JP2001351566A - イオン検出器 - Google Patents

イオン検出器

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JP2001351566A
JP2001351566A JP2000172633A JP2000172633A JP2001351566A JP 2001351566 A JP2001351566 A JP 2001351566A JP 2000172633 A JP2000172633 A JP 2000172633A JP 2000172633 A JP2000172633 A JP 2000172633A JP 2001351566 A JP2001351566 A JP 2001351566A
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ion
metal plate
incident
ions
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JP2000172633A
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Takayuki Omura
孝幸 大村
Haruhisa Yamaguchi
晴久 山口
Hiroshi Suzuki
広 鈴木
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Hamamatsu Photonics KK
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Hamamatsu Photonics KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度、且つイオン入射方向の寸法の小さい
イオン検出器の提供。 【解決手段】 イオン検出器1は、平行に配置された上
部金属板と下部金属板12とを有している。上部金属板
には、イオンを入射するイオン入射開口が形成されてお
り、イオンは上部金属板に対して垂直の方向から入射す
る。上部金属板と下部金属板12との間には、電子増倍
部13と第2コンバージョンダイノード14とイオン偏
向電極18と支柱電極19とが設けられている。電子増
倍部13は、その長手方向がイオン入射方向に対して垂
直に配置されており、入射したイオンは、イオン編曲電
極18によって偏向され第2コンバージョンダイノード
14へ入射し電子を放射する。電子は支柱電極19によ
り形成される電子レンズによって、電子増倍部13の電
子入射開口へ効率よく入射する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はイオン検出器に関し、特
に、電子増倍部を有するイオン検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ダイオキシンや環境ホルモン
等の微量な物質の質量の検出を行うための装置として、
質量分析器が知られている。この質量分析器は、検出対
象の試料をイオン化し、イオンを検出することによって
質量の検出を行うものであり、イオンを検出するための
電子増倍部が設けられたイオン検出器を有している。
【0003】質量分析器は、イオン化室と、質量分離部
と、イオン検出器とから構成されている。イオン化室で
試料分子はイオン化され、四重極電極を代表とする質量
分離部へと送られ、質量ごとに分離される。そして、質
量分離部から放出され、イオンを検出するイオン検出器
へ入射する。
【0004】図18に示されるように、質量分析器に設
けられているイオン検出器1001は、質量分離部の四
重極電極1410に隣接して設けられている。イオン検
出器1001は、互いに平行に設けられた上部電極板1
011と下部電極板1012とを有しており、これらの
間には電子増倍部1013とコンバージョンダイノード
1014とが設けられている。この電子増倍部1013
は、電子増倍部1013における電子増倍方向が電子増
倍部1013の長手方向に一致するタイプである。上部
電極板1011の略中央部には、四重極電極1410に
よって質量ごとに分離されたイオンをイオン検出器内に
入射させるためのイオン入射開口1011aが形成され
ている。フィラメントノイズを避けるため、コンバージ
ョンダイノード1014は、イオン入射開口1011a
から入射するイオンの飛行軸よりずれたところに配置さ
れ、電子増倍部1013は、このイオン飛行軸を挟んで
コンバージョンダイノード1014と対向する位置に配
置されている。電子増倍部1013は、長手方向が、イ
オン入射開口1011aにおけるイオン入射方向に対し
て平行に配置されている。又、コンバージョンダイノー
ド1014と電子増倍部1013との間には、両者を互
いにシールドし、コンバージョンダイノード1014側
の不要なノイズが電子増倍部1013の側に侵入するこ
とを防止するために、支持板1015が設けられてい
る。支持板1015には、イオンや電子がコンバージョ
ンダイノード1014側から電子増倍部1013側へと
通過可能に、電子通過口1015aが形成されている。
コンバージョンダイノード1014が負の高圧に印加さ
れ、上部金属板1011と支持板1015とがグランド
電位とされることよって、イオン入射開口1011aか
ら入射したイオンをコンバージョンダイノード1014
に導く電子レンズを形成する。
【0005】イオン検出器1001において、質量分離
部の四重極電極1410から放出されたイオンは、高速
に加速されて、高い電圧が印加されたコンバージョンダ
イノード1014に入射する。このことによって、イオ
ンから電子への変換効率が高くなる。そして、コンバー
ジョンダイノード1014で発生した電子は電子増倍部
で増倍される。このような処理を行うことにより、イオ
ン検出器ではより高い感度を得ることができる。このタ
イプのイオン検出器は、コンバージョンダイノード付き
電子増倍管、または、高エネルギーダイノード付き電子
増倍管と呼ばれている。
【0006】質量分析器に設けられる上述のタイプのイ
オン検出器では、電子増倍部はその長手方向がイオン入
射開口におけるイオンの入射方向に対して平行に設けら
れているため、イオン検出器の、イオン入射開口におけ
るイオンの入射方向長さが長くなってしまい、質量分析
器のコンパクト化が図れないという問題があった。
【0007】特公平8−3987号公報には、電子増倍
部の長手方向を、イオン入射方向に対して垂直に配置し
たイオン検出器が記載されている。このように電子増倍
部を配置することによって、イオン検出器のイオン入射
方向長さを短くすることが可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特公平8−3
987号公報に記載された従来のイオン検出器では、イ
オン入射方向長さを短くするとイオン入射開口とコンバ
ージョンダイノードとの間の距離や、コンバージョンダ
イノードの、イオン入射開口におけるイオンの入射方向
長さが短くなり、イオン検出器の感度が低下するという
問題がある。
【0009】逆に、ある程度高い感度を維持しようとす
ると、イオン入射開口とコンバージョンダイノードとの
間の距離や、コンバージョンダイノードの、イオン入射
方向長さを大きくする必要があり、この場合には、電子
増倍部をイオン入射方向に対して垂直に配置しても、イ
オン検出器のイオン入射方向の長さを、あまり短くする
ことはできない。
【0010】そこで本発明は、高感度、且つイオン入射
方向の寸法の小さいイオン検出器を提供することを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、イオン入射開口が形成された上部金属板
と、該上部金属板に平行に設けられた下部金属板と、該
上部金属板と該下部金属板との間に設けられ、該イオン
入射開口から該上部金属板と該下部金属板との間へ入射
したイオンの衝突により電子又はイオンを発生する第1
コンバージョンダイノードと、該上部金属板と該下部金
属板との間に設けられ、該第1コンバージョンダイノー
ドが放出した電子又はイオンを入射する荷電粒子入射開
口が形成され、入射した該電子又は入射したイオンに基
づく電子を増倍する電子増倍部とが設けられたイオン検
出器において、該電子増倍部は、該イオン入射開口にお
けるイオンの入射方向に対して垂直に配置固定され、該
上部金属板と該下部金属板との間であって、該第1コン
バージョンダイノードに対して該イオン入射開口におけ
るイオン入射方向下流であって、且つ該第1コンバージ
ョンダイノードと該イオン入射開口とを結ぶ直線の近傍
にはイオン偏向電極が設けられ、該上部金属板と該下部
金属板との間であって、該第1コンバージョンダイノー
ドと該荷電粒子入射開口とを結ぶ直線の近傍であって、
且つ該イオン偏向電極が設けられている位置に対して該
直線を軸とする線対称の位置には支柱電極が設けられ、
該イオン偏向電極は、該イオン入射開口から入射したイ
オンを該第1コンバージョンダイノードへと強制的に向
かわせるための電子レンズを形成し、該支柱電極は、該
上部金属板と該下部金属板とを互いに平行に支持固定
し、該第1コンバージョンダイノードから放出された電
子又はイオンを該荷電粒子入射開口に向かわせるための
電子レンズを形成するイオン検出器を提供している。
【0012】ここで、該支柱電極と該上部金属板と該下
部下金属板とがグランド電位になっていることが好まし
い。
【0013】又、該第1コンバージョンダイノード、該
支柱電極、及び該イオン偏向電極と、該電子増倍部とを
区分する金属板が設けられていることが好ましい。
【0014】又、該イオン入射開口から入射した負イオ
ンを正イオンに変換する第2コンバージョンダイノード
が設けられていることが好ましい。
【0015】又、該イオン入射開口に対向する該下部金
属板の位置には開口が設けられていることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態による
イオン検出器について図1乃至図17に基づき説明す
る。先ず、本実施の形態によるイオン検出器1が設置さ
れる質量分析器100について、図1乃至図2に基づき
説明する。質量分析器100は、真空チャンバー200
を形成するステンレス壁部110を備えている。真空チ
ャンバー200には、試料分子をイオン化するためのイ
オン化部300と、イオン化した試料分子を質量ごとに
分離するための質量分離部400と、質量分離部400
から放出されるイオンの量を検出するためのイオン検出
器1とが、この順に設けられている。
【0017】質量分析器100は、イオン化部300に
おいてガスクロマトグラフ装置600と連通させ、且
つ、イオン検出器1をデータ処理装置700と電気的に
接続させて使用する。
【0018】ガスクロマトグラフ装置600は図示せぬ
測定試料注入口を有しており、測定試料を液体(例え
ば、ヘキサン等に溶かし込んだ液体)として、ガスクロ
マトグラフ装置600内部に注入可能に構成されてい
る。
【0019】イオン化部300は、図示せぬフィラメン
トを備えている。フィラメントに電流を流すことにより
熱電子を発生させ、試料分子を正または負の極性のイオ
ンに変換する。
【0020】質量分離部400は、図2及び図3に示す
ように、四重極電極410を備えている。四重極電極4
10は、中心軸X2の周りで、かつ、中心軸X2に平行
に配列された4個の円筒電極から構成されており、中心
軸X2方向の一端部がイオン入射部430、他端部がイ
オン出射部440となっている。また、4個の円筒電極
内を中心軸X2に沿って延び、イオン入射部430とイ
オン出射部440の間の空間がイオン飛翔空間420と
なる。四重極電極410のイオン入射部430はイオン
化部300に対向配置され、イオン化部300で発生し
たイオンをこのイオン入射部430からイオン飛翔空間
420内に導入する。
【0021】4個の円筒電極410には、定常電圧と所
定の周波数の交流電圧を重畳した電圧が印加され、入射
したイオンのうち、当該周波数に対応する質量数のイオ
ンのみをイオン出射部440まで導くことで、所定の質
量数のイオンを他の質量数のイオンから分離している。
なお、イオン飛翔空間420には、イオン以外に電磁波
や高速粒子も入射しており、これらが計測対象のイオン
と共にイオン飛翔空間420を通り抜ける。
【0022】データ処理装置700は、後述するイオン
検出器1に設けられた電子増倍部13のダイノード13
Aへの電圧印加を制御するとともに、電子増倍部13の
アノード13Bからの電気信号に基づき、所望のイオン
の量を出力する。データ処理装置700は、また、図示
しない配線を介して、四重極電極410及びイオン化部
300のフィラメントへの電圧印加を制御する。
【0023】次に、本実施の形態によるイオン検出器1
について、図2乃至図17に基づき説明する。イオン検
出器1は、イオン出射部440から出射したイオンの量
を電気信号に変換するために、真空チャンバー200に
設置される。イオン検出器1は、図2に示されるよう
に、中心軸X1を有し、中心軸X1が四重極電極410
の中心軸X1と同軸の位置関係となるように配置され
る。イオン検出器1は、中心軸X1に対して垂直に設け
られた上部金属板11と下部金属板12とを備えてい
る。上部金属板11には、中心軸X1が貫通する位置に
イオン入射開口11aが形成されている。中心軸X1が
四重極電極410の中心軸X2と同軸の位置関係となる
結果、このイオン入射開口11aが四重極電極410の
イオン出射部440に対向し、イオン入射開口11aが
イオンの飛翔経路と一致する。以下、イオン入射口11
aにおけるイオン入射方向を「イオン入射方向」とす
る。
【0024】下部金属板12には、図4に示すように、
一対のピン貫通孔12b、12cが形成されている。こ
のうち、一つのピン貫通孔12bには、後述の、上部金
属板11と下部金属板12との間に設けられた電子増倍
部13の第一段ダイノード13Aに、ワイヤで電気的に
接続された電圧印加ピン12B(図2)が貫通し封止部
材により固定される。また、他方のピン貫通孔には、電
子増倍部13のアノード13Bにワイヤーで電気的に接
続された電気信号ピン12C(図2)が貫通し封止部材
により固定される。又、下部金属板12には、図4に示
すように、複数の支柱接合用開口12aが形成されてい
る。
【0025】下部金属板12に対向する、質量分析器1
00の壁部110の後端部の位置には、フランジ部12
0が設けられているが、下部金属板12に形成された各
支柱接合用開口12aに、それぞれ支柱12Aを接合
し、これらの支柱12Aを、図2又は図3に示すよう
に、フランジ部120に接続することで、イオン検出器
1は、質量分析器100のフランジ部120に固定され
ている。
【0026】また、フランジ部120にも、図2に示さ
れるように、フランジ部120に固定されたイオン検出
器1上の電圧印加ピン12B及び電気信号ピン12Cに
対向する位置には、一対のピン貫通孔120a及び12
0bが形成されている。このうち、電圧印加ピン12B
に対向するピン貫通孔120aには、外部電圧印加ピン
122が貫通し封止部材にて密封状態となるように固定
されている。外部電圧印加ピン122は、その外側端部
がデータ処理装置700に配線により電気的に接続され
ている。従って、外部電圧印加ピン122の内側端部を
電圧印加ピン12Bに電気的に接続することで、電子増
倍部13の第一段ダイノード13Aがデータ処理装置7
00に電気的に接続される。また、電気信号ピン12C
に対向するピン貫通孔120bには、外部電気信号ピン
124が貫通し封止部材にて密封状態となるように固定
されている。外部電気信号ピン124は、その外側端部
がデータ処理装置700に電気的に接続されている。従
って、外部電気信号ピン124の内側端部を電気信号ピ
ン12Cに電気的に接続することで、電子増倍部13の
アノード13Bがデータ処理装置700に電気的に接続
される。
【0027】次に、上部金属板11と下部金属板12と
によって画成されるイオン検出器1の内部の構成につい
て説明する。図5乃至図9に示されるように、上部金属
板11と下部金属板12とは、金属板15に支持される
ことによって、互いに平行に配置されている。下部金属
板12上であって上部金属板11に形成されたイオン入
射開口11aに対向する位置には、ノイズ出射口12d
が形成されている。ノイズ出射口12dは、イオン化部
300で試料がイオン化される際に発生する光等、ノイ
ズとなるものがイオン検出器1によって検出されないよ
うに、通過させるためのものである。上部金属板11と
下部金属板12とは、グランド電位である。
【0028】上部金属板11と下部金属板12とを互い
に平行な位置関係に支持する金属板15は、断面が略U
字形状をしており、略Uの字の一方の側面15B(図
8)には上部金属板11が面接触し固着されており、U
の字の他方の側面15Cには下部金属板12が面接触し
固着されている。また、Uの字の底部15Aには電子増
倍部13の長手方向の側面が固定配置されている。この
電子増倍部13は、電子増倍部13における電子増倍方
向が電子増倍部13の長手方向に一致するタイプであ
る。このように電子増倍部13が固定配置されること
で、電子増倍部13の長手方向は、イオン入射方向に対
して垂直の方向、即ち、中心軸X1の方向に対して垂直
の方向に配置される。又、底部15Aは、イオン検出器
1内部を、電子増倍部側1Aとコンバージョンダイノー
ド側1Bとに2分し、これら両方の空間をシールドす
る。
【0029】電子増倍部13には、複数のダイノード1
3Cが設けられており、電子増倍部13の隣り合うダイ
ノードの間には図示せぬ抵抗体が接続されている。電圧
印加ピン12Bを介して第一段ダイノード13Aに印加
された電圧は、これらの抵抗体により、第二段〜最終段
ダイノードへ分配されるように構成されている。電子増
倍部13の表面であって電子増倍部13の第一段ダイノ
ード13Aに対向する位置には、電子又はイオンを入射
する荷電粒子入射開口13aが形成されており、金属板
15の底部15A上の、荷電粒子入射開口13aに対向
する位置には、金属板15を貫通する荷電粒子入射口1
5aが形成されている。なお、第1段ダイノード13A
は、荷電粒子入射開口13aから正イオンが入射し第1
段ダイノード13Aに衝突した場合には、入射した正イ
オンに対して電子を放出することもできるように構成さ
れている。
【0030】電子増倍部13の荷電粒子入射開口13a
に対向する位置であってコンバージョンダイノード側1
B内には、第1コンバージョンダイノード14が設けら
れている。第1コンバージョンダイノード14には、正
のイオンを検出するために負の高電圧が印加されてお
り、第1コンバージョンダイノード14に正のイオンが
入射すると、そのイオンを電子に変換して放出する。第
1コンバージョンダイノード14のイオン入射方向の長
さは、従来のものと比較してかなり短い。
【0031】電子増倍部13の長手方向に平行に、第1
コンバージョンダイノード14から離れた位置であっ
て、コンバージョンダイノード側1B内には、第2コン
バージョンダイノード16が設けられている。第2コン
バージョンダイノード16には、負のイオンを検出する
ために正の高電圧が印加されており、第2コンバージョ
ンダイノード16に負のイオンが入射すると、そのイオ
ンを正のイオンに変換して、第1コンバージョンダイノ
ード14へ放出する。第2コンバージョンダイノード1
6と第1コンバージョンダイノード14との間の位置に
は、イオン入射開口11aから入射するイオンを第2コ
ンバージョンダイノードへと導く電子レンズA(図1
3)の一部を形成するため、及び両コンバージョンダイ
ノードの電子レンズを乱さないための金属板17が設け
られている。
【0032】第1コンバージョンダイノード14に対し
てイオン入射方向下流であって、コンバージョンダイノ
ード14とイオン入射開口11aとを結ぶ直線の近傍に
は、下部金属板12からイオン入射開口11aの方向へ
と突出する形状のイオン偏向電極18が設けられてい
る。イオン偏向電極18はグランド電位であり、イオン
入射開口11aから入射したイオンを第1コンバージョ
ンダイノード14へと偏向させるための電子レンズA
(図13)を形成する。
【0033】第1コンバージョンダイノード14と荷電
粒子入射開口13aとを結ぶ直線の近傍であって、この
直線を軸としてイオン偏向電極18に対して略線対称の
位置には支柱電極19が設けられている。支柱電極はグ
ランド電位であり、第1コンバージョンダイノード14
から放射された電子又はイオンを荷電粒子入射開口13
aへと偏向させるための電子レンズA(図13)を形成
する。
【0034】次に、イオン検出器1を含めて質量分析器
100の動作について説明する。ガスクロマトグラフ装
置600の図示せぬ測定試料注入口から測定試料を液体
として注入すると、ガスクロマトグラフ装置600内部
にて気化し、ガスクロマトグラフ装置600に連通した
イオン化部300内部に、気体として導入される。導入
された測定試料気体分子は、イオン化部300におい
て、図示せぬフィラメントで発生した熱電子により、正
極性もしくは負極性にイオン化される。発生したイオン
が四重極電極410のイオン入射部430よりイオン飛
翔空間420に入射すると、これらイオンのうち、所望
の質量数のイオンのみがイオン出射部440から出射し
て、イオン検出器1のイオン入射開口11aからイオン
検出器1内部に入射する。
【0035】イオン入射開口11aから入射したイオン
が正のイオンである場合には、第1コンバージョンダイ
ノード14に印加されている負の高電圧とイオン偏向電
極18とによって、イオンは強制的に第1コンバージョ
ンダイノード14へと向かわされ、第1コンバージョン
ダイノード14へ入射する。そして、第1コンバージョ
ンダイノード14においてイオンは電子に変換され、電
子増倍部13の荷電粒子入射開口13aの方向へ放出さ
れる。このとき、支柱電極19及びイオン偏向電極18
によって、強制的に電子は荷電粒子入射開口13aへと
入射され、電子は電子増倍部13内で増倍され、アノー
ド13Bに入射され検出される。なお、正イオンを検出
する場合には、コンバージョンダイノード16には電圧
を印加しない。
【0036】イオン入射開口11aから入射したイオン
が負のイオンである場合には、第2コンバージョンダイ
ノード16に印加されている正の高電圧によって、イオ
ンは強制的に第2コンバージョンダイノード16へと向
かわされ、第2コンバージョンダイノード16へ入射す
る。そして、第2コンバージョンダイノード16で負の
イオンから正のイオンへと変換され、第1コンバージョ
ンダイノード14へと放出される。この後のイオンの動
きは、正のイオンが第1コンバージョンダイノード14
へ入射したときと同様である。
【0037】図10に示されるように、イオン偏向電極
が設けられていない場合には、イオン入射口11aから
入射したイオンの電子軌道は第1コンバージョンダイノ
ード14へと集中していないが、イオン偏向電極18が
設けられている場合には、イオン入射口11aから入射
したイオンを第1コンバージョンダイノード14へと強
制的に向かわせる電子レンズが形成され、図11に示さ
れるように、イオン軌道は第1コンバージョンダイノー
ド14へと集中する。このため、イオン検出器1の高い
感度を維持しつつ、第1コンバージョンダイノード14
のイオン入射方向の長さを短くすることができ、電子増
倍部13をイオン入射方向に対して垂直の位置関係に配
置することができ、イオン検出器1のイオン入射方向の
長さを従来の半分以下に短くすることができる。このた
め、質量分析器100の長手方向の寸法を短くすること
ができる。
【0038】又、図12に示されるように、支柱電極1
9が設けられていない場合には電子レンズを構成する電
気力線の密度は図の左側の部分では疎になっている。こ
の場合、イオンが第1コンバージョンダイノード14に
入射すると、図14に示されるように、第1コンバージ
ョンダイノード14から放出されるイオンの電子軌道は
荷電粒子入射開口13aへと集中しない。これと比較し
て、図13に示されるように、支柱電極19が設けられ
ている場合には、電子レンズは、荷電粒子入射口15a
付近においてコンバージョンダイノード側1Bから電子
増倍部側1Aへ向かって突出する凸レンズになってい
る。この場合には、図15に示されるように、第1コン
バージョンダイノード14から放出されるイオンの電子
軌道を荷電粒子入射開口13aへと集中させることがで
き、イオン検出器1は高い感度を得ることができる。
【0039】更に、本発明によるイオン検出器の効果を
測定するために、オクタフルオロナフタレンを試料とし
て検出の試験を行った。この試験で使用されるオクタフ
ルオロナフタレンの量は、1pgという極微量である。
従来のイオン検出器で検出を行った場合には、図17の
グラフに示されるように、5.0E+02程度の値しか
信号強度を得ることができないのに対して、図16に示
される、本発明による実験結果のグラフでは、6.0E
+02以上の値の信号強度を得ることができている。こ
の実験結果から、本発明によるイオン検出器の感度が、
従来のものと比較して高いことが分かる。
【0040】
【発明の効果】請求項1記載のイオン検出器によれば、
イオン偏向電極を設けたことにより、イオン入射開口か
ら入射したイオンを効率よく第1コンバージョンダイノ
ードに入射させることができるため、イオン検出器の高
い感度を維持しつつ、第1コンバージョンダイノード
の、イオン入射方向の長さを短くすることができ、ま
た、電子増倍部の長手方向をイオン入射方向に対して垂
直の位置関係に配置することができる。このため、イオ
ン検出器のイオン入射方向の長さを従来の半分以下に短
くすることができる。又、支柱電極を設けたことによ
り、第1コンバージョンダイノードから放出された電子
又はイオンを荷電粒子入射開口に向かわせるための電子
レンズを形成することができるため、第1コンバージョ
ンダイノードから放出されるイオンの電子軌道を荷電粒
子入射口へと集中させることができ、イオン検出器は高
い感度を得ることができる。
【0041】請求項2記載のイオン検出器によれば、支
柱電極と上部金属板と下部下金属板とがグランド電位に
なっているため、支柱電極により形成される電子レンズ
を、第1コンバージョンダイノードから放出されるイオ
ンの電子軌道を荷電粒子入射口へと集中させるのにふさ
わしい形状とすることができる。
【0042】請求項3記載のイオン検出器によれば、第
1コンバージョンダイノード、該支柱電極、及び該イオ
ン偏向電極と、電子増倍部とを区分する金属板が設けら
れているため、不要なノイズが電子増倍部に入射するこ
とを防止することができる。
【0043】請求項4記載のイオン検出器によれば、イ
オン入射開口から入射した負イオンを正イオンに変換す
る第2コンバージョンダイノードが設けられているた
め、負のイオンを検出するときにも、第1コンバージョ
ンダイノードに印加する電圧の極性を逆にする等の作業
をせずに済み、極性の異なるイオンを容易に検出するこ
とができる。
【0044】請求項5記載のイオン検出器によれば、イ
オン入射開口に対向する下部金属板の位置には開口が設
けられているため、イオン化部で試料がイオン化される
際に発生する光等のノイズとなるものが、イオン検出器
によって検出されないように、通過させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるイオン検出器を有す
る質量分析器示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態によるイオン検出器と質量
分離部とを示す斜視図。
【図3】本発明の実施の形態によるイオン検出器を有す
る質量分離部の、イオン検出器周辺を示す側面図。
【図4】本発明の実施の形態によるイオン検出器の背面
図。
【図5】本発明の実施の形態によるイオン検出器の、支
柱電極側から見た斜視図。
【図6】本発明の実施の形態によるイオン検出器の、第
1コンバージョンダイノード側から見た斜視図。
【図7】本発明の実施の形態によるイオン検出器の、支
柱電極側から見た斜視図。
【図8】本発明の実施の形態によるイオン検出器の上部
金属板を取外し、電子増倍部の側から見た斜視図。
【図9】本発明の実施の形態によるイオン検出器の上部
金属板を取外し、支柱電極の側から見た斜視図。
【図10】イオン偏向電極が設けられていない場合のイ
オン軌道を示す側面図。
【図11】本発明の実施の形態によるイオン検出器のイ
オン軌道を示す側面図。
【図12】支柱電極が設けられていない場合の電子レン
ズを示す断面図。
【図13】本発明の実施の形態によるイオン検出器の電
子レンズを示す断面図。
【図14】支柱電極が設けられていない場合の電子軌道
を示す断面図。
【図15】本発明の実施の形態によるイオン検出器の電
子軌道を示す断面図。
【図16】本発明の実施の形態によるイオン検出器によ
る感度試験の結果を示すグラフ。
【図17】従来のイオン検出器による感度試験の結果を
示すグラフ。
【図18】従来のイオン検出器を示す断面図。
【符号の説明】
11 上部金属板 11a イオン入射開口 12 下部金属板 12d ノイズ出射口 13 電子増倍部 13a 荷電粒子入射開口 14 第2コンバージョンダイノード 15 金属板 16 第1コンバージョンダイノード 18 イオン偏向電極 19 支柱電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 広 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 Fターム(参考) 5C038 FF04 FF10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン入射開口が形成された上部金属板
    と、 該上部金属板に平行に設けられた下部金属板と、 該上部金属板と該下部金属板との間に設けられ、該イオ
    ン入射開口から該上部金属板と該下部金属板との間へ入
    射したイオンの衝突により電子又はイオンを発生する第
    1コンバージョンダイノードと、 該上部金属板と該下部金属板との間に設けられ、該第1
    コンバージョンダイノードが放出した電子又はイオンを
    入射する荷電粒子入射開口が形成され、入射した該電子
    又は入射したイオンに基づく電子を増倍する電子増倍部
    とが設けられたイオン検出器において、 該電子増倍部は、該イオン入射開口におけるイオンの入
    射方向に対して垂直に配置固定され、 該上部金属板と該下部金属板との間であって、該第1コ
    ンバージョンダイノードに対して該イオン入射開口にお
    けるイオン入射方向下流であって、且つ該第1コンバー
    ジョンダイノードと該イオン入射開口とを結ぶ直線の近
    傍にはイオン偏向電極が設けられ、 該上部金属板と該下部金属板との間であって、該第1コ
    ンバージョンダイノードと該荷電粒子入射開口とを結ぶ
    直線の近傍であって、且つ該イオン偏向電極が設けられ
    ている位置に対して該直線を軸とする線対称の位置には
    支柱電極が設けられ、 該イオン偏向電極は、該イオン入射開口から入射したイ
    オンを該第1コンバージョンダイノードへと強制的に向
    かわせるための電子レンズを形成し、 該支柱電極は、該上部金属板と該下部金属板とを互いに
    平行に支持固定し、該第1コンバージョンダイノードか
    ら放出された電子又はイオンを該荷電粒子入射開口に向
    かわせるための電子レンズを形成することを特徴とする
    イオン検出器。
  2. 【請求項2】 該支柱電極と該上部金属板と該下部下金
    属板とがグランド電位になっていることを特徴とする請
    求項1記載のイオン検出器。
  3. 【請求項3】 該第1コンバージョンダイノード、該支
    柱電極、及び該イオン偏向電極と、該電子増倍部とを区
    分する金属板が設けられていることを特徴とする請求項
    1又は2記載のイオン検出器。
  4. 【請求項4】 該イオン入射開口から入射した負イオン
    を正イオンに変換する第2コンバージョンダイノードが
    設けられていることを特徴とする請求項1乃至3記載の
    イオン検出器。
  5. 【請求項5】 該イオン入射開口に対向する該下部金属
    板の位置には開口が設けられていることを特徴とする請
    求項1乃至4記載のイオン検出器。
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JP2007258179A (ja) * 2006-03-22 2007-10-04 Itt Manufacturing Enterprises Inc 中性子ノイズを抑制したイオン検出システム
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