JP2008507952A - 情報依存性分子モーターとしてのrnaポリメラーゼの使用 - Google Patents

情報依存性分子モーターとしてのrnaポリメラーゼの使用 Download PDF

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Abstract

RNAポリメラーゼの情報依存性を用いて、DNA格子アレイ内での移動に適応可能な分子モーターとしての使用を可能にし、物理的構築物ならびに通常は無生物の物質および物体のようなカーゴを作動させ、移動させ、配置し、または変える材料および方法が記載される。
【選択図】 なし

Description

発明の背景
ヌクレオチドポリメラーゼ酵素は、自然界において遍在しており、バイオテクノロジー工業において広く使用されている。RNAポリメラーゼは、逆転写酵素およびRNアーゼHと共に核酸増幅反応に用いられ、核酸配列に基づく増幅として知られる方法を用いて、目標のRNAを増幅させる。これらはまた、タンパク質産生に必須のステップである、DNA鋳型からメッセンジャーRNA(mRNA)を合成するのにも広く用いられている。DNAポリメラーゼは、DNA鋳型の存在下で相補DNAの形成を触媒するのに用いられる。
シングルおよびマルチサブユニットRNAポリメラーゼ酵素が、自然界に存在する。マルチサブユニットRNAポリメラーゼ酵素は、細菌、古細菌および真核生物において見出される。シングルサブユニットRNAポリメラーゼ酵素は、一部のバクテリオファージ、ミトコンドリア、一部の真核生物のオルガネラにおいて見出され、一部の真核生物のプラスミドによりコードされている可能性がある。これらの両方の種類の酵素は、何ら明らかな配列または構造の相同性を共有しないが、これらの酵素は、同じ様式で転写の基本的なステップを行う。合成を開始するために、酵素は、DNA鋳型の転写の開始部位の上流にある特異的プロモーター配列に結合する。次いで酵素は、開始シグナルの近傍の鋳型の二本鎖を分離させ(融解させ)て転写の「バブル」を形成し、下流のDNAのコード鎖を鋳型としかつ1つのリボヌクレオチドをプライマーとして用いて、RNA合成を開始する。転写の初期段階の間に、RNAポリメラーゼと上流のプロモーター配列との接触は保持されるが、活性部位は下流に移動する(拡張する)。このことが、短いRNA−DNAハイブリッドの形成および転写バブルの伸長をもたらす。この転写の初期段階の間に、酵素は複数の開始サイクルに従事し、そこでは酵素がプロモーターから離れて移動することなく、短いRNA産物が合成されて、放出される(開始の非進行(abortive initiation))。ハイブリッドが約8〜9塩基対(bp)の長さに達すると、プロモーター配列が放出され、融解したプロモーター領域が崩壊し、RNAの新生鎖の5’の端が移動され、より安定な伸長複合体(EC)をもたらす。
バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼ(T7 RNAP)は、核酸合成の研究においてプロトタイプとして用いられている。バクテリオファージT7 RNAPのECにおける構造が解明されている。Tahirovら、Nature420(6911):43〜50(2002);Tahirovら、Acta Cryst.D59:185〜87(2003)を参照されたい。不安定な開始複合体(IC)から安定なECへの推移は、殻状構造をもたらすコンホメーション変化を伴う。下流のDNAが深い溝に結合され、広い通路を通って8bpのRNA−DNAハイブリッドを含有する空洞に入る。この構造は、部分的に接近可能なチャネルと、基質の進入およびRNA産物の退出のための突出した孔とを含む。分子の内部のほぼ全体を覆う正電荷は、孔およびチャネルを通って外表面まで広がる。T7 RNAP ECの全体の構成は、マルチサブユニットRNAPのものによく類似しており、T7 RNAPがEC立体配置を達成する構造的機構は、細菌のRNAPにおいて観察されるステップと似ている。酵素がECへの推移を行うような酵素の再構成は、一般にDNA依存性RNAポリメラーゼ(RNAP)の間で一貫した主題のようである。Tahirov,2002,上記。
ECが一旦形成されると、RNAポリメラーゼは、鋳型から分離することなく非常に長いDNA(数万塩基)を転写することができる。各重合ステップでの複合体の前進は、DNA鋳型における次の塩基に相補的なリボヌクレオチド基質の入手可能性に依存する。必要な基質が存在しなければ、ポリメラーゼの進行は停止される。停止した転写複合体は、通常、非常に安定であり、不足の基質を添加すると、転写が再開される。Gopalら、J.Mol.Biol.:411〜31(1999)を参照されたい。転写複合体を固体表面に固定化することにより、制限された基質混合物の存在下に転写のサイクルを反復して行うことが可能になる。
E.coliのマルチサブユニットRNAPの単一分子の研究は、RNAPがDNA鋳型に沿って移動するにつれてかなりの力を働かせることができることを示している。このような研究において、酵素は固体表面に固定化された。(転写の結果としての)固定化された複合体を通るDNA鋳型の移動は、鋳型の下流端にレポーターリガンドをつなぐことにより監視した。Davenportら、Science287:2497〜2500(2001);Haradaら、Nature409:113〜15(2001);Mehtaら、Science283:1689〜95(1999);Wangら、Biophysical Journal74:1186〜1202(1998);Wangら、Science282:902〜07(1998);Yinら、Science270:1653〜57(1995)を参照されたい。
例えばキネシン、ミオシンおよびF−ATPアーゼのような生物モーターは、直線的な力または回転力を働かせ得ると記載されている。しかし、これらのいずれも、特に情報依存的な様式で精密に制御されていない可能性がある。
マルチサブユニットE.coli RNAPが力を働かせ得ることが示されているが、生物モーターとしてのその使用は、おそらく以下の困難性から、示唆も試行もなされていない。内在性のマルチサブユニットRNAPは細胞増殖に必要とされるので、望ましいと思われるいずれの修飾も、致死的であると証明されるか、または細菌細胞培養からの均一なRNAP集団の精製を困難または非効率的にする恐れがある。さらに、マルチサブユニットE.coli RNAPを用いる実験は、ある部位で停止したときに、酵素が不可逆的に停止された状態(「行き止まり」複合体)になるか、またはDNA鋳型に沿って逆に滑り、回復前に新生RNAを切断し得る(「後戻り(backtracking)」)ことを示す。さらに、E.coli RNAPの単一分子の研究は、鋳型に沿った酵素の移動は一定でなく、転写伸長の進行は、明らかに無作為の性質の休止によりしばしば中断されることを示唆している。酵素活性におけるこれらの確率論的な中断は、上記の後戻りおよび停止の現象に関係するであろう。行き止まりまたは後戻り複合体の形成は、他のマルチサブユニットRNAPでも観察されている。これらの問題は、マルチサブユニットヌクレオチドポリメラーゼを分子モーター、すなわち構造物または分子の移動を作動させ得るモーターとして用いることを理論的には可能にするが、シングルサブユニットヌクレオチドポリメラーゼの使用に比べて工業的観点からより困難で実行不可能にする。
よって、情報依存的な様式で精密に制御できかつ簡単に操作できる、力を働かせることができる分子モーターを提供することは、有利である。このようなモーターは、生体分子または無機分子もしくは粒子を精密に安定して捕捉しかつ移動させる(すなわち作動させる)ことができ、ナノテクノロジーの種々の態様において有用に適用できるであろう。
発明の概要
一態様において、本発明は、「カーゴ」の様式で巨大分子または分子デバイスを作動させるための分子モーターである。該モーターは、1つまたは複数のリガンド(例えば「カーゴ」または構造要素であり得る)および/または固体表面への酵素の結合を可能にする高親和性結合ドメインを有し、かつ情報依存的な様式で移動および力を働かせる能力を有するヌクレオチドポリメラーゼ(NP)酵素を含む。
「情報依存的」により、我々は、RNAPおよび結合した巨大分子もしくは粒子または分子デバイスの移動が、鋳型鎖の配列によって指示される、ポリメラーゼモーターにより組み込まれる次のリボヌクレオチド基質の入手可能性に依存することを意味する。ポリメラーゼの前進は、DNA鋳型に相補的なリボヌクレオチドの入手可能性に依存するので、ポリメラーゼの移動は、各伸長サイクルの間に適切な基質を提供するかまたはしないことにより、配列特異的で情報依存的な様式で制御できる。
「高親和性結合ドメイン」により、我々は、RNAPに融合し、かつ固体支持体または粒子あるいは別の配列または分子のいずれかの別の基質にNPを付着させる能力を有するかまたは与えるアミノ酸、ポリペプチドまたはタンパク質の配列を意味する。結合が可逆的な場合もあってよい。このような配列はまた、放出剤の添加または反応条件での改変時のみに放出される程度に十分強固に結合できなければならない。nM〜pM Kの範囲の親和性を示す結合ドメインを含む配列は、用いることができるものの例である。多くの高親和性結合ドメインが当該技術において知られている。その例は、酵母GAL4結合タンパク質、DNA結合タンパク質のジンクフィンガードメイン、例えばZif268、メタロチオネインの重金属結合ドメイン、転写因子Sp130のDNA結合ドメイン、またはストレプトアビジンタンパク質のストレプトアビジン結合ドメインである。また、DNAまたはRNAアプタマーを、高親和性で立体特異的結合ドメインを提供するアダプターとして用いてもよい。例えば、Zif268結合モチーフなどの規定された認識配列を含んで構築されたアプタマーは、NP酵素:Zif268融合タンパク質に結合できる。RNAPは、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジン複合化分子に高い親和性を有するビオチン化型にin vivoで修飾してもよい。1つより多い結合ドメインをNPに結合させてもよい。
高親和性結合ドメインは、NPまたはDNA鋳型の機能的能力が破壊または負に影響されない限り、その長さに沿ったいずれの部位でのNPへの付着または融合によっても、可逆的または不可逆的に結合できる。好ましくは、結合ドメインは、NPのN末端またはその近傍で不可逆的な様式で結合する。
高親和性結合ドメインは、別の実体、構造物、基質またはデバイス(「カーゴ」)に結合可能でなければならない。カーゴは、実質的には何でもよく、別の固体支持体またはビーズ、生体小分子または巨大分子、ペプチドリガンド、ポリペプチド配列、タンパク質またはタンパク質の一部分、DNAまたはRNA配列、有用な特性を有し得る無機の物体または構造物、例えば半導体材料、重金属、磁性粒子を含む典型的に無生物の物質または物体、あるいは所望の光学的特性を示す材料であってよく、すなわち高親和性結合ドメインに結合しかつ修飾NP酵素の情報依存的移動により作動される能力を有するいずれのものも、カーゴとして用いることができる。
マルチサブユニットポリメラーゼの使用における不利な点が、シングルサブユニットヌクレオチドポリメラーゼの使用により克服できるので、後者は、モーターとして用いることが好ましい。いずれのシングルサブユニットヌクレオチドポリメラーゼでも分子モーターとして用いてよいが、特に好ましくは、バクテリオファージT7、T3、SP6およびK11によりコードされるRNAPである。バクテリオファージのRNAPは、簡単に操作される構造的に単純なシングルサブユニットRNAPである。酵素をコードする遺伝子の操作は、新規な結合能力を付与する補助ドメインの追加を可能にする。ファージおよびその他のシングルサブユニットRNAPは細胞増殖に必要ではないので、改変された遺伝子は、宿主の生存能に影響を与えずに細菌細胞において発現できる。さらに、別個のプロモーター特異性を有するファージRNAP、T7、T3、SP6およびK11は、容易に入手可能である。このことは、それぞれが鋳型の独特の位置に指向されかつ別個に制御できる複数のRNAPモーターの使用を可能にする。実施例において、T7 RNAPを用いたが、これは、T7 RNAPが最もよく研究され、理解されたヌクレオチドポリメラーゼ酵素だからである。しかし、酵素の機能的能力または活性が破壊または負に影響されない様式で高親和性結合ドメインを含むかまたは含むように修飾されていれば、いずれのヌクレオチドポリメラーゼ酵素(DNAポリメラーゼおよび逆転写酵素を含む)を分子モーターとして用いてもよい。
シングルサブユニットヌクレオチドポリメラーゼは、マルチサブユニットヌクレオチドポリメラーゼの行き止まりおよび後戻りの傾向を欠いているようなので、これらが好ましい。Heら、Protein Expression&Purification9:142〜51(1997)を参照されたい。シングルサブユニットおよびマルチサブユニットのヌクレオチドポリメラーゼの両方は、種々の起源から容易にかつ公的に入手可能である。
ヌクレオチドポリメラーゼに高親和性結合ドメインが組み込まれ、これが酵素を固体表面またはリガンド(またはその両方)に結合することを可能にする。「結合する」により、高親和性の付着を形成することを意味する。よって、結合するとは共有的な付着も含む。「連結する」および「融合する」の用語を「結合する」と同じ様式で、同じ意味および意図で用いる。結合ドメインは、機能的活性に影響しない、すなわちRNAを合成する酵素の能力に影響しない位置で、酵素に融合する。例えば、結合ドメインは、T7 RNAPにそのN末端またはその近傍で融合してよい。以下の説明および実施例において、種々の高親和性結合ドメインを、本発明をどのように行うことができるかの例として、T7 RNAPに付着させる。よって、当業者は、高親和性結合ドメインを用いて修飾されたさらなるNPを容易に設計しかつ試験できるはずである。また、本発明の分子モーターにより作動させるかまたは移動させることができる生体巨大分子の種類のいくつかの例を、例示して記載する。
別の態様において、本発明は、分子モーターを作製する方法を含む。この方法の第1ステップにおいて、NP酵素を、表面支持体またはリガンドに結合できる高親和性結合ドメインに融合させる。酵素は、この結合ドメインに可逆的または不可逆的に付着してよい。酵素は、シングルサブユニットまたはマルチサブユニットヌクレオチドポリメラーゼ酵素であってよい。高親和性結合ドメインは、DNA配列、RNA配列またはアミノ酸配列であり得る。DNAおよびRNA配列の例は、DNAまたはRNAアプタマーを含む。アミノ酸配列の例は、酵母GAL4 DNA結合ポリペプチド配列、Zif268ジンクフィンガーDNA結合ポリペプチド配列、ストレプトアビジン結合ポリペプチド配列、メタロチオネイン結合ポリペプチド配列、転写因子Sp130からの配列特異的DNA結合ポリペプチド、および6〜15残基のヒスチジン配列を含む。実際には、カーゴとの強い結合を形成できる長さおよび性質を有する限りは、いずれのペプチド配列を用いてもよい。形成される結合はそれぞれ可逆的であってもよいし、ポリメラーゼとカーゴとの間の結合だけが可逆的であってもよい。高親和性結合ドメインは、NPの酵素活性が保持される限り、NPの長さに沿ってどこででもNPに結合、連結または融合することができる。好ましくは、高親和性結合ドメインは、NPにそのN末端またはその近傍で結合、連結または融合する。高親和性結合ドメインのその他の特質は、当業者が容易に決定でき、モーターにより作動されるかまたは移動される所望の物質、リガンド、カーゴに依存する。
別の態様において、本発明は、情報依存的な様式で物質を移動させるかまたはカーゴを作動させる方法を含む。この方法のステップにおいて、ヌクレオチド三リン酸(NTP)基質またはヌクレオチド三リン酸基質の混合物を含む溶液を、(a)ポリメラーゼ結合部位および転写開始部位を含むプロモーター配列を有するDNA鋳型と、(b)本発明のヌクレオチドポリメラーゼ分子モーターとを含有する開始溶液と合わせる。ヌクレオチド三リン酸基質は、GTP、CTP、UTPおよびATPを含む。DNA鋳型の核酸に相補的なNTPは、安定なEC「開始複合体」の形成を可能にする組合せで加えられる。開始複合体が形成されるためには、少なくとも14のヌクレオチドが転写されなければならない。開始複合体の形成の間にまたは順序づけられた様式で、3つの成分が同時に組み合わされてもよい。組み合わせたものまたは混合物を、適切な転写条件下にインキュベートして開始複合体の形成を可能にし、次いで洗浄して組み込まれなかった基質を除去する。モーターの制御された移動は、DNA鋳型の引き続く(下流の)領域に相補的な基質を用いる基質の添加、インキュベーションおよび洗浄のステップのその後のサイクルの間に達成される。比活性およびヌクレアーゼ活性は、既知の方法および標準的な条件を用いて試験できる。
別の態様において、本発明は、複数の同一のファージヌクレオチドポリメラーゼで構成された分子モーターのアレイを含む。これらのポリメラーゼのそれぞれは、異なる高親和性結合ドメインに融合されてよく、それぞれが直線的な様式で並べられてアレイを形成してよい。さらにまたは代わりに、アレイは、複数の異なるファージヌクレオチドポリメラーゼで構成されていてよく、このことによりそれぞれが独特のプロモーター特異性を有するRNAPモーターの直線アレイが構築される。複数のこのような直線アレイは、二次元の格子に並べて配置してよい。
詳細な説明
ヌクレオチドの組込みの各サイクルの間に、ヌクレオチドポリメラーゼ酵素は、DNA鋳型に沿って0.34nm進み、30pNまでの直線的な力を働かせる。ポリメラーゼの前進は、鋳型鎖の配列によって指示される、組み込まれる次のリボヌクレオチド基質の入手可能性に依存するので、その移動は、適切な基質を提供するかまたはしないかにより制限できる。他の生物モーターは類似の力を発生できるが、精密さのレベルをもってまたは情報依存的な様式で制御可能なものではない。この様式で、ヌクレオチドポリメラーゼ転写複合体は、サイクル当たり1ヌクレオチドほど少ないかまたは数百もしくは数千のヌクレオチドほど多い複数のサイクルを介して進むことができる。
ヌクレオチドポリメラーゼを有用な作用の達成に利用するために、酵素を別の構造物に付着させる必要がある。RNAPを分子モーターとして用いることの有用性を証明する予備的な研究において、我々は、N末端に高親和性結合ドメインを融合させて固体表面および他のDNA分子に結合可能とすることにより、バクテリオファージT7にコードされたシングルサブユニットRNAPを修飾した。次いで、我々は、制御された様式での単純なDNA構造の変化を証明した。これらの研究は、以下の実施例1および2に記載する。
種々の高親和性結合ドメインを用いた。まず、ヘキサヒスチジン(His)タグを含有するように酵素を修飾し、タグを介してNi++−アガロースビーズまたはカラムに結合させた。次いで、ストレプトアビジンに高親和性を有する38アミノ酸のSBPペプチドタグを含有するようにHisタグ付加酵素を修飾した。SPBペプチドは、種々のストレプトアビジン複合化蛍光および酵素レポーター系と適合し、リガンドへのその結合は、ビオチンの添加により容易に元に戻せる。実施例2において、我々は、ストレプトアビジン複合化32P−標識化DNA断片をリガンドまたは「カーゴ」として用い、DNA鋳型に沿ったT7 RNAPの段階的な移動の間のカーゴの負荷、移動および放出を示す。これらの研究では、DNAをNP分子モーターにより作動する生体巨大分子として用いたが、この技術は、他の分子または構造の移動に容易に適用可能である。例えば、NPは、RNAまたはDNAのリガンド特異的アプタマーに連結できる。NPは、ストレプトアビジン結合タンパク質またはメタロチオネインなどの他のタンパク質からのリガンド特異的ペプチドドメインに直接融合できる。このようにして、NPは、種々の生物学的、有機的または無機的カーゴを支えるのに用いることができる。
T7 RNAPの結晶構造において、N末端は溶媒に曝露され、酵素の表面から離れて突出している。Sousaら、Nature364:593〜99(1993);JeruzalmiおよびSteitz,EMBO J.17:4101〜13(1998);Cheethamら、Nature399:80〜83(1999);Tahirov2002,上記;Yinら、Science298:1387〜95(2002)。タンパク質ドメインの他のペプチドのこの領域への融合は、酵素活性にほとんど影響しないようである。He,上記;Bentonら、Mol.Cell.Biol.10:353〜60(1990);Rodriguezら、J.Virol.64:4851〜57(1990)。
実施例において、我々は、3つの異なる生体巨大分子をRNAPのN末端領域に融合させ、それらを鋳型に沿って「カーゴ」として移動させるのに成功した。1つは配列特異的GAL4結合ドメインであり、もう1つがHisペプチドであり、3つ目がSBPタグ付加ペプチドであった。広い範囲のストレプトアビジン複合化レポーター系が利用可能であるので、SBPタグ付加ペプチド修飾は、RNAP−リガンドの相互作用を監視するために特に有用である。しかし、他の結合モチーフ、特にタンデムZif268のスリーフィンガーペプチドなどの配列特異的DNA結合モチーフを生体巨大分子として用いることができる。このようなペプチドは、KimおよびPabo、Proc.Nat.Acad.Sci.94:2812〜17(1998)に記載されるようなフレキシブルな11アミノ酸リンカー配列を用いて組み込んでよい。このことにより、非常に堅いDNAへの結合を有するシックスジンクフィンガー融合タンパク質が得られる。
さらなる生体巨大分子は、転写因子Sp1およびメタロチオネインの重金属結合ドメインからの他のDNA結合ドメインで構成される融合タンパク質を含む。これらの融合タンパク質の構築に用い得る方法および材料は、Kadanageら、Cell52:4851〜57(1990)、およびSanoら、Proc.Nat.Acac.Sci.89:1534〜38(2002)に開示されている。
DNAまたはRNAのアプタマーは、「アダプター」または「リンカー」分子として用い得るさらなる高親和性結合ドメインである。アプタマーは、独特の構造に折り畳まれるそれらの能力のために、高い親和性および特異性をもって他の分子に結合できるランダムライブラリから選択される小さい核酸である。EllingtonおよびSzostak、Nature346:818〜828(1990);TuerkおよびGold、Science249:505〜10(1990)を参照されたい。アプタマーのnM〜pM Kの範囲の堅い、すなわち高い親和性の結合が、有機分子、炭水化物、アミノ酸およびペプチドを用いて観察されている。Goldら、Ann.Rev.Biochem.64:736〜97(1995);OsborneおよびEllington、Chem.Rev.97:349〜70(1997)を参照されたい。類似の様式で、種々のリガンドに高い親和性を有する進化したペプチドを、発現ファージペプチドスクリーニングなどの選択方法により得てもよい。
アプタマーは、選択および核酸増幅の反復サイクルにより典型的に産生されるので、アプタマーを所望の特異性をもってRNAPモーターに連結させる最も直接的な方法は、増幅プライマー中に、規定された認識配列を組み込むことである。Zif268結合配列を、この目的のために用いることができる。認識配列は、Zif268:T7 RNAP融合タンパク質によるその後の結合のための「ハンドル」を提供するであろう。RNAアプタマーの代わりに、プライマーは、Zif268認識配列を含むDNAオリゴマーに相補的な特異的単一鎖領域を含み得る。アプタマーおよびDNAオリゴマーの相補領域のハイブリダイゼーションは、融合タンパク質がアプタマーを捕捉することを可能にするであろう。
リボヌクレオチドの存否に依存するために精密に制御することができるので、RNAPは、分子モーターとしてのその適用可能性において独特の能力を提供する。RNAPの他の材料への結合は、ナノロボティクス、サブナノメートルの精密さでのリガンドの配置または構造の変更、ならびに複雑な構造の集合および移動において実用性を見出す。例えば、現存する技術を用いて、RNAPモーターのアレイを、固体表面に固定化されたDNA格子上に集合させることができる。アレイにおける各RNAPの移動は、結合するDNA鋳型の配列に依存し、独立して制御できる。
以下の実施例は、プロトタイプRNAP分子モーターとしてバクテリオファージT7 RNAPを用いる。なぜなら、T7 RNAPは、バクテリオファージT3、SP6、K11などによりコードされるRNAPをも含むシングルサブユニット酵素の部類のプロトタイプだからである。構造および機能は類似しているが、各ファージRNAPは、それ自体のプロモーター配列について特異的である。我々は、この特異性の基礎が、RNAPの結合間隙に突き出たDNA認識ループに関連することを示し、新規な特異性を有する変異RNAPを作出した。Johoら、J.Mo.Biol.215:31〜39(1990);Klementら、J.Mol.Biol.215:21〜29(1990);Raskinら、J.Mol.Biol.228:506〜15(1992);Raskinら、Proc.Nat.Acad.Sci.90:3147〜51(1993);Rongら、Proc.Nat.Acad.Sci.95:515〜519(1998)。ファージRNAP系のこの特徴は、独特のプロモーター特異性を有するRNAPモーターの構築を可能にし、そのそれぞれを異なるリガンド結合ドメインに融合させてよい。よって、本発明は、バクテリオファージT7に限定されるべきではない。他のいずれのバクテリオファージからのRNAPも用いることができる。上記の文献に開示されるような作出された変異形は、用いることができ、かつ本開示の範囲内に含まれる。他のバクテリオファージ、例えばT3バクテリオファージからの修飾バクテリオファージRNAPも、用いることができかつ本開示の範囲内に含まれる。T3のヌクレオチド配列、その産生のためのプラスミド、そのプロモーターおよびT3を含むプロモーターカセットを有する転写ベクター、ならびにその他のファージRNAPプロモーターは、本明細書に参照として組み込まれる1991年5月21日発行の米国特許第5017488号、1991年8月6日発行の米国特許第5037745号、および1992年4月7日発行の米国特許第5102802号に記載されている。さらに、ミトコンドリアまたはオルガネラのシングルサブユニットRNAPなどのいずれのシングルサブユニットRNAP、および種々の非バクテリオファージ起源からのプラスミドRNAPも、等しく用いることができる。シングルサブユニットRNAPに固有の適応性は、特定の用途のためのRNAPモーターのアレイの設計において、大きい可能性を与える。
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を例示して記載する。当業者は、過度の実験をすることなく本発明を修飾または変更することができるので、これらは本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
本発明で用いられる材料および方法は、それぞれがその開示の内容について本明細書に参照として組み込まれる、本明細書に引用される文献、およびManiatis,FritschおよびSambrook、Molecular Cloning;A Laboratory Manual,2d Edition,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989、ならびにGrossmanおよびMoldave編、Methods in Enzymology,Academic Press,New York,1979などの当該分野で用いられる公知のテキストに記載されている。
実施例1:T7 RNAPの固定化および制御された移動
RNAPを分子モーターとして用い得る多くの用途のために、酵素を固体表面に付着させることが必要である。このことを達成できるある方法は、ヘキサヒスチジンHisタグを含むように酵素を修飾することである。このタグは、酵素の性能に影響することなく、Ni++アガロースビーズまたはカラムに酵素が堅く結合することを可能にする。例えばVan Dykeら、Gene111:99〜104(1992)を参照されたい。アミノ末端にヒスチジン残基を融合させるようにT7、T3およびSP6ファージRNAPを修飾する方法論、修飾に用いられるオリゴヌクレオチドおよびその他の材料、ならびにHisタグ付加RNAPを含有するプラスミドベクター(プラスミドpBH116、pBH117、pBH161、pDL19、pDL21、pBH118、pBH176およびpDL18)は、特に本明細書に参照として組み込まれるHeら、Protein Expression and Purification9:142〜151(1997)に詳細に開示されている。アミノ末端に付加するヒスチジン残基の数は重要ではなく、6〜12の間が好ましい。さらに、Hisリーダー配列は、トロンビン開裂部位を含むこともできる。これらの修飾は、酵素の特性または性能に影響せず、修飾が酵素の特性または性能に影響しない限りは、その他の修飾を行うことができる。
Hisタグ付加RNAPは、次いで、次のような制御された配列依存的な様式でDNA鋳型に沿って段階的に進む。Hisタグ付加T7 RNAPを、まず、プロモーター配列の始点から始まるDNA鋳型のものに相補的で、かつ安定なECの形成を引き起こすのに充分な数および種類を含むリボヌクレオチド基質の制限された混合物の存在下に、DNA鋳型とインキュベートした。我々には、プロモーター配列の始点から連続して下流のヌクレオチドで構成される少なくとも14ヌクレオチドが必要であった。このことにより、停止したEC開始複合体が形成された。次いで、ECをNi++ビーズに吸着させ、組み込まれなった基質を洗浄して除去した。DNA鋳型に沿ってRNAPが前進するためには、鋳型により特定されるリボヌクレオチドに相補的なリボヌクレオチドの存在が必要である。停止状態の開始複合体のECは非常に安定であり、洗浄および伸長の複数のサイクルの間に鋳型に沿って連続して移動できる。伸長は、適切な基質の存在に厳密に依存し、1ヌクレオチドほど小さい増加、すなわち鋳型に沿って0.34nmの前進で制御できる。さらに、延長は、各ステップでほぼ定量的(>95%)である。
図1に示すように、アミノ末端でNi++アガロースビーズに固定されたHisタグ付加T7 RNAPを、鋳型とインキュベートし、このことがプロモーターの開始部位(+1)で始まる、記載された配列での転写を支配した。ステップ1において、RNA合成は、GTP、ATPおよびα−32−UTP(それぞれG、AおよびU)の添加により開始され、このことによりポリメラーゼがヌクレオチド(nt)位置+14まで前進し、安定なEC開始複合体が形成された。ビーズをバッファーで洗浄し、次いでCTP(以下、C)、GおよびAとインキュベーションし、このことによりポリメラーゼが位置+17まで前進した(ステップ2)。続いての転写サイクルは、図1の右下に記載される基質の存在下に行った。洗浄後、ステップ3において、U、CおよびAの添加により、ポリメラーゼが位置+20まで前進した。再び洗浄した後、GおよびAを添加すると、ポリメラーゼが位置22まで移動した(ステップ4)。19ヌクレオチドの鋳型の長さに沿って、8ステップを行った。洗浄および転写の各サイクルの後にサンプルを回収し、RNA産物を、0.1%SDS存在下の20%ポリアクリルアミドゲル中の電気泳動により分析した。複合SDS−pageゲルを、図1の右上に示す。反応およびインキュベーション条件、容量、量、バッファーおよび酵素準備は、Temiakovら、Protein:DNA Interactions:A PracticalApproach(Travers,AA&Buckle,M編),pp351〜64,Oxford University Press,Oxford,2000に開示された通りであった。
本実施例は、Ni++ビーズに固定されたT7 RNAPが、洗浄および重合の反復サイクルの間に、14ntほど大きく、または1ntほど小さく、段階的にDNA鋳型に沿って「歩行」できることを証明する。各ステップでの延長の効率は非常に高く(>95%)、集団中の転写複合体のほとんどが各サイクルの間に延長したことを示した。
実施例2:結合したリガンドの捕捉および移動
作用するRNAPを利用するために、酵素を他の構造物またはリガンドに付着させることが必要である。RNAPが転写の間に別の物体に結合する能力を証明するために、我々は、Hisタグ付加T7 RNAPを、ストレプトアビジンに対して高い親和性(K=2.5nM)を有する、さらなる38アミノ酸のペプチド(SBPタグ)を含むように修飾した。この修飾に用いた方法および材料は、Keefeら、Protein Expr.Purif.23:440〜46(2001)に開示されている。SBPタグは、広い範囲のストレプトアビジン複合化蛍光および酵素レポーター系と適合し、リガンドへのその結合は、ビオチンの添加により容易に元に戻せる。この実験では、ビオチン複合化32P−標識DNA断片をレポーターリガンドとして用いた。
まず、SBPタグ付加RNAPの開始複合体を、G、AおよびUの存在下に、図2に示す配列のRNAの合成に影響する鋳型とインキュベーションすることにより形成し、複合体をNi++アガロースビーズに固定化した(レーン1)。このことにより、RNAPは、ntの位置+14まで進み、安定なEC開始複合体を形成した。洗浄後、複合体は、CおよびGの添加によりnt位置16まで2nt「歩行」し(レーン2)、再び洗浄された。次いで、複合体を、ストレプトアビジンと複合させた48bpの32P−標識ビオチン化DNA断片と混合して洗浄した(カーゴ;レーン3)。次いでカーゴは、2サイクル、最初はAの添加、次いでCおよびUの添加(間に洗浄ステップを挟む)の間に、位置+19まで歩行した(レーン4および5)。位置+19で、ビオチンの添加によりカーゴを溶出し(レーン6)、次いで、複合体は、AおよびCの添加により再び前進した(レーン7)。実施例1と同様に、洗浄および転写の各サイクルの後に、サンプルを回収して、0.1%のSDSの存在下に20%ポリアクリルアミドゲル中の電気泳動により分析した。複合のSDS−pageゲルを、図2の右側に示す。
上記と同じ材料および方法を用いて、いくつかの配列特異的DNA結合ドメインをRNAPに融合させて、単純な分子間および分子内DNAデバイスを組み立てた。ある一連の実験において、酵母GAL4結合タンパク質の一部分を、Ostranderら、Science249:1261〜65(1990)と同じ様式、ならびに開示された材料および方法論を用いて、T7 RNAPに融合させた。この修飾により、融合タンパク質が、17bpのGAL4認識配列を含むDNA断片に結合することが可能になる。別の実験において、マウス転写因子Zif268でみられる配列特異的ジンクフィンガーDNA結合ドメインを、T7 RNAPに融合させた。このようなドメインは、融合タンパク質に新規な結合能力を付与するために、いくつかの別のタンパク質と融合されている。詳細な方法論については、Choo&Isalan,Cur.Op.Struct.Biol.10:411〜16(2000);Kim&Paba,1998,上記;Liuら、Proc.Nat.Acad.Sci.94:5525〜30(1997);Smithら、Nuc.AcidsRes.27:674〜81(1999)の開示を参照されたい。遺伝子操作の間に、それぞれが特異的な認識配列に結合するスリーフィンガーペプチドの大きい集団が得られ(Ibid,上記)、これを用いて、上記の能力を有するカーゴについて構築され試験されたSBPタグ付加RNAPと同じ様式で能力を有するカーゴについて試験できる。
実施例3:単純なDNAデバイスの構築
RNAPモーターがDNA構造を再配置する能力を示すために、我々は、2つの単純なDNAナノデバイスを構築した。1つ目のデバイスでは、我々は、補助配列特異的DNA結合ドメイン、GAL4結合ドメインをT7 RNAPに融合させて、融合タンパク質が2つの異なるDNA領域、転写されている鋳型DNAの一部分と標的DNAとに同時に結合することを可能にした。鋳型に沿ってRNAPが移動すると、目標のDNAの鋳型に対する相対的な配置が変化した。
この種類の複合体の形成および編成は、原子力顕微鏡(AFM)により視覚化され、図3のパネルAで見ることができる。一方の末端から195bpにT7プロモーターを含む1009bpの鋳型DNAと、末端近傍にGAL4結合部位を含む244bpの目標のDNAを、当該技術において知られる標準的な方法を用いて、適切なプラスミドのPCR増幅により作製した。2つのDNA断片を、G、AおよびUの存在下にGAL4:T7 RNAPとインキュベートすることにより、鋳型DNAのプロモーターから22nt下流に進む転写が可能であった。サンプルをホルムアルデヒドで固定化し、AFM(タッピングモード)で視覚化した。AFMの結果を、図3のパネルAに示す。比較のために、1kb離れてT7プロモーターおよびGAL4結合部位を含む、直線化したプラスミドを同じ様式で処理してAFMにより視覚化した。結果を図3のパネルBに示す。
図3に示すように、目標の配列は、第2のDNA分子(A)または同じ分子(B)内に存在する。目標の配列が同じ分子内にあるとき、転写により、転写の方向に応じて次元が増加または減少し得るループが形成される。このデバイスを組み立てるために、目標の配列と転写される配列とを同じDNA分子内に配置する。融合タンパク質が目標の配列および転写される領域に同時に結合することにより、介在部分のループアウトをもたらす。転写される領域でのプロモーターの方向に応じて、RNAPの移動は、ループのサイズを大きくするかまたは小さくするかのいずれかである。図3のBを参照されたい。
実施例4:負荷の下でのRNAPモーターの力の測定
E.coli RNAPを用いた以前の研究は、DNAに沿って酵素が移動するにつれて、酵素は30pNまでの直線的な力(最大出力(stall force))および5pN−nmの回転力を働かせ得ることを示した。我々は、シングルサブユニットRNAPが、類似のまたはより大きい力を働かせると予想する。これらの力を測定するために、マルチサブユニットRNAP用に開発した方法およびアプローチを用いた。これらの方法およびアプローチは、Davenport,2001,上記;Wang,1998,上記;Yin,1995,上記に詳細に開示されている。
実施例2において、我々は、ゲル電気泳動を用いて、リガンドを捕捉し、鋳型に沿って移動し、かつ結合したリガンドを放出するT7 RNAPの能力を証明した。これらの実験は、RNAP:リガンド複合体の制御された移動を証明したが、プロセスを直接視覚化しなかったし、それに伴う力の測定も可能にしなかった。これらの問題点に対して以下に記載するアプローチにより取り組む。ここで、我々は、T7 RNAPの回転モーターとしての使用を証明する。
ポリメラーゼが転写の間にDNAに沿って前進するときに、ポリメラーゼは、転写複合体の先頭(下流)の端でDNAヘリックスをほどき、後ろの端でDNAを再び巻かなければならず、それによりRNAPに対するヘリックスの回転をもたらす。このことを達成するために、RNAPは、約8bpのRNA:DNAハイブリッドを含む局所的に変性された転写バブルを作る。RNAPがDNAに沿って前進するにつれて、RNAPは2本のDNA鎖をバブルの先頭の端でほどき、後ろの端で鎖を再びアニールしなければならない。図4を参照されたい。
ヌクレオチドの組込みの各ステップは、0.34nmの直線的な移動と36°の回転とに相当し、DNA鋳型の配列に影響される、次に入ってくる基質ヌクレオチドの入手可能性に依存する。RNAPの移動は、適切な基質を加えるかまたは加えないかにより、情報依存的な様式で制御される。
回転モーターとしてのT7 RNAPの可能性を調べるために、T7 RNAPの伸長複合体を、Ni++に対して高親和性を有するT7 RNAPの修飾型(ヒスチジンタグ付加T7 RNAP)を用いて固体表面に固定化し、4kbのDNA鋳型の下流端を、ビオチン−ストレプトアビジン連結により磁気ビーズにつないだ。鋳型の下流端は、ストレプトアビジン複合化2.8μm磁気ビーズにつなぎ、これはより小さい1.0μmのビーズに付着させた。複合体を、2枚の密閉されたカバーグラススライドの間に注入し、Ni++−NTAで予めコートした下のスライド上に固定化した。これらの手順は、図5Aに示す。
この集合物を磁気ピンセットデバイスに入れ、そうすることで、ビーズが表面より上に配置されかつ顕微鏡で視覚化されることを可能にした。磁気ピンセットにより捕らえられた単一の磁気ビーズを視覚化した後に、基質の添加によりさらなる転写を開始し、ビーズの回転を視覚化して、1秒当たり20フレームで記録した。図5Bに示すデータは、2.4秒の間隔に相当する。転写伸長の間に、らせん状の鋳型は、固定化されたRNAPを通過するにつれて回転し、この力は下流のDNAを介して磁気ビーズに伝達される。この実験の条件下において、ビーズは、約30rpmの速度で絶えず回転するのが観察された。ビーズのサイズおよび溶液の粘度に基づいて、我々は、RNAPが、FATPについて報告された範囲内である約60pN・nmの回転力を働かせると推定する。鋳型は、DNAの配列に応じて、増加ステップにおいてビーズの回転の制御を可能にするように容易に設計できる。RNAPモーターの動作は、印加された張力の広い範囲にわたって決定でき、活性な転写の間に、特に1つのntの間隔での歩行の間に、または停止したときにどのようにモーターが作動するかを調べることができる。このことは、上記の実施例1〜2で1種または複数のNTPを与えないとの修飾を施した初期の実験を繰り返すことにより達成される。次いで、転写プロセスの間の異なる段階でのRNAPモーターの実際の動作を評価することができる。
実施例5:RNAPモーターのアレイの組立
上記の実施例3において、我々は、RNAP融合タンパク質と目標のDNA配列との間の分子間または分子内相互作用を伴う単純なDNAナノデバイスの構築を記載した。本実施例において、我々は、DNA鋳型上でのRNAPモーターのアレイの組立、すなわち固体表面上に固定化された「ブリッジ」を記載する。各モーターは、別個のリガンド特異性を有してよく、ブリッジ上の特定の位置に割り当てることができ、配列依存的な様式で鋳型に沿って独立して移動できる。
多くの用途について、DNA鋳型を固体表面に固定することが必要であり、このことによりRNAPの軌道を制御できる。このことを行うには、2つの技術を用い得る。1つ目において、DNAの端の一本鎖領域を、表面に予め堆積した相補的なオリゴマーにアニールすることにより、表面上の2つの位置の間にDNAブリッジを組み立てる。Braunら、Nature391:775〜78(1998)に開示されている材料および方法をこの目的のために用いてよい。図6に示すように、DNAブリッジは、DNAの端の一本鎖領域を、予め堆積したオリゴヌクレオチド(「アンカーオリゴ」)にアニールすることにより、2つの位置の間に組み立てられる。DNAのそれぞれの端について別々のオリゴマーを用いて、ブリッジ内の全ての鋳型が同じ配向を確実に共有するようにする。ブリッジDNAにファージプロモーターを含めることにより、RNAPモーターを、特定の位置でかつ特定の配向でブリッジに結合するように指向させることができる。独特のプロモーター特異性を有するファージRNAP、例えばT7、T3、SP6およびK11の利用可能性は、各RNAPモーターが、ブリッジ上の特定の位置に配置されることを可能にする。異なる結合ドメインへの融合により、各RNAPモーターは、特定のリガンドに結合するように加工される。ブリッジにおけるDNA集団は、同種(同種並列アレイ)または異種(異種並列アレイ)であり得る。近接するアレイにおいて、多くの別々のブリッジを同じ表面上に堆積できる。
あるいは、DNAは、ガラス表面に堆積させた疎水性パッチまたはストリップとの相互作用を介して固定化できる。付着の間にDNAを伸ばす制御されたコーミング法を用いて、過度に伸ばされたDNAは転写に適さないが、輪郭長(contour length)付近で堆積されたDNAは、T7 RNAPにより積極的に転写されたことが決定された。Guerouiら、Proc.Nat.Acad.Sci.99:6005〜10(2002);Guerouiら、EPJ in press(2003)に開示されている材料および方法を、この技術において用いる。転写は、蛍光標識リボヌクレオチド基質を、個別の複合体に組み込むことにより視覚化する。蛍光顕微鏡をフローセルにおいて簡便に用い、これが連続するステップの間に基質を交換しかつ送達するのに必須である。(この技術は、少なくとも1kb離れた複合体中の約100bpの可動域を解明できる。)結果として、上記の実施例1〜3で詳細に記載したSBPドメインのタグを付加したRNAPを用い、RNAPを、ストレプトアビジン複合化蛍光ビーズまたはナノドットへの結合により標識する。
以前の研究において、ブリッジ分子の集合物は、少なくとも約10kb長のDNA鋳型、例えば全て同じ方向に配向された17のファージプロモーターを含む40kbのバクテリオファージT7ゲノムを用いた。Guerouiら、EPJ in press(2003),上記を参照されたい。あるいは、鋳型は、50〜100bpの増加で制御された移動を可能にするカセットの上流に位置する1または2のファージプロモーターのみを有するように構築してよい。プロモーターは、1kb離れており、直列または反対向きのいずれかの配向で並べられる。これらにより、RNAPモーターの負荷密度およびいずれの配向でもそれらの相対的な運動を研究できる。
鋳型は、標準的な組換えの方法を用いて、バクテリオファージラムダまたはその他の公知のプラスミドもしくはベクターを用いて構築される。50〜100bpの増加の歩行に適するカセットを構築するために、(GAU)50の組成をもつCが少ない種類の(C−less runs)RNAの合成を指向するDNAモジュールを合成する。このモジュールを、…CCC…の独特の種類を含むリンカーを用いて直列に連結する。CまたはG、AおよびUのいずれかを基質として提供するサイクルを交互に行うことにより、各サイクルの間に、ポリメラーゼを50bpの歩行または可動域に制限する。鋳型の構築および増加の間のGAU反復間の組換えを防ぐために、GAUモジュールの内部配列を、合成の間に無作為化する。
実施例6:二次元DNA格子の構築
ある状況において、RNAPモーターが配置され移動できるより複雑なDNAプラットフォームを構築することが望まれるであろう。相補オリゴヌクレオチドの自己集合により構築される種々のDNA構築物は、当該技術において既に知られており、この目的のために適用することができるであろう。このようなDNAプラットフォームを構築する材料および方法については、Chenら、Nature350:631〜33(1991);Seeman,Trends Biochem.Sci.17:437〜42(1999)を参照されたい。DNAのオリゴマーを、100nmの間隔で一定のパターンで堆積させた。オリゴマーは、その配列特異的結合特性を保持する。Demersら、Science296:1836〜38(2002)。オリゴマーのこのようなパッチは、相補的な端を用いてDNA分子を繋ぎ止めるのに用いてよく、DNA格子の指向された集合物を可能にする。研究により、固定化されたDNA分子を、二次的物質、例えば金コロイドまたは所望の電気的または機械的特性を有するその他の化合物が堆積または集合する足場として用い得ることが示されている。Braun,1998,上記;Alivsatos,Nature382:609〜11(1996);Mbindyoら、Adv.Mater.13:249〜54(2001);Mirkinら、Nature:607〜09(1996)。
あるいは、連結分子を加工して、配列特異的な様式の二次元DNA格子の集合物を可能にすることができる。例えば、Cys−Hisの種類のスリーフィンガージンクタンパク質を、ChooおよびIsalan、上記、Kim,上記、Liu,上記およびSmith,上記に開示される方法に従い、材料を用いて、高い親和性(K〜10−12M)を有する広い範囲のDNA配列に結合するように加工することができる。スリーフィンガードメインは、Kim,上記に開示される方法に従い、材料を用いて、互いに融合させることができ、これにより、さらに高い親和性(Kd〜10−15M)を有する18bpの認識配列に結合するシックスフィンガーペプチドがもたらされる。
これらのペプチドの2つを融合させることにより、二価の結合能力を有するペプチドを製造できる。2つの結合ドメインを一緒に結合させるためには、リンカーペプチドを用いるべきである。同じDNA分子内の近接する9bpの2つの配列の認識のために、約12アミノ酸のフレキシブルリンカー(スペーサまたはコネクタ)が必要である。Kim,上記。このリンカーを用いて、一方が9bpのZif268 DNA配列に対する特異性を有し、他方が転写因子Sp1により認識される9bpの配列に対する特異性を有する2つのスリーフィンガードメインを有する二価の「コネクタ」分子を構築する。
1つの目標のDNAのみが存在するときは単独での、または両方の目的の分子が存在するときは一緒でのいずれかのこれらの目標の配列に対する融合タンパク質の結合を、当該技術において公知のゲルシフトアッセイにより決定する。2つの結合ドメイン間のより大きい間隔および柔軟性を可能にするために、ペプチドリンカーの長さを増大させるか、または介在タンパク質ドメインを挿入してよい。
このような二次元格子を図7に示すが、ここで、それぞれ別々の配列特異的結合能力を有する2つのジンクフィンガー結合ドメインを含む連結分子を用いて、固定化ブリッジDNA分子(水平の線)および交差する格子分子(垂直な線)に加工された目標の配列を連結する。RNAPモーターのプロモーターは、ブリッジおよび交差する格子のDNA分子に加工してよく、このことにより、格子内でのモーターの配置および制御された移動が可能になる。T7 RNAP転写複合体は、lacリプレッサなどの結合したタンパク質を大きい効率で移動させるので、我々は、T7 RNAPが上記のような二価のスリーフィンガー連結分子を移動できると予想する。Giordanoら、Gene84:209〜19(1989)を参照されたい。このことを確かめるために、当該技術において公知の標準的な転写アッセイを、連結タンパク質の存在下および不在下に、および/または接合(junction)(非鋳型)DNAの存在下に、このような結合部位を含む鋳型に対して用いる。より高いDNA親和性を有するシックスフィンガーのジンクフィンガータンパク質を、同じ様式で用いてもよい。
実施例1に詳細に説明するように、Hisタグ付加T7 RNAPの配列依存的な制御された移動を示す図である。 実施例2に詳細に説明するように、T7 RNAPの制御された歩行の間の結合したリガンドの負荷および放出を示す図である。 簡単なDNAデバイスを示す図であり、その構築および使用は実施例3に開示される。 実施例4で検討するような、転写の間のDNA鋳型に沿ったポリメラーゼ酵素の回転移動を示す図である。 実施例4で詳細に説明するように、固定化T7 RNAPによる磁気ビーズの回転を測定する実験の結果を示す図である。 実施例5で詳細に検討するように、DNAブリッジ上の複数のRNAPモーターの並列アレイの構築を示す図である。 実施例6で詳細に検討するように、RNAPモーターのためのプロモーターを含むDNAの二次元格子の構築を示す図である。

Claims (20)

  1. カーゴに結合可能な高親和性結合ドメインを有しかつDNA鋳型に沿って移動可能なヌクレオチドポリメラーゼ酵素(NP)を含む、制御されかつ情報依存的な様式でカーゴを作動させる分子モーター。
  2. 前記高親和性結合ドメインが、前記NPへの付着または融合により可逆的または不可逆的に結合している、請求項1に記載のモーター。
  3. 前記NPがシングルサブユニットNPである、請求項1または2に記載のモーター。
  4. 前記高親和性結合ドメインが前記NPのN末端またはその近傍で結合している、請求項3に記載のモーター。
  5. 前記結合ドメインが前記カーゴと固体表面とに結合可能である、請求項4に記載のモーター。
  6. 前記高親和性結合ドメインがアミノ酸配列である、請求項4に記載のモーター。
  7. 前記アミノ酸配列が、酵母GAL4ポリペプチド配列、Zif268ジンクフィンガーポリペプチド配列、ストレプトアビジンポリペプチド配列、メタロチオネインポリペプチド配列、転写因子Sp130ポリペプチド配列、またはヒスチジン配列から選択される、請求項6に記載のモーター。
  8. 前記高親和性結合ドメインがDNAまたはRNA配列である、請求項4に記載のモーター。
  9. 前記DNAまたはRNA配列がアプタマーである、請求項8に記載のモーター。
  10. 請求項3に記載され請求される、複数のヌクレオチドポリメラーゼを含む分子モーターの直線アレイ。
  11. 各モーターが異なる高親和性結合ドメインに融合している、請求項10に記載のアレイ。
  12. 各モーターが異なるファージNPを含む、請求項10または請求項11に記載のアレイ。
  13. 二次元格子に並べられかつ配置されている、請求項12に記載の複数の直線アレイ。
  14. (a)RNAポリメラーゼプロモーターを有するDNA鋳型と請求項1に記載の分子モーターとDNA鋳型の核酸に相補的な十分なヌクレオチド三リン酸との溶液に加えて安定なECの形成をもたらすことにより開始複合体を作るステップと、
    (b)前記溶液を洗浄して過剰の基質を除去するステップと、
    (c)前記溶液に、安定なECの位置から下流のDNA鋳型の核酸に相補的な1または複数のヌクレオチド三リン酸で構成される基質を加えるステップと、
    (c)前記溶液を、適切な転写条件下でインキュベートするステップと
    を含む、情報依存的な様式でカーゴを作動させる方法。
  15. 前記開始複合体が、ポリメラーゼ結合部位から下流のDNA鋳型に相補的な少なくとも14のヌクレオチド三リン酸を添加することにより形成される、請求項14に記載のカーゴを作動させる方法。
  16. 連続様式で、DNA鋳型配列中の連続する核酸のそれぞれに相補的なヌクレオチド三リン酸で構成される基質を加えるステップと、
    各添加の後に前記溶液を洗浄して過剰の基質を除去するステップと
    をさらに含む、請求項15に記載のカーゴを作動させる方法。
  17. NP酵素を、表面支持体またはリガンド配列に結合可能な高親和性結合ドメインに結合させることを含む、分子モーターの作製方法。
  18. 前記NP酵素がシングルサブユニットNP酵素である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記高親和性結合メインが、DNA配列、RNA配列、あるいは酵母GAL4ポリペプチド配列、Zif268ジンクフィンガーポリペプチド配列、ストレプトアビジンポリペプチド配列、メタロチオネインポリペプチド配列、転写因子Sp130ポリペプチド配列、β−ガラクトシダーゼポリペプチド配列またはヒスチジン配列から選択されるアミノ酸配列である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記高親和性結合ドメインが、前記NPにそのN末端またはその近傍で融合されている、請求項19に記載の方法。
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