【発明の詳細な説明】
不透明なフルーツジュース及びその製造方法 本発明の技術分野
本発明は、不透明なジュース及びその製造法に関する。本発明は、特に梨果状
フルーツからの不透明なジュースに関する。本発明は、さらに、本発明の方法に
よって得られる細胞壁の−不透明な−材料及びその使用に関する。本発明は酵素
調製物にも関しており、この調製物は、不透明な材料及び/又はこの不透明な材
料を含むジュースを製造するのに適切に使用できる。
本発明の背景
液化は、透明なリンゴジュースを製造するのに頻繁に使用される工程である。
この工程は、細胞壁分解酵素を使用して細胞壁を完全に分解することを目的とし
ている。この工程は、適切なベクチン分解酵素、たとえばペクチンリアーゼ(P
L)、を粗製セルラーゼ調製物と組み合わせてリンゴを処理することにより行う
ことが可能であり、セルラーゼ調製物にはエンドグルカナーゼ、セロビオヒドロ
ラーゼ(CBH)及び他の活性剤などが含まれる。
リンゴの細胞壁を部分的に分解することによって不透明なリンゴジュースを製
造する方法は、Vincken et al.(1996,PhD Thesis,Enzymic Modification of C
ellulase-Xyloglucan Networks,Wageningen Agricultural University,オランダ
、9章)に記載されている。この方法により、主としてセルロース及びキシログ
ルカンを含む、分解したリンゴの細胞の懸濁物が得られる。セルロース粒子は沈
殿するのに、これらのセルロース−キシログルカン複合体が沈殿しない理由は分
かっていない。キシログルカン分子が安定化にある役割を果たしていると考えら
れる。
この方法により、Vincken et al.は、ペクチンリアーゼ、少量の粗製セルロー
ス調製物及び熟したリンゴを使用して、小規模なスケールで不透明なリンゴジュ
ースを製造することができた。熟したリンゴの使用は、これが大量のキシログル
カンエンドトランスグリコシラーゼ(XET)を含んでいることから、この方法に
おいて重要であると考えられる。少量のキシログルカナーゼがXETの脱重合化反
応の引き金に必要であると考えられる。その後、XETはリンゴの細胞壁を弱め、
ジュースの放出を容易にするがセルロース−キシログルカンのネットワークを無
傷のままに残す。セルラーゼを過量に添加すると不透明物を破壊する。
工業的な観点から、先に述べた方法には二つの重要な欠点がある。第一に、こ
の方法で使用される酵素配合物は、明らかに不透明物の安定を害する成分を含ん
でいる。第二に、菌類由来のグルカナーゼと内因性XETの間のバランスが、不透
明なジュースを得るために非常に重要なことである。しかし、このバランスを取
るには内因性XET−値を知る必要があるため、実際上は困難である。工業生産の
中でこの値を決定する方法は公知ではなく、小規模スケールであってもこの値を
知る方法を再現することは困難である。熟したリンゴを使用することに伴い、菌
類の感染を受けやすいというさらなる欠点がある。菌類、例えばペニシリウム属
はマイコトキシンを生産し、最後はジュースに残る。
不透明なリンゴジュースを製造する他の方法は、WO 95/34223に開示されて
いる。ここに開示した方法は、ペクチンバックボーンのヘアリー領域を攻撃する
酵素を含むが、その酵素には、ラムノガラクトウロナーゼ(RGase)、ラムノガラ
クトウロナンアセチルエステラーゼ(RGAE)、ガラクタナーゼ、及びこれらの組み
合わせがある。ホモガラクトウロナン分解酵素を使用する場合は、この酵素が不
透明物質の安定性を破壊する可能性があることから、強い警告が表明されている
(10ページ、実験4、6、11、13〜16ページを参照)。
本発明の目的は、工業的スケールで実行可能な、不透明なリンゴジュースの再
現可能な製造方法を提供することである。
本発明の概要
リンゴ材料を酵素混合物で処理する工程を含む方法を使用した場合に不透明な
リンゴジュースが得られることが分かり、酵素混合物はホモガラクトウロナン解
重合活性を有する酵素、例えばペクチンリアーゼ(EC 4.2.2.10)、及びエンドグ
ルカナーゼ活性(EC 3.2.1.4)を有する酵素を含み、以下の工程を含む方法
により測定した場合に不透明物の量を25%より多く減少させる酵素を含まない混
合物である:
(a)5mgの不透明材料を、約0.01%の(w/v)NaN3を含む3mlの25mM NaOAc緩
衝液(pH5)に懸濁させる工程であって、この不透明材料は、1gのMalus malusL
.cv.Jonagoldのリンゴ片の皮及び芯を除いた後、ブラウンキッチンマシーン(
MX32、フランクフルト、ドイツ;5mmの刃)を用いて均一化し、0.01%の(w
/v)NaN3、1%のアスコルビン酸、50mUのペクチンリアーゼ及び25mUのキシ
ログルカナーゼ活性と等量のエンドグルカナーゼを含む、200mM NaOAc緩衝液(
pH4)3mlを用いて150rpmで連続的に十分に(head-over-tail)混合して40℃で
インキュベートすることによって得られる材料である、
(b)得られた不透明な懸濁液を、該酵素の存在下に、約40℃で16時間インキュベ
ートし、この間、不透明な懸濁液を十分に(head-over-tail)混合する工程、
(c)不透明物を約4℃で24時間放置する工程、及び
(d)該酵素の不存在下に前記工程に従って得られた不透明な懸濁液の不透明物の
量及び、該酵素の存在下に上記工程に従って得られた不透明な懸濁液の減少した
不透明物の量との間の相違を計算して、不透明物の安定性に対する酵素の影響を
決定する工程。
この試験を行うことによって、望ましくない酵素が存在しない酵素の混合物を
開発した。酵素調製物の特徴は、CMCase 活性を有するエンドグルカナーゼ、好
ましくはCMCase 活性のキシログルカナーゼ活性に対する比率が少なくとも0.7
である酵素、及び、ホモガラクトウロナン解重合活性を有する、例えばペクチン
エステラーゼとポリガラクトウロナーゼの組み合わせ、好ましくはペクチンリア
ーゼである酵素が存在することである。
原則として、比率に上限はない(表1中のendo IのCMCase/XGaseの比率は約11
4であるが、本発明による不透明ジュースの製造工程において非常によく機能す
る;CMCase活性はリンゴ材料のリンゴの部分的液化において飛び抜けて重要であ
るが、XGase活性が全く余分であると結論付けることはできない)。
本発明の方法を使用して、不透明物の安定性を損なう粗製セルロース調製物の
酵素を特定することができた。すなわち、本発明の好ましい態様は、セロビオヒ
ドロラーゼ活性(EC3.2.1.91)が存在しない工程である。
本発明はさらに以下の図で示される。
図面の説明
第1図 endoV(B、E)又はendoV及びCBHの組み合わせ(C、F)で処理した不透
明材料(A、D)。Cにおける矢印の先は、CBHの添加により形成された集塊を示し
ている。D−Fの目盛線は100μmを表している。endoVは例として使用してい
る。分離した不透明材料を他のエンドグルカナーゼで処理して、同様の結果を得
た。
第2図 工業的スケールで不透明なリンゴジュースを製造する一般的なスキーム
。
詳細な説明
使用に適したCMCase活性を有する酵素は、好ましくはTrichoderma reesii(T richoderma viride
と同一物)から得られるEndoI、EndoIV、EndoV(EC3.2.1.4
)、及びA.nigerから得られるCelAより成る群から選択される。しかしながら、
本発明はこれらのエンドグルカナーゼに限定されないのは明らかであり、CMCase
を有する他の適切な酵素が、植物、例えばエンドウマメ(Nakamura S.etal.,1995
,Plant Cel.Physiol.36,1229-1235)、菌類、酵母及び細菌を含む生物体中に見
出せる。酵素は、好ましくは、菌類、例えばTrichoderma、Aspergillus、ここで
記載した方法によりA.nigerから得られるCelA及びCelB、DalboegeH.etal,(199
4,WO 94/14953)の記載の方法によりAspergillus aculetusから得られるegI
I及びegIII、Fusarium、Botrvtis及びHumicolaから得られる。必ずしもそうであ
る必要はないが、本発明の工程においてはCMCaseの活性がキシログルカナーゼ活
性より重要であるから、CMCase活性のキシログルカナ性に対する率は、0.7より
大きいことが好ましい。
本発明に従うエンドグルカナーゼは、好ましくは2より上で7より下の至適p
H値を有する。最適pH値は、好ましくは、6より下、例えば5又はそれより低
く、又は3.5である。酵素は、フルーツの果肉のpHに従って選択する。あるフ
ルーツ(リンゴ及び柑橘類)は他のフルーツ(西洋梨、アンズ、桃)より酸性が
強い
ことは公知であり、不透明化酵素はそれに適合して選択する。
不透明なジュースを製造する方法において添加するエンドグルカナーゼの量は
それほど臨界的ではない;部分的な液化(以下しばしば「不透明物画分」という
)によってジュースを得るのに十分なエンドグルカナーゼを存在させて、フルー
ツ又は野菜の原料の分解が達成できればよい。キシログルカナーゼ活性の量は、
それほどというよりまったく重要ではないので、CMCase活性に基づいてエンドグ
ルカナーゼ酵素を添加することが好ましい。一般的に、この量は、1gのフルー
ツ又は野菜材料に対してCMCaseの活性が1mUより大きくあるべきで、好ましく
は野菜材料1gあたり5mUより大きく、さらにより好ましくは野菜材料1gあた
り10mUより大きいCMCase活性であるべきである。特定の態様において、エンド
グルカナーゼの量は、野菜1gあたり15mUと30mUの間で変化する;がしかし
、これらの値は任意であり、CMCase活性の10倍に増加させても不透明物の安定性
に悪い影響を与えない。上限は、少なくとも工業的方法においては、酵素の価格
のような経済的考慮によって決まり、技術的な考慮によっては決まらないと考え
られる。
ペクチンリアーゼの量は経験的に決めることができるが、一般的には、フルー
ツ又は野菜1gあたり1mUと1Uの間であり、より典型的には10と100mU/gの
間である。ペクチンエステラーゼ又はポリガラクトウロナーゼの使用すべき量は
、当業者が経験的に決めることができる。
魅力的な外観を持った不透明なジュースを得るためには、不透明材料の量及び
液体の量は、全体の量に等しい不透明物の量を得るように選択すべきである(100
%の不透明物の占有率)。これらの量は経験的に簡単に決めることができる;本
発明の不透明なリンゴジュースの場合には、全量3ml中の5mgの不透明材料が
ジユースの全量の45%を占める。不透明物の占有率を100%にするために、液相
を減少させるべきである。他の手段として、もっと濃縮した不透明材料を、不透
明物の占有率が100%になるまで添加することができる。本発明に従う不透明材
料は、長期間にわたり、沈殿するという問題を起こすことなく高度に濃縮した形
で保存することができる。
保護剤を存在させずに不透明物質を全体として乾燥すると、再度水和しても元
の構造に戻らず、フルーツジュース工業にとって魅力となる諸特性を失う。保護
剤、例えばトレハロース又は砂糖の存在下に、悪影響を生じることなく、不透明
材料を乾燥することができる。
明らかに、不透明なジュースで100%の不透明物の占有率を達成するために必
要な不透明物の最小量は、ジュースの製造業者又は消費者から見て、何倍か過剰
である。それゆえ、高濃度の不透明ジュース濃縮物がジュース製造業者に提供さ
れ、さらに処理されることとなる。同様に、非常に高い光学濃度(又は低い透過
性)を持つ安定な不透明ジュースが消費者に提供される。
本発明は、梨果状フルーツ、例えばリンゴ及び西洋梨から不透明なジュースを
製造するのに特に有用であるが、方法は、他のフルーツからの不透明なジュース
又は不透明なジュースの濃縮物の製造における使用も見出す。
本発明の不透明物は、OD660における透過が透明なリンゴジュースより小さい
こと、(商業的に入手可能な)透明なリンゴジュースに対して、好ましくは90%よ
り小さく、さらに好ましくは80%より小さく、なおより好ましくは50%より小さ
いことを示すことを意味する。本発明の不透明物は、“寒冷混濁”現象とは区別
されるが、この現象は糖の点、特に高い(40mol%より高い)アラビノース含量
の点で組成を異にする。さらに、寒冷混濁は、名前が示しているように温度に依
存する現象であり(この現象は室温で消失し、冷却により出現する)、本発明の不
透明物は、+4℃から室温までの温度範囲において温度に依存しない。本発明の
不透明物には、キシログルカン(本質的にグルコース、キシロース、ガラクトー
ス及びフコースから成る)とセルロース(グルコース含量が非常に高いという特
徴がある)の合計量が50%(w/w)を越えるという特徴がある。不透明材料は粒
子より成り、その直径は100〜1000μmの間、より典型的には100〜500μmの間
、なおより典型的には200〜300μmの間、通常は250μmである。より大きい粒
子は、細胞又は細胞の残余物の集塊、又はその組み合わせより成る。最も小さい
粒子は、酵素の作用で少なくとも部分的に分解されている細胞壁によって、取り
囲まれ、又は場合により一部取り囲まれている、単一の細胞又は細胞の残余物よ
り成る。本発明の不透明物は、不透明な柑橘類ジュースに存在することが公知の
ものとは本質的に相違しており;後者は本質的にタンパク質とペクチ
ンから成り、本発明の方法によっては得ることができない。
不透明なリンゴジュースを製造する方法は、より詳細に示されるが、不透明な
ジュースはリンゴ以外のフルーツから、大規模なスケールで、本発明の方法を使
用して製造できることは当業者にとって明らかである。ある態様によると、本発
明の方法でリンゴジュースから分離した不透明物質は、他のフルーツ、例えば非
−梨果状フルーツから得られた透明なジュースに添加することができる。他の方
法として、本発明の方法を、不透明物がフルーツに特有であるフルーツの不透明
なジュースを製造する際に、他のフルーツ材料に直接適用することができる。フ
ルーツは、リンゴ、西洋梨、ベリー(イチゴ、キイチゴ、ブルーベリ、レッドベ
リー、グランベリー)、パイナップル、柑橘類、例えばオレンジ又はレモン、キ
ウィ、桃、アプリコット、メロン、ココナツ、などの一種又は混合物から選択で
きる。本発明におけるフルーツは、広い意味で、野菜、例えばトマト、ジャガイ
モ、人参、テンサイトウ、米及び類似物を含むが、これらに限らない野菜を含む
ように解釈しなければならない。
本発明の方法で決定する不透明物の安定性に悪影響を与える酵素は、T .virid e
から得られるセロビオヒドロラーゼを含む。他のセロビオヒドロラーゼ類は不
透明物の安定性に悪影響を与えると考えられるので、テストを行う。
本発明の他の態様では、夜行性の酵素(すなわち不透明物の安定性に負の影響
を有する酵素とここで定義する)、例えばT .virideから得られるセロビオヒドロ
ラーゼの存在も、阻害し、又はさらに不活化し、又はそのかわりに除去する。
本発明を、より詳細に以下の実施例で説明するが、これに制限されない。
実験 酵素−三種のエンドグルカナーゼ(endoI、endoIV、及びendoV;EC3.2.1.4)及
びCHB(先にexoIIIとしたもの;EC3.2.1.91)を、Beldman et al.(1985,Eur.J.
Biochem.146,301-308)の記載に従って、Tnchoderma viride(MaxazymeCl,Gi
st-Brocades,Delft,オランダ)から得られる商業的に入手可能な調製物から精
製して均一にする。Aspergillus nigerから得られる新規なセルラーゼ−CelA−
を同定し、酵素をコードするcDNAで形質転換したK .lactis
で、以下に記載するように製造した。mRNA の誘導及び分離
−A .niger N400培養物を、EP-A-0463706の記載に従ってそ
れそれ69時間及び81時間成長させたが、酵母抽出物を除き、エンバクスペルトコ
ムギのキシランの代わりに2%の粗製コムギアラビノキシランを加え、その後、
ろ過で菌糸体を収穫し、ついで滅菌生理食塩水で洗浄した。菌糸体を引き続き液
体窒素中で凍結した後、マイクロディスメンブレーター(Braun)を使用して粉
末とした。菌糸体粉末からSambrook et al.(1989)の記載に従って、チオシア
ン酸グアニジン/CsClプロトコールによって全RNAを分離したが、RNAをCsCl濃度
勾配を用いて2回遠心分離した点だけ異なる。ポリA+mRNAを、5mgの全RNA
からオリゴ(dT)−セルロースクロマトグラフィーによって分離した(Aviv and
Leder,1972,Sambrook et al.,1989)が、以下の点を変更した:SDSを全ての
溶液から除去し、かつ溶出緩衝液に9%(v/v)ジメチルスルホキシドを添加し
た。cDNA ライブラリーの構築
−cDNAを、7μgのポリA+mRNAから合成し、ZAPtm−cDN
A合成キット(Stratagene)を使用し、製造者の指示に従って、このcDNAをバクテ
リオファージラムダλUni−ZAP XRに連結した。cDNAをUni−ZAP XRのベクターの
腕に連結した後、ファージDNAを、Packagenetm抽出物(Promega)を使用し、製
造者の指示に従って、パッケージングした。120ngのcDNAを1.2μgのベクター
の腕に連結し、反応混合物をパッケージングした結果、3.5×104の組換えファー
ジより成る一次ライブラリーを得た。この一次ライブラリーを、大腸菌XL1−Blu
e MRF'を使用して増強し、滴定して4℃で保存した。ファージのファジミドへの変換
−Maniatis et al.(Maniatisetal.(1982):Mol
ecular cloning、a laboratory manual、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold
Spring Harbor、New York、pp64)の記載に従い、大腸菌BB4を塗付バクテリアと
して使用して、直径85mmのNZYCM(1.5%寒天)プレート上に0.7%の
アガロースを含む上層アガロースNZYCMを乗せたものにファージを塗付して増殖
させた。37℃で一夜インキュベートしたところ、集密的なプレートが得られ、こ
れから5mlのSM緩衝液を添加し、かつプレートを2時間4℃で断続的に攪拌しな
がら保存してファージを溶出した。上澄を集めた後、4,000×g、4℃、10分間遠
心分離してバクテリアを溶液から除去した。上澄に0.3%クロロフォルムを添加
し、プラーク形成単位(pfu)の数を測定した。ファージのストックは約1010p
fu/mlを含んでいた。
A .niger cDNAを含む組換えUni−ZAP XRクローンを、糸状ヘルパーファージEX
ASSISTtm及びStratageneのcDNA合成キットに含まれている大腸菌SOLR菌株による
超感染を使用して、製造者の指示に従って、クローンをBluescriptファージミド
に変換した。長期間の保存のため、懸濁液μl当たり約100コロニーを含むグリ
セロールストックを−80℃で保存した。大腸菌におけるAspergillus aculeatus cDNAの発現ライブラリーの構築
−A .acu leatus
CBS 101.43発現ライブラリーを、先に記載したA .nigerライブラリーと
同様な方法で構築した。A .aculeatus CBS 101.43を、Timberlakeの痕跡量の元
素、0.1%の酵母抽出物及び1%の大豆おからを含む最小培地で、40、52、64及び
76時間30℃で成長させた。最小培地は、1リットル当たり6gのNaNO3、1.5gのK
H2PO4、0.5gのKCl及び0.5gのMgSO4を含む。
40時間及び52時間の培養から得られた菌糸体から全RNA及びポリA+RNAを先に記
載したように分離した。cDNAライブラリーから約150,000一次プラークを増強し
た。ファージを2.2×107pfu/mlの濃度で保存した。ファージを実施例Iの
記載に従ってファージミドに変換した。24のランダムクローンからプラスミドを
分離した。これらは全て0.6〜2.0kbの間で大きさが変化する挿入物を含んでい
た。セルロース製造用のコロニーのためのプラスミドcDNAライブラリーのスクリーニ ング
−スクリーニング手順をWood et al.(Methods in Enzymology 160,59-74
)から変形した。
プレートは、20ml 2×TY、0.2%CMC(シグマ C−4888)、1.5%寒天及びm
l当たり100μgのアンピシリンを含む。プレート当たり約200のコロニーを含む
5mlの上層に細胞を塗付する。2×TY、0.2%のCMC、0.75%の寒天及びml当た
り100μgのアンピシリンを含む上層を50℃に保持した。5mlの0.5%アガロー
ス、0.2%のCMC及びml当たり100μgのアンピシリンで覆い、50℃で保持した
。
プレートを乾燥し48時間、37℃でインキュベートする。次いで、5mlの0.1%
コンゴレッド(Aldrich no C8,445.3)をプレートに注ぐ。1〜2時間染色した後
、プレートを5mlの5M NaClで0.5〜1時間脱色する。
A .niger cDNAライブラリーから得られる約12,000のコロニーを塗付した。コ
ンゴレッドで染色後、CMCでスクリーニングすると、環を有する89のコロニーが
得られた。コロニーを環の大きさの大、中及び小に従って3クラスに細分化した
。各クラスから3個のコロニーを成長させ、プラスミドを分離し、cDNAの配列を
決定した。全ては完全長のcDNAコピーを含んでいた。プラスミドは二つの異なる
クラスに別れた。各クラスからのコロニーをCBS、Baarn、オランダに寄託した。
環の小さなコロニーは、1995年8月3日に寄託され、CBS589.95と名付けられた
。環の大きなコロニーは、1995年9月21日に寄託され、CBS662.95と名付けられ
た。挿入物のDNA配列はそれぞれSEQ ID No.1及び3に示されており、これらの
図面は、発明の名称が“菌類のセルラーゼ”(参考 PCT−2761)、出願日が1996
年11月14日、出願人の名称がギスト−ブロカデデスである出願の一部であり、そ
の複写をここに添付する。K .lactisにおけるセルラーゼの過剰発現
−発現ベクターの構築−出発ベクターp
GBHSA20はK .lectisのラクターゼ遺伝子(lac4)のプロモーター及びターミネー
ター並びにG.418選択マーカーを含んでおり;このプラスミドを有する菌株を、C
entraal Bureau voor Schimimelcultures,Ooosterstraat 1,Baam,オランダ、に
、CBS997.96の受託番号で1996年10月3日に寄託した。HSA(ヒト血清アルブミン)
をコードする本cDNAの挿入物を、A .nigerから得られるcNDA12及びcNDA64をコー
ドするセルラーゼで置換した。A .niger cNDA12
をクローニングするために3'XhoIサイトが存在した。5'HindIIIサイトを、ベク
ターpMTL22Pの対応するサイトにおいて、KpnI/EcoRI断片を含む完全長のcNDA
12をサブクローニングすることにより創製した。cNDAのEcoRIサイトに隣接してHind
IIIで消化し、次いでXhoI(cNDA12は内部にXhoIサイトを有する)で部分
的に消化すると、HindIII/XhoI断片を生産するが、この断片はpGBHSA20の特異
なHindIII/XhoIサイトでクローン化されたものである。得られた構築物は、HSA
をコードするcNDAをcNDA12で置換したものであり、pCVlac12と命名した。同一の
クローニング戦略をcNDA64に適用して、結果として発現ベクターpCVlac64が得ら
れた。K.lactis の形質転換
−形質転換の前に、ベクターpCVlac12及びpCVlac64を、均一
な組込みに必要な、ラクターゼプロモーター中の特異なサイトを有するHpaIで直
線化した。K .lactis菌株CBS2359を、15μgのベクターDNAで形質転換したが
、この際、Ito et al.(1983,J.Bact.153,163-168)の記載に従ってLiCl法を使用
した。形質転換体は、50μg/mlのG418を含むYePDプレート(10g/lの酵母
抽出物、20g/lのバクト−ペプトン、20g/lのグルコース、20g/lのバク
ト−寒天)上で選択した。セルロースを生産するK.lactis形質転換体のスクリーニング
−K .lactis−形質
転換体を、酵素分析におけるセルロース12及び64の発現によってスクリーニング
したが、その際、AZCL−ヘミセルロース色素複合体(Megazyme,オーストラリア
)を含むCellazyme C錠剤を使用した。セルラーゼは青色のAZCL複合物を放出し
、これを590nmでの吸光度を測定することによって定量できる。培養ろ過物の
セルラーゼ活性を決定するために、形質転換体をYePD中で30℃、200rpmで一
夜成長させた。翌日、培養流体を、遠心分離で細胞をペレット化することによっ
て収穫した。上澄のセルラーゼ活性は、個々の形質転換体によって変化し、cNDA
64を含む形質転換体は、cNDA12を含む形質転換体と比較して、非常に低い酵素活
性を示した。
セルラーゼcNDAの発現は、形質転換体をグルコースの代りにラクトースで
成長させると、強化された。セルラーゼの大量生産
−pCVlac12又はpCVlac64構成を含み、かつ先に延べた分析
によって決定される最も高いセルラーゼ活性を有するK .lactisの形質転換体を
、2%のラクトースを含む1リットルのYeP中で30℃、200rpmで2日間成長さ
せた。次いで、細胞を遠心分離でペレット化し、上澄を収穫して酵素活性の特徴
をさらに調べた。Aspergillus からクローン化したセルラーゼの特徴の決定
−酵素活性の決定
−CMC、キシログルカン及びβ−グルカンに対する、pCVlac12(L
12-CelA)及びpCVlac64(L64-CelB)から得られた生成物の活性を、pH5で0.01
%(w/v)のNaN3を含む200μlの50mM NaOAc緩衝液中に存在する250μgの基質
で、1時間40℃で処理することによって決定した。減少する末端基の放出を、Ne
lson−Somogyi et al.(1952,J.Biol.Chem.,195,19-23)の方法に従って測定
した。
至適pHの決定−L12及びL64の至適pHを粘度の低下を使用して決定した。試料の調製
−培養ろ過物を、(pCVlac12)T10を含むK .lactis CBS2359及び(pC
Vlac64)T41を含むK .lactis CBS2359から取った。使用する前に試料を限外ろ過
によって濃縮した。
L12(CelA)を不透明物画分に使用した。
cNDAの発現カセットへのクローニング、K .lactisの形質転換及びA .aculeatu s
エンドグルカナーゼegII及びegIIIの過剰生産は、A .nigerから得られるエンド
グルカナーゼの工程についても完全に同様に生じうる。
PL(EC4.2.2.10)を、Aspergillus niger(Ultrazym 100,Ciba-Geigy,現在で
はNovo Ferment AG,Basel,スイス、から入手可能)から得られる商業的に入手
可能な調製物から、Van Houdenhoven(1975,PhD Thesis,Study on
pectin lyases,Wageningen Agricultural University,オランダ)の記載に従っ
て、外観上均一となるまで精製した。原料及び基質
−リンゴ(Malus malus L.,cv.Jonagold)を地方の市場で入手し
た。カルボキシメチルセルロース(CMC;AkucellAF型0305)をAkzo(Amhem,オランダ
)から入手した。タマリンド種子のキシログルカンを大日本製薬(大阪、日本)か
ら入手した。Glc及びセロビオースをMerck(Darmstadt,ドイツ)から入手した
。酵素活性の決定
−CMC及びキシログルカンに対するMaxazyme及び種々のエンドグ
ルカナーゼの活性を、pH5で0.01%(w/v)のNaN3を含む200μlの50mM NaOAc
緩衝液中に存在する250μgの基質で、1時間40℃で処理することによって決定
した。減少する末端基の放出を、Somogyi et al.(1952,J.Biol.Chem.,195,1
9-23)の方法に従って測定した。
分析方法−糖の組成、分子量の分散(HPSEC)、タンパク質の含量、セルロース及
びキシログルカンの分解生成物(HPAEC)を、以前の記載に従って決定した(Vinc
ken et al.,1996(PhD Thesis8章,同上;この章の関連部分は参考としてここ
に含まれる)。
実施例1
CMC及びキシログルカンに対するエンドグルカナーゼの活性
表1には、種々のエンドグルカナーゼの特性が多数挙げてある。
表1.種々のエンドグルカナーゼの特性並びにそのCMC及びキシログルカンに対
する活性
★適用不可能;S Beldman et al.(1985,Eur.J.Biochem.146,301-308)の
値; tDalboege et al.(1994,WO 94/14953)の値;U アミノ酸配列から計
算した値。n.d.測定しなかった。
EndoIV(Trichoderma viride)及びCelA(Aspergillus niger)は低分子量のエ
ンドグルカナーゼである。Trichoderma virideから得られるEndoI及びEndoVは
、より大きい分子量を有する。多くのエンドグルカナーゼは4〜6の間のpI値を
有するが、endoIV(pI=7.7)及びegII(pI=3.4)は例外である。ほとんどのエ
ンドグルカナーゼの至適pHはほぼ5であるが;egIIはこの観点から相違してい
て3の至適pHを有している。CMC及びキシログルカンに対する特異性は酵素に
よって大きく異なる。事実、エンドグルカナーゼは三つのグループに区分できる
:
(i)は高いCMCase活性及び低いキシログルカナーゼ活性を有し(endoI、CelA);
(ii)は低いCMCase活性及び高いキシログルカナーゼ活性を有し(egII);
(iii)は両者の基質に対して活性を有している(endoIV、endoV、egIII)。
群(i)及び(iii)からのエンドグルカナーゼ/CMCaseを使用した場合、下記に
記載したように、不透明物画分の実験はうまく進んだ。群(ii)からのCMCaseの有
用性はまだ試験していない。
実施例2
小規模スケールの不透明リンゴジュースの製造
皮と芯を取り除いた後、リンゴをブラウンキッチンマシーン(MX32、フランク
フルト、ドイツ、5mmの刃)で均一化した。1gのリンゴを、0.01%(w/v)NaN3
を含む3mlの200mM NaOAc緩衝液(pH4)、1%(w/v)アスコルビン酸、50m
UのPL及びグルカナーゼ調製物でインキュベートした(40℃;150rpm)が、
ここで使用するグルカナーゼ調製物の量は、17mUのCMCase活性(endoIV)と、21
mUのCMCase活性(endoV)と、25mUのCMCase活性(Maxazyme)と、29mUのCMCa
se活性(endoI及びCelA)と等量となる量である。24時間後、崩壊の程度を視覚
的に評価した。
試験した全てのエンドグルカナーゼは、PLと組み台わせることによって、リン
ゴ組織を崩壊させることが可能であった(表2)。
表2.個々のエンドグルカナーゼをPLと組み合わせた場合のリンゴ組織を崩壊させ
る活性
PL及び個々のエンドグルカナーゼによって崩壊か生じたそれそれの場合におい
て、不透明ジュースが得られた。
酵素をまったく添加しないでインキュベートした場合、又はPL若しくはMaxazy
meの一方のみを添加してインキュベートした場合、リンゴ組織はまったく分解を
示さなかった。
PL及びMaxazyme(エンドグルカナーゼ及びセロビオヒドロラーゼを含む)を組
み合わせると、PLを個々のエンドグルカナーゼと組み合わせた場合に比べて、さ
らに分解が進んだものが得られ;ほとんど透明なジュースがえられた。
不透明なジュースが得られた全ての試験において、不透明物の量を全ジュース
量に対して100%の量にあわせた。不透明なジュースは数ケ月間安定を保ち(不透
明物の占有率が減少する兆候はなかった)、このことは、スーパーマーケット
の陳列棚に見た目の魅力を失うことなく置いておくことができるフルーツジュー
スを提供するという、本発明の目的の一つが達成されたことを示している。
結論として、試験した全てのエンドグルカナーゼは、ペクチンリアーゼと組み
合わせることによって、セロビオヒドロラーゼが存在しない限り、不透明なリン
ゴジュースを製造することが可能であった。このことは、PL及びMaxazymeを使用
した試行から結論付けられる(エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ及び
グルコシダーゼの組み合わせ)。
実施例4
大規模スケールでの不透明なリンゴジュースの製造及び不透明物の分析
不透明物画分の実験を、実施例1と類似の条件下で大規模スケールで行った。
この場合、92.5gのリンゴを使用し、それに対応して酵素の添加量を調整した。
不透明材料を以下のように回収した。ジュースをインキユベーション混合物か
ら除去し、残ったリンゴ片を蒸留水で2回洗浄した。ジュース中の不透明材料を
遠心分離(2分間、3000g)で沈殿させた。ほとんどの上澄を除去した後、不透
明材料を蒸留水に再懸濁し、再度遠心分離した。この洗浄工程を、上澄が透明な
液体になるまで繰り返した。最後に、不透明材料を、ml当たり2.85mgの不を
透明物含み、0.01%(w/v)のNaN3を含む溶液中に再懸濁し、4℃で保存した。
100%の全ジュース量に対して100%の不透明物の量にあわせると不透明な懸濁
液は数週間(実際、実験の終了まで)安定を保った(不透明物の占有率が減少す
る兆候はなかった)。
実施例5
不透明材料の組成
PLとendoIVで実施例2に従って得られた不透明材料(100mg)を、先に記載
したように(Vinken et al.,1994,Plant.Physiol.104,99-107)、1%(w/v)のNa
BH4を含む1M KOH及び4M KOHの溶液(50ml)で抽出した(20℃)。このようにして
得られた画分を、CBHを含む種々のグルカナーゼで分解して糖を分析した。
不透明物の直径は約250μmである。不透明物の約75%(w/w)は糖より成り
、その80%はセルロース−キシログルカンネットワークからのものであると考え
られる。不透明材料に対して一連の抽出工程を行った。約85%(w/w)を4個の
画分に回収した:1M KOH(25mg)、4M KOH(15mg)及び残渣(45mg)。種々の画
分の糖の組成を表3に示す。
表3.アルカリによる逐次抽出で得られた不透明材料及び画分の組成(mol%)
tr=痕跡
1M KOH画分はペクチンポリサッカライドの主要部分及びキシログルカン分子の
実質的な部分を含んでいた。4M KOH抽出物は大部分キシログルカンより成ってい
た。
1及び4MのKOH抽出物のHPSECは、前者は二つの集団から成り、後者は一つのみ
であることを示した。両方の抽出物をendoVで処理して、どの集団がキシログル
カン分子より成るか調べた。消化物をHPSECで分離し、分子量分布の移動から、4
M KOH抽出物中のキシログルカン分子が1M KOH抽出物のそれよりわずかに大きい
ことが分かった。不透明物はエンドグルカナーゼを使用して得ることができるが
、キシログルカン分子は依然として大きな分子量を有している。この分子は、10
−オリゴ−断片よりさらに大きい。
実施例6
不透明物の安定性に対する酵素の影響の試験
不透明材料の安定性が、種々のグルカナーゼの存在によって影響を受けるか否
かを調べるために、以下の実験を行った。実施例3に記載した方法に従って得ら
れた不透明材料(5mg)を、pH5で0.01%(w/v)のNaN3及び適切な量の酵素
を含む3mlの25mM NaOAc緩衝液に懸濁し、40℃で16時間インキュベートした(十
分な混合)。Maxazyme、endoIV、endoV(インキュベーション当
たり25mUのキシログルカナーゼ活性を添加した;これは、endoIVの場合には17
mUのCMCaseの活性に、endoVの場合には21mUのCMCaseの活性に相当する)及
びendoI(インキュベーション当たり5μg添加したが、これは約6mUに相当す
る)を、単独で又はCBH(インキュベーション当たり15μg添加)と組み合わせて
添加した。16時間後、懸濁液を4℃で放置し、24時間後に不透明物の量を評価し
た。酵素を使用せずにインキュベートした不透明物は、全量の約45%の不透明物
の量を示した。CBHを存在させないでインキュベートした場合、不透明物の量の
収量は約45%であり、未処理の場合と同様であった。
CBHを存在させてインキュベートした場合、不透明物の量は全量の約25%まで
減少した、すなわち、約45%の減少であった((45−25)/45*100%)。
反応生成物をHPAECで分析した。不透明物の安定性は、エンドグルカナーゼの
処理によって影響を受けなかった。エンドグルカナーゼで処理した懸濁液の光学
濃度(%透過度として表わした)はブランクと同様であった(表4)。両懸濁液の
外観は同様であり(図2A、B)、不透明物の粒子は一見して分解していない(図2D、
E)。これらの実験から、キシログルカンの主要部分はエンドグルカナーゼでは分
解しがたいこと、及び溶液に突き出たキシログルカンの末尾は不透明物の安定性
にとって重要ではないことが分かった。不透明材料にCBHを加えると、懸濁液の
安定性に有害な作用を及ぼす。光学濃度は減少し(表4);透過度は約60%まで増
加し(エンドグルカナーゼをCBHと比較して)、約85%のキシログルカンオリゴ
サッカライドが放出される。明らかに、CBHはキシログルカン分子を分解させや
すくする。懸濁液は異なる外観を示す。大きな集塊が形成され(図1C)、それはす
ぐに沈殿する。これらの不透明物は完全に安定性を失った。これらの大きい構造
物が何であるか、なぜそれが形成されるのかは分かっていない。CBHの添加によ
り、不透明物の粒子は統合性を失う(図1F)。
現状では、CBHは、不透明物の安定性に悪影響を及ぼすことが分かっている唯
一の酵素である。このことは、細胞壁分解酵素を生産する生物体、この中でCBH
遺伝子がノックアウトされる生物体、例えばTichoderma菌株は、不透明なフルー
ツジュースを製造するのに直ちに使用できる酵素の混合物を製造するのに使用で
きる。このような調製物は、CMCase活性を有する高度に精製し又はクロ
ーン化した酵素の使用するに際して代替手段となる。
表4.分離した不透明材料を種々の酵素及びその混合物の組み合わせで処理した
後の反応生成物の光学濃度及び放出
★懸濁液の光学濃度は660nmで決定した。%Tは透過の百分率を示し;透過が増
加すると不透明物の分解が進むことを示している。ブランク:不透明物の懸濁液
に酵素をまったく添加しなかった。Sは任意のユニット。不透明材料の消化物はH
PAECで分析し、Glc、セロビオースのピーク領域、及びキシログルカンオリゴサ
ッカライド(XXXG、XXFG、及びXLFG)の全量を組込みで決定した。
Maxazymeが、不透明懸濁液の透過率を、エンドグルカナーゼ+CBHより効率的
に増加させるという事実は、β−グルコシダーゼがMaxazyme調製物中に存在する
ことによるものであり、これがセロビオースの分解を起こす原因となり、次いで
、セロビオヒドロラーゼのフィードバック阻害を減少させると考えられている。
キシログルカンのどの部分が不透明粒子から突き出るのかを調べるために、不
透明材料をエンドグルカナーゼで処理した。この処理で放出されるキシログルカ
ンオリゴサッカライドの量を、HPAECを使用して推定した。キシログルカンオリ
ゴサッカライドの全量を、同量の不透明物をMaxazymeで完全に分解することによ
って推定し、次いでこのオリゴサッカライドをHPAECを使用して定量した。全て
のエンドグルカナーゼ(endoIを除く)は、不透明粒子に存在するキシログルカ
ンオリゴサッカライドの10〜15%を放出した(表4)。
実施例7
工業的スケールでの不透明リンゴジュースの製造
1トンのリンゴから出発して、液化実験を工業的スケールで行った。ゴールデ
ンデリシャス種のリンゴを仕分けし、ブッヒャー型の粉砕機で粉砕して、3〜4m
mの大きさの果肉粒子を得た。粉砕中に500ppmのアスコルビン酸を添加した
。同時に酵素を添加した:以前に使用したペクチンリアーゼをリンゴ1トン当た
り50,000単位添加し;グルカナーゼ(endoIV)をリンゴ1トン当たり29,000単位
添加した。不透明物画分を45分の間室温(12から25℃)で取り出した。
このようにして得られた液化果肉を遠心分離し、滅菌した。こうして得られた
濃縮物は、ジュース又はソフトドリンクの製造業者が直ちに次の処理を行うこと
ができる。
別の方法として、不透明物を分離して種々のフルーツジュースに添加して、不
透明な二種(三種など)のフルーツジュースが得られる。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
(C12N 1/19
C12R 1:645)
(C12N 9/42
C12R 1:645)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M
W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY
,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM
,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E
S,FI,GB,GE,GH,GM,HU,ID,IL
,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,
LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,M
K,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO
,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,
TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,Y
U,ZW
(72)発明者 ヴォラーゲン アルフォンス ヘラルド
ヨセフ
オランダ エヌエル―6705ベーベー ワー
ヘニンゲン スパーレンボス 37