JP2001328136A - 非晶性樹脂組成物を成形して得られる事務機器の内部機構部品 - Google Patents

非晶性樹脂組成物を成形して得られる事務機器の内部機構部品

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JP2001328136A
JP2001328136A JP2000151686A JP2000151686A JP2001328136A JP 2001328136 A JP2001328136 A JP 2001328136A JP 2000151686 A JP2000151686 A JP 2000151686A JP 2000151686 A JP2000151686 A JP 2000151686A JP 2001328136 A JP2001328136 A JP 2001328136A
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Norihiko Furuya
紀彦 古谷
Yasuo Takenaka
保雄 竹中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製品の寸法安定性と成形品の寸法精度と難燃
特性が要求される複写機・プリンター・ファクシミリな
どの内部機構部品に、樹脂の樹脂組成の制約および製品
デザインの制約を受けることなく、寸法精度と寸法安定
性を改良し、生産性を保持した製造方法を提供し、新た
な事務機器の内部機構部品の製品設計を可能にするこ
と。 【解決手段】 樹脂組成物に0.2重量%以上の二酸化
炭素を溶解、又は吸収させた後に金型キャビティで成形
することにより得られる事務機器の内部機構部品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形品の寸法安定
性と生産性が要求される複写機、プリンター、ファクシ
ミリ等の事務機器の樹脂製内部機構部品に関する。詳し
くは、事務機器のシャーシフレーム、紙搬送部ガイド、
ロール、カバー等の内部機構部品に関する。
【0002】
【従来の技術】情報通信網の発達に伴い、一般に事務機
器と言われる複写機、プリンター、ファクシミリ等の機
器が急増している。この需要に対応するため、従来板金
を用いて作成された内部機構部品の部品点数削減と製造
工程の簡略化を目的とした樹脂化が進められている。
【0003】複写機、プリンター、ファクシミリ等の事
務機器は、印字の機構としてトナーの熱定着を用いてお
り、内部機構部品に耐熱性の高い樹脂が要求される。一
方、成形品の寸法精度および寸法安定性が必要であり、
成形収縮率および成形後の収縮の小さい非晶性樹脂が多
く用いられている。また、事務機器の機構部品として剛
性を要求する部品には無機系または有機系の充填剤で強
化された非晶性樹脂組成物が多く使用されている。
【0004】非晶性樹脂は一般的に溶融樹脂粘度が高く
金型キャビティの流動末端部までの圧力伝達が難しく、
ヒケを発生しやすい。ヒケ防止のために非晶性樹脂の射
出成形では、射出速度を速くする、保圧圧力を高くする
等の対処を行うことが良く行われる。しかし、必要以上
に射出速度を速くした場合には、バリを発生する恐れが
あり、金型を痛めると共に成形品の後処理が必要であ
る。
【0005】また、必要以上の保圧圧力を用いた場合、
成形品内の圧力分布の差が大きくなり成形品に反りの発
生と残留歪みによる成形品の寸法変化が大きくなる。寸
法精度と寸法安定性を要求する事務機器の内部機構部品
を製造するために、従来の射出成形の金型設計では、ゲ
ート点数を増すことなどによって保圧効果を増し、成形
品内の圧力分布の差を小さくする方法、ホットランナー
を用いランナー及びゲート部の圧力損失を減少し、射出
速度の低下及び保圧圧力の低下等の対策も行われてい
る。しかし、成形品形状に依存する部分が多くこれらの
対策ができない成形品もあるのが現状である。
【0006】成形品の寸法精度を得るために、射出成形
時の樹脂温度設定を高め、樹脂の溶融粘度を低減する手
法、及び金型内での冷却時間を延長する手法も実施され
ている。樹脂温度設定を高める手法は、冷却時の比容積
の変化量を増加させるために生産性を低下させると共
に、成形品取り出し時の成形品温度を高める結果とな
り、これは寸法精度を悪化させる要因となる。また、金
型内での冷却時間を延長する手法は、冷却時に発生する
容積変化に伴う冷却歪みを成形品内に残すことが多く、
製品の使用環境下での寸法安定性を悪化させると共に生
産性を低下させる。
【0007】一方、高速射出成形、ガスアシスト成形等
の新たな成形方法が、寸法精度と寸法安定性を要求する
事務機器の内部機構部品の製造に提案されている。高速
射出成形は、非晶性樹脂を高速で射出することにより金
型からの冷却による溶融粘度上昇を防ぐと共に高いせん
断力で溶融粘度を低下させ、圧力分布を小さくする効果
がある。また、射出時間の減少効果も得られ、生産性も
良くなる。しかし、高速射出により、バリの発生と金型
キャビティ端部のガス溜まりでの断熱圧縮による樹脂ヤ
ケが発生する恐れがある。
【0008】ガスアシスト成形は、非晶性樹脂の高い溶
融粘度によるヒケをガス中空部形成によって防ぐことに
より、必要以上の保圧を成形品に付加する必要がなく、
寸法精度改善には効果がある。しかし、ガス注入口の設
置場所に成形品の形状から制限がある場合には、その効
果を十分に発揮できない場合がある。更に、高速射出成
形及びガスアシスト成形射出成形共に、金型に圧力セン
サーまたはガス注入口を設置する必要があり、成形品形
状にその効果が制限される。
【0009】成形条件によらず非晶性樹脂の溶融粘度を
低下させる樹脂改質手段としては、樹脂の分子量を低下
させる、樹脂に可塑化成分を添加する等の手法が用いら
れる。しかし、分子量の低下は機械的強度と耐薬品性の
低下、可塑化成分の添加は成形時に金型表面への付着と
いった問題の発生が懸念される。一方、J.Appl.
Polym.Sci.,Vol.30,2633(19
85)など、多くの文献に示されるように、二酸化炭素
を樹脂に吸収させると、樹脂の可塑剤として働き、ガラ
ス転移温度を低下させることが知られているが、樹脂の
成形加工に広く応用されるには至っていない。
【0010】特開平5−318541号公報には、二酸
化炭素や窒素などのガスを熱可塑性樹脂中に含ませ、キ
ャビティ内のガスを除去しながら該樹脂をキャビティに
充填することで、熱可塑性樹脂の流動性を向上させ、強
度や外観低下のない成形品を得る方法が示されている。
しかし、この方法は、ガスに二酸化炭素を使用した場
合、最大でも約0.18重量%と樹脂中に含まれるガス
の量が少なく、十分な流動性向上の効果を得ることは難
しく、高い寸法精度と寸法安定性を得ることは難しいと
いえる。
【0011】発泡成形では、非発泡状態の樹脂をキャビ
ティにほぼ満たした後、樹脂の充填時に固化した成形品
の表層より内側の溶融樹脂が冷却された際の体積収縮分
が発泡するものである。樹脂に発泡性を持たせる目的で
樹脂中に含ませるガスの量は、この体積収縮分を補える
最低限とするのが基本的である。樹脂中のガス量は、窒
素で0.1重量%未満、二酸化炭素で0.15重量%未
満であることが一般的である。特公昭62−16166
号公報の実施例では樹脂中の窒素ガス量は0.01〜
0.15重量%程度と推定され、樹脂の流動性を向上さ
せることができるものではない。
【0012】また、WO98/52734号公報には、
熱可塑性樹脂の射出成形において、二酸化炭素を0.2
重量%以上溶解して粘度低下させた溶融樹脂を、あらか
じめ金型キャビティを溶融樹脂のフローフロントで発泡
が起きない圧力以上にガスで加圧状態にして、金型キャ
ビティに射出する方法が示されている。しかし、この方
法ではキャビティ内の加圧ガスにより樹脂の充填が阻害
されるため充填圧が上昇し、高い寸法精度と寸法安定性
を得るには不利である。また、キャビティ内に充填され
た加圧ガスの圧力を保持するためのシール構造が必要で
あり、複雑な形状の事務機器の内部機構部品の金型を作
成するのは難しい。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、製品の寸法
安定性と成形品の寸法精度と難燃特性が要求される複写
機、プリンター、ファクシミリなどの内部機構部品に寸
法精度と寸法安定性を改良し、生産性を保持した製造方
法で事務機器の内部部品を提供することを課題とする。
具体的には、非晶性樹脂の樹脂組成の制限、製品デザイ
ンから発生する金型構造の制限を受けることない寸法精
度と寸法安定性が向上した事務機器の内部機構部品を提
供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、非晶性樹
脂組成物に0.2重量%以上の二酸化炭素を溶解、又は
吸収させた後に金型キャビティに射出することにより、
生産性を保持し、必要な寸法精度と寸法安定性を改良し
た事務機器の内部機構部品を見いだした。本発明におい
て非晶性樹脂組成物に0.2重量%以上の二酸化炭素を
溶解、又は吸収させることにより非晶性樹脂の溶融粘度
が低下し、流動性が向上する。この結果、従来の射出成
形による事務機器の内部機構部品の製造方法のように樹
脂温度、金型温度を高くすることなく、寸法精度および
寸法安定性を改良することができた。また、従来の樹脂
組成を変更することなく、流動性を改良でき、強度低下
及び金型への付着物の増加等を発生することなく、寸法
精度および寸法安定性を改良することができた。
【0015】即ち本発明は、非晶性樹脂組成物が少なく
とも1種類の無機系または/および有機系の充填剤によ
り強化されたものであり、かつ該非晶性樹脂組成物に
0.2重量%以上の二酸化炭素を溶解又は吸収させた後
に金型キャビティで成形することにより得られることを
特徴とする非晶性樹脂組成物を成形して得られる事務機
器の内部機構部品に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明について、以下に具体的に
説明する。本発明は、非晶性樹脂組成物により事務機器
の内部機構部品を製造するが、これは、該非晶性樹脂組
成物の成形収縮率が小さい点、成形後の後収縮による寸
法変化が少ない点が、事務機器の内部機構部品に必要と
される寸法精度を確保する上で有利なためである。具体
的には、ポリスチレン(以下「PS」と略す)系樹脂、
ABS系樹脂、ポリカーボネート(「PC」)系樹脂、
PC/ABS系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル
(「mPPE」)系樹脂などの非結晶性樹脂が考えられ
る。
【0017】更に、製品の使用環境を考慮すると、荷重
熱変形温度の高いPC/ABS系樹脂、PC系樹脂、m
PPE系樹脂が好ましい。本発明に用いられる非晶性樹
脂組成物は、無機系または有機系の充填剤により強化さ
れていることを特徴とするが、該充填剤は、ガラス、炭
素、金属、アラミド、チタン酸カリウム、アスベスト、
炭化ケイ素、セラミック、窒化ケイ素、硫酸バリウム、
硫酸カルシウム、カオリン、クレー、パイロフィライ
ト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、マイカ、
雲母、ネフェリンシナイト、タルク、アタルパルジャイ
ト、ウオラストナイト、スラグ、フェライト、ケイ素、
カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロ
マイト、酸化亜鉛、石膏、ガラスビーズ、ガラスパウダ
ー、ガラスバルーン、石英、石英ガラス、アルミナ等が
任意に使用できる。
【0018】また、これら充填剤の形状は、繊維状又は
板状が任意に選択できる。また、これらの無機系または
有機系の充填剤は、2種類以上を併用することも可能で
ある。また、必要に応じて、シラン系、チタン系などの
カップリング剤で予備処理して使用することができる。
本発明に用いられる非晶性樹脂組成物には無機系または
有機系の充填剤が添加されていることを特徴とするが、
該充填剤の添加量は限定されるものではない。しかし、
該充填剤により、非晶性樹脂組成物の剛性を向上させ
る、寸法精度を確保する、反りなどの変形を抑えるとい
った効果を満足するためには5重量%以上の添加量であ
ることが好ましい。
【0019】また、無機系または有機系の充填剤の添加
量が5重量%未満であると、剛性の向上、寸法精度向上
といった効果が少ないほか、金型キャビティへの充填の
際にフローフロントで樹脂の発泡が発生しやすいため好
ましくない。ここで充填剤の添加量とは、非晶性樹脂組
成物の総量を100重量%としたときの割合を指し、充
填剤が2種類以上の場合にはその総添加量を指すものと
する。
【0020】本発明における非晶性樹脂組成物には、通
常使用する添加剤、例えば、酸化防止剤、難燃剤、離型
剤、滑剤、耐熱安定剤、耐候性安定剤、防錆剤、充填
剤、着色剤、抗菌剤、防カビ剤などを必要に応じて、1
種類以上添加することができる。上記難燃剤は、難燃特
性の付与の為に任意に添加されるが、具体的にはハロゲ
ン系難燃剤、リン系難燃剤、シリコン系難燃剤などが使
用できる。また、必要に応じ難燃助剤が使用できる。し
かし、環境負荷の観点からリン系難燃剤、シリコン系難
燃剤が好ましい。
【0021】本発明において、無機系または/および有
機系充填剤を添加した非晶性樹脂組成物に該非晶性樹脂
組成物に対して、0.2重量%以上の二酸化炭素を溶解
または吸収させる方法としては、射出成形機の加熱筒内
で溶融状態の該非晶性樹脂に二酸化炭素を混合させる方
法、予め溶融状態にある該非晶性樹脂に二酸化炭素を混
合した状態で樹脂ペレットを造粒しこれを用いて射出成
形する方法、予め密閉容器中で樹脂ペレットに二酸化炭
素を吸収させる方法が考えられる。
【0022】射出成形機への樹脂の安定供給性、射出成
形時の作業性を考慮すると、射出成形機の加熱筒内で溶
融状態の非晶性樹脂組成物に二酸化炭素を混合させる方
法が一般的と思われる。本発明において、二酸化炭素の
吸収量または溶解量は、以下の手順により測定するもの
とする。
【0023】成形加工直後に、成形品の重量を測定す
る(M1とする)。 成形品を100℃に保温された熱風乾燥機中に48時
間以上放置し、二酸化炭素を放散させる。熱風乾燥機か
ら取り出した成形品の重量を測定する(M2とする)。 二酸化炭素吸収量または溶解量(重量%)=(M1−M
2)÷M2×100から算出する。
【0024】本発明においては、該非晶性樹脂組成物に
二酸化炭素を溶解または吸収させた後、予め金型キャビ
ティ内を加圧することなく、実質的に大気圧である金型
キャビティ内へ射出することが好ましい。これは、キャ
ビティ内の加圧ガスにより樹脂の充填が阻害されるため
充填圧が上昇し、高い寸法精度と寸法安定性を得るには
不利である。また、キャビティ内に充填された加圧ガス
の圧力を保持するためのシール構造が必要であり、複雑
な形状の事務機器の内部機構部品の金型を作成すること
が難しいためである。
【0025】本発明において、非晶性樹脂組成物の事務
機器の内部機構部品の製造方法とは、熱可塑性樹脂の成
形加工方法を指し、通常用いられる射出成形法のほか、
中空射出成形法、射出圧縮成形法などが含まれる。以
上、本発明の事務機器の内部機構部品の製造方法は、製
品の寸法安定性と成形品の寸法精度と難燃特性が要求さ
れる複写機、プリンター、ファクシミリなどの内部機構
部品に生産性を保持改良した製造方法を提示することに
より、新たな事務機器の内部機構部品の製品設計を可能
にする。
【0026】以下、実施例によって本発明を具体的に説
明するが、本発明は以下に限定されるものではない。射
出成形に使用した樹脂は、mPPE系樹脂旭化成工業
(株)製「ザイロンX1763」(1.82MPa荷重
の熱変形温度120℃、無機系充填剤30重量%)、同
「ザイロンX1735」(1.82MPa荷重の熱変形
温度120℃、無機系充填剤35重量%)、PC系樹脂
帝人化成(株)「パンライトG−3430H」(無機系
充填剤30重量%、1.82MPa荷重の熱変形温度1
42℃)、PC/ABS系樹脂帝人化成(株)「マルチ
ロンRN3135」(1.82MPa荷重の熱変形温度
108℃、無機系充填剤35重量%)である。
【0027】金型は、図1に示す正方形の平板形状を有
する金型(以下100mm□平板金型)と、図2に示す
正方形平板上に4本のボスを設けた形状を有する金型
(以下ボス付き金型)の2種を用意した。成形機は、住
友重機械工業(株)製「SG125−HP」を使用し
た。
【0028】実施例、比較例を実施するにあたり、成形
条件は以下のように設定した。まず、1次充填量は、1
00mm□平板金型、ボス付き平板金型の流動末端部に
設けられた5×10×1mmtのタブが欠落する量とし
た。このとき、成形機SG125−HP成形機の充填圧
表示を読み取り、充填圧値とした。また、保圧設定値は
上記充填圧の70%とし、保圧時間は7秒間とした。冷
却時間は20秒である。
【0029】各成形品の二酸化炭素の吸収量または溶解
量は、以下の手順により測定した。 成形加工直後に、成形品の重量を測定する(M1とす
る)。 成形品を100℃に保温された熱風乾燥機中に48時
間以上放置し、二酸化炭素を放散させる。熱風乾燥機か
ら取り出した成形品の重量を測定する(M2とする)。 二酸化炭素吸収量または溶解量(重量%)を、(M1−
M2)÷M2×100から算出する。
【0030】
【実施例1〜4】ザイロンX1763、ザイロンX17
35、パンライトG−3430H、マルチロンRN31
35の各樹脂をSG125−HP成形機の加熱筒中央に
設けられたガス注入部より、加熱筒内の溶融樹脂中に二
酸化炭素ガスを溶解させた後、金型キャビティに射出
し、100mm□平板成形品を得た。また、この時、S
G125−HP成形機の充填圧表示を読み取り、充填圧
の値とした。
【0031】まず、図1に示す100mm□平板成形品
の流動方向の寸法(A値)と流動に対して直角方向の寸
法(B値)を、三次元測定器(AE122、ミツトヨ社
製)と測定プログラム(Geopak400、ミツトヨ
社製)を用いて測定した後、成形収縮率を算出した。な
お、成形収縮率は次式より算出した。 成形収縮率(%)=(金型寸法−成形品寸法)÷金型寸
法×100 成形収縮率異方性は、上記A値から算出した成形収縮率
(a)と、上記B値から算出した成形収縮率(b)を比
較し、大なる値と小なる値との比を成形収縮率異方性と
した。二酸化炭素吸収量、充填圧、成形収縮率異方性を
測定し、結果を表1に示す。
【0032】
【比較例1〜4】同様に、各樹脂に関し、SG125−
HP成形機にて二酸化炭素ガスを溶解させず通常の射出
成形と同じ行程により、100mm□平板を得た。二酸
化炭素吸収量、充填圧、成形収縮率異方性を測定し、結
果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【実施例5〜7】ザイロンX1763を用いて、二酸化
炭素の吸収量が0.25〜0.55重量%となるよう
に、SG125−HP成形機の加熱筒中央に設けられた
ガス注入部より加熱筒内の溶融樹脂中に二酸化炭素ガス
を溶解させた後、金型キャビティへ充填し、図2に示す
ようなボス付き平板成形品を得た。充填圧はSG125
−HP成形機の充填圧表示を読み取った値とした。結果
を表2に示す。
【0035】成形品の平面度は、ボス付き平板成形品の
ボスが設置されていない面を、三次元測定器(AE12
2、ミツトヨ社製)と測定プログラム(Geopak4
00、ミツトヨ社製)を用いて多点平面度測定法に従い
測定した。結果を表2に示す。
【0036】
【比較例5】樹脂中に二酸化炭素ガスを溶解させない通
常の射出成形と同じ工程で、図2に示すようなボス付き
平板を得た。金型キャビティへの樹脂充填時の充填圧と
成形品の平面度を測定した。結果を表2に示す。
【0037】
【比較例6】二酸化炭素の吸収量が0.15重量%とな
るように、SG125−HP成形機の加熱筒中央に設け
られたガス注入部より加熱筒内の溶融樹脂中に二酸化炭
素ガスを溶解させた後、金型キャビティへ充填し、図2
に示すようなボス付き平板成形品を得た。金型キャビテ
ィへの樹脂充填時の充填圧と成形品の平面度を測定し
た。結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】本発明の事務機器の内部機構部品は、製
品の寸法安定性と成形品の寸法精度と難燃特性が要求さ
れる複写機・プリンター・ファクシミリなどの内部機構
部品に生産性を保持した成形方法と樹脂組成を提示する
ことにより新たな事務機器の内部機構部品の製品設計を
可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の100mm□平板を示す。
【図2】 本発明のボス付き平板を示す。
【符号の説明】
1 100mm□平板 2 タブ 3 ボス付き平板 4 ボス

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非晶性樹脂組成物が少なくとも1種類の
    無機系または/および有機系の充填剤により強化された
    ものであり、かつ該非晶性樹脂組成物に0.2重量%以
    上の二酸化炭素を溶解又は吸収させた後に金型キャビテ
    ィで成形することにより得られることを特徴とする非晶
    性樹脂組成物を成形して得られる事務機器の内部機構部
    品。
  2. 【請求項2】 該非晶性樹脂組成物に添加される少なく
    とも1種類の無機系または/および有機系の充填剤が、
    繊維状または/および板状の充填剤であることを特徴と
    する請求項1の非晶性樹脂組成物を成形して得られる事
    務機器の内部機構部品。
  3. 【請求項3】 該事務機器の内部機構部品がシャーシフ
    レーム、紙搬送部ガイド、ロール、カバーであることを
    特徴とする請求項1または2の非晶性樹脂組成物を成形
    して得られる事務機器の内部機構部品。
JP2000151686A 2000-05-23 2000-05-23 非晶性樹脂組成物を成形して得られる事務機器の内部機構部品 Pending JP2001328136A (ja)

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