JP2001323221A - 4級アンモニウム塩を含有するカチオン電着塗料組成物 - Google Patents

4級アンモニウム塩を含有するカチオン電着塗料組成物

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JP2001323221A
JP2001323221A JP2000147208A JP2000147208A JP2001323221A JP 2001323221 A JP2001323221 A JP 2001323221A JP 2000147208 A JP2000147208 A JP 2000147208A JP 2000147208 A JP2000147208 A JP 2000147208A JP 2001323221 A JP2001323221 A JP 2001323221A
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ammonium salt
acid
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JP2000147208A
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Takahiro Mukai
孝洋 迎
Akira Ando
亮 安藤
Yoshio Kojima
与志夫 児島
Shinji Nakano
伸司 仲野
Mitsuo Yamada
光夫 山田
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】揮発性有機化合物である可塑剤を用いることな
く、十分な膜厚を得ることができるカチオン電着塗料組
成物を提供する。 【解決方法】本発明のカチオン電着塗料組成物は、炭素
数8〜24の長鎖アルキルアミド基を有する4級アンモ
ニウム塩を、塗料樹脂固形分の0.01〜10重量%含
有している。この4級アンモニウム塩は、さらにヒドロ
キシアルキル基を有していてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカチオン電着塗料組
成物、特に揮発性有機化合物の量を低減したカチオン電
着塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】カチオン電着塗料は、防食性が優れてい
ることから自動車ボディや部品などの下塗りに広く用い
られている。しかし、十分な防食性を発揮させるには、
ある程度の膜厚を確保しておく必要性がある。
【0003】このため、一般的なカチオン電着塗料で
は、可塑剤としてブチルセロソルブやヘキシルセロソル
ブなどの有機溶剤を添加して、析出した塗膜の粘度を低
下させることにより水素ガスの発生を助け、膜厚を確保
していた。
【0004】一方、最近、環境に対する意識が高まるに
つれ、大気中に排出される有機溶剤の量を減少させよう
とする動きがこれまで以上に大きくなってきた。カチオ
ン電着塗料は、水を媒体とした水性塗料ではあるが、上
記の可塑剤は揮発性有機化合物(VOC)であるため、
その使用は環境にとって好ましいものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、揮発
性有機化合物である可塑剤を用いることなく、十分な膜
厚を得ることができるカチオン電着塗料組成物を提供す
ることにある。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のカチオン電着塗料組成物
は、炭素数8〜24の長鎖アルキルアミド基を有する4
級アンモニウム塩を、塗料樹脂固形分の0.01〜10
重量%含有している。この4級アンモニウム塩は、さら
にヒドロキシアルキル基を有していてもよい。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のカチオン電着塗
料組成物に含有される4級アンモニウム塩は、炭素数8
〜24の長鎖アルキルアミド基を有している。この長鎖
アルキルアミド基は、R−CONH−で示すことができ
るものであり、ここでRは炭素数8〜24のアルキル基
を示す。炭素数が8未満だと、カチオン電着塗料の水性
媒体に4級アンモニウム塩が溶出してしまい、目的とす
る効果が得られない。一方、炭素数24を上回るもの
は、製造が困難である。
【0008】上記Rとしては、オクチル基、ノニル基、
デシル基、モノデシル基、ドデシル基、ヘプタデシル
基、オクタデシル基、ノニルフェニル基などを挙げるこ
とができる。なお、本明細書におけるアルキル基は、ベ
ンゼン環などの芳香族環を有するものも含むものとす
る。
【0009】なお、上記長鎖アルキルアミド基は、実質
的にアルキレン基を介して4級化された窒素原子に結合
している。アルキレン基としては炭素数6以下のものが
好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレ
ン基、ブチレン基、ヘキシレン基などを挙げることがで
きる。
【0010】また、上記4級アンモニウム塩は、さらに
ヒドロキシアルキル基を有していることが好ましい。水
酸基を分子中に有することで、電着後の加熱時に硬化反
応に関与し、塗膜内に固定化することができると考えら
れるためである。上記ヒドロキシアルキル基のアルキル
部分の炭素数は1〜6であることが好ましい。7以上の
ものは製造が困難である。上記ヒドロキシアルキル基の
具体例としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチ
ル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒ
ドロキシヘキシル基、ジヒドロキシエチル基、ジヒドロ
キシプロピル基、ジヒドロキシブチル基、ヒドロキシヘ
キシル基を挙げることができる。
【0011】上記4級アンモニウム塩において、長鎖ア
ルキルアミド基およびヒドロキシアルキル基以外に窒素
と結合している基は特に限定されないが、例えば、炭素
数1〜8のアルキル基であることが好ましい。
【0012】上記4級アンモニウム塩のアニオン部分は
特に限定されないが、カチオン電着塗料に用いられる中
和酸がアニオン化したものであることが好ましい。この
中和酸としては、ぎ酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、ほ
う酸、酪酸、ジメチロールプロピオン酸、サリチル酸、
塩酸、硫酸、硝酸、りん酸などを挙げることができる。
【0013】上記4級アンモニウム塩の具体例として
は、C919CONH(CH23+(C492CH2
2OH・Cl-、C1735CONH(CH23+(C
32CH2CH(OH)CH2OH・C6 4(OH)C
OO-、C1735CONH(CH23+(C252
2CH(OH)CH2OC49・NO3 -などが挙げられ
る。
【0014】上記4級アンモニウム塩は、以下のように
して合成することができる。まず、炭素数8〜24の長
鎖アルキルカルボン酸またはそのハロゲン化物と1級ア
ミノ基と2級または3級アミノ基とを有するジアミンと
を反応させる。この反応は、溶媒を用いずに行うことが
できる。ジアミンが2級アミノ基を有する場合には、こ
の2級アミノ基をアルキルハライドなどにより3級化す
る。この3級化手順が入るため、ジアミンは1級アミノ
基と3級アミノ基とを有するものを用いることが好まし
い。また、ここでジアミンがヒドロキシアルキル基を有
するものを用いることで、4級アンモニウム塩にヒドロ
キシアルキル基を導入することができる。
【0015】上記炭素数8〜24の長鎖アルキルカルボ
ン酸としては、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデ
カン酸、ステアリン酸などを挙げることができる。ま
た、1級アミノ基と2級または3級アミノ基とを有する
ジアミンとしては、N−(2−アミノエチル)エタノー
ルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3
−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジブチル
アミノ)プロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピ
ルアミンなどを挙げることができる。
【0016】こうして得られた長鎖アルキルアミド基と
3級アミノ基とを有する化合物に、酸化合物の水溶液を
加えて3級アミン塩を形成する。長鎖アルキルアミド基
と3級アミノ基とを有する化合物は一般的に水不溶性で
あるが、塩の形成により水溶化するため、反応の進行を
目視で確認することができる。
【0017】次いでここにエポキシ化合物を反応させて
4級化を行うことにより、ヒドロキシアルキル基の導入
を行う。エポキシ化合物としては、エチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイド、グリシドール、フェニルグ
リシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチル
グリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエ
ーテル、sec−ブチルフェノールグリシジルエーテ
ル、2−メチルオクチルグリシジルエーテルなどを用い
ることができる。
【0018】このようにして4級アンモニウム塩を含む
水溶液を得ることができる。なお、その濃度は任意に設
定できるが、例えば、20〜70重量%とすることがで
きる。
【0019】本発明のカチオン電着塗料組成物における
上記4級アンモニウム塩の量は、塗料樹脂固形分の0.
01〜10重量%である。0.01重量%未満だと本発
明の効果を得ることができず、10重量%を上回ると得
られる塗膜物性に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0020】次に、本発明のカチオン電着塗料組成物に
含まれるカチオン性基を有するエポキシ変性基体樹脂に
ついて説明する。このカチオン性基を有するエポキシ変
性基体樹脂は、出発原料であるエポキシ樹脂が有するエ
ポキシ環を1級アミン、2級アミン、3級アミン酸塩等
のアミン類およびスルフィドと酸との混合物との反応に
よって開環して製造される。なお、本明細書における
「カチオン性基」とは、そのもの自身がカチオンである
ものおよび酸を加えることによってカチオンとなるもの
を意味するものである。出発原料樹脂の典型例は、ビス
フェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、
フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の多環
式フェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成
物であるポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポ
キシ樹脂である。また他の出発原料樹脂の例として、特
開平5−306327号公報に記載されたオキサゾリド
ン環含有エポキシ樹脂を挙げることができる。このエポ
キシ樹脂は、ジイソシアネート化合物、またはジイソシ
アネート化合物のNCO基をメタノール、エタノール等
の低級アルコールでブロックして得られたビスウレタン
化合物と、エピクロルヒドリンとの反応によって得られ
るものである。
【0021】上記出発原料であるエポキシ樹脂は、アミ
ン類やスルフィドによるエポキシ環の開環反応の前に、
2官能のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオ
ール、ビスフェノール類、2塩基性カルボン酸等により
鎖延長して用いることができる。また同じくエポキシ環
の開環反応の前に、分子量またはアミン当量の調節、熱
フロー性の改良等を目的として、一部のエポキシ環に対
して2−エチルヘキサノール、ノニルフェノール、エチ
レングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プ
ロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル
のようなモノヒドロキシ化合物、および、ステアリン酸
やオクチル酸のようなモノカルボン酸を付加して用いる
こともできる。
【0022】エポキシ環を開環し、アミノ基を導入する
際に使用し得るアミン類の例としては、ブチルアミン、
オクチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メ
チルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエチルア
ミン酸塩、N,N−ジメチルエタノールアミン酸塩など
の1級、2級または3級アミン酸塩でを挙げることがで
きる。また、アミノエチルエタノールアミンメチルイソ
ブチルケチミンの様なケチミンブロック1級アミノ基含
有2級アミンも使用することができる。これらのアミン
類は、エポキシ環に対して80%以上反応させる必要が
ある。
【0023】これに対して、スルフィドの例として、ジ
エチルスルフィド、ジプロピルスルフィド、ジブチルス
ルフィド、ジヘキシルスルフィド、ジフェニルスルフィ
ド、エチルフェニルスルフィド、テトラメチレンスルフ
ィド、ペンタメチレンスルフィド、チオジエタノール、
チオジプロパノール、チオジブタノール、1−(2−ヒ
ドロキシエチルチオ)−2−プロパノール、1−(2−
ヒドロキシエチルチオ)−2−ブタノール、1−(2−
ヒドロキシエチルチオ)−3−ブトキシ−1−プロパノ
ールなどを挙げることができ、酸の例として、ぎ酸、酢
酸、乳酸、プロピオン酸、ほう酸、酪酸、ジメチロール
プロピオン酸、塩酸、硫酸、りん酸、N−アセチルグリ
シン、N−アセチル−β−アラニン、スルファミン酸な
どを挙げることができる。
【0024】上記カチオン性基を有するエポキシ変性基
体樹脂の数平均分子量は600〜4000の範囲が好ま
しい。数平均分子量が600未満の場合は、得られる塗
膜の耐溶剤性および耐食性等の物性が劣ることがある。
反対に4000を超える場合は、樹脂溶液の粘度制御が
難しく合成が困難なばかりか、得られた樹脂の乳化分散
等の操作上ハンドリングが困難となることがある。さら
に高粘度であるがゆえに加熱・硬化時のフロー性が悪く
塗膜外観を著しく損ねる場合がある。また、上記カチオ
ン性基を有するエポキシ変性基体樹脂のアミノ価または
スルホニウム価は30〜150、より好ましくは、45
〜120であることが好ましい。なお、アミノ価または
スルホニウム価が30未満の場合は、安定なエマルショ
ンを得にくく、150を越えると、クーロン効率や再溶
解性等の電着塗装作業性に問題が生じるおそれがある。
【0025】次に、本発明のカチオン電着塗料組成物に
含まれるブロックイソシアネート硬化剤について説明す
る。上記ブロックイソシアネート硬化剤は、2つ以上の
イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物
に、イソシアネート基に付加し、常温では安定であるが
解離温度以上に加熱すると遊離のイソシアネート基を再
生し得るブロック剤を反応させて得られるものであり、
カチオン電着塗料に用いられているものを使用すること
ができる。
【0026】上記ポリイソシアネート化合物としては、
トリメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチ
レンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート等のアルキレンジ
イソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロ
ヘキサン、シクロペンタンジイソシアネート、シクロヘ
キサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート
等のシクロアルキレン系ジイソシアネート、トリレンジ
イソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイ
ソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、キシリレン
ジイソシアネート、ジイソシアネートジエチルベンゼン
等の芳香脂肪族ジイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネート、トリイソシアネートベンゼン、ト
リイソシアネートトルエン等のトリイソシアネート、ジ
フェニルジメチルメタンテトライソシアネート等のテト
ライソシアネート、トリレンジイソシアネートの2量体
または3量体等の重合ポリイソシアネート、上記各種ポ
リイソシアネート化合物にエチレングリコール、プロピ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロー
ルプロパン、水添ビスフェノールA、ヘキサントリオー
ル、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヒマシ油、ト
リエタノールアミン等の低分子活性水素含有有機化合物
を反応させて得られる末端イソシアネート含有化合物等
が挙げられる。
【0027】一方、上記ブロック剤としては、フェノー
ル、クレゾール、キシレノール、クロロフェノールおよ
びエチルフェノールなどのフェノール系ブロック剤;ε
―カプロラクタム、δ―バレロラクタム、γ―ブチロラ
クタムおよびβ―プロピオラクタムなどのラクタム系ブ
ロック剤;アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトンな
どの活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エ
チレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、ベンジルアルコール、グリコール酸メチル、グリコ
ール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチルおよ
び乳酸エチルなどのアルコール系ブロック剤;ホルムア
ルドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチ
ルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、シク
ロヘキサンオキシムなどのオキシム系ブロック剤;ブチ
ルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメ
ルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、
エチルチオフェノールなどのメルカプタン系ブロック
剤;酢酸アミド、ベンズアミドなどの酸アミド系ブロッ
ク剤;コハク酸イミドおよびマレイン酸イミドなどのイ
ミド系ブロック剤;イミダゾール、2−エチルイミダゾ
ールなどのイミダゾール系ブロック剤;などを挙げるこ
とができる。なお、低温硬化性が必要であるときには、
フェノール系、ラクタム系、オキシム系ブロック剤より
選ばれた少なくとも1種のブロック剤を用いることが好
ましい。
【0028】上記カチオン性基を有するエポキシ変性基
体樹脂とブロックイソシアネート硬化剤との固形分重量
比率は、好ましくは50/50〜90/10、より好ま
しくは60/40〜80/20である。前記割合から外
れると、硬化性に問題を生じるおそれがある。
【0029】本発明のカチオン電着塗料組成物は、上記
成分を水分散するための中和酸をさらに含んでいる。こ
の中和酸としては、先にスルフィドと組み合わせて用い
られる酸と同じものを挙げることができる。この酸の量
は、上記カチオン性基を有するエポキシ変性基体樹脂中
のアミノ基またはスルフォニウム基の量によって異なる
ものであり、水分散できる量であればよい。
【0030】本発明のカチオン電着塗料組成物は、さら
に顔料および顔料分散樹脂を含んでいてもよい。上記顔
料は、通常用いられる顔料であれば特に制限はなく、例
えば、二酸化チタン、カーボンブラックおよびベンガラ
のような着色顔料、カオリン、タルク、ケイ酸アルミニ
ウム、炭酸カルシウム、マイカ、クレーおよびシリカの
ような体質顔料、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミ
ニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜
鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニウム、モリブデ
ン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カ
ルシウムおよびリンモリブデン酸アルミニウムのような
防錆顔料等が挙げられる。上記顔料分散樹脂としては、
一般にカチオン性またはノニオン性の低分子量界面活性
剤や4級アンモニウム基および/または3級スルホニウ
ム基を有する変性エポキシ樹脂等などが用いられる。
【0031】上記顔料分散用樹脂および顔料は、所定量
を混合した後、その混合物中の顔料の粒径が所定の均一
な粒径となるまで、ボールミルやサンドグラインドミル
などの通常の分散装置を用いて分散させることにより、
顔料分散ペーストを得る。この顔料分散ペーストは、カ
チオン電着塗料組成物中の顔料が固形分として0〜50
重量%になる量を用いることができる。
【0032】さらに、本発明のカチオン電着塗料組成物
はこの他に、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、
硬化促進剤などの慣用の塗料用添加剤を含んでいてもよ
い。
【0033】本発明のカチオン電着塗料組成物は、上述
のカチオン性基を有するエポキシ変性基体樹脂、ブロッ
クイソシアネート硬化剤および上記4級アンモニウム
塩、ならびに必要に応じて顔料分散ペーストおよび塗料
用添加剤を混合して得ることができる。上記4級アンモ
ニウム塩は水溶性であるので、以下のような手順で行う
ことが好ましい。まず、エポキシ樹脂とブロックイソシ
アネート硬化剤とを混合し、中和酸を加える。ここに4
級アンモニウム塩を加えた後、これを水単独かまたは水
と親水性有機溶剤との混合物である水性媒体に分散さ
せ、必要に応じて、顔料分散ペーストを混合することに
より、本発明のカチオン電着塗料組成物を得ることがで
きる。なお、添加剤は任意の段階で系に加えることがで
きる。
【0034】本発明のカチオン電着塗料組成物は、基材
に対しカチオン電着塗装される。カチオン電着塗装はそ
れ自体既知の方法に従うものであって、一般には、脱イ
オン水で希釈することにより、固形分濃度を5〜40重
量%、好ましくは、15〜25重量%となるように設定
し、さらに、pHを5.5〜8.5の範囲内に調整した
上記カチオン電着塗料組成物からなる電着浴を通常、浴
温20℃〜35℃に調整し、負荷電圧100〜450V
の条件で行うことができる。
【0035】電着塗装の膜厚は、乾燥膜厚で、5〜40
μm、好ましくは、10〜30μmの範囲内が適当であ
り、この膜厚になるように上記電着塗装条件を設定する
ことが好ましい。また、塗膜の焼き付けは、一般に10
0〜220℃、好ましくは、140〜200℃で10〜
30分間の時間の範囲で行うことが適している。
【0036】このように形成された本発明のカチオン電
着塗膜は、その上に、必要に応じて中塗り塗膜を形成し
た後、上塗り塗膜を形成することができる。なお、上記
中塗り塗膜および上塗り塗膜の形成は、自動車等の外板
塗装に用いられる塗料および塗装条件を適用することが
できる。
【0037】
【実施例】以下の製造例および実施例において、「部」
および「%」は特記しない限り重量基準による。
【0038】製造例1 カチオン性基を有するエポキシ
変性基体樹脂の製造 撹拌機、冷却管、窒素導入管、温度計および滴下漏斗を
装備したフラスコに、2,4−/2,6−トリレンジイソ
シアネート(重量比=8/2)92部、メチルイソブチ
ルケトン(以下、MIBKと略す)95部およびジブチ
ル錫ジラウレート0.5部を仕込んだ。反応混合物を撹
拌下、メタノール21部を滴下した。反応は、室温から
始め、発熱により60℃まで昇温した。その後、30分
間反応を継続した後、エチレングリコールモノ−2−エ
チルヘキシルエーテル57部を滴下漏斗より滴下した。
更に、反応混合物に、ビスフェノールA−プロピレンオ
キシド5モル付加体42部を添加した。反応は主に、6
0〜65℃の範囲で行い、IRスペクトルの測定におい
て、イソシアネート基に基づく吸収が消失するまで継続
した。
【0039】次に、ビスフェノールAとエピクロルヒド
リンから既知の方法で合成したエポキシ当量188のエ
ポキシ樹脂365部を反応混合物に加えて、125℃ま
で昇温した。その後、ベンジルジメチルアミン1.0部
を添加し、エポキシ当量410部になるまで130℃で
反応させた。
【0040】続いて、ビスフェノールA87部を加えて
120℃で反応させたところ、エポキシ当量は1190
となった。その後、反応混合物を冷却し、ジエタノール
アミン11部、N−エチルエタノールアミン24部およ
びアミノエチルエタノールアミンのケチミン化物の79
重量%MIBK溶液25部を加え、110℃で2時間反
応させた。その後、MIBKで不揮発分80%となるま
で希釈し、ガラス転移温度が22℃のカチオン性基を有
するエポキシ変性基体樹脂(樹脂固形分80%)を得
た。
【0041】製造例2 ブロックイソシアネート硬化剤の製造 ジフェニルメタンジイソシアナート1250部およびM
IBK266.4部を反応容器に仕込み、これを80℃
まで加熱した後、ジブチル錫ジラウレート2.5部を加
えた。ここに、ε−カプロラクタム226部をブチルセ
ロソルブ944部に溶解させたものを80℃で2時間か
けて滴下した。さらに100℃で4時間加熱した後、I
Rスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づ
く吸収が消失したことを確認し、放冷後、MIBK33
6.1部を加えてブロックイソシアネート硬化剤を得
た。
【0042】製造例3 顔料分散樹脂の製造 まず、撹拌装置、冷却管、窒素導入管および温度計を装
備した反応容器に、イソホロンジイソシアネート(以
下、IPDIと略す)222.0部を入れ、MIBK3
9.1部で希釈した後、ここへジブチル錫ジラウレート
0.2部を加えた。その後、これを50℃に昇温した
後、2−エチルヘキサノール131.5部を撹拌下、乾
燥窒素雰囲気中で2時間かけて滴下した。適宜、冷却す
ることにより、反応温度を50℃に維持した。その結
果、2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDI
(樹脂固形分90.0%)が得られた。
【0043】次いで、適当な反応容器に、ジメチルエタ
ノールアミン87.2部、75%乳酸水溶液117.6
部およびエチレングリコールモノブチルエーテル39.
2部を順に加え、65℃で約半時間撹拌して、4級化剤
を調製した。
【0044】次に、エポン(EPON)829(シェル
・ケミカル・カンパニー社製ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、エポキシ当量193〜203)710.0部と
ビスフェノールA289.6部とを適当な反応容器に仕
込み、窒素雰囲気下、150〜160℃に加熱したとこ
ろ、初期発熱反応が生じた。反応混合物を150〜16
0℃で約1時間反応させ、次いで、120℃に冷却した
後、先に調製した2−エチルヘキサノールハーフブロッ
ク化IPDI(MIBK溶液)498.8部を加えた。
【0045】反応混合物を110〜120℃に約1時間
保ち、次いで、エチレングリコールモノブチルエーテル
1390.2部を加え、混合物を85〜95℃に冷却
し、均一化した後、先に調製した4級化剤196.7部
を添加した。酸価が1となるまで反応混合物を85〜9
5℃に保持した後、脱イオン水37.0部を加えて、エ
ポキシ−ビスフェノールA樹脂において4級化を終了さ
せ、4級アンモニウム塩部分を有する顔料分散用樹脂を
得た(樹脂固形分50%)。
【0046】製造例4 顔料分散ペーストの製造 サンドグラインドミルに製造例3で得た顔料分散用樹脂
を120部、カーボンブラック2.0部、カオリン10
0.0部、二酸化チタン80.0部、リンモリブデン酸
アルミニウム18.0部およびイオン交換水を入れ、粒
度10μm以下になるまで分散して、顔料分散ペースト
を得た(固形分48%)。
【0047】実施例1 カチオン電着塗料組成物の製造 製造例1で得られたカチオン性基を有するエポキシ変性
基体樹脂と製造例2で得られたブロックイソシアネート
硬化剤とを固形分比で70/30で均一になるよう混合
した。これに中和率が45%になるよう氷酢酸を添加し
た後、固形分に対して1.5重量%相当量の4級アンモ
ニウム塩C919CONH(CH23+(C492
2CH2OH・Cl-(1)を加え、さらにイオン交換
水をゆっくりと加えて希釈した。減圧下でMIBKを除
去することにより、固形分が36%のエマルションを得
た。
【0048】このエマルション1697部および製造例
4で得られた顔料分散ペースト393.9部と、イオン
交換水1899.3部およびジブチル錫オキサイド9.
8部とを混合して、固形分20重量%のカチオン電着塗
料組成物を得た。このカチオン電着塗料組成物における
顔料と樹脂固形分との比率は1/4.5であった。
【0049】実施例2および3 カチオン電着塗料組成
物の製造 実施例1において、4級アンモニウム塩(1)を下記の
式で表されるC1735CONH(CH23+(CH3
2CH2CH(OH)CH2OH・C64(OH)COO-
(2)およびC1735CONH(CH23+(C
252CH2CH(OH)CH2OC49・NO
3 -(3)にそれぞれ変更した以外は同様にしてカチオン
電着塗料組成物を得た。
【0050】比較例1 実施例1において、4級アンモニウム塩(1)を用いな
かったこと以外は同様にして、カチオン電着塗料組成物
を得た。
【0051】比較例2 実施例1において、4級アンモニウム塩(1)をテトラ
アンモニウムブロマイドにそれぞれ変更した以外は同様
にしてカチオン電着塗料組成物を得た。
【0052】上記実施例1〜4ならびに比較例1および
2で得られたカチオン電着塗料組成物について、下記の
項目の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0053】<塗層電圧と膜厚との関係>リン酸亜鉛処
理板に、150V、200Vおよび250Vで3分間電
着を行った。得られた析出塗膜を170℃で20分間焼
き付けて硬化膜を得、その膜厚を測定した。
【0054】<一定膜厚に必要な塗装電圧>170℃で
20分間焼き付けたときの硬化膜厚が20μmになるよ
うに塗装電圧を設定した。
【0055】<耐食性>先に設定した塗装電圧で電着お
よび焼き付けを行って得られた20μmの膜厚を有する
硬化塗膜にカッターナイフでカットを入れ、55℃の5
%の塩水に10日間浸積した後の錆幅を測定した。
【0056】
【表1】
【0057】本発明の4級アンモニウム塩を含むカチオ
ン電着塗料組成物は、4級アンモニウム塩を含まないカ
チオン電着塗料組成物に比べて、十分な膜厚を得ること
ができる。また、長鎖アルキルアミド基を持たない4級
アンモニウム塩を含んだものでは、膜厚の増加させるこ
とができなかったばかりでなく、かえって耐食性の低下
が確認された。これに比べて、本発明のカチオン電着塗
料組成物では、耐食性の低下はほとんど認められなかっ
た。
【0058】
【発明の効果】本発明のカチオン電着塗料組成物は、炭
素数8〜24の長鎖アルキルアミド基を有する4級アン
モニウム塩を含有している。この4級アンモニウム塩は
長鎖アルキルアミド基を有していることから、カチオン
電着塗料組成物において水性媒体に溶出せず、電着され
た膜中に存在し、導電性を高めているものと考えられ
る。また、上記4級アンモニウム塩はヒドロキシアルキ
ル基を有することで、電着後の加熱時に硬化反応に関与
して、塗膜内に固定化することができ、塗膜物性の低下
を防ぐことができる。
【0059】カチオン電着塗料組成物にこのような性質
を有する4級アンモニウム塩を含有させることで、造膜
時の導電性が高まり、可塑剤として有機溶剤を用いなく
ても防食性を発現する膜厚を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仲野 伸司 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 山田 光夫 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 Fターム(参考) 4J038 DB061 DB071 DB081 DB151 GA09 JB11 NA24 NA27 PA04 PB07 PC02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素数8〜24の長鎖アルキルアミド基を
    有する4級アンモニウム塩を、塗料樹脂固形分の0.0
    1〜10重量%含有するカチオン電着塗料組成物。
  2. 【請求項2】前記4級アンモニウム塩が、さらにヒドロ
    キシアルキル基を有している請求項1記載のカチオン電
    着塗料組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017508054A (ja) * 2013-12-20 2017-03-23 ビーエイエスエフ・コーティングス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングBASF Coatings GmbH 顔料および/またはフィラー含有製剤
JP2017511834A (ja) * 2013-12-20 2017-04-27 ビーエイエスエフ・コーティングス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングBASF Coatings GmbH 顔料およびフィラー含有製剤の製造方法

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JP2017508054A (ja) * 2013-12-20 2017-03-23 ビーエイエスエフ・コーティングス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングBASF Coatings GmbH 顔料および/またはフィラー含有製剤
JP2017511834A (ja) * 2013-12-20 2017-04-27 ビーエイエスエフ・コーティングス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングBASF Coatings GmbH 顔料およびフィラー含有製剤の製造方法

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