JP2001348344A - ラクトフェリン類を含有する結合剤、その結合剤を使用した造粒品、錠剤、及びそれらの製造方法 - Google Patents

ラクトフェリン類を含有する結合剤、その結合剤を使用した造粒品、錠剤、及びそれらの製造方法

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JP2001348344A JP2000168378A JP2000168378A JP2001348344A JP 2001348344 A JP2001348344 A JP 2001348344A JP 2000168378 A JP2000168378 A JP 2000168378A JP 2000168378 A JP2000168378 A JP 2000168378A JP 2001348344 A JP2001348344 A JP 2001348344A
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lactoferrin
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Kazuyoshi Toyama
一吉 外山
Teruhiko Mizota
輝彦 溝田
Yuzo Asano
祐三 浅野
Yuriko Iiyama
百合子 飯山
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯への付着性が少ない造粒品又は錠剤が得ら
れる新規な結合剤、その結合剤を使用した造粒品、錠
剤、及びそれらの製造方法を提供する。 【解決手段】 原料成分に添加して特定形態の製品を製
造するために使用される結合剤であって、その構成成分
としてラクトフェリン類を含有することを特徴とする結
合剤であり、ラクトフェリン類が、ラクトフェリン類の
水溶液であり、及びラクトフェリン類を含有する水溶液
が、pH5以下の水溶液であり、また、前記結合剤を使
用して造粒してなる造粒品、前記造粒品を圧縮成型して
なる錠剤、及びそれらの製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、造粒品である顆粒
剤、錠剤等の製品を製造する際に、原料成分を結合し、
造粒するために使用される結合剤、その結合剤により製
造される製品、及びその製造方法に関するものであり、
更に詳しくは、本発明は、ラクトフェリン類を構成成分
として含有する結合剤、その結合剤を使用した造粒品、
錠剤、及びそれらの製造方法に関するものである。本明
細書において、百分率は特に断りのない限り重量による
表示である。
【0002】
【従来の技術】従来、一般に、食品、医薬品等の製剤の
プロセスにおいて、造粒品である顆粒剤、錠剤等の製品
を製造する際に、目的製品の原料成分を結合し、造粒す
るために使用される結合剤(バインダー)として、例え
ば、グアーガム、カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビ
アゴム、アルギン酸ナトリウム、澱粉、メチルセルロー
ス等の多糖類、ゼラチン、カゼインナトリウム等の蛋白
質などが知られている(社団法人日本粉体工業技術協
会、「造粒ハンドブック」、第184頁、第286頁、
第305頁、株式会社オーム社、平成3年3月10
日)。また、造粒方法としては、各種の方法があるが、
その代表的な方法である流動層造粒においては、流動層
造粒機を使用してグアーガム等の結合剤を少量溶解した
水溶液を目的製品の原料粉末に噴霧して造粒物を得る方
法がよく知られている。この流動層造粒では、原料粉末
が、噴霧した結合剤の溶液を吸収して液体架橋し、次い
で、乾燥時に微結晶が析出して、粉体どうしの接触点で
固化する過程を反復しながら造粒されることが知られて
いる(「最新造粒技術の実際」、第85頁、神奈川経営
開発センター出版部、1984年)。
【0003】前記のとおり、造粒品である顆粒剤、錠剤
等の製品を製造する際に、目的製品の原料成分を結合
し、造粒するために使用される結合剤(バインダー)と
して、各種の高分子材料が知られているが、一般に、こ
れらの材料は、粘着性が強すぎるために、例えば、食
品、医薬品等の製品において、これらの結合剤を使用し
た製品を摂取し、口中で咀嚼した場合に、これらが歯に
付着し、好ましくない食感が生じるという問題点があっ
た。特に、原料成分として、ラクトフェリン類を30%
以上の高濃度で配合した場合に、この問題点が顕著に表
われた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、前記従来技術に鑑みて、上記各種の
高分子材料からなる結合剤の有する問題点を確実に解消
することが可能な新しい結合剤、及び造粒方法等を開発
することを目標として、鋭意研究を積み重ねた結果、ラ
クトフェリン類を結合剤の構成成分として使用すること
により、所期の目的を達成できることを見出し、更に研
究を重ねて、本発明を完成するに至った。即ち、本発明
は、食品、医薬品等の分野において、結合剤を使用した
製品について、当該製品を摂取し、口中で咀嚼した際
に、歯への付着性が少なく、食感が良好な造粒品、錠剤
を得ることが可能な新規な結合剤、その結合剤を使用し
た造粒品、錠剤を提供することを目的とするものであ
る。また、本発明は、上記造粒品、錠剤を製造する方法
を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下の技術的手段から構成される。 (1)原料成分に添加して特定形態の製品を製造するた
めに使用される結合剤であって、その構成成分としてラ
クトフェリン類を含有することを特徴とする結合剤。 (2)ラクトフェリン類が、ラクトフェリン類を含有す
る水溶液である前記(1)に記載の結合剤。 (3)ラクトフェリン類を含有する水溶液が、pH5以
下の水溶液である前記(2)に記載の結合剤。 (4)原料成分に、前記(1)から(3)のいずれか1
項に記載の結合剤を添加して、常法により造粒してなる
造粒品。 (5)原料成分として、ラクトフェリン類を少なくとも
30%(重量)配合する前記(4)に記載の造粒品。 (6)前記(4)又は(5)に記載の造粒品を、常法に
より圧縮成型してなる錠剤。 (7)原料成分として、ラクトフェリン類を少なくとも
30%(重量)配合する前記(6)に記載の錠剤。 (8)原料成分の粉末を混合し、ラクトフェリン類を含
有する結合剤を添加し、造粒し、乾燥することを特徴と
する造粒品の製造方法。 (9)原料成分の粉末を、通風により流動化し、ラクト
フェリン類を含有する結合剤を噴霧し、造粒し、乾燥す
ることを特徴とする造粒品の製造方法。 (10)前記(8)又は(9)に記載の製造方法により
製造される造粒品を、臼中に充填し、杵で圧縮成型する
ことを特徴とする錠剤の製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳細に
説明する。本発明では、結合剤の構成成分として、ラク
トフェリン類が使用される。当該ラクトフェリン類とし
ては、例えば、市販のラクトフェリン、哺乳動物(例え
ば、ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ等)の初乳、移行
乳、常乳、末期乳、又はこれらの乳の処理物である脱脂
乳、ホエー等から常法(例えば、イオン交換クロマトグ
ラフィー等)により分離したラクトフェリン、それらを
塩酸、クエン酸等により脱鉄したアポラクトフェリン、
それらを鉄、銅、亜鉛、マンガン等の金属でキレートさ
せた金属飽和ラクトフェリン、各種飽和度で金属を飽和
したラクトフェリン又はそれらの2種以上の任意の混合
物などが使用される。その他に、遺伝子操作により、微
生物、動物細胞、動物等で生産した各種ラクトフェリン
を使用してもよく、その種類は特に制限されない。
【0007】ラクトフェリン類は、乳由来の天然物であ
って、摂取した場合の安全性が高く、牛乳等の食品中に
含有され、日常的に摂取されており、毒性を示さず、長
期間連続的に摂取しても副作用がほとんど認められな
い。従って、ラクトフェリン類は、食品、医薬品等の分
野において、造粒品である顆粒剤、錠剤等の製品を製造
する際に、原料成分を結合し、造粒するための結合剤の
構成成分として好適なものである。本発明では、原料成
分に添加して特定形態の製品を製造するために使用され
る結合剤であって、その構成成分としてラクトフェリン
類を含有する結合剤が提案されるが、このラクトフェリ
ン類は、結合剤の構成成分として適宜の形態で使用で
き、その使用形態は特に制限されないが、造粒品である
顆粒剤、錠剤等の製品の原料成分に、エタノール等の有
機溶媒に対する耐性が弱いものが多く、変性し、失活し
易いことから、好適には、水溶液の形態で用いることが
望ましい。本発明において、ラクトフェリン類を含有す
る水溶液は、好適には、原料成分の結合性をよくするた
めに、ラクトフェリン類の濃度が5〜20%であること
が望ましい。
【0008】また、上記ラクトフェリン類を含有する水
溶液は、造粒品である顆粒剤、錠剤等の製品の原料成分
に、pH5を超えると、変性するものがあることから、
pH5以下の水溶液であることが望ましい。この場合、
ラクトフェリン類を含有する水溶液のpHの調整は、p
Hを5以下に調整できる適宜の酸を用いて調整すればよ
く、その方法は特に制限されないが、好適には、食品、
医薬品等に使用できる有機酸であるクエン酸等を用いて
調整することが望ましい。
【0009】次に、本発明の他の態様として、本発明で
は、前記結合剤を使用して、常法により造粒してなる造
粒品が提供されるが、この造粒品とは、具体的には、前
記結合剤を使用し、例えば、転動造粒法、攪拌造粒法、
押出し造粒法、流動層造粒法等の公知の造粒法により造
粒される顆粒剤等を意味するものである。これらは、例
えば、公知の流動層造粒法に従って、流動層造粒機を使
用して、溶液状の前記結合剤を原料成分の粉末に噴霧し
て、造粒物を得ることにより製造される。尚、結合剤と
して、前記ラクトフェリン類を含有する水溶液を使用す
る場合、原料成分に対する結合剤の噴霧量は、好適に
は、原料成分の結合性をよくするために、10〜50%
であることが望ましい。また、本発明において、造粒品
の原料成分としては、例えば、各種の生理活性物質、具
体的には、ラクトフェリン類、ビフィズス菌、乳酸菌、
ラクチュロース、ラフィノース、アロエ等が例示される
が、これらに制限されない。
【0010】従来の造粒品は、原料成分として、ラクト
フェリン類を高濃度で含有する製品の場合は、歯への付
着性が顕著であり、特に、ラクトフェリン類を30%以
上含有させると、歯への付着性が顕著となり、製品化は
困難であった。しかしながら、本発明の結合剤を用いる
と、原料成分としてラクトフェリン類を高濃度で含有す
る製品、即ち、ラクトフェリン類を少なくとも30%含
有する造粒品であっても、歯への付着性の問題点が顕著
に改善されることから、本発明の製品としては、好適に
は、原料成分として、ラクトフェリン類を少なくとも3
0%配合することが望ましい。
【0011】次に、本発明の他の態様として、本発明で
は、前記造粒品を、常法により圧縮成型してなる錠剤が
提供されるが、この錠剤は、前記造粒品を公知の打錠方
法で圧縮成型、即ち、打錠することにより製造される。
従来の錠剤は、原料成分として、ラクトフェリン類を高
濃度で含有する製品の場合には、歯への付着性が顕著で
あり、特に、ラクトフェリン類を30%以上含有させる
と、歯への付着性が顕著となる問題があり、製品化は困
難であった。しかしながら、本発明の結合剤を用いる
と、原料成分として、ラクトフェリン類を高濃度で含有
する製品、即ち、ラクトフェリン類を少なくとも30%
含有する錠剤であっても、歯への付着性の問題点が顕著
に改善されることから、本発明の製品としては、好適に
は、原料成分として、ラクトフェリン類を少なくとも3
0%配合することが望ましい。
【0012】次に、本発明の他の態様として、本発明で
は、原料成分の粉末を混合し、ラクトフェリン類を含有
する結合剤を添加し、造粒し、乾燥することを特徴とす
る造粒品の製造方法が提供される。この方法は、具体的
には、例えば、ラクトフェリン類、ビフィズス菌、乳酸
菌、ラクチュロース、ラフィノース、アロエ等の原料成
分の粉末を造粒機を使用して、転動、混練、攪拌子、通
風等により混合し、ラクトフェリン類を含有する結合剤
を滴下、流下、噴霧等により添加し、造粒し、乾燥する
ことにより造粒品を製造する方法である。
【0013】次に、本発明の他の態様として、本発明で
は、原料成分の粉末を通風により流動化し、ラクトフェ
リン類を含有する結合剤を噴霧し、造粒し、乾燥するこ
とを特徴とする造粒品の製造方法が提案される。この方
法は、具体的には、例えば、ラクトフェリン類、ビフィ
ズス菌、乳酸菌、ラクチュロース、ラフィノース、アロ
エ等の原料成分の粉末を造粒機を使用して、通風により
流動化して混合し、ラクトフェリン類を含有する結合剤
を噴霧により添加し、造粒し、乾燥することにより造粒
品を製造する方法である。この場合、造粒機として、市
販の流動層造粒機(大川原製作所社製、不二パウダル社
製等)が例示されるが、これらに制限されない。次に、
本発明の他の態様として、本発明では、前記方法により
製造される造粒品を、臼中に充填し、杵で圧縮成型する
ことを特徴とする錠剤の製造方法が提供される。この方
法は、具体的には、例えば、前記方法により製造される
造粒品をエキセントリック型、ロータリー型等の錠剤機
(打錠機)の臼中に充填し、杵で圧縮成型(打錠)する
ことにより錠剤を製造する方法である。この場合、錠剤
機として、市販の打錠機(富士薬品機械社製、畑鉄工所
社製等)が例示されるが、これらに制限されない。
【0014】
【作用】従来、食品、医薬品等の製剤過程において、原
料成分に添加する結合剤(バインダー)として、各種の
高分子材料が提案され、使用されているが、これらの材
料は、粘着性が強く、これらの結合剤を添加して製造し
た製品を摂取し、口中で咀嚼した場合に、これらが歯に
付着し、良好な食感が得られないという問題があり、特
に、原料成分として、ラクトフェリン類を使用した場合
に、その問題は顕著に表れた。これに対して、本発明で
は、結合剤の構成成分として、ラクトフェリン類を使用
することにより、原料成分としてラクトフェリン類を3
0%以上の高濃度で配合しても、歯への付着率が低く、
食感が良好であり、しかも、原料成分のラクトフェリン
の未変性率が高くなるという予期し得ない作用効果が得
られる。本発明により、特に、原料成分として高濃度の
ラクトフェリンを配合した高純度のラクトフェリン製品
の製造が可能となる。
【0015】次に、試験例に基づいて本発明を詳細に説
明する。試験例1この試験は、原料成分として、ラクト
フェリンを使用し、本発明の結合剤、従来の結合剤を用
いて製造した造粒品について、そのラクトフェリンの未
変性率、付着率、及び食感を評価するために行った。 (1)試料の調製 以下の試料1〜5を調製した。 試料1:結合剤として、実施例1と同一の方法により調
製した本発明の結合剤を使用し、実施例2と同一の方法
により調製した本発明の造粒品。 試料2:結合剤として、3%カゼインナトリウム水溶液
を使用したことを除き、 実施例2と同一の方法により調製した造粒品。 試料3:結合剤として、12%ゼラチン水溶液を使用し
たことを除き、実施例2と同一の方法により調製した造
粒品。 試料4:結合剤として、0.3%グアーガム水溶液を使
用したことを除き、実施例2と同一の方法により調製し
た造粒品。 試料5:結合剤として、0.3%CMC水溶液を使用し
たことを除き、実施例2と同一の方法により調製した造
粒品。
【0016】(2)試験方法 各試料のラクトフェリンの未変性率、付着率、及び食感
を、次の試験方法により各試料毎に5回測定し、それら
の平均値を算出して評価した。 (a)ラクトフェリンの未変性率の試験方法 アセトニトリル及び0.5モル食塩溶液を溶出液とし
て、逆相系カラム(アサヒパックC4P−50。旭化成
社製)を装着したHPLC(島津製作所社製)を使用
し、グラジェント溶出による高速液体クロマトグラフィ
ーにより、各試料のラクトフェリンの未変性率を試験し
た。ラクトフェリンの未変性率は、上記クロマトグラフ
ィーにおける、造粒された各試料に原料成分として含有
されるラクトフェリンと同量の、造粒未実施の未変性の
原料ラクトフェリンのピーク面積に対する前記各試料に
含有される原料ラクトフェリンのピーク面積の百分率と
して算出した。
【0017】(b)各試料の付着率の試験方法 各試料の歯への付着性を定量的に評価するために、各試
料の付着率を次の方法で試験した。 (1) 200ml容量のビーカー内に試料を0.5g計量
採取する。 (2) ビーカー内の試料に0.05gのイオン交換水を均
一に噴霧する。 (3) ビーカー内で試料を1分間振盪し、ビーカーの底部
周縁部に試料を接触させる。 (4) ビーカー内面に未付着の試料をビーカーを傾斜さ
せ、予め重量測定済の薬包紙上に回収し、回収された試
料の重量を電子天秤(メトラー社製)で測定する。試料
がビーカー内面に付着すると、試料の回収量が少なくな
る。従って、試料の付着率を次式により算出した。 付着率(%)={1−(回収量/0.55)}×100 尚、前記付着率は、歯への付着性と相関関係を有するこ
とが認められており、試料の歯への付着性の指標として
使用することができる。
【0018】(c)各試料の食感試験方法 各試料について、20歳から40歳までの男女各20人
のパネルによる官能テストで食感を試験し、食感良好
(0点)、食感やや良(1点)、食感やや不良(2
点)、食感不良(3点)の4 段階に評価した。評価点の
平均値から、0.5点未満を良、0.5点以上1.5点
未満をやや良、1.5点以上2.5点未満をやや不良、
及び2.5点以上3.0点未満を不良と判定した。
【0019】(3)試験結果 この試験の結果を表1に示す。表1から明らかなとお
り、本発明の結合剤を使用した本発明の造粒品(試料
1)は、従来の結合剤を使用した造粒品(試料2〜5)
に比較して、ラクトフェリンの未変性率、付着率、及び
食感のいずれにおいても優れていることが判明した。
尚、結合剤及び製品原料の成分であるラクトフェリンの
種類を種々変更して試験したところ、ほぼ同様の結果が
得られた。また、前記各試料の造粒品を使用して、実施
例4と同様の方法により調製した錠剤についても、食感
において、前記各試料の造粒品の結果とほぼ同様の結果
が得られた。更に、原料成分のラクトフェリンを他の生
理活性物質に変更して試験したところ、付着率及び食感
において、ほぼ同様の結果が得られた。
【0020】
【表1】
【0021】試験例2 この試験では、pHによる影響を受ける原料成分の代表
例であるラクトフェリンの未変性率を指標として、ラク
トフェリン類を含有する水溶液(結合剤)のpH条件を
調べた。 (1)試料の調製 ラクトフェリンを含有する水溶液のpHを、それぞれ表
2に示すとおり変更したことを除き、実施例1と同一の
方法により調製した本発明の結合剤を使用し、実施例2
と同一の方法により調製した4種類の造粒品(試料6〜
9)を調製した。 (2)試験方法 各試料のラクトフェリンの未変性率を、前記試験例1に
記載した試験方法により各試料毎に5回測定し、その平
均値を算出して評価した。 (3)試験結果 この試験の結果を表2に示す。表2から明らかなとお
り、原料成分であるラクトフェリンの高い未変性率を維
持するには、結合剤としてのラクトフェリンを含有する
水溶液のpHが5以下であることが望ましいことが判明
した。尚、結合剤及び製品原料の成分であるラクトフェ
リンの種類を種々変更して同様に試験したところ、ほぼ
同様の結果が得られた。また、原料成分のラクトフェリ
ンをpHによる影響を受ける他の生理活性物質に変更し
て同様に試験したところ、生理活性物質の未変性率につ
いて、ほぼ同様の結果が得られた。
【0022】
【表2】
【0023】
【実施例】次に、参考例及び実施例を示して本発明を更
に詳細に説明するが、本発明は以下の例によって何ら限
定されるものではない。 参考例 本参考例では、ウシラクトフェリンの分離、精製方法の
具体的な一例を説明する。CM−セファロースFF(ア
マシャムファルマシア社製)をカラムに充填し、塩酸を
通液し、水洗し、イオン交換体を平衡化し、4℃に冷却
したpH6.9の脱脂牛乳をカラムに通液し、透過液を
回収し、再度、同様にカラムに通液した。次いで、蒸留
水をカラムに通液し、食塩水を通液し、イオン交換体に
吸着した塩基性蛋白質の溶出液を得た。この溶液に飽和
度80%で硫酸アンモニウムを添加し、タンパク質を沈
殿させ、遠心分離して沈殿を回収し、飽和度80%の硫
酸アンモニウム溶液で洗浄し、脱イオン水を添加して溶
解し、得られた溶液を限外濾過膜モジュール(例えば、
旭化成社製のSLP0053等)を用いて限外濾過した
後、水を添加し、同装置を用いてダイアフィルトレーシ
ョンを行い、脱塩し、凍結乾燥し、粉末状ウシラクトフ
ェリンを得た。以上の方法により得られたウシラクトフ
ェリンは、その純度を、電気泳動法により測定した結
果、95%以上の純度を有していた。
【0024】実施例1 ウシラクトフェリン粉末(ミライ社製)6kgを蒸留水
34kgに溶解し、クエン酸(三栄源エフ・エフ・アイ
社製)の10%水溶液を使用して、前記溶液のpHを
4.0に調整し、蒸留水を添加して全量を50kgに調
整し、12%の濃度でウシラクトフェリンを含有する水
溶液(pH4.0)からなる結合剤約50kgを得た。
【0025】実施例2 原料成分としてウシラクトフェリン粉末(ミライ社製。
300ミクロン以下)80kgを流動層造粒機(大川原
製作所社製)に投入し、60℃の熱風を吹き込み流動化
し、前記実施例1の結合剤をウシラクトフェリン粉末に
対して20%の噴霧量で噴霧した。噴霧後、継続して通
気流動化しながら乾燥し、ウシラクトフェリンを約10
0%含有する造粒品(顆粒)約79kgを得た。得られ
た造粒品(顆粒)を前記試験方法により試験した結果、
ラクトフェリンの未変性率は98%であり、付着率は1
2%と少なく、歯への付着性が少なく食感は良好であっ
た。
【0026】実施例3 ウシラクトフェリン粉末(ミライ社製)15kgを蒸留
水50kgに溶解し、酢酸(三栄源エフ・エフ・アイ社
製)の10%水溶液を使用して、前記溶液のpHを4.
5に調整し、蒸留水を添加して全量を100kgに調整
し、15%の濃度でウシラクトフェリンを含有する水溶
液(pH4.5)からなる結合剤約100kgを得た。
【0027】実施例4 原料成分としてウシラクトフェリン粉末(ミライ社製。
300ミクロン以下)160kgを流動層造粒機(大川
原製作所社製)に投入し、60℃の熱風を吹き込み流動
化し、前記実施例3の結合剤をウシラクトフェリン粉末
に対して25%の噴霧量で噴霧した。噴霧後、継続して
通気流動化しながら乾燥し、ウシラクトフェリンを約1
00%含有する造粒品(顆粒)約160kgを得た。前
記ウシラクトフェリン造粒品(顆粒)100kg、ラク
チュロース粉末(森永乳業社製)94kg、及びグリセ
リン脂肪酸エステル粉末(理研ビタミン社製)6kgを
均一に混合し、打錠機(畑鉄工所社製)の臼中に0.5
gずつ充填し、杵で、800錠/分の打錠速度、1t/
2 の圧力で前記混合粉末を連続的に圧縮成型(打錠)
し、ウシラクトフェリンを約50%含有する錠剤1錠当
り0.5gの三角錠剤39万錠を得た。得られた錠剤を
前記試験方法により試験した結果、歯への付着性が少な
く食感は良好であった。
【0028】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明は、原料成
分に添加して特定形態の製品を製造するために使用され
る結合剤であって、その構成成分としてラクトフェリン
類を含有することを特徴とする結合剤、その結合剤を使
用した造粒品、錠剤、及びそれらの製造方法に関するも
のであり、本発明により、1)歯への付着性が少ない造
粒品又は錠剤の製造が可能となる、2)造粒品又は錠剤
の原料成分としてラクトフェリン類を使用した場合に、
製品の製造時にラクトフェリン以外の他の素材が混入し
ないので、高純度のラクトフェリン製品の製造が可能と
なる、3)造粒品又は錠剤の原料成分としてラクトフェ
リン類を使用した場合に、原料成分のラクトフェリン類
の変性が少ない造粒品又は錠剤の製造が可能となる、と
いう格別の効果が奏される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 祐三 神奈川県座間市東原五丁目1番83号 森永 乳業株式会社食品総合研究所内 (72)発明者 飯山 百合子 神奈川県座間市東原五丁目1番83号 森永 乳業株式会社食品総合研究所内 Fターム(参考) 4B035 LC03 LE01 LG15 LK09 LP24 LP36 4B048 PE02 PE10 PL02 PL08 PN02 PS01 PS18 4C076 AA36 BB01 DD46 DD67 EE41 FF05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料成分に添加して特定形態の製品を製
    造するために使用される結合剤であって、その構成成分
    としてラクトフェリン類を含有することを特徴とする結
    合剤。
  2. 【請求項2】 ラクトフェリン類が、ラクトフェリン類
    を含有する水溶液である請求項1に記載の結合剤。
  3. 【請求項3】 ラクトフェリン類を含有する水溶液が、
    pH5以下の水溶液である請求項2に記載の結合剤。
  4. 【請求項4】 原料成分に、請求項1から請求項3のい
    ずれか1項に記載の結合剤を添加して、常法により造粒
    してなる造粒品。
  5. 【請求項5】 原料成分として、ラクトフェリン類を少
    なくとも30%(重量)配合する請求項4に記載の造粒
    品。
  6. 【請求項6】 請求項4又は請求項5に記載の造粒品
    を、常法により圧縮成型してなる錠剤。
  7. 【請求項7】 原料成分として、ラクトフェリン類を少
    なくとも30%(重量)配合する請求項6に記載の錠
    剤。
  8. 【請求項8】 原料成分の粉末を混合し、ラクトフェリ
    ン類を含有する結合剤を添加し、造粒し、乾燥すること
    を特徴とする造粒品の製造方法。
  9. 【請求項9】 原料成分の粉末を、通風により流動化
    し、ラクトフェリン類を含有する結合剤を噴霧し、造粒
    し、乾燥することを特徴とする造粒品の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項8又は請求項9に記載の製造方
    法により製造される造粒品を、臼中に充填し、杵で圧縮
    成型することを特徴とする錠剤の製造方法。
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