JP2001330814A - 液晶表示装置及び液晶表示素子の駆動方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶をマトリクス駆動するパルス電圧の極性
を反転させる回数を減少し、消費電力の低減を図るよう
にした液晶表示装置及び液晶表示素子の駆動方法を得
る。 【解決手段】 互いに対向状態で交差する複数の走査電
極と複数の信号電極とで液晶をマトリクス駆動する液晶
表示装置。前記液晶を初期状態にリセットするリセット
期間と、最終的な表示状態を選択するための選択期間
と、該選択期間で選択された状態を確立するための維持
期間とを含み、リセット期間は走査時間を一単位とする
複数のリセット周期を有し、隣り合う各リセット周期の
後リセットパルスと前リセットパルスは同じ極性に設定
されている。また、維持期間も走査時間を一単位とする
複数の維持周期を有し、隣り合う各維持周期の後維持パ
ルスと前維持パルスは同じ極性に設定されている。さら
に、前選択パルス及び後選択パルスの時間的に前方から
又は後方から階調に応じた所定時間電圧を印加する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置及び
液晶表示素子の駆動方法、詳しくは、互いに対向状態で
交差する複数の走査電極と複数の信号電極とから液晶に
パルス状の駆動電圧を印加するようにした液晶表示装置
及び液晶表示素子の駆動方法に関する。

【０００２】

【発明の背景と課題】近年、デジタル情報を可視情報に
再生する媒体として、室温でコレステリック相を示す液
晶を用いた反射型の液晶表示素子が、電力消費が少な
く、安価に製作できる利点に着目して種々開発、研究さ
れている。しかし、この種のメモリ性液晶を用いた表示
素子では、駆動速度が遅いという特有の欠点を有してい
ることが判明している。

【０００３】このような問題点に鑑みて、本出願人は、
特願２０００−３９５２１として、この種の液晶表示素
子の改良された駆動方法を提案した。特願２０００−３
９５２１の駆動方法によれば、液晶を低電圧で、かつ、
高速に駆動することが可能である。

【０００４】前記駆動方法は、前記液晶を初期状態にリ
セットするリセット期間と、最終的な表示状態を選択す
るための選択期間と、該選択期間で選択された状態を確
立するための維持期間と、画像を表示する表示期間とを
含むものである。

【０００５】本発明の目的は、前記駆動方法を改良して
消費電力をより低減させ得る液晶表示装置及び液晶表示
素子の駆動方法を提供することにある。

【０００６】

【発明の構成、作用及び効果】以上の目的を達成するた
め、本発明に係る駆動方法は、互いに対向状態で交差す
る複数の走査電極と複数の信号電極とから液晶にパルス
状の駆動電圧を印加するようにし、前記液晶を初期状態
にリセットするリセット期間と、最終的な表示状態を選
択するための選択期間と、該選択期間で選択された状態
を確立するための維持期間とを含む駆動方法を基本とす
る。そして、第１の発明に係る駆動方法は、リセット期
間が走査時間を一単位とする複数の連続するリセット周
期からなり、隣り合う各リセット周期の後リセットパル
スと前リセットパルスの極性を同じとした。また、第２
の発明に係る駆動方法は、維持期間が走査時間を一単位
とする複数の連続する維持周期からなり、隣り合う各維
持周期の後維持パルスと前維持パルスの極性を同じとし
た。

【０００７】以上の第１，２の発明に係る駆動方法によ
れば、隣り合うリセット周期の後リセットパルスと前リ
セットパルスとの間、または隣り合うリセット周期の維
持周期の後維持パルスと前維持パルスとの間の極性反転
が省略されるので、リセット期間又は維持期間における
パルスの極性を反転させる回数が少なくなり、消費電力
が低減される。

【０００８】なお、本願明細書において、走査時間と
は、書込み対象となる所定の走査電極の選択期間の開始
から次の走査電極の選択期間が開始されるまでの時間を
いう。

【０００９】さらに、第３の発明に係る駆動方法は、中
間調表示を選択パルスの幅を変調することによって実現
し、選択パルスは前選択パルスと後選択パルスとからな
り、前選択パルスと後選択パルスとは互いに逆極性であ
り、パルス幅を変調する際には前選択パルス及び後選択
パルスの時間的に前方側から所定時間電圧を印加し、残
り時間は０Ｖを印加する。また、第４の発明に係る駆動
方法は、中間調表示を選択パルスの幅を変調することに
よって実現し、選択パルスは前選択パルスと後選択パル
スとからなり、前選択パルスと後選択パルスとは互いに
逆極性であり、パルス幅を変調する際には前選択パルス
及び後選択パルスの時間的に前方側から所定時間０Ｖを
印加し、残り時間は電圧を印加する。

【００１０】以上の第３，４の発明に係る駆動方法によ
れば、選択期間において前選択パルス及び後選択パルス
の時間的に後方又は前方に０Ｖを印加する期間を設けた
ことによって、結果的にある走査電極上の液晶が選択期
間にあるときの、他の走査電極上の液晶に印加されるク
ロストークパルスの極性を反転させる回数が少なくな
り、消費電力が低減される。

【００１１】さらに、前記第１〜４の発明を任意に組み
合わせてもよい。また、前記リセット期間、選択期間、
維持期間、表示期間の少なくともいずれかの期間は、正
電圧の積分値と負電圧の積分値とを等しくすることが好
ましい。液晶に印加される極性の偏りが少なくなり、液
晶の劣化を抑制することができる。

【００１２】また、本発明に係る液晶表示装置は、それ
ぞれ前記第１〜４の発明に係る駆動方法を実行する駆動
手段を備えている。このような駆動手段を備えることに
より、印加パルスの極性を反転させる回数が少なくなっ
て消費電力が低減された液晶表示装置を得ることができ
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る液晶表示装置
及び液晶表示素子の駆動方法の実施形態について、添付
図面を参照して説明する。

【００１４】（液晶表示素子、図１参照）まず、本発明
に係る駆動方法の対象となるコレステリック相を示す液
晶を含む液晶表示素子について説明する。

【００１５】図１は単純マトリクス駆動方式による反射
型のフルカラー液晶表示素子を示す。この液晶表示素子
１００は、光吸収層１２１の上に、赤色の選択反射と透
明状態の切換えにより表示を行う赤色表示層１１１Ｒを
配し、その上に緑色の選択反射と透明状態の切換えによ
り表示を行う緑色表示層１１１Ｇを積層し、さらに、そ
の上に青色の選択反射と透明状態の切換えにより表示を
行う青色表示層１１１Ｂを積層したものである。

【００１６】各表示層１１１Ｒ，１１１Ｇ，１１１Ｂ
は、それぞれ透明電極１１３，１１４を形成した透明基
板１１２間に樹脂製柱状構造物１１５、液晶１１６及び
スペーサ１１７を挟持したものである。透明電極１１
３，１１４上には必要に応じて絶縁膜１１８、配向制御
膜１１９が設けられる。また、基板１１２の外周部（表
示領域外）には液晶１１６を封止するためのシール材１
２０が設けられる。

【００１７】透明電極１１３，１１４はそれぞれ駆動Ｉ
Ｃ１３１，１３２（図２参照）に接続されており、透明
電極１１３，１１４の間にそれぞれ所定のパルス電圧が
印加される。この印加電圧に応答して、液晶１１６が可
視光を透過する透明状態と特定波長の可視光を選択的に
反射する選択反射状態との間で表示が切り換えられる。

【００１８】各表示層１１１Ｒ，１１１Ｇ，１１１Ｂに
設けられている透明電極１１３，１１４は、それぞれ微
細な間隔を保って平行に並べられた複数の帯状電極より
なり、その帯状電極の並ぶ向きが互いに直角方向となる
ように対向させてある。これら上下の帯状電極に順次通
電が行われる。即ち、各液晶１１６に対してマトリクス
状に順次電圧が印加されて表示が行われる。これをマト
リクス駆動と称し、電極１１３，１１４が交差する部分
が各画素を構成することになる。このようなマトリクス
駆動を各表示層ごとに行うことにより液晶表示素子１０
０にフルカラー画像の表示を行う。

【００１９】詳しくは、２枚の基板間にコレステリック
相を示す液晶を挟持した液晶表示素子では、液晶の状態
をプレーナ状態とフォーカルコニック状態に切り換えて
表示を行う。液晶がプレーナ状態の場合、コレステリッ
ク液晶の螺旋ピッチをＰ、液晶の平均屈折率をｎとする
と、波長λ＝Ｐ・ｎの光が選択的に反射される。また、
フォーカルコニック状態では、コレステリック液晶の選
択反射波長が赤外光域にある場合には散乱し、それより
も短い場合には可視光を透過する。そのため、選択反射
波長を可視光域に設定し、素子の観察側と反対側に光吸
収層を設けることにより、プレーナ状態で選択反射色の
表示、フォーカルコニック状態で黒の表示が可能にな
る。また、選択反射波長を赤外光域に設定し、素子の観
察側と反対側に光吸収層を設けることにより、プレーナ
状態では赤外光域の波長の光を反射するが可視光域の波
長の光は透過するので黒の表示、フォーカルコニック状
態で散乱による白の表示が可能になる。

【００２０】各表示層１１１Ｒ，１１１Ｇ，１１１Ｂを
積層した液晶表示素子１００は、青色表示層１１１Ｂ及
び緑色表示層１１１Ｇを液晶がフォーカルコニック配列
となった透明状態とし、赤色表示層１１１Ｒを液晶がプ
レーナ配列となった選択反射状態とすることにより、赤
色表示を行うことができる。また、青色表示層１１１Ｂ
を液晶がフォーカルコニック配列となった透明状態と
し、緑色表示層１１１Ｇ及び赤色表示層１１１Ｒを液晶
がプレーナ配列となった選択反射状態とすることによ
り、イエローの表示を行うことができる。同様に、各表
示層の状態を透明状態と選択反射状態とを適宜選択する
ことにより赤色、緑色、青色、白色、シアン、マゼン
タ、イエロー、黒色の表示が可能である。さらに、各表
示層１１１Ｒ，１１１Ｇ，１１１Ｂの状態として中間の
選択反射状態を選択することにより中間色の表示が可能
となり、フルカラー表示素子として利用できる。

【００２１】液晶１１６としては、室温でコレステリッ
ク相を示すものが好ましく、特に、ネマティック液晶に
カイラル材を添加することによって得られるカイラルネ
マティック液晶が好適である。

【００２２】カイラル材は、ネマティック液晶に添加さ
れた場合にネマティック液晶の分子を捩る作用を有する
添加剤である。カイラル材をネマティック液晶に添加す
ることにより、所定の捩れ間隔を有する液晶分子の螺旋
構造が生じ、これによりコレステリック相を示す。

【００２３】なお、液晶表示層は必ずしもこの構成に限
定されるわけではなく、樹脂製構造物が堰状になったも
のや、樹脂製構造物を省略したものであってもよい。ま
た、従来公知の高分子の３次元網目構造のなかに液晶が
分散された、あるいは、液晶中に高分子の３次元網目構
造が形成された、いわゆる高分子分散型の液晶複合膜と
して液晶表示層を構成することも可能である。

【００２４】（駆動回路、図２参照）前記液晶表示素子
１００の画素構成は、図２に示すように、それぞれ複数
本の走査電極Ｒ１，Ｒ２〜Ｒｍと信号電極Ｃ１，Ｃ２〜
Ｃｎ（ｍ，ｎは自然数）とのマトリクスで表される。走
査電極Ｒ１，Ｒ２〜Ｒｍは走査駆動ＩＣ１３１の出力端
子に接続され、信号電極Ｃ１，Ｃ２〜Ｃｎは信号駆動Ｉ
Ｃ１３２の出力端子に接続されている。

【００２５】走査駆動ＩＣ１３１は、走査電極Ｒ１，Ｒ
２〜Ｒｍのうち所定のものに選択信号を出力して選択状
態とする一方、その他の電極には非選択信号を出力して
非選択状態とする。走査駆動ＩＣ１３１は、所定の時間
間隔で電極を切り換えながら順次各走査電極Ｒ１，Ｒ２
〜Ｒｍに選択信号を印加してゆく。一方、信号駆動ＩＣ
１３２は、選択状態にある走査電極Ｒ１，Ｒ２〜Ｒｍ上
の各画素を書き換えるべく、画像データに応じた信号を
各信号電極Ｃ１，Ｃ２〜Ｃｎに同時に出力する。例え
ば、走査電極Ｒａが選択されると（ａはａ≦ｍを満たす
自然数）、この走査電極Ｒａと各信号電極Ｃ１，Ｃ２〜
Ｃｎとの交差部分の画素ＬＲａ−Ｃ１〜ＬＲａ−Ｃｎが
同時に書き換えられる。これにより、各画素における走
査電極と信号電極との電圧差が画素の書換え電圧とな
り、各画素がこの書換え電圧に応じて書き換えられる。

【００２６】駆動回路は、中央処理装置（ＣＰＵ）１３
５、ＬＣＤコントローラ１３６、画像処理装置１３７、
画像メモリ１３８及び駆動ＩＣ（ドライバ）１３１，１
３２にて構成されている。画像メモリ１３８に記憶され
た画像データに基づいてＬＣＤコントローラ１３６が駆
動ＩＣ１３１，１３２を制御し、液晶表示素子１００の
各走査電極及び信号電極間に順次電圧を印加し、液晶表
示素子１００に画像を書き込む。

【００２７】なお、部分的に書換えを行う場合は、書き
換えたい部分を含むように特定の走査ラインのみを順次
選択するようにすればよい。これにより、必要な部分の
みを短時間で書き換えることができる。

【００２８】各画素の書換えは前述した方法で行うこと
ができるが、既に画像が表示されている場合、この画像
による影響をなくすために、書換え前に各画素を全て同
じ表示状態にリセットすることが好ましい。リセットは
全画素を一括して行ってもよいし、走査電極ごとに行っ
てもよい。

【００２９】部分的に書換えを行う場合は、各走査ライ
ンごとにリセットを行うか、書き換えたい部分を含む特
定の走査ライン間のみを一括してリセットすればよい。

【００３０】（駆動方法の基本原理、図３参照）まず、
前記液晶表示素子１００の駆動方法の基本原理について
説明する。なお、ここでは、交流化されたパルス波形を
用いた具体例を挙げて説明するが、駆動方法がこの波形
に限定されないことはいうまでもない。

【００３１】この基本的な駆動方法は、図３に示すよう
に、大きく分けて、リセット期間と選択期間と維持期間
と表示期間（クロストーク期間とも称する）とから構成
されている。リセット期間においては液晶がホメオトロ
ピック状態にリセットされ、選択期間においては最終的
な表示状態を選択するための電圧が印加され、維持期間
においては選択期間で選択された状態が確立される。

【００３２】リセット期間は、選択期間の長さを１周期
として複数の周期に分けられる。図３では、リセット周
期１とリセット周期２とに分かれている。各リセット周
期内で前リセットパルス＋Ｖｒ、クロストークパルス±
Ｖｃｒ、後リセットパルス−Ｖｒが印加される。これら
のパルスが複数周期集まったものをリセット波形と称す
る。

【００３３】同様に、維持期間も複数の周期に分けら
れ、図３では三つの周期に分けられている。各維持周期
内で前維持パルス＋Ｖｒｅ、クロストークパルス±Ｖｃ
ｒ、後維持パルス−Ｖｒｅが印加される。これらのパル
スが複数周期集まったものを維持波形と称する。

【００３４】表示期間には、他の走査ライン上の画素を
選択するための選択信号によるクロストークパルス±Ｖ
ｃｒが印加される。また、画像の書換えが終わり、全て
の画素について維持期間が終了すれば駆動ＩＣ１３１，
１３２の動作を終了させ、印加電圧を０Ｖにすることも
できる。

【００３５】選択期間は、前選択時間、選択時間、後選
択時間から構成される。選択時間には選択パルス±Ｖｓ
ｅｌが印加され、この選択パルスは画像データに基づい
てパルス幅変調される。

【００３６】液晶の動作は以下のとおりである。まず、
リセット期間にリセット波形が印加され、液晶はホメオ
トロピック状態にリセットされる。次に、前選択時間に
おいて電圧ゼロが印加され、液晶は少し捩れた状態にな
る。次に、選択時間に印加する選択パルスの波形は、最
終的にプレーナ状態を選択する画素と、フォーカルコニ
ック状態を選択する画素とで異なる。

【００３７】まず、プレーナ状態を選択する場合を説明
する。この場合には、選択時間に±Ｖｓｅｌの選択パル
スを印加し、再び液晶をホメオトロピック状態にする。
その後、後選択時間で電圧をゼロにすると、液晶は捩れ
が少しだけ戻った状態になる。その後、維持期間で維持
波形を印加する。先の後選択時間で捩れが少しだけ戻っ
た状態になった液晶は、維持波形が印加されることによ
り再び捩れが解け、ホメオトロピック状態になる。

【００３８】表示期間では、液晶にクロストークパルス
が印加されるが、パルス幅が短いため、表示状態には影
響を与えない。ホメオトロピック状態の液晶は電圧をゼ
ロにすることにより、プレーナ状態となる。プレーナ状
態の液晶は電圧をゼロにしても、プレーナ状態のまま固
定される。

【００３９】一方、最終的にフォーカルコニック状態を
選択する場合には、選択時間に液晶にかかる電圧をゼロ
にする。つまり、選択パルスのパルス幅をゼロに設定す
る。そして、後選択時間にはプレーナ状態を選択する場
合と同様に、液晶にかかる電圧をゼロにする。こうする
ことにより、液晶は捩れが戻って、ヘリカルピッチが２
倍程度に広がった状態になる。

【００４０】その後、維持期間で維持波形を印加する。
後選択時間で捩れが戻ってきた液晶は、維持波形を印加
することにより、フォーカルコニック状態へと遷移す
る。表示期間では、プレーナ状態を選択する場合と同様
に、液晶にクロストークパルスが印加されるが、パルス
幅が短いため、表示状態には影響を与えない。フォーカ
ルコニック状態の液晶は電圧をゼロにしても、フォーカ
ルコニック状態のまま固定される。

【００４１】前述のように、選択期間に印加する選択パ
ルスにより、最終的な液晶の表示状態が選択できる。ま
た、この選択パルスのパルス幅を調整することにより、
具体的には、信号電極に印加するパルスの形状を画像デ
ータに応じて変化させることにより、中間調の表示が可
能である。

【００４２】以下、前記駆動方法を用いて単純マトリク
ス駆動させた場合の、本発明の実施形態について説明す
る。

【００４３】（第１実施形態、図４参照）図４は、本発
明に係る駆動方法の第１実施形態での駆動波形を示す。
ここでは、マトリクス状に配置された複数画素ＬＣＤ
１，２，３の液晶にかかる駆動電圧波形と、この波形を
得るために走査電極（ロウ）と信号電極（カラム）から
印加されるパルス波形の一例を示す。ロウ１，２，３と
は走査電極上の１ラインずつを意味し、カラムとは信号
電極上の１ラインを意味する。

【００４４】この駆動方法では、先に述べたように、選
択期間は前選択時間と選択時間と後選択時間との三つに
分かれ、選択時間には選択パルスを印加する。この選択
パルスは画像データに基づいて波形形状が異なる。一
方、前選択時間、後選択時間では、常に画素内の液晶に
は電圧ゼロを印加するので、電圧ゼロを得られるよう
な、ロウ、カラム共にある決まった波形を印加すること
ができ、別の処理を行うことができる。ここでは、この
ことを利用して、複数のロウ上の液晶に対してリセット
と維持と表示とを同時に行っている。

【００４５】例えば、ＬＣＤ２が前選択時間にあると
き、ロウ２には電圧＋Ｖ１を印加し、ロウ３には電圧ゼ
ロを印加し、ロウ１には電圧＋Ｖ１／２を印加する。こ
のとき、カラムに電圧＋Ｖ１を印加すると、ＬＣＤ３に
は電圧−Ｖｒ＝−Ｖ１の前リセットパルスが、ＬＣＤ２
には電圧ゼロが、ＬＣＤ１には電圧−Ｖｒｅ＝−Ｖ１／
２の維持パルスが印加される。

【００４６】次に、ＬＣＤ２が選択時間にあるとき、カ
ラムから画像データに基づいて異なる波形形状のデータ
パルス＋Ｖ２が印加されるため、ロウ１，３共に電圧＋
Ｖ２／２を印加して、ＬＣＤ１，３には±Ｖ２／２の電
圧がかかるようにする。ロウ２には電圧＋Ｖ２を印加
し、カラムに印加するデータパルスとの電圧差（±Ｖ２
又はゼロ）が選択パルス±ＶｓｅｌとしてＬＣＤ２に印
加される。データパルスの波形形状を変化させること
で、選択パルスのパルス幅を変化させ、階調を表現する
ことができる。

【００４７】次に、後選択時間では、ロウ２には電圧ゼ
ロを印加し、ロウ３には電圧＋Ｖ１を印加し、ロウ１に
は電圧＋Ｖ１／２を印加する。このとき、カラムに電圧
ゼロを印加すると、ＬＣＤ３には電圧＋Ｖｒ＝＋Ｖ１の
後リセットパルスが、ＬＣＤ２には電圧ゼロが、ＬＣＤ
１には電圧＋Ｖｒｅ＝＋Ｖ１／２の維持パルスが印加さ
れる。

【００４８】リセット期間、選択期間、維持期間ではな
いロウ（図示せず）には、前選択時間、後選択時間にカ
ラムから印加するデータパルスと同じ位相の波形を印加
し、選択時間に電圧＋Ｖ２／２を印加する。こうするこ
とによって、この部分の液晶には、選択パルスと同じパ
ルス幅で±Ｖ２／２のクロストークパルスが印加され
る。このクロストークパルスは、パルス幅が狭いため、
液晶の表示状態には影響を及ぼさない。

【００４９】また、ＬＣＤ３が前選択時間にあるとき、
ロウ１，２には電圧＋Ｖ１／２を印加し、ロウ３には電
圧ゼロを印加し、リセット期間にあるロウ（図示せず）
には電圧＋Ｖ１を印加する。このとき、カラムに電圧＋
Ｖ１を印加すると、ＬＣＤ１，２には電圧＋Ｖｒｅ＝＋
Ｖ１／２の維持パルスが、ＬＣＤ３には電圧ゼロが、前
記リセット期間にある図示しないロウ上の液晶には電圧
＋Ｖｒ＝＋Ｖ１が印加される。

【００５０】次に、ＬＣＤ３が選択時間にあるとき、カ
ラムから画像データに基づいて異なる波形形状のデータ
パルス＋Ｖ２が印加されるため、ロウ１，２及び前記リ
セット期間にある図示しないロウに電圧＋Ｖ２／２を印
加して、ＬＣＤ１，２及び前記リセット期間にある図示
しないロウ上の液晶には＋Ｖ２／２の電圧がかかるよう
にする。ロウ３には電圧＋Ｖ２を印加し、カラムに印加
するデータパルスとの電圧差（±Ｖ２又はゼロ）が選択
パルス±ＶｓｅｌとしてＬＣＤ３に印加される。データ
パルスの波形形状を変化させることで、選択パルスのパ
ルス幅を変化させ、階調を表現することができる。

【００５１】次に、後選択時間では、ロウ１，２には電
圧ゼロを印加し、ロウ３には電圧＋Ｖ１を印加し、リセ
ット期間にあるロウ（図示せず）には電圧ゼロを印加す
る。このとき、カラムに電圧＋Ｖ１を印加すると、ＬＣ
Ｄ１，２には電圧−Ｖｒｅ＝−Ｖ１／２の後維持パルス
が、ＬＣＤ３には電圧ゼロが、前記リセット期間にある
図示しないロウ上の液晶には電圧−Ｖｒ＝−Ｖ１の後リ
セットパルスが印加される。

【００５２】リセット期間、選択期間、維持期間ではな
いロウ（図示せず）には、前述したようにＬＣＤ２が選
択されているときと同様に、前選択時間、後選択時間に
カラムから印加するデータパルスと同じ位相の波形を印
加し、選択時間に電圧＋Ｖ２／２を印加する。こうする
ことによって、この部分の液晶には、選択パルスと同じ
パルス幅で±Ｖ２／２のクロストークパルスが印加され
る。このクロストークパルスは、パルス幅が狭いため、
液晶の表示状態には影響を及ぼさない。

【００５３】その後は以上の駆動を繰り返すことによ
り、任意のライン（走査電極）にリセット波形、選択波
形、維持波形を印加することができる。そのため、部分
書換えを行うこともできる。

【００５４】以上の第１実施形態では、図４で矢印Ａで
示すように、連続するリセット周期の後リセットパルス
と前リセットパルスの極性を同じに設定し、かつ、矢印
Ｂで示すように、連続する維持周期の後維持パルスと前
維持パルスの極性を同じに設定したため、リセット期間
及び維持期間における電圧の極性反転回数が半減し、消
費電力が低減する。

【００５５】また、前記リセット期間、選択期間、維持
期間及び表示期間において、正電圧の積分値と負電圧の
積分値とは等しく設定されている。これにて、液晶に印
加される極性の偏りがなくなり、液晶の劣化が抑制され
る。

【００５６】（第２実施形態、図５，６参照）図５は、
本発明に係る駆動方法の第２実施形態での駆動波形を示
す。ロウ１，２，３、カラム及びＬＣＤ１，２，３の意
味は前記第１実施形態と同様である。この第２実施形態
は選択時間における駆動パルスの波形を工夫することに
より、極性の反転回数を減らして消費電力の低減を図っ
ている。なお、リセット期間及び維持期間においてロウ
及びカラムから印加される駆動パルスの波形は、図３に
示した基本の駆動方法と同様である。

【００５７】以下、ＬＣＤ２を選択する場合を例にとっ
て説明する。第２実施形態において特徴的なのは、選択
時間Ｔｓ（図６参照）において選択されたロウには、ま
ず、時間Ｔｓ／２は電圧ゼロを印加し、残りの時間Ｔｓ
／２に電圧＋Ｖ２を印加する。選択されていないロウに
は、時間Ｔｓに電圧＋Ｖ２／２を印加する。一方、カラ
ムには、時間（Ｔｓ−Ｔｏｎ）／２は電圧ゼロを印加
し、次の時間Ｔｏｎ／２＋（Ｔｓ−Ｔｏｎ）／２には電
圧＋Ｖ２を印加し、最後の時間Ｔｏｎ／２に電圧ゼロを
印加する。

【００５８】即ち、本第２実施形態では、選択パルスは
前選択パルスと後選択パルスとからなり、前選択パルス
と後選択パルスとは互いに逆極性であり、パルス幅を変
調する際には前選択パルス及び後選択パルスの時間的に
後方側から所定時間（Ｔｏｎ／２）だけ電圧を印加し、
残り時間は電圧ゼロを印加する。

【００５９】このような駆動方法にあっては、選択され
た画素には、時間（Ｔｓ−Ｔｏｎ）／２は電圧ゼロ、時
間Ｔｏｎ／２は電圧−Ｖ２、時間（Ｔｓ−Ｔｏｎ／２）
は電圧ゼロ、時間Ｔｏｎ／２は電圧＋Ｖ２が順次印加さ
れる。選択されていない画素には、時間（Ｔｓ−Ｔｏ
ｎ）／２は電圧＋Ｖ２／２、時間Ｔｏｎ／２＋（Ｔｓ−
Ｔｏｎ）／２は電圧−Ｖ２／２、時間Ｔｏｎ／２は電圧
＋Ｖ２／２が順次印加される。

【００６０】従って、選択されていない画素において、
他の走査電極上のある画素の選択時間中に印加される電
圧の極性反転回数が減少し、例えば、クロストーク期間
においては極性反転回数は３回となり、図４に示した４
回よりも少なくなって消費電力が低減する。

【００６１】（第３実施形態、図７，８参照）図７は、
本発明に係る駆動方法の第３実施形態での駆動波形を示
す。この第３実施形態は、前記第２実施形態と同様に、
選択時間における駆動パルスの波形を工夫することによ
り、極性の反転回数を減らして消費電力の低減を図って
いる。

【００６２】以下、ＬＣＤ２を選択する場合を例にとっ
て説明する。第３実施形態において特徴的なのは、選択
時間Ｔｓ（図８参照）において選択されたロウには、ま
ず、時間Ｔｓ／２は電圧＋Ｖ２を印加し、残りの時間Ｔ
ｓ／２に電圧ゼロを印加する。選択されていないロウに
は、時間Ｔｓに電圧＋Ｖ２／２を印加する。一方、カラ
ムには、時間Ｔｏｎ／２は電圧＋Ｖ２を印加し、次の時
間（Ｔｓ−Ｔｏｎ）／２＋Ｔｏｎ／２には電圧ゼロを印
加し、最後の時間（Ｔｓ−Ｔｏｎ）／２に電圧＋Ｖ２を
印加する。

【００６３】即ち、本第３実施形態では、選択パルスは
前選択パルスと後選択パルスとからなり、前選択パルス
と後選択パルスとは互いに逆極性であり、パルス幅を変
調する際には前選択パルス及び後選択パルスの時間的に
前方側から所定時間（Ｔｏｎ／２）だけ電圧を印加し、
残り時間は電圧ゼロを印加する。

【００６４】このような駆動方法にあっては、選択され
た画素には、時間Ｔｏｎ／２は電圧−Ｖ２、時間（Ｔｓ
−Ｔｏｎ）／２は電圧ゼロ、時間Ｔｏｎ／２は電圧＋Ｖ
２、時間（Ｔｓ−Ｔｏｎ）／２は電圧ゼロが順次印加さ
れる。選択されていない画素には、時間Ｔｏｎ２は電圧
−Ｖ２／２、時間（Ｔｓ−Ｔｏｎ）／２＋Ｔｏｎ／２は
電圧＋Ｖ２／２、時間（Ｔｓ−Ｔｏｎ）／２は電圧−Ｖ
２／２が順次印加される。

【００６５】従って、第２実施形態と同様に、ある走査
電極上の画素が選択期間にあるときの、他の走査電極上
の画素に印加されるクロストークパルスの極性を反転さ
せる回数が減少する。

【００６６】（第４実施形態、図９参照）図９は、本発
明に係る駆動方法の第４実施形態での駆動波形を示す。
この第４実施形態は、前記第１実施形態に前記第２実施
形態又は前記第３実施形態を組み合わせたものである。
従って、その作用、効果は第１実施形態に第２又は第３
実施形態を組み合わせたものとなり、さらに消費電力が
低減される。

【００６７】（他の実施形態）なお、本発明に係る液晶
表示装置及び液晶表示素子の駆動方法は前記実施形態に
限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更
することができる。

【００６８】特に、液晶表示素子の構成、材料、製造方
法等は任意であり、Ｒ、Ｇ、Ｂの３層以外の積層構成で
あってもよい。また、駆動のためのパルス波形として示
した電圧値は一例であることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る駆動方法が適用される液晶表示素
子の一例を示す断面図。

【図２】前記液晶表示素子の駆動回路を示すブロック
図。

【図３】本発明に係る駆動方法における基本的な駆動波
形を示すチャート図。

【図４】本発明に係る駆動方法の第１実施形態における
駆動波形を示すチャート図。

【図５】本発明に係る駆動方法の第２実施形態における
駆動波形を示すチャート図。

【図６】前記第２実施形態での選択パルスを示すチャー
ト図。

【図７】本発明に係る駆動方法の第３実施形態における
駆動波形を示すチャート図。

【図８】前記第３実施形態での選択パルスを示すチャー
ト図。

【図９】本発明に係る駆動方法の第４実施形態における
駆動波形を示すチャート図。

【符号の説明】

１００…液晶表示素子 １１３，１１４…電極 １１６…カイラルネマティック液晶 １３１…走査駆動ＩＣ（ドライバ） １３２…信号駆動ＩＣ（ドライバ） １３５…中央処理装置 １３６…ＬＣＤコントローラ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 八木 司 大阪府大阪市中央区安土町二丁目３番13号 大阪国際ビル ミノルタ株式会社内 (72)発明者 小松 幹宏 大阪府大阪市中央区安土町二丁目３番13号 大阪国際ビル ミノルタ株式会社内 Ｆターム(参考） 2H093 NA14 NA25 NA43 NA56 NA62 NC28 ND06 ND17 ND39 NF19 5C006 AC26 AF42 BB28 BF02 FA22 FA47 5C080 AA10 BB05 DD05 DD26 EE25 FF12 JJ02 JJ04 JJ06

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに対向状態で交差する複数の走査電
   極と複数の信号電極とから液晶にパルス状の駆動電圧を
   印加するようにした液晶表示素子の駆動方法において、 前記液晶を初期状態にリセットするリセット期間と、最
   終的な表示状態を選択するための選択期間と、該選択期
   間で選択された状態を確立するための維持期間とを含
   み、 前記リセット期間は走査時間を一単位とする複数の連続
   するリセット周期からなり、隣り合う各リセット周期の
   後リセットパルスと前リセットパルスの極性が同じであ
   ること、 を特徴とする液晶表示素子の駆動方法。
2. 【請求項２】 互いに対向状態で交差する複数の走査電
   極と複数の信号電極とから液晶にパルス状の駆動電圧を
   印加するようにした液晶表示素子の駆動方法において、 前記液晶を初期状態にリセットするリセット期間と、最
   終的な表示状態を選択するための選択期間と、該選択期
   間で選択された状態を確立するための維持期間とを含
   み、 前記維持期間は走査時間を一単位とする複数の連続する
   維持周期からなり、隣り合う各維持周期の後維持パルス
   と前維持パルスの極性が同じであること、 を特徴とする液晶表示素子の駆動方法。
3. 【請求項３】 互いに対向状態で交差する複数の走査電
   極と複数の信号電極とから液晶にパルス状の駆動電圧を
   印加するようにした液晶表示素子の駆動方法において、 前記液晶を初期状態にリセットするリセット期間と、最
   終的な表示状態を選択するための選択期間と、該選択期
   間で選択された状態を確立するための維持期間とを含
   み、 中間調表示は選択パルスの幅を変調することによって実
   現し、 前記選択パルスは前選択パルスと後選択パルスとからな
   り、前選択パルスと後選択パルスとは互いに逆極性であ
   り、パルス幅を変調する際には前選択パルス及び後選択
   パルスの時間的に前方側から所定時間電圧を印加し、残
   り時間は０Ｖを印加すること、 を特徴とする液晶表示素子の駆動方法。
4. 【請求項４】 互いに対向状態で交差する複数の走査電
   極と複数の信号電極とから液晶にパルス状の駆動電圧を
   印加するようにした液晶表示素子の駆動方法において、 前記液晶を初期状態にリセットするリセット期間と、最
   終的な表示状態を選択するための選択期間と、該選択期
   間で選択された状態を確立するための維持期間とを含
   み、 中間調表示は選択パルスの幅を変調することによって実
   現し、 前記選択パルスは前選択パルスと後選択パルスとからな
   り、前選択パルスと後選択パルスとは互いに逆極性であ
   り、パルス幅を変調する際には前選択パルス及び後選択
   パルスの時間的に前方側から所定時間０Ｖを印加し、残
   り時間は電圧を印加すること、 を特徴とする液晶表示素子の駆動方法。
5. 【請求項５】 前記リセット期間、選択期間、維持期
   間、表示期間の少なくともいずれかの期間は、正電圧の
   積分値と負電圧の積分値とが等しいことを特徴とする請
   求項１、請求項２、請求項３又は請求項４記載の液晶表
   示素子の駆動方法。
6. 【請求項６】 互いに対向状態で交差する複数の走査電
   極と複数の信号電極との間に液晶を挟持してなる液晶表
   示素子と、 前記走査電極及び信号電極から液晶にパルス電圧を印加
   して液晶表示素子に表示を行わせる駆動手段とを備え、 前記駆動手段の印加するパルス電圧は、液晶を初期状態
   にリセットするリセット期間と、最終的な表示状態を選
   択するための選択期間と、該選択期間で選択された状態
   を確立するための維持期間とを含み、前記リセット期間
   は走査時間を一単位とする複数の連続するリセット周期
   からなり、隣り合う各リセット周期の後リセットパルス
   と前リセットパルスの極性が同じであること、 を特徴とする液晶表示装置。
7. 【請求項７】 互いに対向状態で交差する複数の走査電
   極と複数の信号電極との間に液晶を挟持してなる液晶表
   示素子と、 前記走査電極及び信号電極から液晶にパルス電圧を印加
   して液晶表示素子に表示を行わせる駆動手段とを備え、 前記駆動手段の印加するパルス電圧は、液晶を初期状態
   にリセットするリセット期間と、最終的な表示状態を選
   択するための選択期間と、該選択期間で選択された状態
   を確立するための維持期間とを含み、前記維持期間は走
   査時間を一単位とする複数の連続する維持周期からな
   り、隣り合う各維持周期の後維持パルスと前維持パルス
   の極性が同じであること、 を特徴とする液晶表示装置。
8. 【請求項８】 互いに対向状態で交差する複数の走査電
   極と複数の信号電極との間に液晶を挟持してなる液晶表
   示素子と、 前記走査電極及び信号電極から液晶にパルス電圧を印加
   して液晶表示素子に表示を行わせる駆動手段とを備え、 前記駆動手段の印加するパルス電圧は、液晶を初期状態
   にリセットするリセット期間と、最終的な表示状態を選
   択するための選択期間と、該選択期間で選択された状態
   を確立するための維持期間とを含み、中間調表示は選択
   パルスの幅を変調することによって実現し、前記選択パ
   ルスは前選択パルスと後選択パルスとからなり、前選択
   パルスと後選択パルスとは互いに逆極性であり、パルス
   幅を変調する際には前選択パルス及び後選択パルスの時
   間的に前方側から所定時間電圧を印加し、残り時間は０
   Ｖを印加すること、 を特徴とする液晶表示装置。
9. 【請求項９】 互いに対向状態で交差する複数の走査電
   極と複数の信号電極との間に液晶を挟持してなる液晶表
   示素子と、 前記走査電極及び信号電極から液晶にパルス電圧を印加
   して液晶表示素子に表示を行わせる駆動手段とを備え、 前記駆動手段の印加するパルス電圧は、液晶を初期状態
   にリセットするリセット期間と、最終的な表示状態を選
   択するための選択期間と、該選択期間で選択された状態
   を確立するための維持期間とを含み、中間調表示は選択
   パルスの幅を変調することによって実現し、前記選択パ
   ルスは前選択パルスと後選択パルスとからなり、前選択
   パルスと後選択パルスとは互いに逆極性であり、パルス
   幅を変調する際には前選択パルス及び後選択パルスの時
   間的に前方側から所定時間０Ｖを印加し、残り時間は電
   圧を印加すること、 を特徴とする液晶表示装置。
10. 【請求項１０】 前記リセット期間、選択期間、維持期
    間、表示期間の少なくともいずれかの期間は、正電圧の
    積分値と負電圧の積分値とが等しいことを特徴とする請
    求項６、請求項７、請求項８又は請求項９記載の液晶表
    示装置。