JP2001323880A - ベーンポンプのロータおよびその製造方法 - Google Patents

ベーンポンプのロータおよびその製造方法

Info

Publication number
JP2001323880A
JP2001323880A JP2000143088A JP2000143088A JP2001323880A JP 2001323880 A JP2001323880 A JP 2001323880A JP 2000143088 A JP2000143088 A JP 2000143088A JP 2000143088 A JP2000143088 A JP 2000143088A JP 2001323880 A JP2001323880 A JP 2001323880A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rotor
fixing
plate
vane
vane pump
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000143088A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasunoshin Oosaka
安之進 大坂
Kenichi Hisaie
健一 久家
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KYB Corp
Original Assignee
Kayaba Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kayaba Industry Co Ltd filed Critical Kayaba Industry Co Ltd
Priority to JP2000143088A priority Critical patent/JP2001323880A/ja
Publication of JP2001323880A publication Critical patent/JP2001323880A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来と比べて製造コストが安くて、様々な吐
出量の違いに対して、短期間で容易に対応することがで
きるベーンポンプのロータを提供すること。 【構成】 ケース内に配置したサイドプレートと、ケー
スのサイドカバーとで形成した空間内にカムリングを配
置し、このカムリングの内側に、シャフトで回転され外
周側に複数のベーン60を出入自在に装着したロータ5
0を配置したベーンポンプにおいて使用するロータ50
であって、このロータ50は、積層した複数の薄肉板5
5を、片面にのみベーン背圧溝53を設けた厚肉板56
で挟んで一体化したこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベーンポンプに使
用するロータに関し、特に製造コストが安価で、性能、
特に吐出量の違いに対して、短期間に対応することを想
定したベーンポンプのロータおよびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】作動油などの液体をある場所から別の場
所へ移動させる為のポンプには、従来から様々な種類の
ものがあるが、大きく分けて回転体の回転に伴って容積
が変化し、その結果液体が移動する回転式ポンプと、ピ
ストンの往復運動によって液体が移動する往復式ポンプ
に分けることができる。
【0003】往復式には、複数のピストンを回転体側ま
たは被回転体側の円周上に設け、回転によってそれらの
ピストンが交互に往復運動するように作用させること
で、液体の吸い込み移動を行うプランジャポンプ、また
回転式ポンプにはケース内において二つの歯車が噛み合
わさって回転しており、その噛み合った部分の容積変化
によって液体の移動を行うギヤポンプといったものを挙
げることができる。
【0004】ポンプとして最も一般的に使用されてお
り、その構造も上記したようなポンプに対して比較的簡
単なものとしては、回転式に分類されるベーンポンプが
ある。このベーンポンプは、プラント等に代表される産
業設備にだけでなく、住宅機器や自動車等の車載機器に
至るまで、実に幅広く使用されている。
【0005】このベーンポンプは、ケース内のサイドプ
レートと、ケースのサイドカバーとで形成した空間内
に、外側にはカムリングをまたその内側にはロータを配
置しており、さらにこのロータの外周側には出入自在に
装着した複数のベーンを配置している。そして、このロ
ータが回転することによって、前記したベーンは、ロー
タから半径方向に突出し、この先端がカムリングの内周
面を接触しながら摺動することになる。このとき、カム
リングの内周面は、非真円形状、例えば略楕円形状をし
ているため、カムリング内周面とロータの外周面とベー
ンとで囲まれた室の容積がロータの回転に伴い拡大、縮
小することになる。ここで、この室の側面の容積が拡大
していく位置に液体の吸込口を、また容積が縮小してい
く位置に液体の吐出口を設けることで、ロータの回転に
よるポンプ作用を行う訳である。
【0006】尚、通常のベーンポンプは、ロータの外周
の圧力分布が半径方向に釣合う様に考慮された平衡形と
呼ばれる構造を採用しており、これは液体の吸込口、吐
出口が2個ずつロータの軸心に対して対称に設けられて
いるもので、上記で例を挙げて説明したようなカムリン
グと同様な内周面の形状を持つものである。
【0007】ところで、近年では、あらゆる製品につい
て多品種少量生産がより一層顕著になってきており、ベ
ーンポンプについても例外ではない。特に、出願人が日
々生産、開発している、車両に搭載するベーンポンプに
関しては、車格、車種ごとにその性能が異なっていると
言っても過言ではなく、多数の種類違いを取りそろえて
おかなければならない。
【0008】そして、このベーンポンプの性能違いを取
りそろえるに当たり、最も一般的な性能変更として挙げ
ることができるのは、吐出能力である。すなわち、ロー
タ1回転当たりの吐出量を変更する場合には、カムリン
グの内周面のベーン摺動面の形状を変更する方法と、ベ
ーンの幅方向すなわちロータの軸方向の寸法を変更する
方法との2種類が考えられる。
【0009】これら二つの方法のうち、設計変更に要す
る時間およびそれに伴う費用を総合的に考慮すると、ロ
ータの軸方向の寸法を変更する方法の方が有利であると
いえる。
【0010】まず、カムリングの内周面のベーン摺動面
の形状を変更する方法には、以下の問題点がある。
【0011】・カムリング内周面の形状は、耐久性や異
音、振動を考慮し、綿密な計算と実験を繰り返して設計
した複雑な形状であるため、むやみに変更できない。・
ベーンと高接触面圧で高速摺動しているカムリングの内
周面は、複雑形状であるにも拘わらず、摺動耐久性を考
慮して非常に滑らかな面粗度である必要があるため、短
期間での研磨工程のプログラミング制御の変更は不可能
に近い。
【0012】次に、ベーンの幅方向の寸法を変更する方
法には、以下の問題点および特徴がある。
【0013】ロータの製作には、旋盤等で素材を切削加
工して成形する加工成形方式と、金属の粉末に高温と圧
力をかけることで成形する焼結成形方式とがあるが、製
作個数の多いロータに関しては、製作時間の短い焼結成
形方式が、最近では一般的に採用されている。そして、
焼結成形では、同一形状の部品のみを製作するには、都
合の良い方式であるが、吐出量違いの異なった形状の部
品を多種類製作するには、全種類の焼結型が必要となっ
てしまう。焼結成形型は、鋳物成形型等と異なり、圧力
も加わる成形型であることから、特に高価であり、多種
類の焼結成形型を揃えるには、膨大な設備コストが発生
してしまうのが現状である。
【0014】また、ロータの軸方向の寸法が小さい、す
なわち薄い場合は、焼結成形型のみでベーンを装着する
ベーン摺動溝を、仕上げ加工前の粗寸法で抜くことが可
能であるが、この軸方向の寸法が大きく、すなわち厚く
なると、ベーン摺動溝の精度が粗寸法でも確保できなく
なるために、粗寸法の仕上げ代を大きくする必要が生じ
る。
【0015】すると、ベーン摺動溝部分を構成する焼結
成形型は、ベーン摺動溝の幅に対して、細くする必要が
あることから、焼結成形後のベーン摺動溝が正規寸法に
対して倒れる等、精度が悪くなるといった悪循環に陥っ
てしまう。このような理由から、ベーン摺動溝の焼結成
形が不可能な場合には、ベーン摺動溝のないロータ本体
を焼結成形した後、別工程でベーン摺動溝だけを加工す
る必要があり、加工工程が増えることから、ここでも加
工コストが、上がってしまうのが現状である。
【0016】しかし、ロータの軸方向の寸法を変更する
場合、当然同様な変更をしなければいけないカムリング
やベーンについては、基本的にそれぞれの素材を切断す
る幅寸法を変更するだけで対応可能であることから、こ
の点に限っては、設計変更が容易である。
【0017】以上のことを換言すれば、ベーンポンプに
使用するロータは、短期間で、かつ製造コストが安価
で、性能、特に吐出量の違いに容易に対応できるような
ものとなっていることが望ましい。
【0018】そこで、本発明者は、ベーンポンプのロー
タの成形方法について、上記したことを改善し、望まし
いものに近づけるにはどうしたらよいかについて検討を
重ねた結果、本発明を完成したのである。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な経緯に基づいてなされたもので、その解決しようとす
る課題は、製造コストが安価で、性能、特に吐出量の違
いに対して、短期間に容易に対応することを想定したベ
ーンポンプのロータとすることである。
【0020】すなわち、まず請求項1〜4に係る発明の
目的とするところは、従来と比べて製造コストが安く
て、様々な吐出量の違いに対して、短期間で容易に対応
することができるベーンポンプのロータを提供すること
にある。
【0021】また、請求項5に係る発明の目的とすると
ころは、従来と比べて製造コストが安くて、様々な吐出
量の違いに対して、短期間で容易に対応することができ
る、ベーンポンプのロータの製造方法を提供することに
ある。
【0022】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、まず請求項1に係る発明の採った手段は、以下に
述べる発明の実施の形態の説明中において使用する符号
を付して説明すると、「ケース10内に配置したサイド
プレート20と、ケース10のサイドカバー30とで形
成した空間内にカムリング40を配置し、このカムリン
グ40の内側に、シャフト70で回転され外周側に複数
のベーン60を出入自在に装着したロータ50を配置し
たベーンポンプ100において使用するロータ50であ
って、このロータ50は、積層した複数の薄肉板55
を、片面にのみベーン背圧溝53を設けた厚肉板56で
挟んで一体化したことを特徴とするベーンポンプ100
ロータ50」である。
【0023】すなわち、この請求項1に係るベーンポン
プ100のロータ50は、ベーン背圧溝53を片面にの
み形成した厚肉板56で、積層した複数の薄肉板55を
挟むように一体化したものであり、ベーン背圧溝53
は、当該ロータ50の外周方向に出入自在に装着した複
数のベーン60を、使用流体の吐出側の圧力を導くこと
によって、半径方向に突出させる作用をもつものであ
る。
【0024】この請求項1で使用する薄肉板55は、例
えば板厚が0.2mm〜1.0mmぐらいの加工が容易
な鋼板材を、プレス型でロータを輪切りにした形状のも
のに打ち抜きするだけでよく、よって安価にかつ加工後
の寸法にそれぞれバラツキを生じることなく製造するこ
とができる。また、各薄肉板55は、例えば図3に示す
ように、文字通り薄くて平板状のものであるため、その
積層を隙間なく行えるものとなっていることは勿論、積
層後の平板形状は、薄肉板55の積層枚数に関係なく常
に同一となることは言うまでもない。換言すれば、これ
ら薄肉板55の積層枚数を変更することにより、平面形
状は全く変えないで、ロータ50の軸方向の寸法、すな
わち吐出量を自由に変更し得るのである。
【0025】同様に、厚肉板56も、薄肉板55と同一
形状のプレス型によって打ち抜き加工する訳であるが、
その際、片面に形成しているベーン背圧溝53も、打ち
抜き加工工程で同時にプレス成形できるため、安価にか
つ加工後の寸法にそれぞれバラツキを生じることなく製
造することができる。よって、この厚肉板55は、打ち
抜き加工でき、さらにベーン背圧溝53がプレス成形で
きる程度の板厚を有しているものである。
【0026】このようにして製造したそれぞれ複数の薄
肉板55および厚肉板56を規定した順序で積層した請
求項1のロータ50は、その状態で、ベーン60をカム
リング40側に突出させ、確実にかつ応答性よくポンプ
作用をさせるためのベーン背圧溝53が両端側に設けて
あることから、ベーンポンプ100のロータ50として
必要な形状を備えているものである。勿論、ロータ50
の幅方向の寸法違いに対応するために、積層する薄肉板
55の枚数を変更したものについても、同様であり、ロ
ータ50の必要形状を備えていることに変わりはないも
のである。
【0027】このように、ロータ50を複数の薄肉板5
5と厚肉板56の積層構造とすることで、積層枚数を変
更するだけで、軸方向の寸法違いが簡単に製作できるこ
とから、性能すなわち吐出量違いにも、きめ細かくしか
も非常に迅速に対応することができることになるのであ
る。さらに述べると、ロータ50を構成するための薄肉
板55および厚肉板56は、それぞれロータ50外径の
バリエーション分のみの種類を取りそろえておけば十分
であり、あとはそれらの組み合わせでいかなる吐出量に
も十分対応できるものである。
【0028】また、ロータ50の質量を減らして慣性モ
ーメントを小さくするために、これを積層している薄肉
板55および厚肉板56の材質自体を低比重のものに変
更するということも考えられる。すなわち、ロータ50
は、回転部材であるとともに摺動部材であることから、
この材質には、軽量で、かつ最低限両端面だけは高硬度
で耐摩耗性に優れたものであり、また、温度変化が激し
い環境で使用されることから、熱膨張が少ないものであ
ることが要求される。つまり、ロータ50には、積層す
る薄肉板55および厚肉板56に、これらの条件の全て
を満足する材質を選択すればよい。
【0029】さらに、積層した薄肉板55と、これらを
挟む厚肉板56との一体化は、後述するような固着孔5
5a・56aと、これらに挿通した固着ピン57によっ
て行うように実施しても良いが、例えば各薄肉板55、
厚肉板56間を作動油に侵されない接着剤によって接着
しても良く、金属である薄肉板55、厚肉板56の性質
を利用した溶接等の手段によって実施しても良い。接着
による一体化の場合は、ロータ50が繰り返しさらされ
ることになる大きな温度変化あるいはベーンポンプ10
0の使用状態や経時劣化によって、接着剤の一部が剥が
れ落ちないようにして、作動流体のコンタミとならない
ようにする。つまり、接着剤としては、温度変化等の環
境変化や経時変化等によって、劣化して剥がれないこと
が保証されているものを採用すればよい。
【0030】従って、この請求項1のベーンポンプ10
0のロータ50は、鋼板材をプレス型で打ち抜いた薄肉
板55・厚肉板56を積層して一体化するという構造で
あるため、これらの積層枚数を変更することで容易に吐
出量違いに対応でき得るものとなっているのである。
【0031】また、請求項2に係る発明の採った手段
は、上記請求項1に係るベーンポンプ100のロータ5
0について、「一体化は、薄肉板55および厚肉板56
にそれぞれ設けた固着孔55a・56aの全てに挿通し
た固着ピン57の両端を厚肉板56側に対して固定する
ことにより行ったこと」である。
【0032】すなわち、この請求項2に係るベーンポン
プ100のロータ50の一体化は、これを構成している
薄肉板55および厚肉板56を積層した際に、ロータ5
0の同位置に貫通する状態で形成している固着孔55a
・56aの全てに、固着ピン57を挿通し、これらの固
着ピン57の両端を厚肉板56に対して固定したもので
ある。
【0033】ロータ50を構成している薄肉板55およ
び厚肉板56は、前述したような接着等によって一体化
することも考えられるが、この請求項2のロータ50で
は、これを固着ピン57と固着孔56aとで行ったもの
である。
【0034】この請求項2の一体化である固着ピン57
による固定は、複数設けた全部の固着孔55a・56a
について挿通して行うものであるが、この場合、全部の
固着孔55a・56aの内径に対して、全部の固着ピン
57の外径を略同一寸法にして、これらの固着ピン57
の両端を厚肉板56に対してカシメあるいは圧入等で塑
性変形させることで、固着ピン57全体で確実にロータ
50の積層構造の一体化を実現することができるもので
ある。
【0035】ここで、固着ピン57による全部の固定部
のうち、円周上均等になる箇所に限り、薄肉板55に設
けた固着孔55aの内径より固着ピン57の外径の方が
小さくなるように、固着孔55aの内径を大きくあるい
は固着ピン57のその部分の外径を小さく調節して、固
定部に空間を設けることで、ロータ50の慣性モーメン
トを小さくし、回転バランスを崩すことがなく、ベーン
ポンプ100の低振動や低騒音を高い次元で実現するこ
とができるものである。また、ロータ50を構成してい
る薄肉板55および厚肉板56は、プレス型によって打
ち抜き加工していることにより、固着孔55a・56a
の形状を非真円形状にしておき、固着ピン57の断面を
その固着孔55a・56aと同一形状の非真円としても
慣性モーメントを小さく構成できるものである。
【0036】このように、ロータ50を積層構成してい
るそれぞれ複数の薄肉板55および厚肉板56を一体化
するのに、それら全てに形成した複数の固着孔55a・
56a全てに挿通した固着ピン57を使用して、ロータ
50の両端側を構成している厚肉板56に対して固定す
ることで、厚肉板56間で挟んだ薄肉板55までも確実
に固定できるものである。
【0037】従って、この請求項2のベーンポンプ10
0のロータ50は、上記請求項1と同様な作用を発揮す
る他、各薄肉板55、厚肉板56の一体化を固着孔55
a・56aおよび固着ピン57という簡単な手段によっ
て確実に行えるものとなっているのである。
【0038】続いて、請求項3に係る発明の採った手段
は、上記請求項1に係るベーンポンプ100のロータ5
0について、「一体化は、薄肉板55および厚肉板56
にそれぞれ設けた固着孔55a・56aに対する固着ピ
ン57の挿通を、一部省略することにより行ったこと」
である。
【0039】すなわち、この請求項3に係るベーンポン
プ100のロータ50の一体化は、これを構成している
薄肉板55および厚肉板56を積層した際に、ロータ5
0の同位置に貫通する状態で形成している固着孔55a
・56aの一部に、固着ピン57を挿通し、それら挿通
した固着ピン57の両端を厚肉板56に対して固定した
ものであるが、一部の固着孔55a・56aは空間のま
ま残すというものである。
【0040】これは、ロータ50の慣性モーメントを極
力小さくすることが目的であり、ロータ50は、薄肉板
55および厚肉板56の両方を、切削加工でなく、プレ
ス型による打ち抜き加工により製造していることから、
孔は任意の形状にすることが可能であり、その結果、空
間のまま残す孔が固着ピン57を挿通する固着孔55a
・56aと同一の形状であってもよいが、同一の形状で
ある必要は全くない訳である。換言すれば、空間のまま
残す孔は、例えば固着孔55a・56aより大きい孔
や、ロータ50の剛性や強度を保った状態で肉を極力減
らした非真円形状の孔のように、自由な形状が実現可能
なのである。勿論、前述したような固着ピン57の断面
を非真円形状にしておき、固着孔55a・56aの形状
もその固着ピン57と同一断面の非真円の孔としても構
成できるものである。また、そのまま残す孔を薄肉板5
5にのみ設けることで、ロータ50の外側からは直接見
ることが出来ない中空の孔として、低慣性モーメントに
貢献することも可能である。
【0041】このように、本来ロータ50を積層構成し
ている薄肉板55と厚肉板56とを一体化する目的で形
成された固着孔55a・56aの一部は、その固着孔5
5a・56aに固着ピン57を挿通することなく、その
まま残して軽量化することで、高速回転しても、ロータ
50の慣性モーメントを小さく抑え、回転バランスを崩
すことがなく、ベーンポンプ100の低振動および低騒
音を高い次元で実現することができるものである。
【0042】また、固着ピン57を挿通して固定を行う
固着孔55a・56aと、軽量化目的のために空間のま
ま残した孔との位置関係は、それぞれロータ50の円周
上均等で、相対位置関係が、お互い等間隔になる位置で
あることが望ましいが、これらの孔位置がお互い円周上
不均等であり、相対位置もお互い不等間隔であったとし
ても、ロータ50全体として見た場合に、この重心点が
ロータ50の中心となるように配慮され設計されている
ものであれば、問題はないものである。
【0043】さらに、固着ピン57の材質を、ベーンポ
ンプ100のロータ50として使用した際に、ロータ5
0を構成している薄肉板55および厚肉板56の一体化
が、確実に確保できる強度を持ちつつ、軽量のものを選
択することで、高速回転しても、さらにロータ50の慣
性モーメントを小さく抑え、回転バランスを崩すことが
なく、ベーンポンプ100の低振動や低騒音をさらに高
い次元で実現することができるものである。
【0044】従って、この請求項3のベーンポンプ10
0のロータ50は、上記請求項1と同様な作用を発揮す
る他、固着孔55a・56aおよび固着ピン57という
手段による各薄肉板55、厚肉板56の一体化を一部省
略するという手段によって、低慣性モーメントを実現で
き得るものとなっているのである。
【0045】さらに、請求項4に係る発明の採った手段
は、上記請求項1〜3のいずれかに係るロータ50につ
いて、「ロータ50を構成している薄肉板55および厚
肉板56のそれぞれ外周側に、複数の外周逃げ凹部55
b・56bを設けたこと」である。
【0046】すなわち、この請求項4に係るベーンポン
プ100のロータ50は、これを構成している薄肉板5
5および厚肉板56のそれぞれ外周側に、複数の外周逃
げ凹部55a・56aを設けるようにしたものであり、
薄肉板55および厚肉板56を積層してもそのまま外周
逃げ凹部55b・56bを残して、ロータ50の慣性モ
ーメントを小さくするという効果を発揮させたものであ
る。
【0047】また、外周逃げ凹部55b・56bの位置
関係および形状は、それぞれロータ50の円周上均等で
同一形状であることが望ましいが、これらの外周逃げ凹
部55b・56bが円周上不均等であり、非同一形状で
あったとしても、ロータ50全体として見た場合に、こ
の重心点がロータ50の中心となるように配慮され設計
されているものであれば、問題はないものである。
【0048】さらに、外周逃げ凹部55b・56bの形
状を大きく形成しても、その位置を考慮することによ
り、ロータ50を構成している薄肉板55および厚肉板
56の一体化や、ベーン60を外周側に出入自在に保持
するという機能に対する悪影響は全くない。このよう
に、外周逃げ凹部55b・56bを大きく形成すれば、
ロータ50の慣性モーメントを小さく抑え、回転バラン
スを崩すことがなく、ベーンポンプ100の低振動や低
騒音を高い次元で実現することが出来るものである。
【0049】従って、この請求項4のベーンポンプ10
0のロータ50は、上記請求項1と同様な作用を発揮す
る他、薄肉板55および厚肉板56のそれぞれ外周側に
外周逃げ凹部55b・56bを形成するという手段によ
って、低慣性モーメントを実現でき得るものとなってい
るのである。
【0050】最後に、請求項5に係る発明の採った手段
は、「ケース10内に配置したサイドプレート20と、
サイドカバー30とで挟んだ間にカムリング40を配置
し、このカムリング40の内側に、シャフト70で回転
され外周側に複数のベーン60を出入自在に装着したロ
ータ50を配置したベーンポンプ100を構成している
ロータ50を、 打ち抜き成形した薄肉板55を積層する工程。 片面にのみベーン背圧溝53を有したものとして打ち
抜き成形した厚肉板56で、積層した薄肉板55を挟む
工程。 薄肉板55および厚肉板56にそれぞれ設けた固着孔
55a・56aに挿通した固着ピン57の両端を厚肉板
56側に対して固定する工程。という各工程を含んで製
造したこと」である。
【0051】すなわち、この請求項5に係るベーンポン
プ100のロータ50の製造方法は、打ち抜き成形した
薄肉板55を積層する工程と、片側にのみベーン背圧溝
53を設けつつ打ち抜き成形した厚肉板56で積層した
薄肉板55を挟む工程と、これら全てに貫通するように
設けた固着孔55a・56aに固着ピン57を通して、
両端の厚肉板56側に固定する工程により、製造するよ
うにしたものである。
【0052】この請求項5のベーンポンプ100のロー
タ50の製造方法は、まず、これを構成しているそれぞ
れ複数の薄肉板55および厚肉板56とが、プレス型で
打ち抜いて成形されているものである。この薄肉板55
は、プレス型で打ち抜き加工ができるとともに、吐出量
違いにきめ細かく対応できるように、例えば板厚が0.
2mm〜1.0mm程度の鋼板材とすることが望まし
く、厚肉板56は、同様にプレス成形ができるととも
に、ベーン背圧溝53が形成できるような、例えば2.
0mm程度の肉厚を有した鋼板材とする必要がある。
【0053】ここで、厚肉板56は、その片面に形成し
ているベーン背圧溝53も、打ち抜き加工工程で同時に
成形を行っているものとしているが、ベーン背圧溝53
は打ち抜き加工工程とは違う別工程で加工されていても
よい。そして、これら薄肉板55および厚肉板56を、
吐出量が設計値となる軸方向の寸法になるような枚数分
だけ積層する訳であるが、その配列は、厚肉板56で積
層した薄肉板55を挟むような順序になっている。これ
により、確実にかつ応答性よくポンプ作用をさせるため
のベーン背圧溝53を、ロータ50の両端側に設けてい
ることから、ベーンポンプ100のロータ50として必
要な形状を備えているものであるということができる。
【0054】さらに、ロータ50の形状となるように積
層した薄肉板55および厚肉板56の固定方法として、
固着ピン57を薄肉板55および厚肉板56それぞれに
設けた固着孔55a・56aについて挿通して、厚肉板
56側の固着孔56aに対して、固着ピンをカシメや圧
入等の塑性変形あるいは溶接、接着等を用いて行うもの
である。そして、この製造方法では、固着ピン57を治
具上に固定しておき、これらの固着ピン57に、各厚肉
板56および薄肉板55を順に挿通して、積層を行うよ
うにしてもよいし、積層した薄肉板55と厚肉板56の
各固着孔55a・56aに固着ピン57を挿通し、その
カシメ等の固定作業を行う際に、厚肉板56の外側の端
面にベーン背圧溝53を同時にプレス成形するようにし
てもよい。
【0055】また、この製造方法によると、ロータ50
をプレス型によって打ち抜き成形した薄肉板55と厚肉
板56の隙間のない積層構造とすることで、積層枚数を
変更すれば、軸方向の寸法違いが簡単に製作でき、性能
すなわち吐出量違いにも、きめ細かくしかも非常に迅速
に対応することができることになるのであり、さらにそ
れらの固定方法として貫通した固着孔55a・56aへ
固着ピン57を挿通した後、この固着ピン57の両端を
積層構造の両端部材である厚肉板56に対して固定する
という簡単な作業で、厚肉板56だけでなく、この厚肉
板56間に挟んだ薄肉板55までも確実に固定できるも
のである。
【0056】従って、この請求項5のベーンポンプ10
0のロータ50の製造方法は、鋼板材をプレス型で打ち
抜いた薄肉板55と厚肉板56を積層する工程と、それ
らに固着ピン57を挿通した状態で厚肉板56に対して
固定することで、ロータ50全体を一体化する工程を含
んでいるため、ロータ50を構成する薄肉板55と厚肉
板56が均一の断面形状で製造でき、さらにそれらに設
けた固着孔55aと56aに固着ピン57を挿通して両
端を固定するという簡単な作業で、確実なるベーンポン
プ100に使用するロータ50の一体化が実現でき得る
とともに、様々な吐出量違いに対して短期間で容易に対
応することができ得るものとなっているのである。
【0057】
【発明の実施の形態】以上のように構成した各請求項の
発明について図面に示した実施の形態であるベーンポン
プ100およびロータ50について以下に説明する。
【0058】図1は、出願人が日々生産、開発してい
る、車両に搭載する一般的なベーンポンプの断面図であ
り、図2は、図1に対してサイドカバー30を取り除い
たものの正面図である。
【0059】まず、このベーンポンプ100を構成して
いるケース10内には、その内部に設けたサイドプレー
ト装着部15にサイドプレート20が装着してあり、こ
のケース10内部を密閉するような形で、端面にサイド
カバー30が配置してある。また、このベーンポンプ1
00では、サイドプレート20とサイドカバー30とで
挟んだケース10内部の空間にカムリング40を配置
し、この内周側には、一端にプーリ80を装着したシャ
フト70で回転され、外周側に複数のベーン60を出入
自在に装着したロータ50が配置してある。
【0060】ケース10には、作動流体を吸い込む継手
となる吸込ポート11と、その延長上に低圧孔12が設
けてある。この低圧孔12は、サイドカバー30側と、
スプール装着室19側との両方に連通している。また、
前記したようにこのケース10の内部に設けたサイドプ
レート装着部15には、サイドプレート20が装着して
あるのであるが、そのサイドプレート20の奥側、すな
わちサイドプレート20とケース10とで挟んだ空間
に、高圧室13が設けてある。この高圧室13の下流側
には、スプール装着室19の吐出側と連通している高圧
孔14が設けてあり、さらにこの下流側には、スプール
装着室19の吐出側の延長上で、作動流体を最終的に吐
出する位置に、吐出ポート17が装着してある。サイド
プレート装着部15の手前側、すなわちサイドプレート
20とサイドカバー30とで挟んだ位置には、カムリン
グ装着部16が設けてあり、ここにカムリング40を装
着するものである。ケース10内には、ポンプ工程を行
うための駆動力を伝えるシャフト70を、挿通する状態
で配置しているのであるが、このシャフト70を回転自
在に支持するように軸受18を装着している。
【0061】サイドプレート20には、カムリング40
を装着する側面の円周上複数の箇所にノックピン21が
設けてあり、これによってサイドカバー30とカムリン
グ40と本サイドプレート20の相対位置を拘束してい
るものである。カムリング40側で行うポンプ工程で作
動流体を吐出する位置には、この吐出する位置の数に応
じた複数の連通孔22が設けてある。また、ロータ50
を装着する側面には、後述するロータ50に設けたベー
ン背圧溝53に接する位置に、これと対向するような形
で、ベーン背圧溝24が設けてあり、このベーン背圧溝
23とケース10側の高圧室13を連通するように複数
のベーン背圧孔23が設けてある。
【0062】サイドカバー30には、前記したケース内
の低圧孔につながる位置に吸い込み室31が設けてあ
り、この下流側には、カムリング40側で行うポンプ工
程で作動流体を吸い込むカムリング40装着面側の位置
に、吸込部32が設けてある。また、後述するロータ5
0に設けたベーン背圧溝53に接する位置に、これと対
向するような形で、ベーン背圧溝33が設けてある。さ
らに、上記したように、サイドプレート20とカムリン
グ40と本サイドカバー30の相対位置を拘束するため
に、カムリング40を貫通するとともに、このサイドカ
バー30側にまで突出している、ノックピン21を装着
するための図示しない固定孔が設けてある。
【0063】カムリング40には、この内周面に、ロー
タ50に出入自在に装着したベーン60を案内して摺動
することで、ポンプ工程を行うベーン摺動面41が設け
てある。また、サイドプレート20とサイドカバー30
と本カムリング40の相対位置を拘束するために、サイ
ドプレート20に設けたノックピン21を本カムリング
40に貫通して固定する、位相合わせ孔42が設けてあ
る。
【0064】ロータ50には、その外周側に、カムリン
グ40のベーン摺動面41に接触摺動させることでポン
プ工程を行うベーン60を出入自在に装着する複数のベ
ーン摺動溝51が設けてある。このベーン摺動溝51の
底部には、ここに装着するベーン60をロータ50の外
径側に飛び出させる働きをする作動流体が流れ込むベー
ン背圧室52が設けてあり、このベーン背圧室52は、
サイドプレート20とサイドカバー30のそれぞれに設
けたベーン背圧溝24・33に接する位置に設けたベー
ン背圧溝53とつながっていることで、ケース10に設
けた高圧室13からの作動流体を導いているものであ
る。また、このロータ50の内周側には、スプライン孔
部54が設けてあり、シャフト70に設けた後述するス
プライン軸部71と嵌合することにより、シャフト70
からの駆動力をロータ50に伝えている。
【0065】シャフト70には、その端面にスプライン
軸部71が設けてあり、このシャフト70をケース10
内の正規の位置に装着したとき、このスプライン軸部7
1がロータ50の内周面に設けたスプライン孔部54と
嵌合することで、ロータ50と同期して回転するもので
ある。また、ロータ50のスプライン孔部54とシャフ
ト70のスプライン軸部71とが軸方向に離れて、駆動
力の伝達がとぎれることのないように、スプライン軸部
71の最端部には、ロータ50のスプライン孔部54に
装着した後で、スナップリング72を装着する構造にな
っているものである。さらに、スプライン軸部71に対
して反対側の端部には、プーリ80が装着してあり、こ
こに駆動力が伝達されることにより、ベーンポンプ10
0全体としてポンプ工程が行われるものである。
【0066】以上のように構成しているベーンポンプ1
00の作動を、順を追って説明する。
【0067】まず、図示しないエンジン等の駆動源から
の駆動力は、図示しないベルトによってプーリ80に伝
えられる。プーリ80に伝わった駆動力は、シャフト7
0に設けたスプライン軸部71から、これに嵌合してい
るロータ50のスプライン孔部54へと伝わる。ロータ
50に回転力が伝わると、このロータ50の外周側に出
入り自在に装着したベーン60が、遠心力によってカム
形状を形成したカムリング40のカムリング摺動面41
に押し付けられ、そのカムリング摺動面41のカム形状
に案内されて回転摺動する。このベーン60のカムリン
グ摺動面41への押し付け力は、サイドプレート20に
設けた連通孔22から流れ込んだ、吐出側に相当する高
圧室13からの作動流体が、サイドプレート20および
サイドカバー30のそれぞれのベーン背圧溝24・3
3、ロータ50両面のベーン背圧溝53、さらにはロー
タ50のベーン背圧室52へと順に導かれることによっ
て、大きく、より確実になるものである。これにより、
サイドプレート20と、サイドカバー30と、カムリン
グ40と、ロータ50と、ベーン60とで囲んだ空間
が、カムリング摺動面41の形状に従って拡大縮小を繰
り返すことによって、ポンプ工程を行う訳である。具体
的には、サイドカバー30の吸込部に接しているところ
に、ポンプ工程の体積が拡大する初期部を、反対に、サ
イドプレート20の吐出部に相当する連通孔22に接し
ているところに、ポンプ工程の体積が縮小する初期部を
形成することで、吸込ポート11から吸い込んだ作動流
体を、吸込室31、低圧孔12、高圧室13、高圧孔1
4、さらにはスプール装着室19へと導き、吐出ポート
17から吐出するのである。
【0068】この場合、吸込ポート11から吸い込んだ
作動流体の一部は、そのままスプール装着室19に流れ
込むのであるが、この作動流体の圧力と、ポンプ工程か
ら吐出されて吐出ポート17直前のスプール装着室19
に流れ込んだ作動流体の圧力との関係により、スプール
装着室19内の図示しないスプールで、吐出流量が調整
されるものである。
【0069】次に、以上のように構成した各請求項の発
明について、図面に示した実施の形態であるロータ50
について、以下に説明する。
【0070】まず、図3〜図5に示すロータ50は、積
層した複数の薄肉板55を、片面にのみベーン背圧溝5
3が設けてある厚肉板56で挟んでおり、それら全体の
一体化を、積層した薄肉板55と厚肉板56に設けた全
ての固着孔55a・56aに固着ピン57を挿通し、厚
肉板56に対して固着したものとしている。
【0071】各薄肉板55は、例えばショックアブソー
バのリーフバルブに使用されるバネ鋼のような、高硬度
であるものの、加工が容易な薄い鋼板材で出来ている。
また、その外周側には、放射状に複数のベーン摺動溝5
1aが設けてあり、これらの底部には、ベーン背圧室5
2aが設けてある。一方、この薄肉板55の内周側に
は、スプライン孔部54aが設けてある。
【0072】さらに、各薄肉板55には、例えば図5に
示したように、固着孔55aが複数設けてあるが、これ
らの固着孔55aには、上記したベーン摺動溝51a、
ベーン背圧室52aおよびスプライン孔部54aとは干
渉しない位置に形成してある。勿論、各固着孔55aの
形成位置は、ロータ50としての剛性や強度に悪影響を
与えないようにするために考慮されているものである。
【0073】これらの固着孔55aは、ロータ50が高
速回転しても回転バランスが崩れないように、円周上で
等配分かつ等半径となる位置に配置しているものである
が、後述する固着ピン57と組み合わせた段階で、ロー
タ50の回転バランスが崩れないように考慮して設計し
ているものであれば、固着孔55a・56aの位置関係
は、必ずしも円周上で等配分かつ等半径である必要はな
いものである。このような形状を有している薄肉板55
は、全ての形状をプレス型による鋼板材の打ち抜き成形
で製造されているものであり、ベーンポンプ100の吐
出量違いにきめ細かく対応することができるように、例
えば0.2mm〜1.0mmぐらいの板厚のものであ
る。
【0074】次に、厚肉板56は、前記した薄肉板55
と同様に、その全ての形状をプレス型による鋼板材の打
ち抜き成形にて形成するものであるが、硬度を向上させ
るために打ち抜き後に浸炭処理を行うものである。なぜ
なら、この厚肉板56は、薄肉板55より肉厚形状であ
るため、バネ鋼のような高硬度の材質は打ち抜きが不向
きであるからであり、またロータ50の両端面に配置す
るものであって、サイドプレート20とサイドカバー3
0との間で摺動接触する部材としての、耐摩耗性が要求
されるからである。勿論、この方法に限らず、打ち抜い
た後の最終形状段階で、耐摩耗性をもっている材質また
は表面処理を行ったものであれば、全く問題ないもので
ある。このように、厚肉板56は、別部材で構成できる
ため、少なくともロータ50の両端面だけは、従来の材
質である焼結成形品よりも耐摩耗性に優れた材質にする
ことが可能である。
【0075】そして、この厚肉板56の片面にのみ設け
るベーン背圧溝53は、これをプレス型にて打ち抜き成
形する際に、同時にプレス型の表面に設けた型で塑性加
工することで、成形するものである。この厚肉板56の
外周側と内周側には、薄肉板55を積層した際、これら
と完全に重なる位置に、それぞれ複数のベーン摺動溝5
1bおよびベーン背圧室52bと、スプライン孔部54
bとが打ち抜き成形してある。さらに、複数の固着孔5
6aも、薄肉板55を積層した際、これらと完全に重な
る位置に打ち抜き成形しているものである。この様な厚
肉板56は、上記した通りプレス型で打ち抜き加工がで
きるとともに、ベーン背圧溝53が形成できるような、
例えば2.0mm程度の肉厚を有しているものである。
【0076】そして、上記したそれぞれ複数のベーン摺
動溝51a・51bと、ベーン背圧室52a・52b
と、スプライン孔部54a・54bと、複数の固着孔5
5a・56aとが全て一致するように、複数の薄肉板5
5と、厚肉板56とを積層し、これらの固着孔55a・
56aの全てに、金属製の固着ピン57を挿通する。こ
れらの固着ピン57は、お互いの薄肉板55と厚肉板5
6が隙間のないように密着させた状態で、積層構成した
ロータ50の両端面に配置している厚肉板56に対し
て、カシメ等により確実に固定するものである。このカ
シメは、挿通した固着ピン57の両端面をポンチ等で塑
性変形させ、この両端部のみ厚肉板56の固着孔56a
の内径に確実に食いつかせるというものである。ここ
で、このロータ50には、ベーンポンプ100の使用状
態でも、これを構成している薄肉板55および厚肉板5
6を隙間を拡げようとする力が、ほとんど発生しないた
めに、カシメでも薄肉板55と厚肉板56の一体化が確
実に実現できるわけである。
【0077】また、固着ピン57の両端面は、厚肉板5
6から飛び出していないことが望ましいが、後述するよ
うに最終工程でロータ50の両端面に研磨を実施するた
め、この研磨後でも固定できていることが保証できれ
ば、飛び出していても全く問題ないものである。尚、こ
の固着ピン57が厚肉板56の両端面から飛び出してい
ない場合は、ロータ50が高速回転しても回転バランス
が崩れないように、固着ピン57の長さは、全て均等で
あるものであるが、前述した固着ピン57と組み合わせ
た段階で、ロータ50の回転バランスが崩れないように
考慮して設計しているものであれば、固着ピン57の長
さ寸法は、必ずしも全て均等である必要はないものであ
る。
【0078】最後に、このロータ50を、ベーンポンプ
100のロータ50として機能するような寸法精度に仕
上げるために、ロータ50の両端面すなわち両厚肉板5
6のベーン背圧溝53側の端面と、ベーン摺動溝51と
を研磨加工により仕上げるものである。この際、ベーン
摺動溝51は、板材の積み重ねで形成されているため、
従来の焼結成形品と異なり、軸方向の寸法が大きいもの
であっても、粗寸法のベーン摺動溝51が倒れている様
なことはないので、仕上げ代は、小さくても全く問題な
いものであることから、仕上げ加工工数およびそれにか
かる時間を大幅に短縮でき、結果的にロータ50の製造
コストを大幅に低減することが可能となる。
【0079】従って、ロータ50を構成する薄肉板55
および厚肉板56は、双方ともプレス型により打ち抜き
成形していることから、それぞれ一度の打ち抜き成形
で、加工後の寸法にバラツキのない複数の薄肉板55お
よび厚肉板56が安価に複数分製造することができる。
また、厚肉板56で挟まれる薄肉板55の積層枚数を変
更するだけで、ロータ50の軸方向の寸法すなわち作動
流体の吐出量を自由に変更することが可能である。換言
すれば、ベーンポンプ100のロータ50を、従来の焼
結成形方法とは全く異なる、プレス型にて打ち抜いた薄
肉板55と厚肉板56の積層構造にて成立させること
で、従来は吐出量違いごとに必要であった非常に高価な
焼結成形型が不要となり、よって、従来の焼結成形品に
比べて非常に安価に製造できることから、ベーンポンプ
100自体の製造コストを安価に実現することができ、
さらに、一組のプレス型から製造された一組の薄肉板5
5と厚肉板56を取りそろえておくだけで、それらの積
層枚数の組み合わせで、いかなる吐出量違いにも、成形
型を変更することなく、容易にしかも非常に短期間で対
応することができることから、お客様の吐出量違いに対
するニーズにも、極めて迅速に対応することが可能とな
るものである。
【0080】図6に示すロータ50は、積層した複数の
薄肉板55を、片面にのみベーン背圧溝53が設けてあ
る厚肉板56で挟んでおり、それら全体の一体化を、積
層した薄肉板55と厚肉板56とにそれぞれ設けている
複数の固着孔55a・56aのうち、円周上均等となる
複数の箇所に固着ピン57を挿通して、厚肉板56に対
して固着することで行うとともに、これ以外の複数の固
着孔55a・56aには何も挿通することなく、空間の
まま残すものとしている。
【0081】ここで、薄肉板55と、厚肉板56と、固
着ピン57における、それぞれの材質・形状・成形方法
・役割、およびロータ50における積層構造・積層方法
は全く同様であるため、詳細の説明は省略するが、これ
の実施例の特徴であるところの、積層した薄肉板55と
厚肉板56に設けた複数の固着孔55a・56aのう
ち、円周上均等となる箇所に固着ピン57を挿通して、
厚肉板56に対して固着することを行うとともに、これ
以外の固着孔55a・56aには何も挿通することな
く、空間のまま残すという点に絞って説明を行うことに
する。
【0082】ロータ50が、固着孔55a・56aの一
部に限り固着ピン57を挿通せず、空間のまま残すとい
うことの目的は、その分ロータ50を軽量化すること
で、慣性モーメントを小さくし、たとえロータ50が高
速回転しても、回転バランスを崩すことなく、結果的に
ベーンポンプ100の低振動や低騒音を高い次元で実現
することである。
【0083】そのために、固着孔55a・56aに固着
ピン57を挿通して薄肉板55および厚肉板56を固着
する箇所と、固着ピン57は挿通しないで空間のまま残
す固着孔55a・56aとを設けて、ロータ50自体の
質量を極力減らす訳であるが、ここで最も重要となるポ
イントは、それらを円周上でバランスよく配置すること
である。そのためには、まず、ロータ50を構成してい
る薄肉板55および厚肉板56にそれぞれ設ける固着孔
55a・56aを、固着ピン57を挿通する箇所とそう
でない箇所とがバランスよく配置できるような数に設定
しなければいけない。これは、例えば、固着ピン57を
挿通する固着孔55a・56aが、これを挿通しない固
着孔55a・56aに対して、一つ飛びや二つ飛び等で
も全く構わないものであるが、最低限、円周上でバラン
スよく配置していることが必要であるものである。
【0084】すなわち、固着ピン57を円周上で不均等
になる位置に装着しているようなロータの場合には、偏
った固着ピン57の質量分だけ、ロータの重心点がその
回転中心に対してずれることになり、結果的にこのよう
なロータを装着したベーンポンプ100では、振動・騒
音・脈動が発生し易く、商品性が低くなるといったこと
になる可能性が生じるわけであり、このためにも固着ピ
ン57は、固着孔55a・56aに対して、円周上でバ
ランスよく配置していなければいけないのである。
【0085】従って、この実施例では、ロータ50を構
成している薄肉板55および厚肉板56にそれぞれ設け
た固着孔57を、固着ピン57を挿通する箇所と挿通し
ない箇所とがそれぞれバランスよく配置できるような数
にするとともに、固着ピン57を挿通する固着孔55a
・56aと挿通しない固着孔57とを円周上でバランス
よく配置することで、高速回転しても、固着ピン57を
装着しない中空の固着孔55a・56aの分だけロータ
50自体の質量を軽くして慣性モーメントを小さく抑え
ているだけでなく、これら複数の固着ピン57と複数の
空間の固着孔55a・56aとの円周上均等な配置によ
り、ロータ50の重心点がその回転中心に対して正確に
一致して、高速回転に至るまで振動や騒音や脈動が発生
しないベーンポンプ100が実現できるといった効果が
実現できるものである。
【0086】上記にて説明した図6の実施例では、固着
ピン57を装着する複数の固着孔55a・56aと、固
着ピン57を装着せずに空間のまま残す複数の固着孔5
5a・56aとが、共通していることから、同径である
ものとしていたが、ロータ50の質量を低減し、さらに
慣性モーメントを小さく抑えるために、これらの固着孔
55a・56aを二種類の機能が異なる孔として考え、
固着ピンを装着する固着孔55a・56aより、空間の
まま残すためだけの専用の孔55c・56cを大きくす
るように設定することもできる。
【0087】すなわち、ベーンポンプ100のロータ5
0として見た場合に、ロータ50の機能が問題なく発揮
でき、さらにロータ50の剛性や強度が確保できるとい
う条件を満足していれば、固着ピン57を装着せずに空
間のまま残すためだけの専用の複数の孔は、必ずしも固
着ピン57を装着する固着孔55a・56a、すなわち
固着孔57と同径である必要は全くなく、例えば図7の
ような、固着ピン57を装着する固着孔55a・56a
より大きい楕円形状の孔55c・56cにするというこ
とも可能である。勿論、この楕円形状は、三角形状や、
扇形形状や、四角形状等でもロータ50の剛性や強度が
確保できてさえいれば、どんな形状でも問題ないことは
言うまでもない。そして、このロータ50を構成してい
る薄肉板55および厚肉板56は、前述したように、プ
レス型による打ち抜き加工により製造されていることか
ら、空間のまま残すためだけの専用の孔55c・56c
は、どんな形状にも形成可能であるものである。
【0088】図8および図9には、ロータ50の外径か
らは直接見ることが出来ない中空の孔とする固着孔55
aをもったロータ50が示してある。このようにした第
1の理由は、このロータ50の両端面を形成している厚
肉板56が、その構造上サイドプレート20とサイドカ
バー30との間で接触摺動する部材であることから、出
来ることならば、このような接触摺動面に孔部は設けた
くないということがあるからである。すなわち、このロ
ータ50に複数の中空孔とする固着孔55aを設けるこ
とで、サイドプレート20、サイドカバー30およびロ
ータ50全ての接触摺動部の面圧を、図6の実施例に対
して空間のまま残す複数の固着孔55a・56aの分だ
け、低く押さえることができ、信頼性が向上することに
なる。
【0089】また、中空の孔とする固着孔55aをもっ
たロータ50とする第2の理由は、高速回転に至るまで
振動や騒音や脈動が発生しないベーンポンプ100を実
現するべく、ロータ50の剛性や強度に悪影響を与えな
い範囲内で極力ロータ50の質量を低減し、この慣性モ
ーメントを小さく抑えるためである。
【0090】さらに、具体的に図示はしていないが、勿
論この薄肉板に設けた中空の孔とする固着孔55aは、
固着ピン57を装着する他の固着孔55a・56aと同
じ形状であるだけでなく、三角形状や、扇形形状や、四
角形状等でもロータ50の剛性や強度が確保できてさえ
いれば、どんな形状であっても問題ないことは言うまで
もない。そして、このロータ50を構成している薄肉板
55および厚肉板56は、前述したように、プレス型に
よる打ち抜き加工により製造されていることから、空間
のまま残すためだけの専用の孔55aは、積層板ごとに
おいて形状に誤差がないだけでなく、どんな形状にも形
成可能であるものである。
【0091】図10に示すロータは、それぞれ複数の薄
肉板55および厚肉板56の外周であって、ロータ50
の側面で円周上均等となる複数の箇所に、軸方向に連な
るように外周逃げ凹部55b・56bを設けているもの
である。そして、これら薄肉板55および厚肉板56
は、前述したように、プレス型による打ち抜き加工によ
り製造されていることから、それぞれに設けている外周
逃げ凹部55b・56bの形状は、積層板ごとにおいて
形状に誤差がないだけでなく、どんな形状にも成形可能
である。これらの外周逃げ凹部55b・56bは、ロー
タ50をできる限り軽量化するもので、ロータ50の慣
性モーメントを小さく抑え、高速回転に至るまで回転バ
ランスを崩すことがなく、振動や騒音や脈動が発生しな
いベーンポンプ100を実現するというものであるが、
図4の実施例に加えて、さらにベーンポンプ100のロ
ータ50としての剛性や強度に悪影響を与えない範囲内
で、外周側の肉を極力減らすことで、その効果を明確に
するという考えに基づいたものである。
【0092】この実施例では、固着ピン57を装着せず
に、空間のまま残す固着孔55a・56aは、固着ピン
57と同形状としているが、ここでも勿論、特に図示し
ていないが、空間のまま残す固着孔55a・56aは、
三角形状や、扇形形状や、四角形状等でもロータ50の
剛性や強度が確保できてさえいれば、どんな形状であっ
ても問題ないことは言うまでもない。
【0093】また、勿論、以上の実施例を組み合わせて
実施しても、これらと同等の効果が発揮できることは言
うまでもない。
【0094】
【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1の発明にお
いては、上記実施形態にて例示した如く、「ケース10
内に配置したサイドプレート20と、ケース10のサイ
ドカバー30とで形成した空間内にカムリング40を配
置し、このカムリング40の内側に、シャフト70で回
転され外周側に複数のベーン60を出入自在に装着した
ロータ50を配置したベーンポンプ100において使用
するロータ50であって、このロータ50は、積層した
複数の薄肉板55を、片面にのみベーン背圧溝53を設
けた厚肉板56で挟んで一体化したこと」にその構成上
の特徴があり、これにより、摺動面である厚肉板56の
み耐摩耗性に優れた材質を使用することが可能であり、
また、薄肉板55の積層枚数を変更するだけで、ロータ
50の軸方向の寸法違いが非常に簡単に製作でき、ベー
ンポンプ100の吐出量違いにも容易、迅速かつ安価に
対応することが出来るものである。また、これにより、
ベーンポンプ100の吐出量違いに於いても、スペック
違いの個々のロータ50を用意しておく必要がなく、一
対の薄肉板および厚肉板のプレス型があれば、全てのロ
ータ50に共通して対応できるものである。
【0095】また、請求項2に係る発明においては、上
記請求項1に係るベーンポンプ100のロータ50につ
いて、「一体化は、薄肉板55および厚肉板56にそれ
ぞれ設けた固着孔55a・56aの全てに挿通した固着
ピン57の両端を厚肉板56側に対して固定することに
より行ったこと」にその構造上の特徴があり、これによ
り、上記請求項1に係る発明と同様な目的を達成するこ
とができる他、ベーンポンプ100のロータ50を構成
している各薄肉板55、厚肉板56の一体化を、固着孔
55a・56aおよび固着ピン57という非常に簡単な
手段によって確実に行うことができるものである。
【0096】続いて、請求項3に係る発明においては、
上記請求項1に係るベーンポンプ100のロータ50に
ついて、「一体化は、薄肉板55および厚肉板56にそ
れぞれ設けた固着孔55a・56aに対する固着ピン5
7の挿通を、一部省略することにより行ったこと」にそ
の構造上の特徴があり、これにより、上記請求項1に係
る発明と同様な目的を達成することができる他、固着孔
55a・56aおよび固着ピン57という手段による、
ベーンポンプ100のロータ50を構成している各薄肉
板55、厚肉板56の一体化を一部省略するという手段
によって、低慣性モーメントが実現できるものとなって
いる。
【0097】さらに、請求項4に係る発明においては、
上記請求項1〜請求項3のいずれかに係るベーンポンプ
100のロータ50について、「ロータ50を構成して
いる薄肉板55および厚肉板56のそれぞれ外周側に、
複数の外周逃げ凹部55b・56bを設けたこと」にそ
の構造上の特徴があり、これにより、上記請求項1〜請
求項3に係る発明と同様な目的を達成できることができ
る他、ベーンポンプ100のロータ50を構成している
薄肉板55および厚肉板56のそれぞれ外周側に外周逃
げ凹部55b・56bを形成するという手段によって、
低慣性モーメントが実現できるものとなっている。
【0098】最後に、請求項5に係る発明においては、
上記実施形態にて例示した如く、「ケース10内に配置
したサイドプレート20と、サイドカバー30とで挟ん
だ間にカムリング40を配置し、このカムリング40の
内側に、シャフト70で回転され外周側に複数のベーン
60を出入自在に装着したロータ50を配置したベーン
ポンプ100を構成しているロータ50を、 打ち抜き成形した薄肉板55を積層する工程。 片面にのみベーン背圧溝53を有したものとして打ち
抜き成形した厚肉板56で、積層した薄肉板55を挟む
工程。 薄肉板55および厚肉板56にそれぞれ設けた固着孔
55a・56aに挿通した固着ピン57の両端を厚肉板
56側に対して固定する工程。 という各工程を含んで製造したこと」にそのその製造方
法上の特徴があり、鋼板材をプレス型で打ち抜いた薄肉
板55と厚肉板56を積層する工程と、それらに固着ピ
ン57を挿通した状態で厚肉板56に対して固定するこ
とで、ロータ50全体を一体化する工程を含んでいるた
め、ロータ50を構成する薄肉板55と厚肉板56とが
均一の断面形状で製造でき、さらにそれらに設けた固着
孔55a・56aに固着ピン57を挿通して両側を固定
するといった簡単な作業で、確実なるベーンポンプ10
0に使用するロータ50の一体化が実現できるととも
に、様々な吐出量違いに対して短期間に容易に対応する
ことができるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るロータを使用するベーンポンプを
示すものであって、回転軸方向の断面図である。
【図2】本発明に係るロータを使用するベーンポンプ示
すものであって、サイドカバーを取り除いた正面図であ
る。
【図3】本発明に係るロータの一実施例を示す正面図で
ある。
【図4】本発明に係るロータの一実施例を示す斜視図で
ある。
【図5】本発明に係るロータの別の実施例を示す分解し
た斜視図である。
【図6】本発明に係るロータの別の実施例を示す正面図
である。
【図7】本発明に係るロータの別の実施例を示す正面図
である。
【図8】本発明に係るロータの別の実施例を示す正面図
である。
【図9】本発明に係るロータの別の実施例を示す分解し
た斜視図である。
【図10】本発明に係るロータの別の実施例を示す正面
図である。
【符号の説明】
100 ベーンポンプ 10 ケース 11 吸込ポート 12 低圧孔 13 高圧室 14 高圧孔 15 サイドプレート装着部 16 カムリング装着部 17 吐出ポート 18 軸受 19 スプール装着室 20 サイドプレート 21 ノックピン 22 連通孔 23 ベーン背圧孔 24 ベーン背圧溝 30 サイドカバー 31 吸込室 32 吸込部 33 ベーン背圧溝 40 カムリング 41 ベーン摺動面 42 位相合せ孔 50 ロータ 51 ベーン摺動溝 51a ベーン摺動溝 51b ベーン摺動溝 52 ベーン背圧室 52a ベーン背圧室 52b ベーン背圧室 53 ベーン背圧溝 54 スプライン孔部 54a スプライン孔部 54b スプライン孔部 55 薄肉板 55a 固着孔 55b 外周逃げ凹部 55c 孔 56 厚肉板 56a 固着孔 56b 外周逃げ凹部 56c 孔 57 固着孔 60 ベーン 70 シャフト 71 スプライン軸部 72 スナップリング 80 プーリ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケース内に配置したサイドプレートと、前
    記ケースのサイドカバーとで形成した空間内にカムリン
    グを配置し、このカムリングの内側に、シャフトで回転
    され外周側に複数のベーンを出入自在に装着したロータ
    を配置したベーンポンプにおいて使用する前記ロータで
    あって、 この前記ロータは、積層した複数の薄肉板を、片面にの
    みベーン背圧溝を設けた厚肉板で挟んで一体化したこと
    を特徴とするベーンポンプのロータ。
  2. 【請求項2】前記一体化は、前記薄肉板および前記厚肉
    板にそれぞれ設けた固着孔の全てに挿通した固着ピンの
    両端を厚肉板側に対して固定することにより行ったこと
    を特徴とする請求項1に記載のベーンポンプのロータ。
  3. 【請求項3】前記一体化は、前記薄肉板および前記厚肉
    板にそれぞれ設けた前記固着孔に対する前記固着ピンの
    挿通を、一部省略することにより行ったことを特徴とす
    る請求項1に記載のベーンポンプのロータ。
  4. 【請求項4】前記ロータを構成している前記薄肉板およ
    び前記厚肉板のそれぞれ外周側に、複数の外周逃げ凹部
    を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれ
    かに記載のベーンポンプのロータ。
  5. 【請求項5】ケース内に配置したサイドプレートと、サ
    イドカバーとで挟んだ間にカムリングを配置し、このカ
    ムリングの内側に、シャフトで回転され外周側に複数の
    ベーンを出入自在に装着したロータを配置したベーンポ
    ンプを構成している前記ベーンポンプのロータを、次の
    各工程を含んで製造する方法。 打ち抜き成形した薄肉板を積層する工程。 片面にのみベーン背圧溝を有したものとして打ち抜き
    成形した厚肉板で、積層した前記薄肉板を挟む工程。 前記薄肉板および前記厚肉板にそれぞれ設けた固着孔
    に挿通した固着ピンの両端を厚肉板側に対して固定する
    工程。
JP2000143088A 2000-05-16 2000-05-16 ベーンポンプのロータおよびその製造方法 Pending JP2001323880A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000143088A JP2001323880A (ja) 2000-05-16 2000-05-16 ベーンポンプのロータおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000143088A JP2001323880A (ja) 2000-05-16 2000-05-16 ベーンポンプのロータおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001323880A true JP2001323880A (ja) 2001-11-22

Family

ID=18649954

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000143088A Pending JP2001323880A (ja) 2000-05-16 2000-05-16 ベーンポンプのロータおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001323880A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100471323B1 (ko) * 2002-08-01 2005-03-08 기아자동차주식회사 오일펌프용 펌핑수단의 개선구조
JP2016198840A (ja) * 2015-04-09 2016-12-01 有限会社システムエンジニアリング クランプ治具
KR102135628B1 (ko) * 2019-03-26 2020-07-20 (주)한국정밀 밸런스샤프트모듈의 오일펌프용 분말소결금속형 로터 회전자의 제조방법

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100471323B1 (ko) * 2002-08-01 2005-03-08 기아자동차주식회사 오일펌프용 펌핑수단의 개선구조
JP2016198840A (ja) * 2015-04-09 2016-12-01 有限会社システムエンジニアリング クランプ治具
KR102135628B1 (ko) * 2019-03-26 2020-07-20 (주)한국정밀 밸런스샤프트모듈의 오일펌프용 분말소결금속형 로터 회전자의 제조방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2878822A1 (en) Multistage oil pump
US20070231169A1 (en) Gear Pump and Method of Producing the Same
JP4824526B2 (ja) 可変容量形ベーンポンプ及び可変容量形ベーンポンプの製造方法
WO2009093470A1 (ja) 回転式流体機械
US20110038746A1 (en) Variable-volume internal gear pump
KR101825961B1 (ko) 격리형 듀얼 로터식 지로터 펌프
CN208106745U (zh) 叶片泵和包括叶片泵的车辆系统
CN110214221A (zh) 定子-盖单元的生坯
JP2001323880A (ja) ベーンポンプのロータおよびその製造方法
JP4279729B2 (ja) バルブタイミング可変装置
EP2918839B1 (en) Electric pump
JP2014122558A (ja) ベーンポンプ
JP2003065247A (ja) ベーンポンプ
US9261148B2 (en) Electromagnetic clutch and method for producing armature for electromagnetic clutch
JP4481090B2 (ja) ベーンポンプ
JP2009156231A (ja) ベーン型圧縮機の潤滑剤減圧供給構造
US11578719B2 (en) Pulsation phenomenon suppression mechanism of pump device
JP4215160B2 (ja) 内接歯車ポンプおよびその製造方法
WO2009090888A1 (ja) 回転式流体機械
JP2000145658A (ja) 内接ギヤポンプ
JP2000192992A (ja) 動力伝達機構
JPH09280342A (ja) ローディングカム装置の保持器及びその製造方法
JP3115553B2 (ja) スクロール型流体機械における可動スクロールの自転阻止機構
JPH11182410A (ja) 多連ピストンポンプ及びバルブプレート及びその製造方法
JP4456281B2 (ja) バルブプレート