JP2001502389A - アスファルテン―分散剤としてのアルカンスルホン酸の使用方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、原油およびそれから誘導される生成物にアスファルテン分散剤として第二アルカンスルホン酸を使用する方法に関し、その際鎖は８〜２２個の炭素原子の長さを有する。

Description

【発明の詳細な説明】 アスファルテン−分散剤としてのアルカンスルホン酸の使用方法 アスファルテンは原油の成分である。これらは、数多くの構造を有しており、 特にヘテロ原子を含有する高分子量の縮合した芳香族成分を有している。その化 学的な複雑さの観点から、アスファルテンはベンゼンには可溶性であるがn-ペン タンには不溶性である油留分(oil fraction)として説明される。 原油中には、アスファルテンが通常コロイド状分散物として存在する。これは 、油樹脂(oil resin)によって安定化される。 原油およびそれから誘導される生成物、例えば重質加熱油または船舶用油(mar ine oil)の製造、精製、移送および貯蔵の際に、アスファルテンが沈殿すること がある。この沈殿の一般的な原因は、温度の低下または組成の変化（例えば容易 に揮発する成分の蒸発）にある。アスファルテンは、多孔質媒体を通して流した 際にも沈殿することがある。抽出工程の際にCO₂であふれさせることによって、 アスファルテンを凝集させるかまたは沈殿させることができる。 いくつかの油は、低温で沈殿する炭化水素ワックスを含有する。ワックスとア スファルテンの沈殿の相互作用により、沈殿する物質の全体量を増加させるかま たはその形成速度を速めることができる。 沈殿したアスファルテンは、原油の製造および処理の際に問題を生じる。アス ファルテンは、バルブ、配管および移送装置中で沈殿する。熱い表面、例えば熱 交換器の上では、これらの沈殿物の炭化のためにその除去が非常に困難になる。 この沈殿物は、プラントの効率を低下させ、そして最悪の場合には、コストのか かる完全な閉塞および製造の中止に至る場合がある。 船舶の動力として頻繁に使用される重油は、大量のアスファルテンを含有する 。アスファルテンの沈殿のために、燃焼の効率が悪くなり、そして燃料の取扱い および貯蔵が困難になる。アスファルテンの沈殿による燃焼の妨害は、重油で運 転される発電所でも認められる。 ビチューメン、重油および残油は、移送用に粘度を低下させるためにしばしば 溶媒で希釈される。ここでアスファルテンが沈殿すると、取扱いの際に問題が生 じる。 アスファルテンの沈殿は、少量の分散剤によって避けることができるかまたは 低減することができる。これらの物質は、１つまたはそれ以上の以下の効果を示 す： a)沈殿の量が低減される； b)沈殿がより遅く形成される； c)沈殿がより微細に分割されている；そして d)表面に付着する沈殿の傾向が低減される。 アスファルテンの沈殿がすでに形成されている場合には、それらは溶媒を使用 して取り除くことができる。分散剤の添加により、これらの溶媒の効果を改善す ることができる。 多数のアスファルテン−分散剤がすでに公知である。カナダ特許第2 029 465 号明細書およびカナダ特許第2 075 749号明細書には、親水性−親油性ビニルポ リマーと組み合わせたアルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂が記載されて いる。ドデシルベンゼンスルホン酸のアスファルテン−分散特性は、米国特許第 4 414 035号明細書およびD.-L．ChangおよびH.S．Fogler(SPE paper No．25185 ，1993)およびM.N．Boutsら(J．pet．Technol．47，782-7，1995)により開示さ れている。オキシアルキル化アミンは、米国特許第5 421 993号明細書に記載さ れている。 これまでに公知の分散剤は、アスファルテンの沈殿により生じる問題の一部し か解決することができない。油はその組成が変化するので、個々の分散剤は限ら れた範囲でしか効果的に使用することができない。油の組成のごくわずかな変化 であっても、アスファルテンの分散特性に大きく影響する場合がある。従って、 場合によっては、公知の分散剤だけでは十分ではなく、追加的な種類が必要とな る。 従って、これまでに公知の分散剤について説明されている欠点を有していない 新規のアスファルテン−分散剤を提供するという課題があった。 驚くべきことに、原油およびそれから誘導される生成物中のアスファルテンの 沈降または沈殿を避けるために、C₈-C₂₂、好ましくはC₁₁-C₁₈の鎖長を有する第 二アルカンスルホン酸を使用することができるということが見いだされた。 従って、本発明は、アスファルテン−分散剤として８〜２２個の炭素原子を有 する鎖長の第二アルカンスルホン酸を含有する原油およびそれから誘導される生 成物に関する。 原油から誘導される生成物は、例えば重質加熱油、船舶用油またはビチューメ ンである。 本発明による分散剤は、１〜１０，０００、好ましくは２〜２０００ｐｐｍの 量で使用される。 アルカンスルホン酸は、好ましくは場合によっては水および／または脂肪族ア ルコールを含有する、炭化水素との溶液またはマイクロエマルジョンとして配合 される。 一般に、分散剤は、２０〜８０重量％、好ましくは３０〜６０重量％のアルカ ンスルホン酸およびさらに２０〜８０重量％、好ましくは２０〜７０重量％の炭 化水素または炭化水素とC₂-C₈−アルコールの混合物、および０〜３０重量％の 水を含有する。 効果的なアスファルテン−分散剤は、アルカンスルホン酸とその他の物質、特 に a)アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、 b)オキシアルキル化アミン、 c)ワックス−分散剤 とを組み合わせることによっても得ることができる。 物質の組合せを基材とする分散剤は、変化した油組成物とより鈍感に反応し、 これにより信頼性が改善される。 実施例 以下の実施例は本発明をさらに詳細に説明するものである。 分散試験の原理 炭化水素媒体の性質に応じてアスファルテンの沈降を分散する。アスファルテ ンは、芳香族に可溶性であるが、脂肪族炭化水素には不溶性である。従って、油 または抽出したアスファルテンを芳香族溶媒に溶解し、次いで沈殿物を生成する ために脂肪族炭化水素を添加することによって、分散剤の試験をすることができ る。アスファルテンは暗色なので、上澄み液の比色測定によって沈殿の量を測定 することができる。上澄み液が暗ければ暗いほど、より多くのアスファルテンが 分散して残っており、すなわち分散剤がより良好である。この試験は、カナダ特 許第20 29 465号明細書に記載されている。我々の型の試験では、アスファルテ ンが大部分沈殿するが完全には沈殿しないように、沈殿媒体を選択する。 分散試験手段 a)不純物を取り除くために２５％濃度のトルエン中の油溶液を濾過する； b)アスファルテンの沈殿剤としての9.5mlのヘプタンおよび0.5mlのトルエン／分 散剤混合物（２５：１）を10mlの品を保持する目盛りつきのガラスチューブに最 初に導入し、そして激しく振り混ぜる。これは、2000ppmの分散剤濃度に相当す る。必要に応じて、分散剤の量は変化させることができる。ブランクサンプルと して純粋なトルエンを使用する； c)次いで、0.1mlの濾過した油溶液をガラスチューブに添加し、そしてこの混合 物を同様に激しく振り混ぜる； d)系全体を振動させないで２時間放置する。沈殿したアスファルテンはチューブ の底部に蓄積される； e)この時間の終了後、目盛りで沈殿物の量を評価し、サンプル全体の外観を記録 し、そして1mlの上澄み相をピペットで注意深く取り除く； f)吸引した量を、5mlのトルエンに溶解し、そして600nmで光学的に測定する。 分散剤の評価 分散作用の相対的な測定のために、以下の式が採用される： A=100(D-D₀)/D₀ （式中、DおよびD₀は、測定溶液およびブランクサンプルの光学密度である）。 達成されるAの最高値のA_maxは、アスファルテンの完全な分散に相当する。これ は、分散剤を使用しないでそしてヘプタンの代わりにトルエンを使用して−この 結果としてアスファルテンは完全に分散して残る−、試験を行うことによって評 価することができる。 さらに沈殿物の容量は、分散剤の効果性についての情報を提供する。沈殿物の 量が少なければ少ないほど、物質の分散が良好である。 結果 大量のアスファルテンを含有する重油について、研究を行った。第二アルカン スルホン酸は、１５．５個の炭素原子の平均鎖長を有していた。この表は、種々 の濃度での分散試験の結果を示している。 これらの条件下において、アスファルテンの完全な分散に相当するAの最高値 は約５００であった。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＮ，ＨＵ， ＪＰ，ＫＲ，ＭＸ，ＮＯ，ＲＵ，ＳＧ，ＴＲ，ＵＡ (72)発明者 フォイステル・ミヒャエル ドイツ連邦共和国、Ｄ―55278 ケンゲル ンハイム、アウフ・デア・ノネンヴィー ゼ、34

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．アスファルテン−分散剤として８〜２２個の炭素原子の鎖長を有する第二ア ルカンスルホン酸を含有する原油またはそれから誘導される生成物。 ２．アルカンスルホン酸が、１１〜１８個の炭素原子の鎖長を有する請求項１に 記載の原油。 ３．アルカンスルホン酸が、炭化水素との溶液またはマイクロエマルジョンとし て存在する請求項１の原油。 ４．炭化水素が、水および／または脂肪族アルコールを含有する請求項３に記載 の原油。 ５．アスファルテン−分散剤が、２０〜８０重量％、好ましくは３０〜６０重量 ％のアルカンスルホン酸、２０〜８０重量％、好ましくは２０〜７０重量％の炭 化水素または炭化水素とC₂-C₈-アルコールとの混合物および０〜３０重量％の水 を含有する請求項３または４に記載の原油。 ６．アスファルテン−分散剤が、アルキルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、 オキシアルキル化アミン、ワックス−分散剤またはそれらの所望の混合物ととも に使用される請求項１〜５のいずれかに記載の原油。 ７．請求項１〜６のいずれかに記載の原油またはそれから誘導される生成物中に 、８〜２２個の炭素原子の鎖長を有する第二アルカンスルホン酸をアスファルテ ン−分散剤として使用する方法。 ８．請求項１に記載の原油またはそれから誘導される生成物中のアスファルテン を分散する方法において、原油またはそれから誘導される生成物に１〜１０，０ ００、好ましくは２〜２０００ｐｐｍの量で８〜２２個の炭素原子の鎖長を有す る第二アルカンスルホン酸を添加する上記方法。 ９．アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オキシアルキル化アミン、ワッ クス−分散剤またはそれらの所望の混合物を追加的に添加する請求項８に記載の 方法。