JP2001349291A - スクロール圧縮機 - Google Patents

スクロール圧縮機

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JP2001349291A
JP2001349291A JP2000177124A JP2000177124A JP2001349291A JP 2001349291 A JP2001349291 A JP 2001349291A JP 2000177124 A JP2000177124 A JP 2000177124A JP 2000177124 A JP2000177124 A JP 2000177124A JP 2001349291 A JP2001349291 A JP 2001349291A
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oil
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JP2000177124A
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Yuugo Mukai
有吾 向井
Isamu Tsubono
勇 坪野
Masaki Koyama
昌喜 小山
Masahiro Takebayashi
昌寛 竹林
Isao Nakamura
功 中村
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】スクロール圧縮機において、シャフトの回転数
の増加に対して、圧縮部の損失の増大を抑制し、旋回ス
クロール支持面へのシール流体の供給量を増大し、これ
によりエネルギー効率の向上と共に信頼性の向上を図る
こと。 【解決手段】非旋回スクロール部材2と旋回スクロール
部材3を噛み合わせて圧縮部を形成し、フレーム4の旋
回スクロール部材支持面を介してシール流体を圧縮部吸
込室35に供給するシール流体供給手段を設け、フレー
ム4の旋回スクロール部材支持面の途中からシール流体
の一部を排出して吸込室35へのシール流体供給量を調
節する圧力制御連通路を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スクロール圧縮機
に係わり、特に圧縮部の吸込室へのシール流体の供給量
を調節する装置を有するスクロール圧縮機に好適なもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来のスクロール圧縮機としては、特開
2000−27776号公報に示されているように、固
定スクロールと互に噛み合わせられる旋回スクロール
を、フレームに形成されたスラスト部に摺動可能に支持
し、同旋回スクロールを駆動する回転シャフトにその回
転によって油溜り部から潤滑油を吸い上げ吐出する油ポ
ンプを備え、その吐出された潤滑油をスラスト部に穿設
された給油溝に供給し、余剰の潤滑油をフレームに穿設
された排油通路から排出して油溜り部へ戻すようにする
と共に、排油通路に、弁体の上流側と下流側の圧力差が
所定値を上回った時開放される開閉弁装置を設けること
により、回転シャフトの回転数に関係なく、スラスト部
に所定の潤滑油が供給されるようにし、回転シャフトの
高速回転時にスラスト部から圧縮機構を経て圧縮機外部
に潤滑油が多量に排出されて油上がり量が増大するのを
防止するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、係る従来技術
では、回転シャフトの回転数が増加しても、スラスト部
に供給される潤滑油が増加しないように構成されている
ため、回転シャフトの回転数が増加して高速回転になっ
た場合に、圧縮機外部に潤滑油が多量に排出されるのを
防止できるが、高速回転時にスラスト部の潤滑量不足を
招くおそれがある。
【0004】また、係る従来技術では、スラスト部から
圧縮機構に供給される潤滑油が回転シャフトの回転数に
関係なく所定量に設定されているものであり、供給され
る潤滑油に起因する圧縮機構の損失を低減させるため
に、回転シャフトの回転数が増加すると圧縮機構への潤
滑油の供給量を低減させることについては開示されてい
ない。
【0005】本発明の目的は、シャフトの回転数が増加
しても圧縮部へのシール流体の供給量の増加を抑制して
シール流体に起因する圧縮部の損失の増大を抑制すると
共に、シャフトの回転数の増加に伴って旋回スクロール
支持面へのシール流体の供給量を増大し、これによりエ
ネルギー効率の向上を図りつつ信頼性の向上を図ること
のできるスクロール圧縮機を得ることにある。
【0006】本発明の別の目的は、シャフトの回転数の
増加に伴って圧縮部へのシール流体の供給量を減少させ
てシール流体に起因する圧縮部の損失の低減し、これに
よりエネルギー効率の向上を図ることのできるスクロー
ル圧縮機を得ることにある。
【0007】本発明の別の目的は、安価で、エネルギー
効率の向上を図りつつ信頼性の向上を図ることのできる
スクロール圧縮機を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の代表的な発明の1つであるスクロール圧縮
機では、渦巻状のスクロールラップを有する非旋回スク
ロール部材及び旋回スクロール部材を噛み合わせて成る
圧縮部と、旋回スクロール部材を支持するフレームと、
圧縮動作のための駆動力を圧縮部に伝達するシャフト
と、流体を蓄える流体貯溜部と、フレームの旋回スクロ
ール部材支持面を介して流体を圧縮部の吸込室にシール
流体として供給するシール流体供給手段とを備え、シー
ル流体供給手段はフレームの旋回スクロール部材支持面
の途中からシール流体の一部を排出して吸込室へのシー
ル流体供給量を調節する圧力制御連通路を有する。
【0009】上記目的を達成するために、本発明の代表
的な発明の1つであるスクロール圧縮機では、渦巻状の
スクロールラップを有する非旋回スクロール部材及び旋
回スクロール部材を噛み合わせて成る圧縮部と、旋回ス
クロール部材を支持するフレームと、圧縮動作のための
駆動力を圧縮部に伝達するシャフトと、流体を蓄える流
体貯溜部と、フレームの旋回スクロール部材支持面を介
して流体を圧縮部の吸込室にシール流体として供給する
シール流体供給手段とを備え、シール流体供給手段は、
シール流体の一部を排出して吸込室へのシール流体供給
量を調節する圧力制御連通路を有すると共に、シャフト
の回転数の増加に対して吸込室へのシール流体供給量を
低減させるように形成したことにある。
【0010】上記目的を達成するために、本発明の代表
的な発明の1つであるスクロール圧縮機では、渦巻状の
スクロールラップを有する非旋回スクロール部材及び旋
回スクロール部材を噛み合わせて成る圧縮部と、旋回ス
クロール部材を支持するフレームと、圧縮動作のための
駆動力を圧縮部に伝達するシャフトと、流体を蓄える流
体貯溜部と、フレームの旋回スクロール部材支持面を介
して流体を圧縮部の吸込室にシール流体として供給する
シール流体供給手段とを備え、シール流体供給手段はフ
レームの旋回スクロール部材支持面の途中からシール流
体の一部を排出して吸込室へのシール流体供給量を調節
する圧力制御連通路を有し、圧力制御連通路は、フレー
ムの旋回スクロール部材支持面に形成した油溝から軸方
向に延びる油排出路とこの油排出路からそれより大径で
同軸に軸方向に延びる弁挿入孔とこの弁挿入孔に反スク
ロール支持面側から挿入された油排出路を開閉する弁装
置とを有する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各実施例を図を用
いて説明する。なお、第2実施例以降の実施例において
は第1実施例と共通する構成の一部を省略すると共に、
重複する説明を省略する。各実施例の図における同一符
号は同一物又は相当物を示す。
【0012】まず、本発明の第1実施例を図1から図7
を用いて説明する。図1は本発明の第1実施例のスクロ
ール圧縮機の縦断面図、図2は図1のスクロール圧縮機
の異なる部分の縦断面図である。なお、図2には、図1
で現れなかった部分についてのみ符号を付けてある。図
3は図2に示すスクロール圧縮機の背圧弁部分の拡大断
面図、図4は図1のスクロール圧縮機のフレームの上面
図、図5は図1のスクロール圧縮機の旋回スクロール部
材の背面図である。なお、図4及び図5のハッチング部
は油溝部である。図6は図1のスクロール圧縮機のフレ
ーム上面側から旋回スクロール部材を透視して見た吸込
室流路の変遷を説明する図である。なお、図6で、実線
がフレーム、二点鎖線が旋回スクロール部材の油溝部で
ある。図7は図1のスクロール圧縮機の吸込室給油量に
対する損失の特性を説明する図である。なお、図7で、
実線がシャフト回転数小、点線がシャフト回転数大の特
性図である。
【0013】本実施例の圧縮機は、その直径が5mmか
ら1000mm程度のものであり、圧縮機ケース内部が
吸込圧となる低圧チャンバ方式のものである。この低圧
チャンバ方式の圧縮機は、冷凍サイクルの全容積のうち
で大きな割合を占める圧縮機内容積が低圧であるため、
冷凍サイクルに封入する冷媒の総量が少ないという特徴
がある。これにより、可燃性の炭化水素系冷媒やR32
等を含む冷媒を用いる圧縮機において、冷媒が漏洩した
際に漏洩量を少ないものとすることができる。また、C
O2等の非常に高圧の冷媒を用いる場合、圧縮機ケース
の耐圧設計が容易である。
【0014】まず、この圧縮機の構造を図1から説明す
る。
【0015】旋回スクロール部材3は、鏡板3a上面に
スクロールラップ3bとオルダム溝3g、3h(図2参
照)が設けられ、その鏡板3a下面にスラスト面3dと
旋回軸3eが設けられている。そのスラスト面3dには
そのスラスト面3dへの給油及び吸込室35への給油を
目的とする複数の旋回油溝が設けられている。この旋回
油溝は、具体的には円環状の第1旋回油溝3c(図5の
ハッチング部)及び第2旋回油溝3f(図5のハッチン
グ部)が設けられている。3lは鏡板3aの外周を示
す。
【0016】非旋回スクロール部材2は、鏡板2a下面
にスクロールラップ2bと回転止め2g、2hとが立設
され、そのスクロールラップ2b歯底面と同一面である
非旋回基準面2uが設けられている。非旋回スクロール
部材2と旋回スクロール部材3は、スクロールラップ2
aと3bが噛み合うように組み合わされ、旋回スクロー
ル部材3が旋回運動することにより圧縮室を形成して、
吸込んだガス冷媒を圧縮する。なお、回転止め2g、2
hは、スクロールラップ2b最外周部の外線側でシール
部とならない部分と一体化して立設されている。
【0017】そして、非旋回スクロール部材2には鏡板
2aを貫通して上面に開口したバイパス穴2eと吐出穴
2dが設けられている。この非旋回スクロール部材2の
バイパス穴2eと吐出穴2dの上方には、逆流抑制弁2
4が設置されている。この逆流抑制弁24は、過圧縮抑
制及び液圧縮回避のためのバイパス弁として、圧縮機停
止時に発生する旋回スクロール逆転防止のための逆止弁
として、及び不足圧縮抑制のための吐出弁としての役割
を担う。
【0018】また、非旋回スクロール部材2の鏡板2a
上面の周囲に一本または複数の均圧孔2iで鏡板内空間
2fと通じるリング溝2jが設けられている。均圧孔2
iは斜めの一本穴であるが、非旋回スクロール部材2の
外周から水平の穴を開けて外周のつば貫通部を塞いでも
よく、この場合には穴加工が容易となる。非旋回スクロ
ール部材2のリング溝2jには、プラスチックやばね材
またはゴムのような弾性体から成る断面がコの字状をし
た弾性体シールであるリングシール22が挿入されてい
る。
【0019】オルダムリング5は、一面に非旋回突起部
5a、5bが設けられ、もう一方の面には旋回突起部5
c、5dが設けられている。
【0020】円筒形状の非旋回ホルダ6は、中央の穴に
張り出して非旋回スクロール部材2を支持するテラス部
6aを有し、その上面は非旋回支持面6bとなる。その
非旋回支持面6bから上方に延びる部分の内周面は非旋
回スクロール部材2の上下移動時のガイドとなるガイド
面6cとなる。さらに、テラス部6aにガイド面6cの
中心軸を中心として180度対向で2個の放射溝6d、
6eが設けられている。これらの放射溝6d、6eの上
部には非旋回スクロール部材2の回転止め2g、2hが
挿入され、下部にはオルダムリング5の非旋回突起2
a、2bがスライドされて下部がオルダム溝の役目を担
う。この非旋回ホルダ6は、一般的な構造材で作製する
が、このオルダム溝の役目を担う部分のみ摺動特性の良
好な材料、例えば鋳鉄を埋め込んでもよい。また、少な
くともこの部分に摺動性の良好な皮膜を設けてもよい。
また、全体を摺動特性の良好な材料で形成してももちろ
んよい。
【0021】フレーム4は、上面の外周部に非旋回ホル
ダ6を取り付けるホルダ取付け面4bが設けられ、その
同一面の内側に旋回スクロール部材3の支持面となるス
ラスト軸受4aが設けられている。そのスラスト軸受4
aにはスラスト軸受部4aへの給油及び吸込み室35へ
の給油を目的とする複数のフレーム油溝4フレーム4l
が設けられている。このフレーム油溝は、具体的には図
4のハッチング部で示すように、円環状の第1フレーム
油溝4kと第2フレーム油溝4lが設けられている。旋
回スクロール部材3及びフレーム4の油溝の径の関係
は、第1旋回油溝3cが最も小さく、第1フレーム油溝
4kが第1旋回油溝3cより若干大きく、第2旋回油溝
3fが第1フレーム油溝4kより若干大きく、第2フレ
ーム油溝4lが第2旋回油溝3fより若干大きく設定さ
れており、旋回スクロール部材3の旋回運動中に常にこ
れらの油溝が内側から順次連通するようになっており、
シール流体供給手段を構成している。この詳細は後述す
る。
【0022】また、このフレーム4は、軸方向に貫通し
て吸込ガスを流す1個または複数の吸込口4eが設けら
れている。この吸込口4eは、フレーム4の外周を切欠
いて設けてもよいし、非旋回ホルダ6に設けてもよい。
更には、フレーム4の中央部にはシャフト8を回転支持
する主軸受4dが設けられている。そして、主軸受4d
及び旋回軸受8fが連通する旋回背面空間34が旋回ス
クロール部材3とフレーム4とシャフト8とで囲まれた
部分に形成されている。
【0023】また、スラスト軸受4aを途中からフレー
ム4の外周面に通じる圧力制御連通路が形成されてい
る。具体的には、第1フレーム油溝4kから圧力制御連
通路が形成されている。そして、この圧力制御連通路を
形成するフレーム4の内部に背圧弁10(図3参照)が
設けられている。
【0024】この背圧弁10が設けられた圧力制御連通
路は、次のようにして具体的に形成されている。フレー
ム4の側面から中央部に延びる内径が研磨された背圧弁
シリンダ4g及び弁キャップ挿入孔4jが形成されると
共に、この背圧弁シリンダ4gの底部と第1フレーム油
溝4kとを連通する油検出路4iが形成され、かつこの
油検出路4iより外周側で背圧弁シリンダ4gと第1フ
レーム油溝4kとに連通する油流入路4hが形成され
る。そして、この背圧弁シリンダ4gの中に外周が研磨
された背圧弁体10aが挿入される。背圧弁体10aは
半径方向に貫通する油流路溝10eと、これに連通する
軸方向に2段の径で延びる油通路10gとが形成されて
いる。この油通路10g内に弁ばね10cが挿入され、
この弁ばね10cの一端が油通路10gの段部に当接さ
れる。この弁ばね10cの他端に当接して弁ばね10c
を圧縮ばねとして機能するように弁キャップ10fが弁
キャップ挿入孔4j内に圧入されて所定位置で固定され
る。なお、弁キャップ10fの先端部に弁ばね10cを
係合した状態で弁キャップ10fを圧入するようにして
もよい。この圧縮ばねとしての弁ばね10cの押付力は
旋回背面空間34の圧力を吸込圧力よりも概略一定値だ
け高くするため、これを決める背圧弁体10aの直径と
弁ばね10cのばね定数及び自然長及びばね直径は精度
良く管理しなければならない。また、弁キャップ10f
外周及び中心部には油排出路10iが形成されている。
【0025】シャフト8は、上下に貫通するシャフト給
油孔8aと、このシャフト給油孔8aから主軸受4dに
開口する主軸受給油孔8bと、シャフト給油孔8aから
副受軸給油部9に開口する副軸受給油孔8cとが設けら
れている。また、シャフト8の上部には径の拡大した主
軸部8hがあり、そこに旋回軸受8fが設けられてい
る。主軸部8の外周面には主軸受給油孔8bの出口から
給油螺旋溝8iが設けられ、旋回軸受8fには給油溝8
jが設けられている。
【0026】ロータ15は、未着磁の永久磁石(図示せ
ず)が内蔵され、両端にロータバランス15a、15b
が設けられている。ステータ16は、外周部に油をケー
スの底に流し落とすためのステータ溝16aが設けら
れ、内部にコイルが通り、その上下にコイルエンド部1
6bがある。なお、このコイルが通る穴よりも外周側に
コイル貫通穴を開け、ガス流や油を通し、ステータ16
の冷却を行ってもよい。
【0027】副軸受給油部9は、内周が円筒状で外周が
球状のフローティング軸受ブッシュ9aと副軸受給油シ
リンダ9bと給油パイプ9dの付いたポンプカバー9c
とから成っている。この副軸受給油シリンダ9bは、上
部内周に球面軸受部9gを有し、そこにフローティング
軸受ブッシュ9aを組み込んでおり、また、その中央に
はシャフト8の軸方向支持部であるシャフトスラスト面
9eを配しており、さらには、その下部にはトロコイド
給油ポンプ26のインナロータ26a及びアウタロータ
26bが入る偏心した円形掘込み9fを有している。な
お、トロコイド給油ポンプ26に限ることなく、他の形
式の給油ポンプでもよい。
【0028】ケースは、ハーメチック端子13及び吐出
パイプ取出し口19aが溶接またはロウ付けされた上ケ
ース19、下ケース20、円筒ケース21の3個からな
り、円筒ケース21の下部には、副軸受給油部9を支持
し周辺部に油が通る穴を有する支持副軸受給油支持板1
8が固定されている。
【0029】その他の主な構成要素として、リングシー
ル22を押さえるための非旋回押え7、フレーム4を円
筒ケースに固定するマウンティング部材11、油中の鉄
粉を取除くマグネット12、電力をモータ17に供給す
るハーメチック端子13、そして、吸込パイプ14があ
る。
【0030】次に上述したスクロール圧縮機の動作を説
明する。
【0031】まず、ガス冷媒の流れに関して説明する。
【0032】スクロール圧縮機を運転するには、モータ
17を回転させてシャフト8を回転させることにより、
オルダムリング5で自転を防止しながら旋回スクロール
部材3を旋回運動させる。これにより、吸込パイプ14
を通してケース内部に吸込まれているガスは、フレーム
4の吸込口4eを通って吸込室35に流入し、非旋回ス
クロール部材2のスクロールラップ2bと旋回スクロー
ル部材3のスクロールラップ3bとが噛み合わされて形
成される圧縮室33に閉じ込まれて圧縮され、非旋回ス
クロール部材2の吐出穴2dから鏡板内空間2fに吐出
され、最終的に、吐出パイプ25を通って圧縮機外部に
吐出される。ここで、過圧縮条件では、この吐出穴2d
からの吐出に並行して、バイパス穴2eと逆流防止弁2
4のバイパス弁部とを通って鏡板内空間2fに吐出され
る。
【0033】なお、旋回スクロール部材3のスクロール
ラップ3b及び旋回鏡板3aのおもて面側になじみ性の
皮膜3iを設けることにより、歯先歯底隙間を決定する
部品寸法の誤差による隙間の増大をなじみ性の被膜3i
により回避することが可能となるため、エネルギー効率
を一層向上できるという効果がある。
【0034】次いで、潤滑流体でありかつシール流体で
ある油の流れについて説明する。
【0035】モータ17を回転させてシャフト8を回転
させることにより、流体貯溜部を構成する貯油室31の
油は、シャフト8の下端に設けられたトロコイド式の給
油ポンプ26により給油パイプ9dから吸い上げられ、
主にシャフト給油孔8aに入る。これにより、シャフト
1回転当たりの軸受潤滑流体量が、シャフト回転数に概
略比例して増大するために、軸受の信頼性を確保するこ
とができるという効果がある。
【0036】ここで、トロコイド式の給油ポンプ26に
より、わずかな油が、インナロータ26aの上面と円形
掘り込み9fの隙間を通って、シャフトスラスト面9e
を給油する。その油は、フローティング軸受ブッシュ9
aの外周にある球面軸受部9gを給油してモータ室30
下部に出る。その後、副軸受給油支持板18の外周部に
ある油穴18aを通って貯油室31に戻る。
【0037】上述したシャフト給油孔8aに入った油
は、まずその一部が副軸受給油孔8cに入り、フローテ
ィング軸受ブッシュ9aの円筒状軸受を給油する。その
油は、その後、球面軸受部9gを経由するか直接にモー
タ室30に入り、油穴18aを通って貯油室31に戻
る。
【0038】副軸受給油孔8cに入らなかったシャフト
給油孔8a内の油は、シャフト給油孔8aをさらに上昇
し、主軸受給油孔8bに入って主軸受4dを給油する。
主軸部8hの外周面には給油螺旋溝8iが設けられ、こ
のねじポンプ作用により主軸受4dへの給油量が決ま
る。
【0039】主軸受給油孔8bに入らなかった残りの油
は、シャフト給油孔8aをさらに上昇し、旋回軸受8f
に流れる。この旋回軸受8fには、給油溝8jが設けら
れ、給油溝8jは、旋回軸受8f全域へ油を供給する油
溜めの役割を担う。
【0040】主軸受4d及び旋回軸受8fの給油を行っ
た油は、旋回背面空間34へ流入する。そして、この旋
回背面空間34へ流入した油は、吸込室流路を構成する
スラスト軸受4aに供給され、このスラスト軸受4aの
途中から可変絞り部である背圧弁10を介して設けた圧
力制御連通路により貯油室31に戻るものと、吸込室3
5に流入するものとに分かれる。
【0041】この圧力制御連通路について説明する。
【0042】この圧力制御連通路は、スラスト軸受4a
の途中に形成されている第1フレーム油溝4kから背圧
弁10を通ってフレーム4の外周側面に至り、円筒ケー
ス21の内壁との間を通路とし、マウンティング部材1
1のマウンティング外周溝11a、ステータ外周溝16
aを経由して最終的に貯油室31につながるものであ
る。
【0043】この背圧弁10により、旋回背面空間34
の圧力は、弁ばね10cの押縮め量に対応する値だけ吸
込圧力(円筒ケース内圧力)より高くなる。すなわち、
旋回背面空間34は過吸込圧部となる。そして、第1フ
レーム油溝4kの圧力は、旋回背面空間圧力より第1フ
レーム油溝4kに至る絞り抵抗分だけ低い過吸込圧部と
なる。また、本実施例では、主軸受4d及び旋回軸受8
fを給油した油が直接過吸込圧部34に出るように構成
されているため、過吸込圧部34へ供給する流路を別途
設ける必要がなく、安価な構造となっている。
【0044】旋回背面空間34の圧力(以後、背圧と称
する)が低い状態では、背圧弁体10aは背圧弁シリン
ダ4gの底面に押し付けられ、油流入路4hは背圧弁体
10aの側面で塞がれている。この結果、第1フレーム
油溝4kから圧力制御連通路を通して油は排出されな
い。シャフト8の回転が高速になり、旋回背面空間34
の圧力が上昇すると、第1フレーム油溝4kが油検出路
4iにより背圧検出空間10dに連通されているため、
背圧検出空間10dの圧力が上昇して背圧弁体10aを
弁キャップ10f側に押す力が増加し、背圧弁体10a
を弁キャップ10f側に移動させる。そして、背圧弁体
10aが移動して油流路溝10eと油流入路4hとが連
通するところへくるまで背圧が高くなると、油流路溝1
0eの底にある油通路10gと弁キャップ10fにある
油排出路10iにより第1フレーム油溝4kからフレー
ム4の外周側面への油の通路が形成され、油が旋回背面
空間34から第1フレーム油溝4kを介して流出するた
め、背圧の上昇は止まる。
【0045】このように、背圧はシャフト8の回転数が
増大してもフレーム4の外周側面の圧力である吸込圧力
よりも一定値だけ高い圧力に高精度に制御される。この
結果、旋回背面空間34と吸込室35との圧力差は常に
一定となる。また、背圧検出空間10dは油流路溝10
eと別の場所に設けているため、油の流動状態に起因す
る背圧の細かな変動を検出せずその平均的な値を検出
し、常時安定した背圧制御を行うことができ、エネルギ
ー効率が一層向上するという特有の効果がある。
【0046】上述した吸込室流路について具体的に説明
する。
【0047】旋回背面空間34から吸込室35に至る絞
り流路である吸込室流路は、上述したように旋回スクロ
ール部材3に設けた第1旋回油溝3c、第2旋回油溝3
f、及び、フレーム4に設けた第1フレーム油溝4k、
第2フレーム油溝4lが旋回スクロール部材3の旋回運
動中に常に連通することにより構成される。
【0048】図6(a)〜(d)は旋回スクロール部材
3が90度毎の位置における油溝3c、3f、4k、4
lの位置を示すものであり、そのハッチング部のクロス
した部分が各々の油溝が連通した箇所A〜Eであるが、
図6(a)〜(d)のように油溝の連通した個所A〜E
が移動する。図6(a)において、過吸込圧部である旋
回背面空間34の油はA部で第1旋回油溝3cに連通し
て第1旋回油溝3cを通り、B部で第1旋回油溝3cが
第1フレーム油溝4kに連通して第1フレーム油溝4k
に供給される。そして、第1フレーム油溝4k内の油
は、C部で第1フレーム油溝4kが第2旋回油溝3fに
連通して第2旋回油溝3fを通り、さらにD部で第2旋
回油溝3fが第2フレーム油溝4lに連通して第2フレ
ーム油溝4lに供給される。この油は最終的にE部で第
2フレーム油溝4lが吸込室35に連通して吸込室35
に供給される。この連通箇所A〜Eは、旋回スクロール
部材3の旋回運動によって図6(b)〜(c)のように
回転移動するが、常時存在して吸込室流路が常に形成さ
れていることがわかる。このように、旋回スクロール部
材3とフレーム4のスラスト部に吸込室流路を設けたた
め、スラスト軸受の信頼性向上と摩擦係数の低下による
性能向上とを図ることができる。
【0049】上述した構成によれば、シャフト回転数が
増大しても旋回背面空間34と吸込室35との圧力差が
増大することを抑制することができ、また吸込室流路の
流路抵抗がほぼ一定であることから、シャフト回転数が
増大しても、吸込室35への単位時間当たりの油の供給
量を抑制することができる。このため、吸込室35に流
入する吸込室給油量を適正に保つことが可能となり、シ
ャフト回転数が増大しても、旋回スクロール部材3と非
旋回スクロール部材2との間に存在している隙間のシー
ル効果を確保して各圧縮室間における漏れ損失を抑制し
つつ、油噛込みによる損失も抑制でき、エネルギー効率
が向上するという効果がある。この旋回スクロール部材
3と非旋回スクロール部材2との間に存在している隙間
のシール効果の詳細をさらに説明すれば、第1旋回油溝
3c及び第1フレーム油溝4kに供給される油量を、シ
ャフト8の回転数にほぼ比例させることが可能となり、
常時運動する旋回スクロール部材3の軸方向支持面の潤
滑性をさらに向上させてその摺動損失を低減でき、信頼
性とエネルギー効率の向上を実現できるという効果があ
る。
【0050】また、吸込室35は主軸受4dや旋回軸受
8fの近くにあるため、主軸受4d及び旋回軸受8fに
供給した油を次に吸込室35に供給している。これよ
り、軸受潤滑流体供給路は全てシール流体供給路として
用いることになり、両供給路を並列に形成する必要がな
く、構造を単純にすることができるという効果もある。
【0051】さらに、吸込室給油量をシャフト回転数が
増大してもほぼ一定にしながら、軸受給油量をシャフト
回転数にほぼ比例させることが可能となり、軸受の信頼
性を確保することが容易になるという特有の効果もあ
る。
【0052】しかも、背圧を吸込圧力よりも概略一定値
だけ高くするため、常時運動するスクロール部材の軸方
向支持面にかかる荷重、すなわちスラスト軸受荷重を低
減でき、その箇所における摺動損失を低減でき、エネル
ギー効率が向上するという特有の効果もある。
【0053】ここで、スクロール圧縮機における吸込室
給油量に対する損失について図7を用いて詳細を説明す
る。図7の横軸の吸込室給油量は、吸込室35に流入す
る単位時間当たりの給油量を示すものである。
【0054】スクロール圧縮機における吸込室給油量に
対する損失は、実験により図7に示すように変化するこ
とが判明した。すなわち、まず、シャフト回転数が小の
場合の実線に示す特性51a、52a、53aについて
説明すると、吸込室給油量が増大すれば、圧縮部に存在
する隙間のシール性が向上して漏れ損失51aが低減す
るが、圧縮部の油量が増大して油噛込み損失52aが増
大する。このために圧縮部合計損失53aが最小となる
適正給油量Qa1が存在する。また、シャフト回転数を
これより大にした場合の破線に示す特性51b、52
b、53bについて説明すると、傾向としては、シャフ
ト回転数小の実線に示す特性51a、52a、53aと
同様に、吸込室給油量が増大すれば、圧縮部に存在する
隙間のシール性が向上して漏れ損失51bが低減する
が、圧縮部の油量が増大して油噛込み損失52bが増大
し、圧縮部合計損失53bが最小となる適正給油量Qb
1が存在するが、漏れ損失51bは漏れ損失51aより
小さくなり、油噛み込み損失52bは噛み込み損失52
aより大きくなり、圧縮部合計損失53bは給油量の小
さいところで圧縮部合計損失53aより小さくなること
が判明した。
【0055】この圧縮部合計損失53a、53bの特性
から明らかなように、吸込室給油量が適正給油量Qa
1、Qb1より増大すれば、圧縮部合計損失53a、5
3bが急激に増大するために、シャフト8の回転数に比
例して吸込室給油量が増大する従来のものでは、吸込室
給油量をシャフト8の低速側の回転数時に適正値となる
ように隙間の設定を行った場合、シャフト8の回転数の
増大に伴って圧縮部合計損失が大幅に増加してしまうも
のである。これに対し、本実施例のように、圧力制御連
通路を設けてシャフト8の回転数が増大しても吸込室給
油量の増加を抑制できることにより、圧縮部合計損失の
増大を抑えることができる。
【0056】また、圧力制御連通路を設けてシャフト8
の回転数が増大しても吸込室給油量を抑制できると上述
したが、本実施例の構成によれば、シャフト回転数が増
大すると、吸込室流路の連通箇所(図6のA、B、C、
D、E)の移動速度が大きくなり、吸込室流路の断面積
が一定であっても油は流れにくくなるため、実質的に流
路抵抗が増大する傾向を有する。これにより、シャフト
8の回転数の増大に伴って、吸込室給油量は若干減少す
る傾向が生じるため、適正給油量Qa1から適正給油量
Qb1移行し、シャフト回転数全域で一層吸込室給油量
を適正化でき、エネルギー効率がより一層向上するとい
う特有の効果がある。
【0057】次に、本発明の第2実施例のスクロール圧
縮機を図8を用いて説明する。図8は本発明の第2実施
例のスクロール圧縮機のフレーム上面側から旋回スクロ
ール部材を透視して見た吸込室流路の変遷を説明する図
である。なお、図8で、実線がフレーム、二点鎖線が旋
回スクロール部材の油溝部である。
【0058】本実施例では、第1旋回油溝3cの代わり
に旋回バランス油溝3kを設けた以外は第1実施例と同
様である。この旋回バランス油溝3kを設けたことによ
り、旋回背面空間34から吸込室35への吸込室流路
は、旋回スクロール部材3に設けた旋回バランス油溝3
k及び旋回油溝3fと、フレーム4に設けた第1フレー
ム油溝4k及び第2フレーム油溝4lが連通することに
より構成される。
【0059】図8(a)〜(d)は、旋回スクロール部
材3が90度毎の位置における油溝3旋回スクロール部
材3f、4k、4lの位置を示すものであり、ハッチン
グ部のクロスした部分が各々の油溝の連通した箇所A
B、C、D、Eである。図7(a)において、過吸込圧
部である旋回背面空間34の油は、AB部で旋回バラン
ス油溝3kを通して第1フレーム油溝4kに連通され、
第1フレーム油溝4kに供給される。この第1フレーム
油溝4k内に供給された油は、C部で第1フレーム油溝
4kが第2旋回油溝3fに連通して第2旋回油溝3fを
通り、さらにD部で第2旋回油溝3fが第2フレーム油
溝4lに連通して第2フレーム油溝4lに供給される。
この油は最終的にE部で第2フレーム油溝4lが吸込室
35に連通して吸込室35に供給される。旋回スクロー
ル部材3の旋回運動によってこの連通箇所C〜Eは回転
移動するが、連通個所AB、C、D、Eは常時存在し吸
込室流路が常に形成されていることがわかる。これよ
り、第1実施例と同様の効果を奏すると共に、旋回バラ
ンス油溝3kにより旋回スクロール部材3の重心を旋回
軸3eの中心軸上に持ってくることができるため、常時
運転する旋回スクロール部材36の動作を安定させるこ
とができ、エネルギー効率が向上するという特有の効果
を奏するものである。
【0060】次に、本発明の第3実施例を図9及び図1
0を用いて説明する。図9は本発明の第3実施例のスク
ロール圧縮機の縦断面図、図10は図9のスクロール圧
縮機の背圧弁部分の拡大断面図である。なお、図9は、
図2に相当する図あり、図1に現れなかった部分につい
てのみ符号を付けてある。
【0061】図10に詳細を示す本実施例の圧力制御連
通路は以下のようにして形成されている。フレーム4に
設けた第1フレーム油溝4kからフレーム4の外周面に
通じる油排出路が設けられ、その途中に弁装置を構成す
る背圧弁10が設けられている。背圧弁10は、弁板1
0j、弁ばね10k及び弁キャップ10fを備えてい
る。フレーム4の下面から第1フレーム油溝4k方向
(軸方向)に延びる内径が研磨された弁挿入孔4p及び
弁キャップ挿入孔4jが形成されると共に、この弁挿入
孔4pの上面部と第1フレーム油溝4lとを連通する油
流入路4hが形成される。油流入路4hを開閉する弁板
10jが弁挿入孔4p中に挿入される。そして、その弁
板10jの下方から弁ばね10kが弁挿入孔4p中に挿
入され、それが圧縮ばねとなるように弁キャップ10f
がキャップ挿入孔4jに圧入される。この圧縮ばねの押
付力は背圧室の圧力を吸込圧力よりも概略一定値だけ高
くするため、これを決める弁板10jの直径と弁ばね1
0kのばね定数及び自然長及びばね直径は精度良く管理
しなければならない。そして、弁挿入孔4pとフレーム
4の外周側面とを油排出路4nが形成される。このよう
に、圧力制御連通路は、フレーム4の旋回スクロール部
材支持面に形成した油溝4kから軸方向に延びる油流入
路4hとこの油排出路4nからそれより大径で同軸に軸
方向に延びる弁挿入孔4pとこの弁挿入孔4pに反スク
ロール支持面側から挿入された油流入路4hを開閉する
弁装置とを有する。かかる構成以外は、第1実施例と同
様なので説明は省略する。
【0062】本実施例の圧力制御連通路は、旋回背面空
間34から第1旋回油溝3c及び第1フレーム油溝4k
を経て、背圧弁10を通ってフレーム4の外周側面に至
り、円筒ケース21の内壁との間を通路とし、マウンテ
ィング部材11のマウンティング外周溝11a、ステー
タ外周溝16aを経由して最終的に貯油室31につなが
るものである。
【0063】この背圧弁10により、旋回背面空間3
4、第1旋回油溝3c及び第1フレーム油溝4kの圧力
は、弁ばね10kの押縮め量に対応する値だけ吸込圧力
(円筒ケース内圧力)より高くなる。すなわち、旋回背
面空間34、第1旋回油溝3c及び第1フレーム油溝4
kは過吸込圧部となる。
【0064】背圧が低い場合、弁板10jは、弁ばね1
0kにより弁挿入孔4pに押し付けられ、油流入路4h
は弁板10jで塞がれる。この結果、旋回背面空間34
から圧力制御連通路を通して油は排出されない。シャフ
ト8の回転が高速になり、旋回背面空間34の圧力が上
昇すると、油流入路10h側から弁板10jを弁キャッ
プ10f側に押す力が増加し、弁板10jを弁キャップ
10f側に移動させる。これにより、油流入路4hと油
排出路4nが連通し、旋回背面空間34からフレーム4
の側面への油の通路が形成され、油が旋回背面空間34
から流出するため、背圧の上昇は止まる。このように、
背圧はシャフト8の回転数が増大してもフレーム4の外
周側面の圧力である吸込圧力よりも一定値だけ高い圧力
に高精度に制御される。
【0065】この結果、第1実施例と同様の効果を奏す
ると共に、圧力制御連通路の製作が容易で安価なものと
することができるという効果がある。
【0066】以上説明した各実施例では、圧縮機のケー
ス内部が吸込圧力となる低圧チャンバ方式についての実
施例を示したが、これに限らず、高圧チャンバ方式や中
間圧チャンバ方式でもよい。また、圧力制御連通路から
油を圧縮機ケース内側面に排出しているが、一旦、ケー
ス外に出して油を冷却しつつ貯油室に戻す排出路として
もよい。この場合は、油冷却により軸受部の信頼性が向
上したり、モータ温度低下によるモータ効率向上でエネ
ルギー効率が向上するという特有の効果がある。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、シャフトの回転数が増
加しても圧縮部へのシール流体の供給量を抑制してシー
ル流体に起因する圧縮部の損失の増大を抑制し、シャフ
トの回転数の増加に伴って旋回スクロール支持面へのシ
ール流体の供給量を増大し、これによりエネルギー効率
の向上と共に信頼性の向上を図ることのできるスクロー
ル圧縮機を得ることができる。
【0068】また、本発明によれば、シャフトの回転数
の増加に伴って圧縮部へのシール流体の供給量を減少さ
せてシール流体に起因する圧縮部の損失の低減し、これ
によりエネルギー効率の向上を図ることのできるスクロ
ール圧縮機を得ることができる。
【0069】また、本発明によれば、安価で、エネルギ
ー効率の向上と共に信頼性の向上を図ることのできるス
クロール圧縮機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のスクロール圧縮機の縦断
面図である。
【図2】図1のスクロール圧縮機の異なる部分の縦断面
図である。
【図3】図2に示すスクロール圧縮機の背圧弁部分の拡
大断面図である。
【図4】図1のスクロール圧縮機のフレームの上面図で
ある。
【図5】図1のスクロール圧縮機の旋回スクロール部材
の背面図である。
【図6】図1のスクロール圧縮機のフレーム上面側から
旋回スクロール部材を透視して見た吸込室流路の変遷を
説明する図である。
【図7】図1のスクロール圧縮機の吸込室給油量に対す
る損失の特性を説明する図である。
【図8】図8は本発明の第2実施例のスクロール圧縮機
のフレーム上面側から旋回スクロール部材を透視して見
た吸込室流路の変遷を説明する図である。
【図9】本発明の第3実施例のスクロール圧縮機の縦断
面図である。
【図10】図9のスクロール圧縮機の背圧弁部分の拡大
断面図である。
【符号の説明】
2…非旋回スクロ−ル部材、3…旋回スクロ−ル部材、
3a…鏡板、3c…第1旋回油溝、3f…第2旋回油
溝、3k…旋回バランス油溝、4…フレーム、4d…主
軸受、4g…背圧弁シリンダ、4k…第1フレーム油
溝、4l…第2フレーム油溝、4n…油排出路、4p…
弁挿入孔、8…シャフト、8f…旋回軸受、10…背圧
弁、10a…背圧弁体、10c…弁ばね、10d…背圧
検出空間、10e…油流路溝、10f…弁キャップ、1
0g…油通路、10i…油排出路、10j…弁板、10
k…弁ばね、26…給油ポンプ、33…圧縮室、34…
旋回背面空間、35…吸込室、51a、51b…漏れ損
失、52a、52b…油噛み込み損失、53a、53b
…圧縮部合計損失。
フロントページの続き (72)発明者 小山 昌喜 茨城県土浦市神立町502番地株式会社日立 製作所機械研究所内 (72)発明者 竹林 昌寛 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所冷熱事業部内 (72)発明者 中村 功 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所冷熱事業部内 Fターム(参考) 3H029 AA02 AA14 AB03 BB43 CC06 CC09 CC13 CC23 CC58 CC83 3H039 AA03 AA04 AA12 BB28 CC01 CC27 CC30 CC33 CC40

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】渦巻状のスクロールラップを有する非旋回
    スクロール部材及び旋回スクロール部材を噛み合わせて
    成る圧縮部と、前記旋回スクロール部材を支持するフレ
    ームと、圧縮動作のための駆動力を前記圧縮部に伝達す
    るシャフトと、流体を蓄える流体貯溜部と、前記フレー
    ムの旋回スクロール部材支持面を介して前記流体を前記
    圧縮部の吸込室にシール流体として供給するシール流体
    供給手段とを備え、前記シール流体供給手段は前記フレ
    ームの旋回スクロール部材支持面の途中から前記シール
    流体の一部を排出して前記吸込室へのシール流体供給量
    を調節する圧力制御連通路を有することを特徴とするス
    クロール圧縮機。
  2. 【請求項2】渦巻状のスクロールラップを有する非旋回
    スクロール部材及び旋回スクロール部材を噛み合わせて
    成る圧縮部と、前記旋回スクロール部材を支持するフレ
    ームと、圧縮動作のための駆動力を前記圧縮部に伝達す
    るシャフトと、前記シャフトを支持する軸受と、流体を
    蓄える流体貯溜部と、前記流体を前記軸受に潤滑流体と
    して供給する潤滑流体供給手段と、前記フレームの旋回
    スクロール部材支持面を介して前記流体を前記圧縮部の
    吸込室にシール流体として供給するシール流体供給手段
    とを備え、前記シール流体供給手段は、前記潤滑流体供
    給手段に供給された潤滑流体をシール流体として用いる
    と共に、前記フレームの旋回スクロール部材支持面の途
    中から前記シール流体の一部を排出して前記吸込室への
    シール流体供給量を調節する圧力制御連通路を有するこ
    とを特徴とするスクロール圧縮機。
  3. 【請求項3】渦巻状のスクロールラップを有する非旋回
    スクロール部材及び旋回スクロール部材を噛み合わせて
    成る圧縮部と、前記旋回スクロール部材を支持するフレ
    ームと、圧縮動作のための駆動力を前記圧縮部に伝達す
    るシャフトと、流体を蓄える流体貯溜部と、前記フレー
    ムの旋回スクロール部材支持面を介して前記流体を前記
    圧縮部の吸込室にシール流体として供給するシール流体
    供給手段とを備え、前記シール流体供給手段は、前記シ
    ール流体の一部を排出して前記吸込室へのシール流体供
    給量を調節する圧力制御連通路を有すると共に、前記シ
    ャフトの回転数の増加に対して前記吸込室へのシール流
    体供給量を低減させるように形成したことを特徴とする
    スクロール圧縮機。
  4. 【請求項4】渦巻状のスクロールラップを有する非旋回
    スクロール部材及び旋回スクロール部材を噛み合わせて
    成る圧縮部と、前記旋回スクロール部材を支持するフレ
    ームと、圧縮動作のための駆動力を前記圧縮部に伝達す
    るシャフトと、流体を蓄える流体貯溜部と、前記フレー
    ムの旋回スクロール部材支持面を介して前記流体を前記
    圧縮部の吸込室にシール流体として供給するシール流体
    供給手段とを備え、前記シール流体供給手段は、前記旋
    回スクロール部材に形成した油溝と前記フレームに形成
    した油溝との連通を介して構成し、前記シール流体の一
    部を排出して前記吸込室へのシール流体供給量を調節す
    る圧力制御連通路を有し、前記シャフトの回転数の増加
    に対して前記吸込室へのシール流体供給量を低減させる
    ように形成したことを特徴とするスクロール圧縮機。
  5. 【請求項5】渦巻状のスクロールラップを有する非旋回
    スクロール部材及び旋回スクロール部材を噛み合わせて
    成る圧縮部と、前記旋回スクロール部材を支持するフレ
    ームと、圧縮動作のための駆動力を前記圧縮部に伝達す
    るシャフトと、流体を蓄える流体貯溜部と、前記フレー
    ムの旋回スクロール部材支持面を介して前記流体を前記
    圧縮部の吸込室にシール流体として供給するシール流体
    供給手段とを備え、前記シール流体供給手段は前記フレ
    ームの旋回スクロール部材支持面の途中から前記シール
    流体の一部を排出して前記吸込室へのシール流体供給量
    を調節する圧力制御連通路を有し、前記圧力制御連通路
    は、前記フレームの前記旋回スクロール部材支持面に形
    成した油溝から軸方向に延びる油排出路とこの油排出路
    からそれより大径で同軸に軸方向に延びる弁挿入孔とこ
    の弁挿入孔に反スクロール支持面側から挿入された前記
    油排出路を開閉する弁装置とを有することを特徴とする
    スクロール圧縮機。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007092590A (ja) * 2005-09-28 2007-04-12 Mitsubishi Electric Corp 密閉形冷媒圧縮機、密閉形冷媒圧縮機の製造方法。
CN100376800C (zh) * 2003-11-10 2008-03-26 株式会社日立空调系统 流体压缩机
JP2009270433A (ja) * 2008-04-30 2009-11-19 Hitachi Appliances Inc スクロール圧縮機
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