JP2001335844A - 条材熱処理装置および方法 - Google Patents

条材熱処理装置および方法

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JP2001335844A
JP2001335844A JP2000154588A JP2000154588A JP2001335844A JP 2001335844 A JP2001335844 A JP 2001335844A JP 2000154588 A JP2000154588 A JP 2000154588A JP 2000154588 A JP2000154588 A JP 2000154588A JP 2001335844 A JP2001335844 A JP 2001335844A
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strip
roll
heat
heating
heat treatment
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Kazunori Kikukawa
一徳 菊川
Kenichi Sasauchi
謙一 笹内
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Chugai Ro Co Ltd
Mitsubishi Shindoh Co Ltd
Original Assignee
Chugai Ro Co Ltd
Mitsubishi Shindoh Co Ltd
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  • Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)
  • Heat Treatments In General, Especially Conveying And Cooling (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属等の条材を急速に加熱および冷却でき、
しかも条材に傷が生じにくい条材熱処理装置を提供す
る。 【解決手段】 この条材熱処理装置は、内部に温度調節
機構28を備えた熱処理ロール22と、この熱処理ロー
ル22を回転駆動するための回転機構と、熱処理ロール
22の外周面に条材を当接させた状態で連続走行させる
ための走行機構とを具備する。熱処理ロール22は、円
柱形状をなすロール本体24と、このロール本体24の
外周面に巻回された耐熱布スリーブ26とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属製等の条材を
急速かつ均一に加熱または冷却できる条材熱処理装置お
よび方法、析出硬化型合金条の製造方法、および、片面
に模様を有する金属条材に関し、特に、条材表面に傷が
付くことを防ぐための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】金属等の条材を急速に加熱または冷却す
るための手段として、条材を連続走行させながら、この
条材に加熱または冷却された熱処理ロールを当接させ、
この熱処理ロールを条材と同速で回転させる方法が知ら
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この方法で
は、熱処理ロールによって条材に与える温度変化が大き
くなる程、熱処理ロールに当接している僅かな時間内に
条材が膨張もしくは収縮する量が大きくなり、条材の当
接領域の一部で条材と熱処理ロールとの走行速度にずれ
が生じて、両者の間に摩擦が起き、条材に摩擦痕が生じ
る傾向がある。このような摩擦痕は、特に、条材が熱処
理ロールに接触している箇所で高温軟化している場合に
顕著となり、商品の美観を低下させる問題があった。
【0004】なお、条材が熱処理ロールと接触する箇所
で軟化する場合の一例として、析出硬化型合金の条材を
溶体化処理する場合が考えられる。析出硬化型合金と
は、析出硬化元素を含有する合金をいい、この合金で
は、加熱により析出硬化元素を母相中に過飽和に固溶さ
せた後、固溶度曲線よりも低い温度に保持することによ
り、飽和固溶体の結晶粒内に金属間化合物の微粒子を析
出させ、時効硬化させることができるという特徴を有し
ている。
【0005】析出硬化元素を母相中に固溶させるには、
例えば600〜1000℃もの高温が必要であり、析出
硬化型合金の条材は軟化して、熱処理ロールとの僅かな
摩擦によっても摩擦痕が付きやすい状態となるのであ
る。
【0006】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、金属等の条材を急速に加熱および冷却でき、しかも
条材に傷が生じにくい条材熱処理装置および方法、析出
硬化型合金条の製造方法、および、片面に模様を有する
金属条材を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る条材熱処理装置は、内部に温度調節機
構を備えた熱処理ロールと、この熱処理ロールを回転駆
動するための回転機構と、前記熱処理ロールの外周面に
条材を当接させた状態で連続走行させるための走行機構
とを具備し、前記熱処理ロールは、円柱形状をなすロー
ル本体と、このロール本体の外周面に巻回された耐熱シ
ートとを具備することを特徴とする。
【0008】また、本発明に係る条材熱処理方法は、外
周面に耐熱シートが巻回された熱処理ロールの外周面を
所望温度に調整する工程と、条材を連続走行させる工程
と、連続走行する条材を熱処理ロールの外周面に当接さ
せつつ前記熱処理ロールを条材と同期させて回転するこ
とにより条材を熱処理する工程とを具備する。
【0009】また、本発明に係る析出硬化型合金条の製
造方法は、析出硬化元素を含有する析出硬化型合金製の
条材を薄肉化する圧延工程と、薄肉化された条材を連続
走行させつつ加熱する予備加熱工程と、外周面に耐熱シ
ートが巻回された加熱ロールの外周面を加熱する工程
と、予備加熱された条材を前記加熱ロールの外周面に当
接させつつ前記加熱ロールを条材と同期回転させ前記析
出硬化元素の溶体化温度まで加熱する溶体化処理工程
と、溶体化処理された条材を冷却する冷却工程とを具備
することを特徴とする。
【0010】さらに、本発明に係る金属条材は、一面の
全域に布模様をなす微小凹凸が形成され、他面は平滑と
されていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る条材熱処理
装置の一例を示す断面図である。図中符号Tは、図示し
ないアンコイラから繰り出される金属製等の条材Tであ
り、この条材Tは、図示しないピンチロールにより走行
速度を制御されつつ、ロール1および入側ロール2を経
て加熱炉6に導入される。加熱炉6の開口部16にはシ
ール4が固定され、このシール4を通して条材Tが導入
されることにより、加熱炉6からのガス放出が抑えられ
ている。
【0012】加熱炉6は、その下部内に予備加熱室8が
形成される一方、上部内には主加熱室10が形成されて
いる。予備加熱室8と主加熱室10との間には水平な隔
壁12が形成され、隔壁12には条材Tが垂直に通過す
るための開口部14が形成されている。主加熱室10内
の中央には、大径の加熱ロール(熱処理ロール)22
が、その軸線を条材Tの幅方向と平行にして、かつ軸線
回り回転可能に配置されており、入側ロール2から条材
Tは鉛直上方へ延ばされて加熱ロール22の上半面に巻
かれ、さらに鉛直下方へ延ばされている。
【0013】予備加熱室8は、入側ロール2から加熱ロ
ール22に向けて上方へ走行する条材Tのみを収容する
ように設けられ、加熱ロール22から下方へ走行する条
材Tは収容していない。条材Tが加熱ロール22から下
方へ向かう部分では、主加熱室10の底部隔壁が厚く、
しかも加熱ロール22に接近して形成され、条材Tは底
部隔壁に形成された開口部30を通じて、加熱炉6の外
に出される。これにより、加熱ロール22により加熱さ
れた条材Tが速やかに冷却されるようになっており、加
熱炉6は正面から見ると全体として逆L字型をなしてい
る。
【0014】予備加熱室8内には、条材Tの通過域の両
側に複数の予備加熱ノズル18が設けられ、これら予備
加熱ノズル18から、予備加熱室8内に高温のガスが供
給される。予備加熱用ガスとしては、加熱ロール22か
ら排出される高温の排ガスをそのまま使用することもで
きる。ただし、排ガスをそのまま使用すると条材Tが酸
化するおそれがある場合には、熱交換器(図示略)を介
して排ガスと熱交換させた不活性ガスか還元性ガス、ま
たは、排ガスと不活性ガスもしくは還元性ガスとの混合
ガスが使用される。このように廃熱を利用すれば加熱炉
6全体としての加熱効率を高めることができる。
【0015】加熱ロール22は、耐熱性に優れた耐熱合
金やステンレス鋼等の金属から形成されたロール本体2
4と、このロール本体24の外周面に巻回された耐熱布
スリーブ(耐熱シート)26とを具備しており、条材T
は耐熱布スリーブ26の外周面に当接するようになって
いる。
【0016】耐熱布スリーブ26は、冷却時のロール本
体24の外径よりも僅かに大きい内径を有する柔軟な布
製の筒であり、ロール本体24の外周面のうち、少なく
とも条材Tと当接する領域、より好ましくは外周面の全
域を覆っている。耐熱布スリーブ26の内径は、ロール
本体24が加熱されロール本体24が熱膨張すると、耐
熱布スリーブ26とロール本体24がほぼ隙間なく密着
し、しかも耐熱布スリーブ26にかかる張力が大きくな
りすぎないように寸法設定されている。したがって耐熱
布スリーブ26は、ロール本体24に対して固定されて
いなくてもよいが、必要であれば耐熱性の接着剤で固定
してもよいし、機械的な固定機構を設けてもよい。
【0017】耐熱布スリーブ26の材質としては、例え
ば、セラミックス系高温耐熱材料の長繊維を編んだ織
布、もしくは前記長繊維を使用した不織布が好適であ
る。セラミックス系高温耐熱材料としては、高温時の酸
化反応に強い酸化アルミニウムやジルコニアなどの酸化
物セラミックスが特に好ましいが、その他にも、炭化珪
素、炭化硼素などが例示できる。また、耐熱性がそれほ
ど要求されない場合には、アラミド繊維などの高分子材
料も使用できる。セラミックス系高温耐熱材料の長繊維
を編んだ織布は既に商品化されており、商品名を挙げる
とデュポン社の「ネクステル」、ニューテックス・イン
ダストリー社の「ゼテックス」および「ゼテックスプラ
ス」が例示できる。また、アラミド繊維の商品として
は、テイジン社性の「テクノーラ」が例示できる。な
お、耐熱布スリーブ26の代わりに、可能であれば織布
や不織布以外の柔軟な耐熱材料のシートを用いてもよ
い。
【0018】耐熱布スリーブ26の厚さは限定されない
が、あまり厚いとロール本体24から条材Tへの伝熱性
を阻害する一方、あまり薄いと耐久性に乏しいので、一
般的には0.2〜2mm程度であることが好ましい。耐
熱布スリーブ26は、矩形状の布を円筒状に縫い合わせ
たものであってもよいし、初めから円筒状に織られたも
のであってもよい。
【0019】ロール本体24の外周面は鏡面加工されて
いることが好ましいが、本発明では耐熱布スリーブ26
を設けているため、鏡面加工の精度は従来よりも低くて
よい。これも本発明の利点の一つである。ロール本体2
4の外径は本発明では制限されないが、加熱しやすさ
や、処理すべき条材Tの厚さや走行速度を考慮して、一
般には50〜150cm程度、より好ましくは75〜1
00cm程度に設定される。ロール本体24の軸方向両
端には中空のシャフト(図示略)が同軸に取り付けら
れ、これらシャフトは耐熱軸受および回転駆動機構(共
に図示略)により支持されている。回転駆動機構は、条
材Tの走行速度と同期してロール本体24を回転させる
ように制御される。
【0020】ロール本体24のシャフトの一端は、相対
回転を許容する回転シールを介して燃料供給源と空気供
給源にそれぞれ連結されており、燃料と空気が別個に供
給される。供給された燃料と空気は、ロール本体24内
に設けられたバーナー等の加熱手段(温度調節機構)2
8により均一に混合されて連続的に燃焼され、これによ
り、ロール本体24の外周面が均一な温度に加熱され
る。ロール本体24の外周面温度は条材Tに対して行う
べき熱処理温度に設定されるべきであり、本発明では限
定されない。
【0021】ロール本体24のシャフトの他端は、相対
回転を許容する回転シールを介して排ガス管(共に図示
略)に接続され、この排ガス管は、予備加熱室8内の予
備加熱ノズル18に接続されている。これにより、ロー
ル本体24内で発生した排ガスが予備加熱ノズル18か
ら予備加熱室8内に噴出されるようになっている。
【0022】なお、排ガス温度が高すぎる場合には放熱
器等を介して温度を適当に下げてから予備加熱室8内に
供給すればよい。また、排ガスを直接予備加熱室8内に
導入すると予備加熱室8内は一般に酸化性雰囲気になる
が、中性または還元性雰囲気にする必要があれば、予備
加熱室8内に別途、不活性ガスや還元性ガスを供給して
もよい。また、排ガス管を熱交換器(図示略)に接続
し、この熱交換器において、不活性ガスまたは還元性ガ
スと排ガスとを熱交換させた後、加熱された不活性ガス
または還元性ガスを予備加熱室8内に導入することも可
能であるし、加熱した不活性ガスまたは還元性ガスを排
ガスの一部と共に予備加熱室8内に導入してもよい。さ
らに、加熱ロール22からの廃熱を利用せずに、予備加
熱室8内に独立した加熱手段、例えば加熱バーナー、高
周波誘導加熱装置等を設けてもよい。
【0023】主加熱室10内にはまた、加熱ロール22
の周囲に、複数の補助ヒーター20が設けられ、主加熱
室10内の温度を上昇させる作用を果たしている。ただ
し、補助ヒーター20は本発明にとって必須ではなく、
加熱ロール22のみによって十分に条材Tの温度を高め
ることができれば、設けなくてもよい。
【0024】加熱炉6の開口部30の下方近傍には冷却
室39が形成されている。この冷却室39内には一対の
送りロール32が設けられ、送りロール32の下方に
は、条材Tの両面と対向して複数の冷却ノズル34が配
置されている。これら冷却ノズル34は図示しない送風
機に接続されており、強力な空気噴射によって条材Tを
急激に冷却する。空気の代わりに不活性ガスや還元性ガ
ス、さらに、可能であれば水などの液体を使用してもよ
い。
【0025】加熱ロール22から下方へ走行した条材T
は、出側ロール36に案内され、再び上方へ方向転換さ
れる。出側ロール36は冷却槽38内の冷却水に全体が
浸漬されており、これにより条材Tはさらに冷却され
る。
【0026】その後、条材Tはロール40を経て、図示
しない酸洗槽、水洗槽、湯洗槽を通過する。酸洗槽には
酸洗タンクが接続されており、酸化膜を溶解除去するた
めの酸溶液が循環されている。酸溶液が付着した条材T
は水洗槽内に満たされた水で洗浄され、さらに湯洗槽内
に満たされた湯で洗浄される。湯洗槽には湯洗タンクか
らの湯が循環される。湯の付着した条材Tは、ブロアで
両面に空気が吹き付けられ、湯滴が除去される。さら
に、乾燥機に導入されて熱風により条材Tが乾燥され、
リコイラで巻き取られるようになっている。
【0027】次に、上記構成からなる装置を使用した条
材熱処理方法の一例として、析出硬化型合金条の製造方
法を説明する。この方法を適用できる析出硬化型合金は
限定されないが、例えば、0.1%Zr−Cu合金(溶
体化処理温度940℃)などが挙げられる。
【0028】まず、圧延加工により製造した析出硬化型
合金からなる薄い条材Tをアンコイラにセットした後、
アンコイラから条材Tを送り出し、入側ロール2を経
て、条材Tを加熱炉6内に導入する。予備加熱室8に入
った条材Tを予備加熱ノズル18からの熱により予備加
熱する。条材Tの厚さは限定されないが、一般には0.
1〜1mm程度が好ましい。
【0029】予備加熱室8を通過した条材Tは次に、加
熱ロール22の回転に伴って、加熱ロール22に半周分
当接する。この過程で、条材Tは前記予備加熱温度から
溶体化処理温度に到るまで加熱される。加熱ロール22
の外周面温度は、条材Tの材質にあった溶体化処理温度
を超える温度に設定される。例えば、溶体化処理温度よ
りも0〜50℃程度高い温度が好適である。
【0030】加熱ロール22から条材Tが離れる時点で
は、条材Tの温度が加熱ロール22の外周面温度とほぼ
等しくなっていることが好ましい。この時点での条材T
の温度が加熱ロール22よりも低すぎる場合には、加熱
ロール22と条材Tの接触時間が足りないのであるか
ら、加熱ロール22の外径を大きくするか、条材Tの走
行速度を低下するべきである。
【0031】加熱ロール22に条材Tが接触している
間、条材Tの温度は急上昇し、条材Tが急激に熱膨張す
るとともに軟化する。このため、加熱ロール22の回転
速度を条材Tの走行速度と如何に同期させようとして
も、加熱ロール22に対する当接領域の少なくとも一部
では、条材Tの周速と加熱ロール22の周速との間にず
れが生じる。しかし、本発明の加熱ロール22の外周面
は柔軟な耐熱布スリーブ26で形成されており、条材T
に対する相手攻撃性が弱いため、軟化した条材Tが耐熱
布スリーブ26の表面と摩擦しても、条材Tの当接面に
傷が付くことが少ない。これにより、摩擦痕が少ない美
観に優れた条材を製造することができる。
【0032】なお、条材Tの軟化の程度によっては、耐
熱布スリーブ26の繊維模様が極僅かな凹凸として条材
Tの当接面に転写されることがある。しかし、この繊維
模様の凹凸量は摩擦痕の凹凸量よりも遙かに小さいもの
であり、品質上は全く無害である上、美観を高めるため
の模様としても使用することができる。また、条材Tの
表と裏を区別するためにも役立つ。繊維模様を除去した
い場合には、熱処理後の条材Tを軽く研磨するか、鏡面
ロールで軽圧延処理すればよい。
【0033】主加熱室10を通過した条材Tは、送りロ
ール32で下方へ送られ、さらに冷却ノズル34により
空気を吹き付けられて急激に冷却される。冷却ノズル3
4による冷却が終わり、出側ロール36に浸漬される箇
所では、条材Tの温度が析出硬化型合金の焼入温度より
も低くなっていることが好ましい。
【0034】冷却槽38内で冷却水に浸漬された条材T
は、酸洗槽で酸洗され、水洗槽で水洗され、さらに湯洗
槽で湯洗されたのちに、ブロアで水気を払われて乾燥機
で乾燥される。そして、リコイラでコイル状に巻き取ら
れる。
【0035】以上の構成からなる熱処理装置および方法
によれば、加熱ロール22に当接した条材Tが急激に熱
膨張しても、加熱ロール22の外周面は柔軟な耐熱布ス
リーブ26で形成されているから、軟化した条材Tの当
接面に傷が付くことが少なく、美観に優れた条材を製造
することができる。
【0036】また、上記実施形態の装置および方法によ
れば、加熱ロール22に条材Tを当接させ、加熱ロール
22の熱を熱伝導により条材Tへ伝えて条材Tを加熱す
るため、加熱ロール22の外周面温度が条材Tの加熱温
度へ正確に反映される。加熱ロール22の外周面温度
は、外周面における面方向への熱伝導により均一に保つ
ことが容易であるし、温度制御は加熱ロール22内の発
熱量の制御により高精度かつ穏やかに調整できるから、
条材Tが薄くてもその加熱温度を均一かつ高精度に制御
することが可能となる。したがって、加熱中の温度ばら
つきに起因する条材Tの変形が生じにくく、薄い条材T
の処理が可能である。
【0037】また、上記実施形態の方法では、1基の加
熱ロール22に当接して加熱された条材Tを、重力に逆
らわずに自然な状態で下方へ走らせ、その間に冷却ノズ
ル34で急冷するようにしているため、加熱中および加
熱後の条材Tに不均一な張力が掛からずに済み、この点
に起因する条材Tの変形も生じにくく、薄い条材Tの処
理が可能である。ただし、本発明はこの構成に限定され
ず、必要であれば加熱ロール22に当接して加熱された
条材Tを上方または他の方向へ走行させてもよいし、2
基以上の加熱ロールを使用してもよい。
【0038】また、条材Tを薄肉化した状態で溶体化処
理が行えるうえ、加熱ロール22から離れるとすぐに条
材Tの冷却が始まるため、溶体化処理後の冷却を急速に
行うことができ、固溶相結晶粒の成長を抑えて、微細な
結晶構造にすることが可能である。結晶粒が小さいほど
析出硬化粒による時効硬化が顕著になるため、より理想
的な時効硬化処理が可能となる。
【0039】また、予備加熱室8では、加熱ロール22
からの廃熱を利用して条材Tの予備加熱を行うようにし
ているので、エネルギーコストが安く済み、装置の構造
も単純化できる上、加熱ロール22による加熱温度と、
予備加熱温度とを連動制御することが容易であるという
利点も有する。
【0040】なお、以上の実施形態では、本発明を析出
硬化型合金条の製造に適用した例を挙げたが、本発明は
析出硬化型合金条の製造以外の熱処理、例えば、断面異
形条の連続焼鈍や、金属箔の高速連続焼鈍等に適用する
ことが可能である。また、本発明は加熱処理に限定され
ず、場合によっては、内部に冷却媒体が供給される冷却
ロールに、高温に加熱されている条材Tを当接させて、
条材Tを急冷する用途にも適用可能である。急冷された
条材Tには急激な収縮が生じるため、冷却ロールの外周
面との間に摩擦が生じるが、本発明によればそのときに
摩擦痕が生じることを防止できる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る条材
熱処理装置および方法によれば、熱処理ロールに当接し
た条材が急激に熱膨張または熱収縮しても、熱処理ロー
ルの外周面は柔軟な耐熱シートで形成されているから、
条材の当接面に傷が付くことが少なく、美観に優れた条
材を製造することができる。
【0042】また、本発明に係る析出硬化型合金条の製
造方法によれば、上記効果が得られるだけでなく、加熱
ロールに条材を当接させ、加熱ロールの熱を熱伝導によ
り条材へ伝えて条材を加熱するため、加熱ロールの外周
面温度が条材の加熱温度へ正確に反映される。加熱ロー
ルの外周面温度は、外周面における面方向への熱伝導に
より均一に保つことが容易であるし、温度制御は加熱ロ
ール内の発熱量の制御により高精度かつ穏やかに調整で
きるから、条材が薄くてもその加熱温度を均一かつ高精
度に制御することが可能となる。したがって、加熱中の
温度ばらつきに起因する条材の変形が生じにくく、薄い
条材の処理が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る条材熱処理装置の一実施形態を
示す断面図である。
【符号の説明】
T 条材 6 加熱炉 8 予備加熱室 10 主加熱室 18 予備加熱ノズル 20 補助ヒーター 22 加熱ロール 24 ロール本体 26 耐熱布スリーブ 28 加熱手段 32 送りロール 34 冷却ノズル 36 出側ロール 38 冷却槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笹内 謙一 大阪府大阪市西区京町堀2丁目4番7号 中外炉工業株式会社内 Fターム(参考) 3J103 AA02 AA13 AA41 AA51 BA02 FA09 GA02 GA15 HA02 HA13 HA19 HA41 HA51 HA60 4K034 AA05 BA03 EA12 EB02 EB06 EB07 4K043 AA02 FA12 GA07 GA08 GA09 GA10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に温度調節機構を備えた熱処理ロー
    ルと、この熱処理ロールを回転駆動するための回転機構
    と、前記熱処理ロールの外周面に条材を当接させた状態
    で連続走行させるための走行機構とを具備する条材熱処
    理装置であって、前記熱処理ロールは、円柱形状をなす
    ロール本体と、このロール本体の外周面に巻回された耐
    熱シートとを具備することを特徴とする条材熱処理装
    置。
  2. 【請求項2】 前記耐熱シートは、セラミックス系高温
    耐熱材料の長繊維を編んだ織布もしくは前記長繊維を使
    用した不織布であることを特徴とする請求項1記載の条
    材熱処理装置。
  3. 【請求項3】 外周面に耐熱シートが巻回された熱処理
    ロールの外周面を所望温度に調整する工程と、条材を連
    続走行させる工程と、連続走行する条材を熱処理ロール
    の外周面に当接させつつ前記熱処理ロールを条材と同期
    させて回転することにより条材を熱処理する工程とを具
    備する条材熱処理方法。
  4. 【請求項4】 析出硬化元素を含有する析出硬化型合金
    製の条材を薄肉化する圧延工程と、薄肉化された条材を
    連続走行させつつ加熱する予備加熱工程と、外周面に耐
    熱シートが巻回された加熱ロールの外周面を加熱する工
    程と、予備加熱された条材を前記加熱ロールの外周面に
    当接させつつ前記加熱ロールを条材と同期回転させ前記
    析出硬化元素の溶体化温度まで加熱する溶体化処理工程
    と、溶体化処理された条材を冷却する冷却工程とを具備
    することを特徴とする析出硬化型合金条の製造方法。
  5. 【請求項5】 一面の全域に布模様をなす微小凹凸が形
    成され、他面は平滑とされていることを特徴とする金属
    条材。
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