JP2001319623A

JP2001319623A - 放電ランプ

Info

Publication number: JP2001319623A
Application number: JP2000136831A
Authority: JP
Inventors: Ayumi Umemoto; 歩梅本; Nobuyuki Yamada; 信幸山田; Shintarou Hatate; 伸太郎幡手; Shinji Matsubara; 信次松原; Osamu Kobayashi; 修小林
Original assignee: Toto Ltd
Current assignee: Toto Ltd
Priority date: 2000-05-10
Filing date: 2000-05-10
Publication date: 2001-11-16

Abstract

(57)【要約】【課題】破裂防止、長寿命性能など種々の好適な特性
を得る放電ランプを提供する。【解決手段】閉塞体の外径Ａと、閉塞体の放電容器側
の端面における放電容器の内径をＢの関係を、Ａ／Ｂ≦
1.2で規定し、さらに閉塞体溶着部における放電容器の
外径をC(mm)として、Ｂ／Ｃ≧0.３を規定し、放電容器
中心から閉塞体放電容器側端面までの距離Re、楕円また
は球の放電容器形状においてその電極方向半径ＲIにお
いて、0.8≦Re／Ｒi≦1.3の関係を有するランプ構成と
した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、高圧水銀ランプ、
メタルハライドランプ、キセノンランプなどの放電灯に
関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、液晶プロジェクタに代表される
投射型ディスプレイ装置では、光源に対しリフレクター
を配設して平行光を形成し、数十のレンズ界面を通過し
てスクリーンに投影像を投射結像させる方式が採られて
いる。このため光源には高輝度性能が求められ、これま
で水銀と金属ハロゲン化物を封入したメタルハライドラ
ンプが用いられると共に、ショートギャップ化等、スク
リーン照度の向上が図られてきた。

【０００３】このような背景のもと、近年メタルハライ
ドランプに代わって、特開平２−１４８５６１号に開示
されているような、極めて水銀蒸気圧の高い高圧水銀ラ
ンプが提案されている。この高圧水銀ランプは、タング
ステン電極が対向配置されている放電容器内に、希ガ
ス、０．２ｍｇ／ｍｍ³以上の水銀、１×１０^-6〜１×
１０^-4μｍｏｌ／ｍｍ³のハロゲンを封入して、１Ｗ／
ｍｍ²以上の管壁負荷で動作させる高圧水銀ランプ構成
となっている。この高圧水銀ランプは、タングステン電
極と導通したモリブデン箔が配設され放電容器である石
英ガラスを溶着することで水銀蒸気圧の封止を行ない、
高い水銀蒸気圧とともにショートギャップでアークの広
がりを抑制でき、ランプとしてこれまでにない高輝度化
を達成している。

【０００４】また、一方で特開２０００−５８００１号
に開示されているような高圧水銀ランプが開示されてい
る。この高圧水銀ランプはこの側管部に、非導電性領域
と導電性領域がその長さ方向において異なる比率で形成
された傾斜機能材料よりなる閉塞体を有し、この閉塞体
は、その非導電性領域において前記側管との接合が行わ
れ、導電性領域において電極との接合が行われているこ
とを特徴とし、閉塞体の放電容器側の端部断面における
閉塞体外径と、放電容器外径の意味づけを行なって、ラ
ンプ破損の防止、点灯寿命の長期化に関する効果が紹介
されている。

【０００５】しかしながら、特開平２−１４８５６１号
に開示されているこのような高圧水銀ランプは、モリブ
デン箔を用いたいわゆる箔式シール構造である。従っ
て、箔の界面は放電容器材料界面とモリブデン金属界面
が物質的隣接となっている箇所であり、そこには必ず隙
間を生じる。このため、この隙間を主要因とするクラッ
クによってランプの破損や点灯寿命の短期化にもつなが
ることが多かった。また、特開２０００−５８００１号
に開示されているような高圧水銀ランプも、発明者らが
その仕様に基づいて多数のランプを製作し、ランプ破損
のレベルや長寿命性能など種々の試験をして見たが、溶
着時に発生する石英ガラスの歪みが余りにも大きく予測
したような性能は得られなかった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
解決するためになされたもので、発明の目的は、ランプ
点灯における放電容器内圧力が百数十気圧にも達する放
電ランプであっても、閉塞体と放電容器を溶着する封止
部を要因としたランプの破損や点灯寿命の短命化を防止
し、ランプの長期的品質安定性を得るに好適な放電ラン
プを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、非電導性材料からなる放電容器内に対向
配置された一対のタングステン電極と、前記放電容器を
気密封止するために配設された閉塞体とを具備し、閉塞
体の外径をA(mm)、閉塞体の放電容器側の端面における
放電容器の内径をＢ(mm)とした時、Ａ／Ｂ≦1.2である
ことを特徴とする放電ランプとした。

【０００８】本発明によれば、ランプ製造において閉塞
体を溶着する前には、電極間ギャップ長を可動自在で微
調整できる上、溶着時、石英管である放電容器の加工変
形を最大限抑制することができ、放電容器材料である石
英管の溶着歪みは最小限度に抑えられ、有効な破損防止
効果を得ることができる。

【０００９】また、前記放電容器内には、0.12mg/mm³以
上の水銀と、希ガスと、ハロゲンを封入し、管壁負荷は
0.5W/mm²以上とすることで、非常に高輝度の放電ランプ
を提供できる。

【００１０】また、非電導性材料からなる放電容器内に
対向配置された一対のタングステン電極と、前記放電容
器を気密封止するために配設された閉塞体とを具備し、
閉塞体の放電容器側の端面における放電容器の内径をＢ
(mm)とし、前記閉塞体溶着部における放電容器の外径を
C(mm)とした時、Ｂ／Ｃ≧0.３であることを特徴とする
放電ランプとした。

【００１１】本発明によれば、石英管溶着部の放電スペ
ースが過度に変形して、大きな歪みを残留したり、閉塞
体に過度な負荷をかけることなく、ランプの破損を効果
的に防止することができる。

【００１２】また、非電導性材料からなる放電容器内に
対向配置された一対のタングステン電極と、前記放電容
器を気密封止するために配設された閉塞体とを具備し、
前記放電容器中心から閉塞体放電容器側端面までの距離
をRe(mm)とし、楕円または球の放電容器形状においてそ
の電極方向半径をＲi(mm)とした時、0.8≦Re／Ｒi≦1.3
であることを特徴とする放電ランプとした。

【００１３】本発明によれば、閉塞体の位置によって形
成された主要放電スペースの最冷部温度が極度に低下す
ることを防止できる上、過度な放電容器への負担をなく
し、有効なランプ破損防止効果を享受することができ
る。

【００１４】また、前記閉塞体は、電導性材料と絶縁材
料が軸方向へと機能的に傾斜した材料としたことで、閉
塞体溶着部は放電灯と同等物質で、線膨張係数を同等の
状態で溶着でき、他方は電極心棒の主な材料であるタン
グステンやモリブデンなどと熱膨張係数が同等の状態で
電気的導通を採ることができ、かつMo箔式などと異なっ
て完全なシール構造を採ることができる。

【００１５】また、前記閉塞体に、ガス調整帯を設ける
ことで、過剰に封入された発光物質によるランプの破裂
の防止やランプ点灯時に不足するハロゲンなどを供給
し、高寿命のランプを提供できる。

【００１６】

【発明の実施の形態】以上、説明した本発明の構成・作
用をより一層明らかにするために、以下本発明の好適な
実施例について説明する。

【００１７】図１は本発明の放電灯として、高圧水銀ラ
ンプを示す第一の実施例の構成図である。まず、石英ガ
ラス製の放電容器１１は球状や楕円球状をしており、そ
の内部にはタングステンからなる電極１２が対向配置さ
れている。また、放電容器内に形成される放電スペース
１３内には、放電用ガスとしてアルゴンガスが所定圧力
で封入されていると共に、発光金属として、実質的に水
銀、及び臭化水銀が封入されている。ここで、放電容器
１１の両端には閉塞体１４が配設されているが、これ
は、放電容器と同等成分からモリブデンやタングステン
などの導通金属へ機能傾斜した、いわゆる傾斜機能材料
である。ここで使用する傾斜機能材料は、放電容器と同
じ材質であるシリカと導電性金属のモリブデンを焼結し
たものであり、その混合比率を連続的もしくは段階的に
変化させしめ、結果として放電スペース１３側を非電導
性、他方を電導性としたものである。この傾斜機能材料
からなる閉塞体１４のシリカ側は、放電容器１１に少な
くとも2mm以上全周にわたって溶着され、これにより完
全なシール体と閉鎖系を形成している。また閉塞体の他
方には電気的導通のための外部リード線１５が配設さ
れ、これによりランプの点灯動作電力が供給される。

【００１８】尚、図２のように前記閉塞体のモリブデン
含有量の多い側の最外層にシリカ層を形成することで、
放電容器１１と閉塞体１５との溶着部分を多く取れ、よ
り、信頼性のある封止が行えるものであり、また、この
シリカ層１６は、閉塞体１５の外部電極１７に連通する
部分の酸化も防止できる構造となる。

【００１９】図３は本発明にかかる放電ランプ封止部の
詳細図である。タングステン電極１２と連接された閉塞
体１４は、ランプ製造工程において可動調整自在の状態
で挿入され溶着される。溶着部１７は同組成のため、完
全に放電容器と物質的に同化し、完全なシール体となっ
て放電スペース１３を形成する。閉塞体の外径（Ａ）１
８は放電スペース内の一部を構成し、閉塞体端部１９に
おいて、ミクロ的に見れば面のつながりとして不連続性
を有するが、放電スペース全体としては略連続である。
閉塞体１４の端部断面における放電容器の外径（Ｂ）２
０を定義することで、不連続性のレベルが評価できる
が、請求項１に示したＡ／Ｂの値はできる限りマイナス
でない方が望ましい。Ａ／Ｂの値が１に近いことで、ラ
ンプ内対流の均一化を促し、主要放電スペースにおける
温度の不均一性を効果的に防止することができる。ま
た、閉塞体溶着部における放電容器の外径（Ｃ）２１に
対して閉塞体１４の端部断面における放電容器の内径
（Ｂ）２０をＢ／Ｃの比率で0.3以上とすることで、石
英管溶着部の放電スペースが過度に変形して、大きな歪
みを残留したり、閉塞体の母材である傾斜機能材料に過
度な負荷をかけることなく、ランプの破損を効果的に防
止することができる構成としている。さらに、放電スペ
ースの中心２２から閉塞体放電容器側端面までの距離
（Re）２３と、楕円または球の放電容器形状においてそ
の電極方向半径をＲi(２４)との比を、0.8≦Re／Ｒi≦
1.3と規定している。これにより、閉塞体の位置によっ
て形成された主要放電スペースの最冷部温度が極度に低
下することを防止できる上、過度な放電容器への負担を
なくし、有効なランプ破損防止効果を享受することがで
きる構成としている。

【００２０】図４は閉塞体端部断面におけるＡ／Ｂパラ
メータとランプの破損レベルを試験したものである。Ａ
／Ｂが１以上であるとは、ランプ溶着時の加熱レベルの
過大さによって、放電容器１１の石英管が閉塞体１４の
端部に廻り込む状況を示している。図を見るとＡ／Ｂが
1.2を越えるあたりまではランプの耐久性能は維持され
るが、それ以上になってしまうと極端に耐久性能が落
ち、またランプの光学的性能も落ちている。これは、発
明者らが調査・試行錯誤したところによると、ランプ溶
着時の加熱レベルの過大さによって、放電容器１１の石
英管が閉塞体１４の端部に極端に廻り込み、結果的に石
英管たる放電容器１１には大きな歪みが残留して、ラン
プ破損の確率を高めていることが考えられる。Ａ／Ｂを
１．２以下としたことで、有効なランプ破損防止効果を
享受することができる。

【００２１】図５は、Re／Ｒiの値を変化させたときの
ランプの品質状態を示す実験結果である。Re／Ｒiが１.
3より大きいとき、すなわち閉塞体１４の端面が、楕円
または球の放電容器形状においてその電極方向半径より
も極端に大きい場合、ランプはその破損発生確率を高め
ている。また、Re／ＲIが0.8より小さいとき、ランプは
構造的に性能を発揮しなくなっている。0.8≦Re／Ｒi≦
1.3と規定したことで、ランプは性能、破損防止の双方
を確保できる領域を確保し、さらにこれらのランプは点
灯寿命で、領域外のランプの寿命と比較して２００％以
上長寿命化することに成功している。

【００２２】また、図６のように、タングステン電極１
２の電極棒１２ａは、閉塞体１４に形成された孔１４ａ
に挿入されており、この孔１４ａと電極棒１２ａによっ
て形成される空間に、タングステンとシリカの混成体に
よってなるガス調整機能を有する緩衝帯２5を設けて、
電極１２と閉塞体１４を一体化するようにしてもよい。

【００２３】なお、前記緩衝帯の一部は、ランプ点灯時
の最冷部の温度と一致させるように配置することで、効
率的に過剰な水銀、メタルハライド、ハロゲンなどの発
光物質を移動保留させることでき、点灯時に不足するハ
ロゲンを保留していた分から供給できる作用も有する。
また、ランプ製造時に混入したまたは、点灯時に発生し
た不純物も吸着でき、更に、ゲッタ作用を有する物質を
混入することでその効果を向上させることができる。

【００２４】尚、本発明の放電ランプは、液晶プロジェ
クター、テレビジョン、OA機器のバックライト、半導体
ステッパー用光源など種々の用途に好適に利用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の高圧水銀ランプを示す第一の実施例の
構成図

【図２】本発明の閉塞体の他の実施態様に関する説明図

【図３】本発明にかかる高圧水銀ランプ封止部の詳細図

【図４】Ａ／Ｂパラメータとランプの破損確率を示す図

【図５】Re／Ｒiの値を変化させたときのランプの破損
確率を示す図

【図6】本発明の閉塞体の他の実施態様に関する説明図

【符号の説明】

11 放電容器 12 タングステン電極 13 放電スペース 14 閉塞体 15 外部リード線 16 シリカ層 17 溶着部 18 閉塞体の外径（A) 19 閉塞体端部 20 閉塞体端部における放電容器内径（B) 21 閉塞体溶着部における放電容器の外径（C) 22 放電スペースの中心 23 放電容器中心から閉塞体放電容器側端面までの距離
（Re) 24 楕円または球の放電容器形状においてその電極方向
半径(Ri) 25 緩衝帯

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者松原信次福岡県北九州市小倉北区中島２丁目１番１号東陶機器株式会社内 (72)発明者小林修福岡県北九州市小倉北区中島２丁目１番１号東陶機器株式会社内Ｆターム(参考） 5C015 RR01 SS03 5C043 AA07 AA14 BB09 CC02 CC11 CD01 DD03 DD15 EB18 EC20

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】非電導性材料からなる放電容器内に対向配
置された一対のタングステン電極と、前記放電容器を気
密封止するために配設された閉塞体とを具備し、閉塞体
の外径をA(mm)、閉塞体の放電容器側の端面における放
電容器の内径をＢ(mm)とした時、Ａ／Ｂ≦1.2であるこ
とを特徴とする放電ランプ。
【請求項２】請求項１記載の放電ランプであって、前記
放電容器内には、0.12mg/mm³以上の水銀と、希ガスと、
ハロゲンを封入し、管壁負荷は0.5W/mm²以上であること
を特徴とする放電ランプ。
【請求項３】非電導性材料からなる放電容器内に対向配
置された一対のタングステン電極と、前記放電容器を気
密封止するために配設された閉塞体とを具備し、閉塞体
の放電容器側の端面における放電容器の内径をＢ(mm)と
し、前記閉塞体溶着部における放電容器の外径をC(mm)
とした時、Ｂ／Ｃ≧0.３であることを特徴とする放電ラ
ンプ。
【請求項４】非電導性材料からなる放電容器内に対向配
置された一対のタングステン電極と、前記放電容器を気
密封止するために配設された閉塞体とを具備し、前記放
電容器中心から閉塞体放電容器側端面までの距離をRe(m
m)とし、楕円または球の放電容器形状においてその電極
方向半径をＲi(mm)とした時、0.8≦Re／Ｒi≦1.3である
ことを特徴とする放電ランプ。
【請求項５】請求項１ないし４記載の放電ランプであっ
て、前記閉塞体は、電導性材料と絶縁材料が軸方向へと
機能的に傾斜した材料からなることを特徴とする放電ラ
ンプ。
【請求項６】請求項１ないし５記載の放電ランプであっ
て、前記閉塞体には、ガス調整帯が設けられていること
を特徴とするランプ。