JP2001355083A - 銅、銅合金およびステンレス鋼の腐食防止方法 - Google Patents

銅、銅合金およびステンレス鋼の腐食防止方法

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JP2001355083A
JP2001355083A JP2000178620A JP2000178620A JP2001355083A JP 2001355083 A JP2001355083 A JP 2001355083A JP 2000178620 A JP2000178620 A JP 2000178620A JP 2000178620 A JP2000178620 A JP 2000178620A JP 2001355083 A JP2001355083 A JP 2001355083A
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Masatsune Okuma
正恒 大熊
Keisuke Nakamura
佳介 中村
Hiroyoshi Nishigori
弘宜 錦織
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Katayama Chemical Inc
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Katayama Chemical Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境への悪影響が少ない安全な方法で、銅、
銅合金およびステンレス鋼の腐食を防止する方法を提供
することを課題とする。 【解決手段】 銅、銅合金およびステンレス鋼から選択
される金属材料を構成部材として用いた淡水冷却水系の
水に、過酸化水素濃度が0.1〜50mg/lになるよ
うな量の過酸化水素もしくは過酸化水素発生剤と、有効
塩素濃度が0.1〜5mg/lになるような量の塩素ガ
スもしくは塩素発生剤とを添加することを特徴とする
銅、銅合金およびステンレス鋼の腐食防止方法により、
上記の課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、銅、銅合金およ
びステンレス鋼の腐食防止方法に関する。さらに詳しく
は、この発明は、淡水冷却水系の水と接触する機器、配
管、ピットなどの銅、銅合金およびステンレス鋼の表面
腐食を防止する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】冷却水系は、1)冷却塔で循環水の一部
を蒸発させて冷却する開放循環式冷却水系、2)冷媒な
どで間接的に循環水の熱を吸収し、原則的には大気と接
触しない密閉循環式冷却水系、および3)一過式冷却水
系に大別される。開放循環式冷却水系は、石油精製工
場、石油化学工場、化学工場などにおける製品の冷却や
冷凍機冷媒の冷却などに広く利用され、特に淡水を用い
た冷却水系において最も多く利用されている。密閉循環
式冷却水系は、エンジンや軸受けなどの機器の冷却水
系、ビルの冷温水系などに利用されている。また、一過
式冷却水系は、種々の工場の製品の冷却や冷凍機冷媒の
冷却および密閉循環式冷却水の二次冷却の手段として利
用されている。
【0003】上記のような冷却水系においては、その構
成部材として用いられる金属材料が、冷却水と接触する
部分で腐食を起こすという問題がある。特開平9−22
8080号公報には、蓄熱水系または密閉水系の循環保
有水に、過酸化水素を1〜200mg/lの濃度となる
ように添加することからなる銅の孔食防止方法が開示さ
れている。この方法は、過酸化水素の添加により水系中
の微生物の増殖を抑制し、微生物汚れに起因する銅の孔
食を結果的に防止するものである。
【0004】上記の方法で用いられる過酸化水素は、環
境面に悪影響を及ぼすことなく、優れたスライム付着防
止効力を有するので(特公昭57−50560号参
照)、多くの冷却水系で用いられている。
【0005】しかしながら、過酸化水素はスライムの付
着防止に効果はあるものの、酸化性物質であるため、金
属の腐食防止剤として使用されることはなかった。一般
に、金属材料の腐食はその表面電位の上昇により発生す
るため、金属腐食防止剤としては通常、還元性物質が使
用されるからである。
【0006】また、特開昭54−161592号公報に
は、過酸化水素または過酸化水素発生剤と塩素または塩
素発生剤とを併用する、海水流路またはプラントにおけ
る海水生物の付着抑制方法が開示されている。
【0007】他方、次亜塩素酸のような塩素発生剤は、
従来から安全性の高い消毒剤、殺菌剤として、上下水
道、各種工業廃水やプールなどの水系において広く用い
られている。しかしながら、水系中の塩素は少量であっ
ても、水系の構成部材の鉄、銅、アルミニウム、ステン
レス鋼などの金属材料の腐食を引き起こすという問題が
あり、塩素や塩素発生剤が金属の腐食防止剤として用い
られることはなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、環境への
悪影響が少ない安全な方法で、銅、銅合金およびステン
レス鋼の腐食を防止する方法を提供することを課題とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明の発明者らは、
上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、少量で
あっても金属材料の腐食を惹起する塩素と、冷却水系に
添加してもスライム付着防止効果が得られないような少
量の過酸化水素とを併用することにより、意外にも銅、
銅合金およびステンレス鋼の腐食防止効果が得られる事
実を見出し、この発明を完成するに到った。このような
事実は、過酸化水素が、冷却水系の構成部材として用い
られる金属材料の表面電位を上昇させて、金属材料の腐
食をもたらすということからも、全く意外なことであ
る。
【0010】かくして、この発明によれば、銅、銅合金
およびステンレス鋼から選択される金属材料を構成部材
として用いた淡水冷却水系の水に、過酸化水素濃度が
0.1〜50mg/lになるような量の過酸化水素もし
くは過酸化水素発生剤と、有効塩素濃度が0.1〜5m
g/lになるような量の塩素ガスもしくは塩素発生剤と
を添加することを特徴とする、銅、銅合金およびステン
レス鋼の腐食防止方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明の方法で使用される過酸
化水素もしくは過酸化水素発生剤(以下、「過酸化水素
剤」と称する)としては、工業用として市販されている
濃度3〜60%の過酸化水素溶液や過酸化水素を水中で
放出し得る過ホウ酸、過炭酸、ペルオキシ硫酸などの無
機過酸、過酢酸のような有機過酸もしくはこれらの塩類
が挙げられる。これらの過酸化水素剤を冷却水系に添加
するにあたっては、予め淡水で適宜希釈してもよい。
【0012】また、過酸化水素剤としては、淡水を含む
用水中で発生させた過酸化水素を用いることもできる。
過酸化水素を発生させる方法としては、水またはアルカ
リ溶液の電気化学的分解などがあるが、これらに限定さ
れるものではない。
【0013】この発明の方法で使用される塩素もしくは
塩素発生剤(以下、「塩素剤」と称する)としては、塩
素ガス、次亜塩素酸塩、ジクロロイソシアヌル酸塩な
ど、水中で有効塩素を発生する化合物や、海水の電気分
解などによって得られた次亜塩素酸塩などが挙げられ
る。これらの塩素剤を冷却水系に添加するにあたって
は、予め淡水で適宜希釈してもよい。
【0014】この発明の方法においては、過酸化水素濃
度が0.1〜50mg/l、好ましくは0.1〜15m
g/lになるような量の過酸化水素剤と、有効塩素濃度
が0.1〜5mg/l、好ましくは0.2〜3mg/l
になるような量の塩素剤とを、同時または相前後して添
加する。
【0015】過酸化水素濃度が0.1mg/l未満の場
合には、塩素剤による金属材料の腐食が生じるので好ま
しくない。また、過酸化水素濃度が15mg/lを超え
る場合には、過酸化水素剤による金属材料の腐食が生じ
るので好ましくない。また、有効塩素濃度が0.1mg
/l未満の場合には、過酸化水素剤による金属材料の腐
食が生じるので好ましくない。また、有効塩素濃度が5
mg/lを超える場合には、塩素剤による腐食が生じる
ので好ましくない。
【0016】この発明の方法の腐食防止対象となる淡水
冷却水系としては、開放循環式淡水冷却水系、密閉循環
式淡水冷却水系、一過式淡水冷却水系などが挙げられ
る。これらの淡水冷却水系の中でも、本発明の方法は、
特に石油精製工場、石油化学工場、化学工場などにおけ
る製品の冷却や冷凍機冷媒の冷却などに広く利用される
開放循環式淡水冷却水系に好適に用いることができる。
【0017】この発明による腐食防止対象は、機器、配
管、ピットなどの冷却水系の構成部材として用いられる
銅、銅合金およびステンレス鋼から選択される金属材料
である。
【0018】銅としては、例えば、タフピッチ銅、リン
脱酸銅、無酸素銅などが挙げられ、銅合金としては、黄
銅、スズ青銅、アルミニウム青銅、リン青銅、ケイ素
銅、ニッケル青銅などが挙げられる。ステンレス鋼とし
ては、SUS304、SUS316などのオーステナイ
ト系、SUS329J1のようなオーステナイト・フェ
ライト系、SUS430のようなフェライト系、SUS
403のようなマルテンサイト系などのステンレス鋼が
挙げられる。ここで、「SUS番号」はJIS規格 G
4303〜4309の規格記号を意味する。
【0019】この発明の方法においては、その腐食防止
効果が阻害されない範囲で、公知の金属防食剤を併用す
ることができる。
【0020】公知の金属防食剤としては、例えば、亜硝
酸塩のような無機系金属防食剤、コハク酸ナトリウム、
グルコン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウムなどのオキ
シカルボン酸塩、グルコースのような糖類などの有機系
金属防食剤が挙げられる。また、リン酸塩、重合リン酸
塩やホスホン酸塩などのリン化合物、亜鉛塩やモリブデ
ン酸塩などの重金属化合物のような金属防食剤も環境に
悪影響を与えない範囲で併用することができる。また、
この発明の方法においては、さらに他の分散剤、殺菌・
静菌剤などを併用することができる。
【0021】
【実施例】この発明を以下の試験例により具体的に説明
するが、これらがこの発明の範囲を限定するものではな
い。
【0022】試験例1〔金属腐食防止効果確認試験〕 某化学工場の冷却水ピットの冷却水(pH:8.5)中
に、表1に示す供試薬剤を添加し、この冷却水に銅テス
トピース(材質:C−1100P、寸法:30mm×5
0mm×1mm)を懸吊状態で浸漬した。浸漬開始から
2週間後に、テストピースを取り出し、酸洗、水洗、乾
燥後に重量を測定した。この測定値と試験前に予め測定
しておいたテストピースの重量から重量減少量を求め、
さらに腐食速度(1日当たりの腐食減量、MDD,mg
/dm2・day)を求めた。また、テストピースの表
面状態を目視および光学顕微鏡で観察した。なお、この
試験では供試薬剤を添加しない以外は他の試験と同様に
してブランク試験も行った。試験結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】試験例2〔銅およびステンレス鋼の自然電
位測定試験〕 大阪市水の5倍濃縮合成水に、有効塩素濃度が2mg/
lとなるように12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液2.
5mg/lを添加し、試験溶液とした。次亜塩素酸ナト
リウムは空気中で容易に分解するため、添加前に濃度を
測定し、添加量を決定した。容量1リットルのビーカー
に、試験溶液1リットルを入れ、試験溶液に浸漬するよ
うに銀−塩化銀参照電極(Ag/AgCl)を取り付
け、マントルヒーターを用いて試験溶液の水温を25℃
に保ち、スターラーを用いて回転速度500rpmで攪
拌した。
【0025】銅(材質:C−1100P)製の円柱状試
験材(直径9.5mm×長さ13mm)を、テフロン
(登録商標)で被覆したステンレス鋼(材質:SUS3
04)製のシャフトに取り付けて、試験溶液に浸漬し
た。過酸化水素濃度が0〜50mg/lの範囲になるよ
うに35%過酸化水素溶液を試験溶液に添加しながら、
円柱状試験材と参照電極との電位差を銅の表面電位とし
て測定した。円柱状試験材をステンレス鋼(材質:SU
S304)製のものに代え、過酸化水素濃度の範囲を0
〜2mg/lとする以外は上記と同様にして、円柱状試
験材と参照電極との電位差をステンレス鋼の表面電位と
して測定した。
【0026】その結果を図1および図2に示す。図中、
pitは銅の孔食電位を、またEcor rは銅およびステン
レス鋼の浸漬電位を示す。図1から、過酸化水素の添加
により自然電位が急激に低下し、銅の腐食が起こる15
0mvよりも低い70〜80mVで安定し、銅の腐食が
発生し難い環境に維持されていることがわかる。また、
図2から、過酸化水素の添加により自然電位が低下し、
ステンレス鋼の腐食が発生し難い環境に維持されている
ことがわかる。
【0027】
【発明の効果】この発明によれば、環境への悪影響が少
ない安全な方法で、銅、銅合金およびステンレス鋼の腐
食を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例2における過酸化水素濃度と銅の表面電
位との関係を示す図である。
【図2】試験例2における過酸化水素濃度とステンレス
鋼との表面電位の関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 錦織 弘宜 大阪市東淀川区東淡路2丁目10番15号 株 式会社片山化学工業研究所内 Fターム(参考) 4K062 AA03 BA01 BA08 BA14 CA05 DA01 FA05 FA16 GA08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅、銅合金およびステンレス鋼から選択
    される金属材料を構成部材として用いた淡水冷却水系の
    水に、過酸化水素濃度が0.1〜50mg/lになるよ
    うな量の過酸化水素もしくは過酸化水素発生剤と、有効
    塩素濃度が0.1〜5mg/lになるような量の塩素ガ
    スもしくは塩素発生剤とを添加することを特徴とする
    銅、銅合金およびステンレス鋼の腐食防止方法。
  2. 【請求項2】 過酸化水素濃度が0.1〜15mg/l
    であり、かつ有効塩素濃度が0.2〜3mg/lである
    請求項1に記載の腐食防止方法。
JP2000178620A 2000-06-14 2000-06-14 銅、銅合金およびステンレス鋼の腐食防止方法 Pending JP2001355083A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010280947A (ja) * 2009-06-04 2010-12-16 Kurimoto Ltd ステンレス鋼部材の防食方法

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JP2010280947A (ja) * 2009-06-04 2010-12-16 Kurimoto Ltd ステンレス鋼部材の防食方法

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