質産物の適用を可能にする点で、重要
な意味を有する。以下は、本発明に従ってKGF-2タンパク質産物で処置され得る
疾患および医学的状態の記載である。
KGF-2タンパク質は、肝機能を増大するために、肝細胞の細胞保護作用、増殖
、およびまたは分化を増大するのに有用である。KGF-2タンパク質産物は、肝硬
変、劇症肝不全、急性ウイルス性肝炎により起こる障害、肝臓に対する毒性発作
、および/または胆管障害を処置および/または防御するのに有用である。
肝硬変(ウイルス性肝炎および慢性アルコール摂取の二次的障害)は、罹患率
および死亡率の有意な原因である。KGF-2タンパク質産物は、肝硬変の発達を処
置および/または防御するのに有用である。肝硬変の標準インビボモデルが公知
である(Tomaszewskiら(1991),J.Appl.Toxicol.,11:229-231、この開示は
本明細書中で参考として援用される)。
劇症肝不全は、命を脅かす状態であり、これは末期肝硬変で起こり、そして現
在肝移植でのみ処置可能である。KGF-2タンパク質産物は、劇症肝不全を処置お
よび/または防御するのに有用である。劇症肝不全の標準インビボモデルは公知
である(Mitchellら(1973)、J.Pharmacol.Exp.Ther.,187:185-194;Thako
reおよびMehendale(1991)、Toxicologic Pathol.,19:47-58;およびHavillら
(1994),FASEB Journal,8(4-5):A930,Abstract 5387、この開示は本明細書
中で参考として援用される)。
急性ウイルス性肝炎は、しばしば無症状性および自己限定性である。しかし、
少数の患者において、重篤な肝障害が数週間にわたって起こり得る。KGF-2タン
パク質産物は、ウイルス性肝炎を処置および/または予防するのに有用である。
肝細胞増殖の標準インビボモデルは公知である(Housleyら(1994),Journal o
f Clinical Investigation,94(5):1764-1777;およびHavillら(1994),前出、
これらの開示は本明細書中で参考として援用される)。
アセトアミノフェン、ハロタン、四塩化炭素、および他の毒素により引き起こ
される肝臓の毒性発作は、KGF-2タンパク質産物により予防または処置され得る
。管毒性の標準インビボモデルが公知である(Mitchellら(1973),前出;Thako
reおよびMehendale(1991)前出;ならびにHabillら(1994)前出;これらの開
示は本明細書中で参考として援用される)。
KGF-2タンパク質産物は、胃腸管において上皮細胞(例えば、口腔、食道、胃
、小腸、結腸、直腸、および肛門)の細胞保護、増殖、および/または分化を増
大するのに有用である。本明細書中で定義される用語「胃腸管」および「腸」は
当該分野に認識されている用語であり、そして本明細書中で交換可能に使用され
る。特に、KGF-2タンパク質産物は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、炎症性腸疾患、腸
毒性、および胃腸管の侵食を処置および/または予防するのに有用である。
胃潰瘍は、顕著な罹患率を起こし、比較的高い再発率を有し、そして粘膜の裏
打ち(lining)において瘢痕形成により治癒される。KGF-2タンパク質産物は、腺
粘膜の変性を予防するのに有用であり、そしてより迅速に腺粘膜を再生する(例
えば、胃潰瘍の処置における有意な治療的な改善を提供する)のに有用である。
胃潰瘍の標準インビボモデルは公知である(Tarnawskiら(1991),「Indometha
cin Impairs Quality of Experimental Gastric Ulcer Healing:A Quantitative
Histological and Ultrastructural Analysis」:Mechamisns of Injury,Prot
ection and Repair of the Upper Gastrointestinal Tract,GarnerおよびO'Brie
n(編),Wiley&Sons;Brodie(1968),Gastroenterology,55:25;およびO
hningら(1994),Gastroenterology,106(4補遺):A624、これらの開示は本明
細書中で参考として援用される)。
十二指腸潰瘍、胃潰瘍のように、顕著な罹患率を起こし、そして比較的高い再
発率を有する。KGF-2タンパク質産物は、十二指腸の粘膜の裏打ちの変性を予防
するのに有用であり、そして十二指腸の粘膜の裏打ちを迅速に再生してこれらの
潰瘍を治癒および再発を低減するのに有用である。十二指腸潰瘍の標準インビボ
モデルは公知である(Bergら(1949),Proc.Soc.Exp.Biol.Med.,7:374-37
6;SzaboおよびPihan,Chronobil.Int.(1987),6:31-42;ならびにRobertら(
1970),Gastroenterology,59:95-102、これらの開示は本明細書中で参考とし
て援用される)。
腸毒性は、ガン処置(照射(腹腔、全身または局所(例えば、頭部および頚部
))および化学療法の両方)と関連した主要な制限因子である。一番の関心は、
以下を受けた患者である:白血球、乳ガンのようなガンに対する化学療法または
脛瘍除去のためのアジュバント;頭および首に対する照射治療;および骨髄移植
のための化学療法と照射治療の組合せ。損傷の重篤度は、化学療法剤の型および
用量、なたびに照射治療のような併用される治療に関係する。
胃腸管の一部の粘膜は、有意な痛みの原因であり、そしてこれらの患者を不快
にし、そして赤みおよび肥大から側腹潰瘍病変までの重篤度に及ぶ。病変はしば
しば二次的影響を受け、そしてはるかにより治癒が難しくなる。照射誘導腸毒性
の標準的なインビボモデルは公知である(WithersおよびElkind(1970),Int.
J.Radlat.,17(3):261-267、これらの開示は本明細書中で参考として援用され
る)。化学療法誘導腸毒性の標準インビボモデルが公知である(Farrellら,The
American Society of Hematology,38th Annual Meeting(Orlando,FL),199
6年12月6-8日;Sonisら(1990),Oral Surg.Oral Med&Oral Pathol.,69(4):4
37-443;およびMoore(1985),CancerDhemotherapyPharmacol.,15:11-15、こ
れらの開示は本明細書中で参考として援用される)。
例示的な化学療法剤としては、BCNU、ブスルファン、カルボプラチン、シクロ
ホスファミド、シスプラチン、シトシンアラビノシド、ダウノルビシン、ドキソ
ルビシン、エトポシド、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン(gemcytabine)、
イホスファミド、イリノテカン、メルファラン、メトトレキサート、ナベルビン
、トポテカン、タキソール、およびタキソテア(taxotere)が含まれるが、これ
らに限定されない。そして例示的な処置レジメには、BEAM(ブスルファン、エト
ピソド、シトシンアラビノシド、メトトレキサート);シクロホスファミドおよ
び全身照射;シクロホスファミド、全身照射、およびエトポシド;シクロホスフ
ァミドおよびブスルファン;ならびにロイコボリンまたはレバミゾールを伴う5-
フルオロウラシルが含まれるが、これらに限定されない。
KGF-2タンパク質産物での処置、前処置、および/または後処置(post-treatm
ent)は、細胞保護効果を起こすかもしくは再生するかもしくはその両方(例え
ば、小腸粘膜において)に有用であり、このような試料の用量を増加させるが、
腸毒性の強力な致死的副作用を減少させる。
KGF-2タンパク質産物は、好ましくは以下の設定で投与され得る。結腸直腸患
者は、ロイコボリンとともに5-フルオロウラシルを、1〜5日目に日常的に投与
され:KGF-2タンパク質産物は-2、-1、および0日目に投与され得る。頭部およ
び頚部のガン患者は、7週間にわたって、低分画された(hypofractionated)照
射治療ならびに5-フルオロウラシルおよびシスプラチンを日常的に投与され;KG
F-2タンパク質産物は、-2、-1、および0日目に、その後照射治療が終わるまで1
週間に1度投与され得る。リンパ腫移植患者は、しばしば6日間(1日目から6
日目)BEAM治療が投与され;KGFタンパク質産物は-2、-1、および0日目に、なら
びに3日間(7日目から9日目)の後処置として投与され得る。
特定の実施態様において、KGF-2タンパク質産物は、血球減少の発症を遅延お
よび/またはブロックするために1つ以上のサイトカインと組合わせて、予防的
および/または治療的に投与され、粘膜炎症(mucositis)の発症を低減、遅延、
および/またはブロックし得る(化学療法および/または照射療法に起因して)
。
代表的には、骨髄、末梢血前駆細胞、または末梢血幹細胞(McNieceら(1989
),Blood,74:609-612、およびMooreら(1979),Blood Cells,5:397-311、こ
れらの開示は本明細書中で参考として援用される)が、骨髄抑制性細胞減少性治
療(化学療法単独かまたは照射治療を伴う)の前に患者から取り出され、次いで
、このような治療の骨髄抑制性効果を緩和するために、細胞減少性治療と同時
にまたは後で患者に投与され得る。
多くの種々のアプローチが、生物を、照射または毒性化学薬品の副作用から保
護するために行われてきた。1つのアプローチは、毒性が発生する前に骨髄細胞
を置換することである。別のアプローチは、末梢血(PBPC)由来の前駆細胞を使
用することである。これらのPBPCは、サイトカイン治療単独(G-CSFまたはGM-CS
F)(または化学療法もしくはサイトカインとともに)後のアフェレーシスまた
は瀉血により回収され得る。それらは新鮮または凍結保存されて戻され得る。所
望であるならば、細胞はCD34+選択され得、T-細胞枯渇され得、腫瘍細胞枯渇さ
れ得、または前駆細胞が、当該分野に公知の方法により、投与の前に増大され得
る(増加が引き起こされ得る)。骨髄抑制性治療後の自己または同種前駆体の再
注入の利点は、文献に記載されている(Morseら(1992),Ann.Clin.Lab.Sci
.,22:221-225;KessingerおよびArmitage(1991),Blood,77:211-213;Kessi
ngerら(1989),Blood,74:1260-1265;Takamら(1989),Blood,74:1245-125
1、ならびにKessingerら(1988)、Blood、171:723-727)。
本明細書中で使用する場合、用語「サイトカイン」は、細胞間メディエーター
として別の細胞に作用する1つの細胞集団から放出されるタンパク質についての
総称である。このようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、およ
び伝統的なポリペプチドホルモンである。これらのサイトカインには、インスリ
ン様成長ホルモン;ヒト成長ホルモン;N-メチオニルヒト成長ホルモン;ウシ成
長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;レ
ラキシン;プロレラキシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン、
および黄体形成ホルモン(LH)のような糖タンパク質ホルモン;造血増殖因子;
肝臓増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死
因子αおよび腫瘍壊死因子β;マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビ
ン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン;NGF-β
のような神経成長因子;TPOおよびMGDFのような血小板増殖因子;TGF-αおよびT
GF-βのようなトランスフォーミング増殖因子;インスリン様成長因子-Iおよび
インスリン様成長因子-II;エリスロポエチン;骨誘導性因子;インターフェロ
ン-α、インターフェロン-β、およびインターフェロン-γのようなインターフ
ェロン;マクロフェージ-CSF(M-CSF)、顆粒球マクロファージ-CSF(GM-CSF)
、および顆粒球CSF(G-CSF)のようなコロニー刺激因子(CSF);IL-1、IL-2、I
L-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-
14、IL-15、およびIL-16のようなインターロイキン(IL);ならびに他のポリペ
プチド因子が含まれる。サイトカインを単独か、または組合わせて使用して、細
胞毒性因子に関連する骨髄もしくは造血性毒性の緩和および/または逆行に対し
て保護し得る。
KGF-2タンパク質産物ならびにサイトカインの投与は、適合化および最適化さ
れるべきである。環境に応じて、適切な用量のKGF-2タンパク質が、治療剤の前
または後に投与され得る。例えば、考慮されるべきパラメーターは、サイトカイ
ンが、一連の治療の間に、単一用量または複数用量のどちらかで投与されるであ
る。特定のサイトカインは、迅速に体から除去され、そしてその効果を最大にす
るために周期的または連続的な投与が必要である。投与様式は、サイトカインの
前処置または後処置のいずれで投与されるかに依存して、異なり得る。例えば、
サイトカインが細胞毒性剤の前に投与される場合、血管内ボーラス注射によりサ
イトカインを数時間投与すること、および必要に応じて、このような投与を細胞
障害性治療の間および後に1日以上くり返すことが好ましい。
特定の実施態様において、KGF−2タンパク質産物は、0.1〜500μg/kg/用量、
好ましくは約200μg/kg/用量以下で、化学療法または照射療法の前(例えば、1
〜3日前)および/または後に(例えば、血管内に)投与され、そしてG-CSF(N
eupogenTMまたはLengrastimTM)またはGM-CSF(SargramostimTM)は化学療法の
後に1〜10日間(好ましくは、7から10日間)5μg/kg/用量で(例えば、皮下
で)投与される。
胃腸管(例えば、食道、胃、および腸)の侵食には、侵食性胃炎、食道炎、食
道逆流、および炎症性腸疾患が含まれる。炎症性腸疾患(例えば、クローン病(
小腸に主に影響を及ぼす)および潰瘍性大腸炎(大腸に主に影響を及ぼす))は
、粘膜表面の破壊、炎症、創傷、および修復間の接着形成ならびに罹患した個体
に顕著な罹患率を生じる未知の病因の慢性疾患である。KGF-2タンパク質産物は
、粘膜の裏打ちを再生するのに有用であり、そしてこれらの侵食の再発を低減
し、より早く治癒し、そして疾患の進行を制御し得る。胃腸管の侵食の標準的な
インビボモデルは公知である(Geisingerら(1990),Mod-Pathol.,3(5):619-6
24;Carlborgら(1983),Laryngoscope,93(2):184-187;Carlborgら(1980)
,Eur-Surg-Res.,12(4):270-282;Keshavarzianら(1991),Alcohol-Clin-Exp
-Res.,15(1):116-121;Katzら(1988),Dig-Dis-Sci.,33(2):217-224;および
Zeehら(1996),Gastroenterology,110(4):1077-1083、これらの開示は本明細
書中で参考として援用される)。炎症性腸疾患の標準的なインビボモデルが周知
である(Morrisら(1989),Gastrorenterology,96:795-803;Rachmilewitzら
(1989),Gastroenterology,97:326-327;Allgayerら(1989),Gastroentero
logy,96:1290-1300;ならびにKimおよびBorstad(1992),Scand.J.Gastoent
erol,27(7):529-537、これらの開示は本明細書中で参考として援用される)。
動物研究は、完全非経口法(TPN)と腸粘膜萎縮との間の関係を確立した(Buc
hmanら(1995),Journal of Parenteral and Enteral Nutrition,19:453-460
)。腸繊毛の長さの減少は、栄養の経口摂取により提供される増殖刺激の欠除に
起因する。これは標識指標(増殖の度合)ことにおける減少に反映される。繊毛
の長さの減少はまた、栄養吸収に関与する酵素の比活性の減少に相関する。KGF-
2タンパク質産物は、経口栄養素の再誘導における再増殖を速めるおよび/また
は容易にする間に、萎縮に対する防御に有用である。
膵臓障害は、I型またはII型糖尿病のような内分泌関連障害であり得るか、ま
たは膵炎および膵不全または嚢胞性線維症のような外分泌関連障害であり得る。
I型糖尿病と診断された患者は、定期的な外来性インスリン投与が必要である。I
I型糖尿病と診断された患者は、種々の段階を介してインスリン耐性/不全を進
行し、最終的には外来性インスリン投与を必要とする。KGF-2タンパク質産物は
、糖尿病頬炎の永久的な発現を改善、遅延、および/または回避するのに、また
は代謝要求を変化させる間、血中グルコース値を正常化するために、さらに低血
糖の頻度もしくは深在性を回避するために、膵臓β細胞機能を誘導することによ
り島細胞移植の設定に補助剤として有用である。糖尿病の標準モデルが公知であ
る(Junodら(1967),Proc.Soc.Exp.Bio.Med.126(1):201-205;Rerup(19
70),Pharm,Rev.,22:485-518:Rossiniら(1977),P.N.A.S.,74:2485-248
9;ならびにAr'RajabおよびAhren(1993),Pancreas,8:50-57、これらの開示
は本明細書中で参考として援用される)。膵臓細胞増殖の標準モデルが公知であ
る(Yiら(1994),American Journal of Pathology,145(1):80-85、この開示
は本明細書中で参考として援用される。)。
角膜細胞は、化学薬品、細菌、またはウイルスによる角膜磨耗および/または
角膜潰瘍化により損傷され得る。KGF-2タンパク質産物は、角膜変性を処置およ
び/または予防するのに有用である。角膜細胞再生の標準的なインビボモデルが
公知である(Inatomiら(1994),Investigative Ophtalmology and Visual Sci
ence,35(4):1318,Abstract 299;Sotozonoら(1994),Investigative Opthal
mology and Visual Science,35(4):1941,Abstract 317;Wilsonら(1994),I
nvestigative Opthalmology and Visual Science,35(4):1319,Abstract 301;W
ilsonら(1993),The FASEB Journal,7(3):A493,Abstract 2857;Inatomiら
(1994),Investigative Ophthalmology & Visual Science,35(4):1318;Wils
onら(1994),Experimental Eye Research,59(6):665-678;およびsotozonoら
(1995),Investigative Ophthalmology&Visual Science,36(8):1524-1529、
これらの開示は本明細書中で参考として援用される)。
KGF-2タンパク質産物は、歯肉疾患を防御および/または処置するのに有用で
ある。歯肉疾患の標準的なインビボモデルが公知である。
KGF-2タンパク質産物は、化学療法(上記のような)および/または感染に関
連する状態を含む潰瘍化および/または炎症性状態を予防および/または処置す
るのに有用である。膀胱障害の標準的なインビボモデルが公知である(Fordおよ
びHess(1976),Arch.Intern,Med.,136:616-619、ならびにDrollerら(1982
),Urol.,20:256-258、これらの開示は本明細書中で参考として援用される)
。
KGF-2タンパク質産物は鼓膜障害を予防および/または処置するのに有用であ
る。鼓膜穿孔の標準インビボモデルが公知である(Clymerら(1996),Laryngos
cope(USA),106(3):280-285、この開示は本明細書中で参考として援用される)
。
KGF-2タンパク質産物は、唾液腺組織に対する障害または損傷(照射/化学療
法による影響(上記)、および唾液腺不全(乾燥症候群)を起こし得るシェーグ
レン症候群のような自己免疫疾患を含む)を処置するために、唾液腺組織変性を
防御または唾液腺組織を増殖するのに有用である。唾液腺組織障害の標準的なイ
ンビボモデルが公知である。KGF-2 タンパク質
本発明の用語に従って、用語「KGF-2タンパク質」は、配列番号2のアミノ酸C
ys37〜Ser208(成熟KGF-2)により規定されるタンパク質ならびにその改変タン
パク質を意味する。従って、用語「KGF-2タンパク質」は、1つ以上のアミノ酸
残基が配列番号2のアミノ酸配列から欠失されたタンパク質(欠失改変体)、配
列番号2のアミノ酸配列に挿入されたタンパク質(置換改変体)、および/また
は配列番号2のアミノ酸配列と置換されかつ生物学的活性を有するタンパク質(
置換改変体)を含む。従って、タンパク質変異の下記の記載が成熟KGF-2をいう
場合、それらへのさらなる改変は含まない。
本明細書中で使用される用語「生物学的活性」は、成熟KGF-2の特定の性質を
有する(全ての性質の必要はなく、同じ程度の性質である必要もない)KGF-2タ
ンパク質を意味する。目的の特定の性質の選択は、所望されるKGF-2タンパク質
の所望される使用に依存する。
成熟KGF-2の特定の改変体は、NarhiおよびOsslundにより、これと同じ日付け
で提出されたPCT特許出願第 号(「VARIANTS OF KERATINOCYTE GROWTH
FACTOR-2」と特許出願送信状に題される(代理人整理番号A-423C-PCT))に開示
されており、この開示は本明細書中で参考として援用される。
最終のタンパク質が生物学的に活性である限り、欠失、挿入、および置換の多
くの組合せがなされ得ることが当業者に理解される。アミノ酸配列改変体の構築
における主要な改変は2つ存在する:変異部位の位置および変異の性質。改変体
を設計する際に、変異部位の位置および変異の性質は、改変されるべき生化学的
特徴に依存する。変異部位は、個々にまたは連続して改変され得る。例えば、(
1)標的アミノ酸残基を欠失させること、(2)配置部位に隣接するアミノ酸残
基を挿入すること、または(3)保存的アミノ酸選択でまず置換することによる
。そして、達成される結果に依存して、より極端な選択で改変する。
アミノ酸配列欠失は、一般に、約40アミノ酸残基から、約30アミノ酸、約20ア
ミノ酸、および代表的には約1〜10残基に及ぶ。成熟KGF-2のアミノ酸配列内の
欠失が、例えば、FGFファミリーの他のメンバーの配列と低い相同性の領域にお
いて作製され得る。FGFファミリーの他のメンバーの配列と実質的に相同な領域
における成熟KGF-2のアミノ酸配列内の欠失は、どうやら生物学的活性を有意に
改変するようである。総欠失および/または連続的な欠失の数は、好ましくは、
影響を受けるドメインにおける成熟KGF-2(配列番号2のアミノ酸Cys37からSer2 08
)の三次構造(例えば、システイン架橋)を保存するように選択される。
アミノ酸配列付加は、1〜100以上の残基の長さに及ぶアミノ末端および/ま
たはカルボキシル末端融合ならびに単一または複数アミノ酸残基の内部配列内挿
入を含み得る。内部付加は、好ましくは、約1〜10アミノ酸残基、より好ましく
は約1〜5アミノ酸残基、そして最も好ましくは約1〜3アミノ酸残基に及び得
る。成熟KGF-2のアミノ酸配列内の付加は、FGFファミリーの他のメンバーの配列
との低い相同性の領域において作製され得る。FGFファミリーの他のメンバーの
配列との実質的な相同性の領域における成熟KGF-2のアミノ酸配列内の付加は、
どうやら生物学的活性を有意に改変するようである。挿入または付加は、好まし
くは、他のFGFファミリーメンバーの配列に由来するアミノ酸配列を含む。
アミノ末端付加は、メチオニン付加(例えば、細菌性組換え細胞培養における
直接発現の人為産物として)またはアミノ酸残基もしくは成熟KGF-2の配列を含
むことが意図される。N末端付加のさらなる例は、組換え宿主細胞からのタンパ
ク質の分泌を容易にするための成熟KGF-2のN末端へのシグナル配列の融合であ
る。このようなシグナル配列は、一般に、意図される宿主細胞種から得られ、従
ってその種に相同である。本発明に含まれるのは、未変性シグナル配列、例えば
、配列番号2のアミノ酸Met1からThr36によって規定されるタンパク質の未変性
シグナル配列または異種シグナル配列である。選択される異種シグナル配列は、
宿主細胞によって認識されそしてプロセシングされる(すなわち、シグナルペプ
チダーゼによって切断される)配列であるはずである。未変性シグナル配列を認
識も、プロセシングもしない原核生物宿主細胞のために、シグナル配列は、例え
ば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼまたは熱安定性エンテロトキシン
IIリーダーからなる群から選択される原核生物シグナル配列に置換され得る。酵
母分泌
について、シグナル配列は、例えば、酵母インバターゼ、α因子または酸ホスフ
ァターゼリーダー配列の群から選択され得る。哺乳動物細胞発現において、具体
的に、全長KGF-2または他のFGFファミリーメンバーのシグナル配列(例えば、KG
F)は、適切であり得る。
カルボキシ末端付加の例には、ヒトイムノグロブリンの重鎖または軽鎖の定常
ドメインの全部または部分とのKGF-2の融合を含むキメラタンパク質が挙げられ
る。このようなキメラポリペプチドは、イムノグロブリン部分がヒトイムノグロ
ブリン(例えば、IgG、IgA、IgM、またはIgE、特にIgG(例えばIgG1もしくはIgG
3)の重鎖の定常領域の第一ドメインを除く全てのドメインを含む場合に好まし
い。当業者は、イムノグロブリン部分の任意のアミノ酸が欠失され得るか、また
は1つ以上のアミノ酸によって置換され得るか、あるいは1つ以上のアミノ酸が
KGF-2部分が上皮細胞をなお刺激し、そしてイムノグロブリン部分が1つ以上の
その特徴的特性を示す限り、付加され得ることを理解する。
改変体の別の群は、成熟KGF-2のアミノ酸配列のアミノ酸置換改変体である。
これらの改変体は、配列番号2のCys37〜Ser208の配列において少なくとも1つ
のアミノ酸残基の欠失を有し、そしてその代わりに異なる残基が挿入されている
。置換改変体は、対立遺伝子変異体を含む。対立遺伝子変異体は、種の集団にお
ける天然に存在するヌクレオチド配列変化によって特徴づけられ、これは、アミ
ノ酸変化を伴うかまたは伴わなくてもよい。当業者は、潜在的な変異部位の選択
におけるポリペプチドの結合部位または活性部位について公知の任意の情報を使
用し得る。
変異誘発についてのアミノ酸残基または領域を同定するための1つの方法は、
CunninghamおよびWells(1989)、Science、244:1081-1085(この開示は本明細
書中で参考として援用される)に記載されるような「アラニンスキャニング変異
誘発」と呼ばれる。この方法において、アミノ酸残基または標的残基の群が同定
され(例えば、Arg、Asp、His、Lys、およびGluのような荷電残基)、そして中
性のまたは陰性に荷電したアミノ酸(最も好ましくは、アラニンまたはポリアラ
ニン)で置換して、アミノ酸と細胞内または外側をとりまく水性環境との相互作
用に影響を与える。次いで、置換に対して機能的な感受性を示すこれらのドメイ
ンは、置換の部位におけるさらなる残基または代替残基を導入することにより洗
練される。従って、アミノ酸配列改変を導入するための部位は、予備決定され、
そして所定の部位での変異の能力を最適化するために、アラニンスキャニングま
たはランダム変異誘発が行われ得、そして改変体は、所望の活性および活性の程
度の最適の組合せについて、スクリーニングされ得る。
置換変異誘発についての最も興味深い部位は、配列番号2のアミノ酸Cys37か
らSer208内の特定の残基が、側鎖の暈、電荷、および/または疎水性に関して、
種々の種または他のFGFファミリーメンバーとは実質的に異なっている部位を含
む。興味深い他の部位は、配列番号2のアミノ酸Cys37からSer208内の特定の残
基が種々の種のまたは他のFGFファミリーメンバーの間で同一である部位を含む
。このような位置は、一般に、タンパク質の生物学的な活性に重要である。従っ
て、当業者は、これらの部位は当初は比較的保存された様式で置換によって改変
されるべきであることを理解する。
このような保存的置換は表1において「好ましい置換」というタイトルで示さ
れる。このような置換が生物学的活性変化を生じる場合、より実質的な変化(置
換例)が導入され得るか、そして/または他の付加/欠失がなされ得、そして得
られる産物がスクリーニングされ得る。
表1:アミノ酸置換
等価な性質のこのような変化を作製する際に、アミノ酸の親水性疎水性指数が
考慮され得る。タンパク質における相互作用的な生物学的機能を付与するのにお
ける親水性疎水性アミノ酸指数の重要性は、一般に、当該分野で理解される(Ky
teおよびDoolittle(1982)、J.Mol.Biol.,157:105-131。この開示は本明細書中で
参考として援用される)。特定のアミノ酸が同様の親水性疎水性指数またはスコ
アを有する他のアミノ酸と置換され得、そしてなお、同様の生物学的活性を有し
得ることは公知である。
類似のアミノ酸の置換が、親水性をもとに有効に(特に、本発明の場合のよう
に、それによって作製された生物学的機能が等価のタンパク質またはペプチドが
、免疫学的実施態様における使用のために意図される場合)なされ得ることも当
該分野において理解される。米国特許第4,554,101号(この開示は、本明細書中
で参考として援用される)は、タンパク質の最大の局所平均親水性が、その隣接
のアミノ酸の親水性に支配される場合、その免疫原性および抗原性と、すなわち
、タンパク質の生物学的特性と相関している。
米国特許第4,554,101号はまた、親水性に基づく一次アミノ酸配列由来のエピ
トープの同定および調製を教示する。米国特許第4,554,101号に開示された方法
を通じて、当業者は、エピトープ(例えば、KGF-2のアミノ酸配列内のエピトー
プ)を同定し得る。これらの領域はまた、「エピトープコア領域」と言及される
。多くの科学文献は、アミノ酸配列の分析からの、二次構造の予想、およびエピ
トープの同定に集中している(ChouおよびFasman(1974)、Biochemistry、13(2):
222-245;ChouおよびFasman(1974)、Biochemstry 13(2):211-222;ChouおよびFa
sman(1978)、Adv.Enzymol.Relat.Areas Mol.Biol,47:45-148;ChouおよびFasman
(1978)、Ann.Rev.Biochem.、47:251-276、ならびにChouおよびFasman(1979
)、Biophys.J.、26:367-384、これらの開示は本明細書中で参考として援用さ
れる)。さらに、コンピュータープログラムは、現在、タンパク質の抗原性部分
およびエピトープコア領域を予想することを補助するのに利用可能である。例に
は、Jameson-Wolf分析(JamesonおよびWolf(1988)、Comput.Appl.Bioscl.、4(
1):181-186、ならびにWolfら(1988)、Comput.Appl.Biosci.、4(1):187-191、
これらの開示は本明細書中で参考として援用される)に基づくそれらのプログラ
rgerら(1985)Science、228:740-742、これらの開示は本明細書中に参考とし
て援用される);ならびにタンパク質三次構造予想についての他の新たなプログ
ラム(FetrowおよびBryant(1993)、BIOTECHNOLOGY、11:479-483、この開示は
本明細書中に参考として援用される)が挙げられる。
対照的に、配列番号2のアミノ酸Cys37からSer208の機能的および/または化
学的特徴における実質的改変は、(a)置換の領域のポリペプチドバックボーン
の構造(例えば、シートまたはらせん構造)、(b)標的部位におけるタンパク
質
の相対電荷または疎水性、または(c)側鎖の量を維持することにおけるそれら
の効果において有意に異なる置換を選択することによって達成され得る。天然に
存在する残基は、一般の側鎖特性に基づく群に分割される:
1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
2)中性親水性:Cys、Ser、Thr;
3)酸性:Asp、Glu;
4)塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg;
5)鎖の方向に影響する残基:Gly、Pro;および
6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらの群の相互のメンバーの交換を含み得る。このような
置換された残基は、例えば、ほかのFGFファミリーメンバーの領域と相同である
配列番号2のアミノ酸Cys37からSer208の領域、またはそのタンパク質の非相同
領域に導入され得る。
特定の実施態様において、改変体ポリペプチドは、好ましくは、配列番号2の
アミノ酸Cys37からSer208と実質的に相同である。本明細書中で用いられる用語
「実質的に相同」は、配列番号2のアミノ酸Cys37からSer208に対して80%を超
える、好ましくは90%を超えるか、より好ましくは95%を超えるか、そして最も
好ましくは99%を超える程度の相同性(すなわち、アミノ酸残基の同一性)を有
することを意味する。本明細書中に記載される相同性の百分率は、その整列を補
助するために100アミノ酸長について4ギャップが導入され得る場合に、比較さ
れる配列における同一のアミノ酸残基と整列する2つの配列のより小さな方に見
い出されるアミノ酸残基の百分率として計算される。これはDayhoff(1972)に
よって示されている(Atlas of Protein Sequence and Structure、5:124、Nat
ional Biochemical Research Foundation、Washington、D.C.、この開示は本明
細書によって参考として援用される)。実質的に相同であるとしてはまた、配列
番号2のアミノ酸Cys37からSer208に対する抗体との交叉反応性によって単離さ
れ得る配列番号2のアミノ酸Cys37からSer208の改変体、またはその遺伝子が配
列番号1のDNAもしくはそのセグメントとのハイブリダイゼーションを通して単
離され得る改変体が挙げられる。
欠失、挿入、および置換の多くの組合せが、最終のKGF-2タンパク質が生物学
的に活性である限り、なされ得ることが当業者によって理解される。KGF-2タン
パク質は、その物理的特性を評価するために迅速にスクリーニングされ得る。例
えば、生物学的活性(例えば、レセプター結合および/または親和性、分裂促進
活性、細胞増殖性、および/またはインビボ活性)のレベルは、種々のアッセイ
を用いて試験され得る。1つのこのようなアッtイは、DNA合成を刺激するタン
パク質の能力を試験する分裂促進アッセイを含む(Rubinら、(1989)、同上、
この開示は本明細書によって参考として援用される)。別のこのようなアッセイ
は、細胞増殖を刺激するタンパク質の能力を試験する細胞増殖アッセイを含む(
Falcoら、(1988)、Oncogene、2:573-578、この開示は本明細書によって参考
として援用される)。ポリペプチド誘導体
特性を改変するためにポリペプチドがポリマーに結合されているKGF-2タンパ
ク質の化学改変誘導体(本明細書中で「誘導体」という)は、本発明の範囲内に
含まれる。KGF-2タンパク質の化学改変誘導体は、本明細書中の開示が与えられ
れば、当業者によって調製され得る。結合体は、グリコシル化、非グリコシル化
、または脱グリコシル化KGF-2タンパク質を用いて調製され得る。代表的には、
非グリコシル化KGF-2タンパク質が使用される。
誘導体化に適切な化学部分には、水溶性ポリマーが挙げられる。水溶性ポリマ
ー、各々が結合しているタンパク質が水性環境(例えば、生理学的環境)におい
て沈澱しないので、所望される。好ましくは、ポリマーは、治療用製品または組
成物の調製のために薬学的に受容可能である。当業者は、ポリマー/タンパク質
結合体が治療的に使用されるかどうか、そしてその場合、治療的プロフィール(
例えば、徐放の期間;タンパク質分解に対する耐性、もしあれば投薬、生物学的
活性における効果;扱い易さ;抗原性の欠如の程度、および治療タンパク質にお
ける水溶性ポリマーの他の公知の効果)のような考慮事項に基づき所望のポリマ
ーを選択し得る。
適切な臨床的に受容可能な水溶性ポリマーには、以下が挙げられるがそれらに
限定されない:ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコールプロ
ピオンアルデヒド、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、
モノメトキシ−ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、デキス
トラン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3
−ジオキソラン、ポリ−1、3、6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸
コポリマー、ポリ(β−アミノ酸)(ホモポリマーまたはランダムコポリマー)
、ポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コールホモポリマー(PPG)、および他のポリアルキレンオキシド、ポリプロピ
レンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチレン化ポリオール
(POG)(例えば、グリセロール)および他のポリオキシエチレン化ポリオール
、ポリオキシエチレン化ソルビトール、またはポリオキシエチレン化グルコース
,コロン酸(colonic acid)もしくは他の炭水化物ポリマー、Ficollもしくはデ
キストラン、ならびにそれらの混合物。本明細書において使用される場合、ポリ
エチレングリコールとは、他のタンパク質(例えば、モノ−(C1−C10)アルコ
キシポリエチレングリコールまたはアリールオキシ−ポリエチレングリコール)
を誘導体化するために使用されている任意の形態を包含することが意味される。
ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中での安定性に起因して製
造の際に利点を有し得る。
水溶性ポリマーは各々、任意の分子量であり得、そして分枝されていてもされ
ていなくてもよい。一般に、分子量または分枝が増えるにつれ、ポリマー:タン
パク質比は高くなる。水溶性ポリマーは各々、代表的に、約2kDa〜約100kDaの
間の平均分子量を有する(用語「約」とは、水溶性ポリマーの調製の際、いくら
かの分子は標示された分子量より重く、いくらかは軽いことを示す)。各水溶性
ポリマーの平均分子量は、好ましくは約5kDa〜約40kDaの間で、より好ましくは
、約10kDa〜約35kDaの間で、そして最も好ましくは、約15kDa〜約30kDaの間であ
る。
当業者に利用可能な結合方法は多数存在し、これには、反応性水溶性分子を用
いる(好ましくは、N末端化学改変タンパク質を生成するための)アシル化反応
またはアルキル化反応が挙げられる。例えば、EP 0401 384を参照のこと。この
開示は、本明細書により参考として援用される;さらに、Malikら、(1992)Exp
.
Hematol.20:1028-1035;Francis(1992)、Focus On Growth Factors、3(2):4-
10、Mediscript、Mountain Court、Friern Barnet Lane、London N20 ODL,UKに
より発行;EP 0 154 316;EP 0 401 384;WO 92/16221;WO 95/34326;WO 95/1331
2;WO 96/11953;PCT国際出願番号US96/19459;および本明細書中で引用されるP
EG化(pegylation)に関連する他の刊行物(これらの開示は、本明細書により参
考として援用される)を参照のこと。
本発明の特定の実施態様は、KGF-2タンパク質のN末端に還元アルキル化を介
して結合体化している平均分子量約20kDaを有する非分枝モノメトキシ−ポリエ
チレングリコールアルデヒド分子である。多価形態
多価形態(すなわち、2つ以上の活性部分を含む分子)が構築され得る。1つ
の実施態様において、この分子は、複数のKGF-2タンパク質を有し得る。さらに
、この分子は、少なくとも1つのKGF-2タンパク質および、多価形態の所望の特
徴に依存して、少なくとも1つの他の分子を有し得る。
1つの実施態様において、KGF-2タンパク質は、化学結合され得る。例えば、K
GF-2タンパク質は、上記のペジル化技術を介して二価の水溶性分子に結合され得
る。さらに、KGF-2タンパク質は、ビオチンに化学結合され得、次いで結合体化
されたビオチン/KGF-2タンパク質をアビジンに結合させて、四価のアビジン/
ビオチン/KGF-2タンパク質を生じる。KGF-2タンパク質はまた、ジニトロフェノ
ール(DNP)またはトリニトロフェノール(TNP)に共有結合され得、そして生じ
る結合体は、抗DNPまたは抗TNP IgMと沈澱させて、十量体の結合体を形成させ得
る。
さらに別の実施態様において、KGF-2タンパク質を有する組換え融合タンパク
質もまた、生成され得、ここで各組換えキメラ分子は、上記のように、イムノグ
ロブリン分子重鎖および軽鎖のいずれかまたは両方の可変領域について置換され
、そして定常領域の全てまたは部分(であるが、少なくとも1つのヒトイムノグ
ロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域)を有するKGF-2タンパク質配列を有する
。例えば、このようなキメラKGF-2タンパク質/IgG1融合タンパク質は各々、2
つ
のキメラ遺伝子(KGF-2タンパク質/ヒトκ軽鎖系mRA(KGF-2タンパク質/Ck)
およびKGF-2タンパク質/ヒトγ-1重鎖キメラ(KGF-2/Cg-1)から生成され得る
。以下に記載されるように、2つのキメラ遺伝子の転写および翻訳後に、二価を
呈するKGF-2タンパク質を有する遺伝子産物を単一のキメラ分子として会合させ
得る。このようなキメラ分子の構築に関するさらなる詳細は、米国特許第5,116,
964号、PCT公開番号WO89/09622、PCT公開番号W091/16437、およびEP315062に開
示される。これらの開示は本明細書中で参考として援用される。
なおさらなる実施態様において、組換え融合タンパク質が産生され、ここで、
組換えキメラ分子は各々、上記のように、少なくとも1つのKGF-2タンパク質、
およびEP特許出願第96309363.8号に記載されるようにオステオプロテゲリン(os
teoprotegerin)(OPG)の領域186-401の少なくとも一部を有する。
KGF-2タンパク質の産生は、以下にさらに詳細に記載される。このようなタン
パク質は、例えば、所望のKGF-2タンパク質の、組換え技術またはインビトロ化
学合成によって調製され得る。ポリヌクレオチド
本記載に基づいて、そして普遍的コドン表を用いて、当業者は、KGF-2タンパ
ク質のアミノ酸配列をコードする全ての核酸配列を容易に決定し得る。
下記に示す説明に従って行なわれる組換え発現技術を続けて行い、これらのポ
リヌクレオチドを生成して、コードされるタンパク質を発現させ得る。例えば、
KGF-2タンパク質をコードする核酸配列を、適切なベクターに挿入することによ
り、当業者は、多量の所望のヌクレオチド配列を容易に生成し得る。次いで、配
列を用いて検出プローブまたは増幅プライマーを生成し得る。あるいは、KGF-2
タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、発現ベクターに挿入し得る。発現
ベクターを適切な宿主に導入することにより、所望のKGF-2タンパク質を多量に
生成し得る。
本明細書中にさらに記載されるように、所望の核酸配列の増殖および/または
KGF-2タンパク質の生成に利用可能な多数の宿主/ベクター系が存在する。これ
らは、プラスミド、ウイルス、および挿入ベクター、ならびに原核生物宿主およ
び真核生物宿主を包含するが、これらに限定されない。当業者は、異種DNAを増
殖または発現し得る宿主/ベクター系を適応させて本発明の配列を産生または発
現させ得る。
さらに、本開示を考慮すると、核酸配列は、配列番号1の核酸109〜624、なら
びにその縮重核酸配列、成熟KGF-2の改変体をコードする核酸配列、および(下
記のcDNAライブラリースクリーニングの節において開示されるハイブリダイゼー
ション条件または同等な条件もしくはよりストリンジェントな条件下で)配列番
号1の核酸109〜624の核酸の相補体にハイブリダイズする核酸配列を含むことが
当業者に認識される。
本発明により、KGF-2タンパク質をコードするDNA配列とともにベクターDNAを
含む組換えDNA構築物もまた提供される。このようなDNA構築物の各々において、
KGF-2タンパク質(シグナルペプチドを有するかまたは有さない)をコードする
核酸配列は、選択された宿主においてKGF-2タンパク質の複製および/または発
現を指向し得る適切な発現制御配列または発現調節配列と作動可能に連結してい
る。ポリヌクレオチドの調製
KGF-2タンパク質をコードする核酸配列は、化学合成、cDNAもしくはゲノムラ
イブラリースクリーニング、発現ライブラリースクリーニング、および/または
cDNAのPCR増幅を含むがこれらに限定されない、種々の方法において容易に入手
され得る。このような核酸配列を単離するために有用であるこれらの方法および
他の方法は、Sambrookら,(1989),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,C
old Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Ausubelら編(1
994),Current Protocols in Molecular Biology,Current Protocols Press;な
らびにBergerおよびKimmel(1987),Methods in Enzymology:Guide to Molecular
Cloning Techniques,第52巻,Academic Press,Inc.,San Diego,CAに示され
る。これらの開示は、本明細書中に参考として援用される。
所望のタンパク質をコードする核酸配列の化学合成は、当該分野で周知の方法
(例えば、Engelsら(1989),Angew.Chem.Intl.Ed.,28:716-734およびWells
ら(1985),Gene,34:315(これらの開示は、本明細書中に参考として援用される
)に示される方法)を用いて達成され得る。これらの方法は、特に、核酸配列合
成のホスホトリエステル、ホスホルアミダイト、およびH−ホスホネート方法を
含む。大きな核酸配列、例えば、約100より大きなヌクレオチド長の核酸配列は
、いくつかのフラグメントとして合成され得る。次いで、フラグメントは、一緒
に連結されて適切な核酸配列を形成し得る。好ましい方法は、標準的なホスホル
アミダイト化学を用いるポリマー支持合成である。
あるいは、適切な核酸配列は、適切なcDNAライブラリー(すなわち、このタン
パク質を発現すると考えられる1つ以上の組織供給源から調製されたライブラリ
ー)またはゲノムライブラリー(全ゲノムDNAから調製されたライブラリー)を
スクリーニングすることにより入手され得る。cDNAライブラリーの供給源は、代
表的には、妥当な量で所望のタンパク質を発現すると考えられる任意の種からの
組織である。ゲノムライブラリーの供給源は、KGF-2タンパク質をコードする遺
伝子を有すると考えられる任意の哺乳動物または他の種からの1種類または複数
種類の任意の組織であり得る。
ハイブリダイゼーション媒体は、KGF-2タンパク質をコードするcDNAの存在に
ついて、ライブラリー中に存在するcDNAまたは遺伝子に選択的にハイブリダイズ
する1つ以上の核酸プローブ(クローン化されるcDNAまたは遺伝子に対して受容
可能なレベルの相同性を有するオリゴヌクレオチド、cDNA、またはゲノムDNAフ
ラグメント)を用いてスクリーニングされ得る。このようなスクリーニングに用
いられるプローブは、代表的には、ライブラリーを調製した種と同じ種または類
似の種からの小さな領域のDNA配列をコードする。あるいは、プローブは、本明
細書中に議論されるように、縮重し得る。
ハイブリダイゼーションは、代表的には、オリゴヌクレオチドプローブまたは
cDNAを、非特異的結合を防ぐがこのプローブまたはプライマーに有意なレベルの
相同性を有するクローンの結合を可能にするストリンジェンシー条件下で、クロ
ーンにアニーリングさせることにより達成され得る。代表的なハイブリダイゼー
ションおよび洗浄ストリンジェンシー条件は、cDNAまたはオリゴヌクレオチドプ
ローブのサイズ(すなわち、長さにおけるヌクレオチドの数)、およびこのプロ
ーブが縮重しているか否かに部分的に依存する。クローンを同定する確率はまた
、ハイブリダイゼーション媒体を設計する際に考慮される(例えば、cDNAがスク
リーニングされるか、またはゲノムライブラリーがスクリーニングされるか)。
DNAフラグメント(例えば、cDNA)がプローブとして用いられる場合、代表的
なハイブリダイゼーション条件は、Ausubelら編(1994)前出を含む。ハイブリ
ダイゼーション後、ハイブリダイゼーション媒体は、いくつかの要素(例えば、
プローブサイズ、クローンに対するプローブの予測される相同性、スクリーニン
グされるハイブリダイゼーション媒体、スクリーニングされるクローンの数など
)に依存して、適切なストリンジェンシーで洗浄される。例示的なストリンジェ
ントはハイブリダイゼーション条件は、4×SSC中62〜67℃でのハイブリダイゼ
ーション、続いて0.1×SSC中62〜67℃での約1時間の洗浄である。あるいは、例
示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、45〜55%ホルムアミ
ド中、4×SSC、40〜45℃でのハイブリダイゼーションである。図1に示す核酸
配列に、弛緩したハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズし、かつKGF-
2タンパク質をコードするDNA配列もまた含まれる。このような弛緩したストリン
ジェンシーハイブリダイゼーション条件の例は、4×SSC、45〜55℃、または30
〜40%ホルムアミドにて40〜45℃でのハイブリダイゼーションである。Maniatis
ら(1982),Molecular Cloning(A Laboratory Manual),Cold Spring Harbor Lab
oratory,387-389頁を参照のこと。
オリゴヌクレオチドプローブを用いてハイブリダイゼーション培地をスクリー
ニングする、ストリンジェントな洗浄条件についての例示的なプロトコルが存在
する。例えば、第1のプロトコルは、0.05%ピロリン酸ナトリウムを有する6×
SSCを、プローブの長さに依存して、約35℃と約63℃との間の温度で使用する。
例えば、14塩基のプローブは35℃〜40℃で、17塩基のプローブは45〜50℃で、20
塩基のプローブは52〜57℃で、そして23塩基のプローブは57〜63℃で洗浄される
。温度は、バックグラウンドの非特異的結合が高いようである場合、2〜3℃増
加され得る。第2のプロトコルは、塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)を洗
浄のために使用する。1つのこのようなストリンジェントな洗浄溶液は、3M T
MAC、50mM Tris-HCl、pH8.0、および0.2%SDSである。
適切な核酸配列を得るための別の方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)であ
る。本方法において、cDNAは、ポリ(A)+RNAまたは全RNAから、酵素逆転写酵素を
用いて調製される。次いで、代表的には、KGF-2タンパク質をコードするcDNA(
オリゴヌクレオチド)の2つの別々の領域に相補的な、2つのプライマーは、ポ
リメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)とともにcDNAに添加され、そしてポリ
メラーゼは、2つのプライマー間のcDNA領域を増幅する。
プローブまたはプライマーとして選択されるオリゴヌクレオチド配列は、スク
リーニングまたはPCR増幅の間に生じ得る非特異的結合の量を最少化するために
適切な長さでかつ十分に明白であるものである。プローブまたはプライマーの実
際の配列は、通常、保存されたまたは高度に相同な配列または領域に基づく。必
要に応じて、プローブまたはプライマーは、完全にまたは部分的に縮重し得る。
すなわち、そうするために全てが同じアミノ酸配列をコードするが異なるコドン
を用いるプローブ/プライマーの混合物を含み得る。縮重プローブを調製するた
めの別の方法は、イノシンを、種によって異なるコドンの位置のいくつかまたは
全てに配置することである。オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーは、
上記のようなDNAについての化学合成法により調製され得る。ベクター
KGF-2タンパク質をコードするDNAは、さらにクローニングする(DNAの増幅)
ためまたは発現のためにベクター中に挿入され得る。適切なベクターは市販され
ているか、またはベクターは、特異的に構築され得る。適切なベクターの選択ま
たは構築は、(1)ベクターがDNA増幅またはDNA発現に使用されるか否か、(2)ベク
ター中に挿入されるDNAのサイズ、および(3)ベクターで形質転換されることが意
図される宿主細胞に依存する。
ベクターは、各々、選択された宿主細胞による所望のタンパク質の発現を指向
するか、制御するか、さもなければ影響を与える1つ以上の以下の発現制御配列
または調節配列に作動性に連結された所望のタンパク質をコードする核酸配列を
含む。各ベクターは、その機能(DNAの増幅またはDNAの発現)および意図される
宿主細胞とのその適合性に依存して種々の成分を含む。ベクター成分は、一般に
、
以下の1つ以上を含むがこれらに限定されない:シグナル配列、複製起点、1つ
以上の選択またはマーカー遺伝子、プロモーター、エンハンサーエレメント、転
写終結配列など。これらの成分は、天然の供給源から入手され得るか、または公
知の手順により合成され得る。
適切な原核生物クローニングベクターの例は、バクテリオファージ(例えば、
λ誘導体)またはE.coliからのプラスミド(例えば、pBR322、col El、pUC、F
む。他の適切な発現ベクター(多数の型の発現ベクターが、下記の宿主細胞につ
いて当該分野で公知である)はまた、この目的のために用いられ得る。シグナル配列
シグナル配列をコードする核酸は、所望のタンパク質をコードする配列(例え
ば、これはベクターの成分であり得るかまたは所望のタンパク質をコードする核
酸の一部であり得る)の5'に挿入され得る。KGF-2タンパク質の天然のシグナル
配列をコードする核酸は、公知である(WO 96/25422)。複製起点
発現およびクローニングベクターは、各々、一般に、ベクターが1つ以上の選
択された宿主細胞において複製するのを可能にする核酸配列を含む。クローニン
グベクターにおいて、この配列は、代表的に、ベクターが宿主の染色体DNAとは
独立して複製するのを可能にする配列であり、そして複製起点または自律的に複
製する配列を含む。このような配列は周知である。プラスミドpBR322からの複製
起点は、ほとんどのグラム陰性細菌について適切であり、種々の起点(例えば、
SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV、またはBPV)は、哺乳動物細胞におけ
るクローニングベクターについて有用である。一般的に、複製起点は、哺乳動物
ベクターについては必要でない(例えば、SV40起点は、しばしば、初期プロモー
ターを含むことからのみ用いられる)。選択遺伝子
発現およびクローニングベクターは、各々、代表的には、選択遺伝子を含む。
この遺伝子は、選択培養培地において増殖させた場合に、形質転換された宿主細
胞の生存または増殖に必要な「マーカー」タンパク質をコードする。ベクターで
形質転換されていない宿主細胞は、選択遺伝子を含まず、それゆえ、これらはそ
の培養培地で生存しない。代表的な選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素
(例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、またはテトラサイ
クリン)に対する耐性を与えるか;(b)栄養素要求性欠損を相補するか;または(
c)培養培地から利用可能でない必須の栄養素を供給する、タンパク質をコードす
る。
他の選択遺伝子は、発現される遺伝子を増幅するために用いられ得る。増幅は
、増殖に必須のタンパク質の生成のためにより多く要求される遺伝子が、組換え
細胞の継続した世代の染色体内にタンデムで反復されるプロセスである。哺乳動
物細胞に適切な選択マーカーの例は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)および
チミジンキナーゼを含む。細胞形質転換体は、ベクター中に存在するマーカーの
ために形質転換体のみが唯一適応して生存する選択圧の下に置かれる。選択圧は
、形質転換細胞を、培地中の選択薬剤の濃度が連続的に変化し、それにより選択
遺伝子および所望のタンパク質をコードするDNAの両方の増幅をもたらす条件下
で培養することにより負わされる。結果として、増加した量の所望のタンパク質
は、増幅されたDNAから合成される。
例えば、DHFR選択遺伝子で形質転換した細胞は、全ての形質転換体を、メトト
レキサート(DHFRの競合的アンタゴニスト)を含む培養培地中で培養することに
よりまず同定される。適切な宿主細胞は、野生型DHFRが用いられる場合、DHFR活
性が欠損したチャイニーズハムスター卵巣細胞株(UrlaubおよびChasin(1980),P
roc.Natl.Acad.Sci.,USA,77(7):4216-4220、この開示は本明細書中に参考
として援用される)である。次いで、形質転換された細胞は、増加したレベルの
メトトレキサートに曝露される。これは、複数コピーのDHFR遺伝子および同時に
発現ベクター中の複数コピーの他のDNA(例えば、所望のタンパク質をコードす
るDNA)の合成を導く。プロモーター
発現およびクローニングベクターは、各々、代表的には、宿主生物により認識
されるプロモーターを含み、そして所望のタンパク質をコードする核酸配列に作
動可能に連結される。プロモーターは、特定の核酸配列の転写および翻訳を制御
する構造遺伝子の開始コドンの上流(5')(一般に、約100〜1000bp内)に位置
する翻訳されない配列である。プロモーターは、従来、誘導性プロモーターおよ
び構成性プロモーターを含む2つのクラスの一方にグループ分けされ得る。誘導
性プロモーターは、培養条件における何らかの変化(例えば、栄養素の存在もし
くは非存在、または温度の変化)に応答してその制御下でDNAからの増加したレ
ベルの転写を開始する。種々の強力な宿主細胞により認識される多数のプロモー
ターが周知である。プロモーターは、制限酵素消化により供給源DNAからプロモ
ーターを除去し、そして所望のプロモーター配列を挿入することにより、所望の
タンパク質をコードするDNAに作動可能に連結され得る。天然のKGF-2プロモータ
ー配列は、所望のタンパク質をコードする増幅および/または発現を指向するた
めに使用され得る。しかし、天然のプロモーターと比較して発現されるタンパク
質のより大きな転写およびより多くの収量を可能にする場合、および使用のため
に選択された宿主細胞系と適合する場合は、異種プロモーターが好ましい。例え
ば、他のFGFファミリーのメンバーの任意の1つの天然のプロモーター配列は、
所望のタンパク質をコードするDNAの増幅および/または発現を指向するために
用いられ得る。
原核生物宿主での使用に適切なプロモーターとしては、β-ラクタマーゼおよ
びラクトースプロモーター系;アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp
)プロモーター系;細菌のルミネッセンス(luxR)遺伝子系;およびtacプロモ
ーターのようなハイブリッドプロモーターが挙げられる。他の公知の細菌プロモ
ーターもまた適切である。それらのヌクレオチド配列は公開されており、それに
より当業者は、任意の必要とされる制限部位を供給するために必要であるリンカ
ーまたはアダプターを用いて、それらを所望のDNA配列に連結し得る。
酵母宿主での使用に適切なプロモーター配列もまた、当該分野において周知で
ある。哺乳動物宿主細胞での使用に適切なプロモーターは周知であり、そしてポ
リオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、Adenovirus 2)、
ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウ
イルス、B型肝炎ウイルス、および最も好ましくは、Simian Virus 40(SV40)の
ようなウイルスのゲノムから得られるプロモーターが挙げられる。他の適切な哺
乳動物プロモーターとしては、異種哺乳動物プロモーター(例えば、熱ショック
プロモーターおよびアクチンプロモーター)が挙げられる。エンハンサーエレメント
発現ベクターおよびクローニングベクターは、各々、代表的には、所望のタン
パク質をコードするDNA配列の高等真核生物による転写を増大するためのエンハ
ンサー配列を含む。エンハンサーは、DNAのシス作用性エレメントであり、通常
、約10〜300bpの長さであり、その転写を増大するためにプロモーターにおいて
作用する。
エンハンサーは、比較的配向および位置とは無関係である。それらは、転写ユ
ニットの5'および3'に見出された。酵母エンハンサーは、酵母プロモーターとと
もに有利に使用される。哺乳動物の遺伝子から入手可能であるいくつかのエンハ
ンサー配列が公知である(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-
フェト-タンパク質、およびインスリン)。さらに、ウイルスエンハンサー(例
えば、SV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー
、ポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサー)は、真核生物
プロモーターの活性化のための例示的なエンハンサーエレメントである。エンハ
ンサーが所望のタンパク質をコードするDNAの5'または3'位置でベクターにスプ
ライスされ得る場合、それは代表的にはプロモーターの5'部位に配置される。転写終結
真核生物宿主細胞に使用される発現ベクターは、各々、代表的には、転写の終
結のため、そしてmRNAを安定化させるために必要な配列を含む。このような配列
は、真核生物のDNAまたはcDNAの5'および時には3'非翻訳領域から一般に入手可
能である。これらの領域は、所望のタンパク質をコードするmRNAの非翻訳部分中
のポリアデニル化フラグメントとして転写されるヌクレオチドセグメントを含む
。
1以上の上記の成分(所望のコード配列とともに)を含む適切なベクターの構
築は、標準的な連結技術によって達成される。単離されたプラスミドまたはDNA
フラグメントは切断され、調整され、そして必要とされるベクターを生成するた
めに所望の順番で再連結される。正確な配列が構築されたことを確認するために
、連結混合物が使用されて、E.coliが形質転換され得、そして上首尾な形質転換
体が上記のような公知の技術によって選択され得る。次いで、形質転換体から大
量のベクターが調製され、制限エンドヌクレアーゼ消化によって分析され、そし
て/または所望の構築物の存在を確認するために配列決定される。
哺乳動物細胞中の所望のタンパク質をコードするDNAの一過性発現を提供する
ベクターもまた使用され得る。一般に、一過性発現は、宿主細胞が多コピーの発
現ベクターを蓄積し、次いでこの発現ベクターによってコードされる高レベルの
所望のタンパク質を合成するように宿主細胞中で効率的に複製し得る発現ベクタ
ーの使用を含む。適切な発現ベクターおよび宿主細胞を含む各々の一過性発現系
は、クローン化DNAによってコードされるタンパク質の簡便なポジティブ同定、
ならびに所望の生物学的および生理学的特性についてこのようなタンパク質の迅
速なスクリーニングを可能にする。宿主細胞
任意の種々の組換え宿主細胞(各々が所望のタンパク質を発現するのに使用す
るための核酸配列を含む)もまた、本発明によって提供される。例示的な原核生
物および真核生物の宿主細胞としては、細菌、哺乳動物、真菌、昆虫、酵母また
は植物細胞が挙げられる。
原核生物宿主細胞としては、グラム陰性またはグラム陽性の生物のような真正
細菌(例えば、E.coli(HB101,DH5a,DH10およびMC1061);B.subtilisのようなB
acillus;Pseudomonas種(例えば、P.aeruginosa);Streptomyces spp.;Salmone
lla typhimurium;またはSerratia marcescans)が挙げられるが、これらに限定
されない。特定の実施態様として、KGF-2タンパク質がE.coliにおいて発現され
得る
原核生物宿主細胞に加えて、KGF-2タンパク質は、多細胞生物に由来する多数
の適切な宿主細胞の内のいずれか1つによってグリコシル化形態で発現され得る
。このような宿主細胞は、複雑なプロセシングおよびグリコシル化活性を有し得
る。原則として、任意の高等真核生物の細胞培養(脊椎動物細胞、または植物お
よび昆虫の細胞を含む無脊椎動物細胞を含もうと、含むまいと)が使用され得る
。
真核生物微生物(例えば、糸状真菌または酵母)は、KGF-2タンパク質の発現
に適切な宿主であり得る。Saccharomy cescerevisiae、または一般的なパン酵母
が、下等真核生物宿主微生物の中で最も一般に使用されるが、多数の他の属、種
および株が周知であり、そして一般的に利用可能である。
培養(組織培養)における脊椎動物細胞の増殖は周知の手順であるので、脊椎
動物細胞が使用され得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の例としては、SV40によっ
て形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7)、ヒト胎児腎臓株(293細胞または懸
濁培養における増殖のためにサブクローン化された293細胞)、新生仔ハムスタ
ー腎臓細胞およびチャイニーズハムスター卵巣細胞が挙げられるが、これらに限
定されない。他の適切な哺乳動物細胞株としては、Hela、マウスL-929細胞、Swi
ss、Balb-c、またはNIHマウス由来の3T3株、およびBHKまたはHaKハムスター細胞
株が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施態様として、KGF-2タン
パク質は、COS細胞またはバキュロウイルス細胞において発現され得る。
宿主細胞は、トランスフェクトされ得、そして好ましくは核酸の発現を許容す
る適切な条件下で所望の核酸で形質転換され得る。適切な宿主細胞の選択、およ
び形質転換、培養、増幅、スクリーニングならびに産物の産生および精製のため
の方法は、当該分野で周知である(GethingおよびSambrook(1981),Nature,293
:620-625、あるいは、Kaufmanら、(1985),Mol.Cell.Biol.,5(7):1750-1759,
または米国特許第4,419,446号、これらの開示は、参考として本明細書に援用さ
れる)。例えば、細胞壁を有さない哺乳動物細胞については、リン酸カルシウム
沈殿法が使用され得る。エレクトロポレーション、マイクロインジェクションお
よび他の公知の技術もまた使用され得る。
所望のタンパク質が、相同性組換えによって、またはKGF-2タンパク質をコー
ドするDNAを既に含有する細胞に導入される制御エレメントを利用する組換え産
生法で産生され得ることもまた可能である。相同性組換えは、本来は転写的に活
性な遺伝子において変異を誘導するかまたは補正するように、遺伝子を標的化す
るために開発された技術である(Kucherlapati(1989),Prog.in Nucl.Acid Re
s.and Mol.Biol.,36:301、この開示は、参考として本明細書に援用される)。
基本技術は、特定の変異を哺乳動物ゲノムの特定の領域に導入するため(Thomas
ら、(1986),Cell,44:419-428;ThomasおよびCapecchi(1987),Cell,51:503-51
2およびDoetschmanら、(1988),Proc.Natl.Acad.Sci.,85:8583-8587、この開示
は参考として本明細書に援用される)または欠損遺伝子内の特定の変異を補正す
るため(Doetschmanら、(1987),Nature,330:576-578,この開示は参考として
本明細書に援用される)の方法として開発された。例示的技術は、米国特許第5,
272,071号;WO 92/01069;WO 93/03183;WO 94/12650およびWO 94/31560に記載さ
れている。これらの開示は参考として本明細書に援用される。宿主細胞の培養
所望のタンパク質の産生のために1以上の組換え宿主細胞の各々を培養する方
法は、多くの要因および考慮に依存して変化する;所定の状況について最適な産
生手順は、最小限の実験により当業者に明らかである。このような組換え宿主細
胞は、適切な培地において培養され、次いで発現されるタンパク質は、必要に応
じて、当業者に公知の適切な手段によって培養培地(または細胞内で発現される
場合には、細胞)から回収され、単離され、そして精製される。
詳細には、所望のタンパク質を産生するために使用される組換え細胞の各々は
、プロモーターの誘導、適切な組換え宿主細胞の選択または所望のタンパク質を
コードする遺伝子の増幅のために適切な培地において培養され得る。培地は、必
要な場合には、ホルモンおよび/または他の成長因子(例えば、インスリン、ト
ランスフェリンまたは上皮成長因子)、塩(例えば、塩化ナトリウム、カルシウ
ム、マグネシウムおよびリン酸塩)、緩衝液(例えば、HEPES)、ヌクレオシド
(例えば、アデノシンおよびチミジン)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン)
、微量元素(通常、マイクロモル濃度の範囲の最終濃度で存在する無機化合物と
して定義される)、およびグルコースまたは別のエネルギー供給源を補充され得
る。
他の補充物はまた、当業者に理解されるように、適切な濃度で含まれ得る。適切
な培養条件(例えば、温度、pHなど)はまた、選択された宿主細胞での使用につ
いて当業者に周知である。
次いで、得られる発現産物は、当該分野で公知の手順を用いてほぼ均一になる
まで精製され得る。例示的な精製技術は、公開されたPCT出願番号WO90/08771お
よびWO 96/11952に教示され、これらの開示は、参考として本明細書に援用され
る。使用
KGF-2タンパク質および生物学的活性を有するその化学的に修飾された誘導体
(集合的に、「KGF-2タンパク質産物」)は、研究試薬として、ならびに治療薬
剤および診断薬剤として使用され得る。したがって、KGF-2タンパク質産物は、
インビトロおよび/またはインビボ診断アッセイにおいて使用されて、組織また
は器官のサンプル中のKGF-2の量が定量化され得る。
例えば、KGF-2タンパク質産物は、当該分野で公知の技術(WO 90/08771)を用
いて種々の体液および組織のサンプル中のKGF-2タンパク質のレセプターの同定
のために使用され得る。
本発明はまた、KGF-2タンパク質産物(天然のKGF-2を含む)に対して作製され
る抗体の生成におけるKGF-2タンパク質産物の使用を意図する。当業者は、モノ
クローナル抗体またはポリクローナル抗体あるいは組換え抗体を得るために周知
の、刊行された手順を使用し得る。次いで、このような抗体は、KGF-2タンパク
質産物(天然のKGF-2を含む)を精製および特徴付けるために使用され得る。薬学的組成物
本発明は、各々、治療的にまたは予防的に有効量のKGF-2タンパク質産物を含
有する薬学的調製物を意図する。
薬学的組成物は、各々、一般に、ビヒクルとの混合物として治療的に有効また
は予防的に有効な量のKGF-2タンパク質産物を含有する。ビヒクルは、好ましく
は、KGF-2タンパク質産物との混合物として1以上の薬学的および生理学的に受
容可能な処方物物質を含む。
ビヒクル中の主な溶媒は、水性または非水性のいずれかの性質であり得る。さ
らに、ビヒクルは、以下を改変または維持するための他の薬学的に受容可能な賦
形剤を含有し得る:pH(例えば、クエン酸、リン酸、およびグリシンのようなア
ミノ酸のような緩衝液);浸透圧(例えば、マンニトールおよび塩化ナトリウム
);粘性;明澄性;呈色;無菌性;安定性(例えば、スクロースおよびソルビトー
ル);処方物のにおい;溶解の速度(例えば、アルコール、ポリエチレングリコー
ルおよび塩化ナトリウムのような溶解剤または可溶化剤);放出の速度;ならび
に凍結乾燥処方物のためのバルク剤(例えば、マンニトールおよびグリシン);
界面活性剤(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80、トリトン、および
プルーロニック);抗酸化剤(例えば、硫酸ナトリウムおよび亜硫酸水素ナトリ
ウム);保存剤(例えば、安息香酸およびサリチル酸);香料および希釈剤;乳化
剤;懸濁剤;溶媒;賦形剤;送達ビヒクル;希釈剤および/または薬学的アジュ
バント。他の有効な投与形態(例えば、非経口徐放物、吸入霧、経口活性処方物
、または坐薬)もまた意図される。
組成物はまた、バルク侵食ポリマーのようなポリマー化合物(例えば、ポリ(乳
酸-コ-グリコール酸)(PLGA)コポリマー、PLGAポリマーブレンド、PEGのブロック
コポリマー、および乳酸およびグリコール酸、ポリ(シアノアクリレート));表面
侵食ポリマー(例えば、ポリ無水物)およびポリ(オルトエステル);ヒドロゲル
エステル(例えば、プルーロニックポリオール、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(
ビニルピロリドン)、リンゴ酸無水アルキルビニルエーテルコポリマー、セルロ
ース、ヒアルロン酸誘導体、アルギン酸、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、
ならびに澱粉およびデキストラン)およびそれらの組成物の系)の粒子性調製物、
あるいはリポソームまたはミクロスフェアの調製物を含む。このような組成物は
、本発明のタンパク質および誘導体の物理的状態、安定性、インビボ放出の速度
、およびインビボクリアランスに影響し得る。所望のタンパク質について最適な
薬学的処方物は、投与の経路および所望の用量に応じて当業者に決定される。例
示的な薬学的組成物は、Remington's Pharmaceutical Sciences,第18版、(1990
),Mack Publishing Co.,Easton PA 18042,1435-1712頁;Gombotzおよび
Pettit(1995),Bioconjugate Chem.,6:332-351;Leone-Bayら、(1995),Journal
of Medicinal Chemistry,38:4263-4269;Haasら、(1995),Clinical Immunolog
y and Immunopathology,76(1):93;WO 94/06457;WO 94/21275;FR 2706772および
WO 94/21235に開示されており、これらの開示は参考として本明細書に援用され
る。
特定の持続放出組成物は、種々の供給会社(Depotech Corp.(DepofoamTM,多
小胞リポソーム);Alkermes,Inc.(ProLeaseTM,PLGAミクロスフェア)を含む)
から入手可能である。本明細書中で使用される場合、ヒアルロナンは、ヒアルロ
ナン、ヒアルロン酸、それらの塩(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム)、エステ
ル、エーテル、酵素的誘導体およびヒアルロン酸の架橋ゲル、ならびにヒアルロ
ン酸の化学的に修飾された誘導体(例えば、ヒラン(hylan))を含むことが意図
される。ヒアルロナンの例示的な形態は、米国特許第4,582,865号、同第4,605,6
91号、同第4,636,524号、同第4,713,448号、同第4,716,154号、同第4,716,224号
、同第4,772,419号、同第4,851,521号、同第4,957,774号、同第4,863,907号、同
第5,128,326号、同第5,202,431号、同第5,336,767号、同第5,356,883号;欧州特
許出願第0 507 604 A2号、同第0 718 312 A2;およびWO 96/05845に開示されてお
り、これらの開示は参考として本明細書に援用される。ヒアルロナンの供給業者
としては、BioMatrix,Inc.Ridgefield,NJ;Fidia S.p.A.,Abano Terme,Ital
y;Kaken Pharmaceutical Co.,Ltd.,Tokyo,Japan;Pharmacia AB,Stockholm,
Sweden;Genzyme Corporation,Cambridge,MA;Pronova Biopolymer,Inc.Posts
mouth,NH;Calbiochem-Novabiochem AB,Lautelfingen,Switzerland;Intergen
Company,Purchase,NYおよびKyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd.,Tokyo,Japanが挙
げられる。
経口的徴候の処置および/または予防のために、液体溶液または懸濁物が口内
洗浄剤と類似の様式で使用され得る。ここで、液体は、病変の処置を最大化する
ように口の周辺にひと振り(swish)される(米国特許第5,102,870号、この教示
は、参考として本明細書に援用される)。粘膜表面とのより長い接触は、粘膜を
コートし得る適切なビヒクルを選択することによって達成され得る。代表的な例
は、Orabase RegisteredTM(Colgate-Hoyt Laboratories,Norwood,MA)のような
処方物、スクラルファート懸濁物、KaopectateおよびMagnesiaのMilkのような処
方物を含有するペクチンである。処方物はまた、薬学的に受容可能な非毒性ビヒ
クルまたはキャリアを有する塗布可能なクリーム、ゲル、ローションまたは軟膏
である。KGF-2タンパク質産物はまた、例えば、緩徐に溶解する錠剤またはトロ
ーチ、チューイングガムベース、または舌下錠あるいは後方臼歯にホックでとめ
られた緩徐送達補綴具中に取り込まれ得る。鎮痛剤および麻酔剤のような治療薬
剤は、疼痛を軽減するために投与され得、そして例えば、抗感染剤、抗細菌剤、
抗真菌剤、および防腐剤が、病変の二次感染を予防および/または処置するため
に投与され得る。
一旦、薬学的組成物が処方されると、溶液、懸濁物、ゲル、乳液、固体、また
は脱水されたかもしくは凍結乾燥された粉末として無菌バイアル中で保存され得
る。このような処方物は、調製済み形態または投与の前に再構築を必要とする形
態(例えば、凍結乾燥)のいずれかで保存され得る。
特定の実施態様において、本発明は、単一用量の投与単位を産生するためのキ
ットに関する。キットは、各々、乾燥したタンパク質を有する第1のコンテナお
よび水性処方物を有する第2のコンテナの両方を含有する。本発明の範囲内に含
まれるキットは、単一および複数のチャンバーの予め充填されたシリンジ;例示
チャンバーの予め充填された分散シリンジ(lyosyringe)のような分散シリンジ
)がVetter GmbH,Ravensburg,Germanyから入手可能である。
KGF-2タンパク質産物は、上皮細胞への損傷を有するか、または臨床的に不十
分な数の上皮細胞を有することによって特異的に特徴付けられる器官または組織
に治療的および予防的に有効な量で適用され得る。本明細書中に記載されるKGF-
2タンパク質産物処方物が、獣医学ならびにヒト適用のために使用され得、そし
て用語「患者」は限定的な様式で解釈されるべきでないことに留意すべきである
。
患者にKGF-2タンパク質産物を投与する頻度は、患者の疾患および状態、なら
びに処方される場合にKGF-2タンパク質産物の薬学的動態学的パラメータ、およ
び投与の経路に依存する。KGF-2タンパク質産物は、1回投与され得るか、毎日
投与され得るか、または最初のボーラス投与、続く継続的投与または持続的送達
により投与され得る。他の様式の継続的またはほぼ継続的投与が実施され得るこ
ともまた意図される。例えば、化学的誘導体化は、決定された投与計画に基づい
て、予想可能な量で、血流における継続的存在の作用を有するタンパク質の持続
性放出形態を生じ得る。
上皮細胞の刺激(細胞保護作用、増殖、および/または分化を含む)を必要とす
る患者は、KGF-2タンパク質産物の有効量を投与されて、患者において所望の応
答を惹起し得る。特定の状態を予防または処置する方法に関与する投与計画は、
担当医によって、薬物の作用を改変する種々の要因(例えぱ、患者の年齢、状態
、体重、性別、および食事)を考慮して、任意の感染の重篤度、投与の時間、お
よび他の臨床的要因を決定される。適切な投与量は、適切な用量応答データと共
に利用して投薬量を決定するための確立されたアッセイの使用を介して確かめら
れ得る。代表的な投薬量は、0.001mg/kg体重〜500mg/kg体重の範囲であり、好ま
しくは200mg/kg体重、より好ましくは100mg/kg体重である。
KGF-2タンパク質産物は、局所的か、経腸的か、または非経口的な投与(静脈内
、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、関節内、目窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経
気管、皮下、角質下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、および胸骨内の注射
ならびに注入を限定されずに含む)投与され得る。KGF-2タンパク質産物は、経口
投与または粘膜(すなわち、全身送達のための鼻腔内、舌下、頬側、直腸内の粘
膜)を介して投与される。KGF-2タンパク質産物は、患者の疾患および状態に依存
して単回使用され得るかまたは繰り返し投与され得る。いくつかの場合、KGF-2
タンパク質産物は、他の治療に対するアジュバントとして、そしてまた他の薬学
的調製物とともに投与され得る。
別の実施態様において、細胞治療(例えば、KGF-2タンパク質を産生する細胞の
移植)もまた、意図される。本発明のこの実施態様は、生物学的活性型のKGF-2タ
ンパク質の合成および分泌し得る患者細胞への移植を含み得る。KGF-2タンパク
質を産生するこのような細胞は、KGF-2タンパク質を正常に分泌しないが、KGF-2
タンパク質の産生が改変されている細胞であり得るか、またはKGF-2タンパク質
を産生する能力が、KGF-2タンパク質の発現および分泌に適したポリヌクレオチ
ドでの形質転換によって増大されている細胞であり得る。外来種のKGF-2タンパ
ク質を投与されている患者において潜在的な免疫学的反応を最小化するために、
細胞が患者(例えぱ、ヒト)と同種であるか、または細胞が免疫学的認識に対して
障害を与える物質でカプセル化されているか、免疫学的特権を与えられた解剖学
的位置(例えば、精巣、目、および中枢神経系)へ配置された細胞であることが好
ましい。
ヒトまたは非ヒト動物細胞は、患者において、KGF-2タンパク質の放出を可能
にするが、患者の免疫系または周囲の組織由来の他の有害な因子による細胞の崩
壊を妨げる生体適合的な、半透性の高分子封入物または膜において移植され得る
。あるいは、KGF-2タンパク質を産生するようにエキソビボで形質転換された患
者自身の細胞は、このようなカプセル化を有さない患者へ直接移植され得る。生
存細胞の膜カプセル化の方法論は、当業者に精通しており、そしてカプセル化細
胞の調製および患者におけるそれらの移植は、公知の技術(米国特許第4,892,538
号;同第5,011,472号;および同第5,106,627号、これらの開示は本明細書によっ
て参考として援用される)を用いて達成され得る。
なお別の実施態様において、インビボ遺伝子治療もまた想像され、ここでKGF-
2タンパク質をコードする核酸配列は、直接患者に導入される。肝細胞への効率
的かつ長期耐久性の遺伝子導入は、肝疾患の予防および/または処置するタンパ
ク質の局所的発現のため、および/または他の器官または組織における疾患の予
防および/または処置するタンパク質の分泌のための効率的な遺伝子治療を必要
とする。
DNA構築物は、DNAが、そのような組織で活性であるプロモーターに作動可能に
連結されるならぱ、インビボで組み込まれそして発現される処置されるべき器官
の組織へ直接注射され得る。DNA構築物はまた、細胞内の組み込みを助けるため
に、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、パピローマウイルスベ
クター、および/またはヘルペスウイルスベクターのようなそのようなベクター
由来のベクター配列をさらに含み得る。物理的導入は、所望の核酸構築物または
所望の核酸配列を含む他の適切な送達ベクターの局所的な注射(例えぱ、リポソ
ーム媒介導入、直接注射(裸のDNA)、レセプター媒介導入(リガンドDNA複合体)、
または微粒子照射(遺伝子銃))によってインビボで達成され得る。肝臓における
肝細胞のインビボ再生成のために、モロニーレトロウイルスベクターが、特に有
効であり得る(Boschら(1996);Cold Spring Harbor,Gene Therapy Meeting,1996
年9月25-29日;およびBoschら(1996),Joumal of Clinical Investigation,98(12 )
:2683-2687)。
以下の実施例は、本発明のより完全に例示するために含まれる。改変が、示さ
れた手順において、本発明の精神から逸脱することなくなされ得ることが理解さ
れる。
実施例
以下の実施例において記載される多くの手順、または適切に改変された手順に
ついての標準的方法は、例えぱ、Sambrookら(1989)(前出)およびAusubelら(1990
)(前出)のような分子生物学の広く認められたマニュアルに提供される。全ての
化学薬品は、分析グレードまたはUSPグレードのいずれかである。実施例1:タンパク質産生
以下の実施例は、His rFGF10およびhFGF10の産生を教示する。
A.DNA の調製
pAMG21 His rFGF10:
プラスミドpAMG21 His rFGF10は、図2に示されたアミノ酸配列をコードするD
NAを含む。pAMG21 His rFGF10を以下のように構築した。
初めに、プラスミドpAMG21 dN6r FGF10を構築した。この構築のために、以下
のNdeI部位を組み込む5'オリゴヌクレオチドプライマー(OLIGO#1)、およびBamHI
部位を組み込む3'オリゴヌクレオチドプライマー一(OLIGO#2)とともにベクターp
GEM-T(Promega,Madison,WI)中の成熟ラットFGF10 cDNA(pGEM-T rFGF10と命名
された)をテンプレートとして用いて、PCRを実施した(Yamasakiら(1996),J.Bio
l.Chem.,271(27):15918-15921,rFGF)。
この反応において生成されたPCR産物を精製し、制限エンドヌクレアーゼNdeIお
よびBamHIで消化した。525塩基対(bp)制限消化PCR産物をアガロースゲルから精
製し、そして同様に精製された6キロベース(kb)BamHIとともにNdeI pAMG21ベク
ターDNAフラグメントヘ連結した。[発現ベクターpAMG21(ATCC受託番号98113)は
、luxPRプロモーターから下流に遺伝子の挿入のための適切な制限部位を含む(lu
x発現系の記載については、米国特許第5,169,318号を参照のこと)]。得られたコ
ードされたrFGF-10タンパク質は、以下のアミノ末端(N末端)アミノ酸配列を有す
るタンパク質を含む、最初の6アミノ末端アミノ酸残基から天然に存在するメチ
オニン残基の欠失によってrFGF10とは異なる:MVSPEAT....(図2、Yamasakiら(199
6)前出の残基43で開始する)。
次に、プラスミドpAMG21HisrFGF10を、pAMG21Hisベクターを用いて構築した。
pAMG21 Hisベクターは、以下のようにpAMG21とは異なる:pAMG21開始メチオ,ニン
コドン(ATG)とそれに続く配列(GTTAACG...)との間に、以下の配列が「AAA CAT C
AT CAC CAT CAC CAT CAT GCT AGC」が挿入され、これは「KHHHHHHHAS」をコード
する。7×Hisタグの後のAlaおよびSerのコドンの付加は、クローニングに都合の
よい制限部位NheIを生じる。
次いで、pAMG21 Hisプラスミドベクターのの4.7kb BstXI-NheIフラグメントを
、pAMG21 dN6 rFGF10の1.8kbBspEI-BstXIフラグメントならびに以下のオリゴヌ
クレオチドリンカーOLIGO#3およびOLIGO#4(NheI〜BspEI)を連結した。
得られたコードされたタンパク質は、ヒスチジンタグ(7×His)、続いて全長(成
熟)N末端配列を(図1、Yamasakiら(1996)前出の残基37で開始する)およびエンテ
ロキナーゼ切断部位を有することによってdN6 rFGF10とは異なる。22アミノ酸を
、以下のようにdN6 rFGF10のアミノ末端へ付加した:MKHHHHHHHASDDDDKQALGQD[MV
SPEAT....]
E.coli宿主株GM120(ATCC受託番号55764)は、原栄養株E.coli K12宿主の宿主染
色体中の第2の部位へ挿入されたlacIQプロモーターおよびlacI遺伝子を有する
。この連結混合物を含むGM120 E.coli宿主の形質転換、および40μg/mlのカナマ
イシンを含むLuria寒天プレート上へのプレーティングは、組換え細菌コロニー
を生じた。正しい組換えプラスミドを含む細菌クローンを、PCRスクリーニング
によって同定した。プラスミドDNAを精製し、そして配列決定して挿入配列を確
認した。遺伝子産物を発現するための組換え細菌培養物の増殖を、以下に記載す
る。
pAMG21 hFGF10:
プラスミドpAMG21 hFGF10は、図3(hFGF10)に示されたアミノ酸配列をコードす
るDNAを含む。従って、hFGF10は、上記に示されるように、配列番号2のLeu40〜
Ser208の配列を有する。pAMG21 hFGF10を、以下のように構築した。
プラスミドpAMG21 dN20 hFGF10は、以下のN末端アミノ酸配列を生じる、成熟
rFGF10配列の最初の28アミノ末端残基をコードするDNAの欠失を含む:MSSPSSA...
..(図2、Yamasakiら(1996)前出の残基65で開始する)プラスミド。pAMG21 dN20 h
FGF10を、以下のように構築した。
6kb BamHI-NdeI pAMG21ベクターフラグメントを、以下のように生成したNdeI-
BamHI dN20 hFGF10 PCR産物へ連結した:PCRを、テンプレートとしてpGEM-T rFG
F10および以下の、rFGF10遺伝子の5'末端でNdeI部位を組み込み、そして最初の2
8アミノ酸のコドンを欠失する5'オリゴヌクレオチドプライマー(OLIGO#5)、およ
びrFGF10遺伝子の3'末端でBamHI部位を組み込んだ3'オリゴヌクレオチドプライ
マー(OLIGO#6)を用いて実施した:
このPCR産物を精製し、制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびBamHIで消化し、そし
て上記のように6Kb BamHI-NdeI pAMG21ベクターフラグメントへ連結した。
プラスミドpAMG21 rFGF10を、以下のオリゴヌクレオチドリンカーOLIGO#11お
よびOLIGO#8(NdeIからBspEI)を有する、pAMG21 His rFGF10の6.5Kb BspEI-NdeI
フラグメントの連結によって作製した。
得られたコードされたタンパク質は、7×ヒスチジンタグの欠失、およびもとの
成熟アミノ末端タンパク質配列(MLGQDM....)の修復によってHis rFGF10とは異な
る。
pAMG21 His rFGF10の4.8Kb BxtXI-BspEIフラグメントを、pAMG21 dN20 hFGF10
PstI(導入された)一BstXIの1.8Kbフラグメント、およびラット配列から8つのセ
リンコドンを欠失させるために以下のOLIGO#13およびOLIGO#14オリゴヌクレオチ
ドリンカー(PstIからBspEI)と連結した。
GM120 E.coli宿主細胞を、このpAMG21 hFGF10連結産物で形質転換し、および4
0μg/mlのカナマイシンを含むLuria寒天プレート上へのプレーティングは、組換
え細菌コロニーを生じた。正しい組換えプラスミドを含む細菌クローンを、PCR
スクリーニングによって同定した。プラスミドDNAを精製し、そして配列決定し
て挿入配列を確認した。遺伝子産物を発現するための組換え細菌培養物の増殖を
、以下に記載する。
B.E.coli における産生:
DNA配列が確認された目的のプラスミド(それぞれ、pAMG21 His rFGF10およびp
AMG21 hFGF10)を含む組換えGM 20 E.coli細胞の培養は、各々、導入された遺伝
子の発現を最適化するために、以下のように増殖させる:
Luria Broth+カナマイシンの5百ミリリットルフラスコに細胞を接種し、そ
して10〜16時間30℃で増殖させた。500mLのすべてを、15Lファーメンター中のNZ
アミンを基礎にした培地の9L〜11Lに添加した。すべてのバッチは、pH7および
50%以上の溶存酸素酸素レベルで増殖させた。pAMG21 His rFGF10を含む細胞お
よびpAMG21 hFGF10を含む細胞のバッチはそれぞれ、30℃で増殖および誘導され
た。これらのバッチは、pH7および>50%の溶存酸素酸素レベルで増殖させた。
光学的な細胞密度が10±2に達したとき、自動インデューサー(autoinducer)を
ファーメンターに添加し、そして細胞を、12時間増殖させた。12時間後、培養液
を15℃以下に冷却し、ファーメンターから廃液し、そして細胞を遠心分離により
回収した。細胞ペーストを凍結した。
C.精製
His rFGF10:
His rFGF10を3段階のクロマトグラフィーを用いて、E.coli細胞ペーストから
精製した:pH7.5でのS-Sepharose、pH8.5でのS-Sepharose、およびキレーティン
グ(Ni)-セファロース。80グラムのE.coli細胞ペーストを、10倍量のH2O中でホモ
ジェナイズし、次いで細胞を細胞を微小流動化装置(microfluidizer)において破
壊した。破壊された細胞懸濁液を15,300×gで3時間、遠心分離した。可溶性His
rFGFを含む上清を、1mM Tris-HCl,pH7.5を添加することによって40mM Tris-H
Cl(pH7.5)に調整し、次いで40mM Tris-HCl(pH7.5)において平衡化された300mLの
S-Sepharose FFカラムにアプライした。非結合タンパク質を除去するために平行
緩衝液で徹底的にカラムを洗浄した後、カラムを40mM Tris-HCl(pH7.5)中の0
〜2M NaClの40容量グラジエントで溶出した。0.8Mと1.0M NaClとの間に溶出さ
れた画分が、SDS-PAGE上で24kDaのバンドとして検出されたHis rFGF10を含んだ
。このバンドの同一性を、N末端配列決定によって確認した。これらの画分をプ
ールし、H2Oで希釈して、NaCl濃度を0.4Mに減少させ、そして1M Tris-HCl(pH9.2
)の添加によってpH8.5に調整した。このサンプルを、40mM Tris-HCl(pH8.5)で平
衡化された75mLのS-Sepharose HPカラムにアプライした。カラムを、非結
合タンパク質を除去するために40mM Tris-HCl(pH8.5)で洗浄し、次いで同じ緩衝
液中の0〜2M NaClの40容量グラジエントで溶出した。0.9Mと1.1M NaClとの間
に溶出された画分をプールした。プールした画分を、1M NaCl、40mM Tris-HCl(p
H8.5)、1mMイミダゾールで平衡化した200mLのキレーティング(Ni)Sepharoseカラ
ムにアプライした。カラムを、非結合タンパク質を除去するために平衡化緩衝液
で洗浄し、1M NaCl/40mM Tris-HCl(pH8.5)中の0〜100mMのイミダゾールの20容
量グラジエント、次いで同じ緩衝液中の100〜500mMイミダゾールの20容量グラジ
エントで溶出した。His rFGF10は、100〜200mMイミダゾールの間に溶出した。Hi
s FGF10を含む画分をプールし、濃縮し、そしてリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で
緩衝液交換した。銀染色またはCoomassie-Blue染色されたSDS-ゲルによって分析
されたサンプルの精製度は、97%より大きいと見積もられた。全収率は、80g細
胞ペーストから459mgの精製されたHis rFGF10であった。
hFGF10:
hFGF10を3段階のクロマトグラフィーを用いて精製した:S-Sepharose(pH7.5)
、ヘパリンSepharose(pH7.5)、およびハイドロキシアパタイト。hFGF10を含む10
0グラムのE.coli細胞ペーストを、上記と全く同様にホモジェナイズし、そして
破壊した。15,300×gで3時間の遠心分離後、可溶性hFGF10を含む上清を、1mM T
ris-HCl,pH7.5を添加することによって40mM Tris-HCl(pH7.5)に調整し、次いで
40mM Tris-HCl(pH7.5)において平衡化された300mLのS-Sepharose FFカラムにア
プライした。非結合タンパク質を除去するために平行緩衝液で徹底的にカラムを
洗浄した後、カラムを40mM Tris-HCl(pH7.5)中の0〜2M NaClの40容量グラジエ
ントで溶出した。0.9Mと1.1M NaClとの間に溶出された画分が、SDS-PAGE上で検
出されたhFGF10を含んだ。このバンドの同一性を、N末端配列決定によって確認
した。これらの画分をプールし、40mM Tris-HCl(pH7.5)で希釈して、NaCl濃度を
0.4Mに減少させ、そして40mM Tris-HCl(pH7.5)で平衡化された60mLのヘパリンSe
pharoseカラムにアプライした。カラムを、非結合タンパク質を除去するために
平衡化緩衝液で洗浄し、次いで同じ緩衝液中の0〜3M NaClの80容量グラジエン
トで溶出した。hFGF10は1.0Mと1.35M NaClとの間に溶出された。これらの画分を
プールしそして40mM Tris-HCl(pH7.5)に対して透析した。透析サンプルを、40mM
Tris-HCl(pH7.5)で平衡化された50mLハイドロキシアパタイトカラムヘアプライ
した。サンプルのアプライ後、カラムを非結合タンパク質を除去するために平衡
化緩衝液で洗浄し、次いで0〜0.5M NaClの40容量グラジエントで溶出した。0.2
4Mと0.44M NaClとの間に溶出する画分は、hFGF10を含んでいた。これらの画分を
プールし、濃縮し、そしてPBSに緩衝液交換した。サンプルの精製度は、Coomass
ie-Blue染色されたSDS-ゲルによって97%より大きいと見積もられた。精製され
たhFGF10の収率は、100g細胞ペーストから90mgであった。
実施例2:インサイチュハイブリダイゼーション検査
インサイチュハイブリダイゼーション検査を実施し、正常な成体および胚ラッ
ト組織におけるKGF-2の発現部位を決定した。
ラットKGF-2配列のセグメント(公開されたコード領域(Genebank受託番号:D
79215)の最初の128ヌクレオチド+翻訳開始部位から上流の100ヌクレオチドを
含む)を、ラット肺cDNAから増幅し、そしてpGEM-T(Promega)にクローン化した
。線状化テンプレートを用いて高特異的活性の33P標識リボプローブを合成した
。
正常な胚および成体ラット組織のパネルを4%パラホルムアルデヒド中に固定
し、パラフィン中に包埋し、そして5μmに切片化した。インサイチュハイブリ
ダイゼーションの前に、組織を0.2M HClで透過し、続いてプロテイナーゼKで消
化し、そしてトリエタノールアミンおよび無水酢酸でアセチル化した。切片を、
55℃にて一晩、33P標識リボプローブとハイブリダイズさせ、次いで60℃にて0.1
×SSC中での高ストリージェンシー洗浄に供した。切片を、NTB2フィルムエマル
ジョン(Eastman Kodak,Rochester,NY)中に浸し、2〜3週間4℃に曝し、現像
し、そしてカウンター染色(counterstain)した。切片を暗野および標準的な照明
を用いて試験し、組織形態学およびハイブリダイゼーションシグナルの同時評価
を可能にした。
全体的に、KGF-2プローブは、バックグラウンドシグナルをほとんど有さない
か、または全く有さない、胚および成体の両方からの組織切片におけるシグナル
の明らかな分布を生じる。後期の胚において、多数のKGF-2シグナルは、上皮発
現をほとんど示さない、間葉出現を有する細胞において観察された(表2)。胚
とは異なり、成体において、KGF-2発現は上皮組織および間葉組織の両方におい
て検出された(表2)。
表2:インサイチュハイブリダイゼーション
実施例3:上皮細胞のHis rFGF10刺激増殖および分化
18匹の雌BDF1マウスを、それぞれ3匹のマウスである6群に分けた(3つの時
点にて1つの処置群および1つのコントロール群)。第1の2つの群は、5mg/k
g His rFGF10または緩衝液コントロールIVを1日間受け;第2の2つの群は、5
mg/kg His rFGF10または緩衝液コントロールIVを毎日3日間受け;そして第3の
2つの群は、5mg/kg His rFGF10または緩衝液コントロールIVを毎日7日間受け
た。収集の1時間前に、すべてのマウスに50mg/kg BrdUを注射し、照射し、そし
て屠殺した。体重および選択した器官の重量(小腸のすべてのセグメントを含む
)を計り、血液を血液学および血清化学のために抜き出し、そして器官を組織学
的分析およびBrdU標識のために収集した。
無胸腺ヌードマウスを用いてさらなる研究を行った。この研究において、5mg
/kg/日 His rFGF10を、5匹の雌ヌードマウスの横腹に8日間皮下注射した。別
の5匹の雌ヌードマウスは、緩衝液コントロールを受けた。収集の1時間前に、
すべてのマウスに50mg/kg BrdUを注射し、そして屠殺した。体重および選択した
器官の重量を計り、血液を血液学および血清化学のために抜き出し、そして器官
を組織学的分析およびBrdU標識のために収集した。
BrdU免疫組織化学を、亜鉛ホルマリン固定したパラフィン包埋組織の4μmの
厚い切片に対して行った。BrdUを、BrdUに対するラットモノクローナル抗体(MA
b)(Accurate Chemical,Westbury,NY)、続いてビオチニン化抗ウサギ/抗マウ
ス二次カクテル(BioTek Solutions,Inc.Santa Barbara,CA)、およびアルカリ
ホスファターセに三次結合したABC(BioTek)を用いて検出した。染色反応を、レ
ツドクロマゲン(chromagen)(BioTeck)を用いて可視化した。
H&EおよびBrdU染色切片を試験した。有意な組織学的知見を表3に要約する
。以下に列挙した知見に加えて、His rFGF10で皮下注射したヌードマウスは、上
皮腺過形成および皮脂腺過形成を注射部位に局在化し、そして毛幹を有する小胞
形態学の正常化は、上記の上皮表面を明らかにした。
表3:器官系による組織学的要旨 *有意な知見はない。
実施例4:正常なマウスの小腸における栄養性応答
雌BDF1マウスに、His rFGF10(5mg/kg)または生理食塩水のいずれかを、連続
する3日間腹腔内(IP)注射した。最後の注射の23時間後、各マウスを屠殺し、腸
を取り出し、そして冷生理食塩水で洗浄し、一定の緊張下でつるし、そして十二
指腸、空腸、および回腸に分けた。これらの組織の湿重量を測定し、そして体重
のパーセントとして表し、そして不対t試験を用いて、His rFGF10処置と生理食
塩水処置とを比較した。小腸湿重量における26%の増加が存在した。
実施例5:80 %短腸切除を有するラットにおける栄養性効果
本研究のために、80%の小腸(Treitzの靭帯から5cm遠位〜回盲弁から5cm近
位)を外科的に切除し、そして動物を4週間回復させた。次いで、動物を、生理
食塩水またはHis rFGF10のいずれかで、7日間、5mg/kgで皮下に処置した。動
物を屠殺し、そして残りの腸を切り出し、冷生理食塩水で洗浄し、そして10gの
一定の緊張でつるした。全長を測定し、そして腸を以下のように切片化した:第
1の1/3と命名された十二指腸、第2の1/3空腸、および最後の1/3回腸。それぞ
れの一部を、組織学および生化学的分析のために取り出した。組織学のための部
分を、パラフィン中に加工し、横断面で切断し、そしてヘマトキシリンおよびエ
オシンで染色した。画像分析を用いて空腸および回腸における粘膜の厚さおよび
陰窩の深さを測定し、そしてこのデータを用いて、絨毛の高さを計算した(粘膜
の厚さ−陰窩の深さ=絨毛の高さ)。絨毛の高さに起因して、粘膜の厚さにおい
て有意な増加(p<0.01)が存在した。
実施例6:照射したマウスの小腸における陰窩生存
雌BDF1マウスに、5mg/kg/日 His rFGF10またはビヒクルを3日間投与し、続
いてセシウム供給源からの12Gyで照射した。4日後に屠殺する1時間前に、マウ
スに50mg/kgのBrdU IPを注射した。腸を取り出し、冷生理食塩水で流し、5gm重
量を用いて一定の緊張下でつるし、そして十二指腸、空腸、および回腸に分けた
。これらのセグメントの重量を測定し、ホルマリン中で固定し、そして横切片化
のためにパラフィン中にブロックした。切片を、BrdUに対する抗体で染色し、そ
し
て光学顕微鏡を用いて標識した陰窩を計数した。3以上の標識した核/陰窩を有
するようなポジティブ陰窩を同定した。前処置は、陰窩生存を45%まで増加した
が、処置後は顕著に有効であった。
実施例7:シトシンアラビノシド(ARA-C)化学療法誘導脱毛症の新生ラットモデ ルにおけるHis rFGF10での前処置の効果
5リットルの新生ラット(1群あたり約10〜15匹で)に、His rFGF10を5mg/k
g/日で、またはPBSを5、6、および/もしくは7日齢で、IP注射した(実験の-3
、-2、および/または-1日)。実験の0〜5日目(8〜12日齢)に、すべての新
生仔に、30mg/kgシトシンアラビノシド(ARA-C)をIP注射した。
新生仔を、実験の6、8、11、13、および15日目に処置群に対して、目を覆わ
れた3人の個々の観察者によって毛の範囲および毛の密度について0〜4の点を
つけた。密度および範囲についての点数を、毎日各ラット新生仔について計算し
、点数を加算し、そして各処置群についての平均総点を計算し、そしてKruskal-
Wallisノンパラメトリックランク総点試験を用いて各時点にての統計学的意義に
ついて試験した。
すべての投与期間でのHis rFGF10は、実験8日目においてARA-C誘導脱毛症か
らの有意な程度の保護を誘導したのみであったが、すべての他の時点にて、ARA-
C保護傾向のHis rFGF10誘導が存在した。
実施例8:化学療法誘導粘膜炎症モデル
5-フルオロウラシルで処置したマウス(15/群)に、ビヒクル単独(生理食塩
水)、およびHis rFGF10を投与した。
コントロール群:-2〜0日目に1群のマウスに-2〜0日目に生理食塩水を投
与し、そして1〜4日目に5-フルオロウラシル(5-Fu,60mg/kg/日)を腹腔
内注射した。
His rFGF10前処置:-2〜0日目に1群のマウスにHis rFGF10を(5mg-kg)皮
下注射した。1〜4日目に、マウスに5-フルオロウラシル(5-Fu,60mg/kg/
日)を腹腔内注射した。
種々の群の体重および生存度に対する効果を分析した。体重を、0日目〜30日
目の終わりまで毎日測定した。マウスを、罹患の徴候について、30日間、2/日
で可視的に試験し、そしてすべての罹患した(moribund)動物を安楽死させた。
6日目の体重における%変化の最下点を表4に示す。
表4:体重に対するHis rFGF10の効果 His rFGF10での前処置はまた、生存度における増加を示した。実施例9:照射致死率モデル
G-CSFまたは生理食塩水BMT後の生理食塩水のいずれかと組み合わせた、組換え
ヒトKGF-2(配列番号2のCys37〜Ser208の配列を有し、そして一般にWO 96/2542
2,rhuFGF-2の教示に従って調製する)での前処置は、G-CSF単独または生理食塩
水コントロールと比較した場合、生存度を有意に改善した。小腸増殖性陰窩の数
は、rhuKGF-2前処置マウスにおける12Gyの4日後に増加し、そしてBMT手順は、
このrhuKGF-2誘導応答の大きさを変化させなかった。さらに、rhuKGF-2は、非致
死(9Gy)TBI後のマウスBMTedの造血回復速度を変化しなかった。rhuKGF-2前処置
は、単独またはG-CSF(100μg/kg/日、SC、1〜10日)と組み合わせた場合、末
梢血前駆細胞(1×107PBPC)を移植した致死的照射(12Gy)したマウスにおける致
死率を妨げた。BMT実験と同様に、コントロールPBPC移植マウスは生存せず、G-C
SF単独で処置したマウスは改善を有した。rhuKGF-2前処置はまた、非致死(8.5G
y)TBI後のG-CSFの存在または非存在下でのPBPC移植後の造血回復の速度を変化
しなかった。致死照射およびPBPCの前および後の療法にrhuKGF-2が与えられた場
合、それは、rhuKGF-2前処置単独で処置したマウスにおいて見られる改善した生
存度を損なわず、またそれは、非致死照射後の造血回復の動力学を変化しなかっ
た。
実施例10:照射誘導された粘膜炎症(Mucositis)モデル
粘膜炎症は、マウス中で、12Gyの全体照射を用いて誘導される。マウスを、照
射の前の日から始めて、照射後3日まで継続して、5mg/kg/日の組換えヒトKGF-
2(ほぼWO 96/25422、rhuKGF-2の教示に従って調製された)で毎日処理する。照射
の4日後、マウスを剖検し、そして増殖性の陰窩(BUdR陽性細胞を含む)の数を計
数する。
rhuKGF-2処理は、非rhuKGF-2処理動物に比べて小腸の十二指腸、近位および遠
位空腸における増殖性の陰窩の数を増大する。rhuKGF-2はまた、照射マウスにお
ける体重損失を低減し得る。
実施例11:アドリアマイシン誘導炎症粘膜モデル
粘膜炎症は、24mg/kgのアドリアマイシンの単回腹膜内用量で誘導される。マ
ウスを、照射の前の日から始めて、照射後3日まで継続して、1mg/kg/日のrhuK
GF-2で毎日処理する。照射の4日後、マウスを剖検し、そして増殖性の陰窩(BUd
R陽性細胞を含む)の数を計数する。
rhuKGF-2処理は、非rhuKGF-2処理動物に比べて十二指腸、空腸および回腸にお
ける増殖性の陰窩の数を増大する。
実施例12:結腸炎モデル
各10動物の2つの群で、50mg/kg体重の用量で、エタノール中の2,4,6-トリニ
トロベンゼンスルホン酸の結腸滴注により結腸炎を誘導する。rhuKGF-2が保護的
メカニズムを通じて作用するか否か決定するために、1つの群(A群)のラットを
、5mg/kg(i.p.)の用量で、結腸炎の誘導前24時間および1時間にrhuKGF-2また
はビヒクルで前処理し、そして動物を、損傷後8時間で屠殺する。可能な治癒効
果を評価するために、rhuKGF-2またはビヒクル(同じ用量、i.p.)を、結腸炎の誘
導後24時間に第2の群(B群)に注射し、そして処置を、1週間の間毎日継続する
。組織損傷を顕微鏡により調べ、そして潰瘍またはびらんの割合として表現する
。
結腸炎の誘導後にrhKGF-2で処置する動物(B群)は、コントロール(A群)
を比較して、顕著に少ない潰瘍形成を示す。結腸炎の導入前に処置する動物にお
いて侵食が存在するが、8時間という短い研究期間に起因して潰瘍は見られず、
侵食は、コントロール(A群)において見られる潰瘍とは顕著には異ならない。
実施例13:デキストラン硫酸誘導結腸炎モデル
研究1:ラットに、水中4%および6%のDSSを1週間餌付けする。2週目の
終わりに、結腸の末端の4cmを保存する。0.5cm間隔で8切片を調製し、そして
H&Eで染色する。壊死(腺構造の破壊)を有する各結腸切片のパーセントを、
ランダムかつコード化した様式で評価する。
研究2:ラットに、14日間、IPビヒクルまたはrhuKGF-2(1mg/kg/日)を与え
、そして水または4%デキストラン硫酸ナトリウムを餌付けする。結腸切片をPA
Sで染色する。
デキストラン硫酸ナトリウムは、結腸粘膜壊死において用量に関連する増加を
誘導するようである。1mg/kg/日で14日間投与されたrhuKGF-2は、コントロール
群ならびにデキストラン硫酸ナトリウム処置ラットにおける結腸ムチン産生を増
加させる。
実施例14:ラット肝硬変モデル
150〜175グラム重量の雄Sprague-Dawleyラットを使用する。研究の間に、動物
を、飲料水中のフェノバルビトール(phenobarbitol)(0.35mg/ml)に曝す。光イソ
フルランス麻酔下にある間、動物にコーン油ビヒクル中のCCl4を毎週投与する。
CCL4の開始用量はラットあたり40μlである。用量を、毎週、体重増加に基づい
て40μlの増分内で多くまたは少なく調整する。10のコントロール動物を、飲料
水中のフェノバルビトールに曝し、そしてコーン油ビヒクルで毎週洗浄する。肝
臓機能を、ブロモスルホフタレイン(bromosulphopthylein)(BSP)クリアランス、
血清トランスアミナーゼレベル、および血清アルブミンレベルの測定によって評
価する。屠殺の時点にて、肝臓を取り出し、重量を測定し、そしてコラーゲン沈
着および線維症の指標としてのヒドロキシプロリンレベルの定量のために処置す
る。
動物を、上記の肝硬変誘導プロトコルに基づいて11週間維持する。11週におい
て、動物を、コントロールおよびrhuKGF-2処置群にランダムに分ける。rhuKGF-2
を、1mg/kgの用量での全15日間の皮下注射によって、1日あたり1回与える。1
5日のrhuKGF-2処置後、動物を安楽死させる。
CCl4で肝硬変を誘導するラットは、血清BSP濃度における上昇を示し、この薬
剤の障害性肝臓クリアランスを反映する。rhuKGF-2で処置されたラットは、非処
置動物より低いBSP血清レベルを有し、障害性肝臓機能を示す。CCl4によって肝
硬変にしたラットは、SGPTにおける上昇を示し、これはrhuKGF-2処置によって逆
転される。rhuKGF-2処置は、血清アルブミンを上昇させ得る。rhuKGF-2処置は、
肝臓対体重の比を増加させ、代償的な肝臓成長を反映する。
実施例15:肝切除モデル
70%の部分的肝切除に供したラットは、1mg/kg/日 rhuKGF-2で処置する場合
、非処置動物と比較した場合よりも迅速に、その元々の肝臓重量を回復する。
実施例16:急性肝毒性モデル
急性肝毒性モデルにおいて、rhuKGF-2処置(興奮剤の3時間前または3時間後
のいずれかでの1mg/kg)は、四塩化炭素、アセトアミノフェン、またはガラクト
サミンのいずれかで誘導した急性肝不全を有するラット中の血清トランスアミナ
ーゼレベルにおける増加を弱める。rhuKGF-2での前処置はまた、スルホブロモフ
タレイン(BSP)クリアランスによって測定される場合、アセトアミノフェン後の
肝臓クリアランス機能における減少を妨げる。
実施例17:インビボでのレトロウイルス媒介遺伝子移入モデル
マウスに、rhuKGF-2を静脈注入する(1〜5mg/kg)。rhuKGF-2の静脈注射の48
時間後、非刺激肝臓と比較して、マウス肝細胞増殖は増加し、そして正常な増殖
レベルに戻る。モジュールも微視的異常も、急性的にも5か月後にも観察されな
い。
rhuKGF-2処置後にMoloneyレトロウイルスベクターを発現する高力価E.coli La
cZの静脈注射を行う場合(1×108cfu.ml)、β-ガラクトシダーゼ発現は、形質
導入された肝細胞のパーセントを増加させる。数か月後、形質導入した肝細胞
の一部は、X-galポジティブなままである。
実施例18:糖尿病のインビボモデル
研究の開始にて200〜260グラム重量の雄ラットを、このモデルにおいて使用す
る(WO 9611950)。糖尿病を、体重1kgあたりクエン酸ナトリウム緩衝液中50mgの
ストレプトゾトシンの単回静脈注射によって誘導する。非糖尿病コントロールラ
ットは、コントロールの目的のために、クエン酸ナトリウム緩衝液の単回静脈注
射を受ける。rhuKGF-2を、皮下注射として毎日投与する。rhuKGF-2用量は3また
は5mg/kg/日であり、実験に依存する。
第1の実験において、rhuKGF-2治療を、糖尿病の2日前に開始し、誘導し、そ
して糖尿病誘導の導入後に全8回の注射を続ける。糖尿病誘導前にrhuKGF-2で処
置し、rhuKGF-2がまた誘導後に続けられるそれらの糖尿病ラットは、糖尿病のよ
り軽い形態を示す症状を示す。従って、rhuKGF-2治療は、ストレプトゾトシン誘
導β細胞崩壊後、疾患の誘導を部分的に妨げるか、またはインスリン産生島細胞
を回復する。
第2および第3の実験において、皮下投与されるrhuKGF-2治療を、ストレプト
ゾトシンでの糖尿病の誘導の1日後に開始する。第2の研究において、水分摂取
および尿排出の促進は、9日目の糖尿病ラットと比較した場合にrhuKGF-2処置糖
尿病ラットにおいて顕著により少なく、これは、疾患状態の寛解をさらに示す。
第3の研究において、rhuKGF-2治療は、塩化ナトリウム溶液で処置した糖尿病ラ
ットと比較した場合、糖尿病ラットの膵臓中のインスリンおよびCペプチドの総
含量を増加し得る。
4番目の実験において、rhuKGF-2治療の7日間過程を、ストレプトゾトシン処
置の7日後に開始し、そして動物をさらに12週間実験を続ける。4番目の実験を
除くすべての実験において、血中グルコースレベル、尿中グルコースレベル、お
よび尿容量を、分析の終点として使用する。さらに、水分摂取、尿中Cペプチド
レベル、または総膵臓インスリン、およびCペプチド含量をいくつかの実験にお
いて測定する。4番目の実験において、血中グルコースが唯一の終点である。
大きな画分のインスリンが、肝臓によって循環から除去されるために、末梢イ
ンスリン濃度の測定は、膵臓からのインスリン分泌ではなく、肝臓代謝後の事象
を反映する。従って、Cペプチドの測定は頻繁になされ、そしてインスリン分泌
の末梢マーカーとして使用される。Cペプチドは、プロインスリンのインスリン
へのプロセスから産生される。インスリンおよびCペプチドは、β細胞から等モ
ル量で分泌され、そして少量のCペプチドのみが肝臓によって抽出される。
rhuKGF-2を受けた両方の群からのSTZ処置動物は、rhuKGF-2投与期間での血中
グルコースにおける顕著な減衰を有する。
本発明は、一般的に、および好ましい実施態様によっての両方で先に記載され
たが、上記の説明を考慮して、他の変異および改変が当業者に想像されることが
理解される。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61P 27/16 A61P 27/16
29/00 29/00
(31)優先権主張番号 60/033,457
(32)優先日 平成8年12月10日(1996.12.10)
(33)優先権主張国 米国(US)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,ID,IL,IS,JP
,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,
LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M
W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD
,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,
TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW
(72)発明者 ユーリッヒ,トーマス アール.
アメリカ合衆国 カリフォルニア 93012,
カマリロ,レキシントン ヒルズ ドライ
ブ 13068
(72)発明者 ダニレンコー,ディミトリー エム.
アメリカ合衆国 カリフォルニア 93012,
カマリロ,ランチョ ヴィスタ コート
13082
(72)発明者 ファーレル,キャサリン エル.
アメリカ合衆国 カリフォルニア 91351,
キャニオン カントリー,マジック マウ
ンテン レーン 28051