JP2001348224A - リチウム・マンガン複合酸化物及びその製造方法並びにそれを用いてなるリチウム電池 - Google Patents
リチウム・マンガン複合酸化物及びその製造方法並びにそれを用いてなるリチウム電池Info
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- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】リチウム電池に好適な高温特性が優れ、且つ充
放電容量の高い被着処理されたリチウム・マンガン複合
酸化物及びそれを工業的、経済的に有利に製造する方法
を提供する。 【解決手段】本発明は、表面に被覆層を有するリチウム
・マンガン複合酸化物であって、前記被覆層がCo、F
e及びNiからなる群から選ばれる少なくとも一種の金
属元素とMnとを含み、リチウム・マンガン複合酸化物
に含まれる結晶と同形の結晶構造を有することを特徴と
するリチウム・マンガン複合酸化物に関する。
放電容量の高い被着処理されたリチウム・マンガン複合
酸化物及びそれを工業的、経済的に有利に製造する方法
を提供する。 【解決手段】本発明は、表面に被覆層を有するリチウム
・マンガン複合酸化物であって、前記被覆層がCo、F
e及びNiからなる群から選ばれる少なくとも一種の金
属元素とMnとを含み、リチウム・マンガン複合酸化物
に含まれる結晶と同形の結晶構造を有することを特徴と
するリチウム・マンガン複合酸化物に関する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム電池の正
極材料などに有用な化合物であるリチウム・マンガン複
合酸化物、及びその製造方法、並びにそれを用いてなる
リチウム電池に関する。
極材料などに有用な化合物であるリチウム・マンガン複
合酸化物、及びその製造方法、並びにそれを用いてなる
リチウム電池に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウム二次電池は高電圧で、充放電サ
イクル特性に優れ、且つ軽量、小型であるため、近年急
速に普及してきており、特に4V級の高起電力のものが
求められている。このようなリチウム二次電池としてコ
バルトまたはニッケルとリチウムとの複合酸化物を正極
活物質として用いたものが知られているが、コバルトや
ニッケルは高価であり、また将来的な資源の枯渇が問題
とされている。
イクル特性に優れ、且つ軽量、小型であるため、近年急
速に普及してきており、特に4V級の高起電力のものが
求められている。このようなリチウム二次電池としてコ
バルトまたはニッケルとリチウムとの複合酸化物を正極
活物質として用いたものが知られているが、コバルトや
ニッケルは高価であり、また将来的な資源の枯渇が問題
とされている。
【0003】マンガンとリチウムとの複合酸化物である
化学式LiMn2O4などで表されるスピネル型の結晶
構造を有するマンガン酸リチウムは、4V級のリチウム
二次電池の正極活物質として有用であり、また原料とな
るマンガンが安価で資源的に豊富であるので、コバルト
酸リチウムやニッケル酸リチウムに替わるものとして有
望である。
化学式LiMn2O4などで表されるスピネル型の結晶
構造を有するマンガン酸リチウムは、4V級のリチウム
二次電池の正極活物質として有用であり、また原料とな
るマンガンが安価で資源的に豊富であるので、コバルト
酸リチウムやニッケル酸リチウムに替わるものとして有
望である。
【0004】前記の化学式で表されるマンガン酸リチウ
ムは化学量論組成であり、これを正極活物質として用い
た4V級のリチウム電池は148mAh/gの理論容量
を有する。しかし、このようなマンガン酸リチウムを用
いるリチウム二次電池は、特に高温下でのサイクル特性
及び保存特性が充分ではなく、例えば50℃以上では、
充放電を繰り返すと電池容量が大幅に減少し、保存中の
経時的な電池容量の低下も著しく、高温での特性に優れ
たマンガン酸リチウムが求められていた。
ムは化学量論組成であり、これを正極活物質として用い
た4V級のリチウム電池は148mAh/gの理論容量
を有する。しかし、このようなマンガン酸リチウムを用
いるリチウム二次電池は、特に高温下でのサイクル特性
及び保存特性が充分ではなく、例えば50℃以上では、
充放電を繰り返すと電池容量が大幅に減少し、保存中の
経時的な電池容量の低下も著しく、高温での特性に優れ
たマンガン酸リチウムが求められていた。
【0005】従来より、マンガン酸リチウム粒子の表面
に異種の金属化合物を被着することで、サイクル特性や
保存特性を改良する方法が知られており、特開平10−
116615号公報には、pHを9に調整することで遷
移金属化合物を水溶液中でリチウムマンガン酸化物に沈
析させた後、真空中で150℃以下で乾燥、脱水する方
法が開示されている。しかし、この方法では遷移金属化
合物がリチウムマンガン酸化物の表面への密着性が悪
く、高温特性の改良効果は不十分であった。特開200
0−169152号公報には、アルカリ水溶液中でリチ
ウム・マンガン複合酸化物粒子粉末とコバルト化合物と
を20〜100℃で酸化反応させ、リチウム・マンガン
複合酸化物上にコバルト酸化物をエピタキシャル成長さ
せたコバルト被着型リチウム・マンガン複合酸化物が開
示されているが、充放電容量が低下するという問題があ
った。
に異種の金属化合物を被着することで、サイクル特性や
保存特性を改良する方法が知られており、特開平10−
116615号公報には、pHを9に調整することで遷
移金属化合物を水溶液中でリチウムマンガン酸化物に沈
析させた後、真空中で150℃以下で乾燥、脱水する方
法が開示されている。しかし、この方法では遷移金属化
合物がリチウムマンガン酸化物の表面への密着性が悪
く、高温特性の改良効果は不十分であった。特開200
0−169152号公報には、アルカリ水溶液中でリチ
ウム・マンガン複合酸化物粒子粉末とコバルト化合物と
を20〜100℃で酸化反応させ、リチウム・マンガン
複合酸化物上にコバルト酸化物をエピタキシャル成長さ
せたコバルト被着型リチウム・マンガン複合酸化物が開
示されているが、充放電容量が低下するという問題があ
った。
【0006】
【発明が解決しようとする問題点】本発明は以上に述べ
た従来技術の問題点を克服し、リチウム電池に好適な高
温特性が優れ、且つ充放電容量の高い被着処理されたリ
チウム・マンガン複合酸化物及びそれを工業的、経済的
に有利に製造する方法を提供するものである。
た従来技術の問題点を克服し、リチウム電池に好適な高
温特性が優れ、且つ充放電容量の高い被着処理されたリ
チウム・マンガン複合酸化物及びそれを工業的、経済的
に有利に製造する方法を提供するものである。
【0007】本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、リチ
ウム・マンガン複合酸化物の表面にこれと同形の結晶構
造を有する結晶性の被覆層を被着し、この被覆層が少な
くとも特定の元素とマンガンとを含んでいれば、常温下
ばかりでなく、高温下でもサイクル特性及び保存性に優
れ、且つ充放電容量が低下しないことを見出した。
ウム・マンガン複合酸化物の表面にこれと同形の結晶構
造を有する結晶性の被覆層を被着し、この被覆層が少な
くとも特定の元素とマンガンとを含んでいれば、常温下
ばかりでなく、高温下でもサイクル特性及び保存性に優
れ、且つ充放電容量が低下しないことを見出した。
【0008】すなわち本発明は、表面に被覆層を有する
リチウム・マンガン複合酸化物であって、前記被覆層が
Co、Fe及びNiからなる群から選ばれる少なくとも
一種の金属元素とMnとを含み、リチウム・マンガン複
合酸化物に含まれる結晶と同形の結晶構造を有すること
を特徴とするリチウム・マンガン複合酸化物、及びその
製造方法、並びにそれを用いたリチウム・マンガン複合
酸化物を用いてなるリチウム電池に関する。
リチウム・マンガン複合酸化物であって、前記被覆層が
Co、Fe及びNiからなる群から選ばれる少なくとも
一種の金属元素とMnとを含み、リチウム・マンガン複
合酸化物に含まれる結晶と同形の結晶構造を有すること
を特徴とするリチウム・マンガン複合酸化物、及びその
製造方法、並びにそれを用いたリチウム・マンガン複合
酸化物を用いてなるリチウム電池に関する。
【0009】
【発明実施の形態】本発明のリチウム・マンガン複合酸
化物は、Co、Fe及びNiからなる群から選ばれる少
なくとも一種の金属元素とMnとを少なくとも含む被覆
層が表面に被着されたもので、この被覆層は結晶性でリ
チウム・マンガン複合酸化物と同じ結晶形を有してい
る。このものは、高温特性が優れるばかりでなく、充放
電容量がほとんど低下せずリチウム・マンガン複合酸化
物本来の良好な電池特性を有している。その理由につい
ては必ずしも明確ではないが、一般的にサイクル特性や
保存特性が低下するのは、マンガンイオンがリチウム・
マンガン複合酸化物と電解液との接触界面から溶出する
ためであり、特に高温度下ではこの現象が著しくなるか
らである言われている。本発明では被覆層とリチウム・
マンガン複合酸化物の格子定数にほとんど差が無く、こ
れらが連続的な構造の結晶となるので密着性が優れ、リ
チウム・マンガン複合酸化物の表面が十分に保護されて
いると考えられる。一方、被覆層によって表面が覆われ
ていても、被覆層中に前記金属元素とMnとが含まれる
ことにより、リチウムイオンの挿入・脱離が阻害され難
く、充放電容量が低下しないのではないかと推測され
る。
化物は、Co、Fe及びNiからなる群から選ばれる少
なくとも一種の金属元素とMnとを少なくとも含む被覆
層が表面に被着されたもので、この被覆層は結晶性でリ
チウム・マンガン複合酸化物と同じ結晶形を有してい
る。このものは、高温特性が優れるばかりでなく、充放
電容量がほとんど低下せずリチウム・マンガン複合酸化
物本来の良好な電池特性を有している。その理由につい
ては必ずしも明確ではないが、一般的にサイクル特性や
保存特性が低下するのは、マンガンイオンがリチウム・
マンガン複合酸化物と電解液との接触界面から溶出する
ためであり、特に高温度下ではこの現象が著しくなるか
らである言われている。本発明では被覆層とリチウム・
マンガン複合酸化物の格子定数にほとんど差が無く、こ
れらが連続的な構造の結晶となるので密着性が優れ、リ
チウム・マンガン複合酸化物の表面が十分に保護されて
いると考えられる。一方、被覆層によって表面が覆われ
ていても、被覆層中に前記金属元素とMnとが含まれる
ことにより、リチウムイオンの挿入・脱離が阻害され難
く、充放電容量が低下しないのではないかと推測され
る。
【0010】本発明では被覆層の組成は均一である必要
は無く、例えば被覆層中のMnに濃度勾配があっても、
あるいはMnがランダムに存在していても良い。前記金
属元素は酸化物等の化合物として被覆層に含まれていて
も良く、またMnは酸化物等の単独の化合物、あるいは
前記金属元素との複合酸化物等の複合化合物として含ま
れていても良く、特に制限は無い。被覆層の結晶形はリ
チウム・マンガン複合酸化物と同形であれば特に制限は
無いが、後述のようにリチウム・マンガン複合酸化物と
してはスピネル型のものが好ましいので、これと同じス
ピネル型であるのが好ましい。なお、本発明の目的を害
さない範囲で非晶質や結晶形の異なる部分を製造上の不
純物として少量、好ましくは5%以下含んでいてもよ
い。被覆層に含まれる金属元素の被着量は、リチウム・
マンガン複合酸化物及び被覆層中のMnの総量に対し
0.05〜20原子%で、被着量が0.05原子%より
低いと所望の効果が得られず、より好ましい範囲は0.
1〜10原子%であり、さらに好ましくは0.1〜5原
子%である。また、被覆層中に含まれるMnの量は、C
o、Fe、Niの総量に対し0.1〜50原子%であ
る。Co、Fe、Niは前記のように少なくとも1種が
用いられていれば良く、2種または3種を併用して処理
しても構わないが、その中でもCoは特に効果が高い。
被覆層中にはCo、Fe、Ni及びMn以外の元素を、
様々な目的に応じて適宜含ませることができる。そのよ
うな元素としてMg、Ca、V、Cu、Zn、Li等が
挙げられ、これらの元素が被覆層中に含まれる量は、例
えばCo、Fe、Niの総量に対し0.05〜50原子
%である。
は無く、例えば被覆層中のMnに濃度勾配があっても、
あるいはMnがランダムに存在していても良い。前記金
属元素は酸化物等の化合物として被覆層に含まれていて
も良く、またMnは酸化物等の単独の化合物、あるいは
前記金属元素との複合酸化物等の複合化合物として含ま
れていても良く、特に制限は無い。被覆層の結晶形はリ
チウム・マンガン複合酸化物と同形であれば特に制限は
無いが、後述のようにリチウム・マンガン複合酸化物と
してはスピネル型のものが好ましいので、これと同じス
ピネル型であるのが好ましい。なお、本発明の目的を害
さない範囲で非晶質や結晶形の異なる部分を製造上の不
純物として少量、好ましくは5%以下含んでいてもよ
い。被覆層に含まれる金属元素の被着量は、リチウム・
マンガン複合酸化物及び被覆層中のMnの総量に対し
0.05〜20原子%で、被着量が0.05原子%より
低いと所望の効果が得られず、より好ましい範囲は0.
1〜10原子%であり、さらに好ましくは0.1〜5原
子%である。また、被覆層中に含まれるMnの量は、C
o、Fe、Niの総量に対し0.1〜50原子%であ
る。Co、Fe、Niは前記のように少なくとも1種が
用いられていれば良く、2種または3種を併用して処理
しても構わないが、その中でもCoは特に効果が高い。
被覆層中にはCo、Fe、Ni及びMn以外の元素を、
様々な目的に応じて適宜含ませることができる。そのよ
うな元素としてMg、Ca、V、Cu、Zn、Li等が
挙げられ、これらの元素が被覆層中に含まれる量は、例
えばCo、Fe、Niの総量に対し0.05〜50原子
%である。
【0011】このような被覆層は、前記金属元素を含む
化合物及びMnを含む化合物と塩基性化合物とを反応さ
せて、リチウム・マンガン複合酸化物に被着させても良
い。しかし、本発明の製造方法ではフリー水酸イオンが
0.0001モル/リットル以上の強アルカリ性下で、
前記被覆層を被着させる。また、本発明の製造方法で
は、リチウム・マンガン複合酸化物を含むスラリー中
に、Co、Fe及びNiからなる群から選ばれる少なく
とも一種の金属元素を含む化合物と塩基性化合物とをフ
リー水酸イオン濃度が0.0001モル/リットル以上
になるように添加し反応させる工程により、前記金属元
素の少なくとも一種を含む、好ましくは前記金属元素の
少なくとも一種とMnを含む被覆層を被着させる。いず
れの方法も、具体的には先ずリチウム・マンガン複合酸
化物を有機溶媒などの媒液中に、好ましくは水中に均一
に分散させ、これを含有するスラリーを調製する。リチ
ウム・マンガン複合酸化物粒子の焼結や凝集の程度に応
じ、ラインミル、サンドミル、ボールミルなどの分散機
を用いて公知の方法により適宜湿式粉砕や整粒を行って
もよい。
化合物及びMnを含む化合物と塩基性化合物とを反応さ
せて、リチウム・マンガン複合酸化物に被着させても良
い。しかし、本発明の製造方法ではフリー水酸イオンが
0.0001モル/リットル以上の強アルカリ性下で、
前記被覆層を被着させる。また、本発明の製造方法で
は、リチウム・マンガン複合酸化物を含むスラリー中
に、Co、Fe及びNiからなる群から選ばれる少なく
とも一種の金属元素を含む化合物と塩基性化合物とをフ
リー水酸イオン濃度が0.0001モル/リットル以上
になるように添加し反応させる工程により、前記金属元
素の少なくとも一種を含む、好ましくは前記金属元素の
少なくとも一種とMnを含む被覆層を被着させる。いず
れの方法も、具体的には先ずリチウム・マンガン複合酸
化物を有機溶媒などの媒液中に、好ましくは水中に均一
に分散させ、これを含有するスラリーを調製する。リチ
ウム・マンガン複合酸化物粒子の焼結や凝集の程度に応
じ、ラインミル、サンドミル、ボールミルなどの分散機
を用いて公知の方法により適宜湿式粉砕や整粒を行って
もよい。
【0012】次いで、前記のスラリーにCo、Fe及び
Niからなる群から選ばれる1種の金属元素を含む化合
物の溶液と塩基性化合物とを、スラリー中のフリー水酸
イオンの濃度が0.0001モル/リットル以上になる
ように添加し反応させると、前記の被覆層がその表面に
被着される。添加する金属元素の化合物としては、塩化
物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩などの塩類、ある
いは水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物などが、塩基性
化合物にはアルカリ金属の水酸化物や炭酸塩などを用い
ることができる。これらの化合物の添加方法としては、
塩基性化合物を先に添加した後金属化合物の溶液を添加
するか、両者を同時に添加する方法がいずれも均一に被
着されるので好ましい。
Niからなる群から選ばれる1種の金属元素を含む化合
物の溶液と塩基性化合物とを、スラリー中のフリー水酸
イオンの濃度が0.0001モル/リットル以上になる
ように添加し反応させると、前記の被覆層がその表面に
被着される。添加する金属元素の化合物としては、塩化
物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩などの塩類、ある
いは水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物などが、塩基性
化合物にはアルカリ金属の水酸化物や炭酸塩などを用い
ることができる。これらの化合物の添加方法としては、
塩基性化合物を先に添加した後金属化合物の溶液を添加
するか、両者を同時に添加する方法がいずれも均一に被
着されるので好ましい。
【0013】Co、Fe、Niの塩は塩基性化合物と反
応して水酸化物、オキシ水酸化物あるいは酸化物として
析出し、フリー水酸イオン濃度が0.0001モル/リ
ットル以上になるとこれらの錯体化が進む。あるいは、
前記金属元素の水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物をス
ラリー中に添加した場合も、0.0001モル/リット
ル以上のフリー水酸イオンの存在下では錯体化する。以
上のことから、本方法により前記被覆層が被着されるの
は、(1)前記錯体がリチウム・マンガン複合酸化物中
のマンガンの一部と反応しながら、表面に結晶性の被覆
層を生成させる、(2)前記錯体が結晶性の被覆層を生
成させた後、リチウム・マンガン複合酸化物中のマンガ
ンの一部が被覆層へ拡散する、(3)強アルカリ性下で
リチウム・マンガン複合酸化物からマンガンの一部が溶
出し、マンガンと前記錯体が反応して更に錯体を形成
し、結晶性の被覆層を生成させる等ではないかと推測さ
れる。従って、被着処理の際に、アンモニア、EDTA
などの錯化剤を添加しても良い。
応して水酸化物、オキシ水酸化物あるいは酸化物として
析出し、フリー水酸イオン濃度が0.0001モル/リ
ットル以上になるとこれらの錯体化が進む。あるいは、
前記金属元素の水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物をス
ラリー中に添加した場合も、0.0001モル/リット
ル以上のフリー水酸イオンの存在下では錯体化する。以
上のことから、本方法により前記被覆層が被着されるの
は、(1)前記錯体がリチウム・マンガン複合酸化物中
のマンガンの一部と反応しながら、表面に結晶性の被覆
層を生成させる、(2)前記錯体が結晶性の被覆層を生
成させた後、リチウム・マンガン複合酸化物中のマンガ
ンの一部が被覆層へ拡散する、(3)強アルカリ性下で
リチウム・マンガン複合酸化物からマンガンの一部が溶
出し、マンガンと前記錯体が反応して更に錯体を形成
し、結晶性の被覆層を生成させる等ではないかと推測さ
れる。従って、被着処理の際に、アンモニア、EDTA
などの錯化剤を添加しても良い。
【0014】被着処理は、通常25〜200℃の温度で
0.5〜20時間で行うことができ、フリー水酸イオン
濃度などの反応条件によって適宜設定できる。被着処理
の雰囲気には特に制限は無いが、スラリー中に窒素等の
不活性気体を吹き込むなどして非酸化性雰囲気で被着す
ると、添加した前記金属元素の化合物が反応する前に酸
化されず、反応が進みやすいので好ましい。
0.5〜20時間で行うことができ、フリー水酸イオン
濃度などの反応条件によって適宜設定できる。被着処理
の雰囲気には特に制限は無いが、スラリー中に窒素等の
不活性気体を吹き込むなどして非酸化性雰囲気で被着す
ると、添加した前記金属元素の化合物が反応する前に酸
化されず、反応が進みやすいので好ましい。
【0015】尚、本発明でいうフリー水酸イオンとは、
所定量の金属化合物及び塩基性化合物の添加が終了した
後、スラリー中に存在する水酸イオンを言う。フリー水
酸イオン濃度が0.0001モル/リットルより低い
と、金属化合物の被覆層の形成が充分ではなく、良好な
高温特性を得られない。フリー水酸イオン濃度を高くす
ると、短時間で本発明が目的とする被覆層を形成するこ
とができるが、5モル/リットル以上ではその効果は飽
和するので、工業的に有利ではなく、フリー水酸イオン
濃度の範囲としては0.0001〜5モル/リットルで
あり、0.001〜3モル/リットルが好ましく、0.
01〜2モル/リットルがさらに好ましい。
所定量の金属化合物及び塩基性化合物の添加が終了した
後、スラリー中に存在する水酸イオンを言う。フリー水
酸イオン濃度が0.0001モル/リットルより低い
と、金属化合物の被覆層の形成が充分ではなく、良好な
高温特性を得られない。フリー水酸イオン濃度を高くす
ると、短時間で本発明が目的とする被覆層を形成するこ
とができるが、5モル/リットル以上ではその効果は飽
和するので、工業的に有利ではなく、フリー水酸イオン
濃度の範囲としては0.0001〜5モル/リットルで
あり、0.001〜3モル/リットルが好ましく、0.
01〜2モル/リットルがさらに好ましい。
【0016】本方法で被着処理を行うと、リチウム・マ
ンガン複合酸化物が部分的に還元される場合があり、こ
れは電池特性上好ましくないので、被着後はスラリー中
または大気中等で酸化するのが好ましい。その後はろ
過、水洗を適宜行い、50〜200℃、好ましくは90
〜150℃で乾燥する。乾燥は大気中などの酸化性雰囲
気、あるいは窒素などの非酸化性雰囲気のいずれで行っ
ても良い。50℃以下であると乾燥速度が遅く工業的に
有利でなく、また200℃以上では被覆層が構造変化
し、本発明の被覆層が得られない。乾燥後の被着処理さ
れたリチウム・マンガン複合酸化物は、その凝集状態に
応じて粉砕を行っても良い。
ンガン複合酸化物が部分的に還元される場合があり、こ
れは電池特性上好ましくないので、被着後はスラリー中
または大気中等で酸化するのが好ましい。その後はろ
過、水洗を適宜行い、50〜200℃、好ましくは90
〜150℃で乾燥する。乾燥は大気中などの酸化性雰囲
気、あるいは窒素などの非酸化性雰囲気のいずれで行っ
ても良い。50℃以下であると乾燥速度が遅く工業的に
有利でなく、また200℃以上では被覆層が構造変化
し、本発明の被覆層が得られない。乾燥後の被着処理さ
れたリチウム・マンガン複合酸化物は、その凝集状態に
応じて粉砕を行っても良い。
【0017】本発明で用いるリチウム・マンガン複合酸
化物は、一般式LixMnyO4またはLi1+xMyMn
2-x-yO4(MはFe、Cr、Co、Ni、Al、Mg、
Ca、B、Zn、V、Nb、Mo、Ti、Zr、Ga及
びInからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元
素)で表される化合物であって、式中のX、Yの値が
(1+X)/(2−X−Y)で表して0.3〜1.5の
範囲が好ましい組成物である。特に一般式LiMn2O
4や、Li4/3Mn5/3O4などで表されるスピネル型の
結晶構造を有するものが好ましく、リチウム・マンガン
複合酸化物の単一相であっても、リチウム・マンガン複
合酸化物とマンガン酸化物の混合物であってもよい。
化物は、一般式LixMnyO4またはLi1+xMyMn
2-x-yO4(MはFe、Cr、Co、Ni、Al、Mg、
Ca、B、Zn、V、Nb、Mo、Ti、Zr、Ga及
びInからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元
素)で表される化合物であって、式中のX、Yの値が
(1+X)/(2−X−Y)で表して0.3〜1.5の
範囲が好ましい組成物である。特に一般式LiMn2O
4や、Li4/3Mn5/3O4などで表されるスピネル型の
結晶構造を有するものが好ましく、リチウム・マンガン
複合酸化物の単一相であっても、リチウム・マンガン複
合酸化物とマンガン酸化物の混合物であってもよい。
【0018】このようなリチウム・マンガン複合酸化物
の製造方法には特に制限は無く、マンガン酸化物とリチ
ウム化合物を混合した後加熱焼成しても、マンガン酸化
物、酸と反応させたマンガン酸化物またはマンガン酸の
1種とリチウム化合物とを水などの媒液中で反応させ、
得られたリチウム・マンガン複合酸化物の前駆体を加熱
焼成してもよい。しかし、後者の方法は結晶性の優れた
リチウム・マンガン複合酸化物が得られるので好まし
く、予め酸と反応させたマンガン酸化物やマンガン酸は
リチウム化合物との反応性が良いので、これを用いると
さらに好ましい。
の製造方法には特に制限は無く、マンガン酸化物とリチ
ウム化合物を混合した後加熱焼成しても、マンガン酸化
物、酸と反応させたマンガン酸化物またはマンガン酸の
1種とリチウム化合物とを水などの媒液中で反応させ、
得られたリチウム・マンガン複合酸化物の前駆体を加熱
焼成してもよい。しかし、後者の方法は結晶性の優れた
リチウム・マンガン複合酸化物が得られるので好まし
く、予め酸と反応させたマンガン酸化物やマンガン酸は
リチウム化合物との反応性が良いので、これを用いると
さらに好ましい。
【0019】また、平均粒子径が0.1〜50μmの大
粒子径のものを用いれば、最終的に得られる被着処理さ
れたリチウム・マンガン複合酸化物は、正極活物質とし
て充填性に優れているので好ましい。このような大粒子
径のものは、例えばリチウム・マンガン複合酸化物を焼
結させて粒子成長させても良いが、マンガン酸化物をシ
ード(核晶、種結晶のこと以下シードという)として、
これを媒液中で粒子成長させた後、リチウム化合物と反
応させると結晶性が良く、粒子径や粒度分布が整ったも
のが得られるので好ましい。
粒子径のものを用いれば、最終的に得られる被着処理さ
れたリチウム・マンガン複合酸化物は、正極活物質とし
て充填性に優れているので好ましい。このような大粒子
径のものは、例えばリチウム・マンガン複合酸化物を焼
結させて粒子成長させても良いが、マンガン酸化物をシ
ード(核晶、種結晶のこと以下シードという)として、
これを媒液中で粒子成長させた後、リチウム化合物と反
応させると結晶性が良く、粒子径や粒度分布が整ったも
のが得られるので好ましい。
【0020】次に本発明は前記のリチウム・マンガン複
合酸化物を正極活物質として用いてなるリチウム電池で
ある。本発明でいうリチウム電池とは、負極にリチウム
金属を用いた一次電池、及び負極にリチウム金属を用い
た充電可能な二次電池、負極に炭素材料、スズ化合物、
チタン酸リチウムなどを用いた充電可能なリチウムイオ
ン二次電池のことをいう。本発明のリチウム・マンガン
複合酸化物は表面に特定の被覆層が被着されているの
で、これをリチウム二次電池の正極活物質として用る
と、特に50℃のような高温度下で、充放電時にマンガ
ンイオンの溶出が起こり難く、サイクル特性や保存特性
にも優れるばかりでなく、充放電容量の大きいものにも
なる。
合酸化物を正極活物質として用いてなるリチウム電池で
ある。本発明でいうリチウム電池とは、負極にリチウム
金属を用いた一次電池、及び負極にリチウム金属を用い
た充電可能な二次電池、負極に炭素材料、スズ化合物、
チタン酸リチウムなどを用いた充電可能なリチウムイオ
ン二次電池のことをいう。本発明のリチウム・マンガン
複合酸化物は表面に特定の被覆層が被着されているの
で、これをリチウム二次電池の正極活物質として用る
と、特に50℃のような高温度下で、充放電時にマンガ
ンイオンの溶出が起こり難く、サイクル特性や保存特性
にも優れるばかりでなく、充放電容量の大きいものにも
なる。
【0021】リチウム電池用正極は、コイン型電池用と
する場合には、本発明のリチウム・マンガン複合酸化物
粉体に、アセチレンブラックや、カーボン、グラファイ
ト粉末などの炭素系導電剤や、ポリ四フッ化エチレン樹
脂や、ポリビニリデンフルオライド樹脂などの結着剤を
添加、混練し、成型して得ることができる。さらに、円
筒型、あるいは角型電池用とする場合には、本発明のリ
チウム・マンガン複合酸化物粉体に、これらの添加物以
外にN―メチルピロリドンなどの有機溶剤も添加し、混
練してペースト状とし、アルミニウム箔のような金属集
電体上に塗布し、乾燥して得ることができる。
する場合には、本発明のリチウム・マンガン複合酸化物
粉体に、アセチレンブラックや、カーボン、グラファイ
ト粉末などの炭素系導電剤や、ポリ四フッ化エチレン樹
脂や、ポリビニリデンフルオライド樹脂などの結着剤を
添加、混練し、成型して得ることができる。さらに、円
筒型、あるいは角型電池用とする場合には、本発明のリ
チウム・マンガン複合酸化物粉体に、これらの添加物以
外にN―メチルピロリドンなどの有機溶剤も添加し、混
練してペースト状とし、アルミニウム箔のような金属集
電体上に塗布し、乾燥して得ることができる。
【0022】リチウム電池の電解液には、電気化学的に
安定な、すなわちリチウムイオン電池として作動する電
位範囲より広い範囲で、酸化、還元されることのない極
性有機溶媒に、リチウムイオンを溶解させたものを使用
することができる。極性有機溶媒としては、プロピレン
カーボネートやエチレンカーボネート、ジエチルカーボ
ネート、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、γ−
ブチルラクトンなどや、それらの混合液を用いることが
できる。リチウムイオン源となる溶質には、過塩素酸リ
チウムや六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ素酸リ
チウムなどを用いることができる。また電極間には多孔
性のポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルム
が、セパレータとして配置される。
安定な、すなわちリチウムイオン電池として作動する電
位範囲より広い範囲で、酸化、還元されることのない極
性有機溶媒に、リチウムイオンを溶解させたものを使用
することができる。極性有機溶媒としては、プロピレン
カーボネートやエチレンカーボネート、ジエチルカーボ
ネート、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、γ−
ブチルラクトンなどや、それらの混合液を用いることが
できる。リチウムイオン源となる溶質には、過塩素酸リ
チウムや六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ素酸リ
チウムなどを用いることができる。また電極間には多孔
性のポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルム
が、セパレータとして配置される。
【0023】電池の種類としては、ペレット状の正極と
負極の間にセパレータを置き、ポリプロピレン製のガス
ケットのついた封口缶に圧着し、電解液を注入し、密閉
したコイン型のものや、正極材料や負極材料を金属集電
体上に塗布し、セパレータをはさんで巻き取り、ガスケ
ットのついた電池缶に挿入し、電解液を注入し、封入し
た円筒型のものなどが挙げられる。また特に電気化学特
性を測定することを目的とした三極式の電池もある。こ
の電池は正極と負極以外に参照極も配置し、参照極に対
して他の電極の電位をコントロールすることにより、各
電極の電気化学的な特性を評価するものである。
負極の間にセパレータを置き、ポリプロピレン製のガス
ケットのついた封口缶に圧着し、電解液を注入し、密閉
したコイン型のものや、正極材料や負極材料を金属集電
体上に塗布し、セパレータをはさんで巻き取り、ガスケ
ットのついた電池缶に挿入し、電解液を注入し、封入し
た円筒型のものなどが挙げられる。また特に電気化学特
性を測定することを目的とした三極式の電池もある。こ
の電池は正極と負極以外に参照極も配置し、参照極に対
して他の電極の電位をコントロールすることにより、各
電極の電気化学的な特性を評価するものである。
【0024】リチウム・マンガン複合酸化物の正極材料
としての性能については、負極に金属リチウム等を用い
て二次電池を構成し、適当な電圧範囲を定電流で充放電
することにより、その容量を測定することができる。ま
た充放電を繰り返すことにより、容量の変化からそのサ
イクル特性の良否を判断することができる。
としての性能については、負極に金属リチウム等を用い
て二次電池を構成し、適当な電圧範囲を定電流で充放電
することにより、その容量を測定することができる。ま
た充放電を繰り返すことにより、容量の変化からそのサ
イクル特性の良否を判断することができる。
【0025】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。
れらの実施例に限定されるものではない。
【0026】実施例1 1.マンガン水酸化物の合成 8.37モル/リットルの水酸化ナトリウム溶液0.6
53リットルと、水0.419リットルをステンレス製
の反応容器に仕込んだ。この中に窒素ガスを2.5リッ
トル/分で吹き込みながら、硫酸マンガン(MnSO4
として88.06%含有)0.937kgを3.75k
gの水に溶解した溶液を攪拌しながら急速に添加し70
℃で中和した。その後、70℃で3時間熟成してマンガ
ンの水酸化物を得た。
53リットルと、水0.419リットルをステンレス製
の反応容器に仕込んだ。この中に窒素ガスを2.5リッ
トル/分で吹き込みながら、硫酸マンガン(MnSO4
として88.06%含有)0.937kgを3.75k
gの水に溶解した溶液を攪拌しながら急速に添加し70
℃で中和した。その後、70℃で3時間熟成してマンガ
ンの水酸化物を得た。
【0027】2.マンガン酸化物シードの合成 得られたマンガン水酸化物を含む溶液を攪拌しながら、
空気を2.5リットル/分で吹き込み70℃の温度で酸
化し、pHが6.4になった時点で酸化を終了させ、マ
ンガン酸化物シードを得た。
空気を2.5リットル/分で吹き込み70℃の温度で酸
化し、pHが6.4になった時点で酸化を終了させ、マ
ンガン酸化物シードを得た。
【0028】3.マンガン酸化物シードの成長 上記のマンガン酸化物シードを含む溶液を70℃に保
ち、硫酸マンガン(MnSO4として88.06%含
有)5.618kgを水21.28kgに溶解した水溶
液を添加した後、攪拌下で空気/窒素=1/1の混合ガ
スを2.5リットル/分で吹き込みながら、8.37モ
ル/リットルの水酸化ナトリウム4.567リットルを
64時間かけて添加し、中和、酸化させてマンガン酸化
物シードを成長させた後、濾過、水洗してマンガン酸化
物を得た。
ち、硫酸マンガン(MnSO4として88.06%含
有)5.618kgを水21.28kgに溶解した水溶
液を添加した後、攪拌下で空気/窒素=1/1の混合ガ
スを2.5リットル/分で吹き込みながら、8.37モ
ル/リットルの水酸化ナトリウム4.567リットルを
64時間かけて添加し、中和、酸化させてマンガン酸化
物シードを成長させた後、濾過、水洗してマンガン酸化
物を得た。
【0029】4.マンガン酸化物と酸との反応 マンガン酸化物(Mn換算1200g)を水に分散させ
たスラリーをステンレス製反応容器に仕込み60℃に昇
温した。このスラリー中に1モル/リットルの硫酸3.
50リットルを1時間かけて攪拌しながら添加し、その
後2時間反応させてから濾過水洗して、酸と反応させた
マンガン酸化物を得た。
たスラリーをステンレス製反応容器に仕込み60℃に昇
温した。このスラリー中に1モル/リットルの硫酸3.
50リットルを1時間かけて攪拌しながら添加し、その
後2時間反応させてから濾過水洗して、酸と反応させた
マンガン酸化物を得た。
【0030】5.リチウム・マンガン複合酸化物の前駆
体の合成 酸と反応させたマンガン酸化物(Mn換算500g)を
水に分散させたスラリーに水酸化リチウム一水塩5.2
34モルを添加して溶解させた後、水を加えて1.11
1リットルにしガラス製反応容器に仕込んだ。空気を
1.5リットル/分でこのスラリーに吹き込み、攪拌し
ながら90℃に昇温して14時間反応させた後、温度を
60℃まで冷却し、ろ過した後、0.05モル/リット
ルの水酸化リチウム水溶液で洗浄し、リチウム・マンガ
ン複合酸化物の前駆体を得た。
体の合成 酸と反応させたマンガン酸化物(Mn換算500g)を
水に分散させたスラリーに水酸化リチウム一水塩5.2
34モルを添加して溶解させた後、水を加えて1.11
1リットルにしガラス製反応容器に仕込んだ。空気を
1.5リットル/分でこのスラリーに吹き込み、攪拌し
ながら90℃に昇温して14時間反応させた後、温度を
60℃まで冷却し、ろ過した後、0.05モル/リット
ルの水酸化リチウム水溶液で洗浄し、リチウム・マンガ
ン複合酸化物の前駆体を得た。
【0031】6.リチウム・マンガン複合酸化物の前駆
体の焼成 リチウム・マンガン複合酸化物の前駆体を110℃で1
2時間乾燥させた後、空気中で750℃で3時間加熱焼
成してリチウム・マンガン複合酸化物を得た。リチウム
・マンガン複合酸化物の比表面積は0.94m2/gで
あった。
体の焼成 リチウム・マンガン複合酸化物の前駆体を110℃で1
2時間乾燥させた後、空気中で750℃で3時間加熱焼
成してリチウム・マンガン複合酸化物を得た。リチウム
・マンガン複合酸化物の比表面積は0.94m2/gで
あった。
【0032】7.Co、Mnを含む被覆層の被着処理 リチウム・マンガン複合酸化物(Mn換算で200g)
をミキサーで水中に分散させスラリー化した後、反応容
器に仕込んだ。次いで4.5モル/リットルの水酸化リ
チウム水溶液95.2ミリリットルを添加し、液量が
1.00リットルになるように調製した。このスラリー
に窒素ガスを吹き込み、60℃に昇温した後、コバルト
として50g/リットルの塩化コバルト水溶液128.
5ミリリットルを1時間かけて添加し、5時間反応させ
た後冷却した。水酸化リチウムの添加量は、塩化コバル
トとの反応後のフリー水酸イオン濃度が、0.20モル
/リットルになるように設定した。冷却後、ろ過、洗浄
を行い、110℃で12時間乾燥し、Co、Mnを含む
本発明の被覆層を被着処理したリチウム・マンガン複合
酸化物を得た。(試料A)
をミキサーで水中に分散させスラリー化した後、反応容
器に仕込んだ。次いで4.5モル/リットルの水酸化リ
チウム水溶液95.2ミリリットルを添加し、液量が
1.00リットルになるように調製した。このスラリー
に窒素ガスを吹き込み、60℃に昇温した後、コバルト
として50g/リットルの塩化コバルト水溶液128.
5ミリリットルを1時間かけて添加し、5時間反応させ
た後冷却した。水酸化リチウムの添加量は、塩化コバル
トとの反応後のフリー水酸イオン濃度が、0.20モル
/リットルになるように設定した。冷却後、ろ過、洗浄
を行い、110℃で12時間乾燥し、Co、Mnを含む
本発明の被覆層を被着処理したリチウム・マンガン複合
酸化物を得た。(試料A)
【0033】実施例2 1.リチウム・マンガン複合酸化物の前駆体の合成 実施例1の第4の工程で得られた酸と反応させたマンガ
ン酸化物を用い、水酸化リチウム一水塩の添加量を5.
190モル、反応時間を16時間とした以外は、実施例
1の第5の工程と同様にしてリチウム・マンガン複合酸
化物の前駆体を得た。
ン酸化物を用い、水酸化リチウム一水塩の添加量を5.
190モル、反応時間を16時間とした以外は、実施例
1の第5の工程と同様にしてリチウム・マンガン複合酸
化物の前駆体を得た。
【0034】2.リチウム・マンガン複合酸化物の前駆
体の焼成 リチウム・マンガン複合酸化物の前駆体を実施例1の第
6の工程と同様に加熱焼成してリチウム・マンガン複合
酸化物を得た。このリチウム・マンガン複合酸化物の比
表面積は、1.01m2/gであった。
体の焼成 リチウム・マンガン複合酸化物の前駆体を実施例1の第
6の工程と同様に加熱焼成してリチウム・マンガン複合
酸化物を得た。このリチウム・マンガン複合酸化物の比
表面積は、1.01m2/gであった。
【0035】3.Co、Mnを含む被覆層の被着処理 塩化コバルトと水酸化リチウムとの反応時間を12時間
とした以外は、実施例1の第7の工程と同様にしてC
o、Mnを含む被覆層化合物を被着処理したリチウム・
マンガン複合酸化物を得た。(試料B)
とした以外は、実施例1の第7の工程と同様にしてC
o、Mnを含む被覆層化合物を被着処理したリチウム・
マンガン複合酸化物を得た。(試料B)
【0036】実施例3 1.Fe、Mnを含む被覆層の被着処理 実施例2の第2の工程で得られたリチウム・マンガン複
合酸化物(Mn換算で200g)をミキサーで水中に分
散させスラリー化した後、反応容器に仕込んだ。次いで
4.5モル/リットルの水酸化リチウム水溶液94.8
ミリリットルを添加し、液量が1.00リットルになる
ように調製した。このスラリーに窒素ガスを吹き込み、
60℃に昇温した後、鉄として50g/リットルの硫酸
第一鉄水溶液122.0ミリリットルを1時間かけて添
加し、12時間反応させた後冷却した。水酸化リチウム
の添加量は、硫酸第一鉄との反応後のフリー水酸イオン
濃度が、0.20モル/リットルになるように設定し
た。冷却後、ろ過、洗浄を行い、空気中110℃で12
時間乾燥し、Fe、Mnを含む被覆層化合物を被着処理
したリチウム・マンガン複合酸化物を得た。(試料C)
合酸化物(Mn換算で200g)をミキサーで水中に分
散させスラリー化した後、反応容器に仕込んだ。次いで
4.5モル/リットルの水酸化リチウム水溶液94.8
ミリリットルを添加し、液量が1.00リットルになる
ように調製した。このスラリーに窒素ガスを吹き込み、
60℃に昇温した後、鉄として50g/リットルの硫酸
第一鉄水溶液122.0ミリリットルを1時間かけて添
加し、12時間反応させた後冷却した。水酸化リチウム
の添加量は、硫酸第一鉄との反応後のフリー水酸イオン
濃度が、0.20モル/リットルになるように設定し
た。冷却後、ろ過、洗浄を行い、空気中110℃で12
時間乾燥し、Fe、Mnを含む被覆層化合物を被着処理
したリチウム・マンガン複合酸化物を得た。(試料C)
【0037】実施例4 1.Co、Mnを含む被覆層の被着処理 実施例2の第2の工程で得られたリチウム・マンガン複
合酸化物を用い、水酸化リチウム水溶液の添加量を23
3.8ミリリットルとした以外は実施例2の第3の工程
と同様にしてCo、Mnを含む被覆層化合物を被着処理
したリチウム・マンガン複合酸化物を得た。(試料D)
水酸化リチウムの添加量は、塩化コバルトとの反応後の
フリー水酸イオン濃度が、0.80モル/リットルにな
るように設定した。
合酸化物を用い、水酸化リチウム水溶液の添加量を23
3.8ミリリットルとした以外は実施例2の第3の工程
と同様にしてCo、Mnを含む被覆層化合物を被着処理
したリチウム・マンガン複合酸化物を得た。(試料D)
水酸化リチウムの添加量は、塩化コバルトとの反応後の
フリー水酸イオン濃度が、0.80モル/リットルにな
るように設定した。
【0038】実施例5 1.Co、Mnを含む被覆層の被着処理 実施例2の第2の工程で得られたリチウム・マンガン複
合酸化物を用い、塩化コバルトと水酸化リチウムとの反
応温度を90℃とした外は、実施例2の第3の工程と同
様にしてCo、Mnを含む被覆層化合物を被着処理した
リチウム・マンガン複合酸化物を得た。(試料E)
合酸化物を用い、塩化コバルトと水酸化リチウムとの反
応温度を90℃とした外は、実施例2の第3の工程と同
様にしてCo、Mnを含む被覆層化合物を被着処理した
リチウム・マンガン複合酸化物を得た。(試料E)
【0039】実施例6 1.Co、Mnを含む被覆層の被着処理 実施例2の第2の工程で得られたリチウム・マンガン複
合酸化物を用い、塩化コバルトと水酸化リチウムを反応
させた後、1リットル/分でスラリー中に空気を3時間
流通して酸化させた以外は、実施例2の第3の工程と同
様にしてCo、Mnを含む被覆層化合物を被着処理した
リチウム・マンガン複合酸化物を得た。(試料F)
合酸化物を用い、塩化コバルトと水酸化リチウムを反応
させた後、1リットル/分でスラリー中に空気を3時間
流通して酸化させた以外は、実施例2の第3の工程と同
様にしてCo、Mnを含む被覆層化合物を被着処理した
リチウム・マンガン複合酸化物を得た。(試料F)
【0040】比較例1 第7の工程のCo、Mnを含む被覆層の被着処理を行わ
なかったこと以外は実施例1と同様の方法でリチウム・
マンガン複合酸化物を得た。(試料G)
なかったこと以外は実施例1と同様の方法でリチウム・
マンガン複合酸化物を得た。(試料G)
【0041】比較例2 第3の工程のCo、Mnを含む被覆層の被着処理を行わ
なかったこと以外は実施例2と同様の方法でリチウム・
マンガン複合酸化物を得た。(試料H)
なかったこと以外は実施例2と同様の方法でリチウム・
マンガン複合酸化物を得た。(試料H)
【0042】比較例3 1.Coの被着処理 実施例2の第2の工程で得られたリチウム・マンガン複
合酸化物(Mn換算で200g)をミキサーで水中に分
散させスラリー化した後、反応容器に仕込んだ。次いで
4.5モル/リットルの水酸化リチウム水溶液261ミ
リリットルを添加し、液量が1.00リットルになるよ
うに調製した。このスラリーに窒素ガスを吹き込みなが
ら、コバルトとして50g/リットルの塩化コバルト水
溶液93.3ミリリットルを添加した後、90℃に昇温
し、昇温後窒素ガスを停止した。引き続き、3リットル
/minで空気を3時間流通させ酸化した。冷却後、ろ
過、洗浄を行い、空気中110℃で12時間乾燥し、C
o化合物を被着処理したリチウム・マンガン複合酸化物
を得た。(試料I)
合酸化物(Mn換算で200g)をミキサーで水中に分
散させスラリー化した後、反応容器に仕込んだ。次いで
4.5モル/リットルの水酸化リチウム水溶液261ミ
リリットルを添加し、液量が1.00リットルになるよ
うに調製した。このスラリーに窒素ガスを吹き込みなが
ら、コバルトとして50g/リットルの塩化コバルト水
溶液93.3ミリリットルを添加した後、90℃に昇温
し、昇温後窒素ガスを停止した。引き続き、3リットル
/minで空気を3時間流通させ酸化した。冷却後、ろ
過、洗浄を行い、空気中110℃で12時間乾燥し、C
o化合物を被着処理したリチウム・マンガン複合酸化物
を得た。(試料I)
【0043】評価1 実施例1で得られた試料B、及び比較例2で得られた試
料Hについて、管電圧50KV、管電流200mAの高
出力CuKα線を用いて粉末X線回折を測定した。
料Hについて、管電圧50KV、管電流200mAの高
出力CuKα線を用いて粉末X線回折を測定した。
【0044】試料B、Hの粉末X線回折パターンを図
1、その結果を表1に示す。何れの試料もスピネル単独
の回折ピークしか認められない。本発明の被覆層を表面
に被着処理したことにより、回折角が低角側にシフト
し、半値幅が増加傾向を示す。ピーク面積に関しては、
主ピークなど減少傾向を示すピークがある一方、増加傾
向を示すものがある。特に面指数(220)の回折ピー
クが最も増加傾向を示した。これらの結果から、リチウ
ム・マンガン複合酸化物の結晶形と同じ結晶形を有し、
やや格子定数が広く、かつ(220)の回折強度の強い
物質からなる表面被覆層が生成していると考えられる。
この様な化合物としては試料Bの場合MnCo2O4が
考えられ、Co3O4の様な格子定数の小さいコバルト
単独のスピネル化合物は考えられない。ただ実際の被覆
層の組成は前式の様な定比組成になっているとは限ら
ず、マンガンとコバルトを含む、場合によってはリチウ
ムを含むより幅広い組成のスピネル化合物が生成してい
ると考えられる。また、試料Bについて粒子最表面から
数nmの内部、すなわち被覆層に相当する部分のEDX
分析を行った。この結果を表2に示す。EDX分析でも
被覆層中にはCoとMnとが存在していることが分か
る。
1、その結果を表1に示す。何れの試料もスピネル単独
の回折ピークしか認められない。本発明の被覆層を表面
に被着処理したことにより、回折角が低角側にシフト
し、半値幅が増加傾向を示す。ピーク面積に関しては、
主ピークなど減少傾向を示すピークがある一方、増加傾
向を示すものがある。特に面指数(220)の回折ピー
クが最も増加傾向を示した。これらの結果から、リチウ
ム・マンガン複合酸化物の結晶形と同じ結晶形を有し、
やや格子定数が広く、かつ(220)の回折強度の強い
物質からなる表面被覆層が生成していると考えられる。
この様な化合物としては試料Bの場合MnCo2O4が
考えられ、Co3O4の様な格子定数の小さいコバルト
単独のスピネル化合物は考えられない。ただ実際の被覆
層の組成は前式の様な定比組成になっているとは限ら
ず、マンガンとコバルトを含む、場合によってはリチウ
ムを含むより幅広い組成のスピネル化合物が生成してい
ると考えられる。また、試料Bについて粒子最表面から
数nmの内部、すなわち被覆層に相当する部分のEDX
分析を行った。この結果を表2に示す。EDX分析でも
被覆層中にはCoとMnとが存在していることが分か
る。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】評価2 実施例1〜6、比較例1〜3で得られたリチウム・マン
ガン複合酸化物(試料A〜I)を正極活物質とした場合
のリチウム二次電池の充放電特性、及びサイクル特性を
評価した。電池の形態や測定条件について説明する。
ガン複合酸化物(試料A〜I)を正極活物質とした場合
のリチウム二次電池の充放電特性、及びサイクル特性を
評価した。電池の形態や測定条件について説明する。
【0048】上記各試料と、導電剤としてのグラファイ
ト粉末、及び結着剤としてのポリ四フッ化エチレン樹脂
を重量比で70:24:6で混合し、乳鉢で練り合わ
せ、直径10mmの円形に成型してペレット状とした。
ペレットの重量は40mgであった。このペレットに直
径10mmの円形に切り出した金属チタン製のメッシュ
を重ね合わせ、14.7MPaでプレスして正極とし
た。
ト粉末、及び結着剤としてのポリ四フッ化エチレン樹脂
を重量比で70:24:6で混合し、乳鉢で練り合わ
せ、直径10mmの円形に成型してペレット状とした。
ペレットの重量は40mgであった。このペレットに直
径10mmの円形に切り出した金属チタン製のメッシュ
を重ね合わせ、14.7MPaでプレスして正極とし
た。
【0049】この正極を120℃で4時間真空乾燥した
後、露点−70℃以下のグローブボックス中で、密閉化
可能なコイン型評価用セルに組み込んだ。評価用セルに
は、材質がステンレス(SUS316)製で、外径20
mm、高さ1.6mmのものを用いた。負極には厚み
0.5mmの金属リチウムを直径14mmの円形に成形
したものを用いた。非水電解液として、1モル/リット
ルとなる濃度でLiPF 6を溶解したエチレンカーボネ
ートとジメチルカーボネートの混合溶液(体積比で1:
2に混合)を用いた。
後、露点−70℃以下のグローブボックス中で、密閉化
可能なコイン型評価用セルに組み込んだ。評価用セルに
は、材質がステンレス(SUS316)製で、外径20
mm、高さ1.6mmのものを用いた。負極には厚み
0.5mmの金属リチウムを直径14mmの円形に成形
したものを用いた。非水電解液として、1モル/リット
ルとなる濃度でLiPF 6を溶解したエチレンカーボネ
ートとジメチルカーボネートの混合溶液(体積比で1:
2に混合)を用いた。
【0050】正極は評価用セルの下部缶に置き、その上
にセパレーターとして多孔性ポリプロピレンフィルムを
置いて、その上から非水電解液をスポイドで7滴滴下し
た。さらにその上に負極をのせ、ポリプロピレン製のガ
スケットのついた上部缶を被せて外周縁部をかしめて密
封した。尚、厚みを調整するため、必要に応じてセパレ
ーターの上下に親水化処理したポリプロピレン製不織布
を置いた。
にセパレーターとして多孔性ポリプロピレンフィルムを
置いて、その上から非水電解液をスポイドで7滴滴下し
た。さらにその上に負極をのせ、ポリプロピレン製のガ
スケットのついた上部缶を被せて外周縁部をかしめて密
封した。尚、厚みを調整するため、必要に応じてセパレ
ーターの上下に親水化処理したポリプロピレン製不織布
を置いた。
【0051】作製したコイン型評価用セルを、専用の電
池ホルダーにセットし、5kgの荷重をかけた状態で電
池特性を測定した。充放電容量の測定は、電圧範囲を
4.3Vから3.5Vに、充放電電流を0.84mA
(約3サイクル/日)に設定して、定電流で行った。2
5℃で2回目のサイクルに測定した数値を初期充放電特
性とした。サイクル特性の測定は25℃と50℃で行
い、それぞれの容量維持率%{(30回目の放電容量/
5回目の放電容量)×100}で表した。
池ホルダーにセットし、5kgの荷重をかけた状態で電
池特性を測定した。充放電容量の測定は、電圧範囲を
4.3Vから3.5Vに、充放電電流を0.84mA
(約3サイクル/日)に設定して、定電流で行った。2
5℃で2回目のサイクルに測定した数値を初期充放電特
性とした。サイクル特性の測定は25℃と50℃で行
い、それぞれの容量維持率%{(30回目の放電容量/
5回目の放電容量)×100}で表した。
【0052】評価3 試料A〜Iをそれぞれ3g計量し、容量50ミリリット
ルの蓋付きの耐熱性テフロン(R)容器に入れた。これら
を内部がアルゴン置換され露点が−70℃以下に保持さ
れたグローブボックス内に設置された真空検体乾燥機中
に移し、120℃で4時間加熱乾燥した。
ルの蓋付きの耐熱性テフロン(R)容器に入れた。これら
を内部がアルゴン置換され露点が−70℃以下に保持さ
れたグローブボックス内に設置された真空検体乾燥機中
に移し、120℃で4時間加熱乾燥した。
【0053】真空乾燥後、常圧に戻して室温まで自然放
冷し、次いで1モル/リットルとなる濃度でLiPF6
を溶解したエチレンカーボネートとジメチルカーボネー
トの混合液(体積比で1:1に混合)15ミリリットル
をそれぞれの容器に添加した。
冷し、次いで1モル/リットルとなる濃度でLiPF6
を溶解したエチレンカーボネートとジメチルカーボネー
トの混合液(体積比で1:1に混合)15ミリリットル
をそれぞれの容器に添加した。
【0054】それぞれの容器の蓋を閉め、真空検体乾燥
機中で常圧下60℃で168時間保持し、冷却してから
蓋を開け、ジメチルカーボネート7.5ミリリットルを
添加した後、溶液を取り出しPTFEフィルター(孔径
0.2μm)を用いて自然ろ過した。ろ液はグローブボ
ックス外に持ち出し、ICP分析でろ液中のマンガンイ
オンの濃度を測定した。
機中で常圧下60℃で168時間保持し、冷却してから
蓋を開け、ジメチルカーボネート7.5ミリリットルを
添加した後、溶液を取り出しPTFEフィルター(孔径
0.2μm)を用いて自然ろ過した。ろ液はグローブボ
ックス外に持ち出し、ICP分析でろ液中のマンガンイ
オンの濃度を測定した。
【0055】試料A〜Iの初期充放電特性、サイクル特
性及びマンガンの溶出量を表3に示す。本発明により得
られたCoまたはFeとMnとを含む被覆層を表面に被
着されたリチウム・マンガン複合酸化物は、特に高温下
でのサイクル特性が、被着処理されていないリチウム・
マンガン複合酸化物より優れており、初期充放電特性は
同等である。また、従来のCo被覆を表面に被着したも
のよりサイクル特性、初期充放電特性のいずれも優れて
いる。さらに、いずれの比較例よりもマンガン溶出量が
少ないことがわかる。
性及びマンガンの溶出量を表3に示す。本発明により得
られたCoまたはFeとMnとを含む被覆層を表面に被
着されたリチウム・マンガン複合酸化物は、特に高温下
でのサイクル特性が、被着処理されていないリチウム・
マンガン複合酸化物より優れており、初期充放電特性は
同等である。また、従来のCo被覆を表面に被着したも
のよりサイクル特性、初期充放電特性のいずれも優れて
いる。さらに、いずれの比較例よりもマンガン溶出量が
少ないことがわかる。
【0056】
【表3】
【0057】
【発明の効果】本発明は、表面に被覆層を有するリチウ
ム・マンガン複合酸化物であって、前記被覆層がCo、
Fe及びNiからなる群から選ばれる少なくとも一種の
金属元素とMnとを少なくとも含み、リチウム・マンガ
ン複合酸化物に含まれる結晶と同形の結晶構造を有する
リチウム・マンガン複合酸化物である。本発明のリチウ
ム・マンガン複合酸化物は、処理された被覆層の密着性
が高く、粒子表面の保護性に優れ、電解液と接触して
も、マンガンイオンが溶解し難い。そのため、リチウム
・マンガン複合酸化物の劣化が進行し難くなるので、こ
れを正極活物質として用いたリチウム電池は、サイクル
特性や保存特性が、特に50℃のような高温度下におい
て良好である。また、この被覆層はリチウム・マンガン
複合酸化物に含まれるリチウムイオンの挿入・脱離を阻
害し難いので、充放電容量が低下しない。
ム・マンガン複合酸化物であって、前記被覆層がCo、
Fe及びNiからなる群から選ばれる少なくとも一種の
金属元素とMnとを少なくとも含み、リチウム・マンガ
ン複合酸化物に含まれる結晶と同形の結晶構造を有する
リチウム・マンガン複合酸化物である。本発明のリチウ
ム・マンガン複合酸化物は、処理された被覆層の密着性
が高く、粒子表面の保護性に優れ、電解液と接触して
も、マンガンイオンが溶解し難い。そのため、リチウム
・マンガン複合酸化物の劣化が進行し難くなるので、こ
れを正極活物質として用いたリチウム電池は、サイクル
特性や保存特性が、特に50℃のような高温度下におい
て良好である。また、この被覆層はリチウム・マンガン
複合酸化物に含まれるリチウムイオンの挿入・脱離を阻
害し難いので、充放電容量が低下しない。
【図1】図1は試料B及び試料HのX線チャートであ
る。
る。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G048 AA04 AB02 AB05 AC06 AD06 AE05 5H029 AJ03 AJ04 AJ05 AK03 AL12 AM03 AM04 AM07 CJ14 CJ28 DJ17 HJ02 HJ10 5H050 AA07 AA08 AA10 BA16 BA17 CA09 CB12 FA18 FA19 GA15 GA27 HA02 HA10
Claims (10)
- 【請求項1】表面に被覆層を有するリチウム・マンガン
複合酸化物であって、前記被覆層がCo、Fe及びNi
からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属元素とM
nとを含み、リチウム・マンガン複合酸化物に含まれる
結晶と同形の結晶構造を有することを特徴とするリチウ
ム・マンガン複合酸化物。 - 【請求項2】前記結晶がスピネル型であることを特徴と
する請求項1記載のリチウム・マンガン複合酸化物。 - 【請求項3】前記被覆層が少なくともCoとMnを含む
ことを特徴とする請求項1記載のリチウム・マンガン複
合酸化物。 - 【請求項4】Co、Fe及びNiからなる群から選ばれ
る少なくとも一種の金属元素が、リチウム・マンガン複
合酸化物及び被着層中のMnの総量に対し、0.05〜
20原子%被着されることを特徴とする請求項1記載の
リチウム・マンガン複合酸化物。 - 【請求項5】0.0001モル/リットル以上のフリー
水酸イオンの存在下で、前記被覆層を被着することを特
徴とする請求項1記載のリチウム・マンガン複合酸化物
の製造方法。 - 【請求項6】リチウム・マンガン複合酸化物を含むスラ
リー中に、Co、Fe及びNiからなる群から選ばれる
少なくとも一種の金属元素を含む化合物と塩基性化合物
とを、フリー水酸イオン濃度が0.0001モル/リッ
トル以上になるように添加し反応させる工程を含むこと
を特徴とする前記金属元素を少なくとも含む被覆層を表
面に有するリチウム・マンガン複合酸化物の製造方法。 - 【請求項7】フリー水酸イオンが5モル/リットル以下
であることを特徴とする請求項5または6記載のリチウ
ム・マンガン複合酸化物の製造方法。 - 【請求項8】被着を非酸化性雰囲気で行うことを特徴と
する請求項5または6記載のリチウム・マンガン複合酸
化物の製造方法。 - 【請求項9】被着後に酸化することを特徴とする請求項
5または6記載のリチウム・マンガン複合酸化物の製造
方法。 - 【請求項10】請求項1記載のリチウム・マンガン複合
酸化物を正極活物質として用いることを特徴とするリチ
ウム電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001108680A JP2001348224A (ja) | 2000-04-07 | 2001-04-06 | リチウム・マンガン複合酸化物及びその製造方法並びにそれを用いてなるリチウム電池 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000-105795 | 2000-04-07 | ||
JP2000105795 | 2000-04-07 | ||
JP2001108680A JP2001348224A (ja) | 2000-04-07 | 2001-04-06 | リチウム・マンガン複合酸化物及びその製造方法並びにそれを用いてなるリチウム電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001348224A true JP2001348224A (ja) | 2001-12-18 |
Family
ID=26589639
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001108680A Pending JP2001348224A (ja) | 2000-04-07 | 2001-04-06 | リチウム・マンガン複合酸化物及びその製造方法並びにそれを用いてなるリチウム電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001348224A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002068745A (ja) * | 2000-08-28 | 2002-03-08 | Nippon Chem Ind Co Ltd | リチウムマンガン複合酸化物複合体、その製造方法、リチウム二次電池正極活物質及びリチウム二次電池 |
JP2005129492A (ja) * | 2003-09-29 | 2005-05-19 | Sanyo Electric Co Ltd | 非水電解質二次電池の充放電制御方法 |
JP2006503789A (ja) * | 2002-10-31 | 2006-02-02 | エルジー・ケム・リミテッド | 金属成分の組成に勾配を有するリチウム遷移金属酸化物 |
JP2009021046A (ja) * | 2007-07-10 | 2009-01-29 | Panasonic Corp | 非水電解質二次電池用正極材料およびそれを用いた非水電解質二次電池ならびに非水電解質二次電池用正極材料の製造方法 |
JP2009054583A (ja) * | 2007-08-02 | 2009-03-12 | Sony Corp | 正極活物質、並びにそれを用いた正極、および非水電解質二次電池 |
-
2001
- 2001-04-06 JP JP2001108680A patent/JP2001348224A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7695649B2 (en) | 2002-10-31 | 2010-04-13 | Lg Chem, Ltd. | Lithium transition metal oxide with gradient of metal composition |
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JP2009054583A (ja) * | 2007-08-02 | 2009-03-12 | Sony Corp | 正極活物質、並びにそれを用いた正極、および非水電解質二次電池 |
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