JP2014506485A - 回転依存転写配列決定システムおよび使用方法 - Google Patents

回転依存転写配列決定システムおよび使用方法 Download PDF

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Abstract

本願で提供されるのは、回転依存転写配列決定法およびシステムである。

Description

関連出願の相互参照
本願は、2011年2月23日出願の米国出願第61/463,850号および2011年7月30日出願の米国出願第61/574,270号の優先権の恩典を主張する。
技術分野
本願は、概ね、核酸の配列決定システムおよび方法、ならびにそのようなシステムおよび方法において使用することができる組成物に関する。
背景
現在、細菌およびウイルス病原体の検出およびタイピングには、いくつかの技術が利用可能となっている。これには、
1)種/株特異的PCR、反復配列ベースPCR(rep-PCR)、パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)および光学DNAマッピングを含む遺伝子配列の間接的決定、
2)多座配列タイピング(MLST)もしくは総細菌ゲノム配列決定のいずれかによる配列の直接的決定、または
3)上記の組み合わせ、例えば質量分析によるPCR産物の塩基組成の決定
を用いる方法が含まれる。
第1のグループの技術(Cepheid、PathoGenetix, Inc.、OpGen, Inc.)は、第2のグループの技術と比較して解像力および識別力が低く、かつ調査対象となる保存されたゲノム領域の数の少なさによっても制限される。しかし、第2のグループの技術は、第2(Life TechnologiesによるSOLiDおよびPGM/Ion Torrent、Illumina、Roche 454、Complete Genomics)および第3(Pacific Biosciences、Helicos)世代の高スループット配列決定技術を導入することによりサンプルあたりの費用が$10,000を下回る傾向があるとはいえ、非常に高価であり、低いスループットしか提供しない。さらに、現在利用可能な配列決定技術は、複雑なサンプル調製およびDNAクラスターの発生(Life TechnologiesによるSOLiDおよびIonTorrent、Roche 454、Complete Genomics、Illumina)、短いリード長(Helicos、SOLiD、Illumina)または高いエラー率(Pacific Biosciences)のいずれかの問題を抱えている。加えて、現在利用可能な単一分子配列決定機器(Pacific BiosciencesおよびHelicos)は、巨大であり、非常に高価であり、かつ高度に訓練された人物が操作する必要がある。第3のグループの技術(Ibis Biosciences Inc.)は、PCR産物の比較的短い配列のヌクレオチド組成しか決定することができず、従来のPCRのすべての制約を抱えている。
現在利用可能な単一分子技術(Helicos、Pacific Biosciences)とは対照的に、本明細書に記載される回転依存転写配列決定は、修飾ヌクレオチドを組み込むことができる変異ポリメラーゼの開発、高価な標識ヌクレオチドまたはレーザーおよび費用のかかるハイスピードカメラを必要としない。したがって、本明細書に記載される回転依存転写配列決定は、安価な移動式ポイント・オブ・ケア(point-of-care)システムに統合することができる。
加えて、本明細書に記載される回転依存転写配列決定は、究極の柔軟性および迅速な再構成性を実現し;予期せぬ風土病の脅威、疾患の発生、流行病および新たなバイオテロの脅威に対して、試薬を変更せずに単にプラットフォーム付属の核酸データベースおよびソフトウェアをアップデートすることによって迅速に対応することができる。これは、任意の新たな標的に対処するためのプラットフォームの再構築前のアッセイの再構成および検証に膨大な時間が必要な、PCRを利用する多くの診断プラットフォームとは対照的である。これはまた、少なくとも3 kb隔てられたタグの空間パターンに基づく、そしてkb以下の挿入または欠失および単一ヌクレオチドの変動に対して非感受的である、Direct Linear Analysis(DLA)技術(PathoGenetiX)を用いる非配列決定・単一分子性のGenome Sequence Scanningプラットフォームとも対照的である。
さらに、本明細書に記載される回転依存転写配列決定は、究極の多重化能力を実現する。PCRおよびマイクロアレイベースの方法には、既知の感染因子のみの検出という制限があり、変異したまたは生物工学処理された(すなわち、単一ヌクレオチドの相違を有する)変種を同定することができないが、本明細書に記載される回転依存転写配列決定は、この方法が試料中のまたは試料から抽出された任意かつすべてのDNA分子の一次構造を解読し、したがって数千の既知または未知の(例えば、遺伝子修飾された)標的を同時に検出および同定することができる点で、ある意味、「標的不可知論的(target agnostic)」である。そのような、本明細書に記載されるシステムおよび方法によって提供される固有の「広帯域(broadband)」多重化能力は、各病原体の検出ごとに特有の試薬セット(プライマーおよびプローブ)が必要なPCRを用いるアプローチと対照的である。加えて、PCRベースの技術は、単純にPCRの性質の問題で、検出感度および定量精度を悪化させる、多重化反応において許容されるアッセイ数によってまたは複数の反応間でのサンプル(すなわち、標的核酸を含むサンプル)の分割の必要性によって制限される。
概要
回転依存転写配列決定は、固相表面に対して固定されたRNAポリメラーゼに基づいている。転写の結果として、RNAポリメラーゼは核酸にトルクを与え、そしてこれはその核酸に付加されたタグの回転として現れる。
1つの局面においては、標的核酸分子の配列を決定する方法が提供される。そのような方法は、概ね、RNAポリメラーゼと標的核酸分子とを配列決定条件下で接触させる工程、回転タグの回転パターンを検出する工程、ならびにこの接触工程および検出工程を複数回繰り返す工程、を含む。典型的に、配列決定条件は少なくとも1つのヌクレオシド三リン酸の存在を含み、RNAポリメラーゼは固相基材に固定され、標的核酸分子は回転タグを含む。標的核酸分子の配列は、少なくとも1つのヌクレオシド三リン酸の存在下での回転パターンの変化の存在または非存在に連続的に基づく。
いくつかの態様において、RNAポリメラーゼは、バクテリオファージRNAポリメラーゼ(例えば、T7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼ)である。いくつかの態様において、RNAポリメラーゼは、細菌RNAポリメラーゼ(例えば、大腸菌(E. coli)RNAポリメラーゼ)である。いくつかの態様において、RNAポリメラーゼは、Hisタグを介して固相表面上に固定される。代表的な標的核酸分子は、原核生物、細菌、古細菌および真核生物由来であり得る。標的核酸分子は、典型的には、二本鎖であり、生物学的サンプル中に含まれ得る。標的核酸分子はさらに、RNAポリメラーゼプロモーター配列を含み得る。
いくつかの態様において、回転タグは、第1タグおよび第2タグを含む。例えば、いくつかの態様において、第1タグは磁気タグである。代表的な固相基材は、ガラスから製造される。他の代表的な固相基材には、CMOSまたはCCDが含まれる。いくつかの態様において、配列決定条件は、単一のヌクレオシド三リン酸の存在を含み;いくつかの態様において、配列決定条件は、4つのヌクレオシド三リン酸の存在を含み、この4つのヌクレオシド三リン酸のうちの第1のヌクレオシド三リン酸は律速量で存在する。
いくつかの態様において、検出工程は、回転タグ上に光を投射することを含む。いくつかの態様において、検出工程はさらに、顕微鏡を介して回転パターンを観察することを含む。いくつかの態様において、検出工程はさらに、回転パターンをCMOSまたはCCDで取り込むことを含む。いくつかの態様において、検出工程は、回転パターンを磁気画像として取り込むことを含む。いくつかの態様において、磁気画像は、GMRセンサーまたはMRAMアレイに取り込まれる。いくつかの態様において、検出工程は、回転パターンを電場として取り込むことを含む。いくつかの態様において、画像はRAMセンサーに取り込まれる。
そのような方法はまた、標的核酸分子に有向性の力を適用する工程を含み得る。例えば、有向性の力は、磁石を用いて、または流動もしくは圧力を用いて生成され得る。
別の局面においては、標的核酸分子の配列を決定する方法が提供される。そのような方法は、典型的に、RNAポリメラーゼが固定されている固相基材を提供する工程;RNAポリメラーゼと標的核酸分子とを第1配列決定条件下で接触させる工程であって、標的核酸分子が回転タグを含み、第1配列決定条件が4つのヌクレオシド三リン酸の存在を含み、この4つのヌクレオシド三リン酸のうちの第1のヌクレオシド三リン酸が律速量で存在する、工程;第1配列決定条件下での回転タグの回転パターンを検出する工程;および回転パターンの変化に基づき、標的核酸分子に沿った第1のヌクレオシド三リン酸の位置情報を決定する工程、を含む。
そのような方法はさらに、RNAポリメラーゼが固定されている固相基材を提供する工程;RNAポリメラーゼと、回転タグを含む標的核酸分子とを第2配列決定条件下で接触させる工程であって、第2配列決定条件が4つのヌクレオシド三リン酸の存在を含み、この4つのヌクレオシド三リン酸のうちの第2のヌクレオシド三リン酸が律速量で存在する、工程;第2配列決定条件下での回転タグの回転パターンを検出する工程;および回転パターンの変化に基づき、標的核酸分子に沿った第2のヌクレオシド三リン酸の位置情報を決定する工程、を含み得る。
いくつかの態様において、第2配列決定条件下での接触工程および検出工程は、第1配列決定条件下での接触工程および検出工程と同時に実施される。いくつかの態様において、第2配列決定条件下での接触工程および検出工程は、第1配列決定条件下での接触工程および検出工程の前または後に順に実施される。
そのような方法はまた、RNAポリメラーゼが固定されている固相基材を提供する工程;RNAポリメラーゼと、回転タグを含む標的核酸分子とを第3配列決定条件下で接触させる工程であって、第3配列決定条件が4つのヌクレオシド三リン酸の存在を含み、この4つのヌクレオシド三リン酸のうちの第3のヌクレオシド三リン酸が律速量で存在する、工程;第3配列決定条件下での回転タグの回転パターンを検出する工程;および回転パターンの変化に基づき、標的核酸分子に沿った第3のヌクレオシド三リン酸の位置情報を決定する工程、を含み得る。そのような方法はさらに、標的核酸分子における第1、第2および第3のヌクレオシド三リン酸の位置情報から標的核酸分子の配列を決定する工程を含み得る。
そのような方法はさらに、RNAポリメラーゼが固定されている固相基材を提供する工程;RNAポリメラーゼと、回転タグを含む標的核酸分子とを第4配列決定条件下で接触させる工程であって、第4配列決定条件が4つのヌクレオシド三リン酸の存在を含み、この4つのヌクレオシド三リン酸のうちの第4のヌクレオシド三リン酸が律速量で存在する、工程;第4配列決定条件下での回転タグの回転パターンを検出する工程;および回転パターンの変化に基づき、標的核酸分子に沿った第4のヌクレオシド三リン酸の位置情報を決定する工程、を含み得る。
いくつかの態様において、固相表面は、ガラススライドである。そのようなガラススライドは、銅およびPEGでコーティングされ得る。いくつかの態様において、RNAポリメラーゼは、T7 RNAポリメラーゼである。いくつかの態様において、T7 RNAポリメラーゼは、Hisタグを介して固相基材に固定される。
別の局面においては、標的核酸分子の配列を決定する方法が提供される。そのような方法は、典型的に、1つまたは複数のRNAポリメラーゼが固定されている固相基材を提供する工程;1つまたは複数のRNAポリメラーゼと標的核酸分子とを第1配列決定条件下で接触させる工程であって、標的核酸分子が回転タグを含み、第1配列決定条件が4つのうちの第1のヌクレオシド三リン酸の存在を含む、工程;および第1配列決定条件下で、回転パターンに変化が起きるかどうかを検出する工程、を含む。回転パターンに変化が起きた場合、この方法はさらに、接触工程およびその後の工程を第1配列決定条件下で繰り返す工程を含み、回転パターンに変化が起きなかった場合、この方法はさらに、接触工程およびその後の工程を第2配列決定条件下で繰り返す工程を含み、第2配列決定条件は4つのうちの第2のヌクレオシド三リン酸の存在を含む。同様に、回転パターンに変化が起きた場合、この方法はさらに、接触工程およびその後の工程を第1配列決定条件下で繰り返す工程を含み、回転パターンに変化が起きなかった場合、この方法はさらに、接触工程およびその後の工程を第3配列決定条件下で繰り返す工程を含み、第3配列決定条件は4つのうちの第3のヌクレオシド三リン酸の存在を含む。標的核酸分子の配列は、第1、第2または第3配列決定条件下での回転パターンの変化の発生に連続的に基づき取得され得る。
さらに別の局面においては、製造品が提供される。製造品は、典型的に、複数のRNAポリメラーゼ酵素が固定されている固相基材を含む。いくつかの態様において、固相基材は、銅およびPEGでコーティングされ;別の態様において、固相基材は、ニッケルおよびPEGでコーティングされる。あるいは、固相基材は、Ni-NTAでコーティングされ得る。いくつかの態様において、固相基材は、CMOSまたはCCDである。
いくつかの態様において、製造品はさらに、回転タグを含む。回転タグには、非球形タグ、または光学的に区別できる不均一表面を有する球形タグが含まれ得る。製造品はまた、T7 RNAポリメラーゼプロモーター配列および/またはビオチニル化核酸係留(tether)配列を含み得る。本明細書に記載される製造品はまた、1つまたは複数のヌクレオシド三リン酸を含み得る。
いくつかの態様において、製造品はさらに、磁気参照タグを通じて軸に対する回転タグの回転を同定する;回転およびヌクレオシド三リン酸の存在に基づき標的核酸分子の配列をコンパイルする;または磁力を適用するための説明書を含む。そのような説明書は、電子的な形態で提供され得る。
さらに別の局面においては、標的核酸分子の単一塩基配列決定のための装置が提供される。そのような装置は、典型的に、配列決定モジュールであって、該配列決定モジュールが固相基材を受け取るための容器を含み、該固相基材が同基材に固定されている複数のRNAポリメラーゼを含む、モジュール;有向性の力を提供するための供給源であって、該有向性の力が、固相表面上に固定されている複数のRNAポリメラーゼによって転写される標的核酸分子に張力を適用するのに十分でありかつそのような方向に向けられている、供給源;固相表面上に固定されている複数のRNAポリメラーゼによって転写される標的核酸分子に結合されている回転タグ上に光を投射するための光源;および固相表面上に固定されている複数のRNAポリメラーゼによって転写される標的核酸分子に結合されている回転タグの回転パターンを検出するための光学手段(optics)を含む。
そのような装置はさらに、コンピュータープロセッサならびに/または核酸の配列決定に関係する試薬および緩衝液を収容および輸送するためのフルイディクス手段(fluidics)を含み得る。代表的な試薬はヌクレオシド三リン酸であり、代表的な緩衝液は洗浄緩衝液であり得る。いくつかの態様において、有向性の力を提供するための供給源は、磁石または液体の流動であり得る。いくつかの態様において、光学手段は、顕微鏡を含み、さらにカメラを含み得る。
そのような装置はさらに、サンプル調製モジュールを含み得、このサンプル調製モジュールは、生物学的サンプルを受け取るための容器;ならびに配列決定するための核酸の単離および調製に関係する試薬および緩衝液を収容および輸送するためのフルイディクス手段を含む。代表的な試薬には、細胞溶解試薬および/または切断酵素が含まれ、代表的な緩衝液には溶解緩衝液および/または洗浄緩衝液が含まれる。
そのような装置はさらに、鋳型仕上げモジュール(Template Finishing Module)を含み得、この鋳型仕上げモジュールは、RNAポリメラーゼプロモーター配列および回転タグを核酸分子に付加するのに関係する試薬および緩衝液を収容および輸送するためのフルイディクス手段を含む。代表的な試薬には、リガーゼ酵素、分子モーター結合配列、磁気タグおよび/または係留手段(tether)が含まれ、代表的な緩衝液には、リガーゼ緩衝液、磁気参照タグ結合緩衝液および/または回転タグ結合緩衝液が含まれる。
さらに別の局面においては、標的核酸分子の配列を決定する方法であって、標的核酸分子が回転タグを含み、標的核酸分子の配列が標的核酸分子の転写時に得られるデータに基づく、方法が提供される。そのような方法は、概ね、標的核酸分子の第1位置に関して第1データを受け取る工程であって、第1データは回転の存在もしくは非存在および/または回転タグの回転間の時間長を示す、工程;標的核酸分子の第1位置に関して第2データを受け取る工程であって、第2データは転写時に利用可能な1つまたは複数のヌクレオシド三リン酸の存在および/または量を示す、工程;標的核酸分子の第2位置に関して別の第1データおよび別の第2データを受け取る工程;標的核酸分子の第3位置に関してさらに別の第1データおよびさらに別の第2データを受け取る工程;第1データおよび第2データを受け取る工程を、標的核酸分子の第4およびそれ以降の位置に関して繰り返す工程;ならびに各位置に関して受け取った第1データおよび第2データに基づき標的核酸分子の配列を決定する工程、を含む。いくつかの態様において、第1データおよび第2データは、示された位置のヌクレオチドとして記録される。
別途定義がなされていない限り、本明細書で使用されるすべての技術・科学用語は、本システム、方法および組成物の属する技術の分野における通常の知識を有する者に一般に理解されているのと同じ意味を有する。本システム、方法および組成物の実施または試験には本明細書に記載されているのと類似または等価なシステム、方法および材料を使用することができるが、以下には適切なシステム、方法および材料が記載されている。加えて、本システム、材料、方法および実施例は、例示にすぎず、限定を意図したものではない。以下で言及されているいずれの刊行物、特許出願、特許およびその他の参考文献も、それらの全体が参照により組み入れられる。
本明細書に記載される、単一分子回転依存転写配列決定複合体の態様(図1A)およびオンチップ(on-chip)(図1B)の回転依存転写配列決定複合体の態様を示している。 20x水浸対物レンズを用いた磁気回転タグの画像である。この画像において、FOVは、検出器によって制限されており、対物レンズによってではない。この画像において、磁気回転タグは、2.7ミクロンの直径を有している。 張力下(ここでは磁力の存在下)での磁気回転タグの画像であり、図2Aと比較して、磁気回転タグが磁石の適用により「上方向」に移動したことが示されている。2つの光源が上方から2つの異なる角度で回転タグを照射しているため、二重像が形成されている。したがって回転タグが焦点面外に移動すれば、2つの「影」が分離する。この方法は、サンプル面とその面外の異なるz軸位置において張力がどの程度均一であるかを決定するのに使用することができる。図2Bにおいても合焦している回転タグは、固相表面上に凝集している可能性がある。 不働態化された固相表面上のHisタグ付きRNAポリメラーゼおよび5.1 Kb DNA鋳型によって係留された回転タグのアレイの写真である。 本明細書に記載される2つの様式の核酸配列決定を示すグラフであり;パネルAは、単一のヌクレオシド三リン酸(このパネルではグアニン(G))の濃度を限定することにより、生成されるヌクレオチド配列へのGヌクレオチドの組み込み時にポリメラーゼを休止させる、非同期・リアルタイム「ヌクレオチドパターン」配列決定ストラテジーを示している。パネルBは、ヌクレオシド三リン酸の「ベース・バイ・ベース(base-by-base)」の導入によりヌクレオチド配列の連続的な解読を行う、同期配列決定ストラテジーを示している。 各々に異なるヌクレオシド三リン酸が限定量で存在する、4つの異なるフローセルからのグラフを示している。下パネルは、4つのフローセルからコンパイルされた核酸配列を示している。 本明細書に記載されるフローセルの1つの態様を示す略図である。例えば、フローセルは、OmniVisionセンサー(OV14810;窓の除去およびSiNによるコーティング後)の上面に置かれたおよそ50ミクロン厚のレーザーカットされた感圧接着(PSA)フィルムを含み得る。この構成によりCMOSチップの上面にフローセルが構築される。次に、マイクロ流体フィードスルーチューブ用の孔を有するガラスまたはポリマースライドが、適用される。 光の送達にファイバーを使用し画像化に顕微鏡対物レンズを使用する固相表面のプロトタイプを示す写真である。ファイバーの下および対物レンズの上に、回転タグ付き核酸およびRNAポリメラーゼを含む固相表面スライドが配置されているのが示されている。 図6Aの線図である。ファイバーの下および対物レンズの上に、回転タグ付き核酸およびRNAポリメラーゼを含む固相表面スライドが配置されているのが示されている。 本明細書に記載される回転依存転写配列決定システムの1つの態様を示している。この略図は、張力源、照射源ならびに入口用および出口用フルイディクス手段を有する固相表面チップ上部の4つのフローセルを示している。 回転依存転写配列決定システムの1つの態様を示す写真である。この態様は、高解像度で視野が広い、NA = 0.9で1 mm超のFOVを提供する20x水浸対物レンズである、Olympus製の「スーパーレンズ」を使用している。固相表面、光の送達および張力源(例えば、磁石)も示されている。 図8Aの線図である。この態様は、高解像度で視野が広い、NA = 0.9で1 mm超のFOVを提供する20x水浸対物レンズである、Olympus製の「スーパーレンズ」を使用している。固相表面、光の送達および張力源(例えば、磁石)も示されている。 回転依存転写配列決定システムの別の態様を示す写真である。この態様では、AF光学解像ターゲット、照明ファイバー、20x Mitutoyo対物レンズ、チューブレンズおよびカメラを有する小型光学システムが示されている。この画像では無理だが、ターゲットの上に円盤状磁石を見ることができる。対象空間における1ミクロンの解像に、20ミクロンより大きなピクセルサイズを有する1つまたは複数のカメラを使用することができる。 図9Aの線図である。この態様では、AF光学解像ターゲット、照明ファイバー、20x Mitutoyo対物レンズ、チューブレンズおよびカメラを有する小型光学システムが示されている。この画像では無理だが、ターゲットの上に円盤状磁石を見ることができる。対象空間における1ミクロンの解像に、20ミクロンより大きなピクセルサイズを有する1つまたは複数のカメラを使用することができる。 回転タグ(例えば、第1タグおよび第2タグを含むダブレット)の回転が、低解像度(すなわち、対物レンズを通じてまたはオンチップ法を介して画像化されたビーズあたり10 x 10ピクセル)を使用した場合でさえも検出できることを示している。より高度なアルゴリズムを用いることで5 x 5ピクセルへのさらなる削減も可能である。さらに、テーパーバンドルを使用する場合、バンドルのコアの上部に位置する各ビーズの解像度が、バンドルの他の側面のコアのサイズおよび各ピクセルのサイズならびにコアが及ぶ検出器上のピクセルの数に関連する倍数ぶん向上する。 回転タグの回転パターンの分析例を説明する流れ図である。 標的核酸分子の配列を決定するプロセス例を説明する流れ図である。
各図面における同様の参照記号は同様の要素を示している。
詳細な説明
本明細書には、複雑さ、費用、拡張性ならびに究極的にはより長いリード長、より高いスループットおよび向上した精度を含む、既存の単一分子システムの制約の多くを緩和する単一分子配列決定システムが記載されている。本明細書に記載されるリアルタイム・単一分子配列決定法およびシステムは、高い処理性の転写機構およびシンプルな光学画像化システムによって、数千のヌクレオチドをごく短時間の間に高い精度で配列決定することができる。
本発明のシステムの利点は数多くある。例えば、二本鎖核酸分子を鋳型として使用し、サンプル調製の必要性を最小限にし抑制する。加えて、非常にシンプルな画像化方法(例えば、CMOS)を使用することができるため、標識されたヌクレオチドを必要とせず、その費用を大いに削減する。また、野生型RNAポリメラーゼ酵素を使用することができ;その酵素に対する特別な修飾が必要なく、そしてその表面化学および酵素固定技術は慣用のものでよい。本発明のシステムおよび方法は、回転が各ヌクレオチドで同じであり、したがってそれが複数のヌクレオチド間で累積されるため、ホモポリマー配列に適している。本発明のシステムおよび方法はまた、高スループット配列決定に容易に適合させることができる。
回転依存転写配列決定の概要
回転依存転写配列決定は、RNAポリメラーゼによる標的核酸分子の転写に基づいている。RNAポリメラーゼは固相表面上に固定されており、そして標的核酸分子に回転タグが結合されている。転写時、RNAポリメラーゼは、鋳型核酸上に、およそ8塩基のRNA:DNAハイブリッドを含む転写バブルを形成する。RNAポリメラーゼは、二本鎖核酸鋳型に沿って前進する際、そのバブルの前端でらせん(helix)を解き、そして後端で鎖(strand)を再アニールしなければならない。二重らせんを解く結果として発生するトルクは、ヌクレオチドの組み込みごとに、RNAポリメラーゼに対して鋳型核酸を約36°回転させる。したがって、RNAポリメラーゼが固相表面上に固定され、回転タグが鋳型核酸に付加されていれば、鋳型核酸の回転を観察することができ、そしてこれがその酵素による転写活性(すなわち、ヌクレオシド三リン酸の組み込み)の指標となる。
本明細書に記載されるように、標的核酸分子の配列は、回転タグの回転パターンの変化に基づいて決定または取得される。また本明細書に記載されるように、核酸の回転の存在または非存在の検出は、例えば、標的核酸分子に結合された回転タグの照射を用いて行うことができる。本明細書に記載される回転配列決定法は、RNAポリメラーゼ酵素のアレイおよび回転タグの回転を取り込むのに適した任意の多くの慣用的な画像化方法を用いることで、ゲノム全体の配列決定に拡張することができる。
図1は、本明細書に記載される回転依存転写配列決定複合体の単一分子配列決定の態様(図1A)およびオンチップアレイの態様(図1B)を示している。本明細書に記載される回転依存転写配列決定複合体は、標的核酸分子10の配列を決定するために使用され得る。いくつかの態様において、固相表面30またはチップ80に固定されたRNAポリメラーゼ20が、標的核酸分子10(すなわち、未知の配列を有する核酸分子)と接触させられる。本明細書に記載される方法にしたがい、標的核酸分子10は、回転タグ40を含む。少なくとも1つのヌクレオシド三リン酸の存在を含む特定の配列決定条件下で、回転タグ40の移動および/または速度の変化が、回転パターンを生成する。これらの工程は複数回繰り返され、そして標的核酸の配列が、特定の配列決定条件下での回転パターンの変化の存在または非存在に連続的に基づき決定される。
固相表面
本明細書に記載される回転依存転写配列決定において、RNAポリメラーゼは、固相表面上に固定される。本明細書に記載される態様において、固相表面は、典型的に、シリカベースのガラス(例えば、ホウケイ酸ガラス、溶解ガラスまたは石英)から製造される。単一分子の画像化用の固相表面材料は当技術分野で周知かつ慣用的に使用されており、そして単一分子の画像化に使用されるのと同じ固相表面材料はアレイ形式でも使用することができる。しかし、その他の材料(例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ケイ素、窒化ケイ素およびその他のポリマーまたはそれらの複合材)もまた、それらが本明細書に記載される配列決定で使用するのに適している限り、使用することができる。図1Bは、固相表面30が検出システムも含む、「オンチップ」態様を示している。これらのタイプの固相表面(例えば、CMOSおよびCCD)もまた当技術分野で公知であり、そして以下でより詳細に考察されている。
1つまたは複数の生物学的分子を固相表面上に固定する前に、固相表面は通常、その生物学的分子を受け入れそれに結合するよう修飾(官能化)される。生物学的酵素を固定するために固相表面を官能化する方法は、当技術分野で公知である。いくつかの態様において、固相表面は銅またはニッケルによって官能化され得、いくつかの態様において、固相表面はNi-NTA(例えば、Paik et al., 2005, Chem. Commun. (Camb), 15: 1956-8を参照のこと)またはCu-NTAによって官能化され得る。あるいは、コバルト等の金属が、固定化のための固相表面の修飾に使用され得る。
固相表面を修飾する前に、固相表面は、例えば、PEG部分で処理され得る。そのようなストラテジーは、固相表面上のRNAポリメラーゼの密度を調節するために使用することができ、かつ、固相表面上にRNAポリメラーゼのパターン、例えば、RNAポリメラーゼの均一、準秩序または無作為アレイを形成するのに使用することもできる。PEG環境は、酵素と表面の間の相互作用(NまたはC末端の結合タグを除く)を最小化し、そして究極的には固定された酵素のネイティブの立体構造に対する妨害を最小化する。加えて、表面の不働態化法は、当技術分野で公知であり、これには、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)による固相表面の処理が含まれ得る。
RNAポリメラーゼ
本明細書に記載される回転依存転写配列決定法は、転写プロセス時のRNAポリメラーゼの作用および転写された核酸に加わる回転力に基づく(例えば、US 2007/0077575を参照のこと)。本明細書に記載される配列決定法では、多サブユニットのRNAポリメラーゼ(例えば、大腸菌もしくはその他の原核生物RNAポリメラーゼまたは真核生物RNAポリメラーゼの1つ)を使用することができるが、小さい単一サブユニットのRNAポリメラーゼ、例えばバクテリオファージ由来のもの、が特に適している。単一サブユニットのRNAポリメラーゼまたはそのような酵素をコードする遺伝子は、T3、T7、SP6またはK11バクテリオファージから得ることができる。
バクテリオファージRNAポリメラーゼは、多くの多サブユニットRNAポリメラーゼと比較して非常に高処理性かつ高精度であり、多くの場合、わずかな誤欠失・挿入しか生じない。加えて、バクテリオファージ由来のRNAポリメラーゼは、多サブユニット対応物、例えば大腸菌由来のRNAポリメラーゼと比較して、逆戻り(back-tracking)を起こす傾向が非常に小さい。いくつかの異なるバクテリオファージ由来のRNAポリメラーゼが記載されている。一例として、T7 RNAポリメラーゼは、99 kDaの分子量を有する単一ポリペプチドから構成され、T7 RNAポリメラーゼをコードする遺伝子のクローニングおよび発現は、米国特許第5,693,489号に記載されている。T7 RNAポリメラーゼの構造は、3.3オングストロームのレベルで解析され、4つの異なる結晶構造が判明している:T7 RNAポリメラーゼ単体(非複合体化)、核酸プロモーターに結合したT7 RNAポリメラーゼ、完全な開始複合体(核酸プロモーターおよび1つまたは複数の転写因子に結合したT7 RNAポリメラーゼ)ならびにイニシエーターが結合したT7 RNAポリメラーゼ。
本明細書に記載される方法において使用するのに適しているRNAポリメラーゼは、典型的に、ヌクレオチドが転写物に組み込まれるごとにマイクロ秒以下〜100ミリ秒の範囲の持続時間を有する核酸の回転を提供するが、ヌクレオチドごとに100ミリ秒〜数秒の範囲の持続時間を有する回転を提供するRNAポリメラーゼも使用することができる。必要な回転を発生させるために、RNAポリメラーゼは二本鎖核酸を転写しなければならないことが、当業者に理解されるであろう。
固相表面上のRNAポリメラーゼの密度および/または分布は、例えば、実施される個々の配列決定反応を最適化するために、制御または操作され得る。当技術分野で公知のように、生物学的分子のアレイは、パターン状に形成することができる。例えば、生物学的分子のアレイは、固相表面上に無作為に分布させることができ、均一に分布させることができ、または秩序もしくは準秩序様式で分布させることができる。いくつかの態様において、固相表面は、同表面上に固定された100個超のRNAポリメラーゼまたは1000個超のRNAポリメラーゼ(例えば、10,000個超のRNAポリメラーゼ)を有することができる。いくつかの態様において、固相表面は、〜5μm2あたり少なくとも1つの固定されたRNAポリメラーゼ(例えば、〜2.5μm2、〜1μm2、〜0.5μm2または〜0.1μm2あたり少なくとも1つの固定されたRNAポリメラーゼ)を有することができる。固相表面上のRNAポリメラーゼの密度は、少なくとも一部、配列決定される標的核酸分子のサイズおよび使用される個々の回転タグに依存し得ることが理解されるであろう。
本明細書に記載される配列決定法は、RNAポリメラーゼによって転写時に生成される回転に依存するものであるが、回転を生じるために他の分子モーターをRNAポリメラーゼと組み合わせて使用することができる。分子モーターは、典型的に、ヌクレオチド三リン酸の加水分解によってエネルギーを消費し、それを運動または機械的作業に変換する生物学的分子である。分子モーターの例には、ヘリカーゼ、トポイソメラーゼ、DNAポリメラーゼ、ミオシン、ATPaseおよびGTPaseが含まれるがこれらに限定されない。いくつかの態様において、分子モーターが固相表面上に固定され得、そしてRNAポリメラーゼによる転写が、分子モーターと回転タグの間の標的核酸分子上の位置で行われ得る。そのような例では、回転パターンは、分子モーターによって核酸分子に加えられた任意の回転力とRNAポリメラーゼによって核酸分子に加えられた回転力を合わせた結果であろう。酵素系分子モーターの代替物として、例えば、ソリッドステートMEMSモーターを、回転を発生させるためにRNAポリメラーゼと組み合わせて使用することができる。
RNAポリメラーゼは、任意の多くの公知の手段を用いて固相表面上に固定することができる。例えば、1つの態様において、RNAポリメラーゼは、Hisタグ(例えば、4個のHis残基、6個のHis残基または10個のHis残基を有するHisタグ)を含む。Hisタグまたはその他の適切なタグは、上記の表面化学(例えば、官能化)と適合する限り、使用することができる。
標的核酸分子
回転依存転写配列決定のための核酸分子は、真核生物、細菌および古細菌を含む事実上任意の供給源から得ることができる。真核生物核酸は、ヒトもしくはその他の哺乳動物(例えば、霊長類、ウマ、ウシ、イヌ、ネコおよびげっ歯類)または非哺乳動物(例えば、鳥類、爬虫類(例えば、ヘビ、カメ、ワニ等)および魚類)由来であり得、原核生物核酸は、細菌(例えば、病原性細菌、例えば連鎖球菌、大腸菌、緑膿菌およびサルモネラ菌であるがこれらに限定されない)または古細菌(例えば、クレンアーキオータまたはユリアーキオータ)由来であり得る。
回転依存転写配列決定のための核酸分子は、任意の多くの生物学的サンプルに含まれ得る。代表的な生物学的サンプルには、体液(例えば、血液、尿、精液)および組織(例えば、臓器、皮膚、粘膜および腫瘍)が含まれるがこれらに限定されない。
本明細書で考察されているように、本明細書に記載される回転依存転写配列決定法の利点の1つは、鋳型として二本鎖核酸が使用されることである。これによりサンプルおよび核酸を操作する必要性が減り、これは特に、生物学的サンプルから核酸を取得するのに使用される多くの方法では核酸の望ましくない切断、剪断または分解が起こることから、1キロ塩基超(Kb;例えば、2 Kb超、5 Kb超、10 Kb超、20 Kb超または50 Kb超)の長さの核酸を配列決定する場合に大きな利点となる。明らかなことであるが、一本鎖核酸(または一本鎖核酸を含むサンプル)を本発明において使用することもできる。しかし、そのような一本鎖核酸は、転写時に回転を示すよう二本鎖核酸に変換されなければならない。二本鎖核酸を作製する方法は当技術分野で周知であり、それはその一本鎖核酸の性質(例えば、DNAまたはRNA)に依存するであろう。そのような方法は、典型的に、周知のDNAポリメラーゼおよび/またはリバーストランスクリプターゼ酵素の使用を含む。
サンプルの調製は、供給源に依存するものであるが、典型的には、核酸の単離とそれに続くプロモーターのライゲーションを含むであろう。本明細書に記載される配列決定法において使用される核酸鋳型は、任意の特別な調製を必要とせず、したがって標準的なDNA単離法を使用することができる。最終的に、転写配列決定システムにおいて使用される個々のRNAポリメラーゼによって認識されるプロモーター配列を、標的核酸分子にライゲートしなければならない。多数のRNAポリメラーゼによって認識されるプロモーター配列が当技術分野で公知であり、広く利用されている。加えて、1つの核酸分子(例えば、プロモーター配列)を別の核酸分子(例えば、未知の配列を有する標的核酸分子)にライゲートする方法は当技術分野で周知であり、多くのリガーゼ酵素が市販されている。
加えて、単離された核酸は、場合により断片化され得、かつ望ましい場合は、特定サイズが選択または分画され得る。例えば、単離された核酸は、超音波処理を用いて断片化され得、望ましい場合は、慣用的なゲル電気泳動法を用いてサイズ選択され得る。
加えて、標的核酸は、場合により、配列決定を環状の標的において反復的または再帰的様式で実施できるように、環状化されて例えばプラスミドにされ得る。
回転タグ
本明細書に記載される回転依存転写配列決定法のために、配列決定される標的核酸分子は、同分子に結合された回転タグを含む。そのようなタグは、RNAポリメラーゼによって核酸に加わるトルクの下で回転するよう、核酸に固定される。回転タグは、直径が数ミクロン(例えば、1ミクロン、2ミクロン、3ミクロンまたは5ミクロン超)の大きなもの、および直径がナノメートル(例えば、約50 nm、100 nm、250 nm、500 nm、750 nm、850 nmまたは950 nm)の小さなものであり得る。本明細書で使用される場合、回転タグは、非球形または球形であり得るが;しかし、回転タグが単一の球体である場合、それは回転を検出するのに使用できるいくつかの不均一な特徴を有さなければならない。
非球形タグは、球体ではない(例えば、テーパーロッド、三角形、円錐形または卵形状の)単一部分を含み得る。加えて、非球形タグは、回転の検出を可能にする非対称性を共同で提供する2つ(またはそれ以上)の異なるサイズの球形タグ(例えば、第2タグに付加された第1タグ)を用いて作製され得る。いくつかの態様において、第1および第2タグは、同一または本質的に同一のサイズであり得る。例えば、標的核酸分子に係留された第1タグは参照タグとみなされ得、第1タグに付加された第2タグは回転タグとみなされ得る。いくつかの態様において、標的核酸分子に係留された第1タグはより大きく、第1タグに付加された第2タグはより小さい。この構成は、第2タグを、第1タグの回転中心からできるだけ遠くに置き、光学検出の下での回転の解像を向上させる。したがって、小さい方のタグのサイズは、検出の目的上十分に大きいが、回転タグ全体のサイズに基づく流体力学的効果を最小限にするのに十分小さい必要がある。
例えば、いくつかの態様において、回転タグは、第1タグとしてのより大きなビーズ(例えば、直径が約1ミクロン〜最大約3ミクロン)および第2タグとしてのより小さなビーズ(例えば、直径が約0.5ミクロン〜最大約1ミクロン)を含み得る。例えば、より大きなビーズは0.75または1ミクロンであり得、より小さなビーズは0.5ミクロンであり得る。これらのサイズは、(例えば、以下でより詳細に説明されている、1xチューブレンズおよび6.5マイクロメートルピクセルサイズまたはそれ未満の研究用CMOSカメラと共に開口数0.75の50x倍率のMitutoyo対物レンズを含む光学システムを用いて)回転を解像するのに十分なものである。いくつかの態様において、第1タグは、直径が0.75ミクロンであり得、第2タグは、直径が0.35ミクロンであり得る。これらのサイズも、(例えば、以下でより詳細に説明されている、研究用CMOSカメラを用いる0.9またはそれより大きい開口数の100x対物レンズを用いて)回転を解像するのに十分なものである。
例えば第1タグと第2タグの間の付加は、機械的係留もしくは連結(例えば、ストレプトアビジン・ビオチン結合)、化学的結合(例えば、アミンもしくはカルボキシ)、磁気的誘引またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの態様において、第1タグおよび第2タグは、例えば重合反応を通じて、相互に対して物理的に付加され得る。
他方、回転タグは、その回転が検出できる限り、球形であり得る。球形の回転タグの使用は、非球形回転タグによって生じる非線形的動力学を軽減または排除し、かつ球形の回転タグは、回転時に非球形回転タグよりも低い流体力学的抵抗を示すであろう。回転の検出に使用することができる不均一な特徴を有する球形タグの1つの例は、ヤヌス(Janus)ビーズである。例えば、Casagrande et al. (1989, Europhys. Lett. 9: 251)を参照のこと。ヤヌスビーズは、球体の半分がニッケルコーティングされているため、一方の半球が疎水性であり他方の半球が親水性である球形のビーズを表す。半球の特徴が異なるため、回転タグが球形であっても回転を検出することが可能となる。
本明細書で考察されるいくつかの態様において、回転タグは、磁気タグであり得る。球形または非球形の磁気タグは当技術分野で周知であり、これらは磁気ビーズ、ロッドまたはその他の磁気部分、例えば、非限定的に、超常磁性粒子、の形態であり得る。回転タグ全体が有磁性であり得、また、回転タグの一部のみが有磁性であり得る。例えば、いくつかの態様において、回転タグの第1タグのみが有磁性であり得る。磁気タグの商業的供給源は多く存在する。以下の段落では、本明細書に記載される配列決定法において使用するために磁気回転タグを生成することができる多くの方法が記載されている。
いくつかの態様において、ナノ磁性溶液(例えば、トルエンまたはキシレン中にコバルトまたはFe3o4もしくはFePtを含む、トルエンまたはキシレン中1% w/v)が汎用のポリマービーズに適用され、有磁性を付与され得る。いくつかの態様において、ナノ磁性材料が、ポリマービーズの表面の半分に適用され得る。これにより、その半分が異なる屈折率またはその他の光学特性(例えば、散乱)を示す磁気ビーズが得られる。いくつかの態様において、超常磁性粒子(またはその粒子の半分)が、ナノ銀インクでコーティングされ、光学的には反射性であるが、依然として十分に超常磁性であるビーズが作製され得る。これらの態様においては、沈着・蒸着プロセスが、磁性粒子または磁性粒子の一部に特定の光学特性を付与するために、そのような「インク」(例えば、PRIMAXX)と共に使用され得る。いくつかの態様において、超常磁性粒子(またはその粒子の半分)は、すでに有磁性の粒子に特定の光学特性を付与するために、量子ドットでコーティングされ得る。いくつかの態様において、マグネトクロミック粒子(magnetochromic particle)が回転タグとして使用され得る。マグネトクロミック粒子において、ナノ磁石はポリマー内で連鎖を形成するか、またはカーボンシェルでカプセル化される。ナノ粒子の連鎖は、外部磁場または電磁場を用いて、互いに対して整列させられる。光がこの粒子から散乱するとき、整列された鎖はブラッグ回折格子として機能し、適切に定義された方向に光を散乱する。マグネトクロミック粒子は、すべての連鎖が整列している停止時の粒子と連鎖が完全に整列していない回転中の粒子の間で強度変調をモニターし、出発位置から次の回転までの静止または停止位置までの回転時間を決定することができるよう、外部場の中で回転する。
いくつかの態様において、第1の磁気タグは、検出器において電場変化を誘導することができる第2タグと組み合わされ得る。そのような電気タグは当技術分野で公知であり、これらは金属元素を含むポリマー球体であり得、荷電されたものであり、または機器で取り込むことができる磁場もしくは電場の変化を誘導するミクロンサイズの高周波振動子(radiofrequency oscillator)である(以下でより詳細に説明されている)。
単に空間的観点を提供するためであり任意の特定のサイズまたは距離の制限に束縛されるものではないが、回転タグの底表面は、10 Kbの核酸分子が転写される場合でさえも、固相表面の上面からわずか3μmであり得る。すなわち、回転タグは、転写開始時でさえも固相表面に非常に接近している。転写終了時、回転タグは、RNAポリメラーゼ酵素とほとんど接触し、固相表面の上面からごくわずかな距離しか離れていなくともよい。換言すると、2μmの直径を有する回転タグは、転写される核酸分子とおおよそ同一サイズであろう。当業者には、RNAポリメラーゼによる標的核酸分子の転写が反対方向に進行し、それによって回転タグが転写の間に固相表面から遠くに移動し得ることが理解されるであろう。
回転タグは、係留手段を用いて標的核酸分子に付加され得る。標的核酸分子に回転タグを付加するための係留手段は当技術分野で公知であり、これには化学的連結(例えば、架橋、ファンデルワールスもしくは水素結合)またはタンパク質連結(例えば、ビオチン・アビジン結合対、ジゴキシゲニンおよび認識抗体、ヒドラジン結合もしくはHisタグ付加)が含まれるがこれらに限定されない。例えば、いくつかの態様において、回転タグは、少なくとも部分的に、ストレプトアビジンでコーティングされ得、標的核酸分子にはビオチニル化核酸係留手段がライゲートされ得る。いくつかの態様において、ビオチン標識核酸(例えば、約500塩基対(bp))が標的核酸分子の一方の末端にライゲートされ得る。ビオチン標識係留手段を有する標的核酸分子は、次いで、ストレプトアビジンコートされた回転タグと組み合わされ得る。標的核酸分子を係留するおよび/または第2タグを結合するのに使用できる様々な化学でコーティングされたまたは部分的にコーティングされた磁気タグを含め、多くの市販のタグが存在する(例えば、Dynal、Invitrogen、Spherotech、Kisker Inc.、Bangs Laboratories Inc.)。
核酸分子上の張力
いくつかの態様において、本明細書に記載される回転依存転写配列決定法は、標的核酸分子に有向性の力を適用し、標的核酸分子を一定量の張力の下に置く工程を含む。標的核酸分子上の張力は、それ自身の上に折り畳まれるまたは崩れ落ちることのあるより長い標的核酸分子の場合に重要となる。標的核酸分子の任意のタイプの異常ならせん構造は、RNAポリメラーゼから回転タグに伝達されるトルクを減弱または遮蔽し得る。
標的核酸分子に適用される有向性の力は、特に回転タグがRNAポリメラーゼから数千または数十万ヌクレオチド離れている場合に、標的核酸分子、特に転写複合体の下流の二重らせん性を維持するのに十分である必要がある。しかし、標的核酸分子に適用される有向性の力は、回転タグの回転が何らかの方法で妨害されるまたは標的核酸分子の骨格が壊れるほどに強くなってはならない(すなわち、そのような大きな張力を適用することはできない)。そのような標的核酸分子に対する張力はまた、回転タグのブラウン運動またはその他のノイズ効果(例えば、熱流体ノイズ効果)を減少させ、それによって回転タグの回転パターンの検出の精度を向上させ得る。
張力は、所定の力量および三次元空間の位置で、核酸に係留された回転タグを上方に、表面から離れるように上昇させることが意図されている。張力の向きは、標的核酸を、固相表面の面(すなわち、X軸)に対して本質的に90°の角度(すなわち、Z軸)に延ばすものであり得るが、この有向性の力はまた、標的核酸分子を、固相表面の面に対して90°超または90°未満の方向に延ばすものでもあり得る。しかし、回転タグを、RNAポリメラーゼ活性の信号としての回転タグのトルクプロフィールおよび/または運動パターンに(例えば、表面化学または表面流現象により)固相表面が干渉(例えば、変化、変更、減弱、減少、排除)するほど同表面に接近させることはできないことが理解されるであろう。
いくつかの態様において、張力源(または有向性の力の供給源)は、磁石であり得る。そのような例では、回転タグまたは回転タグの一部は有磁性であり得る。本明細書に示されているように、磁気タグ(例えば、ビーズ、ロッド等)は当技術分野で周知である。例えば、標的核酸分子を十分に引き伸しループを形成しないようにする、例えば約1 pNの大きさの、Z軸方向に均一な空間的な力を提供する磁力を適用することができる。同時に、そのような磁石は、x軸方向には非常に小さい力しか生じない。これらの特徴は、回転タグのブラウン運動を安定化させつつ、回転タグを自由に回転できるようにする。いくつかの態様において、張力源は、例えば、液体(例えば、水もしくは緩衝液)または空気の有向性の流動の結果であり得る。
標的核酸分子に適用される張力の量は、標準的な流体工学的方法を用いて較正され得、そしてデータ取得・分析プロセスまたはベースコールアルゴリズムに組み込まれ得る。例えば、そのような較正は、表面上の様々な位置、表面の面に対する様々な角度および/または異なる流動場もしくは磁場における、表面に固定されたRNAポリメラーゼにより転写される核酸分子に付加された回転タグのブラウン運動のモニタリングを含み得る。
単に空間的観点を提供するためであり任意の特定のサイズまたは距離の制限に束縛されるものではないが、オンチップの態様において、回転タグは、張力が適用された際、表面上1ミクロンのオーダーであり得る。例えば、各塩基は隣の塩基と0.3 nm離れているので、表面においてRNAポリメラーゼに付加された1 Kbの核酸分子は、表面から約300 nmの距離にある他端に回転タグを有するであろう。この距離は、非限定的に、異なるRNAポリメラーゼの固相表面固定法および異なる長さの核酸(例えば、プロモーター配列、係留配列)を用いて変化させることができる。本明細書に記載される回転依存転写配列決定は、回転タグが表面から10 nm〜数ミクロンにある状況を許容し得る。
図2は、磁場適用前(図2A)および適用後(図2B)の2.7ミクロン磁気ビーズを示している。
検出方法
本明細書に記載される回転依存転写配列決定法における様々な配列決定条件下での回転タグの回転パターンの検出は、回転タグ上に光を投射するための光源、および回転タグを可視化し回転パターンの変化を観察するための光学手段を必要とする。本明細書に記載される回転依存転写配列決定法では任意の多くの適切な照射法および光学手段を使用することができるが、本発明のシステムおよび方法が簡潔であることならびに検出要素として複雑かつ高価な技術を必要としないことの例として、以下の態様を提供する。
光源はLEDであり得、また光源は、白色光または単心もしくは多心ファイバーであり得る。光源は、定常照射であり得、また望ましい場合は、パルス照射として提供され得る。光は、同一方向からまたは多方向から投射され得る。例えば、光源は、(例えば、強度および/またはスペクトルを)調節可能であり得るポリマー製ファイバーまたはバンドルであり得る。回転タグ(例えば、回転タグの形状)を同定しその回転を同定するために、回転タグのサイズおよびその検出器からの距離に基づき、フレネルおよび/またはフラウンホーファー回折が使用され得る。
光学手段は、単レンズおよび対物レンズ(例えば、50x対物レンズ、例えば開口数0.75のMitutoyo 50xを有する顕微鏡レンズ)ならびに1x倍率のチューブレンズであり得る。光学手段はまた、適切な毎秒フレーム数で稼働するカメラ(例えば、ビデオカメラ、例えば研究用CMOS)を含み得る。あるいは、光学手段は、それらが十分なピクセル数を有する限り(かつ光源が回転タグの回転の画像化に十分な光子を提供する限り)、現在の相補性金属酸化膜半導体(CMOS)または電荷結合素子(CCD)技術を利用するものであり得る。現在利用されているCMOS検出器は、非常に高速(例えば、1 msまたはそれ未満の露出に対応する、1000またはそれ以上の毎秒フレーム数)である。この検出器の速度レベルは、現在のアプローチを悩ませる高速なヌクレオチド組み込みの確率的性質に起因する不明瞭さを取り除く。例えば、現在のアプローチの多く(例えば、Pacific Biosciences、Complete Genomics, Inc.)は、典型的に、カメラの露出窓内に十分数の蛍光光子を収集する必要性から10 msまたはそれより長い露出に制限され、そのため収集される配列データにエラーが生じる。
画像検出器で小さいピクセルサイズを使用する能力は、他の配列決定技術(例えば、Pacific Biosciences、Complete Genomics Inc.および高スループット画像取り込みが単一分子の蛍光または全体蛍光に依存するその他の技術)に対する本発明の方法の別の利点である。本明細書に記載される回転依存転写配列決定は、他のリアルタイム配列決定アプリケーションで使用されるCMOSセンサーにおける最先端である6.5ミクロンと比較して、小さいピクセルサイズ(例えば、携帯電話用カメラにおける最先端である1.4ミクロン)を使用することができる。これは主として、本発明の配列決定法が他のシステムよりも多くのノイズを許容できるからである。重要なことは、本明細書に記載される回転依存転写配列決定における画像化のスループットは、小さなピクセルを有する大きなセンサー(例えば、次世代携帯電話で一般的な8〜10 Mピクセル)を使用する能力ゆえに、および大きな表面領域を画像化することによって、かなり高いものであり得る。本明細書に記載される回転依存転写配列決定法における検出法は、特別な光学プラットフォームに依存する他の工業的配列決定システム(例えば、ChemFet、Ion Torrent)と異なり、ソフトウェアを修正するだけで市販のCMOSカメラハードウェアを使用することができる。
これらのセンサーからのビデオ方式でのデータ取得の方法は、典型的に、各ピクセルの強度値を使用する(例えば、RAW形式のデータを使用して)。光源が白色LEDまたは適切なカラーバランスのRGB照明である場合は、回転タグの回折および影パターンが隣接ピクセル群に記録され、そしてセンサーが白黒センサーであるかのような画像が生成され得る。例えば、例えば非球形回転タグの直接影または回折が検出器のピクセルに記録され得、そして回転が、回折に対する変化効果に基づき検出され得る。
一例にすぎないが、回転の検出(例えば、回転タグによる回転パターンの検出)は、以下のようにして行われ得る。回転タグは、例えばLEDまたはファイバー結合LEDまたはLEDアレイを用いて上方から照射され得る。固相表面フローセルの下にある、無限遠補正された開口数0.75を有するMitutoyo 50x対物レンズは、(例えば、ピクセル間中心間距離が6.5ミクロン、各ピクセルが6.5ミクロンサイズである、5.5 MPを有する)研究用CMOSチップ上に視野を画像化するチューブレンズと組み合わせて使用され得る。各回転タグに10 x 10ピクセルを割り当てる場合、そのようなピクセルサイズは1ミクロンビーズの回転の検出に十分であり、これはCMOS表面全体で55,000個を超える回転タグとなり得る。各回転タグが5 Kbの標的核酸分子に付加される場合、本明細書に記載される回転依存転写配列決定は、1回の実施または1つのチップで275 M塩基超を配列決定することができる。比較として、大腸菌のゲノムは4.5 M塩基である。転写速度を、固定されたRNAポリメラーゼに合理的な値である毎秒10ヌクレオチドとした場合、完全な大腸菌ゲノムは、500秒で、すなわち10分以内に、本明細書に記載されるようにして配列決定され得る。本明細書に記載される配列決定システムおよび方法には、毎秒最大100フレーム(すなわち、各々の転写されるヌクレオチドごとに10フレーム)を記録する能力を有する検出器で十分である。上記の計算は、付加効率を含んでいない。加えて、RNAポリメラーゼによる中断が10フレーム未満と仮定される非同期パターンの配列決定の場合、上記の計算に追加反応時間が加算されないが、律速ヌクレオシド三リン酸が非常に低いレベルに調節されている場合、非同期パターンの配列決定は、その反応の時間を加算し得る(例えば、精度を向上させ、検出エラーを最小限にするため)。
回転タグの回転パターンの検出の別の例は以下のようなものである。研究用CMOSチップ(例えば、Fairchild Imaging)の表面に結合され得る、一方の側に350 nmのコアサイズおよび他方に6.5ミクロンのコアサイズを有する(約1:19テーパーの)テーパー状導波管の上に回転依存転写配列決定複合体が配置され、回転タグが、LEDまたはファイバー結合LEDまたはLEDアレイを用いて照射され得る。そのようなチップは、ピクセル間中心間距離が6.5ミクロン、各ピクセルがおよそ6.5ミクロンの、5.5 Mピクセルを有する。この場合、各回転タグに、350 nmコアの上面の1ミクロンビーズの回転の検出に十分である3 x 3ピクセルを割り当てることにより、そのようなチップ上で610,000個超の回転タグに対応できる。各回転タグが5 Kbの標的核酸分子に付加される場合、単一チップ上での1回の実施で計3 G塩基超を配列決定することができる。これは本質的に、ヒトゲノム全体を1度で網羅するものである。上記の計算は、付加効率、テーパーの円形の孔から四角のピクセルへのシグナルの丸め効果またはコア対ピクセルの結合プロセスにおけるミスマッチに起因するピクセル損失を考慮していない。
以下は、高スループット配列決定システムにおける回転パターンの検出の例である。例えば、上記の例に記載されているテーパー状導波管および研究用CMOSセンサーを使用するのに代えて、例えば14.5 MPおよびピクセルあたり1.2ミクロンのOmniVision Inc.チップを、検出窓を取り外し、回転依存転写配列決定複合体の1つまたは複数の成分をチップのマイクロレンズ上に直接付加した後に、使用することができる。2.8ミクロンの回転タグを用いる回転パターンは、ビデオの信号処理を用いて2 x 2ピクセルで検出することができる。相互に近接する回転タグのアレイの場合、各方向に追加の2ピクセルを確保することで、回転タグごとに計8ピクセルを割り当てることができる。この場合、単一のチップは、配列決定される標的核酸分子に付加された1.8百万個超の回転タグを有することができる。したがって、完全なヒトゲノムを配列決定するのにこれらのチップ3つで十分であり、4つのチップでその精度を大いに向上させることができる。FPGAまたはその他のDSP設計およびソリッドステートドライブのアレイへの直接保存に基づき、このセンサーからの読み出しを(例えば、個々のチップにおけるヌクレオチド組み込み速度に匹敵する)十分な速度で行う電子機器を使用することができ、それらの要素は当技術分野で公知である。
一例にすぎないが、回転の検出は、以下のようにして行われ得る。LED構造化照明(例えば、4xレンズを有する無スペックル励起に適合されたLightspeedゲノミクスモジュール)が、SciCMOSカメラ(例えば、毎秒100フレームの5.5 MP)の表面に回転タグの回折影を形成するのに使用され得る。干渉縞は、解像度を9x向上させるために画像あたり5フレームを利用し得、それによって事実上20 fpsの49 MPセンサーを構築する。単一分子は各々、例えば5 x 5ピクセルに割り当てられ得、チップあたり約2百万個の回転タグが網羅される。タグ・タグカップリングによるポアソン効果を仮定すると、1回の実施で、各々が5 Kbの核酸分子を転写する660,000個の利用可能な個々のRNAポリメラーゼ分子により、3.3 G塩基の配列決定を行うことができる。非同期配列決定法では、4回の反応が行われ得る(ただしいくつかの態様においては、3回の反応が行われ、第4のヌクレオチドは他の3つのヌクレオシド三リン酸によって得られた配列情報から推測される)。酵素の休止あたり5フレーム、各休止で計250 msであり、そうでなければこのポリメラーゼが毎秒15 ntを組み込むとすると、スループットは最高で時速18 Gbである。この配列決定速度は、短い読み取り長の場合でさえも、現在のいかなる技術よりも有意に高い。本明細書に示されているように、現在の携帯電話用カメラ技術(10 MP、1.2μmピクセルサイズ)が、このシステムの要件に合致する。
同様に、カラー(例えば、センサー上にRGBフィルターコーティングを有するもの)またはモノクロの携帯電話もしくはデジタルカメラ用センサーも、本明細書に記載される配列決定法およびシステムにおける使用の要件(例えば、14.5 MPおよび1.25ミクロンピクセルセンサー)に合致する。RGBセンサーの各ピクセルは赤色または緑色または青色フィルターを用いてパターン調にコーティングされているが、本明細書に記載される配列決定システムおよび方法において使用される光源は広範囲のスペクトルを有し(例えば、白色LED)、カメラチップの検出器部分(例えば、シリコン)に散乱、反射、回折または透過光信号を提供することができるので、これらのセンサーを本明細書に記載される配列決定システムおよび方法において使用することができる。
この例において、各回転タグの検出に使用されるピクセル数は、回転タグの影または回折によって概算され得る。蛍光励起の代わりに直接光照射が使用される場合、励起光を遮断するおよび/または蛍光通過域を有する厚い光学フィルターは必要とされない。これらのフィルターは、数百ミクロン厚であり得、オンチップ検出器上の少数のピクセルで蛍光を収集するのに必要となる光学設計を複雑にし得る。配列決定システムのスループットの1つの局面は、検出器の総ピクセル数を各区画またはイベントに割り当てられたピクセル数で割り算したものによって定義されるので、少数のピクセルで光を収集することは重要である。例えば、i-Phone型の8 MP CMOSセンサーを使用し、1つの区画に10ピクセルを割り当てることで、計800,000区画が網羅される。1区画1回あたり平均で1 Kbの核酸が配列決定される場合、スループットは最大で1回あたり800 M塩基である。フラウンホーファー回折および1マイクロメートル間隔の3マイクロメートルビーズを使用することで、複雑な光学設計を有するレンズを必要とせずに、1区画に10ピクセル未満を使用することができる。
1つの態様において、回転タグのアレイを表面から例えば4 x 4 mm2を超える領域に上昇させることができる張力源が提供され得る。本発明の方法およびシステムは、視野(FOV)によって制限されない、特に、有効FOVがチップの全域である、配列決定がオンチップで行われる場合、それによって制限されない。例えば、OmniVision 14 MPセンサーの表面積は約6 x 4 mmである。
本明細書に示されているように、本明細書に記載される回転依存転写配列決定法によって提供される多くの利点の1つは、それらの確率的性質に起因するRNAポリメラーゼによる超高速のヌクレオチド組み込みである。しかし、この高速組み込みおよび生じる回転速度は、データ取り込みを困難にし得る。本明細書に記載される非同期配列決定法においては、例えば、「エンドポイント」情報のみ、例えば、休止が起こるまでの総回転数のみが記録される必要があることが当業者によって理解されるであろう。すなわち、非常に高速でありシンプルな検出器で効果的に画像化するのが困難であり得る個々の組み込み工程を取り込む必要はない。したがって、(律速量のヌクレオシド三リン酸の存在に起因する)RNAポリメラーゼによる休止間の総回転量を検出するのに十分高いフレームレートで配列決定反応が記録される限り、正確な核酸配列を決定することができる。
いくつかの態様において、磁気回転タグの回転パターンは、センサーとしてGMR(巨大磁気抵抗)アレイを用いて取り込まれ得る。いくつかの態様において、スピンバルブアレイまたはMRAMが、磁気回転タグの回転パターンの検出に使用され得る。例えば、コンピューター記憶アレイ(例えば、RAM、例えばDRAM)が、メモリセル容量素子付近の表面修飾を許容するよう修飾(例えば、磁場効果を遮蔽し得るレイヤーを表面から除去するよう研磨)され得る。磁気回転タグの誘導電場は、RAMのセル/キャパシタの2次元アレイによって検知され得る。RAMアレイのセルは、次いで、そのメモリをコンピューターにインストールした後にメモリ読み取りソフトウェアを用いて直接読み取られ得る。センサーとしてMRAMが使用される場合、標的核酸に張力源を提供するために、磁場が使用されず、流動が使用され得る。あるいは、MRAMセルの検知信号が修飾される場では磁場が張力源として使用され得る。
配列決定条件
再び図1Aを参照すると、回転依存転写複合体100は、多くの異なる様式で作製され得る。例えば、プロモーター結合標的核酸分子10が、RNAポリメラーゼ20が固定された固相表面30に提供され得る。この態様において、回転タグ40は、標的核酸分子10が、固定されたRNAポリメラーゼ20と複合体化される前または後に、標的核酸分子10に結合され得る。別の例では、RNAポリメラーゼ20およびプロモーター結合標的核酸分子10が組み合わされ、次いで固相表面30に沈着され得る。示されているように、回転タグ40は、この複合体が固相表面30に沈着される前または後に、プロモーター結合標的核酸分子10に結合され得る。別の例では、回転タグ40がプロモーター結合標的核酸分子10に付加され、そしてRNAポリメラーゼ20と接触させられ得る。RNAポリメラーゼ20は、回転タグ付き標的核酸分子10を導入する前に固相基材30に固定され得、また、複合体全体が固相基材30に沈着および固定され得る。
本明細書に記載される回転依存転写配列決定は、標的核酸分子の配列を決定するために、非同期(すなわち、律速)様式(図3A)もしくは同期(すなわち、ベース・バイ・ベース)様式、またはそれらの任意の組み合わせで実行することができる(図3B)。最低限、「配列決定条件」は、本明細書で使用される場合、標的核酸分子の配列を決定するために以下に記載されるように使用され得る少なくとも1つのヌクレオシド三リン酸の存在を表す。
本明細書でより詳細に考察されている少なくとも1つのヌクレオシド三リン酸の存在に加えて、配列決定反応を行う条件は、当技術分野で周知である。例えば、酵素に適した環境を提供するために、適切な緩衝液成分(例えば、KCl、Tris-HCl、MgCl2、DTT、Tween-20、BSA)を使用することができる。
a)非同期配列決定
本明細書に記載される回転依存転写配列決定法は、ヌクレオチドの非同期組み込みに基づき核酸を配列決定するのに使用することができる。非同期態様における、初期反応を行う配列決定条件(すなわち、第1配列決定条件)は、その少なくとも1つが律速であり少なくとも1つの非律速である、異なる量で存在する4つのヌクレオシド三リン酸の存在を含む。例えば、4つのヌクレオシド三リン酸のうちの1つが律速量(例えば、他の3つのヌクレオシド三リン酸の量よりも少ない量)で提供される。そのような反応において、RNAポリメラーゼは、律速量で提供されたヌクレオシド三リン酸を転写物に組み込もうとするごとに効果的に休止し、そしてそのような休止は、本明細書に記載されるように回転タグの回転パターンで観察することができる。
重要なことは、各休止間の塩基数が、休止間の回転の累積量を検出することによって正確に決定できることである。したがって、標的核酸分子の配列上の、例えば各グアニン(G)ヌクレオチドの正確な位置は、Gヌクレオシド三リン酸が律速量で提供されたときの回転パターンの変化に基づき簡単に決定することができる。同様の反応を、4つのヌクレオシド三リン酸のうちの第2、第3および第4のヌクレオシド三リン酸が律速量で存在する、それぞれ、第2、第3および必要な場合は第4配列決定条件下で実行することができる。図4に示されるように、4つの反応からの情報の組み合わせは、それらが互いに同時に実行されたものであろうが互いに続いて順に実行されたものであろうが、標的核酸分子の完全配列を提供する。
このパターンは、4つのうちの1つのヌクレオチドの位置の配列を示す単一の反応からのものであっても、核酸データベースと比較することができ、そして高い信頼性レベルで核酸分子を同定するのに使用することができる。加えて、標的核酸分子の配列は、4つのうちの3つのヌクレオシド三リン酸から得られた位置情報を用いることで、その配列の第4のヌクレオチドの位置情報は他の3つのヌクレオチドが明らかになった後に推測できるため、コンパイル可能であることが当業者に理解されるであろう。
b)同期またはベース・バイ・ベース配列決定
本明細書に記載される回転依存転写配列決定法は、ベース・バイ・ベース配列決定としても知られ得る、同期パターンで、核酸を配列決定するのに使用することができる。同期またはベース・バイ・ベース態様における、初期反応を行う配列決定条件(すなわち、第1配列決定条件)は、単一のヌクレオシド三リン酸の存在を含む。そのような反応において、RNAポリメラーゼによる転写は、標的核酸がその位置に相補的な塩基を含んでいる場合に限り進行し、それは、本明細書に記載されるように回転タグの回転パターンの変化として観察することができる。二重らせんの構造的特徴に基づき、RNAポリメラーゼによる1つのヌクレオチドの組み込みは、約36度の回転を引き起こす。そのような反応条件は、回転タグの回転パターンが変化しなくなるまで継続される。回転パターンの累積的変化は、第1のヌクレオシド三リン酸が転写物に(例えば、標的核酸分子のホモポリマー領域に)連続的に組み込まれた回数を正確に決定するのに使用できることが理解されるであろう。
第1配列決定条件下(すなわち、4つのヌクレオシド三リン酸のうちの第1のヌクレオシド三リン酸の存在下)で回転タグの回転パターンにそれ以上変化が観察されなくなったら、または第1配列決定条件下で回転パターンの変化が全く観察されない場合、第2配列決定条件下で反応が実行される。第2配列決定条件は、4つのヌクレオシド三リン酸のうちの第2のヌクレオシド三リン酸の存在を含む。回転タグの回転パターンの変化は、転写(すなわち、存在している1つまたは複数の特定のヌクレオシド三リン酸がRNAポリメラーゼによって転写物に組み込まれたこと)を示し、回転タグの回転パターンの変化の非存在は、転写が起こらなかったことを示す。
第1配列決定条件、第2配列決定条件、第3配列決定条件(すなわち、4つのヌクレオシド三リン酸のうちの第3のヌクレオシド三リン酸の存在)または第4配列決定条件(すなわち、4つのヌクレオシド三リン酸のうちの第4のヌクレオシド三リン酸の存在)下でのそのような反応は、各配列決定条件下での回転タグの回転パターンの変化および/または累積回転角度に基づき標的核酸分子の配列が連続的に決定される様式で実施され得る。1つの配列決定条件における残留ヌクレオシド三リン酸を異なる配列決定条件の導入前に除去する工程が採用され得ることが、当業者に理解されるであろう。例えば、RNAポリメラーゼが固定された表面は、異なるヌクレオシド三リン酸の導入前に洗浄または洗い流しされ得る。そのような洗浄工程は必須ではないが、そのような工程が、得られる配列情報の精度を向上させ得ることが理解されるであろう。
c)さらなる配列決定方法
本明細書に記載される回転依存転写配列決定法は、例えば、非限定的に、配列決定情報の精度を向上させるためおよび配列決定反応において得られる情報量を増大させるために利用することができる、多くの異なるバリエーションおよび慣用的な改変を受け入れることができる。
例えば、多くのRNAポリメラーゼは、「ストランドスイッチ」または「反転転写(turn-around transcription)」の能力を有している。この特徴は、本明細書に記載される方法において、得られる配列情報の精度を向上させるのに有益に使用することができる。例えば、RNAポリメラーゼが標的核酸の末端に到達した際、RNAポリメラーゼは反対鎖に「飛び移り」、転写を続行することができる。例えば、McAllister at al.(US 2007/0077575)およびRong et al.(1998., "Template Strand Switching by T7 RNA Polymerase", J. Biol., Chem. 273(17): 10253-60)を参照のこと。加えて、特定のRNAポリメラーゼは、二本鎖DNA鋳型からハイブリッドDNA-RNA転写物に「飛び移り」、DNA鎖の転写を再開することができる。加えて、このタイプの標的核酸分子の再帰的配列決定は、RNAポリメラーゼが反対鎖に結合しこれを転写するよう、標的核酸分子の各末端にRNAポリメラーゼプロモーターを導入(例えば、ライゲート)することによって遺伝子操作され得る。
加えて、1つまたは複数の異なるRNAポリメラーゼ(例えば、異なる生物由来のRNAポリメラーゼまたは同一生物由来の異なるRNAポリメラーゼ)が、固相表面上に固定され得る。当技術分野で公知のように、異なるRNAポリメラーゼは、異なるプロモーター配列を認識しそれに結合する。したがって、1つまたは複数の異なるRNAポリメラーゼプロモーターが、異なる標的核酸分子集団にライゲートされ得、そして組み合わされた標的核酸分子集団が、固相表面上に固定された1つまたは複数の異なるRNAポリメラーゼを用いる回転タグの回転パターンに基づき配列決定され得る。例えば、異なるRNAポリメラーゼまたは異なる標的核酸分子集団を(例えば、異なる波長を発するビーズ、蛍光タグまたは蛍光標識抗体を用いて)差別的に標識することによって、1つの標的核酸分子集団の配列を別の標的核酸集団の配列から区別することができる。そのような方法を用いることで、異なる標的核酸分子集団に対する配列決定反応を同時に実行することができる。
いくつかの態様においては、RNAポリメラーゼおよび標的核酸分子集団の両方が差別的に標識され得る。標的核酸分子の標識は、核酸を介してまたは例えば回転タグを介して直接的に行われ得ることが理解されるであろう。この、配列決定反応の複数のレベルで差別的に標識する能力は、例えば、例えばそれによってホモポリマー領域またはメチル化領域の同定がなされ得る、同一配列を有する標的核酸分子に対する異なるRNAポリメラーゼの処理性の比較のために、または2つ以上のRNAポリメラーゼによる異なる配列を有する標的核酸分子の転写の比較のために、使用され得る。
一例にすぎないが、(例えば、T7、T3、SP6またはK11バクテリオファージの1つまたは複数からの)RNAポリメラーゼ酵素の任意の組み合わせが、適切な核酸プロモーター配列と共に、本明細書に記載される回転依存転写配列決定法において使用され得る。本明細書で考察されているように、この特徴は、配列決定反応の多重化を可能にする。異なるRNAポリメラーゼをそれらの特異的プロモーター配列および差別的標識技術と組み合わせて使用するその他のバリエーションも本発明において想定されている。
いくつかの態様において、2つの非同期回転依存転写配列決定反応が、同一の配列決定条件(例えば、第1配列決定条件)下で実行され得る。配列決定が十分なヌクレオチド数(例えば、少なくとも100 nt、500 nt、1,000 nt、5,000 ntまたは10,000 nt)進行した後、これらの反応のうちの1つの配列決定条件が交換され(例えば、第2配列決定条件に)、そして回転依存転写配列決定が継続される。第1配列決定条件の下で得られる配列情報は、第1反応における特定の標的核酸分子と第2反応における同一の特定の標的核酸分子を対応させるのに使用することができ、これにより、配列決定条件が変更される場合、特定の標的核酸分子内の2つのヌクレオチドについて位置的配列情報を得ることができる。
当業者は、RNAポリメラーゼによって核酸分子上でねじれが生じるため、回転タグがRNAポリメラーゼを減速させる可能性のある「負荷」を生じ得ることを理解するであろう。これは、例えば、単純な球形ビーズよりも流動媒体中でより大きな摩擦を生じ得る異なる形状を有する回転タグ(例えば、2つの楕円形ビーズまたはビーズ・ロッドの組み合わせ)を用いることによって、防止または排除することができる。他方、RNAポリメラーゼの機械的負荷を配列決定速度に良い影響を与えるために使用できるRNAポリメラーゼおよび/または配列決定条件も存在し得る。
製造品/キット
製造品(例えば、キット)が本明細書で提供される。製造品は、本明細書で考察されているような、複数のRNAポリメラーゼ酵素が固定される固相基材を含み得る。複数のRNAポリメラーゼ酵素は、少なくとも10個のRNAポリメラーゼ(例えば、少なくとも20、50、75もしくは100個の酵素)、少なくとも100個のRNAポリメラーゼ(例えば、少なくとも200、500もしくは1,000個の酵素)または少なくとも1,000個のRNAポリメラーゼ(例えば、少なくとも約2,500、5,000、10,000もしくは50,000個の酵素)を表す。
製造品は当技術分野で周知であり、包装材(例えば、ブリスターパック、ボトル、チューブ、バイアルまたは入れ物)を含み得、そしてRNAポリメラーゼが固定された固相表面に加えて、1つまたは複数の追加の成分を含み得る。
いくつかの態様において、製造品は、回転タグを含み得る。本明細書に記載されるように、回転タグは、非球形タグまたは回転の検出に使用することができる不均一な特徴を有する球形タグであり得る。
いくつかの態様において、製造品は、RNAポリメラーゼプロモーターに対応する核酸配列を含み得る。本明細書で考察されているように、RNAポリメラーゼによる転写を指示するプロモーターは当技術分野で周知であり、慣用的に使用されている。
いくつかの態様において、製造品は、係留手段を含み得る。本明細書で考察されているように、係留手段は、標的核酸分子を回転タグに付加するのに使用され得る。いくつかの態様において、係留手段は核酸配列を含み、これは、例えば、ストレプトアビジン標識ビーズに結合するようビオチニル化され得る。
いくつかの態様において、製造品は、1つまたは複数のヌクレオシド三リン酸を含み得る。2つ以上のヌクレオシド三リン酸が提供される場合、それらは、まとめて(例えば、単一の入れ物で)または別々に(例えば、別個の入れ物で)提供され得る。
いくつかの態様において、製造品はさらに、説明書を含む。説明書は、紙面の形態でまたは任意の多くの電子的な形態(例えば、例えばCDもしくはフラッシュドライブ上の電子ファイル、またはインターネット上のサイトへの案内(例えば、リンク))で提供され得る。そのような説明書は、磁気参照タグを通じて軸に対する回転タグの回転を同定し、その回転パターンおよびヌクレオシド三リン酸の存在に基づき標的核酸分子の配列をコンパイルし;および/または核酸に対して適切な張力を適用するのに使用され得る。
回転依存転写配列決定システム
本明細書に記載される回転依存転写配列決定システムは、少なくとも1つの配列決定モジュールを含む。標的核酸分子を配列決定するための配列決定モジュールは、典型的に、固相基材を受け取るための容器、有向性の力を提供するための張力源、回転タグ上に光を投射するための光源および回転タグの回転のパターンを検出するための光学手段を含む。張力源、光源および光学手段は、本明細書で考察されている。固相基材を受け取るための容器は、例えば、凹型チャンバーとして構成され得る。一般に、回転依存転写配列決定システムにおいて使用するための固相基材は、同基材上に固定された複数のRNAポリメラーゼを有し、そして高スループット配列決定システムでは、固相表面は本明細書に記載されるようなオンチップ態様であり得る。配列決定モジュールはまた、コンピュータープロセッサまたはコンピュータープロセッサと対話する手段を含み得る。さらに、配列決定モジュールの一部として一次分析ソフトウェアが提供され得る。
加えて、配列決定モジュールはさらに、配列決定反応の温度を変化させるおよび調節するための加熱冷却要素および温度制御システムを含み得る。加えて、配列決定モジュールはさらに、フルイディクス手段(例えば、1つまたは複数の試薬または緩衝液を反応チャンバー(例えば、チップ)に送達するための1つまたは複数の試薬または緩衝液用リザバーおよびチューブ)を含み得る。1つまたは複数の試薬または緩衝液を送達するためのフルイディクス手段はまた、少なくとも1つのポンプを含み得るが、これに限定されない。配列決定反応において使用できる例示的な試薬には、例えば、ヌクレオシド三リン酸、酵素(RNAポリメラーゼ)および回転タグが含まれ得るがこれらに限定されない。また、配列決定反応において使用できる例示的な緩衝液には、例えば、洗浄緩衝液、酵素結合緩衝液および配列決定緩衝液が含まれ得るがこれらに限定されない。
図5は、代表的なフローセル70を示す略図である。示されているフローセル70では、およそ50ミクロン厚のレーザーカットされた感圧接着(PSA)フィルムが、OmniVisionセンサー(OV14810;窓の除去およびSiNによるコーティング後)の上面に置かれている。この構成によりCMOSチップ80の上面にフローセルが構築される。次に、マイクロ流体フィードスルーチューブ90用の孔を有するガラスまたはポリマースライドが適用される。複数の回転依存転写複合体100が領域内に示されている。図6は、光の送達にファイバー60を使用し画像化に顕微鏡対物レンズ200を使用する代表的なフローセル70の写真(パネルA)および線図(パネルB)を示している。固相表面30も示されている。
図7は、回転依存転写配列決定システム300を示す略図である。この略図は、張力源50、光源60ならびに入口用および出口用フルイディクス手段90を有するフローセル70を示している。図7のフローセル70は、チップ80(CMOS、CCDまたはそれらの派生品)上に示されている。
図8Aおよび9Aは、本明細書に記載される回転依存転写配列決定システム300の異なる態様の写真を示しており、図8Bおよび9Bは、各写真に示されている態様のそれぞれの線図である。図8Bおよび9Bを参照すると、両方の回転依存転写配列決定システム300は、固相表面30、光源60ならびに様々な試薬および/または緩衝液を送達および除去するためのフルイディクス手段90を示している。張力源50が、図8および9の各々に示されており;図9において、張力源50は、固相表面30上のフローセルにより容易にアクセスするためにどかされている。図8および9の回転依存転写配列決定システム300は、両方ともに、同様の光学手段200を利用する。図8のシステム300は20x水浸対物レンズ200を利用し(ここでは、NA = 0.9で1 mm超のFOVを提供する、すなわち大きな視野を有する高解像度のOlympus製の「スーパーレンズ」である)、図9のシステム300は20x対物チューブレンズ200を利用している。図8および9の両方は、また、カメラ200を含んでいる。
1つの態様においては、構造化照射およびストロボスコープが、以下のように回転依存転写配列決定システムにおいて使用され得る。例えば、2つまたはそれ以上のファイバーが各々別個のLEDに接続され、それらの照射が固相表面の面に対して異なる角度に向けられ得る。光源は、光の強度(または「振幅」)、スペクトルの中身(例えば、異なるカラーLEDまたはフィルター処理された白色LED)および時間(例えば、単一のトリガーからであるがそのトリガーのタイミングに組み込まれた異なる遅延の後に電子機器をトリガーすることを通じて)に関して独立して制御され得る。カメラの露出を、同一のトリガーで、しかし例えば、異なる遅延または振幅または形状で、開始させることができる。カメラの露出時間は個別に制御することができるので、第1光源(例えば、反射が、例えば偶数フレームで取り込まれ得る)および第2光源(例えば、反射が、例えば奇数フレームで取り込まれ得る)が回転タグおよびそのシグネチャーを照射する時間を決めることが可能である。照射は異なる角度でなされるので(例えば、1つは上からおよび1つは下から、すなわち中間配置(epiposition)で、または、1つは上からおよび1つは例えば垂直線に対して45°の角度で)、回転タグは、別個の画像ではなく1つの画像で検出され得る。連続する画像が取り込まれるため、かつ2つ以上の供給源が使用され得るため、各フレームにおいて回転タグの3次元形状を仮想的に再構築することが可能である。この検出レベルにより、最終的な配列においてより高い精度およびより少ない欠失エラーがもたらされる。
本明細書に記載される回転依存転写配列決定システムは、単一ヌクレオチド解像による超並列単一分子分析に基づき、ポイント・オブ・ケア診断およびゲノミクスを大きく前進させることができる。このシステムは本質的に、高度に多重化された標的同定に適しており、同時または連続的に異なる核酸標的、例えば病原体およびヒトバイオマーカーを探索するよう再構成できるという究極の柔軟性を有する。加えて、現在のPCRおよびマイクロアレイベースの核酸配列決定方法は、明確な同定には特別な試薬セット(プライマーおよびプローブ)が必要となるため、既知の配列または感染因子のみしか検出できないという制限がある。
例えば高スループット臨床診断またはポイント・オブ・ケア診断のために設計されたシステムにおいては、本明細書に記載される回転依存転写配列決定システムは、サンプル調製モジュールおよび鋳型仕上げモジュールと組み合わされ得る。
サンプル調製モジュールは、細胞を溶解し、それによって核酸を放出させるよう構成され得、サンプル調製モジュールはまた、核酸を剪断/断片化する能力を有し得る。サンプル調製モジュールは、典型的に、生物学的サンプルを受け取るための容器および生物学的サンプルに1つまたは複数の試薬または緩衝液を送達するためのフルイディクス手段を含む。サンプル調製モジュールは、様々な異なる生物学的サンプルを受け取るよう構成することができ、また、サンプル調製モジュールは、特定タイプの生物学的サンプル(例えば、スワブ、組織サンプル、血液もしくは血漿サンプル、唾液または培養物の一部)または特定の形態(例えば、バイアルもしくはチューブでまたは吸い取り紙)で提供される生物学的サンプルを受け取るよう構成することもできる。配列決定調製モジュールはまた、例えば、フィルター、カラム、磁石、免疫学的方法またはそれらの組み合わせを用いて生物学的サンプル(例えば、細菌細胞、ウイルス等)から特定分子を捕捉するよう構成され得る(例えば、Pathogen Capture System、NanoMR Inc.)。
サンプル調製モジュールは、生物学的サンプルから核酸を取得しその核酸を配列決定用に調製するのに関係する試薬または緩衝液を含み得る。例えば、配列決定用の核酸の取得に関係する試薬には、細胞溶解試薬、核酸切断酵素、DNAポリメラーゼ、オリゴヌクレオチドおよび/またはDNA結合剤(例えば、標的核酸分子に結合するおよびこれを洗浄するためのビーズまたは固相マトリクス)が含まれ、配列決定用の核酸の取得に関係する緩衝液には、溶解緩衝液、洗浄緩衝液、溶出緩衝液または結合緩衝液が含まれる。本明細書に記載される回転依存転写配列決定は二本鎖核酸鋳型を必要とするため、サンプル調製モジュールは、一本鎖DNAまたはRNAを二本鎖核酸分子に変換するのに必要な試薬および緩衝液(例えば、PCR試薬)を含み得る。
サンプル調製モジュールの機能的要素の多くは、市販されている(例えば、シリカゲルメンブレン(QiagenもしくはAmbionキット))かまたはPalladium System(Integrated Nano Technologies Inc.)に統合された部品である。加えて、核酸鋳型の酵素切断の代替物として、核酸を断片化する機器が市販されている(例えば、Covaris)。
鋳型仕上げモジュールは、標的核酸分子にRNAポリメラーゼプロモーター配列および回転タグを付加するよう構成され得る。鋳型仕上げモジュールは、典型的に、1つまたは複数の試薬または緩衝液を標的核酸分子に送達するためのフルイディクス手段を含む。例えば、鋳型仕上げモジュールは、標的核酸分子にRNAポリメラーゼプロモーター配列をライゲートするための試薬および緩衝液を含み得、鋳型仕上げモジュールはまた、標的核酸分子に回転タグを付加するための試薬および緩衝液を含み得る。例えば、標的核酸分子へのプロモーター配列のライゲートまたは回転タグの結合に関係する試薬には、プロモーター配列および回転タグが含まれることは明らかであるが、例えば、リガーゼ酵素、係留手段またはPCR試薬も含まれ得、標的核酸分子へのプロモーター配列のライゲートまたは回転タグの結合に関係する緩衝液には、ライゲーション緩衝液、回転タグ結合緩衝液、酵素結合緩衝液、洗浄緩衝液および配列決定緩衝液が含まれる。
本明細書に記載される回転依存転写配列決定システムの構成に依存して、複数のRNAポリメラーゼが、プロモーターおよび回転タグが結合された標的核酸分子を導入する前に、固相表面上に固定され得る。あるいは、複数のRNAポリメラーゼが、プロモーターおよび回転タグが結合された標的核酸分子と組み合わされ、そしてその複合体全体が固相表面に沈着され得る。後者の手順は、RNAポリメラーゼおよびそれらの対応するプロモーター配列の結合動態が非常に高速、効率的かつ特異的であるため、ふさわしい。
回転依存転写配列決定後の配列の決定
図10は、回転タグの回転パターンの映像のスクリーンショットおよび対応するデジタル化を示しており(上)、これが次にグラフ形式で示されている(下)。回転タグは、2.8ミクロンのストレプトアビジンコートビーズに1ミクロンのビオチンコートビーズが付加されたものである。転写は、4つすべてのヌクレオシド三リン酸の存在下で、Hisタグ付きRNAポリメラーゼによって行われた。図10は、回転タグの回転パターンを、検出器で取り込んだ画像から明瞭かつ確実に検出および測定できることを示している。
図11Aは、回転分析を説明する流れ図である。この回転分析から、タイムスタンプ、変位(n=1およびn-1から)、変位の境界円、ビーズの直径、ダブレットの向き、蓄積された回転、角速度および楕円の偏心を含む多くの測定基準(metrics)を決定することができる。各ピクセルを2つのクラス、フォアグラウンド(回転タグ)およびバックグラウンドに分別するのに画像セグメンテーションを使用することができる。ある方法(大津の方法)を用いた場合、画像のヒストグラムおよび各強度レベルの確率を計算することができ、次いで、クラス内分散を最小化する閾値を決定することができる。別の方法(トライアングル法)を用いた場合、グレーレベル軸のヒストグラムの最大bとグレーレベル軸の最小値aの間に線が引かれる。aからbまでのすべての値について、線に垂直な、線とヒストグラムの間の距離Lが算出される。ヒストグラムと線の間の距離が最大となるレベルが、閾値に対応する。さらに別の方法(適応平均またはメディアン)を用いた場合、ローカライズされた窓(すなわち、5 x 5ピクセル)を用いて最大強度の分散を見出すことができ、これは次いで、その窓の平均またはメディアンを算出するのに使用される。
境界楕円法は、いくつかの方法のいずれかを利用することができる:フォアグラウンド(回転タグ)領域の2次モーメントに正規化される、重心法;その領域の重心からみてその領域縁部までの距離が最大となるところが長軸の第1点であり、(重心からの)鏡映が第2点である、楕円長軸法;その領域の重心からみてその領域縁部までの距離が最大でありかつ長軸に対して垂直である、楕円短軸法;および楕円の長軸とx軸の間の角度である、楕円方位法。
図11Bは、標的核酸分子の配列を決定するプロセス例1100を説明する流れ図である。いくつかの例において、プロセス1100は、1つまたは複数のコンピューターデバイスを用いて実行される1つまたは複数のコンピュータープログラムアプリケーションを用いて実施され得る。説明の目的で、回転タグを含む標的核酸分子の、同標的核酸分子の転写時に得られるデータに基づく配列の決定に関する非限定的な例が提供される。
プロセス1100は、本明細書に記載される回転依存転写配列決定を用いて配列決定される標的核酸分子の現在の核酸位置に同定位置を設定する(1110)ことによって開始する。同定位置は、例えば、転写される最初のヌクレオチド、標的核酸分子から転写される(すなわち、プロモーター配列の後の)最初のヌクレオチドまたは標的核酸分子上の任意のヌクレオチド位置であり得る。
標的核酸分子の同定位置における第1データ(すなわち、第1情報)が、回転依存転写配列決定の実施からの情報に基づき、回転依存転写配列決定システムから受信(1120)または提供され、そして標的核酸分子の同定位置における第2情報(すなわち、第2データ)が提供または受信される(1120)。例えば、第1データは、回転タグの回転に関する情報であり得る。例えば、第1データは、回転速度(すなわち、回転の度数/時間)、回転の存在もしくは非存在の決定または確立されている回転パターンの変化であり得る。例えば、第2データは、配列決定反応における1つまたは複数のヌクレオシド三リン酸の存在および/または利用性(例えば、濃度)に関する情報であり得る。
次に、同定位置のヌクレオチドが、第1および第2データに基づき決定され得る。例えば、第1データが回転パターンの変化を示し、第2データがその反応におけるグアニンヌクレオシド三リン酸の存在を示す場合、標的核酸分子の同定位置におけるヌクレオチドはシトシンと決定される。同様に、第1データが回転パターンの変化の非存在を示し、第2データがその反応におけるグアニンヌクレオシド三リン酸の存在を示す場合、標的核酸分子の同定位置におけるヌクレオチドは非グアニン(すなわち、アデニン、グアニンおよびチミン)と決定される。
同定位置を次の位置に進めることができると決定された場合(1140)、同定位置は、標的核酸分子における次の核酸位置に設定され(1150)、そしてプロセス1100が続行される(1120)。同定位置を次の位置に進めることができないと決定された場合(1140)、各同定位置で受信した第1情報および第2情報に基づき標的核酸分子の配列がコンパイルされ(1160)、プロセス1100が終了する。転写が例えば標的核酸分子の転写の完了または(例えば、酵素活性の減衰に起因する)RNAポリメラーゼ活性の失効によりそれ以上起こらない場合、同定位置を次の位置に進めることができない。
本明細書に記載される態様およびその作業は、デジタル電子回路において、またはコンピューターソフトウェア、ファームウェアもしくはハードウェアにおいて、またはそれらの1つもしくは複数の組み合わせにおいて実行することができる。本明細書に記載される態様は、1つまたは複数のコンピュータープログラムとして、すなわちデータ処理装置によって実行するためのまたはデータ処理装置の作業を制御するためにコンピューター記憶媒体にエンコードされた1つまたは複数のコンピュータープログラム指令モジュールとして実行することができる。あるいはまたは加えて、このプログラム指令は、人工的に生成される伝搬信号、例えば、データ処理装置によって実行するために適切な受信装置に伝送するための情報をエンコードするために生成される、機械生成される電気、光または電磁信号にエンコードすることができる。コンピューター記憶媒体は、コンピューター読み取り可能な記憶デバイス、コンピューター読み取り可能な記憶基板、ランダムもしくはシリアルアクセスメモリアレイもしくはデバイス、モバイルコミュニケーションデバイスまたはそれらの1つもしくは複数の組み合わせであり得るまたはそれに含まれ得る。さらに、コンピューター記憶媒体は伝播信号ではないが、コンピューター記憶媒体は人工的に生成される伝播信号にエンコードされたコンピュータープログラム指令の送信元または送信先であり得る。コンピューター記憶媒体はまた、1つまたは複数の個別の物理的要素またはメディア(例えば、複数のCD、ディスクまたはその他の記憶デバイス)であり得るまたはそれに含まれ得る。
本明細書に記載される作業は、1つまたは複数のコンピューター読み取り可能な記憶デバイスに保存されたまたはその他の供給源から受信するデータに対してデータ処理装置によって実行される作業として実施される。「データ処理装置」という用語は、例としてプログラム可能なプロセッサ、モバイルコミュニケーションデバイス、コンピューター、チップ上システムまたはこれらの多重化版もしくは組み合わせを含む、データ処理のためのすべての種類の装置、デバイスおよび機械を包含する。装置は、特殊用途の論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)を含み得る。装置はまた、ハードウェアに加えて、対象のコンピュータープログラムの実行環境を形成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォームルーチン環境、仮想マシンまたはこれらの1つまたは複数の組み合わせを含み得る。装置および実行環境は、様々な異なるコンピューティングモデル基盤、例えば、ウェブサービス、分散コンピューティングおよびグリッドコンピューティング基盤を実現し得る。
コンピュータープログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプトまたはコードとしても公知である)は、コンパイル型またはインタープリター型言語、宣言型または手続き型言語を含む任意のプログラミング言語形式で記述され得、そしてそれはスタンドアローンプログラムとしてまたはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクトもしくはコンピューティング環境で使用するのに適したその他のユニットとしてを含む任意の形式で配置され得る。コンピュータープログラムは、ファイルシステムにおけるファイルに対応するものであり得るが、そうである必要はない。プログラムは、他のプログラムもしくはデータを保持するファイルの一部(例えば、マークアップ言語ドキュメントに保存された1つまたは複数のスクリプト)に、対象のプログラム専用の単一ファイルに、または複数の関連ファイル(例えば、1つまたは複数のモジュール、サブルーチンまたはコードの一部を保存するファイル)に保存され得る。コンピュータープログラムは、1つのコンピューター上でまたは1ヵ所に設置されたもしくは複数ヵ所に分散されコミュニケーションネットワークによって相互接続された複数のコンピューター上で実行されるよう配置することができる。
本明細書に記載されるプロセスおよび論理フローは、1つまたは複数のコンピュータープログラムに入力データに対して作業させ出力を生成させることにより行動を起こさせる1つまたは複数のプログラム可能なプロセッサによって実施され得る。プロセスおよび論理フローはまた、特殊用途の論理回路、例えばFPGAまたはASICによって実施され、かつ装置はまた、そのような論理回路を実装され得る。
コンピュータープログラムの実行に適したプロセッサには、例として、汎用および特殊用途の両方のマイクロプロセッサならびに任意の種類のデジタルコンピューターの任意の1つまたは複数のプロセッサが含まれる。一般に、プロセッサは、読み出し専用メモリもしくはランダムアクセスメモリまたはその両方から指令およびデータを受信する。コンピューターの必須要素は、指令通りに行動を起こすプロセッサならびに指令およびデータを保存する1つまたは複数のメモリデバイスである。一般に、コンピューターはまた、データ保存用の1つまたは複数の大容量記憶デバイス、例えば磁気、光磁気ディスクまたは光ディスクを含む、またはそのようなデバイスからデータを受信するもしくはそのようなデバイスにデータを送信するよう機能的に接続される、またはその両方である。しかし、コンピューターは、そのようなデバイスを有している必要はない。さらに、コンピューターは、別のデバイス、例えば、いくつか列挙すると、モバイルコミュニケーションデバイス、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯オーディオまたはビデオプレーヤー、ゲーム端末、グローバルポジショニングシステム(GPS)受信機または携帯記憶デバイス(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュデバイス)、に埋め込まれ得る。コンピュータープログラム指令およびデータを保存するのに適したデバイスには、例として、半導体メモリデバイス、例えば、EPROM、EEPROMおよびフラッシュメモリデバイス;磁気ディスク、例えば、内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスク;光磁気ディスク;ならびにCD ROMおよびDVD-ROMディスクを含む、すべての形態の不揮発性メモリ、媒体およびメモリデバイスが含まれる。プロセッサおよびメモリは、特殊用途の論理回路によって補完され得るまたはそのような回路に組み込まれ得る。
使用者との対話を提供するため、本明細書に記載される態様は、使用者に情報を表示するためのディスプレイデバイス、例えば、CRT(陰極線管)またはLCD(液晶ディスプレイ)モニターならびに使用者がコンピューターへの入力を提供するキーボードおよびポインティングデバイス、例えば、マウスまたはトラックボールを有するコンピューターにおいて実施され得る。加えて、コンピューターは、使用者によって使用されるデバイスにドキュメントを送信し、同デバイスからドキュメントを受信することによって;例えば、使用者のクライアントデバイスのウェブブラウザに、そのウェブブラウザから受信したリクエストに応じてウェブページを送信することによって、使用者と対話し得る。
本明細書に記載される態様は、例えばデータサーバーとしてバックエンドコンポーネントを含む、またはミドルウェアコンポーネント、例えばアプリケーションサーバーを含む、またはフロントエンドコンポーネント、例えばそれを通じて使用者が本明細書に記載される本実装機器と対話することができるグラフィカルユーザーインターフェースもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピューターを含む、または1つもしくは複数のそのようなバックエンド、ミドルウェアもしくはフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含む、コンピューティングシステムにおいて実施され得る。システムのコンポーネントは、デジタルデータコミュニケーションの任意の形式または媒体、例えば、コミュニケーションネットワークによって相互接続され得る。コミュニケーションネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)および広域ネットワーク(「WAN」)、インターネットワーク(例えば、インターネット)およびピア・ツー・ピアネットワーク(例えば、アドホックピア・ツー・ピアネットワーク)が含まれる。
コンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバーを含み得る。クライアントおよびサーバーは、一般に、互いに隔離されており、かつ典型的に、コミュニケーションネットワークを通じて対話する。クライアントとサーバーの関係は、それぞれのコンピューターにおいて稼働している互いに対してクライアント・サーバー関係を有するコンピュータープログラムによって確立される。いくつかの態様において、サーバーは、クライアントデバイスに対してデータ(例えば、HTMLページ)を伝送する(例えば、クライアントデバイスと対話する使用者にデータを表示し、使用者から使用者の入力を受信するために)。クライアントデバイスにおいて生成されたデータ(例えば、使用者との対話の結果として)は、サーバーにおいて、クライアントデバイスから受信され得る。
本発明にしたがい、当技術分野の技能の範囲で、従来の分子生物学、微生物学、生化学および組み換えDNA技術が使用されることがある。そのような技術は、文献で十分に説明されている。本発明はさらに以下の実施例の中で説明されるが、これらは特許請求の範囲に記載される方法および組成物の範囲を限定するものではない。
実施例1 - 固相表面の調製
NTA単層を、記載されたようにして調製した(Paik et al., 2005, Chem. Commun., 15: 1956-58を参照のこと。Ni-NTA表面は、このNTA官能化基材を、0.1 M NiCl2を含む10 mM Tris-HCl緩衝液(pH 8.0)に30分間浸漬することによって得た。次いでこの基材をMilli-Q水で数回すすぎ、そして窒素流下で乾燥させた。
きれいに洗浄した基材を、アルゴン下で2日間、1%(v/v)3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランを含む蒸留トルエン溶液に浸漬した。溶液から基材を取り出した後、これらを蒸留トルエンですすぎ、そして窒素流下で乾燥させた。このエポキシ末端化SAMで官能化された基材を、60℃で4時間、2.5 mM N,Nビス(カルボキシメチル)-L-リジン(NTA)を含む10 mM Tris-HCl緩衝液(pH 8.0)中でインキュベートした。マイクロコンタクトプリントの準備のために、基材をMilli-Q水ですすぎ、そして乾燥させた。
このNTA SAMに対するHisタグ付きタンパク質の非特異的結合効果は限定的であることが観察され、これによって、このNTA SAMが、マイクロコンタクトプリントおよびディップペンナノリソグラフィー技術によるNi(II)イオンパターンの形成に適した表面であることが実証された。
実施例2 - Hisタグ付きRNAポリメラーゼのクローニングおよび精製
38アミノ酸のSBPタグをコードするDNAフラグメントを、鋳型としてpTAGk19ならびにプライマーとして合成DNAオリゴマーRP46およびRP47(以下を参照のこと)を用いるPCRにより合成した。このフラグメントをNcoIで消化し、pBH16117にライゲートして、pRP6を得た。
SBP-His-RNAポリメラーゼおよびHis-RNAポリメラーゼを、以前に記載されたようにして発現させ精製した(He et al., 1997, J. Protein Expression Purif., 9: 142-51;およびKeefe et al., 2001, J. Protein Expression Purif., 23: 440-46)。
実施例3 - RNAポリメラーゼの固定
Si(III)へのRNAポリメラーゼ分子の固定のために、以下の反応スキームを行った:(a)40% NH4F、10分間、25℃;(b)Cl2ガス、20分間、100℃;(c)mPEG、一晩、真空、150℃;(d)DSC、DEIDA、DMAP、DMF、一晩、25℃;(f)BBTO、ジエチルエーテル、6時間、25℃;(g)CuSO4、エタノール 20分間、25℃;(h)6x Hisタグ付きタンパク質のインキュベーション。
実施例4 - マイクロコンタクトプリント(μCP)および複合体形成
ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)と硬化剤(Sylgard 184、Dow Corning)の10:1(v/v)混合物を、パターン構造化シリコンマスターに対してキャストし、5ミクロンの線の特徴、3および10ミクロンの間隔の線の特徴ならびに5ミクロンの間隔を有するPDMSスタンプを調製した。非酸化PDMSスタンプを、約1時間、0.1 M NiCl2を含む10 mM Tris-HCl緩衝液(pH 8.0)中でインキュベートし、次いで窒素流下で乾燥させた。このスタンプを、3分間、NTA末端化基材と接触させた。スタンプを剥がした後、Ni(II)プリントされた基材を、30分間、100 nMのHis-T7 RNAPと共にds-DNA、プロモーターおよびストレプトアビジン・ビオチン結合を介して付加された磁気タグを含む約200μLの25 mM Tris-HCl緩衝液(pH 7.5)中でインキュベートし、次いで過剰なタンパク質を除去するために10 mM Tris-HCl緩衝液(pH 8.0)およびMilli−Q水ですすいだ。
実施例5 - 係留および回転
2.8ミクロンのSAコンジュゲートビーズ(Dynal)および1.0ミクロンのビオチニル化ビーズをPBSで希釈し(それぞれ、1:20および1:200)、室温で15分間混合した。以前に記載されたようにしてカバースリップをNi2+-NTA HRPコンジュゲート(Qiagen)でコーティングし、そしてカバースリップをわずかに離して整列させることによってフローチャンバーを構築した(Noji et al., 1997, Nature, 386: 299-302を参照のこと)。
一端がビオチニル化された4 kb DNA鋳型をSAビーズダブレットと混合し、そして20 nM His-T7 RNAP、0.3 mM GTPおよび0.1 mM ATPと共に2分間インキュベートして、伸長複合体を形成させた。サンプル(〜30μl)をフローセルに注入し、5分間インキュベートし、そして0.1 pNの磁力を適用した。このフローセルをTBで洗浄し、その後に0.5 mM NTPを添加した。
磁石をビーズ位置からオフセット配置する、すなわち真上ではなく光源および対物レンズに対して角度をつけることにより、位置の変化および力の較正が容易になることが見出された。
実施例6 - 回転依存転写配列決定複合体の形成
図2Cは、不動態化されたニッケルコートガラススライド上にHisタグ付きRNAポリメラーゼおよび5.1 Kb DNA鋳型によって係留された回転タグのアレイを示している。この「準無作為」アレイは、ビーズを互いに対して規則的な距離に配置させる磁場の適用を介して形成された。円錐状の磁場によって磁気タグが規則的な様式でガラス表面に引き付けられるようスライドを上下反転させることによって、シングレット、ダブレットおよびトリプレットビーズを保持する核酸を表面に付加した。2次元空間内での磁気ビーズのパーコレーションによって、図2Cに示されるパターンが能動的に形成された。その後、磁石を取り除き、そして磁石が核酸に張力を適用するようフローチャンバーを再度上下反転させた。次いで、配列決定反応混合物をフローチャンバーに送達し、全分子の転写・配列決定を並行して開始させた。
実施例7 - 鋳型の調製
転写による配列決定のためのDNA鋳型は、T7プロモーターを保有する4.6 kbファージT7 DNAフラグメントとラムダDNAの0.5 kbビオチニル化フラグメントを1つに接合することによって調製した。4.6 kbフラグメントは、#T7pPK13フォワードプライマーおよび3'末端にXbaI認識部位を含む#T7phi17REVプライマーを用いるPCRによって作製した。0.5 kb PCRフラグメントは、ビオチン-16-dUTP(Roche)の存在下で#F3および#R3プライマーを用いるPCRによって作製した。PCRが完了した後、精製されたPCR産物をNheIで消化し、そしてQIAquick PCR Purification Kit(Qiagen)で清浄化した。
PCR産物をXbaIで消化した後、その4.6 kb片を、15℃で一晩のライゲーションによって、NheI消化した0.5 kbビオチニル化PCRフラグメントに接合した。得られた5.1 kbのライゲーション産物を0.7%アガロースゲル電気泳動を用いて分離し、QIAquick Gel Extraction Kit(Qiagen)を用いてゲルから抽出した。このDNAを転写・配列決定実験において使用した。
以下のプライマーをPCRに使用した:#T7pPK13:
Figure 2014506485
(SEQ ID NO: 1;下線はT7プロモーター配列であり、太字のGは+1であり、太字のCは+20位の休止部位である);#T7phi17REV:
Figure 2014506485
(SEQ ID NO: 2;Xba部位を含む);#F3:
Figure 2014506485
(SEQ ID NO: 3;5'末端にNheI制限部位を含む);および#R3:
Figure 2014506485
以下の表は、T7プロモーターを含むT7ファージから4.6 Kbフラグメントを調製するのに使用した反応混合物を示している。PCR増幅は、以下のサイクル条件下で行った:94℃で30''、94℃で10''、55℃で30''、65℃で4'10''、65℃で10'を32サイクル、その後に4℃で維持。
Figure 2014506485
以下の表は、複数のビオチンを含む0.5 Kbラムダフラグメントを調製するのに使用した反応混合物を示している。PCR増幅は、以下のサイクル条件下で行った:94℃で10'、94℃で10''、55℃で30''、72℃で1'、72℃で7'を32サイクル、その後に4℃で維持。
Figure 2014506485
実施例8 - 単一分子転写・配列決定反応
条件1(フローセル内で2成分粒子を形成する)
1000μlの1ミクロンのDynabeads MyOne Streptavidin T1をPBS中に1:100希釈し、洗浄のために磁石によって降下させ、上清を除去し、そしてビーズを20μlの緩衝液B + 0.1% BSAに再懸濁した。このビーズを0.5mlチューブに移し、そしてフローセルへの注入前に2分間超音波処理した。
非磁性ポリスチレンビオチニル化0.8ミクロンビーズ(Kisker、PC-B-0.8)を以下のようにして調製した:10μlのビーズを遠心分離し、10μlの緩衝液B + 0.1% BSAに再懸濁して、洗浄されたビーズのストックを作製した。
PEG-Cu++官能化ガラススライド(MicroSurfaces, Inc)を、緩衝液B + 1% BSAによって不動態化させた。
以下の反応物を室温で準備し、37℃で3分間インキュベートした。
Figure 2014506485
45μlの緩衝液Bを、鋳型の+20位で中断しているT7 RNAP-DNA伸長複合体を含む反応混合物に添加し、その混合物を5分間かけてフローセルに注入した。
このフローセルを緩衝液Bで洗浄し、そして1μm SA磁気ビーズ(緩衝液B + 0.1% BSA中6μlの洗浄されたビーズと混合された46μlの緩衝液B + 0.1% BSA)を12分間かけて注入した。このフローセルを緩衝液B + 0.1% BSAで洗浄した。
0.8ミクロンのポリスチレンビオチニル化ビーズ(2μlの洗浄されたビーズ + 48μlの1xB/0.1% BSA)をフローセルに注入し、15分間インキュベートして、表面に磁気SAビーズが係留された2成分粒子を形成させた。未結合の0.8ミクロンポリスチレンビーズを除去するため、フローセルを緩衝液Bで洗浄した。
転写/配列決定は、フローセルに緩衝液B + 250μM NTP + 10 mM DTTを注入することによって開始した。4つの異なるNTP混合物(各々、ヌクレオチドの1つを少量で含む)を4つの異なるフローセルに使用した。
Figure 2014506485
条件2(2成分粒子を前もって形成する)
転写/配列決定反応の全体を、磁気およびポリスチレンビーズの連続的配置の代わりにこの2成分粒子を以下のようにして事前形成したことを除いて、上記の条件1の通りに設定した。PBSに1:100希釈された1ミクロンDynabeads MyOne SA T1(Dynal)および1:500希釈された0.8ミクロンポリスチレンビオチンビーズ(Kisker)の混合物1000μlを回転装置において室温で30分間混合し、2成分粒子を形成した。このビーズを磁石で降下させ、未結合のポリスチレン粒子を含む上清を除去し、そしてビーズを20μlの緩衝液B + 0.1% BSAに再懸濁した。このビーズを0.5mlチューブに移し、反応混合物に添加する前に2分間超音波処理した。
実施例9 - 回転依存転写配列決定を用いる全ゲノム配列決定の予想される費用
重要なことは、本明細書に記載される回転依存転写配列決定の利点の1つは、特に非常に長い稼働能力をふまえて、費用が少なくてすむ、ということである。以下の表は、ヒトゲノム全体の配列決定の予想される費用を示している。
Figure 2014506485
本システム、方法および組成物は、本明細書において、多くの異なる局面に関連して説明されているが、前出の様々な局面の説明は例示を意図したものであり、本システム、方法および組成物の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。他の局面、利点および改変物も、添付の特許請求の範囲に含まれる。
開示されたシステム、方法および組成物のために使用することができる、それらに関連して使用することができる、それらの準備のために使用することができる、またはそれらの生産物である、システム、方法および組成物が開示されている。これらおよびその他の物が本明細書に開示されており、そしてこれらのシステム、方法および組成物の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループ等が開示されていることを理解されたい。すなわち、これらの組成物および方法の各々の様々な個別のかつ集合的な組み合わせおよび並べ替えに関する具体的な言及は明示的には示されていないかもしれないが、各々は具体的に想定され本明細書に記載されているのである。例えば、そうでないことが具体的に示されていない限り、特定のシステムパーツ、組成物または特定の方法が開示され考察されておりかつ多くのシステムパーツ、組成物または方法が考察されている場合、これらのシステムパーツ、組成物および方法の各々およびあらゆる組み合わせおよび並べ替えが具体的に想定されているのである。同様に、これらの任意のサブセットまたは組み合わせも具体的に想定され開示されている。

Claims (65)

  1. RNAポリメラーゼがその上に固定されている固相基材を提供する工程;
    RNAポリメラーゼと標的核酸分子とを第1配列決定条件下で接触させる工程であって、標的核酸分子が回転タグを含み、第1配列決定条件が4つのヌクレオシド三リン酸の存在を含み、該4つのヌクレオシド三リン酸のうちの第1のヌクレオシド三リン酸が律速量で存在する、工程;
    第1配列決定条件下での回転タグの回転パターンを検出する工程;および
    回転パターンの変化に基づき、標的核酸分子に沿った第1のヌクレオシド三リン酸の位置情報を決定する工程
    を含む、標的核酸分子の配列を決定する方法。
  2. 固相基材がガラスである、請求項1記載の方法。
  3. RNAポリメラーゼがバクテリオファージRNAポリメラーゼである、請求項1記載の方法。
  4. バクテリオファージRNAポリメラーゼがT7 RNAポリメラーゼである、請求項3記載の方法。
  5. バクテリオファージRNAポリメラーゼがT3 RNAポリメラーゼである、請求項3記載の方法。
  6. RNAポリメラーゼが細菌RNAポリメラーゼである、請求項1記載の方法。
  7. 細菌RNAポリメラーゼが大腸菌(E.coli)RNAポリメラーゼである、請求項6記載の方法。
  8. RNAポリメラーゼがHisタグを介して固相表面上に固定される、請求項1記載の方法。
  9. 標的核酸分子が真核生物由来である、請求項1記載の方法。
  10. 標的核酸分子が二本鎖である、請求項1記載の方法。
  11. 標的核酸分子が生物学的サンプル中に含まれる、請求項1記載の方法。
  12. 標的核酸分子がRNAポリメラーゼプロモーター配列を含む、請求項1記載の方法。
  13. 回転タグが第1タグおよび第2タグを含む、請求項1記載の方法。
  14. 第1タグが磁気タグである、請求項1記載の方法。
  15. 検出工程が、回転タグ上に光を投射することを含む、請求項1記載の方法。
  16. 検出工程が、顕微鏡を介して回転パターンを観察することをさらに含む、請求項15記載の方法。
  17. 検出工程が、回転パターンをCMOSまたはCCDで取り込むことをさらに含む、請求項1記載の方法。
  18. 固相基材がCMOSまたはCCDである、請求項1記載の方法。
  19. 検出工程が、回転パターンを磁気画像として取り込むことを含む、請求項1記載の方法。
  20. 磁気画像がGMRセンサーまたはMRAMアレイに取り込まれる、請求項19記載の方法。
  21. 検出工程が、回転パターンを電場として取り込むことを含む、請求項1記載の方法。
  22. 画像がRAMセンサーに取り込まれる、請求項21記載の方法。
  23. 標的核酸分子に有向性の力を適用する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
  24. 有向性の力が磁石によって生成される、請求項23記載の方法。
  25. 有向性の力が流動または圧力によって生成される、請求項23記載の方法。
  26. RNAポリメラーゼがその上に固定されている固相基材を提供する工程;
    RNAポリメラーゼと、回転タグを含む標的核酸分子とを第2配列決定条件下で接触させる工程であって、第2配列決定条件が4つのヌクレオシド三リン酸の存在を含み、該4つのヌクレオシド三リン酸のうちの第2のヌクレオシド三リン酸が律速量で存在する、工程;
    第2配列決定条件下での回転タグの回転パターンを検出する工程;および
    回転パターンの変化に基づき、標的核酸分子に沿った第2のヌクレオシド三リン酸の位置情報を決定する工程
    をさらに含む、請求項1記載の方法。
  27. 第2配列決定条件下での接触工程および検出工程が、第1配列決定条件下での接触工程および検出工程と同時に実施される、請求項26記載の方法。
  28. 第2配列決定条件下での接触工程および検出工程が、第1配列決定条件下での接触工程および検出工程の前または後に順に実施される、請求項26記載の方法。
  29. RNAポリメラーゼがその上に固定されている固相基材を提供する工程;
    RNAポリメラーゼと、回転タグを含む標的核酸分子とを第3配列決定条件下で接触させる工程であって、第3配列決定条件が4つのヌクレオシド三リン酸の存在を含み、該4つのヌクレオシド三リン酸のうちの第3のヌクレオシド三リン酸が律速量で存在する、工程;
    第3配列決定条件下での回転タグの回転パターンを検出する工程;および
    回転パターンの変化に基づき、標的核酸分子に沿った第3のヌクレオシド三リン酸の位置情報を決定する工程、
    をさらに含む、請求項26記載の方法。
  30. 標的核酸分子における第1、第2および第3のヌクレオシド三リン酸の位置情報から標的核酸分子の配列を決定する工程をさらに含む、請求項29記載の方法。
  31. RNAポリメラーゼがその上に固定されている固相基材を提供する工程;
    RNAポリメラーゼと、回転タグを含む標的核酸分子とを第4配列決定条件下で接触させる工程であって、第4配列決定条件が4つのヌクレオシド三リン酸の存在を含み、該4つのヌクレオシド三リン酸のうちの第4のヌクレオシド三リン酸が律速量で存在する、工程;
    第4配列決定条件下での回転タグの回転パターンを検出する工程;および
    回転パターンの変化に基づき、標的核酸分子に沿った第4のヌクレオシド三リン酸の位置情報を決定する工程
    をさらに含む、請求項29記載の方法。
  32. RNAポリメラーゼと標的核酸分子とを配列決定条件下で接触させる工程であって、配列決定条件が少なくとも1つのヌクレオシド三リン酸の存在を含み、RNAポリメラーゼが固相基材上に固定されており、標的核酸分子が回転タグを含む、工程;
    回転タグの回転パターンを検出する工程;
    接触工程および検出工程を複数回繰り返す工程;ならびに
    少なくとも1つのヌクレオシド三リン酸の存在下での回転パターンの変化の存在または非存在に連続的に基づき、標的核酸分子の配列を決定する工程
    を含む、標的核酸分子の配列を決定する方法。
  33. 配列決定条件が単一のヌクレオシド三リン酸の存在を含む、請求項32記載の方法。
  34. 配列決定条件が4つのヌクレオシド三リン酸の存在を含み、該4つのヌクレオシド三リン酸のうちの第1のヌクレオシド三リン酸が律速量で存在する、請求項32記載の方法。
  35. 1つまたは複数のRNAポリメラーゼがその上に固定されている固相基材を提供する工程;
    該1つまたは複数のRNAポリメラーゼと標的核酸分子とを第1配列決定条件下で接触させる工程であって、標的核酸分子が回転タグを含み、第1配列決定条件が4つのヌクレオシド三リン酸のうちの第1のものの存在を含む、工程;ならびに
    第1配列決定条件下で、回転パターンに変化が起きるかどうかを検出する工程であって、
    回転パターンに変化が起きた場合、方法が、第1配列決定条件下で接触工程およびその後の工程を繰り返す工程をさらに含み、
    回転パターンに変化が起きなかった場合、方法が、第2配列決定条件下で接触工程およびその後の工程を繰り返す工程をさらに含み、ここで、第2配列決定条件が4つのヌクレオシド三リン酸のうちの第2のものの存在を含み、
    ここで、回転パターンに変化が起きた場合、方法が、第1配列決定条件下で接触工程およびその後の工程を繰り返す工程をさらに含み、
    ここで、回転パターンに変化が起きなかった場合、方法が、第3配列決定条件下で接触工程およびその後の工程を繰り返す工程をさらに含み、ここで、第3配列決定条件が4つのヌクレオシド三リン酸のうちの第3のものの存在を含む、
    回転パターンに変化が起きるかどうかを検出する工程;
    第1、第2または第3配列決定条件下での回転パターンの変化の発生に連続的に基づき標的核酸分子の配列を決定する工程
    を含む、標的核酸分子の配列を決定する方法。
  36. 複数のRNAポリメラーゼがその上に固定されている固相基材を含む、製造品。
  37. 固相基材が銅およびPEGでコーティングされている、請求項36記載の製造品。
  38. 固相基材がニッケルおよびPEGでコーティングされている、請求項36記載の製造品。
  39. 固相基材がNi-NTAでコーティングされている、請求項36記載の製造品。
  40. 固相基材がCMOSまたはCCDである、請求項36記載の製造品。
  41. 回転タグをさらに含む、請求項36記載の製造品。
  42. 回転タグが非球形タグを含む、請求項41記載の製造品。
  43. 回転タグが、光学的に区別できる不均一表面を有する球形タグを含む、請求項41記載の製造品。
  44. T7 RNAポリメラーゼプロモーター配列をさらに含む、請求項36記載の製造品。
  45. ビオチニル化核酸係留配列をさらに含む、請求項36記載の製造品。
  46. 1つまたは複数のヌクレオシド三リン酸をさらに含む、請求項36記載の製造品。
  47. 磁気参照タグを通じて軸に対する回転タグの回転を同定する;
    該回転およびヌクレオシド三リン酸の存在に基づき標的核酸分子の配列をコンパイルする;または
    磁力を適用する
    ための説明書をさらに含む、請求項36記載の製造品。
  48. 説明書が電子的な形態で提供される、請求項47記載の製造品。
  49. 以下を含む配列決定モジュールを含む、標的核酸分子の単一塩基配列決定のための装置:
    固相基材を受け取るための容器であって、固相基材が、その上に固定されている複数のRNAポリメラーゼを含む、容器;
    固相表面上に固定されている複数のRNAポリメラーゼによって転写される標的核酸分子に張力を適用するのに十分でありかつそのような方向に向けられている有向性の力を提供するための供給源;
    固相表面上に固定されている複数のPNAポリメラーゼによって転写される標的核酸分子に結合されている回転タグ上に光を投射するための光源;および
    固相表面上に固定されている複数のRNAポリメラーゼによって転写される標的核酸分子に結合されている回転タグの回転パターンを検出するための光学手段(optics)。
  50. コンピュータープロセッサをさらに含む、請求項49記載の装置。
  51. 核酸の配列決定に関係する試薬および緩衝液を収容および輸送するためのマイクロフルイディクス手段(microfluidics)をさらに含む、請求項49記載の装置。
  52. 試薬がヌクレオシド三リン酸からなる群より選択される、請求項49記載の装置。
  53. 緩衝液が、洗浄緩衝液、酵素結合緩衝液および配列決定緩衝液からなる群より選択される、請求項49記載の装置。
  54. 有向性の力を提供するための供給源が磁石を含む、請求項49記載の装置。
  55. 有向性の力を提供するための供給源が液体の流動を含む、請求項49記載の装置。
  56. 光学手段が顕微鏡を含む、請求項49記載の装置。
  57. 光学手段がカメラを含む、請求項49記載の装置。
  58. 以下を含むサンプル調製モジュールをさらに含む、請求項49記載の装置:
    生物学的サンプルを受け取るための容器;ならびに
    配列決定する核酸の単離および調製に関係する試薬および緩衝液を収容および輸送するためのフルイディクス手段(fluidics)。
  59. 試薬が細胞溶解試薬および切断酵素からなる群より選択される、請求項58記載の装置。
  60. 緩衝液が溶解緩衝液および洗浄緩衝液からなる群より選択される、請求項58記載の装置。
  61. 以下を含む鋳型仕上げモジュール(Template Finishing Module)をさらに含む、請求項58記載の装置:
    RNAポリメラーゼプロモーター配列および回転タグを核酸分子に付加するのに関係する試薬および緩衝液を収容および輸送するためのフルイディクス手段。
  62. 試薬が、リガーゼ酵素、分子モーター結合配列、磁気タグおよび係留手段(tether)からなる群より選択される、請求項61記載の装置。
  63. 緩衝液が、リガーゼ緩衝液、磁気参照タグ結合緩衝液、回転タグ結合緩衝液および酵素結合緩衝液からなる群より選択される、請求項61記載の装置。
  64. 標的核酸分子の第1位置に関して第1データを受け取る工程であって、第1データが回転の存在もしくは非存在および/または回転タグの回転間の時間長を示す、工程;
    標的核酸分子の第1位置に関して第2データを受け取る工程であって、第2データが転写時に利用可能な1つまたは複数のヌクレオシド三リン酸の存在および/または量を示す、工程;
    標的核酸分子の第2位置に関して別の第1データおよび別の第2データを受け取る工程;
    標的核酸分子の第3位置に関してさらに別の第1データおよびさらに別の第2データを受け取る工程;
    第1データおよび第2データを受け取る工程を、標的核酸分子の第4およびそれ以降の位置に関して繰り返す工程;ならびに
    各位置に関して受け取った第1データおよび第2データに基づき標的核酸分子の配列を決定する工程
    を含む、標的核酸分子の転写時に得られるデータに基づいて、回転タグを含む標的核酸分子の配列を決定する方法。
  65. 第1データおよび第2データが、示された位置のヌクレオチドとして記録される、請求項64記載の方法。
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