JP2001318244A - ファイバ端面への成膜方法及び膜付光ファイバ - Google Patents

ファイバ端面への成膜方法及び膜付光ファイバ

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JP2001318244A
JP2001318244A JP2001060853A JP2001060853A JP2001318244A JP 2001318244 A JP2001318244 A JP 2001318244A JP 2001060853 A JP2001060853 A JP 2001060853A JP 2001060853 A JP2001060853 A JP 2001060853A JP 2001318244 A JP2001318244 A JP 2001318244A
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face
ferrule
fiber
forming
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JP2001060853A
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Tetsuo Wada
哲郎 和田
Toshihiro Mikami
俊宏 三上
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Furukawa Electric Co Ltd
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Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フェルール付きファイバの端面に成膜された
膜中にAu原子が混入して当該膜の光学特性が設計値から
かけ離れたものになる。 【解決手段】 本発の成膜方法は、フェルールにファイ
バ素線を挿通・固定し、そのフェルールを成膜装置のチ
ャンバにセットして、同フェルールの端面に突出又は露
出しているファイバ素線の端面に反射防止膜等を成膜す
るファイバ端面への成膜方法において、フェルールの金
メッキ部分の全部又は一部をメッキ材質以外の物質で予
め被覆するか、ファイバ素線をフェルールに固定する半
田で被覆するか、除去するか、遮蔽板で覆うか、保護膜
で被覆するかして、チャンバ内に前記金メッキが露出し
ないようにする。また、本発明の膜付光ファイバは、成
膜される多層膜をファイバ素線の端面から数えて第1層
目より第2層目以降の方が緻密とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェルールに挿通
・固定されたファイバ素線の端面に反射防止膜等の所望
の膜を成膜するファイバ端面への成膜方法及び膜付光フ
ァイバに関するものである。
【0002】
【従来の技術】端部を図7(a)に示すようなくさび形
にしたり、端面を図7(b)に示すような鏡面状の平面
や図7(c)に示すような曲面としたりしたファイバ素
線Bの側面に金属膜を成膜し、そのファイバ素線Bを図
8に示すようにフェルールCに挿通し、これを半田Fに
よってフェルールCに固定し、固定されたファイバ素線
Bの端面Aに反射防止膜(図示しない)を成膜したレン
ズドファイバと呼ばれる光デバイスDがある。この光デ
バイスDは例えば図9に示すように、通信光源や光増幅
器用の励起光源等として用いられるレーザモジュールE
において、レーザダイオード(LD)から出射された光
を低反射の状態で光ファイバ内に導くための使用され
る。
【0003】従来から図8に示すファイバ素線Bの端面
Aに反射防止膜を成膜する方法は種々あるが、その1つ
にファイバ素線Bが挿通・固定されたフェルールCを成膜
原料(例えばシリカ:SiO2とタンタルオキサイド:Ta2O
5)の蒸発原子又は分子が存在するチャンバ(図示しな
い)内にセットして、ファイバ素線Bの端面AにSiO2とTa
2O5が交互に積層された多層膜を成膜すると共に、同チ
ャンバ内に設置されたイオン銃からファイバ素線Bの端
面Aに向けてO2活性分子を照射或いは加速させることに
よって蒸発原子又は分子にエネルギーを付与して緻密性
が高く、付着力が強い膜を成膜する方法(イオンビーム
アシステッドデポジション法:IAD法)、放電ガスが
充填されたチャンバ内でファイバ素線Bがセットされた
ホルダや同チャンバのドームをカソードとしてイオン化
した蒸発原子又は分子を加速し、これをファイバ素線B
の端面Aに付着させる方法(イオンプレーティング法)
等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ファイバ素線の端面に
前記従来の成膜方法によって成膜すると、設計値通りの
膜厚の膜が成膜されているにも拘わらず反射減衰量、透
過率、反射率等の光学特性が設計値から大きくかけ離れ
てしまうといった問題があった。例えば、前記反射率に
ついては、設計上、波長が980nmの光に対して0.0
1%前後の反射率が得られるはずであるにも拘わらず、
実際には0.1%前後の反射率しか得られない。
【0005】
【課題を解決するための手段】本件出願の第1のファイ
バ端面への成膜方法は、フェルールにファイバ素線を挿
通・固定し、同フェルールの側面部分の全部又は一部を
メッキ材質以外の被覆物で被覆してから、フェルールの
端面から突出している又は同端面に露出しているファイ
バ素線の端面に反射防止膜その他の膜を成膜するもので
ある。
【0006】本件出願の第2のファイバ端面への成膜方
法は、前記被覆物を半田としたものである。
【0007】本件出願の第3のファイバ端面への成膜方
法は、ファイバ素線の端面に反射防止膜その他の膜を成
膜した後に、被覆物をフェルールから除去するものであ
る。
【0008】本件出願の第4のファイバ端面への成膜方
法は、表面に金メッキがされたフェルールにファイバ素
線を挿通・固定し、同フェルールの金メッキの全部又は
一部を除去してから、同フェルールの端面から突出して
いる又は同端面に露出しているファイバ素線の端面に反
射防止膜その他の膜を成膜するものである。
【0009】本件出願の第5のファイバ端面への成膜方
法は、フェルールにファイバ素線を挿通・固定し、同フ
ェルールの端面から突出している又は同端に露出してい
るファイバ素線の端面に反射防止膜その他の膜を成膜す
るファイバ端面への成膜方法において、端面への成膜時
にフェルールの側面部分の全部又は一部を遮蔽板で覆う
ものである。
【0010】本件出願の第6のファイバ端面への成膜方
法は、遮蔽板によってフェルールの端面から突出してい
るファイバ素線の端部をも覆うものである。
【0011】本件出願の第7のファイバ端面への成膜方
法は、フェルールにファイバ素線を挿通・固定し、同フ
ェルールの端面から突出している又は同端面に露出して
いるファイバ素線の端面に反射防止膜その他の多層膜を
成膜するファイバ端面への成膜方法において、第1層目
を成膜対象に向けてイオンを照射或いは加速させる方法
以外の方法で成膜し、第2層目以降を成膜対象に向けて
イオンを照射或いは加速させる方法で成膜するものであ
る。
【0012】本件出願の膜付光ファイバは、フェルール
にファイバ素線が挿通・固定され、フェルールの端面か
ら突出している又は同端面に露出しているファイバ素線
の端面に反射防止膜その他の多層膜が成膜された膜付光
ファイバであって、前記多層膜がファイバ素線の端面か
ら数えて第1層目より第2層目以降の方が緻密に形成さ
れているものである。
【0013】
【発明の実施の形態】(実施形態1)本件発明のファイ
バ端面への成膜方法の第1の実施形態を図1、図2に基
づいて詳細に説明する。この成膜方法は図1に示すよう
に、表面全体(外面及び内面)が金メッキされたフェル
ール1(直径約1mm)に、ファイバ素線2(直径約
0.125mm)をその端面5が前記フェルール1の端
面4から約1mm突出するように挿通してからこれを半
田12によってフェルール1に固定し(半田付けし)、
このフェルール1を図2に示すような成膜原料13の蒸
発原子14又は分子14が存在する電子ビーム蒸着装置
のチャンバ3内のホルダ7にセットして、前記イオンア
シスト法によってフェルール1の端面4から突出してい
るファイバ素線2の端面5に数〜数百nm厚のSiO2層とTa
2O5層とが交互に積層された反射防止膜を蒸着するにあ
たって、図1に示すようにファイバ素線2をフェルール
1に半田付けする際に、フェルール1の端面4の金メッ
キ部分を同半田(An-Sn又はSn-Pb等)12で同時に
被覆することによって、チャンバ3にフェルール1をセ
ットしたときに、同フェルール1の金メッキがチャンバ
3内に露出しないようにしたものである。尚、ファイバ
素線2はフェルール1に挿通される前に、その端部が図
7(a)に示すようなくさび形とされるか、端面が図7
(b)に示すような鏡面状の平面、或いは図7(c)に
示すような曲面とされている。これは以降の実施形態に
おいても同様である。
【0014】前記電子ビーム蒸着装置は従来からこの種
の成膜に使用されているものと同一のものである。具体
的には、図2に示すようにイオン銃15とニュートライ
ザ16が設けられたチャンバ3を備え、そのチャンバ3
のドーム10に設けられたホルダ7にフェルール1をセ
ットしてから、同チャンバ3内にSiO2やTa2O5等の成膜
原料13を蒸発させると共に、前記イオン銃15からフ
ァイバ素線2の端面5に向けてO2活性分子(酸素イオ
ン)を照射或いは加速させて前記成膜原料13の蒸発原
子14にエネルギーを付与しながら同蒸発原子14をフ
ァイバ素線2の端面5に蒸着させるものである。尚、前
記O2活性分子は、Ar活性分子、He活性分子、N2
性分子、H2活性分子、CO2活性分子、H2O活性分
子、空気等に変更することもできる。本実施形態でO2
性分子を用いたのはTa2O5中の酸素欠陥を補う作用があ
るからである。前記ニュートライザ16はチャンバ3内
にマイナス電子を放出して電気的中性を保つためのもの
である。
【0015】本実施形態に示した成膜方法によって成膜
すると、前記チャンバ3内にセットされたフェルール1
に照射又は加速されたO2活性分子は、フェルール1の端
面4を被覆する半田12によって遮蔽されて、当該端面
4の金メッキにまで届かない。従って、前記端面4に施
されている金メッキからAu原子が飛び出してファイバ素
線2の端面5に形成される反射防止膜中に混入すること
がない。
【0016】本実施形態に示す成膜方法によって成膜さ
れた反射防止膜の光学特性をファイバ素線2の両端面の
うち、反射防止膜が成膜された端面5とは反対側の端面
(図示しない)から光を入射し(実際の入射方向とは反
対方向)、この反射光のレベルを測定する方法によって
反射減衰量を測定し、これを反射率に換算したところ、
波長が980nmの光に対して設計値(0.01%)の反
射率を示した。
【0017】(実施形態2)本件発明のファイバ端面へ
の成膜方法の第2の実施形態を図3に基づいて説明す
る。この成膜方法は、前記実施形態1と同様にしてファ
イバ素線2が挿通・固定されたフェルール1をイオンビ
ームスパッタ装置のチャンバ(図示しない)にセットし
て、イオンビームスパッタリング法によってファイバ素
線2の端面5に中心波長1550nm、半値幅3nmのバン
ドパスフィルタを蒸着するにあたって、フェルール1を
前記チャンバにセットする前に、フェルール1の端面4
の金メッキを予め除去(剥離)することによって、フェ
ルール1をチャンバにセットしたときに、同フェルール
1の金メッキがチャンバ内に露出しないようにしたもの
である。フェルール1の端面4の金メッキを除去するに
は、例えば紙ヤスリ、鉄ヤスリ、砥石等で機械的に削り
取る方法等を用いる。
【0018】前記イオンビームスパッタ装置及びこの装
置によって実現されるイオンビームスパッタリング法は
従来からこの種の成膜に使用されているものと同一であ
り、前記図2に示すチャンバ3と基本的構造を共通にす
るチャンバ内で加速させたイオンを成膜原料(蒸着物
質)の表面に照射してその原子又は分子を叩き出し、こ
れをファイバ素線2の端面5に蒸着させるものである。
【0019】本実施形態に示した成膜方法によって成膜
すると、前記チャンバ3内にフェルール1の金メッキ部
分が露出することがないので、当該フェルール1にイオ
ンを照射又は加速しても、金メッキからAu原子が飛び
出してファイバ素線2の端面5に形成される反射防止膜
中に混入することがない。
【0020】本実施形態に示す成膜方法によって成膜さ
れたバンドパスフィルタの光学特性を測定したところ、
800〜1700nmの波長帯域で所定の透過率特性及び
反射率特性を示した。尚、本実施形態におけるフェルー
ル1の直径及びファイバ素線2の直径は前記実施形態1
に示すものと同一である。
【0021】(実施形態3)本件発明のファイバ端面へ
の成膜方法の第3の実施形態を説明する。この成膜方法
は、前記実施形態1と同様にしてファイバ素線2が挿通
・固定されたフェルール1を成膜原料13の蒸発原子1
4又は分子14が存在する成膜装置のチャンバ3(図
2)にセットして、前記ファイバ素線2の端面5に数〜
数百nm厚のSiO2層とTa2O5層とが交互に積層された反射
防止膜を成膜(蒸着)するにあたって、第1層目(SiO2
層又はTa2O5層)をイオンアシスト法やイオンプレーテ
ィング法等の成膜対象に向けてイオンを照射或いは加速
させる方法以外の方法で成膜(蒸着)し、第2層目以降
は前記イオンアシスト法やイオンプレーティング法等の
成膜対象に向けてイオンを照射或いは加速させる方法で
成膜(蒸着)するものである。
【0022】本実施形態に示した成膜方法では、第1層
目は成膜対象に向けてイオンを照射或いは加速させない
方法で形成されるので、第1層目の形成時にフェルール
1の端面4の金メッキからAu原子が飛び出すことがな
い。さらに、第2層目以降を成膜対象に向けてイオンを
照射或いは加速させる方法で形成しても、当該第2層目
以降の形成時にフェルール1に向けて照射或いは加速さ
れるイオンは先に形成されている第1層によって遮蔽さ
れてフェルール1の金メッキにまで届かない。従って、
ファイバ素線2の端面5に成膜される反射防止膜中にAu
原子が混入することがなく、しかも、第2層目以降は第
1層目に比べて緻密に形成することができる。
【0023】本実施形態に示す成膜方法によって成膜さ
れた反射防止膜の光学特性を前記実施形態1に示す測定
方法と同一の測定方法で測定したところ、波長が148
0nmの光に対する反射率は設計値(0.01%)であっ
た。また、成膜された反射防止膜の各層について顕微鏡
写真を用いてその緻密さを確認したところ、イオンアシ
スト等のエネルギー付与を行わずに形成した第1層目に
は粒同士の界面が多数残っており、イオンアシスト等の
エネルギー付与を行って形成した第2層目以降には粒同
士の界面が殆ど残っておらず、第1層目よりも第2層目
以降の方が緻密であることが確認された。尚、本実施形
態におけるフェルール1の直径及びファイバ素線2の直
径は前記実施形態1に示すものと同一である。
【0024】(実施形態4)本件発明のファイバ端面へ
の成膜方法の第4の実施形態を図4に基づいて説明す
る。この成膜方法は前記実施形態1と同様にしてファイ
バ素線2が挿通・固定されたフェルール1を成膜原料1
3の蒸発原子14又は分子14が存在する電子ビーム蒸
着装置のチャンバ3(図2)にセットして、イオンアシ
スト法によってファイバ素線2の端面5にバンドパスフ
ィルタを成膜(蒸着)するにあたって、チャンバ3にセ
ットされたフェルール1の表面のうち、同チャンバ3内
に露出するフェルール1の端面4の金メッキ部分を遮蔽
板6で被覆するものである。この遮蔽板6は、ステンレ
ス、アルミ等の金属製、ガラス・アルミナ・ジルコニア
・チタニア等のセラミックス製のものとすることがで
き、これ以外にもファイバ素線2の端面5に向けて照射
或いは加速されるイオンがフェルール1の端面4に当た
ることを防止できるものであれば素材は特定のものに限
定されない。
【0025】本実施形態に示した成膜方法によって成膜
すると、前記チャンバ3内にセットされたフェルール1
に照射又は加速されたイオンは、フェルール1の端面4
を被覆する遮蔽板6に遮蔽されて、当該端面4の金メッ
キにまで届かない。従って、前記端面4に施されている
金メッキからAu原子が飛び出してファイバ素線2の端面
5に形成される反射防止膜中に混入することがない。
【0026】本実施形態では、図2に示すチャンバ3内
にプラズマ(Arガス雰囲気)をたてることで蒸着膜へエ
ネルギーを付与した。また、本実施形態に示す成膜方法
によって成膜されたバンドパスフィルタは、800nm〜
1700nmの波長帯域で所定の透過率特性及び反射率特
性を示した。
【0027】前記遮蔽板6はチャンバ3内のホルダ7
(図2)に設けることもでき、その他の好適な位置に設
けることができる。また、遮蔽板6は図5に示すよう
に、フェルール1の端面4のみではなく、同端面4から
突出したファイバ素線1の端部20をも覆うものであっ
てもよい。具体的には、この遮蔽板6は、フェルール1
の端面4側からファイバ素線1の端面5側に向けて先細
りになる略円錐状のテーパ部21と、テーパ部21の周
縁から立ち上げられた立ち上がり部22を備えており、
テーパ部21の先端に開設された穴23においてファイ
バ素線1の端面5がチャンバ3内に露出されるようにし
てある。かかる構造の遮蔽板6を用いると、ファイバ素
線2に端部側面及びフェルール4の側面への蒸発原子1
4又は分子14の付着を防止できるという効果がある。
特に、フェルール4の側面への蒸発原子14又は分子1
4の付着が防止されることによって、後にフェルール4
の側面を何らかの部材に溶接する際に、同側面に付着し
た蒸発原子14又は分子14によって溶接が阻害される
といった不都合が回避される。尚、テーパ部21がファ
イバ素線2の端部側面への蒸発原子14又は分子14の
付着防止に効果的に作用し、立ち上がり部22がフェル
ール4の側面への蒸発原子14又は分子14の付着防止
に効果的に作用することは図5から明かである。前記テ
ーパ部21について説明を補足すれば、このテーパ部2
1は、径方向においてファイバ素線2の端面5から離れ
るに従い、軸線方向においてフェルール1の端面4に近
づくように形成されている。この様なテーパ部22を備
えた遮蔽板6を用いれば、反射された蒸発原子14又は
分子14がファイバ素線2の端面5に戻ることを防げる
ので、同端面5に成膜される膜の膜厚を所望の膜厚とす
ることができる。
【0028】(実施形態5)本件発明のファイバ端面へ
の成膜方法には、図6に示すように、ファイバ素線2が
挿通・固定されたフェルール1を成膜装置のチャンバ3
(図2)にセットした際に同チャンバ3内に露出するフ
ェルール1及びファイバ素線2の表面のうち、ファイバ
素線2の端面5を除く部分に保護膜(レジスト膜)30
を形成し、その後、前記成膜方法の何れかの方法によっ
てファイバ素線2の端面5に反射防止膜その他の膜3を
成膜し、その後、保護膜30を除去することにより、フ
ェルール1の側面への膜3の付着を防ぐ方法も含まれ
る。尚、ファイバ素線1の端部20に関しては、その全
長(0.4mm)の約半分(フェルール1の端面4寄り約
半分)までを保護膜30によって被覆してある。もっと
も、ファイバ素線2の端部20の全長や保護膜30によ
る被覆範囲は一例に過ぎないことは勿論である。
【0029】(実施形態6)フェルール1をチャンバ3
にセットすると、その端面4以外の金メッキ部がチャン
バ3内に露出する場合には同露出する金メッキ部分の全
部又は一部を前記と同様にしてチャンバ3内に露出しな
いようにすることもできる。要は、チャンバ3内に露出
しているフェルール1の金メッキ部分からAu原子が飛び
出さないようにできればよい。前記実施形態1では、フ
ェルール1の金メッキを半田12で被覆したが、金メッ
キを被覆する被覆物はメッキ材質以外であれば所望の物
質を選択することができ、例えばメッキ材質以外の金属
や酸化物等を選択することができる。
【0030】
【発明の効果】本件出願のファイバ端面への成膜方法
は、次に示す効果の1つ又は2つ以上を有する。 (1)フェルールの金メッキ部分の全部又は一部をメッ
キ材質以外の金属又は酸化物で予め被覆するか、半田で
被覆するか、除去するか、遮蔽板で覆うかして、チャン
バ内に前記金メッキが露出しないようにするので、フェ
ルール表面の金メッキから飛び出したAu原子が膜中に混
入して、当該膜の光学特性が設計値からかけ離れること
がない。特にイオンアシスト法等の成膜対象にイオンを
照射或いは加速させる成膜方法は緻密性が高く、付着力
が強い膜を成膜可能であるというメリットがある一方
で、照射或いは加速されたイオンによってフェルール表
面の金メッキからAu原子が叩き出されて膜中に混入し易
いといったデメリットがあるが、本件発明の成膜方法に
よればフェルール表面の金メッキからAu原子が飛び出す
ことがないので前記メリットはそのままにデメリットの
みを回避することができる。 (2)従来から行われているフェルールとファイバ素線
の半田付け工程において、フェルールの端面を半田で被
覆する以外は従来と全く同一の工程で成膜するだけで前
記効果を得ることができる。 (3)フェルールの金メッキをヤスリや砥石等で除去す
るという極めて簡単な工程を追加し、その他は従来と全
く同じ工程で成膜するだけで前記効果を得ることができ
る。 (4)チャンバ内のホルダに遮蔽板を設けたり、その他
の好適な位置に遮蔽板を設けるだけで、従来と全く同じ
工程で成膜しても前記効果を得ることができる。 (5)遮蔽板によってフェルールの端面から突出してい
るファイバ素線の端部をも覆うので、ファイバ素線の端
部側面に成膜原料の蒸発原子や分子が付着することを防
止できる。さらに、遮蔽板の形状によってはフェルール
の側面に成膜原料の蒸発原子や分子が付着することをも
防止できる。 (6)第1層目は、例えば単に成膜原料から蒸発原子を
蒸発させて、これをファイバ素線の端面に蒸着させると
いった極めて簡単な方法で形成し、第2層目以降を例え
ばイオンアスト法で形成するだけで前記効果を得ること
ができる。
【0031】本件出願の膜付光ファイバは、次のような
効果を有する。 (1)フェルールに挿通・固定されたファイバ素線の端
面に形成された多層膜のうち、前記端面から数えて第1
層目より第2層目以降の方が緻密に形成されている。即
ち、第1層目を成膜対象に向けてイオンを照射或いは加
速させる方法以外の方法で成膜し、第2層目以降を成膜
対象に向けてイオンを照射或いは加速させる方法で成膜
されている。従って、成膜の際にフェルールの金メッキ
から飛び出したAu原子が多層膜中に混入することがな
く、設計値通りの光学特性を示す膜付光ファイバとな
る。また、この膜付光ファイバを得るためには第1層目
は、例えば単に成膜原料から蒸発原子を蒸発させて、こ
れをファイバ素線の端面に蒸着させるといった極めて簡
単な方法で形成し、第2層目以降を例えばイオンアスト
法で形成するだけで良いので、生産が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本件発明のファイバ端面への成膜方法の実施形
態の一例を示す説明断面図。
【図2】成膜装置のチャンバの一例を示す説明図。
【図3】本件発明のファイバ端面への成膜方法の実施形
態の一例を示す説明断面図。
【図4】本件発明のファイバ端面への成膜方法の実施形
態の一例を示す説明断面図。
【図5】本件発明のファイバ端面への成膜方法の実施形
態の一例を示す説明断面図。
【図6】本件発明のファイバ端面への成膜方法の実施形
態の一例を示す説明断面図。
【図7】(a)はくさび加工が施されたファイバ素線の
端部を示す説明図、(b)は鏡面加工が施されたファイ
バ素線の端面を示す説明図、(c)は曲面加工が施され
たファイバ素線の端面を示す説明図
【図8】レンズドファイバの一例を示す説明図。
【図9】レンズドファイバの使用例を示す説明図。
【符号の説明】
1 フェルール 2 ファイバ素線 3 チャンバ 4 フェルールの端面 5 ファイバ素線の端面 6 遮蔽板 20 ファイバ素線の端部 30 保護膜

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フェルール(1)にファイバ素線(2)を
    挿通・固定し、同フェルール(1)の側面部分の全部又
    は一部をメッキ材質以外の被覆物で被覆してから、同フ
    ェルール(1)の端面(4)から突出している又は同端
    面(4)に露出しているファイバ素線(2)の端面
    (5)に反射防止膜その他の膜を成膜することを特徴と
    するファイバ端面への成膜方法。
  2. 【請求項2】被覆物が半田であることを特徴とする請求
    項1記載のファイバ端面への成膜方法。
  3. 【請求項3】ファイバ素線(2)の端面(5)に反射防
    止膜その他の膜を成膜した後に、被覆物をフェルール
    (1)から除去することを特徴とする請求項1記載のフ
    ァイバ端面への成膜方法。
  4. 【請求項4】表面に金メッキがされたフェルール(1)
    にファイバ素線(2)を挿通・固定し、同フェルール
    (1)の金メッキの全部又は一部を除去してから、同フ
    ェルール(1)の端面(4)から突出している又は同端
    面(4)に露出しているファイバ素線(2)の端面
    (5)に反射防止膜その他の膜を成膜することを特徴と
    するファイバ端面への成膜方法。
  5. 【請求項5】フェルール(1)にファイバ素線(2)を
    挿通・固定し、同フェルール(1)の端面(4)から突
    出している又は同端面(4)に露出しているファイバ素
    線(2)の端面(5)に反射防止膜その他の膜を成膜す
    るファイバ端面への成膜方法において、端面(5)への
    成膜時にフェルール(1)の側面部分の全部又は一部を
    遮蔽板(6)で覆うことを特徴とするファイバ端面への
    成膜方法。
  6. 【請求項6】請求項5記載のファイバ端面への成膜方法
    において、遮蔽板(6)によってフェルール(1)の端
    面(4)から突出しているファイバ素線(2)の端部
    (20)をも覆うことを特徴とするファイバ端面への成
    膜方法。
  7. 【請求項7】フェルール(1)にファイバ素線(2)を
    挿通・固定し、同フェルール(1)の端面(4)から突
    出している又は同端面(4)に露出しているファイバ素
    線(2)の端面(5)に反射防止膜その他の多層膜を成
    膜するファイバ端面への成膜方法において、第1層目を
    成膜対象に向けてイオンを照射或いは加速させる方法以
    外の方法で成膜し、第2層目以降を成膜対象に向けてイ
    オンを照射或いは加速させる方法で成膜することを特徴
    とするファイバ端面への成膜方法。
  8. 【請求項8】フェルール(1)にファイバ素線(2)が
    挿通・固定され、フェルール(1)の端面(4)から突
    出している又は同端面(4)に露出しているファイバ素
    線(2)の端面(5)に反射防止膜その他の多層膜が成
    膜された膜付光ファイバであって、前記多層膜がファイ
    バ素線(2)の端面(5)から数えて第1層目より第2
    層目以降の方が緻密に形成されていることを特徴とする
    膜付光ファイバ。
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