JP2001348653A - 耐摩耗性に優れた超鏡面金型用焼結鋼 - Google Patents

耐摩耗性に優れた超鏡面金型用焼結鋼

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JP2001348653A
JP2001348653A JP2000171484A JP2000171484A JP2001348653A JP 2001348653 A JP2001348653 A JP 2001348653A JP 2000171484 A JP2000171484 A JP 2000171484A JP 2000171484 A JP2000171484 A JP 2000171484A JP 2001348653 A JP2001348653 A JP 2001348653A
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carbide
maximum
particle size
wear resistance
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JP2000171484A
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English (en)
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Tamiki Yanagisawa
民樹 柳澤
Naoyuki Yamauchi
直行 山内
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Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、従来の焼結工具鋼より硬さおよび
鏡面度が高い、すなわち硬さが62HRC以上、鏡面度
が♯14000以上(面粗さ5nm以下)であるプラス
チック成形用の金型用焼結鋼を提供することを課題とし
ている。 【解決手段】 重量%で、C:2.50〜4.00%、
Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、P:0.0
40%以下、S:0.030%以下、Cu:0.25%
以下、Ni:0.25%以下、Cr:18.0〜22.
0%、MoおよびWの1種または2種を2Mo+Wで
1.0〜4.0%、V:0.05〜0.50%、O:
0.010%以下、残部がFeおよび不可避的不純物か
らなる成分組成を有し、最大炭化物粒径が5μm以下、
炭化物平均粒径が0.6μm以上であり、かつ炭化物の
最大粒間距離が5μm以下である耐摩耗性に優れた超鏡
面金型用焼結鋼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗性に優れた
超鏡面金型用焼結鋼、詳細には、光ディスク、反射板な
どの超鏡面を必要とする製品の成形用金型に適する耐摩
耗性に優れた超鏡面金型用焼結鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】CD、LD、VD用などの光ディスク基
板、導光板、反射板などの超鏡面を必要とする製品の成
形用金型の製造には、金型などに必要な一般的な性質が
優れているとともに、耐摩耗性および鏡面度の優れた鋼
が用いられており、近年これらの性質がより優れたもの
が求められている。
【0003】従来、これらの金型の製造には、鋼の粉末
にTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Moまた
はWの炭化物、窒化物、ホウ化物またはケイ化物の少な
くとも1種の硬質粒子を混合し、焼結したのち熱間加工
を加えて密度を実質上100%に高めた焼結工具鋼にお
いて、上記鋼の粉末がC:0.15〜4.0%、Si:
0.30%以下、Mn:2.0%以下、Cr:0.5〜
30.0%、Mo:0.1〜30.0%およびV:0.
01〜15.0%を含有し、さらにTi:0.001〜
0.2%、Zr:0.001〜0.2%、Al0.00
1〜0.2%、Mg:0.0005〜0.1%およびC
a:0.0005〜0.1%の1種または2種以上を含
有し、必要に応じてCo:30%以下を含有し、ただし
Ti+Zr+Al+Mg+Ca:0.20%以下であ
り、残部が実質的にFeからなる組成を有し、かつ混合
した硬質粒子が焼結体の3〜70容量%を占めているこ
とを特徴とする焼結工具鋼(特開平63─65054号
公報)が用いられていた。
【0004】また、C:1.7%、Si:0.99%、
Mn:0.36%、P:0.022%、S:0.011
%、Cu:0.03%、Ni:0.15%、Cr:1
3.58%、Mo:0.99%、V:3.08%、s−
Al:0.003%、0:0.0021%、N:0.1
035%、残部が実質的にFeからなる焼結工具鋼が知
られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記公開公報に開示さ
れている焼結工具鋼は、焼入れおよび焼戻しにより60
HRC以上の硬さを有し、鏡面度は♯13000が得ら
れ、また高耐食性で、かつ等方的熱処理変寸などの特徴
を有するので、カメラ、カセット、各種電機、機械部
品、医療機器、光学機器、IC封止型、コネクタなどの
成形に用いる金型用として適しているが、硬さが十分で
なく、また鏡面度も十分でなかった。また、上記C含有
量が1.7%の焼結工具鋼は、耐食性および耐摩耗性に
優れているが、焼入れおよび焼戻しにより硬さが58〜
59HRC程度であるため、ショットピーニングなどに
より硬さを62HRC以上にする必要があり、また炭化
物が均一に分散していないため、研磨した場合、十分平
滑にならず、そのため鏡面度も十分でなかった。
【0006】本発明は、上記公報などに開示されている
焼結工具鋼以上の耐摩耗性(射出成形ショット寿命)を
有し、上記公報などに開示されている焼結工具鋼より硬
さおよび鏡面度が高い、すなわち硬さが62HRC以
上、鏡面度が♯14000以上または面粗さ5nm以下
になるプラスチック成形用の金型用焼結鋼を提供するこ
とを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者らは、焼入れおよび焼戻し状態で硬さが6
2HRC以上、鏡面度が♯14000以上、すなわち面
粗度5nm以下になるプラスチック成形用の金型用鋼に
ついて鋭意研究していたところ、鋼の粉末にTi、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Cr、MoまたはWの炭化
物、窒化物、ホウ化物またはケイ化物などの硬質粒子を
混合しなくとも、高C─高Crの合金粉末のみを焼結し
ても焼入れおよび焼戻し状態で硬さが62HRC以上に
なること、最大炭化物粒径および炭化物の最大粒間距離
が5μmより大きくなると、焼入れ焼戻し硬さが低下
し、また射出成形できるショット数および鏡面度(面粗
さ)も低下すること、また炭化物平均粒径が0.6μm
より小さくなると、最大炭化物粒径および炭化物の最大
粒間距離が5μm以下であっても、耐摩耗性が低下して
射出成形できるショット数が低下することなどの知見を
得た。本発明は、これらの知見に基づいて発明をされた
ものである。
【0008】すなわち、本発明の耐摩耗性に優れた超鏡
面金型用焼結鋼においては、C:2.50〜4.00
%、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、P:
0.040%以下、S:0.030%以下、Cu:0.
25%以下、Ni:0.25%以下、Cr:18.0〜
22.0%、MoおよびWの1種または2種を2Mo+
Wで1.0〜4.0%、V:0.05〜0.50%なら
びにO:0.010%以下含有し、さらに必要に応じて
Co:15.0%以下を含有し、残部がFeおよび不可
避的不純物からなる成分組成を有し、最大炭化物粒径が
5μm以下、炭化物平均粒径が0.6μm以上であり、
かつ炭化物の最大粒間距離が5μm以下のものとするこ
とである。
【0009】また、本発明の耐摩耗性に優れた超鏡面金
型用焼結鋼においては、C:2.50〜4.00%、S
i:1.0%以下、Mn:1.0%以下、P:0.04
0%以下、S:0.030%以下、Cu:0.25%以
下、Ni:0.25%以下、Cr:18.0〜22.0
%、MoおよびWの1種または2種を2Mo+Wで1.
0〜4.0%、V:0.05〜0.50%ならびにO:
0.010%以下を含有し、さらにTi:0.001〜
0.2%、Zr:0.001〜0.2%、Nb:0.0
01〜0.2%およびTa:0.001〜0.2%のう
ちの1種または2種以上を含有し、さらに必要に応じて
Co:15.0%以下を含有し、残部がFeおよび不可
避的不純物からなる成分組成を有し、最大炭化物粒径が
5μm以下、炭化物平均粒径が0.6μm以上であり、
かつ炭化物の最大粒間距離が5μm以下のものとするこ
とである。
【0010】本発明の耐摩耗性に優れた超鏡面金型用焼
結鋼における最大炭化物粒径とは、複数の視野において
各視野の最大の炭化物の粒径を測定し、これらを平均し
たもののことである。さらに、炭化物の最大粒間距離と
は、複数の視野において各視野の最大の粒間距離を測定
し、これらを平均したもののことである。また、炭化物
粒径とは、炭化物の長径と短径の平均値のことである。
【0011】
【作用】本発明の耐摩耗性に優れた超鏡面金型用焼結鋼
は、成分組成を上記のようにすると共に、最大炭化物粒
径を5μm以下、炭化物平均粒径を0.6μm以上に
し、かつ炭化物の最大粒間距離を5μm以下にすること
により、焼入れ焼戻し硬さを62HRC以上、鏡面度を
A(面粗さ5nm以下)にすることができ、さらに射出
成形のショット寿命を500,000回以上にすること
ができる。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の耐摩耗性に優れた
超鏡面金型用焼結鋼の成分およびその含有量ならびに炭
化物の大きさおよび炭化物の粒間距離について説明す
る。 C:2.50〜4.00% Cは、Cr、Mo、W、Vなどと結合して硬質炭化物を
形成し、またTi、Zr、Nbなどと結合して炭化物ま
たは炭窒化物を形成し、また基地に溶解して基地を硬化
および強化して耐摩耗性および硬度を向上させるので、
そのために含有させる元素である。これらの作用効果を
得るためには2.50%以上、好ましくは2.90%以
上含有させる必要があるが、4.00%、好ましくは
3.10%を超えると靱性が低下するので、その含有範
囲を2.50〜4.00%とする。好ましい範囲は、
2.90〜3.10%である。
【0013】Si:1.0%以下 Siは、鋼の溶製時の脱酸剤として、またピンホールの
原因となる酸化物を生成するOを低減せるために含有さ
せる元素である。その作用効果を得るためには好ましく
は0.20%以上含有させる必要があるが、1.0%、
好ましくは0.40%を超えると靱性および溶接割れ感
受性が高くなるので、その含有量を1.0%以下とす
る。好ましい範囲は0.20〜0.40%である。
【0014】Mn:1.0%以下 Mnは、鋼の溶製時の脱酸剤として、また焼入性を高め
るので、それらのために含有させる元素である。その作
用効果を得るためには好ましくは0.30%以上含有さ
せる必要があるが、1.0%、好ましくは0.50%を
超えると焼入れ時に残留オーステナイトが多くなるの
で、その含有量を1.0%以下とする。好ましい範囲は
0.30〜0.50%である。 P:0.040%以下 Pは、鋼の靱性を低下するので少ないほう好ましいが、
0.040%以下であれば、靱性に与える影響が少ない
ので、その含有量を0.040%以下とする。
【0015】S:0.030%以下 Sは、放電加工面のピットおよび溝の原因となるMnS
を生成するので少ないほう好ましいが、0.030%以
下であればその影響が少ないので、その含有量を0.0
30%以下とする。
【0016】Cu:0.25%以下、Ni:0.25%
以下 CuおよびNiは、焼入れ性を高くする元素であるが、
本発明の耐摩耗性に優れた超鏡面金型用焼結鋼には必要
がないので、原料から混入する不純物程度の0.25%
以下とする。
【0017】Cr:18.0〜22.0% Crは、Cと結合して硬質炭化物を形成して耐摩耗性を
向上させるとともに、一部は基地に固溶して耐食性を向
上させるので、それらのために含有させる元素である。
それらの作用効果を得るためには18.0%、好ましく
は19.0%以上含有させる必要があるが、22.0
%、好ましくは20.0%を超えると靱性が低下するの
で、その含有範囲を18.0〜22.0%とする。好ま
しい範囲は19.0〜20.0%である。
【0018】MoおよびWの1種または2種を2Mo+
Wで1.0〜4.0% MoおよびWは、Cと結合して硬質炭化物を形成して耐
摩耗性および硬さを向上させるので、それらのために含
有させる元素である。それらの作用効果を得るためには
2Mo+Wで1.0%、好ましくは1.5%以上含有さ
せる必要があるが、4.0%、好ましくは2.2%を超
えると焼なましにおける硬さの低下が困難となって被加
工性が低下するので、その含有範囲を2Mo+Wで1.
0〜4.0%とする。好ましい範囲は1.5〜2.2%
である。
【0019】V:0.05〜0.50% Vは、Cと結合してMC型の硬質炭化物を形成して耐摩
耗性を向上させるので、そのために含有させる元素であ
る。その作用効果を得るためには0.05%、好ましく
は0.20%以上含有させる必要があるが、0.50
%、好ましくは0.40%を超えると靱性を低下するの
で、その含有範囲を0.05〜0.50%とする。好ま
しい範囲は0.20〜0.40%である。
【0020】O:0.010%以下 Oは、不純物であり、含有量が多くなると介在物が多く
なって研磨時にこの介在物が抜け落ち、ピンホール発生
の原因となるので、その含有量を0.010%以下にす
る。
【0021】Co:15.0%以下 Coは、基地に固溶して基地を強化するとともに、耐食
性を向上させるので、それらのために含有させる元素で
ある。それらの作用効果を得るためには好ましくは0.
5%以上含有させる必要があるが、15.0%、好まし
くは10.0%を超えるとる靱性が低下するので、その
含有量を15.0%以下とする。好ましい範囲は0.5
〜10.0%である。
【0022】Ti:0.001〜0.2%、Zr:0.
001〜0.2%、Nb:0.001〜0.2%、T
a:0.001〜0.2% Ti、Zr、NbおよびTaは、Cと結合して炭化物ま
たは炭窒化物を形成し、また基地に溶解して基地を硬化
および強化して耐摩耗性および硬さを向上させるので、
それらのために含有させる元素である。それらの作用効
果を得るためには0.001%以上、好ましくは0.0
7%以上含有させる必要があるが、0.2%、好ましく
は0.15%を超えると靱性が低下するので、その含有
範囲を0.001〜0.2%とする。好ましい範囲は、
0.07〜0.15%である。
【0023】最大炭化物粒径:5μm以下、炭化物の最
大粒間距離:5μm以下、炭化物平均粒径が0.6μm
以上 使用した鋼粉末の粒径が大きいこと、鋼粉末中のC含有
量が多いことなどで最大炭化物粒径および炭化物の最大
粒間距離が大きくなると、焼入れ硬さが低下すると共
に、射出成形のショット寿命および鏡面度(面粗さ)が
低下するので、それぞれ5μm以下にする。また、炭化
物の平均粒径が小さくなると、耐摩耗性が低下し、射出
成形のショット寿命が低下するので、0.6μm以上に
する。なお、最大炭化物粒径および炭化物平均粒径の粒
径とは、長径と短径の平均値のことである。
【0024】本発明の耐摩耗性に優れた超鏡面金型用焼
結鋼の製造に使用する鋼粉末の粒径について 使用する鋼粉末の粒径が大きくなると、最大炭化物粒径
および炭化物の最大粒間距離が大きくなり、焼入れ硬さ
が低下すると共に、射出成形のショット寿命および鏡面
度(面粗さ)が低下するので、その大きさは500μm
以下が好ましい。また使用する鋼粉末の粒径が小さい
と、炭化物平均粒径が小さくなって耐摩耗性が低下し、
射出成形のショット寿命が低下するので、その大きさは
50μm以上が好ましい。
【0025】次に、本発明の耐摩耗性に優れた超鏡面金
型用焼結鋼の製造方法および熱処理について一例を説明
する。本発明の耐摩耗性に優れた超鏡面金型用焼結鋼
は、真空取鍋精錬炉(VLF)により上記のような成分
組成の溶鋼を溶製し、アルゴンガスを用いる噴霧法によ
り粉末にし、その後セラミックスフィルダーにより粒径
が50〜500μmのものにふるい分けし、その粉末を
脱気封缶後1100〜1200℃、950気圧以上で5
時間以上の熱間静水圧成形法(HIP)などにより成形
し、この成形体を1100℃以上で鍛練比を5S以上に
なるように鍛造することによって製造することができ
る。また、その熱処理は、1100〜1250℃から空
冷して焼入れをし、200〜300℃または500〜6
00℃から空冷して焼戻しをすることによって行うこと
ができる。
【0026】以下、本発明の実施例を説明する。
【実施例】下記表1に示す成分組成の鋼を真空取鍋精錬
炉(VLF)により溶製し、アルゴンガスを用いる噴霧
法により粉末にし、その後セラミックスフィルダーによ
り表2に記載した平均粒径のもの(+−25μmの範
囲)にふるい分けして必要な鋼粉末を得た。これらの鋼
粉末を0.02気圧で封缶後炉中で500℃で12時間
加熱し、その後1130℃、1000気圧以上で6時間
の熱間静水圧成形法によりインゴットに焼結した。その
後これらのインゴットを5.5Sになるように熱間鍛造
して供試材を製造した。これらの供試材から試験片を切
り出し、1225℃から空冷する焼入れをし、530℃
から空冷する焼戻しを行った。
【0027】これらの試験片の最大炭化物粒径、炭化物
の最大粒間距離、炭化物平均粒径、硬さ、鏡面度および
射出成形のショット寿命を下記方法で測定し、その結果
を下記表2に示す。 最大炭化物粒径:50視野(1視野の大きさは、0.0
73mm×0.057mmである。)において各視野の
最大の炭化物の粒径を測定し、これらの平均値とした。 炭化物の最大粒間距離:50視野において各視野の最大
の炭化物の粒間距離を測定し、これらの平均値とした。
【0028】硬さは、ロックウエル硬さ試験機を用いて
Cスケールで測定した。鏡面度は、ダイヤモンドペース
ト仕上げをした後、表面の面粗さを測定し、面粗さが5
nm以下をA、6〜20nmをB、21nm以上をCと
して表した。射出成形のショット寿命は、CD成形用の
金型を製造し、プラスチック基板を射出成形し、摩耗し
て使用できなくなるまでのショット回数を測定した。そ
のショット回数が500,000回以上のものを良と
し、それより少ないものを劣として表した。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】これらの結果によると、本発明例は、いず
れも硬さがHRCで63であり、鏡面度がA(面粗さが
5nm以下)であり、また射出成形ショット寿命も50
0,000回以上の良であった。これに対して、最大炭
化物粒径および炭化物の最大粒間距離が本発明より大き
い比較例1は、表面の硬さがHRCで61であり、また
鏡面度もCであった。そのため、射出成形ショット寿命
を測定しなかった。さらに、炭化物平均粒径が本発明よ
り小さい比較例2は、硬さがHRCで63であり、また
鏡面度がAであったが、射出成形ショット寿命が劣であ
った。
【0032】また、炭素含有量が本発明より低い比較例
3は、硬さが低く、また鏡面度もBであった。そのた
め、射出成形ショット寿命を測定しなかった。また、炭
素含有量が本発明より多い比較例4は、最大炭化物粒径
および炭化物の最大粒間距離が本発明の範囲外であり、
硬さが低く、鏡面度がBであり、また射出成形ショット
寿命も劣っていた。また、Cr含有量が本発明より少な
い比較例5は、炭化物の最大粒間距離が本発明より大き
いため、硬さが低く、また鏡面度もCであった。そのた
め、射出成形ショット寿命を測定しなかった。
【0033】また、Cr含有量およびMo+W含有量が
本発明より多い比較例6は、最大炭化物粒径および炭化
物の最大粒間距離が本発明より大きいため、硬さが低
く、また鏡面度もCであった。そのため、射出成形ショ
ット寿命を測定しなかった。また、O含有量が本発明よ
り多い比較例7は、硬さが高かったが、鏡面度がCであ
った。そのため射出成形ショット寿命を測定しなかっ
た。
【0034】
【発明の効果】本発明の耐摩耗性に優れた超鏡面金型用
焼結鋼は、上記成分組成、最大炭化物粒径を5μm以下
などにすることにより、従来の焼結工具鋼より耐摩耗
性、硬さおよび鏡面度を高くすることができるという優
れた効果を奏する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で(以下同じ)、C:2.50〜
    4.00%、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以
    下、P:0.040%以下、S:0.030%以下、C
    u:0.25%以下、Ni:0.25%以下、Cr:1
    8.0〜22.0%、MoおよびWの1種または2種を
    2Mo+Wで1.0〜4.0%、V:0.05〜0.5
    0%ならびにO:0.010%以下、残部がFeおよび
    不可避的不純物からなる成分組成を有し、最大炭化物粒
    径が5μm以下、炭化物平均粒径が0.6μm以上であ
    り、かつ炭化物の最大粒間距離が5μm以下であること
    を特徴とする耐摩耗性に優れた超鏡面金型用焼結鋼。
  2. 【請求項2】 C:2.50〜4.00%、Si:1.
    0%以下、Mn:1.0%以下、P:0.040%以
    下、S:0.030%以下、Cu:0.25%以下、N
    i:0.25%以下、Cr:18.0〜22.0%、M
    oおよびWの1種または2種を2Mo+Wで1.0〜
    4.0%、V:0.05〜0.50%ならびにO:0.
    010%以下を含有し、さらにCo:15.0%以下を
    含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分
    組成を有し、最大炭化物粒径が5μm以下、炭化物平均
    粒径が0.6μm以上であり、かつ炭化物の最大粒間距
    離が5μm以下であることを特徴とする耐摩耗性に優れ
    た超鏡面金型用焼結鋼。
  3. 【請求項3】 C:2.50〜4.00%、Si:1.
    0%以下、Mn:1.0%以下、P:0.040%以
    下、S:0.030%以下、Cu:0.25%以下、N
    i:0.25%以下、Cr:18.0〜22.0%、M
    oおよびWの1種または2種を2Mo+Wで1.0〜
    4.0%、V:0.05〜0.50%ならびにO:0.
    010%以下を含有し、さらにTi:0.001〜0.
    2%、Zr:0.001〜0.2%、Nb:0.001
    〜0.2%およびTa:0.001〜0.2%のうちの
    1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避
    的不純物からなる成分組成を有し、最大炭化物粒径が5
    μm以下、炭化物平均粒径が0.6μm以上であり、か
    つ炭化物の最大粒間距離が5μm以下であることを特徴
    とする耐摩耗性に優れた超鏡面金型用焼結鋼。
  4. 【請求項4】 C:2.50〜4.00%、Si:1.
    0%以下、Mn:1.0%以下、P:0.040%以
    下、S:0.030%以下、Cu:0.25%以下、N
    i:0.25%以下、Cr:18.0〜22.0%、M
    oおよびWの1種または2種を2Mo+Wで1.0〜
    4.0%、V:0.05〜0.50%ならびにO:0.
    010%以下を含有し、さらにCo:15.0%以下を
    含有し、またTi:0.001〜0.2%、Zr:0.
    001〜0.2%、Nb:0.001〜0.2%および
    Ta:0.001〜0.2%のうちの1種または2種以
    上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる
    成分組成を有し、最大炭化物粒径が5μm以下、炭化物
    平均粒径が0.6μm以上であり、かつ炭化物の最大粒
    間距離が5μm以下であることを特徴とする耐摩耗性に
    優れた超鏡面金型用焼結鋼。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101270451B (zh) * 2007-03-19 2011-03-30 宝山钢铁股份有限公司 塑料模具钢及其制造方法

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