JP2001340940A - 鋳造用鋳型及びその製造方法 - Google Patents

鋳造用鋳型及びその製造方法

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JP2001340940A
JP2001340940A JP2000158911A JP2000158911A JP2001340940A JP 2001340940 A JP2001340940 A JP 2001340940A JP 2000158911 A JP2000158911 A JP 2000158911A JP 2000158911 A JP2000158911 A JP 2000158911A JP 2001340940 A JP2001340940 A JP 2001340940A
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powder
casting
casting mold
cutting
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JP2000158911A
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Yasushi Iwata
靖 岩田
Hiroaki Iwabori
弘昭 岩堀
Kazutaka Okura
和孝 大庫
Kunio Naito
国雄 内藤
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 破損させることなく容易に切削して製造する
ことができ,かつ鋳物の鋳肌面を良好にすることができ
る鋳造用鋳型及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 各粒子の長径に対する短径の比であるア
スペクト比が0.6以上の粒子よりなると共に,平均粒
径が300μm以下である鋳型用粉末を用いる。鋳型用
粉末を硬化させる硬化工程を施してブロック材2を形成
し,次いで,ブロック材に切削を施してキャビティ17
を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,従来よりも低コストで高精度な
鋳造用鋳型及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】鋳造用鋳型の製造方法としては,所望の製
品と同形状の模型を用い,これの周囲において鋳物砂等
を硬化させ,その後模型を除去することによりキャビテ
ィを形成する方法が一般的である。しかし,鋳造用鋳型
の製造方法を合理化するためには,上記の模型を作製す
るためのコスト,工数が問題となり,これを削除する方
法が検討されてきた。
【0003】模型を用いずに鋳造用鋳型を製造する方法
として,特開昭61−172650号公報には,切削に
より鋳造用鋳型を製造する手法が示されている。この方
法は,一般の鋳物砂を用いてこれを固めたブロック材を
作製し,その後ブロック材に切削を施す方法である。
【0004】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の鋳
造用鋳型の製造方法では,切削時に破損や欠損(こばか
け)を生じ,リブ部などの薄肉部が製造できないという
不具合が発生する。そこで,鋳型強度を向上させるため
に,ガラス繊維を混合したブロック体材質が提案された
(特開平1−233043号公報)。しかし,この方法
では,切削加工時の工具磨耗が激しく,また,破損ある
いはこばかけの問題も改善されず多数発生した。さら
に,切削がうまく行えた場合でも,この鋳造用鋳型を用
いて作製した鋳物の鋳肌面粗さが大きく,実用化するこ
とが困難であった。
【0005】また,切削して作製した粉末型での鋳造品
の組織を細かくするために,金属溶射を鋳型表面(キャ
ビティ表面)に行う方法,あるいは鋳型に凝固促進剤
(酸化マグネシウム)を混合する手法が提案された(特開
平1−233043号公報)。しかしながら,この方法
でも,実際には,鋳造品(鋳物)の鋳肌面の粗さを抑えて
改善させることは困難であり,実用化には至っていな
い。
【0006】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,破損させることなく容易に切削して製造
することができ,かつ鋳物の鋳肌面を良好にすることが
できる鋳造用鋳型及びその製造方法を提供しようとする
ものである。
【0007】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,各粒子の長径に
対する短径の比であるアスペクト比が0.6以上の粒子
よりなると共に,平均粒径が300μm以下である鋳型
用粉末を用い,該鋳型用粉末を硬化させる硬化工程を施
してブロック材を形成し,次いで,該ブロック材に切削
を施してキャビティを形成することを特徴とする鋳造用
鋳型の製造方法にある。
【0008】本発明において最も注目すべき点は,上記
鋳型用粉末として,上記アスペクト比が0.6以上の粒
子よりなる粉末であって,その平均粒径が300μm以
下であるものを用いることである。
【0009】上記アスペクト比は,長径に対する短径の
比(短径/長径)であって,これが1に近いほど,形状
が球形に近いことを示す。そして,本発明においては,
このアスペクト比を0.6以上として,球形に近い粒子
を用いる。このアスペクト比が0.6未満の場合には,
後工程のブロック材の切削時において破損等が生じるお
それがある。上限は勿論1である。
【0010】また,上記鋳型用粉末の平均粒径は上記の
ごとく300μm以下とする。平均粒径が300μmを
超える場合には,鋳型表面(キャビティ表面)の粗さが
粗くなり,鋳物の鋳肌面を悪化させるという問題があ
る。一方,平均粒径を小さくしすぎると,ブロック材が
緻密になりすぎて切削加工が困難となるという問題があ
るので,鋳型用粉末の種類に応じて下限値を設定するこ
とが好ましい。
【0011】上記ブロック材は,上記鋳型用粉末をひと
つの塊を構成するように固めて形成する。この場合の硬
化工程としては,たとえば後述するごとく種々の方法が
ある。また,ブロック材の切削方法としては,従来と同
様にボールエンドミル等を用いる方法がある。
【0012】次に,本発明の作用効果につき説明する。
本発明の鋳造用鋳型の製造方法においては,上記特定の
形状を有する鋳型用粉末を用いて上記ブロック材を形成
する。そのため,ブロック材を切削加工する際に破損
(こばかけ)を発生させることなく,容易かつ精度よく
行うことができる。
【0013】この理由は次のように考えられる。鋳型用
粉末を固めたブロック材を切削する場合には,鋳型用粉
末を構成する各粒子自体が分割されて削られるのではな
く,粒子単位での離脱により行われる。ここで,従来の
方法においては,鋳型用粉末として,形状を規制しない
不均一な粒子より構成された鋳物砂等を用いる。この鋳
物砂等は粒径が比較的大きく形状も不均一な粒子を多く
含み,粒度分布もかなりの幅を持つ。そのため,このよ
うな鋳物砂等を用いて形成したブロック材を切削した場
合には,工具刃先に接する粒子間に不均一な切削力が加
わり,必要以上に多くの粒子が剥がされ,まばらにな
り,粗さが粗くなる。また鋳型端部や薄肉部では,切削
抵抗に耐えられずにこばかけや破損を生じていた。
【0014】これに対し,本発明においては,上記アス
ペクト比を特定の値に規制した球形に近い形状の粒子よ
り構成された鋳型用粉末を用いる。また,その平均粒径
も300μm以下と制限して従来よりも粒径を小さくす
る。これにより,ブロック材の切削時における各粒子の
離脱を従来よりもスムーズに行うことができ,切削抵抗
の低減が得られると共に余分な粒子の離脱を抑制するこ
とができる。これにより,こばかけや破損を防止できる
と共に,鋳型面の表面粗さの改善を図ることができる。
また,この効果によってブロック材を強化するための繊
維添加等が不要となり,工具寿命の向上をも得ることが
できる。
【0015】次に,請求項2の発明のように,上記硬化
工程は,上記鋳型用粉末と熱硬化性樹脂を混合した後加
熱することにより行うことができる。いわゆるホットボ
ックス法である。この場合には,ホットボックス法を生
かした,作製した鋳型の時間経過による強度劣化(経年
劣化)が少ないという効果が得られると共に,上記と同
様の優れた鋳造用鋳型を得ることができる。
【0016】また,このホットボックス法を採用する場
合には,上記鋳型用粉末の平均粒径を2〜200μmと
することが好ましい。2μm未満の場合には後述するご
とく,切削工具の磨耗が大きくなるという問題が生ずる
おそれがある。一方,200μmを越える場合には,キ
ャビティ面の粗さが粗くなり,鋳肌面を悪化させるとい
う問題が生ずるおそれがある。
【0017】また,請求項3の発明のように,上記硬化
工程は,上記鋳型用粉末と反応硬化性樹脂を混合した後
反応により硬化させることにより行うこともできる。い
わゆるコールドボックス法である。この場合には,コー
ルドボックス法を生かした,短時間で素材ブロックを作
製できると共に均質な素材ブロックを作製できるという
効果が得られると共に,上記と同様の優れた鋳造用鋳型
を得ることができる。
【0018】また,このコールドボックス法を採用する
場合には,上記鋳型用粉末の平均粒径を3μm以上とす
ることが好ましい。3μm未満の場合には後述するごと
く,切削工具の磨耗が大きくなるという問題が生ずるお
それがある。
【0019】また,請求項4の発明のように,上記硬化
工程は,上記鋳型用粉末を圧粉成形することにより行う
こともできる。この場合には,圧粉成形の特徴を生かし
て,短時間で経年劣化のない素材ブロックを作製できる
という効果が得られると共に,上記と同様の優れた鋳造
用鋳型を得ることができる。
【0020】また,この圧粉成形法を採用する場合に
は,上記鋳型用粉末の平均粒径を1〜200μmとする
ことが好ましい。1μm未満の場合には切削工具の磨耗
が大きくなるという問題が生ずるおそれがあり,一方,
200μmを超える場合には,キャビティ面の粗さが粗
くなり,鋳肌面を悪化させるという問題が生ずるおそれ
がある。
【0021】次に,請求項5の発明のように,上記ホッ
トボックス法あるいはコールドボックス法を採用する場
合には,上記鋳型用粉末は,無機材料粉末であることが
好ましい。これにより,耐熱性に優れ,形状安定性に優
れた鋳造用鋳型を容易に作製することができる。上記無
機材料粉末としては,例えば,SiC,アルミナ,ムラ
イト,珪砂等がある。
【0022】また,請求項6の発明のように,上記鋳型
用粉末は,金属粉末とすることもできる。この場合に
は,上記硬化工程がホットボックス法,コールドボック
ス法,圧粉成形法のいずれの方法でも採用できる。特
に,圧粉成形法を採用した場合には,上記金属粉末の延
性を利用して所望形状のブロック材を容易に作製するこ
とができる。そして,得られた鋳造用鋳型においては,
金属の優れた伝熱特性を有効に生かして,金属溶湯の冷
却速度を高めることができる。また上記金属粉末として
は,例えば,鉄,銅,アルミニウム等の粉末を用いるこ
とができる。
【0023】次に,請求項7の発明は,鋳型用粉末を硬
化させたブロック材に切削を施してキャビティを形成し
た鋳造用鋳型であって,上記鋳型用粉末は,各粒子の長
径に対する短径の比であるアスペクト比が0.6以上の
粒子よりなると共に,平均粒径が300μm以下である
ことを特徴とする鋳造用鋳型にある。
【0024】本発明の鋳造用鋳型は,例えば上述した方
法により作製することができる。そして,この鋳造用鋳
型は,上記ブロック材の切削時において,上述したと同
様に,切削抵抗の低減が得られると共に余分な粒子の離
脱を抑制することができる。これにより,こばかけや破
損を防止できると共に,鋳型面の表面粗さの改善を図る
ことができる。したがって,この鋳造用鋳型を用いれ
ば,非常に鋳肌面および形状精度に優れた鋳物を容易に
得ることができる。
【0025】また,請求項8の発明のように,上記鋳型
用粉末は,無機材料粉末とすることができる。この場合
には,耐熱性に優れ,形状安定性に優れた鋳造用鋳型と
することができる。また,請求項9の発明のように,上
記鋳型用粉末は,金属粉末とすることもできる。この場
合には,非常に冷却速度の早い鋳造用鋳型を容易に得る
ことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる鋳造用鋳型及びその製造方
法につき,図1〜図3を用いて説明する。本例において
は,本発明の方法により鋳造用鋳型を作製する2種類の
実施例1,2を行うと共に,従来法を含めた3つの比較
例においても鋳造用鋳型を作製し,その破損,こばかけ
等の発生状況を観察した。
【0027】(実施例1)実施例1では,アスペクト比
が0.6〜1.0の粒子よりなると共に,平均粒径が7
5μmのムライト粒子よりなる鋳型用粉末を用いた。そ
して,この鋳型用粉末をホットボックス法により硬化さ
せて30kg/cm2以上の抗折強度を有するブロック
材を形成した。具体的には,まず上記ムライト粒子にレ
ジンを160℃において混合し,レジンコーテッドサン
ドを作製した。次いで,60×50×100mmの型内
に上記レジンコーテッドサンドを注入し,200℃で焼
成することにより,図1に示すごとき,幅Wが60m
m,高さHが50mm,長さLが100mmの立方体形
状のブロック材2を作製した。
【0028】次いで,該ブロック材2に,φ6mmのボ
ールエンドミルを用いた切削を施してキャビティ17を
形成した。図2に示すごとく,キャビティ17は,深さ
Dが40mm,a寸法が2mm,b寸法が6mm,c寸
法が80mmの略U字状を呈している。そして中央部に
は高さ40mm,幅2mmの薄肉リブ部15を設けた。
本実施例1において,得られた鋳造用鋳型1を観察した
結果,薄肉リブ部15においても何らこばかけ等の破損
はなく,非常に良好な鋳造用鋳型が得られた。
【0029】(実施例2)実施例2では,アスペクト比
が0.6〜1.0の粒子よりなると共に,平均粒径が1
50μmのムライト粒子よりなる鋳型用粉末を用いた。
その他は実施例1と同様にして鋳造用鋳型1を作製し
た。本実施例2の場合にも,薄肉リブ部15においても
何らこばかけ等の破損はなく,非常に良好な鋳造用鋳型
が得られた。
【0030】(比較例1)比較例1は,従来技術であっ
て,アスペクト比が0.5〜1.0の粒子よりなると共
に,平均粒径が150μmの6号珪砂よりなる鋳型用粉
末を用いた。その他は実施例1と同様にして鋳造用鋳型
1を作製した。本比較例1の場合には,図3に示すごと
く,薄肉リブ部15の基端部150が欠損するこばかけ
不良が発生した。その結果,得られた鋳造用鋳型は,実
際に使用できない状態となった。
【0031】(比較例2)比較例2は,従来技術であっ
て,アスペクト比が0.6〜1.0の粒子よりなると共
に,平均粒径が1μmのムライト粉末を用いた。その他
は実施例1と同様にして鋳造用鋳型1を作製した。本比
較例2の場合には,ブロック材2の切削加工時に火花が
飛び散り加工不能となった。これは,粒径が小さすぎて
上記ブロック材2が緻密になりすぎ,各粒子を離脱させ
ることによる切削が困難となって,各粒子自体を破砕す
る切削が行われたためであると考えられる。
【0032】(比較例3)比較例3は,アスペクト比が
0.5の粒子よりなると共に,平均粒径が150μmの
ムライト粒子よりなる鋳型用粉末を用いた。その他は実
施例1と同様にして鋳造用鋳型1を作製した。本比較例
2の場合には,比較例1と同様に,図3に示すごとく,
薄肉リブ部15の基端部150が欠損するこばかけ不良
が発生した。その結果,得られた鋳造用鋳型は,実際に
使用できない状態となった。
【0033】以上の結果から,本発明の鋳造用鋳型の製
造方法は,薄肉リブ部15を有する鋳造用鋳型を作製す
る場合においても,非常に有効であることがわかる。
【0034】実施形態例2 本例においては,粒子のアスペクト比および平均粒径を
変化させた種々の鋳型用粉末を用いてそれぞれホットボ
ックス法を用いてボックス材を作製し,これを切削して
鋳造用鋳型を作製した。そして,工具磨耗状況及びこば
かけ発生状況を調べた。
【0035】本例では,鋳型用粉末として,珪砂,アル
ミニウム粉,鉄紛の3種類を用いた。また,ホットボッ
クス法は上述した実施例1と同様とし,また,キャビテ
ィ形状も実施例1と同様とした。得られた鋳造用鋳型の
評価結果を表1に示す。なお,上記のごとく,鋳型用粉
末として3種類用いたが,その評価結果はいずれの鋳型
用粉末でもほぼ同じで表1のようになった。表1では,
○は切削性,キャビティ形状ともに良好な場合を,×は
工具磨耗が大きい場合を,△はこばかけが発生した場合
を示す。
【0036】
【表1】
【0037】表1より知られるごとく,ホットボックス
法によりボックス材を作製した場合には,工具磨耗を抑
えて切削性を良好にするために平均粒径を2μm以上と
することが望ましいことがわかる。また,こばかけを防
止するには,アスペクト比を0.6以上とし,かつ,平
均粒径を300μm以下とすることが必要であることが
わかる。
【0038】実施形態例3 本例においては,粒子のアスペクト比および平均粒径を
変化させた種々の鋳型用粉末を用いてそれぞれコールド
ボックス法を用いてボックス材を作製し,これを切削し
て鋳造用鋳型を作製した。そして,工具磨耗状況及びこ
ばかけ発生状況を調べた。
【0039】本例では,鋳型用粉末として,珪砂,アル
ミニウム粉,鉄紛の3種類を用いた。そして,具体的な
コールドボックス法の手順としては,各鋳型用粉末とフ
ェノールウレタンとを混合してコーテッド粉末を作製
し,これを60×50×100mmの型内に注入した。
そして,アミンガス注入という手法によりコーテッド粉
末を反応硬化させた。これにより,前述した図1に示す
ごとき,幅Wが60mm,高さHが50mm,長さLが
100mmの立方体形状のブロック材2を作製した。
【0040】また,キャビティの形状及びその切削方法
は実施例1と同様とした。得られた鋳造用鋳型の評価結
果を表2に示す。なお,本例においても,上記の3種類
の鋳型用粉末を用いたが,その評価結果はいずれの鋳型
用粉末でもほぼ同じで表2のようになった。表2中の記
載は上記表1と同様である。
【0041】
【表2】
【0042】表2より知られるごとく,コールドボック
ス法によりボックス材を作製した場合には,工具磨耗を
抑えて切削性を良好にするために平均粒径を3μm以上
とすることが望ましいことがわかる。また,こばかけを
防止するには,アスペクト比を0.6以上とし,かつ,
平均粒径を300μm以下とすることが必要であること
がわかる。
【0043】実施形態例4 本例においては,粒子のアスペクト比および平均粒径を
変化させた金属粉末よりなる鋳型用粉末を用いて圧粉成
形法によりボックス材を作製し,これを切削することに
より鋳造用鋳型を作製した。そして,工具磨耗状況及び
こばかけ発生状況を調べた。
【0044】本例では,鋳型用粉末として,アルミニウ
ム粉を用いた。そして,具体的な圧粉成形法としては,
60W×100L×100Hの型にアルミニウム粉を充
填後,上部より60W×100Lの金型で加圧成形し,
作製したブロックを所定高さに切断するという手順によ
り行った。これにより,前述した図1に示すごとき,幅
Wが60mm,高さHが50mm,長さLが100mm
の立方体形状のブロック材2を作製した。
【0045】また,キャビティの形状及びその切削方法
は実施例1と同様とした。得られた鋳造用鋳型の評価結
果を表3に示す。表3中の記載は上記表1と同様であ
る。
【0046】
【表3】
【0047】表3より知られるごとく,圧粉成形法によ
りボックス材を作製した場合には,工具磨耗を抑えて切
削性を良好にするためには少なくとも平均粒径を1μm
以上とすればよいことがわかる。また,こばかけを防止
するには,アスペクト比を0.6以上とし,かつ,平均
粒径を200μm以下とすることが必要であることがわ
かる。
【0048】実施形態例5 本例では,実施形態例2における,ホットボックス法に
よりボックス材を作製した場合において,アスペクト比
が0.8の場合を例にとり,平均粒径と鋳物表面の粗さ
との関係を求めた。また,鋳型用粉末としては,ムライ
トを用いた。ホットボックス法は,上述した実施例1と
同様に行った。
【0049】得られた鋳造用鋳型のキャビティに,AC
4C合金(アルミニウム合金)を注湯温度670℃にて
注湯して鋳物を作製した。そして,得られた鋳物の表面
粗さRzを測定した。測定結果を図4に示す。同図は,
横軸に平均粒径(μm)を,縦軸に鋳物の鋳肌面の標準
粗さRz(μm)をとった。
【0050】一般的に砂型鋳物に許容されている表面粗
さは約120μmであることを考慮すると,このホット
ボックス法の場合には,鋳型用粉末の平均粒径を200
μm以下とすることが好ましいことがわかる。なお,同
様の測定をコールドボックス法および圧粉成形法により
作製した鋳造用鋳型に対しても行った。その結果,コー
ルドボックス法の場合には鋳型用粉末の平均粒径を30
0μm以下,圧粉成形法の場合には鋳型用粉末の平均粒
径を200μm以下とすることにより,表面粗さがおよ
そ120μm以下となることがわかった。
【0051】実施形態例6 本例では,鋳型用粉末として金属粉末を用いた場合の冷
却能力を評価した。具体的には,アスペクト比が0.6
以上であって,平均粒径が5〜200μmの鉄粉よりな
る鋳型用粉末を用い,圧粉成形によりブロック材を形成
した。次いで,切削により10×10×15mmの立方
体形状のキャビティを設けた。そして,AC4C合金
(アルミニウム合金)の溶湯を注湯して鋳物を作製し
た。このときの鋳物の凝固時間を測定して冷却速度を評
価した。また,比較のために,珪砂を用いてホットボッ
クス法により作製した鋳型と,金型とを用い,同様に冷
却速度を測定した。
【0052】測定結果を図5に示す。同図は,横軸に鋳
造用鋳型の種類(鉄粉使用,珪砂使用,金型)を,縦軸
に鋳物の凝固時間(s)をとったものである。同図より
知られるごとく,本例の鉄粉を用いた鋳造用鋳型は,珪
砂を使用した場合よりも凝固時間が短く,金型鋳物とほ
ぼ同等の冷却能力を有することがわかる。
【0053】
【発明の効果】上述のごとく,本発明によれば,破損さ
せることなく容易に切削して製造することができ,かつ
鋳物の鋳肌面を良好にすることができる鋳造用鋳型及び
その製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,ブロック材の斜視図。
【図2】実施形態例1中の実施例1における,鋳造用鋳
型の,(a)側面図,(b)底面図。
【図3】実施形態例1中の比較例1における,鋳造用鋳
型の,(a)側面図,(b)底面図。
【図4】実施形態例5における,平均粒径と鋳肌面の標
準粗さRzとの関係を示す説明図。
【図5】実施形態例6における,鋳造用鋳型の種類と鋳
物の凝固時間との関係を示す説明図。
【符号の説明】
1...鋳造用鋳型, 15...薄肉リブ部, 17...キャビティ, 2...ブロック材,
フロントページの続き (72)発明者 大庫 和孝 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 内藤 国雄 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各粒子の長径に対する短径の比であるア
    スペクト比が0.6以上の粒子よりなると共に,平均粒
    径が300μm以下である鋳型用粉末を用い,該鋳型用
    粉末を硬化させる硬化工程を施してブロック材を形成
    し,次いで,該ブロック材に切削を施してキャビティを
    形成することを特徴とする鋳造用鋳型の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記硬化工程は,上
    記鋳型用粉末と熱硬化性樹脂を混合した後加熱すること
    により行うことを特徴とする鋳造用鋳型の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において,上記硬化工程は,上
    記鋳型用粉末と反応硬化性樹脂を混合した後反応により
    硬化させることにより行うことを特徴とする鋳造用鋳型
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1において,上記硬化工程は,上
    記鋳型用粉末を圧粉成形することにより行うことを特徴
    とする鋳造用鋳型の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項2又は3において,上記鋳型用粉
    末は,無機材料粉末であることを特徴とする鋳造用鋳型
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項2〜4のいずれか1項において,
    上記鋳型用粉末は,金属粉末であることを特徴とする鋳
    造用鋳型の製造方法。
  7. 【請求項7】 鋳型用粉末を硬化させたブロック材に切
    削を施してキャビティを形成した鋳造用鋳型であって,
    上記鋳型用粉末は,各粒子の長径に対する短径の比であ
    るアスペクト比が0.6以上の粒子よりなると共に,平
    均粒径が300μm以下であることを特徴とする鋳造用
    鋳型。
  8. 【請求項8】 請求項7において,上記鋳型用粉末は,
    無機材料粉末であることを特徴とする鋳造用鋳型。
  9. 【請求項9】 請求項7において,上記鋳型用粉末は,
    金属粉末であることを特徴とする鋳造用鋳型。
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JP2017131901A (ja) * 2016-01-25 2017-08-03 株式会社木村鋳造所 鋳造用鋳型の製造方法

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