JP2001505438A - M.tuberculosis RNAポリメラーゼアルファサブユニット - Google Patents

M.tuberculosis RNAポリメラーゼアルファサブユニット

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、M.tuberculosis由来のRNAポリメラーゼアルファサブユニットをコードする単離された核酸、該核酸を含むベクター、該ベクターを含む細胞、及びM.tuberculosisアルファサブユニットを生産するための方法を提供する。本発明はまた、M.tuberculosis RNAポリメラーゼのインヒビターを同定するための高生産量スクリーニングのためのin vitro及びin vivo法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 M.tuberculosis RNAポリメラーゼアルファサブユニット 発明の分野 本発明は、M.tuberculosis由来のRNAポリメラーゼアルファサブユニットをコ ードする新規な核酸、及びその使用法に関する。 発明の背景 細胞内病原体Mycobacterium tuberculosisはヒトにおける結核の誘因生物であ り、毎年世界中で数多くの死に関与している(Bloometal.Science257:1055,1992 )。結核の多剤耐性形態の出現は、抵抗性のM.tuberculosis株に対して有効な新 たな抗生物質の開発を促している。リファンピン(Vall-Spinosa et al.,N.Eng. J.Med.283:616,1970)のような、原核生物転写機構を阻害可能な新規な薬剤は、M .tuberculosisと戦う治療の開発に有意に貢献している。 真正細菌のRNAポリメラーゼは4のサブユニットより成り(α、β、β’及び σ)、2の主要な形態で存在する:コア酵素(α2、β、β’)及びホロ酵素( α2、β、β’プラスいくつかのσサブユニットの一つ)(Chamberlin,in RNA P olymerase,Losick et al.,eds.,Cold Spring Harbor,1976,pp.17-67)。αサブ ユニットは、転写アクチベーターとのタンパク質−タンパク質相互作用、及び上 流エレメントとのタンパク質−DNA相互作用に対する決定基を含む(Ishihama,Mo l.Microbiol.6:3283,1992;Russo et al.,J.Biol.Chem.267:14515,1992;Ebright et al.,Curr.Opin.Genet.Dev.5:197,1995)。αのアミノ末端ドメインはまた、 マルチサブユニットコアRNA.ポリメラーゼの集合に必要とされる(Ishihara,Adv .Biophys.14:1,1981)。βサブユニットは転写開始及び伸長に必須であり、β’ は明らかにテンプレートDNAに対するコア酵素の結合において機能する(Yura et al.,Ann.Rev.Genet.13:59,1979)。コアRNAポリメラーゼはRNA合成が可能である ;しかしながら、プロモーター配列での転写の特異的な開始のためにσが必要で ある(Gross et al.,in Transcriptional Regulation,Cold Spring Harbor,199 2,pp.129-176)。 M.tuberculosisRNAポリメラーゼのインヒビターの発見は、M.tuberculosis 転写装置の構成要素に関する情報の欠如、生化学的研究のための活性な酵素の+ 分な収率を得ることの困難性、及びバイオセイフティー事業によって妨げられて いる。精製され再構成されたRNAポリメラーゼを用いるin vitro転写システムの 確立は、結核に対して活性な新たな治療上の試薬を同定するために多大なる努力 が向けられている。 したがって、M.tuberculosis RNAポリメラーゼから由来するクローン化遺伝 子及び精製タンパク質を利用する組成物及び方法に対する本分野での必要性が存 在する。 発明の概要 本発明は、M.tuberculosis由来のRNAポリメラーゼのαサブユニットをコード するDNAの単離及び特徴付けに基づいている。一つの態様として本発明は、図3 に示される配列を有する精製され単離された核酸を提供する。本発明はまた、こ の配列の配列保存的及び機能保存的な変異体をも包含する。本発明はまた、これ らの配列を含むベクター及び該ベクターを含む細胞をも提供する。 もう一つ態様として本発明は、図3に示される核酸配列によってコー−ドされ る精製され単離されたポリペプチド、同様にその機能保存的変異体を提供する。 一つの実施態様として本発明は、ヘキサヒスチジンタグをさらに含む精製された αサブユニットを提供する。本発明はまた、αサブユニットを含む精製され再構 成されたコア及びホロ酵素を提供する。 さらなるもう一つの態様として本発明は、M.tuberculosis RNAポリメラーゼ のインヒビターを検出するための高生産量スクリーニングのためのin vitro法を 提供する。一つの実施態様として該方法は: a)(i) 精製されたM.tuberculosis RNAポリメラーゼ及び (ii)M.tuberculosisRNAポリメラーゼによって認識されるプロモーター配列を コードするDNAテンプレート; を含む混合物を提供すること b) 試験サンプルを形成するために試験化合物の存在下で、及びコントロールサ ン プルを形成するために試験化合物の不存在下で、コントロールサンプルにおいて RNA合成が引き起こされる条件下で該混合物をインキュベートすること c) 該試験及びコントロールサンプルにおいて上記M.tuberculosis認識プロモー ターによって向けられるRNA合成を測定すること;及び d) 該試験及びコントロールサンプルの間で工程(c)で検出されるRNA合成を比較 すること を含む。本発明にしたがったRNAポリメラーゼインヒビターは、コントロールサ ンプルにおいて測定されるRNA合成に対する、試験サンプルにおいて測定されるM .tuberculosis認識プロモーターによって向けられるRNA合成の減少を引き起こす 試験化合物である。好ましい実施態様として、この方法の実施において用いられ る精製RNAポリメラーゼには、酵素学的に活性なホロ酵素を形成するように再構 成される組換えサブユニットが含まれる。もう一つの実施態様として、精製され たαサブユニットに結合する試験化合物の能力がモニターされる。 さらなるもう一つの面として、本発明はM.tuberculosis RNAポリメラーゼの インヒビターを検出するための高生産量スクリーニングのためのin vivo法を提 供する。該方法は以下の工程: a) (i) M.tuberculosis RNAポリメラーゼによって認識されるプロモーター配列 をコードするDNAテンプレートを用いてトランスフォームされ、及び (ii)酵素学的に活性なM.tuberculosis RNAポリメラーゼ(例えばα2、β、 β’プラスいくつかのσサブユニットの一つ)を発現する; 非マイコバクテリウム細菌株、好ましくは大腸菌を提供すること; b) 試験サンプルを形成するために試験化合物の存在下で、及びコントロールサ ンプルを形成するために試験化合物の不存在下で、(a)の細菌株をインキュベー トすること c) 該試験及びコントロールサンプルにおいて上記M.tuberculosis認識プロモー ターによって向けられるRNA合成を測定すること;及び d) 該試験及びコントロールサンプルの間で工程(c)で検出される上記M.tubercu losis認識プロモーターによって向けられるRNA合成を比較すること によって実施される。本発明にしたがってRNAポリメラーゼインヒビターは、コ ン トロールサンプルにおいて測定されるRNA合成に対する、試験サンプルにおいて 測定されるRNA合成の減少を引き起こす試験化合物である。 本発明のこれら及び他の態様は、本明細書及び添付した請求の範囲に照らして 当業者に明らかであろう。 図面の簡単な説明 図1は、M.tuberculosis rpoA遺伝子断片の推定のアミノ酸配列、及び枯草菌 並びに大腸菌のαサブユニットの相当する領域を比較した図式的説明である。Mt .M.tuberculosis;Bs.枯草菌:Ec.大腸菌。断続線は、オリゴヌクレオチドが デザインされる枯草菌及び大腸菌タンパク質の保存された部分を示す。 図2Aは、rpoAハイブリダイズコスミドクローンのサザンブロット分析の写真 の説明である。M.tuberculosisコスミドライブラリーから単離される4の異なる 陽性クローン(IIA5,IIA3,ID9及びIC5と名付けられた)をNotIを用いて切断し、 rpoA遺伝子プローブを用いてハイブリダイズした。DNAマーカーのサイズ(λEcoT 141,Amersham)はkbで示される。 図2Bは、rpoAハイブリダイズコスミドクローンのサザンブロット分析の写真 の説明であり、ゲノム及びコスミド由来のrpoA配列の構造的な保存を示す。精製 コスミドIC5DNA(レーン1-5)またはM.tuberculosisH37RvゲノムDNA(レーン7-11 )を示された制限酵素で切断し、rpoAプローブを用いてハイブリダイズした。DNA マーカーのサイズ(λEcoT141,Amersham)はkbで示される。 図3は、M.tuberculosis H37Rv rpoA遺伝子のヌクレオチド配列及び推定のア ミノ酸配列を示す。RBSは潜在的リボソーム結合部位を示す。rpoA遺伝子産物の 推定の開始及び停止コドンは、それぞれ85-87及び1126-1128である。 図4は、M.tuberculosis H37Rv αサブユニットの推定のアミノ酸配列を他の 細菌のαサブユニットの配列と比較する図式的説明である。枯草菌(Bs)、M.geni talium(Mg)、大腸菌(Ec)、H.influenza(Hi)、B.pertusis(Bp)、S.typhimurium(S t)、及びC.trachomitis(Ct)。影の部分は、同一のアミノ酸残基を示す。アミノ 酸配列の整列は、MegAlign(DNAStar)を用いて実施した。 図5は、大陽菌におけるM.tuberculosisαサブユニットの発現及び精製を示 すSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動の写真の説明である。レーン1は分子量 マーカー(kDa)を示す;レーン2及び3は、pJH37を所有する大腸菌のそれぞれ非 誘導及びIPTG誘導カルチャー由来の全タンパク質を示す;及びレーン4は、精製 M.tuberculosis αサブユニット(およそ38kDa)を示し、それは矢印によって示 されている。 図6は、M.tuberculosis由来のコア及びホロRNAポリメラーゼの再構成及び精 製を示すSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動の写真の説明である。レーン1及 び6は分子量マーカー(kDa)を示す;レーン2はα−ヒスチジン含有コア酵素を 示す;レーン3はヒスチジン含有ホロ酵素を示す;レーン4はN末端ヒスチジン タグ化主要シグマを示す;及びレーン5は精製大腸菌ホロ酵素を示す。 図7は、再構成精製M.tuberculosis RNAポリメラーゼホロ酵素、及びT101とT 125プロモーター含有DNAテンプレートを用いるin vitro転写反応の図式的説明で ある。 発明の詳細な説明 ここで引用される全ての特許出願、特許及び参考文献は、ここで完全に参考と して取り込まれる。矛盾のある場合には、本開示が優先するであろう。 本発明は、RNAポリメラーゼのαサブユニットをコードするM.tuberculosis r poA遺伝子の断片の単離に基づく。以下の実施例1に記載されるように該断片は 、グラム陽性及びグラム陰性細菌の間で高く保存されているαの領域に対して向 けられるプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって単離された。 増幅されたDNAを、有毒なM.tuberculosis株H37RV由来のゲノムDNAのコスミドラ イブラリーから、、完全なrpoA遺伝子を回収するためのハイブリダイゼーション プローブとして利用した。ヌクレオチドシークエンシングにより、1044bpのM.t uberculosis rpoAオープンリーディングフレーム(ORF)がS347アミノ酸のタンパ ク質をコードし、該タンパク質は様々な細菌種のαサブユニットに有意な構造的 類似性を示し、枯草菌αタンパク質と最大の同一性を有する(図1)ことが示さ れた。 その長さのほとんどを通じて構造的に保存されているが、M.tuberculosisα サブユニットの椎定のアミノ酸配列は、その極端なC末端で枯草菌及び他の細菌 の ものと異なった。興味深いことに、大腸菌RNAポリメラーゼサブユニットに対す る研究により、αのC末端94残基は特定の転写調節タンパク質と相互作用して機 能する一方で、N末端ドメインはコア集合を容易にするより高く保存された役割 を演じることが示されている(Ishihama.Mol.Microbiol.6:3283,1992;Russo et al.,J.Biol.Chel.267:14515,1992)。 枯草菌rpoA遺伝子は、開始因子1及びリボソームタンパク質B,S13,S11及びL17 に対する遺伝子と共に転写される大きなオペロンの一部である;そして大腸菌で 見られる遺伝子構成のパターンとは異なり、枯草菌rpoA遺伝子クラスターは、RN Aポリメラーゼ構成要素β及びβ’をコードするrpoB-Cオペロンに遺伝学的にリ ンクしている(Boylan et al.,J.Bacteriol.171:2553,1992)。 本発明を実施する場合、分子生物学、徴生物学、組換えDNA、及びタンパク質 生化学における多くの方法が用いられ、これらは例えば、Sambrook et al.,198 9,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Labo ratory Press,Cold Spring Harbor,New York;DNA Cloning:A Practical Appro ach,Volumes I and II,1985(D.N.Glover ed.);Oligonucleotide Synthesis,19 84(M.L.Gaited.);Transcription and Translation,1984(Hames and Higgins ed s.);A Practical Guide to Molecular Cloning;Methods in Enzymology(Academi cPress,Inc.)の一連のもの;及びProtein Purification:Principles and Practi ce,第2版,(Springer-Verlag,N.Y.)に十分に説明されている。 本発明は、M.tuberculosis RNAポリメラーゼのαサブユニットをコードする 核酸配列、それから由来する酵素学的に活性な断片、及び関連する配列を包含す る。ここで用いられる配列「から由来する」核酸とは、該配列の領域に相当する 核酸配列、該配列と類似するまたは相補的な配列、及び「配列保存的変異体」と 「機能保存的変異体」をいう。配列保存的変異体とは、与えられたコドン位置で の一つ以上のヌクレオチドの変化がその位置でコードされているアミノ酸におい て変化を引き起こさないものである。機能保存的変異体とは、αサブユニツトに おける与えられたアミノ酸残基が該ポリペプチドの全体の構造及び機能を改変す ることなく変化されているものをいい、同様な物理化学的性質(例えば酸性、塩 基性、疎水性等のような)を有するアミノ酸を用いて一つのアミノ酸を置換する ことな どを制限することなく含む。酵素活性を維持するαサブユニットの断片は、ここ で記載される方法にしたがって同定され得、該方法は例えば、大腸菌における発 現、引き続き該細胞抽出物の酵素的アッセイ、または精製及び精製ポリペプチド の酵素学的に活性なホロ酵素への再構成などがある。 本発明の核酸にはいかなる長さのプリン及びピリミジン含有ポリマーが含まれ 、ポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドまたは混合ポリリ ボ−ポリデオキシリボヌクレオチドのそれぞれが含まれる。これには一本鎖及び 二本鎖分子、すなわちDNA-DNA、DNA-RNA及びRNA-RNAハイブリッド、同様にアミ ノ酸骨格に塩基を接合することによって形成される「タンパク質核酸」(PNA)が 含まれる。核酸は細胞から直接単離され得る。代わりに、テンプレートとして化 学的合成鎖またはゲノム物質のそれぞれを用いることによるPCRを、本発明の核 酸を生産するために用い得る。PCRのために用いられるプライマーは、ここで提 供される配列情報を用いて合成され、さらに必要であれば組換え発現のための与 えられたベクター内への取り込みを容易にするために、適切な新たな制限部位を 導入するべくデザインされ得る。 本発明の核酸は、天然のM.tuberculosis調節配列が横に並んでおり、または 異種配列と会合しており、その配列にはプロモーター、エンハンサー、レスポン スエレメント、シグナル配列、ポリアデニル化配列、イントロン、5'-及び3'-非 コード領域等が含まれる。該核酸はまた、本分野で周知の多くの方法によって修 飾される。上記修飾の非制限的な例としては、メチル化、「キャップス」、類似 体を用いた一つ以上の天然で生じるヌクレオチドの置換、及び例えば非電荷架橋 (例えばホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホロアミダート、カルバ マート等)及び電荷架橋(例えばホスホロチオアート、ホスホロジチオアート等 )を有するもののようなヌクレオチド内修飾が含まれる。核酸は一つ以上の付加 的な共有結合部分を含み、例えばタンパク質(例えばヌクレアーゼ、毒素、抗体 、シグナルペプチド、ポリ-L−リシン等)、挿入化合物(例えばアクリジン、ソ ラレン等)、キレート化剤(例えば金属、放射性活性金属、鉄、酸化性金属等) 及びアルキル化剤を含む。該核酸は、メチルまたはエチルホスホトリエステルの 形成あるいはアルキルホスホルアミダート結合によって誘導化される。さらに、 本発 明の核酸配列はまた、直接的にまたは間接的に検出可能なシグナルを提供するこ とができるラベルを用いて修飾される。例示的なラベルには、放射性同位元素、 蛍光分子、ビオチン等が含まれる。 本発明はまた、開示されるαサブユニット配列またはその誘導体または断片を 含む核酸ベクターを提供する。プラスミド及び菌類ベクターを含む数多くのベク ターが、様々な真核生物及び原核生物宿主における複製及び/または発現のため に記載されている。非制限的な例として、関連分野で当業者に周知である本明細 書または別のところでに開示されまたは引用される方法を用いて、pKKプラスミ ド(Clontech)、pUCプラスミド、pETプラスミド(Novagen,Inc.,Madison,WI)また はpRSETまたはpREP(Invitrogen,San Diego,CA)、及び多くの適切な宿主細胞が含 まれる。組換えクローニングベクターは、クローニングまたは発現のための一つ 以上の複製系、例えば抗生物質耐性といった宿主における選択のための一つ以上 のマーカー、及び一つ以上の発現カセットをしばしば含むであろう。適切な宿主 細胞は、エレクトロポレーション、CaCl2介在DNA取り込み、菌類感染、マイクロ インジェクション、マイクロ噴出、または他の確立された方法を含む、いかなる 適した方法によっても適切なようにトランスフォーム/トランスフェクト/感染 される。 適切な宿主細胞には、細菌、古細菌、菌類特に酵母、及び植物及び動物細胞特 に哺乳動物細胞が含まれる。特に興味深いものとしては、大膓菌、枯草菌、Sacc haromyces cerevisiae、Saccharomyces carlsbergensis、Schizosaccharomyces pombi、SF9細胞、C129細胞、293細胞、Neuroapora及びCHO細胞、COS細胞、HeLa 細胞、及び不朽化咄乳動物ミエロイド及びリンパ細胞系が含まれる。好ましい複 製系には、M13、ColE1、SV40、バキュロウイルス、ラムダ、アデノウイルス等が 含まれる。多くの数の転写開始及び終止調節領域が単離されており、様々な宿主 における異種タンパク質の転写及び翻訳に有効であると示されている。これらの 領域、単離法、操作法等の例は本分野で周知である。適切な発現条件下では宿主 細胞は、組換え生産マイコバクテリウム由来ペプチド及びポリペプチドのソース として用いられ得る。 有利にはベクターはまた、αサブユニット部分と実施可能にリンクした転写調 節エレメント(すなわちプロモーター)を含む。該プロモーターは場合によりオ ペレーター部分及び/またはリボソーム結合部位を含む。大腸菌と適合可能な細 菌プロモーターの非制限的な例としては、trcプロモーター、β−ラクタマーゼ (ペニシリナーゼ)プロモーター;ラクトースプロモーター;トリプトファン(t rp)プロモーター;アラビノースBADオペロンプロモーター;ラムダ由来P1プロモ ーター及びN遺伝子リボソーム結合部位;及びtrp並びにlac UV5プロモーターの 配列由来のハイブリッドtacプロモーターが含まれる。酵母プロモーターの非制 限的な例としては、3-ホスホグリセラートキナーゼプロモーター、グリセルアル デヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、ガラクトキナーゼ(GAL I)プロモーター、ガラクトエピメラーゼプロモーター及びアルコールデヒドロゲ ナーゼ(ADH)プロモーターが含まれる。哺乳動物細胞に適したプロモーターとし ては、Simian Virus 40(SV40)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、アデノウイルス(ADV )、及びウシパピローマウイルス(BPV)由来のもののようなウイルスプロモーター が制限されることなく含まれる。哺乳動物細胞はまたターミネーター配列及びポ リA付加配列を必要とし、並びに発現を増大するエンハンサー配列もまた含まれ る。遺伝子の増幅を引き起こす配列もまた望ましい。さらに、細菌、酵母、及び 動物細胞を制限することなく含む、分泌シグナル配列及び/またはプロホルモン プロ領域配列のような細胞からの組換え産物の分泌を容易にするための配列もま た含まれる。 野生型または変異体αサブユニットポリペプチドをコードする核酸はまた、組 換え現象によって細胞内に取り込まれる。例えば上記配列は細胞内に取り込まれ 、それによって該遺伝子と実質的な同一性を有する内生的遺伝子または配列の部 位で相同的組喚えを引き起こす。非相同的組換え、または相同的組換えによる内 生的遺伝子の欠失のような他の組換えに基づく方法もまた用いられる。 機能保存的変異体を含む本発明にしたがったαサブユニット由来ポリペプチド は、野生型またはミュータントM.tuberculosis細胞から、またはαザブユニッ ト由来タンパク質コード配列が導入され発現されている異種器官または細胞(細 菌、菌類、昆虫、植物及び哺乳動物細胞を制限することなく含む)から単離され る。さらに該ポリペプチドは、組換え融合タンパク質の一部をなす(例えば以下 の実施例2参照)。代わりにポリペプチドは、排除的固相合成、部分的固相法、 断片 濃縮、または古典的溶液合成を制限することなく含む商業的に入手可能な自動法 によって化学的に合成される。 αサブユニットポリペプチドの「精製」とは、該ポリペプチが発現された細胞 の他の構成要素によって妨害されることなく、その酵素活性が測定されることが 可能な形態に該ポリペプチドを単離することをいう。ポリペプチド精製のための 方法は本分野でよく知られており、それには予備ディスク−ゲル電気泳動、等電 点電気泳動、HPLC、逆相HPLC、ゲル濾過、イオン交換及び分配クロマトグラフィ −及び向流分配が制限されることなく含まれる。ある目的のため、該タンパク質 がポリヒスチジン配列を制限することなく含む精製を容易にする付加的な配列タ グを含む組換え系で、該ポリペプチドを生産することが好ましい。それから該ポ リペプチドを、適切な固相マトリックス上のクロマトグラフィーによって宿主細 胞の粗溶解物から精製する。代わりに、αサブユニットまたはそれから由来する ペプチドに対して生産された抗体を、精製試薬として用いる。他の精製法も可能 である。 単離されたポリペプチドは、例えばリン酸化、硫酸化、アシル化、または他の タンパク質修飾によって修飾される。それらはまた、放射性同位元素及び蛍光化 合物を制限することなく含む、直接的または間接的に検出可能な標識を提供する ことができるラベルを用いて修飾される。 抗tuberculosis試薬を同定するためのスクリーニング法 本発明の方法及び組成物は、M.tuberculosis RNAポリメラーゼの機能を阻害 し、それ故抗tuberculosis試薬として有用な化合物を同定するために用いられ得 る。これは、本発明にしたがった酵素学的に活性な組換えαサブユニットを、RN Aポリメラーゼの他の構成要素と組み合わせて、試験化合物の阻害効果を測定可 能な状態で提供することによって成し遂げられる。代わりに、精製αサブユニッ トに結合する試験化合物の能力を、本分野で周知の方法を用いてモニターする。 本発明の方法を用いて同定された試験化合物は、RNAポリメラーゼの酵素活性を 妨害するもの、及び/または転写アクチベーターとのαサブユニットの相互作用 を破壊するものが包含される。それ故該化合物は、一般的なまたは遺伝子特異的 な転写イ ンヒビターとして機能するであろう。 好ましい実施態様として、組換えM.tuberculosis RNAポリメラーゼサブユニ ット(α、β、β’プラスいくつかのσサブユニットの一つ)を、ヘキサヒスチ ジンタグ化αサブユニットを利用してアフィニティー法によって大腸菌カルチャ ーからミリグラム量で精製する。酵素学的に活性なホロ酵素を、これらの構成要 素を用いて再構成する(例えば以下の実施例2参照)。それから活性なポリメラ ーゼを試験混合物を形成するために試験化合物の存在下で、及びコントロール混 合物を形成するために試験化合物の不存在下でインキュベートする。それからin vitro転写を、適切なプロモーター配列を含むDNAテンプレートを用いて実施す る(例えば以下の実施例2参照)。 特別の実施態様において、M.tuberculosis RNAポリメラーゼサブユニット( α2,β、β’プラスいくつかのσサブユニットの一つ)は、レポーター遺伝子 に機能的にリンクした適切なプロモーターと接合して、大腸菌またはもう一つの 代わりの細菌細胞において共発現される。それからM.tuberculosis RNAポリメ ラーゼを異なって阻害する試験化合物の能力を、レポーター遺伝子産物の量及び /または活性を測定することによって評価する。 本発明を実施するのに有用なM.tuberculosisプロモーターには、P1またはP2h sp 60プロモーター(Stover et al.,Nature 351:456,1991);cpn-60プロモーター( Kong et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2608,1993);85A抗原プロモーター(Kre mer,J.Bacteriol.177:642,1995);PANプロモーター(Murray et al.,Mol.Microbio l.6:3331,1992);16S RNAプロモーター(Ji et al.,Microbiol.140:2829,1994);及 びaskβプロモーター(Cirillo et al.,Mol.Microbiol.11:629,1994)が制限され ることなく含まれる。有用なレポーター遺伝子には、xylE(Curcic et al.,Mol.M icrobiol 13:1057:1994);CAT(Das Gupta et al.,J.Bacteriol.175:5186,1993); ルシフェラーゼ(Cooksey et al,Antimicrob.Agts.Chemother.37:1348,1993);グ リーン蛍光タンパク質(Dhadayuthap et al.,Mol.Hocrobiol.17:901,1995);及びl acZ(Silhavy et al.,Microbiol.Rev.49:398,1985)が制限されることなく含まれ る。 本発明がいかなる適切なσ因子を含むM.tuberculosis RNAポリメラーゼをも 包含することはよく理解され、該σ因子はそれを含むRNAポリメラーゼによって 認識 される特定のプロモーターと接合して用いられる。有用なσ因子の非制限的な例 としては、σAB及びσFが含まれる(Doushkan et al.,1995;Demaio et al.,Ge ne 165:67,1995)。本発明はまた、特定のσサブユニットによって認識される付 加的なプロモーターの同定を包含する。これは、適切なレポーター遺伝子(上記 参照)の上流でクローン化されたランダムM.tuberculosis遺伝子断片のライブ ラリーを提供することによって達成される。該ライブラリーをM.tuberculosis またはM.smegmatis内にトランスフォームし、レポーター遺伝子発現を測定する 。代わりに該ライブラリーを、M.tuberculosisRNAポリメラーゼコアサブユニッ ト、同様に興味あるσサブユニット及びレポーター遺伝子発現を促す同系のプロ モーターを発現する例えば大腸菌のようなもう一つの細菌細胞内にトランスフォ ームする。またもう一つの実施態様においては、M.tuberculosis σ因子の発現 は、大腸菌RNAポリメラーゼに対する新たな認識性質を指し、特定のM.tubercul osisσサブユニットによって特異的に利用されるプロモーターの単離を許容する 。 好ましくは、M.tuberculosis特異的RNAポリメラーゼインヒビターを検出する ためのin vitro及びin vivoの両者のスクリーニング法は、多数の化合物を単一 のアッセイで試験可能な高生産量フォーマットに順応する。上記阻害化合物は、 例えば天然産物ライブラリー、発酵ライブラリー(植物及び微生物を包含する) 、組み合わせライブラリー、化合物ファイル、及び合成化合物ライブラリーで見 出される。例えば合成化合物ライブラリーは、Maybridge Chemical Co.(Trevill et,Cornwall,UK)、Comgenex(Princeton,NJ)、Brandon Associates(Herrimack,NH )及びMicrosource(New Milford,CT)から商業的に入手可能である。レアケミカル ライブラリーは、Aldrich Chemical Company,Inc.(Milwaukee,WI)から入手可能 である。代わりに細菌、菌類、植物及び動物抽出物の形態における天然化合物の ライブラリーは、例えばPan Laboratories(Bothell,WA)またはMycoSearch(NC)か ら入手可能であり、容易に生産可能である。さらに天然及び合成生産ライブラリ ー及び化合物は、簡便な化学的、物理学的、及び生化学的手段を通じて、複数の 試験化合物の同時のスクリーニングが可能な自動装置を好ましくは用いて、容易 に修飾し得る(Blondelle et al,TibTech 14:60,1996)。 有用な抗tuberculosis化合物は、tuberculosis特異的転写を減少する試験化合 物として同定される。一度化合物がRNAポリメラーゼインヒビターとして本発明 の方法によって同定されると、阻害活性の性質及び機構をさらに特徴付けするた めに、in vivo及びin vitro試験が実施される。例えば、古典的酵素速度論プロ ットを、例えば競合的及び非競合的インヒビターを区別するために用い得る。 本発明の方法を用いてRNAポリメラーゼインヒビターとして同定された化合物 は、製薬学的処方等において用いるために能力、効力、取り込み、安定性及び適 合性を増大すべく修飾される。これらの修飾は、本分野で周知の方法を用いて達 成され試験される。 本発明はさらに、本発明の範囲を制限することなく本発明をさらに記載するよ うに企図された以下の実施例で記載される。 実施例1:M.tuberculosis rpoA遺伝子の単離及び分析 以下の実験は、M.tuberculosis RNAポリメラーゼαサブユニットをコードす る遺伝子をクローン化するために実施した。これらの実験において、以下の物質 及び方法を用いた。 A.物質及び方法 PCR増幅:M.tuberculosis H37RvゲノムDNA(1ng)を、10mM Tris-HCl pH8.3,1.5m M MgCl2,500mM KCl,2.5U Taqポリメラーゼ(Beohringer-Mannheim),0.2mM dNTP及 びオリゴヌクレオチドプライマー(それぞれ1μM):5'-CTACGCAAGCAGGGTCCGGGTGAG -3'及び5'-CTCACCCGGACCCTGCTTGCGTAG-3'を含む100μlの反応物において増幅し た。PCRを94℃で1分、55℃で2分、72℃で1分の35サイクルを用いてOmnigeneサー モサイクラーで実施した。増幅産物をゲル精製し、ベクターpCR2.1(Invirtogen) 内にライゲートした。 コスミドハイブリダイゼーション:ベクターpYA3060におけるM.tuberculosis H 37RvゲノムDNAのコスミドライブラリーのトランスデューシング溶解物を用いた 。およそ5のゲノム同等物を表すコスミド所有大腸菌Φ2819T(Jacobs et al.,In fec.Immun.52:101,1986)コロニーを滅菌96穴ミクロタイター皿のウエルに個々に 植菌し、60μg/mlのアンピシリン及び50μg/mlのチミジンの両者を含むLurisに おい て30℃で増殖させた。クローンを該ライブラリーのナイロンフィルターレプリカ として上記培地で室温で一晩成育させた。フィルターを標準的な方法によってコ ロニーハイブリダイゼーションのため加工し、プローブハイブリダイゼーション を以下に記載のように実施した。コスミドDNAをマキシプレップカラム(Qiagen) を用いて精製した。 サザンブロット分析:M.tuberculosis H37Rv染色体DNAまたはコスミドDNAの制 限酵素切断を1% TAEアガロースゲル上で電気泳動することによって分析し、標準 的な方法を用いてナイロンフィルター上にブロットした。プローブ標識及びハイ ブリダイゼーションを、ハイブリダイゼーション及び洗浄を70℃で実施したこと を除いて、本質的に提供者によって記載されたようにGeneImageハイブリダイゼ ーションシステム(Amersham)を用いて実施した。 DNAシークエンシング及び分析:ヌクレオチド配列に対するプラスミドテンプレ ートを、RPMミニプレップキット(Bio101)を用いて実施した。PCRサイクルシーク エンシング(ABI Prizm)を、Applied Biosystems自動シークエンサーを用いて実 施した。 B.M.tuberculosis rpoA遺伝子単離のためのストラテジー M.tuberculosis rpoA遺伝子の断片を、グラム陽性及びグラム陰性細菌種の間 で保存されているαの定義された領域に相同なオリゴヌクレオチドプライマーを 用いてPCRによって単離した。枯草菌及び大腸菌のαサブユニットのアミノ酸配 列の整列により、RNAポリメラーゼコアサブユニットと関連した主にαのN末端半 分内のクラスター化した短い領域の同一性が明らかにされた。保存されたα部分 LRRILLSS及びVTAADITHD(それぞれ枯草菌サブユニットのアミノ酸39-46及び106- 114)に相当するプライマーは、テンプレートとしてM.tuberculosis H37Rvゲノ ムDNAを用いて予測されたサイズ(228bp)のDNA断片を増幅した。増幅されたDNAbS rpoA配列を含むことを確認するために、228bp断片をサブクローン化し、部分的 ヌクレオチド配列を決定した。PCR産物の推定のアミノ酸配列は、他の細菌のα サブユニットに有意な同一性を示し(図1)、その同一性によりrpoA遺伝子断片 であることが確認された。228bp断片の一つのORFは、枯草菌(61%)及び大腸菌(55 %)αサ ブユニットの相当する間隔に高程度の同一性を示した。M.tuberculosis rpoA由 来配列は、全体として60%のG+C含有量を有する一方で、各コドンの第三の位置に 占める塩基に対するG+Cの含有量は76%まで上昇し、その値は他のM.tuberculosi s遺伝子の構成とよく一致した(Weiden et al.,in Tuberculosis,Little,Brown,1 996,pp.211-222)。 C.完全なM.tuberculosis rpoA遺伝子のサザンブロット分析及び単離 クローン化228bp断片がマイコバクテリウム由来であることを確立するために 、M.tuberculosis H37RvゲノムDNAの制限酵素切断のサザンブロット分析を実施 した。PCRプローブは、染色体切断物において独特の制限断片を検出した(図2 B)。これらのデータはM.tuberculosis染色体におけるrpoA遺伝子の単一コピ ーに一致する(EcoRI切断において観察されるハイブリダイゼーションの2のバ ンドは、228bpプローブ配列内に一つのEcoRI部位が存在することから起因する) 。フルレングスrpoA遺伝子を、228bp PCRプローブを用いてM.tuberculosis H37 Rvゲノム断片のコスミドライブラリーから得た。rpoA遺伝子断片を用いた及び60 0のコスミド所有大腸菌コロニーのスクリーニングにより、4の陽性クローンを 生じた。制限分析により、4の単離物は全挿入物サイズの点でお互いに異なるこ とが示されたが、全てがrpoA遺伝子プローブにハィブリダイズするおよそ10kb N otI断片を所有することが示された(図2A)。I C5と名付けられた一つのrpoA ハイブリダイズコスミドクローンが、さらなるクローニングのために選択された 。制限酵素の一団を用いて切断されたI C5 DNAのサザンブロッティングにより、 rpoA遺伝子の巨大な構造的再編成はクローニングの間に生じていないことが確認 された(図2B)。コスミドI C5の1.4kb SacII及び1.3kb SaII rpoAハイブリダ イズ断片を、ヌクレオチドシークエンシングの前にベクターpSKII+内にサブクロ ーン化した。 D.M.tuberculosis rpoA遺伝子の配列分析 ヌクレオチドシークエンシングを、プラスミドサブクローン及びコスミドI C5 DNAに対して実施した。M.tuberculosis rpoA遺伝子のヌクレオチド配列及び推 定のアミノ酸配列が図3に示されている。該配列は、全体のG+C組成が63%(コド ン第三位置を占める塩基に対して85%)である1044bpのORFをコードする。位置85 -87でのATGが開始コドンとして機能することと仮定して、該ORFは347アミノ酸の タンパク質をコードすると予測される。M.tuberculosisリボソーム結合部位(GA AAGGA)(Novick,in Tuberculosis,Little,Brown,1996,pp.187-198)に対するコン センサス配列との強い適合配列が、推定のATGコドンのすぐ上流に位置する。翻 訳開始部位の80bp以上上流のヌクレオチド配列を調べることにより、原核生物プ ロモーター部位と正確に同一な領域は発見されなかった。他の細菌種において研 究されたαサブユニットの間で、347残基M.tuberculosisタンパク質の推定のア ミノ酸配列は、グラム陽性胞子形成細菌枯草菌のαサブユニットと最大の相同性 (48%同一)を示した(図4)。 実施例2:M.tuberculosis RNAポリメラーゼαサブユニットの発現及び活性M.t uberculosis RNAポリメラーゼの再構成 以下の実験は、大腸菌において発現されたM.tuberculosis RNAポリメラーゼ αサブユニットを精製するため、及び酵素学的に活性なRNAポリメラーゼホロ酵 素を再構成するために実施された。 A.方法: M.tuberculosisαサブユニットの精製:組換えαを、大腸菌BL21(DE3)細胞(Nov agen)において生産させ、25μg/ml/カナマイシンを含むLB培地において37℃で成 育させた。一晩培養したカルチャー(100ml)を10倍に希釈し、A600=0.6になる まで(およそ75分)25μg/mlカナマイシンを含むLB培地で成育させた。αの発現 を、4mM IPTGを用いて3時間誘導した。αサブユニットの精製を、本質的にTang ,et al,Meth.Enzymol.273:130,1996に記載されているように実施した。略記す ると、細胞ペレットを4℃で10分遠心分離(3000Xg)によって回収した。該ペレッ トを20mlのバッファーB(6Mグアニジン塩酸,10mM Tris(pH7.9),500mM NaCl,5mM イミダゾール)中に再懸濁し、音波処理によって溶解した。封入体を4℃で30分 の42,000Xgの遠心分離によって取り出した。それから該サンプルをバッファーB 中のNi2+-NTA(Qiagen)上に吸着させた。該サンプルを20mlのバッファーBで二度 洗浄し; 30mMイミダゾールを含むバッファーBで二度洗浄し;そして500mMイミダゾール を含む10mlのバッファーBで溶出した。吸着、洗浄及び溶出は、穏やかな攪拌と 共に4℃で1分インキュベーションして実施した。 コア/ホロRNAポリメラーゼを形成するための他のM.tuberculosisサブユニット を用いたαの再構成:コア/ホロ酵素の再構成を、それぞれα、β及びβ’の60 、300、600μgを組み合わせることによって実施し、引き続き透析によって変性 物をゆっくり取り出した。組み合わされたタンパク質濃度を、凝集を避けるため にバッファーBを用いて0.5mg/mlに調節し、バッファーE(50mM Tris(pH7.9),20 0mM KCl,10mM MgCl2,10μM ZnCl2,1mM EDTA,5mM β-メルカプトエタノール,20%( v/v)グリセロール)に対して4℃で一晩透析した。透析に引き続き、該サンプル を30℃で45分のインキュベーションによって活性化し、凝集物を4℃で10分10,00 0Xgで遠心分離することによって取り出した。該サンプルをバッファーF(50mM T ris(pH7.9),0.5mM EDTA,5%(v/v)グリセロール)中でNi2+-NTA上に吸着させ、5mM イミダゾールを含むバッファーFで三回洗浄し、150mMイミダゾールを含むバッ ファーFで溶出した。吸着及び溶出は4℃で45分のインキュベーションによって 実施し、洗浄は1分行った。各工程に引き続き、4℃で2分16,000Xgで遠心分離を 行った。コア/ホロ酵素を、4℃で一晩バッファーF(50mM Tris(pH7.9),50mM KC l,0.5mM EDTA,5%(v/v)グリセロール)で透析した。 M.tuberculosisホロ酵素の精製:コアポリメラーゼ及び部品群を、0.2-0.5M KC l勾配を用いてMonoQカラム(Pharmacia)から溶出することによってホロ酵素から 分離した。ホロ酵素を含む画分をプールし、in vitro転写アッセイに用いた。 プロモーター構築:最近、マイコバクテリウムプロモーターがプラスミドシャト ルベクターpSD7(Das Gupta et al.,J.Bacteriol.175:5186,1993)を用いてクロー ン化され、その後の研究においてこれらのプロモーターの強度が分析された(Bas hyam et al.,J.Bacteriol.178:4847,1996)。これらの研究に基づいて、二つのプ ロモーターでそれぞれ弱い及び強いプロモーターを示すT125及びT101が、pUC19 ベクター内にクローン化され、M.tuberculosis転写アッセイに対するテンプレ ートとして用いられた。 転写アッセイ:ホロ酵素をコアポリメラーゼに主要シグマ因子MysAを加えること によって再構成し、30℃で20分インキュベートした。該転写反応を、高塩含有転 写バッファー(50mM Tris(pH7.9),10MgCl2,200mM KCl,10mM DTT,0.1mMEDTA,1mM K2 HPO4(pH7.5),100μg/ml BSA)を含む反応物当たり3μgのテンプレート(pUC19,p MC116またはpMC117)を用いることを除いて、記載されているように実施した(Sho renstein et al.,J.Biol.Chem.248:6170,1973)。50μlの反応物を、37℃で30分 インキュベートした。RNA転写産物を沈降させ、反応を停止させるために、100μ lの10%TCAを該反応物に加えた。TCA-沈降RNAを、細胞回取器(Packard,Meriden, CT)を用いてUniFilter GF/C(Packard,Meriden,CT)二重層ガラス繊維フィルター マット上に吸着させた。ミクロタイタープレートのウェル及びフィルターを、5% TCAを用いて二度洗浄し、結合放射性活性をTopCount-HTS(Packard,Meriden,CT) シンチレーションカウンターを用いて測定した。 B.結果: 組換えM.tuberculosis αサブユニットを、完全なrpoAコード領域を含むpET2 6bの誘導体であるプラスミドpJH37を用いてトランスフォームした大腸菌細胞内 で可溶性形態で過剰発現した。M.tuberculosis αは、C末端ヘキサヒスチジン タグ化融合タンパク質として高レベルで発現され、アフィニティークロマトグラ フイーによって均質に精製された。6XHisタグ化αサブユニットの大部分は可溶 性画分に存在し、さらにNi2+-NTAカラムを用いて精製された。αサブユニットポ リペプチドの溶出を0.5Mイミダゾールを用いて実施し、SDS-PAGEによって見積も ったところ>95%の純度を有する該サブユニットの>90%の回収が生じた(図5)。 コア酵素を、ヒスチジンタグを含有するαポリペプチドとβ及びβ’サブユニ ットの粗調製物を組み合わせることによって再構成し、引き続きリホールディン グを容易にするために透析によって変性物を取り出した。ホロ酵素をM.tubercu losis由来の精製主要σ(MysA)とコアポリメラーゼを組み合わせることによって 再構成した。αサブユニット上に6XHisタグを含むコア/ホロ酵素を、Ni2+-NTA から一括溶出し、引き続きイオン交換クロマトグラフィーから溶出することによ って遊離サブユニット及び部品群から精製した(図6)。 再構成されたM.tuberculosis RNAポリメラーゼが転写活性を有することを示 す ために、in vitro転写反応をMysA含有組換えホロ酵素及び2の周知のMysA依存性 プロモーター(T101及びT125、これらはそれぞれ強い及び弱いマイコバクテリウ ムプロモーターに相当する)を含むテンプレートを用いて実施した。再構成ホロ 酵素の転写活性は、T125と比較してT101をテンプレートとして用いた場合、2倍 より高く(図7)、転写速度はプロモーターの強度及び用いられる特定のσ因子 の両者と関連していることを示唆した。 これらの実験により、本発明にしたがって生産されたM.tuberculosis αサブ ユニットは精製され得、M.tuberculosisプロモーターに対して特異性を示す酵 素学的に活性なRNAポリメラーゼホロ酵素に再構成されることが示された。 実施例3:M.tuberculosis RNAポリメラーゼ及びαサブユニットのインヒビタ ーに対する高生産量スクリーニング 抗tuberculosis試薬に対する高生産量スクリーニングを、in vitro及びin viv oフォーマットのそれぞれを用いて実施する。各場合において、M.tuberculosis プロモーターのM.tuberculosis RNAポリメラーゼ由来転写を阻害する試験化合 物の能力を試験する。典型的には、T101のような強いプロモーターを試験反応の ため用いる。T101プロモーターの配列は以下のものである: T101:5’ AGCTTGCAGATCTAGCGATCGCAGCCGACGTGATACCTGACCGTTG1TGATAGTGTCGGCGGCT-3’ a)in vitroスクリーニング 以下の方法を、細胞フリー高生産量スクリーニングのために用いる。Tomtec Q uadra96穴ビペッティングステーションを、ポリプロピレン96穴皿に反応構成成 分を加えるために用いる。DMSOに溶解した試験化合物(またはコントロールとし てDMSO単独)の5μlの等量物をウェルに加える。これに、10mM DTT,200mM KCl, 10mM Mg+2,1.5μMウシ血清アルブミン、及び0.25μg再構成RNAポリメラーゼより なる20μlのRNAポリメラーゼ混合物を加える。試験化合物をRNAポリメラーゼと 相互作用させた後、1μgテンプレートDNA(上記参照)、4μM[α-32P]-UTP、及 び40μMのCTP,ATP並びにGTPのそれぞれを含む25μlのDNA/NTP混合物を加える。 25℃で30分のインキュベーション後、該反応を150μl 10%トリクロロ酢酸(TCA )を加えることによって停止させる。室温で60分のインキュベーション後、該TCA 沈降RNAをTomtec細胞回収器を用いて二重層ガラス繊維フィルターマット上に吸 着させる。ミクロタイタープレートのウェル及びフィルターを5% TCAを用いて二 度洗浄し、結合放射性活性をWallacミクロベータ1450シンチレーションカウンタ ーを用いて測定する。試験化合物による阻害活性は以下の公式にしたがって計算 される:個々でcpmホ゜シ゛ティフ゛コントロールはDMSO単独を受け取ったウェルにおけるcpmの平均を表 し、cpmサンフ゜ルは試験化合物を受け取ったウェルにおけるcpmを表す。少なくとも5 0%阻害を引き起こす化合物を、このアッセイにおいて陽性「ヒット」として記録 する。 さらなるコントロールとして、リファンピシンを30nMの濃度で用い、それはこ のアッセイにおいて50-75%の転写阻害を引き起こす。 b)in vivoスクリーニング M.tuberculosisRNAポリメラーゼサブユニット(α、β、β’及び特定のσサ ブユニット)を、適切なプラスミドを用いたトランスフォーム大腸菌による調節 可能プロモーターのコントロールの下で、大腸菌において発現する。もしσAサ ブユニットが発現されたならば、T101プロモーターを含むDNA配列もまたM.tube rculosis特異的転写のためのテンプレートとして機能するために細胞内に導入さ れる。 一つの実施態様として、該T101プロモーター配列は、xylE遺伝子産物、カテコ ール2,3-ジオキシゲナーゼ(CDO)をコードするDNA配列にリンクされる。大腸菌細 胞において発現される場合、CDOはカテコールを2-ヒドロキシムコン酸セミアル デヒド(2-hydroxymuconic semialdehyde)に変換し、該化合物は全細胞または粗 抽出物において容易に検出される明るい黄色(375nmで最大の吸光度を有する) を有する。この酵素に対する基質は、細菌細胞質に容易に入る小さい芳香族分子 であり、 細胞の生存能には負に影響することはない。 高生産量フォーマットにおいて、細菌カルチャーの等量を試験化合物の不存在 下または存在下でインキュベートし、CDO活性がカテコールの添加に引き続き375 nmで吸光度を測定することによってモニターされる。 c)特異性: それから上記記載のin vitroまたはin vivoアッセイのそれぞれにおいて陽性 として記録された化合物を、ヒトRNAポリメラーゼIIに対する効果について試験 する。ヒトRNAポリメラーゼIIを有意に阻害しない化合物が、抗tuberculosis試 薬の候補としてさらに開発されるであろう。
【手続補正書】 【提出日】平成12年7月27日(2000.7.27) 【補正内容】 明細書 M.tuberculosis RNAポリメラーゼアルファサブユニット 発明の分野 本発明は、M.tuberculosis由来のRNAポリメラーゼアルファサブユニットをコ ードする新規な核酸、及びその使用法に関する。 発明の背景 細胞内病原体Mycobacterium tuberculosisはヒトにおける結核の誘因生物であ り、毎年世界中で数多くの死に関与している(Bloom et al.Science 257:1055,1 992)。結核の多剤耐性形態の出現は、抵抗性のM.tuberculosis株に対して有効 な新たな抗生物質の開発を促している。リファンピン(Vall-Spinosa et al.,N. Eng.J.Med.283:616,1970)のような、原核生物転写機構を阻害可能な新規な薬剤 は、M.tuberculosisと戦う治療の開発に有意に貢献している。 真正細菌のRNAポリメラーゼは4のサブユニットより成り(α、β、β’及びσ) 、2の主要な形態で存在する:コア酵素(α2、β、β’)及びホロ酵素(α2、β、 β’プラスいくつかのσサブユニットの一つ)(Chamberlin,in RNA Polymerase ,Losick et al.,eds.,Cold Spring Harbor,1976,pp.17-67)。αサブユニットは 、転写アクチベーターとのタンパク質−タンパク質相互作用、及び上流エレメン トとのタンパク質−DNA相互作用に対する決定基を含む(Ishihama,Mol.Microbio l.6:3283,1992;Russo et al.,J.Biol.Chem.267:14515,1992;Ebright et al.,C urr.Opin.Genet.Dev.5:197,1995)。αのアミノ末端ドメインはまた、マルチサブ ユニットコアRNAポリメラーゼの集合に必要とされる(Ishihara,Adv.Biophys.14 :1,1981)。βサブユニットは転写開始及び伸長に必須であり、β’は明らかにテ ンプレートDNAに対するコア酵素の結合において機能する(Yura et al.,Ann.Rev .Genet.13:59,1979)。コアRNAポリメラーゼはRNA合成が可能である;しかしなが ら、プロモーター配列での転写の特異的な開始のためにσが必要である(Gross e t al.,in Transcriptional Regulation,Cold Spring Harbor,1992,pp.129-176 )。 M.tuberculosis RNAポリメラーゼのインヒビターの発見は、M.tuberculosis 転写装置の構成要素に関する情報の欠如、生化学的研究のための活性な酵素の十 分な収率を得ることの困難性、及びバイオセイフティー事業によって妨げられて いる。精製され再構成されたRNAポリメラーゼを用いるin vitro転写システムの 確立は、結核に対して活性な新たな治療上の試薬を同定するために多大なる努力 が向けられている。 したがって、M.tuberculosis RNAポリメラーゼから由来するクローン化遺伝 子及び精製タンパク質を利用する組成物及び方法に対する本分野での必要性が存 在する。 発明の概要 本発明は、M.tuberculosis由来のRNAポリメラーゼのαサブユニットをコード するDNAの単離及び特徴付けに基づいている。一つの態様として本発明は、図3 に示される配列を有する精製され単離された核酸を提供する。本発明はまた、こ の配列の配列保存的及び機能保存的な変異体をも包含する。本発明はまた、これ らの配列を含むベクター及び該ベクターを含む細胞をも提供する。 もう一つ態様として本発明は、図3に示される核酸配列によってコードされる 精製され単離されたポリペプチド、同様にその機能保存的変異体を提供する。一 つの実施態様として本発明は、ヘキサヒスチジンタグをさらに含む精製されたα サブユニットを提供する。本発明はまた、αサブユニットを含む精製され再構成 されたコア及びホロ酵素を提供する。 さらなるもう一つの態様として本発明は、M.tuberculosis RNAポリメラーゼ のインヒビターを検出するための高生産量スクリーニングのためのin vitro法を 提供する。一つの実施態様として該方法は: a)(i) 精製されたM.tuberculosis RNAポリメラーゼ及び (ii)M.tuberculosis RNAポリメラーゼによって認識されるプロモーター配列 をコードするDNAテンプレート; を含む混合物を提供すること b) 試験サンプルを形成するために試験化合物の存在下で、及びコントロールサ ン プルを形成するために試験化合物の不存在下で、コントロールサンプルにおいて RNA合成が引き起こされる条件下で該混合物をインキュベートすること c) 該試験及びコントロールサンプルにおいて上記M.tuberculosis認識プロモー ターによって向けられるRNA合成を測定すること;及び d) 該試験及びコントロールサンプルの間で工程(c)で検出されるRNA合成を比較 すること を含む。本発明にしたがったRNAポリメラーゼインヒビターは、コントロールサ ンプルにおいて測定されるRNA合成に対する、試験サンプルにおいて測定されるM .tuberculosis認識プロモーターによって向けられるRNA合成の減少を引き起こす 試験化合物である。好ましい実施態様として、この方法の実施において用いられ る精製RNAポリメラーゼには、酵素学的に活性なホロ酵素を形成するように再構 成される組換えサブユニットが含まれる。もう一つの実施態様として、精製され たαサブユニットに結合する試験化合物の能力がモニターされる。 さらなるもう一つの面として、本発明はM.tuberculosis RNAポリメラーゼの インヒビターを検出するための高生産量スクリーニングのためのin vivo法を提 供する。該方法は以下の工程: a) (i) M.tuberculosis RNAポリメラーゼによって認識されるプロモーター配列 をコードするDNAテンプレートを用いてトランスフォームされ、及び (ii)酵素学的に活性なM.tuberculosis RNAポリメラーゼ(例えばα2、β、 β’プラスいくつかのσサブユニットの一つ)を発現する; 非マイコバクテリウム細菌株、好ましくは大腸菌を提供すること; b) 試験サンプルを形成するために試験化合物の存在下で、及びコントロールサ ンプルを形成するために試験化合物の不存在下で、(a)の細菌株をインキュベー トすること c) 該試験及びコントロールサンプルにおいて上記M.tuberculosis認識プロモー ターによって向けられるRNA合成を測定すること;及び d) 該試験及びコントロールサンプルの間で工程(c)で検出される上記M.tubercu losis認識プロモーターによって向けられるRNA合成を比較すること によって実施される。本発明にしたがってRNAポリメラーゼインヒビターは、コ ン トロールサンプルにおいて測定されるRNA合成に対する、試験サンプルにおいて 測定されるRNA合成の減少を引き起こす試験化合物である。 本発明のこれら及び他の態様は、本明細書及び添付した請求の範囲に照らして 当業者に明らかであろう。 図面の簡単な説明 図1は、M.tuberculosis rpoA遺伝子断片の推定のアミノ酸配列、及び枯草菌 並びに大腸菌のαサブユニットの相当する領域を比較した図式的説明である。Mt .M.tuberculosis(配列番号1);Bs.枯草菌(配列番号2):Ec.大腸菌(配 列番号3) 。断続線は、オリゴヌクレオチドがデザインされる枯草菌及び大腸菌 タンパク質の保存された部分を示す。 図2Aは、rpoAハイブリダイズコスミドクローンのサザンブロット分析の写真 の説明である。M.tuberculosisコスミドライブラリーから単離される4の異なる 陽性クローン(IIA5,IIA3,I D9及びI C5と名付けられた)をNotIを用いて切断し 、rpoA遺伝子プローブを用いてハイブリダイズした。DNAマーカーのサイズ(λEc oT141,Amersham)はkbで示される。 図2Bは、rpoAハイブリダイズコスミドクローンのサザンブロット分析の写真の 説明であり、ゲノム及びコスミド由来のrpoA配列の構造的な保存を示す。精製コ スミドI C5 DNA(レーン1-5)またはM.tuberculosis H37RvゲノムDNA(レーン7-11 )を示された制限酵素で切断し、rpoAプローブを用いてハイブリダイズした。DNA マーカーのサイズ(λEcoT141,Amersham)はkbで示される。 図3は、M.tuberculosis H37Rv rpoA遺伝子のヌクレオチド配列(配列番号4 及び推定のアミノ酸配列(配列番号5)を示す。RBSは潜在的リボソーム結合 部位を示す。rpoA遺伝子産物の椎定の開始及び停止コドンは、それぞれ85-87及 び1126-1128である。 図4は、M.tuberculosis H37Rvαサブユニットの推定のアミノ酸配列を他の 細菌のαサブユニットの配列と比較する図式的説明である。枯草菌(Bs)(配列番 号6) M.genitalium(Mg)(配列番号7)、大腸菌(Ec)(配列番号8)、H.influe nzae(Hi)(配列番号9)、B.pertussis(Bp)(配列番号10)、S.typhimurium (St)(配列番号11)、及びC.trachomatis(Ct)(配列番号12)。影の部分は 、同一のアミノ酸残基を示す。アミノ酸配列の整列は、MegAlign(DNAStar)を用 いて実施した。 図5は、大腸菌におけるM.tuberculosis αサブユニットの発現及び精製を示 すSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動の写真の説明である。レーン1は分子量 マーカー(kDa)を示す;レーン2及び3は、pJH37を所有する大腸菌のそれぞれ非 誘導及びIPTG誘導カルチャー由来の全タンパク質を示す;及びレーン4は、精製 M.tuberculosis αサブユニット(およそ38kDa)を示し、それは矢印によって示 されている。 図6は、M.tuberculosis由来のコア及びホロRNAポリメラーゼの再構成及び精 製を示すSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動の写真の説明である。レーン1及 び6は分子量マーカー(kDa)を示す;レーン2はα−ヒスチジン含有コア酵素を 示す;レーン3はヒスチジン含有ホロ酵素を示す;レーン4はN末端ヒスチジン タグ化主要シグマを示す;及びレーン5は精製大腸菌ホロ酵素を示す。 図7は、再構成精製M.tuberculosis RNAポリメラーゼホロ酵素、及びT101とT 125プロモーター含有DNAテンプレートを用いるin vitro転写反応の図式的説明で ある。 発明の詳細な説明 ここで引用される全ての特許出願、特許及び参考文献は、ここで完全に参考と して取り込まれる。矛盾のある場合には、本開示が優先するであろう。 本発明は、RNAポリメラーゼのαサブユニットをコードするM.tuberculosis r poA遺伝子の断片の単離に基づく。以下の実施例1に記載されるように該断片は 、グラム陽性及びグラム陰性細菌の間で高く保存されているαの領域に対して向 けられるプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって単離された。 増幅されたDNAを、有毒なM.tuberculosis株H37RV由来のゲノムDNAのコスミドラ イブラリーから、完全なrpoA遺伝子を回収するためのハイブリダイゼーションプ ローブとして利用した。ヌクレオチドシークエンシングにより、1044bpのM.tub erculosis rpoAオープンリーディングフレーム(ORF)が347アミノ酸のタンパク質 をコ ードし、該タンパク質は様々な細菌種のαサブユニットに有意な構造的類似性を 示し、枯草菌αタンパク質と最大の同一性を有する(図1)ことが示された。 その長さのほとんどを通じて構造的に保存されているが、M.tuberculosis α サブユニットの推定のアミノ酸配列は、その極端なC末端で枯草菌及び他の細菌 のものと異なった。興味深いことに、大腸菌RNAポリメラーゼサブユニットに対 する研究により、αのC末端94残基は特定の転写調節タンパク質と相互作用して 機能する一方で、N末端ドメインはコア集合を容易にするより高く保存された役 割を演じることが示されている(Ishihama.Mol.Microbiol.6:3283,1992;Russo e t al.,J.Biol.Chem.267:14515,1992)。 枯草菌rpoA遺伝子は、開始因子1及びリボソームタンパク質B,S13,S11及びL17 に対する遺伝子と共に転写される大きなオペロンの一部である;そして大腸菌で 見られる遺伝子構成のパターンとは異なり、枯草菌rpoA遺伝子クラスターは、RN Aポリメラーゼ構成要素β及びβ’をコードするrpoB-Cオペロンに遺伝学的にリ ンクしている(Boylan et al.,J.Bacteriol.171:2553,1992)。 本発明を実施する場合、分子生物学、微生物学、組換えDNA、及びタンパク質 生化学における多くの方法が用いられ、これらは例えば、Sambrook et al.,198 9,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Labora tory Press,Cold Spring Harbor,New York;DNA Cloning:A Practical Approa ch,Volumes I and II,1985(D.N.Glover ed.);Oligonucleotide Synthesis,1 984(Hames and Higgins eds.);A Practical Guide to Molecular Cloning;Metho ds in Enzymology(Academic Press,Inc.)の一連のもの;及びProtein Purificati on:Principles and Practice,第2版,(Springer-Verlag,N.Y.)に十分に説明さ れている。 本発明は、M.tuberculosis RNAポリメラーゼのαサブユニットをコードする 核酸配列、それから由来する酵素学的に活性な断片、及び関連する配列を包含す る。ここで用いられる配列「から由来する」核酸とは、該配列の領域に相当する 核酸配列、該配列と類似するまたは相補的な配列、及び「配列保存的変異体」と 「機能保存的変異体」をいう。配列保存的変異体とは、与えられたコドン位置で の一つ以上のヌクルオチドの変化がその位置でコードされているアミノ酸におい て変 化を引き起こさないものである。機能保存的変異体とは、αサブユニットにおけ る与えられたアミノ酸残基が該ポリペプチドの全体の構造及び機能を改変するこ となく変化されているものをいい、同様な物理化学的性質(例えば酸性、塩基性 、疎水性等のような)を有するアミノ酸を用いて一つのアミノ酸を置換すること などを制限することなく含む。酵素活性を維持するαサブユニットの断片は、こ こで記載される方法にしたがって同定され得、該方法は例えば、大腸菌における 発現、引き続き該細胞抽出物の酵素的アッセイ、または精製及び精製ポリペプチ ドの酵素学的に活性なホロ酵素への再構成などがある。 本発明の核酸にはいかなる長さのプリン及びピリミジン含有ポリマーが含まれ 、ポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドまたは混合ポリリ ボーポリデオキシリボヌクレオチドのそれぞれが含まれる。これには一本鎖及び 二本鎖分子、すなわちDNA-DNA、DNA-RNA及びRNA-RNAハイブリッド、同様にアミ ノ酸骨格に塩基を接合することによって形成される「タンパク質核酸」(PNA)が 含まれる。核酸は細胞から直接単離され得る。代わりに、テンプレートとして化 学的合成鎖またはゲノム物質のそれぞれを用いることによるPCRを、本発明の核 酸を生産するために用い得る。PCRのために用いられるプライマーは、ここで提 供される配列情報を用いて合成され、さらに必要であれば組換え発現のための与 えられたベクター内への取り込みを容易にするために、適切な新たな制限部位を 導入するべくデザインされ得る。 本発明の核酸は、天然のM.tuberculosis調節配列が横に並んでおり、または 異種配列と会合しており、その配列にはプロモーター、エンハンサー、レスポン スエレメント、シグナル配列、ポリアデニル化配列、イントロン、5'-及び3'-非 コード領域等が含まれる。該核酸はまた、本分野で周知の多くの方法によって修 飾される。上記修飾の非制限的な例としては、メチル化、「キャップス」、類似 体を用いた一つ以上の天然で生じるヌクレオチドの置換、及び例えば非電荷架橋 (例えばホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホロアミダート、カルバ マート等)及び電荷架橋(例えばホスホロチオアート、ホスホロジチオアート等 )を有するもののようなヌクレオチド内修飾が含まれる。核酸は一つ以上の付加 的な共有結合部分を含み、例えばタンパク質(例えばヌクレアーゼ、毒素、抗 体、シグナルペプチド、ポリ-L-リシン等)、挿入化合物(例えばアクリジン、 ソラレン等)、キレート化剤(例えば金属、放射性活性金属、鉄、酸化性金属等 )及びアルキル化剤を含む。該核酸は、メチルまたはエチルホスホトリエステル の形成あるいはアルキルホスホルアミダート結合によって誘導化される。さらに 、本発明の核酸配列はまた、直接的にまたは間接的に検出可能なシグナルを提供 することができるラベルを用いて修飾される。例示的なラベルには、放射性同位 元素、蛍光分子、ビオチン等が含まれる。 本発明はまた、開示されるαサブユニット配列またはその誘導体または断片を 含む核酸ベクターを提供する。プラスミド及び菌類ベクターを含む数多くのベク ターが、様々な真核生物及び原核生物宿主における複製及び/または発現のため に記載されている。非制限的な例として、関連分野で当業者に周知である本明細 書または別のところでに開示されまたは引用される方法を用いて、pKKプラスミ ド(Clontech)、pUCプラスミド、pETプラスミド(Novagen,Inc.,Madison,WI)また はpRSETまたはpREP(Invitrogen,San Diego,CA)、及び多くの適切な宿主細胞が含 まれる。組換えクローニングベクターは、クローニングまたは発現のための一つ 以上の複製系、例えば抗生物質耐性といった宿主における選択のための一つ以上 のマーカー、及び一つ以上の発現カセットをしばしば含むであろう。適切な宿主 細胞は、エレクトロポレーション、CaCl2介在DNA取り込み、菌類感染、マイクロ インジェクション、マイクロ噴出、または他の確立された方法を含む、いかなる 適した方法によっても適切なようにトランスフォーム/トランスフェクト/感染 される。 適切な宿主細胞には、細菌、古細菌、菌類特に酵母、及び植物及び動物細胞特 に哺乳動物細胞が含まれる。特に興味深いものとしては、大腸菌、枯草菌、Sacc haromyces cerevisiae、Saccharomyces carlsbergensis、Schizosaccharomyces pombi、SF9細胞、C129細胞、293細胞、Neuroapora及びCHO細胞、COS細胞、HeLa 細胞、及び不朽化哺乳動物ミエロイド及びリンパ細胞系が含まれる。好ましい複 製系には、M13、ColE1、SV40、バキュロウイルス、ラムダ、アデノウイルス等が 含まれる。多くの数の転写開始及び終止調節領域が単離されており、様々な宿主 における異種タンパク質の転写及び翻訳に有効であると示されている。これらの 領 域、単離法、操作法等の例は本分野で周知である。適切な発現条件下では宿主細 胞は、組換え生産マイコバクテリウム由来ペプチド及びポリペプチドのソースと して用いられ得る。 有利にはベクターはまた、αサブユニット部分と実施可能にリンクした転写調 節エレメント(すなわちプロモーター)を含む。該プロモーターは場合によりオ ペレーター部分及び/またはリボソーム結合部位を含む。大腸菌と適合可能な細 菌プロモーターの非制限的な例としては、trcプロモーター、β−ラクタマーゼ (ペニシリナーゼ)プロモーター;ラクトースプロモーター;トリプトファン(t rp)プロモーター;アラビノースBADオペロンプロモーター;ラムダ由来P1プロモ ーター及びN遺伝子リボソーム結合部位;及びtrp並びにlac UV5プロモーターの 配列由来のハイブリッドtacプロモーターが含まれる。酵母プロモーターの非制 限的な例としては、3-ホスホグリセラートキナーゼプロモーター、グリセルアル デヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、ガラクトキナーゼ(GAL I)プロモーター、ガラクトエピメラーゼプロモーター及びアルコールデヒドロ ゲナーゼ(ADH)プロモーターが含まれる。哺乳動物細胞に適したプロモーターと しては、Simian Virus 40(SV40)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、アデノウイルス(A DV)、及びウシパピローマウイルス(BPV)由来のもののようなウイルスプロモータ ーが制限されることなく含まれる。咄乳動物細胞はまたターミネーター配列及び ポリA付加配列を必要とし、並びに発現を増大するエンハンサー配列もまた含ま れる。遺伝子の増幅を引き起こす配列もまた望ましい。さらに、細菌、酵母、及 び動物細胞を制限することなく含む、分泌シグナル配列及び/またはプロホルモ ンプロ領域配列のような細胞からの組換え産物の分泌を容易にするための配列も また含まれる。 野生型または変異体αサブユニットポリペプチドをコードする核酸はまた、組 換え現象によって細胞内に取り込まれる。例えば上記配列は細胞内に取り込まれ 、それによって該遺伝子と実質的な同一性を有する内生的遺伝子または配列の部 位で相同的組換えを引き起こす。非相同的組換え、または相同的組換えによる内 生的遺伝子の欠失のような他の組換えに基づく方法もまた用いられる。 機能保存的変異体を含む本発明にしたがったαサブユニット由来ポリペプチド は、野生型またはミュータントM.tuberculosis細胞から、またはαサブユニッ ト 由来タンパク質コード配列が導入され発現されている異種器官または細胞(細菌 、菌類、昆虫、植物及び哺乳動物細胞を制限することなく含む)から単離される 。さらに該ポリペプチドは、組換え融合タンパク質の一部をなす(例えば以下の 実施例2参照)。代わりにポリペプチドは、排除的固相合成、部分的固相法、断 片濃縮、または古典的溶液合成を制限することなく含む商業的に入手可能な自動 法によって化学的に合成される。 αサブユニットポリペプチドの「精製」とは、該ポリペプチが発現された細胞 の他の構成要素によって妨害されることなく、その酵素活性が測定されることが 可能な形態に該ポリペプチドを単離することをいう。ポリペプチド精製のための 方法は本分野でよく知られており、それには子備ディスク−ゲル電気泳動、等電 点電気泳動、HPLC、逆相HPLC、ゲル濾過、イオン交換及び分配クロマトグラフィ ー及び向流分配が制限されることなく含まれる。ある目的のため、該タンパク質 がポリヒスチジン配列を制限することなく含む精製を容易にする付加的な配列タ グを含む組換え系で、該ポリペプチドを生産することが好ましい。それから該ポ リペプチドを、適切な固相マトリックス上のクロマトグラフィーによって宿主細 胞の粗溶解物から精製する。代わりに、αサブユニットまたはそれから由来する ペプチドに対して生産された抗体を、精製試薬として用いる。他の精製法も可能 である。 単離されたポリペプチドは、例えばリン酸化、硫酸化、アシル化、または他の タンパク質修飾によって修飾される。それらはまた、放射性同位元素及び蛍光化 合物を制限することなく含む、直接的または間接的に検出可能な標識を提供する ことができるラベルを用いて修飾される。 抗tuberculosis試薬を同定するためのスクリーニング法 本発明の方法及び組成物は、M.tuberculosis RNAポリメラーゼの機能を阻害 し、それ故抗tuberculosis試薬として有用な化合物を同定するために用いられ得 る。これは、本発明にしたがった酵素学的に活性な組換えαサブユニットを、RN Aポリメラーゼの他の構成要素と組み合わせて、試験化合物の阻害効果を測定可 能な状態で提供することによって成し遂げられる。代わりに、精製αサブユニッ トに結 合する試験化合物の能力を、本分野で周知の方法を用いてモニターする。本発明 の方法を用いて同定された試験化合物は、RNAポリメラーゼの酵素活性を妨害す るもの、及び/または転写アクチベーターとのαサブユニットの相互作用を破壊 するものが包含される。それ故該化合物は、一般的なまたは遺伝子特異的な転写 インヒビターとして機能するであろう。 好ましい実施態様として、組換えM.tuberculosis RNAポリメラーゼサブユニ ット(α、β、β’プラスいくつかのσサブユニットの一つ)を、ヘキサヒスチ ジンタグ化αサブユニットを利用してアフィニティー法によって大腸菌カルチャ ーからミリグラム量で精製する。酵素学的に活性なホロ酵素を、これらの構成要 素を用いて再構成する(例えば以下の実施例2参照)。それから活性なポリメラ ーゼを試験混合物を形成するために試験化合物の存在下で、及びコントロール混 合物を形成するために試験化合物の不存在下でインキュベートする。それからin vitro転写を、適切なプロモーター配列を含むDNAテンプレートを用いて実施す る(例えば以下の実施例2参照)。 特別の実施態様において、M.tuberculosis RNAポリメラーゼサブユニット( α2,β、β’プラスいくつかのσサブユニットの一つ)は、レポーター遺伝子 に機能的にリンクした適切なプロモーターと接合して、大腸菌またはもう一つの 代わりの細菌細胞において共発現される。それからM.tuberculosis RNAポリメ ラーゼを異なって阻害する試験化合物の能力を、レポーター遺伝子産物の量及び /または活性を測定することによって評価する。 本発明を実施するのに有用なM.tuberculosisプロモーターには、P1またはP2h sp60プロモーター(Stover et al.,Nature 351:456,1991);cpn-60プロモーター(K ong et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:2608,1993);85A抗原プロモーター(Kreme r,J.Bacteriol.177:642,1995);PANプロモーター(Murray et al.,Mol.Microbiol. 6:3331,1992);16S RNAプロモーター(Ji et al.,Microbiol.140:2829,1994);及び askβプロモーター(Cirillo et al.,Mol.Microbiol.11:629,1994)が制限される ことなく含まれる。有用なレポーター遺伝子には、xylE(Curcic et al.,Mol.Mic robiol 13:1057:1994);CAT(Das Gupta et al.,J.Bacteriol.175:5186,1993);ル シフェラーゼ(Cooksey et al,Antimicrob.Agts.Chemother.37:1348,1993);グリ ーン 蛍光タンパク質(Dhadayuthap et al.,Mol.Mocrobiol.17:901,1995);及びlacZ(Si lhavy et al.,Microbiol.Rev.49:398,1985)が制限されることなく含まれる。 本発明がいかなる適切なσ因子を含むM.tuberculosis RNAポリメラーゼをも 包含することはよく理解され、該σ因子はそれを含むRNAポリメラーゼによって 認識される特定のプロモーターと接合して用いられる。有用なσ因子の非制限的 な例としては、σA、σB及びσFが含まれる(Doushkan et al.,1995;Demaio et a l.,Gene 165:67,1995)。本発明はまた、特定のσサブユニットによって認識され る付加的なプロモーターの同定を包含する。これは、適切なレポーター遺伝子( 上記参照)の上流でクローン化されたランダムM.tuberculosis遺伝子断片のラ イブラリーを提供することによって達成される。該ライブラリーをM.tuberculo sisまたはM.smegmatis内にトランスフォームし、レポーター遺伝子発現を測定 する。代わりに該ライブラリーを、M.tuberculosisRNAポリメラーゼコアサブユ ニット、同様に興味あるσサブユニット及びレポーター遺伝子発現を促す同系の プロモーターを発現する例えば大腸菌のようなもう一つの細菌細胞内にトランス フォームする。またもう一つの実施態様においては、M.tuberculosis σ因子の 発現は、大腸菌RNAポリメラーゼに対する新たな認識性質を指し、特定のM.tube rculosisσサブユニットによって特異的に利用されるプロモーターの単離を許容 する。 好ましくは、M.tuberculosis特異的RNAポリメラーゼインヒビターを検出する ためのin vitro及びin vivoの両者のスクリーニング法は、多数の化合物を単一 のアッセイで試験可能な高生産量フォーマットに順応する。上記阻害化合物は、 例えば天然産物ライブラリー、発酵ライブラリー(植物及び微生物を包含する) 、組み合わせライブラリー、化合物ファイル、及び合成化合物ライブラリーで見 出される。例えば合成化合物ライブラリーは、Maybridge Chemical Co.(Trevill et,Cornwall,UK)、Comgenex(princeton,NJ)、Brandon Associates(Merrimack,NH )及びMicrosource(New Milford,CT)から商業的に入手可能である。レアケミカル ライブラリーは、Aldrich Chemical Company,Inc.(Milwaukee,WI)から入手可能 である。代わりに細菌、菌類、植物及び動物抽出物の形態における天然化合物の ライブラリーは、例えばPan Laboratories(Bothell,WA)またはMycoSearch(NC)か ら入手可能であり、容易に生産可能である。さらに天然及び合成生産ライブラリ ー及び化 合物は、簡便な化学的、物理学的、及び生化学的手段を通じて、複数の試験化合 物の同時のスクリーニングが可能な自動装置を好ましくは用いて、容易に修飾し 得る(Blondelle et al,TibTech 14:60,1996)。 有用な抗tuberculosis化合物は、tuberculosis特異的転写を減少する試験化合 物として同定される。一度化合物がRNAポリメラーゼインヒビターとして本発明 の方法によって同定されると、阻害活性の性質及び機構をさらに特徴付けするた めに、in vivo及びin vitro試験が実施される。例えば、古典的酵素速度論プロ ットを、例えば競合的及び非競合的インヒビターを区別するために用い得る。 本発明の方法を用いてRNAポリメラーゼインヒビターとして同定された化合物 は、製薬学的処方等において用いるために能力、効力、取り込み、安定性及び適 合性を増大すべく修飾される。これらの修飾は、本分野で周知の方法を用いて達 成され試験される。 本発明はさらに、本発明の範囲を制限することなく本発明をさらに記載するよ うに企図された以下の実施例で記載される。 実施例1:M.tuberculosis rpoA遺伝子の単離及び分析 以下の実験は、M.tuberculosisRNAポリメラーゼαサブユニットをコードする 遺伝子をクローン化するために実施した。これらの実験において、以下の物質及 び方法を用いた。 A.物質及び方法 PCR増幅:M.tuberculosis H37RvゲノムDNA(1ng)を、10mM Tris-HCl pH8.3,1.5m M MgCl2,500mM KCl,2.5U Taqポリメラーゼ(Beohringer-Mannheim),0.2mM dNTP及 びオリゴヌクレオチドプライマー(それぞれ1μM):5'-CTACGCAAGCAGGGTCCGGGTGAG -3’(配列番号13)及び5'-CTCACCCGGACCCTGCTTGCGTAG-3'(配列番号14)を 含む100μlの反応物において増幅した。PCRを94℃で1分、55℃で2分、72℃で1分 の35サイクルを用いてOmnigeneサーモサイクラーで実施した。増幅産物をゲル精 製し、ベクターpCR2.1(Invirtogen)内にライゲートした。 コスミドハイブリダイゼーション:ベクターpYA3060におけるM.tuberculosis H 37RvゲノムDNAのコスミドライブラリーのトランスデューシング溶解物を用いた 。およそ5のゲノム同等物を表すコスミド所有大腸菌Φ2819T(Jacobs et al.,In fec.Immun.52:101,1986)コロニーを滅菌96穴ミクロタイター皿のウェルに個々に 植菌し、60μg/mlのアンピシリン及び50μg/mlのチミジンの両者を含むLurisに おいて30℃で増殖させた。クローンを該ライブラリーのナイロンフイルターレプ リカとして上記培地で室温で一晩成育させた。フィルターを標準的な方法によっ てコロニーハイブリダイゼーションのため加工し、プローブハイブリダイゼーシ ョンを以下に記載のように実施した。コスミドDNAをマキシプレップカラム(Qiag en)を用いて精製した。 サザンブロット分析:M.tuberculosis H37Rv染色体DNAまたはコスミドDNAの制 限酵素切断を1% TAEアガロースゲル上で電気泳動することによって分析し、標準 的な方法を用いてナイロンフィルター上にブロットした。プローブ標識及びハイ ブリダイゼーションを、ハイブリダイゼーション及び洗浄を70℃で実施したこと を除いて、本質的に提供者によって記載されたようにGene Imageハイブリダイゼ ーションシステム(Amersham)を用いて実施した。 DNAシークエンシング及び分析:ヌクレオチド配列に対するプラスミドテンプレ ートを、RPMミニプレップキット(Bio101)を用いて実施した。PCRサイクルシーク エンシング(ABI Prizm)を、Applied Biosystems自動シークエンサーを用いて実 施した。 B.M.tuberculosis rpoA遺伝子単離のためのストラテジー M.tuberculosis rpoA遺伝子の断片を、グラム陽性及びグラム陰性細菌種の間 で保存されているαの定義された領域に相同なオリゴヌクレオチドプライマーを 用いてPCRによって単離した。枯草菌及び大腸菌のαサブユニットのアミノ酸配 列の整列により、RNAポリメラーゼコアサブユニットと関連した主にαのN末端半 分内のクラスター化した短い領域の同一性が明らかにされた。保存されたα部分 LRRILLSS及びVTAADITHD(それぞれ枯草菌サブユニットのアミノ酸39-46及び106- 114)に相当するプライマーは、テンプレートとしてM.tuberculosis H37Rvゲノ ムDNAを用いて予測されたサイズ(228bp)のDNA断片を増幅した。増幅されたDNAが rp oA配列を含むことを確認するために、228bp断片をサブクローン化し、部分的ヌ クレオチド配列を決定した。PCR産物の推定のアミノ酸配列は、他の細菌のαサ ブユニットに有意な同一性を示し(図1)、その同一性によりrpoA遺伝子断片で あることが確認された。228bp断片の一つのORFは、枯草菌(61%)及び大腸菌(55%) αサブユニットの相当する間隔に高程度の同一性を示した。M.tuberculosis rp oA由来配列は、全体として60%のG+C含有量を有する一方で、各コドンの第三の位 置に占める塩基に対するG+Cの含有量は76%まで上昇し、その値は他のM.tubercu losis遺伝子の構成とよく一致した(Weiden et al.,in Tuberculosis,Little,Bro wn,1996,pp.211-222)。 C.完全なM.tuberculosis rpoA遺伝子のサザンブロツト分析及び単離 クローン化228bp断片がマイコバクテリウム由来であることを確立するために 、M.tuberculosis H37RvゲノムDNAの制限酵素切断のサザンブロット分析を実施 した。PCRプローブは、染色体切断物において独特の制限断片を検出した(図2 B)。これらのデータはM.tuberculosis染色体におけるrpoA遺伝子の単一コピ ーに一致する(EcoRI切断において観察されるハイブリダイゼーションの2のバン ドは、228bpプローブ配列内に一つのEcoRI部位が存在することから起因する)。 フルレングスrpoA遺伝子を、228bp PCRプローブを用いてM.tuberculosis H37Rv ゲノム断片のコスミドライブラリーから得た。rpoA遺伝子断片を用いた及び600 のコスミド所有大腸菌コロニーのスクリーニングにより、4の陽性クローンを生 じた。制限分析により、4の単離物は全挿入物サイズの点でお互いに異なること が示されたが、全てがrpoA遺伝子プローブにハイブリダイズするおよそ10kb Not I断片を所有することが示された(図2A)。I C5と名付けられた一つのrpoAハ イブリダイズコスミドクローンが、さらなるクローニングのために選択された。 制限酵素の一団を用いて切断されたI C5 DNAのサザンブロッティングにより、rp oA遺伝子の巨大な構造的再編成はクローニングの間に生じていないことが確認さ れた(図2B)。コスミドI C5の1.4kb SacII及び1.3kb SalI rpoAハイブリダイ ズ断片を、ヌクレオチドシークエンシングの前にベクターpSKII+内にサブクロー ン化した。 D.M.tuberculosis rpoA遺伝子の配列分析 ヌクレオチドシークエンシングを、プラスミドサブクローン及びコスミドI C5 DNAに対して実施した。M.tuberculosis rpoA遺伝子のヌクレオチド配列及び推 定のアミノ酸配列が図3に示されている。該配列は、全体のG+C組成が63%(コド ン第三位置を占める塩基に対して85%)である1044bpのORFをコードする。位置85 -87でのATGが開始コドンとして機能することと仮定して、該ORFは347アミノ酸の タンパク質をコードすると予測される。M.tuberculosisリボソーム結合部位(GA AAGGA)(Novick,in Tuberculosis,Little,Brown,1996,pp.187-198)に対するコン センサス配列との強い適合配列が、推定のATGコドンのすぐ上流に位置する。翻 訳開始部位の80bp以上上流のヌクレオチド配列を調べることにより、原核生物プ ロモーター部位と正確に同一な領域は発見されなかった。他の細菌種において研 究されたαサブユニットの間で、347残基M.tuberculosisタンパク質の推定のア ミノ酸配列は、グラム陽性胞子形成細菌枯草菌のαサブユニットと最大の相同性 (48%同一)を示した。 実施例2:M.tuberculosis RNAポリメラーゼαサブユニットの発現及び活性M.t uberculosis RNAポリメラーゼの再構成 以下の実験は、大腸菌において発現されたM.tuberculosis RNAポリメラーゼ αサブユニットを精製するため、及び酵素学的に活性なRNAポリメラーゼホロ酵 素を再構成するために実施された。 A.方法: M.tuberculosisαサブユニットの精製:組換えαを、大腸菌BL21(DE3)細胞(Nov agen)において生産させ、25μg/ml/カナマイシンを含むLB培地において:37℃で 成育させた。一晩培養したカルチャー(100ml)を10倍に希釈し、A600=0.6になる まで(およそ75分)25μg/mlカナマイシンを含むLB培地で成育させた。αの発現 を、4mM IPTGを用いて3時間誘導した。αサブユニットの精製を、本質的にTang ,et al,Meth.Enzymol.273:130,1996に記載されているように実施した。略記す ると、細胞ペレットを4℃で10分遠心分離(3000Xg)によって回収した。該ペレッ トを20m lのバッファーB(6Mグアニジン塩酸,10mM Tris(pH7.9),500mM NaCl,5mMイミダゾ ール)中に再懸濁し、音波処理によって溶解した。封入体を4℃で30分の42,000X gの遠心分離によって取り出した。それから該サンプルをバッファーB中のNi2+- NTA(Qiagen)上に吸着させた。該サンプルを20mlのバッファーBで二度洗浄し;3 0mMイミダゾールを含むバッファーBで二度洗浄し;そして500mMイミダゾールを 含む10mlのバッファーBで溶出した。吸着、洗浄及び溶出は、穏やかな攪拌と共 に4℃で1分インキュベーションして実施した。 コア/ホロRNAポリメラーゼを形成するための他のM.tuberculosisサブユニット を用いたαの再構成:コア/ホロ酵素の再構成を、それぞれα、β及びβ’の60 、300、600μgを組み合わせることによって実施し、引き続き透析によって変性 物をゆっくり取り出した。組み合わされたタンパク質濃度を、凝集を避けるため にバッファーBを用いて0.5mg/mlに調節し、バッファーE(50mH Tris(pH7.9),20 0mM KCl,10mM MgCl2,10μM ZnCl2,1mM EDTA,5mM β−メルカプトエタノール,20% (v/v)グリセロール)に対して4℃で一晩透析した。透析に引き続き、該サンプル を30℃で45分のインキュベーションによって活性化し、凝集物を4℃で10分10,00 0Xgで遠心分離することによって取り出した。該サンプルをバッファーF(50mM T ris(pH7.9),0.5mM EDTA,5%(v/v)グリセロール)中でNi2+-NTA上に吸着させ、5mM イミダゾールを含むバッファーFで三回洗浄し、150mMイミダゾールを含むバッ ファーFで溶出した。吸着及び溶出は4℃で45分のインキュベーションによって 実施し、洗浄は1分行った。各工程に引き続き、4℃で2分16,000Xgで遠心分離を 行った。コア/ホロ酵素を、4℃で一晩バッファーF(50mM Tris(pH7.9),50mM KC l,0.5mM EDTA,5%(v/v)グリセロール)で透析した。 M.tuberculosisホロ酵素の精製:コアポリメラーゼ及び部品群を、0.2-0.5M KC l勾配を用いてMonoQカラム(Pharmacia)から溶出することによってホロ酵素から 分離した。ホロ酵素を含む画分をプールし、in vitro転写アッセイに用いた。 プロモーター構築:最近、マイコバクテリウムプロモーターがプラスミドシャト ルベクターpSD7(Das Gupta et al.,J.Bacteriol.175:5186,1993)を用いてクロー ン化され、その後の研究においてこれらのプロモーターの強度が分析された(Bas hyam et al.,J.Bacteriol.178:4847,1996)。これらの研究に基づいて、二つのプ ロモーターでそれぞれ弱い及び強いプロモーターを示すT125及びT101が、pUC19 ベクター内にクローン化され、M.tuberculosis転写アッセイに対するテンプレ ートとして用いられた。 転写アッセイ:ホロ酵素をコアポリメラーゼに主要シグマ因子MysAを加えること によって再構成し、30℃で20分インキュベートした。該転写反応を、高塩含有転 写バッファー(50mM Tris(pH7.9),10MgCl2,200mM KCl,10mM DTT,0.1mM EDTA,1mM K2HPO4(pH7.5),100μg/ml BSA)を含む反応物当たり3μgのテンプレート(pUC19, pMC116またはpMC117)を用いることを除いて、記載されているように実施した(Sh orenstein et al.,J.Biol.Chem.248:6170,1973)。50μlの反応物を、37℃で30 分インキュベートした。RNA転写産物を沈降させ、反応を停止させるために、100 μlの10% TCAを該反応物に加えた。TCA-沈降RNAを、細胞回収器(Packard,Merid en,CT)を用いてUniFilter GF/C(Packard,Meriden,CT)二重層ガラス繊維フィルタ ーマット上に吸着させた。ミクロタイタープレートのウェル及びフィルターを、 5% TCAを用いて二度洗浄し、結合放射性活性をTopCount-HTS(Packard,Meriden,C T)シンチレーションカウンターを用いて測定した。 B.結果: 組換えM.tuberculosis αサブユニットを、完全なrpoAコード領域を含むpET2 6bの誘導体であるプラスミドpJH37を用いてトランスフォームした大腸菌細胞内 で可溶性形態で過剰発現した。M.tuberculosisαは、C末端ヘキサヒスチジンタ グ化融合タンパク質として高レベルで発現され、アフィニティークロマトグラフ ィーによって均質に精製された。6XHisタグ化αサブユニットの大部分は可溶性 画分に存在し、さらにNi2+-NTAカラムを用いて精製された。αサブユニットポリ ペプチドの溶出を0.5Mイミダゾールを用いて実施し、SDS-PAGEによって見積もっ たところ>95%の純度を有する該サブユニットの>90%の回収が生じた(図5)。 コア酵素を、ヒスチジンタグを含有するαポリペプチドとβ及びβ’サブユニ ットの粗調製物を組み合わせることによって再構成し、引き続きリホールディン グを容易にするために透析によって変性物を取り出した。ホロ酵素をM.tubercu losis由来の精製主要σ(MysA)とコアポリメラーゼを組み合わせることによって 再 構成した。αサブユニット上に6XHisタグを含むコア/ホロ酵素を、Ni2+-NTAか ら一括溶出し、引き続きイオン交換クロマトグラフィーから溶出することによっ て遊離サブユニット及び部品群から精製した(図6)。 再構成されたM.tuberculosis RNAポリメラーゼが転写活性を有することを示 すために、in vitro転写反応をHysA含有組換えホロ酵素及び2の周知のMysA依存 性プロモーター(T101及びT125、これらはそれぞれ強い及び弱いマイコバクテリ ウムプロモーターに相当する)を含むテンプレートを用いて実施した。再構成ホ ロ酵素の転写活性は、T125と比較してT101をテンプレートとして用いた場合、2 倍より高く(図7)、転写速度はプロモーターの強度及び用いられる特定のσ因 子の両者と関連していることを示唆した。 これらの実験により、本発明にしたがって生産されたM.tuberculosis αサブ ユニットは精製され得、M.tuberculosisプロモーターに対して特異性を示す酵 素学的に活性なRNAポリメラーゼホロ酵素に再構成されることが示された。 実施例3:M.tuberculosis RNAポリメラーゼ及びαサブユニットのインヒビタ ーに対する高生産量スクリーニング 抗tuberculosis試薬に対する高生産量スクリーニングを、in vitro及びin viv oフォーマットのそれぞれを用いて実施する。各場合において、M.tuberculosis プロモーターのM.tuberculosis RNAポリメラーゼ由来転写を阻害する試験化合 物の能力を試験する。典型的には、T101のような強いプロモーターを試験反応の ため用いる。T101プロモーターの配列は以下のものである: T101:5’ AGCTTGCAGATCTAGCGATCGCAGCCGACGTGATACCTGACCGTTGTTGATAGTGTCGGCGGCT-3'(配 列番号15) a)in vitroスクリーニング 以下の方法を、細胞フリー高生産量スクリーニングのために用いる。Tomtec Q uadra96穴ピベッティングステーションを、ポリプロピレン96穴皿に反応構成成 分を加えるために用いる。DHSOに溶解した試験化合物(またはコントロールとし てDMSO単独)の5μlの等量物をウエルに加える。これに、10mM DTT,200mM KCl,1 0m M Mg+2,1.5μMウシ血清アルブミン、及び0.25μg再構成RNAポリメラーゼよりな る20μlのRNAポリメラーゼ混合物を加える。試験化合物をRNAポリメラーゼと相 互作用させた後、1μgテンプレートDNA(上記参照)、4μM[α-32P]-UTP、及び4 0μMのCTP,ATP並びにGTPのそれぞれを含む25μlのDNA/NTP混合物を加える。 25℃で30分のインキュベーション後、該反応を150μl 10%トリクロロ酢酸(TCA )を加えることによって停止させる。室温で60分のインキュベーション後、該TCA 沈降RNAをTomtec細胞回収器を用いて二重層ガラス繊維フィルターマット上に吸 着させる。ミクロタイタープレートのウェル及びフィルターを5% TCAを用いて二 度洗浄し、結合放射性活性をWallacミクロベータ1450シンチレーションカウンタ ーを用いて測定する。試験化合物による阻害活性は以下の公式にしたがって計算 される: 個々でcpmホ゜シ゛ティフ゛コントロールはDMSO単独を受け取ったウェルにおけるcpmの平均を表 し、cpmサンフ゜ルは試験化合物を受け取ったウェルにおけるcpmを表す。少なくとも5 0%阻害を引き起こす化合物を、このアッセイにおいて陽性「ヒット」として記録 する。 さらなるコントロールとして、リフアンピシンを30nMの濃度で用い、それはこ のアッセイにおいて50-75%の転写阻害を引き起こす。 b)in vivoスクリーニング M.tuberculosisRNAポリメラーゼサブユニット(α、β、β’及び特定のσサ ブユニット)を、適切なプラスミドを用いたトランスフォーム大腸菌による調節 可能プロモーターのコントロールの下で、大腸菌において発現する。もしσAサ ブユニットが発現されたならば、T101プロモーターを含むDNA配列もまたM.tube rculosis特異的転写のためのテンプレートとして機能するために細胞内に導入さ れる。 一つの実施態様として、該T101プロモーター配列は、xylE遺伝子産物、カテコ ール2,3-ジオキシゲナーゼ(CDO)をコードするDNA配列にリンクされる。大腸菌細 胞において発現される場合、CDOはカテコールを2-ヒドロキシムコン酸セミアル デヒド(2-hydroxymuconic semialdehyde)に変換し、該化合物は全細胞または粗 抽出物において容易に検出される明るい黄色(375nmで最大の吸光度を有する)を 有する。この酵素に対する基質は、細菌細胞質に容易に入る小さい芳香族分子で あり、細胞の生存能には負に影響することはない。 高生産量フォーマットにおいて、細菌カルチャーの等量を試験化合物の不存在 下または存在下でインキュベートし、CDO活性がカテコールの添加に引き続き375 nmで吸光度を測定することによってモニターされる。 c)特異性: それから上記記載のin vitroまたはin vivoアッセイのそれぞれにおいて陽性 として記録された化合物を、ヒトRNAポリメラーゼIIに対する効果についで試験 する。ヒトRNAポリメラーゼIIを有意に阻害しない化合物が、抗tuberculosis試 薬の候補としてさらに開発されるであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/12 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 C12N 5/00 A //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:32) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,HU,ID,IL,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ボドロヴァ,ジェイナ アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02139 ケンブリッジ ハーバード スト リート #G―3 334 (72)発明者 ラム,カルヴァン,ティ アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02178 ベルモント ペクォセット ロー ド 35 (72)発明者 レスーン,アンドレア,ジェイ アメリカ合衆国 マサチューセッツ 02139 ケンブリッジ エリー ストリー ト 151

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. M.tuberculosis RNAポリメラーゼαサブユニットをコードする単離され精 製されたDNA。 2. 上記DNAが、図3に示された配列、その配列保存的変異体、及びその機能保 存的変異体よりなる群から選択される配列を有することを特徴とする請求項1に 記載のDNA。 3. 転写調節エレメントに実施可能に結合した請求項2の核酸配列を含むDNAベ クター。 4. 上記細胞が細菌、菌類、植物、昆虫及び補乳動物細胞よりなる群から選択さ れることを特徴とする請求項3に記載のDNAベクターを含む細胞。 5. 上記細胞が細菌細胞であることを特徴とする請求項4に記載の細胞。 6. 請求項2に記載されたDNAによってコードされるポリペプチドを含む単離さ れ精製されたポリペプチド。 7. H.tuberculosis RNAポリペプチドのインヒビターを検出するための高生産 量スクリーニングのための方法であり、上記方法は: a)(i) 精製されたM.tuberculosis RNAポリメラーゼ (ii)M.tuberculosis RNAポリメラーゼによって認識されるプロモーター配列 をコードするDNAテンプレート; を含む混合物を提供すること b) 試験サンプルを形成するために試験化合物の存在下で、及びコントロールサ ンプルを形成するために試験化合物の不存在下で上記混合物をインキュベートす ること、その場合上記インキュベート工程はコントロールサンプルにおいてRNA 合成 が引き起こされる条件下で実施される c) 上記試験及びコントロールサンプルにおいて上記M.tuberculosis認識プロモ ーターによって向けられるRNA合成を測定すること;及び d) 上記試験及びコントロールサンプルの間で工程(c)で検出されるRNA合成を比 較すること を含み、この場合RNAポリメラーゼインヒビターは、上記コントロールサンプル において測定されるRNA合成に対する、上記試験サンプルにおいて測定されるRNA 合成の減少を引き起こす試験化合物であることを特徴とする方法。 8. 上記精製されたM.tuberculosis RNAポリメラーゼが、酵素学的に活性なホ ロ酵素を形成するために再構成される組換えサブユニットを含むことを特徴とす る請求項7記載の方法。 9. H.tuberculosis RNAポリメラーゼのインヒビターを検出するための高生産 量スクリーニングのための方法であり、上記方法は: a) (i) M.tuberculosis RNAポリメラーゼによって認識されるプロモーター配列 をコードするDNAテンプレートを用いてトランスフォームされ、及び (ii)酵素学的に活性なM.tuberculosis RNAポリメラーゼを発現し、その場合 上記ポリメラーゼはα2、β、β’及びいくつかのσサブユニットの一つ を含むことを特徴とする; 非マイコバクテリウム細菌株を提供すること; b) 試験サンプルを形成するために試験化合物の存在下で、及びコントロールサ ンプルを形成するために試験化合物の不存在下で、(a)の細菌株をインキュベー トすること c) 該試験及びコントロールサンプルにおいて上記M.tuberculosis認識プロモー ターによって向けられるRNA合成を測定すること;及び d) 該試験及びコントロールサンプルの間で工程(c)で検出される上記RNA合成を 比較すること を含み、この場合RNAポリメラーゼインヒビターは、上記コントロールサンプル に おいて測定されるRNA合成に対する、上記試験サンプルにおいて測定されるRNA合 成の減少を引き起こす試験化合物であることを特徴とする方法。
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