JP2001329161A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂組成物

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JP2001329161A JP2000153187A JP2000153187A JP2001329161A JP 2001329161 A JP2001329161 A JP 2001329161A JP 2000153187 A JP2000153187 A JP 2000153187A JP 2000153187 A JP2000153187 A JP 2000153187A JP 2001329161 A JP2001329161 A JP 2001329161A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】色相および耐熱性が改良され、無機充填材で補
強された光ディスク、シート等の成型品、又はガラス代
替品等の透明成型品の成形材料として適したポリカーボ
ネート樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸結合を
導入し得る化合物との反応により製 造される、粘度平
均分子量12000〜40000のポリカーボネートで
あって、特定の環状オリゴマーの含有量が1000pp
m以下であり、かつ、該環状オリゴマーのオリゴマー総
含有量に対する割合が特定の関係式を満たす芳香族ポリ
カーボネート100重量部に、無機充填材1〜300重
量部配合することを特徴とする芳香族ポリカーボネート
樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色相および耐熱性
の改良されたポリカーボネート樹脂組成物に関し、特に
無機充填材で補強された芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物の色相及び耐熱性の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、透
明性等に優れた樹脂として多くの分野で幅広く用いられ
ているが、携帯端末機器のハウジングやカバー類等の成
形品の薄肉化にともない、更に強度や剛性に優れた材料
が求められている。これらの強度や剛性向上の要求に
は、一般的には、樹脂の補強効果を発揮するガラス繊維
や炭素繊維等の無機充填材を配合することで対応してい
る。しかし、これらの無機充填材の配合は、一般的に
は、ポリカーボネート樹脂組成物の流動性を低下させ、
結果的に、ポリカーボネート樹脂組成物を290〜38
0℃という高温で混練、成形しなければならず、混練時
および成形時に着色し易いこと、さらには高温の使用条
件下でも着色し易い等の問題を有していた。これらの問
題に対して、芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンを反
応させて重合を行う界面法で製造されたポリカーボネー
トでは、溶媒として使用される塩化メチレン量の低減、
ホスゲン由来の塩素成分量の低減等により耐熱性の改良
が試みられたり、また芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸
ジエステル化合物とを加熱減圧下反応させるエステル交
換法においては、原料である炭酸ジエステル等の含有量
の低減、触媒の失活等による改良(特開平7ー1263
74号公報)が試みられているが、十分な熱安定性は得
られていなかった。一方、ポリカーボネートに亜リン酸
エステル等のリン系酸化防止剤や、ヒンダードフェノー
ル等の酸化防止剤を添加し、耐熱性を付与する試みは既
に行われているが、高温時の着色を十分に抑制できなか
った。また、ポリカーボネートベースレジンの低分子量
化、カーボネートオリゴマー等の流動性改質剤の配合、
ABS等他樹脂とのアロイ化による流動性の改質等も行
われているが、これらの手法では、ポリカーボネート本
来の衝撃強度や耐熱性を犠牲にする等の問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、色調、耐熱
性等に優れるポリカーボネート組成物を提供するもので
あり、特に、無機充填材で補強された色調、耐熱性等に
優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供するも
のである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するためにポリカーボネート樹脂の色調、耐熱性
等の鋭意改良検討を行った結果、特定条件で製造し、生
成する環状オリゴマー含有量を、特定量かつ特定の割合
以下に減少させたポリカーボネート樹脂と、特定の無機
充填材を組み合わせることで、色調、耐熱性を大幅に改
善できるこを見出し、本発明を完成するに至った。すな
わち本発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸結合を
導入し得る化合物との反応により製造される、粘度平均
分子量12000〜40000のポリカーボネートであ
って、式(I)で表される環状オリゴマーの含有量が1
000ppm以下であり、かつ、式(I)、式(II)及
び式(III)で表されるオリゴマーの総量に対する割合
が関係式(1)を満たす芳香族ポリカーボネート100
重量部に、無機充填材1〜300重量部配合することを
特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供す
るものである。
【0005】
【化4】
【0006】(式(I)中、Bは1〜15の炭素数を有
するハロゲン置換されても良い炭化水素基、O、S、C
O、SO及びSO2より選ばれる2価の基である。Xは
ハロゲン原子、炭素数1〜14の脂肪族基もしくは置換
脂肪族基、炭素数6〜18の芳香族基もしくは置換芳香
族基、炭素数1〜8のオキシアルキル基および炭素数6
〜18のオキシアリール基から選ばれる1価の基を示
す。mは2〜8の整数、pは0〜4の整数であり、sは
0または1である。また、X及びpはそれぞれ同一また
は異なるものであっても良い。)
【0007】
【化5】
【0008】(式(II)中、A、A’はそれぞれ同一ま
たは異なるものであって、炭素数1〜18の脂肪族基、
置換脂肪族基、芳香族基、又は置換芳香族基を示す。n
は1〜7の整数、B、X、p及びsは式(I)と同じ定
義である。)
【0009】
【化6】
【0010】(式(III)中、A”は炭素数1〜18の
脂肪族基、置換脂肪族基、芳香族基、又は置換芳香族基
を示す。n’は1〜7の整数、B、X、p及びsは式
(I)と同じ定義である。)
【0011】
【数2】
【0012】(式(1)中、 [I],[II],[III]
はそれぞれ各式に対応するオリゴマーの含有量を表し、
Mvは芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量を表
す。)
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明に関わる芳香族ポリカーボネートは、原
料として芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸結合を導入し
得る化合物等とを用い、公知の方法である、界面重縮合
法、エステル交換法等により製造できる。このうち、エ
ステル交換法での製造が好ましい。炭酸結合を導入し得
る化合物としては、ホスゲン、炭酸ジエステル等が挙げ
られる。炭酸ジエステルは、下記の式(IV)で表され
る。
【0014】
【化7】
【0015】(式(IV)中 、A及びA’は炭素数1〜
18の脂肪族基、置換脂肪族基、芳香族基、又は置換芳
香族基であり、同一であっても異なっていてもよい。)
上記式(IV)で表される炭酸ジエステルは、例えば、ジ
メチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−
ブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、および
ジトリルカーボネートなどの置換ジフェニルカーボネー
トなどが例示されるが、好ましくはジフェニルカーボネ
ート、置換ジフェニルカーボネートであり、特にジフェ
ニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステル
は単独、あるいは2種以上を併用してもよい。また、上
記のような炭酸結合を導入し得る化合物と共に、好まし
くは50%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量
でジカルボン酸、あるいはジカルボン酸エステルを使用
してもよい。このようなジカルボン酸あるいはジカルボ
ン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、
テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニルなど
が用いられる。このようなカルボン酸、あるいはカルボ
ン酸エステルを炭酸ジエステルと併用した場合には、ポ
リエステルカーボネートが得られる。もう一つの原料で
ある芳香族ジヒドロキシ化合物は、式(V)で示され
る。
【0016】
【化8】
【0017】(式(V)中、Bは1〜15の炭素数を有
するハロゲン置換されても良い炭化水素基、または、
O、S、CO、SO及びSO2より選ばれる2価の基で
ある。Xはハロゲン原子、炭素数1〜14の脂肪族基も
しくは置換脂肪族基、炭素数6〜18の芳香族基もしく
は置換芳香族基、炭素数1〜8のオキシアルキル基およ
び炭素数6〜18のオキシアリール基より選ばれる1価
の基を示す。pは0〜4の整数であり、sは0または1
である。また、X及びpは、それぞれ同一または異なる
ものであっても良い。)上記式(V)で表される芳香族
ジヒドロキシ化合物は例えば、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,
5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニ
ルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビ
ス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,
3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェ
ニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ
クロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−
2,5−ジエトキシジフェニルエーテルなどが例示され
る。これらの中でも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン[=ビスフェノールA]が好ましい。ま
た、これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独で、ある
いは2種以上を併用することができ、必要に応じて共重
合体とすることもできる。
【0018】炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合
物との混合比率は、所望の芳香族ポリカーボネートの分
子量と末端ヒドロキシル基量により決められる。末端ヒ
ドロキシル基量は、製品ポリカーボネートの熱安定性、
加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼし、実用的
な物性を持たせるためには好ましくは1,000ppm
以下であり、さらに好ましくは800ppm以下であ
り、700ppm以下が特に好ましい。また、エステル
交換法で製造するポリカーボネートでは、末端ヒドロキ
シル基量が少なくなりすぎると、分子量が上がらず、色
調も悪くなるので、100ppm以上が好ましく、20
0ppm以上がより好ましく、300ppm以上が特に
好ましい。従って、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに
対して炭酸ジエステルを等モル量以上用いるのが一般的
であり、好ましくは1.01〜1.30モル、特に好ま
しくは1.01〜1.20モルの量で用いられる。エス
テル交換法により芳香族ポリカーボネートを製造する際
には、通常エステル交換触媒が使用される。エステル交
換触媒としては特に制限はないが、主としてアルカリ金
属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用さ
れ、補助的に塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、
塩基性アンモニウム化合物、あるいはアミン系化合物な
どの塩基性化合物を併用することも可能である。これら
の触媒は、1種類で使用してもよく、2種以上を組み合
わせて使用してもよい。触媒量としては芳香族ジヒドロ
キシ化合物1モルに対して、1×10-9〜1×10-3
ルの範囲で用いられる。特にアルカリ金属化合物、アル
カリ土類化合物では、通常は芳香族ジヒドロキシ化合物
1モルに対して1×10-9〜1×10-4モル、好ましく
は1×10-8〜1×10-5モルの範囲で用いられ、塩基
性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウ
ム化合物或いはアミン系化合物等の塩基性化合物では、
芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して1×10-9
1×10-3モル、好ましくは1×10-7〜1×10-4
ルの範囲で用いられる。触媒量がこれらの量より少なけ
れば、所定の分子量、末端ヒドロキシ基量のポリカーボ
ネートを製造するのに必要な重合活性が得られず、この
量より多い場合は、後述の環状オリゴマー量の増加、ポ
リマー色調の悪化、耐熱性の低下、耐加水分解性の低下
や、ゲルの発生による異物量の増大等が発生し好ましく
ない。
【0019】アルカリ金属化合物としては、リチウム、
ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの水酸化
物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸水素塩、フェ
ニルリン酸塩等の無機アルカリ金属化合物や、ステアリ
ン酸、安息香酸等の有機酸類、メタノール、エタノール
等のアルコール類,石炭酸、ビスフェノールA等のフェ
ノール類との塩などの有機アルカリ金属化合物等が挙げ
られる。アルカリ土類金属化合物としては、ベリリウ
ム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリ
ウムの水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩等の無機
アルカリ土類金属化合物や、有機酸類、アルコール類、
フェノール類との塩などの有機アルカリ土類金属化合物
などが挙げられる。塩基性ホウ素化合物の具体例として
は、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラ
プロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチ
ルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェ
ニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベン
ジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベ
ンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェ
ニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリ
フェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素、等のナト
リウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マ
グネシウム塩、バリウム塩、或いはストロンチウム塩等
が挙げられる。塩基性リン化合物としては、例えば、ト
リエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、
トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフ
ィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィ
ン、あるいは四級ホスホニウム塩などが挙げられる。
【0020】塩基性アンモニウム化合物としては、例え
ば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエ
チルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモ
ニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロ
キシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、
トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメ
チルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメ
チルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルア
ンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニ
ウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒ
ドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキ
シド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベン
ジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルト
リフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェ
ニルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。アミ
ン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2
−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリ
ジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピ
リジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジ
ン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイ
ミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾー
ル、2−メチルイミダゾール、アミノキノリンなどが挙
げられる。これらの触媒のうち、実用的にはアルカリ金
属化合物、塩基性アンモニウム化合物、塩基性リン化合
物が望ましく、特にアルカリ金属化合物が好ましい。本
発明のポリカーボネートは、上記炭酸結合を導入し得る
化合物と芳香族ジヒドロキシ化合物とを用い、通常は上
記エステル交換触媒を用いて製造され、粘度平均分子量
が12000〜40000のものである。粘度平均分子
量が12000未満であると機械強度が低下し、400
00を超えると成形性が低下するため好ましくない。
【0021】本発明における芳香族ポリカーボネートで
は、式(1)で示される環状オリゴマーの含有量の総和
が1000ppm以下であることが必要で、好ましくは
700ppm以下、さらに好ましくは550ppm以下
である。環状オリゴマー量が1000ppmを超える
と、着色し、耐熱性、耐加水分解性等が低下する。この
理由は必ずしも明確ではないが、環状オリゴマーが反応
性に富み、高温下で着色成分を生成したり、加水分解を
促したりし易いものと推測している。さらに本発明にお
いては、該環状オリゴマー(I)の量が、これに前記式
(II)及び式(III)で表されるオリゴマーを加えた総
量に対する割合が下記関係式(1)を満たさなければな
らない。
【0022】
【数3】
【0023】(式(1)中、 [I],[II],[III]
はそれぞれ各式に対応するオリゴマーの含有量を表し、
Mvは芳香族ポリカーボネートの粘度平均分子量を表
す。)前記式(I)で示される環状オリゴマーも、前記
式(II)及び前記式(III)で表される直鎖状オリゴマ
ーも、いずれもポリカーボネート製造中に生成する成分
であると考えられ、従って、該式中のカッコで括られた
繰り返し単位部分の構造は、ポリカーボネート製造に使
用された芳香族ジヒドロキシ化合物に由来するものであ
る。また、末端基A、A’及び A”で表わされるもの
は、式(IV)で示される炭酸結合を導入し得る化合物の
末端基に由来するものであり、またホスゲンを用いて界
面重縮合で製造した場合には、用いた末端停止剤に由来
するものである。該環状オリゴマー(I)は反応性が高
いため、芳香族ポリカーボネート中の含有量が1000
ppm以上では物性に悪影響を与える。さらに1000
ppm以下であっても、該環状オリゴマー(I)の割合
が、上記関係式(1)の範囲を越えると、物性に悪影響
を与えることがわかった。物性の悪くなる理由は100
0ppmより多いときと同様に、環状オリゴマー(I)
の反応性が高いからと思われる。
【0024】環状オリゴマー(I)の生成機構は定かで
はないが、ポリマー製造時の熱履歴、触媒種・量の影
響、ポリマー製造途中でのモノマーや、副生する芳香族
ヒドロキシ化合物の濃度等の影響で生成量は変化する。
一般に、ある分子鎖が環状体になるには、該分子鎖の末
端基同士が反応する必要がある。しかしこれは通常起こ
りにくく、一般に重合初期には隣接した分子間の末端基
同士が反応し重合が進行する。しかし重合が進行し、系
内の末端基の比率が変化すると、分子間の反応が低減
し、分子内の反応が起こりやすくなるものと考えられ
る。特に末端水酸基が少ない状態で、高温に保つと環状
オリゴマーが出来やすくなる。従って製造途中において
は、末端水酸基の割合を極端に低下させないようにする
ことが好ましい。環状オリゴマー(I)の含有量を低減
させるだけの目的であれば、ヘキサン、ヘプタン、メタ
ノール、アセトン等の、ポリカーボネートを溶解する力
が弱い溶媒で抽出処理することもできる。しかし、抽出
操作では、環状オリゴマー以外の直鎖状オリゴマー量も
一緒に低減し、オリゴマー総量中の環状オリゴマー量の
割合が変わらず、関係式(1)のような範囲とするのが
困難な場合が多い。さらに抽出操作による溶剤の残存等
の影響により耐熱性が改良されなくなる場合もあるので
好ましくない。該式(I)、式(II)、式(III)で表
されるオリゴマーの含有量の測定は、例えばゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)、高速液体ク
ロマトグラフィー(HPLC)、マススペクトル、NM
R等を用いて測定すること出来る。しかし、一般に高分
子量部と低分子量部を分取する必要があるので、MAL
DI−TOFMS(Matrix Assisted Lazer Desorption
Ionization Time of Flight Mass Spectrometory)等
の測定器を使用し、高分子量部から低分子量部までを一
括して測定することが好ましい。
【0025】本発明のポリカーボネートの製造は、上記
原料を用いたエステル交換反応では、100〜320℃
の温度で、常圧または減圧下反応を行い、芳香族ヒドロ
キシ化合物等の副生成物を除去しながら溶融重縮合反応
を行う方法が挙げられる。溶融重縮合は、バッチ式また
は連続的に行うことができるが、本発明では製品の安定
性等から連続式で行うことが好ましい。反応は通常、温
度、圧力条件を変化させた2段以上の多段工程で実施さ
れる。各段階の反応温度は、上記範囲内で重合物が溶融
状態にあれば特に制限はなく、また反応時間も、反応の
進行の程度により適宜定められるが、0.1〜10時間
であることが好ましい。これらの条件はポリマーの分子
量、色相および環状オリゴマー含有量の観点から決定さ
れる。具体的には、第1段目の反応は常圧あるいは減圧
下で140〜260℃、好ましくは180〜240℃の
温度で0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間反応
させる。ついで反応系の減圧度を上げながら反応温度を
高め、最終的には2mmHg以下の減圧下、240〜3
20℃の温度で重縮合反応を行う。上記環状オリゴマー
の含有量を低減するための製造法として有効な方法は、
特に分子量を5%以上増加させる最終段の重合工程にお
いては、250℃以上、特には260℃以上で反応さ
せ、当該反応で用いる重合装置入り口の末端水酸基の割
合が100ppm以上となるような条件で重合すること
が好ましく、200ppm以上で重合することがさらに
好ましい。環状オリゴマー生成の活性化エネルギーは高
く、温度が高くなるほど急激に生成するようになるの
で、該最終段の重合温度は、好ましくは310℃以下で
行うと良い。また触媒についてはその量が多すぎると、
カーボネート結合が活性化され易くなり、通常では起こ
りにくいカーボネート末端同士の反応が起こり、環状オ
リゴマーも出来やすくなるものと考えられる。これら各
反応槽の条件は、可能な限り変動しないように制御する
ほうが、環状オリゴマー量を抑制できる。
【0026】使用する装置は、槽型、管型、又は塔型の
いずれの形式であっても良く、各種の攪拌翼を具備した
竪型重合槽、横型1軸又は横型2軸タイプの重合槽等を
使用することができる。装置中の雰囲気は特に制限はな
いが、重合物の品質の観点から、窒素ガス等の不活性ガ
ス中、常圧または減圧下で重合が行われるのが好まし
い。このような製造方法の一例を図1に模式的に示し
た。重合終了後、製造された芳香族ポリカーボネートは
通常、ペレットとして回収されるが、その際、樹脂中に
残存するモノマーや副生物等の低分子量成分を除去する
ため、ベント式押出機を通すことも可能である。製造工
程において通常最も温度が高くなる押出機条件は、環状
オリゴマーの発生を低く抑えるために、温和な条件とす
べきである。触媒が活性な状態で高温にすると、環状オ
リゴマーが生成するので、適当な失活剤を用いて触媒を
失活させることが好ましい。触媒、特にアルカリ金属化
合物触媒を用いた場合には、エステル交換法ポリカーボ
ネート中の触媒の失活剤として、該触媒を中和する化合
物、例えばイオウ含有酸性化合物またはそれより形成さ
れる誘導体を使用することが好ましく、その量は触媒の
アルカリ金属に対して0.5〜10当量、好ましくは1
〜5当量の範囲であり、生成するポリカーボネートに対
して通常1〜100ppm、好ましくは1〜20ppm
の範囲で添加する。イオウ含有酸性化合物またはそれよ
り形成される誘導体の例としてはスルホン酸、スルフィ
ン酸、硫酸またはそれらのエステルであり、具体的には
ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、p−トルエンスルホン
酸、そのメチル、エチル、ブチル、オクチル及びフェニ
ルエステル類、ベンゼンスルホン酸、そのメチル、エチ
ル、ブチル、オクチル、フェニル、及びドデシルエステ
ル類、ベンゼンスルフィン酸、トルエンスルフィン酸、
ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。これらの化合物
の内、p−トルエンスルホン酸のエステルまたはベンゼ
ンスルホン酸のエステルが好ましく、これらの化合物を
2種以上使用しても良い。
【0027】イオウ含有酸性化合物、またはそれより形
成される誘導体のポリカーボネートへの添加方法は、任
意の方法により行うことができる。例えばイオウ含有酸
性化合物、またはそれより形成される誘導体を直接もし
くは希釈剤で希釈して、溶融または固体状態にあるポリ
カーボネートに添加し、分散させることができる。具体
的には重縮合反応器中、反応器からの移送ライン中、又
は押出機中に供給して混合することができる。また、ミ
キサー等で生成したポリカーボネートのペレット、フレ
ーク、粉末等と混合後、押出機に供給して混練すること
もできる。また押出機でベントによる減圧処理を行う場
合、又は水を添加する場合、さらには、ヒンダードフェ
ノール化合物及びリン化合物から選ばれる酸化防止剤、
及びそれ以外の熱安定剤、離型剤、染料、顔料、紫外線
吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、有機・無機充填剤などを
添加する際には、これらの各種添加剤の添加および処理
は、イオウ含有酸性化合物またはそれより形成される誘
導体と同時に行っても良いが、これらの添加または処理
に先立ち、イオウ含有酸性化合物またはそれより形成さ
れる誘導体を添加し、さらに混練することが好ましい。
【0028】本発明において使用される無機充填材とし
ては、例えば、ガラス繊維、ガラスミルドファイバー、
ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、シリカ、ア
ルミナ、酸化チタン、硫酸カルシウム粉体、石膏、石膏
ウィスカー、硫酸バリウム、タルク、マイカ、珪酸カル
シウム、カーボンブラック、グラファイト、鉄粉、銅
粉、二硫化モリブデン、炭化ケイ素、炭化ケイ素繊維、
窒化ケイ素、窒化ケイ素繊維、黄銅繊維、ステンレス繊
維、チタン酸カリウム繊維あるいはウィスカー、芳香族
ポリアミド繊維などで、好ましくは、ガラス、もしくは
炭素の繊維状、粉状、もしくはフレーク状の充填材で、
より好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスミルド
ファイバー、ガラスフレーク等が挙げられる。無機充填
材の配合量は、本発明の芳香族ポリカーボネート100
重量部に対して、1〜300重量部である。無機充填材
の配合量が1重量部未満では、補強効果が少なく、30
0重量部を越えると外観が悪くなりやすい。好ましい配
合量は、3〜50重量部である。本発明で使用されるガ
ラス繊維及びガラスミルドファイバーとしては、通常熱
可塑性樹脂に使用されているものであればいずれも使用
できるが、無アルカリガラス(Eガラス)が好ましい。
ガラス繊維の直径は、好ましくは6〜20μmであり、
より好ましくは9〜14μmである。繊維径が6μm未
満では補強効果が不充分となり易く、20μmを越える
と、製品外観に悪影響を与えやすい。ガラス繊維として
は、好ましくは、長さ1〜6mmにカットされたチョッ
プドストランド、ガラスミルドファイバーとしては、好
ましくは、長さ0.01〜0.5mmに粉砕されて市販
されているものを用いても良く、両者を混合して用いて
もよい。本発明で使用されるガラス繊維は、樹脂との密
着性を向上させる目的で、アミノシラン、エポキシシラ
ン等のシランカップリング剤などによる表面処理、ある
いは取扱い性を向上させる目的で、アクリル系樹脂、ウ
レタン系樹脂などによる集束処理を施して使用してもよ
い。
【0029】本発明で使用されるガラスビーズとして
は、通常熱可塑性樹脂に使用されているものであればい
ずれも使用できるが、無アルカリガラス(Eガラス)が
好ましい。ガラスビーズの形状は球状で、粒径は10〜
50μmであるのが好ましい。本発明で使用されるガラ
スフレークとしては、鱗片状のガラスフレークが挙げら
れ、一般的には樹脂配合後の最大径が1000μm以
下、好ましくは1〜500μmであり、且つアスペクト
比(最大径と厚み途の比)が5以上、好ましくは10以
上、さらに好ましくは30以上である。本発明で使用さ
れる炭素繊維としては、一般にアクリル繊維、石油又は
炭素系特殊ピッチ、セルロース繊維、リグニン、等を原
料として焼成によって製造されたものであり、耐炎質、
炭素質または、黒鉛質等の種々のタイプのものがある
が、特に基材を問わない。炭素繊維のアスペクト比(繊
維長/繊維径)の平均は、好ましくは、10以上であ
る。アスペクト比の平均が10未満であると導電性と強
度、剛性が低下する。炭素繊維のアスペクト比(繊維長
/繊維径)の平均は、より好ましくは50以上である。
一般に炭素繊維の径は3〜15μmにあるため、このよ
うなアスペクト比に調整するためには、チョップドスト
ランド、ロービングストランド、ミルドファイバー等の
いずれの形状のものも使用でき、1種または2種以上混
合して用いることもできる。
【0030】炭素繊維の表面は、本発明の組成物の特性
を損なわない限りにおいて、樹脂との親和性を増すため
に表面処理、例えばエポキシ処理、ウレタン処理、酸化
処理等が施されていてもよい。無機充填材の添加時期、
添加方法については特に制限は無く、例えば添加時期と
しては、エステル交換法でポリカーボネートを製造した
場合には、重合反応終了時、さらには重合法に関わらず
ポリカーボネート等の混練途中等の、ポリカーボネート
が溶融した状態で添加することができるが、ペレットま
たは粉末等の固体状態のポリカーボネートとブレンド
後、押出機等で混練することも可能である。また、添加
方法としては、該無機充填材を直接ポリカーボネートに
混合または混練することもできるが、少量のポリカーボ
ネートまたは他の樹脂等で作成した高濃度のマスターバ
ッチとして添加することもできる。本発明の芳香族ポリ
カーボネート樹脂組成物には、このほかリン系、イオウ
系、ヒンダードフェノール等の通常の耐熱安定剤、紫外
線吸収剤、離型剤、難燃剤、着色剤、帯電防止剤、スリ
ップ剤、アンチブロッキング剤、滑剤、防曇剤、天然
油、合成油、ワックス、有機系充填剤などの添加剤を添
加してもよい。
【0031】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、このほかビスフェノールA、炭酸結合前駆体及
びパラターシャリーブチルフェノール等の末端停止剤よ
り製造される縮合度2〜15の芳香族オリゴカーボネー
ト、ABS、HIPS等のスチレン系共重合体、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等
のポリエステル系樹脂、MBS等のコアシェル共重合タ
イプエラストマー、SEPS等のブロック共重合タイプ
エラストマー、ポリオルガノシロキサンゴム成分とポリ
アルキル(メタ)アクリレートゴム成分から構成され両
ゴム成分が相互に絡み合い事実上分離できない構造を有
する複合ゴムに、芳香族アルケニル化合物とシアン化ビ
ニル化合物がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフ
ト共重合体等を配合しても良い。このような添加剤及び
重合体は、溶融状態にある樹脂に添加することもできる
し、また一旦ペレット化された樹脂を再溶融して添加す
ることもできる。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これら実施例に限定されるものではない。な
お、以下の実施例において、芳香族ポリカーボネートの
製造は、図1に示すような工程を用いて行った。また、
本発明により得られた芳香族ポリカーボネートの分析
は、以下の測定法により行った。 (1)粘度平均分子量(Mv) ウベローデ粘度計を用いて塩化メチレン中20℃の極限
粘度[η]を測定し、以下の式より求めた。
【0033】
【数4】[η]=1.23×10-4×(Mv)0.83
【0034】(2)オリゴマー含有量 MALDI−TOFMS(フィニガンマット社製VIS
ION2000;レーザー(N2レーザー=337n
m)、測定質量範囲(m/z=0〜35000))を測
定に使用した。ジクロロメタン10ml中にポリカーボ
ネート0.10gと内標としてトリス(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート
0.01gとを溶解したポリマー溶液と、THF1ml
中に2,4,6−トリヒドロキシアセトフェノン80m
gを溶解したマトリクス溶液を調製し、ポリマー溶液と
マトリクス溶液を、体積比1:1の割合で混合し、試料
溶液として用いた。 (3)初期色調及び成形品分子量 樹脂組成物を120℃、4時間乾燥した後、(株)名機
製作所製M150AII−SJ射出成形機を用いて3mm
厚成型品を、320℃、成形サイクル1分間の条件で成
形し、分光式色彩計(日本電色工業機株式会社製、SE
2000)でYI値を測定した。このYI値が大きいほ
ど着色していることを示す。同時に成形品を塩化メチレ
ンに溶解し、無機充填材を除いたポリカーボネートの粘
度平均分子量を上記(1)記載の方法で測定した。 (4)滞留安定性(320℃耐熱試験)及び成型品分子
量 樹脂組成物を120℃、4時間乾燥した後、(株)名機
製作所製M150AII−SJ射出成形機を用いて3mm
厚成型品を、320℃、成形サイクル10分間の条件で
成形し、この条件の5ショット目の成型品について、分
光式色彩計(日本電色工業機株式会社製、SE200
0)により透過法でYIを測定した。このYIが大きい
ほど、成型品が着色していることを表す。同時に成形品
を塩化メチレンに溶解し、無機充填材を除いたポリカー
ボネートの粘度平均分子量を上記(1)記載の方法で測
定した。 (5)耐熱老化試験 初期色調を測定した成形片を、110℃の熱風乾燥機中
で2000時間熱老化試験を行い、処理後のYIを測定
した。 (6)末端水酸基量 四塩化チタン/酢酸法(Macromol.Chem.88 215(1965)に
記載の方法)により比色定量を行った。
【0035】製造例1 PC−1:窒素ガス雰囲気下、135℃で、ビスフェノ
ールA(BPA)とジフェニルカーボネート(DPC)
とを一定のモル比(DPC/BPA=1.045)で溶
融混合し、135℃に加熱した原料導入管を介して常
圧、窒素雰囲気下、205℃に制御した縦型第1攪拌重
合槽内に連続供給し、平均滞留時間が70分になるよう
に槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度
を制御して、液面レベルを一定に保った。また、上記原
料混合物の供給を開始すると同時に、触媒として、水溶
液とした水酸化セシウムをビスフェノールA1モルに対
し、1×10-6モルの流量で連続供給した。槽底より排
出された重合液は、引き続き第2、3、4の縦型重合槽
並びに横型第5重合槽に逐次連続供給された。反応の
間、各槽の平均滞留時間が下表1に示すような所定の時
間になるように、液面レベルを制御し、また同時に副生
するフェノールの留去も行った。縦型第2重合槽より横
型第5重合槽での、各反応槽の重合条件、およびモノマ
ー含量等を下表1に示した。50kg/Hrの製造速度
で連続して得られるポリカーボネートを、溶融状態のま
ま、混練部に内部温度測定用の温度計を設置し、3段ベ
ント口を具備した2軸押し機(神戸製鋼所(株)製、ス
クリュー径0.046m、L/D=36)に導入し、p
−トルエンスルホン酸ブチルを5ppm添加し、水を添
加し、該水とモノマー成分とを揮発させた後、ペレット
化した。押し出し機条件は、吐出量=50kg/hr、
回転数=150rpm、最高樹脂温度=278℃であっ
た。得られたポリカーボネートの粘度平均分子量は22
000であり、環状オリゴマー量は400ppm、式
(1)で計算される環状オリゴマー量の割合は13.7
%であった。
【0036】製造例2 PC−2: 製造例1において、触媒を水酸化ナトリウ
ムに変更し、表1に示すように重合条件等を変更した以
外は、同様に製造を行ってポリカーボネートを得た。 製造例3 PC−3: 製造例1において、触媒を炭酸セシウムに
変更し、横型重合槽を用いず、表1に示すような重合条
件に変更し、同様に製造を行ってポリカーボネートを得
た。 製造例4(比較製造例) PC−4:製造例2において、押出機条件を表1に示す
ように変更した以外は、同様に製造を行ってポリカーボ
ネートを得た。
【0037】実施例及び比較例 表2に示す配合処方で、単軸押出機(田辺プラスチック
株式会社製、商品名VS−40)によりバレル温度28
0℃で混練後、320℃で射出成形を行い初期色調、耐
熱老化性、滞留安定性評価を行った。得られたポリマー
の評価結果を表2にまとめた。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物は、色相や耐熱老化性や滞留安定性等の耐熱性に優
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリカーボネートを得るための製造方
法の1例を示したフローシート。
【符号の説明】
1.原料混合槽 2.縦型重合槽 3.攪拌翼 4.副
生物排出管 5.横型重合槽 6.攪拌翼 7.触媒導
入管
フロントページの続き (72)発明者 中野 博 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 Fターム(参考) 4J002 CG001 CL062 DA016 DA026 DA036 DA076 DA086 DC006 DE136 DE146 DE186 DG026 DG046 DG056 DJ006 DJ016 DJ046 DJ056 DL006 FA046 FD012 FD016

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸結合を導
    入し得る化合物との反応により製造される、粘度平均分
    子量12000〜40000のポリカーボネートであっ
    て、式(I)で表される環状オリゴマーの含有量が10
    00ppm以下であり、かつ、式(I)、式(II)及び
    式(III)で表されるオリゴマーの総量に対する割合が
    関係式(1)を満たす芳香族ポリカーボネート100重
    量部に、無機充填材1〜300重量部配合することを特
    徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。 【化1】 (式(I)中、Bは1〜15の炭素数を有するハロゲン
    置換されても良い炭化水素基、O、S、CO、SO及び
    SO2より選ばれる2価の基である。Xはハロゲン原
    子、炭素数1〜14の脂肪族基もしくは置換脂肪族基、
    炭素数6〜18の芳香族基もしくは置換芳香族基、炭素
    数1〜8のオキシアルキル基および炭素数6〜18のオ
    キシアリール基から選ばれる1価の基を示す。mは2〜
    8の整数、pは0〜4の整数であり、sは0または1で
    ある。また、X及びpはそれぞれ同一または異なるもの
    であっても良い。) 【化2】 (式(II)中、A、A’はそれぞれ同一または異なるも
    のであって、炭素数1〜18の脂肪族基、置換脂肪族
    基、芳香族基、又は置換芳香族基を示す。nは1〜7の
    整数、B、X、p及びsは式(I)と同じ定義であ
    る。) 【化3】 (式(III)中、A”は炭素数1〜18の脂肪族基、置
    換脂肪族基、芳香族基、又は置換芳香族基を示す。n’
    は1〜7の整数、B、X、p及びsは式(I)と同じ定
    義である。) 【数1】 (式(1)中、 [I],[II],[III]はそれぞれ各
    式に対応するオリゴマーの含有量を表し、Mvは芳香族
    ポリカーボネートの粘度平均分子量を表す。)
  2. 【請求項2】 無機充填材が、ガラス、もしくは炭素の
    繊維状、粉状、もしくはフレーク状の無機充填材から選
    ばれる少なくとも1種又は2種以上であることを特徴と
    する請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 芳香族ポリカーボネートが、芳香族ジヒ
    ドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応
    により製造されることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 芳香族ポリカーボネートが、末端水酸基
    の含有量が100〜1000ppmであることを特徴と
    する請求項1ないし3のいずれかに記載の芳香族ポリカ
    ーボネート樹脂組成物。
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