JP2001348638A - 缶蓋用アルミニウム合金硬質板およびその製造方法 - Google Patents

缶蓋用アルミニウム合金硬質板およびその製造方法

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JP2001348638A
JP2001348638A JP2000173422A JP2000173422A JP2001348638A JP 2001348638 A JP2001348638 A JP 2001348638A JP 2000173422 A JP2000173422 A JP 2000173422A JP 2000173422 A JP2000173422 A JP 2000173422A JP 2001348638 A JP2001348638 A JP 2001348638A
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Naoyuki Sakuma
尚幸 佐久間
Toshio Komatsubara
俊雄 小松原
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Sky Aluminium Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 主として負圧缶に使用されるAl−Mg−M
n系缶蓋材として、耳率が安定して低く、かつリベット
成形性、引き裂き性に優れたものを提供する。 【解決手段】 Mg0.8〜3.0%、Mn0.01〜
1.2%、Fe0.10〜0.50%、Si0.05〜
0.40%を含有し、かつTi量が0.03%以下、残
部が実質的にAlよりなり、板厚方向中央部における集
合組織条件として、(1)圧延集合組織成分のβファイ
バーに属するCu方位、S方位、Brass方位の方位
密度の総和がランダム方位の55倍以下、(2)Cub
e方位からGoss方位への圧延方向廻りのCube方
位密度の和がランダム方位の65倍以下、(3)傾角1
5°以内のGoss方位の方位密度の総和がランダム方
位の20倍以下、以上の3条件を満たし、さらに断面に
おける旧結晶粒界の幅が30μm以下である缶蓋用アル
ミニウム合金硬質板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はアルミニウム缶蓋
材およびその製造方法に関するものであり、特に果汁や
コーヒー、紅茶の如く炭酸を含まない負圧缶用のステイ
オンタブ方式の缶蓋に適したアルミニウム缶蓋材とし
て、耳率、特に45°耳および0°/90°耳が小さ
く、かつリベット成形性と引き裂き性に優れたアルミニ
ウム缶蓋材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にステイオンタブ方式のアルミニウ
ム缶蓋材には、高強度と良好な成形性を有し、かつ開缶
性(スコア部の引き裂き性)も良好でまたリベット加工
性も優れ、さらに表面品質も優れていることなどが要求
される。従来この種のアルミニウム缶蓋材としては、5
052合金や5182合金などの5000系合金(Al
−Mg系合金、Al−Mg−Mn系合金)が多用されて
いる。特に果汁やコーヒー、紅茶の如く炭酸を含まない
飲料缶、すなわち負圧缶用の缶蓋材としては、Al−M
g系である5052合金が使用されることが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで缶蓋を缶胴に
取付けるにあたっては、缶胴の縁部に缶蓋を巻き締め加
工する必要があるが、缶蓋材の深絞り耳率が高い場合、
この巻き締め加工において巻き締め不良が生じるおそれ
があり、したがって缶蓋材の製造プロセスにおいては、
低耳率となるような制御が必要となる。
【0004】特に、熱間圧延後に直ちに最終冷間圧延を
行なうような製造プロセスの場合には、耳率制御が極め
て重要となる。すなわち、冷間圧延においては一般に4
5°耳が発生するから、最終的に低耳率を達成するため
には、冷間圧延で発達する45°耳とバランスさせるた
めに0°/90°耳に寄与するCube(キューブ)方
位粒を熱間圧延後もしくは熱間圧延中途において顕著に
発達させる必要がある。しかしながら、Cube方位粒
は、方位回転の特性上、一部は冷間圧延中に0°/18
0°耳に寄与するGoss方位へと方位変化してしまう
ため、熱間圧延後あるいは熱間圧延中途でCube方位
粒を顕著に発達させた場合、結果的に製品板の0°/1
80°耳を顕著にさせて、低耳率を達成し得なくなって
しまうおそれがある。さらに、設備の制約等の点から冷
間圧延率が高くなれば、前述のようにCube方位粒を
発達させても、冷間圧延工程で圧延集合組織が発達して
45°耳を高くしてしまい、低耳率の達成が困難となる
おそれがある。
【0005】また缶蓋については、タブ(把手)を取付
けるためにリベット成形を行なうのが通常である。この
リベット成形は、タブを取付けるべき部分に多段張出し
成形を行なって突起状のリベット部を形成し、タブに形
成されている貫通孔をリベット部に嵌め合わせ、さらに
リベット部の先端を圧潰させてその先端を押し拡げ、タ
ブをリベット部に固定するのが通常である。ここでリベ
ット成形性が悪ければ、上述のようなリベット成形時、
特に多段張出し成形時やリベット先端圧潰時において材
料に割れが生じてしまうことがある。この割れは缶の内
容物の漏洩を招くばかりでなく、仮にその割れが板を貫
通していない場合でも、割れの発生により塗膜と板との
間の剥離を招き、その結果缶の内容物を長期間良好な状
態に保持できなくなってしまう危険性がある。したがっ
て缶蓋材については、リベット成形中にこのような割れ
が生じないこと、すなわちリベット成形性が優れている
ことが必要である。
【0006】さらに、缶蓋材に要求される性能の一つと
して、開缶性がある。この開缶性は、タブを取付けたス
コアー部の内側領域の部分をスコアー部から引き裂く際
の引き裂き性の良否によって左右される。すなわち引き
裂き性が劣れば、開缶荷重が大きくなって開缶性が悪く
なってしまうから、引き裂き性が優れていることも缶蓋
材にとっては重要である。
【0007】しかしながら従来の5000番系合金缶蓋
材の製造方法では、耳率、特に45°耳および0°/9
0°耳の耳率が安定して低く、しかもリベット成形性お
よび引き裂き性(開缶性)が確実に優れた缶蓋を安定し
て得ることは未だ困難であった。
【0008】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、Al−Mg−Mn系合金からなる缶蓋材とし
て、安定して低耳率でしかもリベット成形性、引き裂き
性に優れた缶蓋材およびその製造方法を提供することを
目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
め、本発明者が鋭意実験・検討を重ねた結果、蓋材とし
て使用されるAl−Mg−Mn系合金の成分組成を適切
に設定すると同時に、最終圧延後の製品板における圧延
集合組織を適切かつ厳密に規制することによって、前述
の課題を解決し得ることを見出し、さらにはそのような
圧延集合組織を形成するための適切なプロセス条件を見
出し、この発明をなすに至ったのである。
【0010】具体的には、請求項1の缶蓋用アルミニウ
ム合金硬質板は、必須合金成分として、Mg0.8〜
3.0%、Mn0.01〜1.2%、Fe0.10〜
0.50%、Si0.05〜0.40%を含有し、かつ
不純物としてTi量が0.03%以下に規制され、残部
がAlおよび不可避的不純物よりなり、かつ板厚方向中
央部における集合組織条件として、(1)圧延集合組織
成分のβファイバーに属するCu方位、S方位、および
Brass方位の方位密度の総和がランダム方位の55
倍以下、(2)Cube方位からGoss方位への圧延
方向廻りのCube方位密度の和がランダム方位の65
倍以下、(3)傾角15°以内のGoss方位の方位密
度の総和がランダム方位の20倍以下、以上の(1)〜
(3)の3条件を満たし、さらに断面における旧結晶粒
界の幅が30μm以下であることを特徴とするものであ
る。
【0011】また請求項2の発明の缶蓋用アルミニウム
合金硬質板は、必須合金成分として、Mg0.8〜3.
0%、Mn0.01〜1.2%、Fe0.10〜0.5
0%、Si0.05〜0.40%を含有し、さらにCu
0.01〜0.50%、Cr0.01〜0.30%のう
ちから選ばれた1種以上を含有し、かつ不純物としてT
i量が0.03%以下に規制され、残部がAlおよび不
可避的不純物よりなり、かつ板厚方向中央部における集
合組織条件として、(1)圧延集合組織成分のβファイ
バーに属するCu方位、S方位、およびBrass方位
の方位密度の総和がランダム方位の55倍以下、(2)
Cube方位からGoss方位への圧延方向廻りのCu
be方位密度の和がランダム方位の65倍以下、(3)
傾角15°以内のGoss方位の方位密度の総和がラン
ダム方位の20倍以下、以上の(1)〜(3)の3条件
を満たし、さらに断面における旧結晶粒界の幅が30μ
m以下であることを特徴とするものである。
【0012】一方請求項3の発明の缶蓋用アルミニウム
合金硬質板の製造方法は、必須合金成分として、Mg
0.8〜3.0%、Mn0.01〜1.2%、Fe0.
10〜0.50%、Si0.05〜0.40%を含有
し、かつ不純物としてTi量が0.03%以下に規制さ
れ、残部がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニ
ウム合金鋳塊について、熱間圧延上りの状態における板
の組織として、(イ)再結晶率が85%以上、(ロ)平
均再結晶粒径が200μm以下、(ハ)傾角15°以内
のCube方位粒の面積率が5〜60%、以上の(イ)
〜(ハ)の条件を満たすように熱間圧延を行ない、さら
に圧延率が40〜95%、最終パスの圧下率が15〜6
0%となるように製品板厚まで冷間圧延を行ない、板厚
方向中央部における集合組織条件として、(1)圧延集
合組織成分のβファイバーに属するCu方位、S方位、
およびBrass方位の方位密度の総和がランダム方位
の55倍以下、(2)Cube方位からGoss方位へ
の圧延方向廻りのCube方位密度の和がランダム方位
の65倍以下、(3)傾角15°以内のGoss方位の
方位密度の総和がランダム方位の20倍以下、以上の
(1)〜(3)の3条件を満たし、さらに断面における
旧結晶粒界の幅が30μm以下である硬質板を得ること
を特徴とするものである。
【0013】さらに請求項4の発明の缶蓋用アルミニウ
ム合金硬質板の製造方法は、必須合金成分として、Mg
0.8〜3.0%、Mn0.01〜1.2%、Fe0.
10〜0.50%、Si0.05〜0.40%を含有
し、さらにCu0.01〜0.50%、Cr0.01〜
0.30%のうちから選ばれた1種以上を含有し、かつ
不純物としてTi量が0.03%以下に規制され、残部
がAlおよび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金
鋳塊について、熱間圧延上りの状態における板の組織と
して、(イ)再結晶率が85%以上、(ロ)平均再結晶
粒径が200μm以下、(ハ)傾角15°以内のCub
e方位粒の面積率が5〜60%、以上の(イ)〜(ハ)
の条件を満たすように熱間圧延を行ない、さらに圧延率
が40〜95%、最終パスの圧下率が15〜60%とな
るように製品板厚まで冷間圧延を行ない、板厚方向中央
部における集合組織条件として、(1)圧延集合組織成
分のβファイバーに属するCu方位、S方位、およびB
rass方位の方位密度の総和がランダム方位の55倍
以下、(2)Cube方位からGoss方位への圧延方
向廻りのCube方位密度の和がランダム方位の65倍
以下、(3)傾角15°以内のGoss方位の方位密度
の総和がランダム方位の20倍以下、以上の(1)〜
(3)の3条件を満たし、さらに断面における旧結晶粒
界の幅が30μm以下である硬質板を得ることを特徴と
するものである。
【0014】そしてまた請求項5の発明は、請求項3も
しくは請求項4に記載の缶蓋用アルミニウム合金硬質板
の製造方法において、最終板厚まで前記冷間圧延を行な
った後、さらに100〜240℃の範囲内の温度で10
時間以下保持する最終焼鈍を施すことを特徴とするもの
である。
【0015】
【発明の実施の形態】先ずこの発明において用いられる
アルミニウム合金の成分組成の限定理由を説明する。
【0016】Mg:Mgの添加は、Mgそれ自体の固溶
による強度向上に効果があり、また、転位との相互作用
が大きいため、加工硬化による強度向上が期待でき、し
たがってMgは缶蓋材として必要な強度を得るために不
可欠な元素である。但し、Mg量が0.8%未満では缶
蓋材として充分な強度を得ることができず、一方、3.
0を越えれば生産コストが高くなる。そこでMg量は
0.8〜3.0%の範囲内とした。
【0017】Mn:Mnの添加は、引き裂き性を向上さ
せて開缶性を向上させるAl−Mn−(Si)、Al−
Fe−Mn−(Si)系金属間化合物の生成および強度
向上に大きな効果をもたらす。Mn量が0.01%未満
では、これらの効果が小さく、また冷間圧延の際に金属
間化合物周辺に形成される不均一変形領域の密度が少な
くなって集合組織をランダム化できず、製品板の耳率を
高くしてしまう。一方Mn量が1.2%を越えれば、引
き裂き性はより一層向上し、また冷間圧延の際に金属間
化合物周辺に形成される不均一変形領域の密度が多くな
るため、集合組織をランダム化して製品板の耳率を小さ
くすることは可能であるが、その反面、巨大金属間化合
物が生成されるとともに金属間化合物の生成数が多くな
りすぎて、リベット成形性が低下する。そこでMn量は
0.01〜1.2%の範囲内とした。
【0018】Fe:Feの添加は、引き裂き性を向上さ
せて開缶性を向上させるAl−Fe−Mn−(Si)系
金属間化合物の生成に効果を及ぼし、また缶蓋材として
必要な成形性を向上させる結晶粒微細化に大きな効果を
示し、その添加量が多いほど結晶粒が微細化される。但
し、Fe量が0.10%未満では、その効果が得られ
ず、また冷間圧延の際に金属間化合物周辺に形成される
不均一変形領域の密度が少なくなるため、集合組織をラ
ンダム化できず、製品板の耳率を高くしてしまう。一
方、Fe量が0.50%を越えれば引き裂き性はより一
層向上し、また冷間圧延の際に金属間化合物周辺に形成
される不均一変形領域の密度が多くなるため、集合組織
をランダム化して製品板の耳率を小さくすることは可能
であるが、その反面、巨大金属間化合物が生成されると
ともに金属間化合物の生成数が多くなりすぎて、リベッ
ト成形性が低下する。そこでFe量は0.10〜0.5
0%の範囲内とした。
【0019】Si:Siの添加によって形成されるMg
2 Si晶出物は、Fe添加による晶出物と同様に引き裂
き性を向上させて開缶性を向上させる効果がある。但
し、Siの添加量が0.05%未満ではその効果が得ら
れず、また冷間圧延の際に金属間化合物周辺に形成され
る不均一変形領域の密度が少なくなるため、集合組織を
ランダム化できず、製品板の耳率を高くしてしまう。ま
たSi量が0.40%を越えれば引き裂き性はより一層
向上し、また冷間圧延の際に金属間化合物周辺に形成さ
れる不均一変形領域の密度が高くなって、集合組織をラ
ンダム化でき、製品板の耳率を小さくすることは可能で
あるが、その反面、巨大金属間化合物が生成されるとと
もに金属間化合物の生成数が多くなりすぎて、リベット
成形性が低下する。したがってSi量は0.05〜0.
40%の範囲内とした。
【0020】Ti:Tiは結晶粒の微細化に有効な元素
であるが、その添加量が多ければ鋳塊組織が羽毛状晶に
なりにくくなり、粒状晶を生成しやすくなる。鋳塊組織
が粒状晶の場合には、羽毛状晶の場合よりも粒界に晶出
する晶出物を粗大にさせてしまい、また巨大金属間化合
物を生成させやすくし、かつ金属間化合物の生成数を多
くするため、引き裂き性は向上し、また冷間圧延の際の
金属間化合物周辺に形成される不均一変形領域の密度が
多くなって集合組織をランダム化でき、製品板の耳率を
小さくすることは可能であるが、その反面、リベット成
形性が低下してしまう。したがってこの発明では、Ti
は不純物としてその量を0.30%以下に規制すること
とした。なお結晶粒微細化のためにTiにBを加えて添
加する場合もあるが、その場合のB量は10ppm以下
に規制することが望ましい。
【0021】さらにこの発明で用いる合金では、強度の
より一層の向上のために、Cu、Crのうちの一方また
は双方を添加しても良い。
【0022】Cu:Cuの添加は強度向上に有効であ
り、そこで缶蓋材のより一層の強度向上を図る場合に
は、Cuを積極添加する。但し、Cu量が0.01%未
満ではその効果が少ない。一方Cuを過剰に添加すれ
ば、缶蓋材として重要な特性である耐食性の低下を招い
たり、加工硬化特性が大きくなって成形性の低下を引き
起こす。したがってCu添加量は0.01〜0.50%
の範囲内に限定した。
【0023】Cr:Crの添加も強度向上に有効であ
り、したがって缶蓋材のより一層の強度向上を図る場合
には、Crを積極添加する。但しCr量が0.01%未
満ではその効果が得られない。一方Cu量が0.30%
を越えれば、引き裂き性はより一層向上し、また冷間圧
延の際に金属缶化合物周辺に形成される不均一変形領域
の密度が多くなるため、集合組織をランダム化して製品
板の耳率を小さくすることはできるが、その反面、巨大
金属缶化合物が生成されるとともに金属缶化合物の生成
数が多くなりすぎて、リベット成形性が低下してしま
う。そのためCr添加量は0.01〜0.30%の範囲
内とした。
【0024】この発明の缶蓋材では、前述のような合金
成分組成のみならず、最終冷間圧延後(最終冷間圧延後
に最終焼鈍を施す場合は最終焼鈍後)の製品板における
集合組織が極めて重要である。すなわち、一般にアルミ
ニウム合金の圧延板における集合組織は、主としてCu
be方位、Goss方位、Brass方位、S方位、お
よびCu(Copper)方位から構成されるが、この
ような圧延後の集合組織は、耳の発生に大きな影響を及
ぼす。そして本発明者等が集合組織と耳の発生について
詳細に実験・検討を重ねた結果、製品板の板厚中央部で
集合組織を測定した場合の集合組織条件として、次の
(1)〜(3)の3条件を満たすことによって、安定し
た低耳率を達成し得ることを見出した。 (1)圧延集合組織の成分のβファイバ(β繊維集合組
織)に属するCu方位、S方位およびBrass方位の
方位密度の総和がランダム方位の55倍以下であるこ
と。 (2)Cube方位からGoss方位への圧延方向廻り
のCube方位密度の和がランダム方位の65倍以下で
あること。 (3)傾角15°以内のGoss方位の方位密度の和が
ランダム方位の20倍以下であること。
【0025】なおここで、Cube方位、Goss方
位、Brass方位、S方位、Cu方位は、一般的なミ
ラー指数を用いれば次のように表現できる。但し、指数
のうちの負方向の数値については、一般には数字の上に
バーを付して表現するが、本明細書では数字の前に
「−」の符号を付している。 Cube方位: (100)<001> Goss方位: (110)<001> Brass方位: (110)<1−12> S方位: (123)<63−4> Cu方位: (112)<11−1> また前記(1)〜(3)の条件おいて、各方位密度は、
方位の配向のない粉末サンプルをランダム方位とし、そ
れに対するX線強度の比で求めた。
【0026】ここで、前記(1)〜(3)の条件の限定
理由を説明する。
【0027】製品板の板厚中央部で集合組織を測定した
場合に、圧延集合組織成分のβファイバに属するCu方
位、S方位、Brass方位の方位密度の総和がランダ
ム方位の55倍を越えれば、製品板の45°方向の耳率
を高くしてしまい、缶蓋を缶胴に巻き締める際に巻き締
め不良が生じるおそれがある。そこで(1)の条件を規
定した。なおここで各方位密度の評価は、ジャスト方位
についてのみとした。
【0028】また、製品板の板厚中央部で集合組織を測
定した場合において、Cube方位からGoss方位へ
の圧延方向廻りのCube方位密度の和がランダム方位
の65倍を越えれば、製品板の0°/180°耳もしく
は0°/90°耳が高くなって、缶蓋を缶胴に巻き締め
る際の巻き締め不良が生じるおそれがある。そこで
(2)の条件を規定した。なおここで、Cube方位か
らGoss方位への圧延方向廻りのCube方位密度
は、5°間隔ごとの方位密度を加算して求めた。
【0029】さらに製品板の板厚中央部において集合組
織を測定した場合に、傾角15°以内のGoss方位の
方位密度の和がランダム方位の20倍を越えれば、製品
板の0°/180°耳が顕著となり、缶蓋を缶胴に巻き
締めする際に巻き締め不良が生じるおそれがあり、そこ
で(3)の条件を規定した。なおこの場合の傾角15°
以内のGoss方位の方位密度の和は、5°間隔ごとの
方位を加算して求めた。
【0030】さらにこの発明の缶蓋材では、製品板の断
面における旧結晶粒界の幅が30μm以下であること
が、優れたリベット成形性を得るために必要である。こ
こで、旧結晶粒界とは、熱間圧延中途もしくは熱間圧延
後に再結晶することによって生成された再結晶組織の結
晶粒(再結晶粒)が、その後の冷間圧延によって圧延方
向に伸ばされた状態となった結晶粒界の幅を意味する。
このような製品板の断面における旧結晶粒界の幅が30
μmを越える場合、リベット成形時に旧結晶粒界による
拘束が極端に弱くなる結果、材料に割れが生じやすくな
って、リベット成形性を低下させる。なお旧結晶粒界の
幅は、製品板の板厚方向(圧延方向に対する横断方向)
の断面についてノルマルスキー式微分干渉顕微鏡を用い
て400倍の倍率で写真撮影した光学顕微鏡写真から求
めた。
【0031】以上のようにこの発明の缶蓋用アルミニウ
ム合金硬質板においては、その合金成分組成を適切に調
整すると同時に、製品板の板厚中央部の集合組織につい
て適切かつ厳密に規制し、併せて製品板における旧結晶
粒界の幅を規制することによって、安定して低耳率でか
つリベット成形性、引き裂き性(開缶性)を向上させる
ことが可能となったのである。
【0032】次にこの発明の缶蓋用アルミニウム合金硬
質板の製造方法について説明する。
【0033】先ず前述のような成分組成のアルミニウム
合金を常法に従って溶製し、DC鋳造法などの常法に従
って鋳造する。鋳塊に対しては、均質化処理を行なって
から熱間圧延のための加熱を行なうか、または均質化処
理を兼ねて熱間圧延のための加熱を行なう。これらの加
熱の条件は特に限定されるものではなく、常法に従えば
良いが、熱間圧延直前の加熱は、熱間圧延開始温度以上
でかつ溶融が生じない温度で行なうことはもちろんであ
る。
【0034】熱間圧延は、熱間圧延上りの状態における
熱延板の組織として、次の(イ)〜(ハ)の条件が満た
されるように行なう必要がある。 (イ)再結晶率が85%以上 (ロ)平均再結晶粒径が200μm以下 (ハ)傾角15°以内のCube方位粒の面積率が5〜
60%
【0035】このように熱間圧延上りの板の組織条件を
定めた理由は次の通りである。
【0036】熱間圧延上がり板の再結晶率が85%未満
では、45°耳に寄与する圧延集合組織成分がかなり残
存するため、0°/90°耳に寄与するCube方位粒
の体積率を充分に高めることができず、その結果、製品
板の耳率を高くしてしまい、巻き締め不良が生じるおそ
れがある。そこで、熱間圧延後の板の再結晶率は、
(イ)に示すように85%以上と規定した。なお再結晶
率の測定はバーカーエッチング法で組織観察し、画像解
析装置ルーゼックスを用いて100倍の光学顕微鏡組織
写真から求めた。
【0037】また熱間圧延上り板の平均再結晶粒径が2
00μmを越えれば、最終冷間圧延条件によっては製品
板の旧結晶粒界の幅が30μmを越える場合があり、そ
の場合、リベット成形性が低下してリベット成形時に材
料の割れが生じてしまう。また熱間圧延中途や熱間圧延
後の再結晶により生成されたCube方位粒は核生成速
度および粒成長速度が他の方位粒よりも著しく速いた
め、平均結晶粒径が200μmを越える場合、(ハ)で
規定する傾角15°以内のCube方位粒の面積率が6
0%を越えてしまいやすい。そこで平均再結晶粒径は、
(ロ)で示すように200μm以下と規定した。なお平
均再結晶粒径の測定はOIM(Orientation
Imaging Microscopy)を用いて求
めた。
【0038】さらに、熱間圧延上り板における傾角15
°以内のCube方位粒の面積率が5%未満では、その
後の冷間圧延で発達する圧延集合組織とバランスさせる
ことが困難となり、製品板の耳率を顕著にさせてしまう
おそれがある。一方傾角15°以内のCube方位粒の
面積率が60%を越えれば、その後の冷間圧延におい
て、0°/180°耳に寄与するGoss方位への方位
回転量が多くなるため、製品板の0°/180°耳を顕
著にさせてしまうおそれがある。そこで(ハ)に示すよ
うに傾角15°以内のCube方位粒の面積率を5〜6
0%の範囲内と規定した。なお傾角15°以内のCub
e方位粒の面積率の測定はOIMを用いて求め、10μ
m以上のサブグレインおよび再結晶粒を対象とした。
【0039】なお上述のような熱間圧延上り組織条件を
満たす熱延板を得るための熱間圧延工程の具体的な各条
件は特に限定されるものではないが、要は前述の(イ)
〜(ハ)を満たすように各プロセス条件、例えば熱間圧
延開始温度(粗圧延開始温度)、粗圧延圧下率、仕上げ
圧延開始温度、仕上げ圧延圧下率、仕上げ圧延パス数、
仕上げ圧延各パスでの圧下率、熱間圧延上り温度(仕上
げ圧延上り温度)、熱間圧延後の冷却速度等を具体的な
合金の成分組成に応じて定めれば良い。ここで、一般に
熱間圧延上り板の組織は、前述のような多数の各プロセ
ス条件の組合せや具体的な成分組成との組合せによって
大幅に変化し、これらの組合せの数は天文学的な数とな
るから、各プロセス条件を一律に規定することは困難で
ある。そこでこの発明では熱間圧延上り板での組織条件
が前記(イ)〜(ハ)の条件を満たすように熱間圧延す
ることとした。
【0040】なおここで、熱間圧延工程の各プロセスの
個別的な条件としては、熱間圧延開始温度(粗圧延開始
温度)400〜580℃、粗圧延圧下率90〜98%、
仕上げ圧延開始温度300〜460℃、仕上げ圧延圧下
率85〜98.5%、仕上げ圧延パス数3〜5、仕上げ
圧延各パスでの圧下率20〜70%、熱間圧延上り温度
(仕上げ圧延上り温度)270〜340℃が適当である
が、実際にこの発明の方法を適用するにあっては、既に
述べたように熱間圧延上り板の組織として前記(イ)〜
(ハ)の条件が満たされるように、上述の個別的条件の
範囲内から、具体的成分組成に応じて相互の関連のもと
に実際に適用する条件を選定すれば良く、これは実験に
よって容易に定めることが可能である。
【0041】前述のように(イ)〜(ハ)の組織条件を
満たすように熱間圧延して得られた熱延板に対しては、
最終冷間圧延を行なって製品板厚とする。この最終冷間
圧延は、圧延率が40〜95%の範囲内、最終冷延パス
の圧下率が15〜65%の範囲内となるように行なう必
要がある。
【0042】ここで、最終冷間圧延率が40%未満では
缶蓋材として必要な強度が得られず、また熱延後の板の
特徴によっては、冷間圧延を行なってもCube方位粒
がかなり残存するため、0°/180°耳もしくは0°
/90°耳が高くなって、缶蓋を缶胴に巻き締める際に
巻き締め不良を生じるおそれがある。一方最終冷間圧延
率が95%を越えれば、冷間圧延によって導入された転
位密度がかなり多くなるため、材料の靭性が低下してリ
ベット成形性が低下し、リベット成形時に割れが生じて
しまうおそれがある。したがって最終冷間圧延率は40
〜95%の範囲内とする必要がある。また最終冷延パス
の圧下率が15%未満では、生産性が低下し、一方65
%を越える大圧下を負荷すれば、最終冷延パス前まで残
存していた安定なCube方位粒が不安定になってGo
ss方位の方向に方位回転してしまい、製品板の0°/
180°耳を顕著にさせてしまうおそれがある。そこで
最終冷延パスの圧下率は15〜65%の範囲内とした。
【0043】以上のように最終冷間圧延を施して得られ
た冷間圧延板は、これをそのまま製品板として缶蓋に使
用しても良いが、リベット成形性をより一層向上させる
ため、請求項5で規定するように、最終冷間圧延後に1
00〜240℃の温度範囲で10時間以下の最終焼鈍を
施しても良い。このような最終焼鈍を施せば、冷間圧延
によって導入された転位を消滅させて、リベット成形性
をさらに向上させることができる。ここで、最終焼鈍温
度が100℃未満では、リベット成形性向上の効果が得
られず、一方、240℃を越えれば回復の進行が大き過
ぎ、強度不足が生じる。また最終焼鈍の保持時間が10
時間を越えれば生産性の低下を招く。そこで最終焼鈍条
件は、100〜240℃の温度で10時間以下と規定し
た。
【0044】
【実施例】表1の合金No.1〜9に示す種々の化学成
分のアルミニウム合金を、常法に従ってDC鋳造し、得
られた鋳塊に対し、均質化処理を兼ねた熱間圧延前の鋳
塊加熱処理を行ない、熱間圧延を施した後、最終冷間圧
延を行なって板厚0.25mmに仕上げ、さらに一部の
ものについては最終焼鈍を施した。各工程の条件を表2
中に示す。また熱間圧延後の段階での再結晶率、平均再
結晶粒径、傾角15°以内のCube方位粒の面積率を
調べたので、その結果も表2中に併せて示す。なお再結
晶率については、バーカーエッチング法で組織観察し、
画像解析装置ルーゼックスを用いて100倍の光学顕微
鏡組織写真から求めた。また平均再結晶粒径および傾角
15°以内のCube方位粒の面積率については、OI
Mを用いて測定した。そして平均再結晶粒径に関して
は、表2中において200μm以下の場合に○印を付
し、200μmを越える場合に×印を付した。
【0045】さらに、前述のようにして得られた最終冷
間圧延後の製品板(最終冷間圧延後に最終焼鈍を施した
場合には最終焼鈍後の製品板)について、圧延集合組織
を調べたので、その結果を表3中に示す。ここで、表3
中に示す集合組織の欄における各方位密度の値(すなわ
ちCu方位+S方位+Brass方位の和、Cube方
位〜Goss方位への和、傾角15°以内のGoss方
位の和)は、いずれもランダム方位に対する倍数で示
す。なおこれらの方位密度の定量化は、{200},
{220},{111}の不完全極点図を測定し、それ
らを用いて3次元方位分布関数(ODF)を計算し、評
価した。また前記同様の各製品板について、旧結晶粒界
の幅を調べたので、その結果も表3中に示す。なお表3
中においては、結晶粒界の幅が30μmの場合に○印
を、30μmを越える場合に×印を付した。
【0046】さらに、各製品板について、次のように缶
蓋材としての性能を調べた。ここで缶蓋材は、一般に塗
装焼き付け後に成形加工が施されるところから、表2の
条件で製造した各板について、塗装後に250℃×24
sで焼き付け処理を施してから、耳率、リベット成形
性、引き裂き性、さらには機械的性質(耐力)を調べた
ので、その結果を表3中に併せて示す。
【0047】ここで、耳率については、6%を越える場
合に不合格として、耳の評価欄に×印を付し、6%以下
の場合に合格として○印を付した。なお特に0°/18
0°耳もしくは0°/90°耳の耳率が6%を越える場
合に、耳率の欄に*の記号を付した。またリベット成形
性の評価については、リベット成形した缶蓋を200個
作製し、目視で割れの有無を調査して、1個でも割れが
認められたものは不合格として×印を付し、全く割れが
ない場合に合格として○印を付した。さらに引き裂き試
験は図1に示す要領で行なって引き裂き荷重を調べた。
そして引き裂き時の最大荷重が20Nを越える場合に不
合格として×印を付し、20N未満の場合に合格として
○印を付した。さらに機械的性質については、圧延方向
に対し0°の方向の耐力を調べた。ここで、コーヒーな
どに用いられる負圧缶用の蓋材には、ビールや炭酸飲料
などに用いられる陽圧缶に比べて強度に関する厳しい要
求はされていないが、一般には210MPaを下廻る耐
力の場合に不合格とされる。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】表1〜3において、この発明で規定する成
分組成範囲内の合金を用い、かつこの発明で規定する製
造プロセスで製造して、製品板の集合組織条件および旧
結晶粒界の幅の条件がこの発明で規定する範囲内となっ
た本発明例(A,B,I,J,L,M)の板では、いず
れも耳率が低く、かつリベット成形性および引き裂き性
も良好であり、さらには強度も充分であった。
【0052】一方製造符号C,D,E,F,G,H,K
の例は、合金の成分組成はこの発明で規定する範囲内で
あるが、製造プロセス条件がこの発明で規定する範囲か
ら外れ、製品板の集合組織条件がこの発明で規定する範
囲から外れた比較例であるが、これらの場合には、耳率
が高かったり、リベット成形性が劣っていたり、さらに
は強度(耐力)が不足したりして、いずれも総合的に合
格ラインには達し得なかった。
【0053】また製造符号N,O,P,Q,R,Sは、
いずれも製造プロセス条件はこの発明で規定する範囲内
としたが、合金の成分組成がこの発明で規定する範囲か
ら外れた比較例であり、これらの場合も、耳率、リベッ
ト成形性、引き裂き性、機械的強度のいずれかが劣り、
総合評価として合格レベルに達しなかった。
【0054】
【発明の効果】前述の実施例からも明らかなように、こ
の発明の缶蓋用アルミニウム合金硬質板は、合金の成分
組成を適切に調整すると同時に圧延集合組織を適切かつ
厳密に規制し、さらには旧結晶粒界の幅を適切に規制す
ることによって、耳率が確実かつ安定して低く、しかも
リベット成形性と引き裂き性にも優れており、したがっ
てこの発明の缶蓋用アルミニウム合金硬質板を実際に缶
蓋に用いれば、缶蓋を缶胴に巻き締めする際に巻き締め
不良が生じるおそれがなく、またリベット成形時に割れ
が生じたり、さらには開缶性を悪くすることもない等、
缶蓋材として優れた性能を発揮することができる。また
この発明の缶蓋用アルミニウム合金硬質板の製造方法に
よれば、上述のような優れた性能を有する缶蓋材を確実
に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を実施するにあたって引き裂き性を調
べるための引き裂き荷重測定方法の一例を説明するため
の略解図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 623 C22F 1/00 623 630 630A 630K 630Z 682 682 683 683 685 685Z 691 691B 691C 694 694A

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 必須合金成分として、Mg0.8〜3.
    0%(mass%、以下同じ)、Mn0.01〜1.2
    %、Fe0.10〜0.50%、Si0.05〜0.4
    0%を含有し、かつ不純物としてTi量が0.03%以
    下に規制され、残部がAlおよび不可避的不純物よりな
    り、かつ板厚方向中央部における集合組織条件として、
    (1)圧延集合組織成分のβファイバーに属するCu方
    位、S方位、およびBrass方位の方位密度の総和が
    ランダム方位の55倍以下、(2)Cube方位からG
    oss方位への圧延方向廻りのCube方位密度の和が
    ランダム方位の65倍以下、(3)傾角15°以内のG
    oss方位の方位密度の総和がランダム方位の20倍以
    下、以上の(1)〜(3)の3条件を満たし、さらに断
    面における旧結晶粒界の幅が30μm以下であることを
    特徴とする缶蓋用アルミニウム合金硬質板。
  2. 【請求項2】 必須合金成分として、Mg0.8〜3.
    0%、Mn0.01〜1.2%、Fe0.10〜0.5
    0%、Si0.05〜0.40%を含有し、さらにCu
    0.01〜0.50%、Cr0.01〜0.30%のう
    ちから選ばれた1種以上を含有し、かつ不純物としてT
    i量が0.03%以下に規制され、残部がAlおよび不
    可避的不純物よりなり、かつ板厚方向中央部における集
    合組織条件として、(1)圧延集合組織成分のβファイ
    バーに属するCu方位、S方位、およびBrass方位
    の方位密度の総和がランダム方位の55倍以下、(2)
    Cube方位からGoss方位への圧延方向廻りのCu
    be方位密度の和がランダム方位の65倍以下、(3)
    傾角15°以内のGoss方位の方位密度の総和がラン
    ダム方位の20倍以下、以上の(1)〜(3)の3条件
    を満たし、さらに断面における旧結晶粒界の幅が30μ
    m以下であることを特徴とする缶蓋用アルミニウム合金
    硬質板。
  3. 【請求項3】 必須合金成分として、Mg0.8〜3.
    0%、Mn0.01〜1.2%、Fe0.10〜0.5
    0%、Si0.05〜0.40%を含有し、かつ不純物
    としてTi量が0.03%以下に規制され、残部がAl
    および不可避的不純物よりなるアルミニウム合金鋳塊に
    ついて、熱間圧延上りの状態における板の組織として、
    (イ)再結晶率が85%以上、(ロ)平均再結晶粒径が
    200μm以下、(ハ)傾角15°以内のCube方位
    粒の面積率が5〜60%、以上の(イ)〜(ハ)の条件
    を満たすように熱間圧延を行ない、さらに圧延率が40
    〜95%、最終パスの圧下率が15〜60%となるよう
    に製品板厚まで冷間圧延を行ない、板厚方向中央部にお
    ける集合組織条件として、(1)圧延集合組織成分のβ
    ファイバーに属するCu方位、S方位、およびBras
    s方位の方位密度の総和がランダム方位の55倍以下、
    (2)Cube方位からGoss方位への圧延方向廻り
    のCube方位密度の和がランダム方位の65倍以下、
    (3)傾角15°以内のGoss方位の方位密度の総和
    がランダム方位の20倍以下、以上の(1)〜(3)の
    3条件を満たし、さらに断面における旧結晶粒界の幅が
    30μm以下である硬質板を得ることを特徴とする缶蓋
    用アルミニウム合金硬質板の製造方法。
  4. 【請求項4】 必須合金成分として、Mg0.8〜3.
    0%、Mn0.01〜1.2%、Fe0.10〜0.5
    0%、Si0.05〜0.40%を含有し、さらにCu
    0.01〜0.50%、Cr0.01〜0.30%のう
    ちから選ばれた1種以上を含有し、かつ不純物としてT
    i量が0.03%以下に規制され、残部がAlおよび不
    可避的不純物よりなるアルミニウム合金鋳塊について、
    熱間圧延上りの状態における板の組織として、(イ)再
    結晶率が85%以上、(ロ)平均再結晶粒径が200μ
    m以下、(ハ)傾角15°以内のCube方位粒の面積
    率が5〜60%、以上の(イ)〜(ハ)の条件を満たす
    ように熱間圧延を行ない、さらに圧延率が40〜95
    %、最終パスの圧下率が15〜60%となるように製品
    板厚まで冷間圧延を行ない、板厚方向中央部における集
    合組織条件として、(1)圧延集合組織成分のβファイ
    バーに属するCu方位、S方位、およびBrass方位
    の方位密度の総和がランダム方位の55倍以下、(2)
    Cube方位からGoss方位への圧延方向廻りのCu
    be方位密度の和がランダム方位の65倍以下、(3)
    傾角15°以内のGoss方位の方位密度の総和がラン
    ダム方位の20倍以下、以上の(1)〜(3)の3条件
    を満たし、さらに断面における旧結晶粒界の幅が30μ
    m以下である硬質板を得ることを特徴とする缶蓋用アル
    ミニウム合金硬質板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3もしくは請求項4に記載の缶蓋
    用アルミニウム合金硬質板の製造方法において、最終板
    厚まで前記冷間圧延を行なった後、さらに100〜24
    0℃の範囲内の温度で10時間以下保持する最終焼鈍を
    施すことを特徴とする缶蓋用アルミニウム合金硬質板の
    製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011132592A (ja) * 2009-12-25 2011-07-07 Sumitomo Light Metal Ind Ltd リングプル型キャップ用アルミニウム合金板及びその製造方法
JP2020033632A (ja) * 2018-08-31 2020-03-05 株式会社Uacj アルミニウム合金板

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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