JP2003334070A - 改変型FoF1−ATP合成酵素分子とその利用 - Google Patents

改変型FoF1−ATP合成酵素分子とその利用

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JP2003334070A
JP2003334070A JP2002148232A JP2002148232A JP2003334070A JP 2003334070 A JP2003334070 A JP 2003334070A JP 2002148232 A JP2002148232 A JP 2002148232A JP 2002148232 A JP2002148232 A JP 2002148232A JP 2003334070 A JP2003334070 A JP 2003334070A
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Hiroshi Ueno
博史 上野
Toshiharu Suzuki
俊治 鈴木
Junko Suzuki
純子 鈴木
Kensuke Yoshida
賢右 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Fo部分のcリングにおけるプロトン駆動型の
トルク発生機構に対して、DCCD等の外部因子による広範
な回転速度の制御が可能な改良されたFoF1-ATP合成酵素
分子を提供する。 【解決手段】 Fo部分とF1部分とが結合したFoF1-ATP合
成酵素分子において、Fo部分のcサブユニットを構成す
るアミノ酸配列のN端側から2番目の非Cys残基がCys残
基に置換されている改変型FoF1-ATP合成酵素分子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、マイクロ
マシンの駆動部(マイクロアクチュエータ)等として有
用な改変型FoF1-ATP合成酵素分子とその利用に関するも
のである。さらに詳しくは、この出願の発明は、その回
転運動の制御が可能な改変型FoF1-ATP合成酵素分子と、
この酵素分子の回転に影響を及ぼす新規因子をスクリー
ニングする方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】分子サイズの大きさで機械的な動きをす
るマイクロマシンの開発が注目されている。このような
マイクロマシンは、例えば、分子コンピューターの配線
を加工する分子ロボットや体内で治療作業を行う医療用
ロボットとして有望視されているからである。
【0003】マイクロマシンを作成するためには、個々
の要素デバイス(センサ、アクチュエータ、ミニチュア
機械)や、それらの組立方法(マイクロマシニング)に
至るまで、様々な技術開発が必要とされている。特に、
マイクロマシン駆動部であるマイクロアクチュエータ
(回転モーター)の開発は、マシンの自律運動にとって
不可欠であり、様々な微細加工技術を利用したモーター
デバイスの開発が進められている。しかしながら微細加
工技術を応用した方法で作成できるマイクロアクチュエ
ータは、小さいものでも100μm程度であり、ナノスケー
ルのマイクロマシンに装備するには、モーター装置の更
なる微少化が求められている。
【0004】そこで、微細加工技術によってモーターを
構築するのではなく、回転運動能を有する単一分子をモ
ーターとして利用することが提案されている。
【0005】一般に、モーターとして利用できる分子
は、外部エネルギーを回転運動に変換する動力機構があ
ること、および1方向の回転を実現できることの2点を
満たすことが求められている。そして、このような条件
を満たす低分子有機化合物としては、(3R,3'R)-(P,P)-t
rans-1,1',2,2',3,3',4,4'-octahydro-3,3'-dimethyl-
4,4'-bipheanthrydiene(Nature 401:152-155, 1999)
とTriptycyl(4)helicene(Nature 401:150-152, 1999)
が知られている。前者は、炭素−炭素二重結合を挟んで
左右対称的な形を持っているが、立体的な込み合いのた
めねじれた構造となっている。これに適当な熱や光を加
えると4つのプロセスを経て1方向に回転させることが
できる。また2回の光反応と熱異性化反応で1サイクル
を完了し、1方向のみに進行する。すなわち、この有機
化合物は、熱異性化反応と光反応とによって回転運動を
行う。光反応による回転は非常に速い(ピコセカンドの
レベル)が、熱異性化反応による回転には数分以上かか
るため、実用化に適していない。また、駆動力が極めて
弱いという問題点を有してもいる。一方、後者はフォス
ゲン付加反応とウレタン結合形成、開裂という化学反応
を利用して分子の一方向の回転を示す。しかしながら、
この分子は繰り返し回転ができないという、アクチュエ
ータとしての致命的な欠陥を有している。
【0006】一方、マイクロマシン等に利用可能な単一
分子モーターとしては、鞭毛モーター(Microbiol. 6:1
-18, 1967; Nature 245:380-382, 1973)、ATP合成酵素
(Nature 386:299-302, 1997)、ミオシンモーター(Bi
ochem. Biophys. Res. Comm.199:1057-1063, 1994; Cur
r. Opin. Cell Biol. 7: 89-93, 1995)、微少管系モー
ター(Cell 42:39-50, 1985)、核酸合成酵素の運動タ
ンパク質(Nature 409: 113-119, 2001)等の生体分子
も知られている。このうち、ATP合成酵素は、真核生物
のミトコンドリア内膜、葉緑体のチラコイド膜、原核細
胞膜などに普遍的に存在する膜タンパク質であり、細胞
の消費するATPの大部分を合成している。ATP合成酵素
(FoF1-ATP合成酵素)は分子量約50万にも及ぶ巨大膜タ
ンパク質複合体であり、膜中に存在するFo部分と膜の外
に存在するF1部分からなる。Fo部分は膜をプロトン(H
+)が通過するために通り道になっており、F1部分にはA
TPを合成/加水分解する触媒部位がある。
【0007】F1部分の分子量は約38万であり、例えばバ
クテリア由来のATP合成酵素におけるF1部分のサブユニ
ット組成はα3β3δγ1ε1である。αとβサブユニット
はどちらにも似たようなATP結合部位を有するが、触媒
活性はβサブユニットにある。両者は交互に並んでリン
グを形成しており、このα3β3リングの中心部にγサブ
ユニットが存在している。δサブユニットはα3β3リン
グの頂上に結合し、ATP加水分解活性を制御しているε
サブユニットはγサブユニットに結合している。一方、
Fo部分は分子量約10万であり、そのアミノ酸組成は、プ
ロトンの移動に必須なグルタミン酸およびアスパラギン
酸を多く含んでいる。サブユニット組成はa1b2c9-12で
あり、cサブユニットは膜の中でリング状に配列し(cリ
ング)、それにaサブユニットと、膜の外に長く突き出
した腕を持つbサブユニット2個が結合している。従っ
て、FoF1-ATP合成酵素は、F1部分とFo部分とが、γε-c
リング、δ-b2の2箇所で結合している(以上、図1、
図2参照)。
【0008】さらに特筆すべきは、このFoF1-ATP合成酵
素分子が2種類のトルク発生装置を備えている点であ
る。一つはF1部分に存在するATP駆動型装置であり、他
方はFo部分に存在するプロトン駆動型装置である。すな
わち、Fo部分がプロトンを細胞膜内に取り込む場合には
cリングが時計回りに回転し、プロトンを細胞膜外に排
出する場合にはcリングは反時計回りに回転する。一
方、F1部分は、ATP合成時にはそのγサブユニットがFo
側からみた場合に時計回りに回転し、ATP分解時には反
時計回りに回転する(図1、図2参照)。そして、この
ような2種類のトルク発生装置を備えることによって、
ATP合成酵素が生み出すトルクは数十ピコニュウトン・n
mであり、分子モーターとしての十分な駆動力を有して
いる。また水系で作動するため体内でのアクチュエータ
として最適であり、アクチンを充分に動かす力があるた
めに生体内の蛋白質、糖質、脂質、核酸を操作すること
も可能である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前記のとおり、FoF1-A
TP合成酵素は分子モーターとしての一般的な条件(外部
エネルギーを回転運動に変換する動力機構があること、
および1方向の回転を実現できること)を備えた分子で
ある。また、マイクロマシンの駆動部としても十分なト
ルクを有してもいる。
【0010】しかしながら、このFoF1-ATP合成酵素を分
子モーターとしてマイクロマシン等に利用するために
は、さらに解決すべき問題点が幾つか残されている。第
1は、回転速度の制御である。すなわち、このFoF1-ATP
合成酵素は、外部エネルギーの量を増減することによっ
て回転速度を変化させることは困難であり(例えば、AT
P量を減少させた場合には連続的な回転運動が消失す
る)、他の何らかの外部因子によってその回転速度を操
作する必要がある。この点について、Fo部分のcサブユ
ニットのプロトン輸送に対する阻害剤であるventuricid
inを作用させることによって、その回転を低下させるこ
とが可能であるという報告(Science 286:1722-1724, 1
999)が存在する。ただし、この報告によれば、venturi
cidinによる回転速度の低下は約30%程度であり、マイク
ロマシン等に使用する分子モーターの制御としては不十
分である。また、同じくcリングのプロトン輸送を阻害
するF o特異的阻害剤であるDCCD(N,N'-dicyclohexylcar
bodiimide)は、FoF1-ATP合成酵素の回転に影響を及ぼ
さないという報告(FEBS Letters 470:244-248, 2000)
も存在する。
【0011】従って、この出願は、Fo部分のcリングに
おけるプロトン駆動型のトルク発生機構に対して、DCCD
等の外部因子による広範な回転速度の制御が可能な改良
されたFoF1-ATP合成酵素分子を提供することを第1の課
題としている。
【0012】第2には、FoF1-ATP合成酵素の活性温度範
囲の問題である。例えば、一般的に知られている大腸菌
由来のFoF1-ATP合成酵素の場合、その活性温度範囲は20
℃〜42℃であり、これを越えた温度条件下では酵素が失
活し、モーターとしての機能を果たさない。しかしなが
ら、FoF1-ATP合成酵素を分子モーターとしてマイクロマ
シンに組み込む場合の作業や、あるいは作成したマイク
ロマシンを使用する場合には、酵素の活性温度範囲を超
えた条件が多く想定される。従ってこの出願は、前記第
1の課題を満たし、さらに耐熱性に優れたFoF1-ATP合成
酵素分子を提供することを第2の課題としている。
【0013】また、その他の課題については、前記の第
1および/または第2の課題に対する解決手段との関係
において説明する。そのような課題の設定および解決手
段の妥当性は、当業者であれば十分に理解可能なもので
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】この出願は、前記の課題
を解決するものとして、以下の(1)から(6)の発明を提供
する。 (1) Fo部分とF1部分とが結合したFoF1-ATP合成酵素分
子において、Fo部分のcサブユニットを構成するアミノ
酸配列のN端側から2番目の非Cys残基がCys残基に置換
されている改変型FoF1-ATP合成酵素分子。 (2) 好熱菌由来である前記発明(1)の改変型FoF1-ATP合
成酵素分子。 (3) 好熱菌がBacillus PS3株であり、cサブユニットを
構成するアミノ酸配列のN端側から2番目のSer残基がCy
s残基に置換されている前記発明(2)の改変型FoF1-ATP合
成酵素分子。 (4) cサブユニットを構成するアミノ酸配列のN端側か
ら2番目のCys残基に、回転表示部材の一端が結合され
ている前記発明(1)、(2)または(3)の改変型FoF1-ATP合
成酵素分子。 (5) F1部分のαβサブユニットが基板上に固定されて
いる前記発明(4)の改変型FoF1-ATP合成酵素分子。 (6) FoF1-ATP合成酵素分子に対する回転制御因子をス
クリーニングする方法であって、前記発明(5)の改変型F
oF1-ATP合成酵素分子に候補因子を接触させ、回転表示
部材の動きによって測定されるcサブユニットの回転に
影響を及ぼす候補因子を目的因子として決定することを
特徴とする方法。
【0015】以下、発明の実施形態を示し、前記各発明
について詳しく説明する。
【0016】
【発明の実施の形態】発明(1)は、前記第1課題の解決
手段であり、Fo部分のcサブユニットを構成するアミノ
酸配列のN端側から2番目の非Cys残基がCys残基に置換
されている改変型FoF1-ATP合成酵素分子である。このよ
うな改変型FoF1-ATP合成酵素は、後記実施例に示すよう
に、野生型FoF1-ATP合成酵素と同様の機能(酵素活性お
よび回転能)を有するが、DCCDを作用させた場合に、そ
の回転が約90%阻害される。
【0017】発明(1)の改変型FoF1-ATP合成酵素分子
は、公知の野生型FoF1-ATP合成酵素分子を公知の手段で
改変させることによって作成することができる。FoF1-A
TP合成酵素分子としては、真核生物のミトコンドリア内
膜、葉緑体のチラコイド膜、原核細胞膜等に由来するも
のが知られている。そして、それらのFo cサブユニット
のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列としては、例え
ばBacillus subtilis (168)(GenBank Accession No. Z
28592)、大腸菌(GenBank Accession No. J01594)、葉
緑体(GenBank Accession No. X03775)等が知られてい
る。
【0018】従って、発明(1)の改変型FoF1-ATP合成酵
素は、例えば以下のとおりに作成することができる。す
なわち、公知のヌクレオチド配列に基づいて調製したオ
リゴヌクレオチドプローブを用いたDNAライブラリーの
スクリーニングや、オリゴヌクレオチドプライマーセッ
トを用いたPCR増幅によって目的のFoF1-ATP合成酵素を
コードするポリヌクレオチドを取得する。次いで、この
ポリヌクレオチドにおける該当する非Cys残基トリプレ
ットをCys残基のトリプレット(aga、agc)に置換する
ことによって改変型FoF1-ATP合成酵素分子をコードする
ポリヌクレオチドを作成し、これを発現させることによ
って、この発明(1)の改変型FoF1-ATP合成酵素分子を作
成することができる。ポリヌクレオチドにおけるトリプ
レットの置換は、ミューテーション・キット等を使用す
る方法、あるいは変異導入型のPCR法など、公知の方法
により行うことができる。また、公知のポリヌクレオチ
ド合成法(例えば、Nucleic Acid Res. 25:3440-3444,
1997等)によって化学合成することもできる。さらにポ
リヌクレオチドを発現させる方法としては、例えば、RN
Aポリメラーゼプロモーターを有する発現ベクターにポ
リヌクレオチドを組換え、この組換えベクターをプロモ
ーターに対応するRNAポリメラーゼを含むウサギ網状赤
血球溶解物や小麦胚芽抽出物などのインビトロ翻訳系に
添加すれば、改変型FoF1-ATP合成酵素分子をインビトロ
で生産することができる。RNAポリメラーゼプロモータ
ーとしては、T7、T3、SP6などが例示できる。これらのR
NAポリメラーゼプロモーターを含むベクターとしては、
pKA1、pCDM8、pT3/T7 18、pT7/319、pBluescript IIな
どが例示できる。また、ポリヌクレオチドを適当な宿主
−ベクター系において発現させれば、改変型FoF1-ATP合
成酵素分子を大腸菌、枯草菌等の原核細胞や、酵母、昆
虫細胞、哺乳動物細胞、植物細胞等の真核細胞などで生
産することができる。例えば、大腸菌などの微生物で発
現させる場合には、微生物中で複製可能なオリジン、プ
ロモーター、リボソーム結合部位、DNAクローニング部
位、ターミネーター等を有する発現ベクターにポリヌク
レオチドを組換えて発現ベクターを作成し、この発現ベ
クターで宿主細胞を形質転換し、この形質転換体を培養
すれば、その培養物から目的の改変型FoF1-ATP合成酵素
分子を大量生産することができる。大腸菌用発現ベクタ
ーとしては、pUC系、pBluescript II、pET発現システ
ム、pGEX発現システムなどが例示できる。さらに、ポリ
ヌクレオチドを真核細胞で発現させる場合には、ポリヌ
クレオチドをプロモーター、スプライシング領域、ポリ
(A)付加部位等を有する真核細胞用発現ベクターに挿入
して組換えベクターを作製し、このベクターをトランス
フェクトした真核細胞から目的の改変型FoF1-ATP合成酵
素分子を得ることができる。発現ベクターとしては、pK
A1、pCDM8、pSVK3、pMSG、pSVL、pBK-CMV、pBK-RSV、EB
Vベクター、pRS、pYES2などが例示できる。真核細胞と
しては、ヒト胎児腎臓細胞HEK293、サル腎臓細胞COS7、
チャイニーズハムスター卵巣細胞CHOなどの哺乳動物培
養細胞、あるいはヒト臓器から単離した初代培養細胞な
どが使用できる。出芽酵母、分裂酵母、カイコ細胞、ア
フリカツメガエル卵細胞なども使用できる。発現ベクタ
ーを細胞に導入するには、電気穿孔法、リン酸カルシウ
ム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法など公知の方
法を用いることができる。形質転換細胞で発現させた改
変型FoF1-ATP合成酵素を単離精製するためには、公知の
分離操作を組み合わせて行うことができる。例えば、尿
素などの変性剤や界面活性剤による処理、超音波処理、
酵素消化、塩析や溶媒沈殿法、透析、遠心分離、限外濾
過、ゲル濾過、SDS-PAGE、等電点電気泳動、イオン交換
クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフ
ィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィ
ーなどが挙げられる。
【0019】発明(2)は、前記第2課題に対する解決手
段としての発明であって、好熱菌由来のFoF1-ATP合成酵
素分子におけるcサブユニットを構成するアミノ酸配列
のN端側から2番目の非Cys残基がCys残基に置換されて
いる改変型FoF1-ATP合成酵素分子である。
【0020】一般の細菌は25℃から45℃の温度環境で生
育するが、好熱菌は55℃以上の温度で生育する細菌であ
る。従って、この発明(2)の改変型FoF1-ATP合成酵素分
子は、55℃以上で生育するBacillus PS3、Moorella The
rmoacetica等の細菌由来FoF1-ATP合成酵素の改変分子で
ある。
【0021】発明(3)は、発明(2)の一つの好ましい形態
であって、555〜65℃の高温で生育するBacillus PS3株
由来のFoF1-ATP合成酵素分子におけるcサブユニットを
構成するアミノ酸配列のN端側から2番目のSer残基がCy
s残基に置換されている改変型FoF1-ATP合成酵素分子で
ある。配列番号1に、このBacillus PS3株由来の改変型
FoF1-ATP合成酵素cサブユニットのアミノ酸配列を示
す。
【0022】これら発明(2)および(3)の改変型FoF1-ATP
合成酵素分子も、前記発明(1)と同様の遺伝子工学的方
法によって作成することができきる。すなわち、Bacill
us RS3株のcサブユニットのヌクレオチド配列(GenBank
Accession No. X07804)、または前記Moorella Thermo
acetica 由来のFoF1-ATP合成酵素をコードするヌクレオ
チド配列(GenBank Accession No. U643189)が公知であ
る。従って、これらの配列に基づいて野生型FoF1-ATP合
成酵素をコードするポリヌクレオチドを取得し、さらに
改変型ポリヌクレオチドを作成し、これを発現させるこ
とによって、一般細菌由来のものよりも10〜50℃高い温
度条件下でも酵素活性(そして回転能)を保持する耐熱
性の改変型FoF1-ATP合成酵素を得ることができる。
【0023】なお、好熱菌由来の耐熱性酵素は一般に熱
に強いというだけではなく酸、アルカリ、界面活性剤、
有機溶媒に対して強いという特性をもつ。この特性は酵
素分子を工業的に応用利用する際に非常に重要である
が、この発明の耐熱性改変型FoF1-ATP合成酵素も同様の
特性を有しており、マクロマシン等の構築に用いる分子
モーターとして極めて有用である。
【0024】発明(4)は、前記発明(1)、(2)または(3)の
改変型FoF1-ATP合成酵素分子であって、さらにそのcサ
ブユニットを構成するアミノ酸配列のN端側から2番目
のCys残基に、回転表示部材の一端が結合されている。
回転表示部材は、例えば後記実施例に例示したような直
径約0.5μmのビーズを2個以上連結したもの(マイクロ
スフェア)、あるいは長さ1〜4μm程度のアクチンフィ
ラメント(Nature 386:299-302, 1997)等を利用するこ
とができる。このような回転表示部材の一端をCys残基
に連結するには、例えば、マレイミド、ジスルフィド結
合等の方法を採用することができる。
【0025】発明(5)は、前記発明(4)の特徴に加え、さ
らにそのF1部分のαβサブユニットが基板上に固定され
ている改変型FoF1-ATP合成酵素分子である。すなわち、
FoF1-ATP合成酵素は、Fo部分のcリングとF1部分のγε
サブユニットが連結して回転するが、F1部分αβサブユ
ニットは回転しない。そこで、このαβサブユニットを
基板上に固定すれば、γε-cリングの回転のみを抽出す
ることができ、その回転の様子を前記のアーム部材によ
って正確に検出することができる。αβサブユニットを
基板上に固定するには、図3に示したように、αβサブ
ユニットにHis-tagを連結し、このHis-tagをNi-NTAスラ
イドに結合する方法(Nature 386:299-302, 1997; FEB
S Letters 470:244-248, 2000)等を採用することがで
きる。
【0026】そして、このようにFo部分のcリングに回
転表示部材を連結し、F1部分を基板上に固定した改変型
FoF1-ATP合成酵素分子を用いることによって、発明(6)
のスクリーニング方法を行うことができる。発明(6)
は、FoF1-ATP合成酵素分子に対する回転制御因子をスク
リーニングする方法であって、前記発明(5)の改変型FoF
1-ATP合成酵素分子に候補因子を接触させ、回転表示部
材の動きによって測定されるcサブユニットの回転に影
響を及ぼす候補因子を目的因子として決定することを特
徴している。
【0027】なお、発明(6)の方法においては、回転表
示部材の動きを指標としてcリングの回転を測定する
が、前記のとおり、cリングはF1部分のγεサブユニッ
トと同調して回転するため、FoF1-ATP合成酵素の全体と
しての回転(γε-cサブユニットの回転)を測定する。
【0028】この発明(6)において「回転制御因子」と
は、cリングの回転を促進または低下させることのでき
る物質であり、このような物質は天然物質または合成物
質であり、例えば核酸、糖類、蛋白質、合成ペプチド、
有機化合物等が含まれる。このスクリーニング方法によ
って特定された回転制御因子は、第1には、分子モータ
ーとしてのFoF1-ATP合成酵素分子の回転を制御するため
の外部制御因子となりうる。すなわち、FoF1-ATP合成酵
素を分子モーターとして利用するためには、その回転速
度を自在にコントロールすることが求められるが、前記
発明(1)の改変型F oF1-ATP合成酵素はDCCDに対する感受
性が高いことから、他の未知因子に対しても敏感に反応
してその回転速度を変化(促進または低下)させること
が期待される。
【0029】回転制御因子は、第2には、医薬品の創薬
の対象となりうる。例えば、Leigh症候群(MILS: mater
nally-inherited leigh syndrome. NARP: neuropathy,
ataxia, and retinitis pigmentosa, FBSN: familial
bilateral striatal necrosis)に対する医薬品であ
る。これらの疾患は、ATP合成酵素Fo部分のサブユニッ
トであるATP6遺伝子(aサブユユニット)における変異
を原因としている。この変異によってATP合成酵素のプ
ロトン輸送能が失われ、ATP合成が不能になる。従っ
て、この発明のスクリーニング方法によって特定される
回転制御因子のうち、特にcリングの回転を促進する因
子は、プロトン輸送を促進する作動薬(アゴニスト)と
して、Leigh症候群に対する医薬品の活性成分として有
望である。あるいはまた、同定された回転制御因子は、
癌治療薬の成分となりうる。すなわち、血管新生は癌細
胞の増殖のみならず、癌細胞の浸潤や転移にも深く関与
する。アンジオスタチンは血管新生阻害物質であるが、
血管内皮細胞上のATP合成酵素のαサブユニットが受容
体である(Proc Natl Acad Sci USA. 96(6):2811-2816,
1999)。アンジオスタチンによりATP合成酵素が阻害され
れば、内皮細胞は酸素欠乏に感受性となり、血管新生が
阻害されて癌細胞の増殖も阻害されることになる。従っ
て、発明(6)のスクリーニング方法は、FoF1-ATP合成酵
素の回転を阻害する新規の物質として、アンジオスタチ
ンのようなATP合成酵素阻害剤を見出すための系として
有効であり、そのようにして見出された新規のATP合成
酵素阻害剤は、血管新生の阻害を作用機序とする新しい
癌治療剤となりうる可能性を秘めている。
【0030】以下、実施例を示してこの出願の発明につ
いてさらに詳細かつ具体的に説明するが、この出願の発
明は以下の例によって限定されるものではない。なお、
以下の実施例において、DNA操作は文献(Sambrook, J.,
Fritsh, E. F., & Maniatis, T. (1989) Molecular Cl
oning: A laboratory Manual, Cold Harbor Laboratory
Press, Cold Harbor, N.Y.)の記載に従って行った。
【0031】
【実施例】
【0032】
【実施例】1. 発現ベクターの構築 Bacillus PS3由来のFoF1-ATP合成酵素(以後TFoF1と略
す)の発現ベクターを、以下のように作製した。出発材
料として、α3β3γε部分複合体の発現ベクターである
プラスミドpTR-kε2を使用した。まず、Bacillus PS3 u
ncBEFHA'遺伝子(a、c、b、δおよびαサブユニットをコ
ードしている)を含む4.4-kbp DNA断片を、プラスミドpU
C119/TFoF1からPCRにより増幅した。その際のPCRプライ
マーセットは、5'-CCGCGGGAATTCTAAGAAGGAGATATACATATG
GAGCATAAAGCGCCGCTTGTCG-3'(配列番号2)および5'-GG
CCGATCGGTACCAGCGCGTCGATCGCTTTAATCC-3'(配列番号
3)を使用した(配列番号1の下線はEcoRI認識配列、
配列番号2の下線はKpnI認識配列を示す)。PCR産物をE
coRIおよびKpnIで切断し、同制限酵素によって予め切断
しておいたpTR-kε2にライゲーションした。さらに、合
成オリゴヌクレオチド(5'-TTTACTTAGGTCGATAACTAGTCGA
TATGGAAAGTGA-3:配列番号4)を用いたKunkel and Rob
ert法(Methods in Enzymololgy 154:367-382, 1987)
によって、uncE遺伝子(cサブユニットに対応)の下流にS
peI制限サイトを導入した。これらの操作により得られ
るプラスミドをpTR19-ASDSと名付けた。
【0033】改変型TFoF1-CNCR3(cサブユニットのN端
第2のSerをCysに置換:cSer2Cys)は、プライマー(5'
-CAATCGCAGCTGCAAGTACACCCAAGCACATGTTGATAGATCCTCCTTC
ACC-3':配列番号5)を用いたメガプライマー法(Genes
96:125-128, 1990)によって構築した。PCRにより遺伝
子増幅した領域は、塩基配列決定することにより、その
変異導入を確認した。
【0034】次いで、Ni-NTA基に親和性を示す 10残基
のヒスチジン残基からなるタグをβサブユニットのN末
端に付加するため、オリゴヌクレオチド[GGATTTAAGA(C
ATCA)5GCTACTGGAAAG:配列番号6]をKunkel and Rober
t法(Methods in Enzymololgy 154:367-382, 1987)に
より前記の改変型FoF1をコードするDNA断片に導入し
た。 2. TFoF1の発現および精製 pTR19-ASDSを保持する大腸菌DK8(J. Biol. Chem. 275:3
7902-37906, 2000)を37℃で好気的に培養した。そして
菌体を集菌し、フレンチプレスにより細胞を破砕した。
この細胞破砕液を超遠心分離することにより、細胞膜画
分を回収し、以後、反転膜として使用した。
【0035】反転膜小胞を洗浄し、10 mM HEPES/KCl pH
7.5 、5 mM MgCl2、10% glycerol、1% L-α-lysophosph
atidylcholine(リゾフォスファチディルコリン)含む
緩衝液に溶解し、超遠心分離により、可溶化されたTFoF
1を含む可溶化上清を得た。得られた上清を、Ni-NTAカ
ラム(Qiagen、ドイツ)に結合させ、200 mM リン酸カリ
ウム緩衝液 pH7.5、100 mM KCl、0.05% L-α-lysophosp
hatidylcholine、200mMイミダゾールを含む溶液によっ
てTFoF1を溶出し、精製標品とした。精製されたTFoF1
純度はSDS-PAGE分析によって確認した。 3. 大腸菌におけるTFoF1の発現 TFoF1をコードするunc遺伝子を含むオペロン構造を、プ
ロモーターtrcの下流に導入し、FoF1欠損大腸菌株(DK8)
中で発現させた。作製された組換え株(DK8/pTR19-ASDS)
は、コハク酸を唯一の炭素源とする最小培地プレート上
でコロニーを形成する能力を有していた。組換え大腸菌
の増殖速度は野生型大腸菌株(JM109)の増殖速度とほと
んど同じであることから、組換え体のTFoF1が大腸菌細
胞中のATP合成酵素として機能することが確認された。
宿主大腸菌の内膜のSDS-PAGE分析の結果、TFoF1が発現
している事を確認した。図4に示したように、精製され
たTFoF1は、8つの種類のサブユニットから構成され(図
4、レーン3)、BacillusPS3から精製された野性型TFo
F1(レーン1)と同じ組成である。改変型TFoF1を発現
している大腸菌の膜は、37℃において1.0ユニット/mgの
ATP加水分解活性を示した。この活性の80%以上は50分間
の50mM DCCD処理により失活した。この阻害はBacillus
PS3細胞由来のTFoF1に対するDCCD効果と同程度かそれ以
上であった。Lauryldimethylamine oxide(LDAO)は、Fo-
F1間の共役を壊し、F1のATP加水分解活性をFoから切り
離すことが知られているが、LDAO存在下では、加水分解
活性はDCCD処理によって影響を受けなかった。ことか
ら、このDCCDによる不活性化はFoのcサブユニットを標
識することによるものであって、βサブユニットの触媒
部位のグルタミン酸(Glu190)に対する標識効果ではない
ことを示している。また、膜に検出されたATP加水分解
活性は、5mMのアジ化物(ATPaseおよびATP-合成酵素の
抑制剤)によりほとんど完全に阻害された。 4. FoF1の回転分析 回転分析は、基本的にF1-ATPaseの回転分析に用いられ
ている方法(J. Biol.Chem., published on April 18 a
s Manuscript M202582200:http://www.jbc.org/cgi/re
print/ M202582200v1)を応用して行った。具体的には
精製したBacillus PS3由来の改変型TFoF1-CNCR3(cSer2C
ys変異を持つ)をNi-NTAグラス基盤上にHis-tagを介して
固定させた(図3)。その後、マイクロスフェアをジス
ルフィド結合によりcサブユニットのシステイン残基に
結合させ、位相差顕微鏡下37℃で観察を行った。回転は
分析溶液中に2 mM ATPを添加することによって開始させ
た。図5は回転の計測例であり、図6は、実際の回転状
態の連続顕微鏡写真である。 5. DCCDによる回転の阻害 改変型TFoF1-CNCR3のATP加水分解活性(J. Biol. Chem.
277:13281-13285, 2002記載の方法により測定)は高い
DCCD感受性を持ち、可溶化後もDCCD感受性を保っていた
(図7)。
【0036】可溶化したTFoF1(図7、mutant purified
)をDCCD処理した後、回転発見頻度を測定した。DCC
D処理したサンプルは、DCCD処理していないものに比べ
約90%発見頻度が低下した(表1)。
【0037】
【表1】
【0038】以上の結果から、改変型TFoF1-CNCR3は、A
TP加水分解活性およびその回転活性の両方においてDCCD
感受性であることが確認された。 6. Bacillus PS3由来の改変型TFoF1の熱耐性 TFoF1の熱安定性を以下のように評価した。大腸菌DK8で
過剰発現させたTFoF1を含む内膜小胞(4mg/mlの膜タンパ
ク質)をPA3緩衝液(10mmのHEPES/KOH、pH 7.5、5mmのMgC
l2、10%のグリセリン)中で、20分間インキュベートし
た。次いで、0.1%のlauryldimethylamine oxideおよび5
mMのKCN存在下でATP加水分解活性を測定することにより
TFoF1の熱変性プロフィールを評価した。その結果は図
8に示したとおりであり、Bacillus PS3由来の改変型TF
oF1の変性温度Tハーフ(T1/2)は81℃を示し、この値は、
大腸菌TG1由来のATP合成酵素の変性温度(T1/2=63℃)
より明らかに高かった。
【0039】以上の結果から、Bacillus PS3由来の改変
型TFoF1は十分な耐熱性を有することが確認された。
【0040】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明によって、DCCDに対して高い感受性を有する改変型
FoF1-ATP合成酵素分子が提供される。これによって、外
部因子によって回転制御が可能な分子モーターの開発が
可能となり、マイクロマシンの作成に大きく寄与する。
また、この改変型FoF1-ATP合成酵素分子を用いることに
よって、FoF1-ATP合成酵素分子に対する新規の回転制御
因子の探索が可能となる。得られた因子を用いることに
よって、FoF1-ATP合成酵素分子からなる分子モーターの
さらなる回転制御が可能となる。また、このスクリーニ
ング方法によって同定された新規因子は、例えばLeigh
症候群の治療薬剤や癌治療薬剤等の有効成分としても有
効である。
【0041】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Japan Science and technology Corporation <120> Modified F0F1-ATP synthase and a use thereof <130> NP02235 <140> <141> <160> 6 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 72 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Modified Sequence <400> 1 Met Cys Leu Gly Val Leu Ala Ala Ala Ile Ala Val Gly Leu Gly Ala 1 5 10 15 Leu Gly Ala Gly Ile Gly Asn Gly Leu Ile Val Ser Arg Thr Ile Glu 20 25 30 Gly Ile Ala Arg Gln Pro Glu Leu Arg Pro Val Leu Gln Thr Thr Met 35 40 45 Phe Ile Gly Val Ala Leu Val Glu Ala Leu Pro Ile Ile Gly Val Val 50 55 60 Phe Ser Phe Ile Tyr Leu Gly Arg 65 70 <210> 2 <211> 55 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic oligonucleotide <400> 2 CCGCGGGAAT TCTAAGAAGG AGATATACAT ATGGAGCATA AAGCGCCGCT TGTCG 55 <210> 3 <211> 36 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic oligonucleotide <400> 3 GGCCGATCGG TACCAGCGCG TCGATCGCTT TAATCC 36 <210> 4 <211> 37 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic oligonucleotide <400> 4 TTTACTTAGG TCGATAACTA GTCGATATGG AAAGTGA 37 <210> 5 <211> 52 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic oligonucleotide <400> 5 CAATCGCAGC TGCAAGTACA CCCAAGCACA TGTTGATAGA TCCTCCTTCA CC 52 <210> 6 <211> 47 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Synthetic oligonucleotide <400> 6 GGATTTAAGA CATCACATCA CATCACATCA CATCAGCTAC TGGAAAG 47
【図面の簡単な説明】
【図1】FoF1-ATP合成酵素分子の構造と、プロトン駆動
によるcリングの回転を示した模式図である。
【図2】FoF1-ATP合成酵素分子の回転とATP合成との関
係を示した模式図である。
【図3】この発明の改変型FoF1-ATP合成酵素分子の一例
を示した模式図である。
【図4】大腸菌で発現させた改変型FoF1-ATP合成酵素分
子のSDS-PAGE分析の結果である。レーン1はBacillus P
S3の精製TFoF1、レーン2は内膜画分に含まれる変異体T
FoF1、レーン3は精製変異体T FoF1である。
【図5】この発明の改変型FoF1-ATP合成酵素分子の回転
計測例である。
【図6】この発明の改変型FoF1-ATP合成酵素分子の実際
の回転状態の連続顕微鏡写真である。
【図7】野性型および改変型FoF1-ATP合成酵素分子のAT
Pase活性のDCCD感受性を測定した結果である。Mutant *
は高濃度の脂質存在下で精製した試料であり、Mutant
*は脂質非存在下で精製した試料である。
【図8】大腸菌由来およびBacillus PS3由来の改変型Fo
F1-ATP合成酵素分子の耐熱性を測定した結果である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 純子 東京都町田市南つくし野 3−9−2−2 −301 (72)発明者 吉田 賢右 神奈川県藤沢市片瀬海岸 1−9−13− 1103 Fターム(参考) 2G045 AA40 4B024 AA01 AA19 BA11 CA05 EA04 4B050 CC04 DD02 LL01 LL10 4B063 QA01 QR13 QR23 QS02 QX10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fo部分とF1部分とが結合したFoF1-ATP合
    成酵素分子において、Fo部分のcサブユニットを構成す
    るアミノ酸配列のN端側から2番目の非Cys残基がCys残
    基に置換されている改変型FoF1-ATP合成酵素分子。
  2. 【請求項2】 好熱菌由来である請求項1の改変型FoF1
    -ATP合成酵素分子。
  3. 【請求項3】 好熱菌がBacillus PS3株であり、cサブ
    ユニットを構成するアミノ酸配列のN端側から2番目のS
    er残基がCys残基に置換されている請求項2の改変型FoF
    1-ATP合成酵素分子。
  4. 【請求項4】 cサブユニットを構成するアミノ酸配列
    のN端側から2番目のCys残基に、回転表示部材の一端が
    結合されている請求項1、2または3の改変型FoF1-ATP
    合成酵素分子。
  5. 【請求項5】 F1部分のαβサブユニットが基板上に固
    定されている請求項4の改変型FoF1-ATP合成酵素分子。
  6. 【請求項6】 FoF1-ATP合成酵素分子に対する回転制御
    因子をスクリーニングする方法であって、請求項5の改
    変型FoF1-ATP合成酵素分子に候補因子を接触させ、回転
    表示部材の動きによって測定されるcサブユニットの回
    転に影響を及ぼす候補因子を目的因子として決定するこ
    とを特徴とする方法。
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