JP2001348444A - 樹脂製成型物の表面親水化処理方法 - Google Patents

樹脂製成型物の表面親水化処理方法

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JP2001348444A
JP2001348444A JP2000170288A JP2000170288A JP2001348444A JP 2001348444 A JP2001348444 A JP 2001348444A JP 2000170288 A JP2000170288 A JP 2000170288A JP 2000170288 A JP2000170288 A JP 2000170288A JP 2001348444 A JP2001348444 A JP 2001348444A
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resin
molded product
resin molded
aqueous solution
ink
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Takao Yamauchi
隆夫 山内
Tadao Nakaya
忠雄 仲矢
Koji Shigemura
幸治 重村
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Taiho Kogyo Co Ltd
NEC Corp
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Taiho Kogyo Co Ltd
NEC Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種の樹脂製成型物の表面を親水化すること
ができる樹脂製成型物の親水化処理方法に関し、特にイ
ンクジェット記録用プリンターにおける樹脂製のノズル
ヘッドに有効で、インクの目詰まり等を防止することが
できる表面親水化処理方法を提供する。 【解決手段】 樹脂製成型物の表面を、2−メタクロイ
ルオキシエチルホスホリルコリンの単量体及び/又は重
合体の水性溶液に接触させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種の樹脂製成型
物の表面を親水化することができる樹脂製成型物の親水
化処理方法に関し、特にインクジェット記録用プリンタ
ーにおける樹脂製のノズルヘッドに有効で、インクの目
詰まり等を防止することができる表面親水化処理方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、樹脂製成型物の表面を親水化
する方法は、数多く提案されている。例えば界面活性剤
を含有する組成物を樹脂製成型物の表面に塗布する方法
が挙げられるが、この方法では水と接触すると界面活性
剤が流出し、親水性が維持できなくなるため、耐久性に
問題があった。また、大気圧下でコロナ放電処理し、表
面を酸化することにより表面を親水化する方法は広く実
用化されているが、表面処理された酸化層の厚みは極め
て薄いため、耐久性のある親水性能は得られなかった。
一方、インクジェット記録用プリンターにおけるノズル
ヘッドは、インク流路を含むほとんどの部分に樹脂を用
いており、例えばガラスや金属等に比べて加工組立が容
易で、製造の低コスト化ができるという点で優位であ
る。しかし、インクジェット記録用プリンターに水性イ
ンクを用いた場合、通常樹脂表面は撥水性が高いため、
樹脂製のノズルヘッドが水性インクに触れる部分で濡れ
が悪くなる。このため、インク充填の際、インク流路内
に気泡を取り残してしまったり、インク流路内に発生し
た気泡に対して排出操作を行っても排出が困難であった
り、斜め射出を起こしたり、ひどいときにはドット抜け
を起こすことがあった。そこで、インク流路内の樹脂表
面を水性インクの濡れを良くするために特開昭60−2
4957号公報では酸処理、プラズマ処理等により、樹
脂表面に極性基を生成させて親水化処理をすることが提
案されている。また、特公平2−54784号公報では
染料水溶液をインク流路面と接触させた状態で加湿し、
予め流路面に染料を吸着又は浸透させることにより濡れ
を良くする方法も提案されている。また、インクと接す
る樹脂表面であるインク流路に親水性高分子を表面グラ
フトすることにより濡れを良くする方法も提案されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の樹脂製成型物の親水化処理方法、特にインクジェッ
ト記録用プリンターの樹脂製ノズルヘッドの親水化処理
方法は、何れも一時的なものであり、親水化効果に持続
性が乏しいため、インクジェット記録用ヘッドにインク
が充填されていない状態で放置すると、インク流路内の
親水化処理の効果が失われる。本発明の目的は、長期間
に亘って親水化処理効果が持続し、インクジェット方式
におけるインクの吐出安定性を保持し、且つインクの目
詰まりを防止することができるような処理を簡便に行う
ことができる方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記事情に鑑
み鋭意検討した結果、樹脂製成型物、特にインクジェッ
ト記録用プリンターの樹脂製ノズルヘッドの親水化にお
いて従来にない性能を有する表面処理用組成物を見出し
て本発明に至った。即ち本発明は、樹脂製成型物の表面
を、以下の構造式を有する2−メタクロイルオキシエチ
ルホスホリルコリン(MPC)
【化2】 の単量体及び/又は重合体の水性溶液に接触させること
を特徴とする樹脂製成型物の表面親水化処理方法に関す
るものであり、例えばインクジェット記録用プリンター
の樹脂製ノズルヘッドを上記2−メタクロイルオキシエ
チルホスホリルコリンの単量体及び/又は重合体の水性
溶液に浸漬させることにより、樹脂製ノズルヘッドの表
面が親水化処理され、従来より起きていたノズルの目詰
まりを生じさせず、連続噴射特性に優れると共に、従来
技術では不十分であった各種の性能をなお一層向上させ
得ることを見出したものである。この際の2−メタクロ
イルオキシエチルホスホリルコリンの単量体及び/又は
重合体の水性溶液中の濃度は0.01〜2重量%が良好
である。また、水性溶液の媒体としては、水、メチルア
ルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール
等の単独又はそれらの混合物を使用できる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の各種樹脂製成型物の表面
親水化処理、特にインクジェット記録用プリンターの樹
脂製ノズルヘッドの表面親水化処理に用いられる2−メ
タクロイルオキシエチルホスホリルコリンの単量体及び
/又は重合体は、従来より知られている化学物質であ
り、今日迄に化粧品、各種医療用材料、コンタクトレン
ズ等に使用されている。この2−メタクロイルオキシエ
チルホスホリルコリンは、前記構造式からも明らかなよ
うに分子内にアニオン基とカチオン基とを有する両性イ
オン化合物である。そのため、非常に親水性が強く、充
分な保水性を有し、水溶液に添加した場合、水溶液の表
面張力を著しく低下させる特性を有している。さらに、
この2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリン
は、分子内にP及びNという不対電子対を有する元素を
複数有する化合物であり、各種樹脂製成型物の表面に吸
着した場合、非常に離脱しにくい特性を有している。
【0006】本発明は、各種の樹脂製成型物、特にイン
クジェット記録用プリンターの樹脂製ノズルヘッドを、
2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンの単量
体及び/又は重合体の水性溶液と接触させ、その表面を
親水化処理することに特徴があり、各種の樹脂製成型物
と2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンの単
量体及び/又は重合体の水性溶液との接触方法は、樹脂
製成型物の大きさ、形状等により、適宜に選択すればよ
い。その接触方法としては、樹脂製成型物を水性溶液中
に浸漬する場合、樹脂製成型物の表面に水性溶液を流下
させる場合、シャワーする場合等が挙げられるが、特に
これらに限定されるものではない。特にインクジェット
記録用プリンターの樹脂製ノズルヘッドの場合には浸漬
法が良好である。
【0007】本発明において各種の樹脂製成型物に接触
させる水性溶液中の2−メタクロイルオキシエチルホス
ホリルコリンの単量体及び/又は重合体の濃度は、前述
の通り0.01〜2重量%程度が良好であり、0.01
重量%に満たない低濃度であると、樹脂表面に吸着させ
るのに長時間を要し、2重量%を越える高濃度である
と、水性溶液の粘性が増大し、吸着が不均一になってし
まう場合もある。また、各種の樹脂製成型物に水性溶液
を接触する時間としては、数十秒乃至五分程度で充分と
考えられる。
【0008】本発明において表面親水化処理する対象で
ある樹脂製成型物としては、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リサルホン、ポリアミド、ナイロン樹脂、ポリアセター
ル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポ
リイミド、ポリアリレート、フッ素系ポリマー、ユリア
樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、
ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニ
ル、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ポリパラキシリレン、
クロロプレンゴム、SBR、BR、NBR、ウレタンゴ
ム、シリコーンゴム等の単独又はそれらの複合成型物が
使用できる。したがって、上記材料からなるインクジェ
ット記録用プリンターにおける樹脂製ノズルヘッドも当
然のことながら本発明の対象である樹脂製成型物の一例
である。また、上記樹脂のうち、特にエポキシ樹脂、ポ
リアミド、ナイロン樹脂、ポリエチレンから選ばれる一
種以上からなる樹脂製成型物には、本発明における表面
親水化処理が効果的に作用する。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明は勿
論これらに限定されるものではない。
【0010】[実施例1] 1−1.水性溶液の組成 以下の組成のMPC単量体又は重合体を含む配合例1〜
4の水性溶液を調製した。 〔配合例1;MPC単量体の0.5%水溶液〕 2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリン単量体: 0.5wt% 水 :99.5wt% 〔配合例2;MPC重合体の1%溶液〕 2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体(重合度n=20) : 1.0wt% 水 :49.5wt% メチルアルコール :49.5wt% 〔配合例3;MPC重合体の0.1%溶液〕 2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリン重合体(重合度n=20) : 0.1wt% 水 :74.9wt% エチルアルコール :25.0wt% 〔配合例4;MPC単量体の2%溶液〕 2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリン単量体: 2.0wt% 水 :32.7wt% メチルアルコール :32.7wt% エチルアルコール :32.6wt%
【0011】以下の組成のMPC単量体又は重合体を含
まない比較配合例1,2の水性溶液を調製した。 〔比較配合例1〕 ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸 トリエタノールアミン塩: 2.0wt% 水 :98.0wt% 〔比較配合例2〕 ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド : 2.0wt% 水 :98.0wt%
【0012】1−2.表面親水化処理方法 樹脂製成型物として、縦横100mm,厚さ200μm
のアミド樹脂製フィルムを、前記配合例1〜4、及び比
較配合例1,2の合計6種類の水性溶液中にそれぞれ1
分間浸漬した。その後、取り出して室温にて静置し、乾
燥させた。
【0013】1−3.試験方法 乾燥後のフィルムにおける接触角の測定を、協和界面化
学(株)製の『接触角計CA−DT−A型』を用いて水
滴の直径を2mmとして行った。さらに、7日間静置し
た後、再度同様に接触角を測定した。両条件にて測定し
た結果を表1に示した。
【0014】1−4.試験結果
【表1】
【0015】[実施例2] 2−1.表面親水化処理方法 樹脂製成型物として、インクジェット記録用プリンター
におけるエポキシ樹脂製のノズルヘッドに、前記実施例
1にて用いた配合例1〜4、及び比較配合例1,2の合
計6種類の水性溶液を70℃で30秒間流した。その
後、室温にて静置し、乾燥させた。
【0016】2−2.連続印字(インク吐出安定性)試
験 ピエゾ式インクジェットプリンターにて100枚連続印
字し、印字性を目視にて観察した。 滲みもなく印字性も良好なものを
◎、 僅かに滲みと印字の乱れが生じるものを
○、 滲みはあるが文字の識別は可能であるものを
△、 滲みで文字の識別及び連続印字が不能であるものを
×、 と判定し、表2に示した。
【0017】2−3.再起動(インク目詰まり性)試験 ピエゾ式インクジェットプリンターにて印字した後に、
40℃で2時間インクキャップを開放状態で放置して再
度印字を行い、目詰まり等を印字物の比較で確認した。 目詰まりもなく印字性も良好なものを
◎、 僅かに目詰まりに起因する抜けが観察されるものを
○、 目詰まりはあるが簡単な復帰操作で印字可能なものを
△、 印字が不能であるものを
×、 と判定し、表2に示した。
【0018】2−4.試験結果
【表2】
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の樹脂製成
型物の表面親水化処理方法は、各種の樹脂製成型物の表
面を2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンに
より親水化処理するものであって、特にインクジェット
記録用プリンターにおける樹脂製ノズルヘッドに適用す
ることにより、インクの目詰まりを防止すると共に、イ
ンクの吐出安定性に著しい効果を発揮する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仲矢 忠雄 東京都文京区本郷2−35−16 コータス弓 町402号 (72)発明者 重村 幸治 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF93 AG07 AP13 AP59 4F006 AA04 AA12 AA15 AA17 AA18 AA20 AA22 AA32 AA33 AA34 AA35 AA36 AA37 AA38 AA39 AA40 AA42 AB24 AB65 BA10 CA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂製成型物の表面を、以下の構造式を
    有する2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリン 【化1】 の単量体及び/又は重合体の水性溶液に接触させること
    を特徴とする樹脂製成型物の表面親水化処理方法。
  2. 【請求項2】 水性溶液は、水及び/又は炭素数1〜3
    の脂肪族低級アルコールを媒体とすることを特徴とする
    請求項1に記載の樹脂製成型物の表面親水化処理方法。
  3. 【請求項3】 樹脂製成型物は、エポキシ樹脂、アミド
    樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂から選ばれる一
    種以上からなることを特徴とする請求項1又は2に記載
    の樹脂製成型物の表面親水化処理方法。
  4. 【請求項4】 樹脂製成型物は、インクジェット記録プ
    リンターのノズルヘッドであることを特徴とする請求項
    1〜3の何れか一項に記載の樹脂製成型物の親水化処理
    方法。
JP2000170288A 2000-06-07 2000-06-07 樹脂製成型物の表面親水化処理方法 Pending JP2001348444A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20210031523A1 (en) * 2019-08-02 2021-02-04 Canon Kabushiki Kaisha Method for manufacturing liquid ejection head and liquid ejection head
JP7490473B2 (ja) 2019-08-02 2024-05-27 キヤノン株式会社 液体吐出ヘッドの製造方法及び液体吐出ヘッド

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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