JP2001336908A - 静電容量型距離センサ及びこれを用いた位置センサ並びに医用診断装置の障害物検出システム - Google Patents

静電容量型距離センサ及びこれを用いた位置センサ並びに医用診断装置の障害物検出システム

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 障害物までの距離及び該障害物の方向を正確
に検出できる静電容量型の距離及び位置センサ並びに医
用診断装置の障害物検出システムを提供する。 【解決手段】 静電容量型距離センサは、電磁波を放射
する送信電極1と、該電磁界の強度を検出する受信電極2
と、障害物と前記受信電極間の静電容量に変換する静電
容量変換手段51A,B,C,D,と、該静電容量変換手
段の出力を距離に換算する距離換算手段31A,B,C,
D,とで構成される。複数の受信電極を隣接する受信電
極同士が重なることなくこれらの受信電極の境界面を接
しさせて医用診断装置の可動部に取り付け、該静電容量
変換手段の出力から前記障害物の位置を検出する。該可
動部が障害物に接触する前に前記可動部の動作を自動的
に停止、あるいは前記障害物を避けて目標の位置に最短
で移動させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は位置センサ及びこれ
を用いた医用診断装置の障害物検出システムに係り、特
に電磁波を外部に放射して電磁界を形成しこの電磁界の
強度を検出して患者や術者、あるいは付属装置等の障害
物までの距離を検出する静電容量型距離センサ及びこの
センサを用いて前記障害物の位置を検出する位置センサ
並びにこの位置センサにより前記障害物を検出し該障害
物への接触を回避して短時間で疾患部位に位置決めする
ための医用診断装置の障害物検出システムに関する。
【0002】
【従来の技術】X線透視撮影台や循環器X線検査装置等
の医用X線透視撮影装置は、診断の分野においては欠か
せないものとなっているが、最近は診断のみならず治療
にも使われるようになってきた。この治療は、X線透視
下において先端にさまざまな器具を取り付けたカテーテ
ルを被検者の血管や臓器に挿入して行なうものであっ
て、従来、開腹手術をせざるを得なかった治療に対し
て、被検者に与える苦痛を少なくでき、かつ安価に治療
ができるという大きな利点を有するため、近年、急速に
普及している。
【0003】このような治療方法は、IVR(Intervent
ional Radiology)と呼ばれている。このIVRでは、
治療対象部位の位置や形状を立体的に把握できるように
することが望ましい。そのため、三次元画像はX線断層
撮像装置(以下「X線CT装置」と記す)で撮影して対
象部位の位置や形状を把握しておき、この三次元画像に
基づいてX線発生系とX線検出系をC字形アームで支持
した循環器X線検査装置(文献“医歯薬出版株式会社:
医用放射線科学講座13、放射線診断機器工学、156頁の
図4-7”に記載)を用いて被検者に対して様々な角度か
らX線を放射し、これによって得られるX線透視画像を
参照して治療を行う。
【0004】上記の循環器X線検査装置は、いろいろな
方向からの透視、撮影ができるように、C字形アームの
回転、スライド移動等の各種の回転、移動動作を行える
ようになっており、これによって二次元X線像を得て、
前記X線CT装置と組み合わせて診断、治療を行ってい
る。このように、上記の循環器X線検査装置は診断のみ
ならず治療にも用いられようになってきたので、これに
伴い血管中を流れる造影剤にC字形アームを追従させて
X線撮像系を広範囲に、高速に移動してX線による透
視、撮影の必要性が生じてきた。前記C字形アームの移
動速度の高速化に伴い、該C字形アームが患者や術者、
あるいは付属装置等(以下、これらを障害物と称する)
への接触は絶対に避けなければならない。すなわち、安
全性の確保が重要である。このために、機械式の接触検
出器を用いて、前記C字形アームに障害物が接触したと
き、前記機械式接触検出器で検出して前記C字形アーム
の回転、移動を停止させる方法がある。しかし、この方
法によると、障害物に接触してからC字形アームを減速
させて停止させるようにすると、C字形アームの移動速
度が速いために、安全に減速、停止させるためには長い
距離を必要とし、上記高速化への要求に対応できなくな
る。そこで、C字形アームが障害物に接近してこれが所
定の距離になったとき、すなわち障害物に接触する前に
該障害物を検出する非接触障害物検出器を用いてC字形
アームを減速、停止させる方法がPCT/IB97/0
0402に開示されている。この検出器は、静電容量型
距離センサと呼ばれ、送信電極と受信電極をC字形アー
ムの一端に支持されたX線受像手段としてのイメージ・
インテンスファイア(以下、I.I.と記す)の周囲に
取り付け、送信電極より一定の電磁界を発生させ、この
電磁界内に障害物が入ると送信電極と受信電極間の静電
容量が大きくなって前記電磁界の強度が低下するので、
これを受信電極で検出して前記障害物を非接触で検出す
ることができる。
【0005】前記静電容量型距離センサは、送信電極、
受信電極のほか、発振回路、共振回路とで構成されてお
り、送信電極と受信電極は、I.I.の筐体の表面の上
下、もしくは左右にならべて配置する。送信電極は、発
振回路により障害物を検出するための電磁波を放射し、
I.I.の周囲に電磁界を形成する。一方、受信電極
は、送信電極が形成した電磁界を検出するアンテナとし
ての役割があり、これと接続する共振回路により受信電
極付近の電磁界強度を検出する。この電磁界分布につい
て、I.I.の周囲に障害物がない場合、送信電極が放
射する電磁界は一様になる。I.I.に障害物が接近す
ると、センサと障害物間の静電容量変化により、送信電
極と受信電極間の空間のインピーダンスが変化するため
電磁界分布が変化する。この電磁界分布の変化に応じ
て、受信電極で検出する電磁界強度も変化する。一般
に、障害物がセンサに近づくほど、センサと障害物間の
静電容量は大きくなり、かつ、I.I.と障害物は接地
しているので、受信電極で検出する電磁界強度は障害物
がない場合に比べて小さい値となる。また、障害物がも
つ静電容量(誘電率)が大きいほど、電磁界強度の変化
も大きく変化する。したがって、受信電極における電磁
界強度の変化を検出することにより、障害物の有無、セ
ンサと障害物との距離を検出することができる。
【0006】このように障害物と接触する頻度の高い装
置の可動部分に、前記送信電極と受信電極を取り付け
て、送信電極によって形成された電磁界分布の変化を受
信電極で検出することにより、障害物が装置の可動部分
の周囲に接近したことを非接触で検出することができ
る。
【0007】また、受信電極で検出する電磁界強度の変
化を検出回路で正確に測定すれば、受信電極と障害物ま
での距離、すなわち装置の可動部と障害物までの距離を
求めることができる。
【0008】上記の静電容量型距離センサをC字形アー
ムの一端やI.I.などの装置の可動部分に取付けるこ
とで、装置の可動部分が移動中に人体等と接触するよう
な場合、これを接触する前に検出して障害物への接触を
回避することができる。また、受信電極から障害物まで
の距離に基づいて、該障害物から一定の距離に装置を停
止させることもできる。その他、C字形アームの移動速
度が速い場合でも、未然に遠距離から障害物を検出でき
るため、安全に装置を減速し停止させることができる。
【0009】以上のことから、障害物との接触を防止す
る方法として、上記の静電容量型距離センサは非接触障
害物検出センサとして有効なものであった。なお、障害
物を非接触で検出する方法として、超音波、光等を用い
た例もあるが、これらは、上記静電容量型距離センサに
比べ、紙、布、ビニール等の影響を受けやすい欠点があ
る。特に、医療現場では、紙、布、ビニール等を多く使
用し、これらに影響されずに人体、装置(金属)等を検
出する必要があることから、静電容量型距離センサは上
記の他方式に比べて医療現場に適した方法である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記の静電容量型距離
センサで障害物を検出すると、移動中のC字形アームを
自動的に減速させ、該障害物から所定の距離の位置にC
字形アームを停止させて前記障害物との接触を防ぐ。そ
の後、C字形アームの移動方向から障害物を除去して、
C字形アームを目標の位置に再び移動操作したり、ある
いは障害物をその位置に留めておき、C字形アームを障
害物から所定の距離の位置に一旦退避させて、該障害物
を避けてC字形アームを目標の位置に移動させる場合も
ある。
【0011】このようにしてC字形アームの退避移動操
作を行なう場合、C字形アームの移動方向は、障害物と
接触しないこれまでの移動方向と反対方向に移動させる
方向と、これまでの移動方向を変えないで障害物を避け
て移動させる方向とがある。
【0012】これらの移動方向のうちどの移動方向を選
択するかは、C字形アームを移動操作する操作者の目視
判断によって行われていた。しかしながら、上記したよ
うに、C字形アームをもつ循環器X線検査装置では、い
ろいろな動作軸を持つため、前記移動方向の見極めが難
しい場合があり、またC字形アームの幾何学的な形状に
より装置の死角部分が多く、操作者から直接見えない箇
所で接触が生じる場合もあり、移動方向及び退避方向の
見極めが難しいものであった。
【0013】このために、従来の循環器X線検査装置で
は、障害物を検出したとき、この検出情報にもとづき、
C字形アームを退避できる退避方向を自動的に演算して
求めておき、もしも操作者が誤って障害物と接触する方
向にC字形アームを移動しようとした場合、この操作入
力を制限することで障害物とC字形アームとの接触を防
止するようにしていた。
【0014】このような方法によって障害物との接触回
避を確実に行うためには、障害物の位置、すなわち障害
物までの距離と方向とを正確に知ることが必要である。
一つの静電容量型距離センサには検出できる方向には制
限があり、これらのセンサを複数組み合わせる上記従来
技術では、障害物がセンサ間の隙間に在ったり、あるい
はセンサ間にまたがって在ったりした場合は障害物の方
向、すなわち位置が特定できない場合が生じる。これら
のことにより、障害物の位置(障害物までの距離と該障
害物の方向)を高精度に検出して安全性、信頼性が高
く、操作性に優れた障害物を検出できるシステムが望ま
れていた。すなわち、IVRのニーズに対応するため
に、従来の循環器X線検査装置には以下の改良すべき課
題が残されていた。
【0015】(1)障害物の位置を正確に検出するため
には、送信電極と受信電極の面積を小さくして電極を増
やす必要がある。しかしながら、この方法では電極の増
加に対応して各受信電極付近の電磁界強度を測定するた
めの検出回路も増え、検出器全体の規模が大きくなると
共に検出器を取り付ける面積の点からも該検出器数にも
制限があり、上記の要求の検出精度が得られない。
【0016】(2)電極の面積を小さくするほど障害物
の位置を正確に検出できるが、電極の面積を小さくする
と障害物と電極間に形成する静電容量がこれに比例して
減少し、検出できる距離が短くなる。そのため、遠距離
にある障害物の有無の検出が難しく、C字形アームの移
動速度が速い場合には対応できない。以上のことから、
検出器の電極数の増加、面積の縮小のみでは正確に障害
物の位置を検出することに限界があった。また、これら
の検出器の性能の限界から現状の装置の退避方向は障害
物を検出した方向と逆方向のみとなっており、以下の
(3)の不都合もあった。
【0017】(3)障害物を検出した方向と逆方向のみ
を退避方向とすると、障害物とC字形アームの位置関係
により前記退避方向以外でも安全に操作移動できる場合
があるにもかかわらず、前記障害物を検出した方向と逆
方向のみに退避した後に該障害物を避けて移動させなけ
ればならないので、移動操作に手間がかかるものであっ
た。
【0018】このように、従来の静電容量型距離センサ
で障害物の位置を正確に検出するたには、検出システム
の規模の大型化、被検出物の移動速度の低速化及び移動
操作性の効率低下等の問題を解決する必要があり、これ
らの問題を解決して安全性、操作性の向上を図り、IV
Rのような新しいニーズに対応できる障害物の検出及び
これを用いて目標位置に正確、高速に位置決めできる位
置決めシステムが望まれていた。
【0019】そこで、本発明の目的は、障害物までの距
離及び該障害物の方向、すなわち障害物の位置を正確に
検出できる静電容量型の距離及び位置センサ並びにこの
センサをC字形アーム等の医用診断装置の可動部に取り
付けて該可動部が障害物に接触する前に前記可動部の動
作を自動的に停止、あるいは前記障害物を避けて目標の
位置に最短で移動させる機能の安全性、信頼性、操作性
の向上を図ることができる医用診断装置の障害物検出シ
ステムを提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の手段
によって達成される。
【0021】(1)電磁波を放射して検出すべき障害物
の周囲に電磁界を形成する送信電極と、該電磁界の強度
を検出する受信電極と、該受信電極で検出した電磁界の
強度から前記障害物と前記受信電極間の静電容量に変換
する静電容量変換手段と、該静電容量変換手段の出力を
距離に変換して前記障害物と前記受信電極間の距離を求
める静電容量型距離センサにおいて、前記受信電極は前
記障害物が前記受信電極上に占める面積に応じて該障害
物と受信電極間の静電容量が変化する形状とする。
【0022】(2)この受信電極の形状としては階段状
又は菱形状の形状が有効である。このような受信電極の
形状とすることにより、受信電極の中心から障害物まで
の距離を該受信電極の中心から左右対称に階段状又は連
続的に検出することができる。
【0023】(3)上記(1),(2)の静電容量型距離
センサを複数用いて以下によって障害物の位置(距離と
方向)を検出する。すなわち、電磁波を放射して障害物
の周囲に電磁界を形成する送信電極と、該電磁界の強度
を検出する受信電極と、該受信電極で検出した電磁界の
強度から前記障害物と前記受信電極間の静電容量に変換
する静電容量変換手段とを備え、前記受信電極は前記障
害物が前記受信電極上に占める面積に応じて該障害物と
受信電極間の静電容量が変化する形状であって、この形
状の受信電極を複数備え、該複数の受信電極を隣接する
受信電極同士が重なることなくこれらの受信電極の境界
面を接しさせて前記複数の受信電極を医用診断装置の可
動部に取り付け、前記複数の受信電極で検出した電磁界
強度を前記静電容量変換手段に入力して該静電容量変換
手段の出力から前記障害物の位置を検出する。
【0024】(4)上記(3)の静電容量変換手段は、前
記複数の受信電極に対応した複数の静電容量変換手段か
ら成り、上記障害物に取り付けた複数の受信電極のうち
の一つの受信電極に対応した静電容量変換手段で変換さ
れた静電容量から前記障害物と前記一つの受信電極との
距離を求め、前記一つの受信電極と隣り合う二つの受信
電極に対応した静電容量変換手段で変換された静電容量
から前記障害物の方向を求めて該障害物の位置を検出す
る。
【0025】(5)前記位置を検出する手段は、前記障
害物に取り付けた複数の受信電極のうちの一つの受信電
極に対応した静電容量変換手段で変換された静電容量を
距離に変換する距離変換手段と、前記一つの受信電極と
隣り合う二つの受信電極に対応した静電容量変換手段で
変換された静電容量同士を比較する比較手段と、前記一
つの受信電極の中心位置に相当するオフセット信号出力
手段と、前記距離変換手段と比較手段とオフセット信号
出力手段の出力とから前記障害物と前記一つの受信電極
との距離及び前記障害物の方向を求める加算手段とで構
成する。
【0026】(6)上記(3)の複数の受信電極の形状は
階段状又は菱形状とする。このような構成の位置センサ
とすることにより、医用診断装置の可動部と障害物間の
距離のみならず該障害物の方向、すなわち障害物の位置
を高精度に検出できる。
【0027】(7)上記(3),(4),(5),(6)の
位置センサを医用診断装置の可動部に取り付け、前記位
置センサで前記可動部の可動時に該可動部の周囲の障害
物を検出して該可動部が障害物に接触する前に前記可動
部の動作を自動的に停止、あるいは前記障害物を避けて
目標の位置に最短で移動させる。したがって、これを循
環器X線検査装置のC字形アームに適用すれば、該C字
形アームに支持されたイメジ・インテンスフアイアやX
線管が患者や術者等への接触を未然に防ぎ、かつ、退避
動作が一方向のみならず、物理的に障害物と接触する方
向以外の方向の全てを退避方向とすることができ、操作
の自由度が多くなり、安全性と操作性が向上する医用診
断装置とすることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】先ず、本発明の実施例を説明する
前に本発明に用いる公知の静電容量型距離センサの基本
原理について図2,図3を用いて簡単に説明する。図2
に静電容量型距離センサの構成図を示す。この静電容量
型距離センサは、送信電極1、受信電極2、発振回路
3、増幅回路4、共振回路5、増幅回路6及び比較増幅
回路7で構成されており、送信電極1と方形形状の受信
電極2をI.I.等の可動部の筐体の表面に取り付け
る。送信電極1は、発振回路3により障害物を検出する
ための電磁波を放射し、これを増幅回路4で増幅して
I.I.の周囲に電磁界を形成する。一方、受信電極2
は、送信電極1が形成した電磁界を検出するアンテナと
しての役割があり、これと接続する共振回路5により受
信電極付近の電磁界強度を検出し、これを増幅回路6で
増幅しこの信号10と前記発振回路3の出力信号9とを
比較増幅回路7で比較して障害物検出信号11を得る。
【0029】図3は前記電磁界内に障害物が存る場合と
無い場合の電磁界分布の一例で、I.I.の周囲に障害
物がない場合、送信電極が放射する電磁界は一様にな
る。I.I.に障害物が接近すると、センサと障害物間
の静電容量変化により、送信電極と受信電極間の空間の
インピーダンスが変化するため電磁界分布も変化する。
この電磁界分布の変化に応じて、受信電極で検出する電
磁界強度も変化するので、この電磁界強度の変化を上記
の共振回路5、増幅回路6、比較増幅回路7で検出する
ことにより、障害物の有無、センサと障害物との距離を
検出することができる。
【0030】[1]本発明の受信電極の形状と構造 障害物までの距離及び該障害物の方向、すなわち障害物
の位置を正確に検出できる静電容量型位置センサとする
ために本発明のセンサは、任意の位置にある障害物を複
数の受信電極により検出できるように受信電極の形状及
び隣接する受信電極との組み合わせを見い出した。すな
わち、隣接する受信電極同士が重ならないでこれらの境
界面が接する形状とし、かつ同一位置にある障害物に対
して少なくとも二つの受信電極により静電容量(電磁界
強度)を検出できるようにしたものである。以下、具体
例について説明する。
【0031】(1)受信電極の形状 1)階段形状の受信電極 図4に階段形状の受信電極を示す。I.I.の周囲に図
4の形状を有する複数の受信電極を取り付けるものとす
ると、前記階段形状を有する少なくとも二つの受信電極
同士を重ねることなしにこれらの境界面を接するように
取り付けることによって、同一位置にある障害物を複数
の受信電極で検出するものである。受信電極と障害物の
高さを一定とした場合の上記図4の形状の受信電極で検
出する該受信電極と障害物との距離と静電容量との関係
は同図のグラフのようになる。
【0032】この図において、障害物が位置P1に存る場
合、該障害物は受信電極A面上に無いため、障害物と電
極間にできる静電容量CはC1と非常に小さく零に近
い。次に、障害物が位置P2に存る場合、障害物の表面積
の約1/4が受信電極A面上に存り、この面積比に応じて
静電容量はC2となる。そして、障害物が位置P3に存る
場合、障害物の表面積の約1/2が受信電極A面上に存
り、前記の障害物が位置P2に存る場合に比べて、約2倍
の面積が受信電極A面上に存るので、位置P3での静電容
量C3は位置P2の2倍となる。
【0033】同様に、障害物が位置P4に存る場合、障害
物の表面積の約3/4が受信電極A面上に存り、位置P4で
の静電容量C4は位置P2の3倍となる。そして、障害物が
位置P5に存る場合、障害物の表面積の全てが受信電極A
面上に存り、位置P5での静電容量C5は位置P2の4倍とな
る。さらに、障害物が位置P7に存る場合、障害物の表面
積の約3/4が受信電極A面上に存るので、位置P7での静
電容量C7は位置P4での静電容量C4と同じになり、また
障害物が位置P8、P9、P10に存る場合も、障害物が位置P
3、P2、P1に存る場合と同様な静電容量値をとる。この
ように、受信電極の形状を図4に示す階段状にすれば、
電極の中心Poまでの距離を左右対称に階段状に検出する
ことができる。
【0034】2)菱形形状の受信電極 受信電極の形状を図5に示す菱形とすると、各位置で受
信電極と障害物が重なる面積比が連続的に変化するた
め、図5のグラフに示すように障害物と受信電極間の距
離と静電容量の関係も連続的に変化する。これにより、
ある方向の位置P3と位置P4の間にある位置PXにおける
静電容量は、位置P3と位置P4で検出する静電容量の中間
値をとるため、図4に示した階段形状の受信電極に比べ
て障害物の位置PX、すなわち受信電極から障害物まで
の距離を求めることができる。このように、受信電極の
形状を図5に示す菱形形状にすれば、電極の中心Poまで
の距離を左右対称に連続的に検出することができる。
【0035】(2)受信電極の構造 受信電極の形状を上記図4の階段状又は図5の菱形状に
しても、一つの受信電極のみでは距離は測定できるが、
方向は検出できない。すなわち、図4の階段形状の受信
電極においては、例えば位置P3と位置P8における静電容
量は同じであり、これらの静電容量の値のみからでは障
害物が位置P3と位置P8のどの位置に存るかを区別するこ
とができない。同様に、図5の菱形形状の受信電極にお
いても、位置P3と位置P8では障害物と受信電極間の静電
容量は同じであるため、両者の区別ができない。言い換
えると、位置Poを電極の中心とすると、その左右のどち
ら側に障害物があるかを区別することができない。
【0036】そこで、上記形状の受信電極を複数用い、
これらが重ならないようにこれらの境界が接して配置す
る構造とし、前記複数の受信電極のうち少なくとも三つ
の受信電極で検出した静電容量の値から障害物と受信電
極(医用診断装置の可動部)間の距離と該障害物の方
向、すなわち位置を求めるものである。ここでは、図5
に示す菱形形状の受信電極A、受信電極B、受信電極
C、受信電極Dの四つの受信電極を用いた例について説
明する。図6にこれらの受信電極を組み合わせた構造図
と、障害物の位置と前記受信電極により検出される静電
容量との関係を示す。図6からわかるように、位置P10
にある障害物に対して受信電極Aと受信電極Bが接し、
位置P11にある障害物に対して受信電極Aと受信電極C
が接するように、任意の位置にある障害物を複数のセン
サで検出できる受信電極の形状及び隣接する受信電極同
士が接する構造である。例えば、障害物が受信電極Aの
位置P10にある場合、受信電極Aにおける静電容量はCa
0、受信電極Bにおける静電容量はCb0、受信電極C及
び受信電極Dにおける静電容量は零である。一方、障害
物が受信電極Aの位置P11に存る場合は、受信電極Aに
おける静電容量はCa1、受信電極B及びDにおける静電
容量は零、受信電極Cにおける静電容量はCc1となる。
したがって、障害物が受信電極Aの位置P+側にあるか、
位置P-側にあるかの区別は、受信電極Aに隣接する受信
電極B、もしくは受信電極Cで検出する静電容量により
検出することができる。すなわち、受信電極Cで検出す
る静電容量Cが零以上であれば、障害物は受信電極Aの
位置P-側にあり、静電容量Cが零であれば障害物は受信
電極Aの位置P+側にあると言える。さらに、受信電極B
で検出する静電容量も合わせて比較して、障害物が受信
電極Aの位置P+側にあるか、位置P-側にあるかを区別す
ることにより、障害物の位置を正確に検出することがで
き、一つの受信電極Aで障害物の位置を検出する場合よ
りも位置検出精度が向上する。なお、図4の形状の受信
電極についても上記と同様の構造とすることにより障害
物の距離と方向を検出することができる。
【0037】[2]本発明の障害物位置検出回路 図1に、図6に示した四つの菱形形状の受信電極A,
B,C,Dを用い、これらが重ならないように循環器X
線検査装置の可動部であるI.I.の表面全周に接して
配置する構造とし、前記複数の受信電極のうち少なくと
も二つの受信電極で検出した静電容量の値から障害物の
位置、すなわち該障害物と受信電極間の距離及び該障害
物の方向を求めるための回路構成図を示す。図中にて示
す静電容量型距離センサは、図2に示した従来と同じ公
知のセンサで、送信電極1、受信電極2及び該受信電極2
付近における電磁界強度を検出する回路51A、51B、51
C、51Dで構成され、回路51Aは電極Aに、回路51Bは
電極Bに、回路51Cは電極Cに、回路51Dは電極Dに対
応し、これらと距離・方向検出回路30とで位置検出回路
を構成している。35A、35B、35C、35Dは前記静電容
量型距離センサで検出した障害物と受信電極間の静電容
量値A、B、C、Dを入力してこれらの値から前記障害
物の位置(距離と方向)を検出する上記各電極領域にお
ける障害物の位置検出回路で、位置検出回路35Aは距離
換算回路31A、電圧比較回路32A、加算回路33A、オフ
セット電圧出力回路34Aで構成され、同様に位置検出回
路35Bは距離換算回路31B、電圧比較回路32B、加算回
路33B、オフセット電圧出力回路34Bで構成され、位置
検出回路35Cは距離換算回路31C、電圧比較回路32C、
加算回路33C、オフセット電圧出力回路34Cで構成さ
れ、位置検出回路35Dは距離換算回路31D、電圧比較回
路32D、加算回路33D、オフセット電圧出力回路34Dで
構成されている。50は前記各位置検出回路で検出した位
置信号を入力して、これらの信号から可動部の移動方向
や移動経路を求める移動方向経路演算回路である。
【0038】図1において、受信電極Aの電磁界強度は
検出回路51Aで検出し、この検出した電磁界強度を静電
容量に変換し、さらにアナログ電圧に変換して信号Aを
得る。同様に、受信電極B,C,Dの電磁界強度は検出
回路51B,51C,51Dで検出し、アナログ電圧信号B,
C,Dを得る。電極Aで検出した検出信号Aは、位置検
出回路35Aの距離換算回路31Aと位置検出回路35Bの電
圧比較回路32Bと位置検出回路35Cの電圧比較回路32C
に、電極Bで検出した検出信号Bは、位置検出回路35B
の距離換算回路31Bと位置検出回路35Aの電圧比較回路
32Aと位置検出回路35Dの電圧比較回路32Dに、電極C
で検出した検出信号Cは、位置検出回路35Cの距離換算
回路31Cと位置検出回路35Aの電圧比較回路32Aと位置
検出回路35Dの電圧比較回路32Dに、電極Dで検出した
検出信号Dは、位置検出回路35Dの距離換算回路31Dと
位置検出回路35Bの電圧比較回路32Bと位置検出回路35
Cの電圧比較回路32Cに入力する。
【0039】上記各位置検出回路の距離換算回路及び電
圧比較回路の出力とオフセット電圧出力回路34A,34
B,34C,34Dを加算回路33A,33B,33C,33Dに入
力し、該加算回路から位置信号(障害物までの距離と方
向)を出力して、これらを前記移動方向経路演算回路50
に入力する。次に、このような構成の回路で障害物の位
置を検出する動作について、障害物が電極Aの検出領域
に存る場合を例にとって説明する。障害物が受信電極A
の検出領域に存る場合は該障害物と移動体間の距離は検
出回路51Aで検出する静電容量から求め、障害物の方向
は検出回路51B、51Cで検出する静電容量から求める。
【0040】図1において、検出回路51B,51Cで検出
した信号Bと信号Cは電圧比較回路32Aに入力されて、
信号Bと信号Cを比較した信号BCを出力し、信号B>
信号Cの場合、電圧比較回路32Aからオン信号が出力さ
れ、信号B<信号Cの場合、オフ信号を出力する。そし
て、この信号BCは、受信電極において障害物の位置を
算出するための加算回路33Aに入力され、後述する計算
式の符号を選択する。一方、検出回路51Aで検出した信
号Aは距離に換算する距離換算回路31Aに入力し、後述
するように、受信電極の中心からの距離に応じた電圧値
に変換して、信号A'を出力する。この信号A'は、例え
ば図5に示したように受信電極の中心P0では最大値をと
り、中心から離れるにしたがって、受信電極の形状に応
じて静電容量値が減少する。この特性をもとに、信号A
を受信電極中心からの距離に応じたアナログ電圧値に換
算して出力し、障害物が電極の中心位置にある場合は中
心からの距離は零であるので、前記信号A'は零であ
り、中心から離れて行くにしたがって信号A'は増加す
る。そして、受信電極の端にある場合、信号A'は最大
値Vをとる電圧値に変換する。
【0041】このようにして変換した信号A'は、前記
加算回路33Aに入力する。加算回路33Aには、前記信号
A'と、オフセット電圧出力回路34Aからの受信電極の
中心位置に相当する電圧Acenterと、前記電圧比較回路
32Aからの信号BCが入力されて、これらの信号に基づ
いて信号Acenterと信号A'を加算して受信電極の中心
位置からの距離に対応した電圧を出力する。例えば、信
号BCがオンの場合、すなわち障害物が図6のP-側に存
る場合は、信号Acenterと信号A'は加算し、信号BCが
オフの場合、すなわち障害物が図6のP+側に存る場合
は、信号Acenterと信号A'は減算して加算回路33A か
ら障害物の現在位置信号(距離と方向)を出力する。ま
た、上記信号はすべてアナログ信号であることから、受
信電極Aにおける障害物の位置を連続的に検出すること
ができる。上記と同様にして受信電極B、C、Dについ
ても障害物の位置を連続的に検出することができる。
【0042】以上のことから、各加算回路3から出力す
るアナログ電圧信号を利用することで、各受信電極にお
ける障害物の位置を知ることができる。したがって、図
2に示す従来の静電容量型距離センサに位置検出回路30
を加えるのみで、容易に障害物の位置を連続的に検出す
ることができる。
【0043】[3]本発明の静電容量型位置センサによ
る障害物検出と医用診断装置の操作次に、上記の静電容
量型位置センサで障害物を検出し、これによって可動部
を適切に移動操作する例について、図7に示す循環器X
線検査装置のC字形アームの可動部であるイメージ・イ
ンテンシファイア(I.I.)に取付け、該I.I.を
障害物から退避あるいは目標の部位に位置決めする操作
について従来技術と比較して説明する。図8、図9に従
来例を示し、図10は本発明の例を示す。
【0044】(1)従来の例 従来の受信電極の形状は図8(a)に示すような四角の
形状であり、この受信電極をイメージ・インテンシファ
イア(I.I.)の前後左右を区別するために、図8
(b)に示すように該I.I.の表面に四つの受信電極
A、B、C、Dを取り付ける。また、各受信電極での電
磁界強度を検出する検出回路を該受信電極に接続し、受
信電極の数と同じ四つの検出回路A、B、C、Dが必要
である。したがって、図8(b)からわかるように、障
害物が位置Paにある場合は受信電極Aがこれを検出し、
位置Pbにある場合は受信電極Bがこれを検出する。しか
しながら、受信電極の形状が図8(a)に示したように
四角であるため、受信電極Aの検出領域中で、図8
(c)に示すように障害物が位置Pa1にあるか、図8
(d)に示すように位置Pa2にあるかの区別ができない。
すなわち、図8(a)、(b)からわかるように、どちら
の位置Pa1、Pa2にある障害物も受信電極Aによって検出
される。
【0045】ここで、イメージ・インテンシファイア
(I.I.)がモータによって移動する方向を図8
(e)に示すように、+A、-A、+B、-Bの四つの方向
とすると、障害物が位置Pa1に存る場合は受信電極Aが
これを検出する。イメージ・インテンシファイア(I.
I.)が-A方向に移動すると障害物に接触するので、
前記-A方向は障害物との接触方向となり、この方向は
移動禁止となる。したがって、イメージ・インテンシフ
ァイア(I.I.)が障害物と接触することなく退避で
きる方向は前記-Aの方向を除く+A、+B、-Bの三つの
方向が退避方向となる。一方、障害物が位置Pa2に存る
場合は、イメージ・インテンシファイア(I.I.)が
-B方向に移動すると障害物と接触する。したがって、
障害物が位置Pa2に存るときは、-A方向の他に-B方向
も接触する方向としなければならない。しかし、上記の
ように、図8(b)に示す電極の配置の場合、受信電極
Aの検出領域中で、障害物が位置Pa1にあるか、位置Pa2
にあるかの区別をすることができないため、退避移動で
きる方向に制限があるので、退避動作の自由度が少ない
ものとなり不都合なものとなる。そのため、従来は、接
触する可能性をできるだけ排除することを優先して、受
信電極Aが検出した領域と反対側へ移動する+A方向の
みを退避方向とし、残りの-A、-B、+Bの三つの方向
を接触方向として、移動禁止としていた。このことか
ら、障害物の位置により、-B、+Bの方向へ移動できる
場合があるにもかかわらず、これらの方向への移動を禁
止していることから、退避動作の自由度が少なく、操作
性を低下させていた。
【0046】また、図8(b)の受信電極間には
(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)のような障害物を検出
できない不感帯が存在する問題もある。そこで、上記退
避動作の自由度と不感帯の課題を改善する方法として、
図9(a)、(b)に示すように受信電極を図8に示す電
極数よりも多くすることが考えられる。
【0047】この方法によれば、図9(a)、(c)、
(d)からわかるように、障害物が位置Pa1にあるとき
は、受信電極A1がこれを検出し(図9(c))、位置Pa
2にあるときは、受信電極A2がこれを検出して(図9
(d))、障害物が位置Pa1と位置Pa2にある場合を区別
することができる。しかし、上記の図8の電極の場合と
同様に、受信電極A1において、さらに詳細に障害物の
位置を特定することはできない。
【0048】一方、イメージ・インテンシファイア
(I.I.)の退避動作について考えると、受信電極A
1で障害物を検出した場合、-A方向を接触方向として移
動禁止とし、受信電極A2で障害物を検出した場合、-
A、-Bの二つの方向を接触方向として移動禁止とすれ
ば、図8に示す電極の場合で生じた問題を解決できる。
このように、受信電極を図9(a)、(b)に示すように
細かく分割すれば、イメージ・インテンシファイア
(I.I.)の退避動作の問題を解決できる。しかし、
図9(b)に示すように、受信電極を細かく分割する
程、障害物の位置を正確に検出できるが、受信電極付近
の電磁界強度を検出する検出回路の数が増加する。ま
た、受信電極を細かく分割すると、受信電極の面積が小
さくなり、障害物と受信電極の間に形成する静電容量が
減少するため、検出できる距離が短くなる弊害が生じ
る。さらに、図8で生じた検出できない不感帯領域が存
在する問題は残る。
【0049】(2)本発明を用いた例 図10に図5の菱形形状の受信電極を四つ用い、この四
つの受信電極A、B、C、Dをイメージインテンスファ
イアI.I.に取り付けた例を示す。図10(a)は各
受信電極が重ならないで隣り合う受信電極同士が互いに
接するようにイメージインテンスファイアI.I.に取
り付けた図で、受信電極Aと受信電極B、Cの一部を示
す。図10(b)は四つの受信電極A、B、C、Dとイ
メージインテンスファイアI.I.の配置関係を示す
図、図10(c)、(d)は障害物の位置Pa1、pa2と受信
電極の位置との関係を示す図、図10(e)はI.I.
の左右上下移動方向+A、-A、+B、-Bを示す図であ
る。
【0050】図6で説明したように、受信電極A、B、
C、Dは、主受信電極によりこの電極と障害物間の静電
容量を測定し、この静電容量から前記主受信電極から障
害物までの距離を求め、前記主受信電極と隣り合う二つ
の受信電極で測定される静電容量を比較して前記障害物
の方向を求めて該障害物の位置Pを求める。すなわち、
障害物が位置Pa1にあるとき、受信電極Aと受信電極C
とで障害物の位置Pa1を検出し、障害物が位置Pa2にある
場合、受信電極Aと受信電極Bとで障害物の位置Pa2を
検出する。また、図5に示したように、受信電極の各位
置での静電容量は連続的に変化するために、障害物と受
信電極との距離を連続的に検出することができ、隣接す
る受信電極で検出する静電容量から障害物の方向もわか
るので位置検出精度が向上する。したがって、受信電極
を分割した図9(a)の場合よりも正確に障害物の位置
を検出することができる。さらに、障害物の位置を二つ
の受信電極で検出するようにしたので、図8、図9のよ
うな検出できない不感帯も存在しない。
【0051】その他、イメージ・インテンシファイア
(I.I.)の退避動作において、図9(a)の場合と
同様に、位置Pa1で障害物を検出した場合は-A方向を接
触方向として移動禁止とし、位置Pa2で障害物を検出し
た場合は-A、-Bの二つの方向を接触方向として移動禁
止とすれば、移動禁止の方向を最小限にすることができ
るので、退避方向の自由度が大きくなり、図8で生じた
問題を解決できる。
【0052】また、受信電極付近の電磁界強度を検出す
る検出回路の数について比較すると、図9に示す方法で
は合計八つであるが、本発明による図10では前記図9
の半分の四つであり、位置検出精度が向上した上に検出
回路は簡素なものとなる。また、図10(b)のよう
に、受信電極をイメージ・インテンシファイア(I.
I.)の周囲を4分割していることから、受信電極の面
積は図9(b)の場合の2倍と大きいので、検出できる
距離も大きく、障害物が受信電極から遠くの距離に存っ
ても該障害物を検出することができる。
【0053】以上のことから、図8に示した従来技術の
場合のイメージ・インテンシファイア(I.I.)の退避
方向は、障害物を検出した接触方向の反対側の一方向の
みであったが、本発明の図10の場合は障害物を検出し
た方向以外の全ての方向を退避方向とすることができ
る。したがって、本発明により、受信電極数や電磁界強
度を検出する検出回路を増やすことなく、イメージ・イ
ンテンシファイア(I.I.)のような可動部の退避、
移動方向の自由度が増え、これによって最短の距離で退
避や位置決めでき、これらの操作時間が短縮されて操作
性が大幅に向上するものとなる。
【0054】なお、本発明は、上記循環器X線検査装置
のC字形アームの他にも、可動部の退避や位置決め時に
患者や術者への接触を未然に防ぐ必要のあるX線診断装
置に適用できることはもちろんのこと、X線診断装置以
外の医用診断装置にも適用できることは言うまでもな
い。
【0055】
【発明の効果】以上、本発明によれば、受信電極を該受
信電極同士が重なることなく、かつ隣り合う受信電極同
士が接する形状とし、これらの複数の受信電極を医用診
断装置の可動部の周囲に取り付け、前記複数の受信電極
で検出した信号を位置検出回路に入力して前記可動部の
移動方向に存在する障害物までの距離及び該障害物の方
向、すなわち障害物の位置を正確に検出できるようにし
たので、前記可動部が障害物に接触する前に該可動部の
動作を自動的に停止、あるいは前記障害物を避けて目標
の位置に最短で移動させる機能の安全性、信頼性、操作
性が向上する医用診断装置の障害物検出システムを提供
できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静電容量型位置センサの構成を示す
図。
【図2】静電容量型距離センサの構成図。
【図3】図2の静電容量型距離センサの受信電極周辺に
生じる電磁界内に障害物が存る場合と無い場合の電磁界
分布の一例を示す図。
【図4】本発明による階段形状の受信電極を示す図。
【図5】本発明による菱形形状の受信電極を示す図。
【図6】図5に示す菱形形状の四つの受信電極を組み合
わせた受信電極の構成図及びこの構成の受信電極で検出
する障害物の位置と静電容量との関係を示す図。
【図7】本発明による静電容量型位置センサをイメージ
・インテンスフアイアに取り付けた図。
【図8】従来の静電容量型距離センサを循環器X線検査
装置のC字形アームの可動部であるイメージ・インテン
シファイア(I.I.)に取付け、このI.I.を障害
物から退避あるいは目標の部位に位置決めする動作の説
明図(その1)。
【図9】従来の静電容量型距離センサを循環器X線検査
装置のC字形アームの可動部であるイメージ・インテン
シファイア(I.I.)に取付け、このI.I.を障害
物から退避あるいは目標の部位に位置決めする動作の説
明図(その2)。
【図10】本発明による静電容量型位置センサを循環器
X線検査装置のC字形アームの可動部であるイメージ・
インテンシファイア(I.I.)に取付け、このI.
I.を障害物から退避あるいは目標の部位に位置決めす
る動作の説明図。
【符号の説明】
1 送信電極、2 受信電極、3 発振回路、4 増幅回
路、5 共振回路、6 増幅回路、7 比較増幅回路、8
医用診断装置の可動部、11 障害物検出信号(障害物と
受信電極間の静電容量)、20 C字形アーム、21 X線
管、22 イメージ・インテンスフアイア(I.I.)、
30 位置検出回路、31A、31B、31C、31D 距離換算
回路、32A、32B、32C、32D 電圧比較回路、33A、
33B、33C、33D 加算回路、34A、34B、34C、34D
オフセット電圧出力回路、35A、35B、35C、35D
各受信電極の位置検出回路、50 移動方向経路演算回
路、51A、51B、51C、51D 静電容量型距離センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2F063 AA03 AA37 BA29 BA30 BB02 BB05 CA09 CA10 CA34 CA40 DA01 DA05 DB05 DD04 DD05 DD07 EB26 HA04 KA01 KA05 LA02 LA17 LA22 LA23 ZA01 4C093 EC57

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁波を放射して検出対象物の周囲に電
    磁界を形成する送信電極と、該電磁界の強度を検出する
    受信電極と、該受信電極で検出した電磁界の強度から前
    記検出対象物と前記受信電極間の静電容量に変換する静
    電容量変換手段と、該静電容量変換手段の出力を距離に
    変換して前記検出対象物と前記受信電極間の距離を求め
    る静電容量型距離センサにおいて、前記受信電極は前記
    検出対象物が前記受信電極上に占める面積に応じて該検
    出対象物と受信電極間の静電容量が変化する形状である
    ことを特徴とする静電容量型距離センサ。
  2. 【請求項2】 電磁波を放射して検出対象物の周囲に電
    磁界を形成する送信電極と、該電磁界の強度を検出する
    受信電極と、該受信電極で検出した電磁界の強度から前
    記検出対象物と前記受信電極間の静電容量に変換する静
    電容量変換手段とを備え、前記受信電極は前記検出対象
    物が前記受信電極上に占める面積に応じて該検出対象物
    と受信電極間の静電容量が変化する形状であって、この
    形状の受信電極を複数備え、該複数の受信電極を隣接す
    る受信電極同士が重なることなくこれらの受信電極の境
    界面を接しさせて前記複数の受信電極を医用診断装置の
    可動部に取り付け、前記複数の受信電極で検出した電磁
    界強度を前記静電容量変換手段に入力して該静電容量変
    換手段の出力から前記検出対象物の位置を検出する位置
    検出手段を備えて成る位置センサ。
  3. 【請求項3】 前記静電容量変換手段は、前記複数の受
    信電極に対応した複数の静電容量変換手段から成り、前
    記可動部に取り付けた複数の受信電極のうちの一つの受
    信電極に対応した静電容量変換手段で変換された静電容
    量から前記検出対象物と前記一つの受信電極との距離を
    求め、前記一つの受信電極と隣り合う二つの受信電極に
    対応した静電容量変換手段で変換された静電容量から前
    記検出対象物の方向を求めて該障害物の位置を検出する
    ことを特徴とする請求項2に記載の位置センサ。
  4. 【請求項4】 前記位置検出手段は、前記可動部に取り
    付けた複数の受信電極のうちの一つの受信電極に対応し
    た静電容量変換手段で変換された静電容量を距離に変換
    する距離変換手段と、前記一つの受信電極と隣り合う二
    つの受信電極に対応した静電容量変換手段で変換された
    静電容量同士を比較する比較手段と、前記一つの受信電
    極の中心位置に相当するオフセット信号出力手段と、前
    記距離変換手段と比較手段とオフセット信号出力手段の
    出力とから前記検出対象物と前記一つの受信電極との距
    離及び前記検出対象物の方向を求める加算手段とから成
    ることを特徴とする請求項3に記載の位置センサ。
  5. 【請求項5】 請求項2,3,4に記載の位置センサを
    医用診断装置の可動部に設け、前記位置センサで前記可
    動部の可動時に該可動部の周囲の障害物を検出すること
    を特徴とする医用診断装置の障害物検出システム。
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