JP2001322953A - 有機硫黄化合物の除去方法 - Google Patents
有機硫黄化合物の除去方法Info
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- JP2001322953A JP2001322953A JP2000140390A JP2000140390A JP2001322953A JP 2001322953 A JP2001322953 A JP 2001322953A JP 2000140390 A JP2000140390 A JP 2000140390A JP 2000140390 A JP2000140390 A JP 2000140390A JP 2001322953 A JP2001322953 A JP 2001322953A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 有機硫黄化合物を不純物として含有する有機
化合物から、有機硫黄化合物を簡単な操作で、且つ高い
脱硫効率をもって除去する。 【解決手段】 有機硫黄化合物を不純物として含有する
有機化合物に酢酸/過酸化水素混合物を添加して該硫黄
化合物を酸化し、次いで、該酢酸/過酸化水素混合物を
分離除去する。
化合物から、有機硫黄化合物を簡単な操作で、且つ高い
脱硫効率をもって除去する。 【解決手段】 有機硫黄化合物を不純物として含有する
有機化合物に酢酸/過酸化水素混合物を添加して該硫黄
化合物を酸化し、次いで、該酢酸/過酸化水素混合物を
分離除去する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機化合物中に含
有される有機硫黄化合物の除去方法に関し、特に、ジシ
クロペンタジエン類から不純物としての有機硫黄化合物
を除去する酸化脱硫方法に関する。
有される有機硫黄化合物の除去方法に関し、特に、ジシ
クロペンタジエン類から不純物としての有機硫黄化合物
を除去する酸化脱硫方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ナフサを熱分解して、エチレンを生産す
るときの副生物から、C4留分であるブタジエンを分離
し、さらにC5留分であるイソプレンを除去して、これ
らから各種樹脂および各種ゴムが得られている。C5留
分中には、約30種類の化学品が含まれており、これら
の化学品を有効に利用することが求められている。これ
らのうち、ピペリレンやアミレンなどは、石油樹脂など
に利用されている。また、ジシクロペンタジエンは、シ
クロペンタジエンに分解して石油樹脂原料として用いら
れるほか、部分的に水素添加してシクロペンテンとし
て、合成香料、医農薬中間体、工業薬品などの合成原料
として用いられる。
るときの副生物から、C4留分であるブタジエンを分離
し、さらにC5留分であるイソプレンを除去して、これ
らから各種樹脂および各種ゴムが得られている。C5留
分中には、約30種類の化学品が含まれており、これら
の化学品を有効に利用することが求められている。これ
らのうち、ピペリレンやアミレンなどは、石油樹脂など
に利用されている。また、ジシクロペンタジエンは、シ
クロペンタジエンに分解して石油樹脂原料として用いら
れるほか、部分的に水素添加してシクロペンテンとし
て、合成香料、医農薬中間体、工業薬品などの合成原料
として用いられる。
【0003】シクロペンタジエンの水素添加は、各種の
方法により行われるが、その一つに気相での水素添加が
ある。本出願人は、この気相水素添加の工業化のために
種々検討を行っているが、その過程で水素添加触媒が失
活する問題に遭遇した。その原因について鋭意研究を進
め、失活が原料ジシクロペンタジエン中の硫黄分に起因
することを突き止め、長時間連続運転中の失活を防ぐた
めには、硫黄分量は、1ppm以下、好ましくは50p
pb以下に低減することが有効なことを確認した。
方法により行われるが、その一つに気相での水素添加が
ある。本出願人は、この気相水素添加の工業化のために
種々検討を行っているが、その過程で水素添加触媒が失
活する問題に遭遇した。その原因について鋭意研究を進
め、失活が原料ジシクロペンタジエン中の硫黄分に起因
することを突き止め、長時間連続運転中の失活を防ぐた
めには、硫黄分量は、1ppm以下、好ましくは50p
pb以下に低減することが有効なことを確認した。
【0004】特開平5−286869号公報には、液状
油中に含有される有機硫黄化合物を酸化剤で処理した
後、これを蒸留、溶剤抽出および/または吸着などの手
段により分離して、酸化された有機硫黄化合物を上記液
状油から取り出すことによって、有機硫黄化合物を回収
する方法が開示されている。具体的には、酸素ガス、オ
ゾンガスを初めとする種々の酸化剤を液状油に添加して
反応させ、反応後、酸化反応生成物を含む油分に水を加
えて洗浄後、乾燥し、生成した有機硫黄酸化物を鉱物油
から回収する方法が記載されている。さらに、同公報に
は、別法として、液状油を酸化剤で処理した後、液状油
を、0〜50%の水を含有するアセトニトリルなどの有
機溶剤を抽出溶媒とした抽出操作に付して生成した有機
硫黄化合物を液状物から回収する方法が記載されてい
る。これらの方法は、液状油から硫黄を回収する方法に
関するものであるが、これらの方法によって処理された
液状油中の残留硫黄分の量は、同公報の実施例によれ
ば、0.03〜0.44%、つまり、300〜4,400
ppmである。
油中に含有される有機硫黄化合物を酸化剤で処理した
後、これを蒸留、溶剤抽出および/または吸着などの手
段により分離して、酸化された有機硫黄化合物を上記液
状油から取り出すことによって、有機硫黄化合物を回収
する方法が開示されている。具体的には、酸素ガス、オ
ゾンガスを初めとする種々の酸化剤を液状油に添加して
反応させ、反応後、酸化反応生成物を含む油分に水を加
えて洗浄後、乾燥し、生成した有機硫黄酸化物を鉱物油
から回収する方法が記載されている。さらに、同公報に
は、別法として、液状油を酸化剤で処理した後、液状油
を、0〜50%の水を含有するアセトニトリルなどの有
機溶剤を抽出溶媒とした抽出操作に付して生成した有機
硫黄化合物を液状物から回収する方法が記載されてい
る。これらの方法は、液状油から硫黄を回収する方法に
関するものであるが、これらの方法によって処理された
液状油中の残留硫黄分の量は、同公報の実施例によれ
ば、0.03〜0.44%、つまり、300〜4,400
ppmである。
【0005】特開平11−140462号公報には、チ
オフェン類で代表される有機硫黄化合物を含有する液体
中に過蟻酸、過酢酸などの有機過酸化物または有機次亜
塩素酸化合物もしくは有機次亜臭素酸化合物を添加して
白金/アルミナなどの固体触媒によって触媒酸化反応を
行わせることによって、チオフェン中の硫黄原子をスル
ホキシドまたはスルホンに変化させ、これらの化合物を
濾過、吸着などの物理的手段により分離する方法が開示
されている。同公報明細書の実施例によれば、152p
pmのジベンゾチオフェンを含有するデカリンを上記方
法で処理することにより、デカリン中の残留ジベンゾチ
オフェン量は約20%(約30ppm)にまで低減され
るに過ぎない。また、上記方法において、酸化剤として
有機次亜塩素酸化合物または有機次亜臭素酸化合物を使
用した場合には、発生するハロゲンによる装置の腐食の
問題が生じる。
オフェン類で代表される有機硫黄化合物を含有する液体
中に過蟻酸、過酢酸などの有機過酸化物または有機次亜
塩素酸化合物もしくは有機次亜臭素酸化合物を添加して
白金/アルミナなどの固体触媒によって触媒酸化反応を
行わせることによって、チオフェン中の硫黄原子をスル
ホキシドまたはスルホンに変化させ、これらの化合物を
濾過、吸着などの物理的手段により分離する方法が開示
されている。同公報明細書の実施例によれば、152p
pmのジベンゾチオフェンを含有するデカリンを上記方
法で処理することにより、デカリン中の残留ジベンゾチ
オフェン量は約20%(約30ppm)にまで低減され
るに過ぎない。また、上記方法において、酸化剤として
有機次亜塩素酸化合物または有機次亜臭素酸化合物を使
用した場合には、発生するハロゲンによる装置の腐食の
問題が生じる。
【0006】特開平4−72387号公報には、燃料油
をオゾンなどの酸化剤で処理して、燃料油に含有されて
いる有機硫黄分の沸点および融点を上昇させて、これら
有機硫黄分を分離除去する方法が開示されている。同公
報明細書の実施例で具体的に用いられている酸化剤は、
オゾン、過酸化水素水/蟻酸、過酸化水素水/トリフル
オロ酢酸、過酢酸/酢酸、酸素ガスであり、これらの実
施例によれば、精製油中の全硫黄分は0.01〜0.04
重量%、つまり、100〜400ppmに低減されてい
る。
をオゾンなどの酸化剤で処理して、燃料油に含有されて
いる有機硫黄分の沸点および融点を上昇させて、これら
有機硫黄分を分離除去する方法が開示されている。同公
報明細書の実施例で具体的に用いられている酸化剤は、
オゾン、過酸化水素水/蟻酸、過酸化水素水/トリフル
オロ酢酸、過酢酸/酢酸、酸素ガスであり、これらの実
施例によれば、精製油中の全硫黄分は0.01〜0.04
重量%、つまり、100〜400ppmに低減されてい
る。
【0007】本発明者らは、この方法をジシクロペンタ
ジエンに適用してみたが、過酢酸/酢酸系では、ジシク
ロペンタジエンのエポキシ化が進行する問題があること
が分かった。なお、同公報明細書には、酸化後にアルカ
リ(亜硫酸ソーダ)溶液で、次いで蒸留水で洗浄し、精
密蒸留した後、さらに吸着剤で処理する実施例が記載さ
れているが、このような煩雑な操作によっても、全硫黄
分は、せいぜい0.003%(30ppm)にまでしか
低減されていない。
ジエンに適用してみたが、過酢酸/酢酸系では、ジシク
ロペンタジエンのエポキシ化が進行する問題があること
が分かった。なお、同公報明細書には、酸化後にアルカ
リ(亜硫酸ソーダ)溶液で、次いで蒸留水で洗浄し、精
密蒸留した後、さらに吸着剤で処理する実施例が記載さ
れているが、このような煩雑な操作によっても、全硫黄
分は、せいぜい0.003%(30ppm)にまでしか
低減されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、エポキ
シ化などの副反応を起こすことがなく、簡単な操作でジ
シクロペンタジエン中の硫黄分を極微量にまで低減し得
る方法について、鋭意研究した結果、ジシクロペンタジ
エン中の硫黄分を特定の方法により酸化したのち、生成
した有機硫黄酸化物をジシクロペンタジエンから除去す
ることによって、含有硫黄分の量を実質的にゼロとし得
ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成する
に至った。
シ化などの副反応を起こすことがなく、簡単な操作でジ
シクロペンタジエン中の硫黄分を極微量にまで低減し得
る方法について、鋭意研究した結果、ジシクロペンタジ
エン中の硫黄分を特定の方法により酸化したのち、生成
した有機硫黄酸化物をジシクロペンタジエンから除去す
ることによって、含有硫黄分の量を実質的にゼロとし得
ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成する
に至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、有機硫黄化合物を不純物として含有する有機化合物
に酢酸/過酸化水素混合物を添加して該硫黄化合物を酸
化し、次いで、該酢酸/過酸化水素混合物を分離除去す
ることを特徴とする、有機化合物中の有機硫黄化合物の
除去方法が提供される。
ば、有機硫黄化合物を不純物として含有する有機化合物
に酢酸/過酸化水素混合物を添加して該硫黄化合物を酸
化し、次いで、該酢酸/過酸化水素混合物を分離除去す
ることを特徴とする、有機化合物中の有機硫黄化合物の
除去方法が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の方法において脱硫処理の
対象である、有機硫黄化合物を不純物として含有する有
機化合物は、特に限定されるものではなく、固体および
液体の有機化合物が含まれる。中でも、炭化水素を主成
分とする液状物は好適な被脱硫処理対象物であって、そ
の例としては、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油、重油お
よびそれらの各種留分などが挙げられる。特にジシクロ
ペンタジエンは最も好適な対象物である。
対象である、有機硫黄化合物を不純物として含有する有
機化合物は、特に限定されるものではなく、固体および
液体の有機化合物が含まれる。中でも、炭化水素を主成
分とする液状物は好適な被脱硫処理対象物であって、そ
の例としては、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油、重油お
よびそれらの各種留分などが挙げられる。特にジシクロ
ペンタジエンは最も好適な対象物である。
【0011】有機化合物中に含まれる不純物としての有
機硫黄化合物(以下、「有機硫黄不純物」という)は、
特に限定されないが、具体例としては、ジメチルスルフ
ィドなどのスルフィド類、メチルメルカプタンなどのチ
オール類、ジメチルジスルフィドなどのジスルフィド類
およびベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェンなどのチ
オフェン類が挙げられる。
機硫黄化合物(以下、「有機硫黄不純物」という)は、
特に限定されないが、具体例としては、ジメチルスルフ
ィドなどのスルフィド類、メチルメルカプタンなどのチ
オール類、ジメチルジスルフィドなどのジスルフィド類
およびベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェンなどのチ
オフェン類が挙げられる。
【0012】本発明の方法は、有機硫黄不純物を酸化す
るための酸化剤として過酸化水素と酢酸との混合物を用
いることを特徴としている。特開平11−140462
号公報に記載されているように、過酸化水素と蟻酸を用
いた場合には、有機硫黄不純物の酸化後、生成した酸化
物が蟻酸/過酸化水素混合物層に移行しない(油層に留
まる)ので、油層から有機硫黄酸化物を除去することが
できない。また、特開平4−72387号公報に記載さ
れているように過酢酸を使用すると、二重結合のエポキ
シ化が起こるので避けなければならない。
るための酸化剤として過酸化水素と酢酸との混合物を用
いることを特徴としている。特開平11−140462
号公報に記載されているように、過酸化水素と蟻酸を用
いた場合には、有機硫黄不純物の酸化後、生成した酸化
物が蟻酸/過酸化水素混合物層に移行しない(油層に留
まる)ので、油層から有機硫黄酸化物を除去することが
できない。また、特開平4−72387号公報に記載さ
れているように過酢酸を使用すると、二重結合のエポキ
シ化が起こるので避けなければならない。
【0013】所望の脱硫効果が得られる限り、過酸化水
素と酢酸に加えて、その他の酸化剤を併用することがで
きる。併用される酸化剤としては、例えば、有機過酸化
物、有機次亜塩素酸化合物および有機次亜臭素酸化合物
が挙げられる。これらの酸化剤は、2種以上を併用して
もよい。有機過酸化物の具体例としては、過蟻酸、過酢
酸、トリフロロ過酢酸などのカルボン酸の過酸化物が挙
げられ、有機次亜塩素酸化合物の具体例としては次亜塩
素酸−t−ブチルが挙げられる。これらの併用してもよ
い酸化剤の使用量は、通常、酸化剤合計量に基づき約5
0重量%以下である。
素と酢酸に加えて、その他の酸化剤を併用することがで
きる。併用される酸化剤としては、例えば、有機過酸化
物、有機次亜塩素酸化合物および有機次亜臭素酸化合物
が挙げられる。これらの酸化剤は、2種以上を併用して
もよい。有機過酸化物の具体例としては、過蟻酸、過酢
酸、トリフロロ過酢酸などのカルボン酸の過酸化物が挙
げられ、有機次亜塩素酸化合物の具体例としては次亜塩
素酸−t−ブチルが挙げられる。これらの併用してもよ
い酸化剤の使用量は、通常、酸化剤合計量に基づき約5
0重量%以下である。
【0014】過酸化水素(純分)と酢酸との混合比率は
1:0.2〜1:25(モル比)であることが望まし
い。酢酸を用いない場合または過少量用いた場合には酸
化反応が起こらないか、または酸化反応が遅く長時間処
理しなければならない。過酸化水素の使用量は、有機化
合物中に含有される有機硫黄不純物の全てをスルホキシ
ドに酸化するに必要な量以上であればよい。一般に、過
酸化水素の量は、有機化合物の主要成分である炭化水素
に基づき0.3〜10モル%の範囲で適宜選択して用い
られる。過酸化水素の使用量が過少であると有機硫黄不
純物が十分に酸化されない。過酸化水素の使用量が過多
であると、有機硫黄不純物のみならず、有機化合物中の
主要成分(例えば、ジシクロペンタジエン)や溶剤を酸
化することがあるので好ましくない。
1:0.2〜1:25(モル比)であることが望まし
い。酢酸を用いない場合または過少量用いた場合には酸
化反応が起こらないか、または酸化反応が遅く長時間処
理しなければならない。過酸化水素の使用量は、有機化
合物中に含有される有機硫黄不純物の全てをスルホキシ
ドに酸化するに必要な量以上であればよい。一般に、過
酸化水素の量は、有機化合物の主要成分である炭化水素
に基づき0.3〜10モル%の範囲で適宜選択して用い
られる。過酸化水素の使用量が過少であると有機硫黄不
純物が十分に酸化されない。過酸化水素の使用量が過多
であると、有機硫黄不純物のみならず、有機化合物中の
主要成分(例えば、ジシクロペンタジエン)や溶剤を酸
化することがあるので好ましくない。
【0015】有機硫黄不純物を含有する有機化合物が固
体である場合には、これを有機溶剤に溶解して脱硫処理
することが望ましい。有機溶剤としては、過酸化水素/
酢酸混合物に不活性であって、水と混和しないものであ
れば特に限定されないが、その具体例としては、n−ペ
ンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサ
ン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、ト
ルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタ
ン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、ジエチル
エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエー
テルが挙げられる。
体である場合には、これを有機溶剤に溶解して脱硫処理
することが望ましい。有機溶剤としては、過酸化水素/
酢酸混合物に不活性であって、水と混和しないものであ
れば特に限定されないが、その具体例としては、n−ペ
ンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサ
ン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、ト
ルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタ
ン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、ジエチル
エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエー
テルが挙げられる。
【0016】有機硫黄不純物の酸化によりスルホキシド
および/またはスルホンなどが生成する。スルホキシド
および/またはスルホンなどを分離・除去するに際し、
未反応過酸化水素が有機化合物またはこれを溶解した有
機溶剤中に残存する場合には、有機層と水層とを分離し
た後、有機層を過酸化水素の分解温度以上に加熱するこ
とにより、容易に過酸化水素を除去することができる。
酸化反応時間を短縮するためには、触媒を使用すること
も可能である。触媒としては、例えば、ブレンステッド
酸性またはルイス酸性の固体酸触媒、遷移金属酸化物触
媒および固体塩基触媒が挙げられる。好ましい触媒の具
体例としては、白金、モリブデン、チタンまたはマンガ
ンをアルミナに担持せしめた触媒が挙げられる。
および/またはスルホンなどが生成する。スルホキシド
および/またはスルホンなどを分離・除去するに際し、
未反応過酸化水素が有機化合物またはこれを溶解した有
機溶剤中に残存する場合には、有機層と水層とを分離し
た後、有機層を過酸化水素の分解温度以上に加熱するこ
とにより、容易に過酸化水素を除去することができる。
酸化反応時間を短縮するためには、触媒を使用すること
も可能である。触媒としては、例えば、ブレンステッド
酸性またはルイス酸性の固体酸触媒、遷移金属酸化物触
媒および固体塩基触媒が挙げられる。好ましい触媒の具
体例としては、白金、モリブデン、チタンまたはマンガ
ンをアルミナに担持せしめた触媒が挙げられる。
【0017】有機硫黄不純物の酸化反応は、有機硫黄不
純物を含有する有機液体または有機硫黄不純物を含有す
る有機固体化合物の有機溶剤溶液に過酸化水素および酢
酸を加え、混合物を常温〜約60℃にて攪拌することに
よって行うことができる。反応時間は通常、0.5〜1
0時間である。反応後、反応混合物を静置すると、酸化
された有機硫黄不純物は過酸化水素/酢酸混合物層に移
行するので、この層を分離することによって、有機硫黄
不純物を含まない有機液体が得られる。所望ならば、有
機層を、アルカリ水溶液、水などで洗浄することができ
る。所望により、酸化された有機硫黄不純物および酢酸
は水層から回収することができる。
純物を含有する有機液体または有機硫黄不純物を含有す
る有機固体化合物の有機溶剤溶液に過酸化水素および酢
酸を加え、混合物を常温〜約60℃にて攪拌することに
よって行うことができる。反応時間は通常、0.5〜1
0時間である。反応後、反応混合物を静置すると、酸化
された有機硫黄不純物は過酸化水素/酢酸混合物層に移
行するので、この層を分離することによって、有機硫黄
不純物を含まない有機液体が得られる。所望ならば、有
機層を、アルカリ水溶液、水などで洗浄することができ
る。所望により、酸化された有機硫黄不純物および酢酸
は水層から回収することができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明に従って、有機硫黄不純物を含
有する有機化合物から有機硫黄不純物を除去する方法の
具体例を説明する。実施例において、硫黄分含有量は、
硫黄化学発光検出器(SCD)を具えたガスクロマトグ
ラフィー(GC)で測定した。このGC分析には、ジー
エルサイエンス社製のTC−1カラム(長さ60m、内
径0.25mm、膜厚1.0μm)を用いた。キャリア
ーガスとしてヘリウムを2.0ml/分の流量で流し
た。試料注入口温度は150℃とした。オーブン温度は
50℃で5分間保持後、10℃/分の昇温速度で昇温
し、250℃に到達後5分間保持した。SCD検出器の
燃焼温度は800℃に設定した。
有する有機化合物から有機硫黄不純物を除去する方法の
具体例を説明する。実施例において、硫黄分含有量は、
硫黄化学発光検出器(SCD)を具えたガスクロマトグ
ラフィー(GC)で測定した。このGC分析には、ジー
エルサイエンス社製のTC−1カラム(長さ60m、内
径0.25mm、膜厚1.0μm)を用いた。キャリア
ーガスとしてヘリウムを2.0ml/分の流量で流し
た。試料注入口温度は150℃とした。オーブン温度は
50℃で5分間保持後、10℃/分の昇温速度で昇温
し、250℃に到達後5分間保持した。SCD検出器の
燃焼温度は800℃に設定した。
【0019】実施例1 攪拌機を装備した5リットルの三ツ口フラスコに窒素シ
ールラインを取り付け、フラスコ内を窒素ガスで置換し
た。このフラスコにジシクロペンタジエン(二硫化炭素
換算で約10ppmの硫黄成分を含む)20g(151
mmol)、30%過酸化水素水1g(8.824mm
ol)および酢酸1g(16.67mmol)を仕込
み、25℃で1時間攪拌した。反応液の有機層および過
酸化水素/酢酸混合物層(水層)をSCD分析したとこ
ろ、有機層には硫黄成分が観測されなかった。また、水
層側には酸化された硫黄成分が抽出されていた。1時間
の酸化反応の後0.5時間静置して、過酸化水素/酢酸
混合物層(水層)を分離除去し、さらに有機層20g
を、5%炭酸水素ナトリウム水溶液20mlで洗浄し
た。
ールラインを取り付け、フラスコ内を窒素ガスで置換し
た。このフラスコにジシクロペンタジエン(二硫化炭素
換算で約10ppmの硫黄成分を含む)20g(151
mmol)、30%過酸化水素水1g(8.824mm
ol)および酢酸1g(16.67mmol)を仕込
み、25℃で1時間攪拌した。反応液の有機層および過
酸化水素/酢酸混合物層(水層)をSCD分析したとこ
ろ、有機層には硫黄成分が観測されなかった。また、水
層側には酸化された硫黄成分が抽出されていた。1時間
の酸化反応の後0.5時間静置して、過酸化水素/酢酸
混合物層(水層)を分離除去し、さらに有機層20g
を、5%炭酸水素ナトリウム水溶液20mlで洗浄し
た。
【0020】実施例2〜4 反応成分の量と酸化反応所要時間との関係を調べるた
め、ジシクロペンタジエン20g(151mmol)に
対する30%過酸化水素水および酢酸の添加量を表1に
示すように変え、かつ水を添加した他は実施例1と同じ
条件下に反応せしめた。反応の結果は表1に示すとおり
であった。
め、ジシクロペンタジエン20g(151mmol)に
対する30%過酸化水素水および酢酸の添加量を表1に
示すように変え、かつ水を添加した他は実施例1と同じ
条件下に反応せしめた。反応の結果は表1に示すとおり
であった。
【0021】比較例1、2 比較例1では、酢酸を蟻酸に代えた他は実施例1と同様
に反応を行った。比較例2では、過酸化水素を用いず、
水1gを加えた他は実施例1と同様に反応を行った。反
応の結果は表1に示すとおりであった。
に反応を行った。比較例2では、過酸化水素を用いず、
水1gを加えた他は実施例1と同様に反応を行った。反
応の結果は表1に示すとおりであった。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】本発明の方法によれば、簡単な操作で炭
化水素油中の有機硫黄不純物をほぼ完全に除去すること
ができる。また、酸化剤として過酢酸を用いてジシクロ
ペンタジエンの脱硫を行った場合のようにエポキシ化が
起こることもない。
化水素油中の有機硫黄不純物をほぼ完全に除去すること
ができる。また、酸化剤として過酢酸を用いてジシクロ
ペンタジエンの脱硫を行った場合のようにエポキシ化が
起こることもない。
Claims (1)
- 【請求項1】 有機硫黄化合物を不純物として含有する
有機化合物に酢酸/過酸化水素混合物を添加して該硫黄
化合物を酸化し、次いで、該酢酸/過酸化水素混合物を
分離除去することを特徴とする、有機化合物中の有機硫
黄化合物の除去方法。
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- 2000-05-12 JP JP2000140390A patent/JP2001322953A/ja active Pending
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