JP2001323982A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機

Info

Publication number
JP2001323982A
JP2001323982A JP2000146186A JP2000146186A JP2001323982A JP 2001323982 A JP2001323982 A JP 2001323982A JP 2000146186 A JP2000146186 A JP 2000146186A JP 2000146186 A JP2000146186 A JP 2000146186A JP 2001323982 A JP2001323982 A JP 2001323982A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
link
power roller
continuously variable
variable transmission
toroidal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000146186A
Other languages
English (en)
Inventor
Shugo Azuma
秀剛 東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2000146186A priority Critical patent/JP2001323982A/ja
Publication of JP2001323982A publication Critical patent/JP2001323982A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Friction Gearing (AREA)
  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 パワーローラ支持部材の傾転により発生する
リンクとパワーローラ支持部材間のフリクションを原因
とする変速制御特性のヒステリシスを小さく抑えること
ができるトロイダル型無段変速機を提供すること。 【解決手段】 トラニオン4,4のストロークにより、
パワーローラ3,3に首振り軸線L周りの傾転を生起さ
せて変速を行うようにしたトロイダル型無段変速機にお
いて、アッパリンク5とロアリンク6のリンク穴5b,
6bの周辺領域に円弧状の軸受軌道15,15を設け、
該軸受軌道15,15に沿って複数のボール16を配列
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変速制御特性の向
上を狙ったトロイダル型無段変速機の技術分野に属す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、トロイダル型無段変速機として
は、例えば、特開平7−174201号公報に記載のも
のが知られている。
【0003】この公報には、パワーローラ支持部材とリ
ンクとの交角発生時も両者の接触位置を不変に保ち、変
速特性のヒステリシスを減ずることを目的とし、図10
に示すように、パワーローラ支持部材のストローク中、
パワーローラ支持部材とリンクとの間の交角にかかわら
ず、これらパワーローラ支持部材とリンクとの間の接触
位置を不変に保つための直線状の突起5cをリンク5に
設けたものが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のトロイダル型無段変速機にあっては、突起5cがリ
ンク5と一体に形成されているので、パワーローラ支持
部材が変速のために傾転した場合、パワーローラ支持部
材とリンクとの間に接触によるフリクション(摩擦抵
抗)が発生し、このフリクションを原因として変速制御
特性にヒステリシスが発生するという問題がある。
【0005】そこで、パワーローラ支持部材の傾転によ
るフリクションを低減するために、リンクとパワーロー
ラ支持部材との間に軸受を設けるというのは自明である
が、単純に一般的な軌道輪としてリンクのリンク穴と同
心形状としても、変速時にリンクとパワーローラ支持部
材のクリアランスが変化するため、転動体の脱落や転動
体を挟み込むという問題がある。
【0006】ここで、変速時にリンクとパワーローラ支
持部材のクリアランスが変化する理由を説明する。パワ
ーローラ支持部材と一体となって動くリンクと当接する
部材(例:球面座)のリンクとの接触点変化量でリンク
とパワーローラ支持部材間のクリアランスを評価する。
内訳は、 リンクが揺動することによる変化量 から リンクと球面座が転がることによる変化量 を差し引いたものとなる。 はCVTの変速比によらないが、はCVT変速比に
よりにより影響を受けて変化する。つまり、パワーロー
ラ支持部材とリンクとの間の交角変化中もリンクと球面
継手間の相対変位を生じさせない揺動中心からの接触点
距離により変化する。
【0007】ちなみに、従来のように接触位置を規定す
る突起が直線状突起である場合、図11に示すように、
パワーローラ支持部材が変速比1の位置ではクリアラン
スが小さいものの、パワーローラ支持部材が変速比1の
位置から、最小変速比側に傾転したり、最大変速比側に
傾転すると、パワーローラ支持部材の傾転角θが変速比
1の位置から離れるほどクリアランスが大きくなる。
【0008】本発明が解決しようとする課題は、パワー
ローラ支持部材の傾転により発生するリンクとパワーロ
ーラ支持部材間のフリクションを原因とする変速制御特
性のヒステリシスを小さく抑えることができるトロイダ
ル型無段変速機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、同軸に対向配置した入出力ディスクと、前記入出力
ディスク間で摩擦係合により動力の受け渡しを行うよう
に、該入出力ディスクの回転軸線周りに配置された複数
のパワーローラと、各パワーローラを回転自在に支持す
ると共に、パワーローラの回転軸線を直交する首振り軸
線方向をストローク可能なパワーローラ支持部材と、該
パワーローラ支持部材の隣り合う端部同士を端部に設け
られたリンク穴に球面継手を介して連結し、中央部を変
速機ケースに揺動可能に支持されるリンクとを備え、前
記パワーローラ支持部材のストロークにより、前記パワ
ーローラに首振り軸線周りの傾転を生起させて変速を行
うようにしたトロイダル型無段変速機において、前記パ
ワーローラ支持部材とリンクの少なくとも一方の互いに
接触するリンク穴周辺領域に円弧状の軸受軌道を設け、
該軸受軌道に沿って複数の転動体を配列したことを特徴
とする。
【0010】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
トロイダル型無段変速機において、前記円弧状の軸受軌
道を、リンク外側に頂点を持つ2次曲線状の軸受軌道と
したことを特徴とする。
【0011】請求項3記載の発明では、請求項1または
請求項2記載のトロイダル型無段変速機において、前記
軸受軌道の設定範囲を、リンクの左右のリンク穴中心を
結んだ線を対称軸とし、リンク穴中心を通りリンクの左
右のリンク穴中心を結んだ線と直交する線よりもリンク
外側の範囲としたことを特徴とする。
【0012】請求項4記載の発明では、請求項1ないし
請求項3記載のトロイダル型無段変速機において、前記
軸受軌道を、リンクまたはパワーローラ支持部材と別部
材となっている軌道輪相当部材に形成したことを特徴と
する。
【0013】請求項5記載の発明では、請求項4記載の
トロイダル型無段変速機において、前記パワーローラ支
持部材と結合する軌道輪相当部材に、潤滑油を軸受軌道
に導く貫通穴が形成されていることを特徴とする。
【0014】請求項6記載の発明では、請求項1ないし
請求項5記載のトロイダル型無段変速機において、前記
転動体を保持器に保持し、かつ、リンクまたはパワーロ
ーラ支持部材と接触する転動体の径が、保持器中心にあ
るものから端に向かって小さくなっていることを特徴と
する。
【0015】
【発明の作用および効果】請求項1記載の発明にあって
は、入出力ディスクの回転軸線周りに配置された複数の
パワーローラにより、入出力ディスク間で摩擦係合によ
り動力の受け渡しが行われる。また、各パワーローラを
回転自在に支持すると共に、パワーローラの回転軸線を
直交する首振り軸線方向をストローク可能なパワーロー
ラ支持部材をストロークさせると、隣り合うパワーロー
ラ支持部材の端部同士を相互に球面継手を介して連結す
るリンクがリンクサポートを中心として揺動する。この
パワーローラ支持部材のストロークにより、パワーロー
ラがディスク回転軸線からオフセットし、パワーローラ
に加わる首振り軸線周り方向の分力によりパワーローラ
支持部材に対し首振り軸線周りの傾転を生起させ、パワ
ーローラと入出力ディスクとの接触位置が変化すること
で、変速比を無段階に変化させる変速が行われる。上記
パワーローラ支持部材が首振り軸線周りに傾転すると
き、リンクに対しては軸受を介しての傾転となるが、こ
の軸受は、パワーローラ支持部材とリンクの少なくとも
一方の互いに接触するリンク穴周辺領域に円弧状の軸受
軌道を設け、該軸受軌道に沿って複数の転動体を配列す
ることで構成されている。すなわち、パワーローラ支持
部材が首振り軸線周りに傾転するとき、リンクとの間で
は転がり接触となるため、リンクとの間でメタル接触に
より干渉する場合に比べ、大幅にフリクションが低減さ
れることになる。しかも、パワーローラ支持部材の傾転
時にはリンクとパワーローラ支持部材のクリアランスが
変化するが、軸受軌道が限られた範囲の円弧状による軸
受軌道であるため、軸受軌道を全周範囲の円環状による
軸受軌道とする場合に比べ、クリアランスの変化量が小
さく抑えられることになり、転動体が脱落することや転
動体を挟み込んでしまうことが防止される。よって、パ
ワーローラ支持部材の傾転により発生するリンクとパワ
ーローラ支持部材間のフリクションを原因とする変速制
御特性のヒステリシスを小さく抑えることができる。
【0016】請求項2記載の発明にあっては、円弧状の
軸受軌道が、リンク外側に頂点を持つ2次曲線状の軸受
軌道とされる。すなわち、パワーローラ支持部材とリン
クとのクリアランスを傾転角にかかわらず一定に保つ突
起形状を想定すると、リンク穴の中心から突起までの距
離は、パワーローラ支持部材が変速比1の位置で最も短
く、変速比が最大変速比側あるいは最小変速比側にいく
ほど長くなり、全体形状としては2次曲線形状となる。
よって、2次曲線状の軸受軌道とすることで、転動体と
パワーローラ支持部材またはリンクとのクリアランス
を、パワーローラ支持部材の傾転角にかかわらず一定に
管理することができる。この結果、クリアランスを最小
に保つ最適化により、パワーローラ支持部材の傾転角に
かかわらずフリクションを最小に抑えることができる。
【0017】請求項3記載の発明にあっては、軸受軌道
の設定範囲が、リンクの左右のリンク穴中心を結んだ線
を対称軸とし、リンク穴中心を通りリンクの左右のリン
ク穴中心を結んだ線と直交する線よりもリンク外側の範
囲とされる。すなわち、パワーローラ支持部材の高変速
比側や低変速比側等で、入出力ディスクからパワーロー
ラが受ける過大な力によりパワーローラ支持部材がたわ
み変形した場合、リンクとの干渉やフリクションが問題
となるのはリンク外側である。よって、必要部分に軸受
を設定することで、パワーローラ支持部材の傾転により
発生するリンクとパワーローラ支持部材間のフリクショ
ンを小さく抑える効果を損なうことなく、加工範囲を狭
くすることにより加工費の低減を図ることができる。
【0018】請求項4記載の発明にあっては、軸受軌道
が、リンクまたはパワーローラ支持部材と別部材となっ
ている軌道輪相当部材に形成される。すなわち、軌道輪
相当部材に軸受軌道を加工しておき、軌道輪相当部材が
パワーローラ支持部材あるいはリンクに結合される。よ
って、軸受軌道の加工を直接、パワーローラ支持部材あ
るいはリンクに施す場合に比べ、加工性が高まる。ま
た、軌道輪相当部材がリンクに結合される部材である場
合、軌道輪相当部材にリンク穴の形状加工を軸受軌道加
工と同時に施すことができ、歩留まりを向上することが
できる。
【0019】請求項5記載の発明にあっては、パワーロ
ーラ支持部材と結合する軌道輪相当部材に、潤滑油を軸
受軌道に導く貫通穴が形成されている。すなわち、パワ
ーローラ支持部材には、パワーローラの軸受関係を潤滑
するために潤滑油路が形成されている。軌道輪相当部材
の貫通穴を潤滑油路に連通させることで潤滑油を軸受軌
道に導くことができる。よって、貫通穴を介して軸受軌
道に潤滑油を導くことで、軸受軌道と転動体の耐久信頼
性を向上させることができる。
【0020】請求項6記載の発明にあっては、転動体が
保持器に保持され、かつ、リンクまたはパワーローラ支
持部材と接触する転動体の径が、保持器中心にあるもの
から端に向かって小さくなっているすなわち、変速時に
リンクが揺動した場合でも常に転動体の保持器中心付近
でリンクとパワーローラ支持部材が転動体に対し接触す
ることができる。よって、リンクの揺動中心から左右の
パワーローラ支持部材との接触点までのアーム長が揺動
により変化することがないため、リンクの揺動によるフ
リクションを原因とする変速制御特性のヒステリシスを
小さく抑えることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)
【0022】実施の形態1は請求項1ないし請求項4に
記載の発明に対応するトロイダル型無段変速機である。
【0023】まず、構成を説明する。図1は実施の形態
1におけるトロイダル型無段変速機を示す断面図1にお
いて、1は変速機ケース、2は主軸、3は主軸2を挟ん
でその両側に対向させて配置した一対のパワーローラで
ある。図示しなかったが、主軸2上に入出力ディスクを
対向させて回転自在に支持し、入出力ディスクを動力源
(エンジン)に駆動結合し、出力ディスクを出力軸に駆
動結合する。
【0024】前記パワーローラ3は、これら入出力ディ
スク間で摩擦係合により動力伝達を行うもので、このた
め各パワーローラ3を個々のトラニオン(パワーローラ
支持部材)4に回転自在に支持する。
【0025】両トラニオン4,4は、隣り合う端部同士
が相互に球面継手9及び球面継手11を介してアッパリ
ンク5及びロアリンク6により連結され、アッパリンク
5及びロアリンク6は、リンクサポート7及びリンクサ
ポート8を介して変速機ケース1に支持されている。
【0026】前記アッパリンク5は、図2に示すよう
に、その中央に貫通穴5aが形成され、これに球面嵌合
するリンクサポート7により変速機ケース1に揺動可能
に支持している。ロアリンク6は、その中央に貫通穴6
aが形成され、これに球面嵌合するリンクサポート8に
より変速機ケース1に揺動可能に支持している。
【0027】前記アッパリンク5の両端部には、図3に
示すように、リンク穴5b,5bが形成され、これらに
球面嵌合する球面継手9及び該球面継手9内に嵌合する
軸受10を介して両トラニオン4,4の上端をアッパリ
ンク5の両端部にそれぞれ揺動可能に支持している。ま
た、前記ロアリンク6の両端部には、図3に示すよう
に、リンク穴6b,6bが形成され、これらに球面嵌合
する球面継手11及び該球面継手11内に嵌合する軸受
12を介して両トラニオン4,4の下端部をロアリンク
6の両端部にそれぞれ揺動可能に支持している。なお、
軸受10,12で規定される各トラニオン4,4の首振
り軸線Lは、パワーローラ3,3の回転軸線と直交させ
る。
【0028】両トラニオン4,4の下端には、サーボピ
ストン13,13が設けられ、これらピストン13,1
3をコントロールバルブ14により、同時に逆向きにス
トロークさせて周知の変速制御を行うようにしている。
そして、両トラニオン4,4の同期を、上下部に設けら
れた傾転軸部4a,4bに嵌合する両リンク5,6によ
り補償するようにしている。
【0029】本例においては、図2及び図3に示すよう
に、アッパリンク5とロアリンク6のリンク穴5b,6
bの周辺領域に円弧状の軸受軌道15,15が設けら
れ、該軸受軌道15,15に沿って複数のボール16
(転動体)が配列されている。
【0030】この円弧状の軸受軌道15,15は、図3
に示すように、リンク外側に頂点を持つ2次曲線状の軸
受軌道とされる。
【0031】また、前記軸受軌道15,15の設定範囲
は、図3に示すように、アッパリンク5の左右のリンク
穴中心O,Oを結んだ線を対称軸とし、リンク穴中心
O,Oをそれぞれ通りアッパリンク5の左右のリンク穴
中心O,Oを結んだ線と直交する線よりもリンク外側の
範囲としている。なお、ロアリンク6の軸受軌道15,
15の設定範囲も同様である。
【0032】前記軸受軌道15,15は、両リンク5,
6と別部材となっている軌道輪14,14(軌道輪相当
部材)に形成され、該軌道輪14,14は、両リンク
5,6に対し圧入等により結合されている。なお、軌道
輪14,14には、軸受軌道15,15と共にリンク穴
5b,6bも形成されている。
【0033】次に、作用を説明する。
【0034】[変速作用]図外の入出力ディスクの回転
軸線周りに配置された複数のパワーローラ3,3によ
り、入出力ディスク間で摩擦係合により動力の受け渡し
が行われる。また、各パワーローラ3,3を回転自在に
支持したトラニオン4,4のうち、一方のトラニオン4
をパワーローラ3の回転軸線と直交する首振り軸線Lの
一方向へストロークさせると、隣り合うトラニオン4の
端部同士を相互に球面継手9,11を介して連結するア
ッパリンク5及びロアリンク6がリンクサポート7,8
を中心として揺動し、一方のトラニオン4のストローク
に同期して他方のトラニオン4も首振り軸線Lの他方向
へストロークする。
【0035】このトラニオン4,4のストロークによ
り、パワーローラ3,3がディスク回転軸線からオフセ
ットし、パワーローラ3,3に加わる首振り軸線L周り
方向の分力によりトラニオン4,4に対し首振り軸線L
周りの傾転を生起させ、パワーローラ3,3と入出力デ
ィスクとの接触位置が変化することで、変速比を無段階
に変化させる変速が行われる。
【0036】そして、所定の変速比になったら、周知の
フィードバック制御によりピストン13,13は、トラ
ニオン4,4を介しパワーローラ3,3を、ディスク回
転軸線からのオフセットが0となるようなストローク位
置に復帰させ、そのときの変速比を保つ。
【0037】[フリクション低減作用]上記トラニオン
4,4が首振り軸線L周りに傾転するとき、両リンク
5,6に対しては軸受を介しての傾転となるが、この軸
受は、アッパリンク5とロアリンク6のリンク穴5b,
6bの周辺領域に円弧状の軸受軌道15,15を設け、
該軸受軌道15,15に沿って複数のボール16を配列
することで構成されている。
【0038】すなわち、トラニオン4,4が首振り軸線
L周りに傾転するとき、両リンク5,6との間では転が
り接触となるため、両リンクとの間でメタル接触により
干渉する場合に比べ、大幅にフリクションが低減される
ことになる。しかも、トラニオン4,4の傾転時には両
リンク5,6とトラニオン4,4のクリアランスが変化
するが、軸受軌道15が限られた範囲の円弧状による軸
受軌道であるため、軸受軌道を全周範囲の円環状による
軸受軌道とする場合に比べ、クリアランスの変化量が小
さく抑えられることになり、ボール16が脱落すること
やボール16を挟み込んでしまうことが防止される。
【0039】よって、トラニオン4,4の傾転により発
生する両リンク5,6とトラニオン4,4との間のフリ
クションを原因とする変速制御特性のヒステリシスを小
さく抑えることができる。
【0040】[軸受軌道の形状設定]円弧状の軸受軌道
15,15が、リンク外側に頂点を持つ2次曲線状の軸
受軌道とされる。
【0041】すなわち、トラニオン4,4と両リンク
5,6とのクリアランスを傾転角θにかかわらず一定に
保つ突起形状を想定すると、リンク穴5b,6bの中心
から突起までの距離を示す特性は、図4に示すように、
トラニオン4,4が変速比1の位置で最も短く、変速比
が最大変速比側あるいは最小変速比側にいくほど長くな
り、全体形状としては2次曲線形状となる。
【0042】また、リンク揺動角αの違いによるリンク
穴5b,6bの中心から突起までの距離を示す特性は、
図5に示すように、図4の場合と同様に2次曲線形状で
あると共に、リンク揺動角αが0.5°以上であればリ
ンク揺動角αが変化しても大きな距離変化はない。な
お、図4と図5では縦軸の距離1mm間隔を、図4の場
合大きくとり、図5の場合小さくとっているため、異な
る曲線形状のように見えるが、いずれも同じような2次
曲線形状である。
【0043】よって、2次曲線状の軸受軌道15,15
とすることで、ボール16とトラニオン4,4または両
リンク5,6とのクリアランスを、トラニオン4,4の
傾転角θにかかわらず一定に管理することができる。
【0044】この結果、クリアランスを最小に保つ最適
化により、トラニオン4,4の傾転角θにかかわらずフ
リクションを最小に抑えることができる。
【0045】[軸受軌道の設定範囲]軸受軌道15,1
5の設定範囲が、両リンク5,6の左右のリンク穴中心
O,Oを結んだ線を対称軸とし、リンク穴中心O,Oを
それぞれ通り両リンク5,6の左右のリンク穴中心O,
Oを結んだ線と直交する線よりもリンク外側の範囲とさ
れる。
【0046】すなわち、トラニオン4,4の高変速比側
や低変速比側等で、入出力ディスクからパワーローラ
3,3が受ける過大な力によりトラニオン4,4がたわ
み変形した場合、両リンク5,6との干渉やフリクショ
ンが問題となるのはリンク外側である。
【0047】よって、必要部分に軸受を設定すること
で、トラニオン4,4の傾転により発生する両リンク
5,6とトラニオン4,4間のフリクションを小さく抑
える効果を損なうことなく、加工範囲を狭くすることに
より加工費の低減を図ることができる。
【0048】[軸受軌道の設定部材]軸受軌道15,1
5が、両リンク5,6と別部材となっている軌道輪1
4,14に形成される。すなわち、軌道輪14,14に
軸受軌道15,15を加工しておき、軌道輪14,14
が両リンク5,6に圧入等により結合される。
【0049】よって、軸受軌道15,15の加工を直
接、両リンク5,6に施す場合に比べ、軸受軌道15,
15の加工性が高まる。
【0050】また、軌道輪14,14が両リンク5,6
に結合される部材であるため、軌道輪14,14にリン
ク穴5b,6bの形状加工を軸受軌道加工と同時に施す
ことができ、歩留まりを向上することができる。
【0051】次に、効果を説明する。
【0052】(1) アッパリンク5とロアリンク6のリン
ク穴5b,6bの周辺領域に円弧状の軸受軌道15,1
5を設け、該軸受軌道15,15に沿って複数のボール
16を配列したため、トラニオン4,4の傾転により発
生する両リンク5,6とトラニオン4,4との間のフリ
クションを原因とする変速制御特性のヒステリシスを小
さく抑えることができる。
【0053】(2) 円弧状の軸受軌道15,15を、リン
ク外側に頂点を持つ2次曲線状の軸受軌道としたため、
クリアランスを最小に保つ最適化により、トラニオン
4,4の傾転角θにかかわらずフリクションを最小に抑
えることができる。
【0054】(3) 軸受軌道15,15の設定範囲を、両
リンク5,6の左右のリンク穴中心O,Oを結んだ線を
対称軸とし、リンク穴中心O,Oをそれぞれ通り両リン
ク5,6の左右のリンク穴中心O,Oを結んだ線と直交
する線よりもリンク外側の範囲としたため、トラニオン
4,4の傾転により発生する両リンク5,6とトラニオ
ン4,4間のフリクションを小さく抑える効果を損なう
ことなく、加工範囲を狭くすることにより加工費の低減
を図ることができる。
【0055】(4) 軸受軌道15,15を、両リンク5,
6と別部材となっている軌道輪14,14に形成したた
め、軸受軌道15,15の加工性が高まると共に、軌道
輪14,14が両リンク5,6に結合される部材である
ため、軌道輪14,14にリンク穴5b,6bの形状加
工を軸受軌道加工と同時に施すことで歩留まりを向上す
ることができる。
【0056】(実施の形態2)この実施の形態2は、請
求項5記載の発明に対応するもので、図6及び図7に示
すように、軸受軌道15は、図7に示すように、リンク
外側に頂点を持つ2次曲線状の軸受軌道とされ、また、
軸受軌道15の設定範囲も実施の形態1と同様である。
ただし、軸受軌道15は、両リンク5,6と別部材とな
っている軌道輪14に形成され、該軌道輪14は、トラ
ニオン4の段差肩部に対し圧入や焼き嵌め等により結合
されている点で実施の形態1と相違する。
【0057】さらに、トラニオン4と結合する軌道輪1
4に、潤滑油を軸受軌道15に導く貫通穴17が形成さ
れている。
【0058】すなわち、トラニオン4には、パワーロー
ラ3の軸受関係を潤滑するために潤滑油路19が形成さ
れている。したがって、軌道輪14の貫通穴17を潤滑
油路19に連通させることで潤滑油を軸受軌道15に導
くことができる。
【0059】よって、実施の形態2にあっては、実施の
形態1の効果に加え、下記の効果が得られる。
【0060】(5) トラニオン4と結合する軌道輪14
に、潤滑油を軸受軌道15に導く貫通穴17を形成した
ため、貫通穴17を介して軸受軌道15に潤滑油を導く
ことで、軸受軌道15とボール16の耐久信頼性を向上
させることができる。
【0061】(実施の形態3)この実施の形態3は、請
求項1ないし請求項4記載の発明に対応するもので、実
施の形態1は、両リンク5,6の円筒内面によるリンク
穴5b,6bに球面継手9,11を球面嵌合した正球面
リンク構造であるのに対し、実施の形態3は、両リンク
5,6の内側球面によるリンク穴5b’,6b’にリン
グ9’,11’を球面嵌合した逆球面リンク構造とした
例である。
【0062】よって、別体である軌道輪14に軸受軌道
15と共に内側球面によるリンク穴5b’,6b’を加
工することで、球面継手9,11を用いることなく、両
リンク5,6とトラニオン4,4を球面嵌合することが
できる。なお、他の構成及び作用効果は、実施の形態1
と同様であるので説明を省略する。
【0063】(実施の形態4)この実施の形態4は、請
求項6記載の発明に対応するもので、ボール16が保持
器18に保持され、かつ、両リンク5,6またはトラニ
オン4,4と接触するボール16の径が、保持器18の
中心にあるものから端に向かって小さくした例である。
【0064】すなわち、ボール16の径を、保持器18
の中心にあるものから端に向かって小さくしたため、変
速時に両リンク5,6が揺動した場合でも常にボール1
6の保持器18中心付近で両リンク5,6とトラニオン
4,4がボール16に対し接触することができる。
【0065】よって、実施の形態4では、両リンク5,
6の揺動中心から左右のトラニオン4,4との接触点ま
でのアーム長が揺動により変化することがないため、両
リンク5,6の揺動によるフリクションを原因とする変
速制御特性のヒステリシスを小さく抑えることができ
る。
【0066】(その他の実施の形態)例えば、実施の形
態1〜4では、2次曲線状の軸受軌道の例を示したが、
円弧状の軸受軌道であれば必ずしも2次曲線状でなくて
も良い。
【0067】実施の形態1〜4では、転動体としてボー
ルを用いる例を示したが、トラニオンが傾転するときの
フリクションを小さく抑えることができれば、転動体と
して円筒ころや円錐ころ等を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1におけるトロイダル型無段変速機
を示す断面図である。
【図2】実施の形態1におけるトロイダル型無段変速機
の要部を示す断面図である。
【図3】実施の形態1におけるトロイダル型無段変速機
のアッパリンクを示す図である。
【図4】クリアランスを一定に保った場合の傾転角に対
するリンク穴中心からの距離特性図である。
【図5】リンク揺動角を異ならせた場合の傾転角に対す
るリンク穴中心からの距離特性図である。
【図6】実施の形態2におけるトロイダル型無段変速機
の要部を示す断面図である。
【図7】実施の形態2におけるトロイダル型無段変速機
のトラニオンの上部構造を示す平面図である。
【図8】実施の形態3におけるトロイダル型無段変速機
の要部を示す断面図である。
【図9】実施の形態4におけるトロイダル型無段変速機
の軸受のボール及び保持器を示す図である。
【図10】従来におけるトロイダル型無段変速機のアッ
パリンクを示す図である。
【図11】従来におけるトロイダル型無段変速機のトラ
ニオン傾転角とトラニオンとリンクとのクリアランス特
性を示す図である。
【符号の説明】
1 変速機ケース 2 主軸 3 パワーローラ 4 トラニオン(パワーローラ支持部材) 4a,4b 傾転軸部 5 アッパリンク(リンク) 5b リンク穴 6 ロアリンク(リンク) 6b リンク穴 7 リンクサポート 8 リンクサポート 9 球面継手 10 軸受 11 球面継手 12 軸受 14 軌道輪(軌道輪部材) 15 軸受軌道 16 ボール(転動体)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同軸に対向配置した入出力ディスクと、 前記入出力ディスク間で摩擦係合により動力の受け渡し
    を行うように、該入出力ディスクの回転軸線周りに配置
    された複数のパワーローラと、 各パワーローラを回転自在に支持すると共に、パワーロ
    ーラの回転軸線を直交する首振り軸線方向をストローク
    可能なパワーローラ支持部材と、 該パワーローラ支持部材の隣り合う端部同士を端部に設
    けられたリンク穴に球面継手を介して連結し、中央部を
    変速機ケースに揺動可能に支持されるリンクとを備え、 前記パワーローラ支持部材のストロークにより、前記パ
    ワーローラに首振り軸線周りの傾転を生起させて変速を
    行うようにしたトロイダル型無段変速機において、 前記パワーローラ支持部材とリンクの少なくとも一方の
    互いに接触するリンク穴周辺領域に円弧状の軸受軌道を
    設け、 該軸受軌道に沿って複数の転動体を配列したことを特徴
    とするトロイダル型無段変速機。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のトロイダル型無段変速機
    において、 前記円弧状の軸受軌道を、リンク外側に頂点を持つ2次
    曲線状の軸受軌道としたことを特徴とするトロイダル型
    無段変速機。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載のトロイダ
    ル型無段変速機において、 前記軸受軌道の設定範囲を、リンクの左右のリンク穴中
    心を結んだ線を対称軸とし、リンク穴中心を通りリンク
    の左右のリンク穴中心を結んだ線と直交する線よりもリ
    ンク外側の範囲としたことを特徴とするトロイダル型無
    段変速機。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3記載のトロイダ
    ル型無段変速機において、 前記軸受軌道を、リンクまたはパワーローラ支持部材と
    別部材となっている軌道輪相当部材に形成したことを特
    徴とするトロイダル型無段変速機。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のトロイダル型無段変速機
    において、 前記パワーローラ支持部材と結合する軌道輪相当部材
    に、潤滑油を軸受軌道に導く貫通穴が形成されているこ
    とを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5記載のトロイダ
    ル型無段変速機において、 前記転動体を保持器に保持し、かつ、リンクまたはパワ
    ーローラ支持部材と接触する転動体の径が、保持器中心
    にあるものから端に向かって小さくなっていることを特
    徴とするトロイダル型無段変速機。
JP2000146186A 2000-05-18 2000-05-18 トロイダル型無段変速機 Pending JP2001323982A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000146186A JP2001323982A (ja) 2000-05-18 2000-05-18 トロイダル型無段変速機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000146186A JP2001323982A (ja) 2000-05-18 2000-05-18 トロイダル型無段変速機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001323982A true JP2001323982A (ja) 2001-11-22

Family

ID=18652579

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000146186A Pending JP2001323982A (ja) 2000-05-18 2000-05-18 トロイダル型無段変速機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001323982A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102010052596A1 (de) 2009-11-25 2011-06-30 Nsk Ltd. Stufenloses Toroidgetriebe
CN114439895A (zh) * 2020-11-06 2022-05-06 张魁原 一种新型无级变速器用传动部件

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102010052596A1 (de) 2009-11-25 2011-06-30 Nsk Ltd. Stufenloses Toroidgetriebe
US8876654B2 (en) 2009-11-25 2014-11-04 Nsk Ltd. Toroidal continuously variable transmission
DE102010052596B4 (de) * 2009-11-25 2016-02-25 Nsk Ltd. Stufenloses Toroidgetriebe
CN114439895A (zh) * 2020-11-06 2022-05-06 张魁原 一种新型无级变速器用传动部件
CN114439895B (zh) * 2020-11-06 2024-04-30 张魁原 一种新型无级变速器用传动部件

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH11508670A (ja) トロイダル・レース・ローリング・トラクション式の無段階変速比変速機
US5536091A (en) Thrust ball bearing for use with power rollers
JP2013019546A (ja) トロイダル型無段変速機
JP2011127631A (ja) トロイダル型無段変速機
JP2001323982A (ja) トロイダル型無段変速機
US6800047B2 (en) Toroidal continuously-variable transmission
JP2003343673A (ja) トロイダル型無段変速機
JPH10205599A (ja) トロイダル型無段変速機
US6602142B2 (en) Constant velocity universal joint
JP3303503B2 (ja) パワーローラ用スラスト玉軸受
US6626795B2 (en) Toroidal-type continuously variable transmission
JP2001304366A (ja) トロイダル型無段変速機
JPH07174201A (ja) 摩擦車式無段変速機
JP4114396B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2005121045A (ja) トロイダル型無段変速機
JP3522522B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2023077101A (ja) トリポード型等速自在継手
JP4706960B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2008138762A (ja) トロイダル型無段変速機
JP2022150800A (ja) 自動調心ころ軸受
US7004882B2 (en) Toroidal-type continuously variable transmission
JP3687502B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2024016407A (ja) トロイダル型無段変速機
JP2007170592A (ja) トロイダル型無段変速機
JP3654662B2 (ja) トロイダル型無段変速機

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20041122

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050830

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20051116