JP2001346525A - 肉牛または肉豚用飼料およびその給与方法ならびに肉牛または肉豚 - Google Patents

肉牛または肉豚用飼料およびその給与方法ならびに肉牛または肉豚

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生きた肉牛や肉豚の腿肉等の食味を向上させ
る飼料およびその飼料の給与方法を提供する。 【解決手段】 一般的な、低価格の肉牛または肉豚用の
飼料に、タンパク質分解酵素であるSHプロテアーゼ資
材を配合した。具体的には、とうもろこし、ふすま、大
豆油粕等を主体とする飼料に、SHプロテアーゼ資材と
してのパイナップル粕を1〜20重量%配合した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】請求項の発明は、肉牛・肉豚
の肉質、特に食味を向上させる飼料およびその飼料の給
与方法、ならびにそれによる肉牛・肉豚に関する。
【0002】
【従来の技術】牛や豚の腿肉、とくに後脚の大腿部の肉
は、一般に脂肪分が少なく、肉の熟成が最も遅いため、
他の部位に比べて肉質がパサパサで旨味が少ないのが現
状である。
【0003】従来の肉質改善例としては、飼料に植物組
織崩壊活性を有する酵素と必須アミノ酸を添加するとい
う特開平5−192093号公報が挙げられる。通常の
飼料に植物組織崩壊活性を有する酵素と必須アミノ酸を
適当量添加することで、乳量増大、乳質改善、発育促
進、肉質改善および繁殖率改善に効果があるというもの
である。
【0004】また、タンパク質分解酵素の作用で遊離ア
ミノ酸が生成され、肉の旨味が増すことは周知であり、
この作用を利用した技術例に、特開平5−276899
号公報がある。この発明の肉質風味改良剤は、鳥獣肉の
中でも硬くてスジの多い腿や脛などの低品質部位の肉質
を改善することを目的としており、スジの主成分である
硬質タンパク質を特異的に軟化させる酵素や、旨味を増
やす酵素等が組み合わされたものである。これを調理前
に肉に注入すると、硬い低品質の肉が軟化し、食味も向
上するとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記2つの引用例のう
ち前者による効果として記載された肉質改善は、飼育動
物の体重増加を図りつつ脂肪分は低く抑えるという内容
であって、腿肉等の食味を向上させるという意味での肉
質改善ではない。また、後者の発明は、鳥獣肉の食味を
向上し得るが、その発明による肉質風味改良剤を、屠殺
後の死肉に対し調理前に注入するという作業を必要とす
る。
【0006】従って請求項の発明は、生きた肉牛または
肉豚の腿肉等の食味を向上させる飼料、およびその飼料
の給与方法、ならびにそれによる肉牛または肉豚を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、発明の肉牛または肉豚用飼料は請求項1のように、
タンパク質分解酵素であるSHプロテアーゼ資材を含む
(含有し、または添加されている)ようにしたものであ
る。一般にタンパク質分解酵素は、タンパク質に直接作
用してペプチド結合を分解する酵素である。動植物の組
織や細胞に広く存在する物質で、パイナップル由来のブ
ロメラインやパパイヤ由来のパパイン等がよく知られて
いる他、イチジク由来のフィシンやキウイフルーツ由来
のアクチニジン等も同様の酵素である。これらの酵素
は、ペプチドおよびアミド結合の加水分解やエステル加
水分解などを行うため、肉を軟化させるテンダライザー
や、医薬品としての消炎酵素剤、栄養補助食品等に広く
利用されている。また、特にブロメライン、パパイン、
フィシン、アクチニジン等は酵素活性に分子内のSH基
が関与するSHプロテアーゼと呼ばれるもので、基質と
なるタンパク(本発明の場合、牛または豚の腿肉等の筋
肉組織)の分解に伴なって遊離されるシステインにより
活性化するため、タンパクの分解が進むほど酵素活性が
大きくなる特徴がある。従って請求項の発明によるSH
プロテアーゼ資材を配合した肉牛または肉豚用飼料を肉
牛や肉豚に給与すると、酵素の作用で遊離アミノ酸が増
え、従来の腿肉等より食味の向上した肉が得られるので
ある。
【0008】注目すべきであるのは、本来タンパク質分
解酵素は消化器官内でしか作用しないとされていたにも
かかわらず、この飼料を肉牛または肉豚に給与すると、
消化器官外の、しかも生体の腿肉等のうちで遊離アミノ
酸が増えるという、前例のない、予想外の作用がもたら
される点である。その理由については今の段階では解明
されていないが、おそらく、分子量の小さいシステイン
は各臓器への移行が早く、SHプロテアーゼとともに血
液を介して腿肉等の筋肉組織に吸収され、そこでタンパ
ク質が分解されて遊離アミノ酸が増えるものと推測され
る。
【0009】SHプロテアーゼについては必ずしも生成
されたものである必要はなく、請求項2のように、パイ
ナップルの芯と外皮との乾燥物であるパイナップル粕を
上記のSHプロテアーゼ資材として含むことも可能であ
る。パイナップルに含まれるブロメラインは、パパイヤ
に含まれるパパインやイチジクに含まれるフィシン、キ
ウイフルーツに含まれるアクチニジン等と同様、ペプチ
ド中のシステインにより活性化する酵素で、特異性が類
似しているので、タンパク質を分解する上で同等の効果
が得られるにもかかわらず、他の食材を用いた場合に比
較して低コストで飼料の生産が可能であるという利点が
ある。
【0010】飼料中に含有されるパイナップル粕の量
は、請求項3のように、1〜20重量%が好ましい。な
ぜならば、1重量%以下では酵素の作用が効果的に得ら
れず、また20重量%以上与えると、元来必要とされる
飼料摂取量が減少する恐れがあるためである。
【0011】請求項4に記載した肉牛または肉豚用飼料
は、とうもろこし等の穀類、ふすま等のそうこう類、大
豆油粕等の植物性油粕類などを主たる原材料とする一般
的な飼料に、パイナップル粕を1〜20重量%配合した
ものである。従って、主体とする飼料として特別なもの
を用意する必要がないことに加えて、前述のようにパイ
ナップル粕が比較的安価であるため、全体的にコストを
低く抑えつつ腿肉等の食味の高い肉牛を生産することが
できる。肉豚用の飼料については、魚粉などの動物性質
飼料を含むものを原材料とするのも好ましい。
【0012】また、請求項5に記載の給与方法は、上述
のような飼料を、肥育期間中の肉牛または肉豚に給与す
るものである。肉牛の場合、肥育期間と称される期間は
一般的に生後8月令前後より始まるので、つまりは生後
約8月令より出荷(すなわち生後30月令前後の屠殺時
期)までの期間に給与する。肉豚の場合の肥育期間は一
般に生後3ヶ月令前後より始まるため、生後約3ヶ月令
より出荷(生後6〜7ヶ月令前後の屠殺時期)までの期
間に給与する。肥育期間前(すなわち肉牛では生後約8
月令に達する前、肉豚では生後約3ヶ月に達する前の各
育成期)の肉牛・肉豚では腿肉等の発達が不十分である
ことから、このように成熟した時期にパイナップル粕等
を配合するのが効率面でもコスト面でも都合がよい。た
だし、生育速度や屠殺月令は肉牛・肉豚等により異なる
ため、給与期間は、肉牛・肉豚の種類等に応じて上記期
間を基準に適切に定める。すなわち、請求項5の発明
は、肥育期間前の特定時期にも上記飼料を比較的少量給
与する場合や、肥育期間中の特定時期のみに上記飼料を
給与する場合を除外するものではない。たとえば、肉牛
の場合は生後2年(24月令)以降出荷まで、肉豚の場
合は生後4ヶ月(120日)令以降出荷までの、いわば
肥育後期(肥育期間の後半)の期間のみに給与するの
が、効率およびコストの面で一層好ましい。
【0013】請求項6に記載の肉牛または肉豚は、請求
項5に記載の方法によって肥育させたことを特徴とする
ものである。上記のような給与技術が実施された肉牛ま
たは肉豚は(したがって当然にその枝肉も)、腿肉等に
おいても遊離アミノ酸を多く含むので、屠殺後に肉質改
善を行わなくても、旨味にすぐれた食肉を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】肉牛として兵庫県内産(但馬牛)
の「黒毛和種」去勢牛を用いた、発明の一実施例を以下
に紹介する。
【0015】ここでは、従来の一般的な飼料によって上
記去勢牛を肥育する一方、発明に係る飼料を給与して同
じ種の肉牛を肥育し、それら2区分の肉牛について腿肉
中の遊離アミノ酸の量を調査した。具体的には、1)対照
区および試験区と称する各80頭(合計160頭)前後
の肉牛群を、区ごとに異なる飼料を給与することによっ
て肥育する、2)出荷時に各区より5頭(合計10頭)を
無作為に抽出する、3)区ごとの各5頭より腿肉を採取
し、区ごとに混合したうえ遊離アミノ酸量の分析をする
−という手順をとった。以下にその詳細を述べる。
【0016】まず、育成期および肥育前期と呼び得る期
間(対照区、試験区とも平均月令25.5ヶ月まで)に
は、対照区・試験区のすべての肉牛に、市販の配合飼料
に稲ワラを加えたものを給与した。配合飼料とは穀類を
主な成分とする濃厚飼料で、その成分は、 粗たん白質 14.0%以上 粗脂肪 3.0%以上 粗繊維 10.0%以下 粗灰分 10.0%以下 カルシウム 0.50%以上 りん 0.40%以上 可消化養分総量 73.0%以上 可消化粗たん白質 11.5%以上 となっており、これに各種ビタミンやミネラルが添加さ
れている。
【0017】また、この配合飼料の原材料の配合割合
は、穀類(加熱処理とうもろこし)51%、そうこう類
(ふすま、コーングルテンフィード、大豆皮、ビール
粕)28%、植物性油粕類(大豆油粕、なたね油粕)9
%、その他(綿実、糖蜜、炭酸カルシウム、モルデナイ
ト系ゼオライト、食塩)12%である。
【0018】次に、屠殺(つまり出荷時。対照区、試験
区とも平均月令は31.5ヶ月)までの肥育後期(仕上
期とも呼ばれる期間)約180日間に給与した飼料につ
いて説明する。まず、対照区の全肉牛には肥育前期等と
同様の飼料、つまり上記の配合飼料に稲ワラを加えた飼
料を給与した。一方試験区の全肉牛には、上記配合飼料
に、パイナップルの芯および外皮とを水分が10%以下
になるまで乾燥させたパイナップル粕を加えた飼料を給
与した。
【0019】肥育後期に給与した配合飼料の量は、対照
区、試験区とも、1日当り平均8.5kg/頭、また、
試験区の肉牛に給与したパイナップル粕の量は、配合飼
料に対し平均12重量%(約1kg/日)であった。対
照区の肉牛の配合飼料に加えた稲ワラの量は、上記パイ
ナップル粕の量と同等である。
【0020】従って、肥育後期の配合飼料総摂取量は、
対照区、試験区ともに平均約1500kg/頭で、対照
区の肥育後期の稲ワラ総摂取量、試験区の肥育後期のパ
イナップル粕総摂取量はともに、平均約180kg/頭
である。このような飼料で生産された枝肉の重量は、対
照区で平均396.6kg、試験区で平均373.8k
gであった。
【0021】その枝肉から、1頭当たり200gの腿肉
を採取し、対照区と試験区とに分けて各腿肉を混ぜ合わ
せ、混ぜた腿肉について遊離アミノ酸をそれぞれ分析し
た。分析は社団法人東京都食品衛生協会・東京食品技術
研究所に依頼した。その結果を表1に示す。
【0022】
【表1】 表1において、対照区および試験区の遊離アミノ酸値を
比較すると、試験区の腿肉中のアラニンは対照区の1
1.6倍、グルタミン酸は150倍となっていることが
わかる。アラニンは、あらゆる畜種の食肉熟成過程で最
初に分離される、甘味のもととなるアミノ酸で、この値
が大きいということは、試験区の肉牛の腿肉の熟成が、
対照区の肉牛より促進されていたことを示す。また、グ
ルタミン酸は世界共通の旨味成分として認知されている
アミノ酸である。
【0023】以上のことから分かるように、肉牛の肥育
後期の飼料にパイナップル粕を配合することで、従来の
飼料(配合飼料+稲ワラ)のみで生産した場合より、甘
味や旨味のもととなるアラニンとグルタミン酸が生きた
肉牛の体内で大量に生じ、食味の向上した腿肉を生産す
ることができたのである。
【0024】そして、本来消化器官内のみで作用すると
考えられていたタンパク質分解酵素が、生きた動物の筋
肉組織内(ここでは牛腿肉中)でも作用して甘味や旨味
のもとになる遊離アミノ酸を増やしたという、予想外の
結果も得られた。なぜそのような結果が得られたかにつ
いては、今後の解明が待たれるところであるが、おそら
くパイナップル粕中のブロメラインと呼ばれるSHプロ
テアーゼの特性によるものと思われる。ブロメライン
は、酵素活性に分子内のSH基が関与するSHプロテア
ーゼと呼ばれるものの1つで、基質となるタンパク質の
分解に伴なって遊離されるシステインにより活性化する
酵素である。このことをふまえて上記の結果を考察する
と、まず、試験区の肉牛の消化器官内で、配合飼料中の
タンパク質が分解されてシステインが遊離し、次に、分
子量の小さいシステインは各臓器への移行が早く、吸収
が速やかに行われるため、パイナップル粕中のブロメラ
インとともに血液を介して腿肉に到達し、システインに
より活性化したブロメラインが腿肉中のタンパク質を分
解して遊離アミノ酸が増えたものと推測される。
【0025】続いて、第二の実施例として肉豚に関する
ものを紹介する。この例で肥育用に供試した肉豚は、純
粋ランドレース種(L)の雌豚に純粋ラージホワイト種
(W)の雄豚を交配することにより出産した雌の交雑種
(F)を基礎母豚とし、純粋デュロック種(D)を交
配して生まれた雄(のちに去勢)および雌(未経産)の
すべてである。すなわち、LW(母豚)x D(雄豚)
=LWD にてなるLWDの去勢雄および雌を用いてい
る。
【0026】この例では、従来の一般的な飼料によって
上記去勢豚および未経産豚(以下、双方を総称して単に
「肉豚」という)を肥育する一方、発明に係る飼料を給
与して同じ種の肉豚を肥育し、それら2区分の肉豚につ
いて腿肉中の遊離アミノ酸の量を調査した。具体的に
は、対照区および試験区と称する各45頭(合計90
頭)の肉豚群を、区ごとに異なる飼料を給与することに
よって肥育し、出荷時に、各区の45頭(合計90頭)
について腿肉を採取し、区ごとに混合したうえ遊離アミ
ノ酸量の分析をする−という手順をとった。以下にその
詳細を述べる。
【0027】まず、育成期および肥育前期と呼び得る期
間(対照区、試験区とも平均月令4ヶ月まで)には、対
照区・試験区のすべての肉豚に、市販の仔豚用配合飼料
を給与した。その配合飼料は穀類を主な成分とする濃厚
飼料で、その成分は、 粗たん白質 14.0%以上 粗脂肪 3.0%以上 粗繊維 4.0%以下 粗灰分 6.0%以下 カルシウム 0.45%以上 りん 0.35%以上 可消化養分総量 78.0%以上 可消化粗たん白質 12.0%以上 となっており、これに各種ビタミンやミネラルが添加さ
れている。
【0028】また、この配合飼料の原材料の配合割合
は、穀類(とうもろこし、マイロ、場合によってはさら
に大麦またはキャッサバ)77%、そうこう類(米ヌカ
油かす)0.5%、植物性油粕類(大豆油かす、なたね
油かす)15%、動物性質飼料(魚粉、またはさらに肉
骨粉)3%、その他(動物性油脂、糖蜜、炭酸カルシウ
ム、リン酸カルシウム、食塩、またはさらに植物性油
脂)4.5%である。
【0029】次に、屠殺(つまり出荷時。対照区、試験
区とも平均月令は6ヶ月)までの肥育後期(仕上期とも
呼ばれる期間)約60日間には、対照区および試験区の
それぞれにつぎのような飼料を給与した。まず、対照区
の全肉豚には上記のと同じ配合飼料を給与した。一方試
験区の全肉豚には、上記配合飼料に、パイナップルの芯
および外皮とを水分が10%以下になるまで乾燥させた
パイナップル粕を加えて給与した。
【0030】肥育後期に給与した配合飼料の量は、対照
区、試験区とも、1日当り平均2.7kg/頭、また、
試験区の肉豚1頭に給与したパイナップル粕の量は、配
合飼料に対し平均5重量%(約135g/日)であっ
た。
【0031】従って、肥育後期の配合飼料総摂取量は、
対照区、試験区ともに平均約160kg/頭となった。
ただし、試験区については、配合飼料のほかにパイナッ
プル粕を平均約8kg/頭ほど給与したことになる。こ
のような飼料で生産された枝肉の重量は、対照区で平均
71.9kg、試験区で平均73.9kgであった。
【0032】その枝肉から、1頭当たり10gの腿肉を
採取し、対照区と試験区とに分けて各腿肉を混ぜ合わ
せ、混ぜた腿肉について遊離アミノ酸をそれぞれ分析し
た。分析は社団法人東京都食品衛生協会・東京食品技術
研究所に依頼した。その結果を表2に示す。
【0033】
【表2】 表2によりつぎのことが分かる。まず、遊離アミノ酸の
総量は、試験区で722mg/100g、対照区で18
5mg/100gであり、試験区の方が総量で4倍近い
旨味成分を含む。また、試験区の腿肉中のアラニンは対
照区の3.0倍(300%)、グルタミン酸は31.3
倍(3130%)となっていることも分かる。アラニン
およびグルタミン酸の意義については前述のとおりであ
る。
【0034】以上のように、肉豚の肥育後期の飼料にパ
イナップル粕を配合することによって、甘味や旨味のも
ととなるアラニンやグルタミン酸などが、生きた肉豚の
体内で、従来の配合飼料のみを給与した場合よりも大量
に生じ、食味の向上した腿肉を生産することができた。
【0035】タンパク質分解酵素が肉豚の筋肉組織内に
作用して遊離アミノ酸を増やす理由については、肉牛の
場合と同様、パイナップル粕中のブロメラインというS
Hプロテアーゼの特性によるものと考えられる。すなわ
ち、試験区の肉豚の消化器官内で配合飼料中のタンパク
質が分解されてシステインが遊離し、次に、分子量の小
さいシステインが各臓器に早く移行して速やかに吸収さ
れ、パイナップル粕中のブロメラインとともに血液を介
して腿肉に到達し、そこで、システインにより活性化し
たブロメラインが腿肉中のタンパク質を分解して遊離ア
ミノ酸を増やすものと推測される。
【0036】なお、以上には、実施の形態として、肉牛
または肉豚に飼料を給与してそれらの腿肉の食味を改善
する例を示したが、給与方法等によっては、同様の飼料
にて腿肉以外の筋肉組織の食味を向上させることも可能
である。また、ブロメラインに代表されるSHプロテア
ーゼを含む、上記と同様の飼料を肉鶏や羊などに給与し
て、それらの肉の食味を向上させることについても、可
能性は十分にあると予想される。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よる肉牛または肉豚用飼料は、タンパク質分解酵素であ
るSHプロテアーゼ資材を含むため、肉牛または肉豚の
腿肉等の遊離アミノ酸、特にアラニンとグルタミン酸を
増やし、従ってその腿肉等の食味を向上させるという効
果を有する。これにより、脂肪分が少なくて健康には良
いものの旨味が少ないといわれている腿肉等の商品価値
が高まり、肉牛や肉豚の経済的な生産効率の向上が可能
になる。そして、従来行っていた、死肉(食肉)に対し
調理前に肉質改善の処理を行う手間が省けて時間的にも
効率が良い。
【0038】また、請求項2ないし4の発明によれば、
SHプロテアーゼ資材に、本来廃棄されているパイナッ
プルの芯と外皮とを乾燥させたパイナップル粕を用いて
いるため、ブロメラインを抽出、精製する手間や費用を
省略でき、飼料のコスト増加を抑えつつ食味の良い腿肉
等を供給できる利点がある。その上、パイナップル粕と
いう廃棄物の有効利用にもなり、環境面にも貢献する。
【0039】そして、請求項4の発明による肉牛または
肉豚用飼料は、ごく一般的な低価格の飼料に、ブロメラ
インを抽出、精製しない状態でパイナップル粕を配合し
ているため、特に複雑な手段を講じなくとも飼料の給与
が可能である。
【0040】さらに、請求項5の発明では、パイナップ
ル粕を配合した飼料を給与する期間はいわゆる肥育期間
中だけでよいため、腿肉等が十分に発達した時期に効率
的に酵素を作用させて遊離アミノ酸を増やすことがで
き、手間やコストの面で効率が良い。
【0041】また請求項6に記載の肉牛または肉豚な
ら、旨味にすぐれた食肉を効率的に提供できる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンパク質分解酵素であるSHプロテア
    ーゼ資材を含むことを特徴とする肉牛または肉豚用飼
    料。
  2. 【請求項2】 パイナップルの芯と外皮との乾燥物であ
    るパイナップル粕を上記のSHプロテアーゼ資材として
    含む請求項1に記載の肉牛または肉豚用飼料。
  3. 【請求項3】 パイナップル粕を1〜20重量%含む請
    求項2に記載の肉牛または肉豚用飼料。
  4. 【請求項4】 とうもろこし、ふすま、大豆油粕等を主
    体とする請求項3に記載の肉牛または肉豚用飼料。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の飼料
    を、肥育期間中の肉牛または肉豚に給与することを特徴
    とする肉牛または肉豚用飼料の給与方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の方法によって肥育させ
    たことを特徴とする肉牛または肉豚。
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