JP2001323320A - 圧延h形鋼の製造方法 - Google Patents
圧延h形鋼の製造方法Info
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Abstract
方法を提供する。 【解決手段】 mass%で、C:0.05〜0.18%、
Si:0.05〜0.5%、Mn:0.6〜1.6%、
P:0.02%以下、S:0.015%以下、V:0.
05%以下、Ti:0.15%以下、N:0.006%
以下を含有し、炭素当量(Ceq.)が0.44%以
下、2V+1.5Tiが0.3%以下とした鋼を、11
00℃以上1350℃以下に加熱し、フィレット部にお
ける累積圧下率が1100℃以下で20%以上となるよ
うに熱間圧延し、800℃以上1000℃以下で熱間圧
延を終了し、フィレット部における冷却速度が0.5℃
/s以上5℃/s以下となるようにフランジ内外面を制
御冷却し、冷却停止温度をMs点以上Ar 3−200℃
以下とし、その後放冷することを特徴とする圧延H形鋼
の製造方法。
Description
として要求されるJIS G3136 SN490B,
C以上の高強度を有する建築構造用鋼材であって、フィ
レット部靭性に優れる圧延H形鋼に関する。
設計の観点から低降伏比、狭YPレンジ高靭性の鋼材が
要求される。このような設計手法を用いた高層建築物に
用いられる柱材には、各断面方向毎の断面係数の変化が
少ないボックス柱、鋼管を用いた円柱、温間もしくは冷
間で加工されたコラム柱が主として用いられている。し
かし、ボックス柱の場合は角溶接の施工に技術が要求さ
れること、円柱の場合は梁材と接続するための仕口部の
加工が複雑となること、厚肉コラム柱の場合はコーナー
部の低降伏比を満足するような成形を行うための成形コ
ストが高いこと等の問題がある。従って、材料費、施工
費等を含めたトータルコストを削減できる柱材が求めら
れている。
方向で異なるが、圧延ままで柱としての基本形状を有し
ているので、コラムのような曲げ加工、ボックス柱のよ
うな溶接施工を行う必要が無いこと、梁材を取り付ける
仕口部が炭酸ガス溶接のみで簡便に施工できること等の
利点が多い。また断面係数の違いは設計段階で考慮でき
るため実用上の問題も無い。以上の点から靭性の良好な
圧延H形鋼の製造を可能とすることにより、今後柱材と
しての需要拡大が見込まれる。
の名称を示す。圧延H形鋼では、フランジとウエブの入
隅に対応するフィレット部が他の部位と比較して相対的
に厚いため、圧延終了温度が高く、冷却速度も遅くなる
ことにより、組織が粗くなり靭性が劣ることが問題であ
った。
技術が特公昭60−43412号公報、特許第2865
843号公報、特開平10−60576号公報に開示さ
れている。
報に記載の技術は、熱間圧延後のH形鋼のフィレット部
を冷却速度20〜200℃/sで強制冷却しその後の復
熱による自己焼戻効果によりフィレット部靭性の向上を
図るものであるが、結晶粒の細粒化を制御冷却のみで行
うため、強度、靭性の向上には限度があること、またフ
ィレット部のみを選択的に冷却するものであるために、
本製造方法をフランジ厚32mm以上の極厚圧延H形鋼
に適用すると反り等を生じて形状制御の観点からも好ま
しくない。特許第2865843号公報に記載の技術
は、フィレット部のみの選択的な冷却後にウエブ高さを
10mm以上縮幅する挟圧圧延を行うものであるが、フ
ランジ厚32mm以上の柱材に適した極厚圧延H形鋼の
分野では、圧延条件は主として形状を整え、寸法精度を
満足するように決定されており、フィレット部の選択的
な冷却の後に圧延を行うことは、圧延温度が低下し圧延
材料の熱間変形抵抗が増大するためミル能力上圧延が困
難となる。特開平10−60576号公報に記載の技術
はV、Nの添加量を増大して微細析出物を増加し、この
析出物により組織の微細化を図るものであるが、析出物
の増加は溶接性の劣化を引き起こすため好ましくない。
鋼材は溶接性を考慮する必要があり、JIS G 31
36に規定されるように、板厚40mm以下では炭素当
量(Ceq.)は0.44%以下、板厚40mm超え1
00mmまでは0.46%以下とする必要がある。従っ
て、多量の合金元素を添加することは炭素当量(Ce
q.)の増大を生じるため、合金元素の添加による強度
上昇には限界があること、H形鋼の圧延においては、圧
延荷重と寸法精度の観点から圧延温度を著しく低下させ
て制御圧延を行うことは困難であること、H形鋼はフラ
ンジとウエブの厚さが異なるので特定部位のみを選択的
に極端な強制冷却を行うことはウエブの座屈、フランジ
の反り、曲がり等の変形が発生するという問題があっ
た。
ので、JIS G 3136における溶接性を満たす観
点から炭素当量(Ceq.)を0.44以下に抑えた化
学成分の最適化と圧延可能範囲における制御圧延、圧延
後の制御冷却により耐震性に優れるSN490B,SN
490Cに相当する鋼材もしくはそれ以上の高強度鋼材
の圧延H形鋼の製造方法とを発明者等は鋭意検討し、合
金元素と圧延・冷却条件の最適化を図ることによりフィ
レット部靭性に優れた極厚圧延H形鋼の製造方法を知見
するに至った。
の本発明の特徴は以下の通りである。 (1)mass%で、C:0.05〜0.18%、Si:
0.05〜0.5%、Mn:0.6〜1.6%、P:
0.02%以下、S:0.015%以下、V:0.05
%以下、Ti:0.15%以下、N:0.006%以下
を含有し、炭素当量(Ceq.)が0.44%以下、2
V+1.5Tiが0.3%以下とした鋼を、1100℃
以上1350℃以下に加熱し、フィレット部における累
積圧下率が1100℃以下で20%以上となるように熱
間圧延し、800℃以上1000℃以下で熱間圧延を終
了し、フィレット部における冷却速度が0.5℃/s以
上5℃/s以下となるようにフランジ内外面を制御冷却
し、冷却停止温度をMs点以上Ar3−200℃以下と
し、その後放冷することを特徴とする圧延H形鋼の製造
方法を提供する。 Ms(℃)=539-423xC%-30.4xMn%-17.7xNi%-12.1xCr%-7.5xM
o% Ar3(℃)=910-310xC%-80xMn%-20xCu%-15xCr%-55xNi%-80x
Mo%
8%、Si:0.05〜0.5%、Mn:0.6〜1.
6%、P:0.02%以下、S:0.015%以下、
V:0.05%以下、Ti:0.15%以下、N:0.
006%以下を含有し、炭素当量(Ceq.)が0.4
4%以下、2V+1.5Tiが0.3%以下とした鋼
を、1100℃以上1350℃以下に加熱し、フィレッ
ト部における累積圧下率が1100℃以下で20%以上
となるように熱間圧延し、800℃以上1000℃以下
で熱間圧延を終了し、フランジ内外面を水量密度500
[l/min.m2]以上,水量密度比(内面水量密度
/外面水量密度)0.3以上1.2以下として制御冷却
し、冷却停止温度をMs点以上Ar3−200℃以下と
し、その後放冷することを特徴とする圧延H形鋼の製造
方法を提供する。 Ms(℃)=539-423xC%-30.4xMn%-17.7xNi%-12.1xCr%-7.5xM
o% Ar3(℃)=910-310xC%-80xMn%-20xCu%-15xCr%-55xNi%-80x
Mo%
%以下、Cr:0.1%以下、Mo:0.5%以下の一
種以上を更に含有する請求項1又は請求項2記載の圧延
H形鋼の製造方法を提供する。
説明する。本願の第一の発明は特定の成分の鋼を、11
00℃以上1350℃以下に加熱し、フィレット部にお
ける累積圧下率が1100℃以下で20%以上となるよ
うに熱間圧延し、800℃以上1000℃以下で熱間圧
延を終了し、フィレット部における冷却速度が0.5℃
/s以上5℃/s以下となるようにフランジ内外面を制
御冷却し、冷却停止温度をMs点以上Ar3−200℃
以下とし、その後放冷する圧延H形鋼の製造方法であ
る。以下、この発明における成分条件と各製造条件の限
定理由について説明する。尚、以下に示す成分に関する
%は、mass%を意味する。
効な元素である。しかし、0.05%未満では必要とす
る強度を得ることが困難であり、0.18%を超えると
溶接性が劣化する。従って、C量は0.05〜0.18
%とする。
にも有効な元素である。脱酸のためには少なくとも0.
05%未満では必要とする強度を得ることが困難であ
り、また0.18%を超えると溶接性が劣化する。従っ
てSi量は0.05〜0.50%とする。
特に高強度化のためには0.60%以上の添加が必要で
あるが、1.60%を超えて添加すると溶接性を損なう
だけでなく偏析部が著しく硬化するために靭性を損な
う。従ってMn量は0.60〜1.60%とする。また
上記観点からして、より好ましくは、0.06%〜1.
50%である。
る。従ってP量は0.02%以下とした。
0.015%を超えると介在物が著しく増加し脆化を生
ずるのでS量は0.015%以下とした。
に有効であるが、0.05%を超えると粗大なV炭窒化
物が生成し靭性が劣化する。従ってV量は0.05%以
下とする。
に加熱し、フィレット部の累積圧下率が1100℃以下
32%となる熱間圧延を行い、950℃で圧延を終了
し、フィレット部の冷却速度が4℃/sとなるようにフ
ランジ内外面を制御冷却し400℃で冷却を停止後、放
冷してフランジ厚65mmの圧延H形鋼を製造して、V
添加に伴うフィレット部の材質変化を調べた。その結果
を図2に示す。
TSは同じく引張強度をvE0はシャルピー衝撃試験の
0℃における吸収エネルギの最低値を示す。これによる
とV添加量が0.05%を超えると0℃における吸収エ
ネルギの最低値が建築用柱材として必要なJISG31
36 SN490Cに規定する27Jを満足しなくなる
ことがわかる。従って、V添加量は0.05%以下とす
る必要がある。
ーステナイト粒を微細化し靭性向上に効果があるが、
0.15%を超えると粗大なTiN、TiCを形成し靭
性を劣化させる。従ってTi量は0.15%以下とす
る。
に加熱し、フィレット部の累積圧下率が1100℃以下
33%となる熱間圧延を行い、850℃で圧延を終了し
フィレット部の冷却速度が3.7℃/sとなるようにフ
ランジ内外面を制御冷却し420℃で冷却を停止後、放
冷してフランジ厚80mmの圧延H形鋼を製造して、T
i添加に伴うフィレット部のシャルピー衝撃試験の0℃
における吸収エネルギの最低値の変化を調べた。その結
果を図3に示す。
径はこまかいものの、粗大なTi化合物が分散するため
に吸収エネルギの最低値は上記した規格値27Jを満た
さなくなる。また、Ti添加量が0.15%以下であっ
ても2V+1.5Tiが0.3%を超える鋼(図3黒
丸)は析出物が粗大になるため吸収エネルギの最低値は
27Jを下回っている。一方Ti添加量が0.15%以
下で2V+1.5Tiが0.3%以下を満たす鋼はいず
れも靭性が27Jを上回わっている。
形成により強度、靭性に影響を及ぼすが多量に添加する
と時効硬化を生じるため靭性の劣化をひきおこす。従っ
て、N量は0.006%以下とする。
窒化物を形成し、強度、靭性に影響を及ぼすが多量に添
加した場合は複合効果も認められる。特に2V+1.5
Tiが0.3%を超えると粗いTiNを核としてVC、
VNが複合析出し、粗大な複合炭窒化物となり靭性の劣
化を生じる。従って2V+1.5Ti量は0.3%以下
とする。
要に応じてCu,Ni,Cr,Moの内一種又は二種以
上を添加することができる。
0.5%を超える添加はコスト上昇、板厚方向強度の不
均一の増大、表面疵の発生等を生じるので0.5%以下
(但し、無添加の場合を含む)とする。
元素であるが、0.5%以上の添加は溶接性を損なうだ
けでなく、高価な元素であるので経済性も損なわれるた
め0.5%以下(但し、無添加の場合を含む)とする。
なおNi添加による効果を適切に得るためには0.20
%以上とするのが良い。
0.1%を超える添加は溶接性の劣化原因となるので
0.1%以下(但し、無添加の場合を含む)とする。な
おCr添加による効果を適切に得るためには0.05%
以上とするのが良い。
あるが、0.5%を超えると溶接特性を劣化させるの
で、0.5%以下(但し、無添加の場合を含む)とす
る。なおMo添加による効果を適切に得るためには0.
05%以上とするのが良い。
うちSN490B,SN490Cでは炭素当量(Ce
q.)の上限は板厚40mm以下では0.44%以下、
板厚40mm超え100mmまでは0.46%と規定さ
れている。しかし本発明ではフランジ厚32mm以上の
圧延H形鋼すべてに適用できる成分組成とするために炭
素当量(Ceq.)は0.44%以下とする。以下、製
造条件について説明する。
鋼を製造する場合、薄物(フランジ厚32mm以下)の
圧延に比較して圧延パス回数が増大し圧延中の温度降下
も大きくなるので圧延時の圧延変形抵抗をなるべく小さ
くし、寸法精度も高くする観点からは圧延用素材の加熱
温度は高温にするほど圧延機にかかる負荷は減少され
る。しかし、圧延用素材の加熱温度が1350℃を超え
ると圧延用素材のγ粒径が著しく粗大化し、建築構造用
鋼材として必要な靭性の確保が困難となる。又加熱炉の
炉体の損傷も大きくなる。一方圧延用素材の加熱温度が
1100℃未満では圧延時の温度降下が大きく製品の靭
性は優れるが圧延変形抵抗が増大するため製品の寸法精
度が低下する。そこで熱間圧延での加熱温度は1100
〜1350℃とする。
・靭性を共に向上させるには、γ再結晶域圧延によるγ
粒径の微細化と共に未再結晶γ域圧延もおこないγ粒を
伸長させ、α核生成サイトを増加してα粒を微細化する
という手法が取り得る。しかし、フランジ厚が32mm
以上の極厚圧延H形鋼の製造では寸法精度の観点から未
再結晶γ域圧延が困難となるので、フィレット部の靭性
を確保するためにはγ再結晶域圧延において、1100
℃以下におけるフィレット部の累積圧下率を20%以上
とする必要がある。フィレット部の累積圧下率が20%
未満ではγ粒径が粗大となり、α粒径も粗大なものとな
り靭性の向上が図れない。従って、熱間圧延でのフィレ
ット部の累積圧下率は1100℃以下20%以上とす
る。
に加熱し、フィレット部の累積圧下率を1100℃以下
で3〜50%まで変化させて熱間圧延を行い、910℃
で圧延を終了し、フィレット部の冷却速度が4.2℃/
sとなるようにフランジ内外面を制御冷却し、440℃
で冷却を停止後、放冷してフランジ厚65mmの圧延H
形鋼を製造した。
積圧下率とフィレット部のシャルピー衝撃試験の0℃に
おける吸収エネルギの最低値との関係を図1に示す。こ
れによれば累積圧下率が20%以上あれば十分な靭性値
が得られることがわかる。尚、フィレット部の圧下率と
は、H形鋼のフィレット部分の断面積の変化(減面率)
を意味する。
ミクロ組織が細粒化されフランジ厚が薄い圧延H形鋼で
は高強度、高靭性化が可能であるが、フランジ厚が32
mm以上の極厚圧延H形鋼においては800℃未満の低
温圧延では圧延変形抵抗が著しく増大し、圧延機への負
荷が増大するとともに製品の寸法精度の向上も難しい。
従って、圧延終了温度は800℃以上とする。一方圧延
終了温度が1000℃超えの高温の場合は圧延により再
結晶したγ粒が直ちに成長粗大化し靭性が著しく劣化す
る。よって、熱間圧延終了温度は800℃以上1000
℃以下とする。
mmの場合、熱間圧延後の放冷によりフィレット部の冷
却速度は0.17℃/sとなる。本冷却速度ではミクロ
組織が粗いフェライト主体の組織となり高靭性が得られ
ない。従って、熱間圧延後の冷却速度は0.5℃/s以
上の冷却速度とすることにより靭性に優れたミクロ組織
が得られる。一方フランジ厚80mmの圧延H形鋼のフ
ィレット部の理想的な水冷における熱間圧延後の冷却速
度はほぼ5℃/sとなる。よって、冷却速度は0.5℃
/s以上5℃/s以下とする。
みを選択的に冷却するとフランジに反りが生じ製品形状
の観点から好ましくないのでフランジ内外面を冷却する
ものとする。ここで、フィレット部における冷却速度と
はフィレット部内部、好ましくはフィレット部中心部又
は、その近傍での冷却速度をいう。
Ms点未満ではマルテンサイトが生成し建築構造用圧延
鋼材として必要な靭性が確保できない。一方、Ar3−
200℃以上では微細なフェライトもしくはベイナイト
組織に加えて粗いフェライトが生成するため十分な高強
度、高靭性が得られない。従って、冷却停止温度はMs
点以上Ar3−200℃以下とする。
算により温度を求めたものである。 Ms(℃)=539-423xC%-30.4xMn%-17.7xNi%-12.1xCr%-7.5xM
o% Ar3(℃)=910-310xC%-80xMn%-20xCu%-15xCr%-55xNi%-80x
Mo%
を1100℃以上1350℃以下に加熱し、フィレット
部における累積圧下率が1100℃以下で20%以上と
なるように熱間圧延し、800℃以上1000℃以下で
熱間圧延を終了し、フランジ内外面を水量密度500
[l/min.m2]以上,水量密度比(内面水量密度
/外面水量密度)0.3以上1.2以下として制御冷却
し、冷却停止温度をMs点以上Ar3−200℃以下と
し、その後放冷する圧延H形鋼の製造方法である。
了後のフィレット部の制御冷却条件を冷却速度により管
理するものであるが、この第二の発明では冷却時のフラ
ンジ内外面での水量密度と水量密度比により制御冷却条
件を管理するものであり、このような方法によっても上
述した第一の発明と同等な効果が得られることがわかっ
た。
製造条件の限定理由について説明する。
N,2V+1.5Ti,Cu,Ni,Cr,Mo.炭素
当量(Ceq.)の限定理由に関しては先に述べた第一
の発明と同様であるが、V、Tiについて図6,図7、
表4,表5にもとづいて説明する。
に加熱し、フィレット部の累積圧下率が1100℃以下
32%となる熱間圧延を行い、950℃で圧延を終了し
フランジ外面からは800[l/min.m2]の水量
密度で、フランジ内面からは650[l/min.
m2]の水量密度でフランジ全面を制御冷却し、400
℃で冷却を停止後、放冷してフランジ厚65mmの圧延
H形鋼を製造して、V添加に伴うフィレット部の材質変
化を調べた。その結果を図6に示す。
Sは同じく引張強度をvE0はシャルピー衝撃試験の0
℃における吸収エネルギの最低値を示す。これによると
V添加量が0.05%を超えると0℃における吸収エネ
ルギの最低値が建築用柱材として必要なJISG313
6 SN490Cに規定する27Jを満足しなくなるこ
とがわかる。従って、V添加量は0.05%以下とする
必要がある。
に加熱し、フィレット部の累積圧下率が1100℃以下
33%となる熱間圧延を行い、850℃で圧延を終了し
フランジ内外面からそれぞれ900[l/min.
m2]の水量密度でフランジ内外面を制御冷却し、42
0℃で冷却を停止後、放冷してフランジ厚80mmの圧
延H形鋼を製造して、Ti添加に伴うフィレット部のシ
ャルピー衝撃試験の0℃における吸収エネルギの最低値
の変化を調べた。その結果を図7に示す。
径は細かいものの、粗大なTi化合物が分散するために
吸収エネルギの最低値は上記した規格値27Jを満たさ
なくなる。また、Ti添加量が0.15%以下であって
も2V+1.5Tiが0.3%を超える鋼(図7黒丸)
は析出物が粗大になるため吸収エネルギの最低値は27
Jを下回っている。一方Ti添加量が0.15%以下で
2V+1.5Tiが0.3%以下を満たす鋼はいずれも
靭性が27Jを上回わっている。
温度、フィレット部の累積圧下率、熱間圧延終了温度、
冷却停止温度の限定理由は、先述した第一の発明と同様
である。
て図5、表6にもとづいて説明する。表6に示す成分の
鋼を用いて、1230℃に加熱し、フィレット部の累積
圧下率が1100℃以下3〜50%まで変化させて熱間
圧延を行い、910℃で圧延を終了し、フランジ外面か
らは1200[l/min.m2]の水量密度で、フラ
ンジ内面からは800[l/min.m2]の水量密度
でフランジ内外を制御冷却し、440℃で冷却を停止
後、放冷してフランジ厚65mmの圧延H形鋼を製造し
た。
積圧下率とフィレット部のシャルピー衝撃試験の0℃に
おける吸収エネルギの最低値との関係を図5に示す。こ
れによれば累積圧下率が20%以上あれば十分な靭性値
が得られることがわかる。
ように、この第二の発明では水量密度と水量密度比の管
理を行う。
冷却時の水量密度が500[l/min.m2]未満の
場合、圧延H形鋼と冷却水との接触面における沸騰形態
が膜沸騰となり均一な冷却が困難となる。圧延H形鋼と
冷却水との接触面における沸騰形態を核沸騰として均一
な冷却を得るためにはフランジ外面、内面のいずれから
も500[l/min.m2]以上の水量密度で冷却す
ることが必要である。従って、冷却時の水量密度はフラ
ンジ外面、内面のいずれからも500[l/min.m
2]以上とする。尚、フランジ内外面冷却時の水量密度
は平均値をいう。従って、本発明の方法には、フランジ
内外面の冷却の均一性を考慮して、フランジ脚先部を直
接水冷しない場合やフランジ内外面の上下方向に水量密
度差をつける場合も含まれる。
みを選択的に冷却した場合はフランジに著しい反りが発
生し形状不良となりやすい。また、フランジ内外面から
冷却を行った場合はフランジ内面とフランジ外面の水量
密度比(内面水量密度/外面水量密度)が0.3未満で
は内面からの冷却が弱すぎるため、冷却後にフランジが
外側に大きく反ってしまい形状不良を生じる。同様に水
量密度比が1.2を超える場合は冷却後にフランジが内
側に大きく反るため形状不良となる。従って、良好な形
状を得るためにフランジ内面とフランジ外面の水量密度
比は0.3以上1.2以下とする。
る。 (実施例1)表7に示す成分組成を有する鋼1〜11を
供試鋼としてフランジ厚60mmの極厚圧延H形鋼を製
造した。各鋼種とも加熱、圧延、冷却条件は同一として
成分組成の影響を確認した。即ち、加熱温度1270
℃、累積圧下率1100℃以下29%、圧延終了温度9
05℃の条件で圧延し、圧延終了後フランジ全面を冷却
しフィレット部における冷却速度は3.2℃/sとし
た。冷却停止温度は500℃である。強度、靭性に関す
る評価試験は図 4に示すH形鋼のフィッレト部中心か
ら圧延長手方向に試験片を採取して行った。表8に評価
試験結果を示す。
れ引張試験における0.2%耐力、引張強度、降伏比を
表す。vE0min.はシャルピー衝撃試験の0℃での
吸収エネルギの最小値を示す。本発明の鋼4,5,6,
8,10は何れも成分組成が本発明の範囲にあるので強
度、靭性とも良好な値が得られた。一方、比較例の鋼1
はC量が高いために0℃での吸収エネルギが低く、鋼2
はC量が低いために強度が不足している。Mn量が高い
鋼3、V量が高い鋼7、Ti量が高い鋼9はいずれも0
℃での吸収エネルギが低い値となっている。2V+1.
5Tiが0.30%を超える鋼11は強度は高い値が得
られているが0℃での吸収エネルギが低い値となってい
る。
を用いて表10に示すように加熱温度、1100℃以下
での累積圧下率、圧延終了温度、冷却速度、冷却停止温
度を変化させた場合の材質特性への影響を調査した。そ
の評価結果を表11に示す。試験片の採取位置は実施例
1の場合と同様である。
強度、靭性とも優れた特性が得られた。比較例であるA
は加熱温度が1400℃と高く靭性の低下が著しく、比
較例Cは1100℃以下の累積圧下率が20%に満たな
いために比較例Aと同様に低い靭性値を示している。比
較例Eは圧延終了温度が1175℃と高く組織が粗くな
り靭性劣化を生じている。比較例Gは圧延終了温度が7
20℃と低いためにH形鋼としての形状精度が著しく悪
い。比較例Iは冷却停止温度が200℃と低いために靭
性が劣っている。
る鋼1〜11を供試鋼としてフランジ厚65mmの圧延
H形鋼を製造した。製造条件は加熱温度1270℃で加
熱し、累積圧下率1100℃以下29%、圧延終了温度
905℃で圧延し、圧延終了後フランジ外面からは10
00[l/min.m2]、フランジ内面からは750
[l/min.m2]の水量密度でフランジ内外面から
冷却し、冷却停止温度は490℃とした。
4示すフィレット部中央から圧延長手方向に採取した。
表13にその評価結果を示す。
0.2%耐力を、TSは同じく引張強度を、YRは降伏
比を表す。vE0min.はVノッチシャルピー衝撃試
験における0℃での吸収エネルギの最低値を表す。本発
明鋼4,5,6,8,10は何れも成分組成、製造条件
が本発明の範囲にあるので強度、靭性ともに良好な値が
得られている。一方、比較例の鋼1はC量が高いために
0℃での吸収エネルギが低く、鋼2はC量が低いために
強度が不足している。Mn量が高い鋼3、V量が高い鋼
7、Ti量が高い鋼9は何れも0℃での吸収エネルギが
低い値となっている。2V+1.5Tiが0.3%を超
える鋼11は強度は高い値が得られているが0℃での吸
収エネルギが低い値となった。
2を用いて表15に示すように加熱温度、1100℃以
下での累積圧下率、圧延終了温度、水量密度、冷却停止
温度を変化させた場合の材質特性、製品形状への影響を
調査した。その評価結果を表16に示す。試験片の採取
位置は実施例3の場合と同様である。
が本発明の範囲にあるので強度、靭性ともに優れた値が
得られている。一方,比較例であるAは加熱温度が14
00℃と高く靭性の低下が著しく、比較例Cは1100
℃以下の累積圧下率が20%に満たないために比較例A
と同様に低い靭性値を示している。比較例Eは圧延終了
温度が1175℃と高く組織が粗くなり靭性劣化を生じ
ている。比較例Gは圧延終了温度が720℃と低いため
にH形鋼としての形状精度が著しく悪い。比較例Iは冷
却停止温度が200℃と低いために靭性が劣っている。
比較例Bはフランジ外面の水量密度が低いため、比較例
Dはフランジ内面の水量密度が低いために反りが著しく
大きく、形状不良を生じている。比較例Hは水量密度は
本発明の範囲内であるが、水量密度比が0.3未満であ
るためにフランジに反りが生じて形状不良となってい
る。
ット部の強度、靭性が優れているのでフランジ厚32m
m以上の耐震性、耐火性を兼ね備えた極厚圧延H形鋼の
製造が可能となる。
ット部靭性の関係を示す図
図
図
ット部靭性の関係を示す図
図
Claims (3)
- 【請求項1】 mass%で、C:0.05〜0.18%、
Si:0.05〜0.5%、Mn:0.6〜1.6%、
P:0.02%以下、S:0.015%以下、V:0.
05%以下、Ti:0.15%以下、N:0.006%
以下を含有し、炭素当量(Ceq.)が0.44%以
下、2V+1.5Tiが0.3%以下とした鋼を、11
00℃以上1350℃以下に加熱し、フィレット部にお
ける累積圧下率が1100℃以下で20%以上となるよ
うに熱間圧延し、800℃以上1000℃以下で熱間圧
延を終了し、フィレット部における冷却速度が0.5℃
/s以上5℃/s以下となるようにフランジ内外面を制
御冷却し、冷却停止温度をMs点以上Ar3−200℃
以下とし、その後放冷することを特徴とする圧延H形鋼
の製造方法。 Ms(℃)=539-423xC%-30.4xMn%-17.7xNi%-12.1xCr%-7.5xM
o% Ar3(℃)=910-310xC%-80xMn%-20xCu%-15xCr%-55xNi%-80x
Mo% - 【請求項2】 mass%で、C:0.05〜0.18%、
Si:0.05〜0.5%、Mn:0.6〜1.6%、
P:0.02%以下、S:0.015%以下、V:0.
05%以下、Ti:0.15%以下、N:0.006%
以下を含有し、炭素当量(Ceq.)が0.44%以
下、2V+1.5Tiが0.3%以下とした鋼を、11
00℃以上1350℃以下に加熱し、フィレット部にお
ける累積圧下率が1100℃以下で20%以上となるよ
うに熱間圧延し、800℃以上1000℃以下で熱間圧
延を終了し、フランジ内外面を水量密度500[l/m
in.m2]以上,水量密度比(内面水量密度/外面水
量密度)0.3以上1.2以下として制御冷却し、冷却
停止温度をMs点以上Ar3−200℃以下とし、その
後放冷することを特徴とする圧延H形鋼の製造方法。 Ms(℃)=539-423xC%-30.4xMn%-17.7xNi%-12.1xCr%-7.5xM
o% Ar3(℃)=910-310xC%-80xMn%-20xCu%-15xCr%-55xNi%-80x
Mo% - 【請求項3】 熱間圧延する鋼がCu:0.5%以下、
Ni:0.5%以下、Cr:0.1%以下、Mo:0.
5%以下の一種以上を更に含有することを特徴とする請
求項1又は請求項2記載の圧延H形鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000138511A JP2001323320A (ja) | 2000-05-11 | 2000-05-11 | 圧延h形鋼の製造方法 |
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JP2000138511A JP2001323320A (ja) | 2000-05-11 | 2000-05-11 | 圧延h形鋼の製造方法 |
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ID=18646105
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JP (1) | JP2001323320A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007197794A (ja) * | 2006-01-27 | 2007-08-09 | Nippon Steel Corp | 耐火性に優れたh形鋼およびその製造方法 |
CN105714201A (zh) * | 2016-04-15 | 2016-06-29 | 山东钢铁股份有限公司 | 一种热轧h型钢及其制备方法 |
JP2022027236A (ja) * | 2020-07-31 | 2022-02-10 | Jfeスチール株式会社 | 突起付きh形鋼およびその製造方法 |
-
2000
- 2000-05-11 JP JP2000138511A patent/JP2001323320A/ja active Pending
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