JP2001334356A - 低融点金属材料の射出成形方法、射出成形装置及び金属筐体 - Google Patents

低融点金属材料の射出成形方法、射出成形装置及び金属筐体

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JP2001334356A
JP2001334356A JP2000157101A JP2000157101A JP2001334356A JP 2001334356 A JP2001334356 A JP 2001334356A JP 2000157101 A JP2000157101 A JP 2000157101A JP 2000157101 A JP2000157101 A JP 2000157101A JP 2001334356 A JP2001334356 A JP 2001334356A
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injection molding
mold
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low melting
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Tatsuo Yoshida
達雄 吉田
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、一定以上の剛性及び強度確保しなが
ら一段と薄型化及び軽量化した金属筐体を射出成形でき
るようにする。 【解決手段】本発明は、キャビティ12を形成する左金
型11A又は右金型11Bの金型内表面に形成された偏
肉構造の凸状形成部21〜28に対応する凹状形成部4
4〜51を凹文字付き金属筐体40の裏面40Bに形成
し、当該凹状形成部44〜51にリブとしての役割を担
わせることにより、剛性及び強度を低下させることなく
平均的肉厚を従来に比して一段と薄型化及び軽量化した
凹文字付き金属筐体40を形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低融点金属材料の射
出成形方法、射出成形装置及び金属筐体に関し、例えば
ノートブック型パーソナルコンピュータ(以下、これを
ノート型パソコンと呼ぶ)に用いられる金属筐体を射出
成形する場合に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来、図17に示すようにノート型パソ
コン90の外周ボディを構成する金属筐体91には薄型
化及び軽量化を図るために低融点金属材料のマグネシウ
ム合金が用いられ、鋳造成形によって形成されるように
なされている。
【0003】この金属筐体91は、その材料として剛性
及び強度のあるマグネシウム合金が用いられたことによ
り、ノート型パソコン90を所有するユーザの携帯時及
び使用環境時において、金属筐体91の体裁面91Aに
対して外部から衝撃が加えられた場合でも、金属筐体9
1の裏面に取り付けられた液晶部品(図示せず)や回路
部品等を保護し得るようになされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところでかかる構成の
金属筐体91においては、その体裁面91Aに対して荷
重が負荷された場合でも液晶部品や回路部品等を保護し
得るように一定以上の剛性及び強度確保する必要があ
り、そのためには金属筐体91の平均肉厚を所定の厚さ
以上にする必要があり、一定以上の剛性及び強度確保し
ながら、これ以上薄型化及び軽量化することは困難であ
った。
【0005】本発明は以上の点を考慮してなされたもの
で、一定以上の剛性及び強度確保しながら一段と薄型化
及び軽量化した金属筐体を射出成形し得る低融点金属材
料の射出成形方法、射出成形装置及びその金属筐体を提
案しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め本発明においては、射出成形空間を形成する第1金型
部又は第2金型部の金型内表面に形成された偏肉構造の
凸状形成部に対応する凹状形成部を成形品に形成し、当
該凹状形成部にリブとしての役割を担わせることによ
り、剛性及び強度を低下させることなく平均的肉厚を従
来に比して一段と薄型化及び軽量化した成形品を形成す
ることができる。
【0007】また本発明においては、所定の金型温度に
加熱した金型内に設けられた所定形状の射出成形空間に
所定温度に加熱した低融点金属材料でなる溶湯を所定の
射出速度で射出し、当該射出した溶湯を冷却して固化し
た後に射出成形空間から成形品を取り出すことにより得
られる電子機器用の金属筐体において、成形品の一面に
所定の深さでなる所定形状の凹状形成部が設けられたこ
とにより、当該凹状形成部がリブとして動作するので剛
性及び強度が低下することなく平均的肉厚を従来に比し
て一段と薄型化及び軽量化することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下図面について、本発明の一実
施の形態を詳述する。
【0009】本発明においては、ノートブック型パーソ
ナルコンピュータの液晶ディスプレイが取り付けられた
表示部の外側ボディに用いられる金属筐体の材料として
低融点金属材料のマグネシウム合金を使用し、後述する
射出成形装置の金型で射出成形することによって、体裁
面から僅かに凹ませた形状で表される文字(以下、これ
を凹文字と呼ぶ)を成形すると共に、裏面に所定形状の
凹状形成部を複数成形することにより、一定以上の剛性
及び強度確保しながら一段と薄型化及び軽量化した凹文
字付き金属筐体を形成するものである。
【0010】ここで低融点金属材料とは、融点が650
〔℃〕以下の金属元素単体もしくはこれらの金属を基に
した合金を称し、例えばアルミニウム、マグネシウム、
亜鉛、錫、鉛、ビスマス、テルビウム、テルル、カドミ
ウム、タリウム、アスタチン、ポロニウム、セレン、リ
チウム、インジウム、ナトリウム、カリウム、ルビジュ
ウム、セシウム、フランシウム、ガリウム等を挙げるこ
とができるが、特にアルミニウム、マグネシウム、鉛、
亜鉛、ビスマス、錫の単体及びこれらの金属を基にした
合金が望ましい。
【0011】これらの金属材料は、いずれも射出成形装
置で混練溶融して成形できる金属元素あるいは合金であ
る。これらの金属材料は、インゴット(金属の塊)をチ
ッピングマシンでチップ化して得る他、切削マシンで切
削して得られる切削粉を利用することができ、さらには
水等の冷却媒体に溶融金属を滴下して作ることも可能で
ある。なお金属材料は、還元法、回転消耗電極法等によ
って得ることもできる。
【0012】これらの方法によって得られる金属材料
は、適度に形状が小さくかつ粉体とは異なって取扱が容
易で射出成形装置の金型内に送られる過程で容易に溶融
するようになされている。因みに、本発明においては低
融点金属材料としてJIS(Japanese Industorial Stan
dard) 規格における「AZ91D」のマグネシウム合金
を用いた場合を一例として以下説明する。
【0013】図1において、10は全体として本発明に
おけるホットチャンバ方式の射出成形装置を示し、油圧
シリンダ8によって可動側の右金型11Bを矢印D方向
に移動して、第1金型部としての左金型11A及び第2
金型部としての右金型11Bを互いに当接させることに
より金型11内に所定形状の射出成形空間(以下、これ
をキャビティと呼ぶ)12を形成し、当該キャビティ1
2に対して射出装置9からランナ9A及びサブランナ9
Bを介して低融点金属材料の溶湯を所定の射出速度で一
様に射出する。
【0014】そして射出成形装置10は、キャビティ1
2内に射出した溶湯を冷却個化した後、油圧シリンダ8
によって右金型11Bを矢印C方向に移動することによ
り、固定側の左金型11Aと可動側の右金型11Bとを
分離してキャビティ2から凹文字付き金属筐体(後述す
る)を成形品として取り出すようになされている。
【0015】ここで射出成形装置10においては、X−
X′線で断面にとった左金型11Aの金型内表面13の
構造を図2に示し、右金型11Bの金型内表面20の構
造を図3に示す。因みに図2においてY−Y′線で断面
にとった左金型11Aと、図3においてZ−Z′線で断
面にとった右金型11Bとを当接したものが図1とな
る。
【0016】すなわち図2において左金型11Aは、金
型内表面13をキャビティ12の内部から正面に見た状
態が示されており、下方の射出装置9(図1)から直径
30[mm]の円筒状のランナ9A及び底辺185[mm] 、高さ13
0[mm] の扇形状のサブランナ9Bを介してキャビティ1
2にマグネシウム合金の溶湯が一様に射出されるように
なされている。
【0017】ここでサブランナ9B(図1)は、左金型
11Aの金型内表面13と同一面上に形成されているの
ではなく、当該金型内表面13とは異なる面上に形成さ
れている。
【0018】また左金型11Aは、成形後の凹文字付き
金属筐体の体裁面に形成される予定の凹文字に対応した
凸文字形成部15(「VAIO(登録商標)」の逆文
字)が金型内表面13のほぼ中央に当該金型内表面13
から僅かに突出した状態で形成されている。
【0019】因みに左金型11Aは、金型内表面13の
四隅が全て円弧状に面取りされており、成形後の凹文字
付き金属筐体に鋭角度な角部が成形されることを防止し
ている。
【0020】また図3において右金型11Bは、金型内
表面20をキャビティ12の内部から正面に見た状態が
示されており、左金型11Aと同様に、下方の射出装置
9(図1)から円筒状のランナ9A及び扇形状のサブラ
ンナ9Bを介してキャビティ12にマグネシウム合金の
溶湯が一様に射出されるようになされている。
【0021】この場合もサブランナ9B(図1)は、右
金型11Bの金型内表面20と同一面上に形成されてい
るのではなく、当該金型内表面20とは異なる面上に形
成されている。
【0022】右金型11Bの金型内表面20には、キャ
ビティ12を形成したときの左金型11Aの金型内表面
13に設けられた凸文字形成部15と対向する位置に、
同一形状及び同一サイズの凹文字形成部30(「VAI
O」)が当該金型内表面13から僅かに凹んだ状態で形
成されている。
【0023】また右金型11Bの金型内表面20には、
凹文字形成部30の上段側及び下段側に略長方形状の凸
状形成部21〜24及び25〜28が当該金型内表面2
0から僅かに突出した状態で形成されている。
【0024】この場合、凹文字形成部30の上段側に形
成された凸状形成部21〜24は、長手方向を縦向きに
揃えた状態で所定の間隔毎に横一列に配列されると共
に、長手方向が49.0[mm]、短手方向が30.0[mm]で各角部
が半径2.5[mm] 程度の円弧状にそれぞれ面取りされた面
取部R21〜R24を有している。
【0025】また凹文字形成部30の下段側に形成され
た凸状形成部25〜28は、射出装置9から射出された
マグネシウム合金の溶湯がランナ9A及びサブランナ9
Bを介して流れ込む流動方向に長手方向を沿わせるよう
に所定の間隔で横一列に配列されており、これによりマ
グネシウム合金の溶湯が凸状形成部25〜28によって
極力遮られないように工夫されている。
【0026】なお凹文字形成部30の下段側に形成され
た凸状形成部25〜28は、長手方向が59.0[mm]、短手
方向が30.0[mm]で、マグネシウム合金の溶湯が勢い良く
流れ込む射出口の近傍に位置する角部に凸状形成部21
〜24よりも大きな半径10[mm]程度の円弧状に面取り
された面取部R25〜R28が形成されており、これに
よりマグネシウム合金の溶湯が滑らかにキャビティ12
内に一様に流れ込んで短時間で充填されるようになされ
ている。
【0027】すなわち凸状形成部25には、左下端部に
半径10[mm]程度の円弧状の面取部R25が形成されて
いることにより、矢印Eで示す流動方向に流れる溶湯を
遮らないようにし、また凸状形成部28にも右下端部に
半径10[mm]程度の円弧状の面取部R28が形成されて
いることにより、矢印Hで示す流動方向に流れる溶湯を
遮らないようにしている。
【0028】また凸状形成部26には、右下端部に半径
10[mm]程度の円弧状の面取部R26が形成されている
ことにより、矢印Fで示す流動方向に流れる溶湯を遮ら
ないようにし、また凸状形成部27にも左下端部に半径
10[mm]程度の円弧状の面取部R27が形成されている
ことにより、矢印Gで示す流動方向に流れる溶湯を遮ら
ないようにしている。
【0029】因みに右金型11Bも、左金型11Aと同
様に金型内表面20の四隅が全て円弧状に面取りされて
おり、成形後の金属筐体に鋭角度な角部が成形されるこ
とを防止すると共に、周縁部に液晶ディスプレイ(図示
せず)の取付用のねじ穴を成形するためのピン33が複
数設けられている。
【0030】次に、図4を用いてキャビティ12の断面
構造を詳細に説明する。左金型11Aの金型内表面13
上に形成された凸文字形成部15の凸文字部14は、断
面台形状でなり、右金型11Bの金型内表面20から金
型内表面13までのキャビティ12の基本的な空間高さ
h0(=1.2[mm] )に対して、金型内表面13から上辺
14Aまでの台形高さh1(=0.4[mm] )でなり、金型
内表面13と斜辺14B及び14Cとの接続部分と、斜
辺14B及び14Cと上辺14Aとの接続部分にそれぞ
れ円弧状の面取部R1(=0.15[mm])及びR2(=0.15
[mm])がそれぞれ形成されている。
【0031】実際上、凸文字部14の台形高さh1(=
0.4[mm] )については、 0.3[mm]〜0.5[mm]の範囲で形
成されていれば良く、面取部R1及びR2(=0.15[m
m])についても円弧の半径が 0.1[mm]〜 0.2[mm]の範囲
で形成されていれば良い。
【0032】すなわちキャビティ12の基本的な空間高
さh0に対して、凸文字部14の台形高さh1は約25
パーセント〜約40パーセント、面取部R1及びR2に
おける円弧の半径は約8パーセント〜17パーセントで
あれば良い。
【0033】同時に断面台形状の凸文字部14は、斜辺
14B及び14Cが金型内表面13と直交する仮想辺に
対して約5度に傾斜しており、キャビティ12に射出さ
れた溶湯が斜辺14B及び14Cの傾斜によって流れ易
くなるようになされている。この場合も、斜辺14B及
び14Cが金型内表面13と直交する仮想辺に対して約
4度〜6度に傾斜していれば良い。
【0034】また、右金型11Bの金型内表面20上に
形成された凹文字形成部30の凹文字部31は断面台形
状で、キャビティ12の基本的な空間高さh0(=1.2
[mm])に対して金型内表面20から底辺31Aまでの台
形深さh3(=0.4[mm] )でなり、金型内表面20と斜
辺31B及び31Cとの接続部分と、斜辺31B及び3
1Cと底辺31Aとの接続部分にそれぞれ円弧状の面取
部R3(=0.15[mm])及びR4(=0.15[mm])が形成さ
れている。
【0035】すなわち、左金型11に形成された凸文字
形成部15における凸文字部14と、右金型11Bの金
型内表面20上に形成された凹文字形成部30の凹文字
部31とは同一形状及び同一サイズを有しており、この
結果凸文字部14の上辺14Aと凹文字部31の底辺3
1Aとの距離h4(=1.2[mm] )がキャビティ12の空
間高さh0(=1.2[mm] )と等しくなるようになされて
いる。
【0036】さらに、右金型11Bの金型内表面20上
に形成された略長方形状でかつ断面台形状の凸状形成部
22は、台形高さh5(=0.4[mm] )に形成されてお
り、略長方形状でかつ断面台形状の凸状形成部26も凸
状形成部22と同様に台形高さh5(=0.4[mm] )に形
成されている。
【0037】なお凸状形成部22及び26についても、
凹文字形成部30の凹文字部31と同様に斜辺22B及
び26Cと上辺22A及び26Aとの接続部分と、金型
内表面20と斜辺22B及び26Cとの接続部分とには
それぞれ円弧状の面取部R5(=0.15[mm])及びR6
(=0.15[mm])が形成されている。
【0038】実際上、凸状形成部22及び26の台形高
さh5(=0.4[mm] )については、0.3[mm]〜 0.5[mm]
の範囲で形成されていれば良く、面取部R5及びR6
(=0.15[mm])についても円弧の半径が 0.1[mm]〜 0.2
[mm]の範囲で形成されていれば良い。
【0039】すなわちキャビティ12の基本的な空間高
さh0に対して、凸状形成部22及び26の台形高さh
5は約25パーセント〜約40パーセント、面取部R5
及びR6における円弧の半径は約8パーセント〜17パ
ーセントであれば良い。
【0040】同時に断面台形状の凸状形成部22及び2
6は、斜辺22B及び26Cが金型内表面20と直交す
る仮想辺に対して約5度に傾斜しており、キャビティ1
2内に射出された溶湯が斜辺22B及び26Cの傾斜に
よって流れ易くなるようになされている。この場合も、
斜辺22B及び26Cが金型内表面20と直交する仮想
辺に対して約4度〜6度に傾斜していれば良い。
【0041】従って、左金型11Aと右金型11Bとに
よって形成されるキャビティ12は、当該キャビティ1
2内にマグネシウム合金の溶湯が射出されたとき、図5
に示すように金型内表面13上に設けられた凸文字部1
4が、流入される溶湯に対して鈍角となる斜辺14B及
び14Cを持った断面台形状に形成されていることによ
り、溶湯が凸部14の斜辺14B及び14Cで乱反射す
ること無く一様に流れ込むようになされている。
【0042】同様に金型11は、右金型11Bの金型内
表面20上に設けられた凹文字形成部30の凹文字部3
1や凸状形成部22及び26についても、流入される溶
湯に対して鈍角となる斜辺31B、31C、22B及び
26Cを持った断面台形状に形成されていることによ
り、溶湯が凹文字部31や凸状形成部22及び26の斜
辺31B、31C、22B及び26Cで乱反射すること
無く一様に流れ込むようになされている。
【0043】従って射出成形装置10は、金型11のキ
ャビティ12内で溶湯の流れを乱すことなく一様に流し
込み得ることにより、成形後の凹文字付き金属筐体の表
面に干渉縞が生じることを防止し得ると共に、キャビテ
ィ12内に一様に溶湯を流し込むことができるので成形
後の凹文字付き金属筐体の凹文字及び凸文字の輪郭を明
確に形成し得るようになされている。
【0044】同時に、射出成形装置10においては、左
金型11Aの凸文字部14、右金型11Bの凹文字部3
1、凸状形成部22及び26がそれぞれ断面台形状に形
成されていることにより、高温の溶湯が凸文字部14、
凹文字部31、凸状形成部22及び26に衝突する際の
角度が鈍角化して当該凸文字部14、凹文字部31、凸
状形成部22及び26に衝突する際の衝撃力が弱まるこ
とから、衝撃による凸文字部14、凹文字部31、凸状
形成部22及び26の高温化を防止し得るようになされ
ている。
【0045】これにより射出成形装置10は、凸文字部
14、凹文字部31、凸状形成部22及び26の表面に
溶湯が付着してしまうことがなくなり、かくして凸文字
部14、凹文字部31、凸状形成部22及び26に対応
した成形後の凹文字付き金属筐体の体裁面に成形される
凹文字、裏面に成形される凸文字及び凹部に不要な段差
が生じることを防止し得るようになされている。
【0046】また射出成形装置10は、高温の溶湯が凸
文字部14、凹文字部31、凸状形成部22及び26に
衝突する際の角度を鈍角化させて当該凸文字部14、凹
文字部31、凸状形成部22及び26に衝突する際の衝
撃力を弱めていることにより、凸文字部14、凹文字部
31、凸状形成部22及び26の高温化による劣化及び
欠けを防止することができ、かくして金型11の耐久性
を大幅に向上させ得るようになされている。
【0047】実際上、射出成形装置10は金型11を約
220 〔℃〕に加熱し、この状態で金型11のキャビティ
12内に約620 〔℃〕に溶融したマグネシウム合金の溶
湯を射出装置9から約 80[m/s]の射出速度で射出し、当
該射出した溶湯をキャビティ12内で冷却個化した後、
油圧シリンダ8によって右金型11Bを矢印C方向に移
動することにより左金型11Aと右金型11Bとを分離
して成形品である凹文字付き金属筐体を金型11から取
り出すようになされている。
【0048】これにより図6に示すように、射出成形装
置10によって射出成形された凹文字付き金属筐体40
は、キャビティ12と同一形状及び同一サイズでなり、
左金型11Aの金型内表面13上に形成された凸文字形
成部15(図2)に対応した凹文字でなる凹状意匠形成
部41がその体裁面40Aのほぼ中央に形成されてい
る。
【0049】なお金型11のキャビティ12から取り出
された凹文字付き金属筐体40は、ランナ9A及びサブ
ランナ9Bに充填された溶湯が固化することにより形成
された不要部分42が付着しており、実際には当該不要
部分42が切り離されることになる。
【0050】この場合凹文字付き金属筐体40は、キャ
ビティ12と同一サイズの縦198[mm] 、横259[mm] 、周
縁部の高さ5[mm]となっている。但し凹文字付き金属筐
体40の基本的な肉厚は、キャビティ12の空間高さh
0(=1.2[mm] )と同じである。
【0051】この凹文字付き金属筐体40は、図7に示
すように、右金型11Bの金型内表面20上に設けられ
た凹文字形成部30に対応した凸文字状の凸状意匠形成
部43(「VAIO」の逆文字)がその裏面40Bのほ
ぼ中央に形成され、右金型11Bの金型内表面20上に
設けられた凸状形成部21〜24に対応した形状の凹状
形成部44〜47が凸状意匠形成部43の上段側に形成
されると共に、凸状形成部25〜28に対応した形状の
凹状形成部48〜51が凸状意匠形成部43の下段側に
形成されている。
【0052】従って凹文字付き金属筐体40は、その裏
面40Bに凸状の凸状意匠形成部43と、凹状の凹状形
成部44〜51とが形成されていることになり、かくし
て裏面40Bが凹凸状に形成されたことになる。
【0053】因みに凹状形成部44〜47及び凹状形成
部48〜51には、右金型11Bにおける凸状形成部2
1〜24及び凸状形成部25〜28の各面取部21A〜
24A及び25A〜28Aに対応した面取部44A〜4
7A及び48A〜51Aが形成されている。
【0054】また凹文字付き金属筐体40は、右金型1
1Bの金型内表面20上に設けられたピン33に対応し
た複数のねじ穴55が裏面40Bの周縁部に沿って設け
られており、当該ねじ穴55を介して液晶ディスプレイ
や回路部品等が取り付けられるようになされている。
【0055】例えば図7のQ−Q′断面でとった図8に
示すように、凹文字付き金属筐体40はその断面構造と
して基本的な肉厚h10(=1.2[mm] )がキャビティ1
2の空間高さh0(=1.2[mm] )と等しく、体裁面40
Aに凹状意匠形成部41が形成され、裏面40Bに凸状
意匠形成部43、凹状形成部46及び50が形成されて
いる。
【0056】凹状意匠形成部41は、左金型11Aの金
型内表面13上に形成された凸文字形成部15と同一形
状及び同一サイズであり、体裁面40Aから底辺41A
までの台形深さh11(=0.4[mm] )で、体裁面40A
と斜辺41B及び41Cとの接続部分と、斜辺41B及
び41Cと底辺41Aとの接続部分とにはそれぞれ円弧
状の面取部R11(=0.15[mm])及びR12(=0.15[m
m])が形成されている。
【0057】また凸状意匠形成部43は、右金型11B
の金型内表面20上に形成された凹文字形成部30と同
一形状及び同一サイズであり、裏面40Bから上辺43
Aまでの台形高さh13(=0.4[mm] )で、裏面40B
と斜辺43B及び43Cとの接続部分と、斜辺43B及
び43Cと上辺43Aとの接続部分とにはそれぞれ円弧
状の面取部R13(=0.15[mm])及びR14(=0.15[m
m])が形成されている。
【0058】さらに凹状形成部46及び50は、右金型
11Bの金型内表面20上に形成された凸状形成部22
及び26と同一形状及び同一サイズであり、裏面40B
から底辺46A及び50Aまでの台形深さh15(=0.
4[mm] )で、裏面40Bと斜辺46B及び50Cとの接
続部分と、斜辺46B及び50Cと底辺46A及び50
Aとの接続部分とにはそれぞれ円弧状の面取部R15
(=0.15[mm])及びR16(=0.15[mm])が形成されて
いる。
【0059】但し凹文字付き金属筐体40は、金型11
のキャビティ12の空間寸法に対応して成形されるた
め、体裁面40Aから凹状意匠形成部41の底辺41A
までの台形深さh11(=0.4[mm] )については 0.3[m
m]〜 0.5[mm]の範囲で形成されていれば良く、面取R1
1及びR12(=0.15[mm])についても円弧の半径が
0.1[mm]〜 0.2[mm]の範囲で形成されていれば良い。
【0060】すなわち凹文字付き金属筐体40は、体裁
面40Aから裏面40Bまでの基本的な肉厚h10に対
して体裁面40Aから凹状意匠形成部41の底辺41A
までの台形深さh11が約25パーセント〜約40パー
セント、面取部分R11及びR12における円弧の半径
が約8パーセント〜17パーセントであれば良い。
【0061】また凹状意匠形成部41は、体裁面40A
と直交する仮想辺に対して斜辺41B及び41Cが約5
°に傾斜しており、この場合も実際には約4度〜6度の
範囲内で傾斜していれば良い。
【0062】また凸状意匠形成部41は、裏面40Bか
ら上辺43Aまでの台形高さh13(=0.4[mm] )につ
いても 0.3[mm]〜 0.5[mm]の範囲で形成されていれば良
く、面取R13及びR14(=0.15[mm])についても円
弧の半径が 0.1[mm]〜 0.2[mm]の範囲で形成されていれ
ば良い。
【0063】すなわち凸状意匠形成部41は、体裁面4
0Aから裏面40Bまでの基本的な肉厚h10に対し
て、裏面40Bから上辺43Aまでの台形高さh13が
約25パーセント〜約40パーセント、面取部分R13
及びR14における円弧の半径が約8パーセント〜17
パーセントであれば良い。
【0064】さらに凸状意匠形成部41は、裏面40B
と直交する仮想辺に対して斜辺43B及び43Cが約5
°に傾斜しており、この場合も実際には約4度〜6度の
範囲内で傾斜していれば良い。
【0065】また凹状形成部46及び50は、裏面40
Bから底辺46A及び50Aまでの台形深さh15(=
0.4[mm] )についても 0.3[mm]〜 0.5[mm]の範囲で形成
されていれば良く、面取R15及びR16(=0.15[m
m])についても円弧の半径が 0.1[mm]〜 0.2[mm]の範囲
で形成されていれば良い。
【0066】すなわち凹状形成部46及び50は、体裁
面40Aから裏面40Bまでの基本的な肉厚h10に対
して、裏面40Bから底辺46A及び50Aまでの台形
深さh15が約25パーセント〜約40パーセント、面
取部分R15及びR16における円弧の半径が約8パー
セント〜17パーセントであれば良い。
【0067】さらに凹状形成部46及び50は、裏面4
0Bと直交する仮想辺に対して斜辺46B及び50Cが
約5°に傾斜しており、この場合も実際には約4度〜6
度の範囲内で傾斜していれば良い。
【0068】実際上、凹文字付き金属筐体40は、裏面
40B上に凹状形成部44〜51が形成されたことによ
り、当該凹状形成部44〜51と裏面40Bとの段差が
リブの役割を担って剛性及び強度が向上することにな
り、かくして肉厚h10を従来と等しくした場合には一
段と剛性及び強度を向上し得ると共に、従来と同様の剛
性及び強度を確保した場合には従来よりも肉厚h10を
一段と薄型化及び軽量化し得るようになされている。
【0069】また凹文字付き金属筐体40は、凹状形成
部44〜51の角部に円弧状の面取部44A〜51A
(図7)が形成されており、当該面取部44A〜51A
の円弧形状によって捩じれ強度が増大し得るようになさ
れている。
【0070】図9及び図10に示すように、凹文字付き
金属筐体40が用いられたノートパソコン60において
は、本体61に対して開閉自在な表示部62の背面に凹
文字付き金属筐体40が外側ボディとして取り付けられ
ており、当該表示部62にはその内側に各種表示を行う
液晶ディスプレイ63が取り付けられている。
【0071】図11及び図12に示すようにノートパソ
コン60は、例えば携帯するために表示部62が閉じら
れた場合、凹文字付き金属筐体40が液晶ディスプレイ
63を外部の衝撃等から保護するようになされており、
当該凹文字付き金属筐体40が一定の剛性及び強度を備
えていることによって衝撃が規定値以下の荷重であれば
体裁面40Aが撓む程度で済み、液晶ディスプレイ63
や内部の回路部品に対して何ら影響を与えないようにな
されている。
【0072】ところで、凹文字付き金属筐体40の剛性
及び強度を評価する場合、図13に及び図14に示すよ
うな剛性評価装置70を用いて行われる。
【0073】この剛性評価装置70は、重量計71の上
にバネ71Aを介して専用治具72が固定されており、
当該専用治具72の上に凹文字付き金属筐体40を平置
きに載せることにより測定準備を行う。
【0074】続いて剛性評価装置70は、凹文字付き金
属筐体40(図14)の体裁面40Aに載せた1円玉形
状圧子74に荷重を負荷し、このとき1円玉形状圧子7
4に負荷された荷重を重量計71(図13)によって検
出すると共に、凹文字付き金属筐体40の裏面40Bに
1円玉形状圧子74と対向するように押し当てられたダ
イヤルゲージ73によって、荷重に対する凹文字付き金
属筐体40の撓み量を検出するようになされている。
【0075】例えば図15に示すように、剛性評価装置
70においては凹文字付き金属筐体40がサンプルT−
1で、1[kg]荷重が負荷されたときの平均的な撓み量が
1.10[mm]となり、従来のものと比較して格段に剛性及び
強度が向上していることを実験によって検証している。
【0076】以上の構成において、射出成形装置10は
金型内表面13に凸文字形成部15が形成された左金型
11Aと、金型内表面20に凹文字形成部30、凸状形
成部21〜28が形成された偏肉構造の右金型11Bと
を当接させることにより金型11でキャビティ12を形
成し、当該金型11を用いて所定の金型温度、所定の溶
融温度及び所定の射出速度の射出成形条件の基でマグネ
シウム合金の溶湯をキャビティ12内に射出する。
【0077】このとき射出成形装置10は、右金型11
Bの金型内表面20に形成された凸状形成部21〜28
が長手方向を溶湯の流動方向に沿わせるように複数配列
されていると共に、溶湯が勢い良く流れ込む射出口近傍
の凸状形成部25〜28の角部が半径10[mm]程度の円
弧状に面取りされているので、当該凸状形成部21〜2
8に溶湯が遮られてしまうことがなく一様に溶湯を流し
込むことができると共に短時間で充填することができ
る。
【0078】従って射出成形装置10は、金型11のキ
ャビティ12内に溶湯を射出したとき、当該溶湯の流れ
を乱すことなく一様に流し込ませることにより、成形後
の凹文字付き金属筐体40の体裁面40A及び裏面40
Bに干渉縞が生じることを防止し得ると共に、凹状意匠
形成部41及び凸状意匠形成部43の輪郭を明確に成形
することができる。
【0079】また射出成形装置10は、左金型11Aの
金型内表面13上に断面台形状の凸文字形成部15が設
けられていると共に、右金型11の金型内表面20上に
断面台形状の凹文字形成部30及び凸状形成部21〜2
8が設けられていることにより、キャビティ12に射出
したマグネシウム合金の溶湯が凸文字形成部15、凹文
字形成部30及び凸状形成部21〜28の各斜面に衝突
する際の角度が断面台形状であることによって鈍角化
し、溶湯の衝突による高温化を防止すると共に衝突によ
る欠けを防止することができる。
【0080】従って射出成形装置10は、溶湯の衝突に
よる凸文字形成部15、凹文字形成部30及び凸状形成
部21〜28の欠けを防止することにより、金型11の
耐久性を大幅に向上させることができる。
【0081】かくして射出成形装置10は、凹文字付き
金属筐体40を欠陥なく容易に大量生産することが可能
となり、この結果として良品の歩留りを大幅に向上させ
ることができる。
【0082】このようにして射出成形された凹文字付き
金属筐体40は、金型11のキャビティ12と同一形状
かつ同一寸法に形成され、裏面40Bに形成された複数
の凹状形成部44〜51と裏面40Bとの段差がリブの
役割を担うことにより、剛性及び強度が従来に比して格
段に増大することになる。
【0083】このとき凹文字付き金属筐体40は、複数
の凹状形成部44〜51の角部に円弧状の面取部44A
〜51Aが施されていることにより捩じれ強度が増大す
ると共に、裏面40Bに凸状意匠形成部43が凹状形成
部44〜51と共に形成されていることにより、当該凸
状意匠形成部43と裏面40Bとの段差もリブの役割を
担って一段と剛性及び強度が増大することになる。
【0084】このように凹文字付き金属筐体40は、剛
性及び強度を従来に比して格段に増大することになるの
で、一定以上の剛性及び強度を確保しながら従来に比し
て一段と薄型化及び軽量化を図ることが可能になると共
に、材料の使用量が大幅に低減されることになる。
【0085】さらに凹文字付き金属筐体40は、体裁面
40Aの凹状意匠形成部41、裏面40Bの凸状意匠形
成部43及び凹状形成部44〜51が断面台形状である
と共に角部に面取が施されていることにより、エッジが
立っておらず手触りが良くユーザに与える質感や高級感
を一段と向上させることができる。
【0086】以上の構成によれば、射出成形装置10は
左金型11Aと、金型内表面20上に偏肉構造を形成す
る凸状形成部21〜28が設けられた右金型11Bとを
当接することにより形成されたキャビティ12を用いて
射出成形することにより、成形品の裏面40Bに右金型
11Bの凸状形成部21〜28に対応する凹状形成部4
4〜51を形成した凹文字付き金属筐体40を成形する
ことができる。
【0087】これにより凹文字付き金属筐体40は、裏
面40Bに形成された凹状形成部44〜51と当該裏面
40Bとの段差をリブとして機能させることができるの
で、一定以上の剛性及び強度を確保しながら一段と薄型
化及び軽量化することができる。
【0088】なお上述の実施の形態においては、ホット
チャンバ方式の射出成形装置10を用いるようにした場
合について述べたが、本発明はこれに限らず、コールド
チャンバ方式の射出成形装置、チクソモールディング方
式の射出成形装置等、他の種々の方式でなる射出成形装
置を用いるようにしても良い。この場合、上述の実施の
形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】また上述の実施の形態においては、右金型
11Bの金型内表面20と直交する仮想辺に対して例え
ば凸状形成部22における断面台形状の斜辺22Bが約
4度〜6度の傾斜角を持つようにした場合について述べ
たが、本発明はこれに限らず、約8度及び10度であっ
ても良く、要はキャビティ12内に流入される溶湯の流
れが妨げられることが少なれば他の種々の傾斜角であっ
ても良い。これにより射出成形された凹文字付き金属筐
体40においても、その裏面40Bには例えば凹状形成
部46における断面台形状の斜面46Bが約8度及び1
0度になっても良い。
【0090】さらに上述の実施の形態においては、凹文
字付き金属筐体40の裏面40Bに当該裏面40Bより
も1段低い底辺を有する凹状形成部44〜51を配列す
るようにした場合について述べたが、本発明はこれに限
らず、図16(A)に示すように凹状形成部44〜51
に加えて裏面40Bにリブ81を成形しても良い。
【0091】この場合、裏面40Bに対して凹状の凹状
形成部44〜51と凸状のリブ81とが形成されたこと
になり、このとき図15に示したように凹文字付き金属
筐体40をサンプルT−2として、剛性評価装置70の
検出結果は1[kg]荷重が負荷されたときの平均的な撓み
量が1.19[mm]となり、従来のものと比較して格段に剛性
及び強度が向上していることを実験によって検証してい
る。
【0092】また図16(B)に示すように、凹状形成
部44〜51に加えて裏面40Bにリブ82〜85を成
形すると共に裏面40Bよりも1段高い底辺を有する段
差面86を成形することにより凹文字付き金属筐体40
を形成するようにしても良い。このとき図15に示した
ように凹文字付き金属筐体40をサンプルT−3とし
て、剛性評価装置70の検出結果は1[kg]荷重が負荷さ
れたときの平均的な撓み量が0.8[mm] で、1 [mm] 撓ま
せるのに要する荷重として1.250[kg] が必要となり、従
来のものと比較して格段に剛性及び強度が向上している
ことを実験によって検証している。
【0093】同様に図16(C)に示すように、凹状形
成部44〜51に加えて裏面40Bよりも1段高い底辺
を有する段差面88とリブ88を成形することにより凹
文字付き金属筐体40を形成するようにしても良い。こ
のとき図15に示したように凹文字付き金属筐体40を
サンプルT−4として、剛性評価装置70の検出結果は
1[kg]荷重が負荷されたときの平均的な撓み量が0.61[m
m]で、1 [mm] 撓ませるのに要する荷重として1 [kg]
が必要となり、従来のものと比較して格段に剛性及び強
度が向上していることを実験によって検証している。
【0094】さらに上述の実施の形態においては、右金
型11Bの金型内表面30に設けられた凸状形成部25
〜28を全て同様に長手方向を揃えて配列するようにし
た場合について述べたが、本発明はこれに限らず、溶湯
の流動方向を遮らなければ、斜めに凸状形成部25〜2
8を配列するようにしても良い。
【0095】さらに上述の実施の形態においては、凹文
字付き金属筐体40の材料としてマグネシウム合金を用
いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに
限らず、アルミニウム、亜鉛等の他の種々の低融点金属
材料を用いるようにしても良い。
【0096】さらに上述の実施の形態においては、本発
明の射出成形装置10によって約220 〔℃〕の金型温
度、約620 〔℃〕 に溶融したマグネシウム合金の溶湯
を約80[m/s] の射出速度でキャビティ12内に射出する
ようにした場合について述べたが、本発明はこれに限ら
ず、凹文字付き金属筐体40を欠陥なく製造し得れば、
他の種々の射出成形条件で射出成形するようにしても良
い。
【0097】さらに上述の実施の形態においては、本発
明の射出成形装置10によってノート型パーソナルコン
ピュータ60の表示部62の外側ボティに用いられる凹
文字付き金属筐体40を射出成形するようにした場合に
ついて述べたが、本発明はこれに限らず、テレビ等の他
の種々の電子機器の本体ボディに用いられる凹文字付き
金属筐体を射出成形する場合に適用しても良い。
【0098】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、射出成形
空間を形成する第1金型部又は第2金型部の金型内表面
に形成された偏肉構造の凸状形成部に対応する凹状形成
部を成形品に成形し、当該凹状形成部をリブとして動作
させることにより、剛性及び強度を低下させることなく
平均的肉厚を従来に比して一段と薄型化して軽量化した
成形品を形成し得る低融点金属材料の射出成形方法及び
射出成形装置を実現できる。
【0099】さらに本発明によれば、所定の金型温度に
加熱した金型内に設けられた所定形状の射出成形空間に
所定温度に加熱した低融点金属材料でなる溶湯を所定の
射出速度で射出し、当該射出した溶湯を冷却して固化し
た後に射出成形空間から成形品を取り出すことにより得
られる電子機器用の金属筐体において、成形品の一面に
所定の深さでなる所定形状の凹状形成部が設けられたこ
とにより、当該凹状形成部がリブとして動作するので剛
性及び強度が低下することなく平均的肉厚を従来に比し
て一段と薄型化及び軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による射出成形装置の断面構造を示す略
線的断面図である。
【図2】左金型の金型内表面の構造を示す略線図であ
る。
【図3】右金型の金型内表面の構造を示す略線図であ
る。
【図4】キャビティの断面構造を示す略線的断面図であ
る。
【図5】溶湯がキャビティ内を流れる様子の説明に供す
る略線図である。
【図6】凹文字付き金属筐体の体裁面を示す略線図であ
る。
【図7】凹文字付き金属筐体の裏面を示す略線図であ
る。
【図8】凹文字付き金属筐体の断面構造を示す略線的断
面図である。
【図9】ノートブック型パーソナルコンピュータの外観
構成を示す略線的斜視図である。
【図10】表示部が開いた状態のノートブック型パーソ
ナルコンピュータを示す側面図である。
【図11】表示部が閉じられた状態のノートブック型パ
ーソナルコンピュータ(1)を示す側面図である。
【図12】表示部が閉じられた状態のノートブック型パ
ーソナルコンピュータ(2)を示す側面図である。
【図13】剛性評価装置の構成を示す略線図である。
【図14】荷重負荷時の説明に供する略線図である。
【図15】剛性評価結果を示す略線図である。
【図16】他の実施の形態における凹文字付き金属筐体
の裏面構造を示す略線図である。
【図17】従来のノートブック型パーソナルコンピュー
タの構成を示す略線的斜視図である。
【符号の説明】
10……射出成形装置、11……金型、11A……左金
型、11B……右金型、12……キャビティ、13、2
0……金型内表面、14……凸文字部、15……凸文字
形成部、21〜28……凸状形成部、30……凹文字形
成部、40……凹文字付き金属筐体、41……凹状意匠
形成部、43……凸状意匠形成部、44〜51……凹状
形成部。

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金型内に設けられた所定形状の射出成形空
    間に低融点金属材料でなる溶湯を射出し、当該溶湯を冷
    却して固化した後に上記射出成形空間から成形品を取り
    出す低融点金属材料の射出成形方法において、 第1金型部と第2金型部とが当接することにより上記射
    出成形空間を内部に形成すると共に、当該射出成形空間
    を形成している上記第1金型部又は上記第2金型部の金
    型内表面に偏肉構造の形成された凸状形成部を有する上
    記金型を所定の金型温度に加熱し、 上記加熱した上記金型内の上記射出成形空間に所定の溶
    融温度に加熱した上記溶湯を所定の射出速度で射出し、
    当該射出した溶湯を冷却して固化した後に、上記第1金
    型部と上記第2金型部とを分離することにより上記射出
    成形空間から上記成形品を取り出すことを特徴とする低
    融点金属材料の射出成形方法。
  2. 【請求項2】上記凸状形成部は、所定高さの断面台形状
    に形成されており、上記金型内表面と垂直な仮想辺に対
    して約3度〜5度の傾斜角の斜辺を有し、当該斜辺が上
    記溶湯の流動方向に対して鈍角に形成されていることを
    特徴とする請求項1に記載の低融点金属材料の射出成形
    方法。
  3. 【請求項3】上記凸状形成部は、所定高さの断面台形状
    に形成されており、上記凸状形成部の上記所定高さが上
    記射出成形空間の空間高さに対して少なくとも約25パ
    ーセントから約40パーセントに形成されていることを
    特徴とする請求項1に記載の低融点金属材料の射出成形
    方法。
  4. 【請求項4】上記凸状形成部は、所定高さの断面台形状
    に形成されており、上記断面台形状の角部及び上記斜辺
    と上記金型内表面との接続部分が上記空間高さに対して
    少なくとも約8パーセントから約17パーセントの半径
    でなる円弧状に形成されていることを特徴とする請求項
    1に記載の低融点金属材料の射出成形方法。
  5. 【請求項5】上記低融点金属材料は、融点が650[ °
    C] 以下の金属元素単体、もしくは当該金属元素単体を
    基にした合金であることを特徴とする請求項1に記載の
    低融点金属材料の射出成形方法。
  6. 【請求項6】上記低融点金属材料は、JIS(Japanese
    Industorial Standard )規格における「AZ91D」
    のマグネシウム合金であることを特徴とする請求項5に
    記載の低融点金属材料の射出成形方法。
  7. 【請求項7】上記低融点金属材料は、アルミニウム、マ
    グネシウム、亜鉛、錫、鉛、ビスマス、テルビウム、テ
    ルル、カドミウム、タリウム、アスタチン、ポロニウ
    ム、セレン、リチウム、インジウム、ナトリウム、カリ
    ウム、ルビジュウム、セシウム、フランシウム、ガリウ
    ムのうちの何かの金属元素単体もしくは当該金属元素単
    体を基にした合金であることを特徴とする請求項5に記
    載の低融点金属材料の射出成形方法。
  8. 【請求項8】上記凸状形成部は、上記射出成形空間に射
    出される上記溶湯の流動方向に沿って複数配列されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の低融点金属材料の
    射出成形方法。
  9. 【請求項9】上記凸状形成部は、上記射出成形空間の射
    出口近傍における角部が円弧状に形成されていることを
    特徴とする請求項8に記載の低融点金属材料の射出成形
    方法。
  10. 【請求項10】所定の金型温度に加熱した金型内に設け
    られた所定形状の射出成形空間に所定温度に加熱した低
    融点金属材料でなる溶湯を所定の射出速度で射出し、当
    該射出した溶湯を冷却して固化した後に上記射出成形空
    間から成形品を取り出す射出成形装置において、 上記金型は、 第1金型部と第2金型部とが当接することにより上記射
    出成形空間を内部に形成すると共に、当該射出成形空間
    を形成している上記第1金型部又は上記第2金型部の金
    型内表面に偏肉構造の形成された凸状形成部を具えるこ
    とを特徴とする射出成形装置。
  11. 【請求項11】上記凸状形成部は、所定高さの断面台形
    状に形成されており、上記金型内表面と垂直な仮想辺に
    対して約3度〜5度の傾斜角の斜辺を有し、当該斜辺が
    上記溶湯の流動方向に対して鈍角に形成されていること
    を特徴とする請求項10に記載の低融点金属材料の射出
    成形装置。
  12. 【請求項12】上記凸状形成部は、所定高さの断面台形
    状に形成されており、上記凸状形成部の上記所定高さが
    上記射出成形空間の空間高さに対して少なくとも約25
    パーセントから約40パーセントに形成されていること
    を特徴とする請求項10に記載の低融点金属材料の射出
    成形装置。
  13. 【請求項13】上記凸状形成部は、所定高さの断面台形
    状に形成されており、上記断面台形状の角部及び上記斜
    辺と上記金型内表面との接続部分が上記空間高さに対し
    て少なくとも約8パーセントから約17パーセントの半
    径でなる円弧状に形成されていることを特徴とする請求
    項10に記載の低融点金属材料の射出成形装置。
  14. 【請求項14】上記低融点金属材料は、融点が650
    〔℃〕以下の金属元素単体、もしくは当該金属元素単体
    を基にした合金であることを特徴とする請求項10に記
    載の低融点金属材料の射出成形装置。
  15. 【請求項15】上記低融点金属材料は、JIS(Japane
    se Industorial Standard )規格における「AZ91
    D」のマグネシウム合金であることを特徴とする請求項
    14に記載の低融点金属材料の射出成形装置。
  16. 【請求項16】上記低融点金属材料は、アルミニウム、
    マグネシウム、亜鉛、錫、鉛、ビスマス、テルビウム、
    テルル、カドミウム、タリウム、アスタチン、ポロニウ
    ム、セレン、リチウム、インジウム、ナトリウム、カリ
    ウム、ルビジュウム、セシウム、フランシウム、ガリウ
    ムのうちの何かの金属元素単体もしくは当該金属元素単
    体を基にした合金であることを特徴とする請求項14に
    記載の低融点金属材料の射出成形装置。
  17. 【請求項17】上記凸状形成部は、上記射出成形空間に
    射出される上記溶湯の流動方向に沿って複数配列されて
    いることを特徴とする請求項10に記載の低融点金属材
    料の射出成形装置。
  18. 【請求項18】上記凸状形成部は、上記射出成形空間の
    射出口近傍における角部が円弧状に形成されていること
    を特徴とする請求項17に記載の低融点金属材料の射出
    成形装置。
  19. 【請求項19】所定の金型温度に加熱した金型内に設け
    られた所定形状の射出成形空間に所定温度に加熱した低
    融点金属材料でなる溶湯を所定の射出速度で射出し、当
    該射出した溶湯を冷却して固化した後に上記射出成形空
    間から成形品を取り出すことにより得られる電子機器用
    の金属筐体において、 上記成形品の一面に所定の深さで設けられた所定形状の
    凹状形成部を具えることを特徴とする金属筐体。
  20. 【請求項20】上記凹状形成部は、断面台形状に形成さ
    れており、上記一面と垂直な仮想辺に対して約3度〜5
    度の傾斜角の斜辺を有し、当該斜辺が上記溶湯の流動方
    向に対して鈍角に形成されていることを特徴とする請求
    項19に記載の金属筐体。
  21. 【請求項21】上記低融点金属材料は、融点が650
    〔℃〕以下の金属元素単体、もしくは当該金属元素単体
    を基にした合金であることを特徴とする請求項19に記
    載の金属筐体。
  22. 【請求項22】上記低融点金属材料は、JIS(Japane
    se Industorial Standard )規格における「AZ91
    D」のマグネシウム合金であることを特徴とする請求項
    21に記載の金属筐体。
  23. 【請求項23】上記低融点金属材料は、アルミニウム、
    マグネシウム、亜鉛、錫、鉛、ビスマス、テルビウム、
    テルル、カドミウム、タリウム、アスタチン、ポロニウ
    ム、セレン、リチウム、インジウム、ナトリウム、カリ
    ウム、ルビジュウム、セシウム、フランシウム、ガリウ
    ムのうちの何かの金属元素単体もしくは当該金属元素単
    体を基にした合金であることを特徴とする請求項21に
    記載の金属筐体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007012385A (ja) * 2005-06-29 2007-01-18 Sanyo Electric Co Ltd 電池パック及びケース
US8974913B2 (en) 2012-01-24 2015-03-10 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Chassis for electronic apparatus
JP2015061730A (ja) * 2013-08-23 2015-04-02 パナソニックIpマネジメント株式会社 板状の筐体部材及びその射出成形方法
JP2017041282A (ja) * 2013-02-12 2017-02-23 ソニー株式会社 センサ装置、入力装置及び電子機器

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