JP2001357814A - 極高真空スパッタイオンポンプ - Google Patents

極高真空スパッタイオンポンプ

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JP2001357814A
JP2001357814A JP2000180188A JP2000180188A JP2001357814A JP 2001357814 A JP2001357814 A JP 2001357814A JP 2000180188 A JP2000180188 A JP 2000180188A JP 2000180188 A JP2000180188 A JP 2000180188A JP 2001357814 A JP2001357814 A JP 2001357814A
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ion pump
gas
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anode
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JP2000180188A
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Masao Murota
無漏田正雄
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Jeol Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 到達真空度を大幅に向上させ、活性化や再活
性化を不要にして長寿命化を図る。 【解決手段】 複数の中空円筒状セルを並べた陽極(1
2)の両側を陰極(11)で挟むとともに、円筒状セル
の軸方向に磁場をかけ、陰極から放出された電子(1
5)でガスを電離して二次電子とイオンを生成し、生成
したイオンにより陰極をスパッタして陰極材料を飛散さ
せ、中空円筒状セル表面に堆積させてガスを吸着するス
パッタイオンポンプにおいて、陰極に仕事関数の小さい
非蒸発型ゲッター材の構成成分(11A、11B)を埋
め込み、これをスパッタして中空円筒状セル表面に非蒸
発型ゲッター材を作り続けるようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は極高真空スパッタイ
オンポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】図7は従来のスパッタイオンポンプの電
極構造を説明する図であり、図7(a)は全体構成を示
す概念図、図7(b)はスパッタイオンポンプを構成す
る1つのセルについての説明図である。スパッタイオン
ポンプ1の電極構造は板状の2枚のチタン陰極2と、そ
の間に中空円筒状のセル3を並べた陽極からなり、高電
圧を印加するための絶縁碍子(図示せず)を組み合わせ
ている。磁場は円筒状セルの軸方向にポンプ容器の外側
に設けられた永久磁石4で与えられる。
【0003】このイオンポンプの動作原理を説明する
と、イオンポンプ起動圧力以下において、陰極−陽極間
に数kVの電圧を印加すると、冷陰極板2から放射され
た一次電子6は陽極に引きつけられるが、永久磁石から
与えられる磁場のためその回りを旋回して長い螺旋運動
を描き、陽極に至る途中で中性のガス分子と度々電離衝
突を起こして、多数の正イオンと二次電子を生成する。
生成した二次電子は更に螺旋運動を行って、他のガス分
子と衝突して正イオンと電子を生成し、雪崩現象を起こ
す。正イオンは負電位のチタン陰極2に衝突して、チタ
ン原子をスパッタし、陽極セル3面上にガスを吸着して
いないチタン堆積層を連続的に形成する。チタン堆積層
表面はゲッター作用が強いので活性ガスはチタンと反応
して安定な固体化合物(例えばTiO2 、TiN等)と
なって陽極セル面に捕捉される。また、アルゴンやヘリ
ウム等の不活性ガスは陰極面の中でスパッタの激しくな
い場所に埋め込まれるか、または陽極面に堆積したチタ
ン層内に埋め込まれる。水素はイオンまたは中性分子と
して陰極に叩き込まれ固溶体(TiH2 )となる。
【0004】図8は非蒸発型ゲッータの概略構成を説明
する図である。この例の非蒸発型ゲッータ7は、折り畳
んで表面積を大きくしたゲッター材を容器内に収納した
構造からなっている。化学的に活性な金属膜による気体
の吸着作用を利用して真空排気を行う物質は、一般にゲ
ッターと呼ばれている。非蒸発型ゲッターは簡単な熱処
理をするだけでガスを吸着することが可能である。非蒸
発型ゲッターが吸着したほとんどの種類の気体分子はゲ
ッター材を加熱することによりゲッター材内部に拡散し
永久に固定されるので、一度吸着した気体が再度放出さ
れることはない。水素の場合は、ゲッター材内部に固溶
体を形成し、可逆的に吸着し、ゲッターによる吸着は内
部の水素濃度が周囲の水素分圧と平衡状態になるまで行
われる。非蒸発型ゲッターは、可動部分を一切持たず、
完全オイルフリー、無振動、クリーンな真空排気を行う
ポンプである。ほとんどの非蒸発型ゲッターは、ジルコ
ニウムを主成分とする合金からできている。
【0005】非蒸発型ゲッターのインゴットは精製され
た後、粉砕され粉末状にされる。製造過程で粉末表面に
薄い酸化膜が形成され、この酸化膜が合金内部を酸化か
ら保護するので、合金内部を常に高品質に維持すると共
に大気中での安定的な取り扱いを可能にしている。ゲッ
ター粉末は過程の最終段階で成形加工される。非蒸発型
ゲッターを真空系に装着し、所定の性能を得るために
は、ゲッター表面を保護していた薄膜を除去する過程が
必要である。非蒸発型ゲッターを真空中で数百℃まで加
熱すると、表面の保護膜は内部に拡散し、新しい活性な
ゲッター面が現れる。この過程は活性化と呼ばれてい
る。活性化をする温度と時間は非蒸発型ゲッターを取り
扱う上で重要な条件である。非蒸発型ゲッターを活性化
するための加熱方法は、RFによる電磁誘導加熱、電流
加熱、レーザや赤外線による加熱、間接的熱加熱があ
る。活性化条件としては最良のもので450℃以上、1
0分間必要である。
【0006】非蒸発型ゲッターはガスの種類により吸着
メカニズムは4つに分類される。 水素とその同位体 一般に非蒸発型ゲッタは、動作温度が上がればガスの吸
着能力も高くなる傾向があるが、水素は例外で、ゲッタ
ー材の表面で解離してゲッター材中に拡散して固溶体を
形成し、温度が上昇すると、ゲッターが低い温度で吸収
した水素を放出する性質がある。水素はゲッター材の温
度が低いほど吸着能力が高くなる。 水素以外の活性なガス 酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素などの真空中に一
般的に存在する活性なガスは永久的に固定される。 水や炭化水素 水や炭化水素分子はゲッター材表面で水素、酸素、炭素
に分解されてそれぞれ吸着される。 希ガス 希ガスはゲッター材に吸着されない。
【0007】ゲッター材を室温で使用する場合、拡散速
度はゲッター材が新たにガスを吸着する速度に比べて遅
いので、やがてゲッター材表面はガスの成分で飽和し、
ゲッターの排気速度が低くなる。このような状態になっ
たら、ゲッターを活性化の温度、またはそれに近い温度
まで加熱して、表面に吸着しているガス成分を内部に拡
散させる。この加熱の過程は再活性化と呼ばれている。
【0008】図9はコンビネーションポンプ(非蒸発型
ゲッター内蔵スパッタイオンポンプ)を説明する図であ
る。スパッタイオンポンプ1と非蒸発型ゲッター7を単
純に加算したもので排気速度は小型でも大きく、到達真
空度も高い。到達真空度、排気速度では非蒸発型ゲッタ
ーが優れ、極高真空、超高真空領域でその威力を発揮す
るが、高真空領域ではガス吸着のため消耗が激しい。ス
パッタイオンポンプは高真空領域で性能が高く、真空度
が良くなるほどその性能は低下し、非蒸発型ゲッターと
は相互補助の関係になる。非蒸発型ゲッターの活性化時
の放出ガス水素はスパッタイオンポンプが排気する。到
達真空度は1×10-10 Paに達する。
【0009】
〔非蒸発型ゲッターの問題点〕
・合金粉末を圧接したものなので、活性化時高温にする
と熱で破壊され一部粉末としてはがれ落ちる。 ・活性化温度が高いので真空容器、周辺の部品や配線を
損傷したり、リークの原因になったりする。 ・大気中に放置するとその能力が徐々に低下する。 ・購入時の鮮度、使用時の消耗度が不明なので寿命が予
期できず突然働かなくなることがある。 ・熱処理による活性化の度合い、再活性化の度合いが定
量的に把握できず、活性化の度合いが過不足になりがち
で慣れるまでに時間と経験が必要である。 ・希ガスに対しては無力である。 ・組み合わせるポンプの種類によって性能が異なり、通
常使用する高真空領域での特性は明らかになっている
が、超真空領域・極高真空領域での極限性能は実験例が
少なく不明な点が多く、使用しにくい。 〔コンビネーションポンプの問題点〕 ・ユニット構成・機能が複雑で、品質が安定せず使用時
の個人差が大きい。 ・真空度の低い時どちらも補助ポンプを必要とする。 ・故障時スパッタイオンポンプの故障なのか非蒸発型ゲ
ッターの劣化なのか寿命なのか判定が非常に困難であ
る。 ・スパッタイオンポンプと非蒸発型ゲッターが物理的に
それぞれ独立しているために、スパッタイオンポンプの
高圧電源と非蒸発型ゲッターの活性化・再活性化電源の
二つの電源が必要である。 ・スパッタイオンポンプの問題点と非蒸発型ゲッターの
問題点の未解決部分の欠点を合わせ持っており、機能的
に無駄が多く、非常に高価である。
【0010】本発明は従来のスパッタイオンポンプ、非
蒸発型ゲッター、コンビネーションポンプが抱える上記
課題を解決するためのものであり、到達真空度を大幅に
向上させ、活性化や再活性化を不要にして長寿命化を図
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の中空円
筒状セルを並べた陽極の両側を陰極で挟むとともに、円
筒状セルの軸方向に磁場をかけ、陰極から放出された電
子でガスを電離して二次電子とイオンを生成し、生成し
たイオンにより陰極をスパッタして陰極材料を飛散さ
せ、中空円筒状セル表面に堆積させてガスを吸着するよ
うにしたスパッタイオンポンプにおいて、陰極に仕事関
数の小さい非蒸発型ゲッター材の構成成分を埋め込み、
これをスパッタして中空円筒状セル表面に非蒸発型ゲッ
ター材を作り続けるようにしたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明は、極高真空冷陰極電界放出電子銃
開発の過程で見出された極高真空スパッタイオンポンプ
であり、陰極に仕事関数の小さい非蒸発型ゲッター材の
構成金属成分を埋め込み、これをスパッタして円筒状陽
極面に非蒸発型ゲッター材を作り続けるようにしたもの
で、到達真空度が3桁改善され、1×10-11 Pa以上
に達するものである。
【0013】図1は本発明の極高真空スパッタイオンポ
ンプの構成を説明する図で、図1(a)はスパッタイオ
ンポンプを構成する1つのセルについての説明図、図1
(b)はスパッタイオンポンプ素子の斜視図、図1
(c)は陰極の平面図である。円筒状セル陽極12を挟
んで、それぞれ仕事関数の小さいジルコニウム(Z
r)、アルミニウム(Al)からなる陰極構成金属11
A、11B(非蒸発型ゲッター材の構成成分)から構成
される陰極11を対向配置してポンプ素子を構成してポ
ンプ容器(図示せず)に入れ、磁場14を円筒状セル陽
極12の軸方向にかける。なお、磁場14としては、通
常永久磁石が使用されるが、低速電子や低速イオンを取
り扱う場合は電磁石の方が利便性がある。陽極にはイオ
ンポンプ電源13により5.2kVを印加する。陰極構
成金属11Aは、高純度のジルコニウムを使用し、図1
(c)に示すように、円筒状セル陽極12の中心軸と陰
極11の交わる点を中心とした円形の領域と、4個の円
筒状セル陽極12の外周により囲まれ、その中心軸と陰
極11の交わる点を中心とした円形の領域にアルミニウ
ムからなる陰極構成金属11Bを配置する。これらの領
域は陰極11が特に激しくスパッタを受ける部分であ
る。
【0014】そして、イオンポンプ電源13により電圧
を印加すると、陰極11はスパッタされ、図2に示すよ
うに、仕事関数の小さい陰極構成金属11A(Zr)と
陰極構成金属11B(Al)が飛散して円筒状セル陽極
12の内外周表面(図2(a))、陰極板表面(図2
(b))に付着して非蒸発型ゲッター薄層16を作り続
ける。図3は横軸をAl重量%、縦軸をゲッター速度と
したグラフで、チタン−AlではAlの重量比が変わっ
てもゲッター速度はほとんど変化しないが、Zr−Al
では、Alの重量比が6〜30%で飛躍的にゲッター速
度が大きくなり、重量比17〜18%では50倍にも達
する。そこで、ポンプ動作時に円筒状セル陽極12面上
に生成される非蒸発型ゲッター薄層16のアルミニウム
の重量比が6〜30%になるように、陰極11面上での
ジルコニウムとアルミニウムの重量比、スパッタ面積比
率、スパッタ率、イオン密度の分布を考慮し、使用目的
に合わせて調整する。
【0015】次に、本発明の極高真空スパッタイオンポ
ンプの動作原理を説明する。本発明の極高真空スパッタ
イオンポンプは5×10-2Paより高い真空領域で効率
的に動作するので、あらかじめ従来型のターボ分子ポン
プやドライポンプで5×10-2Pa程度まで排気する必
要がある。極高真空スパッタイオンポンプ起動圧力以下
において、陰陽極間に数kVの電圧を印加すると、陰極
11から放射された1次電子15は円筒状セル陽極12
に引きつけられる。陰極11の表面に生成する仕事関数
の小さい酸化ジルコニウムや仕事関数の小さい酸化カル
シウムや六ホウ化ランタンの塗布は一次電子の放出を容
易にする。円筒状セル陽極12に引きつけられた一次電
子15は、磁場のため長い螺旋運動を描き、円筒状セル
陽極12に至る途中で中性のガス分子と度々電離衝突を
起こして、多数の正イオンと二次電子を生成する。生成
した二次電子はさらに螺旋運動を行って、他のガス分子
と衝突して正イオンと電子を作っていき、雪崩現象を起
こす。正イオンは負電位の陰極11に衝突してジルコニ
ウムとアルミニウム原子を固有のスパッタ率(Zr:約
220〜450Å/min、Al:約310〜640Å
/min)にしたがってスパッタし、円筒状セル陽極1
2面上にガスを吸着していないジルコニウムアルミニウ
ム合金のゲッター薄層16を連続的に形成する。もちろ
ん、激しくスパッタを受けない陰極面上にもゲッター薄
層16が形成される。ジルコニウム−アルミニウム合金
のゲッター薄層16表面は、上記したようにその成分量
を調節することにより、ゲッター作用を非常に強くでき
るので、酸素、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素などの真
空中に一般的に存在する活性なガスは、ジルコニウムと
反応して安定な固体化合物(例えばZrO2 、ZrN
等)となって捕捉される。また、アルゴンやヘリウム等
の不活性ガスは陰極11面の中でスパッタの激しくない
場所に埋め込まれるか、または円筒状セル陽極12面に
堆積する合金のゲッター薄層内に埋め込まれる。水素は
イオンまたは中性分子として陰極にたたき込まれ固溶体
(ZrH2 )となる。このように陰極に仕事関数の小さ
い非蒸発型ゲッター材の構成成分を埋め込み、これをス
パッタして円筒状陽極面に非蒸発型ゲッター材を作り続
けるようにしたので、到達真空度が大幅に向上する。
【0016】図4は本発明の極高真空スパッタイオンポ
ンプの他の例を示す図である。極高真空スパッタイオン
ポンプの基本性能は、陰極11面のスパッタ速度に比例
するのでその速度を速くする目的で、V字溝17を入れ
ると良い。角度をつけることにより表面積が増えるとと
もに、スパッタし易くなるからであり、角度45°が最
適である。V字溝17は同心円状、渦巻き状、網目状な
どどんな形でもよいが角度は必要スパッタ率に合わせ
る。
【0017】なお、上記の例においては、スパッタによ
りジルコニウム−アルミニウム合金のゲッター薄層16
を生成するようにしたが、本発明はこれに限定されるも
のではない。例えば、 ジルコニウム、バナジウムとミッシュメタル ジルコニウム、バナジウムと鉄 ジルコニウムチタン合金、マグネシウムとアルミニウ
ム ジルコニウムチタン合金、バナジウムとミッシュメタ
ル ジルコニウムチタン合金、マグネシウム、バナジウム
と鉄 ジルコニウムタンタル合金とアルミニウム ジルコニウムタンタル合金、バナジウムとミッシュメ
タル ジルコニウムタンタル合金、バナジウムと鉄 など、仕事関数の小さい材料の組み合わせを用いてもよ
い。また、市販のアルミニウムジルコニウム合金からな
る非蒸発型ゲッターをジルコニウムまたはジルコニウム
合金の陰極板に対して、図1(c)や図4に示したと同
様に、スパッタの激しい領域に配置するようにしてもよ
い。この場合、陰極2枚のうち、1枚だけを図1(c)
や図4に示したけようなスパッタの激しい領域に配置す
るようにしても効果が得られる。
【0018】図5は本発明の極高真空スパッタイオンポ
ンプの他の例を示す図である。上記の例では円筒状セル
陽極12の中心軸と陰極11の交わる点を中心とした単
一の円形の領域にアルミニウムからなる陰極構成金属1
1Bを配置するようにしたが、この例では円筒状セル陽
極12の中心軸と陰極11の交わる点を中心とした円形
の領域と、その周囲の複数の円形領域に陰極構成金属1
1Bを配置するようにしたものである。図示の例では各
セルごとに7個の円形領域を設けて、そのうちの3〜4
領域に陰極構成金属11Bを配置する。各円形領域はほ
ぼ同面積に形成しているが、異ならせてもよく、領域の
数は任意である。なお、4個の円筒状セル陽極の外周に
より囲まれ、その中心軸と陰極の交わる点を中心とした
円形の領域は1つにしているが、この部分も複数の領域
にしてもよい。
【0019】さらに、図6により本発明の極高真空スパ
ッタイオンポンプの他の例を説明する。図6(a)は3
電位3極型の例を示している。上記したような陰極11
と円筒状陽極12との間に金網等のグリッド21を配置
し、円筒状陽極の軸方向に磁場を掛けて電圧を印加する
と、陰極から放出された電子はグリッド21を通って陽
極へ飛行し、螺旋運動しながらガスを電離してイオン、
二次電子を生成し、生成したイオンがグリッドを通過し
て陰極をスパッタし、非蒸発型ゲッター薄層が円筒状陽
極の内外面に形成される。このようにグリッド21を設
けて加速度電位を制御して電子、イオンをコントロール
することにより、装置の小型化を図ることができ、ポン
プの立ち上げを速くすることができる。
【0020】図6(b)は2電位3極型の例を示してお
り、基本的構成は図5(a)と同じであるが、グリッド
21が陰極11と同電位である点が異なっている。グリ
ッド21を設けることにより、陽極12との間の電位勾
配が急峻となり、それによって電子、イオンの加速電界
が大きくなり、同様に装置の小型化を図ることができ、
ポンプの立ち上げを速くすることができる。
【0021】図6(c)は希ガス用のスパッタイオンポ
ンプの例を示している。この例は陰極22としてタンタ
ルと組み合わせたチタン陰極を用いており、タンタルが
希ガスに感応する性質を利用して希ガスの排気特性を改
善するために使用される。動作原理は図6(a)、図6
(b)と同じで、陰極から放出された電子が磁場により
螺旋運動しながらガスを電離してイオン、二次電子を生
成し、生成したイオンがスパッタし、非蒸発型ゲッター
薄層(タンタル)が円筒状陽極の内外面に形成され、希
ガスを捕捉する。
【0022】図6(d)は多孔陰極型の例を示してい
る。多孔陰極型チタン電極を本発明の陰極構成とし、β
線発生器24を用いて電子を発生させ、発生した電子が
磁場により螺旋運動しながらガスを電離してイオン、二
次電子を生成し、生成したイオンが陰極をスパッタし、
非蒸発型ゲッター薄層が円筒状陽極の内外面に形成され
てガスを捕捉する。このポンプは比較的低真空の電子が
放出されにくい場合に使用される。
【0023】なお、上記の例においては陰極として仕事
関数の低い板状のものを用いるようにしたが、本発明は
これに限定されるものではなく、線状のものを縦糸、横
糸(例えば、ジルコニウム線を縦糸、アルミニウム線を
横糸)として金網を形成してもよい。このとき構造的に
支える金網と表面積を増やすための金網を重ね合わせる
構造としてもよい。また、線の太さ、織る方法等を変え
ることにより、非蒸発型ゲッター薄層の重量比を自由に
変えることができ、かつ陰極の表面積も飛躍的に広くす
ることが可能である。この金網構造はジルコニウム、ア
ルミニウムの組み合わせ以外に上記したような仕事関数
の小さいあらゆる材料の組み合わせの場合も同様に可能
である。
【0024】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、既存のイ
オンポンプ、ノーブルポンプ、コンビネーションポンプ
と比較した場合以下のような効果が達成される。 ・既存のスパッタイオンポンプの動作原理は磁場中で冷
陰極放電を起こすことにより、電離された気体分子が陰
極に埋め込まれること、また、陰極との衝突の際の陰極
材料(Ti、Ta)をスパッタしてゲッター膜を連続的
に作ることを利用して排気を行っているのに対して、本
発明の超高真空スパッタイオンポンプでは、非蒸発型ゲ
ッター材の構成成分をスパッタして円筒状セル陽極4の
内外周表面に非常に活性な新しく表面が更新され続ける
非蒸発型ゲッター薄層を作り、到達真空度を大幅に向上
させることができる。その結果、市販の極高真空計では
計測不能な1×10- 11Pa以上の真空レベルが得られ
る。 ・既存のスパッタイオンポンプの大きな欠点である超高
真空領域になると、排気量が低下する現象がなくなる。 ・既存のイオンポンプの動作原理に基づく磁石は必要で
あるが、ゲッター作用が一桁大きいため、相対的には装
置を大幅に小型化できる。 ・既存イオンポンプの動作原理に基づいてジルコニウム
とアルミニウムを陰極材料として、これをスパッタし、
非常に活性な非蒸発型ゲッター薄層を連続的に作るので
あるが、従来法で使用しているチタンのように既に吸着
しているガスを放出することは少量の水素を除いてほと
んどない。したがって、到達真空度が大幅に向上し、極
高真空領域1×10-11 Pa以上にしうる。 ・既存のスパッタイオンポンプのチタン陰極を本発明の
陰極、またはポンプ素子に変更することにより到達真空
度を1×10-11 Pa以上に引き上げられる。 ・非蒸発型ゲッターでは必須の活性化や再活性化が不要
となり、専用の加熱電源が不要となる。使用期限や使用
時の寿命も気にしなくてすむ。個人差や不安定要因が少
なくなる。 ・停電時、円筒状セル陽極面上のスパッタによってでき
た非蒸発型ゲッター薄層がポンプとして働くのでガスを
吸着し続け、急速に真空低下することがない。 ・コンビネーションポンプで使用される非蒸発型ゲッタ
ーには電圧がかかっていないのに対して、本発明の場合
正電位がかかっているのでゲッター効果が促進される。 ・機能はコンビネーションポンプ以上であるが、スパッ
タイオンポンプ部分と非蒸発型ゲッター薄層が物理的に
独立していないので小型・軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の極高真空スパッタイオンポンプの構
成の説明図である。
【図2】 非蒸発型ゲッター薄層の生成を説明する図で
ある。
【図3】 Al重量比とゲッター速度との関係を説明す
る図である。
【図4】 本発明の極高真空スパッタイオンポンプの他
の例を示す図である。
【図5】 本発明の極高真空スパッタイオンポンプの他
の例を示す図である。
【図6】 本発明の極高真空スパッタイオンポンプの他
の例の説明図である。
【図7】 従来のスパッタイオンポンプの電極構造を説
明する図である。
【図8】 非蒸発型ゲッターの概略構成を説明する図で
ある。
【図9】 コンビネーションポンプを説明する図であ
る。
【符号の説明】
図1は本発明の極高真空スパッタイオンポンプの構成を
説明する図であり、図11…陰極、11A、11B…陰
極構成金属、12…円筒状セル陽極、13…イオンポン
プ電源、14…磁場、15…電子。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の中空円筒状セルを並べた陽極の両
    側を陰極で挟むとともに、円筒状セルの軸方向に磁場を
    かけ、陰極から放出された電子でガスを電離して二次電
    子とイオンを生成し、生成したイオンにより陰極をスパ
    ッタして陰極材料を飛散させ、中空円筒状セル表面に堆
    積させてガスを吸着するようにしたスパッタイオンポン
    プにおいて、陰極に仕事関数の小さい非蒸発型ゲッター
    材の構成成分を埋め込み、これをスパッタして中空円筒
    状セル表面に非蒸発型ゲッター材を作り続けるようにし
    たことを特徴とする極高真空スパッタイオンポンプ。
  2. 【請求項2】 前記陰極は非蒸発型ゲッター材の構成成
    分により形成した金網構造であることを特徴とする請求
    項1記載のイオンポンプ。
JP2000180188A 2000-06-15 2000-06-15 極高真空スパッタイオンポンプ Pending JP2001357814A (ja)

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