JP2001505054A - キメラアデノウイルスベクター - Google Patents

キメラアデノウイルスベクター

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Abstract

(57)【要約】 キメラアデノウイルスベクターであって、第1のアデノウイルスのヌクレオチド配列を含み、前記ベクターの標的哺乳動物細胞への結合あるいは前記細胞中へのそのインターナリゼーションを促進するタンパク質をコードする前記第1のアデノウイルスの少なくとも1つの遺伝子の全部または一部が、サブグループDに属する第2のアデノウイルスからの対応する遺伝子の全部または一部で置換されており、ベクターがさらに、哺乳動物細胞中でそれからの発現を可能とするための真核生物プロモーターに機能可能なように結合した導入遺伝子を含むものである前記ベクターが提供される。このようなベクターを含む組成物、及びこのようなベクターを使用して標的哺乳動物細胞、特に気道上皮細胞に導入遺伝子を送達する方法も提供される。

Description

【発明の詳細な説明】 キメラアデノウイルスベクター 本発明はキメラアデノウイルスベクター、すなわちアデノウイルスの1種よリ 多い血清型からのDNAを含むベクターに関し、これは導入遺伝子を含むその中 の治療上有用なヌクレオチド配列を送達するための標的細胞に対する増強された 感染効率を提供する。このようなヌクレオチド配列は、標的細胞中に存在しない 、治療的及び/または生物学的に活性なタンパク質をコードする遺伝子を含みう るか、あるいは、例えば標的細胞中にすでに存在するが欠損または欠陥形態であ る遺伝子の活性コピーに相当しうる。発明の背景 現在医療実務者が直面している基本的な問題の一つは、多数の遺伝疾患と関連 する(あるいは種々の癌を含む疾患危険因子を示す)欠損遺伝子が単離され特性 化されているが、患者にそのような遺伝子の正常なコピーを与えて疾患状態を修 正する方法(遺伝子療法の技術)が実質的にないことである。従って、そのため の細胞内送達の改善された方法を開発することは医学上大きな重要性を有する。 遺伝子療法によって治療できることが望まれる疾患の例としては、遺伝的障害、 例えば嚢胞性線維症、ゴーシエ病、ファブリー病及び筋ジストロフィー等が挙げ られる。治療され得る後天的な疾患の代表的なものとしては以下のもの、すなわ ち(1)癌については、多発性骨髄腫、白血病、黒色腫、卵巣癌、及び小細胞肺 癌、(2)心臓血管疾患症状としては、進行性心不全、再狭窄、及び血友病、な らびに(3)神経学的症状としては、外傷性脳障害が挙げられる。 遺伝子療法は、患者の標的細胞に核酸をうまく導入することを必要とする。遺 伝子導入は一般に、発現可能なポリヌクレオチド(例えば遺伝子、cDNAまた はその上にパターンを形成するmRNA)を細胞に導入するプロセスとして定義 することができる。このアプローチの特定の適用においては、コードポリヌクレ オチドの発現が成功すると細胞中で正常なタンパク質が生産され、異常な遺伝子 と関連する疾患状態が補正される。例えば、細胞膜は進入に対して選択的に透過 させるバリアとなることから、標的細胞に直接そのようなタンパク質を与えるこ とに基づく療法(タンパク質代替療法)は一般に無効であることが判明している 。従って、特に、多くの場合導入遺伝子と呼ばれる関連したポリヌクレオチドの 導入によって治療的タンパク質を送達することができる代替的方法は非常に利益 がある。 これまで標的細胞に導入遺伝子を送達するためにはウイルスベクターが用いら れることが多くなってきている。遺伝子療法のためにウイルスベクターを使用す る試みの大部分は、主に細胞ゲノムに組込みを起こすその能力により、レトロウ イルスに基づくベクターに依存するものであった。しかし、レトロウイルスベク ターの欠点はますます明らかになってきており、それらが分裂細胞についてのみ 向性を示すこと、細胞ゲノムへの組込みの際の挿入突然変異導入の可能性、導入 遺伝子の発現が経時的に減少すること、血清補体により急速に不活性化すること 、複製する能力があるレトロウイルスの生成の可能性等が挙げられる。例えばD .Jollyら、Cancer Gene Therapy,1,1994,pp.51-64、及びC.P.Hodgsonら、 Bio Technology,13,1995,pp.222-225を参照。そのような欠点により、アデ ノウイルス由来のもののような他のウイルスに基づくベクター系が開発されるこ とになった。 アデノウイルス(Ad)ば約36kbのゲノムを有する核DNAウイルスであり、これ は古典的遺伝学及び分子生物学の研究により十分に特性化されてきた。アデノウ イルスについての詳細な解説はThomas Shenk,"Adenoviridae and their Replic ation"、及びM.S.Horwitz,"Adenoviruses"、それぞれVirology,B.N.Fields ら、eds.,2nd edition,Raven Press,Ltd.,New York,1996の67章及び68章に 見られ、それらにはアデノウイルスの病理学、疫学、構造、複製、遺伝学及び分 類等の多くの面についての引用文献が記載されている。 単純化された形態においては、アデノウイルスゲノムは初期(E1〜E4として知 られている)及び後期(L1〜L5として知られている)転写単位に分類され、これ はウイルスタンパク質の2つの一時的なクラスの生成を示すものである。これら の事象の間の境界は、ウイルスDNAの複製である。 ヒトアデノウイルスは、赤血球凝集反応、腫瘍原性、DNA塩基及びタンパク 質アミノ酸組成及び相同性及び抗原関連性を含む多数の性状に基づいてく多数の 血清型に分類される(およそ47、しかるべく番号が付され、6つのサブグループ 、A、B、C、D、E及びFに分類される)。例えば、F.Deryckereら、Journal of Vi rology,70,1996,pp.2832-2841;及びA.Baileyら、Virology,205,1994,pp .438−452及びその他の当分野で知られる文献において、サブグループDについ てものを含む、Ad血清型分類に関する別の背景情報が見られる。 アデノウイルスは、エンベロープを有しておらず、直径約65〜80nmの正二十面 体(20の三角形の面及び12の頂点を有する)である。ファイバーと呼ばれるタン パク質がこれらの頂点の各々から突出している。ファイバータンパク質は、長さ は血清型により変化するが、それ自体は一般に3つの全く同じポリペプチド鎖か らなる。タンパク質外皮(カプシド)は252のサブユニット(カプソメア)から なり、その240はヘキソンであり、12はペントンである。各ペントンはカプシド の表面においてペントンベースを含み、そのベースから突出しているファイバー タンパク質を含む。例えば、Ad2ペントンベースタンパク質は、各々571アミノ酸 の5つの全く同じタンパク質サブユニットから形成される8×9nmの環状複合体で あることが判明している。 アデノウイルス−細胞相互作用の現在の理解によれば、アデノウイルスは2種 の細胞受容体を使用して標的細胞に付着し、それに感染することが示唆されてい る。さらに、感染アデノウイルスのファイバータンパク質が、その実体は未知で ある最初の受容体に付着し、その後ペントンベースが、αインテグリンファミリ ーのタンパク質であることが多い別の受容体に付着することが示唆されている。 α-インテグリンがトリペプチド配列Arg-Gly-Asp(RGDと略記する)を含む付着 対象となるその他の細胞タンパク質上の短いアミノ酸配列を認識することが多い ことが判明している。RGD配列はまた、アデノウイルスのペントンベースタンパ ク質にも見いだされており、αインテグリンに対するAdの付着を媒介するものと 現在当分野において理解されている。 組換えアデノウイルスは遺伝子導入ベクターとして使用するためのいくつかの 利点を有し、分裂及び非分裂細胞の両者に対する向性、最小限の病原潜在性、ベ クター株を調製するための高力価に複製する能力、大きい挿入物を保持する能力 等が挙げられる(Berkner,K.L.,Curr.Top.Micro.Immunol.158:39-66,199 2;Jolly,D.,Cancer Gene Therapy 1:51-64,1994)。 アデノウイルスベクターの有する保持容量は、ベクター中に存在するアデノウ イルスゲノムのサイズに比例する。例えば、ウイルス増殖に必須ではないウイル スゲノム、特定の領域、例えばE3の削除、及び293細胞(Graham,F.L.,J.Gen. Viral.36:59-72,1977)またはA549細胞(Imlerら、Gene Therapy 3:75-84,1996 )から途中で(in trans)その機能が修復されうるE1のようなゲノム領域の削除に より約8kbの容量を形成することができる。そのようなE1を削除されたベクター は複製欠損(replication-defective)となり、これは遺伝子導入のためのアデノ ウイルスを製造するために望ましいものである。最適な保持容量についてのベク ターDNA容量の上限は、野生型ゲノムの長さの約105%〜108%である。別のアデ ノウイルスゲノム修飾は、例えばE2aの相補(Zhouら、J.Viral.70:7030-7038, 1996)、E4の相補(Krougliakら、Hum.Gene Thero 6:1575-1586,1995;Wangら、G ene Ther.2:775-783,1995)、あるいはタンパク質IXの相補(Caravokyriら、J. Viral.69:6627-6633,1995;Krougliakら、Hum.Gene Ther.6:1575-1586,1995 )のようなその他のウイルス遺伝子産物を途中で与える細胞系を使用したベクタ ー設計において可能である。最大の保持容量は、全ウイルスコード配列を削除し たアデノウイルスベクターを使用して得ることができる(Kochanekら、Proc.Natl .Acad.Sci.USA 93:5731-5736,1996;Fisherら、Virology 217:11-22,1996)。 これまでアデノウイルスベクターによって発現された導入遺伝子としては、p5 3(Willsら、Human Gene Therapy 5:1079-188,1994)、ジストロフィン(Vincent ら、Nature Genetics 5:130-134,1993)、エリスロポエチン(Descampsら、Human Gene Therapy 5:979-985,1994)、オルニチントランスカルバミラーゼ(Stratfo rd-Perricaudetら、Human Gene therapy 1:241-256,1990;Weら、J.Biol.Chem .271;3639-3646,1996)、アデノシンデアミナーゼ(Mitaniら、Human Gene Ther apy 5:941-948,1994)、インターロイキン-2(Haddadaら、Human Gene Therapy4: 703-711,1993)及びαl-アンチトリプシン(Jaffeら、Nature Genetics 1:372-378,1992)、トロンボポエチン(Ohwadaら、Blood 88:778-784,1996)、及 びシトシンデアミナーゼ(Ohwadaら、Hum.Gene Ther.7:1567-1576,1996)等が 挙げられる。 呼吸器官細胞に対するアデノウイルスの特定の向性は、コーカサス人において 最も通常に見られる常染色体劣性疾患である嚢胞性線維症(CF)の遺伝子療法にお けるアデノウイルスの使用に特に関連が深い。この疾患は、嚢胞性線維症膜貫通 調節タンパク質(CFTR)として知られているタンパク質をコードする遺伝子におけ る一以上の突然変異の存在に起因し、このタンパク質は肺上皮細胞を含む上皮細 胞の細胞膜を横切るイオン(従って液体)の動きを調節するものである。気道細 胞における異常なイオン輸送は、異常な粘液分泌、炎症及び感染、組織損傷及び 最終的に死亡を招く。気道上皮におけるcAMP調節Cl-チャンネルを阻害するCFTR 遺伝子中の突然変異は肺の機能不全を起こす(Zabnerら、Nature Genetics 6:75- 83,1994)。CFTR遺伝子を保持するために遺伝子操作されたアデノウイルスベク ターが開発され(Richら、Human Gene Therapy 4:461-476,1993)、研究により、 CF患者の鼻上皮(Zabnerら、Cell 75:207-216,1993)、コトンラット及び霊長目 動物の気道上皮(Zabnerら、Nature Genetics 6:75-83,1994)、及びCF患者の呼 吸器上皮(Crystalら、Nature Genetics 8:42-51,1994)にCFTRを送達するこれら のベクターの能力が示された。最近の研究により、CF患者の気道上皮細胞にCFTR をコードするDNA配列を含むアデノウイルスベクターを投与することにより、 治療された上皮細胞中で機能する塩化物イオンチャネルを復元できることが示さ れた(Zabnerら、J.Clin.Invest.97:1504-1511,1996;米国特許第5,670,488号 、1997年9月23日発行)。 血清型分類は、部分的にはウイルス表面タンパク質配列の種類に基づく。ウイ ルスの感染能力は細胞のタンパク質とのウイルスの表面タンパク質相互作用と関 連するので、血清型は標的細胞へのウイルス進入の重要な決定要因であり、これ によりアデノウイルス血清型の感染異質性を説明することができる。殆どのアデ ノウイルスベクターは、よく研究されたグループCアデノウイルスからのアデノ ウイルス血清型、特にAd2及びAd5を使用して構築されてきた。しかし、その他の アデノウイルス血清型が、改善されたアデノウイルスベクターの別の設計に適 した感染特性を示し、例えばサブグループDから得られたものはヒト気道上皮細 胞に対する増強された向性を示す。 遺伝子療法が一定の疾病状態について長続きし予測できる治療の形態を与える ことが広く望まれ、おそらくそれが多くの遺伝疾患に適した療法の唯一の形態で ある可能性が高い。アデノウイルスベクターは現在臨床的に使用され、治療上の 有望性を示しているが、さらにそれらの遺伝子導入能力を向上させるためにこれ らのベクターの感染効率を改善する必要が残されている。本発明はこの目的に係 わるものである。発明の概要 本発明は、1種以上の導入遺伝子を送達するための増強された標的細胞の感染 効率を示すキメラアデノウイルスベクターを提供する。本発明の代表的な態様に おいては、ベクターは治療上有用なタンパク質をコードするヌクレオチド配列を 含み、気道上皮細胞に対する増強された指向性を有している。 従って、キメラアデノウイルスベクターが提供され、これは第1のアデノウイ ルスのヌクレオチド配列を含み、前記ベクターの標的哺乳動物細胞への結合ある いは前記細胞中へのそのインターナリゼーションを促進するタンパク質をコード する前記第1のアデノウイルスの少なくとも1つの遺伝子が、サブグループDに 属する第2のアデノウイルスからの対応する遺伝子で置換されているものである 。このベクターはさらに、哺乳動物細胞中でそれからの発現を可能とするための 真核生物プロモーターあるいはその他の調節エレメントに機能可能なように結合 した導入遺伝子を含むものであってもよい。その代表的な態様においては、置換 されたコード配列はAdファイバー、ヘキソンまたはペントンベースをコードする ものである。 本発明の別の好ましい実施形態においては、キメラアデノウイルスベクターが 提供され、これは第1のアデノウイルスのヌクレオチド配列を含み、前記ベクタ ーの標的哺乳動物細胞への結合あるいは前記細胞中へのそのインターナリゼーシ ョンを促進するタンパク質をコードするその遺伝子の一部が、サブグループDに 属する第2のアデノウイルスからの対応する遺伝子の一部で置換されているもの である。このベクターはさらに、哺乳動物細胞中でそれからの発現を可能とする ための真核生物プロモーターあるいはその他の調節エレメントに機能可能なよう に結合した導入遺伝子を含むものであってもよい。その代表的な態様においては 、置換されたコード配列はAdファイバー、ヘキソンまたはペントンベースの一部 をコードするものである。 好ましくは、第2のアデノウイルスはサブグループDのメンバーであり、置換 されたヌクレオチド配列は、Adファイバー、Adファイバーの断片、Adヘキソン、 Adヘキソンの断片、Adペントンベース及びAdペントンベースの断片からなる群か ら選択されるポリペプチドをコードする。好ましい実施形態においては、前記第 2のアデノウイルスが、血清型Ad9、Ad15、Ad17、Ad19、Ad20、Ad22、Ad26、Ad2 7、Ad28、Ad30及びAd39からなる群から選択される。前記キメラアデノウイルス ベクターの好ましい実施形態においては、第1のアデノウイルスは、Ad2、Ad5及 びAd12からなる群から選択される。 本発明はまた、本発明のキメラアデノウイルスベクターを含む組成物に関する 。本発明の別の態様は、哺乳動物標的細胞、例えば患者の気道上皮細胞に導入遺 伝子を送達するために本発明のキメラアデノウイルスベクターを使用する方法を 含む。 本発明のまた別の代表的な態様は、治療的及び/または生物学的に活性なタン パク質を患者の気道上皮細胞に与える方法であって、Ad17ゲノムのエレメント、 及び哺乳動物細胞中でそれからの発現を可能とするための真核生物プロモーター に機能可能なように結合した治療的タンパク質をコードする導入遺伝子を含むア デノウイルスベクターを、前記治療的タンパク質をコードする導入遺伝子が発現 され、前記気道上皮細胞中で治療上の利益が生成される条件下に、前記細胞に与 えることによる前記方法を包含する。 本発明のこれらの態様及び他の態様は、後記の発明の詳細な説明において記載 する。図面の簡単な説明 図1は、Ad2によるNHBE細胞の感染を示す。 図2は、Ad17によるNHBE細胞の感染を示す。 図3は、Ad2及びAd17によるヒト鼻ポリープ上皮細胞単離株に対する結合の結 果をプロットしたものである。 図4は、ベクターAd2/βgal-2/ファイバーAd17の地図である。 図5は、Ad17(上)[配列番号4]及びAd2(下)[配列番号5]からのペントンベース のアミノ酸配列の比較を示し、さらに可変RGD含有領域を示す。 図6は、f102(家禽からのもの)を含む特定のAd血清型からのペントンベー スについてアミノ酸配列[配列番号6〜配列番号10]を並べて示すものである。 図7は、Ad17(上)[配列番号11]及びAd2(下)[配列番号12]からのファイバーの アミノ酸配列の比較を示す。 図8は、1つの変異体がファイバー遺伝子の2つの(しかし同一でない)コピ ーを有するという点で異なる血清型40の2つの形態(40-1及び40-2)を含む、特 定のAd血清型からのファイバーのアミノ酸配列[配列番号11〜配列番号22]を並べ て示すものである。 図9は、アデノウイルス血清型による結腸癌細胞系の感染効率を示す。 図10は、アデノウイルス血清型による癌細胞系の感染効率を示す。 本明細書に添付する配列表には以下のものも記載した。 配列番号1:Ad17の完全ヌクレオチド配列、 配列番号2:Ad17のファイバーの完全コードヌクレオチド配列、 配列番号3:Ad17のペントンベースの完全コードヌクレオチド配列。発明の詳細な説明 本発明は、キメラアデノウイルスベクターであって、第1のアデノウイルスの ヌクレオチド配列を含み、前記ベクターの標的哺乳動物細胞への結合あるいは前 記細胞中へのそのインターナリゼーションを促進するタンパク質をコードする前 記第1のアデノウイルスの少なくとも1の遺伝子が、サブグループDに属する第 2のアデノウイルスからの対応する遺伝子に置換されており、ベクターがさらに 、哺乳動物細胞中でそれからの発現を可能とするための真核生物プロモーターに 機能可能なように結合した導入遺伝子を含むものである前記ベクターを提供する 。 その代表的な形態においては、置換されたコード配列はAdファイバー、ヘキソン もしくはペントンベースタンパク質あるいはそれらの組合せをコードする遺伝子 に対応するものである。 本発明の別の好ましい態様においては、キメラアデノウイルスベクターであっ て、第1のアデノウイルスのヌクレオチド配列を含み、前記ベクターの標的哺乳 動物細胞への結合あるいは前記細胞中へのそのインターナリゼーションを促進す るタンパク質をコードするその遺伝子の部分が、サブグループDに属する第2の アデノウイルスからの対応する遺伝子の部分に置換されており、ベクターがさら に、哺乳動物細胞中でそれからの発現を可能とするための真核生物プロモーター に機能可能なように結合した導入遺伝子を含むものである前記ベクターが提供さ れる。その代表的な形態においては、置換されたコード配列はAdファイバー、ヘ キソンもしくはペントンベースタンパク質、あるいはそれらの組合せの部分をコ ードするものである。第2のアデノウイルスからの遺伝子の部分を使用してキメ ラアデノウイルスベクターを構築する場合は、そのような配列は該ベクターに所 望の血清型特異的ウイルス-細胞相互作用を与えるのに十分な長さのものとする 。 本発明は、サブグループDに分類されるAd血清型のゲノムに実質的に基づくか 、またはサブグループDアデノウイルスの一定のAd-タンパク質をコードするポリ ヌクレオチド配列を含むアデノウイルスベクターが、ヒト細胞に結合するかその 中にインターナライズしてそのアデノウイルス中に含まれる治療的導入遺伝子が 効率的に発現されるようにするのに特に効果的であるという知見を利用するもの である。この発見は、サブグループDのアデノウイルス血清型が臨床的にはヒト 呼吸器疾患とは関連せず、例えば結膜炎との関連がより典型的であるということ を考慮すると特に驚くべきことである。この向性の認識は、嚢胞性線維症または α1-アンチトリプシン欠損のような認識された疾病状態の遺伝子療法による治療 に特に適したものである。この発見は、サブグループDのアデノウイルス血清型 が臨床的にはヒト呼吸器疾患とは関連せず、例えば結膜炎との関連がより典型的 であるということを考慮すると特に驚くべきことである。この向性の認識は、嚢 胞性線維症またはαl-アンチトリプシン欠損のような認識された疾病状態の遺伝 子療法による治療に特に適したものである。 本発明の代表的な形態においては、アデノウイルスベクターは、1以上の導入 遺伝子をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、気道上皮細胞に対する増強 された向性を有している。好ましくは、キメラアデノウイルスベクターは複製欠 損を有し、これは個体に投与されるアデノウイルスベクターの安全性を増強する のに貢献する特徴である。 好ましくは、第2のアデノウイルスはサブグループDのメンバーであり、置換 されたヌクレオチド配列は、Adファイバー、Adファイバーの断片、Adヘキソン、 Adヘキソンの断片、Adペントンベース及びAdペントンベースの断片からなる群か ら選択されるポリペプチドをコードする。好ましい態様においては、前記第2の アデノウイルスが、血清型Ad9、Ad15、Ad17、Ad19、Ad20、Ad22、Ad26、Ad27、A d28、Ad30及びAd39からなる群から選択される。最も好ましい態様においては第 2のアデノウイルスはAd17である。キメラアデノウイルスベクターのその他の好 ましい態様においては、第1のアデノウイルスは、Ad2、Ad5及びAd12からなる群 から選択される。 特定のサブグループD血清型のE4領域の報告された任意の形質転換特性は、本 発明の実施により使用することが好ましいAd血清型に拡張されないという実質的 な証拠がある(例えばR.Javierら、Science,257,1992,pp.1267-1271)。また 例えば、サブグループD E4領域の個々のORF、例えばORF1は削除され得ると予測 される。 本発明の別の形態は、生物学的に活性な及び/または治療的なタンパク質を、 表現型の利益を与えるために、哺乳動物細胞、例えば、限定するものではないが 、個体の気道上皮細胞に与える方法を包含する。本発明のこの形態によれば、第 1のアデノウイルスのヌクレオチド配列が第2のアデノウイルスからの対応する ヌクレオチド配列により置換されているものであるキメラアデノウイルスベクタ ーを使用する。好ましくは、第2のアデノウイルスはサブグループDのメンバー であり、置換されたヌクレオチド配列は、Adファイバー、Adヘキソン、Adペント ンベースの一部または全部、あるいはそれらの組合せをコードするポリペプチド をコードするものである。 本発明のさらに別の代表的な形態は、生物学的に活性な及び/または治療的な タ ンパク質を患者の気道上皮細胞に与えることを包含し、これはアデノウイルスベ クターであって、Ad17ゲノムのエレメント、及び哺乳動物細胞中でそれからの発 現を可能とするための真核生物プロモーターに機能可能なように結合された前記 タンパク質をコードする導入遺伝子を含む前記ベクターを、前記タンパク質をコ ードする導入遺伝子が発現され、前記気道上皮細胞中で所望の表現型の利益が生 成される条件下に前記細胞に与えることによる。本発明の実施によれば、呼吸器 上皮(鼻気道、気管、気管支及び肺の肺胞を含む)、あるいはその他の身体の組織 に導入遺伝子を送達するのに使用されるキメラアデノウイルスベクターが、当分 野で認められているような分類により、サブグループDの範囲内の血清型を含む ことが好ましい。 本発明のキメラアデノウイルスベクターを構築するためには、当業者に周知の 分子生物学及び微生物学からの技術を使用してどのようにそのようなベクターを 設計し、構築し、増殖させるかについて多くの文献の実質的な本文を参照するこ とができる。本発明のキメラアデノウイルスベクターのバックボーンとして使用 することができるアデノウイルスベクターゲノムの具体例としては、1997年9月 23日発行の米国特許第5,670,488号(引用により本明細書の一部とする)に記載さ れたAd2/CFTR-1及びAd2/CFTR-2及びその他のもの等が挙げられる。そのようなベ クターは、E1領域の欠失、E4領域の部分的あるいは完全な欠失、及び例えば、E2 及びE3領域内での欠失を含むことができる。例えば、ウイルス内で1以上のAd17 のカプシドタンパク質またはその断片を有するAd2バックボーンを含むキメラベ クターは、本発明の範囲内である。本発明のキメラアデノウイルスベクターに使 用することができるその他のアデノウイルスベクターゲノム設計物は、1995年3 月24日出願の特許された米国特許出願第08/409,874号、1995年10月6日出願の特 許された米国特許出願第08/540,077号(両者とも引用により本明細書の一部とす る)のものを含む。 転写単位を含む本発明の組換えキメラアデノウイルスベクターを構築するため には、当業者であれば分子生物学の標準的方法を使用してバックボーンベクター ゲノム中に導入遺伝子あるいはカプシドタンパク質を形成することができる(Ber kner,K.L.,Curr.Top.Micro.Immunol.158:39-66,1992)。例えば、アデ ノウイルスゲノム断片に挿入された導入遺伝子及び任意の機能可能なように結合 された調節エレメントを含むプラスミドを、対象のアデノウイルスベクターから 得た直線化されたウイルスゲノムとともに、ゲノム断片とウイルスとの間で相同 組換えが起こるような条件下で受容細胞に同時トランスフェクトすることができ る。好ましくは、導入遺伝子はE1欠失の部位に形成する。その結果、それがプラ スミドにクローン化された部位で、導入遺伝子がアデノウイルスゲノムに挿入さ れ、組換え体アデノウイルスベクターが形成される。また、キメラアデノウイル スベクターは、標準的なライゲーション法を使用して構築することができ、例え ば、第1のアデノウイルスからファイバー遺伝子を含む制限断片を除去し、その 部位に第2のアデノウイルスからのファイバー遺伝子を含む制限断片をライゲー トする。本発明のキメラアデノウイルスベクターの代表的な例はAd2/βgal-2フ ァイバー17(実施例6に例示した)である。 キメラアデノウイルスベクターの構築は、当分野で広く利用可能なアデノウイ ルスDNA配列情報、例えばGenBankのような核酸配列データベースに基づくこ とができる。 複製欠損を有するキメラアデノウイルスベクター株の調製は、ベクターから削 除されたウィルス遺伝子を相補する細胞系、例えば削除されたアデノウイルスE1 ゲノム配列を含む293またはA549細胞を使用して達成することができる。HER3細 胞(Ad12によって形質転換されたヒト胎児網膜芽細胞)を相補細胞系として使用 することは注目に値する。適当な相補細胞系においてプラークを増幅した後、ウ イルスを凍結融解により回収しその後塩化セシウム遠心分離を使用して精製する ことができる。あるいは、例えば1996年8月30日出願の国際出願、PCT/US96/138 72(引用により本明細書の一部とする)に記載されるように、ウイルス精製はクロ マトグラフィー法を使用して行うことができる。 複製欠損キメラアデノウイルスベクター株の力価は、相補細胞系、例えば293 細胞中でのプラーク形成により測定することができる。アデノウイルスヘキソン タンパク質に対する抗体を使用する終末点希釈法を使用して標的細胞のウイルス 産生または感染効率を定量することができる(Armentanoら、Hum.Gene Ther.6: 1343-1353,1995、引用により本明細書の一部とする)。 本発明のキメラアデノウイルスベクターにより送達することができ、それから 発現できる導入遺伝子は、限定するものではないが、酵素、血液誘導体、ホルモ ン、インターロイキン及びインターフェロンのようなリンフォカイン、血液凝固 物質、成長因子、神経伝達物質、腫瘍抑制物質、アポリポタンパク質、抗原、抗 体及びその他の生物学的に活性なタンパク質をコードするものが挙げられる。本 発明のキメラアデノウイルスベクターによりコードされることができる具体的な 導入遺伝子としては、限定するものではないが、嚢胞性線維症膜貫通調節タンパ ク質(CFTR)、ジストロフィン、グルコセレブロシダーゼ、腫瘍壊死因子、p53、p 21、単純ヘルペスチミジンキナーゼ、及びガンシクロビル、網膜芽細胞腫(Rb) 及びアデノシン−デアミナーゼ(ADA)等のものが挙げられる。アンチセンス分 子またはリボザイムをコードする導入遺伝子も本発明の範囲内である。ベクター は、1以上の調節エレメントの制御下の1以上の導入遺伝子を含むことができる 。 1以上の導入遺伝子をコードするDNA配列を含むことに加えて、本発明のキ メラアデノウイルスベクターは、プロモーターまたはエンハンサー、ポリアデニ ル化エレメント、及び発現をモジュレートするか増加させるために使用すること ができるその他の任意の調節エレメントのような任意の発現調節配列も含むこと ができ、これらはいずれも導入遺伝子の発現を与えるために機能可能なように結 合される。導入遺伝子の発現を促進する任意の発現調節配列あるいは調節エレメ ントの使用は本発明の範囲内である。そのような配列またはエレメントは、組織 特異的発現を生成することができることができるか、あるいは外来物質もしくは 剌激による誘導に感受性を有し得るものである。 また、本発明のキメラアデノウイルスベクターによる標的細胞の感染は、カチ オン性分子、例えば1996年6月20日公開のPCT国際公開WO96/18372(引用により 本明細書の一部とする)に記載されたカチオン性脂質を使用することにより促進 することができる。 カチオン性両親媒性物質は、極性及び非極性ドメインの両者を含む化学構造を 有し、このため該分子はその非極性ドメインで脂質膜を横切って侵入することを 促進することができ、同時にそのカチオン性極性ドメインが膜を横切って輸送さ れる生物学的に有用な分子に付着する。 本発明のキメラアデノウイルスベクターと複合体を形成するのに使用できるカ チオン性両親媒性物質としては、限定するものではないが、カチオン性脂質、例 えばDOTMA(Felgnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413-7417,1987)(N-[1 -(2,3-ジオレトロキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド)、DO GS(ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン)(Behrら、Proc.Natl.Acad.Sci .USA 86:6982-6986,1989)、DMRIE(1,2-ジミリスチルオキシプロピル-3-ジメ チル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド)(Felgnerら、J.Biol.Chem.26 9:2550-2561,1994、及びDC-chol(3B[N-N・,N・-ジメチルアミノエタン)-カルバ モイル]コレステロール)(Epandらの米国特許第5,283,185号)等が挙げられる。 当分野において知られる、あるいは今後見出されるその他のカチオン性両親媒性 物質の使用は本発明の範囲内である。 本発明の好ましい態様においては、本発明のベクターと複合体化しその導入を 促進するのに有用なカチオン性両親媒性物質は、1996年6月20日公開のPCT国際 公開WO96/18372(引用により本明細書の一部とする)に記載された脂質である。プ ラスミド及び/またはウイルスの送達において使用する本明細書で記載した好ま しいカチオン性両親媒性物質は、GL-53、GL-67、GL-75、GL-87、GL-89及びGL-12 0であり、それらのプロトン化された形態、部分的にプロトン化された形態、及 び脱プロトン化された形態を含む。別の態様は、前記PCT出願の22〜23頁に記載 されるような非T字形の両親媒性物質を使用するものであり、それらのプロトン 化された形態、部分的にプロトン化された形態、及び脱プロトン化された形態を 含む。最も好ましくは、本発明のベクターを送達するために使用することができ るカチオン性両親媒性物質は、スペルミンコレステロールカルバメート(GL-67 )である。 本発明のキメラアデノウイルスベクターを含む組成物の製剤には、中性共脂質 、例えばジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)とともに1以上の カチオン性両親媒性物質を配合してベクターの細胞への送達を促進することがで きる。これらの複合体に使用することができるその他の共脂質としては、限定す るものではないが、ジフィタノイルホスファチジルエタノールアミン、リソ-ホ スファチジルエタノールアミン、その他のホスファチジルエタノールアミン、ホ スフ ァチジルコリン、リソ-ホスファチジルコリン及びコレステロールが挙げられる 。カチオン性両親媒性物質の共脂質に対する好ましいモル比は、1:1である。し かし、かなりの範囲にわたってこの比を変化させることも本発明の範囲内である 。本発明の好ましい態様においては、カチオン性両親媒性物質GL-67及び中性共 脂質DOPEを、細胞への送達のためにキメラアデノウイルスベクターと複合体化す る前にそれぞれ1:2のモル比で混合する。 キメラアデノウイルスベクターとともにカチオン性両親媒性物質を含む複合体 の製剤において、107〜1010感染単位の好ましい範囲のウイルスを、104〜106の カチオン性両親媒性物質分子/ウイルス粒子と混合することができる。 本発明のキメラアデノウイルスベクターの感染効率は、標的細胞の感染を標準 的な方法で測定することによりアッセイすることができる。そのような方法とし ては、限定するものではないが、プラーク形成、例えばアデノウイルスヘキソン タンパク質に対する抗体を使用した終末点希釈法、放射性標識ウイルスを使用し た細胞結合アッセイ等が挙げられる。改善された感染効率は、対照ウイルスに対 して少なくとも1桁の大きさの感染の増加として定義することができる。キメラ アデノウイルスベクターがマーカーまたはその他の導入遺伝子をコードする場合 、発現を測定するための適した分子アッセイとしては、例えばノーザンブロット 、S1分析あるいは逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によって導入遺伝子m RNAを測定することを含む。導入遺伝子によってコードされたタンパク質の存 在は、ウエスタンブロット、免疫沈降、免疫細胞化学分析、あるいは当業者に知 られたその他の方法により検出することができる。β-ガラクトシダーゼをコー ドするキメラアデノウイルスベクターを感染させた細胞のX-gal染色のような、 マーカー特異的アッセイも使用することができる。 in vivoで本発明の構築物及び組成物を使用して導入遺伝子発現及び感染効率 を測定するためには、潜在的な宿主免疫反応のバックグラウンドに対する導入遺 伝子の持続性を調べるのに動物モデルが特に適したものであり得る。そのような モデルは、送達の容易さ、導入遺伝子の種類、適した分子アッセイ、及び臨床状 態の事前評価のようなパラメーターを考慮して選択することができる。それが欠 如することが特定の疾患状態と関連するタンパク質を導入遺伝子がコードする場 合は、その疾患状態を示す動物モデルを特異的表現型の結果及び臨床的改良を調 査するために最適に使用することができる。しかし、本発明の特定のキメラアデ ノウイルスベクターが、例えば、一次細胞培養物、組織移植物、あるいは永続的 細胞系を使用したヒトモデル系においてのみ増強された感染効率を示すという可 能性もある。ヒト細胞についてのキメラアデノウイルスベクターの感染効率をモ デル化する動物モデル系が利用できないというような状況下では、当分野で知ら れたヒト細胞培養モデルが最も有用で明確なものであろう。 キメラアデノウイルスベクターをアッセイすることができる適当な動物として は、限定するものではないが、マウス、ラット、サル及びウサギが挙げられる。 ベクターを試験することができる適当なマウス株としては、限定するものではな いが、C3H、C57B1/6(野生型及びヌード)及びBalb/c(Taconic Farms,Germantow n,New Yorkから入手できる)が挙げられる。 ベクター投与に対する宿主免疫反応を調べることが望ましい場合は、免疫適格 の動物及び免疫不全の動物における試験を比較して免疫系によって生じる特異的 有害反応を調べることができる。免疫不全の動物、例えばヌードマウスを使用し て、ベクター性能及び導入遺伝子発現の持続性を、後天的な宿主反応の影響を受 けずに特性決定することができる。 導入遺伝子が試験動物の呼吸器上皮に投与される嚢胞性線維症膜貫通調節タン パク質(CFTR)をコードする遺伝子である特定の実施形態においては、CFTRの発 現は、適当な動物モデル、例えばC57B1/6またはBalb/cマウス、コトンラットま たはアカゲザルの肺中で分析することができる。発現を測定するのに使用できる 分子マーカーとしては、例えばノーザンブロット、S1分析またはRT-PCRによる、 CFTR mRNAの測定が挙げられる。CFTRタンパク質の存在は、ウエスタンブロ ット、免疫沈降、免疫細胞化学、またはその他の当業者に知られている方法によ って検出することができる。機能的なCFTRタンパク質に欠陥を有し、かつキメラ アデノウイルスベクターが導入された細胞を調べることができる組織培養におい てもそのようなアッセイを使用して、機能的なCFTR分子の存在を示す、機能的な 塩化物イオンチャネルの存在を判定することができる。 本発明のキメラアデノウイルスベクターは、in vivo及びin vitroにおいて多 くの有用性を有する。このベクターは、欠陥を有するか機能不全のタンパク質を 治療するために、標的細胞に生物学的に活性なタンパク質をコードする導入遺伝 子の正常なコピーを導入するために使用することができる。ベクターは、内在遺 伝子の発現レベルから導入された遺伝子の発現レベルを区別することを可能とす る標識された導入遺伝子(例えば、ヌクレオチド改変を含む)を導入するのに使 用することができる。キメラアデノウイルスベクターはまた、特異的なウイルス 表面タンパク質の配列により媒介される特異的ウイルスタンパク質-細胞タンパ ク相互作用のメカニズムを解明するために使用することもできる。またベクター は、例えば、ヒト鼻ポリープ細胞を感染させるためのAd17ファイバータンパク質 を含むキメラアデノウイルスベクターを使用して、アデノウイルスベクターによ る特異的標的細胞の感染効率を最適化するために使用することができる。個体中 の癌細胞に遺伝子を導入するためにアデノウイルスベクターを使用することが望 ましい場合、特異的な種類の標的癌細胞に選択的に感染し、無差別な感染を避け るキメラアデノウイルスベクターを選択することができる。初代細胞が遺伝子導 入を必要としている個体の腫瘍から単離される場合、遺伝子送達のために最適な 感染効率を有するベクターを選択するためにキメラアデノウイルスベクターのパ ネルに対して細胞を試験することができる。ベクターはさらに、腫瘍抗原を樹状 細胞へ導入するのに使用でき、それらは抗腫瘍免疫反応を惹起させるために個体 へ送達することができる。またキメラアデノウイルスベクターは、アデノウイル スベクターの遺伝子導入能力を低下させる特定のアデノウイルス血清型に対する 望ましくない免疫反応を避けるために使用することもできる。 本発明はさらに、本発明のキメラアデノウイルスベクターを含む組成物に関し 、該組成物は、1以上の所望の導入遺伝子をそのような分子を必要としている個 体の細胞へ送達し、生物学的に活性なタンパク質をコードしている導入遺伝子の 発現を起こして特異的な表現型の結果を得るために有効な量で投与することがで きる。カチオン性両親媒性物質-プラスミド複合体またはカチオン性両親媒性物 質-ウイルス複合体は、導入遺伝子の送達を必要とする個体に投与するための組 成物に配合することができる。 前記組成物は、任意の適した溶媒を含む生理的に許容されるキャリアーを含み 得る。本明細書で使用する、「生理的に許容されるキャリアー」は、任意のあら ゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌性及び抗真菌性薬剤、等張剤及び吸収遅 延剤等を含む。活性成分と不適合な従来の媒体あるいは薬剤を除いて、組成物中 で使用することができる。 本発明のキメラアデノウイルスベクターを含む組成物の投与経路は、標的器官 または組織への直接送達、鼻腔内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、経口及びその 他の非経口投与経路のような従来の生理的に許容される経路を含む。 本発明はさらに、in vivoあるいはex vivoの用途において本発明の組成物を使 用する方法に関し、該方法においては1種以上の導入遺伝子を細胞へ送達して、 導入遺伝子が生物学的に活性なタンパク質を生産して正常な生物学的効果あるい は表現型効果を発揮するようにすることが望ましい。in vivoの用途では、組成 物に処方された1種以上のキメラアデノウイルスベクターを個体の細胞に直接投 与することを含む。ex vivoの用途においては、in vitroで維持された自己由来 細胞にキメラアデノウイルスベクターを含む組成物を直接導入し、その後導入細 胞を受容者に再投与する。 生物学的に活性なタンパク質をコードする導入遺伝子の発現及び特異的表現型 結果を得るために個体に投与されるキメラアデノウイルスベクターの投与量は、 治療する症状、個体の年齢、体重及び臨床状態、及び生物学的に活性なタンパク 質の供給を必要とする特定の分子欠陥等の種々のパラメータを考慮して決定する 。投与が、分子アッセイまたは臨床的マーカーによって測定される特異的な表現 型結果を引き起こすように投与量を選択することが好ましい。例えば、個体に投 与するCFTR導入遺伝子を含むキメラアデノウイルスベクターの感染効率の測定は 、例えば、ノーザンブロット、S1もしくはRT-PCR分析によるCFTRmRNAの測定 、あるいはウエスタンブロット、免疫沈降、免疫細胞化学もしくは当業者に知ら れているその他の方法によって検出されるCFTRタンパク質の測定等を含む分子ア ッセイによって行うことができる。CFTR導入遺伝子の送達によって得られた表現 型結果を調べるために使用することができた適した臨床試験としては、肺機能の PFT評価及び肺の放射線学的評価が挙げられる。CFTRをコードする導入遺伝子の 送達は、導入遺伝子を含むベクターを投与した嚢胞性線維症を有する個体の細胞 中で機能的な塩化物チャンネルの存在を検出することによって実証することがで きる(Zabnerら、J.Clin.Invest.97:1504-1511,1996)。他の疾患状態におけ る導入遺伝子発現も、その症状に最も適した特異的臨床パラメータを使用して同 様に分析することができる。 生物学的に活性なタンパク質をコードする導入遺伝子の発現を与え、特異的な 表現型結果を得るのに有効なキメラアデノウイルスベクターの投与量は、ヒトで は約108感染単位(I.U.)〜1011I.U.の範囲である。 投与の容易さ及び投与量の均一性から、単位投与量形態で非経口組成物を処方 することが特に有利である。本明細書で使用する単位投与量形態とは、治療され る被検者のために単位投与量として適した物理的に別々の単位をいい、各単位は 必要とされる生理的に許容されるキャリアーとともに特異的表現型効果を生成す るために計算された活性成分の所定量を含む。本発明の新規な単位投与量形態の 詳細は、キメラアデノウイルスベクターに固有の特性、及び調剤技術に内在する 制限により決まり、直接に依存する。主要な活性成分(キメラアデノウイルスベ クター)は、生理的に許容されるキャリアーとともに、有効な量で便利で効果的 な投与のために上記したように単位投与量形態に配合される。 本発明のキメラアデノウイルスベクターの投与により得られる特異的表現型結 果の最大の利益とその達成のためには反復投与する必要がある場合がある。その ような反復投与には、同じキメラアデノウイルスベクターを使用するすることが でき、あるいはウイルス抗原発現を変えて宿主免疫反応を減少させるために異な るキメラアデノウイルスベクターをローテーションさせながら使用することがで きる。 本発明の実施は、特に明記しない限り、タンパク質化学、分子ウイルス学、微 生物学、組換えDNA技術、及び薬理学の従来の技術を使用し、それらは当分野 の技術の範囲内である。そのような技術は文献中に充分に説明されている。例え ば、Current Protocols in Molecular Biology,Ausubelら、eds.,John Wiley & Sons,Inc.,New York,1995及びRemington's Pharmaceutical Sciences,I7t h ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,1985を参照。 本発明を以下の具体的な実施例によりさらに説明するが、これらはいかなる意 味においても本発明の範囲を制限するものではない。実施例 実施例1 サブグループDのアデノウイルス血清型によるNHBE細胞の感染 正常ヒト気管支上皮("NHBE")細胞は、Clonetics(SanDiego,CA)から得、ヒ ト胎盤コラーゲンで前もって被覆したCostar(Cambridge,MA)Transwell-Clear ポリエステル膜上にプレーティングした。ウェルをクラスタープレートに置き、 ウェル及びプレート中の培地を1週間毎日交換することにより細胞を育成した。 1週後、培地をウエルから除去して気-液界面を形成し、その後1週間1日おき にクラスタープレート中の培地を交換することのみにより細胞を育成した。ウイ ルス(下記参照)をトランスウェルに加え、その後1.5〜2時間インキュベートす ることにより細胞に1のmoiで感染させた。インキュベート時間の終了後、培地 を除去し、細胞を新鮮な培地で静かに洗浄した。感染の36時間後に1:1アセトン :メタノールで細胞を固定し、PBS中の0.05%のTween 20の溶液により透過性にし 、FITC標識抗ヘキソン抗体(Chemicon,Temecula,CA)で染色して生産的に感染 した細胞を可視化した(すなわちウイルス複製を可視化した)。また、細胞をDAPI 染色法に供し、核の全数を可視化した。結果は、単に観察することにより容易に 判定できた。 試験したサブグループDの範囲内の野生型Ad血清型は、9、15、17、19、20、2 2、26、27、28、30及び39とした(いずれもAmerican Type Culture Collection, Rockviile,MDからのもの)。Ad2(BRL,Gaithersburg,MDからDNAとして得、 ウイルス株を生成するために293細胞をトランスフエクトするのに使用した)を 対照として使用した。サブグループD血清型の全てで観察された感染はAd2で観察 されたものより優れており、最良の結果はAd9、Ad17、Ad20、Ad22及びAd30で得 られた。 さらに、サブグループDの上記の血清型の各々が、同様な条件下でのNHBE細胞 アッセイにおいて、D以外のサブグループに属するその他のいずれの血清型より もより効果的であることが示された。この点に関しては、以下の血清型、31(サ ブグループA)、3(サブグループB)、7(サブグループB)、7a(サブグループB)、14( サブグループB)、4(サブグループE)、及び41(サブグループF)も試験した。別 の実験において、血清型35(サブグループA)は、試験したサブグループDのメン バーで最も低い効果のものと同様の結果を示した。 実施例2 臨床分離気管支上皮細胞の感染 おおむね実施例1の手順に従い、健康なヒト志願者から回収されたヒト気管支 上皮細胞を、Ad2(上記と同様、Ad2DNAはBRLから得、このDNAをウイルス を生成するために293細胞をトランスフェクトするのに使用した)(図1)、あるい はAd17(ATCCからのもの)(図2)によりいずれも50のmoiで感染させた。細胞は、 30分、3時間または12時間、ウイルスに接触させたままとした。 図1及び2を見ると、ヒト気管支の上皮細胞に対するAd17の指向性は、Ad2と 比較して増加していることは直ちに明らかである。図中、右列(パネルD、E及びF 、青色に染色されている)が存在する細胞の全数を示し(上記のようにDAPI染色 によるもの)、左列(パネルA、B及びC、緑に染色)が感染細胞に存在するアデノ ウイルスヘキソンタンパク質の量を示す(上記と同様に、FITC-標識された抗ヘキ ソン抗体からのもの)。パネルA及びDは30分のインキュベーション時間から、パ ネルB及びEは3時間のインキュベーション時間から得られたものであり、パネル C及びFは12時間のインキュベーション時間から得られたものである。使用した方 法によって測定されたように、30分のインキュベーション時間で、Ad17による気 道上皮の感染はAd2によるものよりも少なくとも50倍大きい。 実施例3 ヒト鼻ポリープ細胞単離株に対するAd2及びAd17の結合 Grahamらにより開発された(Gen.Virol.,36,1977,pp.59-72参照)相補細胞 系である293細胞に、野生型Ad2あるいは野生型Ad17のいずれかを感染させた。感 染の5時間後に培地を除去し、S35代謝標識(Amersham)を含むメチオニン不含 培地と交換した。さらに6時間後、新鮮な培地を加え、合計18時間標識化を進行 させ、その後S35培地を除去して新鮮な培地と交換した。感染の30時間後、細胞 を回収して溶解し、標識Ad2またはAd17ウイルスをCsCl勾配遠心分離によって精 製した。そして回収されたウイルスを、ヒト鼻ポリープ細胞上での相対的な結合 効率を測定するためのアッセイにおいて使用した。 アッセイを行うため、健常志願者の鼻ポリープから繊毛のあるヒト気道上皮細 胞を回収した。2種のそのような単離株、NP-14及びNP-15、から得られた結果を 本明細書に記載する(図3参照)。放射性同位元素により標識されたウイルスを、 一定の時間(5または30分、図3を参照)、ウエル中で単離された細胞とインキュ ベートした。その後細胞を洗浄し、放射能を測定した。図3に示す結合は、細胞 が有する入力された放射能のパーセントを示す。両方の細胞単離株集団について 、5分または30分のインキユベートを使用して、Ad2ではなくAd17を使用すると 、細胞に付随する放射能が10倍上昇したことが判明した。 実施例4 ファイバー競合 A549細胞(ヒト肺癌系、ATCCCCL-185としてAmerican Type Culture Collection から得た)を96-ウェルディッシュにウェルあたり3×104細胞でプレーティング した。細胞表面上のアデノウイルスファイバーの受容体部位の数は細胞あたり約 105受容体であると推定されたので、この実施例では、0.1μgの精製された完全 長Ad2ファイバータンパク質(Paul Freimuth,Brookhaven National Laboratory ,Upton,NYから入手)でプレーティングした細胞中の受容体を飽和させた。この ファイバーの量は受容体あたり約100分子に相当する。細胞を37℃で2時間PBS中 でAd2ファイバーとともにインキュベートした。 その後細胞を1のmoi(上記のようにして得られたAd2または野生型Ad17を使用 して)で1時間感染させ、そして細胞を洗浄した後、新鮮な培地を加えた。対照 培養は、タンパク質を加えずにPBSとともに2時間インキュベートし、その後上 記したように感染させた。実施例1に記載したように、感染の40時間後に細胞を 1:1アセトン:メタノールで固定し、PBS中の0.05%のTween 20の溶液により 透過性にし、FITC標識抗Ad2ヘキソン抗体で染色した。このアッセイにより測定 されるように、Ad2により感染された(染色された)細胞の数は、対照培養と比較 してAd2ファイバーとともに予めインキュベートした培養物において約90%減少し た。しかし、A549細胞を完全長Ad2ファイバーと予めインキュベートしても、Ad1 7感染に対する効果は観察されなかった。 実施例5 Ad2との結合競合実験におけるAd2ファイバー瘤の使用 大腸菌から発現され精製したAd2及びAd17のファイバー瘤を使用して別の競合 実験を行った。両者のタンパク質断片をコードするDNA配列を、そこから発現 されるファイバー瘤が、ニッケルカラム精製を可能とするためにヒスチジンタグ を含むように設計した。Ni-NTA法(Qiagen,Chatsworth,CA)により精製された可 溶性ファイバー瘤トリマーの収量は約25μg/50ml培養物であった。発現された全 瘤タンパク質の大部分はモノマーの(そして非溶解性の)形態のままであるよう であった。得られた可溶なトリマー物質を予備的な競合実験に使用した。野生型 Ad2及びAd17を使用してA549細胞、あるいは過剰の(受容体あたり約100分子のト リマー)Ad2ファイバー瘤またはAd17ファイバー瘤と予めインキュベートした細胞 を感染させた。その結果、Ad2ファイバー瘤はAd2感染をブロックできたが、Ad17 瘤はできなかったことが示された。さらに、Ad17の感染はいずれの血清型の大腸 菌発現ファイバー瘤によってもブロックされず、Ad2及びAd17の感染のメカニズ ムが異なることを示唆するものであった。 実施例6 キメラベクターAd2/βgal-2/ファイバーAd17の構築 ベクターAd2/βgal-2は以下のように構築した。ヌクレオチド357〜3328を削除 したAd2ヌクレオチド1〜10,680を含むpBR322に基づくプラスミド中に、CMV5§β gal発現カセットを構築した。削除された配列を、(5・から3・方向に見て)サイ トメガロウィルス前初期プロモーター(pRC/CMV、Invitrogenから得た)、核局在 化シグナルを有する5§-ガラクトシダーゼをコードするlacZ遺伝子、及びSV40 ポリアデニル化シグナル(ヌクレオチド2533-2729)により置換した。得られた プラスミドを使用してAd2E40RF6との組換えによりAd2/βgal-2を生成した(D.Ar mentanoら、Human Gene Therapy.6,1995,pp1343-1353)。 次に、キメラAd2/βgal-2/ファイバーAd17ウイルスベクター(図4)を以下の ようにして構築した。pAdORF6(D.Armentanoら、Human Gene Therapy,6,1995 ,pp 1343-1353)をNde及びBamHIにより切断してAd2ファイバーコード配列及びポ リアデニル化シグナル配列(ヌクレオチド20624-32815)を除去した。Ad17ファ イバーコード配列(ヌクレオチド30984-32095)を含むNdeI-BamHI断片をPCRによ り生成し、SV40ポリアデニル化シグナルとともにNdeI-BamHI切断pAdORF6に結合 してpAdORF6ファイバー17を生成した。このプラスミドをPacIで切断し、PacI-切 断Ad2/βgal-2DNAに結合してAd2/βgal-2ファイバー17を生成した。この構築 物中で、前記リポーター遺伝子を任意の所望の導入遺伝子に置換することができ る。 類似した構築物を、Ad17ファイバーの代わりにAd17のペントンベースをコード するDNA配列を使用して調製することができる。あるいは、必要とするAd2の ペントンベースのサブ領域だけを、例えば、Ad2ペントンベースアミノ酸290-403 の任意のサブ配列の代わりにAd17のペントンベースアミノ酸283-348(図5A中のマ ークした配列を参照)の任意のアミノ酸サブ配列に対応する配列をコードするヌ クレオチドをベクターに挿入することにより、置換する。好ましくは、Ad2の置 換配列及びAd17の挿入配列はそれぞれのRGDドメインを含む。その他のサブグル ープD血清型のペントンベースアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列を使用 することも本発明の実施の範囲内である。別のアデノウイルス血清型、例えばAd 17からのサブ領域によりAd2ベクター中のファイバータンパク質のサブ領域を置 換することも本発明の範囲内である。 実施例7 Ad2/βgal-2f17はヒト気道外植片上で高められた感染効率を示す ヒト及びサルの気管外植片、約1cm2を寒天支持体上に置いた。各外植片を、外 植片1cm2あたり1×106の細胞密度と推定して、Ad2/βgal-2またはAd2/βgal- 2f17の200のmoiで感染させた。外植片を3時間ウイルスに曝露し、その後NHBE培 地で洗浄した。感染の2日後に外植片をX-galで染色し、感染効率を調べた。サ ル外植片においては、Ad2/βgal-2は、Ad2/βgal-2f17より高い感染効率を示し た。染色された細胞のパッチがAd2/βgal-2に曝露した外植片に検出されたが、A d2/βgal-2f17に曝露した外植片においては染色された細胞は非常に少なかった 。ヒト気管外植片においては異なる結果が得られた。この外植片においては、Ad 2/βgal-2f17感染は、Ad2/βgal-2感染より非常に高い感染効率を示した。Ad2/ βgal-2f17に曝露した外植片における細胞の約5〜10%がX-galで染色されたが、A d2/βgal-2に曝露した外植片においては染色された細胞は非常に少なかった。ウ イルスに曝露しなかったサルまたはヒト外植片においてはいずれもバックグラウ ンド染色は観察されなかった。 結果は、Ad2/βgal-2f17におけるAd17ファイバーによるAd2ファイバーの交換 が、アデノウイルスタイプ2をベースとするベクターによるヒト気管気道細胞の 感染効率を有意に増加させるのに十分なものであったことを示している。 実施例8 ヒト癌細胞系におけるアデノウイルスサブグループのスクリーニング 特定の腫瘍型に最もよく感染するアデノウイルスサブグループを同定すること は、in vivoにおいて癌細胞を最適に標的化するベクターを設計することに有用 であり得る。特定の種類の癌細胞に最もよく感染するアデノウイルスサブグルー プを決定するために、癌細胞を96ウェルプレートに播種し、5のmoiで感染させ た。感染効率は、抗ヘキソン抗体を使用して感染細胞に染色することによって測 定した。アデノウイルスサブグループは、以下の血清型、A:Ad31、B:Ad3、C:Ad2 、D:Ad17、E:Ad4、及びF:Ad41により表した。 サブグループD(Ad17)は、その他の細胞種よりもかなり高い結腸癌細胞系CaC o-2の感染率を有し、Ad2が細胞の20%にしか感染しなかったのに対し、70%の感染 率を示した(図9)。 サブグループD(Ad17)は、卵巣癌細胞系SK-OV3を感染させるのに有効であり 、90%の感染が測定された(図10)。 配列表 配列番号1〜3の正式ではないコピーを以下のページにおいて本明細書に含める 。 ペントン17の配列 配列の長さ:1554
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 スミス,アラン,イー. アメリカ合衆国 02030 マサチューセッ ツ州,ドーバー,ミル ストリート 1

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.キメラアデノウイルスベクターであって、第1のアデノウイルスのヌクレオ チド配列を含み、前記ベクターの標的哺乳動物細胞への結合あるいは前記細 胞中へのそのインターナリゼーションを促進するタンパク質をコードする前 記第1のアデノウイルスの少なくとも1つの遺伝子が、サブグループDに属 する第2のアデノウイルスからの対応する遺伝子で置換されており、ベクタ ーがさらに、哺乳動物細胞中でそれからの発現を可能とするための真核生物 プロモーターに機能可能なように結合した導入遺伝子を含むものである前記 ベクター。 2.前記第2のアデノウイルスがAd9、Ad15、Ad17、Ad19、Ad20、Ad22、Ad26、 Ad27、Ad28、Ad30及びAd39からなる群から選択される、請求項1に記載のキ メラアデノウイルスベクター。 3.前記第1のアデノウイルスがAd2、Ad5及びAd12からなる群から選択される、 請求項1に記載のキメラアデノウイルスベクター。 4.前記置換された遺伝子がAdファイバーをコードする、請求項1に記載のキメ ラアデノウイルスベクター。 5.前記置換された遺伝子がAdペントンベースをコードする、請求項1に記載の キメラアデノウイルスベクター。 6.第1の置換された遺伝子がAdファイバーをコードし、第2の置換された遺伝 子がAdペントンベースをコードする、請求項1に記載のキメラアデノウイル スベクター。 7.キメラアデノウイルスベクターであって、第1のアデノウイルスのヌクレオ チド配列を含み、前記ベクターの標的哺乳動物細胞への結合あるいは前記細 胞中へのそのインターナリゼーション促進するタンパク質をコードするその 遺伝子の一部が、サブグループDに属する第2のアデノウイルスからの対応 する遺伝子の一部で置換されており、ベクターがさらに、哺乳動物細胞中で それからの発現を可能とするための真核生物プロモーターに機能可能なよう に結合した導入遺伝子を含むものである前記ベクター。 8.前記置換されたコード配列がAdファイバーの一部をコードする、請求項7に 記載のキメラアデノウイルスベクター。 9.前記置換されたコード配列がAdペントンベースの一部をコードする、請求項 7に記載のキメラアデノウイルスベクター。 10.前記置換されたコード配列がRGDを含むアミノ酸配列をコードする、請求項 9に記載のキメラアデノウイルスベクター。 11.生物学的に活性なタンパク質を患者の気道上皮細胞に与える方法であって、 (a) キメラアデノウイルスベクターであって、第1のアデノウイルスのヌク レオチド配列を含み、前記ベクターの標的哺乳動物細胞への結合あるいは前 記細胞中へのそのインターナリゼーションを促進するタンパク質をコードす る前記第1のアデノウイルスの少なくとも1つの遺伝子が、サブグループD に属する第2のアデノウイルスからの対応する遺伝子で置換されており、ベ クターがさらに、哺乳動物細胞中でそれからの発現を可能とするための真核 生物プロモーターに機能可能なように結合した、前記タンパク質をコードす る導入遺伝子を含むものである前記ベクター、及び (b) キメラアデノウイルスベクターであって、第1のアデノウイルスのヌク レオチド配列を含み、前記ベクターの標的哺乳動物細胞への結合あるいは前 記細胞中へのそのインターナリゼーションを促進するタンパク質をコードす るその遺伝子の一部が、サブグループDに属する第2のアデノウイルスから の対応する遺伝子の一部で置換されており、ベクターがさらに、哺乳動物細 胞中でそれからの発現を可能とするための真核生物プロモーターに機能可能 なように結合した前記タンパク質をコードする導入遺伝子を含むものである 前記ベクター からなる群から選択されるアデノウイルスベクターを、前記タンパク質をコ ードする導入遺伝子が発現され、前記気道上皮細胞中で表現型の利益が生成 される条件下に、前記細胞へ投与することを含む前記方法。 12.前記第2のアデノウイルスがAd17であり、第1のアデノウイルスのヌクレオ チド配列の置換に使用されるそのヌクレオチド配列が、Ad17ファイバー、Ad 17ファイバーの断片、Ad17ヘキソン、Ad17ヘキソンの断片、Adペントン ベース及びAd17ペントンベースの断片からなる群から選択される、ポリペプ チドをコードする、請求項11に記載の方法。 13.生物学的に活性なタンパク質を患者の気道上皮細胞に与える方法であって、 Ad17ゲノムのエレメント、及び哺乳動物細胞中でそれからの発現を可能とす るための真核生物プロモーターに機能可能なように結合した前記タンパク質 をコードする導入遺伝子を含むアデノウイルスベクターを、前記タンパク質 をコードする導入遺伝子が発現され、前記気道上皮細胞中で表現型の利益が 生成される条件下に、前記細胞へ投与することを含む前記方法。
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